説明

洗剤組成物

本発明は、特定のリパーゼ変異体および布帛色調剤を含む組成物、並びにかかる組成物を調製および使用する方法に関するものである。かかる組成物を特定の場所の洗浄および/または処理に使用することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リパーゼおよび布帛色調剤を含む組成物、並びに、このような生成物を作製および利用するプロセスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗剤用途に適しているリパーゼ酵素の出現によって、配合者は油脂の除去を向上させる新たなアプローチを得た。このような酵素は、一般的に見られる多くの脂肪質汚れ(皮脂、動物脂(例えばラード、ギー、バター)、植物油(例えばオリーブ油、ひまわり油、ピーナッツ油)など)の主構成要素を形成するトリグリセリドの加水分解を触媒する。しかしながら、これらの酵素は一般に、第1の洗浄サイクルでは性能が弱く、多くの場合、牛乳、クリーム、バター、ヨーグルトなどの乳製品の汚れに存在する脂肪の加水分解に起因すると考えられる悪臭を伴う。理論に束縛されるものではないが、このような汚れは、短鎖(例えばC)脂肪族アシル単位で官能化されているトリグリセリドを含んでおり、脂肪分解後に、前記脂肪族アシル単位が、悪臭を伴う揮発性脂肪酸を放出するため、リパーゼ誘導性の悪臭を発生させる傾向があると考えられる。このような酵素の性能を向上させたとしても、悪臭の問題は残る。従って、この技術の使用は非常に限られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
布帛色調剤とある種のリパーゼ変異体を組み合わせると、清浄性能効果が向上する一方で、許容不可能な悪臭が最小限に収まることを我々は見出した。理論に束縛されるものではないが、特定のリパーゼ変異体が油脂の除去レベルを向上させ、それによって布帛色調剤が布帛表面にさらに接触しやすくなり、その結果、付着性が向上するというメカニズムによって、このような効果が生じると考えられる。結果として得られる油汚れの除去度の向上と遮蔽性着色剤の付着性の向上が組み合わさることによって、布帛の外観の向上につながり、油汚れが十分除去されていない場合でも、脂肪が、より親水性の高い脂肪酸やモノおよびジグリセリドに加水分解されることで、遮蔽性着色剤の付着性が向上し、ひいては洗浄感が向上し、布帛上に存在している油汚れ内に付着している染料分子の存在が、悪臭を発生させる酵素活性を阻害することがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、布帛色調剤と、C末端伸張の付着がなく悪臭生成の可能性が軽減されているとともに優れた相対性能を備えるリパーゼ変異体を含む組成物に関するものである。このリパーゼ変異体は、親リパーゼ内で同定される1つ以上の領域内に突然変異を組み入れることによって得られる。従って、得られた変異体はリパーゼ活性を有するはずであり、相対性能として表した場合に親リパーゼの活性の80%以上である。
【0005】
配列リスト
配列番号1は、サーモミセスラノギノサス(Thermomyces lanoginosus)由来のリパーゼをエンコードするDNA配列を示している。
【0006】
配列番号2は、サーモミセスラノギノサス(Thermomyces lanoginosus)由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0007】
配列番号3は、アブシディアレフレクサ(reflexa)由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0008】
配列番号4は、アブシディアコリンビフェラ由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0009】
配列番号5は、リゾムコールミエヘイ(Rhizomucor miehei)由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0010】
配列番号6は、リゾプスオリゼー由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0011】
配列番号7は、アスペルギルスニガー由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0012】
配列番号8は、アスペルギルスツビンゲンシス(tubingensis)由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0013】
配列番号9は、フザリウムオキシスポラム(oxysporrum)由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0014】
配列番号10は、フザリウムヘテロスポラム(heterosporum)由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0015】
配列番号11は、アスペルギルスオリゼー由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0016】
配列番号12は、ペニシリウムカマンベルティ由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0017】
配列番号13は、アスペルギルスフォエティダス由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0018】
配列番号14は、アスペルギルスニガー由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0019】
配列番号15は、アスペルギルスオリゼー由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【0020】
配列番号16は、ランデリナペニサポラ(Landerina penisapora)由来のリパーゼのアミノ酸配列を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
定義
本明細書で使用する時、「洗浄組成物」という用語は、他に指示がない限り、顆粒または粉末形態の万能または「重質」洗浄剤、特に洗濯洗剤、液体、ゲルまたはペースト形態の万能洗浄剤、特にいわゆる重質液体型、液体の高級布帛用洗剤、手洗い食器洗浄剤、または軽質食器洗浄剤、特に高起泡型のもの、種々の錠剤、顆粒、液体および家庭および企業での使用のためのリンス補助型を含む機械食器洗浄剤、抗菌ハンドウォッシュ型、洗濯バー、うがい薬、義歯クリーナー、車またはカーペット用シャンプー、浴室クリーナーを含む液体洗浄剤および消毒剤、ヘアシャンプーおよびヘアリンス、シャワージェルおよび泡バスおよび金属クリーナー、並びに、漂白添加物質および「染み用スティック」、または前処理型のような洗浄補助剤を含む。
【0022】
本明細書で使用する時、「布帛色調剤」という用語は、洗剤組成物中に配合した場合、このような洗剤組成物を含む洗浄溶液に布帛を接触させると、このような布帛に付着し、このような布帛の色合いを変えることのできる染料または顔料を意味する。本出願の目的上、蛍光増白剤は布帛色調剤とはみなさない。
【0023】
本明細書で使用する時、「独立して、〜からなる群から選択される」という言い回しは、引用されるマルクーシュ群から選択される部分または要素が同じか、異なるか、または任意の要素の混合物であってもよいことを意味する。
【0024】
本出願の試験方法の項で開示する試験方法を用いて、本出願人らの発明のパラメータの各値を求めなければならない。
【0025】
特に記載のない限り、構成成分または組成物の濃度はすべて、前記構成成分または組成物の活性レベルに関するものであり、市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒または副生成物は除外されている。
【0026】
百分率および比率はすべて、特に指示がない限り、重量で計算されている。百分率および比率はすべて、特に指示がない限り、組成物全体を基準にして計算されている。
【0027】
本明細書を通じての所与のあらゆる最大数値限定は、あたかもこうしたより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように、より小さいすべての数値限定を含むと理解すべきである。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる最小数値限定は、それよりも大きいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも大きい数値限定を本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる数値範囲は、こうしたより広い数値範囲内に入る、それよりも狭いあらゆる数値範囲を、あたかもこうしたそれよりも狭い数値範囲がすべて本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0028】
引用するすべての文書は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いかなる文書の引用も、それが本発明に関して先行技術であるということの承認として解釈すべきではない。
【0029】
組成物
本発明の組成物は、布帛色調剤を約0.00003%〜約0.1%、約0.00008%〜約0.05%、またはさらには約0.0001%〜約0.04%、およびリパーゼを約0.0005%〜約0.1%、約0.001%〜約0.05%、またはさらには約0.002%〜約0.03%含んでよい。
【0030】
このような組成物は、いずれの形状、例えば洗浄組成物および/または処理組成物の形状などをとってもよい。
【0031】
前述の洗浄組成物のいずれかの態様のバランスは、1つ以上の補助剤で保たれている。
【0032】
適切なリパーゼ変異体
本発明の組成物のリパーゼは、C末端伸張はないが、親リパーゼの特定領域内に突然変異を持たせることによって、悪臭生成の傾向が軽減されているリパーゼ変異体である。
【0033】
親リパーゼ
親リパーゼは、「相同性とアラインメント」の項の定義に従った場合、配列番号2に示されているT.ラノギノサス(lanuginosus)の配列に対する相同性が少なくとも50%であるアミノ酸配列を有する真菌性リパーゼにしてよい。
【0034】
親リパーゼは、酵母ポリペプチド(カンジダ、クルイベロミセス(Kluyveromyces)、ピチア、サッカロミセス、シゾサッカロミセス、またはヤロウィア(Yarrowia)ポリペプチドなど)、またはさらに好ましくは、糸状菌ポリペプチド(アクレモニウム、アスペルギルス、オーレオバシディウム、クリプトコッカス、フィロバシディウム、フザリウム、フミコラ、マグナポルテ、ムコール、マイセリオフソラ(Myceliophthora)、ネオカリマスティクス、ニューロスポラ、ペシロミセス、ペニシリウム、ピロミセス、シゾフィラム、タラロミセス、サーモアスカス(Thermoascus)、ティラビア(Thielavia)、トリポクラディウム(Tolypocladium)、またはトリコデルマポリペプチドにしてよい。
【0035】
好ましい態様では、親リパーゼは、リパーゼ活性を有するサッカロミセスカールスベルゲンシス、サッカロミセスセレヴィシエ、サッカロミセスジアスタティカス(diastaticus)、サッカロミセスダグラシー(douglasii)、サッカロミセスクルイベリ(kluyveri)、サッカロミセスノルベンシス(norbensis)、またはサッカロミセスオビフォーミス(oviformis)ポリペプチドである。
【0036】
別の好ましい態様では、親リパーゼは、アスペルギルスアクレアタス(aculeatus)、アスペルギルスアワモリ、アスペルギルスフミガタス、アスペルギルスフォエティダス、アスペルギルスジャポニカス、アスペルギルスニダランス、アスペルギルスニガー、アスペルギスルオリゼー、アスペルギスルタービゲンシス(turbigensis)、フザリウムバクトリジオイデス(bactridioides)、フザリウムセレアリス(cerealis)、フザリウムクルークウェレンス(crookwellense)、フザリウムセルモラム、フザリウムグラミネアラム、フザリウムグラミナム(graminum)、フザリウムヘテロスポラム(heterosporum)、フザリウムネグンジ(negundi)、フザリウムオキシスポラム、フザリウムレティキュラタム(reticulatum)、フザリウムロゼウム、フザリウムサンブシウム(sambucinum)、フザリウムサルコクロウム(sarcochroum)、フザリウムスポロトリキオイデス、フザリウムサルフレウム(sulphureum)、フザリウムトルローサム(torulosum)、フザリウムトリコセシオイデス(trichothecioides)、フザリウムベネナタム(venenatum)、フミコラインソレンス、サーモミセスラノギノサス(Thermomyces lanoginosus)(別名:フミコララヌギノーズ(lanuginose))、ムコールミエヘイ(miehei)、マイセリオフソラサーモフィラ(Myceliophthora thermophila)、ニューロスポラクラッサ、ペニシリウムパルロゼラム、トリコデルマハルジアナム、トリコデルマコニンギ、トリコデルマロンギブラキアタム(longibrachiatum)、トリコデルマリーセイ(reesei)、またはトリコデルマビリデポリペプチドである。
【0037】
別の好ましい態様では、親リパーゼはサーモミセス(Thermomyces)リパーゼである。
【0038】
より好ましい態様では、親リパーゼはサーモミセスラノギノサス(Thermomyces lanuginosus)リパーゼである。さらに好ましい実施形態では、親リパーゼは配列番号2のリパーゼである。
【0039】
領域と置換の同定
以下で領域I〜領域IVと称されている位置は、配列番号2のアミノ酸残基の位置である。異なるリパーゼの相当(または相同)位を見つけるには、「相同とアラインメント」の部分に記載されている手順を用いる。
【0040】
領域I内の置換
領域Iは、N−末端残基E1を取り囲んでいるアミノ酸残基から構成されている。この領域では、より塩基性の高いアミノ酸で、親リパーゼのアミノ酸を置換するのが好ましい。1〜11位および223〜239位に相当するアミノ酸残基が領域Iに含まれている。1位、2位、4位、8位、11位、223位、227位、229位、231位、233位、234位、および236位が特に興味深い。具体的には、X1N/*、X4V、X227G、X231R、およびX233Rの置換が同定されている。
【0041】
好ましい実施形態では、親リパーゼの配列番号2に対する同一度は少なくとも80%(85%または90%など)、例えば少なくとも95%または96%または97%または98%または99%である。最も好ましい実施形態では、親リパーゼは配列番号2と同一である。
【0042】
領域II内の置換
領域IIは、アシル鎖の片側とアルコール部分の片側で基質と接しているアミノ酸残基から構成されている。この領域では、より塩基性の高いアミノ酸で、またはより疎水性の低いアミノ酸で、親リパーゼのアミノ酸を置換するのが好ましい。202〜211位および249〜269位に相当するアミノ酸残基が領域IIに含まれている。202位、210位、211位、253位、254位、255位、256位、259位が特に興味深い。具体的には、X202G、X210K/W/A、X255Y/V/A、X256K/R、およびX259G/M/Q/Vの置換が同定されている。
【0043】
好ましい実施形態では、親リパーゼの配列番号2に対する同一度は少なくとも80%(85%または90%など)、例えば少なくとも95%または96%または97%または98%または99%である。最も好ましい実施形態では、親リパーゼは配列番号2と同一である。
【0044】
領域III内の置換
領域IIIは、柔軟な構造を形成させるアミノ酸残基から構成されており、このため、基質が活性部位に入り込めるようになっている。この領域では、より塩基性の高いアミノ酸、またはより疎水性の低いアミノ酸で、親リパーゼのアミノ酸を置換するのが好ましい。82〜102位に相当するアミノ酸残基が領域IIIに含まれている。83位、86位、87位、90位、91位、95位、96位、99位が特に興味深い。具体的には、X83T、X86V、およびX90A/Rの置換が同定されている。
【0045】
好ましい実施形態では、親リパーゼの配列番号2に対する同一度は少なくとも80%(85%または90%など)、例えば少なくとも95%または96%または97%または98%または99%である。最も好ましい実施形態では、親リパーゼは配列番号2と同一である。
【0046】
領域IV内の置換
領域IVは、静電気によって表面に結合しているアミノ酸残基から構成されている。この領域では、より塩基性の高いアミノ酸で、親リパーゼのアミノ酸を置換するのが好ましい。27位および54〜62位に相当するアミノ酸残基が領域IVに含まれている。27位、56位、57位、58位、60位が特に興味深い。具体的には、X27R、X58N/AG/T/P、およびX60V/S/G/N/R/K/A/Lの置換が同定されている。
【0047】
好ましい実施形態では、親リパーゼの配列番号2に対する同一度は少なくとも80%(85%または90%など)、例えば少なくとも95%または96%または97%または98%または99%である。最も好ましい実施形態では、親リパーゼは配列番号2と同一である。
【0048】
その他の位置のアミノ酸
親リパーゼは所望により、その他のアミノ酸の置換、具体的にはその他の置換を10個未満または5個未満含んでよい。例は、親リパーゼの24位、37位、38位、46位、74位、81位、83位、115位、127位、131位、137位、143位、147位、150位、199位、200位、203位、206位、211位、263位、264位、265位、267位、および269位のうちの1つ以上に相当する置換である。ある特定の実施形態では、81位、143位、147位、150位、および249位に相当する位置の少なくとも1つに置換がある。好ましい実施形態では、少なくとも1つの置換は、X81Q/E、X143S/C/N/D/A、X147M/Y、X150G/K、およびX249R/I/Lからなる群から選択される。
【0049】
変異体は、規定領域I〜IVの外に置換を含んでよく、規定領域I〜IVの外の置換の数は、6個未満、または5個未満、または4個未満、または3個未満、または2個未満、例えば、5個または4個または3個または2個または1個であるのが好ましい。あるいは、変異体は、規定領域I〜IV以外では置換を全く含まない。
【0050】
さらに、置換は例えば、当該技術分野において既知の原則に従って生成させてもよい(例えば、WO92/05249号、WO94/25577号、WO95/22615号、WO97/04079号、およびWO97/07202号に記載されている置換など)。
【0051】
親リパーゼの変異体
ある1つの態様では、前記変異体は、前記親と比較した場合、少なくとも合わせて3個の置換を含んでおり、前記置換は、
a)領域I内の置換の少なくとも2つ、若しくは、少なくとも3つ、若しくは、少なくとも4つ、若しくは、少なくとも5つ、若しくは、少なくとも6つ、例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは、6つ、
b)領域II内の置換の少なくとも1つ、少なくとも2つ、若しくは、少なくとも3つ、若しくは、少なくとも4つ、若しくは、少なくとも5つ、若しくは、少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは、6つ、
c)領域III内の置換の少なくとも1つ、少なくとも2つ、若しくは、少なくとも3つ、若しくは、少なくとも4つ、若しくは、少なくとも5つ、若しくは、少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは、6つ、
d)および/または領域IV内の置換の少なくとも1つ、少なくとも2つ、若しくは、少なくとも3つ、若しくは、少なくとも4つ、若しくは、少なくとも5つ、若しくは、少なくとも6つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは、6つの置換群の1つ以上から選択されている。
【0052】
前記変異体には、その変異体の親に比べて、後掲の表1に列挙されている置換に相当する置換を含んでよい。
【表1】

