説明

注射薬瓶

【課題】本発明は一つの薬品瓶に粉末状の医薬粉末と食塩水のような溶媒を分離して保管し、使用時に一つの薬品瓶中で簡便に混合できる注射薬瓶を提供する。
【解決手段】薬品瓶内部に底部から上方に向かって内部壁6が備えられ、一方は医薬粉末を保管する部分8に、もう一方は溶媒を保管する部分9に区分づけられ、薬瓶胴体2の上端部では互いに通じるようになっている。医薬粉末と溶媒を混合して使用したい時、アルミキャップ14を回すとアルミキャップ14に固定されたゴム栓11とゴム壁12もともに回って内部壁6とゴム壁12がずれるようになり、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9が連通するようになる。これにより、薬瓶を振ると医薬粉末と溶媒とを一つの薬瓶で簡単に混合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射薬瓶に関するものであり、特に、一つの薬瓶胴体の内部に医薬粉末を保管する部分と溶媒を保管する部分に区分づけるための内部壁を有し、一つの薬瓶に粉末状の薬品である医薬粉末と食塩水のような溶媒を分離して保管し、使用時に両者を混合して注射液として使用することにより、医薬粉末と溶媒を簡便に保管しつつ容易く混合できる注射薬瓶に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、従来、二つ以上の薬品や溶媒を混合して使用する医薬品または注射液において、混合されるそれぞれの薬品は、混合後すぐに使用したり注射したりしてこそ、その効果を発揮することができる。たとえば、混合後に一定時間が経過したり、不適切な温度で保管されたりすると、薬品の変性が起こるため、その効果を十分に得ることができない。
【0003】
また、薬品を液状で保管する場合は、保管温度などにより変性する可能性が高く、薬品の有効期間が短縮するので、薬品は粉末状にして保管し、使用時に粉末状の薬品を食塩水のような溶媒で混合することにより注射液として使用するのが望ましい。そこで、今までは、液状薬品用の医薬粉末と、食塩水などの溶媒とをそれぞれ別の容器に保管し、使用時に、溶媒の容器から前記溶媒を注射器で吸い取り、これを再び医薬粉末が入った薬品瓶に注入した後注射器を抜き取り、薬品瓶を振って医薬粉末を溶媒に溶かした後、混合された液状の薬品を注射器で再び吸い取って注射用薬液として使用するという6段階の過程を経ている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記過程においては、医薬粉末を保管する薬品瓶と溶媒を保管する薬品瓶とがそれぞれ別に必要となり不便であるだけでなく、これらをそれぞれ別に保管し、また、患者の治療時にも十分な注意を払って運ばなければならない。また、注射器に薬品注射液を入れるまでに少なくとも3回は、注射針を、医薬粉末容器または溶媒を保管した容器に差し込んだり抜き取ったりしなければならず、注射針が汚染したり、使用者が注射針で怪我をしたりする可能性が高くなる。さらに、溶媒が入れられた容器から注射器を用いて前記溶媒を薬品瓶に入れる時は、薬品瓶の内部の圧力により溶媒がうまく注入できず、溶媒が注射器の方に逆流することもある。このように、それぞれ別の容器に保管されている医薬粉末と溶媒とを薬品瓶で混合する過程では、上述したようなさまざまな問題点がある。
【0005】
本発明は、前述した従来の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は、一つの薬品瓶に医薬粉末と食塩水のような溶媒を分離して保管し、使用時に、注射液薬液として使用することができるように、注射器を使用しなくても医薬粉末と溶媒を一つの薬品瓶で簡単に混合することにより、医薬粉末と溶媒との混合に伴う不便さや汚染の恐れを最も小さくするところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明は、薬瓶胴体の内部を、医薬粉末を保管する部分と溶媒を保管する部分に区分づけるための内部壁を有することを特徴とする注射薬瓶である。ここで、前記内部壁は、前記内部壁のない上端部で前記医薬粉末を保管する部分と前記溶媒を保管する部分が連通するように、前記薬瓶胴体の底部から薬瓶胴体の上端部の下の位置まで形成されていることを特徴とする。また、本発明に係る内部壁は、前記薬瓶胴体の底部から口部まで形成され、前記医薬粉末を保管する部分と前記溶媒を保管する部分が連通するように、上部に孔部を有することを特徴とする。さらに、前記孔部を有する注射薬瓶は、前記薬瓶胴体の口部から前記孔部の下まで内部壁のない空間を密閉するゴム壁を備えることも可能である。
