説明

洗濯方法

【課題】1回目のすすぎ工程で繊維製品の柔軟処理等を行う場合において、洗浄力と柔軟効果の両者を満足できる洗濯方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1回行われる下記工程1、及び下記工程2を含み、工程2が最後に行われる工程1の後に行われる、繊維製品の洗濯方法。
工程1:特定の非イオン界面活性剤と陰イオン界面活性剤とを特定の質量比で含有する洗剤を含む洗浄液中で繊維製品を洗浄する工程
工程2:工程1終了後、洗浄液を繊維製品から分離し、特定の柔軟化剤と非イオン界面活性剤及び炭素数12〜22の脂肪酸から選ばれる成分とを含有する繊維製品処理剤を含むすすぎ水により繊維製品を処理する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維製品の洗濯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省資源/省エネルギーの観点から、一般家庭の洗濯工程においても節水が求められている。一般家庭の洗濯工程において最も水を必要とするのは、洗浄後のすすぎ工程で用いる水である。通常は洗浄後の洗浄水を洗濯機などの洗浄機より排出し、その後水道水を注入して1回目のすすぎ工程を行い、すすぎ水を排出/脱水後、改めて新しい水道水を注入して2回目のすすぎ工程を行い脱水する工程が行われている。通常、柔軟仕上げ剤などの繊維処理剤は2回目のすすぎの段階で添加される。
【0003】
このような洗濯工程においてすすぎ工程を減らすことができれば、洗濯工程で用いる水を低減化することができる。これまですすぎの指標として泡立ちの程度を用いる場合が多く、シリコーンや脂肪酸などの消泡剤を配合することや低泡性の界面活性剤を用いることが提案されてきた。消泡技術によっては1回目のすすぎ工程で泡立ちを十分抑制することができるため、一見すすぎが終わっているように見えるが、この状態で柔軟仕上げ剤などの繊維処理剤を添加した場合、柔軟化効果を十分に得ることができないことが見出された。当然の事ながら繊維製品に吸われた洗浄液がすすぎ工程に持ち込まれることは避けられず、その理由として、すすぎ工程前に脱水工程を加えたとしても洗浄液を完全に除去できるものではないこと、加えて固−液界面の平衡関係上、界面活性剤が繊維内部や表面に吸着ないし残存していることが考えられた。我々はこれらの残存した界面活性剤が柔軟効果の妨げとなっていること見出した。そこで本発明者らは、すすぎ性を高めるために水への親和性を高めた界面活性剤を用いることを思いついた。例えば、親水基であるオキシエチレン基のモル数を高めたポリオキシエチレンアルキルエーテル型の非イオン界面活性剤は水への親和性に優れる。アルキレンオキシ基の付加モル数が多いポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤を含有する衣料用洗浄剤の技術はすでに知られている。例えば特許文献1には、オキシエチレン基の平均付加モル数が1〜30であってオキシエチレン基の分布がナローなポリオキシエチレンアルキルエーテルと4級アンモニウム塩型界面活性剤を併用する塗布洗浄力に優れる洗浄剤が開示されており、その実施例には、オキシエチレン基の平均付加モル数が18モル又は20の該非イオン界面活性剤を主剤とする液体洗浄剤の例が開示されている。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有する界面活性剤は特許文献2、3などを参考にすることができ、また、特許文献4や特許文献5には衣料用液体洗浄剤に応用した例示が示されている。
【0004】
一方、3級アミンや4級アンモニウム塩を含有する柔軟剤は極一般的であり、例えば特許文献6を挙げることができる。さらに、該公報には陽イオン性高分子化合物を併用する技術が開示されている。
【0005】
また洗浄と仕上げ処理の洗濯方法に関する技術としては、特許文献7、8、9及び10がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−187900号公報
【特許文献2】国際公開第1998/024864号パンフレット
【特許文献3】国際公開第1998/024865号パンフレット
【特許文献4】特開平08−157867号公報
【特許文献5】特開2001−164288号公報
【特許文献6】特表2000−503735号公報
【特許文献7】特開2000−044991号公報
【特許文献8】特開2000−044988号公報
【特許文献9】特開2000−044989号公報
【特許文献10】特開2009−052181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、前記したように水の使用量を極力低減させるために、洗浄終了後に洗浄液を排出後、最初に洗濯槽に水を溜めてすすぐ工程〔最初の溜めすすぎ工程という〕において、柔軟化処理を同時に行うことを考えた。しかしながら最初の溜めすすぎ工程においては、柔軟仕上げ剤が十分に働かないことが見出された。すなわち従来の技術では1回目のすすぎ工程で同時に柔軟化処理などの繊維処理を行うことは難しく、結果としてすすぎでの水の使用量を減らすことは困難であった。更に水親和性を高めた界面活性剤を用いることで、すすぎ性を向上させる方法を検討したが、そのような界面活性剤は繊維表面に作用するよりも水中に分散しやすく、十分な洗浄効果が得られなかった。洗浄力は界面活性剤の疎水基と親水基の微妙なバランスで成り立っており、特許文献1〜6からは、十分な洗浄効果が得られ、且つすすぎ回数を減らしても十分な柔軟効果が得られる洗濯方法を実現するために有用な知見は得られない。
【0008】
従って本発明の課題は、洗浄終了後に洗浄液を排出後の最初の溜めすすぎ工程において、最初の溜めすすぎと柔軟仕上げ処理を同時に行っても洗浄力と柔軟効果の両者を満足できる洗濯方法、更には洗浄力と柔軟性を損なうことない節水性に優れた洗濯方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、少なくとも1回行われる下記工程1、及び下記工程2を含み、工程2が最後に行われる工程1の後に行われる、繊維製品の洗濯方法に関する。
工程1:洗剤を含む洗浄液中で繊維製品を洗浄する工程であり、前記洗剤として下記(a1)成分と(a2)成分を、(a1)/(a2)=25/75〜90/10の質量比で含有する洗剤を用いる工程
(a1)成分:下記一般式(a1−1)で表される非イオン界面活性剤
1aO−[(C24O)m/(AO)n]H (a1−1)
〔式中、R1aは炭素数8〜22の炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは14〜50の数であり、nは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
(a2)成分:陰イオン界面活性剤
工程2:工程1終了後、繊維製品を洗浄液から分離した後の最初の溜めすすぎ工程であって、下記(b1)成分と(b2)成分を含有する繊維製品処理剤を含むすすぎ水により繊維製品を処理する溜めすすぎ工程
(b1)成分;3級アミン酸塩型柔軟基剤及び4級アンモニウム型柔軟基剤から選ばれる柔軟化剤
(b2)成分;非イオン界面活性剤及び炭素数12〜22の脂肪酸から選ばれる成分
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、1回目の溜めすすぎ工程で繊維製品の柔軟処理等を行う場合において、洗浄力と柔軟効果の両者を満足できる洗濯方法が提供される。本発明の洗濯方法は、洗浄力と柔軟性を損なうことない節水性に優れた洗濯方法である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下において、本発明の繊維製品の洗濯方法を工程ごとに説明する。本発明の洗濯方法は電気洗濯機を用いる場合に適しているが、手洗いであってもよい。