【0053】
さらなる特定の実施形態では、親リパーゼは配列番号2と同一であり、表1の変異体は従って以下のとおりである。
【表2】

【0054】
アミノ酸修飾に関する命名法
本発明によるリパーゼ変異体について説明する際には、参照しやすくするために、元のアミノ酸:位置:置換済みアミノ酸という命名法を用いる。
【0055】
この命名法に従うと、例えば、195位でグルタミン酸をグリシンに置換したものはG195Eと表示する。同じ位置でグリシンが欠失したものはG195*と表示し、追加のアミノ酸残基、例えばリジンを挿入したものはG195GKと表示する。特異的なリパーゼは、他のリパーゼと比べると「欠失部分」を含んでいるとともに、そのような位置で挿入を行う場合で、36位にアスパラギン酸を挿入した時には、*36Dと表示する。複数の突然変異はプラス記号で区切る。すなわち、R170Y+G195Eは、チロシンをアルギニンに置換した170位の突然変異とグルタミン酸をグリシンに置換した195位の突然変異を表している。
【0056】
X231は、上記のアラインメント手順を適用した場合、231位に相当する親ポリペプチド中のアミノ酸を表す。X231Rは、アミノ酸がRで置換されていることを表す。配列番号2では、XはTであり、従ってX231Rは231位のTをRと置換したものを表す。ある位置(例えば231位)のアミノ酸が、アミノ酸の群、例えばR、PおよびYからなる群から選択される別のアミノ酸で置換されているような場合、これは、X231R/P/Yによって表されることになる。
【0057】
いずれのケースでも、IUPACによる1文字または3文字の正式なアミノ酸略称を採用する。
【0058】
アミノ酸のグループ化
本明細書では、アミノ酸は、pH10における電荷に応じて、負電荷アミノ酸、正電荷アミノ酸、または電気的に中性のアミノ酸に分類される。従って、負電荷アミノ酸はE、D、C(システイン)、およびY、とりわけEおよびDである。正電荷アミノ酸はR、K、およびH、とりわけRおよびKである。中性のアミノ酸は、ジスルフィド架橋の一部を形成している場合、G、A、V、L、I、P、F、W、S、T、M、N、Q、およびCである。同じグループ(負、正、または中性)の別のアミノ酸との置換は同類置換(conservative substitution)という。
【0059】
中性のアミノ酸は、疎水性または非極性のもの(ジスルフィド架橋の一部としてのG、A、V、L、I、P、F、W、およびC)と親水性または極性のもの(S、T、M、N、Q)に分けてよい。本明細書では、アミノ酸は、pH10における電荷に応じて、負電荷アミノ酸、正電荷アミノ酸、または電気的に中性のアミノ酸に分類される。従って、負電荷アミノ酸はE、D、C(システイン)、およびY、とりわけEおよびDである。正電荷アミノ酸はR、K、およびH、とりわけRおよびKである。中性のアミノ酸は、ジスルフィド架橋の一部を形成している場合、G、A、V、L、I、P、F、W、S、T、M、N、Q、およびCである。同じグループ(負、正、または中性)の別のアミノ酸との置換は同類置換(conservative substitution)という。
【0060】
中性のアミノ酸は、疎水性または非極性のもの(ジスルフィド架橋の一部としてのG、A、V、L、I、P、F、W、およびC)と親水性または極性のもの(S、T、M、N、Q)に分けてよい。
【0061】
アミノ酸の同一性
2つのアミノ酸配列または2つのヌクレオチド配列の相関性は、「同一性」というパラメータによって評される。
【0062】
本発明の目的上、2つのアミノ酸配列のアラインメントは、エンボス(EMBOSS)パッケージ(http://emboss.org)バージョン2.8.0内のニードル(Needle)というプログラムを用いることによって割り出す。ニードル(Needle)プログラムは、S.B.ニードルマン(Needleman)およびC.D.ワンチ(Wunsch)著(1970年)、分子生物学会誌(J. Mol. Biol.)48号、443〜453ページに記載されているグローバルアラインメントアルゴリズムを実行する。用いる置換マトリクスはBLOSUM62、ギャップオープニングペナルティは10、ギャップエクステンションペナルティは0.5である。
【0063】
本発明のアミノ酸配列(「発明配列」という。例えば配列番号2のアミノ酸1〜269)と、異なるアミノ酸配列(「異質配列」という)の同一性の程度は、2つの配列のアライメントの完全一致数を「発明配列」の長さまたは「異質配列」の長さのうち短い方で除した値として算出する。この結果を同一度(%)として表す。
【0064】
完全一致は、「発明配列」と「異質配列」に、同一のアミノ酸残基が重複部分の同じ位置に備わっている場合に発生する。配列の長さは、配列内のアミノ酸残基の数である(例えば配列番号2の長さは269である)。
【0065】
親リパーゼとT.ラヌギノサス(lanuginosus)リパーゼ(配列番号2)のアミノ酸同一度は少なくとも50%であり、特には、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、95%超、または98%超である。特定の実施形態では、親リパーゼはT.ラヌギノサス(lanuginosus)リパーゼ(配列番号2)と同一である。
【0066】
上記の手順は、同一性の計算に加えて相同性の計算とアラインメントでも用いてよい。本発明の文脈においては、相同性とアラインメントは、以下に記載されているとおりに計算されている。
【0067】
相同性とアラインメント
本発明の目的上、相同性の程度は、当該技術分野において既知のコンピュータープログラム、例えば、GCGプログラムパッケージに搭載されているGAP(ウィスコンシンパッケージ(Wisconsin Package)プログラムマニュアル、バージョン8、1994年8月、ジェネティックスコンピューターグループ(Genetics Computer Group)、53711米国ウィスコンシン州マジソン、サイエンスドライブ575)(S.B.ニードルスマン(Needleman)およびC.D.ワンチ(Wunsch)(1970年)、分子生物学会誌(Journal of Molecular Biology)48号、443〜45ページ)によって適切に割り出されると思われる(GAPは、ギャップ生成ペナルティが3.0、ギャップ伸長ペナルティが0.1のギャップポリペプチド配列比較用の設定で用いる)。
【0068】
本発明では、アブシディアレフレクサ(reflexa)、アブシディアコリムビフェラ、リズムコアミエヘイ(Rhizmucor miehei)、リゾープスデレマ、アスペルギルスニガー、アスペルギルスツビンゲンシス(tubigensis)、フザリウムオキシスポラム、フザリウムヘテロスポラム(heterosporum)、アスペルギルスオリゼー、ペニシリウムカマンベルディ、アスペルギルスフォエティダス、アスペルギルスニガー、サーモミセスラノギノサス(Thermomyces lanoginosus)(別名:フミコララヌギノーサ(Humicola lanuginosa))、およびランデリナペニサポラ(Landerina penisapora)のリパーゼ配列内の相当(または相同)位は、図1に示されているアラインメントによって定義されている。
【0069】
前記アラインメントに示されていないリパーゼ配列の相同位を確認するには、当該配列を、図1に示されている配列にアラインメントする。GAPプログラムによって明らかになった最も相同性の高い配列に対するGAPアラインメントを用いて、その新たな配列を、図1中の本アラインメントに合わせてアライメントする。GAPは、GCGプログラムパッケージウィスコンシンパッケージ(Wisconsin Package)プログラムマニュアル、バージョン8、1994年8月、ジェネティックスコンピューターグループ(Genetics Computer Group)、53711米国ウィスコンシン州マジソン、サイエンスドライブ575)(S.B.ニードルスマン(Needleman)およびC.D.ワンチ(Wunsch)(1970年)、分子生物学会誌(Journal of Molecular Biology)48号、443〜45ページ)に掲載されている。ギャップ生成ペナルティが3.0、ギャップ伸長ペナルティが0.1のギャップポリペプチド配列比較用の設定を用いる。
【0070】
親リパーゼはT.ラヌギノサス(lanuginosus)リパーゼ(配列番号2)に対し、少なくとも50%の相同性を有し、特には、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、95%超、または98%超を有する。特定の実施形態では、親リパーゼはT.ラヌギノサス(lanuginosus)リパーゼ(配列番号2)と同一である。
【0071】
ハイブリダイゼーション
本発明はさらに、リパーゼ活性を持つ分離ポリペプチドであって、厳密性が非常に低い条件、好ましくは厳密性が低い条件、より好ましくは厳密性が中度である条件、さらに好ましくは厳密性が中の上である条件、さらに好ましくは厳密性が高い条件、最も好ましくは厳密性が非常に高い条件の下で、(i)配列番号1のヌクレオチド178〜660、(ii)配列番号1のヌクレオチド178〜660に含まれているcDNA配列、(iii)(i)若しくは(ii)の部分配列、または(iv)(i)、(ii)、若しくは(iii)の相補鎖とハイブリダイゼーションするポリヌクレオチドによってエンコードされている分離ポリペプチドに関するものである(J.サンブルック(Sambrook)、E.F.フリッチェ(Fritsch)、およびT.マニアタス(Maniatus)、1989年、「分子クローニング、実験マニュアル(Molecular Cloning, A Laboratory Manual)」第2版、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク)。配列番号1の部分配列は、少なくとも100個の連続したヌクレオチド、または好ましくは少なくとも200個の連続したヌクレオチドを含む。さらには、前記部分配列は、リパーゼ活性を持つポリペプチド断片をエンコードしてもよい。
【0072】
鎖長が少なくとも100個のヌクレオチドの長いプローブでは、厳密性が非常に低い条件から非常に高い条件は、5X SSPE、0.3%SDS、200μg/mLの断片化変性サケ精子DNA、および厳密性が非常に低い場合と低い場合には25%のホルムアミド、厳密性が中度である場合と中の上である場合には35%のホルムアミド、厳密性が高い場合と非常に高い場合には50%のホルムアミド中、42℃でプレハイブリダイゼーションおよびハイブリダイゼーションを行った後に、標準的なサザンブロッティング手順を最適に行うものとして定義する。
【0073】
鎖長が少なくとも100個のヌクレオチドの長いプローブでは、前記担体物質は最後に、2X SSC、0.2%SDSを用いて、好ましくは少なくとも45℃で(厳密性が非常に低い場合)、より好ましくは少なくとも50℃で(厳密性が低い場合)、さらに好ましくは少なくとも55℃で(厳密性が中度である場合)、さらに好ましくは少なくとも60℃で(厳密性が中の上である場合)、さらに好ましくは少なくとも65℃で(厳密性が高い場合)、最も好ましくは少なくとも70℃で(厳密性が非常に高い場合)、3回、それぞれにつき15分間洗浄する。
【0074】
DNA配列、発現ベクター、宿主細胞、リパーゼの生成
本発明は、本発明のリパーゼをエンコードするDNA配列、前記DNA配列を組み入れる発現ベクター、および前記DNA配列または前記発現ベクターを含む形質転換宿主細胞を提供する。これらは、当該技術分野において既知の方法によって得てよい。
【0075】
本発明は、リパーゼの生成を促す条件下で前記形質転換宿主細胞を培養し、得られた培養液からリパーゼを回収することによって、リパーゼを生成させる方法も提供する。この方法は、当該技術分野において既知の原理に従って実施してよい。
【0076】
リパーゼ活性
−中性のpHにおけるトリブチリンのリパーゼ活性(LU)
乳化剤としてアラビアゴムを用いてトリブチリン(グリセリントリブチレート)を乳化させることによって、リパーゼの基質を用意する。続いて、pHスタット滴定実験装置内で、トリブチリンを30℃、pH7または9で加水分解させる。リパーゼ活性の1単位(1LU)は、pH7において毎分1マイクロモルの酪酸を放出できる酵素の量に匹敵する。
【0077】
−ベネフィット・リスク(Benefit Risk)
悪臭リスクの低下との比較による性能を表すベネフィット・リスク係数は、BR=RPavg/Rとして定義する。本明細書に記載のリパーゼ変異体のBRは1より大きく、1.1より大きく、又、さらには1より大きく〜約1000であってよい。
【0078】
−平均相対性能(Average Relative Performance)
平均相対性能(RPavg)を算出する手順は、本明細書の実施例5に記載されている。本明細書に記載されているリパーゼ変異体の(RPavg)は、少なくとも0.8、少なくとも1.1、少なくとも1.5、又、さらには少なくとも2〜約1000にしてよい。
【0079】
適切な布帛色調剤(Fabric Hueing Agents)
蛍光増白剤は、少なくとも何らかの可視光線を放出する。対照的に、布帛色調剤は、可視光線スペクトルの少なくとも一部を吸収するため、表面の色合いを変えることができる。適切な布帛色調剤としては、本明細書の試験方法の項に記載の試験方法1の要件を満たす染料、染料−粘土共役体、および顔料が挙げられる。適切な染料としては、小分子染料およびポリマー染料が挙げられる。適切な小分子染料としては、以下からなる群から選択される少分子染料が挙げられる。
【0080】
(1)以下の式のトリス−アゾ系ダイレクトブルー染料
【化1】