【0007】
本発明の他の特徴は、薬瓶胴体の内部を、医薬粉末を保管する部分と溶媒を保管する部分に区分づけるために前記薬瓶胴体の底部から上方に向かって延伸する内部壁と、前記薬瓶を塞ぐゴム栓の内側面から垂れ下がるゴム壁と、を有し、前記内部壁の上面と前記ゴム壁の下面とが互いに当接している注射薬瓶である。ここで、前記内部壁は、前記薬瓶胴体の中心位置に、前記薬瓶胴体の直径に相当する幅で縦方向に延伸するように形成され、前記ゴム壁は、前記ゴム栓の内側面の中心位置に、薬瓶胴体の直径に相当する幅で縦方向に延伸するように形成することができ、前記内部壁の上面と前記ゴム壁の下面とが互いに当接している部分は、∪字形または"∩"のような形状であるか、凹凸構造(ノコギリ歯状)をなしていることを特徴とする。また、本発明に係る注射薬瓶において、前記ゴム壁が、前記内部壁の上面と前記ゴム壁の下面が互いに当接するように、ゴム栓の面積の半分に相当する断面積を有し、前記ゴム栓の内側面から垂れ下がっていることにより、医薬粉末を保管する部分または溶媒を保管する部分のうちいずれか一方を一度で密閉することができる。
【0008】
本発明のさらに他の特徴は、薬瓶胴体の内部を、医薬粉末を保管する部分と溶媒を保管する部分に区分づけるために前記薬瓶胴体の底部から上方に向かって延伸する内部壁と、前記薬瓶を塞ぐゴム栓の内側面から垂れ下がるゴム壁と、を有し、前記内部壁の上面と前記ゴム壁の下面とが互いに当接している注射薬瓶に係り、前記ゴム壁は、前記ゴム栓と一体に結合されて前記ゴム栓の内側面から垂れ下がり、前記ゴム栓が回ると、前記内部壁の上面と前記ゴム壁の下面との接触が離れ、前記内部壁との接合が外れるように回転することを特徴とする注射薬瓶である。前記薬瓶胴体の内側面には、前記ゴム壁が90°×奇数の角度で順に回転するように、前記内部壁と90°×奇数の角度だけ離れた位置に突起を付加したものである。
【0009】
そして、本発明の他の特徴において、前記薬瓶を塞ぐゴム栓は、前記ゴム栓に固定されたアルミニウムキャップの側面が前記薬瓶のフランジ部の下まで垂れ下がり、前記アルミニウムキャップの底面の外側部分が前記薬瓶のフランジ部から離れるように膨れ出ており、前記アルミニウムキャップの底面の内側部分が前記薬瓶のフランジ部に接触するように形成されることにより、前記アルミニウムキャップを上方に引っ張る場合、前記アルミニウムキャップと前記ゴム栓とが、ともに上方に引き上げられることを特徴とする。
【0010】
また、ゴム材の弾性によって、ゴム壁の下面と内部壁の上面とが密接に接触し、密閉構造が形成されるが、同時に、ゴム材の弾性によって、ゴム壁の回転次第で、ゴム壁の下面と内部壁の上面は互いに容易に離れて回転することも可能である。そこで、前記ゴム壁は、前記ゴム栓を上方に引き上げなくても直接的に回転させることができるような優れた弾力性を有することを特徴とする。
【0011】
次いで、本発明のさらに他の特徴としては、薬瓶胴体の底部から口部に向けて延伸するとともに、医薬粉末を保管する部分と溶媒を保管する部分が連通するように上端に孔部を有する内部壁と、薬瓶胴体の口部から前記孔部の下まで前記内部壁のない空間を密閉するゴム壁と、ゴム栓および当該ゴム栓に固定されたアルミニウムキャップと、を備え、前記アルミニウムキャップは、上方に引っ張られた際に、前記アルミニウムキャップと前記ゴム栓とがともに上方に引き上げられて前記孔部が開くように、側面が前記薬瓶のフランジ部の下まで垂れ下がり、底面の外側部分が前記薬瓶のフランジ部から離れるように膨れ出ており、底面の内側部分が前記薬瓶のフランジ部に接触するように形成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の注射薬瓶において、前記薬瓶を塞ぐ前記ゴム栓の下面に前記ゴム壁が存在しない部分の反対側となる上面に、注射針の挿入部分が形成されていることを特徴とする。
【0013】
一方、本発明の技術的特徴に属する範囲を逸脱しないものなら何れの素材を使って製造される注射薬瓶も本発明の範囲に含まれることができる。本発明は注射薬瓶に係るが、本発明の技術的特徴が変更しない範囲で、前記薬瓶を、食塩水、蒸留水または他の溶媒に溶かすと破壊されたり変性したりする薬品や化学物質、微生物または微生物製剤を保管するための容器として使用することができることは明らかである。