【0012】
<工程1>
工程1では、洗剤を含む洗浄液、具体的には洗剤を水に溶解した洗浄液中で各種繊維製品を洗浄する工程である。
【0013】
工程1で用いる洗剤(洗剤組成物)は、下記(a1)成分と(a2)成分を、(a1)/(a2)=25/75〜90/10の質量比で含有する。
(a1)成分:下記一般式(a1−1)で表される非イオン界面活性剤
1aO−[(C24O)m/(AO)n]H (a1−1)
〔式中、R1aは炭素数8〜22の炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは14〜50の数であり、nは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
(a2)成分:陰イオン界面活性剤
【0014】
<(a1)成分>
(a1)成分の一般式(a1−1)中、R1aは炭素数8〜22の炭化水素基であり、炭素数8〜18、更に8〜16の炭化水素基が好ましい。また、R1aは鎖式炭化水素基、更に直鎖の炭化水素基が好ましい。また、R1aの炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。R1aは、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。本発明では酸素原子に結合するR1aの炭素原子が第一炭素原子であってもよい。このようなアルキル基は天然油脂由来の脂肪族アルコールを原料として用いることができる。一般式(a1−1)中のR1a−O−の酸素原子に結合するR1aの炭素原子が第1炭素原子であるものは、第2炭素原子による化合物よりも洗浄力に優れる。特にR1aは第1炭素原子を有する直鎖アルキル基が好ましい。
【0015】
一般式(a1−1)の化合物を得る方法は、特に限定されるものではないが、炭素数8〜22のアルコールにエチレンオキシドを付加反応すること、あるいはエチレンオキシドと炭素数3〜5のアルキレンオキシドを付加反応することによって得ることができる。
【0016】
一般式(a1−1)中のmはエチレンオキシドあるいは付加反応後のオキシエチレン基の平均付加モル数であり、後述のnが0を超える場合、更には1以上の場合、特には2以上の場合に、mはすすぎ性、洗浄性能の点から下限値は、好ましくは16以上、より好ましくは18以上であり、上限値は好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。nは炭素数3〜5のアルキレンオキシドあるいはAOで示される付加反応後のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、洗浄性能の点から下限値は0以上、好ましくは1以上であり、上限値は5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3以下である。n=0のときはエチレンオキシドの平均付加モル数のmは好ましくは18以上であり、より好ましくは20以上、特に好ましくは22以上である。上限値は好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
【0017】
一般式(a1−1)中のAOであるオキシアルキレン基は、アルキレンオキシドの付加反応による場合はメチル分岐、エチル分岐ないしプロピル分岐した構造を有する。AOは、プロピレンオキシドを付加反応させて得られるオキシプロピレン基(以下、POと表記する場合がある)であることが好ましい。
【0018】
本発明では、特にはAOはオキシプロピレン基であって、オキシプロピレン基の平均付加モル数nが1〜4、特には2〜3であって、且つオキシエチレン基の平均付加モル数mが16〜30、更には18〜25モル付加である化合物を用いることが、すすぎ性および洗浄力に優れた洗剤を得られることから好ましい。
【0019】
ところで、R1aO−の近い位置にAOが存在する構造の場合、AOは疎水性基であることから、R1aである鎖式炭化水素基が延長された構造に類似する構造なり、疎水性が高まる傾向を示す。本発明の(a1)成分は、一般式(a1−1)において、R1a−O−C24O−である化合物の割合が、(a1)成分を構成している化合物中の75モル%以上、更に80モル%以上(上限は100モル%以下)であることが好ましい。このような化合物は未反応アルコールを除去することによっても得られるが、本発明では特に、R1aOHの1モルに対して、エチレンオキシドを6モル以上、特には8モル以上付加させることで、この要件を達成することができる。この規定は、後述する一般式(a1−1−2)、(a1−1−4)及び(a1−1−5)においても適用してもよい。
【0020】
更には(a1)成分は、一般式(a1−1)において、前記の、R1a−O−C24O−の条件を満たした上で、末端が−C24O−Hの割合も高いものが、末端が疎水性基の炭素数3〜5のオキシアルキレン基の−AO−Hである場合よりも、繊維の吸着性が低いことから好ましい。特には末端が−C24O−Hの構造を有する化合物が70モル%以上、更に80モル%以上(上限は100モル%以下)であることがより好ましい。このような化合物は、一般式(a1−1)の非イオン界面活性剤を製造する上で、最初にエチレンオキシドを前記条件で付加反応させるか、エチレンオキシドの付加後、未反応アルコールを除去させた後、次いでAOの元となる炭素数3〜5のアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドの付加反応工程を行い、最後にエチレンオキシドだけを6モル以上、特には8モル以上付加させることで得ることができる。この規定は後述する一般式(a1−1−5)においても適用してもよい。なおR1a−O−C24O−や−C24O−Hの割合はC13−NMRを用いた定量測定で求めることができる。
【0021】
本発明の一般式(a1−1)の非イオン界面活性剤は、下記一般式(a1−1−1)〜(a1−1−5)の化合物であってもよい(但しn≠0、特にはn≧1の場合に限る)。一般式(a1−1−1)において“/”は、本発明の(a1)成分のC24O基であるオキシエチレン基(以下、EOと表記する場合がある)及びAO基の関係がランダム結合でもブロック結合でもいずれでもよいことを意味している。またAOのnは複数のブロック体として分かれていてもよい。一般式(a1−1−1)〜(a1−1−5)で示される化合物は、R1aOHに対するアルキレンオキシドの反応割合及び反応順序を考慮することで調製することができる。
1aO−(AO)n−(EO)mH (a1−1−1)
1aO−(EO)m−(AO)nH (a1−1−2)
1aO−[(EO)m1・(AO)n]−(EO)m2H (a1−1−3)
1aO−(EO)m1−[(AO)n・(EO)m2]H (a1−1−4)
1aO−(EO)m1−(AO)n−(EO)m2H (a1−1−5)
〔式中、R1a、m、n、EO、AOは前記の意味であり、m1、m2は平均付加モル数であって、m=m1+m2である。“・”はランダム結合であることを示す。〕
【0022】
本発明では一般式(a1−1−2)、(a1−1−4)及び(a1−1−5)の化合物が、すすぎ性の点からより好ましい。その理由としては、前記のようにR1aO−の近い位置にAOが存在する構造の場合、AOは疎水性基であることから、R1aである鎖式炭化水素基が延長された構造になり、疎水性が高まったことで、すすぎ性が低下することが考えられる。本発明の(a1)成分は、一般式(a1−1−5)で示される化合物が最も好ましい。
【0023】
