説明

流体を自動的に取り扱うためのカートリッジおよび流体処理システムならびに流体処理方法

本発明は、例えば血液といったような流体の自動化した取扱いのために使用し得るようなカートリッジやシステムや方法に関するものである。カートリッジは、例えば隔壁シール容器といったようなシール容器から流体サンプルを抽出し得るように構成することができる。システムは、例えばサンプルを抽出するといったような操作に関してカートリッジを取り扱い得るように、および/または、例えばマイクロタイタープレートといったようなものの内部へとカートリッジからサンプルを導出し得るように、構成することができる。本発明による方法においては、本発明によるカートリッジまたは本発明によるシステムを使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年7月27日付けで出願されたPCT国際特許出願であって、出願人名は、米国以外では、米国の企業である Expert Services Group, Inc.であり、米国では、共に米国民である Gershon Giter および Dmitry Volovik である。 本出願は、2004年7月28日付けで出願された特許文献1の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、例えば血液といったような流体を自動的に取り扱うに際して使用し得るような、カートリッジや、システムや、方法、に関するものである。カートリッジは、例えば隔壁シール容器といったようなシール容器から流体サンプルを取得し得るように構成することができる。システムは、例えばサンプルの取得、および/または、カートリッジから例えばマイクロタイタープレートといったようなものへのサンプルの導出、といったような様々な操作に関し、をカートリッジを操作し得るよう構成することができる。本発明による方法は、本発明によるカートリッジまたは本発明によるシステムを使用することができる。
【背景技術】
【0003】
液体サンプルの処理は、典型的な診療所や診断業者や研究所においては、日常的な操作である。サンプルは、有毒な化学薬品または生物学的危険物質を含有しているかもしれないものではあるけれども、多くの従来的なサンプル処理ステップは、手動で実施されている。危険な液体に関するそのような手動処理のために、研究所の作業者は、エアロゾルに曝されたり刺し傷に受けたりすることがあり得る。例えば、サンプルチューブは、多くの場合、サンプルを収集するために使用されている方法のためにあるいは加熱または冷却していることのためにあるいは攪拌していることのために、正圧または負圧となっている。そのようなチューブを開ける際には、生物学的危険物質のエアロゾルが放出され得る。研究所においては、典型的には、操作者は、危険なエアロゾルを放出するかもしれない開放ステップや他のステップの際には、サンプルを、大きくて高価な隔離フード内へと持ち込む必要がある。
【0004】
手動でのサンプルの取扱いは、サンプルの完全性を損ないかねない。数十個のあるいは数百個のサンプルを取り扱う際には、人為的エラーが不可避的に発生する。人為的エラーは、サンプルの受渡管理を危ういものとし、コスト高であるようなあるいは冗長であるようなテストおよび品質管理を必要とする。さらに、サンプルチューブの開放操作を手動で取り扱うことは、サンプルの相互汚染をもたらしかねない。
【0005】
加えて、手動でのサンプルの取扱いは、労力を要するものであり得る。各作業者は、一度に1つのチューブに関してしか、開口操作および液体の抽出操作を行うことできない。サンプルの取扱い効率を向上させるには、通常、同時的に作業を行う作業者の数を増やすこととなる。そのような手動でのサンプルの取扱いが、研究所の人件費全体の65%を占めるものと推測されている。
【0006】
例えば病原菌テストや遺伝子テストのための全血液分析や血漿分析といったような高処理効率のサンプル処理においては、多数の液体サンプルは、キャップ付きでさらにバーコード化付きで、例えばVACUTAINER(登録商標)チューブといったような、ガラス製のまたはプラスチック製の容器によって、研究所内へと搬入される。そのようなサンプルを処理するための手動の処理手順においては、凝固に関してサンプルをチェックし、バーコードを走査し、対象者とサンプルとの対応関係を検証し、チューブ上に新しい数を記入しあるいはバーコードを配置し、キャリアからチューブを取り外し、チューブの上下をひっくり返し、チューブのキャップを取り外し、チューブキャップを廃棄し、他のチューブ上に同じ新規な数を記入しあるいはバーコードを配置し、そのチューブ内へとサンプルを注ぎ、機械のラックにチューブを配置し、バーコードの読取を行いやすいようにチューブの向きを整え、機械ラックからチューブを取り外し、チューブに対してキャップを再度取り付け、キャリア内に注入を配置する。このような労力に頼った様々な手順のどこかにおいてエラーが発生すれば、作業者が危険物質に対して曝される、あるいは、サンプルを損失しかねない。
【0007】
潜在的に有害な流体を容器から安全にかつ迅速に取り出し得るように、流体取扱いシステムを改良することが、要望されている。
【特許文献1】米国特許出願シリアル番号第10/901,855号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば血液といったような流体の自動化した取扱いのために使用し得るようなカートリッジやシステムや方法に関するものである。カートリッジは、例えば隔壁シール容器といったようなシール容器から流体サンプルを抽出し得るように構成することができる。システムは、例えばサンプルを抽出するといったような操作に関してカートリッジを取り扱い得るように、および/または、例えばマイクロタイタープレートといったようなものの内部へとカートリッジからサンプルを導出し得るように、構成することができる。本発明による方法においては、本発明によるカートリッジまたは本発明によるシステムを使用することができる。
【0009】
