説明

注出口を有する容器の製造装置

【課題】 容器本体と注出口との装着を確実で且つ迅速に行えるようにして、容器の製造作業の高速化を図ることを課題とする。
【解決手段】 シートを袋状に形成してなる容器本体7の開口に、注出口を挿入し且つ容器本体7及び注出口をシール装置35で装着する注出口を有する容器の製造装置において、注出口と容器本体7とを一体に装着して容器を形成する容器形成部と、多数の注出口を順次搬送して前記容器形成部に供給する注出口供給部と、合成樹脂フィルムを筒状に形成してなる長尺状の原反リール6を所定の長さの容器本体7に切断して前記容器形成部に供給する容器本体供給部と、前記容器形成部において形成された容器を排出する排出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種液体や粉体等を充填及び排出可能な注出口を有する容器の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、合成樹脂フィルム等のシート体を袋状に作成してなる容器本体の開口に、ストローとしての機能する注出口を挿入し、且つ容器本体と注出口とをシール装置により装着して容器を自動的に製造する装置が公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記容器を製造するに際して、加熱工程(容器本体と注出口とを圧着して加熱溶着する工程)は、容器本体と注出口との密着シール性を確実にするために、他の工程(例えば、容器本体の製袋工程)に比し、作業時間を要する傾向にあった。
【0004】
更に、シール性を向上させるために、加熱直後に、容器本体と注出口のシール部分を冷却手段で圧着して冷却するようにしているが、容器本体及び注出口は間欠的に搬送され、加熱作業及び冷却作業はそれぞれ容器本体及び注出口を停止して行われているのが現状である。
【0005】
このため、容器本体及び注出口の加熱作業及び冷却作業からなる装着作業の高速化が困難であった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたもので、容器本体と注出口との装着を確実で且つ迅速に行えるようにして、容器の製造作業の高速化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を達成すべくなされたもので、その特徴は、シートを袋状に形成してなる容器本体の開口に、注出口を挿入し且つ容器本体及び注出口をシール装置で装着する注出口を有する容器の製造装置において、注出口と容器本体とを一体に装着して容器を形成する容器形成部と、多数の注出口を順次搬送して前記容器形成部に供給する注出口供給部と、合成樹脂フィルムを筒状に形成してなる長尺状の原反リールを所定の長さの容器本体に切断して前記容器形成部に供給する容器本体供給部と、前記容器形成部において形成された容器を排出する排出部とを備えることにある。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明は、注出口の容器本体への装着が確実なものとなると共に、その高速化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。図1〜図10は本発明の一実施の形態を示し、図3において、1は多数の注出口3を順次搬送する注出口供給部、5は合成樹脂フィルムを筒状に形成してなる長尺状の原反リール6を所定の長さの容器本体7に切断する容器本体供給部、10は前記注出口3と容器本体7とを一体に装着して容器13を形成する容器形成部、12は該容器形成部10において形成された容器13を排出する排出部である。
【0010】
前記注出口供給部1は、図示省略のコンベアにより、各注出口3を立てた状態で搬送し、各注出口3は矢印方向に回転運動する注出口供給装置15に受け渡される。注出口供給装置15は、その周方向に一対の開閉自在なクランプ体16が複数設けられ、各クランプ体16が前記注出口3の上部を挟持するようになっている。
【0011】
前記容器形成部10は、図1に示す如く前記注出口供給装置15と連動して所定の回転速度に制御されたロータリ軸18が設けられ、該ロータリ軸18の上下位置には、上回転テーブル19と下回転テーブル20とが、図3に示す矢印方向に回転可能に設けられている。尚、前記ロータリ軸18、上回転テーブル19及び下回転テーブル20により、ロータリ装置17が主構成されている。
【0012】
