説明

注出容器

【課題】構成を複雑にすることなく、開封と同時に閉塞体を取り除くことができ、かつ、未開封であるか否かを外部から容易に視認できる注出容器を提供する。
【解決手段】注出筒2内には、破断可能な弱化部34を介して注出筒2に接続されるとともに、該注出筒2内の軸O方向の連通を遮断する閉塞体35と、閉塞体35から上方に向けて突出する被係合部36と、が設けられ、オーバーキャップ3は、注出筒2に対して下降移動可能な天壁部45と、天壁部45から下方に向けて突出され、天壁部45が下降移動することにより被係合部36に係合して閉塞体35を支持可能とされ、オーバーキャップ3を開けることによって注出筒2内から閉塞体35を離脱させる係合部47と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の注出容器として、従来から、内容物が収容される容器本体と、該容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出筒、及び、該注出筒を開閉自在に覆うオーバーキャップを有する注出キャップと、を備えたものが知られている。
また、例えば下記特許文献1に示されるように、注出筒内には、破断可能な弱化部を介してこの注出筒に接続されるとともに、該注出筒内の軸方向の連通を遮断する閉塞体が設けられ、オーバーキャップには、この閉塞体がキャップ周方向の一方側から係合する係合体が設けられた注出容器が提案されている。
このような注出容器では、オーバーキャップを注出筒に対してキャップ周方向の一方側に回転させると、係合体が閉塞体に係合することにより、弱化部がキャップ周方向の剪断力によって破断されて、開封される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭56−40687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の注出容器では、開封時に、閉塞体が容器本体の内部に落下するおそれがあったり、開封後に、閉塞体を注出筒から取り除く必要がある等、開封時の操作性に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、構成を複雑にすることなく、開封と同時に閉塞体を取り除くことができ、かつ、未開封であるか否かを外部から容易に視認できる注出容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明は、内容物が収容される容器本体と、該容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出筒、及び、該注出筒を開閉自在に覆うオーバーキャップを有する注出キャップと、を備えた注出容器であって、前記注出筒内には、破断可能な弱化部を介してこの注出筒に接続されるとともに、該注出筒内の軸方向の連通を遮断する閉塞体と、該閉塞体から上方に向けて突出する被係合部と、が設けられ、前記オーバーキャップは、前記注出筒に対して下降移動可能な天壁部と、該天壁部から下方に向けて突出され、前記天壁部が下降移動することにより前記被係合部に係合して前記閉塞体を支持可能とされ、前記オーバーキャップを開けることによって前記注出筒内から前記閉塞体を離脱させる係合部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この発明において、閉塞体によって遮断された注出筒を連通させて、注出容器を開封するには、購入者がオーバーキャップの天壁部を下降移動させると、係合部も下降移動することになり、該係合部は閉塞体の被係合部に係合して閉塞体を支持可能な状態とされ、この状態からさらに天壁部を押し下げることにより閉塞体を押し下げるか、又はオーバーキャップを開けることにより天壁部を上昇させると、天壁部とともに閉塞体が前記軸方向に移動して弱化部が破断させられ、これにより注出筒が連通される。
このように、注出筒が連通される際、閉塞体がオーバーキャップの係合部に支持されるので、弱化部が破断されても、この閉塞体は注出筒から下方に向けて脱落することがない。また、開封時にオーバーキャップが閉塞体を支持していることから、閉塞体を注出筒内から取り除く面倒な作業は不要である。
【0008】
このように、オーバーキャップの天壁部を下降移動させるか、下降移動の後、該オーバーキャップを開けるだけの簡便な操作によって注出筒を連通させて、注出容器を開封することができ、かつ、オーバーキャップの係合部と閉塞体の被係合部とを係合させる簡便な構成によって、開封と同時に閉塞体を注出筒内から取り除くことができるのである。