一実施形態においては、カートリッジは、流体レセプタクルという態様のものとすることができる。流体レセプタクルは、シール容器からサンプルを抽出し得るように構成することができる。流体レセプタクルは、穿孔システムと、リザーバと、ベントシステムと、充填システムと、を備えることができる。ベントシステムは、シール容器と周囲雰囲気との間における流体連通を提供し得るように、構成することができる。ベントシステムは、バルブ付きのものとすることができる。充填システムは、シール容器とリザーバとの間における流体移動を提供し得るように、構成することができる。充填システムは、ピストンを備えることができる。穿孔システムは、シール容器内へと侵入し得るように構成することができる。穿孔システムは、剛直な導管を備えることができる。リザーバは、流体サンプルを備えるように構成することができる。
【0010】
流体レセプタクルは、さらに支持体を備えている装置の一構成部材とすることができる。支持体は、複数の流体レセプタクルを保持し得るように、構成することができる。
【0011】
一実施形態においては、本発明による方法においては、自動化したシステムを使用して、流体サンプルを取り扱うことができる。本発明による方法においては、サンプル容器から流体レセプタクル内へとサンプル流体を抽出することができ;サンプル容器と流体レセプタクルとを通風することができ;さらに、サンプル流体を、流体レセプタクルから第2容器へと、導出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
『定義』
本明細書においては、容器(例えば、チューブ、バイアル、ジャー、ボトル、等)に関して使用される『シールされている』という用語は、容器の開口が、キャップやメンブランや隔壁やシール部材等によって被覆または閉塞されている状況を意味している。『キャップ付き容器』は、シールされた容器(すなわち、シール容器)の一例である。
【0013】
『本発明によるカートリッジ、システム、および、方法』
本発明は、例えば血液や血清やあるいは他の生物学的流体といったような流体の自動的な取扱いのために使用し得るような、カートリッジ、システム、および、方法に関するものである。有利には、ある種の実施形態においては、本発明は、生物学的危険物質に対する露出というリスクを低減することができ、および/または、サンプルの完全性を損ないかねないエラー発生というリスクを低減することができ、および/または、流体サンプルの取扱いに関して要求される研究所作業者の労力を低減することができる。
【0014】
カートリッジは、例えば隔壁シール容器といったようなシール容器から流体サンプルを抽出し得るように構成することができる。驚くべきことに、一実施形態においては、カートリッジは、シール容器と周囲雰囲気との間において圧力を等しくし得るとともに、カートリッジまたは容器から流体(例えば、エアロゾルといったような流体)を放出することなく、流体サンプルを得ることができる。有利には、ある種の実施形態においては、本発明によるカートリッジは、研究所作業者をエアロゾルに曝す必要のない態様で、および/または、迅速に、および/または、精度良くかつ正確に、および/または、低減された手動取扱いステップ数で、様々なサイズのおよび様々なタイプの任意のシール容器から流体サンプルを抽出し得るように構成することができる。有利には、ある種の実施形態においては、本発明によるカートリッジは、所定範囲のあるいは様々な容量のサンプルを受領し得るように、および/または、廃棄し得るように、および/または、閉じた周囲雰囲気に対して提供し得るように、構成することができる。
【0015】
システムは、高処理速度でのサンプルの取扱いおよび導出を行い得るようにして、自動化することができる。有利には、ある種の実施形態においては、システムは、1時間あたりにつき最大で1000個のサンプル容器という可変のサンプル処理速度を提供し得るように、および/または、可変的なサンプル抽出容量(例えば、約50〜約1000μLといったような容量)を提供し得るように、および/または、可変的なサンプル導出容量を提供し得るように、プログラムすることができる。一実施形態においては、システムは、操作者が容器の向きを特定の向きに揃える必要なく、容器上の識別マーク(例えばバーコード)を自動的に読み込み得るように、構成することができる。有利には、一実施形態においては、システムは、サンプル容器から二次的容器への自動的なサンプル連鎖メンテナンスを提供する。一実施形態においては、シール容器またはサンプル容器は、サンプルを含有することなく、システムから効果的に回収することができ、貯蔵やさらなる処理に供することができる。一実施形態においては、本発明によるシステムは、容器に対して、所定の順序またはシーケンスでもって、あるいは、システムによって変更し得る順序またはシーケンスでもって、操作を行うことができる。
【0016】
本発明による方法においては、シール容器からのサンプルの抽出を自動的に行うことができ、さらに、二次的容器内へとそのサンプルを自動的に供給することができる。本発明による方法においては、シール容器と周囲雰囲気との間において圧力を等しくすることができ、さらに、カートリッジまたは容器から流体(例えば、エアロゾルといったような流体)を放出することなく、流体サンプルを抽出することができる。本発明による方法においては、高処理速度でもって、サンプルを取り扱って導出することができる。例えば、ある種の実施形態においては、本発明による方法においては、1時間あたりにつき最大で1000個というサンプル容器から自動的なサンプル抽出を行うことができる、および/または、任意の様々なサンプル抽出容量(例えば、約50〜約1000μLといったような容量)でもって自動的にサンプル抽出を行うことができる、および/または、可変的なサンプル容量でもって自動的に導出を行うことができる。一実施形態においては、本発明による方法においては、容器を事前的に手動で向き揃えすることなく、容器から識別マーク(例えば、バーコード)を機械的に読み取ることができる。本発明による方法においては、本発明のカートリッジまたはシステムを使用することができる。
【0017】
『カートリッジ』
