説明

流体を分析する装置

本発明の目的は、流体を分析するための代替物を提供することである。この目的のため、磁性粒子を有する流体を分析する装置が提供される。該装置は、上記磁性粒子に磁気力を生じさせて目標を有する上記流体の運動を生成するように設計された磁界を発生する磁気手段と、自身を介して又は自身に沿って上記流体を移動させるアレイを備えるような膜とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を分析する装置、装置の膜の異なる部分を介して磁性粒子及び流体を指向させる制御装置、及び流体を分析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の流体内の、所謂、目標(ターゲット)を検出するために、益々、多様な用途に対して装置が開発されている。目標の例として、核酸、抗体、抗原、リセプタ、ハプテン又はリガンドが挙げられる。他の例は、例えば細胞破片、ウイルス又は食物破片内の物質等の装置による検出にかなうものである。目標は、時には、分子であり、この場合、分子種とも呼ばれる。目標を有する流体の例として、血液、唾液、尿、組織抽出液、間質液、食物抽出液及び環境的標本が挙げられる。他の流体は、検出されるべき目標を有するのに固有のものである。斯かる流体はソース(源)から処理無しで直接的に取り出すこともできるが、例えば濾過、溶解、粉砕、純化、濃縮、希釈、増幅等の1以上の前処理工程を先ず受けることもできる。本発明に使用される意味での装置は、少量の物質を含む装置である。本発明の意味での用語としての装置は、更に、マイクロ装置及びマイクロ流体装置を含む。例えば、斯かる装置は、バイオセンサチップ、生物学的マイクロチップ、遺伝子チップ又はDNAチップとも呼ばれるバイオチップを有する。該バイオチップは、最も簡単な形態では、チップ上の良好に画定された領域上に多数の異なるプローブ分子が付着された基板からなり、これらプローブ分子には当該物質又は流体内の分析されるべき分子又は分子破片が、合致した場合、結合する。上記基板は、当該物質又は流体が移送される多孔質材料又は膜として設計することができる。例えば、1本鎖DNA分子の破片は、1つの固有の相補的DNA鎖(c-DNA)破片に結合する。結合反応の発生は、例えば分析されるべき分子に連結される蛍光性、化学発光性、放射性又は吸収性マーカを用いることにより検出することができる。これは、少量の多数の異なる分子又は分子破片を短時間内に並列に分析する能力を提供する。1つのバイオチップは、数個から1000又はそれ以上までの異なる分子破片に関して、分析されるべき検定物(ここでは、流体3と呼ぶ)を保持することができる。移送及び混合のために、当該装置内に含まれる物質又は流体は、マイクロポンプにより該装置を介してポンプ送りされる。この当該装置内での流体のポンプ送りは、該流体を基板に沿って又は膜を介して各々繰り返し搬送するためにも使用することができる。ポンプ送りすることにより、目標がプローブ分子に到達する確率が増加され、当該膜に付着されたプローブ分子に対する当該流体内の目標の固有の結合が改善される。装置内へのマイクロポンプの配設は、製造が困難であり、かなり費用が掛かり、故障し易い。マイクロポンプを備える装置1を用いると、流体の大きな無駄容積が生じ、これは、当該流体のかなりの部分は分析部に接近することができないことを意味する。従って、目標を含む大量の流体が必要であり、これは、費用、時間及び標本の取り出しに関する欠点となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、流体を分析するための代替例を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、磁性粒子を有する流体を分析する装置であって、該磁性粒子に磁気力を生じさせて目標を有する当該流体の運動を生成するように設計された磁界を発生するための磁気手段を有するような装置により解決される。更に、装置における膜の異なる部分を介して磁性粒子及び流体を指向させるための制御装置が設けられ、該制御装置は当該装置を介して上記磁性粒子及び流体を指向させる目的で、磁気手段の磁界強度を変化させる手段を有する。更に、磁性粒子を含む流体を分析する方法が利用可能にされ、該方法は、上記流体の運動を生じさせる目的で、上記磁性粒子に対して磁気力を生じさせる磁界を発生し、これにより上記磁性粒子に磁気力を生じさせるステップを有する。上記磁性粒子に対する力は、磁界及び/又は磁界勾配を印加することにより得られる。
【0005】
このようにして、分析する目的での装置を介しての流体の移動は、素直な態様で実現される。
【0006】
本発明は、機械的手段無しで流体の移送を実現し、複雑な生物学的混合物を含み得るような少容量の流体に適している。該流体の移動は、目標を含む周囲の流体に対する磁性粒子の流体抵抗(drag force)により生じる。当該流体は上記磁性粒子により移動され、該流体には直接的には実質的に何の力も作用しないことに言及することが重要である。本発明は、標本としての小さな体積の流体による分析、小さなカートリッジを用いる小型の設計を提供し、低コスト及び高信頼度での高速分析を提供する。
【0007】
当該流体を移動させる他の手段を、該流体の運動を生じさせる本発明のフィーチャと組み合わせることができる。
【0008】
本発明の幾つかの実施例が、従属請求書に記載されている。
【0009】
