説明

洗浄モータノズル

【課題】本発明は、本体に内蔵したモータにより回転軸に取り付けられた洗浄ブラシを回転させると共に、回転軸に貫通した穴を開けたノズル先端から流体を噴射する洗浄モータノズルを提供する。
【解決手段】ホース取付金具5には圧力流体が供給され、回転軸7の貫通孔6からノズル嘴4のオリフィス孔19を経て洗浄ブラシ3の中央開口から圧力流体が噴射される。一方、固定子9のコイルが励磁され、前記固定子9と対向している永久磁石の回転子8が回転する。前記回転子8が回転すると、前記回転子8が固定されている回転軸7が一体に回転し、前記回転軸7の先端に螺合されているノズル嘴4が一体となって回転する。したがって、前記ノズル嘴4の先端に螺着されている洗浄ブラシ3も一体となって回転する。このようにして、洗浄ブラシ3の回転及圧力流体の相乗剥離効果により汚れを落とすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体に内蔵したモータにより洗浄ブラシを回転させると共に、回転軸のノズル先端から流体を噴射する洗浄モータノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体を数倍に増速させて噴射すると共に、流体の噴射速度を安定させることができる流体増速安定装置が知られている(特許文献1を参照)。
この公知技術では、圧力流体は噴射口からノズル螺管の貫通孔を通り、ノズル嘴のオリフィスからノズル孔に向かって噴射され、この噴射により、ノズル嘴及びノズル螺管を包囲するノズル室の空気が誘引され、ノズル室の空気はノズル孔内を圧力流体を囲むようにして圧力流体と一緒に外気に噴射されると共に、ノズル室には負圧が発生するので、蓋体の吸気口から外気が導入されるものである。
また、ハウジング内にモータロータとインペラが一体となっている軸流ポンプが公知である(特許文献2を参照)。
この公知技術は、ハウジング内に配置された円筒形モータロータの周方向回転を、ハウジングの内周面とこのモータロータの外周面で構成されたすべり軸受によって支持するとともに、モータロータの上流側端面及び下流側端面の近傍に、スラスト支持部材を配置する構成により、流体の流れの中心となるインペラの回転軸心上に、流体の流れを阻止する部材を配置することなく、モータロータの周方向の回転と、流体送出の反力によるスラスト方向の荷重とを支持することができるものである。
【特許文献1】特許第3638580号公報
【特許文献2】特開2006−37918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、本体に内蔵したモータにより回転軸に取り付けられた洗浄ブラシを回転させると共に、回転軸に貫通した穴を開けたノズル先端から流体を噴射する洗浄モータノズルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の洗浄モータノズルは、中央部分にブラシレスモータ、一端に洗浄ブラシ及びノズル嘴、他端にホース取付金具を夫々備えている洗浄モータノズルにおいて、前記ブラシレスモータは、中心に縦方向に貫通する貫通孔を設けた回転軸を有し、該回転軸の外周面に永久磁石からなる回転子を固定し、該回転子を隙間を空けて包囲するようにコイルからなる固定子を設け、前記回転軸先端には、中心にオリフィス孔を設けたノズル嘴を螺合し、前記回転軸の貫通孔と前記オリフィス孔とを連通させ、さらに前記ノズル嘴の外周囲に吸引室を形成するように吸引室形成盤で包囲し、前記ノズル嘴の外周には前記吸引室と連通する吸引孔を設け、前記ノズル嘴の先端には円盤状の洗浄ブラシを固定し、前記回転軸及びノズル嘴の回転に伴って洗浄ブラシ3が回転するように構成するものである。
前記ホース取付金具がスイベルジョイントを介して前記回転軸に連結され、前記回転軸の回転が前記ホース取付金具に伝達しないように構成する。
前記本体の下部には作業性を向上させるために取手を突出させて、片手で本体を操作できるようにし、さらに洗浄剤や研磨剤を供給するホースが前記吸引室に接続され、前記オリフィス孔に発生した負圧により前記吸引室から洗浄剤や研磨剤をノズル嘴に供給する。