【0009】
また、オーバーキャップの天壁部が下降移動させられたか否かを外部から確認することによって、この注出容器が未開封であるか否かを容易に視認できる。従って、注出容器が使用されたことがあるか否かを購入者が容易に判別できる。
【0010】
また、本発明に係る注出容器において、前記注出キャップは、前記容器本体と前記注出筒との連通及び遮断を切り替える注出弁を備えたこととしてもよい。
【0011】
この場合、内容物を注出する際には注出弁が開き、注出後には注出弁が閉じることから、内容物の液切れがよくなるとともに、内容物を収容する容器本体の密閉性が高められる。従って、内容物を注出する操作が簡便となり、かつ、内容物の品質が安定して維持される。
【0012】
また、本発明に係る注出容器において、前記容器本体は、前記注出キャップに上端部が固着され、内容物が収容される内容器と、該内容器が取り外し可能に内装される外容器と、を備えたこととしてもよい。
【0013】
この場合、内容器は、外容器に取り外し可能に内装されており、内容器の上端部は注出キャップに固着されている。従って、内容物を全て注出した後に、注出キャップを外容器から取り外すことにより、この注出キャップとともに内容器も外容器から取り外されるようになっている。このように、内容物が付着した注出キャップ及び内容器と、外容器とを簡便に分別できるので、内容物の種類によらず、外容器を容易にリサイクルできる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る注出容器によれば、構成を複雑にすることなく、開封と同時に閉塞体を取り除くことができ、かつ、未開封であるか否かを外部から容易に視認できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る注出容器を示す半断面図である。
【図2】図1の注出容器において、注出キャップを容器本体に装着する手順を説明する図である。
【図3】図1の注出容器を開封する手順を説明する図である。
【図4】図1の注出容器において、注出キャップ及び内容器を外容器から取り外す手順を説明する図である。
【図5】本発明の注出容器の変形例を示す半断面図である。
【図6】図5の注出容器を開封する手順を説明する図である。
【図7】図6の注出容器からオーバーキャップを取り外した状態を示す図である。
【図8】図6の注出容器において、注出キャップ及び内容器を外容器から取り外す手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る注出容器について説明する。
図1に示されるように、本実施形態に係る注出容器10は、内容物が収容される容器本体1と、該容器本体1の口部1aに装着され、内容物を注出する注出筒2、及び、該注出筒2を開閉自在に覆うオーバーキャップ3を有する注出キャップ4と、を備えている。
【0017】
ここで、容器本体1は有底筒状に形成され、オーバーキャップ3は有頂筒状に形成され、これら1、3が共通軸と同軸に配置されている。
以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸O方向に沿ってオーバーキャップ3側を上側、容器本体1の底部側を下側といい、また容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸Oを中心に周回する方向を周方向という。
【0018】
図示の例では、容器本体1は、注出キャップ4に上端部5aが固着され、内容物が収容されるとともに内圧の減少に伴いしぼみ変形する可撓性に富む内容器5と、該内容器5が取り外し可能に内装されるとともに弾性変形可能な外容器6と、を備えた二重容器となっている。
【0019】
図2に示すように、外容器6の上端部は、上側に位置する外上筒部6aと、下側に位置し外上筒部6aよりも大径に形成された外下筒部6bと、を備えており、これら外上筒部6a及び外下筒部6bが容器本体1の前記口部1aとなっている。
外上筒部6aには、径方向外方へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起7が形成されている。また、外下筒部6bの外周面には、雄ねじ部8が形成されており、該雄ねじ部8の下側には、径方向外方へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状のフランジ部9が形成されている。