式中、ナプチル環A、B、およびCの少なくとも2つがスルホネート基で置換されており、環Cは、5位をNHまたはNHPh基で置換してもよく、Xは、2つ以下のスルホネート基で置換されているベンジルまたはナフチル環であり、2位をOH基で置換してもよく、さらにNHまたはNHPh基で置換してもよい。
【0081】
(2)以下の式のビス−アゾ系ダイレクトバイオレット染料
【化2】

式中、ZはHまたはフェニルであり、環Aは、好ましくは矢印で示される位置がメチルおよびメトキシ基で置換されており、環Aはナフチル環であってもよく、Y基はベンジルまたはナフチル環であり、サルフェート基で置換されており、メチル基で1または2置換されてもよい。
【0082】
(3)以下の式のブルーまたはレッドアシッド染料
【化3】

式中、XおよびYの少なくとも1つは芳香族基でなければならない。1つの態様では、芳香族基は双方とも、置換ベンジルまたはナフチル基であってよく、このベンジルまたはナフチル基はアルキル、アルキルオキシ、またはアリールオキシ基などの非水溶化基で置換してよく、XおよびYはスルホネートまたはカルボキシレートなどの水溶化基で置換しなくてもよい。別の態様では、Xはニトロ基で置換したベンジル基であり、Yはベンジル基である。
【0083】
(4)以下の構造のレッドアシッド染料
【化4】

式中、Bはアルキル、アルキルオキシ、またはアリールオキシ基などの非水溶化基で置換されてもよいナフチルまたはベンジル基であり、Bはスルホネートまたはカルボキシレートなどの水溶化基で置換しなくてもよい。
【0084】
(5)以下の構造のジアゾ染料
【化5】

式中、XおよびYは、互いに独立して、水素、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシであり、Rαは水素またはアリールであり、ZはC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシル、またはカルボキシルであり、nは1、または2であり、mは0、1、または2であり、並びにこれらの塩およびこれらの混合物に相当する。
【0085】
(6)以下の構造のトリフェニルメタン染料
【化6】

