説明

注入デバイスにおける生成および使用に最適なプロピレングリコール含有ペプチド処方物

【課題】ペプチドを含む薬学的処方物、該処方物を調製する方法、および該処方物に含まれるペプチドの使用が示唆される疾患治療における該処方物、並びに、ペプチド処方物による注入デバイスの目詰まりを減少させる方法を提供する。
【解決手段】GLP-1受容体と結合し、かつインシュリン分泌性活性を示す任意のペプチドであるGLP-1アゴニスト、プロピレングリコール、およびリン酸水素二ナトリウム二水和物であるバッファーを含む薬学的処方物であって、前記プロピレングリコールが1mg/ml〜100mg/mlの最終濃度で前記処方物中に存在し、前記処方物が7.0〜10.0のpHを有する薬学的処方物。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、ペプチドおよびプロピレングリコールを含む薬学的処方物に関し、該処方物を調製するための方法、および該処方物に含まれるペプチドの使用が示唆される疾患および状態の治療における該処方物の使用に関する。本発明はさらに、ペプチド処方物による注入デバイスの目詰りを減少させるための方法、およびペプチド処方物の生成中における生成装置上での沈着・沈殿を減少させるための方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
ペプチド含有薬学的処方物の等張化剤の包含は広く知られており、このような処方物中で使用される一以上の共通の等張化剤は、マンニトールである。しかしながら、本発明者は、マンニトールがペプチド処方物の生成中に問題を引き起こすことを観察した。マンニトールは結晶化して生成装置内および最終生成物中において沈着・沈殿が生じる。このような沈着・沈殿は、処方物の生成中において注入装置を洗浄する必要性を増加させ、これが生成能力の低下をもたらす。さらに、粒子が残存している場合、ペプチド処方物を含むバイアル/カートリッジは処分しなければならないので、このような沈着・沈殿は、最終生成物の収量を減少させる。最後に、本発明者は、注射によって投与されるペプチド処方物において、マンニトールの存在は、注入デバイスの目詰まりを生じさせることを観察した。
【0003】
従って、ペプチド含有処方物に包含させるために、特に、注射によって投与されるペプチド処方物に包含させるために、マンニトールに代わる等張化剤を同定することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明者は、一定の濃度のプロピレングリコールを含むペプチド処方物が、生成装置内および最終生成物中における沈着を減少させ、また、注入デバイスの目詰りを減少させることを発見した。本発明の組成物は、任意のペプチドで処方され得、また、身体的および化学的に安定であるので、貯蔵安定性があり、侵襲性の投与手段(例えば、注射、皮下注射、筋肉内注射、静脈内注射または輸液)、および非侵襲性の投与手段(例えば、経鼻、経口、経肺、経皮または経粘膜(例えば頬))に適している。
【0005】
従って、本発明は、プロピレングリコールが1〜100 mg/mlの濃度で存在し、処方物のpHが7〜10である、ペプチドおよびプロピレングリコールを含む薬学的処方物に関する。好ましい実施態様において、本発明の薬学的処方物は、さらにバッファーおよび防腐剤を含む。
【0006】
本発明はまた、本発明の薬学的処方物を生成するための方法に関する。
【0007】
一つの実施態様において、ペプチド処方物を調製するための方法は、
a)防腐剤、プロピレングリコールおよびバッファーを水中に溶解させることによって第一の溶液を調製し;
b)ペプチドを水中に溶解させることによって第二の溶液を調製し;
c)第一および第二の溶液を混合し; および
d)c)中の混合液のpHを所望のpHに調整する
ことを含む。
【0008】
他の実施態様において、ペプチド処方物を調製するための方法は、
a)防腐剤およびバッファーを水中に溶解させることによって第一の溶液を調製し;
b)第一の溶液にプロピレングリコールを加え;
c)第一の溶液と水中に溶解したペプチドを含む第二の溶液とを混合し; および
d)c)中の混合液のpHを所望のpHに調整する
ことを含む。
【0009】
さらに他の実施態様において、ペプチド処方物を調製するための方法は、
a)防腐剤、バッファーおよびプロピレングリコールを水中に溶解させることによって溶液を調製し;
b)工程a)の溶液にペプチドを加え; および
c)工程b)の溶液のpHを所望のpHに調整する
ことを含む。
【0010】
本発明はさらに、本発明の薬学的処方物を使用する治療方法に関し、組成物が、該処方物に含まれるペプチドの使用が示唆される疾患、状態、または障害に効くように有効量で投与される。さらに、本発明はまた、ペプチド処方物の生成中における生成装置上での沈着を減少させる方法に関する。該方法は、前記処方物において以前から使用されている等張化剤を1〜100 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換することを含む。
【0011】
一つの実施態様において、以前から使用されている等張化剤を含む処方物で観察された沈着と比較した、プロピレングリコール含有処方物による生成中の生成装置上での沈着の減少は、模擬注入実験によって測定される。
【0012】
本発明はまた、ペプチド処方物の生成中の最終生成物における沈着を減少させるための方法に関する。該方法は、前記処方物において以前から使用されている等張化剤を1〜100 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換することを含む。
【0013】
一つの実施態様において、最終生成物における沈着の減少は、沈着が原因で処分しなければならない以前から使用されている等張化剤を含む処方物のバイアルおよび/またはカートリッジの数と比較した、沈着が原因で処分しなければならないプロピレングリコール含有処方物のバイアルおよび/またはカートリッジの数の減少によって測定される。
【0014】
本発明はさらに、ペプチド処方物によって注入デバイスの目詰りを減少させるための方法に関する。該方法は、前記処方物において以前から使用されている等張化剤を1〜100 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換することを含む。
【0015】
一態様において、以前から使用されている等張化剤を含む処方物で観察される目詰まりと比較した、プロピレングリコール含有処方物による注入デバイスの目詰りの減少は、模擬使用研究において測定される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、顕微鏡スライド上の乾燥した液滴の写真を示す。左端から右端に向かって、等張化剤を含まない(すなわち水、防腐剤およびバッファーのみ)プラセボ(ペプチドなし)処方物、等張化剤としてマンニトール、ソルビトール、キシリトール、スクロースまたはグリセロールを含むプラセボ処方物、そして右端のスライドは、マンニトールを含むペプチドArg34, Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)処方物である。
【図2】図2は、光学顕微鏡写真を示す。左端から右端に向かって、等張化剤としてマンニトール、アルギニン、イノシトールまたはグリセロールを含むプラセボ処方物の幾つかの乾燥した液滴を示す。
【図3】図3は、等張化剤としてミオイノシトール、マルトースまたはグリセロールを含むプラセボ処方物が投与された目詰りが起きた針の光学顕微鏡観察の写真を示す。
【図4】図4は、等張化剤としてグリシン、ラクトースまたはマンニトールを含むプラセボ処方物が投与された針上の沈着の光学顕微鏡観察の写真を示す。
【図5】図5は、ミオイノシトールを含むArg34,Lys26(NE-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)溶媒が模擬注入された24時間後の注入装置を示す。
【図6】図6は、マンニトール含有プラセボ処方物が模擬注入された24時間後の注入装置上の沈着を示す。
【図7】図7は、マンニトール(上パネル)およびプロピレングリコール(下パネル)含有Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)処方物が投与された針上の沈着を示す。
【発明の説明】
【0017】
本発明は、ペプチドまたはペプチドの混合物とプロピレングリコールを含む薬学的処方物に関する。処方物中のプロピレングリコールの最終濃度は1〜100mg/mlであり、該処方物のpHは、7〜10の範囲内にある。
【0018】
本発明の薬学的処方物は、生成・生産にとって最適であることが解る。該処方物は、本明細書の例に記載された模擬注入研究によって測定されたときに、他の等張化剤を含む処方物と比較して、生成装置における沈着を減少させるからである。さらに、本発明の薬学的処方物は、注入デバイスにおける使用にとって最適であることが解る。該処方物は、本明細書の例に記載された模擬使用研究によって測定されたときに、他の等張化剤を含む処方物と比較して、注入デバイスの目詰りを減少させるからである。
【0019】
本発明の処方物は、任意のペプチドで処方され得る。該ペプチドの例には、グルカゴン、ヒト成長ホルモン(hGH)、インシュリン、アプロチニン、因子VII、組織プラスミノーゲン活性因子(TPA)、因子Vlla、FFR-因子Vlla、ヘパリナーゼ、ACTH、ヘパリン結合性タンパク質、コルチコトロピン放出因子、アンジオテンシン、カルシトニン、グルカゴン様ペプチド-1、グルカゴン様ペプチド-2、インシュリン様成長因子-1、インシュリン様成長因子-2、線維芽細胞成長因子、胃抑制性ペプチド、成長ホルモン放出因子、下垂体アデニレートシクラーゼ活性ペプチド、セクレチン、エンテロガストリン、ソマトスタチン、ソマトメジン、副甲状腺ホルモン、トロンボポエチン、エリスロポイエチン、視床下部再放出因子、プロラクチン、甲状腺刺激ホルモン、エンドルフィン、エンケファリン、バソプレッシン、オキシトシン、オピオイド、DPP IV、インターロイキン、免疫グロブリン、補体阻害体、セリンプロテアーゼ、サイトカイン、サイトカイン受容体、PDGF、腫瘍壊死因子、腫瘍壊死因子受容体、成長因子およびその類似体、ならびにこれらの誘導体が含まれるがこれらに限定されない。これらのペプチドの各々が本発明の代替の実施態様を構成する。
【0020】
本出願において、用語「類似体」は、親ペプチドの一以上のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基によって置換されているペプチドおよび/または親ペプチドの一以上のアミノ酸残基が欠失しているペプチドおよび/または一以上のアミノ酸残基が親ペプチドに付加されているペプチドを表わすのに使用される。このような付加は、親ペプチドのN-末端の終端またはC-末端の終端のいずれかまたは両方で行われ得る。典型的には「類似体」は、6以下のアミノ酸が置換および/または付加され、および/または親ペプチドから欠失したペプチド、より好ましくは3以下のアミノ酸が置換および/または付加され、および/または親ペプチドから欠失したペプチド、最も好ましくは、一つのアミノ酸が、置換および/または付加され、および/または親ペプチドから欠失したペプチドである。
【0021】
本出願において、「誘導体」は、有機置換基(例えばエステル、アルキルまたは親油性官能基)をペプチドまたはその類似体の一以上のアミノ酸残基上に導入することによって化学的に置換されたペプチドまたはその類似体を表わすのに使用される。
【0022】
