説明

洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物

【課題】手洗い洗濯時に発生する不快因子や物理的負荷、すなわち、「洗濯をする者にとっての精神的、肉体的負担」を改善し、泥粒子再汚染防止性に優れる洗濯方法及び該方法に好適な粒状洗浄剤組成物を提供すること。
【解決手段】アニオン性界面活性剤、硬度成分捕捉ビルダー、アルカリ性物質及びスルホン酸系ポリマーを含んでなる洗濯浴中で被洗浄物を洗濯する方法であり、上記スルホン酸系ポリマーが、特定のモノマー単位を、全構成モノマー単位中50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100万〜3000万であるスルホン酸系ポリマーであり、上記洗濯浴中で全部又は一部を溶解させたアニオン性界面活性剤と被洗浄物を接触させた後に、上記スルホン酸系ポリマーを後接触させる被洗浄物の洗濯方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物に関する。更に詳しくは、手洗い時の労働負荷を改善しつつ、泥粒子再汚染防止性に優れる洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に粉末の衣料用洗剤は、界面活性剤、硬度成分捕捉ビルダー、pH緩衝剤、その他の助剤(洗浄酵素、蛍光増白剤、漂白システム等)等からなり、それら洗浄基剤に関しては、古くから、高性能化、環境適性の向上、低コスト化、製剤化適性向上等の観点からの様々な改良が試みられている。また、製造方法に関しても、省力化、低コスト化、品質の安定・向上等の観点からの改良が重ねられている。このように現在では、高性能な粉末衣料用洗剤が、大量生産によって、効率的に供給されている。
【0003】
一方、衣料用洗剤の一般使用者(消費者)の使用方法としては、概すれば洗濯機洗濯・手洗い洗濯を挙げることができる。手洗い洗濯は、洗濯機による洗濯と比較した場合、汚れの落ち具合、被洗浄物の種類など、状況に応じたきめ細かい洗浄が可能となる一方、洗濯をする者にとって、肉体的、精神的疲労感を伴う。更に、被洗浄物同士をこすり合わせる「もみ洗い」は、被洗浄部位に機械力をかけやすく、最も自然な手洗い方法の1つであるが、長時間の継続・反復作業により、洗濯をする者に多大な肉体的・精神的疲労をもたらす。
【0004】
また、微視的には、布等の被洗浄物は平滑でないため、これらを実際にこすりあわせると、抵抗が生じる。この抵抗は、洗浄をするものにとっては「ざらつき」、「きしみ」といった不快因子として感じられ、もみ洗い運動による体力の消耗の点からも、肉体にかかる負担をより大きくするものである。また、もみ洗い時に生じる局所的な摩擦は、人の場合は手の擦り傷、切り傷の原因となり、被洗浄物の場合は、繊維の摩耗、いわゆる「布の傷み」となって現れる。繊維の傷みは、衣類の耐用期間を短くするのみならず、汚れの付着性の点では促進因子となり、洗浄に必要な肉体的負担がさらに増加する原因となる。
【0005】
一方、製造方法の技術改良や剤型に関連する技術開発、保存安定性など流通段階等の課題を解決する技術向上等を除き、一般使用者による衣類洗浄に直接改善をもたらす為の取り組みとしては、従来から、洗剤の洗浄力を向上することや、被洗浄物への汚れの再付着を防止すること、他の被洗浄物から脱離した色素による移染を防止すること等の「汚れを如何に被洗浄物から除去し、新たな汚染を防止するか」という面や、洗浄後の衣類に柔軟性を付与する、衣類のシワ発生を防止する等の「洗い終わった被洗浄物がいかに仕上がるか」 という面に着目した技術開発が主であった(例えば、特許文献1〜4参照)。前記のような手洗い洗濯時に発生する不快因子や物理的負荷、すなわち「洗濯をする者にとっての精神的、肉体的負担」を考慮し、その改善に焦点をあてたような技術開発はこれまでされていなかった。
【0006】
特許文献4には、アクリルアミドアルキレンスルホン酸系ポリマーによる色移り防止技術が開示されている。しかしながら、該技術も、手洗い洗濯者にとって、前記のような精神的・肉体的負担を改善するための取り組みではなく、洗浄時に衣類にすべり性を与えて摩擦を低減すること、洗濯液中の衣類に滑らかな感触を付与すること、それにより手洗いを快適にするという意図自体ないものである。加えて、泥粒子に対する再汚染防止性が充分ではなかった。
【特許文献1】特表平5−508889号公報
【特許文献2】特開平1−98697号公報
【特許文献3】特開平7−216389号公報
【特許文献4】特開平6−179893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
よって本発明が解決すべき課題は、手洗い洗濯時に発生する不快因子や物理的負荷、すなわち、「洗濯をする者にとっての精神的、肉体的負担」を改善し、泥粒子再汚染防止性に優れる洗濯方法及び該方法に好適な粒状洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題に対し、本発明者らは、特定のスルホン酸系ポリマーが手もみ洗い洗濯時に適度な衣類スベリ性を付与して労働負荷軽減等の効果をもたらすこと、更に該ポリマーの使用に際して他の洗浄成分との相対的な作用順序を変化させることにより、泥粒子再汚染防止性を飛躍的に向上し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
即ち、本発明は、
〔1〕アニオン性界面活性剤、硬度成分捕捉ビルダー、アルカリ性物質及びスルホン酸系ポリマーを含んでなる洗濯浴中で被洗浄物を洗濯する方法であり、上記スルホン酸系ポリマーが、下記式(I)で表されるモノマー単位を、全構成モノマー単位中50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100万〜3000万であるスルホン酸系ポリマーであり、上記洗濯浴中で全部又は一部を溶解させたアニオン性界面活性剤と被洗浄物を接触させた後に、上記スルホン酸系ポリマーを後接触させる被洗浄物の洗濯方法、並びに
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、Aは、水素原子又はアルカリ金属、R1は水素原子またはメチル基、Xは下記式(II)〜(IV)いずれかの基を示す。)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Phはフェニレン基を示す。)
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、mは、1〜6を示す。)
【0016】
【化4】