一つの実施例は、当該膜を介して流体を移動させると共に、目標を結合スポット、即ち捕捉分子(capture molecules)に結合させるための、斯かる結合スポットのアレイを備える膜を開示している。上記流体の移動と、当該装置内の多孔性膜との組み合わせは、当該膜を介しての流体の改善された且つ高速な通過を可能にさせる。
【0010】
他の実施例においては、当該装置は、制御装置により制御されて互いに実質的に直交して延び、所定の態様で自身の方向及び/又は大きさを変化させる磁界を有し、上記制御装置は当該装置を介して上記磁性粒子及び流体を指向させるために斯かる磁性粒子に発生される磁気力を変化させる。斯かる磁気力は、例えば、当該装置に対して水平に配置された及び垂直に配置された磁気手段により発生される。更なる磁界、特には上記2つの磁界に対して垂直に配置された磁界を適用することができ、空間内の各方向の磁界を確立する。当該流体は当該装置を介して異なる方向に自由に移送される。当該装置における流体内の物質又は目標の改善された混合及び結合が、達成される。上記磁性粒子又はビードの力、従って運動は、磁界勾配を印加することにより達成することができる。上記制御装置は、他の実施例では、磁性粒子及び流体を前記膜の異なる部分を介して指向させるように設計される。主に、これは、特に幾つかの目標の場合において、流体及び膜内において遠い位置を有するような、目標と称される異なる物質の相互の結合を支援する。流体内の目標は、固有の結合を確立するために、膜内の(例えば、結合スポットに組み込まれた)物質に運ばれる。
【0011】
上述した実施例の他の変形例は、前記磁性粒子及び前記流体を、前記膜の一方の側において第1の方向から前記膜を介して指向させ、前記膜に沿って第2の方向に指向させ、前記膜の反対側において前記第1の方向とは逆の方向の第3の方向から前記膜を介して指向させ、前記膜に沿って前記第2の方向とは逆の方向の第4の方向に指向させ、これにより前記磁性粒子及び前記流体の巡回的流れを生じさせるように設計された制御装置を開示している。
【0012】
他の実施例では、当該装置を介しての流体の運動を改善するために、複数の前記磁性粒子が多粒子構造又は連鎖(strings)を形成する。多粒子構造は、単一の磁性粒子からなる構造よりも、磁気力に対して大幅に多くアクセス可能となる。かくして、より大きな力が磁性粒子に対して発生され、磁性粒子の一層大きな流体抵抗が、流体に対して該流体を移動させるように作用する。多粒子構造は、磁気的な又は他の力(例えば、化学的)の影響の下で形成することができる。磁気力を使用する利点は、多粒子構造を、印加される磁界の影響の下で可逆的に組み立て及び分解することができる点にある。
【0013】
当該流体内の物質の量又は濃度を測定するために、磁性マーカの漂遊磁界を誘起させるような磁界を発生する磁界発生ワイヤ又はコイル、及び該漂遊磁界を測定するための巨大磁気抵抗センサが設けられる。この測定は、好ましくは、前記磁気手段による運動の終了後に実行される。当該流体の移動を生じさせる上記磁性粒子は、漂遊磁界を誘起させる上記マーカと同一とすることができる。それ以外では、当該流体の運動を生じさせる上記磁性粒子及び漂遊磁界を誘起させる目標は異なるものとし、1つの品目に統合されることはない。
【0014】
当該流体内の物質の量又は濃度を測定する代替例は、目標の又はマーカの光学的検出のための、従って目標の量を測定する光学検出器により達成される。その利点は、例えば蛍光体(fluorophore)マーカによりラベル付けする等の、普通の光学ラベル付け技術を使用することができることにある。
【0015】
当該流体を分析するための上記光学的検出処理を行う前に、好ましくは、磁性粒子は前記膜外に又は少なくとも分析される領域外に及び視界から離れて移動され、これにより、光散乱、吸収又は発光として参照されるような当該粒子からの望ましくない背景信号を防止する。
【0016】
可能性のある膜の例は、多孔性のアルミニウム若しくは酸化アルミニウム、シリコン若しくはシリコン酸化物(電極付き又は電極無し)、例えばナイロン等のプラスチック膜、例えばニトロセルロース等の繊維性材料に基づく膜である。
【0017】
本発明の代替例においては、磁界の発生のために、前記膜内に又は膜上に導電ワイヤが組み込まれる。
【0018】
本発明の代替例においては、前記膜の機械的安定性を改善するために、該膜に機械的安定器が配設される。当該膜内に大量の磁性粒子又はビードが存在すると、前記磁界は該膜にも力を誘起する。上記機械的安定器は、例えば当該装置の上記膜に取り付けられる薄い層として構築された安定したセラミック基板又はワイヤグリッド等の支持膜として設計することができる。他の例として、例えば米国特許第6635493号に記載されているような、剛性の多孔性基板材料を使用することもできる。
【0019】
代替例は、光学的検出用のマーカ(好ましくは発光、蛍光又は燐光マーカ)として設計された磁性粒子を提供する。この場合、斯かる磁性粒子は目標に対して直接的に又はカウンタ粒子を介して結合される。カウンタ粒子は、1つの種類の粒子に特に固有に結合される粒子である。この場合、斯かる粒子は、結果的に、少なくとも前記流体を移動させる機能を有すると共に、目標の量を測定する理由により検出される機能をも有する。
【0020】