本発明の(a1)成分は、R1a−OHで表される化合物(R1aは炭素数8〜22の炭化水素基、好ましくは前記R1aと同じ)1モル当りに、エチレンオキシドをm1モル付加させた後、炭素数3〜5のアルキレンオキシドをnモル付加させた後、更にエチレンオキシドをm2モル付加させて得られる非イオン界面活性剤であって、m1が3〜50の数、好ましくは7〜30、より好ましくは8〜20の数であり、nが1〜5の数、好ましくは1〜3の数であり、m1とm2は合計でm1+m2=14〜50、好ましくは16〜30、より好ましくは18〜25の数である非イオン界面活性剤が好ましい。m2は前記m1とm1+m2より求めることができるが、本発明で、m2が好ましくは3〜30の数、より好ましくは7〜25の数以上、好ましくは8〜20の数である。本発明では特にAOが末端、及びR1aに結合していないことが好ましく、m1とm2は、m1/(m1+m2)=0.2〜0.8、好ましくは0.3〜0.7である。この場合、R1a、m1、m2及びnは前記一般式(a1−1−5)と同じ意味である。
【0024】
(a1)成分の製造に関して、R1a−OHのアルコキシル化に用いられる触媒は塩基触媒、酸触媒が挙げられる。このうち特に、コストの面から塩基触媒を使用することが好ましく、塩基として水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムがより好ましく、水酸化カリウムを使用することが最も好ましい。
【0025】
水酸化カリウムを触媒として使用する場合の製造条件の一例を以下に示す。まず原料となる炭素数8〜18の飽和もしくは不飽和の高級アルコール(R1a−OHで表される化合物)に水酸化カリウムを仕込んだ後、窒素置換し、100〜110℃、1〜7kPaで30分〜1時間脱水を行う。次いで100〜170℃、0.3〜0.6MPaでエチレンオキシドの付加を行い、次に100〜150℃、0.3〜0.7MPaの条件で炭素数3〜5のアルキレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドの付加を行い、再度100〜170℃、0.3〜0.7MPaの条件でエチレンオキシドを付加した後、添加した水酸化カリウムと当モル量の酸剤(酢酸、乳酸、グリコール酸等)で中和することによって得られる。なお各エチレンオキシド及び炭素数3〜5のアルキレンオキシドの使用量は、組成物中のm、nの平均値の条件を満たすように、原料アルコールのモル数に応じて選定される。
【0026】
本発明に係る洗剤において、(a1)成分の配合量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が最も好ましい。また上限値は75質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。本発明に係る洗剤が液体の場合であって、水を多めに配合するような場合は、35質量%未満、特には25質量%未満であってもよい。
【0027】
<(a2)成分>
本発明では、(a1)成分と共に(a2)成分の陰イオン界面活性剤を併用することが、洗浄性の点から重要な構成要件である。本来本発明で規定する(a1)成分だけでは親水性が強いため、洗浄力が低下する傾向にあるが、(a2)成分を特定比率で用いることで、従来のエチレンオキシドの平均付加モル数が8〜12付近のポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤と同等以上の洗浄力を達成することができる。
【0028】
陰イオン界面活性剤としては、例えば下記(a2−1)〜(a2−5)が使用できるが、洗浄性能、安定性、溶解性の点で、(a2−1)、(a2−2)、(a2−4)が好ましく、更に(a2−1)を含有することがより好ましい。
【0029】
(a2−1)平均炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩
(a2−2)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜5であり、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を含み、平均付加モル数0.2〜3モルの範囲でオキシプロピレン基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩
(a2−3)平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニル硫酸エステル塩
(a2−4)平均炭素数8〜20の脂肪酸塩
(a2−5)平均炭素数10〜20の直鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコール由来のアルキル基又は分岐アルコール由来のアルキル基を有し、オキシアルキレン基の平均付加モル数が1〜5であり、オキシアルキレン基としてオキシエチレン基を含み、平均付加モル数0.2〜3モルの範囲でオキシプロピレン基を含んでいてもよい、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩
【0030】
(a2)成分を構成する塩はナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、及びマグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属塩などを挙げることができるが、特に安定性の観点からアルカノールアミン塩であることが好ましい。陰イオン界面活性剤は、洗浄液を得るための洗剤中には酸型で添加して、系内でアルカリにより中和してもよい。本発明では、(a2)成分はアルカノールアミン塩か、酸型で添加して系中でアルカノールアミン〔後述する(a5)成分のアルカリ剤として用いるアルカノールアミン〕で中和することが好ましく、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの金属系の対イオンは、変色防止剤や酵素安定化剤として亜硫酸ナトリウムなどの塩として配合する場合の他に(a1)成分の製造工程を経て、或いは金属イオン封鎖剤やその他の陰イオン性化合物の塩として含有する可能性があるが、少ないことが好ましく、実質的には5質量%以下、特には3質量%以下であることが好ましい。
【0031】
本発明に係る洗剤では、洗浄力の観点から、(a1)成分と(a2)成分の含有量の合計が(a1)+(a2)=10〜90質量%であることが好ましく、15〜80質量%がより好ましく、20〜70質量%が特に好ましい。本発明に係る洗剤が液体洗剤の場合であって、水を多く配合する場合は、60質量%未満、更には50質量%未満であってもよい。なお(a2)成分の陰イオン界面活性剤は、塩の分子量によって、その質量が異なることから、本発明では塩ではなく、酸型すなわち対イオンを水素原子イオンと仮定した時の質量を(a2)成分の質量とする。
【0032】
また、本発明に係る洗剤では、洗浄性能、溶解性、安定性の観点から(a1)/(a2)は質量比として25/75〜90/10であり、40/60〜85/15が好ましく、50/50〜80/20が更に好ましい。洗浄力の点から(a1)成分と(a2)成分の割合が下限値以上であり、すすぎ性の観点から上限値以下である。
【0033】
本発明に係る洗剤は、(a1)成分及び(a2)成分以外に、一般に洗浄剤に使用されている(a1)成分及び(a2)成分以外の非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤〔以下(a3)成分という〕を配合してもよい。(a3)成分は、全界面活性剤中好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。
【0034】