【0014】
さらに、本発明に係る技術的特徴を用いる薬瓶は、前記薬瓶胴体の内部にある前記医薬粉末を保管する部分と前記溶媒を保管する部分に加えて、他の固体粉末または他の溶媒を保管する部分を一つ以上設けるために、前記内部壁および前記ゴム壁が二つ以上形成されていることを特徴とする。
【0015】
このように、本発明は、薬瓶の口部がゴム栓とアルミニウムキャップよりなる栓で密閉され、薬瓶胴体の内側の底部から薬瓶胴体の上端部の下の位置まで延伸する内部壁が医薬粉末と溶媒とを分離保管するように形成されている。そして、薬瓶の口部にあるゴム栓から下方に延伸するゴム壁が、内部壁と当接することにより、医薬粉末と溶媒とが別に密閉された状態となる。薬品を使用しようとする際に、ゴム壁が回転するようにゴム栓を回すと、区分されている部分が、薬瓶胴体の上端部で連通するようになり、薬瓶を振ると、粉末と溶媒とが混合される。
【発明の効果】
【0016】
以上述べたように、本発明は一つの薬品瓶に粉末状の医薬粉末と食塩水のような溶媒を分離保管し、使用時に混合して注射液として使用することにより医薬粉末と溶媒を正確で簡単に混合し、混合時の時間遅滞と汚染可能性を減らすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付した図面に基づき本発明を詳述する。図1は本発明に係る注射薬瓶の基本構造を示す斜視図であり、図2は本発明に係る注射薬瓶の他の形態を示す斜視図であり、図3は本発明に係る注射薬瓶の一例を示す斜視図であり、図4は本発明に係る注射薬瓶の一例を示す断面図であり、図5は本発明に係る注射薬瓶の他の一例を示す断面図であり、図6は本発明に係る注射薬瓶のさらに他の一例を示す断面図であり、図7は本発明の注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを引き上げた状態を示す断面図であり、図8は本発明の注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを引き上げて回した状態を示す断面図であり、図9は本発明に係る注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを直接回す断面図であり、図10は本発明に係る注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを引き上げた状態を示す斜視図であり、図11は本発明に係る注射薬瓶をひっくり返して注射器で薬品を吸い取る様子を示す断面図である。
【0018】
まず、本発明は、図1に示すように、薬瓶胴体2の内部が、乾燥状態の医薬粉末を保管する部分8と食塩水を保管する部分9とに分かれた薬瓶に関する。このように一つの薬瓶の内部を2つの空間に区分づけるために、本発明は内部壁6を有することを特徴とする。図1に示すように、前記内部壁6は薬瓶の底部3を横断するものである。また、薬瓶の内部側面または薬瓶の底部3と側面との間から上がる内部壁6であっても、薬瓶の上部に向って延伸する形状の内部壁ならば本発明の範囲に属することは明らかである。このように一つの薬瓶に2つ以上の空間を確保できる本発明の内部壁6は、従来、別の容器に別々に保管していた医薬粉末または溶媒を、一つの薬瓶で保管できるようにするものである。
【0019】
また、本発明において、図3に示すように、内部壁6は薬瓶胴体2の底部から前記薬瓶胴体2の上端部の下の位置にまで延伸している。医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とは、前記内部壁6のない上端部を通じて互いに連通されている。互いに通じて連結されるとは、内部壁6が、薬瓶胴体の底部または側面または底部と側面との間で上方に向かって延伸するが、上端部の下の位置までしか形成されていないため、内部壁6が存在しない上端部の空間を通じて、医薬粉末は溶媒空間に、溶媒は医薬粉末空間に自由に移動が可能な構造であることを意味する。このように、内部壁が薬瓶の上端部の下の位置までしか形成されていないことに加えて、一つの薬瓶内で互いに通じて連通されるという構造は、図2に示すように、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9が互いに通じるよう、上部に孔部を有する内部壁を薬瓶胴体2の底部から口部まで形成するという構造によっても可能である。