本発明の上記及び他の特徴、フィーチャ及び利点は、添付図面を参照してなされる下記の詳細な説明から明らかとなるであろうが、上記図面は例示として本発明の原理を図示するものである。本説明は、本発明の範囲を限定することなく、例示としてのみ示されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は、例えば血液、唾液、尿等の人又は動物のソースから得られる実質的に流体3であるような物質を分析する現行技術の装置1の構成を示している。従って、物質なる用語は、以下においては流体なる用語により置き換えられる。流体3は、分析されるべき目標30a、30bを有している。マイクロ流体装置なる用語は、定義により、装置1なる用語に含まれる。装置1は、流体3を収容するチェンバ23を含むハウジングを有している。チェンバ23内において、障壁25が当該装置1の全高にわたり延在して、当該チェンバ23内にダクト26を形成し、巡回的な流体の流れを可能にしている。装置1は、該装置1の内部のチェンバ23に流体3を投入するための入口22を有している。流体3に圧力を生じさせ、これにより装置1の内部で障壁25の周りに流体3の巡回的流れを発生させるために、装置1にはマイクロポンプ24が設けられている。マイクロポンプ24は、分析処理が進行している限り、流体3を当該装置1を介して障壁に沿い且つ巡って永久的にポンプ送りする。このポンプ送りは、典型的には、混成(hybridization)として段階的に実行され、これは幾らかの時間を要する。更に、流体のマイクロポンプ送りは、特別な(dedicated)温度サイクルが必要とされる場合に適用される。複数のポンプ送り及び混成ステップの後、当該流体の分析、特には光学的分析、が実行される。膜10が、装置1のハウジングの内側と、該装置1のチェンバ23の全高にわたって延びる障壁25との間に配設され、該チェンバ23を2つの部分に分割している。膜10は、該膜10を介しての流体3の流れを可能にするために、多孔質に設計されている。膜10は、当該装置1における1つの本質的フィーチャであり、以下に述べるように、該膜10に目標30a、30bを結合させるための相補的結合サイト(binding sites)31a、31bを有するような結合スポット32a、32bを有している。理想的には、目標30a,30bは、膜10における結合スポット32a,32b内の相補的結合サイト31a,31bに排他的に各々結合し、結合の後、目標30a,30bは、それらの相補的結合サイト31a,31bに固定される。理想的には、結合は、特別な目標30a,30bが、その相補的結合サイト31a,31bに正確に適合した場合にのみ生じる。膜10を通過することにより、分析されるべき流体3内の目標30a,30bは、該膜10における結合スポット32a,32bに結合する。膜10を介しての流体3の通過は数回繰り返されて、結合スポット32への目標30a,30bの結合率を向上させる。膜10の方向及び反対の方向を指す図1の矢印27は、照射、即ち光学マーカ33の励起、及び該膜10上への光の反射/蛍光、即ち光学的応答を示す。光学マーカ33は、結合スポット32に結合される目標30a,30bに付着され、これら光学マーカ33を照射する光ビームを受光する光学検出器(図示略)により検出することができる。光学マーカ33を測定することにより、各々が1つのマーカ33に結合されているような、膜10において結合された目標30a,30bの量を決定することができる。この処理は、流体3内の目標30a,30bの量を測定することを可能にする。
【0022】
図2は、図1で述べたような目標3の検出のためにマーカ33が目標30a,30bに連結されて、目標30a,30bをアレイ内の相補的結合サイト31a,31bにより基板又は膜10に結合させる原理の概要図を示す。記載される結合検定の種類は例示のためのみのもので、膜10は、例えば釈放(unbinding)、排除(displacement)、阻害(inhibition)、拮抗(competition)、アンチコンプレックス、多成分結合、又は例え分子ビーコン検定を実行するための他のフィーチャでもって設計することもできる。例えば結合スポット32a,32bが埋め込まれて膜10又は基板にアレイ11を形成するような膜10又は基板が示されている。ここでは、アレイ11の一部として、2つの結合スポット32a,32bのみが提示されている。結合スポット32a,32bは結合サイト31a,31bを有し、これらサイトは、それらの相補体である特別な目標30a,30bを専ら結合するように設計される。このために、結合サイト31a,31bは相補的結合サイト31a,31bと称す。当該装置1によっては異なる目標30a,30bを決定及び分析することができ、各々の特別な目標30は結合スポット32a,32b内に相補的結合サイト31a,31bを有する。一般的に、膜10は好ましくは50nmから20μmの範囲の大きさを持つ孔からなるチャンネルを含み、これらチャンネルを介して流体3は膜10を経て流れる。これらチャンネルは、例えば結合スポット32a,32bとしての、上述した結合、釈放等を得るためのフィーチャを備えている。
【0023】
図3は、更に、結合サイト31aへの目標30aの結合過程を概念図により示している。基板又は膜10には、特別且つ固有な相補的結合サイト31aが配設されており、該結合サイトは当該基板又は膜10に連結されている。この相補的結合サイト31aには、理想的には、他の化学物質の如何なる他の目標30aも結合することはできない。該相補的結合サイト31aは、説明上、一方の側に特別な形状の半円の列を有している。この形状は概念的な結合過程を示すもので、これら半円は固有な形態で目標30a内の凹部に完全に嵌り込み、目標30aと該目標の相補的結合サイト31aとの間の結合を生成する。この結合過程は、鍵を錠に嵌め込むのと類似している。上記目標30aは例示的にはDNA分子の破片である一方、上記相補的結合サイト31aは相補的DNA(c-DNA)分子破片である。更に、該目標30aにはマーカ33が付着されている。