一態様において、本発明の処方物中に含まれるペプチドは、GLP-1アゴニストである。ここで「GLP-1アゴニスト」は、ヒトGLP-1受容体を完全または一部活性化させる任意のペプチドをいうものと理解される。好ましい実施態様において、「GLP-1アゴニスト」は、GLP-1受容体と結合し、かつインシュリン分泌性活性を示す任意のペプチドである。好ましくは、アフィニティー定数(KD)または作用強度(EC50)が、当業者に知られた方法(例えばWO 98/08871を参照)によって測定されたときに1μM未満、例えば100 nM未満である。また、インシュリン分泌性活性は、当業者に知られたインビボまたはインビトロ試験において測定され得る。例えば、GLP-1アゴニストを動物に投与し、経時的にインシュリン濃度を測定する。
【0023】
GLP-1アゴニストを同定する方法は、WO 93/19175 (Novo Nord- iskA/S)に記載されており、本発明に従って使用され得る適切なGLP-1類似体および誘導体の例には、WO 99/43705 (Novo Nordisk A/S), WO 99/43706 (Novo Nordisk A/S), WO 99/43707 (Novo Nordisk A/S), WO 98/08871(親油性置換基を含む類似体)およびWO 02/46227 (血清アルブミンまたは免疫グロブリンのFc部分と融合した類似体)(Novo Nordisk A/S), WO 99/43708 (Novo NordiskA/S), WO 99/43341 (Novo Nordisk A/S), WO 87/06941 (The General Hospital Corporation), WO 90/11296 (The General Hospital Corporation), WO 91/11457 (Buckley etal.), WO 98/43658 (Eli Lilly & Co.), EP 0708179-A2 (Eli Lilly & Co.), EP 0699686-A2 (Eli Lilly & Co.), WO 01/98331(Eli Lilly & Co)において言及されたものが含まれる。
【0024】
一つの実施態様において、GLP-1アゴニストは、GLP-1(7-36)-アミド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)-アミド類似体、GLP-1(7-37)類似体、またはこれらの任意の誘導体からなる群から選択される。
【0025】
一つの実施態様において、GLP-1アゴニストは、親油性置換基を含む、GLP-1(7-36)-アミド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)-アミド類似体またはGLP-1(7-37)類似体の誘導体である。
【0026】
本発明のこの実施態様において、GLP-1誘導体は、親ペプチドに対して、好ましくは三つの親油性置換基、より好ましくは二つの親油性置換基、および最も好ましくは一つの親油性置換基が結合している(すなわち、GLP-1(7-36)-アミド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)-アミド類似体またはGLP-1(7-37)類似体)。各親油性置換基は、4〜40炭素原子、より好ましくは8〜30炭素原子、さらにより好ましくは8〜25炭素原子、さらにより好ましくは12〜25炭素原子、および最も好ましくは14〜18炭素原子を有する。
【0027】
一つの実施態様において、親油性置換基は、部分的または完全に水素付加されたシクロペンタノフェナトレン骨格を含む。
【0028】
他の実施態様において、親油性置換基は、直鎖または枝分かれしたアルキル基である。
【0029】
さらに他の実施態様において、親油性置換基は、直鎖または枝分かれした脂肪酸のアシル基である。好ましくは、親油性置換基は、式CH3(CH2)nCO-のアシル基である(式中、nは、4〜38の整数、好ましくは12〜38の整数、最も好ましくは、CH3(CH2)12CO-, CH3(CH2)14CO-, CH3(CH2)16CO-, CH3(CH2)18CO-, CH3(CH2)20CO-およびCH3(CH2)22CO-である)。さらに好ましい実施態様において、親油性置換基はテトラデカノイルである。最も好ましい実施態様において、親油性置換基はヘキサデカノイルである。
【0030】
本発明のさらなる実施態様において、親油性置換基は、カルボン酸基のような負に帯電している基である。例えば、親油性置換基は、式HOOC(CH2)mCO-の直鎖または枝分かれしたアルカンα,ω-ジカルボン酸のアシル基である(式中、mは4〜38の整数、好ましくは12〜38の整数、最も好ましくは、HOOC(CH2)14CO-, HOOC(CH2)16CO-, HOOC(CH2)18CO-, HOOC(CH2)20CO-またはHOOC(CH2)22CO-である)。
【0031】
本発明のGLP-1誘導体において、親油性置換基には、親GLP-1ペプチドのアミノ酸の以下の官能基のうちの一つと結合し得る官能基が含まれる:
(a)N-末端アミノ酸のα-炭素と結合したアミノ基、
(b)C-末端アミノ酸のα-炭素と結合したカルボキシ基、
(c)任意のLys残基のε-アミノ基、
(d)任意のAspおよびGlu残基のR基のカルボキシ基、
(e)任意のTyr, SerおよびThr残基のR基のヒドロキシ基、
(f)任意のTrp, Asn, Gln, ArgおよびHis残基のR基のアミノ基、または
(g)任意のCys残基のR基のチオール基。
【0032】
一つの実施態様において、親油性置換基は、任意のAspおよびGlu残基のR基のカルボキシ基に結合する。
【0033】
他の実施態様において、親油性置換基は、C-末端アミノ酸のα-炭素と結合したカルボキシ基に結合する。
【0034】
最も好ましい実施態様において、親油性置換基は、任意のLys残基のε-アミノ基に結合する。
【0035】
本発明の好ましい実施態様において、親油性置換基は、スペーサーによって親GLP-1ペプチドに結合し得る。スペーサーは、少なくとも二つの官能基を含む必要がある。一つは親油性置換基の官能基と結合し、もう一つは親GLP-1ペプチドの官能基と結合する。
【0036】
一つの実施態様において、スペーサーは、CysまたはMetを除くアミノ酸残基、またはGly-Lysのようなジペプチである。本発明の目的のために、用語「Gly-Lysのようなジペプチド」とは、CysまたはMetを除く二つのアミノ酸の任意の組み合わせを意味する。ここで、C-末端アミノ酸残基は、Lys, HisまたはTrp, 好ましくはLysであり、N-末端アミノ酸残基は、Ala, Arg, Asp, Asn, Gly, Glu, Gln, Ile, Leu, Val, Phe, Pro, Ser, Tyr, Thr, Lys, HisおよびTrpである。好ましくは、親ペプチドのアミノ基は、アミノ酸残基またはジペプチドスペーサーのカルボキシル基とアミド結合を形成し、アミノ酸残基またはジペプチドスペーサーのアミノ基が親油性置換基のカルボキシ基とアミド結合を形成する。
【0037】
好ましいスペーサーは、リシル、グルタミル、アスパラギル、グリシル、β-アラニルおよびγ-アミノブタノイル、これらの各々が個々の実施態様を構成する。最も好ましいスペーサーは、グルタミルおよびβ-アラニルである。スペーサーがLys, GluまたはAspであるとき、そのカルボキシル基は、アミノ酸残基のアミノ基とアミド結合を形成する。そのアミノ基は、親油性置換基のカルボキシル基とアミド結合を形成する。Lysがスペーサーとして使用されるとき、さらなるスペーサーが、ある場合においてLysのε-アミノ基と親油性置換基との間に挿入され得る。一つの実施態様において、このようなさらなるスペーサーは、Lysのε-アミノ基および親油性置換基中に存在するアミノ基と、アミド結合を形成するコハク酸である。他の態様において、このようなさらなるスペーサーは、Lysのε-アミノ基とアミド結合を形成し、かつ親油性置換基内に存在するカルボキシル基と他のアミド結合を形成するGluまたはAspである。すなわち、親油性置換基はNε-アシル化リシン残基である。
【0038】
他の実施態様において、スペーサーは、1〜7メチレン基を有する枝分かれしていないアルカンα,ω-ジカルボン酸基である。スペーサーは、親ペプチドのアミノ基と親油性置換基のアミノ基との間に架橋を形成する。好ましくは、スペーサーはコハク酸である。
【0039】
さらなる実施態様において、スペーサーが結合した親油性置換基は、式CH3(CH2)pNH-CO(CH2)qCO-の基である(式中、pは8〜33の整数、好ましくは12〜28の整数であり、qは1〜6の整数、好ましくは2である)。
【0040】
さらなる実施態様において、スペーサーが結合した親油性置換基は、式CH3(CH2)rCO-NHCH(COOH)(CH2)2CO-の基である(式中、rは4〜24の整数、好ましくは10〜24の整数である)。
【0041】
さらなる実施態様において、スペーサーが結合した親油性置換基は、式CH3(CH2)sCO-NHCH((CH2)2COOH)CO-の基である(式中、sは4〜24の整数、好ましくは10〜24の整数である)。
【0042】
さらなる実施態様において、親油性置換基は、式COOH(CH2)tCO-の基である(式中、tは6〜24の整数である)。
【0043】
さらなる実施態様において、スペーサーが結合した親油性置換基は、式-NHCH (COOH)(CH2)4NH-CO(CH2)uCH3の基である(式中、uは8〜18の整数である)。
【0044】
さらなる実施態様において、スペーサーが結合した親油性置換基は、式CH3(CH2)VCO-NH-(CH2)z-COの基である(式中、vは4〜24の整数であり、zは1〜6の整数である)。
【0045】
さらなる実施態様において、スペーサーが結合した親油性置換基は、式-NHCH (COOH)(CH2)4NH-COCH((CH2)2COOH)NH-CO(CH2)WCH3の基である(式中、wは10〜16の整数である)。
【0046】
さらなる実施態様において、スペーサーが結合した親油性置換基は、式-NHCH(COOH)(CH2)4NH-CO(CH2)2CH(COOH)NHCO(CH2)xCH3の基である(式中、xは0または1〜22の整数、好ましくは10〜16の整数である)。
【0047】
さらに他の実施態様において、GLP-1アゴニストは、Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサド-カノイル)))-GLP-1(7-37)である。
さらに他の実施態様において、GLP-1アゴニストは、Gly8-GLP-1(7-36)-アミド、Gly8-GLP-1(7-37)、Val8-GLP-1(7-36)-アミド、Val8-GLP-1(7-37)、Val8Asp22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Asp22-GLP-1(7-37)、Val8Glu22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Glu22-GLP-1(7-37)、Val8Lys22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Lys22-GLP-1(7-37)、Val8Arg22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Arg22-GLP-1(7-37),Val8His22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8His22-GLP-1(7-37)、これらの類似体およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択される。
