説明

流体のためのパッケージ

流体のためのパッケージは、その中に流体を受容する目的で、製品スペース(2)を持つ実質的にカップ状の容器(1)からなる。製品スペースは、圧縮可能な壁(3)によって区画形成され、その上端(4)から局所的に側方拡張部(5)が延びており、その延長部(5)内に流出チャネル(6)が設けられている。容器は、製品スペースの周囲および流出チャネルを越えた位置まで、上端に密閉式に付着される密封フォイル(11)を備える。側方拡張部は、流出チャネル(6)と交差する所定の破線に沿う弱体ゾーン(10)を含む。密封フォイルは、柔軟な基層からなり、これによって容器の上端にしっかりと結合される。弱体ゾーンは、直線から逸れて変化する形状を持つ。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に流体を受容する目的で、少なくとも一つの壁によって製品スペースが区画形成された実質的にカップ状の容器からなる、流体のためのパッケージに関する。前記少なくとも一つの壁は、少なくとも部分的に圧縮可能なように意図されて、そのように適応している。また、容器の上端からは、製品スペースの周りに、側方拡張部が局所的に延びて流出チャネルを持ち、流出チャネルは、遠位端で製品スペースに連通し、近位端で閉じている。容器は、少なくとも閉位置において、製品スペースの周り、そして流出チャネルを越える位置まで、密閉式に上端部に付着したスケーリング・フォイルを備える。また、側方拡張部は、所定の破断線に沿う弱体ゾーンを含む。
【背景技術】
【0002】
このようなパッケージは、出願者の国際特許出願PCT/NL/01/00719から既知である。これは、特に、気体、そしてミルク等の水性の液体から、ペースト、ゲルおよびシロップ等の濃い、より粘性のある流体までの、様々な流体のためのポーション・パッケージに関する。本発明の範囲内で、パッケージは、粉体や振り掛け材料等の固体の流体にも適当である。
【0003】
既知のパッケージは、熱形成工程を用いて一体的に形成されたプラスチックのカップ状容器からなる。容器の内側の製品スペースは、この場合、容器の壁の上端に付着するアルミニウムの密封フォイルによって、気密および水密に閉じられる。この場合も、フォイルは、流出チャネルを形成する目的でチャネルを含んで上端に一種のタブとして形成された側方拡張部を覆って延びる。チャネルは、遠位側で製品スペースに連通し、近位端でタブ内に終止する。タブは、破断線に沿って局所的に弱体ゾーンを含む。パッケージは、弱体ゾーンの位置でタブを折り、上端からタブでフォイルを裂くことによって開くことができる。さて、チャネルは近位端が開となり、そこを通して製品スペースから流体を注ぐことができる。このとき、容器の壁は意図的に圧縮できる構成なので、製品スペースを圧縮させることによって、流体に十分な圧力を加え、この流体を効果的な方式で強制的に流出させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既知のパッケージは、多様な流体に対するポーション・パッケージとして非常に実用的な解決策を提供するが、一度に全部を使用しない、あるいは消費しない流体に対する繰り返しの用途には適当でない。一旦開けたならば、製品スペースは、流出チャネルを介して微生物が自由にアクセス可能である。また、揮発成分であれば、そこから比較的に容易に蒸発可能である。このため、特に流体が食品または補助食品であるケースでは、内容物は劣化が早い傾向にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の目的は、基本的にその製造工程に影響を及ぼすことなく、再閉口可能な序文で説明したタイプのパッケージを提供することである。
【0006】
明示した目的を達成するために、序文で説明したタイプのパッケージは、本発明による、次の特徴を持つ。弱体ゾーンが近位および遠位端間で流出チャネルと交差すること。密封フォイルが、柔軟な基層からなり、それによって容器の上端に恒久的に結合されること。そして弱体ゾーンが、直線から逸れて変化する形状を持つこと。開始時の状態において、パッケージは、上端への密封フォイルの気密的および水密的な付着によって密閉されている。パッケージは、弱体ゾーンに沿って側方拡張部を割ることによって開けることができる。この場合、側方拡張部の割れて外れた部分は、柔軟な基層が容器の壁の上端へ恒久的に付着しているため、完全に分離することはない。この状態で、側方拡張部の分離された部分を、流出チャネルから遠隔な方向へ回転させることで、流出チャネルは開放できる。弱体ゾーンが、直線から逸れて曲がった形状を持つため、そこに張力が発生し、その張力は、密封フォイルの柔軟な基層内に復元力として蓄えられる。この復元力は、側方拡張部が解放されると即座に、それを開始位置へ戻すよう作用する。さて、パッケージは、もはや密閉されるものではないが、実用的に有意な程度に漏れを防ぐことが分かっている。