【0017】
(式中、R2は炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。)、
〔2〕個別に調製されたアニオン性界面活性剤を含有するベース洗浄剤粒子群と、上記〔1〕記載の式(I)で表されるモノマー単位を構成モノマー中に50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100万〜3000万であるスルホン酸系ポリマーを70重量%以上の比率で含有する粒子群とを、混合することによって得られる粒状洗浄剤組成物、及び
〔3〕上記〔1〕記載の式(I)で表されるモノマー単位を全構成モノマー単位中50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100〜3000万であるスルホン酸系ポリマーを70重量%以上含有し、平均粒径が50〜500μmであり、目開きが63μm篩通過分20重量%以下であり、目開きが1400μmの篩の残留分が10重量%以下である洗浄剤用添加剤
に関する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の洗濯方法により、手洗い洗濯時、洗濯衣類間のスベリ性を改善し、手もみ洗い洗濯者の労働負荷の低減をしつつ、さらに泥粒子再汚染防止性の改善が可能となる。また、本発明の粒状洗浄剤組成物を用いることで、手もみ洗い洗濯者に対し、前記改善を自ずと享受させ得るという効果が奏される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の洗濯方法は、スルホン酸系ポリマーの溶解に先んじて、洗浄水にアニオン性界面活性剤や硬度成分捕捉ビルダー、アルカリ性物質を含むベース洗浄剤成分の全部又は一部の量を溶解させることを特徴としている。
【0020】
このようにして洗濯する方法としては、前述の順序を守り、それぞれを個別に洗浄水に導入する方法でもよい。このような方法のより具体的な例としては、例えば、所要量のアニオン性界面活性剤、所要量のスルホン酸系ポリマーをそれぞれ個別に含む水溶液を予め調製し、順に洗浄水中に投入する方法や、洗浄水に直接固体状又は粒子状のベース洗浄剤粒子群を投入し、一部又は完全に溶解後、次いで固体状又は粒子状のスルホン酸系ポリマーを投入する方法等が挙げられる。
【0021】
また、例えば粒子状のベース洗浄剤粒子群と粒子状のスルホン酸系ポリマーとが一括混合された組成物を用いる場合には、本発明の洗濯方法として、該ポリマー粒子の溶解を、該洗浄剤粒子群の溶解よりも、より緩慢又は漸進的に行わせる方法が挙げられる。
【0022】
要すれば、本発明の洗濯方法は、洗浄成分中のアニオン性界面活性剤と、スルホン酸系ポリマーとを、単に個別に且つ段階的に洗浄水中へ投入することに留まらず、一括に洗浄水中へ投入したとしても、アニオン性界面活性剤と、スルホン酸系ポリマーそれぞれからなる固体又は粒状物の溶解速度の差異により、アニオン性界面活性剤の溶解進行が、スルホン酸系ポリマーの溶解進行よりもより迅速であればよく、このような溶解条件が実現されれば、厳密には水中溶解が同時に開始し、進行している場合であっても、本発明の効果が得られる。
【0023】
本発明の洗濯方法により、手洗い洗濯時、洗濯衣類間のスベリ性を改善し、手もみ洗い洗濯者の労働負荷を低減しつつ、さらに泥粒子再汚染防止性の改善が可能となる。
【0024】
本発明は、理論により何ら限定されるものではないが、本発明の洗濯方法におけるこれらの効果は、本発明のスルホン酸系ポリマーと、アニオン性界面活性剤等の洗浄成分との間に存在する何らかの相互作用により、該スルホン酸系ポリマー自身が有している、汚れ粒子との親和性が減退若しくは消失し、泥粒子の分散性が向上していることに基づくものと考えられる。本来、被洗浄物、汚れ粒子及び洗剤各成分の添加順序は、それらにより形成される複合系の安定状態を規定しないと考えてもよい、即ち、泥粒子の再汚染防止性が、各洗浄基剤の作用順序に影響され、変化することは起こらないと考えてもよいが、洗浄基剤、被洗浄物繊維、汚れ粒子の吸脱着の定常化に関わる時間が、一般的な洗濯に要する時間の尺度を超越していると解釈すれば、前述のように生じた、洗浄基剤の作用順序が泥粒子再汚染防止性の向上をもたらし得るという効果に対して、説明付けられる。即ち、各成分による実質的作用が為されるタイミングの差異が、予想に反し、洗浄結果に大きな影響を残すことに繋がっていると考えられる。
【0025】
<スルホン酸系ポリマー>
本発明に用いられるスルホン酸系ポリマーは、スルホン酸残基を側鎖に有するビニル系モノマー単位、即ち、式(I):
【0026】
【化5】

【0027】
(式中、Aは、水素原子又はアルカリ金属、R1は水素原子またはメチル基、Xは下記式(II)〜(IV)いずれかの基を示す。)
【0028】
【化6】

【0029】
(式中、Phはフェニレン基を示す。)
【0030】
【化7】

【0031】
(式中、mは、1〜6を示す。)
【0032】
【化8】

(式中、R2は炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。)
で表されるモノマー単位をモノマー単位中に50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100万〜3000万であるスルホン酸系ポリマーである。該ポリマーにおける該構成モノマー単位の比率は、泥粒子分散性の点から、50モル%以上であるが、泥粒子分散性がより優れていることから、70モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましく、85モル%以上が更に好ましく、90モル%以上が更に好ましい。また、実質的に他の構成モノマーを含まないものも、本発明に用いられるスルホン酸系ポリマーとして好適である。
【0033】
式(I)中のAは、水素原子またはアルカリ金属を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。好ましくは、Rは、水素原子である。また、式(I)中のXは、フェニレン基、エステルアルキレン基、アミドアルキレン基等の、上記式(I)で表されるモノマー単位の高い重合性を損なわない基が好ましく、更に前記式(I)中のXは、式(II)〜(IV)いずれかの基であることが好ましい。
【0034】
【化9】

【0035】
(式中、Phはフェニレン基を示す。)
【0036】
【化10】

【0037】
(式中、mは、1〜6を示す。)
【0038】
【化11】

【0039】
(式中、Rは、炭素数2〜8の直鎖又は分岐アルキレン基を示す。)
【0040】
スルホン酸系ポリマーを構成する式(I)で示されるモノマー単位は、式(I)中のXが、上記式(II)〜(IV)のいずれか1つであってもよく、これらが混合していてもよい。
【0041】
Xが式(III)で表される基である場合、式(III)中のmは、1〜6である。
【0042】
Xが式(IV)で表されるアミドアルキレン基である場合、式(IV)中のRは、炭素数2〜8のアルキレン基であり、該アルキレン基は、直鎖又は分岐鎖のいずれかであっても良い。中でも、Rが分岐鎖を有するアルキレン基であるものは、入手が容易であるので好ましい。更に、式(I)のモノマー単位が、式(I)中のXが下記式(V)〜(VII)のいずれかで表される基であるものは、重合性が良好である為好ましい。更に好ましくは、式(I)のモノマー単位が、式(I)中のXが下記式(V)で表される基であるものは、汎用性の高い素材であり、且つ重合性が極めて良好であるので好ましい。
【0043】
【化12】

