説明

津波監視装置

【課題】広い範囲で早期に津波を検出することができる津波監視装置を提供する。
【解決手段】航空機2に搭載され、基地局3からの検出指令に応じて津波の検出処理を実行する装置であって、基地局3と通信する通信手段11と、通信手段11が検出指令を受信した場合に、検出処理に関してあらかじめ設定された検出対象領域、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを設定し、通信手段11を介して検出処理の結果を基地局3に送信する検出統制手段12と、検出対象領域において、撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得するSAR画像取得手段13と、SAR画像中の各位置における波の速度を抽出し、この波の速度と検出用パラメータとに基づいて検出処理を実行する津波検出手段14とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば航空機等の移動可能なプラットフォームに搭載され、SAR(合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar))画像を用いて津波を監視する津波監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の津波監視装置は、例えば2つの島の先端部にそれぞれ設置され、海面流照射方向の平面分布および波浪特性の平面分布を観測するレーダ装置を用いて、海面を常時監視している。この津波監視装置は、2台のレーダ装置で観測される各平面分布データを合成し、潮流、吹走流、沿岸流の予測パターンと津波来襲情報とを用いて、津波の検出処理を実行している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平08−292273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には、次のような問題点があった。
すなわち、2台のレーダ装置は、それぞれ地上に固定設置されているので、津波を検出することができる領域が狭い範囲に限定される。また、津波を検出することができる距離は、レーダ装置の設置場所の高度に依存するので、設置場所の高度が低い場合には、遠洋で発生した津波を検出することができず、さらに津波の検出可能領域が狭くなる。
そのため、発生した津波を早期に検出することができないという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、広い範囲で早期に津波を検出することができる津波監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る津波監視装置は、移動可能なプラットフォームに搭載され、基地局からの検出指令に応じて津波の検出処理を実行する装置であって、基地局と通信する通信手段と、通信手段が検出指令を受信した場合に、検出処理に関してあらかじめ設定された検出対象領域、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを設定し、通信手段を介して検出処理の結果を基地局に送信する検出統制手段と、検出対象領域において、撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得するSAR画像取得手段と、SAR画像中の各位置における波の速度を抽出し、この波の速度と検出用パラメータとに基づいて検出処理を実行する津波検出手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の津波監視装置によれば、装置が移動可能なプラットフォームに搭載されているので、レーダ装置等の観測地点を設置することが困難な遠洋においても津波を検出することができる。
また、津波検出手段は、SAR画像取得手段で取得されたSAR画像から波の速度を抽出し、この波の速度に基づいて津波の検出処理を実行する。
そのため、広い範囲で早期に津波を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の各実施の形態について図に基づいて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
なお、以下の実施の形態では、津波監視装置が搭載される移動可能なプラットフォームとして航空機を例に挙げて説明するが、これに限定されず、例えば人工衛星等であってもよい。
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る津波監視装置1を含む津波監視システム全体を例示する構成図である。
図1において、津波監視装置1は、航空機2(プラットフォーム)に搭載されており、基地局3と通信する。また、陸地から遠く離れた遠洋の海底には、地震を検出する地震計4が設けられている。
なお、航空機2には、自身の位置情報を検知するGPS(Global Positioning System)装置が搭載されている。
【0010】
ここで、地震計4は、地震の発生を検出すると、人工衛星5を介して地震発生情報を基地局3に送信する。基地局3は、地震発生情報を受信すると、地震の発生位置の付近に存在する航空機2の津波監視装置1に対して、津波の検出指令を送信する。津波監視装置1は、基地局3からの検出指令に応じて津波の検出処理を実行し、検出結果を基地局3に送信する。
このとき、航空機2は、津波の検出処理に適した位置に存在していると想定する。
