説明

活性酸素を用いる共刺激分子発現の調節のための方法

本発明は、共刺激分子(例えば、B7.1、B7.2またはCD40)の発現が、活性酸素種(ROS)を使用して調節され得るという発見に、部分的に基づく。従って、本発明は、活性酸素を調節することによって共刺激分子を調節する方法に関連する。本方法、および産物は、例えば、抗原特異的免疫応答を調節すること、疾患を処置すること、および細胞増殖を調節することに対して、有用である。本発明の方法は、いくつかの局面において、細胞における共刺激分子の発現を阻害するために、細胞のROSへの曝露を減らすことによって、細胞における共刺激分子の発現を阻害するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、活性酸素および関連産物を調節することによって共刺激分子を調節する方法に関する。本方法、および産物は、例えば、組織生成、移植、抗原特異的免疫応答を調節すること、癌などの疾患を処置すること、および細胞増殖を調節することに対して、有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
細胞増殖および細胞分化の操作を介する疾患の1つの重要な調節方法は、免疫細胞を含む。細胞、組織および器官の複雑な機構である免疫系は、潜在的な損害から我々を保護するのに役立つ。免疫系の我々の理解における驚くべき進歩が、最近の100年間、特にT細胞およびB細胞の発見から、なされている。それにもかかわらず、基本的な疑問は、答えられていないままである。これらのうちの1つは、免疫寛容の性質に関する。ほとんどの他の組織と比較して、特定の組織(脳、眼、卵巣、精巣)が、免疫系と異なって相互作用することが、広く一般に認められる。これらの組織は、一般に免疫寛容部位と称されるが、特権に対する根拠は不明である。
【0003】
T細胞活性化およびT細胞増殖の複雑なプロセスは、抗原提示、細胞−細胞接触および可溶性免疫メディエータ(例えば、サイトカインまたはリンホカイン)のような多様な相互作用に基づく。これらの相互作用の多くは、表面レセプターを介してT細胞において媒介される。ヘルパーT細胞は、例えば、腫瘍組織適合遺伝子複合体(MHC)と関連する、抗原提示細胞(APC)による抗原の提示と、二次シグナルとの両方の活性化を必要とする。この二次シグナルは、可溶性因子であり得るか、またはT細胞の表面上のレセプターの別のセットとの相互作用に関連し得る。しかし、二次シグナルの非存在下での抗原提示は、ヘルパーT細胞を活性化するのに十分でない。
【0004】
第一の、抗原および腫瘍組織適合遺伝子複合体(MHC)分子の認識は、広範に研究されている(Marrack P、Kappler J.The T cell receptor.Science 1987;238:1073−1079)。対照的に、1971年にBretscherおよびCohn(Bretscher PA、Cohn M.A theory of self discrimination.Science 1970;169:1042−1049)によって予測され、1990年代にB7/CD28ファミリーメンバー(Linsley P、およびLedbetter JA.Role of the CD28 receptor during T cell responses to antigen.Annual Review in Immunology 1993;11:191−212;Linsley PSら、Human B7−1(CD80) and B7−2(CD86) bind with similar activities but distinct kinetics to CD28 and CTLA4.Immunity 1994;1:793−801;June CHら、The B7 and CD28 receptor families.Immunol.Today 1994;15:321−330;Kuchroo VKら、B7−1 and B7−2 costimulatory molecules activate differentially the Thl/Th2 developmental pathways:application to autoimmune disease therapy.Cell 1995;80:707−718;ならびに、Lanier LLら、CD80(B7) and CD86(B70) provide similar costimulatory signals for T cell proliferation、cytokine production、and generation of CTL. Journal of Immunology 1995;154:97−105)の発見によって確認された、二次シグナル(共刺激)についての制御機構は、不明である。T細胞は、抗原、MHCおよび共刺激シグナルを捜し求めて身体中を動く。活性化の非存在下では、T細胞は、組織を無視する。T細胞が活性化されると、その結果は、:1)傷んだ細胞の破壊、または2)直接的または間接的のいずれかで、再生を促進することによる、傷んだ細胞の修復、であり得る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、活性酸素種(ROS)の存在または非存在が、共刺激分子(例えば、B7.1、B7.2および/またはCD40)の発現を調節することにおいて一役を買うという発見に関する。この方法は、いくつかの局面において、細胞における共刺激分子の発現を阻害するために、細胞のROSへの曝露を減らすことによって、細胞における共刺激分子の発現を阻害するための方法に関する。いくつかの実施形態において、この細胞は、幹細胞であるか、またはこの細胞は、例えば、皮膚、心臓、肝臓もしくは腎臓由来の細胞であり得る。他の実施形態において、共刺激分子はB7.1、B7.2および/またはCD40である。
【0006】
いくつかの実施形態において、細胞は、被験体に移植される。他の実施形態において、細胞は、移植に先立って、増殖条件下、インビトロで増殖される。本方法は、細胞をROSのインヒビターに接触することによってか、あるいはROSのインヒビターを被験体に投与することによってか、または処理された細胞を被験体に投与することによって、ROSが減少されるように、被験体に対してインビトロまたはインビボで実施され得る。他の実施形態において、ROSのインヒビターは、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼおよびマンガンスーパーオキシドジスムターゼからなる群から選択される化合物である。
【0007】
他の局面に従って、本発明は、細胞における共刺激分子の発現を誘導するために、細胞のROSへの曝露を増やすことによって、細胞における共刺激分子の発現を誘導するための方法である。いくつかの実施形態において、この細胞はT細胞、神経細胞または好中球である。別の実施形態において、この共刺激分子は、B7.1、B7.2および/またはCD40である。
【0008】
いくつかの実施形態において、細胞は細胞増殖を促進するための増殖条件に曝露される。増殖条件としては以下が挙げられるが、これに限定されない:インスリン、神経成長因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、エリスロポエチンおよびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβならびにリンホトキシン)のうちの少なくとも1つに対する曝露。
【0009】
この方法は、細胞をROSに接触することによってか、あるいはROSを被験体に投与することによってか、または処理された細胞を被験体に投与することによって、ROSが増加されるように、被験体に対してインビトロまたはインビボで実施され得る。いくつかの実施形態において、細胞が、ROSのアクチベーターに接触されるか、または被験体がROSのアクチベーターを投与される。必要な場合、ROSのアクチベーターは、ミトコンドリアの電子伝達のインヒビター、グルタチオンあるいはグルタチオンSレダクターゼのインヒビター、スーパーオキシドジムスターゼのインヒビター、またはリソソームUCPのインヒビターである。このミトコンドリアの電子伝達のインヒビターは、活性酸素種、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分、および毒性水準下のマイクロ波または低線量放射線への曝露からなる群から選択される化合物であり得る。必要な場合、このウイルス成分は、HIV Nef、HIV Tat、またはアデノウイルスのE1Bのような遺伝子産物である。他の実施形態において、ROSのアクチベーターは、マイクロ波に曝露される。
【0010】
他の実施形態において、この方法はまた、細胞または被験体の抗原との接触に関する。必要な場合、この抗原は、腫瘍抗原、ウイルス抗原、細菌抗原、寄生虫抗原および真菌抗原からなる群から選択される。
【0011】
なお他の局面において、本発明は、胚性幹細胞上のB7.1、B7.2および/またはCD40の発現を調節するために、ROSを調節するための化合物と胚性幹細胞を接触させることによって、胚性幹細胞上のB7.1、B7.2および/またはCD40の発現を調節するための方法である。1つの実施形態において、ROSを調節するための化合物は、ROSのインヒビターである。別の実施形態において、ROSを調節するための化合物は、活性酸素種である。必要な場合、この胚性幹細胞は、被験体に投与され得る。
【0012】
神経細胞生成を促進するための方法は、本発明の他の側面に従って提供される。この方法は、分化および/または増殖を促進するための有効量で、神経細胞を、神経細胞ROSアクチベーターと接触することを包含する。いくつかの実施形態において、この神経細胞ROSアクチベーターは、活性酸素種、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分、または、毒性水準下のマイクロ波あるいは低線量放射線への曝露である。他の実施形態において、この神経細胞は、神経活性化細胞に接触され得る。
【0013】
他の局面において、本発明は、組織の細胞表面上の共刺激分子の発現を誘導するための有効量で、ROSのアクチベーターと非神経組織を接触させること、および、この組織を、組織の生成を促進するための増殖条件に曝露することによって、非神経組織の生成を促進するための方法である。いくつかの実施形態において、このROSアクチベーターは、γインターフェロン、リポタンパク質、脂肪酸、cAMP誘導剤、UCP発現ベクター、B7.1発現ベクター、B7.2発現ベクター、および/あるいはCD40発現ベクター、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分、または毒性水準下のマイクロ波あるいは低線量放射線への曝露である。この増殖条件は、インスリン、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、エリスロポエチンおよびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβ、ならびにリンホトキシン)のうちの少なくとも1つに対する曝露を含み得る。いくつかの実施形態において、この非神経組織は、腎臓、肺、膵臓、皮膚からなる群から選択される。
【0014】
本明細書中に記載される方法において、さらなる工程が、非神経組織または神経細胞をT細胞に曝露する工程を包含し得る。この非神経組織または神経細胞は、インビトロまたはインビボにおいてT細胞に曝露される。曝露がインビトロである場合、この非神経組織または神経細胞は、T細胞への曝露の後に被験体に移植され得る。必要な場合、このT細胞は、被験体の細胞である。この非神経組織または神経細胞は、自己免疫組織であり得るか、あるいはこの非神経組織または神経組織は、ドナーの器官であり得る。
【0015】
非神経組織または神経組織の生検は、被験体から取り出されて、被験体のT細胞に曝露され得る。次いで、このT細胞は、生検への曝露の後に、被験体に戻され得る。
【0016】
この方法はまた、神経組織または非神経組織を共刺激分子に対するレセプターに接触させる工程を包含し得る。
【0017】
他の局面において、本発明は、ドナーの器官の細胞における共刺激分子の発現を減少するための有効量で、ドナーの器官をROSのインヒビターで処理すること、およびレシピエントの被験体にドナーの器官を移植することによって、レシピエントの被験体に器官を移植するための方法に関する。
【0018】
自己免疫疾患を処置するために、標的自己免疫細胞における共刺激分子の発現を減少するための有効量で、ROSのインヒビターを、自己免疫疾患を有するか、または自己免疫疾患を発症する危険性がある被験体に投与することによって、自己免疫疾患を処置するための方法がまた、提供される。いくつかの実施形態において、この自己免疫疾患は、多発性硬化症である。
【0019】
このROSのインヒビターは、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはマンガンスーパーオキシドジムスターゼを活性化するか、または誘導する化合物であり得る。
【0020】
他の局面において、本発明は、癌細胞の表面における共刺激分子の発現を誘導するための有効量で、被験体の癌細胞を、毒性水準下のレベルのマイクロ波にか、または毒性水準下のレベルのHに曝露すること、およびこの細胞を、癌を処置するために、細胞を殺す因子に接触することによって、癌を処置するための方法である。いくつかの実施形態において、この癌細胞は、2−デオキシグルコースまたはそのアナログに曝露される。他の実施形態において、この因子は、免疫細胞上の共刺激分子レセプターまたは可溶性レセプターのような、共刺激分子レセプターである。他の実施形態において、この因子は、毒性水準下の用量の抗癌剤(例えば、放射線)である。
【0021】
本発明の各制限は、本発明の種々の実施形態を包含し得る。それゆえ、任意の1つの要素または要素の組み合せを含む本発明の各制限が、各方法および各生成物に含まれ得ることが予想される。
【0022】
(詳細な説明)
本発明は、細胞の表面における共刺激分子発現の調節に関する方法および生成物である。本発明のいくつかの局面に従って、共刺激分子の発現が、特にB7において、活性酸素種(ROS)の存在または非存在に密接に関係することが発見された。一般に、ROSの増加する量の存在中で、共刺激分子の発現が誘導され、そしてROSが減少する場合、共刺激分子の発現もまた減少することが見出された。共刺激分子の発現を変化するために、ROSレベルを調節する能力は、多くの疾患ならびに治療および予防治療にとって重要な意味を有する。
【0023】
細胞のエネルギー代謝がまた、免疫系がいかにしてこの細胞と相互作用するかを決定するための大きな要因である。細胞において、細胞が消費する燃料に依存して、限定された数の代謝状態が存在する。これらは、グルコース(炭水化物)、脂質(脂肪)、およびタンパク質を含む。特に、特定の細胞表面分子の発現と組み合せて、脂肪を燃料として効率的に使用する能力は、免疫寛容を与える。脱共役タンパク質は、この機構において重要な役割を果たす。これは、脱共役タンパク質が脂肪燃焼プロセスにおいて役立つからである。結果として、代謝の変化(ストレス、燃料効率、年齢、ホルモン、放射線、薬剤などによって生じる)が、必然的に免疫応答の変化を生じる。このことは、自己免疫疾患の制御、移植片拒絶の防止、組織発生の促進および破壊のための腫瘍細胞の標的化に対して、深遠な意味を有する。