【0020】
次いで、本発明は図3に示すように、薬瓶胴体2の内部を、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とに区分づけるための内部壁6が、薬瓶胴体2の底部から上方に向かって延伸し、ゴム壁12が、薬瓶のゴム栓11の内側面から垂れ下がることにより、内部壁の上面7とゴム壁の下面13が互いに当接している注射薬瓶に関する。本発明は、内部壁の上面7とゴム壁の下面13が当接している構造を通じて、医薬粉末と溶媒とを密閉した状態で分離して保管でき、また、ゴム壁12の回転に伴ってそれぞれの物質の移動が可能な薬瓶とすることができる。
【0021】
前述したように、薬瓶胴体の底部3から上方に向かって延伸する内部壁と、薬瓶を塞ぐゴム栓から下方に延伸するゴム壁12は、薬瓶内を二つの空間に分離するためのものである。前記内部壁6とゴム壁12は、何れの形態または、空間を塞ぎながら空間を分離する形状なら何れの形状でも可能であるが、内部壁6は、薬瓶胴体2の底部の真ん中部分に薬瓶胴体2の直径に相当する幅で縦方向に延伸するような形状が最も望ましく、ゴム壁12は、薬瓶のゴム栓11の内側面の真ん中部分に薬瓶胴体2の直径に相当する幅で縦方向に延伸するような形状が最も望ましい。そして、前記内部壁の上面7とゴム壁の下面13が互いに当接している部分は、医薬粉末と溶媒の分離保管時に、両者が混ざり合わないように密閉して保管するために、∪字形または"∩"のような形状よりなるか、凹凸構造(ノコギリ歯状)をなしていることを特徴とする。また、薬瓶の口部4を塞いでいるゴム栓11の内側面から延伸するゴム壁12は、薬瓶胴体2内の上方を区分する。ゴム壁の下面13と内部壁の上面7の当接部分を凹凸形の構造にすると、この凹凸形の構造によって、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9との密閉効果が増進される。これにより、ゴム壁と内部壁6とは、後にゴム壁12を回す時に、∪字形または凹凸構造を有するゴム壁12の弾力性によって、ともに回転したり結合が外れたり、係わりあったりすることができる。
【0022】
また、本発明に係る注射薬瓶の他の一例は、図5に示すように、ゴム壁12が、薬瓶のゴム栓11の面積の半分に相当する断面積を有し、ゴム栓11の内側面から下方に垂れ下がっていることにより、ゴム壁の下面13と内部壁の上面7とが接し、それによって、医薬粉末を保管する部分8または溶媒を保管する部分9のいずれか一方を一度で完全に密閉できることを特徴とする注射薬瓶である。このように、ゴム壁12がゴム栓の面積の半分に相当する断面積を有する薬品瓶において、薬瓶胴体2の上部から内部壁6に対して直角方向に突出している突起10までアルミニウムキャップ14とゴム栓11を回すと、内部壁6とゴム壁12との結合が外れることにより、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9が互いに通じるようになって、薬瓶を振ることにより医薬粉末と溶媒とを容易に混合することができる。
【0023】
また、本発明に係る他の注射薬瓶の一例は、内部壁6が、薬瓶胴体2の底部から薬瓶の口部まで延伸され、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とが、内部壁6の上部に形成された孔部を通じて互いに連通する注射薬瓶である。図6に示すように、注射薬瓶は、孔部を有する内部壁6が薬瓶の上端部まで延伸し、孔部の下の位置から薬瓶の口部の高さまでを占めている内部壁を除いた部分を塞いで閉じるゴム壁がさらに含まれていることを特徴とする。ゴム壁12は、ゴム壁によって区分された両方の空間を塞いで密閉するものであり、これは、内部壁6を除いて、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とが互いに通じるように連結される孔部を塞げる程度まで延伸している。このようなゴム壁12は、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とを区分して密閉し、医薬粉末と溶媒との混合時には、ゴム壁12を簡単に持ち上げて孔部が現れるようにすることができる。ゴム栓の注射針の挿入部分19は、注射針18が容易に挿入できるように薄く形成されている。
【0024】
