説明

洗浄製品で有用な二重特性バイオポリマー

アニオン性及び窒素含有置換基を含有する新規な両性分散剤ポリマーを含む新しい洗浄組成物が開示されている。特に、アニオン性及び窒素含有置換基を有する変成ポリサッカライドを含有する洗浄組成物及びその形成方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さまざまな消費者製品への添加物として有用な、両性バイオポリマーに関する。特に、本発明のバイオポリマーは、表面の洗浄が必要とされる、布地ケア製品及び他の洗浄製品又は用途において、再付着防止および白色性の利益を提供する。
【背景技術】
【0002】
改善された洗浄は、洗剤メーカーにとっての恒久的な目標である。多くの界面活性剤をベースとする製品は、多数の有効な界面活性剤及びポリマーと、これらの組み合わせを使用しているにも拘わらず、特に低い水温で使用される場合、汚れた物体の完全な洗浄を未だ達成していない。
【0003】
布地、特に衣類は、疎水性の汚れ(グリース、オイル)から親水性の汚れ(粘土)の範囲のさまざまな異物により汚される可能性がある。これらの異物の除去に必要な洗浄のレベルは、存在する汚れの量と、異物が布地繊維に接触した程度に大きく依存する。例えば、草しみは、通常、草との直接の摩擦的な接触を伴い、深く浸透した汚れを生じる。多数の洗浄配合物は、これらの汚れの解膠及び除去を助けるために、酵素の組み合わせを使用する。あるいは、粘土汚れしみは、ある場合には布地繊維と小さい力で接触するものであっても粘土それ自身に関連する電荷の程度が大きいために、異なる形の汚れ除去問題を提供する。この高い表面電荷密度は、従来の界面活性剤及び酵素による粘土のいかなる感知可能な解膠及び分散にも抗する。これらの汚れに対しては、解膠性ポリマー及びビルダーが汚れの除去を助ける。最後に、草しみ及び屋外汚れ(粘土)を除去する技術は、グリース除去を有効に促進しないので、グリース及びオイルなどの疎水性汚れは、通常、別の汚れ除去問題を伴う。これらの疎水性の汚れに対しては、界面活性剤又は界面活性剤の組み合わせが一般に除去に好まれる。
【0004】
汚れの除去に加えて、有効な洗浄のためには、汚れ又はしみ物質は、一度表面から除去されたならば、洗浄処理工程時に表面上に再付着しないということも重要である。すなわち、汚れ又はしみ物質は、一度表面から除去されたならば、洗浄製品は、例えば、洗浄又はすすぎ工程時に汚れ又はしみ物質の清浄表面への再付着を防止し、代わりに洗浄工程から除去されなければならない。
【0005】
この理由のために、有効な洗浄配合物は、通常、さまざまの汚れの除去を助ける多数の技術から構成される。残念ながら、コスト及び配合の制約によって、上記の洗浄技術のそれぞれを有効に組み込んで、布地又はテキスタイル上の目標の汚れ及びしみを全て完全に除去し、並びに洗浄工程時に基材又は表面への汚れ又はしみ物質の再付着を同時に防止する洗浄配合物を見出すのはまれである。
【0006】
例えば、皿洗い洗剤などの硬質表面クリーナー、家事用洗剤、及びシャンプー及びセッケンを含む健康、美容、及びパーソナルケア分野で使用されるものなどの他の洗剤製品も、改善された再付着防止特性と共に改善された洗浄特性を有する製品から利益を享受し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
多数の形の親水性及び疎水性の汚れ又はしみ物質を効果的に分散し、及び汚れ又はしみ物質が表面から除去された後の、布地、硬質表面及び他の汚れた表面又は基材へのその再付着を防止することができる、分散剤ポリマーなどの改善された材料を含有する洗浄組成物に対する長年感じられてきた必要性が当分野には存在する。加えて、分散剤ポリマーの有効性が増大するにしたがって、他の洗浄技術に対する負担が減少しつつあって、これらの他の材料の使用量を減らして、組成物を配合し、費用効果のより大きい材料を使用し、及び/又は改善された洗浄を活用して、消費者を大いに後押しすることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、ランダム置換の直鎖又は分岐鎖ポリマー骨格を含む分散剤ポリマーを含む、洗浄組成物に関する。洗浄組成物を作製する方法と、テキスタイル、布地又は硬質表面を処理する方法も開示される。本開示は、特定の官能基を含有して、布地及びさまざまな他の表面上での汚れ及びしみ物質の分散及び再付着防止を促進して、改善された色又は白色性を有する清浄表面を与える、ポリマーに関する。特定の官能基は、約0.01〜約3.0の置換度(DS)で存在するアミン及び四級アンモニウムカチオン基、及びアニオン性置換基などの窒素含有置換基を有することに由来する。
【0009】
特に、1つの実施形態によれば、本開示は、構造:
【化1】

を有する、ランダム置換の直鎖又は分岐鎖バイオポリマー骨格を含む分散剤ポリマーを含む、洗浄組成物を提供する。
【0010】
式中、ランダム置換ポリマー骨格は、フラノース残基、ピラノース残基及びこれらの混合物からなる群から独立して選択される少なくとも1つの非置換モノマー及び少なくとも1つの置換モノマーの残基を含み、かつ置換モノマーの残基は、−(R)置換基を更に含む。それぞれのR置換基は、0.01〜0.4の範囲の置換度のアニオン性置換基、及び0.1〜3.0の範囲の置換度の窒素含有置換基からなる群から独立して選択され、pは1〜3の整数であり、窒素含有置換基の置換度対アニオン性置換基の置換度の比は0.05:1〜0.4:1の範囲である。分散剤ポリマーは、1,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する。この窒素含有置換基は、アミン置換基又は四級アンモニウムカチオン性置換基のいずれかであってもよい。
【0011】
別の実施形態によれば、本開示は、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式Iに示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む分散剤ポリマーを含む洗浄組成物を提供する。
【化2】

式中、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい、1〜3のR置換基を独立して含む。それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのR又は少なくとも1つのR基を含む。それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第1置換基は0.01〜0.4の範囲の置換度及び式IIに示す構造を有する。
【化3】

式中、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択される置換基であり、ただし、R基の少なくとも2つが孤立電子対でなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRは、H又はC〜Cアルキルであり、wは0又は1の値を有し、yは0又は1の値を有し、並びにzが0又は1の値を有する。それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第2置換基は0.1〜3.0の範囲の置換度及び式IIIに示す構造を有し、
【化4】

