説明

波長選択スイッチ

【課題】光学台の厚さを確保しながら、筐体の薄型化が可能な波長選択スイッチを提供する。
【解決手段】少なくとも一つの入力ポート10aと、入力ポート10aから入射される入力光を波長分散する分散部30と、分散部30により波長分散される光を集光する集光素子40と、集光素子40により集光される光を偏向する偏向部50と、偏向部50で偏向された光を出力光として出射する少なくとも一つの出力ポート10cと、少なくとも分散部30および集光素子40を支持する光学台70と、光学台70を収容保持する筐体60と、を備え、光学台70は、分散部30および集光素子40を支持する支持面70bが、筐体60の投影面積が最も大きい面に対して交差するように取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光通信用の波長選択スイッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信に用いられる従来の波長選択スイッチとして、例えば特許文献1に開示のものが知られている。図6は、特許文献1に開示された波長選択スイッチの概略構成を示す分解斜視図である。この波長選択スイッチでは、平板状の光学台100に波長選択スイッチの光学系を構成する各種の光学部品を搭載している。そして、光学系が搭載された光学台100を、筐体101内の底部に固定して、筐体101の上部開口部を蓋102で覆うことにより、筐体101を気密封止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−145887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、波長選択スイッチは、仕様の温度および湿度範囲において安定した動作を補償する必要がある。そのためには、光学系を構成する各種の光学部品を光学台100に精度良く配置することが重要である。しかし、その際、光学台100が薄いと、光学部品の取り付けによって光学台100に歪みや変形が生じて、所望の精度で光学部品を配置することが困難になる。また、所望の精度で光学部品を配置できたとしても、光学台100が薄いと、光学台100を筐体101の底部に、例えば一般的なビス締めによって固定する場合、同様に光学台100に歪みや変形が生じて、光学部品の配置精度を維持することが困難になる。そのため、光学台100は、ある程度の厚さを要することになる。
【0005】
一方、波長選択スイッチは、筐体101の薄型化が要求される。ここで、図6の構成において、筐体101の厚さは、少なくとも、光学台100の厚さ、光学台100と筐体101との干渉を避けるためのクリアランス、光学部品の高さ、および、光学部品と蓋102との干渉を避けるためのクリアランス、の総和をカバーする必要がある。そのため、光学台100が厚いと、筐体101の薄型化が困難になる。
【0006】
このように、従来の波長選択スイッチは、光学台100の厚さと、筐体101の薄型化とがトレードオフの関係にあり、両者を満足することが困難である。
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、光学台の厚さを確保しながら、筐体の薄型化が可能な波長選択スイッチを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係る波長選択スイッチの発明は、
少なくとも一つの入力ポートと、
該入力ポートから入射される入力光を波長分散する分散部と、
該分散部により波長分散される光を集光する集光素子と、
該集光素子により集光される光を偏向する偏向部と、
該偏向部で偏向された光を出力光として出射する少なくとも一つの出力ポートと、
少なくとも前記分散部および前記集光素子を支持する光学台と、
該光学台を収容保持する筐体と、を備え、
前記光学台は、前記分散部および前記集光素子を支持する支持面が、前記筐体の投影面積が最も大きい面に対して交差するように取り付けられている、
ことを特徴とするものである。
【0009】
前記入力ポートおよび前記出力ポートは直線状に配列され、
前記偏向部は、前記入力ポートおよび前記出力ポートと前記集光素子との間において、前記光学台の前記支持面から突出した支持部に支持され、
前記支持部には、前記入力光および前記出力光を透過する光透過部が形成されている、のが好ましい。
【0010】
前記入力ポートおよび前記出力ポートと前記集光素子との間に一次集光点を形成する一次集光レンズをさらに備え、
前記支持部は、前記光透過部が前記一次集光点またはその近傍に位置するように配置され、
前記分散部、前記集光素子および前記偏向部は、