医薬粉末と食塩水とを混合しようとする時は、図7に示すように、アルミニウムキャップ14とゴム栓11とを薬品瓶のフランジ部5から上方に引っ張り上げると、内部壁の上面7とゴム壁の下面13との接触が離れることによって、図8に示すように、アルミニウムキャップ14とゴム栓11とを容易く回すことができる。このような本発明の望ましい実施例の一形態は、図7に示すように、ゴム壁12が薬瓶のゴム栓11と一体に連結され、ゴム栓の内側面から垂れ下がっていることを特徴とする。前述したようなゴム壁12は、ゴム栓11を引き上げ、内部壁の上面7とゴム壁の下面13とが互いに当接している部分の接触が離れ、図8に示すように、ゴム壁12が内部壁との接合が外れるように回転してずれるように形成されている。本発明に係るゴム壁とゴム栓11の構造は、ゴム栓11が回転する際に、ゴム栓11から垂れ下がるゴム壁12もともに回転することができ、同時に薬瓶の内部では、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とが互いに通じるようにすることができる。
【0025】
ここで、アルミニウムキャップ14とゴム栓11とが回転する回転角度は、特に制限がないが、医薬粉末と溶媒とを最大限に混合するため、内部壁とゴム壁との角度が90°であることが望ましい。そこで、本発明において、ゴム壁が90°×奇数の角度で回転できるように、薬瓶胴体内部の内側面であって、内部壁に対して90°×奇数の角度だけ離れた位置に、突起10を設けるとよい。
【0026】
上述したように、内部壁の上面7とゴム壁の下面13との接合が外れると同時に、アルミニウムキャップ14とゴム栓11とを回しやすくするべきである。このようにゴム栓11が回転すれば、ゴム壁12は、内部壁6との接合を解除しながら回転する。本発明は、医薬粉末と溶媒を分離して保管し、使用時に一つの薬瓶内で混合することを特徴とするので、薬瓶を振って双方を混合する場合は、薬瓶内に存する薬品が薬瓶の外部に漏出してはいけない。
【0027】
このため、図4および図6に示すように、本発明の薬瓶を塞ぐゴム栓11は、前記ゴム栓11に固定されたアルミニウムキャップの側面15が、薬瓶のフランジ部5の下まで垂れ下がり、底面16の外側部分が、薬瓶のフランジ部から離れるように膨れ出ており、底面16の内側部分が、薬瓶のフランジ部の底面の内側に接触するように形成されることにより、アルミニウムキャップ14を上方に引っ張る場合、アルミニウムキャップ14とゴム栓11とがともに上方に引っ張られることを特徴とする。医薬粉末と溶媒とを混合しようとする時は、図7および図8で示すように、アルミニウムキャップ14は、上方に力を加えて引っ張られる。このとき、アルミニウムキャップの側面15の下部は、アルミニウムキャップ14とゴム栓11とがともに薬瓶の口部上まで移動するように、容易く上方に引っ張られる。しかしながら、アルミニウムキャップの底面16の内側は、薬瓶のフランジ部5の底面に固定されているため、アルミニウムキャップ14とゴム栓11とが薬瓶の口部4から抜け出ることはない。
【0028】
前述したようなアルミニウムキャップの構造を用いて、閉栓状態で栓を持ち上げて回すことにより薬瓶の内部に連結通路を作ることができるが、図9に示すように、本発明の他の実施例によれば、薬瓶を塞ぐ栓を持ち上げなくても栓をそのまま回すことができる。このように、ゴム壁の下面13と内部壁の上面7との接合が外れてゴム壁が回転して内部壁とずれるのは、ゴム素材の弾力性によるものである。このようなゴム素材の弾力性を用いて、ゴム壁の下面13と内部壁の上面7との接触においては、密閉構造とすることができる一方、ゴム壁の回転時には、ゴムの弾性力によって容易に接合がはずれ、回転することが可能な構造となる医薬粉末と溶媒を混合するために、アルミニウムキャップ14を手や工具を使って回すと、下面13がU字形または凹凸構造に形成されたゴム壁と内部壁の上面7が当接する部分が離れる。これは、ゴムとガラス部材との接触面が平らな場合、ゴム部材をガラス部材面上から側方に押せば摺動しやすくなる特徴があるが、ゴムとガラスとの接触面がU字形又は凹凸構造であれば、ゴムの弾性力によって平常時では密閉効果に優れるとともに、必要に応じて容易く栓を回すことによりゴムとガラス部材よりなる内部壁6とをずれるように回転させることができる。このような本発明において、アルミニウムキャップ14を回すと、図9に示すように、アルミニウムキャップ14に固定されたゴム栓11も同時に回るようになり、アルミニウムキャップ14とゴム栓11が回転すれば、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9が連通するように、ゴム壁12と内部壁6との接合が外れる。ここで、注射薬瓶1を振れば、医薬粉末と溶媒が混合される。