【0024】
細胞の代謝と、細胞がいかにしてT細胞によって認識されるかの間の、この関係の意味は、深遠である。なぜならば、T細胞の認識および活性化は、免疫系の稼働に必須であるからである。本明細書中に記載される発見は、免疫系を認識される細胞を無視するか、破壊するか、修復するか、または再生するように方向付けるために、どのようにしてT細胞が細胞を認識するのか(例えば、認識されるべき細胞の代謝を変化することによって)の操作に関する方法についての、基礎を形成する。本明細書中に記載される発明は、細胞のエネルギー使用と、免疫系がどのようにして個々の細胞に反応するのかの間の、親密な関係を示す。
【0025】
本発明者らは、ミトコンドリアの代謝のための燃料(例えば、グルコースおよび/または脂質)の選択は、細胞の、免疫系の細胞を含む、任意の他の細胞との相互作用を調節する、代謝行為の一部であることを認識している。本発明者らの発見は、少なくとも3つの代謝基本状態が存在し、これらの基本状態が、細胞内部の活性酸素のレベルによって規定されることを示す。活性酸素のレベルは、組織が免疫系(ここでは、増殖阻害状態をいう)によって無視されるかどうか、この組織が免疫系(ここでは、増殖誘導状態をいう)によって育まれる再生増殖を経験するかどうか、または、この組織が免疫誘導死(すなわち、感染細胞もしくは深刻に傷害された細胞に起こるような(ここでは、免疫標的化状態をいう))に感受性であるかどうか、に影響する。
【0026】
免疫標的化状態における細胞は、高いレベルの細胞内活性酸素を有する。これらの条件下で、共刺激分子は、組織の拒絶を導く条件下で発現される。例えば、以下の条件は、免疫標的化状態において、破壊のために標的化され得る細胞を産生する:さらなる代謝ストラテジーが対処し得ない条件下で誘導される、高いレベルの細胞内活性酸素。例えば、脱共役タンパク質が効率的に発現され得ないか、脱共役タンパク質の発現が、UCP発現あるいはUCPに対するアンチセンスのような活性を妨害する薬剤によって無効にされているか、または脱共役した保護代謝状態が化学療法剤(すなわち、インビボにおいて10−8Mを超える濃度での、アドリアマイシン、5FU、メトトレキサート、トリメトレキサート(trimetrexate)、シスプラチンなど)、25〜30グレイを超える(greater that)レベルでの任意の種の放射線、高強度、高周波数のマイクロ波、25グレイを超えるγ放射線のような化合物からの代謝干渉によって、負の影響を受けている。さらに、他の保護ストラテジー(例えば、マンガンスーパーオキシドジスムターゼまたは銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオン−Sレダクターゼなど(すなわち、このような化合物のインヒビター))を無効にする条件が、特に、増殖誘導状態に向ってバランスを崩す、増殖シグナルの非存在下において、活性酸素のレベルが破壊性の免疫認識を惹起するのに十分高い、代謝ストラテジーのバランスを崩し得る。高い活性酸素に免疫標的化状態を導かせる条件の別の例は、10−8M未満の(less that)化学療法剤を用いて、例えば、低いレベルの放射線(10〜25グレイ)のような、高い細胞内活性酸素を生じさせる、2つのストラテジーの混ぜ合わせたアプローチに関する。
【0027】
増殖誘導状態にある細胞は、共刺激分子の誘導をもたらす中間のレベルの細胞内活性酸素を有する。これらの細胞は、この細胞が増殖するように、免疫系への曝露の間、好ましくは増殖条件下で維持される。増殖促進性条件としては、以下が挙げられるが、これに限定されない:インスリン(例えば、脳、眼、皮膚、筋肉、腎臓などの増殖の調節のために);神経成長因子;線維芽細胞増殖因子(例えば、結合組織の増殖を調節するために);血小板由来増殖因子(例えば、血小板の増殖を調節するために);エリスロポエチン(例えば、赤血球生成を調節するために);およびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβ、ならびにリンホトキシン)。
【0028】
従って、増殖誘導状態において細胞を生成するための方法は、増殖条件下で中間のレベルの活性酸素を生成する工程を含む。十分なレベルに活性酸素を増加するため、細胞の代謝状態のバランスを崩すために有用である因子は、本明細書中(そして、以下でより詳細に記載される)でROSのアクチベーターと呼ばれる化合物である。一般に、これらの化合物は、UCP、MnSOD、グルタチオンSレダクターゼの増大した遺伝子発現を促進するように作用し、増殖促進環境と組合わされた場合、再生修復を促進し得る細胞内活性酸素のレベルを生じる。これらの条件によって生じた、これらの中程度のレベルの活性酸素は、修復のために細胞に初回抗原刺激をする。中程度か、または中間のレベルの活性酸素を生じる因子の例としては、毒性水準下の量のH(25mM以下)、低レベルのγ放射線(1〜20グレイ)、低強度、低周波数のマイクロ波(例えば、10mV)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
増殖阻害状態にある細胞は、免疫寛容細胞である。これらの細胞は、脂質が燃料として優先的に使用される条件下で維持される。この細胞は、低いミトコンドリア膜電位を有し、表面MHCをあまり有さず、フリーラジカルによってあまり容易に傷害されず、そして比較的低いレベルの共刺激分子発現を有するか、または共刺激分子発現を有さない。この状態にある細胞は、免疫系によって認識されない。この細胞における活性酸素のレベルは、慎重に維持されるべきである。活性酸素の低いレベルにおいて、この細胞は、免疫細胞による認識および拒絶を妨害することを許容する、「胞子様(spore−like)」状態を発生する。この状態にある細胞は、移植前に幹細胞を保存するか、または移植片を保存するために役立ち得る。低いレベルの活性酸素を維持すること(例えば、ROSのインヒビターを使用することによって)に加え、この状態は、低グルコース、低電磁放射線、および非グルコース炭素源(例えば、高度不飽和脂肪酸)の存在の条件下で最適に達成される。
【0030】
器官の移植における主要な問題は、免疫的拒絶反応である。共刺激シグナルを除くかまたは減らす(すなわち、増殖阻害状態を生じる)方法で、移植される細胞を変質させることが、現在可能である。このことは、一般的な免疫抑制剤の使用を伴わないで(か、または一般的な免疫抑制剤との組合せで)、本発明に従って達成され得る。T細胞に組織を無視させることが望ましい疾患の、別の重要な分類は、自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、および慢性関節リウマチ)である。これらの疾患において、免疫系が自己組織を攻撃するのを回避するように方向付けることが重要である。自己免疫状態において、MHCシグナルが存在する。このことは、免疫系がなぜ組織を攻撃するように促進されるのかの理由である。本発明の方法を使用して、免疫系によって引き起こされる傷害を減少するために、共刺激シグナル(「危険シグナル」)を減少させるかまたは排除することが可能である。対照的に、免疫標的化状態を生じさせるために、細胞内代謝活性を変化させることは、腫瘍細胞の認識および破壊を促進し得る。組織のさらに誘導された修復および再生は、多くの状況において重要であり、細胞が増殖誘導状態を想定させることによって達成され得る。例えば、ニューロンの再生は、脳卒中の被害者または脊椎損傷を有する人を補助することにおいて、最も重要である。
【0031】
本発明は、インビトロ、インビボおよびエキソビボ技術に関する。本発明のインビトロ方法は、種々の目的のために有用である。例えば、本発明の方法は、免疫認識に関する研究のために、インビトロで培養される細胞における共刺激分子の発現を操作すること、ならびに培養条件を操作することに対し、有用であり得る。
【0032】
インビトロ方法に加え、本発明の方法は、インビボまたはエキソビボで、被験体内の1つ以上の細胞型を操作するために、被験体内で実施され得る。本明細書中で使用される場合、「エキソビボ」方法は、被験体からの細胞の単離、体外での細胞の処理、および処理された細胞の被験体内への再移植を含む方法である。このエキソビボ手順は、自己免疫細胞または異種細胞において使用され得るが、好ましくは自己免疫細胞において使用される。いくつかの実施形態において、このエキソビボ方法は、末梢血や骨髄などの体液(bodily fluid)から単離されるが、細胞のいかなる原料からも単離され得る細胞において、実施される。被験体に戻されたとき、処理された細胞は、細胞が曝露された処理に依存して、共刺激分子の増加したかもしくは減少した発現(または発現における誘導性の変化に対する機序)を有する。細胞のエキソビボ操作は、以下を含む、当該分野におけるいくつかの参考文献中に記載されている:Engleman,E.G.、1997、Cytotechnology、25:1;Van Schooten,W.ら、1997、Molecular Medicine Today、June、255;Steinman,R.M.、1996、Experimental Hematology、24,849;およびGluckman,J.C.、1997、Cytokines、Cellularand Molecular Therapy、3:187。本発明の、細胞のエキソビボ活性化は、当該分野で公知のルーチンなエキソビボ操作工程によって実施され得る。インビボ方法もまた、当該分野で周知である。従って、本発明は治療目的について有用であり、そして本発明はまた、研究目的(例えば、動物における試験、または医学的、生理的、もしくは代謝的な経路もしくは条件のインビトロモデル)についても有用である。
【0033】
本発明の方法は、被験体において有用である。本明細書中で使用される場合、被験体とは、ヒト、霊長類、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコおよびげっ歯類のような霊長類を意味する。
【0034】
免疫細胞活性化および免疫細胞増殖の複雑なプロセスは、抗原提示、細胞−細胞接触および可溶性免疫メディエータ(例えば、サイトカインまたはリンホカイン)のような多様な相互作用に基づく。これらの相互作用の多くは、表面レセプターを介してT細胞および他の免疫細胞において媒介される。例えば、ヘルパーT細胞は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)と関連する抗原提示細胞(APC)による抗原の提示および、二次シグナルの両方の活性化を必要とする。この二次シグナルは、可溶性因子であり得るか、またはT細胞および他の免疫細胞の表面上のレセプターの別のセットとの相互作用に関連し得る。しかし、二次シグナルの非存在下での抗原提示は、ヘルパーT細胞を活性化するのに十分でない。本明細書中で記載される二次シグナルとは、共刺激分子をいう。
【0035】
本明細書中で使用される場合、共刺激分子とは、細胞表面上に発現され、そして免疫細胞の表面にあるレセプターと相互作用することが可能な、B7、CD40などのような分子をいう。共刺激分子に対するレセプターとしては、fasリガンド、CD28リガンド、CTLA4リガンドおよびCD40リガンドが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法に従って使用される場合、共刺激分子に対するレセプターは、共刺激分子と相互作用し、そして二次シグナル手順を誘導する可溶性レセプターあるいはそのフラグメントであり得るか、または細胞表面レセプターであり得る。このレセプターは、CD4 T細胞、CD8 T細胞、NK細胞、γδT細胞、樹状細胞、B細胞およびマクロファージのような細胞の表面において一般的に見出される。これらの細胞に加え、このようなレセプターまたはこれらの機能的なフラグメントを発現する細胞は、当該分野で公知の慣用の手順(例えばトランスフェクション)を使用して作製され得る。
【0036】
CTLA−4/CD28/B7系は、この二次シグナル経路を介するT細胞増殖を調節することに関与する一群のタンパク質である。T細胞増殖応答は、CTLA−4(細胞傷害性Tリンパ球抗原#4)およびCD28と、APCの表面に発現される、タンパク質のB7ファミリーとの相互作用によって制御される。
【0037】
タンパク質のB7ファミリーは、B7−1、B7−2およびB7−3を含む構造的に関連した糖タンパク質からなる(Galea-Lauriら、Cancer Gene Therapy、v.3、p.202−213(1996);Boussiotisら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、v.90、p.11059‐11063(1993))。この異なるB7タンパク質は、抗原提示細胞の表面上で異なる発現パターンを有するように見える。例えば、B7−2は、単球の表面上に恒常的に発現され、B7−1は恒常的ではないが、この細胞がインターフェロンγ(IFN−γ)で刺激される場合、B7−1発現がこれらの細胞において誘導される。この異なる発現パターンは、B7ファミリーメンバーの各々についての異なる役割を示唆し得る。B7タンパク質は、多様な免疫細胞表面レセプターと相互作用する自身の能力による、免疫応答の刺激に関する事象に関与すると考えられる。例えば、CD28レセプターとの自身の相互作用を介して、B7は増大されるT細胞増殖およびサイトカイン産生に役立つと考えられる。
【0038】
CD28(2つのジスルフィド結合した44−kdのサブユニットを有するホモ二量体の糖タンパク質)は、CD4の95%およびCD8の50%で見出される。CD28と反応性のモノクローナル抗体を使用する研究は、T細胞増殖の活性化において、CD28が二次シグナル経路に関与することを示している。CD28とそのリガンドとの相互作用をブロックする抗体が、インビトロでのT細胞増殖を阻害し、結果として抗原特異的T細胞アネルギーを生じることが見出されている(Hardingら、Nature、v.356、p.607(1991))。
【0039】
CD28と約20%の配列相同性を有するT細胞表面レセプタータンパク質は、CTLA−4である。CTLA−4はT細胞表面に内因的に発現されないが、CD28がAPCの表面上でB7と相互作用する場合、その発現が誘導される。一旦CTLA−4がT細胞表面上に発現されると、CTLA−4は、B7と相互作用することが可能である。
【0040】
従って、いくつかの局面において、本発明は、組織発生を促進するための方法に関する。本明細書中で使用される場合、組織発生とは、分化およびまたは増殖の誘導をいう。例えば、幹細胞が処理され、神経細胞発生を誘導し得る。このような細胞は、適切な条件下で神経細胞に分化し得る。さらに、新しい器官を発生するかまたは現存の器官を修復することが望ましい場合、組織発生とは、器官組織のような細胞の増殖をいう。