前記入力ポートからの前記入力光が、前記一次集光レンズおよび前記集光素子を経て前記分散部で分散され、該分散された光が前記集光素子を経て前記偏向部で偏向されて、前記分散部および前記集光素子を経て前記出力ポートから前記出力光として出射されるように配置されている、のが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、光学台の厚さを確保しながら、筐体の薄型化が可能な波長選択スイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】本発明の第1実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を分散部による波長分散方向から見て示す図である。
【図1B】本発明の第1実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を分散部による波長分散方向と直交する方向から見て示す図である。
【図2A】第1実施の形態に係る波長選択スイッチの光学ベースプレートの一変形例を示す図である。
【図2B】第1実施の形態に係る波長選択スイッチの光学ベースプレートの他の変形例を示す図である。
【図3A】本発明の第2実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を分散部による波長分散方向から見て示す図である。
【図3B】本発明の第2実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を分散部による波長分散方向と直交する方向から見て示す図である。
【図4A】本発明の第3実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を分散部による波長分散方向から見て示す図である。
【図4B】本発明の第3実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を分散部による波長分散方向と直交する方向から見て示す図である。
【図5】第3実施の形態の変形例を示す図である。
【図6】従来の波長選択スイッチの概略構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0014】
(第1実施の形態)
図1Aおよび図1Bは、本発明の第1実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を模式的に示す図である。図1Aは波長選択スイッチを分散部による波長分散方向から見た図であり、図1Bは波長選択スイッチを分散部による波長分散方向と直交する方向から見た図である。なお、以下の説明では、便宜上、図1Aを正面側とし、図1Bを平面側とする。
【0015】
この波長選択スイッチは、1つの入力ポート10a、4つの出力ポート10b−10e、マイクロレンズアレイ20、分散部30、集光素子である集光レンズ40、偏向部50および筐体60を備える。図1A及び図1Bは、筐体60の内部の構成を示すため、図1Aでは筐体60の正面板60aを除去しており、図1Bでは筐体60の上面板60bを除去している。また、図1A及び図1Bにおいて、分散部30による波長分散方向をX方向、分散部30の波長分散により分散光が空間的に広がる面に対して垂直な方向をY方向、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向とする。なお、現実の波長選択スイッチの光路中に、図示しないミラー、プリズム等の偏向部材が光路を折り曲げるために配置されている場合には、X方向、Y方向およびZ方向との説明は、このような偏向部材が無いものとした仮想的な光学系を前提として用いられることとする。
【0016】
入力ポート10aおよび出力ポート10b−10eは、Y方向に直線状に配列されている。以下、説明の便宜上、入力ポート10aおよび出力ポート10b−10eを、適宜、入出力ポート10とまとめて表記する。入出力ポート10には、それぞれ光ファイバの端部が保持されている。なお、光ファイバは、図面を明瞭とするため、図示を省略してある。マイクロレンズアレイ20は、入出力ポート10と対応する球面または非球面のマイクロレンズ21a−21eとを備える。
【0017】
入力ポート10aから出射される波長分割多重された光信号(入力光)は、マイクロレンズアレイ20の対応するマイクロレンズ21aにより平行光に変換されて分散部30に入射される。
【0018】
分散部30は、例えば透過型グレーティングからなる分散素子31を有し、入力ポート10aからの入力光を波長毎の光信号に分散する。図1Bは、分散部30が、入力光を5波長の波長毎の光信号に分散可能な場合を例示している。本実施の形態では、分散される波長を5波長のみ例示しているが、この数に限定されるものではない。