【化7】

およびこれらの混合物。別の態様では、適切な小分子染料としては、カラーインデックス(染色業者およびカラーリスト協会(Society of Dyers and Colourists)、英国ブラッドフォード)番号がダイレクトバイオレット9、ダイレクトバイオレット35、ダイレクトバイオレット48、ダイレクトバイオレット51、ダイレクトバイオレット66、ダイレクトブルー1、ダイレクトブルー71、ダイレクトブルー80、ダイレクトブルー279、アシッドレッド17、アシッドレッド88、アシッドレッド150、アシッドバイオレット15、アシッドバイオレット17、アシッドバイオレット24、アシッドバイオレット49、アシッドブルー15、アシッドブルー17、アシッドブルー29、アシッドブルー40、アシッドブルー75、アシッドブルー80、アシッドブルー83、アシッドブルー90、アシッドブルー113、ベーシックバイオレット1、ベーシックバイオレット3、ベーシックバイオレット4、ベーシックバイオレット10、ベーシックバイオレット35、ベーシックブルー3、ベーシックブルー16、ベーシックブルー22、ベーシックブルー47、ベーシックブルー66、ベーシックブルー75、ベーシックブルー159、およびこれらの混合物からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。
【0086】
適切なポリマー染料としては、共役色原体を含むポリマー(染料−ポリマー共役体)、ポリマーの骨格鎖に共重合されている色原体を有するポリマー、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。
【0087】
別の態様では、適切なポリマー染料としては、リキッティント(Liquitint)(登録商標)(ミリケン(Milliken)、米国サウスカロライナ州スパータンバーグ)の名称で市販されている布帛直接着色剤、並びに少なくとも1つの反応染料と、ヒドロキシル部分、1級アミン部分、2級アミン部分、チオール部分、およびこれらの混合物からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーから形成されている染料−ポリマー共役体が挙げられる。さらに別の態様では、適切なポリマー染料としては、リキッティント(Liquitint)(登録商標)(ミリケン(Milliken)、米国サウスカロライナ州スパータンバーグ)バイオレットCT(Violet CT)、およびリアクティブブルー、リアクティブバイオレット、またはリアクティブレッド染料で共役されているカルボキシメチルセルロース(CMC)(例えば、メガザイム(Megazyme)(アイルランド、ウィックロー)からアゾ−CM−セルロース(AZO-CM-CELLULOSE)という商品名(製品コードS−ACMC)で市販されているC.I.リアクティブブルー19で共役されているCMCなど)、およびこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。
【0088】
適切な染料粘土共役体としては、少なくとも1つのカチオン性/塩基性染料とスメクタイト粘土を含む群から選択される染料粘土共役体、およびこれらの混合物が挙げられる。別の態様では、適切な染料粘土共役体としては、C.I.ベーシックイエロー1〜108、C.I.ベーシックオレンジ1〜69、C.I.ベーシックレッド1〜118、C.I.ベーシックバイオレット1〜51、C.I.ベーシックブルー1〜164、C.I.ベーシックグリーン1〜14、C.I.ベーシックブラウン1〜23、C.I.ベーシックブラック1〜11からなる群から選択される1つのカチオン性/塩基性染料、並びにモンモリロナイト粘土、ヘクトライト粘土、サポナイト粘土およびこれらの混合物からなる群から選択される粘土、からなる群から選択される染料粘土共役体、が挙げられる。さらに別の態様では、適切な染料粘土共役体としては、モンモリロナイトベーシックブルーB7C.I.42595共役体、モンモリロナイトベーシックブルーB9C.I.52015共役体、モンモリロナイトベーシックバイオレットV3C.I.42555共役体、モンモリロナイトベーシックグリーンG1C.I.42040共役体、モンモリロナイトベーシックレッドR1C.I.45160共役体、モンモリロナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、ヘクトライトベーシックブルーB7C.I.42595共役体、ヘクトライトベーシックブルーB9C.I.52015共役体、ヘクトライトベーシックバイオレットV3C.I.42555共役体、ヘクトライトベーシックグリーンG1C.I.42040共役体、ヘクトライトベーシックレッドR1C.I.45160共役体、ヘクトライトC.I.ベーシックブラック2共役体、サポナイトベーシックブルーB7C.I.42595共役体、サポナイトベーシックブルーB9C.I.52015共役体、サポナイトベーシックバイオレットV3C.I.42555共役体、サポナイトベーシックグリーンG1C.I.42040共役体、サポナイトベーシックレッドR1C.I.45160共役体、サポナイトC.I.ベーシックブラック2共役体、およびこれらの混合物からなる群から選択される染料粘土共役体が挙げられる。
【0089】
適切な顔料としては、フラバントロン(flavanthrone)、インダントロン、1〜4個の塩素原子を有する塩素化インダントロン、ピラントロン(pyranthrone)、ジクロロピラントロン(dichloropyranthrone)、モノブロモジクロロピラントロン(monobromodichloropyranthrone)、ジブロモジクロロピラントロン(dibromodichloropyranthrone)、テトラブロモピラントロン(tetrabromopyranthrone)、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸ジイミド(イミド基はC1〜C3−アルキルまたはフェニルまたは置換されていないかまたは複素環式ラジカルで置換されていてもよく、フェニルおよび複素環式ラジカルはさらに水溶性を付与しない置換を有していてもよい)、アントラピリミジンカルボン酸アミド、ビオラントロン(violanthrone)、イソビオラントロン(isoviolanthrone)、ジオキサジン染料、銅フタロシアニン(1分子当たり2個以下の塩素原子を有していてもよい)、ポリクロロ−銅フタロシアニン、またはポリブロモクロロ−銅フタロシアニン(1分子当たり14個以下の臭素原子を有する)、およびこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0090】
別の態様では、適切な顔料としては、ウルトラマリンブルー(C.I.顔料ブルー29)、ウルトラマリンバイオレット(C.I.顔料バイオレット15)、およびこれらの混合物からなる群から選択される顔料が挙げられる。
【0091】
前述の布帛色調剤は、組み合わせて使用することができる(布帛色調剤の任意の混合物を使用することができる)。適切な布帛色調剤は、アルドリッチ(Aldrich)(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー)、チバスペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)(スイス、バーゼル)、BASF(ドイツ、ルートウィヒスハーフェン)、デイグローカラーコーポレーション(Dayglo Color Corporation)(インド、ムンバイ)、オーガニック・ダイスタフス(Organic Dyestuffs Corp.)(米国ロードアイランド州イーストプロビデンス)、ダイスター(Dystar)(ドイツ、フランクフルト)、ランクセス(Lanxess)(ドイツ、レバークーゼン)、メガザイム(Megazyme)(アイルランド、ウィックロー)、クラリアント(Clariant)(スイス、ムテンツ)、アベシア(Avecia)(英国マンチェスター)から購入可能であり、および/または本明細書に記載の実施例に従って調製可能である。
【0092】
補助剤物質
本発明の目的には必須でないが、以下に例示されている補助剤の非限定的なリストは、当該組成物中で使用するのに適しており、例えば、洗浄性能を補助若しくは向上させるために、洗浄すべき基材の処理のために、または香料、着色剤、染料などを用いる場合のように洗浄組成物の審美性を変化させるために、本発明の特定の実施形態に組み込むのが望ましい。このような追加成分の明確な性質およびそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態および使用すべき洗浄作業の性質に左右される。適切な補助剤物質としては、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、追加の酵素および酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予備形成済み過酸、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、構造伸縮性付与剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、溶媒、および/または顔料が挙げられるが、これらに限らない。下記の開示に加え、このようなその他の補助剤の適切な例および使用濃度は、米国特許第5,576,282号、米国特許第6,306,812B1号、および米国特許第6,326,348B1号に記載されており、これらは参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0093】
上述の如く、前記補助成分は、本出願人らの組成物に必須ではない。従って、本出願人らの組成物の特定の実施形態には、界面活性剤、ビルダー、キレート剤、移染防止剤、分散剤、追加の酵素および酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予備形成済み過酸、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、溶媒、および/または顔料の補助剤物質のうちの1つ以上を含んでいない。しかしながら、1つ以上の補助剤が存在する場合、このような1つ以上の補助剤は、以下に詳細に記載されているように存在してよい。
【0094】
漂白剤−本発明の洗浄組成物には、1つ以上の漂白剤を含んでよい。漂白触媒以外の適切な漂白剤としては、光漂白剤、漂白活性化剤、過酸化水素、過酸化水素源、予備形成過酸、およびこれらの混合物が挙げられる。一般的に、漂白剤を使用する場合、本発明の組成物には、漂白剤を標記洗浄組成物の約0.1重量%〜約50重量%またはさらには約0.1重量%〜約25重量%含んでよい。適切な漂白剤の例としては、以下のものが挙げられる。
(1)光漂白剤、例えばスルホン化亜鉛フタロシアニン
(2)予備形成済み過酸:適切な予備形成済み過酸としては、過カルボン酸および塩、過炭酸および塩、過イミド酸および塩、ペルオキシモノスルホン酸および塩(例えばオクシゾン(Oxzone)(登録商標)など)、並びにこれらの混合物からなる群から選択される化合物が挙げられるが、これらに限らない。適切な過カルボン酸としては、化学式R−(C=O)O−O−Mを有する疎水性、および親水性過酸が挙げられる。(式中、Rはアルキル基であり、所望により分岐しており、前記過酸が疎水性の場合には、6〜14個の炭素原子、または8〜12個の炭素原子を有し、前記過酸が親水性の場合には、6個未満の炭素原子、またはさらには4個未満の炭素原子を有し、Mは、対イオン、例えば、ナトリウム、カリウム、または水素である)
(3)アルカリ金属塩、例えばペルボレート(通常はモノまたはテトラハイドレート)、ペルカーボネート、ペルサルフェート、ペルホスフェート、ペルシリケート塩、およびこれらの混合物のナトリウム塩などの過酸化水素源(例えば無機ペルハイドレート塩)。本発明のある1つの態様では、前記無機ペルハイドレート塩は、ペルボレート、ペルカーボネート、およびこれらの混合物のナトリウム塩からなる群から選択される。無機ペルハイドレート塩(用いた場合)は、典型的には、全組成物の0.05〜40重量%、または1〜30重量%の量で存在し、典型的には、当該組成物中へ結晶固形物(コーティングされていてもよい)として組み込まれる。適切なコーティングとしては、無機塩(アルカリ金属シリケート、カーボネート若しくはボレート塩、またはこれらの混合物など)、または有機物質(水溶性若しくは分散性ポリマー、ワックス、油、または脂肪石鹸など)が挙げられる。
(4)R−(C=O)−Lを有する漂白活性化剤(前記式中、Rはアルキル基であり、所望に応じて分岐しており、前記漂白活性化剤が疎水性の場合には、6〜14個の炭素原子、または8〜12個の炭素原子を有し、前記漂白活性化剤が親水性の場合には、6個未満の炭素原子、またはさらには4個未満の炭素原子を有し、Lは脱離基である。適切な脱離基の例は、安息香酸およびその誘導体(特に、ベンゼンスルホネート)である。適切な漂白活性化剤としては、ドデカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシベンゼンスルホネート、デカノイルオキシ安息香酸またはその塩、3,5,5−トリメチルヘキサノイルオキシベンゼンスルホネート、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、およびノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)が挙げられる。適切な漂白活性剤はWO98/17767号にも開示されている。いずれかの適切な漂白活性化剤も使用してもよいが、本発明のある1つの態様では、標記洗浄組成物には、NOBS、TAED、またはこれらの混合物を含んでよい。
【0095】
過酸および/または漂白活性化剤(存在する場合)は一般に、組成物に対して約0.1〜約60重量%、約0.5〜約40重量%、またはさらには約0.6〜約10重量%の量で、組成物中に存在する。1つ以上の疎水性過酸またはその前駆体は、1つ以上の親水性過酸またはその前駆体と組み合わせて使用してよい。
【0096】
過酸化水素源および過酸または漂白活性化剤の量は、有効酸素(過酸化物源由来)と過酸のモル比が1:1〜35:1、またはさらには2:1〜10:1となるように選択してよい。
【0097】
界面活性剤−本発明による洗浄組成物は、界面活性剤または界面活性剤系を含んでよく、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、双極性界面活性剤、半極性非イオン性界面活性剤、およびこれらの混合物から選択してよい。界面活性剤(存在する場合)は典型的に、標記組成物の約0.1重量%〜約60重量%、約1重量%〜約50重量%またはさらには約5重量%〜約40重量%の濃度で存在させする。
【0098】