【0011】
図2は、この発明の実施の形態1に係る津波監視装置1を示すブロック構成図である。
図2において、津波監視装置1は、通信手段11と、検出統制手段12と、SAR画像取得手段13と、津波検出手段14とを備えている。
通信手段11は、基地局3から受信した検出指令を検出統制手段12に出力するとともに、検出統制手段12から出力された検出結果を基地局3に送信する。
【0012】
検出統制手段12は、基地局3からの検出指令が入力されると、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に対して、津波の検出処理に関する検出条件を指定し、検出処理の実行を指示する。また、検出統制手段12は、検出処理の結果に基づいて警報等を発生し、検出結果として通信手段11に出力する。
【0013】
SAR画像取得手段13は、検出統制手段12により指定された検出条件に応じて海面のSAR画像を取得し、津波検出手段14に出力する。
なお、SAR画像取得手段13は、検出対象領域におけるSAR画像を取得するための一般的な装置であり、SAR画像の取得に必要な合成開口レーダや信号処理器等を有している。
津波検出手段14は、SAR画像取得手段13で取得されたSAR画像から波の速度を抽出し、この波の速度と検出統制手段12により指定された検出条件とに基づいて津波の検出処理を実行する。
【0014】
以下、図3のフローチャートを参照しながら、上記構成の津波監視装置1の動作について説明する。この動作は、基地局3からの検出指令を通信手段11が受信したときに開始される。
まず、検出統制手段12は、基地局3からの検出指令が入力されると、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に対して、津波の検出処理に関する検出条件を指定する(ステップS1)。
【0015】
具体的には、検出統制手段12は、津波の検出処理の対象となる検出対象領域を設定し、SAR画像取得手段13に対してこの検出対象領域を指定する。
なお、この実施の形態においては、検出統制手段12は、基地局3からの検出指令に応じて、あらかじめ設定された汎用的な検出対象領域を指定する。
【0016】
また、検出統制手段12は、SAR画像の取得時に用いられる各種撮像用のパラメータを撮像用パラメータとして設定し、SAR画像取得手段13に対してこの撮像用パラメータを指定する。
また、検出統制手段12は、津波の検出処理時に用いられる検出用のパラメータを検出用パラメータとして設定し、津波検出手段14に対してこの検出用パラメータを指定する。
なお、この実施の形態においては、検出統制手段12は、基地局3からの検出指令に応じて、あらかじめ設定された汎用的な撮像用パラメータおよび検出用パラメータを指定する。
【0017】
続いて、SAR画像取得手段13は、指定された検出対象領域において、指定された撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得し、津波検出手段14に出力する(ステップS2)。
ここで、SAR画像取得手段13は、汎用的な撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得するが、指定される撮像用パラメータを変更することにより、所望の条件でSAR画像を取得することができる。
【0018】
次に、津波検出手段14は、SAR画像取得手段13で取得されたSAR画像中の各位置における波の速度を抽出し、この波の速度と指定された検出用パラメータとに基づいて、検出対象領域における津波の検出処理を実行する(ステップS3)。
ここで、津波検出手段14は、汎用的な検出用パラメータに基づいて津波の検出処理を実行するが、指定される検出用パラメータを変更することにより、所望の条件で津波の検出処理を実行することができる。
【0019】
また、津波検出手段14は、津波を検出した場合には、津波の発生位置および速度の情報を、検出時刻情報とともに、検出処理の結果として検出統制手段12に出力する。また、津波検出手段14は、津波を検出しない場合には、津波の発生なしの情報を、検出対象領域および検出時刻の情報とともに、検出処理の結果として検出統制手段12に出力する。
なお、津波検出手段14が津波を検出する手順については、後述する。
【0020】
続いて、検出統制手段12は、津波検出手段14から出力された津波の検出処理の結果を、検出結果として通信手段11を介して基地局3に送信し(ステップS4)、図3の処理を終了する。
ここで、検出統制手段12は、検出処理の結果が津波の発生有りの場合には、津波の発生位置および速度の情報に基づいて警報等を発生し、この警報を検出処理の結果とともに基地局3に送信する。
【0021】
なお、検出処理の結果が津波の発生なしの場合に、上記ステップS1〜ステップS4を繰り返し実行して、検出対象領域やその周辺領域における津波の検出処理を継続してもよい。
【0022】
以下、図4のフローチャートを参照しながら、津波検出手段14が津波を検出する手順について説明する。この処理は、SAR画像取得手段13からのSAR画像が入力されたときに開始される。
まず、津波検出手段14は、SAR画像取得手段13で取得されたSAR画像から波を検出し、波の速度を抽出する(ステップS21)。
【0023】
具体的には、津波検出手段14は、SAR画像に対して例えばMTI(Moving Target Indicators)処理を施し、海面を撮像したSAR画像から海面を移動する波を検出してその速度を抽出する。MTI処理とは、画像中の移動物体を検出し、移動物体の速度を抽出するための処理である。