【0041】
神経細胞発生を促進するための方法が提供される。神経細胞は、共刺激分子を発現するように誘導され得、そしてレセプターを介して、T細胞および他の免疫細胞と相互作用し得る。神経細胞表面上の共刺激分子は、免疫細胞表面上のレセプターを係合して免疫細胞を共刺激し、免疫細胞の活性化を導き得る。次いで、この活性化された免疫細胞は、神経細胞を刺激する神経成長因子を放出し得る。
【0042】
本発明の方法に従って、神経細胞は神経活性化細胞に曝露される。本明細書中で使用される場合、「神経活性化細胞」とは、活性化された場合に神経成長因子を産生することが可能であり、そして細胞表面B7(または他の共刺激分子)レセプターを含む、細胞である。例えば、B7レセプターは、CD28およびCTLA−4を含む。本発明の神経活性化細胞である多くの細胞が、当該分野で記載されている。例えば、これらの細胞としては、T細胞(γT細胞、δT細胞およびα−βT細胞の両方を含む)、マクロファージ、樹状細胞、CTLA−4、またはCD−28を発現するB細胞が挙げられる。
【0043】
本明細書中で使用される場合、「B7レセプター」とは、パートナー細胞上でB7と相互作用し、そしてB7が発現される細胞の活性化を引き起こす、細胞表面免疫分子である。好ましくは、B7レセプターはCD28分子またはCTLA4分子である。
【0044】
神経細胞は、神経活性化細胞に曝露され、神経細胞の分化を引き起こす。曝露の工程は、2つの細胞の集団、神経細胞および神経活性化細胞を単に混合することにより、インビトロで実施され得る。それは、神経細胞の局所的な環境において、神経活性化細胞の集積を引き起こすことによって、インビボで達成され得る。例えば、この神経活性化細胞が移植されるか、またはこの局所的な環境が操作されて、神経活性化細胞の集積を引き起こし得る。例えば、局所的な環境において免疫応答を刺激することは、T細胞、B細胞、樹状細胞、およびマクロファージの集積を引き起こす。この神経活性化細胞はまた、活性化状態の神経成長因子を産生し、そしてその表面上にB7レセプターを発現するように操作される細胞(例えば、誘導性B7レセプターまたは恒常的に発現するB7レセプターとのトランスフェクションによって(例えば、上述した方法によって))であり得る。
【0045】
いくつかの局面において、本発明の方法はまた、内因性の神経活性化細胞を使用して実施され得る。例えば、内因性の神経活性化細胞は、細胞表面B7レセプターを有する細胞(例えば、CD28およびCTLA−4)であり得る。この場合、この方法は、神経活性化細胞の存在下で、神経細胞の表面のB7の発現を誘導するのに有効な量のB7誘導剤と、神経細胞とを接触する工程を含むのみである。
【0046】
神経活性化細胞が、B7に相互作用可能に近接して既に存在する、細胞表面B7レセプターを有する細胞である場合、この細胞は、神経細胞上でのB7との接触を手動で引き起こす必要はない。
【0047】
神経細胞が神経活性化細胞に曝露される場合、細胞表面B7は、B7レセプターと相互作用し、神経活性化細胞を活性化し得る。一旦活性化されると、この神経活性化細胞は神経成長因子を産生し、局所的な環境に放出する。この局所的に産生される神経成長因子は、神経細胞を分化させることが可能である。本発明は、特定の作用機構に限定されないが、出願人は、神経分化が生じる際に経る機構とは、神経成長因子が神経細胞表面神経成長因子レセプター(例えば、Trk)と相互作用することであると考える。細胞表面上のB7の係合またはそれらの誘導が、神経の表面における神経成長因子レセプターの発現を引き起こすこともまた、考えられる。
【0048】
本発明の1つの実施形態において、神経成長因子に対するレセプターが誘導され、神経細胞の表面上に発現され得る。2つの公知の神経成長因子は、チロシン、キナーゼA(tyrosine,kinase A)(TrkA)およびp75NGRFである。これらのレセプターが神経細胞の表面上の神経成長因子と相互作用する場合、神経成長因子は細胞を刺激し、神経性分化を起こす。神経細胞の表面上のこれらのレセプターの発現は、当該分野で公知の任意の方法によって実施され得る。例えば、神経細胞は、これらのレセプターについてのDNAを、恒常的にまたは誘導的に発現するように、組換え的に操作され得る(例えば、上述した方法によって)。
【0049】
1953年に、Levi‐MontalciniおよびHamburgerによって最初に記載された神経成長因子(NGF)は、3つの型のポリペプチドの2つのコピーを含み、そして他の好中球(すなわち、脳由来神経栄養因子(BDNF)、NT−3、NT−4、およびNT−5)と約50%の相同性を示す。神経成長因子は、相乗的な様式で、チロシンキナーゼA(TrkA)レセプターおよびp75NGFレセプターに結合する。チロシンキナーゼB(TrkB)レセプターおよびチロシンキナーゼC(TrkC)レセプターは、それぞれ優先的にBDNfおよびNT−3に結合する。細胞内シグナルタンパク質は、Srcホモロジー2(SH2)ドメインを経由して相互作用し、ホスホリパーゼCおよびホスファチジルイノシトール3−キナーゼのp85サブユニットがチロシンリン酸化レセプターに結合し、そして、多量体のタンパク質複合体が形成され得、そして、
特異的なシグナル伝達経路の活性化をもたらし得る。
【0050】
T細胞の活性化に必須の神経細胞発現分子は、神経分化の間に生じる神経免疫学的な細胞内相互作用成分が存在することを示唆する。NGFおよEGFは、子宮期生命および早期生命における分化プロセスならびに、異常な損傷の後の再生プロセスに重篤な影響を与えた。
【0051】
本発明の別の局面は、損傷組織を神経再支配するための方法である。この方法は、ROSのアクチベーターを有する損傷組織において、神経細胞に接触する工程を含み、ここで処理された神経細胞は、損傷組織を神経再支配するために、損傷細胞において神経活性化細胞の存在下で、神経分化を引き起こす。神経細胞は、インビボで処理され得るか、またはインビトロで操作され、次いで移植され得る。神経細胞を生きた組織に移植するための方法は、当該分野で公知である。例えば、神経は、曝露された組織に直接移植され得るか、または、周囲の組織(ここで分化され得る)への神経の伸長を導く生分解性のチューブ中で移植され得る。
【0052】
損傷組織とは、神経損傷が持続した組織である。損傷組織としては、例えば、脊椎損傷(spinal chord injury)、切断されたか、もしくはひどく傷害された四肢、または神経支配され得、そしてその組織において神経が傷害された、任意の他の組織が挙げられ得る。神経活性化細胞は、一般に、損傷組織の神経の周囲の皮膚および筋肉において見出される。一旦、これらの神経活性化細胞が神経細胞の表面におけるB7との相互作用によって活性化されると、これらの神経活性化細胞は、神経細胞の分化を刺激し得る。
【0053】
本発明はまた、神経細胞表面上のB7の発現を誘導するのに有効な量のROSのアクチベーターを投与することによる、神経変性障害の処置のための方法を含む。本明細書で使用する場合、「神経変性障害」とは、死、またはニューロン細胞の損傷に関する傷害である。例えば、黒質にあるドーパミン作動性のニューロンの損失は、最終的にパーキンソン病をもたらす。脳のp−アミロイドタンパク質の沈着は、一般にアルツハイマー病をもたらす神経損傷を引き起こす。脳虚血、脊髄損傷、および四肢切断のような傷害に関する状態は、しばしば、広範な神経細胞死を引き起こす。神経が切断されると、切断から遠い神経細胞の領域は、神経細胞本体から分離され、変性する。このような切断の後、切断された軸索の再伸長によって、神経細胞が再生することが可能である。この神経再生のプロセスは、特定の環境状態の不在下では自然には起こらない。先行技術のいくつかの場合において、神経成長因子のような種々の因子が、再生を刺激することを企図して、神経に添加された。本発明の方法は、神経細胞がその表面に免疫認識分子を発現するように操作され、次いで分化をもたらす神経成長因子の局所的な発現を引き起こし得る、異なるシステムを記載する。この方法は、神経再生の自然なプロセスをより密接に擬態する。他の神経変性疾患としては、てんかん発作および筋萎縮性側索硬化症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0054】
本発明の別の側面は、神経細胞においてアポトーシスを誘導するための方法に関する。この方法は、神経細胞に曝露された場合に、B7の発現のダウンレギュレートを引き起こす量のROSインヒビターに、神経細胞を接触する工程、および、神経細胞においてアポトーシスを誘導するのに有効な量のB7レセプターブロッキング因子に神経活性化細胞を接触させる工程に関する。
【0055】
本明細書中で使用される場合、「B7レセプターブロッキング因子」とは、B7レセプターと相互作用するが、この細胞の活性化を引き起こさず、かつこれらのレセプターがB7に結合することを妨げる任意の因子である。これらの因子としては、例えば、レセプターの活性化を引き起こさない抗CD28抗体、CD28結合ペプチド、抗CTL−4抗体、CTLA−4アナログおよびCTLA−4結合ペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。別のB7レセプターブロッキング因子は、当業者によって、T細胞活性化アッセイのような免疫細胞活性化アッセイを使用して、慣用的な実験法によって同定され得る。
【0056】
この方法は、神経細胞のアポトーシスを誘導することが望ましい場合はいつでも有用である。例えば、この方法は、神経細胞のアポトーシスを妨げる能力について分子をスクリーニングするために、インビトロにおいて神経細胞のアポトーシスを誘導するのに有用であり得る。他の使用は、当業者に明らかである。
【0057】
本発明はまた、修復を促進するため、または移植もしくはインビボ法について、別の型の組織を発生するための方法(例えば、創傷治癒もしくは組織増殖)に関する。本方法は、増殖誘導状態における細胞の操作に関して、本明細書中に記載される条件を使用して、任意の型の組織について実施され得る。例えば、増殖促進条件下で細胞をROSアクチベーターで処理し、この細胞に、細胞表面共刺激分子を発現させ得るが、免疫系に、破壊で特徴付けられる細胞というよりはむしろ増殖を受ける細胞としてこの細胞を認識させる代謝状態を維持し得る。
【0058】
本方法は、インビトロまたはインビボにおいて組織を作製するのに有用である。例えば、組織または組織の小片が被験体から分離され得、そしてインビトロにおいて増殖条件下で維持され得、そしてROSアクチベーターと接触され得る。あるいは、再生が必要な組織は、インビボにおいて、増殖促進条件下でROSアクチベーターで処理され得る。
【0059】
好ましくは、これらの条件下で増殖した細胞は、免疫細胞に曝露され、特定の代謝状態の免疫細胞の認識を促進し得る。1つの例において、器官または器官の生検は、インビトロにおいて適切な条件下で培養され得る。T細胞のサンプルは、レシピエント被験体から単離され得る。このT細胞は、器官または器官のいくつかの細胞と混合され得る。次いで、このT細胞は、器官をインビトロで成長させた場合は器官の移植と同時に、または、器官をインビボで処理した場合は単独で、被験体に投与され得る。
【0060】
本発明の知見はまた、幹細胞または他の造血細胞の操作に有用である。幹細胞上の共刺激分子のレベルが、ROSのレベルを変化させることにより操作され得ることが発見された。増加したレベルのROSの存在下で、B7のような共刺激分子の発現が、幹細胞上で誘導される。従って、いくつかの局面において本発明は、ROSの局所レベルを調節し、従って細胞死、細胞分裂、および幹細胞における免疫認識のプロセスを調節するために、これらの複合体相互作用を制御する機構を含む。
【0061】
幹細胞は、成熟な機能細胞の継承を生じ得る、未分化細胞である。例えば、造血幹細胞は、最終分化型血液細胞の異なる型のいずれかを生じ得る。胚性幹(ES)細胞は、胚由来であり、かつ多能性であり、従って、任意の器官もしくは組織型へと発生する能力、または少なくとも潜在的に完全な胚へと発生する能力を有する。
【0062】
幹細胞の1つの使用は、移植である。培養条件が操作されると、幹細胞が誘導され、特定の細胞型(例えば、血液細胞、ニューロン、または筋肉細胞)に分化し得る。次いで、これらの分化した細胞が被験体に移植され、特定の疾患(例えば、造血性障害、内分泌欠損症、退化性の神経学的障害)を処置し得る。
【0063】
従って、いくつかの局面において本発明は、幹細胞上のB7の発現を誘導するための方法に関する。これは、ROSのアクチベーターおよび増殖条件の維持を使用して達成され得る。ミトコンドリアの電子伝達を抑制しない化合物に加え、この幹細胞は、共刺激分子発現を誘導するために、ミトコンドリアの電子伝達を抑制する化合物と接触され得る。ミトコンドリアの電子伝達を抑制するための1化合物は、UCPである。ミトコンドリアのUCPが、幹細胞中に添加されるかまたは誘導され、共刺激分子を誘導し得る。好ましくは、ミトコンドリアのUCPは、単離された分子である。
【0064】
単離された分子は、実質的に純粋であり、かつ他の物質(通常、実用的で、かつ意図された使用に適した程度で天然においてかまたはインビボ系で見出される)を含まない分子である。特に、この分子種は、例えば、薬学的調整物の作製、またはこの分子種が核酸、ペプチド、もしくはポリサッカリドである場合、配列決定に有用であるように、十分純粋であり、かつ十分宿主細胞の他の生物学的構成成分を含まない。本発明の単離された分子種は、薬学的調整物において薬学的に受容可能なキャリアと混合され得るので、この分子種は、この調整物のほんのわずかな重量パーセントを含み得る。それにも拘らずこの分子種は、生物系において関連し得る物質から実質的に分離されているという点で、実質的に純粋である。
【0065】
あるいは、共刺激分子発現が減少する場合、抗原特異的免疫応答は、例えば、上記の増殖抑制状態において抑制され得る。増殖抑制状態を達成する方法は、例えば、自己免疫疾患の処置ならびに移植片拒絶および移植拒絶の防止において有用である。このような状態において、共刺激分子の発現は減少するか、または消滅され、そしてこの細胞は免疫系によって認識されない。
【0066】
自己免疫疾患は、被験体の自己抗体が宿主組織とまたは、免疫エフェクターT細胞が内因性の自己ペプチドに対して自己反応性であり、組織の破壊を引き起こす、疾患のクラスである。従って、免疫応答は、自己抗原(self antigen)と呼ばれる被験体の自己抗原(own antigen)に対してマウントされる。自己免疫疾患としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:慢性関節リウマチ、クローン病、多発性硬化症(MS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、自己免疫脳脊髄炎、重症筋無力症(MG)、橋本甲状腺炎、グッドパスチャー症候群、天疱瘡(例えば、尋常性天疱瘡)、グレーヴズ病、自己免疫溶血性貧血、自己免疫血小板減少性紫斑病、抗コラーゲン抗体を伴う強皮症、混合結合組織病、多発性筋炎、悪性貧血、特発性アジソン病、自己免疫関連不妊症、子宮体腎炎(例えば、三日月形子宮体腎炎、増殖性子宮体腎炎)、水疱性類天疱瘡、シェーグレン症候群、インシュリン抵抗性糖尿病および自己免疫性糖尿病。