【0019】
集光レンズ40は、その前側焦点位置が分散素子31の分散基点にほぼ一致するように配置されて、分散部30で波長分散された光信号を偏向部50に集光する。ここで、入力光が複数の離散的な波長で波長分割多重されている場合は、波長分散された光信号は、偏向部50に波長毎に分離して集光する。また、集光レンズ40により集光される複数の光信号は、波長分散方向に対して垂直な方向から見たときに、偏向部50に対してほぼ垂直に入射することが好ましい。
【0020】
偏向部50は、分散部30の波長分散方向に直線状に配列された複数の偏向素子を備える。本実施の形態では、偏向部50は、5つの偏向素子51a−51eを備える場合を例示しているが、この数に限定されない。偏向素子51a−51eは、分散部30により分散される5波長に対応しており、各々独立して駆動可能に構成されている。これにより、偏向部50に入射する波長毎の光信号がそれぞれ偏向される。このようなアレイ状の偏向素子51a−51eを備える偏向部50は、例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラー、液晶素子、光学結晶などを用いて構成される。
【0021】
偏向部50により偏向された波長毎の光信号は、集光レンズ40および分散部30を経て、所望の出力ポート10b−10eへそれぞれ出力光として入射される。図1Aは、出力ポート10cへ出力光が入射される場合を例示している。
【0022】
筐体60は、正面板60a、上面板60b、左右の側面板60c,60d、背面板60eおよび底面板60fを有し、正面板60a、左右の側面板60c,60dおよび背面板60eの面積(投影面積)に対して、上面板60bおよび底面板60fの面積(投影面積)が大きくなっている。なお、筐体60の各面の名称は、図1Aを正面側とした場合の便宜上のものである。また、図1Aは、正面板60aを除去して示した図であり、図1Bは、上面板60bを除去して示した図である。本実施の形態に係る波長選択スイッチにおいては、筐体60の背面板60eに、上述した入出力ポート10、分散部30、集光レンズ40および偏向部50が支持された、光学台である光学ベースプレート70が取り付けられる。
【0023】
光学ベースプレート70は、線膨張率が比較的小さい、例えば金属やガラス等により形成され、背面板60eに設けられた複数(図では2個)の支持台61に、ビス62により取り付けられる。つまり、光学ベースプレート70は、投影面積の最も大きい上面板60bや底面板60fに対して、後述する支持面70a,70b,70cが交差するように、好ましくは直交するように、背面板60eに取り付けられている。本実施の形態では、容易に光学ベースプレート70と筺体60の背面板60eを締結するためにビス62を用いているがこれに限定されるものではなく、接着剤を用いて締結しても良い。また、ビス62の数量に関しても限定されるものではない。
【0024】
ここで、入出力ポート10は、ポート支持基板11を介して入出力ユニット基板12に接着等により固定される。また、マイクロレンズアレイ20は、マイクロレンズ21a−21eが入出力ポート10の各ポート10a−10eと対応するように、入出力ユニット基板12に接着等により固定される。そして、入出力ポート10およびマイクロレンズアレイ20が固定された入出力ユニット基板12が、接着等により光学ベースプレート70の支持面70aに固定される。つまり、入出力ポート10およびマイクロレンズアレイ20は、ユニット化されて光学ベースプレート70に支持される。本実施形態では、組み立て易さを考慮して、入出力ポート10とマイクロレンズアレイ20をポート支持基盤11およびユニット基盤12を用いてユニット化されて、光学ベースプレートに支持されているが、ユニット化せず、ポート支持基盤11およびユニット基盤12を用いることなく、直接、光学ベースプレートに支持される構成でも良い。
【0025】
また、分散部30を構成する分散素子31は、光学ベースプレート70の支持面70bに支持される。分散素子31は、光学ベースプレート70の支持面70bに接着等により固定される。集光レンズ40および偏向部50は、それぞれ光学ベースプレート70の支持面70cに接着等により固定される。偏向部50に接続されたフレキシブル基板52は、底面板60fに形成された取り出し口60gを通して外部に導出される。筺体60の内部の封止性能を保つために取り出し口60gとフレキシブル基板52の隙間は封止剤63で埋められている。
【0026】
なお、光学ベースプレート70は、図2Aおよび図2Bに示すように複数の部材に分けて構成することが可能である。その際、複数の部材は、図2Aに示すように接着剤で連結したり、図2Bに示すように、ビス65で連結したり、様々な連結方法により連結することが可能である。