ここで、検出される波には、波の速度の他、画像上の位置(地球上の位置に変換可能な情報)が情報として含まれている。
【0024】
続いて、津波検出手段14は、上記ステップS21で抽出した波の速度に基づいて、海面を移動する波を、所定速度以上の波と所定速度以下の波とに分離する(ステップS22)。
以下、海面を移動する波を分離することについて具体的に説明する。
まず、海面を移動する波としては、津波の他に、風等で発生する通常の波と潮流とが考えられる。
【0025】
津波の速度は、海底の深度に依存することが知られており、津波の速度Vtを式で表すと、次式(1)で表される。式(1)において、9.8は重力加速度を示しており、Hは海底の深度(水深)を示している。
【0026】
Vt=√(9.8×H) ・・・(1)
【0027】
ここで、遠洋で津波の検出処理を実行すると想定した場合、水深は、100m以上あると考えられる。水深と津波の速度との関係を図5に例示する。図5より、津波の速度は、30m/sec以上になると考えられる。
【0028】
一方、風等で発生する通常の波の速度は、風速に依存することが知られており、通常の波の速度Vwを式で表すと、次式(2)で表される。式(2)において、λは波の波長を示しており、波の波長λは、風速から推定することが可能である。
【0029】
Vw=√(9.8×λ×2π) ・・・(2)
【0030】
ここで、台風等の強風時において、航空機2に搭載された津波監視装置1が津波の検出処理を実行することができる条件を考慮すると、風速は、40m/sec程度と考えられる。例えば太平洋上における風速と波の波長と通常の波の速度との関係を図6に例示する。図6より、風速40m/sec時における通常の波の速度は、17m/sec程度となると考えられる。
【0031】
また、潮流の速度については、日本近海で最も高速な黒潮(日本海流)でも最大で4ノット程度である。なお、4ノットは、時速で表すと約7.4Km/hとなり、秒速で表すと約2.1m/secとなる。
【0032】
これらの関係から、津波の速度と津波以外の波の速度との間には、差異を見て取ることができる。そこで、津波検出手段14は、波の速度に基づいて、海面を移動する波を分離する。
すなわち、津波検出手段14は、海面を移動する波を、例えば30m/sec以上の波(津波)と以下の波とに分離する。なお、波を分離するための所定速度は、津波検出手段14に指定される検出用パラメータに応じて変化する。
【0033】
次に、津波検出手段14は、上記ステップS22において、所定速度以上の波が分離されたか、すなわち津波を検出したか否かを判定する(ステップS23)。
ステップS23において、津波を検出した(すなわち、Yes)と判定された場合には、津波検出手段14は、津波の発生位置および速度の情報と検出時刻情報とを、検出処理の結果として検出統制手段12に出力し(ステップS24)、図4の処理を終了する。
なお、津波の発生位置、速度および検出時刻の情報は、航空機2に搭載されたGPS装置から得られる情報や、SAR画像の取得時に付加される検出諸元情報を参照して生成される。
【0034】
一方、ステップS23において、津波を検出しない(すなわち、No)と判定された場合には、津波検出手段14は、津波の発生なしの情報と、検出対象領域および検出時刻の情報とを、検出処理の結果として検出統制手段12に出力し(ステップS25)、図4の処理を終了する。
なお、検出対象領域および検出時刻の情報は、津波を検出した場合と同様に、航空機2に搭載されたGPS装置から得られる情報や、SAR画像の取得時に付加される検出諸元情報を参照して生成される。
【0035】
この発明の実施の形態1に係る津波監視装置1によれば、装置が移動可能なプラットフォームである航空機2に搭載されている。すなわち、移動可能なSAR画像取得手段13で取得されたSAR画像に基づいて津波の検出処理を実行する。
そのため、レーダ装置等の観測地点がない地域や観測地点を設置することが困難な遠洋を含む広い範囲で早期に津波を検出することができ、津波を検出したことによる警報を正確に発生することができる。
【0036】
また、津波検出手段14は、SAR画像に対してMTI処理を施し、海面を移動する波を検出してその波の速度を抽出し、所定速度以上の波が含まれる場合に津波を検出する。
すなわち、簡易な方法で津波の検出処理を実行することにより、津波の検出までに要する時間を短縮して早期に警報を発生することができるので、津波の襲来が予測される地域に早期に警報を伝達することができる。
【0037】
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係る津波監視装置1Aを示すブロック構成図である。
図7において、検出統制手段12Aは、気象情報反映手段15を含んでいる。
気象情報反映手段15は、基地局3からの検出指令に含まれる気象情報に応じて、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に指定される検出条件を生成する。
【0038】
以下、上記構成の津波監視装置1Aの動作について説明する。
なお、この実施の形態において、図3に示したステップS1以外の動作は、上記実施の形態1と同様なので、ここでは、ステップS1における動作のみについて説明する。
また、この実施の形態において、基地局3は、地震の発生位置付近の気象情報を、津波の検出指令に含めて送信する。また、気象情報には、天候および風速等の情報が含まれているとする。
【0039】