ビルダー−本発明の洗剤組成物は、1つ以上の洗剤ビルダーまたはビルダー系を含んでよい。ビルダーを使用する場合、標記組成物は典型的に、ビルダーを標記組成物の少なくとも約1重量%、約5重量%〜約60重量%、またはさらに約10重量%〜約40重量%含有する。ビルダーとしては、ポリホスフェートのアルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属シリケート、アルカリ土類およびアルカリ金属カーボネート、アルミノシリケートビルダーおよびポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレンまたはビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸およびカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン4酢酸およびニトリロ3酢酸のようなポリ酢酸の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩、並びに、例えばメリト酸、コハク酸、クエン酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸などのポリカルボキシレート、並びに、これらの可溶性塩が挙げられるが、これらに限らない。
【0099】
キレート剤−本明細書の洗浄組成物は、キレート剤を含有してもよい。好適なキレート剤としては、銅、鉄および/またはマンガンキレート剤およびこれらの混合物が挙げられる。キレート剤を使用する場合、標記組成物は、標記組成物の約0.005重量%〜約15重量%、またはさらに約3.0重量%〜約10重量%のキレート剤を含んでよい。
【0100】
移染防止剤−本発明の洗浄組成物は1つ以上の移染防止剤を含有してもよい。適切なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドンおよびポリビニルイミダゾール、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限らない。移染防止剤は、標記組成物中に存在する場合、組成物の約0.0001重量%〜約10重量%、約0.01重量%〜約5重量%、またはさらには約0.1重量%〜約3重量%の濃度で存在してよい。
【0101】
増白剤−本発明の洗浄組成物は、洗浄する物品に色合いを付けることのできる追加成分(蛍光増白剤など)を含むこともできる。適切な蛍光増白剤の濃度としては、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、さらには約0.2重量%の低い濃度から、0.5重量%またはさらには0.75重量%の高い濃度までが挙げられる。
【0102】
分散剤−本発明の組成物は分散剤も含むことができる。適切な水溶性有機物質としては、ホモポリマーまたはコポリマーの酸またはそれらの塩が挙げられ、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシルラジカルを含む。
【0103】
追加の酵素―洗浄組成物は、洗浄性能および/または布帛ケア効果を提供する1つ以上の酵素を含むことができる。適切な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、およびアミラーゼ、またはこれらの混合物が挙げられるが、これらに限らない。典型的な組み合わせは、例えば、プロテアーゼおよびリパーゼをアミラーゼとともに含んでよい酵素反応混液である。上述の追加酵素は、洗浄組成物に存在する場合、組成物の約0.00001重量%〜約2重量%、約0.0001重量%〜約1重量%、又、さらには約0.001重量%〜約0.5重量%の酵素タンパク質の濃度で存在してよい。
【0104】
酵素安定剤−種々の技法によって、洗剤で使用する酵素類を安定化させることができる。本発明で用いる酵素は、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを酵素に供給する最終組成物中カルシウムおよび/またはマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。プロテアーゼを含む水性組成物の場合、さらに安定性を向上させるために、可逆性蛋白質分解酵素抑制剤(ホウ素化合物など)を添加することができる。
【0105】
触媒金属錯体−本出願人らの洗浄組成物は、触媒金属錯体を含むことができる。ある1つのタイプの金属含有漂白触媒は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、またはマンガンの陽イオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属陽イオン、亜鉛またはアルミニウムの陽イオンのような、漂白触媒活性をほとんどまたは全く持たない補助金属陽イオン、並びに、触媒金属および補助金属の陽イオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン4酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)およびそれらの水溶性の塩を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号に開示されている。
【0106】
所望に応じて、本発明の組成物は、マンガン化合物を用いて触媒することができる。このような化合物および使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されているマンガン系触媒が挙げられる。
【0107】
本発明で有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号、米国特許第5,595,967号に記載されている。このようなコバルト触媒は、例えば米国特許第5,597,936号および米国特許第5,595,967号に教示されているような既知の手順によって容易に調製される。
【0108】
本発明の組成物は、配位子の遷移金属錯体(例えば、ビスピドン(bispidone)(WO05/042532A1号)および/または大多環状剛性配位子(「MRL」と略称されている)も適切に含んでてもよい。実際問題として、限定するためではないが、本発明の組成物および工程は、水性洗浄媒体において、少なくとも約1億分の1の活性MRL種を提供するように調整することができ、典型的には、約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、またはさらには約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄溶液中に提供する。
【0109】
本遷移金属漂白触媒における適切な遷移金属としては、例えばマンガン、鉄、およびクロムが挙げられる。適切なMRLとしては、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンが挙げられる。
【0110】
適切な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、WO00/32601号および米国特許第6,225,464号で教示されている手順によって容易に調製される。
【0111】
溶媒−適切な溶媒としては、水および他の溶媒(例えば、親油性流体)が挙げられる。−適切な親油性流体の例としては、シロキサン、その他のシリコーン、炭化水素、グリコールエーテル、例えばグリセリンエーテルなどのグリセリン誘導体、ペルフルオロ化アミン、ペルフルオロ化およびハイドロフルオロエーテル溶媒、低揮発性の非フッ素化有機溶媒、ジオール溶媒、環境に優しいその他の溶媒、並びに、これらの混合物が挙げられる。
【0112】
組成物の生成方法
本発明の組成物は、いずれかの適切な形状で配合可能であり、配合者に選択されるいずれかのプロセスによって調製可能であり、それらの非限定的な実施例は、本出願者の実施例、および米国特許第4,990,280号、米国特許第20030087791A1号、米国特許第20030087790A1号、米国特許第20050003983A1号、米国特許第20040048764A1号、米国特許第4,762,636号、米国特許第6,291,412号、米国特許第20050227891A1号、欧州特許第1070115A2号、米国特許第5,879,584号、米国特許第5,691,297号、米国特許第5,574,005号、米国特許第5,569,645号、米国特許第5,565,422号、米国特許第5,516,448号、米国特許第5,489,392号、米国特許第5,486,303号に記載されており、これらはすべて参照として本明細書に組み込まれる。
【0113】
使用方法
本発明は、ある場所、とりわけ表面または布帛を洗浄および/または処理する方法を含む。これらの方法は、本出願人の洗浄組成物の実施形態を、希釈していない形状で、または洗浄溶液中で希釈して、表面または布帛の少なくとも一部に接触させてから、所望により表面または布帛をすすぐ工程を含む。表面または布帛は、前記すすぎ工程の前に洗浄工程を経てもよい。本発明の目的上、洗浄としては、擦ることおよび機械的攪拌が挙げられるが、これらに限らない。当業者には明らかなように、本発明の洗浄組成物は理想的なことに、洗濯用途に用いるのに適している。そのため、本発明は布帛を洗濯する方法を含む。この方法は、洗濯すべき布帛を本出願の洗浄組成物の少なくとも1つの実施形態、洗浄添加物、またはこれらの混合物を含む前記洗浄洗濯溶液と接触させる工程を含む。布帛は、標準的な消費者の使用条件で洗濯できるいずれかの布帛の大部分を含んでよい。前記溶液のpHは約8〜約10.5であるのが好ましい。前記組成物は、溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で用いてよい。水温は、典型的には約5℃〜約90℃の範囲である。水対布帛の比率は、典型的には約1:1〜約30:1である。
【0114】
試験方法1
染料または顔料物質が本発明の意図する布帛色調剤であるかを定義するための手順を以下に記載する。
1)2つのターゴトメーターポットに英国ニューカッスルアポンタインの水道水(総硬度0.21g/l以下(12グレイン/米ガロン以下、ノーザンブリアンウォーター(Northumbrian Water)(英国ダーラム、ピティーミー)から供給)を800ml注ぐ。
2)ポットをターゴトメーターに挿入するとともに、試験中は水温を30℃に制御し、攪拌速度を4.2rad/s(40rpm)に設定する。
3)各ポットにIEC−B洗剤(IEC60456洗濯機用基準塩基洗剤タイプB(Washing Machine Reference Base Detergent Type B)、wfk(ドイツ、ブリュッゲン−ブラハト(Brueggen-Bracht))から供給)を4.8g加える。
4)2分後、第1のポットに活性着色剤を2.0mg加える。
5)1分後、5cm×5cmの材料見本に切断した平坦な綿肌着(ウォーウィックイクエスト(Warwick Equest)(英国ダーラム州コンセット)から供給)50gを各ポットに加える。
6)10分後、ポットの液を捨て、再度、ニューカッスルアポンタインの冷たい水道水(16℃)を注ぐ。
7)2分間すすいだ後、布帛を取り出す。
8)同じ処理を用いてさらに3回のサイクルで工程3〜7を繰り返す。
9)布帛を収集し、屋内で12時間自然乾燥させる。
10)D65光源およびUVA遮断フィルタを取り付けたハンターミニスキャン(Hunter Miniscan)スペクトロメーターを使用して材料見本を分析し、ハンターa(赤−緑軸)およびハンターb(黄−青軸)値を得る。
11)各組の布帛についてハンターaおよびハンターb値の平均値を計算する。着色剤で処理した評価対象布帛がa軸またはb軸のいずれかにおいて平均で0.2単位より大きい色調の差を示した場合、本発明の意図する布帛色調剤であると判断される。
【実施例】
【0115】
リパーゼ変異体の実施例
緩衝剤として用いる化学物質と基質は、少なくとも試薬用の市販品である。
【0116】
−媒質および溶液:LAS(サーファック(Surfac)PS(商標))およびゼオライトA(ウェサリス(Wessalith)P(商標))。用いるその他の成分は、標準的な実験用試薬である。
−材料:EMPA St.ガレン(スイス、St.ガレン、CH−9014レールヒェンフェルトシュトラーセ5)製のEMPA221
【0117】
(実施例1):酵素の生成
遺伝子エンコード型リパーゼを含むプラスミドを構築させ、当業界の標準的な方法を用いて適切な宿主細胞に移動させる。
【0118】
34℃の一定の媒質温度と1.2リットルの開始容量を用いて、フェッドバッチ発酵として発酵を行う。媒質の初期pHは6.5に設定する。pHが7.0まで上昇したら、10%H3PO4を加えることによって、この値を維持させる。媒質中の溶存酸素の濃度は、攪拌速度を変えるとともに、毎分1リットルの媒質あたり1.0リットルの空気という一定の通気速度を用いることによって制御する。フィード添加速度は、フェッドバッチ局面全体にわたって一定レベルに維持する。バッチ媒質は、炭素源としてのマルトースシロップ、窒素源としての尿素と酵母エキス、および微量金属と塩の混合物を含有した。フェッドバッチ局面中に連続的に添加させるフィード物は炭素源としてのマルトースシロップを含んでおり、その一方で、窒素の十分な供給を確保する目的で、酵母エキスと尿素を添加する。
【0119】
リパーゼの精製は、当該技術分野において既知の標準的な方法を用いることによって、例えば、発酵上澄みをろ過してから疎水性クロマトグラフィーとアニオン交換を、例えば欧州特許0 851 913号に記載されているとおりに実施することによって、行ってよい。
【0120】
(実施例2):相対性能(RP)を算出するためのAMSA(機械的応力自動測定装置)
本出願の酵素変異体は、機械的応力自動測定装置(AMSA)を用いて試験する。AMSAによる試験によって、大量の少容量酵素洗剤溶液の洗浄性能を調べることができる。AMSAのプレートには、試験溶液用の数多くのスロットと、洗浄する布帛見本をすべてのスロット開口部にしっかり押し込む蓋が備わっている。洗浄時間中、前記プレート、試験溶液、布帛、および蓋を力強く振り動かし、試験溶液を布帛と接触させるとともに、機械的応力を加えるようにする。さらなる説明は、WO02/42740号、特に23〜24ページの「特殊な方法の実施形態(Special method embodiments)」の項を参照されたい。洗剤試験溶液が入っている容器には、金属プレート内に円筒形の穴(直径6mm、奥行き10mm)が備わっている。汚れの付いた布帛(試験材)は、前記金属プレートの上に置き、蓋として用いて、前記容器の上を密封する。各容器からのあらゆる流出を防ぐために、別の金属プレートを、汚れの付いた前記布帛の上に置く。汚れの付いた前記布帛とともに前記2つの金属プレートを、30Hzの周波数と2mmの振幅で上下に揺り動かす。
【0121】
この測定は、以下に定めた実験条件の下で行う。
【表3】