全界面活性剤、すなわち(a1)+(a2)+(a3)は、好ましくは洗剤組成物中、下限値は好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、上限値は好ましく90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、最も好ましくは70質量%以下である。
【0035】
本発明に係る洗剤はキレート剤を含有することができるが、分子量が1000以下のキレート剤〔以下、(a4)成分という〕の含有量が少ないことが好ましい。(a4)成分の組成物中の配合割合は、酸型とみなした場合に好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0036】
本発明に係る洗剤には、アルカリ剤〔以下、(a5)成分という〕を0.5〜8質量%、好ましくは1〜7質量%配合することが好ましい。アルカリ剤としてはアルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸、液体洗浄剤の場合はモノエタノールアミン又はトリエタノールアミンが好ましい。
【0037】
(a5)成分はpH調整剤として用いることができる。また前記した(a2)成分の対塩として配合してもよい。
【0038】
その他任意成分として、本発明に係る洗剤には、ゼオライトや結晶性層状珪酸ナトリウムなどの金属イオン交換剤、プロテアーゼ、アミラーゼ及びリパーゼなどの酵素、過炭酸ナトリウム及び過酸化水素などの漂白剤、漂白活性化剤、硫酸ナトリウムなどの増量剤、シリコーンなどの消泡剤、蛍光染料、色素、香料、洗浄補助剤などを挙げることができる。
【0039】
本発明に係る洗剤のpHはJIS K3362:1998記載で測定する。洗浄性の点から、液体洗剤の場合、好ましくは6〜11、より好ましくは8〜10(25℃)である。特には本発明に係る洗剤を、(a1)成分及び(a2)成分の合計濃度が0.5g/Lとなるようにイオン交換水にて希釈溶解せしめた水溶液のpHが、好ましくは6〜10、より好ましくは7〜9.5(20℃)である。
【0040】
本発明に係る洗剤は、衣料、寝具、布帛等の繊維製品用として好適である。
【0041】
本発明の洗剤の形態は、液体状、粉末状ないし粒状、タブレット状、シート状などが挙げられる。本発明では主となる界面活性剤である(a1)成分が30℃で液体状であるものを用いることが好ましく、液体洗剤として好適に用いられる。
【0042】
以下、本発明に係る洗剤が液体洗剤の場合の成分について説明する。
本発明の洗剤を液体洗剤として用いる場合は、(a6)成分として、水を5〜80質量%、更には10〜70質量%含有する事が好ましい。界面活性剤濃度が濃縮系の場合、すなわち(a1)+(a2)+(a3)成分が液体洗剤中、40質量%を超えるような場合は、水は5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、30質量%以下であることが好ましい。
【0043】
本発明に係る洗剤を液体洗剤として用いる場合、特には液体洗浄剤組成物の(a1)+(a2)+(a3)である界面活性剤濃度が40質量%以上の場合、好ましくは40〜70質量%以下の場合に、前記した水を前記した濃度含有することに加えて、界面活性剤が繊維上にゲル化して残留し、すすぎ工程に持ち込まないために、水混和性有機溶剤〔以下、(a7)成分という〕を好ましくは1〜40質量%、より好ましくは2〜35質量%含有することが好ましい。本発明でいう水混和性有機溶剤とは、25℃のイオン交換水1Lに50g以上溶解するもの、すなわち、溶解の程度が50g/L以上である溶剤を指す。
【0044】
(a7)成分としは、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの、グリコール類やグリセリン(a7−2)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのアルキルエーテル類(a7−4)、エチレングリコールが平均又は単一化合物として1〜3つ付加した構造のフェノキシエタノールや(ポリ)オキシエチレンフェニルエーテルなどの芳香族エーテル類(a7−5)から選ばれるものが好ましい。
【0045】
本発明に係る洗剤の20℃における粘度は、10〜500mPa・sが好ましく、50〜400mPa・sがより好ましく、100〜300mPa・sが更に好ましい。(a7)成分や可溶化剤によりこのような範囲になるように調整することが好ましい。
【0046】
本発明において粘度はB型粘度計により測定する。ローターは粘度に合ったものを選択する。回転数60r/minで回転し、回転開始から60秒後の粘度を洗剤の粘度とする。
【0047】
本発明の洗濯方法において工程1は、上述の洗剤を含む洗浄液中で繊維製品を洗浄する。該洗浄液は、水で洗剤を希釈することで得られたものが好ましい。
【0048】
工程1で用いられる洗浄液は、(a1)成分及び(a2)成分からなる繊維吸着性の低い界面活性剤系を、(a1)成分と(a2)成分の質量比が(a1)/(a2)=25/75〜90/10、好ましくは40/60〜85/15、より好ましくは50/50〜80/20となるように含有する。
【0049】
また、工程1で用いられる洗浄液における(a1)成分と(a2)成分の合計濃度は、100〜400mg/Lが好ましく、150〜350mg/Lがより好ましい。
【0050】
また、工程1で用いられる洗浄液における、(a4)成分の分子量1000以下のキレート剤の濃度は、好ましくは30mg/L以下、より好ましくは15mg/L以下、更に好ましくは10mg/L以下である。
【0051】
これらの濃度となるように、上述の洗剤の組成及び希釈倍率を調整することが好ましい。
【0052】
洗浄液の温度は2〜90℃の範囲から選択することができる。本発明の(a1)成分は、通常の非イオン界面活性剤と比べて曇点が高いことから、欧州や米国のように洗濯液を加熱するタイプの洗濯機でも洗浄力を得ることができる。また(a1)成分として、前記一般式(a1−1)においてAOを必須とする化合物、更には一般式(a1−1−2)、(a1−1−4)及び(a1−1−5)の化合物、特には、一般式(a1−1−5)の化合物又は、前記したR1aO−EO−率及び−EO−H率を満たす化合物を含有する洗浄液をこの温度範囲で用いることが好ましい。特に一般式(a1−1−5)の化合物は低温度でゲルや増粘しにくい性質であり、10℃以下の温度でも使用することができる。
【0053】
また、洗浄液のpHは、好ましくは6〜10、より好ましくは7〜9.5である。このpHは使用温度でのpHであっても、20℃でのpHであってもよい。また、測定方法は前記と同じである。
【0054】
本発明の洗濯方法において、工程1での浴比は、好ましくは3〜40である。ここで浴比とは、洗浄液の質量を繊維製品の質量で割った値を意味する。本発明ではドラム式洗濯機のように、低浴比の洗濯機に対しても優れた効果が得られる。具体的には浴比が3〜12、特には3〜8であっても、1回目の溜めすすぎ時の繊維製品処理効果に優れる。
【0055】
工程1を行う方法としては、手洗いによる方法、市販の洗濯機を用いる方法がある。本発明の洗濯方法に用いる洗濯機としては、攪拌羽根に注水口と排水口とを有するだけの簡易洗濯機、脱水槽が分離したいわゆる二槽式洗濯機、全自動式洗濯機(ドラム式洗濯機を含む)を挙げることができる。洗濯機によっては、電気乾燥工程を含むものであってもよい。工程1は、全洗濯工程において少なくとも1回行われるが、1回のみ行うことが好ましい。
【0056】
<工程2>