このため、長期間に渡る繰り返しの使用の目的で維持可能である。また、この目的のために、その製造工程に手を加える必要はない、あるいはほとんどその必要はない。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるパッケージの好適実施例は、側方拡張部が、破線の両側に、少なくとも実質的に破線の位置に頂点を持つ鋭利なノッチを含む、という特徴を持つ。この場合、ノッチは、破線および弱体ゾーンの箇所を明確に認識可能な指標を提供するため、ユーザには、どうすべきかの理解が容易である。ノッチは、さらに、側方拡張部の旋回する外方端における張力の集中を減少させるため、そうでなければ基層内への復元力の蓄積に悪影響が生じるであろうところの、上端からの、柔軟な基層の分離を防止する。したがって、パッケージは、繰り返しの使用後でさえも、少なくとも実質的に開始位置へ、再度閉じることが可能である。
【0008】
本発明によるパッケージの特定な実施例には、側方拡張部内の弱体ゾーンが、直線から逸れて変化する形状を持つ、という特徴がある。この場合、全体的に扁平な側方拡張部を採用し、そして弱体ゾーンの形状が、所望の張力の蓄積を提供するように構成することができる。本発明によるパッケージのもう一つの特定な実施例には、側方拡張部が、破線に沿う直線から逸れて変化する形状を持つ、という特徴がある。この場合、側方拡張部が、破線に沿う横断方向において、既に所望の形状を持つため、弱体ゾーン自体は、必要に応じて、直線的な形状としてもよい。
【0009】
少なくとも実質的に張力を伴わない直線に沿った旋回のみが行われるので、直線から逸れて変化するどのような形状の弱体ゾーンも、本発明に所望の張力を蓄積することになる。その中に不連続な変化が存在するならば、これは、側方拡張部の認知可能なバックリング・ポイント、あるいは、さらに閉じるのに支援が必要な、不安定な開位置となり得る。逆に言えば、弱体ゾーンが、徐々に湾曲する形状を持つという特徴のある本発明によるパッケージのもう一つの特定な実施例において、完全に連続的な旋回を達成できる。この実施例では、認知可能な変化が存在しない側方拡張部は、ほぼその開始位置へ常に跳ね返ることになり、実用的に漏れの生じない状態でパッケージを閉じる。
【0010】
弱体ゾーンは、多様な方式で実現できる。この点において特に実用的であることが分かっているのは、側方拡張部が、密封フォイルから遠隔な側における弱体ゾーンの位置に、切り取り点線および溝からなるグループからの弱体化を含む、という特徴を持つ本発明によるパッケージの特定な実施例である。
【0011】
フォイルの柔軟な基層中に復元力を十分に蓄積するためには、基層が十分に強く、そして恒久的に、少なくとも長期間、容器の壁の上端に付着して容易に解離しないことが重要である。これは、多様な方式および多様な材料で実現できる。しかしながら、本発明によるパッケージのもう一つの好適実施例は、この点で、容器の少なくとも一つの壁とカバー・フォイルの基層とが、相互に加熱溶着するプラスチックから製造される、という特徴を持つ。したがって、この場合は、高温高圧で容器の端部に密封フォイルを融着することによって、所望の恒久的な相互の付着が達成できる。この場合、本発明によるパッケージのもう一つの特定な実施例は、少なくとも一つの壁と基層とが、同じプラスチック、特にポリプロピレンまたはポリスチレンからなる、という特徴を持つ。
【0012】
製品スペースの適切な気密性および無菌密閉性、そしてまた、密封フォイルの優れた印刷適性の目的で、本発明によるパッケージのもう一つの特定な実施例は、カバー・フォイルが、基層から遠隔な側で、金属層、特にアルミニウム層からなる、という特徴を持つ。この場合、金属層は、基層が許容可能な空気浸透を密閉すると共に、例えば、通常のパッケージに要求される印刷に適当な基礎を提供する。この点において、アルミニウム層は、その真価を十二分に証明している。
【0013】
容器の壁に圧縮性があるために、流出チャネルの断面が比較的に限られているにもかかわらず、容器の内容物は、製品スペースを圧縮することによって、そこから強制的に流出させることができる。本発明によるパッケージのもう一つの特定な実施例は、この目的で、少なくとも一つの壁が、その高さの少なくとも一部分に渡って蛇腹構造を含み、その部分が高さ方向に圧縮可能である、という特徴を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0014】
さて、本発明を、複数の模範的な実施例および関連図面に基づいてさらに説明する。
【図1】本発明によるパッケージの、第一の模範的な実施例であるカップ状容器を示す斜視図である。
【図2】本発明によるパッケージの、第一の模範的な実施例を示す斜視図であり、図1の容器を一連の使用段階で示す。
【図3】本発明によるパッケージの、第一の模範的な実施例を示す斜視図であり、図1の容器を一連の使用段階で示す。