【0048】
さらに他の実施態様において、GLP-1アゴニストは、Arg26-GLP-1(7-37); Arg34-GLP-1(7-37); Lys36-GLP-1(7-37); Arg26,34Lys36-GLP-1(7-37); Arg26,34-GLP-1(7-37); Arg26,34Lys40-GLP-1(7-37); Arg26Lys36-GLP-1(7-37); Arg34Lys36-GLP-1(7-37); Val8Arg22-GLP-1(7-37); Met8Arg22-GLP-1(7-37); Gly8His22-GLP-1(7-37); Val8His22-GLP-1(7-37); Met8His22-GLP-1(7-37); His37-GLP-1(7-37); Gly8-GLP-1(7-37); Val8-GLP-1(7-37); Met8-GLP-1(7-37); Gly8Asp22-GLP-1(7-37); Val8Asp22-GLP-1(7-37); Met8Asp22-GLP-1(7-37); Gly8Glu22-GLP-1(7-37); Val8Glu22-GLP-1(7-37); Met8Glu22-GLP-1(7-37); Gly8Lys22-GLP-1(7-37); Val8Lys22-GLP-1(7-37); Met8Lys22-GLP-1(7-37); Gly8Arg22-GLP-1(7-37); Val8Lys22His37-GLP-1(7-37); Gly8Glu22His37-GLP-1(7-37); Val8Glu22His37-GLP-1(7-37); Met8Glu22His37-GLP-1(7-37); Gly8Lys22His37-GLP-1(7-37); Met8Lys22His37-GLP-1(7-37); Gly8Arg22His37-GLP-1(7-37); Val8Arg22His37-GLP-1(7-37);Met8Arg22His37-GLP-1(7-37); Gly8His22His37-GLP-1(7-37); Val8His22His37-GLP-1(7-37); Met8His22His37-GLP-1(7-37); Gly8His37-GLP-1(7-37); Val8His37-GLP-1(7-37); Met8His37-GLP-1(7-37); Gly8Asp22His37-GLP-1(7-37); Val8Asp22His37-GLP-1(7-37); Met8Asp22His37-GLP-1(7-37); Arg26-GLP-1(7-36)-アミド; Arg34-GLP-1(7-36)-アミド; Lys36-GLP-1(7-36)-アミド; Arg26,34Lys36-GLP-1(7-36)-アミド; Arg26,34-GLP-1(7-36)-アミド; Arg26,34Lys40-GLP-1(7-36)-アミド; Arg26Lys36-GLP-1(7-36)-アミド ; Arg34Lys36-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8-GLP-1(7-36)-アミド; Val8-GLP-1(7-36)-アミド; Met8-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Asp22-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Glu22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Asp22-GLP-1(7-36)-アミド ;Met8Asp22-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Glu22-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Glu22-GLP-1(7-36)-アミド; Met8Glu22-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Lys22-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Lys22-GLP-1(7-36)-アミド ; Met8Lys22-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8His22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Arg22-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Arg22-GLP-1(7-36)-アミド; Met8Arg22-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8His22-GLP-1(7-36)-アミド; Val8His22-GLP-1(7-36)-アミド; Met8His22-GLP-1(7-36)-アミド; His37-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Arg22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Met8Arg22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8His37-GLP-1(7-36)-アミド; Val8His37-GLP-1(7-36)-アミド; Met8His37-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Asp22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Asp22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Met8Asp22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Glu22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Met8Glu22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Lys22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Val8Lys22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Met8Lys22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Gly8Arg22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Val8His22His37-GLP-1(7-36)-アミド; Met8His22His37-GLP-1(7-36)-アミド; およびこれらの誘導体からなる群から選択される。
【0049】
さらなる他の実施態様において、GLP-1アゴニストは、Val8Trp19Glu22-GLP-1(7-37)、Val8Glu22Val25-GLP-1(7-37)、Val8Tyr16Glu22-GLP-1(7-37)、Val8Trp16Glu22-GLP-1(7-37)、Val8Leu16Glu22-GLP-1(7-37)、Val8Tyr18Glu22-GLP-1(7-37)、Val8Glu22His37-GLP-1(7-37)、Val8Glu22Ile33-GLP-1(7-37)、Val8Trp16Glu22Val2511e33-GLP-1(7-37)、Val8Trp16Glu2211e33-GLP-1(7-37)、Val8Glu22Val2511e33-GLP-1(7-37)、Val8Trp16Glu22Val25-GLP-1(7-37)、これらの類似体およびこれらの任意の誘導体からなる群から選択される。
【0050】
さらに他の実施態様において、GLP-1アゴニストは、エキセンジン-4またはエキセンジン-3、エキセンジン-4またはエキセンジン-3類似体またはこれらの任意の誘導体である。
【0051】
エキセンジン、および本発明の範囲内に含まれるその類似体、誘導体、および断片の例は、WO 97/46584, US 5,424,286およびWO 01/04156に開示されたものである。US 5,424, 286には、エキセンジンポリペプチドでインシュリンの放出を刺激する方法が開示されている。開示されたエキセンジンポリペプチドには、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRL-FIEWLKNGGX(式中、X = PまたはY)と、HX1X2GTFITSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPPS(式中、X1X2 = SD (エキセンジン-3)またはGE(エキセンジン-4))が含まれる。WO 97/46584には、切断された態様のエキセンジンペプチドが記載されている。開示されたペプチドには、インシュリンの分泌および生合成を増加させるが、グルカゴンの分泌および生合成を減少させる。WO 01/04156には、エキセンジン-4類似体および誘導体ならびにこれらの分子の製剤が記載されている。血清アルブミンまたは免疫グロブリンのFc部位との融合によって安定化されたエキセンジン-4類似体がWO 02/46227に開示されている。
【0052】
一つの実施態様において、エキセンジン-4類似体は、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRL-FIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK-アミドである。
【0053】
本発明の処方物に含まれるペプチドがGLP-1アゴニストである場合、GLP-1アゴニストは、約0.1 mg/ml〜約100mg/mlの濃度、より好ましくは約0.1mg/ml〜約50 mg/mlの濃度、最も好ましくは約0.1mg/ml〜約10 mg/mlの濃度で存在する。
【0054】
他の実施態様において、本発明の処方物に含まれるペプチドは、インシュリンである。ここで、インシュリンは、ヒトインシュリン [ヒトインシュリンは、DSHW Nicol and LF Smith: Nature, (1960) 4736: 483-485に示されたアミノ酸配列をもつインシュリンを意味する(参照によって本明細書中に組み込まれる)]、ヒトインシュリン類似体、ヒトインシュリン誘導体またはこれらの混合物を意味するものと理解される。 インシュリン類似体および誘導体の例は、EP 0 792 290 (Novo Nordisk A/S)、EP 0 214 826およびEP 0 705 275 (Novo Nordisk A/S)、US 5,504,188(Eli Lilly)、EP 0368 187 (Aventis)、US patents 5,750,497および6,011,007、EP 375437およびEP 383472に開示されたものである。このようなインシュリンには、NPHインシュリン、Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリン、LysB29-(Nε-(γ-グルタミル-Nα-リトコリル)des(B30)ヒトインシュリン、N B29-オクタノイルインシュリン、即効性インシュリン亜鉛(SemiLente(登録商標))と遅延性インシュリン亜鉛(Ultralente(登録商標))の30/70混合物、Lente(登録商標)、インシュリングラルギン(Lantus(登録商標))、遅延性インシュリン亜鉛(Ultralente(登録商標))、LysB28ProB29ヒトインシュリン(Humalog(登録商標))、AspB28ヒトインシュリン、インシュリンアスパート(insulin aspart)(Novolog(登録商標))、またはインシュリンアスパートとインシュリンアスパートプロタミン(NovoMix(登録商標))の30/70混合物が含まれるがこれらに限定されない。