【0044】
【化13】

【0045】
【化14】

【0046】
式(I)で表されるモノマー単位として、式(I)中のRが水素原子であり、且つXが式(V)で表されるアミドアルキレン基であるものは、重合性や素材の汎用性のみならず、スルホン酸系ポリマーへと重合して後の衣類スベリ性、並びに泥粒子再汚染防止性の点から更に好適である。
【0047】
前記構成モノマー中の式(I)で表されるモノマー単位は、全て酸型であってもよいし、その全部又は一部が中和された塩型であってもよい。構成モノマー中の式(I)で表されるモノマー単位の一部または全てが中和された塩型である場合、スルホン酸残基を中和する対イオンとしては、1価のカチオンが好適である。更に具体的には、アルカリ金属イオンが好適であり、中でもNa、K塩のかたちに中和された塩型が更に好ましい。
【0048】
式(I)で表されるモノマー単位以外の構成モノマーとして、本発明の効果を損なわないよう精査しながら、任意のビニル系コモノマーを用い、共重合することができる。
【0049】
本発明に用いることができるコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−ビニルアセトアミド、マレイン酸系モノマー(無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸モノアミド又はそれらの2種類以上からなる混合物)及びその塩類並びにイタコン酸及びその塩類等であり、これらから選択される1種以上をコモノマーとして含んでいてもよく、含まなくても良い。好ましいコモノマーとしては、式(I)で表されるモノマー単位との共重合性が高いものが挙げられ、例えばアクリル酸またはその塩は、本発明のスルホン酸系ポリマーを構成するコモノマーとして好適である。本発明スルホン酸系ポリマー中、アクリル酸又はその塩の含有モル比率は、泥粒子再汚染防止性の点から30モル%以下、より好ましくは20モル%以下、更に好ましくは10モル%以下、更に好ましいのは5モル%以下である。例えば、式(I)で表されるモノマー単位70〜100モル%、及びアクリル酸又はその塩0〜30モル%からなるコポリマーは、本発明に用いられるスルホン酸系ポリマーとして好適である。
【0050】
本発明のスルホン酸系ポリマーが、構成コモノマーとして、アクリルアミドを含む場合、泥粒子再汚染防止性の点から、本発明に用いられるアクリルアミドのモル比率は、好ましくは10モル%以下、より好ましくは8モル%以下、更に好ましくは6モル%以下、更に好ましくは4モル%以下である。
【0051】
また、スルホン酸系ポリマーが、構成コモノマーとして、N−ビニルアセトアミドを含む場合、泥再汚染防止性の点から、N−ビニルアセトアミドのモル比率は、好ましくは10モル%以下、より好ましくは8モル%以下、更に好ましくは6モル%以下、更に好ましくは4モル%以下である。
【0052】
スルホン酸系ポリマーは、手洗い洗濯時に快適なスベリ性を発現する。この効果の点から、重量平均分子量が100万以上であるが、高いスベリ性を付与することができることから、好ましくは120万以上、より好ましくは150万以上、更に好ましくは200万以上、更に好ましくは300万以上、更に好ましくは500万以上であり、更に好ましくは600万以上が好適である。また、平均分子量は、入手容易性の点から3000万以下、より好ましくは2500万以下、更に好ましくは2000万以下が好適である。
【0053】
分子量の測定は、下記測定条件のゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下、GPC法という)により行い、ポリエチレンオキサイド(PEO)換算の分子量を測定値とする。
【0054】
〔GPC法測定条件〕
カラムはPW/GMPWXL/GMPWXL〔東ソー(株)製〕、溶離液に0.2Mリン酸バッファー(KH2PO4、Na2HPO4、pH=7)/CH3CN=9/1(重量比)を用い、カラム温度:40℃、流速:1mL/min、サンプル濃度は10〜100μg/mLとする。検出器は、RALLS(Right Angle Laser Light Scattering)を用いる。
【0055】
手洗い洗濯時に充分なスベリ性を得るため、全洗浄剤組成物中における、スルホン酸系ポリマーの比率は、該ポリマーからなるスルホン酸系ポリマー含有粒子群を混合した後の全洗浄剤基準で、0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上、0.8重量%以上が更に好ましい、更に好ましくは1.0重量%以上、更に好ましくは1.2重量%以上が好適である。また、手洗い洗濯時の適度な感触を与える点から、スルホン酸系ポリマーの比率は、10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは5重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、更に好ましくは3.5重量%以下、更に好ましくは3重量%以下、とりわけ2.5重量%以下が好適である。更に、手洗い洗濯時にスベリ性が充分且つ適度であることから、全洗浄剤組成物中、本発明のスルホン酸系ポリマーの比率は、該ポリマーを含む全洗浄剤基準で、好ましくは0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜8重量%、更に好ましくは0.3〜5重量%、更に好ましくは0.5〜4重量%、更に好ましくは、1.2〜3重量%である。
【0056】
また、スルホン酸系ポリマーを含有する粒子群を、洗浄剤用添加剤として用いる場合、洗浄時に用いられる、該ポリマー添加量は、前述の全洗浄剤組成物中の本発明のスルホン酸系ポリマーの比率と同様であることが好ましい。
【0057】
本発明に用いられるスルホン酸系ポリマーの合成方法は、特段の限定がない。このようなスルホン酸系ポリマーとしては、架橋型のポリマーと非架橋型のポリマーが挙げられるが、架橋度性の低いものほど、スベリ性の発現の点から好ましく、合成方法においても、分岐構造及び/又は架橋構造の形成が発生し難い方法がより好ましい。
【0058】
本発明に用いられるスルホン酸系ポリマーは、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の方法により合成され得る。
【0059】
ラジカル重合法により合成する場合は、ラジカル重合開始剤として、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t‐ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素等の過酸化物系開始剤を用いても良いし、2,2´‐アゾビス(2‐アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ系開始剤を用いても良いし、これらと亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤とを併用してレドックス型開始剤系として用いてもよいし、紫外線、電子線、γ線等を照射して重合を開始しても良い。なお、これらの重合開始剤の使用量は、重合または共重合に供するモノマーに対して0.0001〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.001〜1.5モル%であり、さらに好ましくは0.01〜0.5モル%である。
【0060】
また、アニオン重合法により合成する場合には、重合開始剤として、ナフチルナトリウム等のアルカリ金属の芳香族錯体やリチウム、ナトリウム又はカリウム等のアルカリ金属、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、メチルリチウム又はフルオレニルリチウム等の有機リチウム化合物(アルキルリチウム化合物)を用いても良いし、又は有機マグネシウム化合物、好適にはフェニルマグネシウムブロマイド又はブチルマグネシウムブロマイド等のグリニヤール化合物、又はジベンジルマグネシウム、ジブチルマグネシウム又はベンジルピコリルマグネシウム等のジオルガノマグネシウム化合物を用いても良い。なお、これらの重合開始剤の使用量は、重合または共重合に供するモノマーに対して0.0001〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.001〜1.5モル%であり、更に好ましくは0.01〜0.5モル%である。
【0061】
一方、カチオン重合法により合成する場合には、重合開始剤としてトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、硫酸、メタンスルホン酸トリフルオロメタンスルホン酸等のブレンステッド酸を用いても良いし、水/三フッ化ホウ素、水/三塩化ホウ素、水/塩化アルミニウム、水/臭化アルミニウム、水/四塩化錫、トリクロロ酢酸/四塩化錫、塩化水素/三塩化ホウ素又は塩化水素/三塩化アルミニウム等のブレンステッド酸/ルイス酸混合物を用いても良く、またトリチルカチオン、トロピリウムカチオン等の有機カチオン類、又は塩化アセチル/ヘキサフルオロアンチモン酸銀又は塩化アセチル/過塩素酸銀等のオキソカルベニウムイオンを生じる混合物が用いられる。なお、これらの重合開始剤の使用量は、重合または共重合に供するモノマーに対して0.0001〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.001〜1.5モル%であり、更に好ましくは0.01〜0.5モル%である。
【0062】
本発明に用いられるスルホン酸系ポリマーを得るための重合方法としては、バルク重合や沈澱重合を行うことも可能ではあるが、よりスベリ性能の高いポリマーを得るため、また重合の制御が容易である点から、水溶液重合又は逆相懸濁重合法が好ましい。
【0063】
<スルホン酸系ポリマー含有粒子群>
本発明の粒状洗浄剤組成物に用いられる、又は洗浄剤用添加剤として用いられるスルホン酸系ポリマー含有粒子群は、アニオン性界面活性剤、硬度成分捕捉ビルダー及びアルカリ性物質を含有するベース洗浄剤粒子群とともに洗浄剤組成物を成し、水中に投入された後、溶解することでスベリ性を発現する。従って、スベリ性発現のためには、洗浄時間内に溶解することが好ましい。一方、アニオン性界面活性剤、硬度成分捕捉ビルダー、アルカリ性物質を含有するベース洗浄剤粒子群と比べて、スルホン酸系ポリマー含有粒子群の溶解が緩慢若しくは漸進の場合において、泥粒子再汚染防止性の向上がもたらされる。即ち、スルホン酸系ポリマー含有粒子群は、洗剤用途として、充分な粒子溶解性を具備しながらも、ベース洗浄剤粒子群との相対関係として、溶解速度が遅いことが好ましい。このように、溶解速度の好ましいスルホン酸系ポリマー含有粒子群を得る方法としては、該スルホン酸系ポリマーの分子量を前記の好ましい範囲から、更に特定の分子量に調整する方法、該スルホン酸系ポリマー含有粒子群の粒径を調整する方法又は粒子表面への処理加工等の処理、該スルホン酸系ポリマーとともに該粒子群を構成する、該スルホン酸系ポリマー以外の成分の種/量を精査し、粒子群全体の溶解をコントロールする方法等が挙げられる。中でも、溶解速度の好ましいスルホン酸系ポリマー含有粒子群を得る方法として、該スルホン酸系ポリマーの分子量を調整する方法、該スルホン酸系ポリマー含有粒子群の粒径を調整する方法は、工程が簡略であるという点から好ましい。
【0064】
好ましい粒径のスルホン酸系ポリマー含有粒子群を得る方法としては、特に制限はなく、前述のような好ましい溶解速度を与える粒径の粒子群が得られる方法であれば、いかなる方法をも取りうる。好ましい粒径のスルホン酸系ポリマー含有粒子群を得る方法として、例えば、篩を用いて分画する方法、流動乾燥等の手段を用いて該ポリマー水溶液を噴霧しながら転動乾燥造粒を行う方法、該ポリマーを逆相懸濁系で重合する場合は、その重合工程において、重合場となる懸濁系の分散システム及び/又は攪拌翼、攪拌速度等の攪拌条件を調整し、生成される該ポリマー粒子群の粒径や粒度分布を制御する方法等及び、これらの方法を組み合わせて行う方法が挙げられる。中でも、該ポリマーの重合段階での粒径制御は、新たな工程を含まない点、或いはポリマーを有効に使用できる点等から好ましい。
【0065】
本発明の粒状洗浄剤組成物に用いられる、又は、洗浄剤用添加剤として用いられるスルホン酸系ポリマー含有粒子群として、前記逆相懸濁重合のように、高ポリマー含量の粒子として得られたものは、洗濯時に粒子の溶け残りを生じないという観点から平均粒径が500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは350μm以下、更に好ましくは300μm以下である。
【0066】
また、溶解が緩慢で泥粒子再汚染防止性が優れている理由から、更に前記平均粒径は、好ましくは50μm以上、より好ましくは70μm以上、更に好ましくは90μm以上、更に好ましくは110μm以上である。
【0067】
前記平均粒径は、好ましくは、50〜500μm、より好ましくは70〜400μm、更に好ましくは90〜350μmである。
【0068】
また、平均粒径が同一であるとしても、該平均粒径よりも微細側に位置する画分の分布中、より微細部分の割合が少なければ、粒子群全体の溶解はより緩慢である。このことから、本発明の粒状洗浄剤組成物に用いられる、又は、洗浄剤用添加剤として用いられるスルホン酸系ポリマー含有粒子群の63μm篩通過分は、好ましくは20重量%以下、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、更に好ましくは5重量%以下である。
【0069】
また、平均粒径が同一であるとしても、粗大粒径画分の割合が少なければ、洗濯時に粒子の溶け残りを生じない。このことから、本発明の粒状洗浄剤組成物に用いられる、または、洗浄剤用添加剤として用いられるスルホン酸系ポリマー含有粒子群の1400μm篩残留分は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、更に好ましくは6重量%以下、更に好ましくは4重量%以下、更に好ましくは2重量%以下である。
【0070】
粒径及び粒度測定方法
目開きが2000μm、1400μm、1000μm、710μm、500μm、355μm、250μm、180μm、125μm、90μm、63μm及び45μmである12段の篩と受け皿を用い、ロータップマシーン(HEIKO SEISAKUSHO製)に取り付け、試料100gを10分間振動(タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)して篩い分けを行った後、受け皿及び各篩上に残った粒子重量を測定する。(微粒側から)積算の重量割合が50%以上となる篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの重量割合の積算をc%、またaμmの篩上の重量割合をd%とした場合、
(平均粒径)=10
A=(50-(c-d/(log b-log a) x log b))/(d/(log b-log a))
に従って算出する。