【0122】
クリームウコン見本は、ウコン(デンマークのサンタマリア(Santa Maria))5gをクリーム(脂肪38%、デンマークのアルラ(Arla))100gと50℃で混合し、その混合物を前記温度で約20分間置き、(50℃で)ろ過して非溶解粒子をすべて除去することによって、調製する。前記混合物を20℃まで冷却し、綿布帛見本のEMPA221をクリーム−ウコン混合物に浸し、その後、一晩かけて室温で乾燥させ、使用時まで冷凍する。クリーム−ウコン見本の調製については、特許出願PA2005 00775号(2005年5月27日申請)に開示されている。
【0123】
酵素変異体の性能は、規定の酵素変異体を用いて洗浄した布帛サンプルの色の輝度として測定する。輝度は、白色光を照射した時に布帛サンプルから反射される光の強度として表すこともできる。布帛が汚れている場合、反射光の強度は、汚れていない布帛の強度よりも低い。従って、反射光の強度を用いて、酵素変異体の洗浄性能を測定することができる。
【0124】
色測定は、専門的なフラットベットスキャナー(PFU DL2400pro)によって行う。前記スキャナーを用いて、洗浄済み布帛サンプルの画像をキャプチャする。スキャンは、解像度200dpi、出力色深度24ビットで行う。正確な結果を得るために、スキャナーは、反射ターゲットのコダック(Kodak)IT8によって頻繁に較正する。
【0125】
スキャン済み画像から光強度の値を抽出するために、特別設計のソフトウェアアプリケーション(ノボザイムズカラーベクターアナライザー(Novozymes Color Vector Analyzer)を用いる。このプログラムは、画像から24ビットピクセルの値を読み出し、その値を赤・緑・青(RGB)の値に変換する。強度値(Int)は、ベクトルとしてRGBの値を合計してから、得られたベクトルの長さを以下に従って計算することによって割り出す。
【数1】