【0027】
図1Bに示すように、光学ベースプレート70は、集光レンズ40の光軸と支持面70cとがほぼ平行となるように、分散部30、集光レンズ40および偏向部50の支持面70cに対して、入出力ユニット基板12の支持面70aが傾斜した屈曲形状に形成されている。そのため、筐体60の背面板60eも、光学ベースプレート70の屈曲形状に合わせて屈曲させている。しかし、背面板60eは、支持台61を長くして、正面板60aと平行な平坦形状とすることにより、筐体60の全体を矩形の箱状とすることも可能である。なお、図1Aは、図面を明瞭とするために、分散部30に対して入力ポート10aからの入力光が垂直に入射し、かつ分散部30から出力光が垂直に射出して、入出力ポート10、マイクロレンズアレイ20、分散部30、集光レンズ40および偏向部50がZ方向に直線状に並ぶように図示している。
【0028】
上述したように、本実施の形態では、光学ベースプレート70を、投影面積の最も大きい上面板60bや底面板60fに対して、支持面70a,70b,70cが交差するように、背面板60eに取り付けている。したがって、筐体60の高さ(厚さ)を大きくすることなく、光学ベースプレート70の必要な厚さを容易に確保することができるので、筐体60を容易に薄型化することが可能となる。
【0029】
なお、図1Aには、1つの入力ポート10aと4つの出力ポート10b−10eとが例示されているが、入力ポート10aが出力ポートとなり、出力ポート10b−10eが入力ポートとなる場合もある。また、入力ポートおよび出力ポートの数は、例示に限らず適宜設定される。つまり、本発明に係る波長選択スイッチは、上述したように、波長分割多重された入力光を波長毎に分散して出力する場合に限らず、波長毎の複数の入力光を多重して出力するように使用される場合もある。また、入力ポートおよび出力ポートは、一箇所にアレイ状に配列される場合に限らず、入力ポートと出力ポートとが空間的に分離して異なる箇所に配置される場合もある。
【0030】
(第2実施の形態)
図3Aおよび図3Bは、本発明の第2実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を模式的に示す図である。なお、図3Aおよび図3Bは、図1Aおよび図1Bに対応しており、図1Aおよび図1Bに示した構成要素と同一作用をなす構成要素には、同一参照符号を付して説明を省略する。
【0031】
本実施の形態に係る波長選択スイッチは、図1Aおよび図1Bに示した構成において、集光レンズ40と偏向部50との間の光路中に折り曲げミラー80を配置して、光路を底面板60f側にほぼ90度折り曲げるようにしたものである。折り曲げミラー80は、接着等により光学ベースプレート70の支持面70cに固着される。また、偏向部50は、折り曲げミラー80で反射された分散光が偏向素子51a−51eに入射するように、第1実施の形態の場合の姿勢に対してほぼ90度回転させた姿勢で、光学ベースプレート70の支持面70cに接着等により固着される。つまり、偏向部50は、偏向素子51a−51eの配列方向が底面板60fとほぼ平行となるように、光学ベースプレート70に支持される。また、偏向部50のフレキシブル基板52は、側面板60dに形成された取り出し口60hを通して外部に導出される。筺体60の内部の封止性能を保つために取り出し口60hとフレキシブル基板52の隙間は封止剤63で埋められている。
【0032】
このように、本実施の形態では、第1実施の形態の構成において、偏向部50の偏向素子51a−51eの配列方向が底面板60fとほぼ平行となるように、偏向部50を光学ベースプレート70に支持している。したがって、偏向素子51a−51eの配列方向(X方向)およびそれと直交するZ方向における偏向部50の大きさに制限がなくなるので、第1実施の形態の効果に加えて、波長分割数すなわちポート数の増加にも容易に対処することができる。
【0033】
(第3実施の形態)
図4Aおよび図4Bは、本発明の第3実施の形態に係る波長選択スイッチの要部の構成を模式的に示す図である。なお、図4Aおよび図4Bは、図1Aおよび図1Bに対応しているが、図4Aは図4Bの光学系を展開して示している。以下の説明では、図1Aおよび図1Bに示した構成要素と同一作用をなす構成要素には、同一参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
本実施の形態に係る波長選択スイッチにおいては、入力ポート10aから出射される波長分割多重された光信号(入力光)を、対応するマイクロレンズ21aにより平行光に変換した後、一次集光レンズ41により集光点Fを経て集光レンズ40に入射させる。