【図4】本発明によるパッケージの、第一の模範的な実施例を示す斜視図であり、図1の容器を一連の使用段階で示す。
【図5】本発明によるパッケージの、第一の模範的な実施例を示す斜視図であり、図1の容器を一連の使用段階で示す。
【図6】連続する使用段階で、本発明によるパッケージの第二の実施例を示す斜視図である。
【図7】連続する使用段階で、本発明によるパッケージの第二の実施例を示す斜視図である。
【0015】
図は、全く概略的なものであり、一定の比率で描かれたものではない。明瞭に示すために、特にいくつかの寸法を多少誇張している。また、図中の対応する部分は、可能な限り同じ参照番号で示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1のパッケージは、カップ状容器1からなり、その中に、容器の壁3によって側方を区画形成した製品スペース2を持つ。容器の壁3は、その全高に沿う蛇腹構造からなり、図から明らかなように、ある程度の制御が効いた方式で、高さ方向に容器を意図的に圧縮できる構成である。壁3の上端4の一箇所には、タブ形状の局所延長部5が形成されている。タブ5内にあるのが、流出チャネルを形成する溝、すなわちチャネル6である。この流出チャネルは、遠位側7で製品スペース2に通じ、そして近位側8では、タブ5内に存在する閉外方端として終止する。
【0017】
チャネル6の二つの外方端の間には、タブ5の両側にノッチ9が設けられており、これらノッチの間に、チャネル6と交差する破線に沿って弱体ゾーン10が延びている。弱体ゾーンは、チャネル6から遠隔なタブ5の側方にある、例えば、切り取り点線またはチャネルあるいは溝からなり、近位端で上方への回転を受けると、その部分でタブが折れることを保証する。この場合、溝の深さ、あるいは切り取り点線の経路は、チャネル6が気密性を保つように適用される。容器の上面は、僅かに湾曲する形状あるいは経路を持つ。すなわち、破線10に沿う方向において、直線から少なくとも逸れている。図2を参照。弱体ゾーンにも、そのような経路(形状)が課されている。
【0018】
この目的に設計された型を用い、選択した出発材料のフォイルから、例えば真空成形等の標準熱形成工程を利用して、容器は、ポリプロピレンまたはポリスチレン等の適当な熱可塑性プラスチックから、単一の工程で製造できる。したがって、そのようなパッケージの製造コストは比較的に低い。製品スペースは、所望の流体で満たした後に密封フォイル11で密閉される。この目的のために、本例では、ポリプロピレンの柔軟な基層とアルミニウムの上層とを持つ多層フォイルを使用する。フォイル11の上層は、優れた気密性および無菌特性を提供することに加えて、外側から見えるものなので、印刷に適当な基礎を提供する。柔軟な基部層は、高温および高圧下で、フォイル11が容器の上端4,5に非常に良く融着することを可能にする。このため、非常に強固な相互の粘着を得ることができる。この場合、フォイル11は、製品スペース2の周囲における容器1の上端4に、また、その側方拡張部5の外方端まで付着している。
【0019】
パッケージは、側方拡張部を上方へ手で折ることによって開けることができる。図3を参照。このため、側方拡張部を破線10に沿って割れば、流出チャネルが開く。図4を参照。この場合、ノッチ9はユーザに、破線の位置および意図したパッケージの扱い方の指標を示す。さて、製品スペース2の液体内容物は、容器1の壁3を圧縮することによって製品スペース2を圧縮して、外部へ移動できる。図面に示すように容器の上面は、僅かに湾曲している、あるいは少なくとも直線から外れて変化しているため、タブ5が上方へ回転されると、張力が生じる。しかし、この張力は、フォイル11の基層が柔軟性を持つため、基層における特定な伸びによって吸収される。この伸びは、ほぼ開始位置へタブ5を戻すための復元力を提供する。図5を参照。さて、パッケージは、もはや気密的に密閉されることはないが、それでも繰り返しの使用に適当なほどに十分に漏れを防ぐことが分かっている。タブを図5の矢印の方向へ持ち上げれば、いつも流出チャネル6が開放される。図4を参照。その後、タブは、フォイル11の基層の復元力の影響下で、再び図5に示す位置へ少なくとも実質的に跳ね返る。
【0020】
図6および図7に、本発明によるパッケージの第二の実施例を示す。このパッケージは、第一の模範的な実施例と実質的に同じである。ただ、このケースでは、側方拡張部が全体的に扁平であるのに対して、弱体ゾーン10自体は湾曲形状を持つ。この場合も、容器は、そのタブを上方へ回転させ、そして流出チャネル6の位置で側方拡張部を割ることによって開くことができる。破線が湾曲しているので、これによって張力も生じることになる。この場合、その張力が、タブが解放される度にタブ5を開始位置へ返す。
【0021】