工程2は、工程1終了後、繊維製品を排水等により洗浄液から分離し、下記(b1)成分と(b2)成分を含有する繊維製品処理剤を含む溜めすすぎ水により繊維製品を処理する溜めすすぎ工程であり、好ましくは処理槽中で工程1を行い、洗浄液を排水(自然分離)後、脱水(強制分離)してから、工程2として処理槽にすすぎ水を注入して溜めすすぎする方法である。ここですすぎ水は下記(b1)成分と(b2)成分を含有する繊維製品処理剤を含む。繊維製品処理剤は、すすぎ水を処理槽に注入する段階又は注入した後に添加することが好ましい。なお、ここでの分離とは、必ずしも繊維製品からの完全な水の分離を意味しなくてもよい。本発明では工程1と工程2の間に、洗浄液の分離として脱水処理を行うことが好ましい。工程1は、全洗濯工程において少なくとも1回行われ、本発明では、最後に行われる工程1の後に工程2を行うものである。以下、工程2で用いられる繊維製品処理剤について説明する。
【0057】
(b1)成分;3級アミン酸塩型柔軟基剤及び4級アンモニウム型柔軟基剤から選ばれる柔軟化剤
(b2)成分;非イオン界面活性剤及び炭素数12〜22の脂肪酸から選ばれる成分
【0058】
<(b1)成分>
本発明に係る繊維製品処理剤は、3級アミン酸塩型柔軟基剤及び4級アンモニウム型柔軟基剤から選ばれる柔軟化剤を含有する。具体的には下記一般式(b1−1)の化合物が好適である。
【0059】
【化1】

【0060】
〔式中、R1bは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、R2b、R4bは、それぞれエチレン基又はプロピレン基であり、X、Yは、それぞれ−O−及び−NH−から選ばれる基であり、R6bは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は−R7b−Z−R8bで示される基である。ここで、R7bはエチレン基又はプロピレン基であり、Zは−O−である。R3b、R5b、R8bは、それぞれ水素原子又は炭素数12〜24の脂肪酸からOHを除いた残基であり、R3b、R5b、R8bの少なくとも1つは脂肪酸からOHを除いた残基である。T-は陰イオンである。〕
【0061】
本発明の(b1)成分のR3b、R5b及び/又はR8bに誘導される脂肪酸としては、通常油脂便覧等で知られているような脂肪酸(ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸とそのメチルエステル、エチルエステル、油脂等)を用いるだけでは達成できない場合は、不飽和結合への水素添加反応、不飽和結合の異性化反応、又は蒸留操作、ボトムカット、トップカットによるアルキル鎖長の調整、あるいは複数の脂肪酸の混合により得ることができる。
【0062】
一般式(b1−1)においてR1bが水素原子である場合には、Xは−O−、Yは−NH−、及びR6bはメチル基又はエチル基が好ましい。また、一般式(b1−1)においてR1bが炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基である場合には、Xは−O−、Yは−O−、及びR6bは炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基又はエチル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、好ましくはヒドロキシエチル基、又は−R7b−Z−R8bで示される基(ここでZは−O−である)である。
【0063】
(b1)成分は、例えばN−ヒドロキシエチル−N−アミノプロピル−N−メチルアミンと上述の脂肪酸とを常法のアミド化及び/エステル化反応させることで合成した3級アミン化合物を柔軟剤組成物中で酸剤により中和して得ることができる。また、他の(b1)成分は、例えばメチルジエタノールアミンやトリエタノールアミンと上述の脂肪酸とをエステル化反応させて得たエステル化合物をメチルクロリド、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのアルキル化剤を用いて4級化反応することで得ることができる。
【0064】
本発明に係る繊維製品処理剤は、(b1)成分を好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%含有する。
【0065】
<(b2)成分>
本発明に係る繊維製品処理剤は、非イオン界面活性剤〔以下、(b2−1)成分という〕及び炭素数12〜22の脂肪酸〔以下、(b2−2)成分という〕から選ばれる成分を含有する。
【0066】
(b2−1)成分としては、炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、特に下記一般式(b2−1−1)で表される非イオン界面活性剤が良好である。
9b−F−[(R10bO)s−R11b]t (b2−1−1)
〔式中、R9bは、炭素数8〜18、好ましくは炭素数10〜16のアルキル基、又はアルケニル基であり、R10bは、炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基であり、R11bは、炭素数1〜3のアルキル基、又は水素原子であり、sは2〜100、好ましくは5〜80、より好ましくは5〜60、特に好ましくは10〜40の数であり、Fは−O−、−COO−、−CON<又は−N<であり、Fが−O−又は−COO−の場合tは1であり、Fが−CON<又は−N<の場合tは2である。〕
【0067】
(b2−2)成分としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸及びベヘニン酸から選ばれる脂肪酸が好ましく、特にパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びリノール酸から選ばれる脂肪酸が好適である。
【0068】
本発明に係る繊維製品処理剤組成物は、(b2−1)成分を好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜8質量%含有し、(b2−2)成分を好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%含有する。また、柔軟効果向上の点から(b2−1)成分と(b1)成分の質量比は、(b2−1)/(b1)で好ましくは0.02〜2.5、より好ましくは0.03〜1.5である。
【0069】
<(b3)成分>
本発明の繊維製品処理剤は、任意ではあるが、溜めすすぎ1回目に繊維製品処理剤の効果を十分に得る目的から、水溶性陽イオン性高分子化合物〔以下、(b3)成分という〕を含有することが好ましい。すなわち、工程2において用いる繊維製品処理剤が、さらに(b3)成分として水溶性陽イオン性高分子化合物を含有することが好ましい。このような水溶性陽イオン性高分子化合物は、すすぎ水中の陰イオン界面活性剤を捕捉することができ、その結果陰イオン界面活性剤の(b1)成分に対する阻害効果を減じることができるため、すすぎ1回目に繊維製品処理剤を添加しても、より高い柔軟効果を得ることが出来ると考えられる。
【0070】
水溶性陽イオン性高分子化合物としては下記一般式(b3−1)で表される化合物又はその酸塩もしくはその4級化物に由来するモノマー単位〔以下モノマー単位(I)という〕、及び所望により下記一般式(b3−1)の化合物と共重合可能なラジカル重合性モノマー単位〔以下モノマー単位(II)という〕、を重合して得られる重合体又は共重合体が好適である。
【0071】
【化2】

【0072】
〔式中、R12b、R13bは、それぞれ独立に水素原子、又はメチル基を示し、R14bは−COOM(Mは水素原子、又はアルカリ金属原子)、又は水素原子を示す。X’は−COO−R17b−、−CONR18b−R19b−、又は−CH2−を示す。R15bはX’が−CH2−の場合には一般式(b3−2)
【0073】
【化3】

【0074】