【0067】
例えば、MSのような疾患において、T細胞はニューロンのミエリン鞘を攻撃し、細胞の破壊をもたらす。ニューロン細胞を、本明細書中に記載される増殖抑制状態であると仮定すると、この細胞はT細胞による攻撃を回避する。このことは、インビボまたは天然において達成され得、すなわち幹細胞が被験体に移植される。これらの方法はまた、免疫系による攻撃を伴わない、他の器官のレシピエントへの首尾よい移植を促進するのに有用である。例えば、脂肪を燃料として使用するような条件下において、ドナー組織がROSインヒビターで処置され、共刺激分子発現を減少し得る。このような組織が移植される場合、これらは免疫系によって認識されず、そして拒絶されない。
【0068】
さらに、本発明の方法を使用して免疫標的化状態を生じさせ得る。このような方法は、癌または感染症を発症する危険がある被験体において、例えば、癌もしくは感染症を処置するため、または癌もしくは感染症を予防するため(例えば、癌もしくは感染症を発症する危険性を低下させること)に有用である。この癌は、以下からなる群から選択され得る:胆管道癌、乳癌、子宮頚部癌、絨毛上皮腫、結腸癌、子宮内膜癌、胃癌、上皮内新生物、リンパ腫、肝臓癌、肺癌(例えば、小細胞および非小細胞)、黒色腫、神経芽細胞腫、口癌(oral cancer)、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、甲状腺癌、および腎癌ならびに他の癌腫および肉腫。いくつかの重要な実施形態において、癌は以下からなる群から選択される:骨癌、脳およびCNSの癌、結合組織癌、食道癌、眼癌、ホジキンリンパ腫、咽頭癌、口腔癌(oral cavity cancer)、皮膚癌、および精巣癌。
【0069】
本発明の方法はまた、免疫監視機構の増強にも有用である。共刺激分子が、MHCと関連して提示される抗原と組み合せて、細胞表面上で発現される場合、抗原特異的T細胞増殖および抗原特異的T細胞活性化が増強され得る。従って、細胞の表面上のB7発現のレベルを誘導することによって、抗原特異的免疫応答が増強され得る。このことは、感染症および癌のような、免疫細胞活性化が望ましい障害を処置するのに有用である。
【0070】
本発明のいくつかの局面において、ROSのアクチベーターが、抗原と共に被験体または細胞に投与される。このことは、例えばインビボにおいて哺乳動物の被験体を処置し、抗原特異的免疫応答を誘導するのに有用である。用語「〜と共に」とは、2つの成分の同時もしくは別々の、または同一のビヒクルもしくは別々のビヒクルでの輸送をいう。病的状態またはその哺乳動物宿主への任意の損傷を引き起こし得るかどうかは、任意の外来抗原に対して抗原特異的免疫応答を生じるのに有用である。用語「外来抗原」または「抗原」は、宿主における免疫応答を誘発し得る分子(ここでは、抗原は自己抗原ではない)を指す同意語として使用される。従って、用語抗原または外来抗原は、特に自己抗原を排除する。自己抗原は、自己免疫障害のペプチド抗原をいうために本明細書中で使用される。自己抗原に対する免疫応答は、結果として自己免疫障害をもたらす。しかし、用語自己抗原は、宿主によって外来と認識され、かつ自己免疫疾患に関連しない、癌抗原のような抗原を含まない。従って、用語抗原は、自己抗原を特に排除し、宿主の免疫系によって外来であると認識される任意の型の分子(例えば、宿主細胞または外来細胞に関連する)も広く含む。抗原としては癌抗原および微生物性抗原が挙げられるが、これらに限定されず、そして細胞、細胞抽出物、ポリサッカリド、ポリサッカリド結合体、脂質、糖脂質、糖質、ペプチド、タンパク質、ウイルス、ウイルス抽出物などから構成され得る。
【0071】
本明細書中で使用される場合、「癌抗原」とは腫瘍または癌細胞表面と結合する化合物および、MHCクラスII分子と関連して抗原提示細胞の表面に発現される場合、免疫応答を誘発し得る化合物である。癌抗原としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:Melan−A/MART−1、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(ADAbp)、サイクロフィリンb、結腸直腸関連抗原(CRC)−−C017−lA/GA733、癌胎児抗原(CEA)、ならびにその免疫原性エピトープであるCAP−1およびCAP−2、etv6、aml1、前立腺特異的抗原(PSA)ならびにその免疫原性エピトープであるPSA−1、PSA−2、およびPSA−3、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、T細胞レセプター/CD3−ζ鎖、腫瘍抗原のMAGEファミリー(例えば、MAGE−A1、MAGE−A2、MAGE−A3、MAGE−A4、MAGE−A5、MAGE−A6、MAGE−A7、MAGE−A8、MAGE−A9、MAGE−A10、MAGE−A11、MAGE−A12、MAGE−Xp2(MAGE−B2)、MAGE−Xp3(MAGE−B3)、MAGE−Xp4(MAGE−B4)、MAGE−C1、MAGE−C2、MAGE−C3、MAGE−C4、MAGE−C5)、腫瘍抗原のGAGEファミリー(例えば、GAGE−1、GAGE−2、GAGE−3、GAGE−4、GAGE−5、GAGE−6、GAGE−7、GAGE−8、GAGE−9)、BAGE、RAGE、LAGE−1、NAG、GnT−V、MUM−1、CDK4、チロシナーゼ、p53、MUCファミリー、HER2/neu、p21ras、RCAS1、α−フェトタンパク質、E−カドヘリン、α−カテニン、β−カテニンおよびγ−カテニン、p120ctn、gp100Pmel117、PRAME、NY−ESO−1、脳グリコゲンホスホリラーゼ、SSX−1、SSX−2(HOM−MEL−40)、SSX−1、SSX−4、SSX−5、SCP−1およびCT−7、cdc27、大腸線腫性ポリポーシス(APC)タンパク質、ホドリン、P1A、コネキシン37、Igイディオタイプ、p15、gp75、GM2ガングリオシドおよびGD2ガングリオシド、ウイルス産物(例えば、ヒトパピローマウイルスタンパク質)、腫瘍抗原のSmadファミリー、lmp−1、EBVコード化核抗原(EBNA)−1またはc−erbB−2。
【0072】
いくつかの実施形態において、免疫認識およびこのような腫瘍(排他的でない)と関連する腫瘍抗原から免れる癌または腫瘍としては、以下が挙げられる:急性リンパ芽球性リンパ腫(etv6;aml1;サイクロフィリンb)、B細胞リンパ腫(Igイディオタイプ)、神経膠腫(E−カドヘリン;α−カテニン;β−カテニン;γ−カテニン;p120ctn)、膀胱癌(p21ras)、胆管癌(billiary cancer)(p21ras)、乳癌(MUCファミリー;HER2/neu;c−erbB−2)、頚部癌(p53;p21ras)、結腸癌(p21ras;HER2/neu;c−erbB−2;MUCファミリー)、結腸直腸癌(結腸直腸関連抗原(CRC)−−C017−1A/GA733;APC)、癌胎児抗原(CEA)、上皮細胞癌(サイクロフィリンb)、胃癌(HER2/neu;c−erbB−2;ga733糖タンパク質)、肝細胞癌(α−フェトタンパク質)、ホジキンリンパ腫(lmp−1;EBNA−1)、肺癌(CEA;MAGE−3;NY−ESO−1)、リンパ系細胞由来白血病(サイクロフィリンb)、黒色腫(p15タンパク質、gp75、腫瘍胎児性抗原、GM2ガングリオシドおよびGD2ガングリオシド)、骨髄腫(MUCファミリー;p21ras)、非小細胞肺癌(HER2/neu;c−erbB−2)、鼻咽頭癌(lmp−1;EBNA−1)、卵巣癌(MUCファミリー;HER2/neu;c−erbB−2)、前立腺癌(前立腺特異抗原(PSA)ならびにその免疫原性エピトープであるPSA−1、PSA−2およびPSA−3;PSMA;HER2/neu;c−erbB−2)、膵臓癌(p21ras;MUCファミリー;HER2/neu;c−erbB−2;ga733糖タンパク質)、腎(HER2/neu;c−erbB−2);頚部および食道の扁平上皮細胞癌(ヒトパピローマウイルスタンパク質のようなウイルス産物)、精巣癌(NY−ESO−1)、T細胞白血病(HTLV−1エピトープ)ならびに黒色腫(Melan−A/MART−1;cdc27;MAGE−3;p21ras;gp100Pmel117)。これらの抗原はまた、本発明に従って有用である。
【0073】
MHCクラスI分子およびMHCクラスII分子のいずれかまたは両方に結合する腫瘍抗原の例については、以下の参考文献を参照のこと:
【0074】
【表1−1】

【0075】
【表1−2】

これらの抗原および他のものは、PCT出願PCT/US98/18601に開示される。
【0076】
他の局面において、この抗原は、微生物性抗原であり、本発明の方法は、感染症を処置または予防するのに有用である。本明細書中で使用される場合、感染症とは、体内における外来微生物の存在に起因する疾患をいう。本明細書中で使用される場合、微生物性抗原とは、微生物の抗原であり、微生物性抗原としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:感染性ウイルス、感染性細菌、および感染性真菌。
【0077】
感染性ウイルスの例としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:Retroviridae(例えば、HIV−1(HTLV−IIIとも呼ばれる)、LAVもしくはHTLV−III/LAVまたはHIV−IIIのようなヒト免疫不全ウイルス;および、HIV−LPのような他の単離体;Picornaviridae(例えば、ポリオウイルス、A型肝炎ウイルス;エンテロウイルス、ヒトコクサッキーウイルス、ライノウイルス、エコーウイルス);Calciviridae(例えば、胃腸炎の原因となる株);Togaviridae(例えば、ウマの脳脊髄炎ウイルス、風疹ウイルス);Flaviridae(例えば、デング熱ウイルス、脳炎ウイルス、黄熱病ウイルス);Coronoviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabdoviradae(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Coronaviridae(例えば、コロナウイルス);Rhabdoviridae(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス);Filoviridae(例えば、エボラウイルス);Paramyxoviridae(例えば、パラインフルエンザウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、麻疹ウイルス、RSウイルス);Orthomyxoviridae(例えば、インフルエンザウイルス);Bungaviridae(例えば、ハンターンウイルス、ブンヤウイルス(bunga virus)、フレボウイルス、ナイロウイルス(Nairo virus));Arena viridae(出血熱ウイルス);Reoviridae(例えば、レオウイルス、オルビウイルス(orbiviurs)およびロタウイルス);Birnaviridae;Hepadnaviridae(B型肝炎ウイルス);Parvovirida(パルボウイルス);Papovaviridae(パピローマウイルス、ポリオーマウイルス);Adenoviridae(大部分のアデノウイルス);Herpesviridae(単純疱疹ウイルス(HSV)1型および2型、水痘−帯状疱疹ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヘルペスウイルス);Poxviridae(痘瘡ウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス);およびIridoviridae(例えば、アフリカ豚コレラウイルス);および未分類のウイルス(例えば、海綿状脳症の病原学的な因子、δ型肝炎の因子(B型肝炎ウイルスの欠損付随体であると考えられる)、非A型肝炎の因子、非B型肝炎の因子(クラス1=内部に伝達される;クラス2=非経口的に伝達される(すなわち、C型肝炎);ノーウォークウイルスおよびノーウォーク関連ウイルス、ならびにアストロウイルス))。
【0078】
感染性細菌の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:
【0079】
【数1】

感染性真菌の例としては、以下が挙げられる:Cryptococcus neoformans、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、Blastomyces dermatitidis、Chlamydia trachomatis、 Candida albicans。他の感染性生物(すなわち原生生物)としては、以下が挙げられる:Plasmodium(例えば、Plasmodium falciparum、Plasmodium malariae、Plasmodium ovaleおよびPlasmodium3日熱)およびToxoplasma gondii。
【0080】
本発明の方法は、ROSのアクチベーターおよびROSのインヒビターの使用に関する。本明細書中で使用される場合、「ROSのアクチベーター」とは、ROSの限局的な誘導を引き起こし、B7(およびB7と配列相同性を保持する他の関連ファミリーメンバー)のような共刺激分子を細胞表面上に発現させる因子である。ROSのアクチベーターのサブセットは、神経細胞ROSアクチベーターである。本明細書中で使用される場合、「神経細胞ROSアクチベーター」とは、神経細胞における限局的な活性酸素種を増加する化合物または治療法であり、共刺激分子発現の誘導をもたらす。これらのアクチベーターとしては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:活性酸素種、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分および毒性水準下のマイクロ波または低線量放射線への曝露。低線量放射線とは、10グレイ未満の放射線をいう。一般に、ROSのアクチベーターは、ミトコンドリアの電子伝達を抑制し、そしてミトコンドリアのプロトン運動動力の散逸を引き起こす化合物である。これらの分子としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:アドリアマイシン、γインターフェロン、細菌性副産物(例えば、リポポリサッカリド)、リポタンパク質 BCG、脂肪酸、cAMP誘導因子、UCP発現ベクター、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分(例えば、HIV Nef、HIV tat、およびアデノウイルスのE1B)、活性酸素種および毒性水準下のマイクロ波または低線量放射線への曝露。これらの化合物のいくつかは、高用量では毒性であることが公知であるが、本発明の治療法は、毒性でないこのような化合物の低用量での使用を考慮する。本明細書中で使用される場合、「cAMP誘導因子」とは、cAMPの細胞内レベルを増大させる任意の化合物である。このような化合物としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:イソプロテレノール、エピネフリン、ノルエピネフリン、ホスホジエステルインヒビター、テオフィリンおよびカフェイン。特許出願の目的で、用語ROSのアクチベーターはまた、細胞に直接適用され得るROS(例えばH)をいう。ミトコンドリアの電子伝達のインヒビターでない、他のROSのアクチベーターとしては以下が挙げられるがこれらに限定されない:グルタチオンおよびグルタチオンSレダクターゼのインヒビター、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼおよびマンガンスーパーオキシドジスムターゼのインヒビター、ならびにリソソームUCPのインヒビター。本発明のなお他の局面において、そして特に、ROSのアクチベーターが感染症の処置の目的で抗原とともに投与される場合に、ROSのアクチベーターは、リソソームUCPのインヒビターを含まない。