【0020】
内容器5の上端部5aは、上側に位置する内上筒部5bと、下側に位置し内上筒部5bよりも小径に形成された内下筒部5cと、を備えている。また、上端部5aには、内上筒部5bから下方に向けて突出するとともに内下筒部5cから径方向外方に向けて突出する支持リブ11が、周方向に間隔をあけて複数形成されており、これら支持リブ11の下端は、外上筒部6aの上端開口縁に当接されている。また、内下筒部5cの外周面には、支持リブ11の下側に位置するとともに径方向外方に向けて突出するガイド突起12が、周方向に間隔をあけて複数形成されており、これらガイド突起12は、外上筒部6aに径方向内方から当接している。また、内上筒部5bの外周面における上側部分は、該上側部分よりも下側に位置する下側部分よりも大径に形成された固着フランジ13となっている。
【0021】
また、注出キャップ4は、容器本体1の口部1aに装着され、前記注出筒2を備えたキャップ本体14と、該キャップ本体14に上側から装着される前記オーバーキャップ3と、キャップ本体14内に配設され、注出筒2の下側に位置するとともに、注出筒2と容器本体1とを連通させる連通口15を備えた弁座部材16と、連通口15を注出筒2側から開閉自在に閉塞するとともに、容器本体1と注出筒2との連通及び遮断を切り替える注出弁17、及び、該注出弁17に連結され、弾性変形して注出弁17を作動させ連通口15を開閉させる弾性連結片18を備えた弁体19と、を有している。
【0022】
図示の例では、キャップ本体14は、下側に位置して口部1aに装着される装着部材20と、該装着部材20の上端部に連結され、注出筒2が形成された注出部材21と、を備えている。
【0023】
装着部材20は、口部1aの雄ねじ部8に螺合する雌ねじ部22を備えた装着筒23と、該装着筒23の下端部に周方向に間隔をあけて複数配設された薄肉のブリッジ24によってこの装着筒23に連結されているとともに、口部1aに対する装着筒23の容器軸O方向の移動を規制する規制筒25と、を有している。
【0024】
装着筒23は、上側部分23aが下側部分23bよりも小径に形成されている。上側部分23aの上端部には、径方向内方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起26が形成されている。また、上側部分23aの下端部28は、下側部分23b内において下方に向けて突出する筒状をなしており、この下端部28の上側には、径方向内方に向けて突出するとともに容器軸O方向に延びるリブ27が、周方向に間隔をあけて複数形成されている。これらリブ27の容器軸O方向の中間部分には、径方向内方に突出する突起27aがそれぞれ形成されている。また、下側部分23bの内周面には、前記雌ねじ部22が形成されている。
【0025】
図3に示すように、キャップ本体14が容器本体1の口部1aに装着された状態で、内容器5の上端部5aの固着フランジ13は、リブ27における突起27aの上側部分に径方向内方から当接しているとともに、突起27aに上方から当接している。また、環状突起7は、下端部28に径方向内方から当接しているとともに、リブ27に下方から接近状態で対向している。
【0026】
また、規制筒25の内周面には、上方へ向けて突出する規制ツメ部25aが形成されており、規制ツメ部25aは、その径方向の外縁部が薄肉に形成されて弾性変形可能とされ、上方を向く上縁部は、口部1aのフランジ部9の下面に対向配置されている。尚、図2に示されるように、キャップ本体14が容器本体1の口部1aに装着される前の状態では、規制ツメ部25aは規制筒25の内周面から下方へ向けて延びており、装着されるときに前記外縁部が弾性変形して、前述した図3に示す形状となる。
【0027】
また、図2において、注出部材21は、前記注出筒2と、注出筒2よりも大径に形成され該注出筒2を支持するとともに、装着部材20の上端部に連結される支持筒29と、を備えている。
【0028】
支持筒29は、有頂筒状をなしており、その周壁の外周面の下端部が他の部分よりも一段縮径して形成されている。すなわち、支持筒29の外周面には、この外周面から径方向内方へ向かうとともに周方向に延びる環状面32が形成されており、この環状面32の下側の部分(前記下端部)が、一段縮径されている。また、支持筒29の前記下端部には、径方向外方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起30が形成されている。そして、支持筒29の前記下端部は、装着筒23の上端に嵌合されており、この状態で、装着筒23の上端開口縁が環状面32に下方から当接しているとともに、環状突起26が環状突起30に上方から当接している。また、支持筒29の内周面には、径方向内方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起31が形成されている。