基地局3からの検出指令が通信手段11を経由して検出統制手段12Aに入力されると、検出統制手段12Aは、津波の検出処理の対象となる検出対象領域を設定し、SAR画像取得手段13に対してこの検出対象領域を指定する。
なお、この実施の形態においては、検出統制手段12Aは、基地局3からの検出指令に応じて、あらかじめ設定された汎用的な検出対象領域を指定する。
【0040】
また、気象情報反映手段15は、天候の情報から、SAR画像で発生するクラッタの条件を考慮して、撮像用パラメータを設定する。
また、気象情報反映手段15は、風速の情報から、図6に示したような風速と通常の波の速度との関係を利用して、検出対象領域における通常の波の速度を推定する。また、気象情報反映手段15は、推定した通常の波の速度に基づいて、検出用パラメータを設定する。
検出統制手段12Aは、気象情報反映手段15で設定された撮像用パラメータおよび検出用パラメータを、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に対してそれぞれ指定する。
【0041】
これにより、SAR画像取得手段13は、指定された検出対象領域において、気象情報反映手段15により設定された撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得する。
また、津波検出手段14は、SAR画像取得手段13で取得されたSAR画像から波の速度を抽出し、この波の速度と気象情報反映手段15により設定された検出用パラメータとに基づいて、検出対象領域における津波の検出処理を実行する。
【0042】
この発明の実施の形態2に係る津波検出装置1Aによれば、気象情報反映手段15は、SAR画像で発生するクラッタの条件を考慮して撮像用パラメータを設定し、検出対象領域における通常の波の速度を推定して検出用パラメータを設定する。
そのため、クラッタとなる波の速度が明確になり、津波の検出処理におけるクラッタの影響を低減して、津波を効果的に検出することができる。
【0043】
また、海底の深度が浅く、津波の速度が低い場合(例えば30m/sec以下)であっても、風速が低く、通常の波の速度が低いときには、検出用パラメータにより波を分離(図4のステップS22参照)するための速度を変化させることにより、津波を検出することができる。
【0044】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3に係る津波監視装置1Bを示すブロック構成図である。
図8において、検出統制手段12Bは、既知情報反映手段16を含んでいる。
既知情報反映手段16は、メモリを有しており、海底の震度や海流等の情報を既知情報として記憶している。
また、既知情報反映手段16は、基地局3からの津波の検出指令に含まれる検出対象領域の情報と既知情報とに応じて、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に指定される検出条件を生成する。
【0045】
以下、上記構成の津波監視装置1Bの動作について説明する。
なお、この実施の形態において、図3に示したステップS1以外の動作は、上記実施の形態1と同様なので、ここでは、ステップS1における動作のみについて説明する。
また、この実施の形態において、基地局3からの検出指令には、検出対象領域の情報が含まれているとする。
【0046】
基地局3からの検出指令が通信手段11を経由して検出統制手段12Bに入力されると、検出統制手段12Bは、検出指令に含まれる検出対象領域の情報に基づいて、SAR画像取得手段13に対してこの検出対象領域を指定する。
【0047】
また、既知情報反映手段16は、検出対象領域における既知情報を検索し、海底の深度、海流、過去の検出諸元および結果等の情報を抽出する。また、既知情報反映手段16は、例えば水深に基づいて、検出対象領域における津波の予測速度を算出する。
また、既知情報反映手段16は、津波の予測速度や、抽出した検出対象領域における海流の速度等に基づいて、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを設定する。
検出統制手段12Bは、既知情報反映手段16で設定された撮像用パラメータおよび検出用パラメータを、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に対してそれぞれ指定する。
【0048】
これにより、SAR画像取得手段13は、指定された検出対象領域において、既知情報反映手段16により設定された撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得する。
また、津波検出手段14は、SAR画像取得手段13で取得されたSAR画像から波の速度を抽出し、この波の速度と既知情報反映手段16により設定された検出用パラメータとに基づいて、検出対象領域における津波の検出処理を実行する。
【0049】
この発明の実施の形態3に係る津波検出装置1Bによれば、既知情報反映手段16は、例えば検出対象領域における水深から算出される津波の予測速度や、検出対象領域における海流の速度等に基づいて、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを設定する。
そのため、検出対象が明確になり、津波の検出確率や検出精度を向上させて、津波を効果的に検出することができる。
また、クラッタとなる海流の速度が既知なので、津波の検出処理におけるクラッタの影響を低減することができる。
【0050】
実施の形態4.