前記回転軸の先端に連通孔を有するノズルが螺合され、該ノズルの外周囲を蔽う吸引室形成盤の内壁に先端先細りのオリフィスを有する吸引室を形成して、前記吸引室形成盤の外周に軸受を介して洗浄ブラシを回転可能に取り付け、前記オリフィス先端に面した洗浄ブラシの中心部には湾曲した羽根を有する水車を螺着し、前記オリフィスから噴出した高圧水を前記水車に受けて洗浄ブラシを回転させる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の洗浄モータノズルは、ホース取付金具から圧力流体が供給され、回転軸の貫通孔からノズル嘴のオリフィス孔を経て洗浄ブラシの中央開口から圧力流体が噴射される一方、固定子のコイルにDC/AC電源が供給されてコイルが励磁され、前記固定子と対向している永久磁石の回転子が回転すると、前記回転子が固定されている回転軸が一体に回転し、前記回転軸の先端に螺合されているノズル嘴が一体となって回転し、前記ノズル嘴の先端に螺着されている洗浄ブラシも一体となって回転するので、洗浄ブラシの回転及び圧力流体の相乗剥離効果により汚れを落とすことができる。
また、前記ノズル嘴の外周囲には吸引室が形成され、該吸引室には洗浄剤や研磨剤が供給されるので、圧力流体の噴射により負圧が発生し、ノズル嘴の吸引孔を介して洗浄剤や研磨剤が圧力流体に混入して、より洗浄効果を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の洗浄モータノズルの一実施例を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1は、本発明の洗浄モータノズルの縦断面図であり、図2は図1の左側先端部分を拡大した縦断面図であり、図3は図1の左方向から見た正面図であり、図4は図1の右方向から見た背面図である。
本発明の洗浄モータノズルの本体1は全体が略円筒体をなし、中央部分にブラシレスモータ2、左端に洗浄ブラシ3及びノズル嘴4、右端にホース取付金具5を夫々備えている。
前記ブラシレスモータ2は、中心に縦方向に貫通する貫通孔6を設けた回転軸7を有し、該回転軸7の外周面に永久磁石からなる回転子8を固定し、該回転子8を隙間を空けて包囲するようにコイルからなる固定子9を設け、該固定子9は本体1を外被するケース10に固定され、該ケース10は両端を軸受取付盤11により固定支持される。
したがって、前記回転軸7は、前記軸受取付盤11により両端を軸受12により回転可能に支持されて、前記固定子9のコイルが励磁されることにより永久磁石からなる回転子8が回転し、それに伴って前記回転軸7が回転する。
【0007】
図2に示すように、前記回転軸7の左端には段部13が形成され、該段部13に軸受12が嵌合され、回転軸7先端に設けたネジ山14に座金15を介してナット16を螺合して前記軸受12を押えると共に、軸受押え17をボルト18により前記軸受取付盤11に螺合して前記軸受12を押える。
前記回転軸7先端には、中心にオリフィス孔19を設けたノズル嘴4をネジ山34に螺合し、回転軸7の貫通孔6と前記オリフィス孔19とを連通させる。
さらに、前記ノズル嘴4の外周囲に吸引室20を形成するように吸引室形成盤21で包囲し、前記ノズル嘴4の外周には前記吸引室20と連通する吸引孔22を設ける。
前記ノズル嘴4と前記吸引室形成盤21、ノズル嘴4と前記軸受押え17との間には隙間35又はシール36を形成し、前記ノズル嘴4の回転に支障がないように前記吸引室形成盤21がボルト18を介して前記軸受押え17に固定される。
前記ノズル嘴4の先端には円盤状の洗浄ブラシ3を固定し、前記回転軸7及びノズル嘴4の回転に伴って洗浄ブラシ3が回転するように構成する。
なお、前記洗浄ブラシ3の中央部には、前記ノズル嘴4のオリフィス孔19を通って噴射される流体の噴出し用の嵌合開口部23が設けられている。
また、前記洗浄ブラシ3は、回転中に洗浄ブラシ3が緩まないように、回転方向と逆方向のネジ山37への螺合により前記ノズル嘴4先端に螺着される。
【0008】
図3に示すように、中心部に流体噴出用の嵌合開口部23が形成されてノズル嘴4に螺合され、ノズル嘴4の先端外周を洗浄ブラシ3が囲むようになっており、前記洗浄ブラシ3は本体1より小径に形成されている。