カートリッジは、シール容器から流体サンプルを抽出し得るように構成することができる。驚くべきことに、一実施形態においては、カートリッジは、カートリッジまたは容器から流体(例えば、エアロゾルといったような流体)を放出することなく、シール容器を通風し得るように構成することができる。つまり、そのような実施形態においては、カートリッジは、容器の内部をその周囲雰囲気に対して連通させる1つまたは複数のフィルタ付きコンジットを備えることができる。そのようなフィルタ付きコンジットは、相対的な負圧を有した容器内への流体連通をもたらすことができる、あるいは、相対的な正圧を有した容器からの流体連通をもたらすことができる。そのような流体連通は、容器とその周囲雰囲気との間において圧力を等しくすることができる。そのような構成は、例えば生物学的危険物質を含有している容器といったような容器からのエアロゾルの放出を防止することができる。これにより、研究所作業者に対して、追加的な安全性を付与することができる。
【0018】
カートリッジは、商業的な目的や研究目的に適した精度および/または正確さでもってシール容器から流体サンプルを迅速に抽出し得るような一回使用物品あるいは使い捨て可能物品として構成することができる。カートリッジは、任意の容量の流体を含有しているような任意の様々なサイズおよび任意の様々なタイプのシール容器から流体サンプルを抽出し得るように構成することができる。さらに、カートリッジは、任意の範囲のサンプル容量を収容し得るように構成することができる。本発明によるカートリッジは、また、特に有毒物質または危険物質を収容しているチューブといったようなシールチューブから流体サンプルを抽出するのに必要な手動取扱いステップ数を低減することができる。
【0019】
シール容器からサンプルを抽出し得るよう、カートリッジの一部は、容器からキャップまたはシール部材を取り外すことなく、シール容器内に侵入し得るように構成することができる。例えば、カートリッジは、容器上のシール部材を通して1つまたは複数の導管を挿入するように構成することができる。有利には、カートリッジは、周囲雰囲気とシール容器内部との間において通風し得るようにあるいは圧力を等しくし得るように構成することができる。一実施形態においては、カートリッジは、カートリッジを通して容器から通風される任意の流体またはエアロゾルが周囲雰囲気へと放出される前にそのような流体またはエアロゾルを濾過するように、構成することができる。一実施形態においては、カートリッジは、カートリッジを通して容器から通風される任意の液体が周囲雰囲気へと放出される前にそのような液体を捕捉し得るように、構成することができる。
【0020】
カートリッジは、容器から流体サンプルを抽出し得るように構成することができる。カートリッジは、容器内へと1つまたは複数の導管を挿入し得るように構成することができる。カートリッジは、導管を通してチャンバ内へと流体を吸引し得るように構成することができる。カートリッジは、チャンバ内に流体を保持し得るように構成することができる。一実施形態においては、カートリッジは、その流体を処理することなくまた変更することなく、保持した流体を導出し得るように、構成することができる。
【0021】
一実施形態においては、複数のカートリッジは、互いに組み合わせて構成することができる。例えば、サンプルを抽出し得るよう複数のカートリッジの各々が複数のシール容器の各々の近傍に配置され得るような間隔でもって、複数のカートリッジを、ラック内に配置することができる。さらに例示するならば、複数のシール済みサンプル容器は、複数のカートリッジの近傍に配置することができる。これにより、カートリッジに対してのサンプルの移送を容易なものとすることができる。カートリッジのラックは、シール容器のラックと係合し得るように構成することができる。一実施形態においては、複数のカートリッジが配置されたラックと、複数のシール容器が配置されたラックとは、一体的ユニットを形成するようにして、互いに連結することができる。
【0022】
一実施形態においては、カートリッジとラックとは、ラックに対しての様々な任意の位置にカートリッジを配置し得るように、構成することができる。例えば、カートリッジのうちの、シール容器内へと進入する部分は、ラック内において位置決めすることができる。これに代えて、カートリッジのうちの、シール容器内へと進入する部分は、容器内へと侵入し得る十分な距離の分だけ、ラックから突出することができる。一実施形態においては、カートリッジは、ラックから取り外すことができる。シール容器のラックは、ラックのうちの、カートリッジのラックと係合し得る部分の基端側にあるいは先端側に配置された容器を備えることができる。
【0023】
『カートリッジおよびその支持体の実施形態』
一実施形態においては、カートリッジは、装置の構成部材とすることができる。装置は、流体レセプタクルという態様とされたカートリッジを備えることができる。流体レセプタクルは、シール容器からサンプル(例えば、流体サンプル)を抽出し得るように、構成することができる。流体レセプタクルは、少なくとも1つの穿孔システムと、リザーバと、ベントシステムと、充填システムと、を備えることができる。そのような実施形態においては、ベントシステムは、シール容器と周囲雰囲気との間の流体連通を提供し得るように、構成することができる。充填システムは、シール容器とリザーバとの間における流体移動を提供し得るように、構成することができる。穿孔システムは、シール容器内に侵入し得るように、構成することができる。リザーバは、流体サンプルを収容し得るように、構成することができる。装置は、複数の流体レセプタクルを備えることができる。
【0024】
装置は、さらに、支持体を備えることができる。支持体は、複数の流体レセプタクルを保持し得るように、構成することができる。一実施形態においては、支持体は、支持体ボディと、複数のレセプタクル保持部材と、を備えることができる。1つまたは複数のレセプタクル保持部材は、流体レセプタクルによって占有することができる。一実施形態においては、複数の流体レセプタクル自体が、支持体を形成する。一実施形態においては、支持体は、ラックに対して連結し得るように、構成することができる。ラックは、複数のシール容器を収容し得るように、構成することができる。