図9は、この発明の実施の形態3に係る津波監視装置1Cを示すブロック構成図である。
図9において、検出統制手段12Cは、津波発生位置予測手段17を含んでいる。
津波発生位置予測手段17は、基地局3からの検出指令に含まれる地震または津波の発生情報(以下、「地震・津波発生情報」と称する)に応じて、津波の到達場所、到達時刻、津波の波高および速度等を予測し、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に指定される検出条件を生成する。
【0051】
以下、図10のフローチャートを参照しながら、上記構成の津波監視装置1Cの動作について説明する。
なお、この実施の形態において、基地局3は、地震・津波発生情報を、津波の検出指令に含めて送信する。また、地震・津波発生情報には、地震または津波の発生位置に関する情報が含まれているとする。
【0052】
まず、検出統制手段12Cは、基地局3からの検出指令が入力されると、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に対して、津波の検出処理に関する検出条件を指定する(ステップS1)。
具体的には、津波発生位置予測手段17は、地震・津波発生情報から、津波の到達場所および到達時刻を予測して検出対象領域を設定する。
ここで、津波発生位置予測手段17は、誤差等の不確定要因を考慮して、検出対象領域の候補を複数算出する。すなわち、津波発生位置予測手段17は、第1候補から順に複数の検出対象領域を設定する。
【0053】
また、津波発生位置予測手段17は、地震・津波発生情報から、津波の波高および速度等を予測し、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを設定する。
検出統制手段12Cは、津波発生位置予測手段17で設定された検出対象領域、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを、SAR画像取得手段13および津波検出手段14に対してそれぞれ指定する。
【0054】
続いて、SAR画像取得手段13は、津波発生位置予測手段17により設定された検出対象領域において、津波発生位置予測手段17により設定された撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得する(ステップS2)。
次に、津波検出手段14は、SAR画像取得手段13で取得されたSAR画像から波の速度を抽出し、この波の速度と津波発生位置予測手段17により設定された検出用パラメータとに基づいて、検出対象領域における津波の検出処理を実行する(ステップS3)。
【0055】
続いて、検出統制手段12Cは、津波検出手段14から出力された津波の検出処理の結果を、検出結果として通信手段11を介して基地局3に送信する(ステップS4)。
次に、検出統制手段12Cは、上記ステップS3の津波の検出処理において、津波を検出したか否かを判定する(ステップS5)。
【0056】
ステップS5において、津波を検出しない(すなわち、No)と判定された場合には、検出統制手段12Cは、津波発生位置予測手段17に対して、次候補の検出対象領域の設定を要求する。津波発生位置予測手段17は、検出統制手段12Cからの要求に応じて、次候補の検出対象領域を設定し(ステップS6)、ステップS1に移行する。
このとき、津波発生位置予測手段17は、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを再度設定してもよい。
以下、新たに指定された検出対象領域、撮像用パラメータおよび検出用パラメータに応じて、津波の検出処理が実行される。
【0057】
一方、ステップS5において、津波を検出した(すなわち、Yes)と判定された場合には、そのまま図10の処理を終了する。
ここで、ステップS5において津波を検出しない場合であっても、津波の検出処理が所定回数以上連続して実行されたときには、図10の処理を終了してもよい。
【0058】
この発明の実施の形態4に係る津波監視装置1Cによれば、津波発生位置予測手段17は、地震・津波発生情報から予測される津波の到達場所、到達時刻、津波の波高および速度等に応じて、検出対象領域、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを設定する。このとき、津波発生位置予測手段17は、第1候補から順に、優先順位を付けて検出対象領域を設定する。
そのため、津波の発生予測が曖昧な場合であっても、優先順位に従って検出対象領域を切り替え、各検出対象領域で津波の検出処理を実行することにより、広い範囲を順番に検索することなく、津波の検出確率を向上させることができる。
【0059】
実施の形態5.
図11は、この発明の実施の形態5に係る津波監視装置1Dを示すブロック構成図である。
図11において、津波監視装置1Dは、図1に示した津波監視装置1に加えて、津波波高抽出手段18と、津波追尾手段19とをさらに備えている。
【0060】
津波波高抽出手段18は、SAR画像と津波の発生位置とに基づいて、津波の波高を抽出する。
津波追尾手段19は、津波の波高と津波の発生位置および速度とに基づいて、追尾フィルタを用いて津波を追尾し、平滑化した津波の発生位置、速度および波高を算出する。また、津波追尾手段19は、次の津波の検出処理時における津波の発生位置、速度および波高の予測値を算出する。
【0061】
以下、図12のフローチャートを参照しながら、上記構成の津波監視装置1Dの動作について説明する。
なお、図12において、ステップS1〜ステップS4までの動作は、上記実施の形態1と同様なので、ステップS7以降の動作について説明する。ステップS7以降の動作は、津波を検出した場合に実行される動作である。
ただし、ステップS2において、SAR画像取得手段13は、取得したSAR画像を津波波高抽出手段18にも出力する。また、ステップS3において、津波検出手段14は、津波の発生位置の情報を津波波高抽出手段18にも出力し、津波の発生位置および速度の情報(方向と速度を有する速度ベクトル情報)を津波追尾手段19にも出力する。
【0062】
まず、ステップS7において、津波波高抽出手段18は、SAR画像取得手段13からのSAR画像と、津波検出手段14からの津波の発生位置とに基づいて、SAR画像上の津波の位置を特定する。また、津波波高抽出手段18は、その位置における津波の波高の情報を抽出し、津波追尾手段19に出力する(ステップS7)。
【0063】
続いて、津波追尾手段19は、津波波高抽出手段18からの津波の波高と、津波検出手段14からの津波の発生位置および速度とに基づいて、追尾フィルタを用いて津波を追尾し、平滑化した津波の発生位置、速度および波高(平滑値)を算出する。また、津波追尾手段19は、次の津波の検出処理時における津波の発生位置、速度および波高の予測値を算出する(ステップS8)。また、津波追尾手段19は、算出した平滑値および予測値を検出統制手段12Dに出力する。ここで、次の津波の検出処理時は、任意に設定される。
【0064】
次に、検出統制手段12Dは、津波追尾手段19からの平滑値を、津波の検出処理による検出結果として、通信手段11を介して基地局3に送信し(ステップS9)、図12の処理を終了する。
また、次の津波の検出処理時におけるステップS1において、検出統制手段12Dは、津波追尾手段19からの津波の発生位置、速度および波高の予測値に基づいて検出対象領域を設定する。
【0065】
この発明の実施の形態5に係る津波監視装置1Dによれば、津波追尾手段19は、津波波高抽出手段18からの津波の波高と、津波検出手段14からの津波の発生位置および速度とに基づいて、追尾フィルタを用いて津波を追尾する。
また、津波監視装置1Dは、移動可能な航空機2に搭載されている。
そのため、例えば遠洋で津波が発生した場合であっても、津波の状況を時系列で継続して追跡することができる。これにより、津波を検出したことによる警報をより正確に発生することができる。
また、津波の状況を時系列で継続して追跡するので、津波の方向や波高の変化等の状況を正確に捉えることができ、警報の発生だけでなく、津波の運動の解析でも有用な情報を得ることができる。
【0066】
実施の形態6.