22は前記注出口供給装置15のクランプ体16から注出口3を受け取る注出口クランパーで、前記上回転テーブル19の周方向に等間隔をおいて複数設けられている。各クランパー22は、図2に示す如く機台21側に固定されたリング状のカム25の内周面にそって揺動する揺動アーム26が設けられた回転軸27と、該回転軸27の回転動作と連動して注出口3を着脱すべく互いに開閉する注出口保持手段としての一対の注出口クランプ部29と、該注出口クランプ部29を支持する昇降部材30が摺動自在に挿通された支持軸31とからなる。
【0013】
また、上回転テーブル19の下方には環状の注出口上下移動用カム32が、ブラケット32aを介して機台21側に固定され、上回転テーブル19の回転時に、該カム32上を前記昇降部材30に設けられたカムフォロアー33が転動することより、注出口クランプ部29が昇降自在になっており、ここに、注出口クランプ部29は、注出口3を下降位置である加熱位置Aと、上昇位置である冷却位置Bとに位置変更させることが可能である。
【0014】
35は前記注出口クランパー22に対応して下回転テーブル20に複数設けられたシール装置で、前記容器本体7の上縁部と前記注出口3とを加熱して熱溶着するためのヒーター手段36と、容器本体7と注出口3とのシール部分を冷却するためのクーラー手段37とを備えている。
【0015】
ヒーター手段36は、図2、図4及び図5に示す如く下回転テーブル20に固定されたケーシング39内に設けられた一対の支持軸40に、各レバー42a,42bの中途部が揺動自在に軸支され、各レバー42a,42bの一端には、ヒーター43が挿入された加熱部材45a,45bがそれぞれ設けられている。
【0016】
一方の加熱部材45aはレバー42aに固定されているが、他方の加熱部材45bは若干揺動できるようにピン46を介してレバー42bに軸支されている。尚、各加熱部材45a,45bの互いの接触面には、図5及び図6に示す如く前記注出口3の膨出するシール部3aと容器本体7とを確実にシールできるように、該シール部3aの形状と合致する凹部47がそれぞれ形成されている。
【0017】
各レバー42の他端は、図5(ロ)に示す如くリンク48を介してエアシリンダ50のロッド50aに枢支連結されている。従って、ロッド50aの進出時には、レバー42の他端は互いに接近するため、両加熱部材45a,45bを離間させることが可能となり、また、ロッド50aの後退時には、各レバー42が揺動し加熱部材45bは互いに接近して当接可能となっている。
【0018】
前記クーラー手段37は前記ヒーター手段36の上方に設けられ、図5(イ)に示す如くヒーター手段36と同様に前記支持軸40に枢支された一対のレバー52a,52bと、両レバー52a,52bを揺動させるシリンダ50とを備えている。また、各レバー52a,52bの一端には、冷却水路55を有する冷却部材56a,56bが設けられている。尚、一方の冷却部材56aはレバー52aに固定されているが、他方の冷却部材56bはピン58を介して揺動する構成も前記ヒーター手段36と同様である。
【0019】
また、両冷却部材56a,56bの冷却水路55は連通パイプ60により連通され、一方の冷却水路55に連結された給水パイプ61から他方の冷却水路55に連結された排水パイプ62に冷却水が流れるようになっている。
【0020】
64は図1及び図2に示す如く、前記容器本体7を保持し且つその上縁部を開口させるための容器保持手段としての容器本体オープナー装置で、前記ヒーター手段36の下方にそれぞれ設けられている。オープナー装置64は、図示省略のカム機構により下回転テーブル20の回転に連動して開閉自在な一対のオープナー65と、容器本体7を吸引すべく各オープナー65の先端に設けられた吸引用の吸着部63と、オープナー65を支持する支持部材66を上下方向に案内支持するガイドバー67と、前記支持部材66に設けられたカムフォロアー69が転動してオープナー65を昇降させるべく、機台21に固定されている円筒状のカム68とからなる。
【0021】
前記容器本体供給部5は、図1及び図3に示す如く長尺状の原反リール6が繰り出される繰り出し装置70と、該繰り出し装置70により繰り出される原反リール6を所定の位置で切断し、容器本体7とスクラップ73とを形成する切断装置としてのカッター71と、切断された容器本体7を下方に送る送り出し手段79と、所定の位置まで落下した容器本体7を保持して前記容器形成部10側に供給するための容器本体供給装置72とからなる。