【0025】
一実施形態においては、流体レセプタクルは、支持体に対して可逆的に係合し得るように構成された位置合わせフィンを備えることができる。そのような実施形態においては、支持体は、位置合わせフィンに対して係合し得るよう構成し得る1つまたは複数の位置合わせグルーブを形成することができる。一実施形態においては、流体レセプタクルは、1つまたは複数の位置合わせ突起を備えることができる。位置合わせ突起は、支持体に対して可逆的に係合し得るように、構成することができる。そのような実施形態においては、支持体は、流体レセプタクルチャネルと、位置合わせグルーブと、を形成することができる。流体レセプタクルチャネルは、流体レセプタクルを収納し得るように、構成することができる。位置合わせグルーブは、位置合わせ突起に対して可逆的に係合し得るように、構成することができる。
【0026】
一実施形態においては、流体レセプタクルは、穿孔システムと、リザーバと、充填システムと、ベントシステムと、を備えることができる。一実施形態においては、穿孔システムは、剛直な導管を備えることができる。剛直な導管は、容器からリザーバに対しての流体連通を提供し得るように、構成することができる。一実施形態においては、剛直な導管は、ニードルを備えることができる、あるいは、ニードルとすることができる。一実施形態においては、リザーバは、リザーバハウジングを備えている。リザーバハウジングは、流体チャンバを形成することができる。一実施形態においては、充填システムは、第1ピストンを備えることができる。第1ピストンは、往復移動可能であるように、構成することができる。第1ピストンは、リザーバハウジングに対してシール可能に係合することができる。第1ピストンの移動により、剛直な導管を通して流体チャンバ内へと流体を吸引することができる。第1ピストンの逆向きの移動により、流体を、流体チャンバから吐出することができる。一実施形態においては、第1ピストンは、第1シール部材を備えることができる。
【0027】
一実施形態においては、流体レセプタクルは、穿孔システムと、リザーバと、充填システムと、バルブ付きベントシステムと、を備えることができる。一実施形態においては、バルブ付きベントシステムは、第2ピストンと、フィルタと、第1ベントコンジットと、第2ベントコンジットと、ベントボディと、を備えることができる。第1ピストンは、第1ベントコンジットと、第2ベントコンジットと、を形成することができる。第1ベントコンジットと、ベントボディと、第2ベントコンジットとは、剛直な導管から、流体レセプタクルの周囲雰囲気へと、流体連通を提供し得るように、構成することができる。フィルタは、第1ベントコンジットから第2ベントコンジットへと通過する流体を濾過し得るように、構成することができる。
【0028】
そのような実施形態においては、第2ピストンは、往復移動可能であるように構成し得るとともに、バルブボディに対してシール可能に係合し得るように構成することができる。第2ピストンは、第2コンジットから移動(あるいは、離間)した位置から、第1ベントコンジットから第2ベントコンジットへの流体の流れを妨げる位置へと、往復運動し得るように、構成することができる。一実施形態においては、第2ピストンは、第2シール部材を備えることができる。
【0029】
一実施形態においては、ベントシステムは、剛直な導管と、流体チャネルと、フィルタと、を備えることができる。この実施形態においては、剛直な導管と流体チャネルとは、容器とフィルタとの間において流体連通を提供し得るように、構成することができる。フィルタは、液体および固体を保持し得るように、構成することができる。フィルタは、流体チャネルから周囲雰囲気へのガスの連通を提供し得るように、構成することができる。一実施形態においては、剛直な導管は、ニードルを備えることができる、あるいは、ニードルとすることができる。
【0030】
1つまたは複数のニードルを備えた実施形態は、さらに、1つまたは複数のシースを備えることができる。単一のシースは、1つまたは複数の(例えば、2つの)ニードルの部分を囲むことができる、ニードルとシースとを備えた実施形態においては、シースは、ニードルの少なくとも一部を囲み得るように、構成することができる。
【0031】
一実施形態においては、カートリッジは、例えば約50mLといったような少量から約1,000mLといったような量の、サンプル容量を収容し得るように、構成することができる。一実施形態においては、カートリッジは、自動化したアセンブリによって形成することができる。カートリッジは、例えば円形や楕円形や矩形や正方形といったように、任意の様々な横断面形状のものとすることができる。
【0032】
カートリッジは、任意の様々なタイプおよび構成のシール容器に対して連結し得るように、あるいは、任意の様々なタイプおよび構成のシール容器の中に侵入し得るように、構成することができる。シール容器は、任意の様々なシール部材やキャップやあるいは隔壁によって、シールすることができる。例えば、ある種の実施形態においては、カートリッジは、VACUTAINER(登録商標)タイプのあるいはHEMOGARD(登録商標)タイプのチューブキャップによってシールされた容器内へと侵入し得るように、構成することができる。シール容器は、任意の様々な長さおよび直径を有した任意の様々なサンプルチューブとすることができる。ある種の実施形態においては、カートリッジは、約75mm〜約125mmという高さおよび約9mm〜約16mmという直径を有したチューブに対して連結し得るように構成することができ、そのようなチューブからサンプルを抽出することができる。例えば、チューブの長さは、47mmや、64mmや、75mmや、82mmや、100mmや、120mmや、あるいは、125mm、とすることができる。例えば、チューブの直径は、9mmや、10.25mmや、12.5mmや、13mmや、15mmや、あるいは、16mm、とすることができる。チューブは、任意の様々な材料から形成することができ、例えばガラスまたはプラスチックから形成することができる。チューブは、任意の様々な容量のサンプルを収容することができ、例えば約0.5〜約20mLといったような容量のサンプルを収容することができる。