【0081】
過去に、中毒線量のマイクロ波放射線を使用して癌細胞を加熱し、そして加熱された細胞の限局的な死をもたらした。マイクロ波放射線が、腫瘍組織および正常組織を含む種々の組織に対し、毒性水準下の線量で適用され、これらの細胞における細胞内活性酸素レベルを誘導し得ることが見出されている。これらの毒性水準下の線量を使用して、適切なレベルの活性酸素を達成し得、結果として、上述した条件下での共刺激分子の発現をもたらし、増殖誘導状態または免疫標的状態の細胞を生じる。従って、マイクロ波放射線は、組織生成を促進するかまたは細胞の免疫認識を促進する他の因子と組み合せて使用され得る。例えば、10GHzのマイクロ波放射線(2ミリワット)に曝露された乳癌細胞は、代謝レベルおよび免疫認識レベル(例えば、共刺激分子発現)の増加を生じる。約5〜約50GHzの範囲でのマイクロ波放射線は、Tリンパ球の活性化に必要とされる共刺激分子の発現を誘導するのに十分である。種々の強磁性装置を使用して、マイクロ波放射線を発生し得る。
【0082】
2−デオキシグルコースおよびそのアナログを使用して、共刺激分子の発現を変化させるために、低周波数/低強度のマイクロ波の効力を促進し得る。2−デオキシグルコースは、代謝的に栄養糖(例えば、グルコース)と競合し、ミトコンドリアの代謝事象において機能障害を引き起こす。2−デオキシグルコースのアナログは、構造的に類似し、代謝過程において栄養糖と競合するようにも機能する化合物である。
【0083】
本明細書中で使用される場合、「細胞表面上の共刺激分子の発現を誘導するために有効なROSのアクチベーターの量」とは、細胞の局所的な領域におけるROSの増加をもたらすのに有効である量をいう。好ましくは、この量は、細胞表面上の少なくとも単一の共刺激分子の発現を誘導するのに必要な量である。
【0084】
本明細書中で使用される場合、「ROSのインヒビター」とは、ROSの局所的な減少をもたらし、結果として細胞表面上の共刺激分子の発現の減少をもたらす因子をいう。ROSのインヒビターとしては、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼまたはマンガンスーパーオキシドジスムターゼを活性化するかまたは誘導する化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
細胞が、ROSのアクチベーターまたはインヒビターと接触され、表面上の共刺激分子の変調を生じる。本明細書中で使用される場合、細胞をROSのアクチベーターまたはインヒビターに接触させる工程は、当該分野で公知の任意の手段によって実施され得る。例えば、ROSのアクチベーターまたはインヒビターがインビトロで適用される場合、単に細胞用培地の部分として、細胞の組織培養皿に添加され得る。本方法がインビボで実施される場合、接触させる工程は、ROSのアクチベーターまたはインヒビターを、一般に使用される治療技術(例えば、非経口投与、経口投与または局所投与)で投与することにより実施され得る。他の方法は、当業者に周知である。
【0086】
必要に応じて、本発明に従って有用な細胞または試薬を産生するために、核酸によってコードされるペプチドが細胞内で発現するように、核酸(例えば、UCPまたは共刺激分子もしくはそのレセプター)が細胞に送達され得る。これらの方法は、当該分野で公知の日常的な手順を使用して調製され、そして細胞内に挿入される発現ベクターを使用して、達成され得る。これらの手順は、共通の発明主体を有する同時係属中の米国特許出願出願番号09/277,575により詳細に記載され、これは本明細書中に参考として援用される。UCP、共刺激分子およびそのレセプターをコードする核酸は、当該分野で公知であり、多くの参考文献ならびにgenbankに種々の登録番号下で見出され得る。使用される核酸は、本発明の方法において有用な発現ベクターを作製する目的に基づく。当業者は、発現のために適切な核酸を選択し得る。例えば、細胞のミトコンドリアにUCPを発現させ、ミトコンドリアの脱共役を促進することが望ましい場合、任意のUCP核酸が選択され得る。UCP2が、好ましい核酸であり得る。
【0087】
本明細書中で有用な核酸は、真核生物細胞において核酸の発現を指向する遺伝子発現配列に、作動可能に連結され得る。「遺伝子発現配列」とは、核酸が作動可能に連結される、核酸の効率的な転写および翻訳を促進する、任意の調節ヌクレオチド配列(例えば、プロモーター配列またはプロモーター−エンハンサーの組み合わせ)である。遺伝子発現配列は、例えば、哺乳動物のプロモーターまたはウイルスのプロモーター(例えば、構成的プロモーターまたは誘導性プロモーター)であり得る。哺乳動物の構成的プロモーターとしては、以下の遺伝子についてのプロモーターが挙げられるが、これらに限定されない:ヒポキサンチンホスフォリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼおよびアクチン。真核生物細胞において構成的に機能する例示的なウイルスのプロモーターとしては、例えば、シミアンウイルス、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長い末端反復(LTR)、ならびに単純疱疹ウイルスのチミジンキナーゼプロモーター由来のプロモーターが挙げられる。他の構成的プロモーターは、当業者に公知である。本発明の遺伝子発現配列として有用なプロモーターはまた、誘導性プロモーターも含む。誘導性プロモーターは、誘導因子の存在下で発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下で転写および翻訳を促進するために誘導される。他の誘導性プロモーターは、当業者に公知である。
【0088】
一般に、遺伝子発現配列は、必要に応じて、転写の開始に関与する5’非転写配列および翻訳の開始に関与する5’非翻訳配列を含む(例えば、TATAボックス、キャップ配列、CAAT配列など)。特に、このような5’非転写配列は、作動可能に連結された核酸の転写制御のためのプロモーター配列を含む、プロモーター領域を含む。この遺伝子発現配列は、必要な場合、所望されるように、エンハンサー配列または上流のアクチベーター配列を含む。
【0089】
核酸配列および遺伝子発現配列は、コード配列の転写および/または翻訳を遺伝子発現配列の影響下または制御下に置くような方法で共有結合される場合、「作動可能に連結される」といわれる。配列が機能的なタンパク質に翻訳されることが所望される場合、2つのDNA配列は、以下の場合に作動可能に連結されるといわれる:5’遺伝子発現配列へのプロモーターの導入が配列の転写をもたらす場合、および2つのDNA配列間の結合の性質が(1)フレームシフト変異の導入をもたらさない場合、(2)配列の転写を指向するプロモーター領域の能力を妨害しない場合、または(3)対応するRNA転写物が、タンパク質に翻訳される能力を妨害しない場合。従って、遺伝子発現配列は、結果として得られる転写物が所望のタンパク質またはポリペプチドに翻訳され得るように、遺伝子発現配列がその核酸配列の転写をもたらし得る場合、核酸配列に作動可能に連結される。
【0090】
本発明の別の局面において、ROSのアクチベーターは、リソソームのUCPインヒビターである。本発明の好ましい局面において、ROSのアクチベーターは、このアクチベーターが感染症、癌を処置する目的で細胞に投与されないか、または抗原と同時に投与されない場合、リソソームのインヒビターではない。
【0091】
「リソソームUCPインヒビター」とは、リソソームにおいてUCPの活性を妨げる任意の分子種である。リソソームUCPインヒビターは、さもなくば活性なリソソームUCPを発現する能力のある哺乳動物細胞に対して、インビボまたはインビトロで投与される場合、発現されたUCPの活性を妨害するか、リソソームUCP遺伝子の転写を妨害するか、リソソームUCP RNAのプロセシングもしくは翻訳を妨害するか、またはリソソームUCPタンパク質のプロセシング、輸送、もしくは活性を妨害することによって、機能し得る。従って、例えば、リソソームUCPインヒビターとしては、リソソーム標的化ヌクレオチド、ヌクレオチドアナログおよび結合ペプチドリプレッサー(これはリソソームUCP遺伝子の誘導および/または転写を妨害する)、リソソームUCP DNA配列またはRNA配列に選択的に結合し、そしてリソソームUCP遺伝子の転写または翻訳を妨害するアンチセンス配列、ならびにリソソームUCPタンパク質の活性の競合的インヒビターまたは非競合的インヒビターが挙げられる。本発明のいくつかの実施形態において、リソソームUCPインヒビターは、リソソームUCP結合分子またはリソソームUCPアンチセンス分子である。UCP結合タンパク質としては、例えば、抗体のフラグメントを含む抗UCP抗体(例えばFMC)が挙げられる。これらのペプチドは、リソソームUCPに選択的に結合し、そして、リソソームUCPの活性を阻害するために、リソソームの膜に標的化される。他の型のインヒビターとしては、リソソームUCP mRNAの転写、プロセシングまたは翻訳を妨害する、リボザイムが挙げられる。他の実施形態において、UCPインヒビターは、リソソームに標的化されたヌクレオチドまたはヌクレオチドアナログである。これらのヌクレオチドおよびアナログは、上述したものである(例えば、ATP)。
【0092】
別の好ましいリソソームUCPインヒビターは、ツニカマイシンである。ツニカマイシンは、細胞内位置から形質膜へのリソソームUCPの細胞内輸送を促進する。細胞がツニカマイシンを投与される場合、UCPは、リソソームから離れて選択的に標的化され、呼吸バーストを促進し、そして抗原提示を促進する。
【0093】
本発明のいくつかの局面において、リソソームのインヒビターは、リソソームUCPの発現を減少するために使用されるリソソームUCP核酸分子またはドミナントネガティブなUCPに選択的に結合する、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。例えば、リソソームにおいて通常発現している、細胞内のリソソームUCPを阻害するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドが有用である。
【0094】
本明細書中で使用される場合、用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」または「アンチセンス」とは、生理的な条件下で特定の遺伝子を含むDNAまたはその遺伝子のRNA転写物にハイブリダイズし、そして、それによってその遺伝子の転写および/またはそのmRNAの翻訳を阻害する、オリゴヌクレオチドを表す。アンチセンス分子は、標的遺伝子または標的遺伝子産物とハイブリダイズするように設計され、そしてそれによって標的哺乳動物細胞遺伝子の転写または翻訳を妨害する。当業者は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの正確な長さおよびその標的との相補性の程度が、標的の配列およびその配列を含む特定の塩基を含む、選択された特定の標的に基づくことを認識する。このアンチセンスは、独自のフラグメントでなければならない。独自のフラグメントとは、長い核酸に対する「シグネチャー」である。例えば、独自のフラグメントは、その正確な配列がUCP遺伝子以外の分子において見出されないことを保証するのに十分長い。当業者に認識されるように、この独自のフラグメントのサイズは、その遺伝子コードにおける保存度に依存する。従って、独自であるためにより長いセグメントを必要とする遺伝子の領域がある一方で、ほんの短いセグメント(代表的には、12塩基対と32塩基対との間(例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31および32塩基長))を必要とする遺伝子領域もある。
【0095】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、生理的条件下で標的に選択的に結合するように、すなわち、生理的条件下で標的細胞における任意の他の配列よりも標的配列に実質的にハイブリダイズするように、構築されかつ配置されることが好ましい。アンチセンスハイブリダイゼーションによる阻害のために標的化される遺伝子の既知の配列に基づいてか、あるいは対立遺伝子のゲノム配列および/もしくはcDNA配列または相同なゲノム配列および/もしくはcDNA配列に基づいて、当業者は、本発明に従う使用のために、任意の多くの適切なアンチセンス分子を容易に選択および合成し得る。阻害のために十分に選択的かつ強力であるために、このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも7、より好ましくは少なくとも15連続した、標的に相補的な塩基を含むべきである。最も好ましくは、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、20〜30塩基の相補的な配列を含む。遺伝子またはRNA(例えばmRNA)転写物の任意の領域に対してアンチセンスであるようにオリゴヌクレオチドが選択され得るが、好ましい実施形態において、このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’部位(例えば、翻訳開始部位、転写開始部位またはプロモーター部位)に相補的であり、この5’部位は、アンチセンスオリゴヌクレオチドによる阻害のために標的化される遺伝子の上流である。さらに、3’非翻訳領域が標的化され得る。さらに、5’エンハンサーまたは3’エンハンサーが標的化され得る。mRNAスプライシング部位への標的化もまた、当該分野で使用されるが、mRNAの選択的スプライシングが生じる場合はあまり好ましくない。少なくともいくつかの実施形態において、このアンチセンスは、好ましくは、mRNAの二次構造が予想されず(例えば、Sainioら、Cell Mol.Neurobiol.,(1994)14(5):439〜457を参照のこと)、かつ結合することが予想されない部位に標的化される。哺乳動物標的細胞核酸へのアンチセンスオリゴヌクレオチドの選択的な結合は、哺乳動物標的細胞核酸分子の転写もしくは翻訳を効率的に減少するかまたは排除する。核酸分子の転写または翻訳における減少は、有害な病状の調節において哺乳動物標的細胞核酸によって果たされる役割をさらに規定するための、動物モデルを作製するのに望ましい。
