説明

洗浄装置および作業用ゴム手袋洗浄方法

【課題】洗浄性能がよく、純水の消費量も少なく、設置場所の変更も容易である洗浄装置とその装置を利用する作業用手袋洗浄方法を提供する。
【解決手段】この作業用手袋洗浄方法は、作業用手袋洗浄装置1を使用して作業用手袋7を洗浄する方法であって、該洗浄装置1は、洗浄開口部4aをもつ洗浄用チャンバ4に固定される洗浄ノズルユニット2を有しており、洗浄ノズルユニット2は、2流体混合ノズルを構成する純水側ノズル21とガス側ノズル22とからなり、ガス側ノズル22からガス17を噴出させると、ガス17の噴出に連れて純水16が純水側ノズル21から霧化状態で噴出する。洗浄開口部4aにかざした手袋7に向けて上述したガス17と霧化状態の純水16を噴出させることによって該手袋7の洗浄が行われ、引き続いて、ガス17のみをガス側ノズル22から噴出させて手袋7の乾燥を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置および作業者に装着された作業用ゴム手袋を洗浄する作業用ゴム手袋洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
精密機械におけるレンズや撮像素子等の部品を取り扱うクリーンルーム内において、撮像素子などは、専用の洗浄装置で洗浄されるが、該撮像素子を扱うための作業用ゴム手袋は、作業前に別途に洗浄する必要がある。従来の該作業用ゴム手袋の洗浄装置としては、据置型が多く、水道水を用い、洗剤によってゴム手袋を洗うものであり、また、洗浄後、別途に設けられた乾燥機によって上記ゴム手袋の乾燥を行うことが必要である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の作業用ゴム手袋洗浄装置は、移動できない据置型であり、使用する場所を変えることができない装置であった。また、洗浄装置に対する水道水や洗剤供給のための固定した配管が必要であり、設置に多くの費用を必要とし、設置場所も広い面積を必要とした。また、利用するに当たって多量の水を必要とし、機能的には、手袋のしわの部分の洗浄を十分に行うことが困難であり、洗浄に要する時間も長かった。また、上記洗浄装置とは別に乾燥機の設置も必要としていた。さらに、上記作業用ゴム手袋は、通常、粘着性を有していることから、単なるエアーブローや水に浸けることなどでは、付着したゴミを落とすことができなかった。
【0004】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、洗浄性能がよく、設置場所の移動も容易である洗浄装置および洗浄装置を利用する作業用手袋洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1記載の作業用ゴム手袋洗浄方法は、作業者に装着された作業用ゴム手袋を洗浄する作業用ゴム手袋の洗浄方法において、洗浄用チャンバと、ガスを用いて純水を霧化して噴霧するノズルとを用い、作業用ゴム手袋を装着した作業者の手を上記チャンバ内に挿入し、初期には上記ノズルより上記霧化された純水を噴霧して上記作業用ゴム手袋表面の洗浄を行い、その後、乾燥のためにガスのみを噴霧する。
【0006】
本発明の請求項2に記載の作業用ゴム手袋洗浄方法は、請求項1に記載の作業用ゴム手袋の洗浄方法において、上記ガスは、炭酸ガスである。
【0007】
本発明の請求項3に記載の洗浄装置は、洗浄用チャンバと、上記洗浄用チャンバ内にガスを噴霧する第一のノズルと、上記第一のノズルから噴出される上記ガスと純水とを混合して上記洗浄用チャンバ内に噴霧するため、上記純水を噴霧する第二のノズルと、上記第一のノズルに対する上記ガスの供給を制御するための第一の弁手段と、上記第二のノズルに対する上記純水の供給を制御するための第二の弁手段と、噴霧初期には上記第一の弁手段と、第二の弁手段の双方を開状態とし、噴霧後期には上記第二の弁手段を閉じる制御を行う制御手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、洗浄性能がよく、純水の消費量も少なく、設置場所の移動も容易である洗浄装置およびその洗浄装置を利用した作業用手袋洗浄方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を用いて本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態である作業用手袋洗浄方法を適用可能な作業用手袋洗浄装置の構成を示す断面図である。図2は、上記手袋洗浄装置に組み込まれる洗浄ノズルユニットの斜視図である。図3は、図2のA−A断面図である。図4は、図3のB矢視図である。
【0010】