【0033】
一実施形態においては、カートリッジは、カートリッジの表面から容器上のシール部材を通過しさらに容器内へと延在し得るよう、十分に長い導管を備えている。そのようなカートリッジは、サンプルが剛直な導管の開口に対して接触し得るようにおよび/または容器のシール部材に対して接触し得るように容器が正しい向きとされている場合には(例えば、上下がひっくり返されている場合には)、任意の様々な容量のサンプルを収容した容器から、サンプルを抽出することができる。
【0034】
『カートリッジの図示の実施形態』
図1は、レセプタクル5という態様とされた本発明によるカートリッジの一実施形態を概略的に図示している。レセプタクル5は、穿孔システム7と、リザーバ9と、充填システム13と、ベントシステム11と、を備えてなる実施形態とされている。穿孔システム7は、シール容器へと侵入し得るように、構成することができる。例えば、穿孔システム7は、シール容器上の隔壁を穿孔し得るように、構成することができる。一実施形態においては、穿孔システムは、少なくとも1つのニードルを備えている。充填システム13は、リザーバ9内へとシール容器からの流体を移送し得るように、構成することができる。一実施形態においては、充填システム13は、リザーバ9内に負圧を生成することができ、これにより、穿孔システム7を通してレセプタクル5内へと流体を誘導することができる。
【0035】
ベントシステム11は、シール容器および/またはリザーバ9から、周囲雰囲気への、流体連通を提供し得るように、構成することができる。一実施形態においては、ベントシステム11により、シール容器内のおよび/またはリザーバ9内の正圧を解消することができる。一実施形態においては、ベントシステム11により、シール容器内のおよび/またはリザーバ9内の負圧を解消することができる。いくつかの実施形態においては、フィルタ(図示せず)が、ベントシステム11に対して流体連通可能に(例えば、ベントシステム11の内部に)配置されている。そのようなフィルタは、もしもそのようなフィルタが設けられていなければシール容器またはレセプタクル5から周囲雰囲気へと逃げてしまいかねないような液体や固体やあるいはエアロゾルを保持することができる。
【0036】
ベントシステム11は、周囲雰囲気と、レセプタクル5および/またはシール容器と、の間における選択的な流体連通を提供し得るように、構成することができる。一実施形態においては、ベントシステム11は、バルブ付きベントシステム41という態様のものとすることができる。バルブ付きベントシステム41は、付加的なベントバルブ42を備えることができる。バルブ付きベントシステム41は、周囲雰囲気と、レセプタクル5および/またはシール容器と、の間においてバルブ付きの流体連通を提供し得るように、構成することができる。例えば、バルブ付きベントシステム41(例えば、ベントバルブ42)は、周囲雰囲気とレセプタクル5および/またはシール容器との間の流体連通を可能とする第1状態から、周囲雰囲気とレセプタクル5および/またはシール容器との間の流体連通を禁止した第2状態へと、移動させるあるいは移行させことができる。一実施形態においては、バルブ付きベントシステム41(例えば、ベントバルブ42)は、リザーバ9内の正圧によってリザーバ9から周囲雰囲気への流体連通を提供しておりなおかつ周囲雰囲気からリザーバ9への流体連通を禁止した状態とすることができる。
【0037】
図2は、本発明によるレセプタクル5の他の実施形態を概略的に図示している。図2は、剛直な導管19を概略的に図示している。剛直な導管19は、穿孔システム7の一実施形態である。一実施形態においては、剛直な導管19が、ニードル(図示せず)の態様とすることができる。剛直な導管19は、シール容器(図示せず)とレセプタクル5の内部との間における流体連通を提供することができる。図2は、リザーバハウジング21という態様とされたリザーバ9の一実施形態を概略的に図示している。リザーバハウジング21は、流体チャンバ23を形成している(例えば、図3および図4も、参照されたい)。
【0038】
図2は、バルブ付きベントシステム41の一実施形態として、ピストン式ベントシステム43を概略的に図示している。ピストン式ベントシステム43は、第1ピストン25と、第2ピストン29と、付加的なフィルタ31と、第1ベントコンジット33と、第2ベントコンジット35と、第2シール部材39と、を備えている。第1ピストン25は、ベントチャンバ37を形成している。ベントチャンバ37は、付加的なフィルタ31を収納することができる。フィルタ31と第1ピストン25とフィルタ31とを備えてなる図示の実施形態は、ポストフィルタベントチャンバ38と、プレフィルタベントチャンバ45と、を形成している。この実施形態においては、第1ピストン25は、第1ベントコンジット33を形成している。図2に示すように、第1ベントコンジット33は、剛直な導管19とベントチャンバ45および/または38との間における流体連通を提供し得るように、構成されている。
【0039】
図2に図示された実施形態においては、ベントチャンバ38および/または45内の流体は、あるいは、ベントチャンバ38および/または45内へと流入する流体は、フィルタ31を通過することができる。フィルタ31は、流体内の固体または液体や液体やあるいはエアロゾルを保持することができる。しかしながら、ガスについては、ベントチャンバ38および/または45を通して、第2ベントコンジット35内へと通過させることができる。流体(例えば、ガス)は、第2ベントコンジット35を通して周囲雰囲気へと通過することができる。流体がフィルタを通過しなければならないようにして、フィルタ31を、第1ベントコンジット33から第2ベントコンジット35までの流体流路内に配置することができる。例えば、フィルタ31を、第1ベントコンジット33と第2ベントコンジット35との間に配置し得るとともに、ベントチャンバ38,45の間の横断面を占有することができる。
【0040】