【0029】
また、本発明の他の実施例では、薬瓶の栓を上に持ち上げることなく、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とを連結して通じさせることも可能である。このような構造は、図6に示すような薬瓶、すなわち、上部に孔部を有する内部壁6が形成され、これに、孔部20の下の位置から薬瓶の口部の高さまでを占めている内部壁6を除いた部分を塞いで閉じるゴム壁12がさらに含まれている注射薬瓶で実現することができる。図10に示すように、孔部20付き内部壁6と、側面15と下面16とを有し、ゴム壁12で充填されたゴム栓11を覆うアルミニウムキャップ14とを有する注射薬瓶によれば、内部壁6とゴム壁12とで、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とを区分して分離して密閉することができる。また、混合時にはアルミキャップ14を簡単に引き上げるだけで、ゴム栓11とゴム壁12とが引き上げられて孔部を露出させることができる。
【0030】
また、薬瓶の口部4のゴム栓11は、再びアルミニウムキャップ14で固定されるが、ゴム栓11をアルミニウムキャップ14とともに動かすため、ゴム栓11と接するアルミニウムキャップの側面15の所々を押え、アルミニウムキャップの押えた部分がゴム栓11の中に差し込まれるようにしたり、ゴム栓11の側面に一列に溝を作ってアルミニウムキャップがゴム栓11の側面に差し込まれるようにしたり、また、ゴム栓11とアルミキャップ14とを付着剤で固定したりすることができる。
【0031】
また、本発明は注射薬瓶に係り、薬瓶胴体の内部が2つ以上の空間に分れかることを特徴とするので、薬瓶蓋または栓の内側面には、前記薬瓶の内部を区分づけるためのゴム壁が存在する。従って、注射器で薬品を吸い取る時は、ゴム壁がない位置に注射器を挿入すべきである。本発明において、注射針の挿入部位は、ゴム壁により区分された2つ以上の空間のそれぞれに形成されることを特徴とする。混合された薬品注射液を注射器17で吸い取る時、ゴム栓11の中央にはゴム壁12があるため、注射針18はゴム壁12のないゴム栓11の位置に刺し込んで、図11に示すように、薬瓶をひっくり返して薬瓶の口部4が下になるようにした後、薬品注射液を吸い取る。この際、ゴム栓11の内側面を横切るゴム壁12を挟んで両側空間に薬品注射液が集まるため、注射針18をゴム壁12の両側空間にそれぞれ刺し込むことによって薬品注射液を全て吸い取ることができる。そこで、図5に示すように、一方の空間をゴム壁12で塞ぎ、塞いでいない他方の空間側のゴム栓11とアルミキャップ14の上面に注射針18を挿入する注射針の挿入部位19を形成する。一方の空間をゴム壁12で塞ぐ際は、薬瓶の内面壁から突出するガラス突起10を一つ設ける。また、どちらの空間もゴム壁で塞がない場合は、ガラス突起を二つ設けることができる。
【0032】
一方、本発明は、薬瓶胴体2の内部を、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とに区分づけるための内部壁6が設けられ、前記内部壁は薬瓶胴体2の底部から上方に向かって延伸し、ゴム壁12は、薬瓶を塞ぐゴム栓11の内側面から垂れ下がり、内部壁の上面7とゴム壁の下面13が互いに当接していることを特徴とするところ、薬瓶胴体2、ゴム栓11およびアルミキャップ14の材質はガラスまたはプラスチックのように石油由来の樹脂材または金属類素材のように、本発明の技術的特徴に属する範囲を逸脱しないものなら何れの素材を使用して製造される注射薬瓶も本発明の範囲に含まれる。このように本発明は注射薬瓶に関するが、前記薬瓶が食塩水、蒸留水または他の溶媒を溶かすと、破壊されたり変性したりする薬品や化学物質、微生物または微生物製剤を保管するための容器であることは、本発明の技術的な特徴が変更されない範囲内でいずれも製造できることは明らかである。
【0033】