(63μm篩通過分)=45μm篩上の重量割合+受け皿上の重量割合
(1400μm篩残留分)=篩の目開きが2000μm及び1400μmの篩上の重量総和の割合
【0071】
スルホン酸系ポリマー含有粒子群は、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、該スルホン酸系ポリマー以外の1種以上の成分を含んでも良いし、含んでいなくても良い。
【0072】
該スルホン酸系ポリマー重合工程よりキャリーオーバーされる、例えば未反応モノマー、重合開始剤、分散剤、溶剤及びそれらに起因する副生成物等の微量成分や、水分等に関しては、本発明の効果を失わない限り、特に制限されない。
【0073】
スルホン酸系ポリマー粒子群中の該スルホン酸系ポリマー含量は、高含有率であることが粒子群としての添加量を削減できる点から本来好ましく、粒子群中に含まれる該スルホン酸系ポリマー比率としては、70重量%以上であり、好ましくは75重量%以上であり、更に80重量%以上がより好ましく、85重量%以上が更に好ましく、更に好ましくは、90重量%以上である。重量平均分子量が100万以上のスルホン酸系ポリマーの場合、該粒子群中の該ポリマー含有比率は、高いほど、溶解速度が緩慢であり、斯く高含有率の該粒子は、泥粒子再汚染防止性の面からも優れている。
【0074】
ただし、本発明のスルホン酸系ポリマー含有粒子群と、ベース洗浄剤粒子群とを粒体混合する上で、設定された両者の規定量比率通り、両者を精度良く混合するため等の目的により、少量のみ混合添加されるスルホン酸系ポリマー含有粒子群を、予め第3の粉粒体との混合により希釈された後に使用したり、スルホン酸系ポリマー含有粒子群調製中に他の成分を添加したり、該ポリマー比率を希釈したりすることで、計量精度の向上を図ること等は、場合により実施しても良い。更に好ましくは、後者の場合においては、スルホン酸系ポリマー含有粒子群中の該ポリマー比率が低下するが、本発明本来の効果を阻害しない限り、任意に実施しても良い。
【0075】
<ベース洗浄剤粒子群>
本発明の粒状洗浄剤組成物に使用されるベース洗浄剤粒子群は、少なくともアニオン性界面活性剤を含有し、好ましくはさらに、硬度成分捕捉ビルダー及び、アルカリ性物質を含有する。それ単独で衣料用洗浄剤としての最低限の機能を発揮できるのに必要な種/量の洗浄基剤を含有しているものであっても良いし、衣料用洗浄剤としては、更に1種以上の成分を追加又は添加する必要を有しているものであっても良い。
【0076】
本発明の効果を得るために、前記スルホン酸系ポリマー含有粒子群とともに使用されるベース洗浄剤粒子群は、高い溶解性を有している。
【0077】
溶解速度が迅速であるため、ベース洗浄剤粒子群の平均粒径は、600μm以下であることが好ましく、550μm以下であることがより好ましい。更に500μm以下であることがより好ましく、更に450μm以下であることが好ましく、更に好ましいのは400μm以下である。
【0078】
また、粉末の物性の点から、ベース洗浄剤粒子群の平均粒径は、好ましくは100μm以上、より好ましいのは125μm以上、更に好ましくは150μm以上、更に好ましくは175μm以上、更に好ましくは200μm以上である。
【0079】
また、ベース洗浄剤粒子群の平均粒径の範囲は、好ましくは100〜600μm、より好ましくは125〜550μm、更に好ましくは150〜500μm、更に好ましくは175〜450μm、更に好ましくは200〜400μmである。
【0080】
粒径は、スルホン酸系ポリマー含有粒子群の場合と同様にロータップマシーンを用いて測定する。
【0081】
ベース洗浄剤粒子群の調製法としては、噴霧乾燥法、転動造粒法等公知の方法であれば特に制限はない。中でも噴霧乾燥法は、中空の粒子になり易い製造方法であるため、ベース洗浄剤組成物粒子群の溶解速度が充分速い点で好ましい調製法として挙げられる。
【0082】
また、本発明の粒状洗浄剤組成物に使用されるベース洗浄剤粒子群は、溶解速度が早いために、JISK3362に記載の方法で測定される嵩比重が好ましくは1.0以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましいのは0.65以下である。一方、粒状洗浄剤組成物の商品としての流通段階や、消費者が実使用する場面等における持ち運び易さ、貯蔵容易性、計量容易性等の流通適性及び使い勝手の点からは、粒状洗浄剤組成物が高嵩比重であることが好ましく、0.25以上であることが好ましく、0.3以上がより好ましく、0.4以上が更に好ましく、0.45以上が更に好ましく、0.3〜0.9が更に好ましく、0.4〜0.8が更に好ましい。
【0083】
<アニオン性界面活性剤>
本発明の洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物に使用されるアニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸短鎖アルキルエステル塩、ポリアルコキシ化高級アルコール硫酸エステル塩等の硫酸系及びスルホン酸系構造のアニオン性親水基を有するものが挙げられる。更に好ましくは、経済性・汎用性の点からアルキルベンゼンスルホン酸塩は、本発明に好適なアニオン性界面活性剤に挙げることができる。
【0084】
本発明の洗浄組成物中に含まれるアニオン性界面活性剤は、洗浄性能や泡立ちなどの点から、好ましくは8重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上、更に好ましくは12重量%以上、更に好ましくは14重量%以上、更に好ましくは16重量%以上、更に好ましくは18重量%以上である。
【0085】
一方、泡の立ち過ぎを回避したり、組成物全体の配合自由度を確保する目的のために、全洗浄組成物中に含まれるアニオン性界面活性剤は、全洗浄組成物中、50重量%以下であることが好ましく、45重量%以下であることがより好ましく、40重量%以下であることが更に好ましく、37重量%以下が更に好ましく、35重量%以下が更に好ましい。
【0086】
アニオン性界面活性剤の含有量は、本発明の洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物中に含まれる洗浄組成物中、好ましくは8〜50重量%、より好ましくは10〜45重量%、更に好ましくは12〜40重量%、更に好ましくは14〜37重量%、更に好ましくは16〜35重量%である。
【0087】
<アルキルベンゼンスルホン酸塩>
本発明に用いられるアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキル鎖が分岐型構造をもつハード型、直鎖型構造をもつソフト型等が挙げられる。生分解性の点から、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、直鎖型(ソフト型)であることが好ましい。アルキルベンゼンスルホン酸塩は、アルキルベンゼンをスルホン化させることによって得られる。この場合、原料となるアルキルベンゼンは、種々の合成法により合成されるが、合成法の差異により、フェニル異性体の含有量が異なり、アルキルベンゼンスルホン酸塩に誘導した後の、界面活性剤としての物性に影響を与える。洗浄力や生産性の観点から、α−オレフィン法で合成したアルキルベンゼンを原料としたアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
【0088】
また、洗浄力や耐硬水性の点から、メチル分岐アルキル型、メチル置換ベンゼン型等のアルキルベンゼンスルホン酸塩類等も好適に使用することができる。
【0089】
アルキルベンゼンスルホン酸塩は、上記のアルキルベンゼンを亜硫酸ガスや発煙硫酸でスルホン化し、水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ性成分で中和して得られる。用いられる塩は、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩の他に、アンモニウム塩、アミン塩類などのI価性カチオンであれば特に限定はない。カルシウムやマグネシウムなどのアルカリ土類金属塩は、アルキルベンゼンスルホン酸を沈殿させる作用があるため、できるだけ少量が好ましい。対イオンについては、保存安定性及びコストの観点よりアルカリ金属塩が好ましく、中でもナトリウム塩がさらに好ましい。
【0090】
本発明の洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物中に含まれるアルキルベンゼンスルホン酸塩は、前記アニオン性活性剤として記載の範囲で配合される。
【0091】
<硬度成分捕捉ビルダー>