図2に図示された実施形態においては、第2ピストン29は、その第1位置にある。この第1位置においては、第2ピストン29は、ベントチャンバ38から第2ベントコンジット35まで流体流れを妨げない。
【0041】
図3に示すように、第2ピストン29は、その第2位置に配置することもできる。この第2位置においては、第2ピストン29は、ベントチャンバ38および/または45から、第2ベントコンジット35に対してのあるいは第2ベントコンジット35内への、流体流れを妨げている。ピストン式ベントシステム43は、第2位置とされた第2ピストン29によって閉塞されたものとなっている。図3は、第2ピストン29に関する1つの第2位置を詳細に図示しているけれども、第2ピストン29は、また、ベントチャンバ38および/または45から第2ベントコンジット35に対してのあるいは第2ベントコンジット35内への流体流れを妨げるような任意の様々な位置に配置することができる。これら様々な位置のどれでも、第2位置と考えることができる。
【0042】
第2ピストン29は、任意の様々な機構を使用することによって、第1位置から第2位置へと、あるいは、第2位置から第1位置へと、移動させることができる。例えば、第2ピストン29は、手動で移動させることができる。さらに例示するならば、第2ピストン29は、本発明による流体取扱いシステムによって移動させることができる。そのような実施形態においては、第2ピストン29は、例えば、流体取扱いシステムの駆動ピストンまたは駆動システムに対して連結し得るようなあるいは相互作用し得るような部材やキャビティやあるいは表面を備えることができる。
【0043】
一実施形態においては、第2ピストン29は、第1ピストン25に対してシール可能に係合する。第2ピストン29は、この目的のために、任意の様々なシール部材を備えることができる。例えば、第2ピストン29は、第1ピストン25に対してシール可能に係合するような、環状フラップまたはV−シール部材を備えることができる。図示の実施形態においては、第2ピストン29は、Oリングとして図示されているような第2シール部材39を備えている。これに代えて、第2ピストン29および第1ピストン25は、追加的なシール部材を必要とすることなくそのような密封係合を提供し得るように、構成することができる。
【0044】
図3は、特に2個ピストン式充填システム24とされているようなピストン式充填システム22という実施形態とされた充填システム13の一実施形態を概略的に図示している。2個ピストン式充填システム24というこの実施形態は、第1ピストン25と、第1シール部材27と、第2ピストン29と、第2シール部材39と、を備えている。第1ピストン25は、リザーバハウジング21によって形成された流体チャンバ23内に配置されている。第1ピストン25は、流体チャンバ23内の任意の様々な位置に配置することができ、付加的には、流体チャンバ23から取り外すことができる。図2および図3は、剛直な導管19の近傍の部分(例えば、端部)が第1位置に配置された第1ピストン25を図示している。
【0045】
図4は、その第2位置に配置された第1ピストン25を図示している。その第2位置においては、第1ピストン25は、その第1位置と比較して、流体チャンバ23のより少ない部分を占有している。ピストン式ベントシステム43が閉塞状態とされていることにより、その第1位置からその第2位置へと第1ピストン25を移動させることによって、流体導管19を通して流体チャンバ23内へと流体を吸引することができる。
【0046】
一実施形態においては、第1ピストン25は、リザーバハウジング21に対してシール可能に係合する。第1ピストン25は、この目的のために任意の様々なシール部材を備えることができる。例えば、第1ピストン25は、リザーバハウジング21に対してシール可能に係合するような、環状フラップまたはV−シール部材を備えることができる。図示の実施形態においては、第1ピストン25は、O−リングとして図示された第1シール部材27を備えている。これに代えて、第1ピストン25およびリザーバハウジング21は、追加的なシール部材を必要とすることなくそのような密封係合を提供し得るように、構成することができる。
【0047】
図2〜図4に図示したレセプタクル5の実施形態の動作は、以下のようなものとすることができる。第1ピストン25と第2ピストン29との各々がそれらの第1位置とされた状態で、剛直な導管19を、シール容器内へと挿入することができる。この構成においては、ピストン式ベントシステム43は、開放状態とされており、流体圧力を、シール容器と周囲雰囲気との間において等しいものとすることができる。例えば、シール容器の内部が周囲雰囲気より高い圧力であるならば、圧力は、シール容器から逃げることができ、その際、フィルタ31は、その圧力によって放出される(例えば、エアロゾルから放出される)固体または液体を保持することができる。例えば、シール容器の内部が周囲雰囲気より低い圧力であるならば、周囲雰囲気からのガスが、シール容器内へと流入することができる。その際、フィルタ31は、周囲雰囲気からの液体または固体(例えば、オイルまたはゴミ)が容器内へと流入することを防止することができる。その後、第2ピストン29を、その第2位置に配置することができる。第2ピストン29がその第2位置とされている場合には、ピストン式ベントシステムは、閉塞状態にある。第2ピストン29をその第2位置とした状態で、第1ピストン25をその第2位置へと移動させることにより、剛直な導管19を通して、流体チャンバ23内へと流体を吸引することができる。
【0048】
図5は、フィン付きのレセプタクル100の斜視図を概略的に図示している。このレセプタクル100は、レセプタクル5の他の実施形態をなすものである。この実施形態においても、穿孔システム7の一実施形態として、剛直な導管19が設けられている。この実施形態においては、剛直な導管19は、ニードル(図示せず)の態様とすることができ、および/または、シール容器(図示せず)とフィン付きレセプタクル100の内部との間における流体連通を提供することができる。
【0049】