【0096】
本発明はまた、「ドミナントネガティブなリソソーム膜UCP」ポリペプチドの使用を含む。ドミナントネガティブなポリペプチドとは、細胞の機構と相互作用することによって、細胞の機構との相互作用から活性タンパク質を置き換えるかまたはその活性タンパク質と競合し、それによってその活性タンパク質の効果を減少する、タンパク質の不活性な改変体である。例えば、リガンドには結合するが、リガンドの結合に応答してシグナルを伝達しない、ドミナントネガティブなレセプターは、リガンドの発現の生物学的効果を減少し得る。同様に、通常、標的タンパク質と相互作用するが、標的タンパク質をリン酸化しない、ドミナントネガティブな触媒不活性キナーゼは、細胞のシグナルに応答した標的タンパク質のリン酸化を減少し得る。同様に、遺伝子の制御領域にあるプロモーター部位には結合するが、遺伝子の転写は増加させない、ドミナントネガティブな転写因子は、転写を増加させることなく、プロモーター結合部位を占有することによって、正常な転写因子の効果を減少し得る。
【0097】
本明細書中で使用される場合、細胞におけるドミナントネガティブなポリペプチドの発現の最終結果は、リソソーム膜に発現されるUCPの減少である。当業者は、タンパク質のドミナントネガティブな改変体についての可能性を評価し得、そして標準的な変異誘発技術を使用して1以上のドミナントネガティブな改変体ポリペプチドを作製する。例えば、当業者は、部位特異的変異誘発、走査型変異誘発、部分遺伝子の欠損または短縮などによって、リソソーム膜UCPの配列を改変し得る。例えば、米国特許第5,580,723号およびSambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989を参照のこと。次いで当業者は、選択された活性および/もしくはそのような活性の保持の減少について、または単にリソソーム膜における存在について、変異誘発されたポリペプチドの群を試験し得る。タンパク質のドミナントネガティブな改変体を作製および試験するための他の類似する方法は、当業者に対して明らかである。
【0098】
本明細書中で使用される場合、用語「処置」および「処置する」とは、疾患の発症を予防すること、疾患の症状を減少すること、そして/または、疾患の進行(例えば、確立した癌の増殖)を阻害することを包含する。
【0099】
本発明において有用な組成物は、処方されても処方されなくてもよい。一般的に、本発明において有用な送達処方物は、2つの分類に分けられる:コロイド分散系および生物学的ベクター。
【0100】
本明細書中で使用される場合、「コロイド分散系」とは、細菌供給源またはウイルス供給源由来のもの以外の、天然分子または合成分子をいい、これらは、組成物を被験体に送達し、そして被験体中で放出し得る。コロイド分散系としては、高分子複合体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセルおよびリポソームを含む脂質ベースの系が挙げられる。本発明の好ましいコロイド系は、リポソームである。リポソームとは、インビボまたはインビトロでの送達ベクターとして有用な人工膜容器である。0.2〜4.0のサイズの範囲の、大きな単層容器(LUV)が、水性内部に大きな高分子をカプセル化し得、そしてこれらの高分子は、生物学的に活性な形態で細胞へと送達され得ることが示されている(Fraleyら、Trends Biochem.Sci.、6:77(1981))。
【0101】
トランスフェクションのための脂質処方物は、QIAGENから市販されている、例えば、EFFECTENETM(特有のDNA凝縮エンハンサーを有する非リポソーム脂質)およびSUPER−FECTTM(新規の代理デンドリマー技術)、ならびにGibco BRLから市販されている、例えば、N−[1−(2,3ジオレイルオキシ)−プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド(DOTMA)およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド(DDAB)のようなカチオン性脂質で形成される、LIPOFECTINTMおよびLIPOFECTACETMである。リポソームを作製する方法は、当該分野で周知であり、多くの刊行物に記載されている。リポソームは、Gregoriadis,G.、Trends in Biotechnology 3:235〜241(1985)による総説記事に記載され、これは本明細書中に参考として援用される。
【0102】
1つの特定の実施形態において、好ましいビヒクルは、哺乳動物レシピエントへの移植に適した生体適合性の微小粒子であるかまたは移植片である。本方法に従って有用である例示的な生体腐食性移植片は、PCT国際出願番号PCT/US/03307(公開番号WO 95/24929、1994年3月15日に出願された米国特許出願第213,668号の優先権を主張し、「Polymeric Gene delivery System」と題される)に記載される。PCT/US/03307は、適切なプロモーターの制御下に、外来性遺伝子を収容するための生体適合性の、好ましくは生体分解性のポリマーマトリックスについて記載する。ポリマーマトリックスを使用して、患者における外来性遺伝子の徐放を達成する。本発明に従って、本明細書中に記載される発明の組成物は、PCT/US/03307に開示される生体適合性の、好ましくは生体分解性のポリマーマトリックス内にカプセル化されるかまたは分散される。
【0103】
ポリマーマトリックスは、好ましくは、ミクロスフェア(ここで、固体ポリマーマトリックス中に組成物が分散される)またはマイクロカプセル(ここで、組成物がポリマー殻のコアに蓄えられる)のような微小粒子の形態である。組成物を収容するためのポリマーマトリックスの他の形態としては、フィルム、コーティング、ゲル、移植片およびステントが挙げられる。ポリマーマトリックスデバイスのサイズおよび組成は、このマトリックスが導入される組織において好ましい放出動力学をもたらすように選択される。ポリマーマトリックスのサイズはさらに、使用される送達方法、代表的には組織内への注入または鼻および/もしくは肺領域へのエアロゾルによる懸濁剤の投与に従って選択される。好ましくは、エアロゾル経路が使用される場合、ポリマーマトリックスおよび組成物は、界面活性物質のビヒクルに包含される。ポリマーマトリックス組成物は、好ましい分解速度を有するように、そしてまた生体接着性である物質から形成されるようにも選択され、マトリックスが損傷を受けた鼻および/または肺表面に投与される場合、移入の有効性をさらに増加し得る。このマトリックス組成物はまた、分解しないように、しかしむしろ長期間にわたる拡散によって放出するように選択され得る。
【0104】
別の実施形態において、化学的/物理的ベクターは、経口送達に適した生体適合性のミクロスフェアである。このようなミクロスフェアは、Chickeringら、Biotech.And Bioeng.(1996)52:96〜101およびMathiowitzら、Nature(1997)386:410〜414に開示される。
【0105】
本発明において有用な特定の化合物が、特定のタンパク質(例えば、UCPまたはインビボで発現することが望まれる共刺激分子)をコードする核酸分子である生物学的ベクターで、被験体に送達され得ることもまた想像される。上述のように、このタンパク質をコードする核酸は、真核生物細胞内で核酸の発現を指向する遺伝子発現配列に作動可能に連結される。
【0106】
充填剤もまた、単独でかまたは本発明のベクターと組み合せて使用され得る。本明細書中で使用される場合、「充填剤」とは、核酸上の負電荷を中和し、それによって細顆粒への核酸の充填を可能にする因子(例えば、ヒストン)をいう。核酸の充填は、標的細胞による拡散の取りこみを促進する。充填剤は単独で使用され得る(すなわち、細胞によってより効率的に取り込まれる形態で、組成物を送達する)か、またはより好ましくは、1以上の上述したベクターと組み合せて使用され得る。
【0107】
本発明の組成物の標的細胞による取りこみを促進するために使用され得る、他の例示的な組成物としては、リン酸カルシウムおよび細胞内輸送の他の化学メディエーター、マイクロインジェクション組成物、エレクトロポレーションならびに相同組換え組成物(例えば、標的細胞の染色体内の予め選択した場所への、本発明の組成物を組み込むための)が挙げられる。
【0108】
本発明の薬学的調製物は、有効量で被験体に投与される。有効量とは、処置される特定の状態の、発症を遅らせるか、進行を妨げるか、発症もしくは進行全体を中断するかまたは診断するために必要な量を意味する。被験体に投与される場合、有効量はもちろん、処置される特定の状態;状態の重症度;個々の患者のパラメータ(年齢、身体的状態、サイズおよび体重が挙げられる);併用の処置;処置の頻度;および投与の様式に依存する。これらの因子は、当業者に周知であり、慣用に過ぎない実験によって扱われ得る。一般に、最大用量、すなわち、信頼できる医学的判断に従って、最も高い安全な用量が使用されることが好ましい。
【0109】
一般に、活性化合物の用量は、1日あたり約0.01mg/kg〜1日あたり1000mg/kgである。1日あたり1回または複数回投与で、50〜500mg/kgの範囲の用量が適することが予想される。被験体の応答が適用された初回用量で不十分である事象において、より高い用量(または異なる、より局所的な送達経路によって効率的に高い用量)は、患者の耐用性が許容する(tolerance permit)程度まで使用され得る。1日あたりの複数回用量は、化合物の適切なレベルを達成するために企図される。
【0110】
投与される場合、本発明の薬学的調製物は、薬学的に受容可能な量で、かつ薬学的に受容可能な組成で適用される。このような調製物は、慣用的に、塩、緩衝剤、保存剤、適合性キャリアおよび必要に応じて他の治療剤を含み得る。薬において使用される場合、この塩は、薬学的に受容可能であるべきだが、薬学的に受容可能でない塩を簡便に使用してその薬学的に受容可能な塩を調製し得、そして本発明の範囲から排除されない。このような薬理学的かつ薬学的に受容可能な塩としては、以下の酸から調製されたものが挙げられるが、これらに限定されない:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、蟻酸、マロン酸、コハク酸など。また、薬学的に受容可能な塩は、アルカリ金属塩またはアルカリ土類塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩またはカルシウム塩)として調製され得る。本明細書中で使用される場合、本発明の組成物は、種々の塩を含み得る。
【0111】
本発明の組成物は、必要に応じて薬学的に受容可能なキャリアを兼ね備え得る。本明細書中で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア」とは、ヒトまたは他の動物中への投与に適した適合性の固体または液体の1つ以上のフィラー、希釈剤またはカプセル化物質を意味する。用語「キャリア」とは、適用を促進するために活性成分が合わされる、天然または合成の、有機成分または無機成分を示す。薬学的組成物の成分はまた、所望の薬学的効力を実質的に減じる相互作用がないような様式で、本発明の分子と、および、お互いに混合され得る。
【0112】
薬学的組成物は、適切な緩衝剤(酢酸塩;クエン酸塩;ホウ酸塩;およびリン酸塩が挙げられる)を含み得る。
【0113】
薬学的組成物はまた、必要に応じて、適切な保存剤(例えば、塩化ベンザルコニウム;クロロブタノール;パラベンおよびチメロサール)を含み得る。
【0114】
非経口投与に適した組成物は、好ましくはレシピエントの血液と等張である、本発明の組成物の滅菌水性調製物を簡便に含む。この水性調製物は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用する公知の方法に従って処方され得る。無菌の注射可能調製物はまた、無毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)中の無菌の注射可能な溶液または懸濁物であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒の中でも特には、水、リンガー溶液および等張な塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒体として簡便に使用される。この目的のために、任意の無刺激性不揮発性油(合成モノグリセライドまたは合成ジグリセライドが挙げられる)が使用され得る。さらに、オレイン酸のような脂肪酸が注射用剤の調製に使用され得る。経口投与、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与などに適したキャリア処方物は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PAにおいて見出され得る。
【0115】
種々の投与経路が使用可能である。選択される特定の形態は、もちろん、選択される特定の薬物、処置される状態の重篤度および治療の効力に必要とされる投薬量に依存する。本発明の方法は、一般に、医学上受容可能な任意の投与形態を使用して実施され得、これは臨床的に容認できない副作用を引き起こすことなく、有効レベルの活性化合物を生じる、任意の方法を意味する。このような投与方法としては、経口経路、直腸経路、局所経路、経鼻経路、皮内(interdermal)経路または非経口経路が挙げられる。用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内または注入を含む。静脈内経路または筋肉内経路は、長期の治療および予防には、特には適さない。しかし、これらは、緊急の状態において好まれ得る。患者への利便性ならびに服薬スケジュールのために、経口投与が予防処置について好まれる。
【0116】
薬学的組成物は、簡便には単位投薬形態で提示され得、薬学の当該分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。全ての方法は、本発明の組成物を1以上の補助的な成分を構成する、キャリアと結合させる工程を含む。一般に、この組成物は、本発明の組成物を液体キャリア、細かく分割した固体キャリア、またはその両方に関連して、均一にかつ親密に結合し、次いで、必要な場合、生成物を成形することによって調製される。
【0117】