本発明を二つの模範的な実施例のみに基づいて詳しく説明したが、本発明がこれらの実施例に決して限定されないことは明らかである。それどころか、同業者には、本発明の範囲内で、多くの変形物や実施例が可能である。したがって同業者は、本発明の範囲から本質的に外れることなく、他の材料、寸法および形状を使用することが可能である。積層多層密封フォイルの代わりに、一つの材料からなる密封フォイルを適用することができる。この場合、少なくともその基層は、本発明による使用に必要な、柔軟性および接着性を持たなければならない。
【0022】
連続的に湾曲した形状の代わりに、弱体ゾーン内に、直線から不連続に変化する形状を採用することもできる。形状を綿密に選択すれば、パッケージの使用中に必要に応じて、開位置に保持できる、あるいは強制的な方式で再び閉じることができるバックリング・ポイントを得ることになる。さらに、側方拡張部の断面あるいは破線、必要であればそれら両方を、直線から外れる形にすることができる。




【特許請求の範囲】
【請求項1】
中に流体を受容する目的で少なくとも一つの壁によって区画形成した製品スペースを持つ、実質的にカップ状の容器からなる流体のためのパッケージであって、
前記少なくとも一つの壁は、少なくとも部分的に圧縮可能なように意図されてそのように適応しており、そして前記容器における製品スペースの周りの上端から局所的に側方拡張部が延びており、
前記側方拡張部は、遠位端で製品スペースに連通し近位端で閉じた流出チャネルを持ち、
前記容器は、少なくとも閉位置において、製品スペースの周囲および流出チャネルを越えた位置まで上端に密閉式に付着する密封フォイルを備え、また、前記側方拡張部は、所定の破線に沿う弱体ゾーンを含むパッケージにおいて、
前記弱体ゾーンが近位および遠位端間で流出チャネルと交差すること、前記密封フォイルが柔軟な基層からなり、それによって容器の上端に恒久的に結合されること、そして前記弱体ゾーンが、直線から逸れて変化する形状を持つことを特徴とする、流体のためのパッケージ。
【請求項2】
前記側方拡張部が、破線の両側に、少なくとも実質的に破線の位置に頂点を持つ鋭利なノッチを含むことを特徴とする、請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記側方拡張部内の弱体ゾーンが、直線から逸れて変化する形状を持つことを特徴とする、請求項1または2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記側方拡張部が、破線に沿う直線から逸れて変化する形状を持つことを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記弱体ゾーンが、徐々に湾曲する形状を持つことを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記側方拡張部が、密封フォイルから遠隔な側における弱体ゾーンの位置に、切り取り点線および溝からなるグループからの弱体化を含むことを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記容器の少なくとも一つの壁とカバー・フォイルの基層とが、相互に加熱溶着するプラスチックから製造されることを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記少なくとも一つの壁と基層とが、同じプラスチック、特にポリプロピレンまたはポリスチレンからなることを特徴とする、請求項7に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記カバー・フォイルが、基層から遠隔な側で、金属層、特にアルミニウム層からなることを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のパッケージ。
【請求項10】
前記少なくとも一つの壁は、その高さの少なくとも一部分に渡って蛇腹構造を含み、その部分が高さ方向に圧縮可能であることを特徴とする、前述の請求項の一つ以上に記載のパッケージ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−533629(P2010−533629A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516938(P2010−516938)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際出願番号】PCT/NL2008/050451
【国際公開番号】WO2009/011571
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(508271311)イージーカップ インターナショナル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】