【0029】
また、支持筒29の頂壁には、該頂壁を容器軸O方向に貫通する注出筒2が形成されている。注出筒2は、容器軸Oに同軸とされている。支持筒29の頂壁における注出筒2の周囲には、該頂壁を貫通するとともに、内容器5と外容器6との間に外気を吸入させる吸気孔33が形成されている。
【0030】
また、注出筒2の上端部は、上方に向かうに従い漸次径方向外方に向かって延びている。注出筒2内には、破断可能な薄肉の弱化部34を介してこの注出筒2に全周にわたって接続されるとともに、該注出筒2内の容器軸O方向の連通を遮断する閉塞体35と、該閉塞体35から上方に向けて突出する被係合部36と、が設けられている。閉塞体35は、円板状をなしており、被係合部36は、この閉塞体35の上面から上方に向けて突出する筒状をなしている。また、閉塞体35には、被係合部36と注出筒2の内周面との間に位置して前記上面から上方に向けて突出するガイド部37が形成されている。
【0031】
被係合部36の外周面は、その上端部及び下端部が、これらの中間部よりも径方向外方に突出して形成されており、これにより前記中間部が環状凹部36aとなっている。また、被係合部36の外周面の上端部は、上方に向かうに従い漸次径方向内方に向かって延びるテーパ状に形成されている。
また、ガイド部37は、突起状をなし、閉塞体35の上面に形成されている。ガイド部37は、少なくとも1つ以上形成されていればよい。尚、ガイド部37が形成されていなくても構わない。
【0032】
また、弁座部材16は、有頂筒状をなしており、その周壁の外周面の下端部が他の部分よりも一段縮径して形成されている。また、弁座部材16の外周面において、前記下端部の上側に位置する部分には、容器軸O方向に延びるリブ38が周方向に間隔をあけて複数形成されている。リブ38の上端部は、弁座部材16の頂壁よりも上方に突出して形成されている。
前記弁座部材16は、装着筒23と一体成形されてもよい。この場合、部品数の削減により製造工程の簡素化を図ることができる。
【0033】
また、弁座部材16の頂壁には、該頂壁を容器軸O方向に貫通する連通筒39と、該頂壁から上方に向かい突出するとともに、連通筒39よりも大径とされた嵌合筒40と、が二重筒状に形成されている。連通筒39の内周面における容器軸O方向の略中央には、径方向内方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状の弁支持フランジ41が形成されており、この弁支持フランジ41の径方向中央部に前記連通口15が形成されている。
【0034】
嵌合筒40には、容器軸O方向に延びるスリット(不図示)が周方向に間隔をあけて複数形成されている。また、嵌合筒40の上端部には、径方向外方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状突起42が形成されている。
【0035】
図3に示すように、弁座部材16がキャップ本体14内に配設された状態で、該弁座部材16の周壁の下端部は、内容器5の上端部5aの内上筒部5b内に嵌合されている。また、弁座部材16のリブ38は、装着筒23に径方向内方から当接しているとともに、その下端部が内上筒部5bの上端開口縁に上方から当接している。
このように、内容器5の上端部5aの内上筒部5bが、径方向内方から弁座部材16の周壁に当接され、上方からリブ38に当接され、径方向外方から装着筒23のリブ27に当接され、下方から突起27aに当接されることにより、上端部5aは注出キャップ4に固着されている。
また、嵌合筒40の環状突起42は、注出部材21の環状突起31に上方から当接している。
【0036】
また、弁体19は、下端部が連通筒39の上端部内に嵌合されるとともに、該連通筒39の上端よりも上方に向けて突出して延びる筒部43と、筒部43の下端部内に複数の前記弾性連結片18を介して支持される円板状の前記注出弁17と、筒部43の前記下端部よりも上側から径方向外方へ向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状をなし、弾性変形可能とされて吸気孔33と外部との連通及び遮断を切り替える空気弁44と、を備えている。尚、弾性連結片18は、1つだけ設けられていてもよい。この場合、注出弁17は、弾性連結片18により一点支持された一点弁となる。