【0035】
集光レンズ40は、その前側焦点位置が一次集光レンズ41による入力光の集光点Fの前後近傍に位置するように配置され、集光点Fを経て入射する入力ポート10aからの入力光を分散部30に入射させる。
【0036】
分散部30は、透過型グレーティングからなる分散素子31と反射素子である折返しミラー33とを備え、分散素子31による分散光を折返しミラー33により反射させて再び分散素子31に入射させるリットマン・メトカルフ構造を有している。分散素子31は、その分散基点が集光レンズ40の後側焦点位置近傍に位置するように配置される。
【0037】
分散部30により波長分散されて射出される光は、集光レンズ40により集光され、反射プリズム81によりほぼ90度偏向されて、偏向部50の波長に対応する偏向素子51a−51eに入射される。そして、偏向素子51a−51eにより各々独立して偏向されて、反射プリズム81、集光レンズ40、分散部30、集光レンズ40および一次集光レンズ41を経て、所望の出力ポート10b−10eへ出力光として入射される。なお、図4Aは、分散部30による分散光の1つが出力ポート10cに入射される場合を例示しており、図4Bは、分散部30により3つの波長に分散された場合を例示している。
【0038】
上記構成において、入出力ポート10およびマイクロレンズアレイ20は、第1実施の形態と同様に入出力ユニット基板12にユニット化されて、光学ベースプレート70の支持面70dの一端部に支持される。一次集光レンズ41および集光レンズ40は、各々の光軸が支持面70dとほぼ平行となるように、光学ベースプレート70の支持面70dに接着等により固定される。
【0039】
分散部30を構成する分散素子31は、光学ベースプレート70の支持面70dの他端部に、支持面70cからほぼ垂直に延在する先端部の支持面70eに支持される。また、折返しミラー33は、光学ベースプレート70の支持面70dに支持される。分散素子31は、光学ベースプレート70の支持面70dに接着等により固定される。同様に、折返しミラー33は、接着等により支持面70dに固定される。
【0040】
反射プリズム81および偏向部50は、一次集光レンズ41と集光レンズ40との間において、光学ベースプレート70の支持面70dからほぼ垂直に突出して形成された支持部71の支持面71aにそれぞれ接着等により固定されて、光学ベースプレート70に支持される。なお、支持部71は、一次集光レンズ41による一次集光点またはその近傍の光路を横切るように光学ベースプレート70に形成されており、入出力ポート10に対する入力光および出力光が透過する部分には、光透過部としての開口部71bが形成されている。
【0041】
そして、光学ベースプレート70は、第1実施の形態と同様に、投影面積の最も大きい上面板60bや底面板60fに対して、支持面70d、70e、71aが交差するように、好ましくは直交するように、背面板60eに設けられた支持台61に、ビス62により取り付けられる。なお、図4Aは、入出力ポート10と反射プリズム81との間で、入力光および出力光が作用する光学要素をZ方向に直線状に展開して図示している。
【0042】
本実施の形態によると、光学ベースプレート70を背面板60eに取り付けるので、上記実施の形態と同様に、筐体60の高さ(厚さ)を大きくすることなく、光学ベースプレート70の必要な厚さを容易に確保することができるので、筐体60を容易に薄型化することが可能となる。
【0043】
また、本実施の形態において、入力ポート10aからの入力光は、一次集光レンズ41および集光レンズ40を経てリットマン・メトカルフ構造を有する分散部30で波長分散された後、反射プリズム81を経て偏向部50で偏向される。そして、偏向された光は、反射プリズム81、分散部30、集光レンズ40および一次集光レンズ41を経て出力ポート10cから出力される。しかも、反射プリズム81および偏向部50を支持する支持部71は、一次集光レンズ41による一次集光点またはその近傍の光路を横切る位置に配置されているので、入力光および出力光を透過させる開口部71bを小さくでき、その結果、支持部71自体を小さくできる。したがって、全体としてコンパクトな構成でありながら、分散光路中での分散光の空間的な広がり幅を大きくできて、出力光のS/Nの向上、クロストークの低減が図れる。
【0044】
また、偏向部50は、その偏向素子51a−51eの配列方向が底面板60fとほぼ平行となるように支持部71に支持されるので、第2実施の形態と同様に、波長分割数すなわちポート数の増加にも容易に対処することができる。