で表される基を示し、X’がそれ以外の場合は炭素数1〜3のアルキル基、又は炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基を示す。R16bは炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基、又は水素原子を示す。R17b、R19bは、それぞれ独立に炭素数2〜3のアルキル基、R18bは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
【0075】
一般式(b3−1)で表される化合物のうち、一般式(b3−1)中のX’が−COO−R17b−である化合物としては、アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノブチル、アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノブチル、メタクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノメチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノブチル、アクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノメチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノブチル、メタクリル酸N,N−ジエチルアミノプロピル、及びこれらの酸塩、もしくはこれらの4級化物等が挙げられる。
【0076】
また、一般式(b3−1)で表される化合物のうち、一般式(b3−1)中のX’が−CONR18b−R19b−である化合物としては、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノメチルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド、N,N−ジメチルアミノブチルアクリル酸(またはメタクリル酸)アミド等、及びこれらの酸塩、もしくはこれらの4級化物等が挙げられる。
【0077】
また、一般式(b3−1)中のX’が−CH2−の場合、R15bは前記一般式(b3−2)で表される基である。かかる化合物としては、ジアリルアミン等及びこれらの酸塩、もしくはこれらの4級化物が挙げられる。
【0078】
一般式(b3−1)で示される化合物を、酸塩として用いる場合は、例えば、1級、2級、3級アミンの塩酸塩、硫酸塩などの無機塩の中和塩や各種有機酸の中和塩が挙げられる。
【0079】
また、モノマー単位(II)の由来となる、共重合可能なモノマーとしては、一般式(b3−3)の化合物が好適である。
【0080】
【化4】

【0081】
〔式中、R20b、R21bは、それぞれ独立に水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Y’はアリール基、−O−CO−R22b、−COO−R23b、又は−CONR24b−R25bを示す。R22b、R23b、R25bは、それぞれ独立に炭素数1〜22の直鎖状、分岐鎖状、もしくは環状のアルキル基もしくはアルケニル基、又は総炭素数6〜14のアリールアルキル基を示し、R24bは水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示す。〕
【0082】
一般式(b3−3)で表される化合物としては、ラウリルアクリレート等のアクリル酸アルキル(炭素数1〜22)エステル、ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等のメタクリル酸アルキル(炭素数1〜22)エステル、スチレン等が挙げられる。
【0083】
一般式(b3−3)で示される化合物以外に共重合可能なモノマーとしてはアクリルアミド、ビニルアルコール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等の炭素数1〜22のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコールの重合度が1〜100)、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(プロピレングリコールの重合度が1〜50)、ポリブチレングリコール(メタ)アクリレート(ブチレングリコールの重合度が1〜50)等のポリアルキレン(アルキレン基の炭素数1〜8;直鎖もしくは分岐鎖)オキシド鎖を有する(メタ)アクリル酸エステル;グリセリン(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジアセトン(メタ)アクリルアミド;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル環状アミド;N−(メタ)アクロイルモルホリン;塩化ビニル;アクリロニトリル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、スチレンカルボン酸等のカルボキシル基を有するビニル化合物;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基を有するビニル化合物等が例示される。
【0084】
本発明では、(b3)成分として、モノマー単位(I)及びモノマー単位(II)を、(I)/{(I)+(II)}=0.2〜1.0、柔軟性能の観点から好ましくは、0.7〜1.0、より好ましくは0.8〜0.95のモル比で含有するポリマーが最も好ましい。
【0085】
また、(b3)成分の重量平均分子量(Mw)は、2,000〜1,000,000、更に3,000〜500,0000、特に5,000〜200,000が好ましい。MwとMnの比Mw/Mnは、1.0〜40、更に1.5〜35が好ましい。
【0086】
尚、本発明の(b3)成分のMw、Mw/Mnは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)測定による値を使用する。溶離液としては、水、アルコール、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル及びこれらの溶媒を組み合わせた液の何れかを使用し、ポリエチレンオキシド又はポリスチレン換算の分子量とする。
【0087】
その際、測定対象のポリマーが、モノマー単位(I)の割合が大きく比較的親水性であると考えられる場合は、(1%酢酸/エタノール):水=3:7(質量比)の混合溶媒で調製したLiBrの50mmol/L溶液を溶媒として、極性溶媒用GPCカラム「α−M(東ソー(株)製)」を2本直列して用い、ポリエチレングリコール換算の分子量により算出する(測定法A)。モノマー単位(II)の割合が大きく、ポリマーが比較的疎水性であると考えられる場合は、ファーミンDM20(花王(株)製)の1mmol/L−CHCl3溶液にて、有機溶媒用GPCカラム「K−804(昭和電工(株)製)」を2本直列して用い、ポリスチレン換算の分子量により算出する(測定法B)。
【0088】
本発明に係る繊維製品処理剤は(b3)成分を、好ましくは0.05〜5質量%、より好ましくは0.05〜2質量%、特に好ましくは0.1〜2質量%含有する。
【0089】
また、必要に応じて(b4)成分として無機塩を好ましくは0.01〜5質量%含有することができる。無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムが貯蔵安定性の点から好ましい。
【0090】
更に柔軟性を向上させる効果を付与する目的で(b5)成分として炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸と多価アルコールとのエステル化合物を好ましくは0.1〜5質量%含有してもよい