このマーカ33は、例えば図1で説明したような光学的検出等の種々の方法による検出のためのものである。光学的検出の場合、マーカ33は蛍光的、化学発光的、放射性又は吸収性である。図3は、目標30の隣に磁性粒子5を示している。これは、該粒子5の運動が目標30を引きずることを示すためである。この引きずりは、粘性抵抗流(viscous drag flow)によるものであるか、又は粒子5と目標30とが例えば物理化学的又は生化学的手段等を介して互いに結合されているからであり得る。粒子5が粘性抵抗のために使用される場合、流体3を移動させるための磁性粒子5は、好ましくは、適切な混合及び結合が達成された後に除去され、マーカ検出処理を妨害しないようにする。目標30と粒子5との間の(生)化学的結合の場合、該結合は、例えばサンドイッチフォーマットにおけるように、例えば固有の生化学的結合であり得る。後者の場合、磁性粒子又はビードは、以下に述べるように流体3の運動を実現するために、又は磁気検出のためのマーカとして目標30aに付着される。後者の場合、光学式マーカ33は使用されないものとなる。
【0024】
図4は、更に、異なる目標30bが異なる相補的結合サイト31bと結合するような、図3と同様の概念図を示している。相補的結合サイト31a及び相補的結合サイト31bは同一の基板又は膜10に配設することができ、目標30a及び30bは同一の流体3内に設けることができる。目標30b及び該目標の相補的結合サイト31bの両者は、理想的には、これらの間においてのみ結合が生じる、即ち目標30aと相補的結合サイト31bとの間では結合が生じないという理解において、固有である。ここでも、マーカ33が、異なる検出方法のために目標30bに連結されている。相補的結合サイト31bは、解説的目的で、前記相補的結合サイト31aの半円形状とは異なる鋸歯状を有している。相補的結合サイト31bに固有に適合する目標30bは、該結合サイト31bの鋸歯状とは相補的な鋸歯状を有している。当該装置1を経て上記基板又は膜10に沿って(又は介して)移動する流体3は、目標30a,30bが、それらの対応する相補的結合サイト31a,31bに、各々、結合又は付着するのを可能にする。
【0025】
図5は、磁気装置により目標30a,30bを検出するための本発明の特別な実施例を示す。図示されたのは流体3を分析する装置1の例示的概略側面図であり、この装置は該装置1に印加される磁界を発生する2つの磁気手段15を備えている。図5の磁気手段15は、例示としてコイルとして設計されているが、他の可能な設計は電磁石、永久磁石、回転磁石又は他の装置であろう。この構成では、当該装置1の上側に1つの磁気手段15が配置され、他の磁気手段15が装置1の下側に配置されている。容易な位置合わせのために、磁気手段15は装置1に組み込むことができる。発生される磁界は、例示として、▽B=10〜100T/mの磁界勾配である。装置1は、目標30a,30bを結合するための結合サイト31a、31bを備えた多孔膜10を有している。装置1の内部には、目標30a,30b及び磁性粒子5を含む流体3が取り入れられる。磁性粒子5は磁性ビードとも呼ばれ、これらは好ましくは常磁性、超常磁性又は強磁性とする。膜10を介しての磁性粒子5の効果的移送を可能にするために、磁性粒子5の平均直径は膜10の平均孔寸法より小さいものとする。磁性粒子5が膜10の材料内に詰まる確率を最小化するために、磁性粒子5は、好ましくは、例えば製造の間におけるフィルタ処理又は分離によるサイズ選択を受けているものとする。磁性粒子5の外径は数十ナノメートルから数マイクロメートルの範囲であり、好ましくは該直径は>50nm且つ<5μmであり、最も好ましくは>100nm且つ<2μmである。典型的には、磁性粒子5は、有機又は無機材料からなる不活性シェル(殻)により囲まれた磁性材料のコア(核)を有する。斯かるシェルは、磁性粒子5の安定性を向上させると共に、磁性粒子5の凝集又は磁気特性の劣化を防止する。更に、上記シェルは良好な表面特性を提供し、斯かる特性によれば、磁性粒子5の表面が一緒にくっつくことがなく、意図されない物質への固有でない結合が防止され、粒子表面への固有の生化学分子の付着を可能にする。
【0026】
水平に配置された磁気手段15は、磁性粒子5に印加される略一様な磁界を発生する。該磁界は、目標30a,30bに粘着した磁性粒子5に力を発生し、該力は磁性粒子5を低い磁気エネルギの方向へ移動させる。当該装置1を介して磁性粒子5が移動されるのみならず、斯かる磁性粒子に接続された目標30a,30b並びに磁性粒子5及び目標30a,30bを囲む流体3も移動される。
【0027】
上記磁界は頻繁に変化され、これにより、磁気力の方向もそれに応じて変化される。図5は上方に向けられた矢印40を示し、該矢印は磁気的に発生された流れの流線が同一の方向を指し、磁性粒子5に対して同じ方向に力を発生させることを示している。磁界を変化させることにより、磁気的に発生される流線も変化し、これにより、磁性粒子5に対する力を矢印42により示すように反対方向に生じさせることができる。かくして、流体3は当該装置1内を上方に向かって及び下方に向かって移動される。これにより、流体3は、当該装置1を水平に分割する膜10を介して、両方向から該膜10に垂直に通過する。該装置1内における流体3の動きは、駆動されず且つ本質的に機械的力及びブラウン運動により影響されるような現状技術による流れの流体3と比較して速くなる。
【0028】