【0022】
容器本体供給装置72は容器本体7の一側を吸着する吸着部74と、該吸着部74が複数設けられた回転テーブル75を回転させる回転軸76とからなる。そして、吸着部74に吸着された容器本体7は、回転テーブル75の回転により、前記オープナー65に受け渡されるようになっている。
【0023】
本実施の形態は以上の構成からなり、次にその使用例について説明する。先ず、前記繰り出し装置70により繰り出される原反リール6は、カッター71により所定の位置で切断され、容器本体7が形成されると送り出し手段79により強制的に落下すると共に、発生したスクラップ73はシューター80を介して廃棄される。尚、原反リール6は、図7(イ)に示す如く予め袋状となるように両サイドにガセット折りしたフィルムを有し、ドット部分6aがシールされて筒状に形成されている。従って、仮想部6bを切断することにより、同図(ロ)に示す如く容器本体7及び次の容器本体7の底部を形成するためのスクラップ73とを同時に形成することが可能である。
【0024】
次に容器本体7が所定の位置まで落下すると、容器本体供給装置72の回転する吸着部74が該容器本体7を吸着保持し(図3に示すa位置)、更に同期して回転するオープナー装置64の下降位置にあるオープナー65に挟持され受け渡される(同図b位置及び図8参照)。
【0025】
一方、注出口供給部1において、注出口3が一列に整列された状態で搬送され、各注出口3は順次注出口供給装置15の回転するクランプ体16に受け渡れる(図3に示すc位置)。更に、クランプ体16に保持された注出口3は回転移送され、図6(ロ)に示す如く容器形成部10の回転する注出口クランプ部29に挟持される(図3に示すd位置)。
【0026】
注出口3が注出口クランプ部29に、容器本体7がオープナー65にそれぞれ保持されると、該注出口3及び容器本体7が、上回転テーブル19及び下回転テーブル20の回転により、図3に示すeの位置まで回転移動する際に、それぞれのカム機構により、オープナー65は容器本体7上縁を開口させながら容器本体7を加熱位置Aまで上昇させ(図9(イ)参照)、容器本体7内に前記注出口クランプ部29に保持された注出口3の下方側が所定位置まで挿入されることとなる。
【0027】
次に、シール装置35のヒーター手段36のシリンダ50が作動し、そのロッド50aを後退させるため、リンク機構により、レバー42a,42bを揺動させ、ヒーター43で加熱され且つ拡開状態にある加熱部材45a,45bを閉じて、容器本体7の上縁部と注出口3のシール部3aとを所定の圧力で圧着する。このとき、他方の加熱部材45bは多少揺動自在(がたの生じた状態)となっていることから、両方の加熱部材45a,45bの凹部47内に注出口3のシール部3aが入り込み、容器本体7の上縁全体にわたって確実に密着させることが可能となる。
【0028】
更に、容器本体7と注出口3とが一体的に圧着シールされた後に、前記シリンダ50のロッド50aが進出してレバー42a,42bを揺動させるため、前記加熱部材45a,45bが離間する。尚、この加熱工程は、容器本体7と注出口3とが図3に示すfの位置に移動する間に行われる。
【0029】
オープナー65が容器本体7の吸着を解除すると共に、クランプ部29が上昇すると、該クランプ部29に挟持された注出口3は無論、該注出口3にシールされた容器本体7が一体となって冷却位置Bまで上昇する(図9(ロ)参照)。冷却位置Bにおいて、前記同様にシリンダ50がレバー52a,52bを揺動させるため、クーラー手段37の冷却部材56a,56bが接近して、容器本体7及び注出口3のシール部分を圧着して冷却する。
【0030】
この冷却工程は、前記加熱工程と同様に冷却部材56a,56bの凹部47に容器本体7及び注出口3のシール部分が嵌合され、全体にわたって冷却を確実に行える。また、前記加熱工程及び冷却工程は圧着を2〜3度繰り返したり、圧着力の強弱を数回変化させて行うのが好ましく、よりシールを確実なものとすることができる。尚、この冷却工程は、容器本体7及び注出口3が図3に示すfからgの位置に移動する間に行われる。
【0031】
更に、図10に示す如く容器本体7に注出口3が一体的に装着されてなる容器13は、排出部12の同期して回転する図示省略のクランプ部に受け渡され(図3に示すh位置)、排出コンベアで排出される。
【0032】
以上の容器製造工程は、容器本体7と注出口3との熱溶着のための加熱作業と冷却作業とを、容器本体7及び注出口3を移動させながら連続して行なうため、作業能率の向上が図れ、一連の容器の製造工程を自動的且つ高速に行える。