又、本体1の下部には作業性を向上させるために取手24を突出させて、片手で本体1を操作できるようにし、さらに洗浄剤や研磨剤を供給するホース25が前記吸引室20に接続され、前記オリフィス孔19に発生した負圧により前記吸引室20から洗浄剤や研磨剤をノズル嘴4に供給することができるようにする。
【0009】
図4に示すように、中心部にホース取付金具5がスイベルジョイント26を介して前記回転軸7に連結され、前記回転軸7の回転が前記ホース取付金具5に伝達しないように構成する。
なお、3本の棒ネジボルト27は前後の前記軸受取付盤11を相互に連結し、本体1のケース10を固定する役目をしている。
また、前記ホース取付金具5には図示しないホースを介して圧力流体、例えば高圧水が供給される。
なお、図3に示す回転軸7の左端と同様に、前記回転軸7の右端も段部13が形成され、該段部13に軸受12が嵌合され、回転軸7後端に設けたネジ山14に座金15を介してナット16を螺合して前記軸受12を押えると共に軸受押え17をボルト18により前記軸受取付盤11に螺合して前記軸受12を押える。
【0010】
次に、本発明の洗浄モータノズルの操作動作を添付図面に基づいて、以下に説明する。
図1において、ホース取付金具5には図示しないホースが接続され、圧力流体、例えば圧縮空気や高圧水が供給され、回転軸7の貫通孔6からノズル嘴4のオリフィス孔19を経て洗浄ブラシ3の中央開口から圧縮空気や高圧水が噴射される。
一方、図示しない電源コードを介して固定子9のコイルにDC/AC電源が供給されてコイルが励磁され、前記固定子9と対向している永久磁石の回転子8が回転する。
前記回転子8が回転すると、前記回転子8が固定されている回転軸7が一体に回転し、前記回転軸7の先端に螺合されているノズル嘴4が一体となって回転する。
したがって、前記ノズル嘴4の先端に螺着されている洗浄ブラシ3も一体となって回転する。
このようにして、前記洗浄ブラシ3が回転し、且つ洗浄ブラシ3の中央から圧縮空気や高圧水が噴出するので、洗浄ブラシ3の回転及び圧縮空気や高圧水の相乗剥離効果により汚れを落とすことができる。
また、前記ノズル嘴4の外周囲には吸引室20が形成され、該吸引室20には洗浄剤や研磨剤が供給されるので、圧縮空気や高圧水の噴射により負圧が発生し、ノズル嘴4の吸引孔22を介して洗浄剤や研磨剤が圧縮空気や高圧水に混入して、より洗浄効果を向上させることができる。
【0011】
次いで、本発明の洗浄モータノズルの他の実施例を図5に基づいて、以下に説明する。
洗浄ブラシ3の取り付け及び回転動作が相違するのみで、その他の構成は前述した洗浄モータノズルとは変わらない。
図5の拡大要部縦断面図に示すように、回転軸7の先端に連通孔28を有するノズル29が螺合され、該ノズル29の外周囲を蔽う吸引室形成盤21の内壁に先端先細りのオリフィス30を有する吸引室20を形成する。
そして、前記吸引室形成盤21の外周に軸受12を介して洗浄ブラシ3を回転可能に取り付け、前記オリフィス30先端に面した洗浄ブラシ3の中心部には湾曲した羽根31を有する水車32を螺着し、前記オリフィス30から噴出した圧縮空気や高圧水を前記水車32に受けて洗浄ブラシ3を回転させる。
なお、前記羽根31を取り付ける水車32の取付部には水抜き窓33を形成して、前記羽根31で受けた圧縮空気や高圧水を前方へ放出して回転するように形成する。
【0012】
次に、本発明の他の実施例の洗浄モータノズルの操作動作を図5に基づいて、以下に説明する。
図5に示す回転軸7の貫通孔6には圧縮空気や高圧水が供給され、前記回転軸7に螺着されたノズル29の連通孔28から圧縮空気や高圧水が吸引室20のオリフィス30に向かって噴出される。
その際、前記回転軸7及びノズル29は、ブラシレスモータ2により回転されており、貫通孔6及び連通孔28を通った圧縮空気や高圧水は周方向への回転が付与され、圧縮空気や高圧水が吸引室20のオリフィス30に向かって噴出される。
前記オリフィス30を出た圧縮空気や高圧水は、水車32の羽根31に当たり、前記羽根31の湾曲面に沿って流れるため水車32に回転力を生じさせ、さらに水車32を螺着している洗浄ブラシ3を回転させる。