式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、サクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性置換基であり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の整数であり、及びcは0又は1の値を有する。第1置換基の置換度:第2置換基の置換度の比は、0.05:1〜0.4:1の範囲にある。この実施形態によれば、分散剤ポリマーは、1,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の数平均分子量を有する。
【0012】
更に別の実施形態では、本開示は、分散剤ポリマーを洗浄組成物に添加することを含む、洗浄組成物を作製するための方法を提供する。分散剤ポリマーは、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、本明細書で述べる式Iに示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む。
【0013】
更なる実施形態では、本開示は、非置換及び置換グルコピラノースを含み、式Iに示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む分散剤ポリマーを含む、有効量の布地ケア組成物と布地を接触させることを含む、布地を処理する方法を提供する。本開示の組成物及び方法のさまざまな実施形態を本明細書で更に詳細に述べる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
本明細書中で使用されるとき、用語「洗浄組成物」は、特記しない限り、洗濯洗浄組成物、硬質表面洗浄組成物、家事用洗浄組成物及び健康及び美容分野で使用されるパーソナルケア洗浄組成物を含む。洗浄組成物は、顆粒、粉末、液体(重質液体洗剤(「HDL」)を含む)、ゲル、ペースト、棒形及び/又はフレーク形洗浄剤、洗濯洗剤洗浄剤、洗濯ソーク又はスプレー処理剤、布地処理組成物、皿洗い用洗剤及びセッケン、家事用洗浄洗剤、シャンプー、手洗い用組成物、ボディウオッシュ及びセッケン、及び他の類似の洗浄組成物を含む。本明細書で使用するとき、用語「布地処理組成物」は、特記しない限り、布地柔軟化組成物、布地増強組成物、布地フレッシュニング組成物、及びこれらの組み合わせを包含する。このような組成物はすすぎ添加型の組成物であってもよいが、その必要性はない。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」は、本開示の組成物の作製において共に使用されるさまざまな構成成分を意味する。したがって、用語「から本質的になる」及び「からなる」は用語「含む」に包含される。
【0016】
本明細書中で使用されるとき、「the」、「a」及び「an」を含む冠詞は、特許請求の範囲又は明細書で使用される場合、請求、又は記載されているものの1つ以上を意味するものとして理解される。
【0017】
本明細書で使用するとき、「包含する(include)」、「包含する(includes)」及び「包含している(including)」という言葉は、非限定的であるように意味される。
【0018】
本明細書中で使用されるとき、用語「複数」は2つ以上を意味する。
【0019】
本明細書中で使用されるとき、用語「残基」、「モノマー残基」及び「モノマーの残基」は、ポリマーの構造を参照しながら使用される場合、モノマー単位が重合反応によりポリマー鎖に組み込まれた後に残存するモノマー単位の化学構造を意味する。
【0020】
本明細書中で使用されるとき、用語「布地」、「織物」、及び「布」は、非特定的に使用され、限定ではないが、木綿、ポリエステル、ナイロン、絹など、さまざまな布地の混紡を含む、天然及び合成繊維を含む材料の種類を指し得る。
【0021】
本明細書中で使用されるとき、用語「フラノース」は、5員のフラン環を有するモノサッカライドの環状の形を意味する。本明細書中で使用されるとき、用語「ピラノース」は、6員のピラン環を有するモノサッカライドの環状の形態を意味する。本明細書中で使用されるとき、用語「グルコピラノース」は、6員のピラン環を有するグルコースの環状の形態を意味する。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、用語「ポリサッカライド」は、主としてサッカライドモノマー単位、例えば、限定ではないが、環状サッカライド(すなわち、フラノース及びピラノース)モノマー単位でできたバイオポリマーを意味する。
【0023】
本明細書中で使用されるとき、用語「セルロース」は、グルコピラノース残基がβ(1→4)グリコシド結合により連結され、約7,000〜約15,000個のグルコース単位を含有する、ポリグルコピラノースポリマーを意味する。本明細書中で使用されるとき、用語「ヘミセルロース」は、主として細胞壁から得られるヘテロポリサッカライドを含み、ほぼ200個のサッカライド単位の鎖として接続されたグルコース残基及び他の単量体糖由来残基と共にキシロース、マンノース、ガラクトース、ラムノース及びアラビノース残基を含有する。本明細書中で使用されるとき、用語「デンプン」は、グルコピラノース残基がα(1→4)グリコシド結合により連結される、さまざまなポリグルコピラノースポリマーを含む。デンプンは、アミロース及びアミロペクチンを含むことができる。本明細書中で使用されるとき、用語「アミロース」は、グルコピラノース残基がα(1→4)グリコシド結合により連結され、約300〜10,000個のグルコース単位を含有する、非分岐型ポリグルコピラノースポリマーを含む。本明細書中で使用されるとき、用語「アミロペクチン」は、グルコピラノース残基がα(1→4)グリコシド結合により連結され、ポリグルコース分岐がほぼ24〜30個のグルコース単位毎に生じ、約2,000〜200,000個のグルコース単位を含有する、α(1→6)グリコシド結合により接続される、分岐ポリグルコピラノースポリマーを含む。
【0024】
本明細書中で使用されるとき、用語「分散剤」及び「分散剤ポリマー」は、組成物が分散及び再付着防止利益をもたらし、清浄化された表面上に付着する懸濁した汚れ又はしみ物質の量を最小化して、改善された色及び白色度の利益をもたらすということを意味する。例えば、非限定的ではないが、分散剤は、溶液中の固体粒子上に付着し、立体的な安定化又はイオン性の安定化による溶液中の固体粒子の安定化によって、清浄化された表面上への汚れ又はしみ物質の凝集及び再付着を防止又は最少化する。例えば、本開示に限定したことではないが、分散剤は、除去された粘土粒子のアニオン性表面に結合し、粒子の安定化された懸濁液を形成し、洗浄工程時に除去されるまで粒子を溶液中に保持して、粒子が清浄化された表面上に再付着しないようにすることができる。
【0025】
本明細書中で使用されるとき、用語「ランダム置換」は、ランダム置換ポリマー中のモノマー残基上の置換基が非繰り返し型又はランダムな形で生じるということ意味する。すなわち、ポリマー上の全置換基がパターンを持たないように、置換モノマー残基上の置換基(すなわち、モノマー残基上の異なる原子上の置換基(同一であるか又は異なってもよい))は、ポリマー中の第2の置換モノマー残基上の置換基と同一であるか又は異なってもよい。更に、置換モノマー残基は、ポリマー内でランダム(すなわち、ポリマー内の置換及び非置換のモノマー残基についてパターンがない)に生じる。
【0026】
本明細書で使用するとき、分散剤ポリマーの「置換度」は、置換基によって誘導体化された各無水グルコース単位のヒドロキシル基の数の平均的な尺度である。例えば、デンプン及びセルロースなどのポリグルカンポリマー中では、それぞれのアンヒドログルコース単位が置換に使える3個の潜在的なヒドロキシル基を有するので、最大の可能な置換度は3である。置換度は、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数として、モル平均ベースで表わされる。分散剤ポリマーの置換度を決定するには多数の方法がある。使用される方法は、バイオポリマーの置換基の形に依存する。置換度は、当該技術分野で周知のプロトン核磁気共鳴分光(「H NMR」)法を使用して決定することができる。好適なH NMR法としては、「Observation on NMR Spectra of Starches in Dimethyl Sulfoxide,Iodine−Complexing,and Solvating in Water−Dimethyl Sulfoxide」,Qin−Ji Peng及びArthur S.Perlin,Carbohydrate Research,160(1987),57〜72;及び「An Approach to the Structural Analysis of Oligosaccharides by NMR Spectroscopy」,J.Howard Bradbury and J.Grant Collins,Carbohydrate Research,71,(1979),15〜25で述べられているものが挙げられる。
【0027】
本明細書中で使用されるとき、用語「平均分子量」は、ポリマー組成物中のポリマー鎖の平均分子量を指す。平均分子量は、重量平均分子量(「M」)又は数平均分子量(「M」)のいずれかとして計算され得る。重量平均分子量は、式:
=(Σ)/(Σ)を用いて、計算され得る。
式中、Nは分子量Mを有する分子の数である。数平均分子量は、式:
=(Σ)/(Σ
【0028】
重量平均分子量は、「Non−Thermoplastic Starch Fibers and Starch Composition for Making Same」という題目の米国特許出願公開No.2003/0154883 A1で述べられているゲルパーミエーションクロマトグラフィ(「GPC」)法に従って測定され得る。本発明の1つの実施形態では、デンプンをベースとするバイオポリマーは、このようなデンプン成分の分子量を低下させるために、加水分解され得る。加水分解度は、ゼラチン化されたデンプンの溶液粘度の尺度である、水流動性(「WF」)により測定され得る。
【0029】
特記しない限り、成分又は組成物の濃度は全て、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0030】
百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率は全て、特に指示しない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0031】
本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。本明細書全体を通じて記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体にわたって記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、そのような小さい数値限定が本明細書に明示的に記載されたものとして包含すると理解されるべきである。
【0032】
分散剤ポリマー
本開示は、ポリサッカライド又はポリペプチド骨格などのランダム置換の線状又は分岐ポリマー骨格を含む分散剤ポリマーを含む洗浄組成物に関する。洗浄組成物を作製する方法と、布地、又は他の表面を処理する方法も開示されている。本開示は、洗浄組成物の分散性を増強し、布地及びさまざまな硬質表面、皮膚、毛髪などの表面又は基材上の汚れ及びしみ物質の再付着を防止するために特定の官能基を含有するポリマーに関する。
【0033】
1つの実施形態によれば、分散剤ポリマーは、構造:
を有する、ランダム置換の直鎖又は分岐鎖ポリマー骨格を含んでよく、
【化5】

ここで、ランダム置換ポリマー骨格は、少なくとも1つの非置換モノマー単位及び少なくとも1つの置換モノマー単位の残基を含む。特定の実施形態によれば、置換及び非置換モノマーの残基は、フラクトース残基、ピラノース残基、又はこれらの混合物であってもよい。置換モノマーの残基は、−(R)置換基を含み得る。特定の実施形態によれば、pは1〜3の整数である。すなわち、それぞれの少なくとも1つの実施形態及び特定の実施形態では、複数の置換モノマーの残基は、それぞれのモノマー残基に付いた1、2、又は3つの置換基Rを有する、置換モノマー残基であってもよい。これらの実施形態によれば、ランダム置換ポリマー骨格は、少なくとも1つの置換モノマー残基を含まなければならない。
【0034】
これらの実施形態によれば、このポリマーはランダム置換であり、直鎖又は分岐鎖でもよく、さまざまの置換モノマー残基上のそれぞれのR基は、アニオン性置換基及び窒素含有置換基から独立して選択されてもよい。すなわち、1つの実施形態によれば、分散剤ポリマーは、アニオン性置換基及び窒素含有置換基から選択されるR基を含んでもよい。アニオン性置換基及び窒素含有置換基のさまざまな好適な構造は、本明細書に詳述される。本明細書中で使用されるとき、用語「窒素含有置換基」は、四級アンモニウムカチオン性置換基及びプロトン化後例えば、少なくとも温和な酸性条件下でアンモニウムカチオン性置換基を形成し得る、アミン(anime)置換基(すなわち、一級、二級、及び三級アミン置換基)の両方を含む。
【0035】
洗浄組成物の特定の実施形態では、ランダム置換ポリマー骨格は、ランダム置換ポリサッカライド骨格であってもよい。例えば、特定の実施形態では、ランダム置換ポリサッカライド骨格は、少なくとも1つの非置換モノマー単位の残基が非置換グルコピラノース残基であり、少なくとも1つの置換モノマー単位の残基が置換グルコピラノース残基(すなわち、1〜3のR基により置換された)であるようにランダム置換ポリグルコース骨格であってもよい。ランダム置換ポリグルコース骨格の例としては、ランダム置換セルロース骨格、ランダム置換ヘミセルロース骨格、ランダム置換デンプン骨格(ランダム置換アミロース骨格又はランダム置換アミロペクチン骨格、又はこれらの混合物などの)、及びこれらのブレンドが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ポリグルコース骨格がランダム置換ヘミセルロース骨格である場合には、骨格は、限定ではないが、キシロース、マンノース、ガラクトース、ラムノース及びアラビノース残基などの1つ以上の非グリコピラノースサッカライド残基を更に含んでもよい。
【0036】
洗浄組成物のさまざまな実施形態によれば、組成物は、1つ以上の追加の補助剤を更に含み得る。例えば、布地ケア洗浄組成物の好適な添加物としては、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、顔料、及びこれらのさまざまな組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態によれば、洗浄組成物は、液体洗濯洗剤(例えば、重質液体(「HDL」)洗剤を含む)、固体洗剤、洗濯セッケン製品、又は洗濯スプレー処理製品などの布地ケア組成物であってもよい。加えて、本明細書のさまざまの実施形態により述べられている分散剤ポリマーは、いかなる洗浄配合物(皿洗浄、パーソナルケア、又は車などの、又は家事用洗浄配合物)にも、又は洗浄及び再付着防止の利益が所望される他の配合物にも包含され得る。
【0037】
特定の実施形態によれば、本開示は、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、下記の式I:
【化6】