図13は、この発明の実施の形態6に係る津波監視装置1Eを示すブロック構成図である。
図13において、津波監視装置1Eは、図1に示した津波監視装置1に加えて、到達津波予測手段20をさらに備えている。
到達津波予測手段20は、検出した津波の発生位置および速度の情報から、被害予測対象地域に津波が到達する時刻を予測する。
【0067】
以下、図14のフローチャートを参照しながら、上記構成の津波監視装置1Eの動作について説明する。
なお、図14において、ステップS1〜ステップS4までの動作は、上記実施の形態1と同様なので、ステップS10以降の動作について説明する。
また、この実施の形態において、基地局3は、地震または津波によって被害を受けると予測される被害予測対象地域の情報を、津波の検出指令に含めて送信する。
【0068】
ステップS10において、検出統制手段12は、上記ステップS3の津波の検出処理において、津波を検出したか否かを判定する(ステップS10)。
ステップS10において、津波を検出した(すなわち、Yes)と判定された場合には、検出統制手段12は、津波の発生位置および速度の情報を、到達津波予測手段20に出力する(ステップS11)。
【0069】
続いて、到達津波予測手段20は、検出統制手段12からの津波の発生位置および速度の情報から、被害予測対象地域に津波が到達する時刻を予測する。また、到達津波予測手段20は、予測した時刻に基づいて警報を発生し、通信手段11を介して基地局3に送信し(ステップS12)、図14の処理を終了する。
一方、ステップS10において、津波を検出しない(すなわち、No)と判定された場合には、そのまま図14の処理を終了する。
【0070】
この発明の実施の形態6に係る津波監視装置1Eによれば、到達津波予測手段20は、津波の発生位置および速度の情報から、被害予測対象地域に津波が到達する時刻を予測する。
そのため、被害予測対象地域に対して早期に警報を発生することができる。
【0071】
実施の形態7.
図15は、この発明の実施の形態7に係る津波監視装置1Fを示すブロック構成図である。
図15において、津波監視装置1Fは、図1に示した津波監視装置1に加えて、検出状況判定手段21と、検出条件制御手段22とをさらに備えている。
【0072】
検出状況判定手段21は、検出統制手段12F、SAR画像取得手段13または津波検出手段14からの出力に基づいて、津波の検出処理の検出状況を算出する。ここで、検出状況とは、SAR画像に生じるノイズの度合い等である。
検出条件制御手段22は、検出状況判定手段21が算出した検出状況に応じて、撮像用パラメータおよび検出用パラメータの少なくとも一方を制御する。
【0073】
以下、図16のフローチャートを参照しながら、上記構成の津波監視装置1Fの動作について説明する。
なお、図16において、ステップS1〜ステップS3までの動作、およびステップS4の動作は、上記実施の形態1と同様なので、ステップS13以降の動作について説明する。
【0074】
ステップS13において、検出状況判定手段21は、検出統制手段12F、SAR画像取得手段13および津波検出手段14からの出力に基づいて、津波の感触処理の検出状況を算出し、検出条件制御手段22は、現在の検出状況が所定条件を満たしているか否かを判定する(ステップS13)。
なお、ここで、所定条件は、任意に設定されてよい。
【0075】
ステップS13において、所定条件を満たしていない(すなわち、No)と判定された場合には、検出条件制御手段22は、例えば撮像用パラメータを検出に有利なパラメータに設定する。また、検出統制手段12Fは、SAR画像取得手段13に対してこの撮像用パラメータを指定し、検出条件の再指定を行い(ステップS14)、ステップS2に移行する。
一方、ステップS13において、所定条件が満たしている(すなわち、Yes)と判定された場合には、そのままステップS4に移行する。
【0076】
この発明の実施の形態7に係る津波監視装置1Fによれば、検出条件制御手段22は、津波の検出処理の検出状況に応じて、撮像用パラメータおよび検出用パラメータの少なくとも一方を制御する。
そのため、有利な検出条件で津波の検出処理を実行することができる。
【0077】
実施の形態8.