【0037】
筒部43の下端開口縁は、連通筒39の弁支持フランジ41に上方から当接している。また、筒部43の上端部内には、注出筒2の下端部が嵌合されている。
弾性連結片18は、筒部43の下端部において径方向内方に向けて突出するとともに周方向に間隔をあけて形成されている。
【0038】
注出弁17の外縁部は、弁支持フランジ41の内縁部に上側から当接しており、これにより連通口15が閉塞されている。また、弾性連結片18が弾性変形することにより、注出弁17は上方(注出筒2側)へ向けて変位可能とされているとともに連通口15が開放するようになっている。
【0039】
空気弁44の外縁部には、上方へ向けて突出されるとともに周方向に沿って延びる環状の突部が形成されており、前記突部は、支持筒29の頂壁に下側から当接しているとともに、空気弁44の弾性変形によって下側へ向けて離間可能とされている。
【0040】
また、図2に示すように、オーバーキャップ3は、下端部が注出筒2の上端部に外挿されるキャップ筒48と、キャップ筒48の前記下端部の上側から径方向内方に向けて延びるとともに周方向に沿って延びる環状の弾性連結部49を介して該キャップ筒48に接続され、弾性連結部49が弾性変形することにより、注出筒2に対して下降移動可能な円板状の天壁部45と、該天壁部45から下方に向けて突出され、天壁部45が下降移動することにより被係合部36に係合して閉塞体35を支持可能とされ、オーバーキャップ3を開けることによって注出筒2内から閉塞体35を離脱させる係合部47と、天壁部45から下方に向けて突出され、閉塞体35に上方から当接可能とされ、天壁部45が下降移動することにより閉塞体35を押下して弱化部34を破断させる押下部46と、を備えている。尚、弾性連結部49は、キャップ筒48と天壁部45との間に周方向に間隔をあけて配置され、これら48、45を繋ぐ複数の連結片からなることとしてもよい。
【0041】
本実施形態において、天壁部45の上面は、キャップ筒48の上端縁よりも下方に位置している。尚、天壁部45の上面は、キャップ筒48の上端縁より上方に突出しなければよく、容器軸O方向に面一とされていてもよい。
押下部46は、天壁部45の外縁部から下方に向けて突出する筒状に形成されている。押下部46には、閉塞体35のガイド部37が挿入可能なスリットが形成されている。そして、天壁部45が下降移動した際、押下部46のスリットにガイド部37が挿入されて、容器軸O方向に案内されるようになっている。
【0042】
係合部47は、筒状に形成され、押下部46よりも径方向内方に位置しており、その下端が押下部46の下端よりも上方に位置している。係合部47における容器軸O方向の略中央には、径方向内方に向けて突出するとともに周方向に沿って延びる環状凸部47aが形成されている。図2において、天壁部45は注出筒2に対して下降する前の上端位置に位置しており、この状態で、環状凸部47aは被係合部36の上端部に上方から当接している。尚、図2において、環状凸部47aは、被係合部36の上端部との間に隙間をあけて、該上端部の上方に位置していてもよい。
【0043】
また、オーバーキャップ3の下端開口縁は、支持筒29の上端外縁部に外嵌されている。また、オーバーキャップ3の下端開口縁と支持筒29の上端外縁部とは、周方向の一部でヒンジ50により連結されている。また、オーバーキャップ3の上端外縁部におけるヒンジ50とは容器軸Oを挟んだ反対側には、径方向外方に向けて突出する操作片51が形成されている。購入者がこの操作片51を操作して、ヒンジ50を中心にオーバーキャップ3を回転させることにより、オーバーキャップ3が開かれて注出筒2が露出するようになっている。
図示の例では、オーバーキャップ3及び注出部材21は、一体に成形されている。
【0044】
以上説明した本実施形態に係る注出容器10によれば、下記の作用効果を奏する。
図3に示されるように、この注出容器10において、閉塞体35によって遮断された注出筒2を連通させて、注出容器10を開封するには、購入者がオーバーキャップ3の天壁部45を下降移動させると、係合部47及び押下部46も下降移動することになり、係合部47は閉塞体35の被係合部36に係合して閉塞体35を支持可能な状態とされた後、押下部46は閉塞体35に上方から当接するとともに該閉塞体35を押下して、弱化部34が破断させられ、これにより注出筒2が連通される。