本発明に用いられる硬度成分捕捉ビルダーは、界面活性剤による洗浄作用等を阻害する洗浄水のCa2+、Mg2+等の多価金属陽イオンを捕捉させ、以って洗浄性能の向上を図る目的で配合される。
【0092】
本発明に好適な硬度成分捕捉ビルダーの例としては、ゼオライトA型、X型、Y型、P型などの結晶性アルミノケイ酸塩類、トリポリリン酸塩やピロリン酸塩等の縮合型リン酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩等の低分子カルボン酸塩類に代表される水溶性有機酸塩類が挙げられる。水溶性有機酸塩類としては、カチオン交換容量が大きく及び/又はpKCaの大きい基剤が好ましく、より具体的には、メチルイミノジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩、エチレンジアミンジコハク酸塩、タウリンジ酢酸塩、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、グルタミン酸ジ酢酸塩、アスパラギンジ酢酸塩、セリンジ酢酸塩等が高い洗浄力を期待できる点から好ましい。
【0093】
これらの硬度成分捕捉ビルダーのうち、縮合型リン酸塩、結晶性アルミノケイ酸塩類、及びこれらの混合物が経済性の点から好適である。
【0094】
縮合型リン酸塩は、水性スラリーの噴霧乾燥によって洗浄剤粒子群を調製する場合において、該水性スラリー中に配合することが容易であることから好ましい。更に、トリポリリン酸塩は、高いカチオン交換容量を有している点で好ましい。縮合型リン酸塩として更に好ましいのは、トリポリリン酸ナトリウムである。
【0095】
結晶性アルミノケイ酸塩類は、洗浄剤粒子群の表面改質等の製剤化助剤、乃至粒子物性改変剤としての作用を発揮し得ることから好ましい。結晶性アルミノケイ酸塩として更に好ましいのは、ゼオライトA型であり、中でも結晶の一次粒径が、平均粒径が0.5〜10μmのものが、硬度成分捕捉能及び/又は粒子物性改変能の点から好ましい。
【0096】
本発明の洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物中に含まれるこれらの硬度成分捕捉ビルダー含有量は、充分な硬度捕捉容量を確保できる点から、5重量%以上が好ましく、より好ましいのは8重量%以上、更に好ましくは、10重量%以上であり、12重量%以上であることが更に好ましい。また、他の洗浄基剤も含めた、粒状洗浄剤組成物全体の配合自由度が確保されるという意味で、硬度成分捕捉ビルダー含有量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは35重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、更に好ましくは25重量%以下である。更に、また、全粒状洗浄剤組成物中硬度成分捕捉ビルダー配合量は5〜40重量%が好ましく、8〜35重量%が更に好ましく、更に好ましいのは、10〜30重量%である。
【0097】
<アルカリ性物質>
本発明に使用されるアルカリ性物質は、特に限定はなく、公知のアルカリ性物質を用いることが可能である。本発明のアルカリ性物質は、洗濯水のpHを上昇させる化合物群をいい、洗浄系において、汚れ(更に好ましくは、脂肪酸)を石鹸化することによって自己乳化、分散して基質から汚れを除去離脱させる作用等の洗浄効果が得られるものである。
【0098】
アルカリ性物質としては、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩などが挙げられる。対イオンは、アルカリ金属であるリチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられる。
【0099】
本発明に用いられるアルカリ性物質としては、洗浄系を洗浄に適したpH域で緩衝する働きが大きいことから、弱酸−強塩基塩が好ましく、無機化合物として、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩とこれら混合物が好ましい。対イオンに関しても、特に限定はないが、保存安定性やコストまたは、洗濯液のイオン強度を高め、皮脂汚れ洗浄性等に好適に作用するなどの観点から、カリウム塩、ナトリウム塩が好ましく、更に好ましいのはナトリウム塩である。
【0100】
好ましいpH緩衝域を有し、洗浄効果が高く、また経済性の点から、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、珪酸ナトリウム及びそれらの混合物は、アルカリ性物質として、更に好適に使用される。
【0101】
本発明の洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物中に含まれるアルカリ性物質の含有量は、高い洗浄効果が得られるという点から、含有量は粒状洗浄剤組成物中7重量%以上が好ましく、より好ましくは8重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、更に好ましくは12重量%以上、更に好ましいのは15重量%以上である。また、手洗い洗濯時の洗濯者への皮膚刺激性、安全性の観点より、アルカリ性物質の含有量は、40重量%以下であり、好ましくは35重量%以下、より好ましくは31重量%以下、更に好ましくは27重量%以下である。
【0102】
本発明の洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物中に含まれるアルカリ性物質のより好ましい含有量の範囲は、粒状洗浄剤組成物中7〜40重量%であり、好ましくは8〜35重量%、より好ましくは10〜31重量%、更に好ましくは12〜27重量%である。
【0103】
<その他の洗浄成分>
本発明に使用されるその他の洗浄成分としては、本発明の効果を損なわない限り、任意の成分を配合することができる。
【0104】
(その他の界面活性剤)
本発明の洗浄方法及び/又は洗浄剤組成物は、アニオン性界面活性剤以外の界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を含んでも良い。
【0105】
カチオン性界面活性剤の例としては、モノアルキルアンモニウム4級塩、ジアルキルアンモニウム4級塩等が挙げられる。
【0106】
ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、プルロニック(商品名)に代表されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシアルキレン高級脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド、アルキルグルコースアミド、アルキルアミンオキサイド、高級脂肪酸アルキレンジアミン−N−アミド−N’−ジアルキルオキサイド等が挙げられる。
【0107】
両性界面活性剤の例としては、ベタイン、アミドプロピルベタイン、スルホベタイン等が挙げられる。
【0108】
(分散システム)
本発明の洗浄方法及び/又は洗浄剤組成物は、任意の分散システムを含んでいても良い。分散システムとしては、ポリエチレングリコール、ポリカルボン酸系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系等の分散剤系及び、それらの混合系が挙げられる。
【0109】
(酵素)
本発明の洗浄方法及び/又は洗浄剤組成物は、任意の酵素を含んでいても良い。酵素としては、プロテアーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ等が挙げられる。更に、洗浄性能の点から、セルラーゼ、プロテアーゼの併用が好ましい。
【0110】
(蛍光増白剤)
本発明の洗浄方法及び/又は洗浄剤組成物は、任意の蛍光増白剤を含んでいても良い。蛍光増白剤としては、ビフェニル型、アミノスチルベン型のものが挙げられる。
【0111】
(漂白システム)
本発明の洗浄方法及び/又は洗浄剤組成物は、シミ汚れの回復、衣類の黄ばみを回復する機能を補強する目的で、任意の漂白システムを含んでいても良い。漂白システムとしては、色柄物染料の変褪色を起こしにくい酸素系漂白システムが好ましい。このような漂白システムとしては、過炭酸ナトリウムや過ホウ酸ナトリウムに代表されるペルオキシド化合物を過酸化水素発生源として含むシステム、或いは更にテトラアセチルエチレンジアミン、ノナノイルオキシベンゼンスルホナートやデカノイルオキシベンゼンスルホネート等の有機過酸前駆体に代表される漂白活性化種を含んでなる漂白システム等が挙げられる。
【0112】
(その他の成分)