経口投与に適した組成物は、各々が所定の量の本発明の組成物を含む、不連続単位(例えば、カプセル剤、錠剤、トローチ剤)として提示され得る。他の組成物としては、水性液体中または非水性液体中の懸濁剤(例えば、シロップ剤、エリキシル剤または乳剤)が挙げられる。
【0118】
ベクターのような他の送達系、および上述した送達処方が使用され得る。1つの好ましい送達系としては、時間放出送達系、遅延放出送達系または徐放送達系が挙げられ得る。このような系は、上述した本発明の組成物の反復投与を回避し、被験体および医師に対する利便性を増加し得る。多くの型の放出送達系が、使用可能であり、当業者に公知である。これらは、ポリマーベースの系(例えば、ポリ(ラクチド−グリコリド)、コポリオキサレート、ポリカプロラクトン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリヒドロキシ酪酸およびポリ無水物)を含む。例えば、米国特許第5,075,109号に薬物を含む前述のポリマーのマイクロカプセルが記載される。送達系はまた、非ポリマー系を含み、非ポリマー系は、ステロール(例えば、コレステロール)、コレステロールエステルおよび脂肪酸または中性脂肪(例えば、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド)を含む脂質;ヒドロゲル放出系;シラスチック(sylastic)系;ペプチドベースの系;蝋コーティング;従来の結合剤および賦形剤を使用する圧縮錠剤;部分的に融合した移植片などである。特定の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:(a)本発明の組成物が米国特許第4,452,775号、同第4,667,014号、同第4,748,034号および同第5,239,660号に記載されるようなマトリクス内にある形態で含まれる侵食性の系ならびに(b)活性成分が米国特許第3,832,253号および同第3,854,480号に記載されるようなポリマーから制御された速度で浸透する、拡散系。さらに、ポンプベースのハードウェア送達系が使用され得、これらのいくつかは、移植に適用される。
【0119】
長期徐放移植片の使用は、慢性状態の処置に特に適し得る。本明細書中で使用される場合、長期放出とは、少なくとも30日間、そして好ましくは60日間、治療レベルの活性成分を送達するように移植片が構築および準備されることを意味する。長期徐放性移植片は当業者に周知であり、上述した放出系のいくつかを含む。
【実施例】
【0120】
(実施例1:低強度のマイクロ波(10GHzで200mW)を使用して、細胞上の共刺激分子の発現を誘導する。)
方法:MCF7細胞を、完全RPMI培地を利用する標準の組織培養技術下、37℃のCOインキュベーター内で維持した。実験に先立ち、細胞を計数した。各実験およびマイクロ波処理後になされた試験の数に依存して、2500万個と5000万個との間の細胞を収集した。これらの細胞を、曝露の時間(0分、30分、1時間および3時間)に従って微小遠心管に置いた。
【0121】
次いで、細胞を200mWの低周波数マイクロ波に30分間、1時間または3時間曝露した。次いで細胞を、Hの相対レベルの指標としてDCF−DA(Molecular Probes,Inc.Eugene,Oregon)で染色した。細胞をまた、アイソタイプ一致コントロール蛍光標識抗体(上のパネルの右)と対比して、ヒトB7.2に対する蛍光標識抗体(Pharmingen,Inc.)(上のパネルの左)でそれぞれ染色した。指示されたレベルは、各条件に関して蛍光標識したアイソタイプコントロールに対する特異的なB7.2染色の割合を表す。次いで、示された時間マイクロ波に曝露された複製サンプルを、さらに21時間培養し、指示されたようにHおよびB7.2で染色した(下のパネル)。細胞を、Coulter Excel Flow Cytometerを使用してフローサイトメトリー的に解析した。データを、Becton Dickinson CellQuestソフトウェアを使用して解析した。これらのデータは、少なくとも3回の反復実験の代表である。
【0122】
結果:低周波数、低強度のマイクロ波は、細胞内活性酸素の増加およびMCF7(ヒト乳癌細胞株)の細胞表面におけるB7.2の発現の増加を誘導した。マイクロ波の強度レベルは、細胞が生存可能であり、そしてそれらの温度が不変に維持されるのに十分に低かった。図1に示すように、毒性水準下の線量のマイクロ波に曝露した乳癌細胞(MCF7)における細胞内活性酸素(H)の増加が観察された。さらに、上昇したレベルの共刺激分子B7.2が、細胞表面で発現した。白血病細胞(HL60およびU937)における同様の実験もまた、B7.2の実質的な増加を示した。
【0123】
(実施例2:Hは、細胞上の共刺激分子の発現を誘導する。)
方法:ヒト骨髄球細胞(U937細胞、HL60細胞、PC12細胞およびPc12Trk細胞)を細胞傷害性用量未満の用量(0.25mM)のH存在下で48時間培養し、実施例1で記載したように、細胞を収集し、アイソタイプコントロールまたは蛍光標識した抗B7.2で染色した。細胞を、Coulter Excel Flow Cytometerを使用してフローサイトメトリー的に解析した。データを、Becton Dickinson CellQuestソフトウェアを使用して解析した。これらのデータは、少なくとも3回の反復実験の代表である。
【0124】
マウスのケラチノサイト細胞株を、0.25mMの過酸化水素(H)を伴ってか伴わないで、12時間または24時間インキュベートした。次いで、B7.1およびFasのレベルを評価した。データを図3Aおよび3Bとして添付する。
【0125】
結果:外因性のHは、神経PC12およびPC12Trk神経細胞株における、前骨髄球細胞株であるU937細胞およびHL60細胞上の、B7.2の増加した細胞表面発現を直接誘導した。本発明者らは、(細胞傷害性レベル未満の)Hを直接、培養中の細胞(MCF7、HL60、U937、ならびに神経細胞PC12およびPC12Trk15)に添加し、これがB7発現の変化を起こすかどうかを調べた。Hの添加は、全ての細胞においてB7の増加をもたらし、Hが原因として、実際に免疫学的に重要な変化を生じることを示した。図2において、本発明者らは、H処理後にB7レベルの実質的な増加を示す、白血病細胞株および神経細胞株に関する代表的なデータを示す。図3Aおよび3Bでは、Hがケラチノサイトにおいて、B7.1およびFasの両方の発現レベルを上昇させることを示す。
【0126】
(実施例3:インスリンおよびグルコースの欠乏が共刺激分子の発現レベルを低下させる)
方法:HL60細胞を、インスリンとともにかまたは低グルコース条件下で一晩インキュベートした。次いで、細胞を収集し、蛍光標識した抗Fasでかまたは示したアイソタイプコントロールで染色した。細胞を、Coulter Excel Flow Cytometerを使用してフローサイトメトリー的に解析した。データを、Becton Dickinson CellQuestソフトウェアを使用して解析した。これらのデータは、少なくとも3回の反復実験の代表である。
【0127】
結果:インスリンの添加またはグルコースの除去は、細胞表面のFas発現の喪失を引き起こす。細胞の代謝は、栄養の余剰または不足に応答しなければならない。FasおよびB7の発現が、インスリン、高レベルのグルコースおよび脂肪酸に応答することが見出された。例えば、インスリンは代謝の挙動において多くの変化を生じる。インスリンの培養細胞への添加は、Fasのレベルを10倍低下させ得る。同様に、グルコースがそのレセプターに結合し得ない細胞(例えば、2−デオキシグルコースの存在下)は、これらの分子の実質的な減少を示す。対照的に、グルコースのレベルが正常を超えて上昇する場合、細胞内の活性酸素レベルおよびFasレベルはともに上昇する。
【0128】
(実施例4:アルコールのような環境ストレスは、共刺激分子の発現レベルを上昇させる活性酸素を増加させ得る)
方法:神経幹細胞を上述したように処理した。
【0129】
結果:図4に示すように、アルコールのような環境ストレスは、活性酸素を増加させ得、その結果、共刺激分子の誘導を増加させる。
【0130】
上述の書かれた明細書は、当業者が本発明を実施し得るのに十分であると考えられる。本発明は、提供した実施例による範囲に限定されない。なぜなら、これらの実施例は、本発明の1つの局面の単一の例示として意図され、他の機能的に等価な実施形態が本発明の範囲内にあるからである。本明細書中に示し、記載したものに加え、本発明の種々の改変は、上述の説明から当業者に明らかになり、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。本発明の利点および目的は、本発明の各実施形態によって必ずしも含まれない。
【0131】
本出願に記載した全ての参考文献、特許および特許公報は、全体が本明細書中に参考として援用される。
【図面の簡単な説明】
【0132】
本発明は、添付の図と併せて解釈されるとき、容易にかつ完全に理解され得る。
【図1】図1は、低周波数、低強度のマイクロ波が、細胞内活性酸素の増加および、MCF7(ヒト乳癌細胞株)におけるB7.2の細胞表面発現の増加を誘導することを示しているデータを図示する、棒グラフである。
【図2】図2は、外因性Hが、前骨髄細胞株U937およびHL60細胞ならびに、PC12およびPC12Trk神経細胞株における、B7.2の増加した細胞表面発現を、直接誘導することを示すデータを図示する、棒グラフである。
【図3A】図3Aは、外因性のHが、ケラチノサイトにおけるfasの増加した細胞表面発現を直接誘導することを示すデータを図示する、一連のグラフである。
【図3B】図3Bは、外因性のHが、ケラチノサイトにおけるB7.2の増加した細胞表面発現を直接誘導することを示すデータを図示する、一連のグラフである。
【図4】図4は、神経幹細胞におけるエタノールの効果を図示するグラフである。この細胞をDCF−DAで染色した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経細胞(nerve cell)産生を促進するための方法であって、以下:
分化または成長を促進するために有効な量で、神経細胞(neural cell)ROSアクチベーターと神経細胞を接触する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記神経細胞ROSアクチベーターが、活性酸素種、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分、および毒性水準下のマイクロ波または低線量放射線への曝露からなる群から選択される、方法。
【請求項3】
前記神経細胞と神経活性化細胞とを接触する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記神経細胞がインビトロである、方法。
【請求項5】
前記神経細胞を成長条件下に維持する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法であって、ここで該条件が、神経成長因子、線維芽細胞増殖因子、およびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβ、ならびにリンホトキシン)の少なくとも1つへの曝露を含む、方法。
【請求項6】
前記神経細胞と共刺激分子に対するレセプターとを接触する工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
非神経組織の産生を促進するための方法であって、以下:
該組織の細胞表面における共刺激分子の発現を誘導するために有効な量で、非神経組織をROSのアクチベーターに接触する工程、および
該組織を、該組織の産生を促進するための増殖条件に曝露する工程、
を包含する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、ここで前記ROSアクチベーターが、γインターフェロン、リポタンパク質、脂肪酸、cAMP誘導剤、UCP発現ベクター、B7.1発現ベクター、B7.2発現ベクターまたはCD40発現ベクター、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分、および毒性水準下のマイクロ波または低線量放射線への曝露からなる群から選択される、方法。
【請求項9】
前記非神経組織をT細胞に曝露する工程をさらに包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、ここで前記非神経組織が、インビトロで前記T細胞に曝露される、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、ここで前記非神経組織が、前記T細胞への曝露の後に被験体に移植される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、ここで、前記T細胞が前記被験体の細胞である、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、ここで、前記非神経組織が自己組織である、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、ここで、前記非神経組織がドナーの器官である、方法。
【請求項15】
請求項7に記載の方法であって、ここで前記非神経組織の生検が、被験体から取り出され、そして、該非神経組織の生検が、該被験体のT細胞に曝露される、方法。
【請求項16】
請求項7に記載の方法であって、ここで前記増殖条件が、インスリン、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、エリスロポエチン、およびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβならびにリンホトキシン)のうち少なくとも1つに対する曝露を含む、方法。
【請求項17】
レシピエント被験体に器官を移植する方法であって、ドナーの器官を、該ドナーの器官の細胞における共刺激分子の発現を減ずるために有効な量のROSのインヒビターで処置する工程、および該ドナーの器官を該レシピエント被験体に移植する工程を包含する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、ここで前記ROSのインヒビターが、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼを活性化または誘導する化合物からなる群から選択される、方法。
【請求項19】
癌を処置する方法であって、以下:
被験体の癌細胞を、該癌細胞の表面における共刺激分子の発現を誘導するのに有効な量で、毒性水準下のレベルのマイクロ波または毒性水準下のレベルのHに曝露する工程、および
該癌を処置するために、該細胞を該細胞を殺す因子に接触する工程、
を包含する、方法。
【請求項20】