【0045】
このように、注出筒2が連通される際、閉塞体35がオーバーキャップ3の係合部47に支持されるので、弱化部34が破断されても、この閉塞体35は注出筒2から下方に向けて脱落することがない。詳しくは、図3において、天壁部45が下降端位置に位置した状態で、被係合部36の環状凹部36aと係合部47の環状凸部47aとが係合している。また、開封時にオーバーキャップ3が閉塞体35を支持していることから、閉塞体35を注出筒2内から取り除く面倒な作業は不要である。
【0046】
このように、オーバーキャップ3を取り外すことなく、その天壁部45を下降移動させる簡便な操作によって注出筒2を連通させて、注出容器10を開封することができ、かつ、オーバーキャップ3の係合部47と閉塞体35の被係合部36とを係合させる簡便な構成によって、開封と同時に閉塞体35を注出筒2内から取り除くことができるのである。
【0047】
また、オーバーキャップ3の天壁部45が下降移動させられたか否かを外部から確認することによって、この注出容器10が未開封であるか否かを容易に視認できる。従って、注出容器10が使用されたことがあるか否かを購入者が容易に判別できる。
【0048】
また、天壁部45を下降移動させる際、押下部46が閉塞体35のガイド部37に接触しつつ容器軸O方向に精度よく案内されるので、該押下部46は閉塞体35を確実に押し下げることができ、弱化部34が確実に破断されるようになっている。
【0049】
また、この注出容器10において、容器本体1の内容器5に収容された内容物を注出させる際には、まず、操作片51を操作してオーバーキャップ3を開け、注出筒2を下方に向けるように注出容器10を傾けた状態で、容器本体1の外容器6をスクイズ変形(弾性変形)させる。これにより、内容器5が外容器6とともに変形して減容される。そして、この減容変形に伴い内容器5の内圧が正圧となり、この正圧によって弾性連結片18が弾性変形するとともに注出弁17が開いて、内容器5と注出筒2とが連通される。これにより、内容器5に収容された内容物が、注出筒2を通って注出される。
【0050】
その後、内容器5の内圧が低下すると、弾性連結片18が復元変形するとともに注出弁17が閉じられ、内容器5と注出筒2との連通が遮断されて内容器5が密封され、さらに前述したスクイズ変形を解除すると、外容器6は復元変形しようとする。このとき、外容器6と内容器5との間に発生した負圧が空気弁44に作用することにより、この空気弁44が作動して吸気孔33と外部とが連通され、該吸気孔33から外気が弁座部材16及び内容器5の上端部5aとキャップ本体14との間を通って、外容器6と内容器5との間に吸入される。
外気が吸入されることにより、外容器6と内容器5との間の内圧が大気圧まで上昇すると、空気弁44が復元変形して吸気孔33と外部とを遮断する。このように、外容器6と内容器5との間に外気が吸入されることにより、内容器5の減容形状が保持される。
【0051】
この状態から、再び容器本体1の外容器6をスクイズ変形させると、空気弁44は遮断状態とされていることから外容器6と内容器5との間の内圧が正圧となり、この正圧によって内容器5が減容変形される。内容器5が減容変形されることにより、前述同様の作用が得られ、内容物が注出される。
【0052】
この注出容器10によれば、内容物を注出する際には注出弁17が開き、注出後には注出弁17が閉じることから、内容物の液切れがよくなるとともに、内容物を収容する容器本体1の密閉性が高められる。従って、内容物を注出する操作が簡便となり、かつ、内容物の品質が安定して維持される。
【0053】
また、容器本体1が、内容器5と外容器6とを備えた二重容器とされているので、スクイズ変形された外容器6が復元変形しても、内容器5は内容物の減少とともに減容されていき、しかも内容器5の内部に外気が流入することが防止されている。これにより、内容物の劣化が防止されて、保存性が高められている。
【0054】
また、内容器5は、外容器6に取り外し可能に内装されており、内容器5の上端部5aは注出キャップ4に固着されている。従って、内容物を全て注出した後に、図4に示すように、注出キャップ4を外容器6から取り外すことにより、この注出キャップ4とともに内容器5も外容器6から取り外されるようになっている。詳しくは、注出キャップ4を外容器6から取り外す際、容器本体1の口部1aに対して装着筒23を周方向の緩み方向に回転させると、該装着筒23は口部1aに対して上方に向けて移動していく。一方、規制筒25は、規制ツメ部25aがフランジ部9に下方から当接して上方への移動が規制されることから、ブリッジ24が破断される。これにより、注出キャップ4が外容器6から取り外し可能となる。