このようにして、前記洗浄ブラシ3が回転し、且つ洗浄ブラシ3の中央から圧縮空気や高圧水が噴出すので、洗浄ブラシ3の回転及び圧縮空気や高圧水の相乗剥離効果により汚れを落とすことができる。
また、前記ノズル29の周囲にはオリフィス30を有する吸引室20が形成され、該吸引室20にはホース25を介して洗浄剤や研磨剤が供給されているので、圧縮空気や高圧水のノズル29からの噴射により負圧が発生し、前記吸引室20を介して洗浄剤や研磨剤が圧縮空気や高圧水に混入して、より洗浄効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の洗浄モータノズルの縦断面図である。
【図2】本発明の洗浄モータノズルの拡大要部縦断面図である。
【図3】本発明の洗浄モータノズルの正面図である。
【図4】本発明の洗浄モータノズルの背面図である。
【図5】本発明の洗浄モータノズルの他の実施例の拡大要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 本体
2 ブラシレスモータ
3 洗浄ブラシ
4 ノズル嘴
5 ホース取付金具
6 貫通孔
7 回転軸
8 回転子
9 固定子
10 ケース
11 軸受取付盤
12 軸受
13 段部
14 ネジ山
15 座金
16 ナット
17 軸受押え
18 ボルト
19 オリフィス孔
20 吸引室
21 吸引室形成盤
22 吸引孔
23 嵌合開口部
24 取手
25 ホース
26 スイベルジョイント
27 棒ネジボルト
28 連通孔
29 ノズル
30 オリフィス
31 羽根
32 水車
33 水抜き窓


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部分にブラシレスモータ、一端に洗浄ブラシ及びノズル嘴、他端にホース取付金具を夫々備えている洗浄モータノズルにおいて、前記ブラシレスモータは、中心に縦方向に貫通する貫通孔を設けた回転軸を有し、該回転軸の外周面に永久磁石からなる回転子を固定し、該回転子を隙間を空けて包囲するようにコイルからなる固定子を設け、前記回転軸先端には、中心にオリフィス孔を設けたノズル嘴を螺合し、前記回転軸の貫通孔と前記オリフィス孔とを連通させ、さらに前記ノズル嘴の外周囲に吸引室を形成するように吸引室形成盤で包囲し、前記ノズル嘴の外周には前記吸引室と連通する吸引孔を設け、前記ノズル嘴の先端には円盤状の洗浄ブラシを固定し、前記回転軸及びノズル嘴の回転に伴って洗浄ブラシが回転するように構成することを特徴とする洗浄モータノズル。
【請求項2】
前記ホース取付金具がスイベルジョイントを介して前記回転軸に連結され、前記回転軸の回転が前記ホース取付金具に伝達しないように構成することを特徴とする請求項1記載の洗浄モータノズル。
【請求項3】
前記本体の下部には作業性を向上させるために取手を突出させて、片手で本体を操作できるようにし、さらに洗浄剤や研磨剤を供給するホースが前記吸引室に接続され、前記オリフィス孔に発生した負圧により前記吸引室から洗浄剤や研磨剤をノズル嘴に供給することを特徴とする請求項1記載の洗浄モータノズル。
【請求項4】
前記回転軸の先端に連通孔を有するノズルが螺合され、該ノズルの外周囲を蔽う吸引室形成盤の内壁に先端先細りのオリフィスを有する吸引室を形成して、前記吸引室形成盤の外周に軸受を介して洗浄ブラシを回転可能に取り付け、前記オリフィス先端に面した洗浄ブラシの中心部には湾曲した羽根を有する水車を螺着し、前記オリフィスから噴出した高圧水を前記水車に受けて洗浄ブラシを回転させることを特徴とする請求項1記載の洗浄モータノズル。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−29651(P2008−29651A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207289(P2006−207289)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(302040700)有限会社ベイクルーズ (5)
【Fターム(参考)】