【0055】
一つの実施態様において、インシュリンは、ヒトインシュリンの誘導体またはヒトインシュリンの類似体であり、該誘導体は少なくとも一つのリシン残基を含み、親油性置換基が、リシン残基のε-アミノ基と結合する。
【0056】
一つの実施態様において、親油性置換基が結合するリシン残基は、インシュリンペプチドの位置B28に存在する。
【0057】
代替の実施態様において、親油性置換基が結合するリシン残基は、インシュリンペプチドの位置B29に存在する。
【0058】
さらに他の実施態様において、親油性置換基は、少なくとも6炭素原子を有するカルボン酸に相当するアシル基である。
【0059】
他の好ましい実施態様において、親油性置換基は、炭素原子8〜24原子長の鎖を有するカルボン酸に相当する、枝分かれしたまたは枝分かれしていないアシル基である。
【0060】
他の好ましい実施態様において、親油性置換基は、少なくとも6炭素原子を有する脂肪酸に相当するアシル基である。
【0061】
他の好ましい実施態様において、親油性置換基は、6〜24炭素原子を有する直鎖状の飽和したカルボン酸に相当するアシル基である。
【0062】
他の好ましい実施態様において、親油性置換基は、8〜12炭素原子を有する直鎖状の飽和したカルボン酸に相当するアシル基である。
【0063】
他の好ましい実施態様において、親油性置換基は、10〜16炭素原子を有する直鎖状の飽和したカルボン酸に相当するアシル基である。
【0064】
他の好ましい実施態様において、親油性置換基は、10まで、好ましくは5までのオキシエチレン単位を含むオリゴオキシエチレン基である。
【0065】
他の好ましい実施態様において、親油性置換基は、10まで、好ましくは5までのオキシプロピレン単位を含むオリゴオキシプロピレン基である。
【0066】
一つの好ましい実施態様において、本発明は、B30アミノ酸残基が欠失したヒトインシュリン誘導体、またはB30アミノ酸残基が遺伝子コードによってコードされ得る任意のアミノ酸残基(Lys, ArgおよびCysを除く)であるヒトインシュリン誘導体に関する。ここで、A21およびB3アミノ酸残基は、それぞれ独立して遺伝子コードによってコードされ得る任意のアミノ酸残基(Lys, ArgおよびCysを除く)である。さらに、PheB1は欠失していてもよい。さらに、LysB29のアミノ基は、少なくとも6炭素原子を含む親油性置換基を有する。さらに、2〜4 Zn2+イオンが、各インシュリン六量体に結合していてもよい(但し、B30はThrまたはAlaであり、A21およびB3は共にAsnであり、PheB1が欠失していてもよい)。さらに、2〜4 Zn2+イオンが、インシュリン誘導体の各六量体に結合していてもよい。
【0067】
他の好ましい実施態様において、本発明は、B30アミノ酸残基が欠失したヒトインシュリン誘導体、またはB30アミノ酸残基が遺伝子コードによってコードされ得る任意のアミノ酸残基(Lys, ArgおよびCysを除く)であるヒトインシュリン誘導体に関する。ここで、A21およびB3アミノ酸残基は、それぞれ独立して遺伝子コードによってコードされ得る任意のアミノ酸残基(Lys, ArgおよびCysを除く)である(但し、B30アミノ酸残基がAlaまたはThrである場合、残基A21およびB3のうち少なくとも一つはAsnとは異なる)。PheB1は欠失していてもよい。さらに、LysB29のアミノ基が、少なくとも6炭素原子を含む親油性置換基である。
【0068】
他の好ましい実施態様において、本発明は、B30アミノ酸残基が欠失したヒトインシュリン誘導体、またはB30アミノ酸残基が遺伝子コードによってコードされ得る任意のアミノ酸残基(Lys, ArgおよびCysを除く)であるヒトインシュリン誘導体に関する。ここで、A21およびB3アミノ酸残基は、それぞれ独立して遺伝子コードによってコードされ得る任意のアミノ酸残基(Lys, ArgおよびCysを除く)である。PheB1は欠失していてもよい。さらに、LysB29のアミノ基が、少なくとも6炭素原子を含む親油性置換基を有し、2〜4 Zn2+イオンが、各インシュリン六量体に結合している。
【0069】
本発明の処方物中に含まれるペプチドがインシュリンである場合、インシュリンは、約0.5 mg/ml〜約20 mg/mlの濃度、より好ましくは約1 mg/ml〜約15 mg/mlの濃度で存在する。
【0070】
他の実施態様において、本発明の処方物中に含まれるペプチドは、hGHまたはMet-hGHである。
【0071】
本発明の処方物中に含まれるペプチドがhGHまたはMet-hGHである場合、hGHまたはMet-hGHは、約0.5mg/ml〜約50mg/mlの濃度、より好ましくは約1 mg/ml〜約10 mg/mlの濃度で存在する。
【0072】
さらに他の実施態様において、本発明の処方物に含まれるペプチドは、GLP-2または類似体またはこれらの誘導体である。
【0073】
本発明の処方物に含まれるペプチドがGLP-2またはその類似体または誘導体である場合、GLP-2またはその類似体または誘導体は、約1mg/ml〜約100 mg/mlの濃度、より好ましくは約1 mg/ml〜約10 mg/mlの濃度で存在する。
【0074】
さらなる実施態様において、本発明の処方物に含まれるペプチドは、因子VIIまたは因子VIIaまたはその類似体または誘導体である。
【0075】
本発明の処方物に含まれるペプチドが因子VIIまたは因子VIIaまたはその類似体または誘導体である場合、因子VIIまたは因子VIIaまたはその類似体または誘導体は、約0.1mg/ml〜約10 mg/mlの濃度、より好ましくは約0.5 mg/ml〜約5 mg/mlの濃度で存在する。
【0076】
一つの実施態様において、本発明の処方物中のプロピレングリコールの最終濃度は、約1〜約50mg/mlである。
【0077】
他の実施態様において、本発明の処方物中のプロピレングリコールの最終濃度は、約5〜約25mg/mlである。
【0078】
さらに他の実施態様において、本発明の処方物中のプロピレングリコールの最終濃度は、約8〜約16 mg/mlである。
【0079】
さらなる実施態様において、本発明の処方物中のプロピレングリコールの最終濃度は、約13〜約15mg/mlである。
【0080】
さらに他の実施態様において、本発明の処方物中のプロピレングリコールの最終濃度は、約13.5〜約14.5 mg/mlである。
【0081】
本発明の他の態様において、処方物は、約7.0〜約9.5の範囲のpHを有する。用語「約」がpHと結び付けられて使用されるとき、表示された数から+または−0.1のpH単位を意味する。
【0082】
本発明のさらなる実施態様において、処方物は、約7.0〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0083】
本発明のさらなる実施態様において、処方物は、約7.2〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0084】
本発明のさらなる実施態様において、処方物は、約7.0〜約8.3の範囲のpHを有する。
【0085】
本発明のさらなる実施態様において、処方物は、約7.3〜約8.3の範囲のpHを有する。
【0086】
本発明の好ましい実施態様において、処方物には、ペプチドおよびプロピレングリコールに加えて、バッファーおよび/または防腐剤が含まれる。
【0087】
バッファーが本発明の処方物中に含まれる場合、バッファーは、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸塩、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リシン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、およびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、またはこれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定のバッファーの各々が、本発明の代替の実施態様を構成する。本発明の好ましい実施態様において、バッファーは、グリシルグリシン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはこれらの混合物である。
【0088】
薬学的に許容可能な防腐剤が、本発明の処方物に含まれてもよい。防腐剤は、フェノール、m-クレゾール、メチルp-ヒドロキシベンゾエート、プロピルp-ヒドロキシベンゾエート、2-フェノキシエタノール、ブチルp-ヒドロキシベンゾエート、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、およびチオメロサール、またはこれらの混合物からなる群から選択される。これらの特定の防腐剤の各々が、本発明の代替の実施態様を構成する。本発明の好ましい実施態様において、防腐剤はフェノールまたはm-クレゾールである。
【0089】
本発明のさらなる実施態様において、防腐剤は、約0.1 mg/ml〜約50mg/mlの濃度、より好ましくは約0.1mg/ml〜約25mg/mlの濃度、最も好ましくは約0.1 mg/ml〜約10 mg/mlの濃度で存在する。
【0090】
薬学的組成物における防腐剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy,19th edition, 1995.」を参照文献として挙げる。
【0091】
本発明のさらなる実施態様において、前記処方物には、キレート剤がさらに含まれ得る。キレート剤は、エトレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸、およびアスパラギン酸の塩、およびこれらの混合物から選択され得る。これらの特定のキレート剤の各々は、本発明の代替の実施態様を構成する。
【0092】
本発明のさらなる実施態様において、キレート剤は、0.1 mg/ml〜5 mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、キレート剤は、0.1 mg/ml〜2mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、キレート剤は、2mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。
【0093】
薬学的組成物におけるキレート剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy,19th edition, 1995.」を参照文献として挙げる。