に示す一般構造を有する、ランダム置換のポリサッカライド骨格を含む分散剤ポリマーを含む、洗浄組成物を提供する。
【0038】
式中、C1アノマー炭素における立体構造は、少なくとも一部、ポリサッカライドの源により決定される。上述のように、ランダム置換ポリサッカライド骨格は、ランダム置換セルロース骨格(すなわち、C1立体構造はβである)又はランダム置換デンプン骨格(すなわち、C1立体構造はαである)であり得る。ポリサッカライドがランダム置換セルロース骨格である実施形態によれば、ランダム置換セルロース骨格は、式IA:
【化7】

に示す一般構造を有し得る。
【0039】
ポリサッカライドがランダム置換デンプン骨格である実施形態によれば、ランダム置換デンプン骨格は、式IB:
【化8】

に示す一般構造を有し得る。
【0040】
式I、IA、又はIBのいずれに対しても、本明細書で示される構造表示は、置換若しくは非置換グルコピラノース残基のいかなる好ましい配置、又は置換又は非置換グルコピラノース残基のいかなる比も暗示するようには意図されていないということを特記すべきである。
【0041】
これらの実施形態では、セルロース、ヘミセルロース又はデンプン骨格などのポリサッカライド骨格は、置換グルコピラノース残基上の1つ以上の置換基を含むように化学変成されたものである。デンプン変成に好適な特定の反応は、実施例の項で詳述される。
【0042】
式I、IA、又はIBのいずれでも参照すると、それぞれの置換グルコピラノース残基は、1〜3のR置換基を独立して含んでもよく、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい。すなわち、置換グルコピラノース残基上の置換基の数及び形は、ポリマー骨格中の他の置換グルコピラノース残基と同一であるか又は異なってもよい。例として、そして特定の好ましい置換パターンを暗示するのでないが、別のポリサッカライド中の置換グルコピラノース残基は、C2炭素において非置換であってもよいが、C3炭素において窒素含有置換基を、又C6炭素においてアルコキシ置換基を有する一方で、1つの置換グルコピラノース残基は、C2炭素上にアニオン性置換基などの置換基を有してもよい。本明細書で特記するように、この置換パターンはランダムである。
【0043】
1つの実施形態によれば、式I、IA、又はIBのいずれかにおけるR置換基は、それぞれ独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R及び式I、IA、又はIBに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし置換グルコピラノース残基上の少なくとも1つのR置換基がR、又はRである。特定の組成物においては、複数のR置換基はR及び/又はRである。R置換基がポリサッカライド分岐である実施形態では、ポリサッカライド分岐は、骨格中の置換グルコピラノース残基上のヒドロキシル基とポリサッカライド分岐のC1アノマー炭素の反応により形成されるグリコシド結合、例えば、α又はβ(1→2)グリコシド結合、α又はβ(1→3)グリコシド結合又はα又はβ(1→6)グリコシド結合などによりポリサッカライド骨格に結合されてもよい。
【0044】
R置換基がR置換基である実施形態では、Rは、四級アンモニウムカチオン性置換基又は温和な酸性環境においてカチオン性となるアミン置換基(一級、二級、又は三級アミン含有置換基などの)であってもよい。例えば、これらの実施形態によれば、それぞれのRは独立して、同一であるか又は異なり、第1置換基は、式II:
【化9】

による構造式を有する。
【0045】
これらの実施形態によれば、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH;又は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルから選択される置換基である。R基の特定の実施形態によれば、式IIの少なくとも2つのR基は孤立電子対であってはならない。すなわち、これらの実施形態では、式II中の窒素含有末端基が中性又は塩基性条件下でアミン基となるように、1つのR基は孤立電子対であってもよい。当業者ならば、アミン基が酸性条件下でプロトン化されて、カチオン性電荷アンモニウムイオンを提供し得るということを理解するであろう。R置換基の他の実施形態によれば、R基は孤立電子対でなく、式II中の窒素含有末端基はカチオン帯電四級アンモニウムイオンである。更に式IIを参照すると、Rは、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であってもよい。さまざまな実施形態では、基Lは、−O−、−C(=O)O−、−OC(=O)−、−NR−、−C(=O)NR−、−NRC(=O)−、及び−NRC(=O)NR−から選択される連結基であり、式中、RはH、又はC〜Cアルキルである。さまざまな実施形態によれば、wは0又は1の値を有してもよく、yは0又は1の値を有してもよく、及びzは0又は1の値を有してもよい。
【0046】
R置換基がRの第1置換基を含み得る分散剤ポリサッカライドの特定の実施形態によれば、Rの第1置換基は、0.01〜0.04の範囲の置換度を有してもよい。他の実施形態では、Rの第1置換基は0.05〜0.04の範囲の置換度を有してもよい。
【0047】
R置換基がR置換基である実施形態では、Rはアニオン性置換基であってもよい。例えば、これらの実施形態によれば、それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第2置換基は式III:
【化10】