さらに、本発明に係る技術的特徴を用いる薬瓶なら、薬瓶胴体2の内部に医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9に加えて、他の固体粉末又は溶媒を保管する部分を一つ以上設けるために、内部壁6およびゴム壁が2つ以上形成された注射薬瓶であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、医薬粉末や食塩水のような溶媒を一つの薬瓶で分離して保管し、注射用薬液として使用するときにそれぞれを混合することができる。そこで、医薬粉末と溶媒とを正確に、また簡便に混合することができ、混合に伴う時間の遅れや、異物混入の可能性を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る注射薬瓶の基本構造を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る注射薬瓶の他の形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る注射薬瓶の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る注射薬瓶の一例を示す断面図である。
【図5】本発明に係る注射薬瓶の他の一例を示す断面図である。
【図6】本発明に係る注射薬瓶のさらに他の一例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを引き上げた状態を示す断面図である。
【図8】本発明に係る注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを引き上げて回した状態を示す断面図である。
【図9】本発明に係る注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを直接回す断面図である。
【図10】本発明に係る注射薬瓶のゴム栓とアルミニウムキャップを上方に引き上げた状態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る注射薬瓶をひっくり返して注射器で薬品を吸い取る様子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 注射薬瓶
2 薬瓶胴体
3 薬瓶底部
4 薬瓶の口部
5 薬瓶のフランジ部
6 内部壁
7 内部壁の上面
8 医薬粉末を保管する部分
9 溶媒を保管する部分
10 突起
11 ゴム栓
12 ゴム壁
13 ゴム壁の下面
14 アルミニウムキャップ
15 アルミニウムキャップの側面
16 アルミニウムキャップの底面
17 注射器
18 注射針
19 注射針部位
20 孔部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬瓶胴体2の内部を、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とに区分づけるための内部壁6を有することを特徴とする注射薬瓶。
【請求項2】
前記内部壁6は、当該内部壁6のない上端部で前記医薬粉末を保管する部分8と前記溶媒を保管する部分9が連通するように、前記薬瓶胴体2の底部から前記薬瓶胴体2の前記上端部の下の位置まで形成されていることを特徴とする請求項1に記載の注射薬瓶。
【請求項3】
前記内部壁6は、前記薬瓶胴体2の底部から口部まで形成され、前記医薬粉末を保管する部分8と前記溶媒を保管する部分9が連通するように、上部に孔部を有することを特徴とする請求項1に記載の注射薬瓶。
【請求項4】
さらに、前記薬瓶胴体の前記口部から前記孔部の下まで内部壁のない空間を密閉するゴム壁を有することを特徴とする請求項3に記載の注射薬瓶。
【請求項5】
薬瓶胴体2の内部を、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9とに区分づけるために前記薬瓶胴体2の底部から上方に向かって延伸する内部壁6と、前記薬瓶を塞ぐゴム栓11の内側面から垂れ下がるゴム壁と、を有し、
前記内側壁の上面7と前記ゴム壁の下面13とが互いに当接していることを特徴とする注射薬瓶。
【請求項6】
前記内部壁6は、前記薬瓶胴体2の中心位置に、前記薬瓶胴体2の直径に相当する幅で縦方向に延伸するように形成され、前記ゴム壁12は、前記ゴム栓11の内側面の中心位置に、薬瓶胴体2の直径に相当する幅で縦方向に延伸するように形成されていることを特徴とする請求項5に記載の注射薬瓶。
【請求項7】
前記内部壁の上面7と前記ゴム壁の下面13とが互いに当接している部分は、∪字形または"∩"のような形状であることを特徴とする請求項5に記載の注射薬瓶。
【請求項8】