【0091】
本発明に係る繊維製品処理剤は、必要に応じて(b6)成分として有機溶剤を好ましくは0.1〜5質量%含有してもよい。具体的には、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールから選ばれる有機溶剤が挙げられ、特にエタノールが匂いの点から好ましい。
【0092】
本発明に係る繊維製品処理剤は、匂い安定性、色相安定性を向上する目的で(b7)成分として、キレート剤を好ましくは50〜2000ppm(質量基準)、配合することが出来る。(b7)成分としてはアミノポリカルボン酸、ホスホン酸、及びこれらの塩から選ばれる化合物が挙げられ、特にはエチレンジアミン4 酢酸塩が好ましい。
【0093】
本発明の効果に影響を与えない量の消泡シリコーン、酸化防止剤、防腐剤を含有することもできる。
【0094】
本発明の工程2では、上述の工程1である繊維製品の洗浄が終了後、最初の溜めすすぎの段階ですすぎ水中に上述の繊維製品処理剤を添加する。
【0095】
工程1と工程2の間、例えば洗浄の終了からすすぎ水注入開始までの間に脱水処理を行うと、柔軟効果がより向上する点から好適である。脱水処理は、機械力により強制的に繊維製品から洗浄液を分離する方法で行うことができる。近年、洗濯機によっては繊維製品を洗浄液から分離の際に、脱水しながら水を例えばシャワー状にして注ぐ機能を有するものがあるが、本発明においてはこのようなシャワーすすぎを省略することもでき、シャワーすすぎを行う場合であっても、繊維製品1kgに対して5L以下、好ましくは2L以下が節水の点から好適である。
【0096】
繊維製品処理剤は、すすぎ水中の(b1)成分の濃度が150〜700mg/L、更に300〜700mg/Lとなるように添加するのが好ましい。すすぎ水の温度は2〜90℃の範囲から選択することができる。また、すすぎ水のpHは、好ましくは6〜10、より好ましくは7〜9.5である。このpHは使用温度でのpHであっても、20℃でのpHであってもよい。また、測定方法は前記と同じである。本発明では、工程2は1回のみであっても十分なすすぎ性と繊維処理効果を得ることができる。換言すれば、洗浄処理後の最初の溜めすすぎのみですすぎと同時に繊維処理が同時に行える洗濯方法を実現できる。本発明では工程2の後は、2回目のすすぎを行わずとも十分な洗浄力と繊維処理効果が得られるので、脱水処理後自然乾燥してもよく、加熱回転式乾燥機で乾燥させても良い。本発明の洗濯方法は、衣料、寝具、布帛等の繊維製品の洗濯方法として好適であり、洗濯機で実施することができる。
【実施例】
【0097】
表1に示す各成分を混合して液体洗剤を調製した。また、表2に示す各成分を混合して繊維製品処理剤(柔軟剤)を調製した。これらを表3の組み合わせで用いて、下記の方法で洗浄力の評価及び柔軟性の評価を行った。結果を表3に示す。
【0098】
〔1〕工程1及び工程2
2槽式洗濯機(東芝銀河3.6)の洗濯槽にJIS K3362:1998記載の使用水40Lを入れ、これに下記衿片6枚、下記の方法で調製した前処理した木綿タオル6枚(400g)、1.0kgの綿製の未着用肌着及び0.6kgの綿/ポリエステル混紡の未着用ワイシャツを入れた。表1の洗剤を使用濃度を0.33g/Lとなるように添加し、標準で10分間洗浄した[工程1]。その後洗浄液を繊維製品から分離するために、1分間脱水した。洗浄液を繊維製品から分離後、40Lの水道水を加えて、表2の繊維製品処理剤を9.3g添加し、5分間標準で攪拌すすぎを行った[工程2]。工程2の後にすすぎ水を繊維製品から分離するために、脱水処理を行った後、室内で自然乾燥した。同様の操作をJIS K 3362:1998記載の指標洗剤を用いて行った。
【0099】
*衿片の調製方法
衿汚れ試験布として、3日間着用した綿/ポリエステル混紡ワイシャツの衿部分を裁断し収集したもののうち汚れの程度が同じものを選別した。選別された衿汚れ試験布を半裁し、30cm×30cmの綿布に1枚ずつ縫い付け(以後、衿片と呼ぶ)、これを表3の実験1つあたり6セット(全12枚)用意した。半裁した一方の6枚を実験番号1〜13で示された洗剤と繊維製品処理剤を組み合わせた洗濯に用い、他方の6枚を実験番号1〜13における洗剤1〜6を指標洗剤とした洗濯に用いた。
【0100】
*前処理した木綿タオルの調製方法
あらかじめ、JIS K 3362:1998記載の指標洗剤を用いて、木綿タオル(木綿100%、約34cm×86cm、約68g/1枚当たり)24枚を日立全自動洗濯機NW-6CYで5回洗浄を繰り返し、室内乾燥することによって、過分の薬剤を除去して前処理した木綿タオルを調製した(洗剤濃度0.0667質量%、水道水47L使用、水温20℃、洗浄10分、ためすすぎ2回)。
【0101】
〔2〕洗浄力の評価
洗浄力の判定は、10人のパネラー(30代男性)によって行われた。表3の洗剤(評価洗剤)と繊維製品処理剤の組み合わせで処理された衿片6枚と、洗剤をJIS K 3362:1998記載の指標洗剤に代えた以外は同様にして処理された衿片6枚との洗浄の程度を目視で判断した。対となる衿片のどちらが洗浄力に優れているかを判断し、評価洗剤を用いた方が洗浄力に優れている場合を「+1」点、指標洗剤を用いた方が洗浄力に優れている場合を「−1」点とする(パネラー一人あたりの評価点の合計は「+6」〜「−6」の範囲となる)。1つの評価洗剤につきパネラー10人が評価し、パネラー10人の評価点の合計が+5〜−5の場合は、評価洗剤と指標洗剤の洗浄力は同等と判断し「○」と評価し、+6以上の場合は評価洗剤の方が洗浄力に優れると判断し「◎」と評価し、−6以下の場合は評価洗剤の方が洗浄力に劣ると判断し「×」と評価する。
【0102】
〔3〕柔軟性の評価
表3の洗剤と繊維製品処理剤の組み合わせで処理したタオル6枚から2枚任意に抽出した処理タオルと、同様に標準タオル1又は標準タオル2からそれぞれ2枚を任意に抽出した標準タオルとの柔軟性を10人のパネラー(30代男性10人)により下記の基準で判定し、10人の平均点を算出した。なお標準タオル1、及び標準タオル2は以下のように調製した。尚、評価点0.4点の差は優位差として充分認識できる。
*標準タオル1に対する比較
−1…標準タオル1と比較して柔らかく仕上がらない。
0…標準タオル1と比較して同等。
1…標準タオル1と比較してやや柔らかく仕上がった。
2…標準タオル1と比較して柔らかく仕上がった。
3…標準タオル1と比較して非常に柔らかく仕上がった。
*標準タオル2に対する比較
−3…標準タオル2と比較して非常に柔らかく仕上がらない。
−2…標準タオル2と比較して柔らかく仕上がらない。
−1…標準タオル2と比較してやや柔らかく仕上がらない。
0…標準タオル2と比較して同等。
1…標準タオル2と比較して柔らかく仕上がった。
【0103】
<標準タオル1>
上述の〔1〕工程1及び工程2の評価において、衿片の代わりとして、30cm×30cmの綿布を6枚入れ、表1記載の洗剤1〜6を用いて工程1と同様に洗浄し、1分間脱水処理後、繊維製品処理剤を添加せずに処理を行った以外は同様の方法で処理したタオル。すなわち標準タオル1とは、工程2で繊維製品処理剤を添加しなかった繊維製品処理剤未処理のタオルである。なお、柔軟性の評価には、各実施例、各比較例で採用した洗剤と同じ洗剤を用いて処理した標準タオル1を用いる。
【0104】
<標準タオル2>
上述の〔1〕工程1及び工程2の評価において、衿片の代わりとして、30cm×30cmの綿布を6枚入れ、表1記載の洗剤1〜6を用いて工程1と同様に洗浄し、1分間の脱水後、水道水を40L添加し(繊維製品処理剤は添加しない)、5分間標準で攪拌すすぎを行い、1分間脱水後、表2の繊維製品処理剤1(基準処理剤とする)を添加し、5分間標準で攪拌すすぎを行い、1分間脱水し、自然乾燥させたタオル。すなわち標準タオル2とは、すすぎを2回行い、2回目のすすぎの際に、基準の繊維製品処理剤として繊維製品処理剤1を添加して処理したタオルである。なお、柔軟性の評価には、各実施例、各比較例で採用した洗剤と同じ洗剤を用いて処理した標準タオル2を用いる。