上記流体3の運動は、流体3内の物質又は構成成分の混合を支援する。例えば、流体3内の磁性粒子5に対する該流体3内の目標30a,30bの結合のプロセスが改善及び加速される。この混合は当該装置1内で実行され得るので、装置1外での混合の処理ステップは省くことができる。また、流体3内の目標30a,30bの、膜10内の対応する固有の結合サイト31a,31bに対する結合のプロセスも改善及び加速され得る。この改善はコヒーレントである。というのは、流体3は膜10を数回通過し、一層高い結合の確率を提供するからである。本質的に機械的力を使用する現状技術と比較して、より多くの磁性粒子5が対応する目標30a,30bに結合すると共に、より多くの目標30a,30bが対応する結合サイト31a,31bに結合するので、結合の効果が改善される。膜10を通過することにより、流体3内の目標30a,30bは、図3及び図4で詳細に説明したように、多孔膜10内の対応する結合サイト31a,31bに結合する。目標30a,30bが膜10を一層頻繁に通過するほど、一層多くの目標30a,30bが、これら目標の固有の結合サイト31a,31bに結合する。当該装置1内で移動する流体3の速度及びリフレッシュ率は改善され、これは、流体3を分析する処理の重要な期間が短縮されることを意味する。
【0029】
結合の更なる改善のために、又は当該装置1における検定の運動性の改善のために、磁性粒子5は、磁性粒子5又はビードの鎖又は柱(column)等の多粒子構造を有する。この多粒子構造は、磁性粒子5に磁界を印加することにより形成することができる。該多粒子構造は、磁性粒子の鎖、磁性粒子の輪(リング)、磁性粒子の塊(クラスタ)又は他の多粒子構造とすることができる。その長軸の向きは、印加される磁界の向きに依存する。該長軸は真っ直ぐであっても又は湾曲されていてもよい。多粒子構造を使用する利点は、当該構造内の個々の粒子が、減磁磁界の低下により一層大きな磁気モーメントを有するということである。加えて、斯様な構造の全磁気モーメント、従って磁気力又は磁気モーメントも、個々の粒子5の場合におけるよりも大きくなる。磁性多粒子5構造に印加することが可能な力は、
F=▽(m.B) (1)
なる式(1)により与えられ、ここで、mは当該多粒子5構造の磁気モーメントであり、Bは印加される磁界である。解説目的で、粒子モーメントmは概ね一定であると仮定する。この場合、F=m▽Bとなり、ここで、▽Bは上記の印加される磁界の勾配である。例えば100個の粒子5の鎖は、該多粒子構造の一層大きな全磁気モーメントmにより、単一の粒子5又はビードよりも約100倍大きな力を受け得る。多粒子構造は、大きな及び小さな粒子の組み合わせを有することもできるが、同様の大きさの粒子5を有する構造とすることもできる。典型的に、多粒子構造は2つの磁性粒子5又はビードから数千の磁性粒子5又はビードを有することができるが、一層大きな数さえも可能である。磁性粒子5の鎖は、当該多粒子構造の一層大きな磁気モーメントにより、単一の磁性粒子5と比較して約x倍の力を受け、ここで、xは上述したように磁性粒子5の数を意味する。使用することが可能な多粒子構造の一例は、磁性粒子5の鎖である。ビード間磁気力が熱運動を超えると磁性粒子5が鎖を形成することが知られている。磁性粒子5を磁化することは、隣接する磁性粒子5の間に双極子/双極子相互作用を誘起する効果を有し、その結果、磁界線の方向に磁性粒子5の鎖が形成される。時間にわたり、斯かる鎖は相互に作用して、柱を形成する。形成される多粒子5構造は、印加される磁界パターンと、磁界印加の持続時間と、変調周波数と、例えば大きさ、磁化率(susceptibility)、磁気異方性、形状、超常磁性又は強磁性の特性に依存して使用される磁性粒子5のタイプと、磁性粒子5の濃度とにより決定される。装置1には、例えば流体3を投入し、試薬を追加し、流体3又は溶液を洗浄バッファにより置換する等のために、当該装置1のチェンバに流体を投入し又は該チェンバから流体3を抽出する手段が設けられている。これらの場合においても、磁性粒子5は、流体3を混合するのを補助すると共に、膜10を介しての流体の移送を向上させる。磁性粒子5は当該装置1に湿った又は乾燥した状態で、即ち溶液から又は試薬を含む乾燥磁性粒子5を、例えば調査されるべき標本流体3又はインキュベーションバッファである他の溶液に溶解することにより供給することができる。多粒子構造に関しては文献EP2005100618号(該文献は、参照により、本記載に組み込まれるものとする)を参照されたい。
【0030】
図6は、図5と同様に装置1に4つの磁気手段15、16を備えるような、図5と同様の概略側面図を示す。装置1は、図5と同様に設計され、装置1を2つの半部に水平に分割する膜10を備えている。2つの磁気手段15が、図5で説明したように装置1の対向する側に水平に配置されている(以下においては、水平磁気手段15という)。更に、2つの他の磁気手段16が、装置1の対向する側に垂直に配置されている(以下においては、垂直磁気手段16という)。水平磁気手段15及び垂直磁気手段16は、各々、互いに垂直に磁界を発生する。水平磁気手段15は、矢印40、42により示されるように、磁性粒子5に対して垂直方向に(上方及び下方に)各々力を発生する。垂直磁気手段16は、矢印41,43により示されるように、磁性粒子5に対して左及び右へと水平方向に力を各々発生する。これにより、装置1を経る流体3の流れは、矢印40,42及び41,43により各々示されるように、水平的に及び垂直的に指向される。制御装置2が設けられ、該制御装置は上記磁気手段15,16に接続されると共に、斯かる磁気手段15,16により発生される磁界の強さ即ち強度を制御するように設計されている。磁気手段15,16を制御することにより、当該装置1を介しての任意の流れが達成され、当該流体3を磁界の強さ又は強度に依存して異なる方向に向けることができる。これは、特に流体3の混合、並びに目標30a,30bの磁性粒子5への及び結合サイト31への結合を支援する。