【0045】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、第3実施の形態において、反射プリズム81を省略して、分散部30で波長分散された光を直接、偏向部50で偏向するように、偏向部50を支持部71に支持することもできる。また、支持部71に形成する開口部71bは、各種の孔形状であってもよいし、筐体60の上面板60b側あるいは底面板60f側が開放された切り欠き形状であってもよい。
【0046】
また、開口部71bは、入力光および出力光を透過させればよいので、支持部71の全体をガラス等の透明部材で形成することもできる。あるいは、図4に示すように、光学ベースプレート70の一端部にブロック状の支柱72を形成し、その正面側支持面72aに、入出力ポート10およびマイクロレンズアレイ20をユニット化した入出力ユニット基板12を取り付け、側面側支持面72bに反射プリズム81および偏向部50(図示せず)、あるいは偏向部50のみを取り付けて、入力光および出力光の光路を支柱72から離れて設定することもできる。
【0047】
さらに、分散部30および集光レンズ40は、他の光学部品と比較して部品の投影面積が比較的大きく、かつ部品のレイアウトが制約されるので、少なくとも分散部30および集光レンズ40を背面板60eに取り付けられる光学ベースプレート70に支持し、他の光学部品は、例えば底面板60fに取り付けられる他の光学ベースプレートに支持するように構成することもできる。
【0048】
また、集光レンズ40は、集光作用を奏すればよく、集光ミラーや、回折型集光素子等を用いることができる。また、各実施の形態において、マイクロレンズアレイ20は、必ずしも配置されなくても構わない。また、分散部は、透過型分散素子や、リットマン・メトカルフ構造に限られず、反射型回折格子、Grism、スーパープリズム等を用いることもできる。
【符号の説明】
【0049】
10a 入力ポート
10b−10e 出力ポート
30 分散部
31 分散素子
33 折り返しミラー
40 集光レンズ
41 一次集光レンズ
50 偏向部
51a−51e 偏向素子
60 筐体
60b 上面板
60c,60d 側面板
60e 背面板
60f 底面板
61 支持台
62 ビス
63 封止剤
65 ビス
70 光学ベースプレート
70a,70b,70c、70d、70e 支持面
71 支持部
71a 支持面
71b 開口部
80 折り曲げミラー
81 反射プリズム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの入力ポートと、
該入力ポートから入射される入力光を波長分散する分散部と、
該分散部により波長分散される光を集光する集光素子と、
該集光素子により集光される光を偏向する偏向部と、
該偏向部で偏向された光を出力光として出射する少なくとも一つの出力ポートと、
少なくとも前記分散部および前記集光素子を支持する光学台と、
該光学台を収容保持する筐体と、を備え、
前記光学台は、前記分散部および前記集光素子を支持する支持面が、前記筐体の投影面積が最も大きい面に対して交差するように取り付けられている、
ことを特徴とする波長選択スイッチ。
【請求項2】
前記入力ポートおよび前記出力ポートは直線状に配列され、
前記偏向部は、前記入力ポートおよび前記出力ポートと前記集光素子との間において、前記光学台の前記支持面から突出した支持部に支持され、
前記支持部には、前記入力光および前記出力光を透過する光透過部が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の波長選択スイッチ。
【請求項3】
前記入力ポートおよび前記出力ポートと前記集光素子との間に一次集光点を形成する一次集光レンズをさらに備え、
前記支持部は、前記光透過部が前記一次集光点またはその近傍に位置するように配置され、
前記分散部、前記集光素子および前記偏向部は、
前記入力ポートからの前記入力光が、前記一次集光レンズおよび前記集光素子を経て前記分散部で分散され、該分散された光が前記集光素子を経て前記偏向部で偏向されて、前記分散部および前記集光素子を経て前記出力ポートから前記出力光として出射されるように配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の波長選択スイッチ。


【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−203112(P2012−203112A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66160(P2011−66160)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】