図17は、この発明の実施の形態8に係る津波監視装置1Gを示すブロック構成図である。
図17において、津波監視装置1Gは、図1に示した津波監視装置1に加えて、検出状況判定手段21と、検出・駆動条件制御手段23とをさらに備えている。
【0078】
検出状況判定手段21は、検出統制手段12F、SAR画像取得手段13または津波検出手段14からの出力に基づいて、津波の検出処理の検出状況を算出する。
検出・駆動条件制御手段23は、検出状況判定手段21が算出した検出状況に応じて、撮像用パラメータおよび検出用パラメータの少なくとも一方を制御する。また、検出・駆動条件制御手段23は、検出状況に応じて、航空機2の位置、速度および姿勢角の少なくとも1つの駆動条件を算出し、航空機2の駆動を制御する航空機駆動制御手段24(プラットフォーム駆動制御手段)に駆動条件を出力する。
【0079】
以下、図18のフローチャートを参照しながら、上記構成の津波監視装置1Gの動作について説明する。
なお、図18において、ステップS1〜ステップS3までの動作、およびステップS4の動作は、上記実施の形態1と同様なので、ステップS15以降の動作について説明する。
【0080】
ステップS15において、検出状況判定手段21は、検出統制手段12G、SAR画像取得手段13および津波検出手段14からの出力に基づいて、津波の感触処理の検出状況を算出し、検出・駆動条件制御手段23は、現在の検出状況が所定条件を満たしているか否かを判定する(ステップS15)。
なお、ここで、所定条件は、任意に設定されてよい。
【0081】
ステップS15において、所定条件を満たしていない(すなわち、No)と判定された場合には、検出・駆動条件制御手段23は、例えば撮像用パラメータを検出に有利なパラメータに設定する。また、検出統制手段12Gは、SAR画像取得手段13に対してこの撮像用パラメータを指定し、検出条件の再指定を行う(ステップS16)。
【0082】
続いて、検出・駆動条件制御手段23は、航空機2の位置、速度および姿勢角の少なくとも1つについて津波の検出処理に有利な駆動条件を算出し、航空機2の駆動を制御する航空機駆動制御手段24に駆動条件を出力する(ステップS17)。
一方、ステップS15において、所定条件が満たしている(すなわち、Yes)と判定された場合には、そのままステップS4に移行する。
【0083】
この発明の実施の形態8に係る津波監視装置1Gによれば、検出・駆動条件制御手段23は、津波の検出処理の検出状況に応じて、撮像用パラメータおよび検出用パラメータの少なくとも一方を制御する。また、検出・駆動条件制御手段23は、検出状況に応じて、航空機2の位置、速度および姿勢角の少なくとも1つの駆動条件を算出し、航空機駆動制御手段24に駆動条件を出力する。
そのため、有利な検出条件および駆動条件で津波の検出処理を実行することができる。
【0084】
なお、上記実施の形態2〜8に示した、気象情報反映手段15、既知情報反映手段16、津波発生位置予測手段17、津波波高抽出手段18および津波追尾手段19、到達津波予測手段20、並びに検出状況判定手段21、検出条件制御手段22および検出・駆動条件制御手段23は、それぞれ上記実施の形態1に示した津波監視装置と任意に組み合わせて用いられてもよい。
これらの手段を任意に組み合わせることで、各手段の効果の相乗効果を得ることができる。例えば、気象情報反映手段15と既知情報反映手段16とによるクラッタ抑圧および津波検出向上の効果と、津波波高抽出手段18および津波追尾手段19の追尾継続の効果とを組み合わせることで、津波の誤検出や、検出不可能な状態を低減しつつ、継続して入手した津波の位置情報を組み合わせることで、津波の追尾を維持する確率を向上させ、津波の継続した観測能力をより向上させる相乗効果が期待できる。
また、津波波高抽出手段18および津波追尾手段19の追尾継続の効果と、検出条件制御手段22および検出・駆動条件制御手段23の予測位置にプラットフォームを移動させて最適な観測条件を設定する効果とを組合せる相乗効果により、追尾結果に基づいてプラットフォームを移動させながら津波を追尾可能となり、津波の追尾を維持する確率を向上させ、津波の継続した観測能力をより向上させる相乗効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】この発明の実施の形態1に係る津波監視装置を含む津波監視システム全体を例示する構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る津波監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係る津波検出手段が津波を検出する手順を示すフローチャートである。
【図5】水深と津波の速度との関係を例示する説明図である。
【図6】太平洋上における風速と波の波長と通常の波の速度との関係を例示する説明図である。
【図7】この発明の実施の形態2に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図9】この発明の実施の形態4に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図10】この発明の実施の形態4に係る津波監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態5に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図12】この発明の実施の形態5に係る津波監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図13】この発明の実施の形態6に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図14】この発明の実施の形態6に係る津波監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態7に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図16】この発明の実施の形態7に係る津波監視装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態8に係る津波監視装置を示すブロック構成図である。