【0031】
更なるステップにおいて、目標30a,30bは、異なる手段により、例えばGMR(巨大磁気抵抗)センサ、ホールセンサ、SQUID若しくは高周波コイル等の磁界センサ、又は光学検出器により、検出される。GMRは、磁性粒子5により発生される漂遊磁界を登録及び測定し、これにより、上述した混合及び結合が完了した後に流体3内の磁性粒子5の量を測定する。この磁性粒子5の量から、磁性粒子5に結合された分析されるべき目標30a,30bの量が決定される。他の応用例では、磁気タイプとして上述した追加のマーカ33は、光学的検出を可能にするために光学タイプのものとすることができる。この場合、光学マーカ33が目標30a,30bに付着され、検出は図1で述べたように光学検出器により実行される。この光学マーカ33の検出率が高いほど、目標30a,30bの濃度が高い。目標30a,30bの光学的検出は、目標30a,30bが磁気手段15,16により移動する際に、同時に達成することができる。
【0032】
図7は、当該膜10を介して及び該膜に沿って流体3が移動されるような膜10の他の概略側面図を示す。流体の移動の方向は、制御装置2により、当該流体が方向を数回変更するように制御される。当該流体の如何なる方向及び方向の変更も、制御装置2により磁化を変化させることにより発生することができる。例示によれば、膜10の下側から上側へ向けられた矢印40、その反対方向に向けられた矢印42及び膜10に沿って左から右に向けられた矢印43により示されるように6回にわたる流体3の方向の変更が示されている。制御装置2は、例えば、制御手段2により駆動された場合に垂直方向に磁界を発生する磁気手段15をオフし、同時に、別の強度で水平方向に磁界を発生する磁気手段16を駆動する。これは、左から右を指す矢印43により示されるように、磁性粒子5に対して水平方向に向けられた磁気力を発生させる。制御装置2は、磁界の強度を変更する目的で、磁気手段15,16を介して流れる電流を制御する。該制御装置2は、磁気手段15,16を、磁界を反転するように制御するようにも設計されている。これにより、流体3の方向は、図6に矢印41により既に示されたように、装置1の右側から左側へ流れるように制御することもできる。
【0033】
図8は、前述したように設計された膜10により実質的に分離された2つのチェンバ23a及び23bを備える閉じた装置1の概略側面図を示す。かくして、当該装置1は流体3で満たされた2つの部分に分離され、該装置1の各部分はチェンバ23a,23bを有している。該装置1には、更に多くの数のチェンバ23a,23bを設計することもできる。装置1の左側において、下を指す点線矢印は第1チェンバ23aから膜10を介して第2チェンバ23bへの目標30a,30bを含む流体3の流れ(この図では、装置1の上から下への流体3の流れ)を示す。上記流体3の流れは、上述したように、当該流体に含まれる磁性粒子5又はビードに対して力を発生する磁界により生じる。一実施例において、図示のような上から下へ向けられた磁気力は、図示されるように当該装置1の左側部分において作用する。該装置1の右側部分では、磁気力は図示のように装置1の下から上に向けられ、流体3に対して当該装置1の右側部分における実線矢印により示されるような力を生じる。これにより、流体3は再び膜10を介して第2チェンバ23bから第1チェンバ23aへ流れ戻る。上述した2つの磁界は、好ましくは制御装置により制御されるような2つの磁気手段15,16により発生される。代わりに、装置1に対して単一の磁気手段15(16)が設けられ、該磁気手段は磁界が交番するように制御され、結果として、或る時点では上から下に向けられ、他の時点では他方向に向けられるような流体3の流れが得られる。他の実施例では、単一の磁気手段15(16)が設けられ、該磁気手段は一方向にのみ(例えば、図8に点線矢印により示すように上から下へ垂直方向に又はその逆に)磁界を発生し、同一方向に流れを生じさせる。実線矢印により示される第2チェンバ23bから第1チェンバ23aへの戻りの流れは、第1チェンバ23aから第2チェンバ23bへと流入する流体3から発生する圧力により生じる。第2チェンバ23bにおける流体3は、第1チェンバ23aからの流体3により圧縮され、第1チェンバ23aへと流れるように強制される。更なる磁気手段15,16を設けることもできる。
【0034】
図9は、当該装置1の大部分において膜10により分離された2つのチェンバ23a,23bを備える閉じた装置1の概略側面図を示す。該装置1内の流体を移動させるために、磁気手段15,16が該装置1内に磁界を発生する。ここでも、点線の矢印が、第1チェンバ23aから膜10を介して第2チェンバ23bへの流体の流れを示している。図9に示された該実施例において、第1チェンバ23a及び第2チェンバ23bは膜10により完全には分離されていない。代わりに、分割装置29と呼ぶ装置が第1チェンバ23aの一部を第2チェンバ23bから分割している。該分割装置は、膜10に取り付けられると共に、図9の面の方向において装置1の全幅にわたり突出しているので、該分割装置は、左側における膜10を備える装置1の一方の部分を、右側における膜10を備えない該装置1の他方の部分から分割することになる。分割装置29は、当該装置1内のチャンネルの一方の側面を形成し、該チャンネルの第2の側面は装置1の壁により形成される。