【0094】
本発明のさらなる実施態様において、前記処方物は、高分子量のポリマーと低分子量の化合物の群から選択された安定剤をさらに含み得る。このような安定剤には、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、異なる塩(例えば、塩化ナトリウム)、L-グリシン、L-ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リシン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、トレオニンおよびこれらの混合物が含まれるがこれらに限定されない。これらの特定の安定剤の各々が、本発明の代替の実施態様を構成する。本発明の好ましい実施態様において、安定剤は、L-ヒスチジン、イミダゾールおよびアルギニンからなる群から選択される。
【0095】
本発明のさらなる実施態様において、高分子量ポリマーは、0.1 mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、高分子量ポリマーは、0.1 mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、高分子量ポリマーは、5mg/ml〜10mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、高分子量ポリマーは、0 mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、高分子量ポリマーは、20mg/ml〜30mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、高分子量ポリマーは、30mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。
【0096】
本発明のさらなる実施態様において、低分子量化合物は、0.1 mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、低分子量化合物は、0.1 mg/ml〜5mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、低分子量化合物は、5mg/ml〜10mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、低分子量化合物は、0 mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、低分子量化合物は、20mg/ml〜30mg/mlの濃度で存在する。本発明のさらなる実施態様において、低分子量化合物は、30mg/ml〜50mg/mlの濃度で存在する。
【0097】
薬学的組成物中の安定剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy,19th edition, 1995.」を参照文献として挙げる。
【0098】
本発明のさらなる実施態様において、本発明の処方物は、さらに界面活性剤を含んでもよい。界面活性剤は、洗浄剤、エトキシ化されたヒマシ油、多糖化されたグリセリド、アセチル化されたモノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポロキサマー(例えば188および407)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン誘導体、例えばアルキル化およびアルコキシ化された誘導体 (tweens、例えばTween-20またはTween-80)、モノグリセリドまたはそのエトキシ化された誘導体、ジグリセリドまたはそのポリオキシエチレン誘導体、グリセロール、コール酸またはその誘導体、レシチン、アルコールおよびリン脂質、グリセロリン脂質(レシチン、ケファリン、ホスファチジルセリン)、
グリセロ糖脂質(ガラクトピランソイド(galactopyransoide))、スフィンゴリン脂質(スフィンゴミエリン)、およびスフィンゴ糖脂質(セラミド、ガングリオシド)、DDS(ドキュセートナトリウム、ドキュセートカルシウム、ドキュセートカリウム、SDS(ドデシル硫酸ナトリウムまたはラウリル硫酸ナトリウム)、ジパイミトイルホスファチジン酸、カプリル酸ナトリウム、胆汁酸およびその塩およびグリシンまたはタウリン結合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル-3-アンモニオ-l-プロパンスルホナート、陰イオン性(アルキル-アリール-スルホネート)一価界面活性剤、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリン、リゾリン脂質(例えば、エタノールアミン、コリン、セリン、トレオニンの1-アシル-sn-グリセロ-3-リン酸エステル)、リゾホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)-誘導体、例えばリゾホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、および極性頭部基の修飾体、すなわち、コリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、トレオニン、グリセロール、イノシトール、および正に帯電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リソホスファチジルセリンおよびリソホスファチジルトレオニン、両性イオン性界面活性剤(例えば、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、3-コールアミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、ドデシルホスホコリン、ミリストイルリソホスファチジルコリン、鶏卵リソレシチン)、陽イオン性界面活性剤(四級アンモニウム塩基)(例えば、セチルトリメチルアンモニウム臭化物、セチルピリジニウム塩化物)、非イオン性界面活性剤、ポリエチレン酸化物/ポリプロピレン酸化物ブロックコポリマー(Pluronics/Tetronics, TritonX-100, ドデシルβ-D-グルコピラノシド)またはポリマー界面活性剤(Tween-40, Tween-80, Brij-35)、フシジン酸誘導体-(例えば、タウロ-ジヒドロフシジン酸ナトリウムなど)、長鎖脂肪酸およびこれらの塩C6〜C12(例えば、オレイン酸およびカプリル酸)、アシルカルニチンおよび誘導体、リシン、アルギニンまたはヒスチジンのNα-アシル化誘導体、またはリシンまたはアルギニンの側鎖がアシル化された誘導体、リシン、アルギニンまたはヒスチジンおよび中性または酸性アミノ酸の任意の組み合わせを含むジペプチドのNα-アシル化誘導体、中性アミノ酸および二つの帯電したアミノ酸の任意の組み合わせを含むトリペプチドのNα-アシル化誘導体からなる群から選択される。界面活性剤はまた、イミダゾリン誘導体またはその混合物の群から選択されてもよい。これらの特定の界面活性剤の各々が、本発明の代替の実施態様を構成する。
【0099】
薬学的組成物における界面活性剤の使用は、当業者に周知である。便宜上、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy,19th edition, 1995.」を参照文献として挙げる。
【0100】
本発明の処方物は、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 1985またはRemington: The Scienceand Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995に記載されているように、従来の技術によって調製され得る。このような薬学的産業の従来の技術は、必要に応じて成分を溶解および混合させ、所望の最終産物を与える。
【0101】
上述したように、好ましい実施形態において、本発明の処方物には、ペプチドおよびプロピレングリコール、バッファーおよび/または防腐剤がさらに含まれる。
【0102】
一つの実施態様において、このようなペプチド処方物を調製するための方法は、以下の工程を含む。
【0103】
a)防腐剤、プロピレングリコールおよびバッファーを水中に溶解させることによって第一の溶液を調製し;
b)ペプチドを水中に溶解させることによって第二の溶液を調製し;
c)第一および第二の溶液を混合し;および
d)c)の混合液のpHを所望のpHに調整する。
【0104】
他の実施態様において、このようなペプチド処方物を調製するための方法は、以下の工程を含む。
【0105】
a)防腐剤およびバッファーを水中に溶解させることによって第一の溶液を調製し;
b)プロピレングリコールを第一の溶液に加え;
c)第一の溶液を、水中に溶解したペプチドを含む第二の溶液と混合し;
d)c)の混合液のpHを所望のpHに調整する。
【0106】
さらに他の実施態様において、ペプチド処方物を調製するための方法は、以下の工程を含む。
【0107】
a)防腐剤、バッファーおよびプロピレングリコールを水中に溶解させることによって溶液を調製し;
b)ペプチドを工程a)の溶液に加え;
c)工程b)の溶液のpHを所望のpHに調整する。
【0108】
生成装置上での沈着を減少させ、注入デバイスの目詰りを減少させる本発明の処方物は、生成および注入デバイスの使用にとって最適であり、上述した生成方法は、生成における使用および/または注入デバイスにおける使用に適したペプチド処方物を生成するのに使用され得る。
【0109】
本発明の処方物は、哺乳類、好ましくはヒトに対する投与に適している。本発明の処方物の投与の経路は、処方物に含まれたペプチドを適切なまたは所望の作用部位に効率的に輸送する任意の経路でよい。例えば経口、経鼻、経頬、経肺、経皮または非経口がある。
【0110】
プロピレングリコールの能力のために、他の等張化剤(特にマンニトール)と比較したときに注入デバイスの目詰りが減少する。好ましい実施態様において、本発明の処方物は、これを必要とする患者に非経口的に投与され得る。非経口的投与は、シリンジ、任意的にはペン様シリンジによって皮下内、筋肉内または静脈内注射によって行われ得る。代わりに、非経口的投与は、輸液ポンプによって行われ得る。
【0111】
さらなるオプションは、鼻または肺スプレーの形態において処方物を投与するために粉末または液体となり得る組成物である。同じくさらなるオプションとして、処方物は、経皮的(例えば、パッチ、任意的にはイオン導入パッチまたは経粘膜、例えば経頬的)に投与され得る。本発明の処方物を投与する上述した可能な方法は、本発明の範囲を制限すると考えるべきではない。
【0112】
当然ながら、ペプチドまたは本発明の処方物中に含まれるペプチドに基づいて、処方物が、ペプチドの使用が示唆される疾患または状態の治療方法において使用され得ることが理解される。当業者は、このような治療方法を使用するとき、処方物が、状態または疾患を治療するために有効な量で投与されなければならないことを理解する。ここで、「有効量」または「有効な...量」とは、該処方物を投与しない治療と比較して有効に治療される、疾患または状態の患者の治療のために十分な投与量を意味するものと理解される。「有効量」は、所望の反応を達成するための投与量を滴定し得る正規の開業医によって決定される有効な量である。投与について考慮すべき因子には、力価、生体利用効率、薬物動態学的/薬力薬理学的プロファイル、治療対象の状態または疾患(例えば、糖尿病、肥満症、体重減少、胃潰瘍)、患者関連の因子(例えば、体重、健康状態、年齢、等)、共投与される薬物の存在(例えばインシュリン)、投与時間、または医師に知られた他の因子が含まれる。