に示す構造を有し、
これらの実施形態によれば、それぞれのRは、カルボキシレート(−COO)、カルボキシメチル(−CHCOO)、サクシネート(−OOCCHCHCOO)、サルフェート(−OS(O)O)、スルホネート(−S(O)O)、アリールスルホネート(−Ar−S(O)O(式中、Arはアリール環である)、ホスフェート(−OPO(OR’)又は−OPO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ホスホネート(−PO(OR’)又は−PO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ジカルボキシレート(−Y(COO−)(式中、Yはアルキル又はアリールである)、又はポリカルボキシレート(−Y(COO(式中、Yはアルキル又はアリールであり、tは2よりも大きい)から選択されるアニオン性置換基であってもよい。さまざまな実施形態によれば、aは0又は1の値を有してもよく、bは0〜18の値を有する整数であり、及びcは0又は1の値を有してもよい。
【0048】
R置換基がRの第2置換基を含み得る分散剤ポリサッカライドの特定の実施形態によれば、Rの第2置換基は、0.1〜3.0の範囲の置換度を有してもよい。他の実施形態では、Rの第2置換基は、0.25〜0.5の範囲の置換度を有してもよい。なお他の実施形態では、Rの第2置換基は、0.5〜1.5の範囲の置換度を有してもよい。
【0049】
本明細書で述べられているさまざまな実施形態によれば、分散剤ポリマーは、1,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有してもよい。他の実施形態では、本明細書で述べられている分散剤ポリマーは、5,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有してもよい。他の実施形態では、本明細書で述べられている分散剤ポリマーは、10,000ダルトン〜500,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有してもよい。
【0050】
本開示の置換分散剤ポリマーの特定の実施形態は、アニオン性置換基に対する窒素含有置換基の特定の比を有し得る。例えば、1つの実施形態によれば、置換分散剤ポリマーは、0.05:1〜0.4:1の範囲の第1置換基(すなわち、窒素含有置換基)の置換度対第2置換基(すなわち、アニオン性置換基)の置換度の比を有する。この範囲内で置換基を有するポリマーは、優れた分散性及び再付着防止能力を示す。すなわち、本明細書で述べられている分散剤ポリマーを含む洗浄組成物は、分散剤ポリマーを含まない洗浄組成物と比較して、改善された分散性と、汚れ及び他のしみ物質が清浄化された表面上に再付着しない、再付着防止性を示す。
【0051】
ランダム置換ポリサッカライドのさまざまな実施形態では、ポリサッカライド骨格は、デンプンがアミロース及び/又はアミロペクチンを含む、ランダム置換デンプン骨格であってもよい。化学変成されて、本明細書で述べられている分散剤ポリマーを生成する、デンプンの好適な源としては、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦デンプン、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、スイート米デンプン、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、高アミロースデンプン、又はこれらの混合物が挙げられる。特定のデンプン源が本明細書で述べられているが、本発明者らは、セルロース、ヘミセルロース、又はデンプンの任意の源が本明細書で述べられているランダム置換ポリサッカライド分散剤ポリマーの形成に適しているということを考えている。他の変成ポリサッカライドは本開示の範囲内にある。
【0052】
洗浄組成物の特定の実施形態では、ランダム置換デンプン骨格は、高アミロースデンプン由来のものであってもよい。例えば、1つの実施形態では、この高アミロースデンプンは、全変成ポリサッカライドの重量の約30重量%〜約90重量%の範囲のアミロース含有量を有してもよい。別の実施形態では、高アミロースデンプンは、約50重量%〜約85重量%の範囲のアミロース含有量を有してもよい。なお別の実施形態では、高アミロースデンプンは、約50重量%〜約70重量%の範囲のアミロース含有量を有してもよい。これらの実施形態によれば、残りのデンプンの少なくとも一部は、アミロペクチン由来のものであってもよい。
【0053】
他の実施形態では、洗浄組成物は、ランダム置換アミロペクチン骨格を含むランダム置換デンプン骨格を含む分散剤ポリマーを含んでもよい。これらの実施形態によれば、アミロペクチン骨格は、少なくとも1つのα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を含んでもよく、ここで、デンプン骨格上のグルコピラノースモノマー残基上のC6位置におけるヒドロキシル基を反応させて、非置換及び置換グルコピラノース残基を含むポリグルコピラノース分岐のC1炭素とのグリコシド結合を形成する。ポリグルコピラノース分岐は、式I、IA、又はIBに示す構造を有してもよい。他の実施形態では、アミロペクチン骨格は、アミロペクチンデンプン骨格中でグルコピラノース残基ほぼ24〜30個毎に生じる、複数のα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を含んでもよい。
【0054】
洗浄組成物の他の実施形態では、ポリサッカライド骨格はランダム置換ヘミセルロース骨格であってもよい。ランダム置換ヘミセルロース骨格は、例えば、非置換又は置換キシロース残基、非置換又は置換マンノース残基、非置換又は置換ガラクトース残基、非置換又は置換ラムノース残基、非置換又は置換アラビノース残基、及びこれらの組み合わせなどの少なくとも1つの非置換又は置換の炭水化物残基を含み得る。特定の実施形態によれば、置換炭水化物残基は、少なくとも1つのR置換基又はR置換基を含んでもよい。当業者ならば、ポリサッカライド骨格の化学的変成も非グルコースシュガー残基上のランダム置換を生じ得るということを理解するであろう。
【0055】
本明細書で述べられているさまざまな実施形態による分散剤ポリマーは、洗浄組成物に対して改善された再付着防止特性をもたらすのに必要な量で洗浄組成物に組み込まれ得る。特定の実施形態では、分散剤ポリマーは、洗浄組成物の0.1%〜20.0重量%を占めることもある。他の実施形態では、分散剤ポリマーは、洗浄組成物の0.1%〜10.0重量%を占めることもある。更に他の実施形態では、分散剤ポリマーは、洗浄組成物の0.5%〜5.0重量%を占めることもある。
【0056】
洗浄組成物
本開示のなお更なる実施形態は、例えば、布地ケア組成物、皿用洗浄組成物、家事用洗浄組成物、パーソナルケア洗浄組成物、シャンプーなどの洗浄組成物を作製する方法をもたらす。特定の実施形態によれば、方法は、分散剤ポリマーを洗浄組成物に添加する工程を含み得る。分散剤ポリマーは、本明細書で詳述されるランダム置換ポリサッカライドなどのランダム置換ポリマーを含み得る。洗浄組成物の作製方法などの特定の実施形態では、この方法は、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、処理助剤、顔料、及びこれらの組み合わせなどの少なくとも1つ以上の補助剤を洗浄組成物に添加する工程を更に含んでもよい。
【0057】
本開示のなお他の実施形態は、本明細書で述べられている分散剤ポリマーを含む、有効量の布地ケア組成物と布地を接触させることを含む、布地を処理する方法を提供する。布地を接触させることは、洗浄サイクル又はすすぎサイクル時などの洗浄工程時の前処理又は接触としてであってもよい。
【0058】
組成物が布地ケア組成物である洗浄組成物の態様では、布地ケア組成物は、液体の洗濯洗剤組成物の形をとってもよい。1つの態様では、このような組成物は重質液体(HDL)組成物であってもよい。このような組成物及び他の洗浄組成物は、その洗剤を含有する溶液中で洗浄される布地に対して汚れ及び/又はしみ除去利益、並びに再付着防止利益を提供するために、所望のレベルの1つ以上の洗浄特性を提供するのに充分な量の、典型的には全組成物の重量基準で、約5%〜約90%の、約5%〜約70%の、又は更には約5%〜約40%の界面活性剤、及び本開示の分散剤ポリマーを含んでいてもよい。典型的には、洗剤は、その洗浄溶液の約0.0001重量%〜約0.05重量%、又は更には約0.001重量%〜約0.01重量%のレベルで洗浄溶液中で使用される。
【0059】
液体の洗浄組成物は、水性の非界面活性液体キャリアを更に含んでもよい。一般に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分の可溶化、懸濁又は分散に有効である。例えば、組成物は、約5重量%〜約90重量%、約10重量%〜約70重量%、又は更には約20重量%〜約70重量%の水性非界面活性液体キャリアを含んでよい。
【0060】
最もコスト効率のよい種類の水性非界面活性液体キャリアは水であってよい。一般に、本明細書の組成物中に使用される水性非界面活性液体キャリアの量は、組成物成分を可溶化し、懸濁し又は分散するのに有効である。アルカノール、ジオール、他のポリオール、エーテル、アミン等のような他の種類の水相溶性液体が、共溶媒又は安定剤として液体洗剤組成物に従来から添加されてきたが、本開示のある実施形態では、このような水相溶性液体の利用は、組成物コストを抑制するため最小限となされてもよい。したがって、本明細書における液体洗剤製品の水性液体キャリア構成成分は、一般に、組成物の約5重量%〜約90重量%の、又は更には約20重量%〜約70重量%の範囲の濃度で存在する水を含む。
【0061】
本明細書における液体洗剤組成物などの洗浄組成物は、界面活性剤、分散剤ポリマー、及び特定の随意の補助剤の水溶液、又は均一分散液若しくは懸濁液の形をとってもよく、それらの成分のあるものは、通常、液体アルコールエトキシレート非イオン性材料、水性液体キャリア、及びいずれかの他の通常の液体の成分などの通常液体の組成物成分と組み合わされた固形の形であってもよい。そのような溶液、分散液、若しくは懸濁液は許容できるように相安定であり、及び典型的に約100〜600cpsの、より好ましくは約150〜400cpsの範囲の粘度を有する。本開示の目的で、粘度は、#21スピンドルを使用したBrookfield LVDV−II+の粘度計で測定され得る。
【0062】
好適な界面活性剤はアニオン性、非イオン性、カチオン性、双極性、及び/又は両性界面活性剤であってよい。1つの態様では、洗剤組成物はアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれらの混合物を含む。
【0063】
好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に用いられる従来のアニオン性界面活性剤のいかなる種類のものであってもよい。このような界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸類及びそれらの塩類、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料類が挙げられる。代表的なアニオン性界面活性剤は、C10〜C16のアルキルベンゼンスルホン酸、好ましくは、C11〜C14のアルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。1つの態様では、アルキル基は直鎖である。このような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは「LAS」として公知である。そのような界面活性剤及びそれらの作製は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号に述べられている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の直鎖線状のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。ナトリウムC11〜C14、例えばC12 LASは、このような界面活性剤の具体的な例である。
【0064】
他の代表的な種類のアニオン性界面活性剤にはエトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤が含まれる。アルキルエーテルサルフェート、又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても知られているこのような材料は、式:R’−O−(CO)−SOMに従うものである。式中、R’は、C〜C20のアルキル基であり、nは約1〜20であり、及びMは塩を生成するカチオンである。具体的な実施形態において、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又はアルカノールアンモニウムである。より具体的な実施形態においては、R’はC12〜C16であり、nは約1〜6であり、及びMはナトリウムである。
【0065】
アルキルエーテルサルフェートは一般に、さまざまなR’鎖長及びさまざまなエトキシ化度を含む混合物の形態で使用される。このような混合物は、しばしば、いくつかの非エトキシ化アルキルサルフェート材料、すなわち、上記エトキシ化アルキルサルフェートの式(式中、n=0である)の界面活性剤も必然的に包含するであろう。非エトキシ化アルキルサルフェート類もまた本開示の組成物に別々に添加されてもよく、かつ存在し得る任意のアニオン性界面活性剤成分として又はその中で使用されてもよい。非アルコキシル化、例えば非エトキシル化、アルキルエーテルサルフェート界面活性剤の具体例は、C〜C20の高級脂肪族アルコールの硫酸化により製造されるものである。従来の一級アルキルサルフェート界面活性剤は、R’’が典型的に直鎖又は分岐鎖であってよい、線状C〜C20ヒドロカルビル基であり、Mが水溶性化カチオンである、一般式R’’OSOを有する。特定の実施形態では,R’’はC10〜C15アルキルであり、Mはアルカリ金属であり、特に、R’’はC12〜C14であり、Mはナトリウムである。
【0066】
本明細書で有用な特定のアニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、a)C11〜C18アルキルベンゼンスルホネート類(LAS);b)C10〜C20の一級分岐鎖及びランダムなアルキルサルフェート類(AS);c)式(V)及び(VI)を有するC10〜C18二級(2,3)−アルキルサルフェートが挙げられる。
【化11】