図9において、チャンネルの一方の側面を形成する壁は、装置1の右壁である。上記チャンネルは、流体3が図9の下部における第2チェンバ23bから図9の上部における第1チェンバ23aへと流れ戻るように作用し、戻り流チャンネル34と呼ばれる。第1チェンバ23aへと戻る流体3の流れは、ここでも、戻り流チャンネル34を介して到達する適切な方向の実線矢印により示されている。代替例として、戻り流チャンネル34は、膜10を介して延在するように、従って該膜10に組み込まれるように設計される。図10に示されるように、流体3が目標30a,30bを結合するためのアレイ11を通過せずに膜10を経るようにするためのダクトとして作用する複数の戻り流チャンネル34を膜10内に設けることができる。このようにして、戻り流チャンネル34は、図2で説明した結合、釈放等のために膜10内に装備されたチャンネルにより取り違えられることはない。前述したのと同様に、装置1の上から向けられた点線矢印は、第1チェンバ23aから膜10を介し孔からなるチャンネルを通過して第2チェンバ23bに至る流体3の流れを特徴付けるものであり、これにより目標30a,30bは結合、釈放等の作用を受ける。下から上に向けられた実線矢印は、第2チェンバ23bから戻り流チャンネル34を介して第1チェンバ23aに至る流体3の流れを特徴付けるものであり、これによれば、目標30a,30bは作用を受けず、戻り流チャンネル34を通過するのみである。
【0035】
装置1内で異なる流体3を混合する目的のためには、種々の流体3(少なくとも2つの流体3)が装置1に供給され、これら流体のうちの少なくとも1つの流体3は磁性粒子5を有さねばならない。混合処理の後、これら流体3は装置1外へ導かれるか、又は該流体3は上述したように扱われる。混合機能は、異なる試薬の流体3を混合するために、及び流体3内に乾燥状態から溶解された試薬を混合するために、又は装置1の運転の間に流体3を均一化するために有効である。試薬なる用語は、凝集の状態に無関係に分析されるべき物質を指す(前述した流体3なる用語の定義も参照されたい)。
【0036】
本発明の応用の非排他的な例示的分野は、バイオセンサ及び分子診断、血液又は唾液等の複雑な生物学的混合物におけるタンパク質及び核酸の高速且つ高感度の検出、現場試験、集中試験室における診断、心臓学、感染症、腫瘍学等の医療診断、食品及び環境診断である。
【0037】
上述したような高表面面積エレメントは、チップ上ラボ又はチップ上プロセスの用途に使用することができ、斯かる用途においては、例えば結合のため又は物質変換のために大きな流体/固体相互作用表面が必要とされる。変換の一例は、物質が斯かる高表面面積エレメントにおける酵素的又は触媒的反応により変換されるような装置である。このような高表面面積エレメントは、しばしば、単独型ではなく、例えばサンプルの取り込み、サンプルの前処理、物質の抽出のためのエレメント等の、より多くの機能が組み込まれた一層大きな装置の一部であろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、装置内に組み込まれた膜を介して流体をポンプ送りするマイクロポンプを有するような現状技術の概略的装置を示す。
【図2】図2は、他の概略的装置を示し、目標を対応する結合スポットに結合させるアレイの結合スポットに運ばれる、目標を含む流体の滴を図示している。
【図3】図3は、目標に結合されたマーカを用いた相補的結合サイトにより目標を基板に結合する原理の概要図を示す。
【図4】図4は、目標に結合されたマーカを用いた、異なる相補的結合サイトに対する異なる目標結合の場合の、図3と同様の概要図を示す。
【図5】図5は、装置の上下に2つの水平磁気手段を備える装置の例示的概略側面図を示し、該手段は磁性ビードに印加される磁界又は磁界勾配を発生し、流体も流れ又は移動させ、これにより目標が検出サイトに結合する確率を増加させ、当該流体内の目標濃度を測定するのを可能にする。
【図6】図6は、装置を介して流体を制御可能に指向させるために該装置に配設された4つの磁気手段を備えるような、図5と同様の概略側面図を示す。
【図7】図7は、膜に沿って及び膜を介して当該流体が移動される他の経路を図示した概略側面図を示す。
【図8】図8は、2つのチェンバを備える閉じた装置の概略側面図を示し、流体は膜を介して第1チェンバから第2チェンバに流れると共に、該膜を介して第2チェンバから第1チェンバに戻る。
【図9】図9は、2つのチェンバを備える閉じた装置の概略側面図を示し、流体は膜を介して第1チェンバから第2チェンバに流れると共に、別のチャンネルを介して第2チェンバから第1チェンバに戻る。
【図10】図10は、2つのチェンバを備える閉じた装置の概略側面図を示し、流体は膜を介して第1チェンバから第2チェンバに流れると共に、該膜内に形成された別のチャンネルを介して第2チェンバから第1チェンバに戻る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を含む流体を分析する装置であって、該装置が、前記磁性粒子に磁気力を発生させて目標を含む前記流体の運動を生じさせるように設計された磁界を発生する磁気手段と、アレイを備え、前記流体を該アレイを介して又は該アレイに沿って移動させる膜とを有するような装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記膜が該膜を介して通じる複数のチャンネルを有し、これらチャンネルを介して前記流体をポンプ送りするような装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の装置において、前記磁性粒子が多粒子構造として又は磁性粒子の連鎖として構成されている装置。