【0113】
本発明はまた、ペプチド処方物の生成中における生成装置上での沈着を減少させる方法に関する。該方法は、前記処方物に以前から使用されている等張化剤を、1〜100mg/ml濃度のプロピレングリコールに置き換えている。
【0114】
一つの実施態様において、以前から使用されている等張化剤を含む処方物と比較した、プロピレングリコール含有処方物による生成中における生成装置上での沈着量の減少は、「例」に記載された模擬注入実験によって測定される。
【0115】
他の実施態様において、プロピレングリコールによって置換されるべき等張化剤は、ソルビトール、スクロース、グリシン、マンニトール、ラクトース一水和物、アルギニン、ミオイノシトールおよびジメチルスルホンからなる群から選択される。
【0116】
さらなる実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約1〜約50 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換される。
【0117】
他の実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約5〜約25 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換される。
【0118】
さらに他の実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約8〜約16 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換される。
【0119】
本発明の他の実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約9.5の範囲のpHを有する。
【0120】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0121】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、7.2〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0122】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約8.3の範囲のpHを有する。
【0123】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、7.3〜約8.3の範囲のpHを有する。
【0124】
本発明はまた、ペプチド処方物の生成中の最終生成物における沈着を減少させるための方法に関する。ここで、該方法は、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤を1〜100mg/ml濃度のプロピレングリコールと置換することを含む。
【0125】
一つの実施態様において、最終生成物における沈着量の減少は、沈着が原因で処分しなければならない以前から使用されている等張化剤を含む処方物のバイアルおよび/またはカートリッジの数と比較した、沈着が原因で処分しなければならないプロピレングリコール含有処方物のバイアルおよび/またはカートリッジの数の減少によって測定される。
【0126】
他の実施態様において、プロピレングリコールによって置換されるべき等張化剤は、ソルビトール、スクロース、グリシン、マンニトール、ラクトース一水和物、アルギニン、ミオイノシトールおよびジメチルスルホンからなる群から選択される。
【0127】
さらなる実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約1〜約50 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換される。
【0128】
他の実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約5〜約25 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換される。
【0129】
さらに他の実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約8〜約16mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換される。
【0130】
本発明の他の実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約9.5の範囲のpHを有する。
【0131】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0132】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.2〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0133】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約8.3の範囲のpHを有する。
【0134】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.3〜約8.3の範囲のpHを有する。
【0135】
本発明はさらに、ペプチド処方物による注入デバイスの目詰りを減少させるための方法に関する。該方法は、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤を1〜100 mg/ml濃度のプロピレングリコールと置換することを含む。
【0136】
一つの実施態様において、以前から使用されている等張化剤を含む処方物と比較したプロピレングリコール含有処方物による注入デバイスの目詰りの減少は、「例」に記載された模擬使用研究において測定される。
【0137】
他の実施態様において、プロピレングリコールによって置換されるべき等張化剤は、イノシトール、マルトース、グリシン、ラクトースおよびマンニトールからなる群から選択される。
【0138】
さらなる実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約1〜約50mg/mlの濃度のプロピレングリコールと置換される。
【0139】
他の実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約5〜約25 mg/mlの濃度のプロピレングリコールと置換される。
【0140】
さらに他の実施態様において、前記処方物中において以前から使用されている等張化剤は、約8〜約16 mg/ml濃度のプロピレングリコールと置換される。
【0141】
本発明の他の態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約9.5の範囲のpHを有する。
【0142】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.0〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0143】
本発明のさらなる実施態様において、プロピレングリコール含有処方物は、約7.2〜約8.0の範囲のpHを有する。
【0144】
本明細書中に列挙した全ての科学文献および特許は、参照によって本明細書中に組み込まれる。以下の例は、本発明の様々な側面を例証するが、その範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0145】
例1
模擬注入実験、マンニトールの置換候補群の液滴および目詰まり試験
実験室での実験は、針の目詰まりおよび針上の沈着に関して、ペプチドを含まない処方物(「プラセボ」)が0.3〜5. 0mg/mlのペプチドを含む処方物と同じ結論を与えることを示した。例1のスクリーニング研究は、他に指示がある場合を除いてプラセボを使用して行われる。
【0146】
異なる等張化剤を含む処方物の調製
防腐剤(5.5 mg/mlフェノール)およびバッファー(1.24mg/mlリン酸水素二ナトリウム、二水和物)を水中に溶解させ、等張化剤を攪拌しながら加えた。水酸化ナトリウムおよび/または塩酸を使用してpHをpH 7.9に調整した。最後に、処方物を0.22μmフィルターを通してろ過した。各処方物における試験対象の等張化剤およびその濃度を以下の表1に示す。
【表1】

【0147】
容量オスモル濃度
異なるプラセボ処方物の容量オスモル濃度を決定し、その結果を表2に示す。
【0148】
等張化液は、約0.286 osmol/Lの容量オスモル濃度を示す。表2から見てとれるように、三つの処方物(PEG400、スクロースおよびキシリトール)は、等張性(0.229〜0.343osmol/L)である濃度から20%を超えるが、これらの種類の実験について、容量オスモル濃度は結果に影響を与えないと思われるが、今後、処方物の張度を実験において調整すべきである。
【表2】

【0149】
液滴試験
各処方物の液滴を顕微鏡スライド上に静置して乾燥させた。沈着を目視および光学顕微鏡によって視覚的に調べた。
【0150】
幾つかの処方物の乾燥した液滴の写真を図1に示す。この図において、乾燥させたときにマンニトールが顕微鏡スライド上で沈着を引き起こすことがはっきりと観察される。
【0151】
ソルビトール、キシリトール、スクロースおよびグリセロールでは沈着が観察されなかった。右端(Form 1)の液滴には、マンニトールおよびArg34、Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)が含まれる。
【0152】
図2では、顕微鏡スライド上で最大の沈着を引き起こす候補を示す。比較のために、沈着を引き起こさないグリセロールを示す(マンニトール、アルギニン、イノシトール)。
【0153】
目詰まり試験
この試験では、NovoFine30(登録商標)G(G30針)を備えた10 NovoPens(登録商標)1.5mlを使用して各処方物について試験を行った。Pensystemを試験中室温で保管した。毎日沈着につて針を調べ、組織への注入前にエアショットを行った。抵抗および目詰まりの程度を記録した。注入は毎日同じ針で行った。これを全ての処方物について9日間行った。
【0154】
目詰まり試験の結果を表3に示す。
【表3】

【0155】
表3および図3において、イノシトールおよびマルトースでは針の目詰まりが観察された。比較のために、針の目詰まりを起こさないグリセロールを図3に示す。表3および図4において、グリシン、ラクトースおよびマンニトールを含む処方物が針上で大量の沈着を引き起こすことが観察された。グリシンについては、沈着は、針の下方に沈着した液滴となった。ラクトースおよびマンニトールについては、沈着は、針の頭部にできた。
【0156】
模擬注入
1Lの各処方物について24時間にわたる模擬注入実験を行った。24時間後、注入装置上の沈殿の存在について調べた。
【0157】
模擬注入研究からの結果に基づいて(データは示さず)、プラセボ処方物を3つのカテゴリーに分けることができる。 1.注入装置上で沈殿を引き起こさない等張化剤:キシリトール、グリセロール、グルコース一水和物、マルトース、PEG 400およびプロピレングリコール。 2.わずかな沈殿を引き起こすものの、マンニトールと比べて優れた注入性質をもつ等張化剤:ソルビトール、スクロースおよびグリシン。 3.マンニトールと同等またはより劣る等張化剤:マンニトール、ラクトース一水和物、アルギニン、ミオイノシトールおよびジメチルスルホン。