前記内部壁の上面7と前記ゴム壁の下面13とが互いに当接している部分は、凹凸構造(ノコギリ歯状)をなしていることを特徴とする請求項5に記載の注射薬瓶。
【請求項9】
前記ゴム壁12は、医薬粉末を保管する部分8または溶媒を保管する部分9のうちいずれか一方を一度で密閉できるように、ゴム栓11の面積の半分に相当する断面積を有し、前記ゴム栓11の内側面から垂れ下がっていることを特徴とする請求項5に記載の注射薬瓶。
【請求項10】
前記ゴム壁12は、前記ゴム栓11と一体に結合されて前記ゴム栓11の内側面から垂れ下がり、前記ゴム栓11が回ると、前記内部壁の上面7と前記ゴム壁の下面13との接触が離れ、前記内部壁との接合が外れるように回転することを特徴とする請求項5に記載の注射薬瓶。
【請求項11】
前記薬瓶胴体2の内側面には、前記ゴム壁が90°×奇数の角度で順に回転するように、前記内部壁と90°×奇数の角度だけ離れた位置に突起10が付加されることを特徴とする請求項10に記載の注射薬瓶。
【請求項12】
前記注射薬瓶を塞ぐゴム栓11は、前記ゴム栓11に固定されたアルミニウムキャップ14の側面が前記薬瓶のフランジ部5の下まで垂れ下がり、前記アルミニウムキャップの底面16の外側部分が前記薬瓶のフランジ部から離れるように膨れ出ており、前記アルミニウムキャップの底面16の内側部分が前記薬瓶のフランジ部に接触するように形成され、
前記アルミニウムキャップ14を上方に引っ張る場合、前記アルミキャップ14と前記ゴム栓11とがともに上方に引き上げられることを特徴とする請求項10に記載の注射薬瓶。
【請求項13】
前記ゴム壁12は、前記ゴム栓11を上方に引き上げなくても直接的に回転させることができるような優れた弾力性を有するゴム壁12であることを特徴とする請求項10に記載の注射薬瓶。
【請求項14】
薬瓶胴体2の底部から口部に向けて延伸するとともに、医薬粉末を保管する部分8と溶媒を保管する部分9が連通するように上端に孔部を有する内部壁6と、
前記薬瓶胴体の口部から前記孔部の下まで前記内部壁のない空間を密閉するゴム壁と、
ゴム栓11および当該ゴム栓11に固定されたアルミニウムキャップ14と、を備え、
前記アルミニウムキャップ14は、上方に引っ張られた際に、前記アルミニウムキャップ14と前記ゴム栓11とがともに上方に引き上げられて前記孔部が開くように、側面15が前記薬瓶のフランジ部5の下まで垂れ下がり、底面16の外側部分が前記薬瓶のフランジ部から離れるように膨れ出ており、底面16の内側部分が前記薬瓶のフランジ部の底面の内側に接触するように形成されていることを特徴とする注射薬瓶。
【請求項15】
前記注射薬瓶を塞ぐ前記ゴム栓11には、該ゴム栓11の下面に前記ゴム壁12が存在しない部分の反対側となる上面に、注射針の挿入部分19が形成されていることを特徴とする請求項10または12に記載の注射薬瓶。
【請求項16】
前記薬瓶胴体2、前記ゴム栓11および前記アルミニウムキャップ14は、ガラスまたは石油由来の樹脂材または金属材料で形成されていることを特徴とする請求項5、10、12または14に記載の注射薬瓶。
【請求項17】
前記薬瓶は、食塩水、蒸留水または他の溶媒に溶かすと、破壊されたり変性したりする薬品や化学物質、微生物または微生物製剤を保管するための容器であることを特徴とする請求項1、5、10、12または14に記載の注射薬瓶。
【請求項18】
前記薬瓶胴体2の内部にある前記医薬粉末を保管する部分8と前記溶媒を保管する部分9に加えて、他の固体粉末または溶媒を保管する部分を1つ以上設けるために、前記内部壁6が2つ以上形成されたことを特徴とする請求項1、5、10、12または14に記載の注射薬瓶。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−501468(P2008−501468A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−526967(P2007−526967)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【国際出願番号】PCT/KR2004/003413
【国際公開番号】WO2006/019211
【国際公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(506408645)
【出願人】(506408656)
【出願人】(506408667)
【Fターム(参考)】