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載の装置において、当該装置が、前記膜を介してポンプ送りされた前記流体により圧縮された流体を導くための少なくとも1つの戻り流チャンネルを含むような装置。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の装置において、制御装置により制御されて前記磁性粒子に発生される前記磁気力を変化させ、前記磁性粒子及び前記流体を当該装置を介して指向させるような磁界発生手段を有する装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、前記制御装置が前記磁性粒子及び前記流体を前記膜の異なる部分を介して指向させるように設計されている装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置において、前記制御装置が、前記磁性粒子及び前記流体を、前記膜の一方の側において第1の方向から前記膜を介して指向させ、前記膜に沿って第2の方向に指向させ、前記膜の反対側において前記第1の方向とは逆の方向の第3の方向から前記膜を介して指向させ、前記膜に沿って第4の方向に指向させ、これにより前記磁性粒子及び前記流体の巡回的流れを生じさせるように設計された装置。
【請求項8】
請求項1ないし7の何れか一項に記載の装置において、前記磁界発生手段がワイヤ又はコイルであるような装置。
【請求項9】
請求項1ないし8の何れか一項に記載の装置において、前記磁界発生手段が電磁石であるような装置。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか一項に記載の装置において、前記磁界発生手段が永久磁石であるような装置。
【請求項11】
請求項1ないし10の何れか一項に記載の装置において、前記磁界発生手段が、特には回転することにより前記膜に対する位置を変化させる磁石であるような装置。
【請求項12】
請求項1ないし11の何れか一項に記載の装置において、複数の前記磁性粒子が多粒子構造を形成するような装置。
【請求項13】
請求項1ないし12の何れか一項に記載の装置において、前記目標を光学的に検出し、これら目標の量を測定するための光学検出器が設けられる装置。
【請求項14】
請求項1ないし13の何れか一項に記載の装置において、前記磁性粒子の漂遊磁界を誘起させる磁界を発生するための磁界発生ワイヤ又はコイル、及び前記漂遊磁界を測定するための好ましくは巨大磁気抵抗センサである磁界センサが設けられた装置。
【請求項15】
請求項2ないし12の何れか一項に記載の装置において、前記膜の機械的安定性を改善するために該膜に機械的安定器が配設された装置。
【請求項16】
請求項2ないし12の何れか一項に記載の装置において、前記膜が2ないし1000μmの範囲内の厚さ及び50nmないし20μmの範囲内のチャンネルの孔寸法を持つように設計されている装置。
【請求項17】
請求項1ないし16の何れか一項に記載の装置において、前記磁性粒子が、光学的検出のためのマーカとして、好ましくは発光又は蛍光マーカとして設計されている装置。
【請求項18】
装置における膜の異なる部分を介して磁性粒子及び流体を指向させるための制御装置であって、前記装置を介して前記磁性粒子及び前記流体を指向させる目的で磁気手段の磁界強度を変化させる手段を有しているような制御装置。
【請求項19】
請求項18に記載の制御装置において、水平磁気手段の及び垂直磁気手段の磁界強度を変化させるように設計されている制御装置。
【請求項20】
磁性粒子を含む流体を分析する方法であって、
− 次のステップを目的として、前記磁性粒子に磁気力を生じさせるための磁界を発生するステップと、
− 前記流体の運動を生じさせるステップと、
を有するような方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
− 次のステップを目的として、磁気手段の磁界強度を変化させるステップと、
− 前記磁性粒子及び前記流体を、装置を介して指向させるステップと、
を有するような方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法において、
− 前記流体の運動を生じさせるための前記磁性粒子を除去するステップと、
− 特には結合スポットに結合された目標を光学的に測定することにより前記流体を分析するステップと、
を有するような方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法において、
− 装置内の異なる流体成分又は流体を混合する目的で、前記流体の運動を生じさせるステップ、
を有するような方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−524816(P2009−524816A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−551915(P2008−551915)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050121
【国際公開番号】WO2007/085980
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】