【図18】この発明の実施の形態8に係る津波監視装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0086】
1、1A〜1G 津波監視装置、2 航空機(プラットフォーム)、3 基地局、11 通信手段、12、12A〜12G 検出統制手段、13 SAR画像取得手段、14 津波検出手段、15 気象情報反映手段、16 既知情報反映手段、17 津波発生位置予測手段、18 津波波高抽出手段、19 津波追尾手段、20 到達津波予測手段、21 検出状況判定手段、22 検出条件制御手段、23 検出・駆動条件制御手段、24 航空機駆動制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動可能なプラットフォームに搭載され、基地局からの検出指令に応じて津波の検出処理を実行する津波監視装置であって、
前記基地局と通信する通信手段と、
前記通信手段が前記検出指令を受信した場合に、前記検出処理に関してあらかじめ設定された検出対象領域、撮像用パラメータおよび検出用パラメータを設定し、前記通信手段を介して前記検出処理の結果を前記基地局に送信する検出統制手段と、
前記検出対象領域において、前記撮像用パラメータを用いてSAR画像を取得するSAR画像取得手段と、
前記SAR画像中の各位置における波の速度を抽出し、この波の速度と前記検出用パラメータとに基づいて前記検出処理を実行する津波検出手段と、
を備えたことを特徴とする津波監視装置。
【請求項2】
前記津波検出手段は、前記SAR画像に対してMTI処理を施し、海面を移動する波を検出してその波の速度を抽出し、前記検出用パラメータとして設定された所定速度以上の波が含まれる場合に津波を検出することを特徴とする請求項1に記載の津波監視装置。
【請求項3】
前記検出統制手段は、前記検出指令に含まれる気象情報に応じて、前記撮像用パラメータおよび前記検出用パラメータを設定する気象情報反映手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の津波監視装置。
【請求項4】
前記検出統制手段は、海底の深度および海流の情報を既知情報として記憶する既知情報反映手段を含み、
前記既知情報反映手段は、前記検出指令に含まれる前記検出対象領域の情報と前記既知情報とに応じて、前記撮像用パラメータおよび前記検出用パラメータを設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の津波監視装置。
【請求項5】
前記検出統制手段は、前記検出指令に含まれる地震または津波の発生情報に応じて、前記検出対象領域、前記撮像用パラメータおよび前記検出用パラメータを設定する津波発生位置予測手段を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の津波監視装置。
【請求項6】
前記SAR画像と前記津波検出手段で検出された津波の発生位置とに基づいて、津波の波高を抽出する津波波高抽出手段と、
前記津波波高抽出手段で抽出された津波の波高と津波の発生位置および速度とに基づいて、追尾フィルタを用いて津波を追尾し、平滑化した津波の発生位置、速度および波高、ならびに次の津波の検出処理時における津波の発生位置、速度および波高の予測値の少なくとも一方を算出する津波追尾手段と、をさらに備え、
前記検出統制手段は、前記通信手段を介して前記平滑化した津波の発生位置、速度および波高を前記基地局に送信し、次の津波の検出処理時に、前記津波の発生位置、速度および波高の予測値に基づいて前記検出対象領域、前記撮像用パラメータおよび前記検出用パラメータを設定することを特徴とする請求項1から請求項5までの何れか1項に記載の津波監視装置。
【請求項7】
前記検出指令に含まれる被害予測対象地域の情報に応じて、前記津波検出手段で検出された津波の発生位置および速度から、前記被害予測対象地域に津波が到達する時刻を予測する到達津波予測手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項6までの何れか1項に記載の津波監視装置。
【請求項8】
前記検出統制手段、前記SAR画像取得手段または前記津波検出手段からの出力に基づいて、前記検出処理の検出状況を算出する検出状況判定手段と、
前記検出状況に応じて、前記撮像用パラメータおよび前記検出用パラメータの少なくとも一方を制御する検出条件制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の津波監視装置。
【請求項9】
前記検出統制手段、前記SAR画像取得手段または前記津波検出手段からの出力に基づいて、前記検出処理の検出状況を算出する検出状況判定手段と、
前記検出状況に応じて、前記撮像用パラメータおよび前記検出用パラメータの少なくとも一方を制御するとともに、前記プラットフォームの位置、速度および姿勢角の少なくとも1つの駆動条件を算出し、前記プラットフォームの駆動を制御するプラットフォーム駆動制御手段に前記駆動条件を出力する検出・駆動条件制御手段と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の津波監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−229424(P2009−229424A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78718(P2008−78718)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】