本発明の洗浄方法及び/又は洗浄剤組成物は、洗浄液のイオン強度を調整するために、硫酸塩等の無機塩を含むことが好ましい。更に、安価な硫酸ナトリウムは、粒子化剤、増量剤等の機能を発現し得ることから、好適に使用される。
【0113】
また、亜硫酸塩、チオ硫酸塩等を、水道水中に存在し得る活性塩素の還元剤として、ホワイトカーボンや非晶質シリカ化合物を洗剤粒子の表面改質剤として、ベントナイト等の粘土鉱物等を、固体潤滑作用を利用した衣類柔軟化剤として用いても良い。
【実施例】
【0114】
試験方法の開示
<洗剤の再汚染防止性評価>
特に記載のない再汚染防止性評価は、以下の方法で実施した。
20℃の使用水(CaCl2 :55.42mg/L、MgCl2・6H2O:43.51mg/L)1000mLを入れたビーカーに泥粒子(200メッシュの篩いを通過した園芸用鹿沼赤土〔(株)国幸園(大阪府和泉市善正町10)から購入〕2.5gを加え、均一に分散させた。その後、本分散液を20℃にてTerg−O−Tometerの試料カップに移し、次いで、洗浄剤組成物5.0g及び6cm×6cmの正方形に裁断された木綿白布(日本油化学協会選定の標準品、洗濯科学協会が販売する#2023布)5枚を同時に投入し、速やかに回転速度100±5r/minで10分間撹拌、洗浄操作を行った。終了後、木綿白布を取り出し、含水率が200重量%以下になるように軽く手で絞ってから、20℃の使用水(CaCl2:55.42mg/L、MgCl2・6H2O:43.51mg/L)1000mLに入れ、Terg−O−Tometer(回転速度100±5r/min)を用いて3分間濯ぎ、この濯ぎ操作を計2回行なった。次に取り出した白布を風乾後、アイロン仕上げを行って、460nmにおける反射率を測定〔日本電色工業(株)製、測色色差計〕した。次式によって再汚染防止率(%)を求めた。
再汚染防止率(%)=〔(試験後の木綿の白布の反射率)/(試験前の木綿の白布の反射率)〕×100
【0115】
<スベリ性評価法>
25℃に調整した8.9mgCaCO/Lに相当する2Lの硬水(Ca/Mgモル比7/3)を直径30cm、深さ13cm、容量8.2Lのポリプロピレン製洗面器(ヤザキ製)の中に入れ、洗浄剤組成物15gを水中に投入した後、水が洗面器より飛散しない程度に手によって攪拌し続けた。攪拌開始から30秒後に綿100%のTシャツ(グンゼ製白、Lサイズ)を洗面器の中の洗濯液にTシャツ全体が十分に濡れるように浸した後、5分後にTシャツの胸部を両手で握り、Tシャツの胸部同士を擦り合わせた。このとき擦り合わせる部分は洗濯液から出した状態で行った。3回から5回擦り合わせる毎に一旦洗濯液に擦りあわせる部分を浸した。擦り合わせるときの擦り易さをスベリ性として判定し、1〜5ランクとする。上記の調整水のみでこの評価を行った場合、Tシャツのしわがスベリ性を阻害し、また擦り合わせる部分に泡がないため非常に擦りにくく、スベリ性が悪かった。このときをスベリ性:1とした。各ランクの状態を下に示す。
【0116】
ランク1:スベリ性が非常に低く、きしみ感があり、手洗い洗濯が非常にしにくい。
ランク2:スベリ性が低く、きしみ感があり、手洗い洗濯がしにくい。
ランク3:スベリ性が中程度できしみ感がなく、手洗い洗濯ができる。
ランク4:スベリ性が高く、きしみ感がなく、手洗い洗濯がしやすい。
ランク5:スベリ性が非常に高く、きしみ感がなく、手洗い洗濯が非常にし易い。
【0117】
なお、上記試験において、6人の専門のパネラーによる評価結果の平均値を求め評価値とした。
【0118】
<溶解性評価>
1L容ビーカーに、10℃に調整した水道水1000mL及び直径約8mm、長さ約35mmのフッ素樹脂製の攪拌子を入れ、マグネチックスターラー〔(株)島津製作所製、品名:SST−172型〕を用いて、回転数指示値が800±10rpmを維持するように攪拌した。そこへ、洗浄剤組成物1gを投入し、投入後10分間攪拌を継続した。攪拌終了後、ビーカー中の水を200メッシュの金網で濾すことにより、残渣を分取した。得られた残渣を、金網とともに、105℃で30分間の条件で乾燥させ、予め計測しておいた金網重量と、乾燥後重量との差分から、残渣重量を求め、次式に従い、水不溶分[%]を算出した。
水不溶分[%]=〔(残渣重量)/(供試洗浄剤重量)〕×100
【0119】
スルホン酸系ポリマー含有粒子群調製例
調製例1
シュガーエステル〔三菱化学フーズ(株)製、品名:S−770〕6.00gをシクロヘキサン800gに溶解させて窒素雰囲気下で70℃に昇温したところに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸600g、水酸化ナトリウム160g、アクリル酸10g、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド〔和光純薬工業(株)製、品名:V−50)〕3.0gをイオン交換水510gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、さらに30分間攪拌した。共沸還流液から水相のみを分離し、含水率が30重量%まで低減したところで放冷、得られた固形粒状物を減圧下、充分に乾燥し、無色粒状物として、スルホン酸ポリマー含有粒子群A、672g(99.4%)を得た。
【0120】
粒子群Aのポリマーは、本願記載の方法により測定された重量平均分子量が500万であった。また、粒子群Aの平均粒径は197μm、63μm篩通過分は0.7重量%、また、1400μm篩残留分は0.6重量%であった。
【0121】
調製例2
シュガーエステル(三菱化学フーズ(株)製、品名:S−770)6.00gをシクロヘキサン800gに溶解させて窒素雰囲気下で70℃に昇温したところに、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸622g、水酸化ナトリウム160g、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド(和光純薬工業(株)製、品名:V−50)24gをイオン交換水510gに溶解させたものを1時間かけて滴下し分散させ、さらに30分攪拌した。共沸還流液から水相のみを分離し、含水率30重量%まで低減したところで放冷、得られた固形粒状物を減圧下、充分乾燥し、無色粒状物として、スルホン酸ポリマー含有粒子群G、681g(99.0%)を得た。
【0122】
粒子群Gのポリマーは、本願記載の方法により測定された重量平均分子量が120万であった。また、粒子群Gの平均粒径は145μm、63μm篩通過分は1.6重量%、また、1400μm篩残留分は0.5重量%であった。
【0123】
調製例3
調製例2中の2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミダイン)ジヒドロクロライド24gを36gに変更した以外は、調製例2と同様の操作を行い、無色粒状物として、スルホン酸ポリマー含有粒子群H、684g(99.4%)を得た。
【0124】
粒子群Hのポリマーは、本願記載の方法により測定された重量平均分子量が70万であった。また、粒子群Hの平均粒径は132μm、63μm篩通過分は1.7重量%、また、1400μm篩残留分は0.6重量%であった。
【0125】
調製例4
調製例1中のアクリル酸10gをN−ビニルアセトアミド12gに変更した以外は調製例1と同様の操作を行い、無色粒状物として、スルホン酸ポリマー含有粒子群I.667g(98.7%)を得た。
【0126】
粒子群Iのポリマーは、本願記載の方法により測定された重量平均分子量が5百万であった。また、粒子群Iの平均粒径は188μm、63μm篩通過分は0.8重量%、また、1400μm篩残留分は0.8重量%であった。
【0127】
ベース洗浄剤粒子群調製例
50重量%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液210kg、40重量%の2号珪酸ナトリウム水溶液87.5kg、炭酸ナトリウム50kg、トリポリリン酸ナトリウム50kg、硫酸ナトリウム152kg、60重量%のポリエチレングリコール(平均分子量13000)水溶液1.67kg、40重量%のアクリル酸/マレイン酸コポリマー水溶液5kg、DM型蛍光染料1kg、カルボキシメチルセルロース1kg及び水を混合し、水分50重量%の均一なスラリーを調製した。次いで、本スラリーを噴霧乾燥により乾燥し、洗剤生地を得た。更に、得られた洗剤生地90重量部とゼオライト10重量部とをコンクリートミキサー〔光洋機械産業(株)製〕を用いて混合し、水分量10重量%を含むベース洗浄剤粒子群Aを得た。平均粒径251μm、JISK3362の嵩比重は0.45であった。得られた洗浄剤粒子群Aの組成は、表1に記載した。
【0128】
【表1】