【0126】
酵素変異体の洗浄性能(P)は、以下の式に従って算出する。P=Int(v)−Int(r)
式中、Int(v)は、試験酵素で洗浄した布帛の表面の光度の値であり、Int(r)は、試験酵素無しで洗浄した布帛の表面の光度の値である。
【0127】
相対性能スコアは、「相対性能スコア(RP)は、基準酵素に対する試験酵素変異体の性能(P)の合計、つまり、RP=P(試験酵素)/P(基準酵素)である」という定義によるAMSA洗浄の結果として得られる。
【0128】
RPavgは、基準酵素と比較した場合の、4つのすべての酵素濃度(0.125、0.25、0.5、1.0mg ep/l)の平均相対性能を表す。
RPavg=avg(RP(0.125)、RP(0.25)、RP(0.5)、RP(1.0))
【0129】
変異体は、基準よりも優れた性能を発揮する場合、洗浄性能の向上をもたらすと考えられる。本発明の文脈においては、基準酵素は、置換T231R+N233Rを有する配列番号2のリパーゼである。
【0130】
(実施例3):リスク係数を割り出すためのGC(ガスクロマトグラフ)
以下の方法を用いて、固相マイクロ抽出ガスクロマトグラフ(SPME−GC)によって、リパーゼによって洗浄した見本から放出される酪酸を測定する。1mg/lのリパーゼを含む表3の規定溶液中で洗浄した4つの布帛断片(直径5mm)をガスクロマトグラフ(GC)用バイアル瓶に移す。スタビルワックス(Stabilwax)−DA w/インテグラ−ガード(Integra-Guard)というカラム(30m、内径0.32mm、膜厚0.25μm)とカーボクセン(Carboxen)PDMS SPMEというファイバーが備わっているバリアン(Varian)3800GC上で前記サンプルを分析する。各サンプルは予め、10分間、40℃でインキュベートしてから、SPMEファイバーによって、布帛断片の上のヘッドスペース内で20分サンプリングする。続いて、このサンプルをカラムの上に注出する(注出温度=250℃)。カラム流量は2ml ヘリウム/分である。カラムのオーブン温度勾配は、0分=40℃、2分=40℃、22分=240℃、32分=240℃である。酪酸をFID検出によって検出し、酪酸の検量線に基づき酪酸の量を算出する。
【0131】
リパーゼ変異体のリスク性能悪臭Rは、リパーゼ変異体によって洗浄した見本から放出される酪酸の量と、置換T231R+N233Rを有する配列番号2のリパーゼ(基準酵素)で洗浄した見本から放出される酪酸の量の、双方の値がリパーゼ無しで洗浄した見本から放出される酪酸の量に対して補正された後の、比率である。変異体のリスク(R)は、以下の式に従って計算する。
悪臭=1mgの酵素タンパク質で発現した酪酸(μg単位で測定)/l(空試験値に対して補正済み)
α試験酵素=悪臭試験酵素−空試験値
α基準酵素=悪臭基準酵素−空試験値
R=α試験酵素/α基準酵素
R係数が1未満である場合、変異体では基準酵素よりも悪臭が少ないと考えられる。
【0132】
(実施例4):280nmの吸光度に対する活性(LU)
280nmの吸光度に対するリパーゼの活性は、以下の測定LU/A280によって割り出す。
【0133】
リパーゼの活性は、上記のリパーゼ活性の項に記載されているとおりに割り出す。280nmにおけるリパーゼの吸光度を測定し(A280)、LU/A280の比率を算出する。相対LU/A280は、変異体のLU/A280を基準酵素のLU/A280で除した値として算出する。本発明の文脈においては、基準酵素は、置換T231R+N233Rを有する配列番号2のリパーゼである。
【0134】
(実施例5):BR(ベネフィット・リスク)
悪臭リスクの低下との比較における性能を表すベネフィット・リスク係数は、つまりBR=RPavg/Rとして定義する。
【0135】
BR係数が1超である場合、変異体では、洗浄性能の向上と悪臭の減少が見られると考えられる。
【0136】
上記の方法を適用すると、以下の結果を得られる。
【表4】

【0137】
基準リパーゼと表4の7および8の変異体は、WO2000/060063号に記載されている。
【0138】
(実施例6)
BR(ベネフィット・リスク)
ベネフィット・リスクは、表5に列挙されている変異体について測定した。ベネフィット・リスク係数は、実施例5に記載されているものと同じ方法で測定し、列挙されているすべての変異体で、ベネフィット・リスク係数が1超であることが分かった。
【表5−1】

【表5−2】

【表5−3】

【0139】
基準リパーゼはWO2000/060063号に記載されている。
【0140】
組成物の実施例
別段の指示がない限り、材料はアルドリッチ(Aldrich)(米国53201ウイスコンシン州ミルウォーキー私書箱2060)から入手することができる。
【0141】
(実施例1〜6)
手洗い用またはトップローディング式洗濯機用に設計されている顆粒状洗濯洗剤組成物
【表6】

【0142】
上記の組成物のいずれかを用いて、水中濃度600〜10000ppm(典型的な中央条件は2500ppmである)、25℃、および水:布の比率25:1によって、布帛を洗濯する。
【0143】
(実施例7〜10)
フロントローディング式自動洗濯機用に設計されている顆粒状洗濯洗剤組成物
【表7】

【0144】
上記の組成物のいずれかを用いて、水中濃度10,000ppm、20〜90℃、水:布の比率5:1で布帛を洗濯する。典型的なpHは約10である。
【0145】
(実施例11〜16)
【表8】