【0158】
結論
模擬注入実験において、キシリトール、グリセロール、グルコース、マルトース、PEG 400、プロピレングリコール、ソルビトール、スクロースおよびグリシンは、マンニトールの適切な置換候補になることが解った。しかしながら、グルコースは還元糖類であるので、処方物において望まれない分解を開始しかねず、張度修飾剤としては除外される。さらに、マルトースも針の目詰まりを起こすので除外される。従って、以下の候補が導かれる:グリセロール、キシリトール、ソルビトール、スクロース、グリシン、プロピレングリコールおよびPEG 400。これらの候補は、液滴試験、針の目詰まり試験、および模擬注入試験に関して、ペプチド処方物中のマンニトールの置換候補として適切な性質を有することが解っている。
【0159】
しかしながら、次の理由に基づいて、プロピレングリコールが他の候補を上回る等張化剤として選択され、マンニトールと直接比較してさらなる調査を行った。
【0160】
a.プロピレングリコールは、Arg34、Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)含有処方物の物理的および化学的安定性に影響を与えないことが観察された;
b.プロピレングリコールは、抗菌性防腐試験に影響を与えないことが観察された;
c.プロピレングリコールの使用について、さらなる毒性調査を行う必要がないであろうと認められた。
【0161】
例2
模擬注入研究および模擬使用研究におけるマンニトール含有プラセボ処方物とプロピレングリコール含有プラセボ処方物の比較
処方物の調製
防腐剤およびバッファーを水中で溶解し、等張化剤を攪拌しながら加えた。pHを、水酸化ナトリウムおよび/または塩酸を使用して目的のpHに調整した。最後に、処方物を0.22μmフィルターを通してろ過した。処方物の組成は以下の通りである:
リン酸水素二ナトリウム、二水和物: 1.42mg/ml
フェノール: 5.5 mg/ml
プロピレングリコールまたはマンニトール : 13.7または35.9 mg/ml
注入のための水 : 1.0mlまで
pH: 7.90
模擬注入研究
24時間にわたる模擬注入研究を例1に記載されたように行い、24時間後、注入装置上の沈殿の存在について調査した。プロピレングリコール処方物の注入装置上では沈殿は観察されなかった。比較として、24時間後、マンニトール処方物の注入装置上では大量の沈殿が観察された(図6を参照)。
【0162】
模擬使用研究
模擬使用研究について、目詰まり試験を例1に記載されたように行った。10日間毎日の研究期間にわたって同じ針を使用し、針上の沈着の存在について調べた。図7は、プロピレングリコール含有処方物(下パネル)またはマンニトール含有処方物(上パネル)を投与した針の写真を示す。マンニトールを等張化剤として使用したとき、針上の沈着は48%の場合において観察された。一方、プロピレングリコールを等張化剤として使用したとき、沈着は観察されなかった。
【0163】
例3
Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)含有処方物におけるプロピレングリコールとマンニトールの比較
処方物の調製
防腐剤、等張化剤(マンニトールまたはプロピレングリコール)およびバッファーを水中で溶解させ、pHを所望のpHに調整した。ゆっくりと攪拌しながらArg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)を水中に溶解させた。その後、二つの溶液を混合し、水酸化ナトリウムおよび/または塩酸を使用してpHを所望のpHに調整した。最後に、処方物を0.22μmフィルターを通してろ過した。処方物の組成は以下の通りである:
Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37) (6.25 mg/ml)、
リン酸水素二ナトリウム、二水和物 (1.42 mg/ml)、
フェノール(5.5 mg/ml)、
マンニトールまたはプロピレングリコール (35.9または14.0mg/ml)、
注入用の水(1.0 mlまで)、
pH:8.15。
【0164】
模擬使用研究
模擬使用研究のために、目詰まり試験をG31針を使用したことを除いて例1に記載された通りに行った。10日間毎日の研究期間にわたって同じG31針を使用し、沈着の存在について針を調べた。図7は、プロピレングリコールを投与したときの沈着のない針の写真(下パネル)と、マンニトールを投与したときの沈着のある写真(上パネル)を示す。
【0165】
マンニトール含有処方物について、針の目詰まりが、4日で10ケースのうち1ケース、5日で10ケースのうち2ケース、8日で10ケースのうち3ケース、9日で10ケースのうち4ケースにおいて観察された。対照的に、プロピレングリコール含有処方物では針の目詰まりは観察されなかった。
【0166】
上述したプロピレングリコール含有処方物で得られた結果と同様の結果が、pHを7.40、7.70または7.90に調整した場合でも得られるであろうと考えられる。さらに、試験され得る追加の処方物には、以下の組成を有する処方物が含まれる。
【0167】
バッファー物質: グリシルグリシン(1.32 mg/ml)、L-ヒスチジン(1.55 mg/ml)、Hepes(2.38 mg/ml)、またはビシン(1.63mg/ml)
防腐剤:フェノール(5.0 or 5.5mg/ml)、ベンジルアルコール(18mg/ml)またはm-クレゾールとフェノールの混合液(2.5/2.0mg/ml)
プロピレングリコール:14.0または14.3mg.ml
注入用の水:1.0mlまで
pH: 7.40, 7.70, 7.90または8.15。
【0168】
例4
針の目詰まりについてのペプチドの影響
Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)処方物を、Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)の0〜5 mg/ml範囲のペプチド濃度を使用して例3に記載された通りに調整した。処方物の濃度は以下の通りである。
【0169】
Liraglutide:0, 0.3, 3および5 mg/ml
リン酸水素二ナトリウム、二水和物:0.71mg/ml
リン酸二水素ナトリウム、二水和物:0.62 mg/ml
マンニトール:36.9mg/ml
フェノール:5.0mg/ml
注入用の水:1.0 mlまで
pH 7.40。
【0170】
模擬使用研究を、G30針を使用したことを除いて例3の通りに行った。マンニトール含有処方物の目詰まりは、プロピレングリコール処方物での目詰まりの消失とは対照的にペプチド濃度とは無関係に観察された。
【0171】
例5
マンニトールを含む、Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンおよびNovoMix 30処方物における針の目詰まり
処方物の調製
Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリン含有処方物を以下のように調製した。
【0172】
a)バッファー、塩化ナトリウム、防腐剤(フェノールおよびm-クレゾール)およびマンニトールを水中に溶解させることによって第一の溶液を調製し、
b)水中に溶解したLysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンと酢酸ナトリウムの第二の溶液を調製し、
c)工程b)のペプチド含有溶液を工程a)の溶液に加え;および
d)溶液のpHを所望のpHに調製した。
【0173】
上述した方法で調製されたLysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリン含有処方物の組成は、以下の通りである。
【0174】
Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリン(2400nmol)、フェノール(1.80 mg/ml)、m-クレゾール(2.06mg/ml)、マンニトール(30.0mg/ml)、リン酸二ナトリウム、二水和物(0.890 mg/ml)、塩化ナトリウム(1.17 mg/ml)、酢酸亜鉛(65.4 μg/ml)、注入用の水(1.0 mlまで)、pH:7.4。
【0175】
NovoMix 30含有処方物を以下の通りに調製した。
【0176】
a)バッファー、塩化ナトリウム、フェノール、マンニトールおよび水酸化ナトリウムを水中に溶解させることによって溶液を調製し、
b)水中の塩化ナトリウム、フェノールおよびマンニトールの溶液を調製し、
c)水中のプロタミン硫酸塩の溶液を調製し、
d)水中のインシュリン、塩酸および亜鉛の溶液を調製し、
e)溶液b)、c)およびd)を混合し、
f)溶液e)を工程a)の溶液に加え、
g)溶液のpHを所望のpHに調整し、室温で結晶化させ、
h)m-クレゾール、フェノールおよびマンニトールを水中に溶解させることによって溶液を調製し、
i)溶液h)を工程g)の結晶画分に加え、および
j)pHを所望のpHに調整する。
【0177】
上述した方法で調製されたNovoMix 30含有処方物の組成は以下の通りである。
【0178】
インシュリンアスパート(100 units/ml)、プロタミン硫酸塩(約0.33mg/ml)、フェノール(1.50mg/ml)、m-クレゾール(1.72 mg/ml)、マンニトール(30.0 mg/ml)、リン酸二ナトリウム二水和物(1.25 mg/ml)、塩化ナトリウム(0.58 mg/ml)、亜鉛(19.6 ug/ml)、注入用の水(1.0mlまで)、pH:7.3。
【0179】
結果
模擬使用研究を、G31針を使用して例3に記載されたとおりに行った。20本の針について10日間にわたって調査した。結果は以下の通りである: Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンについて針の目詰まりが、2日目で(5%)、3日目で(70%)、4日目で(100%)観察された。NovoMix 30について針の目詰まりが、3日目で(5%)、4日目で(10%)、5日目で(35%)、6日目で(40%)、8日目で(50%)、9日目で(55%)および10日目で(80%)観察された。従って、針の目詰まりについてのマンニトールの効果は、処方物中に含まれるペプチドの種類とは無関係である。同様の目詰まり効果が、Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)処方物、Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンおよびNovoMix 30で観察された。
【0180】
例6
プロピレングリコールを含む、Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンおよびNovoMix30処方物の試験
Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンおよびNovoMix30処方物の調製および組成は、マンニトールが張度を保証する濃度のプロピレングリコールで置換されたことを除いて例5に記載された通りである。模擬使用試験を例5に記載された通りに行った。
【0181】
Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンおよびNovoMix30マンニトール含有処方物の目詰まりの効果が、Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)マンニトール含有処方物で観察されたのと同様であったという事実を踏まえると、Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンおよびNovoMix30含有処方物の目詰まり効果についてのプロピレングリコールの効果は、Arg34,Lys26(Nε-(γ-Glu(Nα-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)含有処方物で観察されたものと同様であろうと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのペプチドおよびプロピレングリコールを含む薬学的処方物であって、前記プロピレングリコールが約1 mg/ml〜約100 mg/mlの最終濃度で前記処方物中に存在し、前記処方物が約7.0〜約10.0のpHを有する薬学的処方物。
【請求項2】
前記プロピレングリコールの濃度が、約1 mg/ml〜約50 mg/mlである請求項1に記載の処方物。
【請求項3】
前記プロピレングリコールの濃度が、約5mg/ml〜約25mg/mlである請求項1に記載の処方物。
【請求項4】
前記プロピレングリコールの濃度が、約8 mg/ml〜約16 mg/mlである請求項1に記載の処方物。
【請求項5】
前記処方物のpHが、約7.0〜約9.5である請求項1に記載の処方物。
【請求項6】
前記処方物のpHが、約7.0〜約8.3である請求項1に記載の処方物。
【請求項7】
前記処方物のpHが、約7.3〜約8.3である請求項1に記載の処方物。
【請求項8】
防腐剤をさらに含む請求項1に記載の処方物。
【請求項9】
前記防腐剤が、0.1mg/ml〜20mg/mlの濃度で存在する請求項8に記載の処方物。
【請求項10】
バッファーをさらに含む請求項1に記載の処方物。
【請求項11】
前記バッファーが、グリシルグリシン、L-ヒスチジン、Hepes、ビシンおよびリン酸水素二ナトリウム二水和物からなる群から選択される請求項10に記載の処方物。
【請求項12】
前記ペプチドが、GLP-1アゴニストである請求項1に記載の処方物。
【請求項13】
前記GLP-1アゴニストが、GLP-1(7-36)-アミド、GLP-1(7-37)、GLP-1(7-36)-アミド類似体、GLP-1(7-37)類似体、またはこれらの何れかの誘導体からなる群から選択される請求項12に記載の処方物。
【請求項14】
前記GLP-1アゴニストが、GLP-1(7-36)またはGLP-1(7-37)またはGLP-1(7-36)-アミド類似体またはGLP-1(7-37)類似体の誘導体であり、前記誘導体が、リシン残基と、前記リシンのε-アミノ基にスペーサーを介してまたはスペーサーなしで結合した親油性置換基とを有する請求項13に記載の処方物。
【請求項15】
前記親油性置換基が、8〜40の炭素原子を有する請求項14に記載の処方物。
【請求項16】
前記スペーサーが、アミノ酸である請求項15に記載の処方物。
【請求項17】
前記GLP-1アゴニストが、Arg34,Lys26(N-ε-(γ-Glu(N-α-ヘキサデカノイル)))-GLP-1(7-37)である請求項16に記載の処方物。
【請求項18】
前記GLP-1アゴニストが、Gly8-GLP-1(7-36)-アミド、Gly8-GLP-1(7-37)、Val8-GLP-1(7-36)-アミド、Val8-GLP-1(7-37)、Val8Asp22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Asp22-GLP-1(7-37)、Val8Glu22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Glu22-GLP-1(7-37)、Val8Lys22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Lys22-GLP-1(7-37)、Val8Arg22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8Arg22-GLP-1(7-37)、Val8His22-GLP-1(7-36)-アミド、Val8His22-GLP-1(7-37)、Arg34GLP-1(7-37)、Arg26,34,Lys36GLP-1(7-36)、Arg26GLP-1(7-37)、およびGly8, Arg26,34,Glu37,Lys38GLP-1(7-38)、これらの類似体およびこれらの何れかの誘導体からなる群から選択される請求項12に記載の処方物。
【請求項19】
前記ペプチドが、インシュリン、インシュリン類似体、インシュリン誘導体、またはこれらの任意の混合物から選択される請求項1に記載の処方物。
【請求項20】
前記ペプチドが、少なくとも6つの炭素原子をもつ親油性置換基が結合したリシン残基を含むインシュリン誘導体である請求項19に記載の処方物。
【請求項21】
前記インシュリン誘導体が、Lysβ29(Nε-テトラデカノイル)des(B30)ヒトインシュリンである請求項20に記載の処方物。
【請求項22】
前記インシュリン誘導体が、N B29-オクタノイルインシュリンである請求項20に記載の処方物。
【請求項23】
前記ペプチドが、インシュリンアスパートとインシュリンアスパートプロタミンの30/70混合物である請求項19に記載の処方物。
【請求項24】
前記ペプチドが、ヒト成長ホルモン(hGH)またはMet-hGHである請求項1に記載の処方物。
【請求項25】
前記ペプチドが、エキセンジン-4、エキセンジン-4類似体またはエキセンジン-4誘導体である請求項24に記載の処方物。
【請求項26】
前記ペプチドが、エキセンジン-4である請求項25に記載の処方物。
【請求項27】
前記ペプチドが、HGEGTFTSDLSKQMEEEAVRLFIEWLKNGGPSSGAPPSKKKKKK-アミドである請求項25に記載の処方物。
【請求項28】
注入デバイスにおける使用に適したペプチド処方物を調製する方法であって、前記方法が、ペプチドおよびプロピレングリコール、任意にバッファーおよび防腐剤を含む処方物を調製することを含み、前記プロピレングリコールが、約1 mg/ml〜約100 mg/mlの濃度で存在し、前記処方物が、約7.0〜約10.0のpHを有する方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記ペプチド、前記プロピレングリコールおよび前記バッファーおよび防腐剤を一緒に混合して前記処方物を以下のように調製する方法。
a)防腐剤、プロピレングリコールおよびバッファーを水中に溶解させることによって第一の溶液を調製し;
b)ペプチドを水中に溶解させることによって第二の溶液を調製し;
c)第一および第二の溶液を混合し; および
d)c)の混合液のpHを約7.0〜約10.0のpHに調整する。
【請求項30】
前記プロピレングリコールの濃度が、約1 mg/ml〜約50 mg/mlである請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記プロピレングリコールの濃度が、約5 mg/ml〜約25 mg/mlである請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記プロピレングリコールの濃度が、約8 mg/ml〜約16 mg/mlである請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記処方物のpHが、約7.0〜約9.5である請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記処方物のpHが、約7.0〜約8.0である請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記処方物のpHが、約7.2〜約8.0である請求項28に記載の方法。
【請求項36】
ペプチド処方物の生成中における生成装置上での沈殿を減少させる方法であって、前記方法が、前記処方物において以前から使用されている等張化剤を1〜100 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換することを含む方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、以前から使用されている等張化剤を含む処方物で観察された沈着と比較した、プロピレングリコール含有処方物による生成中の生成装置上での沈着の減少が、模擬注入実験によって測定される方法。
【請求項38】
請求項36に記載の方法であって、プロピレングリコールによって置換される等張化剤が、ソルビトール、スクロース、グリシン、マンニトール、ラクトース一水和物、アルギニン、ミオイノシトールおよびジメチルスルホンからなる群から選択される方法。
【請求項39】
ペプチド処方物の生成中における最終生成物の沈着を減少させる方法であって、前記方法が、前記処方物において以前から使用されている等張化剤を1〜100 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換することを含む方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、最終生成物における沈着の減少が、沈着が原因で処分しなければならない以前から使用されている等張化剤を含む処方物のバイアルおよび/またはカートリッジの数と比較した、沈着が原因で処分しなければならないプロピレングリコール含有処方物のバイアルおよび/またはカートリッジの数の減少によって測定される方法。
【請求項41】
請求項39に記載の方法であって、プロピレングリコールによって置換される等張化剤が、ソルビトール、グリセロール、スクロース、グリシン、マンニトール、ラクトース一水和物、アルギニン、ミオイノシトールおよびジメチルスルホンからなる群から選択される方法。
【請求項42】
ペプチド処方物による注入デバイスの目詰まりを減少させる方法であって、前記方法が、前記処方物において以前から使用されている等張化剤を1〜100 mg/ml濃度のプロピレングリコールで置換することを含む方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、以前から使用されている等張化剤を含む処方物で観察された沈着と比較した、プロピレングリコール含有処方物による注入デバイスの目詰まりの減少が、模擬使用研究において測定される方法。
【請求項44】
請求項42に記載の方法であって、プロピレングリコールによって置換される等張化剤が、イノシトール、マルトース、グリシン、ラクトースおよびマンニトールからなる群から選択される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−188424(P2012−188424A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−77335(P2012−77335)
【出願日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【分割の表示】特願2006−540168(P2006−540168)の分割
【原出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(509091848)ノヴォ ノルディスク アー/エス (42)
【Fターム(参考)】