【0033】
しかも、ヒーター手段36とクーラー手段37におけるシリンダ50と各レバー42a,42b,52a,52bとの連結をリンク部材を介して行っていることから、小型のシリンダ50であっても加熱部材45a,45b及び冷却部材56a,56bの圧着力を強力にでき、この結果、シール装置全体を小型化にできる利点がある。
【0034】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施の形態では、ヒーター手段36とクーラー手段37とを上下方向に配置したが、必ずしもこれに限らず、横方向に配置することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態を示す概略断面正面図。
【図2】同要部を示す断面正面図。
【図3】同一部破断を含む全体概略平面図。
【図4】シール装置の断面図。
【図5】(イ)クーラー手段の断面平面図、(ロ)ヒーター手段の断面平面図。
【図6】(イ)はヒーター手段の加熱部材で容器本体及び注出口を加熱圧着した状態の断面平面図、(ロ)は注出口の搬送状態を示す正面図。
【図7】(イ)は原反ロールを示す正面図、(ロ)は原反ロールを容器本体とスクラップに切断した状態の正面図。
【図8】容器本体を吸着部及びオープナーで搬送する状態の概略図。
【図9】(イ)は容器本体を加熱圧着した状態の概略図、(ロ)は容器本体を冷却圧着した状態の概略図。
【図10】容器の正面図。
【符号の説明】
【0036】
7…容器本体、3…注出口、17…ロータリ装置、29…注出口クランプ部29(注出口保持手段)、35…シール装置、36…ヒーター手段、37…クーラー手段、42a,42b,52a,52b…レバー、50…シリンダ(作動手段)、64…容器本体オープナー装置(容器本体保持手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを袋状に形成してなる容器本体(7)の開口に、注出口(3)を挿入し且つ容器本体(7)及び注出口(3)をシール装置(35)で装着する注出口を有する容器の製造装置において、注出口(3)と容器本体(7)とを一体に装着して容器(13)を形成する容器形成部(10)と、多数の注出口(3)を順次搬送して前記容器形成部(10)に供給する注出口供給部(1)と、合成樹脂フィルムを筒状に形成してなる長尺状の原反リール(6)を所定の長さの容器本体(7)に切断して前記容器形成部(10)に供給する容器本体供給部(5)と、前記容器形成部(10)において形成された容器(13)を排出する排出部(12)とを備えることを特徴とする注出口を有する容器の製造装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを袋状に形成してなる容器本体(7)の開口に、注出口(3)を挿入し且つ容器本体(7)及び注出口(3)をシール装置(35)で装着する注出口を有する容器の製造装置において、注出口(3)と容器本体(7)とを一体に装着して容器(13)を形成する容器形成部(10)と、多数の注出口(3)を順次搬送して前記容器形成部(10)に供給する注出口供給部(1)と、合成樹脂フィルムを筒状に形成すると共に容器本体(7)の底部となるように予めシールされてなる長尺状の原反リール(6)をその所定部分をスクラップ(73)として切断装置で切断することによって、上縁部の開封された容器本体(7)を形成すると共に次の容器本体(7)の底部を形成し、その形成した容器本体(7)を前記容器形成部(10)に供給する容器本体供給部(5)と、前記容器形成部(10)において形成された容器(13)を排出する排出部(12)とを備えることを特徴とする注出口を有する容器の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−312320(P2006−312320A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195826(P2006−195826)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【分割の表示】特願平9−13969の分割
【原出願日】平成9年1月28日(1997.1.28)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】