【0146】
(実施例1〜16):の組成物の原料および注記
平均脂肪族炭素鎖長がC11〜C12である直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、ステパン(Stepan)(米国イリノイ州ノースフィールド)から供給されている。
【0147】
12〜14ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドは、クラリアント(Clariant GmbH)(ドイツ、シュルツバッハ)から供給されている。
【0148】
AE3Sは、ステパン(Stepan)(米国イリノイ州ノースフィールド)から供給されているC12〜15アルキルエトキシ(3)サルフェートである。
【0149】
AE7は、ハンツマン(Huntsman)(米国ユタ州ソルトレークシティ)から供給されている、平均エトキシル化度が7のC12〜15アルコールエトキシレートである。
【0150】
ナトリウムトリポリホスフェートは、ローディア(Rhodia)(フランス、パリ)から供給されている。
【0151】
ゼオライトAは、インダストリアルゼオライト(UK)(Industrial Zeolite(UK)Ltd)(英国エセックス州グレイズ)から供給されている。
【0152】
1.6Rシリケートは、コマ(Koma)(チェコ共和国ネステミカ(Nestemica))から供給されている。
【0153】
ナトリウムカーボネートは、ソルベー(Solvay)(米国テキサス州ヒューストン)から供給されている。
【0154】
ポリアクリレートMW4500は、BASF(ドイツ、ルートウィヒスハーフェン)から供給されている。
【0155】
カルボキシメチルセルロースは、CPKelco(オランダ、アルンヘム)から供給されているフィンフィックス(Finnfix)(登録商標)BDAである。
【0156】
サビナーゼ(Savinase)(登録商標)、ナタラーゼ(Natalase)(登録商標)、ターマミル(Termamyl)(登録商標)、マンナウェイ(Mannaway)(登録商標)は、ノボザイムズ(Novozymes)(デンマーク、バグスバード(Bagsvaerd))から供給されている。
【0157】
実施例5の表4に記載されているリパーゼ変異体1〜5、およびこれらの混合物。
【0158】
蛍光増白剤1はチノパル(Tinopal)(登録商標)AMS、蛍光増白剤2はチノパル(Tinopal)(登録商標)CBS−X、スルホン化亜鉛フタロシアニンおよびダイレクトバイオレット9はペルガゾール(Pergasol)(登録商標)バイオレットBN−Zであり、これらはすべてチバスペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)(スイス、バーゼル)から供給されている。
【0159】
ジエチレントリアミン5酢酸は、ダウケミカル(Dow Chemical)(米国ミシガン州ミッドランド)から供給されている。
【0160】
ナトリウムペルカーボネートは、ソルベー(Solvay)(米国テキサス州ヒューストン)から供給されている。
【0161】
ナトリウムペルボレートは、デガッサ(Degussa)(ドイツ、ハーナウ)から供給されている。
【0162】
NOBSは、イーストマン(Eastman)(米国アーカンソー州ベーツビル)から供給されているナトリウムノナノイルオキシベンゼンスルホネートである。
【0163】
TAEDは、クラリアント(Clariant GmbH)(ドイツ、シュルツバッハ)からパーアクティブ(Peractive)(登録商標)のブランド名で供給されているテトラアセチルエチレンジアミンである。
【0164】
S−ACMCは、メガザイム(Megazyme)(アイルランド、ウィックロー)からアゾ−CM−セルロース(AZO-CM-CELLULOSE)という製品名、製品コードS−ACMCとして市販されている、C.I.リアクティブブルー19で共役されているカルボキシメチルセルロースである。
【0165】
ウルトラマリンブルーは、ホリデイピグメンツ(Holliday Pigments)(英国キングストンアポンハル)から供給されている。
【0166】
汚れ放出剤は、ローディア(Rhodia)(フランス、パリ)から供給されているリペロテックス(Repel-o-tex)(登録商標)PFである。
【0167】
アクリル酸/マレイン酸コポリマーは、分子量が70,000、アクリレート:マリエートが70:30であり、BASF(ドイツ、ルートウィヒスハーフェン)から供給されている。
【0168】
プロテアーゼは、ジェネンコアインターナショナル(Genencor International)(米国カリフォルニア州パロアルト)から供給されているFN3である。
【0169】
エチレンジアミン−N,N’−ジコハク酸、(S,S)異性体(EDDS)のNa塩は、オクテル(Octel)(英国エルズミアポート)から供給されている。
【0170】
ヒドロキシエタンジホスホネート(HEDP)は、ダウケミカル(Dow Chemical)(米国ミシガン州ミッドランド)から供給されている。
【0171】
泡抑制剤疑集体は、ダウコーニング(Dow Corning)(米国ミシガン州ミッドランド)から供給されている。
【0172】
HSASは、米国特許第6,020,303号および米国特許第6,060,443号で開示されているような中鎖分枝状アルキルサルフェートである。
【0173】
12〜14ジメチルアミンオキシドは、プロクター&ギャンブルケミカルズ(Procter & Gamble Chemicals)(米国オハイオ州シンシナティ)から供給されている。
【0174】
非イオン性物質は好ましくは、好ましくは平均エトキシル化度が9のC12〜C13エトキシレートである。
【0175】
プロテアーゼは、ジェネンコアインターナショナル(Genencor International)(米国カリフォルニア州パロアルト)から供給されている。
【0176】
リキッティント(Liquitint)(登録商標)バイオレットCTは、ミリケン(Milliken)(米国サウスカロライナ州スパータンバーグ)から供給されている。
*引用数字は100gあたりの酵素量(mg)
米国特許第4,597,898号に記載のとおり
BASFからルーテンシト(LUTENSIT)(登録商標)という商品名で販売されているとともに、WO 01/05874号に記載されているようなもの
【0177】
†本明細書に記載されているリパーゼ
本発明の特定の諸実施形態を図示し、記載してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく他の様々な変更および修正を実施できることが当業者には自明である。従って、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【図1】リパーゼのアラインメントを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
布帛色調剤および親リパーゼの変異体を含む組成物であって、前記変異体が、前記親と比較した場合、少なくとも合わせて3個の置換を含んでおり、前記置換が、
a)領域I内の少なくとも2つの置換、
b)領域II内の少なくとも1つの置換、
c)領域III内の少なくとも1つの置換、および/または
d)領域IV内の少なくとも1つの置換
の置換群の1つ以上から選択される、組成物。
【請求項2】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの領域I内の前記少なくとも2つの置換が、231位および233位に相当する位置の置換を含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項3】
前記リパーゼがさらに、231位および233位に相当する位置の前記親リパーゼのアミノ酸が、Rで置換されていることを特徴とする、請求項2に記載の洗剤組成物。
【請求項4】
前記変異体が、配列番号2の4位に相当する位置の置換を含む、請求項2に記載の洗剤組成物。
【請求項5】
配列番号2の4位に相当する位置の前記置換が、Vである、請求項4に記載の洗剤組成物。
【請求項6】
前記変異体が、配列番号2の227位に相当する位置の置換を含む、請求項2に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
配列番号2の227位に相当する位置の前記置換が、Gである、請求項6に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの前記領域II内の少なくとも1つの置換が、202位、211位、255位、および256位に相当する位置の置換からなる群から選択される置換を含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項9】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの前記少なくとも1つの置換が、X202G、X211L、X255Y/V、およびX256Kからなる群から選択されることを特徴とする、請求項8に記載の洗剤組成物。
【請求項10】
前記領域II内の少なくとも1つの置換が、210位に相当する位置の置換を含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項11】
210位に相当する位置が、X210Kを含む、請求項10に記載の洗剤組成物。
【請求項12】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの前記領域III内の少なくとも1つの置換が、86位および90位に相当する位置の置換からなる群から選択される置換を含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項13】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの前記少なくとも1つの置換が、X86VおよびX90A/Rからなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の洗剤組成物。
【請求項14】
前記領域III内の少なくとも1つの置換が、83位に相当する位置の置換を含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項15】
83位に相当する位置が、X83Tを含む、請求項14に記載の洗剤組成物。
【請求項16】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの領域IVの前記少なくとも1つの置換が、27位、58位、および60位に相当する位置の置換からなる群から選択される置換を含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項17】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの前記少なくとも1つの置換が、X27R、X58N/A/G/P/T、およびX60S/V/G/N/R/K/A/Lからなる群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の洗剤組成物。
【請求項18】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼがさらに、前記規定領域I〜IVの外側に少なくとも1つの置換を含むことを特徴とする、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項19】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの前記少なくとも1つの置換が、81位、147位、150位、および249位に相当する位置の置換からなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の洗剤組成物。
【請求項20】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼの前記少なくとも1つの置換が、X81Q/E、X147M/Y、X150G、およびX249R/I/Lからなる群から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の洗剤組成物。
【請求項21】
前記リパーゼがさらに、前記親リパーゼが、配列番号2と少なくとも90%同一であることを特徴とする、請求項2に記載の洗剤組成物。
【請求項22】
前記親リパーゼが配列番号2と同一であり、前記変異体が、
a)T231R+N233R+I255Y、
b)I202G+T231R+N233R、
c)I86V+L227G+T231R+N233R+P256K、
d)Q4V+S58N+V60S+T231R+N233R、
e)S58N+V60S+I90R+T231R+N233R、
f)I90A+T231R+N233R+I255V、
g)S58N+V60S+I86V+A150G+L227G+T231R+N233R+P256K、
h)S58N+V60S+L147M+F211L+T231R+N233R、
i)Q4V+S58A+V60S+S83T+I86V+A150G+E210K+L227G+T231R+N233R+P256K、
j)S58N+V60S+I86V+A150G+L227G+T231R+N233R+P256K
の置換群のうちの1つを含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項23】
前記親リパーゼが配列番号2と同一であり、前記変異体が、
a)Q4V+S58A+V60S+S83T+I86V+A150G+E210K+L227G+T231R+N233R+P256K、
b)S58N+V60S+I86V+A150G+L227G+T231R+N233R+P256K
の置換群のうちの1つを含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項24】
前記リパーゼ変異体が、本明細書で定めるとおりに測定した場合のベネフィット・リスクが1より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項25】
布帛色調剤、およびリパーゼ活性を有するポリペプチドを含み、前記ポリペプチドがさらに、本明細書で定められる試験条件において、少なくとも0.8の平均相対性能、および少なくとも1.1のベネフィット・リスクを有する、洗剤組成物。
【請求項26】
0.1%〜40%のアニオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の洗剤組成物。
【請求項27】
洗剤組成物が、洗浄および/または処理組成物である、請求項26に記載の洗剤組成物。
【請求項28】
表面または布帛を洗浄および/または処理する方法であって、表面または布帛を請求項1の組成物に接触させる工程、その後、所望により、前記表面または布帛を洗う、および/またはすすぐ工程、を含む、方法。
【請求項29】
前記リパーゼ変異体が、突然変異Q4V、S58N/A/G/P/T、190R、またはQ249I/Lの少なくとも1つを含む、配列番号2の変異体である、請求項1に記載の洗剤組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−523901(P2009−523901A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552344(P2008−552344)
【出願日】平成19年1月22日(2007.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2007/001594
【国際公開番号】WO2007/087243
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】