図5は、リザーバボディ102という態様とされたリザーバハウジング21の一実施形態を概略的に図示している。リザーバボディ102は、流体チャンバ23の一実施形態を形成している(例えば、図2〜図4を参照されたい)。この図示の実施形態は、流体ピストン110を備えている。この流体ピストン110は、第1ピストン25の一実施形態である。図示のように、流体ピストン110は、少なくとも部分的にリザーバボディ102内に配置し得るとともに、流体チャンバ23を少なくとも部分的に充填することができる。図示の流体ピストン110は、外側端部113のところにフランジ112を備えている。フランジ112および流体ピストン110は、グルーブ115を形成している。フランジ112および/またはグルーブ115は、リザーバボディ102に対して流体ピストン110を移動させ得る装置に対して連結することができる。これは、例えば、リザーバボディ102を移動させながら流体ピストン110を保持することによって、あるいは、流体ピストン110を移動させながらリザーバボディ102を保持することによって、あるいは、リザーバボディ102と流体ピストン110との双方を移動させることによって、
達成することができる。加えて、フランジ112および/またはグルーブ115は、フィン付きレセプタクル100を移動させ得る装置に対して連結することができる。
【0050】
図5は、さらに、ベントピストン116の外側端部117を概略的に図示している。ベントピストン116は、流体ピストン110によって形成されたベントキャビティ122内に配置されている。ベントピストン116は、井戸114を形成している。井戸114は、流体ピストン110および/またはリザーバボディ102に対してベントピストン116を移動させ得る装置に対して連結することができる。
【0051】
図6は、図5におけるA−A’線に沿ってレセプタクル5の一実施形態を概略的に示す矢視断面図である。図6は、ピストン式ベントシステム43の一実施形態を概略的に図示している。ピストン式ベントシステム43のこの実施形態は、流体ピストン110と、ベントピストン116と、付加的なベントフィルタ128と、第1ベントコンジット130と、第2ベントコンジット122と、ベントピストンシール部材124と、を備えている。この実施形態においては、流体ピストン110は、第1ベントコンジット130と、少なくとも1つの第2ベントコンジット122と、ベントチャンバ138と、を形成している。図6に示すように、第1ベントコンジット130は、剛直な導管119とベントチャンバ138との間における流体連通を提供し得るように、構成されている。
【0052】
図6で示すようなピストン式ベントシステム43の実施形態は、さらに、ベントフィルタ128を備えることができる。ベントフィルタ128は、フィルタ31の一実施形態であって、フィルタ31と同様に構成して配置して機能することができる。
【0053】
図6に示すように、ベントピストン116は、少なくとも部分的にベントチャンバ138内に配置することができる。一実施形態においては、ベントピストン116は、第2ベントコンジット122または流体ピストン110に対してシール可能に係合する。ベントピストン116は、この目的のために、任意の様々なシール部材を備えることができる。例えば、ベントピストン116は、第2ベントコンジット122に対してシール可能に係合するような、環状フラップまたはV−シール部材を備えることができる。図示の実施形態においては、ベントピストン116は、Oリングとして図示されたベントシール部材124を備えている。これに代えて、ベントピストン116と、第2ベントコンジット122または流体ピストン110とは、追加的なシール部材を必要とすることなくそのような密封係合を提供し得るように、構成することができる。
【0054】
図6に示す実施形態においては、ベントピストン116は、その第1位置にある。この第1位置においては、ベントピストン116は、ベントチャンバ138から第2ベントコンジット122までへの流体流れを妨げない。流体ピストン110のうちの、第2ベントコンジット122を形成している部分以外の部分は、ベントピストン116またはシール部材に対して接触することができる。例えば、図9は、第2ベントコンジット122の領域を除いて、流体ピストン110に対して着座しているベントピストン116の実施形態を図示している。
【0055】
図7に示すように、ベントピストン116は、また、その第2位置(第2ピストン29の場合と同様の第2位置)に配置することができる。この第2位置においては、ベントピストン116は、ベントチャンバ138から第2ベントコンジット122に対してのあるいは第2ベントコンジット122内への流体流れを妨げている。ピストン式ベントシステム43のこの実施形態は、ベントピストン116がその第2位置とされることによって閉塞されたものとすることができる。図7は、ベントピストン116に関する1つの第2位置を詳細に図示しているけれども、ベントピストン116は、また、ベントチャンバ138から第2ベントコンジット122に対してのあるいは第2ベントコンジット122内への流体流れを妨げるような任意の様々な位置に配置することができる。これら様々な位置のどれでも、第2位置と考えることができる。
【0056】
ベントピストン116は、第2ピストン29の一実施形態である。よって、ベントピストン116は、第2ピストン29を移動させるのに適した任意の様々な機構を使用することによって、第1位置から第2位置へと、あるいは、第2位置から第1位置へと、移動させることができる。例えば、ベントピストン116は、例えば、矢印136(図6)によって示されているように、ベントチャンバ138内において往復移動的に移動させることができる。
【0057】
図7は、2個ピストン式充填システム24の一実施形態を概略的に図示している。2個ピストン式充填システム24のこの実施形態は、流体ピストン110と、流体ピストンシール部材126と、ベントピストン116と、ベントピストンシール部材124と、を備えている。流体ピストン110は、リザーバボディ102によって形成された流体チャンバ23内に配置されている。流体ピストン110は、流体チャンバ23内の任意の様々な位置に配置することができ、付加的には、流体チャンバ23から取り外すことができる。図6および図7は、剛直な導管119に近位の部分(例えば端部といったような)でその第1位置で配置される流体ピストン110を概略的に図示している。