式中、式(V)及び(VI)中のMは、電荷の中性をもたらす水素又はカチオンであり、単離された形又は化合物を使用する系の相対的なpHによって界面活性剤又は添加物成分と会合又は非会合であっても、全てのM単位は、水素原子又はカチオンのいずれかであることができ、好ましいカチオンの非限定的な例としてはナトリウム、カリウム、アンモニウム、及びこれらの混合物が挙げられ、並びにxは少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、yは少なくとも8、好ましくは少なくとも約9の整数であり、;d)C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート(AES)(ここで、好ましくはxは1〜30である);e)好ましくは1〜5個のエトキシ単位からなる、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート;f)米国特許第6,020,303号及び同第6,060,443号に述べられている中鎖分岐アルキルサルフェート;g)米国特許第6,008,181号及び同第6,020,303号に述べられているような中鎖分岐状アルキルアルコキシサルフェート;h)WO 99/05243、WO 99/05242、WO 99/05244、WO 99/05082、WO 99/05084、WO 99/05241、WO 99/07656、WO 00/23549、及びWO 00/23548に述べられている変成アルキルベンゼンスルホネート;i)メチルエステルスルホネート(MES);及びj)アルファ−オレフィンスルホネート(AOS)が挙げられる。
【0067】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来の種類のいかなる非イオン性界面活性剤をも含むことができる。これらにはアルコキシル化脂肪族アルコール及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書の液体洗剤製品での使用に好適なものは、通常液体である非イオン性界面活性剤である。本明細書での使用に適した非イオン性界面活性剤としてはアルコールアルコキシラート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシレートは、一般式:R(C2mO)OH(式中、RはC〜C16のアルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である)に相当する材料である。好ましくは、Rはアルキル基であり、一級又は二級であってもよく、約9〜15個の炭素原子、より好ましくは約10〜14個の炭素原子を含む。1つの実施形態では、アルコキシル化脂肪族アルコールは又分子当り約2〜12のエチレンオキシド部分、より好ましくは分子当り約3〜10のエチレンオキシド部分を包含するエトキシ化された材料である。
【0068】
本明細書の液体洗剤組成物に有用なアルコキシル化脂肪アルコール物質はしばしば約3〜17の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有する。より好ましくは、この物質のHLBは、約6〜15、最も好ましくは約8〜15の範囲である。アルコキシル化脂肪族アルコール非イオン性界面活性剤は、Shell Chemical Companyにより商標名NEODOL(登録商標)で市販されてきた。
【0069】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の別の好適な種類は、アミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシド類は、しばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる材料である。アミンオキシド類は、式R’’’(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qHOを有する。この式中、R’’’は、飽和又は不飽和、直鎖又は分岐鎖であることができる、比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16一級アルキルである。R’は、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される短鎖部分である。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、及びBOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤類は、C1214アルキルジメチルアミンオキシドにより例示されるものである。
【0070】
非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、a)NEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤などのC12〜C18アルキルエトキシレート;b)アルコキシレート単位がエチレンオキシとプロピレンオキシ単位の混合物である、C〜C12アルキルフェノールアルコキシレート;c)BASFからのPLURONIC(登録商標)などのエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC12〜C18アルコール及びC〜C12アルキルフェノール縮合物;d)米国特許第6,150,322号で述べられているC14〜C22中鎖分岐のアルコール、BA;e)米国特許第6,153,577号;同第6,020,303号;及び同第6,093,856号で述べられ、xが1〜30である、C14〜C22中鎖分岐のアルキルアルコキシレート、BAE;f)米国特許第4,565,647号で述べられているアルキルポリサッカライド;特に、米国特許第4,483,780号及び同第4,483,779号で述べられているアルキルポリグリコシド;g)米国特許第5,332,528号;WO 92/06162;WO 93/19146;WO 93/19038;及びWO 94/09099で述べられているポリヒドロキシ脂肪酸アミド;及びh)米国特許第6,482,994号及びWO 01/42408で述べられている、エーテルキャップされたポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0071】
本明細書の洗濯洗剤組成物中で洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤材料の組み合わせを含んでもよい。この場合、アニオン性と非イオン性との重量比は、典型的には10:90〜90:10、より典型的には30:70〜70:30の範囲である。
【0072】
カチオン性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、これらの非限定例としては四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、26個までの炭素原子を有することができる。追加の例としては、a)米国特許第6,136,769号で述べられているアルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;b)米国特許第6,004,922号で述べられているジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;c)WO 98/35002;WO 98/35003;WO 98/35004;WO 98/35005;及びWO 98/35006で述べられているポリアミンカチオン性界面活性剤;d)米国特許第4,228,042号;同第4,239,660号;同第4,260,529号;及び同第6,022,844号で述べられているカチオン性エステル界面活性剤;及びe)米国特許第6,221,825号及びWO 00/47708、で述べられているアミノ界面活性剤、特にアミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0073】
双極性界面活性剤の非限定的な例としては、二級及び三級アミン類の誘導体、複素環式二級及び三級アミン類の誘導体、あるいは四級アンモニウム化合物や四級ホスホニウム化合物又は三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。双極性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号、19欄、38行〜22欄、48行を参照のこと;双極性界面活性剤の例としては、アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタイン、C〜C18(好ましくはC12〜C18)アミンオキシド並びにスルホ及びヒドロキシベタインを含めたベタイン、例えば、アルキル基がC〜C18、好ましくはC10〜C14であることができるN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
【0074】
両性界面活性剤の非限定的な例としては、二級又は三級アミン類の脂肪族誘導体、あるいは複素環式二級及び三級アミン類の脂肪族誘導体が挙げられ、脂肪族基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。脂肪族置換基の1つは、少なくとも約8個の炭素原子、通常は約8〜約18個の炭素原子を含有し、そして少なくとも1つが、アニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する。両性界面活性剤の例については、米国特許第3,929,678号、19欄18〜35行を参照のこと。
【0075】
本開示の別の他の態様では、本明細書中で開示されている布地ケア組成物は、顆粒状洗濯洗剤組成物の形をとってもよい。このような組成物は、本開示の分散剤ポリマーを含んで、洗剤を含有する溶液中で洗浄される布地に汚れ及びしみの除去及び再付着防止の利益をもたらす。典型的には、顆粒状洗濯洗剤組成物は、洗浄溶液の約0.0001重量%〜約0.05重量%の、更には約0.001重量%〜約0.01重量%ものレベルで洗浄溶液中で使用される。
【0076】
本発明の粒状洗剤組成物は、任意の数の在来の洗剤成分を包含してもよい。例えば、洗剤組成物の界面活性剤系は、アニオン性、非イオン性、双極性、両性、及びカチオン性の部類及びこれらの適合性の混合物を包含していてよい。顆粒状組成物用の洗剤界面活性剤は、米国特許第3,664,961号及び同第3,919,678号で述べられている。カチオン性界面活性剤としては米国特許第4,222,905号及び.同第4,239,659号で述べられているものが挙げられる。
【0077】
界面活性剤系の非限定的な例としては、在来のC11〜C18アルキルベンゼンスルホネート類(「LAS」)及び一級、分岐鎖及びランダムC10〜C20アルキルサルフェート類(「AS」)、式CH(CH(CHOSO)CH及びCH(CH(CHOSO)CHCH(式中、x及び(y+1)は少なくとも約7、好ましくは少なくとも約9の整数であり、及びMは水可溶化カチオン、特にナトリウムである)のC10〜C18二級(2,3)アルキルサルフェート類、オレイルサルフェートなどの不飽和サルフェート類、C10〜C18アルキルアルコキシサルフェート類(「AES」;特にEO 1〜7エトキシサルフェート類)、C10〜C18アルキルアルコキシカルボキシレート類(特にEO 1〜5エトキシカルボキシレート類)、C10〜C18グリセロールエーテル類、C10〜C18アルキルポリグリコシド類及びそれらの対応する硫酸化ポリグリコシド類、並びにC12〜C18 α−スルホン化脂肪酸エステル類が挙げられる。所望される場合、在来の非イオン性及び両性界面活性剤類、いわゆる狭ピークのアルキルエトキシレート類を含む、C12〜C18アルキルエトキシレート類(「AE」)、及びC〜C12アルキルフェノールアルコキシラート類(特にエトキシレート類及び混合エトキシ/プロポキシ)、C12〜C18ベタイン類及びスルホベタイン類(「スルタイン類」)、C10〜C18アミンオキシド類等もまたこの界面活性剤系に包含され得る。C10〜C18 N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミドも使用可能である。PCT WO 92/06154を参照のこと。糖から誘導される他の界面活性剤としては、C10〜C18 N−(3−メトキシプロピル)グルカミドなどのN−アルコキシポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。低発泡とするためには、N−プロピル〜N−ヘキシルC12〜C18グルカミドを使用することができる。C10〜C20の在来のセッケンを使用してもよい。高い泡立ちを望む場合には、分岐鎖のC10〜C16セッケンを使用してもよい。アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の混合物が特に有用である。他の従来の有用な界面活性剤は、標準的な教科書に列挙されている。
【0078】
洗剤組成物は、洗浄性ビルダーを包含することができ、及び好ましくは包含する。ビルダー類は、一般に、いろいろの水溶性のアルカリ金属、アンモニウム又は置換アンモニウムホスフェート類、ポリホスフェート類、ホスホネート類、ポリホスホネート類、カーボネート類、シリケート類、ボレート類、ポリヒドロキシスルホネート類、ポリアセテート類、カルボキシレート類、及びポリカルボキシレート類から選択される。アルカリ金属、とりわけナトリウム、上記の塩類が好ましい。ホスフェート類、カーボネート類、シリケート類、C1018脂肪酸類、ポリカルボキシレート類、及びこれらの混合物が本明細書での使用に好ましい。トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、シトレート、タータラートモノ−及びジスクシナート、ケイ酸ナトリウム、及びこれらの混合物がより好ましい。
【0079】
無機ホスフェートビルダーの具体的な例は、ナトリウム及びカリウムトリポリホスフェート、ピロホスフェート、約6〜21の重合度を有する多価メタホスフェート、及びオルトホスフェート類である。ポリホスホン酸塩ビルダーの例は、エチレンジホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、エタン1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩、及びエタン−1,1,2−トリホスホン酸のナトリウム塩及びカリウム塩である。他のリンビルダー化合物は、米国特許第3,159,581号、同第3,213,030号、同第3,422,021号、同第3,422,137号、同第3,400,176号、及び同第3,400,148号で述べられている。非リン系無機ビルダーの例には、ナトリウム及びカリウムカーボネート、ビカーボネート、セスキカーボネート、テトラボレートデカハイドレート、及びSiOとアルカリ金属酸化物の重量比が約0.5〜約4.0、好ましくは約1.0〜約2.4のシリケート類がある。本明細書で有用な水溶性の無リン有機ビルダーとしては、さまざまなアルカリ金属、アンモニウム、及び置換アンモニウムのポリアセテート類、カルボキシレート類、ポリカルボキシレート類、及びポリヒドロキシスルホネート類が挙げられる。ポリアセテートビルダー及びポリカルボキシレートビルダーの例には、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、オキシジコハク酸、メリト酸、ベンゼンポリカルボン酸、及びクエン酸の、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、及び置換アンモニウム塩がある。
【0080】
ポリマー型ポリカルボキシレートビルダーは、米国特許第3,308,067号に述べられている。このような材料としては、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、フマル酸、アコニット酸、シトラコン酸、及びメチレンマロン酸のような脂肪族カルボン酸のホモ−及びコポリマー類の水溶性塩類が挙げられる。これらの材料のいくつかは後述するように水溶性アニオン性ポリマーとして有用であるが、それは非セッケン型アニオン性界面活性剤と完全に混合された場合に限る。本明細書での使用に好適な他のポリカルボン酸塩は、米国特許第4,144,226号及び同第4,246,495号に述べられているポリアセタールカルボキシレートである。
【0081】
Mがアルカリ金属であり、及びSiO:MOの重量比が約0.5〜約4.0である、式SiO・MOによって表される水溶性シリケート固体は、無水の重量基準で約2%〜約15%の濃度の本発明の洗剤顆粒において有用な塩類である。無水又は水和の粒子状シリケートも同様に使用可能である。
【0082】
粒状洗剤組成物の構成成分として、任意の数の追加の成分を包含させることができる。これらの成分としては、他の洗浄性ビルダー、漂白剤、漂白活性化剤、起泡促進剤又は起泡抑制剤、色褪せ防止及び腐食防止剤、汚れ懸濁剤、汚れ放出剤、殺菌剤、pH調整剤、非ビルダーアルカリ源、キレート化剤、スメクタイト粘土、酵素、酵素安定剤、及び香料が挙げられる。米国特許番号第3,936,537号を参照されたい。
【0083】
漂白剤及び活性化剤は、米国特許第4,412,934号及び同第4,483,781号で述べられている。キレート化剤は、また、米国特許第4,663,071号の17欄54行から18欄68行で述べられている。泡変性剤もまた随意の成分であり、米国特許第3,933,672号及び同第4,136,045号に記載されている。本明細書での使用に好適なスメクタイト粘土は、米国特許第4,762,645号、6欄、3行から7欄、24行で述べられている。本明細書での使用に好適な追加の洗剤ビルダーは、米国特許第3,936,537号、13欄、54行から16欄、16行、及び米国特許第4,663,071号で列挙されている。
【0084】
本開示のなお別な態様では、本明細書で開示されている布地ケア組成物は、すすぎ添加型布地コンディショニング組成物の形をとってもよい。このような組成物は、布地軟化活性剤と、典型的にはすすぎ添加型布地コンディショニング組成物の全重量基準で約0.00001重量%(0.1ppm)〜約1重量%(10,000ppm)の、又は約0.0003重量%(3ppm)〜約0.03重量%(300ppm)もの本開示の分散剤ポリマーを含んで、この組成物により処理される布地によごれ除去利益をもたらし得る。別の具体的な実施形態では、組成物はすすぎ添加型の布地コンディショニング組成物である。典型的なすすぎ添加型コンディショニング組成物の例は、2004年10月8日出願の米国特許仮出願No.60/687,582に見出られる。
【0085】
補助材料
本発明の目的には必須でないが、以下に例示される、非限定的なリストの補助剤は、この洗浄組成物において使用するのに適しており、及び例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄されるべき基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料などを用いる場合のように組成物の審美性を改変するために、本発明の特定の実施形態に組み込まれるのが望ましい場合がある。このような補助剤がいずれかの特定の実施形態に関して上記に列挙された構成成分に追加できることは理解される。このような補助剤の全量は、洗浄組成物の約0.1重量%〜約50重量%、又は更には約1重量%〜約30重量%の範囲であってよい。
【0086】
このような追加的構成成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき作業の性質に依存する。好適な補助物質としては、ポリマー、例えばカチオン性ポリマー、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒材料、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記開示に加えて、このような他の補助剤の好適な例及び使用量は、米国特許第5,576,282号、同第6,306,812号及び同第6,326,348号に見ることができる。
【0087】
上述のように、補助剤成分は、布地ケア組成物にとって必須ではない。したがって、この組成物の特定の実施形態は、漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、追加の香料及び香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、並びに/又は顔料の1種以上の補助材料を含有しない。しかし、1つ以上の補助剤が存在する場合、このような1つ以上の補助剤は、以下に詳述されるように存在することも可能である。
【0088】
界面活性剤−本開示による組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、ここでは界面活性剤が非イオン性及び/若しくはアニオン性及び/若しくはカチオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは双極性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択可能である。界面活性剤は、典型的には洗浄組成物の約0.1重量%から、約1重量%から、又は更には約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、約80重量%まで、約35重量%まで、又は更には約30重量%までの濃度で存在する。
【0089】
ビルダー−本開示の組成物は、1つ以上の洗剤ビルダー又はビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は典型的には、少なくとも約1重量%のビルダー、又は約5重量%又は10重量%から約80重量%まで、50重量%まで、又は更には30重量%までのかかるビルダーを含む。ビルダーとしては、ポリホスフェートのアルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアンモニウム塩、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類及びアルカリ金属炭酸塩、アルミノシリケートビルダー、ポリカルボキシレート化合物、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸の種々のアルカリ金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩、並びにメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、及びそれらの可溶性塩のようなポリカルボン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。
【0090】
キレート化剤−本明細書の組成物はまた、任意で1つ以上の銅、鉄、及び/又はマンガンキレート化剤を含有してもよい。使用される場合、キレート化剤は、一般に、本明細書の組成物の約0.1重量%〜約15重量%、又は更には本明細書の組成物の約3.0重量%〜約15重量%を構成する。
【0091】
移染防止剤−本開示の組成物はまた、1種以上の染料移動防止剤を含んでよい。好適なポリマー移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、洗浄組成物の約0.0001重量%から、約0.01重量%から、約0.05重量%から、洗浄組成物の約10重量%まで、約2重量%まで、又は更には約1重量%までの濃度で存在する。
【0092】
分散剤−本開示の組成物は分散剤も含むことができる。好適な水溶性有機材料は、ホモポリマー又はコポリマーの酸又はそれらの塩であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシル基を含み得る。
【0093】
酵素−組成物は、洗浄性能効果、及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の洗浄性酵素を含むことができる。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0094】
酵素安定剤−組成物、例えば洗剤において使用するための酵素は、さまざまな技術によって安定化可能である本明細書に用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0095】
触媒金属錯体−この組成物は、触媒金属錯体を包含してもよい。金属含有漂白触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンのカチオンのような、限定された漂白触媒活性の遷移金属カチオン、亜鉛又はアルミニウムのカチオンのような、漂白触媒活性をほとんど又は全くもたない補助的な金属カチオン、並びに触媒金属及び補助金属のカチオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性の塩類を含む触媒系である。このような触媒は米国特許第4,430,243号で開示されている。
【0096】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて接触可能である。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号に開示されているマンガン系触媒を含む。
【0097】
本明細書において有用なコバルト漂白触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号及び同第5,595,967号で述べられている。このようなコバルト触媒は、例えば、米国特許第5,597,936号、及び同第5,595,967号において教示されているような既知の手順によって容易に調製される。
【0098】
本明細書中の組成物は、また、大多環状の剛直な配位子(「MRL」と省略される)の遷移金属錯体を適切に含んでもよい。実際的な事柄として、限定するためではないが、本明細書の組成物及び洗浄法を水性洗浄媒体において少なくとも1億分の1のオーダーの有益剤MRL種を提供するように調整して、約0.005ppm〜約25ppm、約0.05ppm〜約10ppm、又は更には約0.1ppm〜約5ppmのMRLを洗浄溶液中に提供することができる。
【0099】
遷移金属漂白剤触媒中の好ましい遷移金属としては、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書中の好ましいMRLは、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンのような、架橋されている特殊な種類の超剛直配位子である。
【0100】
好適な遷移金属MRLは、既知の手順、例えば、PCT WO 00/32601及び米国特許第6,225,464号で教示されているような手順によって容易に調製される。
【0101】
洗浄組成物の製造方法
本開示の洗浄組成物は、配合者により選択される任意の方法によっていずれかの好適な形態に配合され、調製され得る、本明細書で述べられている布地ケア組成物又は他の洗浄組成物であってもよく、その非限定的な例は、米国特許第5,879,584号;同第5,691,297号;同第5,574,005号;同第5,569,645号;同第5,565,422号;同第5,516,448号;同第5,489,392号;及び同第5,486,303号で述べられている。
【0102】
1つの態様では、本明細書に開示されている液体洗剤組成物は、その構成成分をいずれかの好都合な順番で組み合わせることによって、及び得られた構成成分の組み合わせを混合、例えば攪拌により相安定な液体洗剤組成物を形成することによって、製造されてよい。1つの態様では、液体構成成分、例えば非イオン性界面活性剤、非界面活性液体キャリア及び他の任意の液体構成成分の少なくとも主要部分、又は更には実質的に全てを含有する液体マトリクスを形成し、この液体構成成分を剪断攪拌を付与することによりこの液体の組み合わせを完全に混合する。例えば、機械的攪拌器での高速攪拌が有用に使用される。剪断攪拌が維持される間に、任意のアニオン性界面活性剤及び固体成分の実質的に全てを添加することができる。混合物の攪拌を継続し、必要ならその時点で増大して、液相中に不溶性固相粒子の溶液又は均一分散を形成する。固形形態の物質の一部又は全部をこの攪拌混合物に添加した後、包含される任意の酵素物質の粒子、例えば、酵素プリルが組み込まれる。上述した組成物製造手順の変形として、1つ以上の固形構成成分を1つ以上の液体構成成分の微量部分と予混合した粒子の溶液又はスラリーとして前記攪拌混合物に添加してよい。全ての組成物成分を添加した後、混合物の攪拌は、必要な粘度及び相安定度特性を有する組成物を形成するために充分な時間継続される。しばしば、これには約30分〜60分の間の攪拌を伴う。
【0103】
液体洗剤を製造する別の態様では、最初に分散剤ポリマーが、1つ以上の液体成分と組み合わされて、分散剤ポリマープレミックスを形成し、この分散剤ポリマープレミックスが、実質的な部分、例えば、50重量%以上の、70重量%以上の、又は更には90重量%以上の洗濯洗剤組成物の成分の残部を含有する組成物配合物に添加される。例えば、上述の方法においては、分散剤ポリマープレミックス及び酵素成分は双方とも、成分添加の最終段階で添加される。別の態様では、分散剤ポリマーが洗剤組成物に添加される前にカプセル封入され、カプセル封入されたポリマーが構造化された液体中に懸濁され、この懸濁液が洗濯用洗剤組成物の成分の残部の実質的な部分を含有する組成物配合物に添加される。
【0104】
そのような固形形状の洗剤組成物を形成するさまざまな技術は当該技術分野において周知であり、本明細書で使用されてよい。1つの態様では、布地ケア組成物が顆粒状粒子の形態の場合、分散剤ポリマーは、洗濯用洗剤組成物の全部ではなく、追加的な成分を任意により包含する、粒子状形態で提供される。分散剤ポリマー粒子は、洗剤組成物の成分の残部を含有する、1つ以上の追加の粒子と組み合わされる。更に、洗剤組成物の成分の全部ではなく、追加的な成分を任意により包含する、分散剤ポリマーは、カプセル化された形で提供されてもよく、カプセル化された分散剤ポリマーは、洗剤組成物の成分の実質的な残部を含有する、粒子と組み合わされる。
【0105】
洗浄組成物の使用方法
本明細書で開示されている洗浄組成物は、布地又はテキスタイル、又は硬質若しくは軟質表面若しくは基材の洗浄又は処理に使用され得る。典型的には布地、表面、基材の少なくとも一部分は、ニートな形の又は液、例えば、洗浄液中に希釈された、前述の洗浄組成物の実施形態と接触し、次いで場合によっては洗浄及び/又はすすぎが行われてもよい。1つの態様では、布地、表面又は基材は、場合によっては洗浄及び/又はすすぎが行われ、前述の洗剤組成物の実施形態と接触され、次いで場合によっては洗浄及び/又はすすぎが行われる。本開示の目的では、洗浄としては、擦ること及び機械的攪拌が挙げられるが、これらに限定されない。布地は洗濯又は処理できるほとんどあらゆる布地を含んでよい。
【0106】
本明細書で開示されている洗浄組成物は布地の洗濯で使用される水性洗浄溶液の形成に使用され得る布地ケア組成物であってもよい。一般に、有効量のこのような組成物は、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機又は手洗い工程にて水に添加されて、このような水性洗濯溶液を形成する。そのように形成された水性洗浄溶液は、次に、好ましくは攪拌下で、洗濯される布地と接触される。本明細書に開示されている液体洗剤組成物のような洗濯ケア組成物の有効量が水に添加されて、約500〜約7,000ppm、又は更には約1,000〜約3,000ppmの布地ケア組成物を含む、水性洗濯溶液を形成してもよい。
【0107】
1つの態様では、布地ケア組成物は、洗濯添加剤として、前処理組成物として、及び/又は後処理組成物として使用されてもよい。
【0108】
さまざまな特定の実施形態が本明細書で詳細に記載されているが、本開示は、開示されている実施形態のさまざまな異なる組み合わせを有効範囲とするものであり、本明細書に記載の特定の実施形態に限定されない。本開示のさまざまな実施形態は、以下の代表的な実施例と共に読むとき、より良好に理解され得る。次の代表的な実施例は、例示の目的で挙げられ、限定の目的ではない。
【0109】
試験方法
数平均分子量
在来のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により分子量を測定した。
【実施例】
【0110】
実施例1
合成方法:
カルボキシメチル四級アンモニウムデンプンの合成:
2Lフラスコにトウモロコシデンプン(45g)及びメタノール(75mL)を装填する。この溶液を10分間攪拌し、その後NaOH(26.5gの50%w/w溶液)を5分間にわたって添加する。更に2時間攪拌した後、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド(2.4g)を5分間にわたって添加し、その後反応物を60℃で3時間加熱する。次に、モノクロロ酢酸(19gの80%水溶液)をゆっくりと添加し、得られる溶液を60℃で3時間加熱する。冷却後、反応物を200mLイソプロパノール中でスラリーとし、固体を濾過により除去し、メタノール(200mL)により洗浄し、真空下で乾燥して、所望の変成デンプンを得る。
【0111】
カチオン性ポリサッカライド変成
本開示の1つの態様では、カチオン性ポリサッカライドは、例えば、四級アンモニウム置換基又は温和な酸性条件下でカチオン性となり得るアミン置換基により置換することにより、水溶液中、又は酸性水溶液中でポリサッカライドに正電荷を付与するように化学変成されたポリサッカライドを指す。この化学的変成は、限定ではないが、バイオポリマー分子の中にアミノ及び/又はアンモニウム基を加えることを伴う。これらのアンモニウム基の例には、トリメチルヒドロキシプロピル塩化アンモニウム、ジメチルステアリルヒドロキシプロピル塩化アンモニウム又はジメチルヒドロキシプロピル塩化アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。Solarek,D.B.,「Cationic Starches in Modified Starches:Properties and Uses」,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida 1986,pp 113〜125を参照のこと。
【0112】
アニオン性ポリサッカライド変成:
本開示の別の態様では、アニオン性ポリサッカライドは、水溶液中でポリサッカライドに負電荷を付与するように化学変成されたポリサッカライドを指す。この化学的変成は、限定ではないが、例えば、カルボキシレート(−COO)、カルボキシメチル(−CHCOO)、サクシネート(−OOCCHCHCOOサルフェート(−OS(O)O)、スルホネート(−S(O)O)、アリールスルホネート(−Ar−S(O)O(式中、Arはアリール環である)、ホスフェート(−OPO(OR’)−又は−OPO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ホスホネート(−PO(OR’)−又は−PO2−(式中、R’はH、アルキル、又はアリールである)、ジカルボキシレート(−Y(COO−)(式中、Yはアルキル又はアリールである)、又はポリカルボキシレート(−Y(COO(式中、Yはアルキル又はアリールであり、tは2よりも大きい)などのアニオン性基を分散剤ポリマーに加えることを伴う。誘導体化反応は当該技術分野で既知であり、例えば、カルボキシメチル化ポリサッカライドは、Hofreiter,B.T.「Carboxymethyl Starches in Modified Starches:Properties and Uses」,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida 1986,pp 185〜188に従って作製され;ポリサッカライド上のC6炭素を直接酸化して、C6カルボキシレート(又はカルボン酸誘導体)又はアルデヒドを得ることは、米国特許第5,501,814号及び同第5,565,556号、米国特許出願公開No.2007/0015678 A1、又はBragd,P.L.ら,「TEMPO−mediated oxidation of polysaccharides:survey of methods and applications」:Topics in Catalysis,27,2004,49〜66で示されている方法により作製され;サクシネート及びアルケニルサクシネートは、Trubiano,P.C.,「Succinate and Substituted Succinate Derivatives of Starch:Properties and Uses」,Wurzburg,O.B.,Ed.,CRC Press,Inc.,Boca Raton,Florida 1986,pp 131〜147又は米国特許出願公開No.2006/0287519 A1で示されている手順により作製され得る。
【0113】
実施例2−洗浄組成配合物
本開示の1つの態様による変成ポリサッカライド分散剤ポリマーを用いて、試料配合物を作製する。成分を混合する標準の業界の方法を用いて、この配合物を作製する。配合物I、II、及びIIIは、1重量%の変成ポリサッカライド分散剤ポリマーを含み、配合物IVは3重量%の変成ポリサッカライド分散剤ポリマーを含む。表1に5つの配合物の組成を示す。実施例の洗浄組成配合物を試験して、洗浄工程時の布地表面上での汚れ/しみ物質の分散をもたらし、再付着を防止する能力を確認する。
【表1】