【0129】
再汚染防止性試験例1
スルホン酸系ポリマー調製例1で得られた、スルホン酸系ポリマー含有粒子群A、ベース洗浄剤粒子群調製例で得られたベース洗浄剤粒子群A及び泥粒子(200メッシュの篩いを通過した園芸用鹿沼赤土〔(株)国幸園(大阪府和泉市善正町10)から購入〕、白布(洗濯科学協会#2023布)を用い、以下の工程を組み合わせ、再汚染防止性試験を実施した。
【0130】
工程1:ビーカーに泥粒子2.5gを投入後、20℃の硬水(CaCl2 :55.42mg/L、MgCl2・6H2O:43.51mg/L)800mLを加え、泥のダマが消失していることを確認しながら均一分散させる工程
工程2:ビーカー中に、ベース洗浄剤粒子群水溶液(4.9g/100mL(上記の硬水))を100mL加える工程
工程3:ビーカー中に、6cm×6cmに裁断した白布5枚を投入する工程
工程4:ビーカー中に、スルホン酸系ポリマー含有粒子群水溶液(0.1g/100mL(上記の硬水))を100mL加える工程
工程5:ビーカー中にある布及び溶液等の全てをTerg−o−tometer洗浄槽に移し、直ちに20℃、100±5r/min、10分間の洗浄を行う工程
工程6:洗浄終了後、取り出した布を、200重量%以下になるように軽く手で絞ってから、20℃の使用水(CaCl2:55.42mg/L、MgCl2・6H2O:43.51mg/L)1000mLに入れ、Terg−o−tometer(回転速度100±5r/min)を用いて3分間濯ぎ、この濯ぎ操作を計2回行う工程
工程7:取り出した白布を風乾後、アイロン仕上げを行って、460nmにおける反射率を測定(日本電色工業(株)製、測色色差計)する工程。次式によって再汚染防止率〔%〕を求める工程
再汚染防止率〔%〕=〔(試験後の木綿白布の反射率)/(試験前の木綿白布の反射率)〕×100
【0131】
各実験を、上記工程の組み合わせ順序を変化させて実施した。
実験1 工程1→2→3→4→5→6→7
実験2 工程1→4→3→2→5→6→7
実験3 工程1→3→2と4(同時に)→5→6→7
【0132】
再汚染防止率測定結果を表2に示す。スルホン酸系ポリマーをベース洗剤よりも後接触する事で、良い再汚染防止率が得られた。
【0133】
【表2】