前記癌細胞を2−デオキシグルコースまたはそのアナログに曝露する工程をさらに包含する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、ここで、前記因子が共刺激分子レセプターである、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、ここで、前記共刺激分子レセプターが免疫細胞上にある、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、ここで、前記共刺激分子レセプターが可溶性レセプターである、方法。
【請求項24】
インビボ移植のための細胞における共刺激分子の発現を阻害するための方法であって、以下:
細胞を、ROSのインヒビターに接触して、該細胞における共刺激分子の発現を阻害する工程、および
該細胞を被験体に移植する工程、
を包含する、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、ここで、前記細胞が幹細胞である、方法。
【請求項26】
請求項24に記載の方法であって、ここで前記共刺激分子が、B7.1、B7.2またはCD40である、方法。
【請求項27】
請求項24に記載の方法であって、ここで該細胞が、腎臓、肺、膵臓、皮膚、肝臓、眼、卵巣、精巣およびセルトリ細胞からなる細胞の群から選択される、方法。
【請求項28】
前記幹細胞を被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
請求項24に記載の方法であって、ここで該細胞が、移植に先立って、増殖条件下、インビトロで増殖される、方法。
【請求項30】
請求項28に記載の方法であって、ここで前記活性酸素種のインヒビターが、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼからなる群から選択される化合物である、方法。
【請求項31】
増殖誘導細胞において、共刺激分子の発現を誘導するための方法であって、以下:
細胞を、ROSのアクチベーターと接触して、該細胞における共刺激分子の発現を誘導する工程、および
該細胞を増殖条件に曝露して、細胞分化を促進する工程、
を包含する、方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記増殖条件が、インスリン、神経成長因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、エリスロポエチンおよびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβならびにリンホトキシン)のうちの少なくとも1つに対する曝露を含む、方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記共刺激分子が、B7.1、B7.2またはCD40である、方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法であって、ここで、前期方法がインビトロで実施される、方法。
【請求項35】
請求項31に記載の方法であって、ここで、前記ROSのアクチベーターが活性酸素種である、方法。
【請求項36】
前記細胞を被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記細胞を抗原に接触する工程をさらに包含する、請求項31に記載の方法。
【請求項38】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記方法が、被験体中、インビボで実施される、方法。
【請求項39】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、活性酸素種、アンギオスタチン、血管形成剤、ウイルス成分および毒性水準下のマイクロ波または低線量放射線への曝露からなる群から選択されるミトコンドリアの電子伝達のインヒビターである、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、ここで前記ウイルス成分が、HIV Nef、HIV tatおよびアデノウイルスE1Bからなる群から選択される遺伝子産物である、方法。
【請求項41】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、グルタチオンまたはグルタチオンSレダクターゼのインヒビターである、方法。
【請求項42】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、スーパーオキシドジスムターゼのインヒビターである、方法。
【請求項43】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、リソソームUCPのインヒビターである、方法。
【請求項44】
請求項31に記載の方法であって、ここで前記ROSのアクチベ−ターが、マイクロ波に曝露される、方法。
【請求項45】
請求項43に記載の方法であって、ここで、前記細胞が神経細胞である、方法。
【請求項46】
請求項31に記載の方法であって、ここで、前記細胞が好中球である、方法。
【請求項47】
胚性幹細胞におけるB7.1発現、B7.2発現、またはCD40発現を調節するための方法であって、以下:
胚性幹細胞を、活性酸素種を調節するための化合物に接触させて、該胚性幹細胞におけるB7.1発現、B7.2発現またはCD40発現を調節する工程、
を包含する、方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、ここで前記活性酸素種を調節するための化合物がROSのインヒビターである、方法。
【請求項49】
請求項47に記載の方法であって、ここで前記活性酸素種を調節するための化合物が、活性酸素種またはROSのアクチベーターである、方法。
【請求項50】
前記胚性幹細胞を被験体に投与する工程をさらに包含する、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
自己免疫疾患を処置するための方法であって、以下:
自己免疫疾患を処置するために、標的自己免疫細胞における共刺激分子の発現を減少するのに有効な量で、ROSのインヒビターを、自己免疫疾患を有するか、または自己免疫疾患を発症する危険性のある被験体に投与する工程、
を包含する、方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法であって、ここで前記ROSのインヒビターが、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、またはマンガンスーパーオキシドジスムターゼを、活性化または誘導する化合物からなる群から選択される、方法。
【請求項53】
請求項51に記載の方法であって、ここで、前記自己免疫疾患が多発性硬化症である、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経細胞(nerve cell)産生を促進するための、神経細胞(neural cell)ROSアクチベーターを含む組成物であって、該神経細胞(neural cell)ROSアクチベーターが、分化または成長を促進するために有効な量で存在する、組成物
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、ここで前記神経細胞ROSアクチベーターが、活性酸素種、アンギオスタチン、血管形成剤およびウイルス成分からなる群から選択される、組成物
【請求項3】
経活性化細胞をさらに包含する、請求項1に記載の組成物
【請求項4】
経成長因子、線維芽細胞増殖因子、およびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβ、ならびにリンホトキシン)の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の組成物
【請求項5】
刺激分子に対するレセプターをさらに含む、請求項1に記載の組成物
【請求項6】
非神経組織の産生を促進するための、ROSのアクチベーターを含む組成物であって、該ROSのアクチベーターが、該組織の細胞表面における共刺激分子の発現を誘導するために有効な量で存在する、組成物
【請求項7】
請求項に記載の組成物であって、ここで前記ROSアクチベーターが、γインターフェロン、リポタンパク質、脂肪酸、cAMP誘導剤、UCP発現ベクター、B7.1発現ベクター、B7.2発現ベクターまたはCD40発現ベクター、アンギオスタチン、血管形成剤およびウイルス成分からなる群から選択される、組成物
【請求項8】
胞をさらに含む、請求項に記載の組成物
【請求項9】
請求項に記載の組成物であって、インスリン、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、エリスロポエチン、およびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβならびにリンホトキシン)のうち少なくとも1つをさらに含む、組成物
【請求項10】
のためにドナーの器官を処理するためのROSのインヒビターを含む組成物であって、該ROSのインヒビターが、該ドナーの器官の細胞における共刺激分子の発現を減ずるために有効な量で存在する組成物
【請求項11】
請求項10に記載の組成物であって、ここで前記ROSのインヒビターが、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼを活性化または誘導する化合物からなる群から選択される、組成物
【請求項12】
癌を処置するための、毒性水準より下のレベルのHを含む組成物であって、該毒性水準より下のレベルのHが、被験体の癌細胞の表面における共刺激分子の発現を誘導するのに有効な量で存在する組成物
【請求項13】
−デオキシグルコースまたはそのアナログさらに含む請求項12に記載の組成物
【請求項14】
請求項12に記載の組成物であって、ここで、前記因子が共刺激分子レセプターである、組成物
【請求項15】
請求項14に記載の組成物であって、ここで、前記共刺激分子レセプターが免疫細胞上にある、組成物
【請求項16】
請求項14に記載の組成物であって、ここで、前記共刺激分子レセプターが可溶性レセプターである、組成物
【請求項17】
インビボ移植のための細胞における共刺激分子の発現を阻害するための、ROSのインヒビターを含む、組成物
【請求項18】
請求項17に記載の組成物であって、ここで、前記細胞が幹細胞である、組成物
【請求項19】
請求項17に記載の組成物であって、ここで前記共刺激分子が、B7.1、B7.2またはCD40である、組成物
【請求項20】
請求項17に記載の組成物であって、ここで該細胞が、腎臓、肺、膵臓、皮膚、肝臓、眼、卵巣、精巣およびセルトリ細胞からなる細胞の群から選択される、組成物
【請求項21】
請求項17に記載の組成物であって、ここで前記活性酸素種のインヒビターが、グルタチオンSレダクターゼ、グルタチオン、銅/亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ、およびマンガンスーパーオキシドジスムターゼからなる群から選択される化合物である、組成物
【請求項22】
増殖誘導細胞において、共刺激分子の発現を誘導するための、ROSのアクチベーターを含む、組成物
【請求項23】
請求項22に記載の組成物であって、インスリン、神経成長因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、エリスロポエチンおよびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、γインターフェロン、αおよびβインターフェロン、TNF(腫瘍壊死因子)α、TGF(T細胞増殖因子)αおよびβならびにリンホトキシン)のうちの少なくとも1つをさらに含む、組成物
【請求項24】
請求項22に記載の組成物であって、ここで前記共刺激分子が、B7.1、B7.2またはCD40である、組成物
【請求項25】
さらに含む請求項22に記載の組成物
【請求項26】
請求項22に記載の組成物であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、活性酸素種、アンギオスタチン、血管形成剤およびウイルス成分からなる群から選択されるミトコンドリアの電子伝達のインヒビターである、組成物
【請求項27】
請求項26に記載の組成物であって、ここで前記ウイルス成分が、HIV Nef、HIV tatおよびアデノウイルスE1Bからなる群から選択される遺伝子産物である、組成物
【請求項28】
請求項22に記載の組成物であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、グルタチオンまたはグルタチオンSレダクターゼのインヒビターである、組成物
【請求項29】
請求項22に記載の組成物であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、スーパーオキシドジスムターゼのインヒビターである、組成物
【請求項30】
請求項22に記載の組成物であって、ここで前記ROSのアクチベーターが、リソソームUCPのインヒビターである、組成物
【請求項31】
胚性幹細胞におけるB7.1発現、B7.2発現、またはCD40発現を調節するための、活性酸素種を調節するための化合物を含む、組成物
【請求項32】
請求項31に記載の組成物であって、ここで前記活性酸素種を調節するための化合物がROSのインヒビターである、組成物
【請求項33】
請求項31に記載の組成物であって、ここで前記活性酸素種を調節するための化合物が、活性酸素種またはROSのアクチベーターである、組成物
【請求項34】
自己免疫疾患を処置するための、ROSのインヒビターを含む組成物であって、該ROSのインヒビターが、標的自己免疫細胞における共刺激分子の発現を減少するのに有効な量で存在する組成物

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2006−512041(P2006−512041A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−534613(P2003−534613)
【出願日】平成14年10月15日(2002.10.15)
【国際出願番号】PCT/US2002/033054
【国際公開番号】WO2003/031643
【国際公開日】平成15年4月17日(2003.4.17)
【出願人】(502352678)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ コロラド, ア ボディー コーポレイト (4)
【氏名又は名称原語表記】THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF COLORADO, A BODY CORPORATE
【住所又は居所原語表記】201 Regents Administrative Center, 3 Sys, Boulder, CO 80309, United States of America
【Fターム(参考)】