1.窒素に結合したそれぞれの水素原子に対して24個の単位までエトキシル化され、四級化されたヘキサメチレンジアミン
2.ポリエチレングリコール及びポリビニルアセテートのクシ形ポリマー
3.アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼを含む既知の洗剤酵素から選択される酵素カクテル。
4.100%への残余としては、例えば、蛍光増白剤、芳香剤、泡抑制剤、汚れ分散剤、汚れ剥離ポリマー、キレート化剤、漂白添加剤及び増強剤、移染防止剤、審美性増強剤(例えば、しみ)、追加の水、及びサルフェート、CaCO、タルク、シリケートなどを含む充填剤のような少量成分を挙げることができる。
5a.アンヒドログルコース単位(「AGU」)のC−6をカルボン酸に酸化したワクシーコーンデンプンカルボキシレートカルボキシレート含有量は40モル%/AGU(DS=0.40)であり、四級アミン4.6モル%/AGU(DS=0.046)のカチオン性部分の形及び50,000ダルトンのMW(重量平均分子量)を含有する。
5b.アンヒドログルコース単位のC−6をカルボン酸に酸化した高アミロースコーンデンプンカルボキシレート。カルボキシレート含有量は40モル%/AGU(DS=0.40)であり、四級アミン4.6モル%/AGU(DS=0.046)のカチオン性部分の形及び50,000ダルトンのMW(重量平均分子量)を含有する。
5c.カルボキシメチル含有量が78モル%/AGU(DS=0.78)であり、四級アミン5.0モル%/AGU(DS=0.050)のカチオン性部分の形及び50,000ダルトンのMW(重量平均分子量)を含有する。カルボキシメチルコーンデンプン。
【0114】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく限定されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0115】
「発明を実施するための形態」で引用した全ての文献は、関連部分において、本明細書の参照として組み込まれるが、いかなる文献の引用も、それが本開示に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本書における用語の任意の意味又は定義が、参照として組み込まれた文献における同一の用語の任意の意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0116】
本開示の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくさまざまな変更及び修正が可能であることは当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