【0055】
このように、装着筒23を緩み方向に回転させる簡単な操作によって、内容物が付着した注出キャップ4及び内容器5と、外容器6とを簡便に分別できるので、内容物の種類によらず、外容器6を容易にリサイクルできる。
【0056】
尚、本発明は前述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0057】
例えば、前述の実施形態では、オーバーキャップ3が、ヒンジ50を介してキャップ本体14の注出部材21に一体に成形されているとしたが、これに限定されるものではない。
図5〜図8に示される注出容器60は、前述した注出容器10の変形例であり、該注出容器60にはヒンジ50が設けられておらず、オーバーキャップ3は、アンダーカット嵌合によりキャップ本体14に着脱可能に装着されている。また、注出容器60では、前述した注出部材21と装着部材20とが一体に成形されて、キャップ本体14となっている。このような構成においても、前述と同様の効果が得られる。
【0058】
また、前述の実施形態では、オーバーキャップ3には、天壁部45から下方に向けて突出する押下部46が設けられているとしたが、これに限定されるものではなく、押下部46は設けられていなくても構わない。この場合、天壁部45を下降移動させて係合部47と閉塞体35の被係合部36とを係合させた状態から、さらに天壁部45を押し下げることにより閉塞体35を押し下げるか、又はオーバーキャップ3を開けることにより天壁部45を上昇させると、天壁部45とともに閉塞体35が容器軸O方向に移動して弱化部34が破断させられ、注出筒2が連通される。
【0059】
また、前述の実施形態では、容器本体1が、内容器5及び外容器6を備えた二重容器であるとしたが、これに限定されるものではなく、それ以外の一重容器や多重容器であっても構わない。
【0060】
また、前述の実施形態では、内容器5の内圧変動により弁体19の弾性連結片18が弾性変形して、注出弁17が作動されるとともに連結口15が開閉されるとしたが、これに限定されるものではない。すなわち、注出弁17は、例えば内容物の自重や流動圧により作動することとしてもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 容器本体
1a 口部
2 注出筒
3 オーバーキャップ
4 注出キャップ
5 内容器
5a 上端部
6 外容器
10、60 注出容器
17 注出弁
34 弱化部
35 閉塞体
36 被係合部
45 天壁部
47 係合部
O 容器軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体と、
該容器本体の口部に装着され、内容物を注出する注出筒、及び、該注出筒を開閉自在に覆うオーバーキャップを有する注出キャップと、を備えた注出容器であって、
前記注出筒内には、破断可能な弱化部を介してこの注出筒に接続されるとともに、該注出筒内の軸方向の連通を遮断する閉塞体と、該閉塞体から上方に向けて突出する被係合部と、が設けられ、
前記オーバーキャップは、
前記注出筒に対して下降移動可能な天壁部と、
該天壁部から下方に向けて突出され、前記天壁部が下降移動することにより前記被係合部に係合して前記閉塞体を支持可能とされ、前記オーバーキャップを開けることによって前記注出筒内から前記閉塞体を離脱させる係合部と、を備えたことを特徴とする注出容器。
【請求項2】
請求項1に記載の注出容器であって、
前記注出キャップは、前記容器本体と前記注出筒との連通及び遮断を切り替える注出弁を備えたことを特徴とする注出容器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の注出容器であって、
前記容器本体は、
前記注出キャップに上端部が固着され、内容物が収容される内容器と、
該内容器が取り外し可能に内装される外容器と、を備えたことを特徴とする注出容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−71882(P2012−71882A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220028(P2010−220028)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】