本実施形態の作業用手袋洗浄装置1は、クリーンルーム内で用いられる作業用のゴム製手袋(作業用手袋)の洗浄を行う装置であり、非常に細かいミクロンの塵の除去はできないものの、簡易的にある程度の塵の除去を可能とする装置である。具体的には撮像素子等の製造,組み立てを行うためのクリーンルーム内での作業に利用される手袋を洗浄するものであり、上記撮像素子等、そのものは別の洗浄装置により洗浄されるが、それを取り扱うための作業用手袋から塵などが上記撮像素子等に付着せぬように該手袋を洗浄する装置である。
【0011】
この作業用手袋洗浄装置1は、図1に示すように洗浄用チャンバ4と、チャンバ4の上部に支持ブラケット3を介して支持された洗浄ノズルユニット2と、チャンバ4を載せる架台5と、洗浄ノズルユニット2に純水16を供給するための電磁弁11と、洗浄ノズルユニット2にガス17を供給するための電磁弁13と、電磁弁11,12の開閉を制御する制御手段であるタイマ15とを有してなる。
【0012】
洗浄用チャンバ4には、作業用手袋7をはめた状態の作業者の手6を挿置可能な洗浄開口部4aと、排気口4bと、ドレン抜き穴4cが配されており、洗浄開口部4aの上方には、洗浄ノズルユニット2が取り付けられ、該ユニット2のノズル開口21d,22dが開口部4a上に位置している。
【0013】
洗浄ノズルユニット2は、図2,3に示すように2流体混合ノズルを形成する第二のノズルである純水側ノズル21と、第一のノズルであるガス側ノズル22とからなる。
【0014】
純水側ノズル21には、一端部に純水供給管12(図1)が接続される継ぎ手23が装着されており、継ぎ手23に通じる1つの連通穴21bと、該連通穴21bに通じる複数の真直状管部21cと、ノズル21の他端部であって該管部21cの先端に配される複数の半月切り欠き状ノズル開口21dとを有しており、さらに、ガス側ノズル22と結合される結合部21aとを有している。管部21cは、例えば、直径1mm程度の直進穴からなる。ノズル開口21dは、H方向に沿って所定の間隔で複数配される。
【0015】
ガス側ノズル22には、一端部にガス供給管14(図1)が接続される継ぎ手24が装着されており、継ぎ手24に通じる1つの連通穴22bと、該連通穴22bに通じる複数の真直状管部22cと、他端部であって該管部22cの先端に配される半月切り欠き状ノズル開口22dとを有しており、さらに、純水側ノズル21と結合される結合部22aとを有している。管部22cは、例えば、直径1mm程度の直進穴からなる。また、ノズル開口22dは、H方向に沿って所定の間隔で複数配される。
【0016】
純水側ノズル21とガス側ノズル22とは、結合部21a,22aを密着させた状態で一体化される。該一体化状態で純水側ノズル21とガス側ノズル22の管部21c,22cは、角度α°(鋭角)をなす。また、ノズルユニット2の先端部には、各ノズル開口21dと22dにより上記結合した状態で略直径1mmの円形のノズル開口が形成される(図4)。
【0017】
架台5は、例えば、脚部ローラ付きとし、移動自在であり、また、純水供給管12,ガス供給管14は、固定された配管ではなく、フレキシブル配管で形成される。このフレキシブル配管の先には、1リットル未満の貯水タンク、例えば、1リットル以下のタンクなどに連結され、必要に応じて洗浄チャンバ4とともに搬送することが可能である。従って、作業用手袋洗浄装置1は、必要に応じて容易に配設場所を変えることができる。
【0018】
なお、第一の弁手段の電磁弁11、または、第二の弁手段の電磁弁13に供給される純水16,ガス17は、予め、フィルタを通してオイルミスト等が取り除かれているものとする。
【0019】
上述のような構成を有する作業用手袋洗浄装置1を用いた作業用手袋の洗浄方法について説明すると、一洗浄サイクルは、洗浄過程と乾燥過程とからなり、図示しないフットコントローラの押圧により上記サイクルが開始される。まず、洗浄過程では、図1に示すように作業者の手6に装着された状態の作業用手袋7を洗浄用チャンバ4の洗浄開口部4a内に位置させた状態でタイマ15を作用させ、例えば、噴霧初期である洗浄期間の10秒間、電磁弁11,13を共に開状態とする。その開状態では、圧縮されたガス17、例えば、炭酸ガスがノズル開口22dがら噴出する。その噴出速度は、音速以下の速度とする。該ガス17の噴出に連れて純水16がノズル開口21dより霧化状態で噴出する。噴出したガス17が混じった純水16の噴霧は、作業用手袋7の表面に達し、該作業用手袋7の洗浄が行われる。
【0020】
上記洗浄期間の10秒が経過すると、タイマ15が動作し、後、20秒間の噴霧後期である乾燥期間に入る。この乾燥期間では、電磁弁13を開状態のまま、電磁弁11のみを閉状態とし、純水16の供給がカットされ、ガス17のみがノズル開口22dより音速以下で噴出する状態となる。ガス17の噴出により作業用手袋7の乾燥が行われる。乾燥期間の20秒が経過すると、電磁弁13も閉じ、30秒間で一洗浄サイクルが終了する。但し、上記一洗浄サイクルの洗浄・乾燥過程の時間およびその配分は必要に応じて変更できる。また、すべての時間間隔を手動でコントロールしてもよい。