を有する、ランダム置換の直鎖又は分岐鎖ポリマー骨格を含む分散剤ポリマーを含む洗浄組成物であって、前記ランダム置換ポリマー骨格が少なくとも1つの非置換モノマー及び少なくとも1つの置換モノマーの残基を含み、前記モノマーの前記残基が、フラノース残基、ピラノース残基、及びこれらの混合物からなる群から独立して選択され、かつ前記置換モノマーの前記残基が−(R)置換基を更に含み、
それぞれのR置換基は、0.01〜0.4の範囲の置換度の窒素含有置換基、及び0.1〜3.0の範囲の置換度のアニオン性置換基からなる群から独立して選択され、pは1〜3の整数であり、前記窒素含有置換基の置換度と前記アニオン性置換基の置換度の比は0.05:1〜0.4:1の範囲であり、
前記分散剤ポリマーが1,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、洗浄組成物。
【請求項2】
前記ランダム置換ポリマー骨格が、ランダム置換ポリサッカライド骨格である、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項3】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格がランダム置換ポリグルコース骨格を含み、前記モノマーの前記残基が置換及び非置換グルコピラノース残基を含む、請求項2に記載の洗浄組成物。
【請求項4】
前記ランダム置換ポリグルコース骨格が、ランダム置換セルロース骨格、ランダム置換ヘミセルロース骨格、ランダム置換デンプン骨格、及びこれらのブレンドからなる群から選択される、請求項3に記載の洗浄組成物。
【請求項5】
漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、布地柔軟剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び顔料からなる群から選択される少なくとも1つ以上の補助剤を更に含む、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項6】
前記洗浄組成物が、液体洗濯洗剤、固体洗濯洗剤、洗濯セッケン製品、洗濯スプレー処理製品、皿洗い用洗剤、美容ケア洗剤、シャンプー、及び家事用洗浄洗剤からなる群から選択される製品である、請求項1に記載の洗浄組成物。
【請求項7】
非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式I:
【化2】