【0134】
<スルホン酸系ポリマー含有粒子群の粒度調整例>
JIS標準篩(2000、1400、1000、710、500、355、250、180、125、90、63、45μm)を用いて、粒子群調製例1で得られた粒子群Aの、各粒度画分を分取した後、各粒度画分を、表3に記載の比率に再構成し、同表記載の如く、平均粒径及び粒度分布の異なる各粒子群A〜Fを得た。
【0135】
粒子群A〜Fの粒子分布を図1〜6に示す。各図に示された結果から、粒子群Aの平均粒径は197μm(図1)、粒子群Bの平均粒径は74μm(図2)、粒子群Cの平均粒径は467μm(図3)、粒子群Dの平均粒径は180μm(図4)、粒子群Eの平均粒径は96μm(図5)、粒子群Fの平均粒径は681μm(図6)であった。
【0136】
実施例1〜5及び比較例1〜4
ベース洗浄剤粒子群Aを98重量部及びスルホン酸系ポリマー含有粒子群A〜Iそれぞれを2重量部の割合で均一混合し、洗浄組成物A〜Iを得た。本組成物を用いて再汚染防止性、スベリ性、溶解性を測定した。得られた結果を下記の表3及び4に示す。
【0137】
【表3】

【0138】
【表4】

【0139】
実施例6〜9及び比較例5
更に、ベース洗浄剤粒子群Aとスルホン酸系ポリマー含有粒子群Aとを混合することにより、該スルホン酸系ポリマー含有粒子群Aの割合が、順に0.04重量%、0.06重量%、2重量%、4重量%、8重量%である組成物J〜Nを得た。本組成物を用いて再汚染防止性、スベリ性、溶解性を測定した。得られた結果を表5に示す。
【0140】
【表5】

【0141】
表5に示された結果から、実施例6〜9で得られた組成物J−Mは、いずれも再汚染防止性に優れ、スベリ性評価、溶解性評価に優れ、不溶分が非常に低いのに対し、比較例5で得られた組成物Nは、全パネラーがスベリ性過多に起因する不快感を示すものである。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明の洗濯方法及び粒状洗浄剤組成物は、手洗い時の労働負荷を改善することであり、該組成物は、特に手洗い用粒状洗浄剤に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1はスルホン酸系ポリマー粒子群の粒度調製例で得られた粒子群Aの粒度分布を示す図であり、
【図2】図2はスルホン酸系ポリマー粒子群の粒度調製例で得られた粒子群Bの粒度分布を示す図であり、
【図3】図3はスルホン酸系ポリマー粒子群の粒度調製例で得られた粒子群Cの粒度分布を示す図であり、
【図4】図4はスルホン酸系ポリマー粒子群の粒度調製例で得られた粒子群Dの粒度分布を示す図であり、
【図5】図5はスルホン酸系ポリマー粒子群の粒度調製例で得られた粒子群Eの粒度分布を示す図であり、並びに
【図6】図6はスルホン酸系ポリマー粒子群の粒度調製例で得られた粒子群Fの粒度分布を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性界面活性剤、硬度成分捕捉ビルダー、アルカリ性物質及びスルホン酸系ポリマーを含んでなる洗濯浴中で被洗浄物を洗濯する方法であり、
上記スルホン酸系ポリマーが、下記式(I)で表されるモノマー単位を、全構成モノマー単位中50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100万〜3000万であるスルホン酸系ポリマーであり、上記洗濯浴中で全部又は一部を溶解させたアニオン性界面活性剤と被洗浄物を接触させた後に、上記スルホン酸系ポリマーを後接触させる被洗浄物の洗濯方法。
【化1】

(式中、Aは、水素原子又はアルカリ金属、R1は水素原子またはメチル基、Xは下記式(II)〜(IV)いずれかの基を示す。)
【化2】

(式中、Phはフェニレン基を示す。)
【化3】

(式中、mは、1〜6を示す。)
【化4】

(式中、R2は炭素数2〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示す。)
【請求項2】
上記アニオン性界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩である請求項1記載の洗濯方法。
【請求項3】
上記被洗浄物が泥粒子で汚染された被洗浄物である請求項1又は2記載の洗濯方法。
【請求項4】
個別に調製されたアニオン性界面活性剤を含有するベース洗浄剤粒子群と、請求項1記載の式(I)で表されるモノマー単位を構成モノマー中に50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100万〜3000万であるスルホン酸系ポリマーを70重量%以上の比率で含有する粒子群とを、混合することによって得られる粒状洗浄剤組成物。
【請求項5】
上記ベース洗浄剤粒子群を含有する粒子の平均粒径が、100〜600μmである請求項4記載の粒状洗浄剤組成物。
【請求項6】
上記スルホン酸系ポリマーを含有する粒子の平均粒径が、50〜500μmである請求項4又は5記載の粒状洗浄剤組成物。
【請求項7】
ベース洗浄剤粒子群が、アニオン性界面活性剤8〜50重量%、アルカリ性物質7〜40重量%及び硬度成分捕捉ビルダー5〜40重量%を含有する請求項4〜6いずれか記載の粒状洗浄剤組成物。
【請求項8】
スルホン酸系ポリマーを含有する粒子群が、平均粒径が50〜500μm、目開きが63μmの篩の通過分が20重量%以下であり、目開きが1400μmの篩の残留分が10重量%以下である粒子群である請求項4〜7いずれか記載の粒状洗浄剤組成物。
【請求項9】
請求項1記載の式(I)で表されるモノマー単位を全構成モノマー単位中50〜100モル%の比率で含み、重量平均分子量が100〜3000万であるスルホン酸系ポリマーを70重量%以上含有し、平均粒径が50〜500μmであり、目開きが63μm篩通過分20重量%以下であり、目開きが1400μmの篩の残留分が10重量%以下である洗浄剤用添加剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−77390(P2007−77390A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220957(P2006−220957)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】