【0105】
<表1の配合成分>
(a1−1):炭素数10〜14の1級直鎖アルコール1モル当りにエチレンオキシドを20モル付加させたもの(一般式(a1−1)において、R1aが炭素数10〜14の直鎖のアルキル基、m=20、n=0の非イオン界面活性剤)
(a1−2):炭素数10〜14の1級直鎖アルコール1モル当りにエチレンオキシドを18モル、プロピレンオキシドを2モルの順にブロック付加させたもの。(一般式(a1−1−2)において、R1aが炭素数10〜14の直鎖のアルキル基、AOがオキシプロピレン基、m=18、n=2の非イオン界面活性剤)
(a1−3):炭素数10〜14の1級直鎖アルコール1モル当りにエチレンオキシドを9モル、プロピレンオキシドを2モル、エチレンオキシドを9モルの順にブロック付加させたもの。(一般式(a1−1−5)において、R1aが炭素数10〜14の直鎖のアルキル基、AOがオキシプロピレン基、m1=9、n=2、m2=9の非イオン界面活性剤)
(a2−1):炭素数10〜14の直鎖アルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸(系中でモノエタノールアミンで中和)
(a3−1):炭素数10〜14の1級直鎖アルコール1モル当りにエチレンオキシドを10モル付加させたもの。(一般式(a1−1)において、R1aが炭素数10〜14の直鎖のアルキル基、m=10、n=0の非イオン界面活性剤)
なおモノエタノールアミンは原液のpHが9になる適量を配合した。また、一部の洗剤では、(a3−1)を(a1)成分として(a1)/(a2)や(a1)+(a2)濃度を算出した。
【0106】
<表2の配合成分>
(b1−1):合成例1で得たアミン塩化合物
(b1−2):合成例2で得た第4級アンモニウム塩混合物
(b2−1):ポリオキシエチレン(平均付加モル数20)モノラウリルエーテル
(b2−2):オレイン酸
(b3−1):合成例3で得たポリマー
(b3−2):合成例4で得たポリマー
(b3−3):合成例5で得たポリマー
【0107】
(合成例1)
ステアリン酸とパルミチン酸を6/4のモル比で混合した脂肪酸とN−(3−アルカノイルアミノプロピル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミンを1.8/1のモル比で混合し、定法に従って脱水縮合を行った。酸価が9になった時点で反応を止め、縮合物を得た。この縮合物の全アミン価を測定した。この縮合物を70℃に加温し、溶融させた。この縮合物に対して質量で9倍量のイオン交換水(65℃)を加え、攪拌しながら、全アミン価を元に算出した、中和に必要な35%塩酸水溶液を滴下しながら、水中で中和し、10分攪拌した後、30℃に冷却した。次に、この化合物を凍結乾燥し目的のアミン塩化合物〔(b1−1)〕を得た。
【0108】
(合成例2)
ヨウ素価90gI2/100g、酸価201mgKOH/gのナタネ油由来の原料脂肪酸とトリエタノールアミンとを反応モル比1.85/1(脂肪酸/トリエタノールアミン)で定法に従って脱水縮合反応を行い、縮合物を得た。次に、溶媒不在下で、この縮合物に対してジメチル硫酸を0.95当量用い、定法にて4級化を行った後、エタノールで90%に希釈することにより、目的の第4級アンモニウム塩混合物〔(b1−2)〕を得た。
【0109】
(合成例3)
メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル(分子量:157.21)42.37g、ラウリルメタクリレート(分子量:254.41)7.62g、エタノール180.0gを均一に混合し、内容量300mLのガラス製セパラブルフラスコに入れ、窒素雰囲気下で一定時間攪拌した。そこに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65;和光純薬工業(株)製)1.41gをエタノール20.0gに溶解した溶液を添加し、60℃付近まで昇温した。60〜70℃付近で合計8時間保持することで重合・熟成した。そこにエタノール100.0gを加えて希釈した後、室温まで降温した。この反応溶液をイオン交換水4000.0g中に滴下して再沈殿精製し、沈殿物を乾燥してポリマー〔(b3−1)〕を得た。ポリマー(b3−1)のMwは11000であった(水/エタノール=7/3系、ポリエチレンオキシド換算)。また1H−NMRにより分析したポリマー(b3−1)の組成は仕込みモノマー組成どおり(DMAEMA/LMA=9/1(モル比))であった。
【0110】
(合成例4)
合成例3において、モノマーをDMAEMAのみに変更し、Mw=11200、Mw/Mn=2.5のポリマー〔ポリ(DMAEMA)〕(b3−2)を得た。
【0111】
(合成例5)
合成例3において、モノマーのモル比を変更し、DMAEMA/LMA=7/3、Mw=7800、Mw/Mn=6.5のポリマー(b3−3)を得た。
【0112】
上記略号は以下の意味を示す。
・DMAEMA:メタクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル
・LMA:ラウリルメタクリレート
【0113】
<ポリマーMw、Mnの測定>
用いたポリマーはすべて水溶性のため前述の測定法AによりMw、Mnの測定を行った。
【0114】
【表1】

【0115】
【表2】

【0116】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1回行われる下記工程1、及び下記工程2を含み、工程2が最後に行われる工程1の後に行われる、繊維製品の洗濯方法。
工程1:洗剤を含む洗浄液中で繊維製品を洗浄する工程であり、前記洗剤として下記(a1)成分と(a2)成分を、(a1)/(a2)=25/75〜90/10の質量比で含有する洗剤を用いる工程
(a1)成分:下記一般式(a1−1)で表される非イオン界面活性剤
1aO−[(C24O)m/(AO)n]H (a1−1)
〔式中、R1aは炭素数8〜22の炭化水素基であり、AOは炭素数3〜5のオキシアルキレン基である。m、nは平均付加モル数であって、mは14〜50の数であり、nは0〜5の数である。“/”はC24O基及びAO基が、ランダム又はブロックのいずれに結合したものであってもよいことを示す。〕
(a2)成分:陰イオン界面活性剤
工程2:工程1終了後、繊維製品を洗浄液から分離した後の最初の溜めすすぎ工程であって、下記(b1)成分と(b2)成分を含有する繊維製品処理剤を含むすすぎ水により繊維製品を処理する溜めすすぎ工程
(b1)成分;3級アミン酸塩型柔軟基剤及び4級アンモニウム型柔軟基剤から選ばれる柔軟化剤
(b2)成分;非イオン界面活性剤及び炭素数12〜22の脂肪酸から選ばれる成分
【請求項2】
工程1及び工程2の間に脱水処理を行う、請求項1記載の繊維製品の洗濯方法。
【請求項3】
工程1において、洗剤として、界面活性剤を40質量%以上、水を5質量%以上、及び水混和性有機溶剤を1〜40質量%含有する液体洗剤組成物を用いる、請求項1又は2に記載の繊維製品の洗濯方法。
【請求項4】
工程2において、さらに(b3)成分として水溶性陽イオン性高分子化合物を含有する繊維製品処理剤を用いる、請求項1〜3の何れか1項記載の繊維製品の洗濯方法。

【公開番号】特開2011−47065(P2011−47065A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195229(P2009−195229)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】