に示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含む、分散剤ポリマーを含む洗浄組成物であって、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい、1〜3のR置換基を独立して含み、かつ
それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのR又はR基を含み、
それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第1置換基は0.01〜0.4の範囲の置換度及び式II:
【化3】

に示す構造を有し、式中、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択される置換基であり、ただし、R基の少なくとも2つが孤立電子対でなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の、飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRは、H又はC〜Cアルキルであり、wは0又は1の値を有し、yは0又は1の値を有し、並びにzは0又は1の値を有し、
それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第2の置換基は0.1〜3.0の範囲の置換度及び式III:
【化4】

に示す構造を有し、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、サクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性置換基であり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の値を有する整数であり、及びcは0又は1の値を有し、前記第1置換基の置換度と前記第2置換基の置換度の比は0.05:1〜0.4:1の範囲であり、
前記分散剤ポリマーが1,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、洗浄組成物。
【請求項8】
が0.25〜2.5の範囲の置換度を有する、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項9】
前記分散剤ポリマーが5,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項10】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IA:
【化5】

に示す一般構造を有するランダム置換のセルロース骨格である、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項11】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IB:
【化6】

に示す一般構造を有するランダム置換デンプン骨格である、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項12】
前記ランダム置換デンプン骨格が、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦デンプン、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、スイート米デンプン、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、高アミロースデンプン、又は任意のこれらの混合物から選択されるデンプンから誘導される、請求項11に記載の洗浄組成物。
【請求項13】
前記ランダム置換デンプン骨格が、約30重量%〜約90重量%のアミロース含有量を有する高アミロースデンプンから誘導される、請求項12に記載の洗浄組成物。
【請求項14】
前記ランダム置換デンプン骨格が、少なくとも1つのα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を更に含むランダム置換アミロペクチン骨格であり、前記ポリグルコピラノース分岐が非置換及び置換グルコピラノース残基を含む、請求項11に記載の洗浄組成物。
【請求項15】
前記ポリサッカライド骨格が、非置換又は置換キシロース残基、非置換又は置換マンノース残基、非置換又は置換ガラクトース残基、非置換又は置換ラムノース残基、非置換又は置換アラビノース残基、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの非置換又は置換の炭水化物残基を更に含むランダム置換のヘミセルロース骨格であり、
前記置換炭化水素残基が、R置換基又はR置換基の少なくとも1つを含む、請求項7に記載の洗浄組成物。
【請求項16】
洗浄組成物を作製する方法であって、
分散剤ポリマーを前記洗浄組成物に添加することを含み、
前記分散剤ポリマーが、非置換及び置換グルコピラノース残基を含み、式I:
【化7】

に示す一般構造を有するランダム置換ポリサッカライド骨格を含み、それぞれの置換グルコピラノース残基は、それぞれの置換グルコピラノース残基上で同一であるか又は異なってもよい、1〜3のR置換基を独立して含み、及び
それぞれのR置換基は、独立して、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル、R、R及び式Iに示す一般構造を有するポリサッカライド分岐から選択される置換基であり、ただし、少なくとも1つのR置換基が少なくとも1つのR、又はR基を含み、
それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第1置換基は0.01〜0.4の範囲の置換度及び式II:
【化8】

に示す構造を有し、それぞれのRは、孤立電子対、H、CH、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキルからなる群から選択され、ただし、R基の少なくとも2つは孤立電子対でなく、Rは、直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和C〜C18アルキル鎖又は直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和二級ヒドロキシ(C〜C18)アルキル鎖であり、Lは、−O−、−C(O)O−、−NR−、−C(O)NR−、及び−NRC(O)NR−からなる群から選択される連結基であり、並びにRは、H又はC〜Cアルキルであり、wは0又は1の値を有し、yは0又は1の値を有し、並びにzが0又は1の値を有し、並びに
それぞれのRは、独立して、同一であるか又は異なり、第2置換基は0.1〜3.0の範囲の置換度及び式III:
【化9】

に示す構造を有し、式中、Rは、カルボキシレート、カルボキシメチル、サクシネート、サルフェート、スルホネート、アリールスルホネート、ホスフェート、ホスホネート、ジカルボキシレート、及びポリカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン性置換基であり、aは0又は1の値を有し、bは0〜18の値を有する整数であり、及びcは0又は1の値を有し、前記第1置換基の置換度と前記第2置換基の置換度の比は0.05:1〜0.4:1の範囲であり、
前記分散剤ポリマーが1,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、方法。
【請求項17】
前記分散剤ポリマーが5,000ダルトン〜1,000,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IA:
【化10】

に示す一般構造を有するランダム置換セルロース骨格である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ランダム置換ポリサッカライド骨格が、式IB:
【化11】

に示す一般構造を有するランダム置換デンプン骨格である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ランダム置換デンプン骨格が、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ワクシートウモロコシデンプン、オート麦デンプン、キャッサバデンプン、ワクシー大麦デンプン、ワクシー米デンプン、グルテナス米デンプン、スイート米デンプン、じゃがいもデンプン、タピオカデンプン、サゴデンプン、高アミロースデンプン、又はこれらのいずれかの混合物から選択されるデンプンから誘導される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ランダム置換デンプン骨格が、約30重量%〜約90重量%のアミロース含有量を有する高アミロースデンプンから誘導される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ランダム置換デンプン骨格が、少なくとも1つのα(1→6)ポリグルコピラノース分岐を更に含むランダム置換アミロペクチン骨格であり、前記ポリグルコピラノース分岐が非置換及び置換グルコピラノース残基を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリサッカライド骨格が、非置換又は置換キシロース残基、非置換又は置換マンノース残基、非置換又は置換ガラクトース残基、非置換又は置換ラムノース残基、非置換又は置換アラビノース残基、及びこれらのいずれかの組み合わせからなる群から選択される、少なくとも1つの非置換又は置換炭水化物残基を更に含むランダム置換ヘミセルロース骨格であり、
前記置換炭化水素残基が、R置換基又はR置換基又の少なくとも1つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー系分散剤、粘土及び汚れ除去/再付着防止剤、増白剤、泡抑制剤、染料、香料、香料送達系、構造弾性化剤、柔軟仕上げ剤、キャリア、ヒドロトロープ、加工助剤、及び顔料からなる群から選択される少なくとも1つ以上の補助剤を前記洗浄組成物に添加することを更に含む請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記布地を請求項7に記載の洗浄組成物を含む有効量の布地ケア組成物と接触させることを含む、布地を処理する方法。

【公表番号】特表2012−503083(P2012−503083A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527974(P2011−527974)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/057381
【国際公開番号】WO2010/033747
【国際公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】