【0021】
なお、上述の例では、純水側ノズル21には純水を供給するものとしたがそれに替えて薬液を供給して洗浄することも可能であり、さらに、上述の例では、ガス側ノズル22に炭酸ガスを供給するものとしたが、これに限らず空気、あるいは、それ以外のガスを供給するようにしてもよい。例えば、純水の他の薬液としてアルコール溶液やアルコールと純水の混合液を供給し、また、炭酸ガスに替えてフィルタ処理した圧縮空気や窒素ガスを適用することによって洗浄効果を上げることも可能である。
【0022】
また、ノズルユニット2からのガス,純水または薬液の噴出量として、例えば、ガス量200〜500L/minおよび純水または薬液量5〜100g/minを混合させて噴出させることにより上記作業用ゴム手袋に付着したミクロンレベルの付着物や汗を効率よく洗浄することができる。
【0023】
また、上述の例では、作業用手袋7を洗浄するものとして説明したが、これに限らず、作業用手袋洗浄装置1を利用して作業者の手6や部品を洗浄することも勿論可能である。特に手6を洗浄した場合、音速には達しない噴射速度であることから手6が安全に保護され、指紋の間まできれいに洗浄することができる。
【0024】
上述した作業用手袋洗浄装置1を利用した洗浄方法によると、ガス17および純水16が音速に達しない状態で噴出されることから作業用手袋7の表面を傷つけることなくきれいに洗浄でき、引き続いて乾燥までを一台の洗浄装置で行うことができる。また、供給される純水16の使用量も非常に少なく使用コストが抑えられる。さらに、純水供給管12,ガス供給管14がフレキシブル配管で構成できることから本装置1を載せた架台の移動が容易であり、使い勝手がよい。
【0025】
この発明は、上記各実施の形態に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。さらに、上記各実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組合せにより種々の発明が抽出され得る。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明による作業用手袋洗浄方法は、洗浄性能がよく、純水の消費量も少なく、設置場所の移動も容易である洗浄装置とその洗浄装置を利用する作業用手袋洗浄方法として適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態である作業用手袋洗浄方法を適用可能な作業用手袋洗浄装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の手袋洗浄装置に組み込まれる洗浄ノズルユニットの斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】図3のB矢視図である。
【符号の説明】
【0028】
4 …チャンバ(洗浄用チャンバ)
7 …作業用手袋
16 …純水
17 …ガス(炭酸ガス)
21 …純水側ノズル(ノズル)
22 …ガス側ノズル(ノズル)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業者に装着された作業用ゴム手袋を洗浄する作業用ゴム手袋の洗浄方法において、
洗浄用チャンバと、
ガスを用いて純水を霧化して噴霧するノズルと、
を用い、作業用ゴム手袋を装着した作業者の手を上記チャンバ内に挿入し、初期には上記ノズルより上記霧化された純水を噴霧して上記作業用ゴム手袋表面の洗浄を行い、その後、乾燥のためにガスのみを噴霧することを特徴とする作業用ゴム手袋洗浄方法。
【請求項2】
上記ガスは、炭酸ガスであることを特徴とする請求項1に記載の作業用ゴム手袋洗浄方法。
【請求項3】
洗浄用チャンバと、
上記洗浄用チャンバ内にガスを噴霧する第一のノズルと、
上記第一のノズルから噴出される上記ガスと純水とを混合して上記洗浄用チャンバ内に噴霧するため、上記純水を噴霧する第二のノズルと、
上記第一のノズルに対する上記ガスの供給を制御するための第一の弁手段と、
上記第二のノズルに対する上記純水の供給を制御するための第二の弁手段と、
噴霧初期には上記第一の弁手段と、第二の弁手段の双方を開状態とし、噴霧後期には上記第二の弁手段を閉じる制御を行う制御手段と、
を有することを特徴とする洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−341183(P2006−341183A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−168616(P2005−168616)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】