【0058】
図7に示すように、流体ピストン110は、少なくとも部分的に流体チャンバ23内に配置することができる。一実施形態においては、流体ピストン110は、リザーバボディ102に対してシール可能に係合する。流体ピストン110は、この目的のために、任意の様々なシール部材を備えることができる。例えば、流体ピストン110は、リザーバボディ102に対してシール可能に係合するような、環状フラップまたはV−シール部材を備えることができる。図示の実施形態においては、流体ピストン110は、O−リングとして図示された流体ピストンシール部材126を備えている。これに代えて、流体ピストン110およびリザーバボディ102は、追加的なシール部材を必要とすることなくそのような密封係合を提供し得るように、構成することができる。
【0059】
図8は、その第2位置に配置された流体ピストン110を図示している。その第2位置においては、流体ピストン110は、その第1位置と比較して、流体チャンバ23のより少ない部分を占有している。ピストン式ベントシステム43が閉塞状態とされていることにより、その第1位置からその第2位置へと流体ピストン110を移動させることによって、流体導管119を通して流体チャンバ23内へと流体140を吸引することができる。
【0060】
図6〜図8に図示したレセプタクル5の実施形態の動作は、図2〜図4に図示した上記実施形態の場合と同様のものとすることができる。流体ピストン110は、第1ピストン25の一実施形態である。ベントピストン116は、第2ピストン29の一実施形態である。
【0061】
図6に示すように、ベントピストン116は、その第1位置にある、この第1位置においては、ベントチャンバ138は、少なくとも1つの第2ベントコンジット122によって、周囲雰囲気に対して流体連通状態にある。ベントチャンバ138は、さらに、ベントフィルタ128と、第1ベントコンジット130と、剛直な導管119と、に対して、流体連通状態とすることもできる。ベントピストン116をその第1位置とした状態においては、流体は、剛直な導管119と第1ベントコンジット130と付加的なフィルタ128とベントチャンバ138と第2ベントコンジット122とを通して周囲雰囲気に対して通過することができる。ベントピストン116は、その第2位置に配置することができる。ベントピストン116がその第2位置にある場合には、チャンバ138は、第2ベントコンジット122に対する流体連通状態ではない。この第2位置においては、ベントピストン116と付加的なベントシール部材124とは、第2ベントコンジット122を閉塞する。ベントピストン116がその第2位置にある場合には、流体は、剛直な導管119から周囲雰囲気へと通過することができない。
【0062】
図9は、図5におけるB−B’線に沿ってリザーバボディ102および流体ピストン110の一実施形態を概略的に示す矢視断面図である。この図は、2つの第2ベントコンジット122を示している。これらは、流体ピストン110によって形成されたボイドである。この図は、さらに、第2ベントコンジット122の領域を除いて、流体ピストン110に対して着座しているベントピストン116の実施形態を図示している。
【0063】
『カートリッジのラックに関する図示の実施形態』
図10は、本発明によるカートリッジのラック201の一実施形態を概略的に図示している。カートリッジのラック201のこの実施形態は、支持体203と、複数の流体レセプタクル205と、を備えている。支持体203は、支持体217と、レセプタクル205を保持するためのレセプタクル保持部材215と、を備えている。
【0064】
図11は、カートリッジアレイ300を概略的に図示している。カートリッジアレイ300は、カートリッジのラックの他の実施形態である。カートリッジアレイ300は、フィン付きレセプタクル100という態様の複数の流体レセプタクル5を備えている。カートリッジアレイ300の図示の実施形態は、複数のフィン付きレセプタクル100からなるストリップあるいは直線状アレイという態様で、構成されている。この実施形態においては、支持体203は、例えば1つまたは複数のフィン103といったような、フィン付きレセプタクル100の一部から、構成することができる。
【0065】
カートリッジアレイ300の複数の流体レセプタクル5は、任意の様々な機構によって互いに連結することができる。例えば、それら流体レセプタクルどうしは、化学的接着剤によって、あるいは、機械的に、連結することができる。一実施形態においては、複数の流体レセプタクル5は、複数の流体レセプタクル5をユニットとして一緒に保持するラックによって連結することができる。一実施形態においては、1つまたは2つの一体的ユニットは、複数のリザーバボディ102およびフィン103を形成することができる。例えば、リザーバボディ102と、カートリッジアレイ300のフィンの部分103とは、他方の部材に対して組み付けられ得る2つの半体として形成することができ、カートリッジアレイ300を形成するように互いに連結することができる。
【0066】
カートリッジアレイ300は、少なくとも1つの付加的な凹所352を形成することができる。凹所352は、操作を補助することができる。凹所352は、カートリッジアレイ300の一方または双方の側部に設けることができる。図11は、カートリッジラック300の中央において凹所352を図示しているけれども、少なくとも1つの凹所352は、カートリッジアレイ300の一端に向けてといったようにして、他の位置に配置することができる。
【0067】
『カートリッジラックと、シール容器ラックと、に関する図示の実施形態』
図12は、複数のシール容器のためのラックの一実施形態をなす容器支持体400に対して連結されたカートリッジアレイ300を概略的に図示している。この図においては、第1側方ハウジング402は、第2側方ハウジング412に対して係合したものとして図示されている。第1側方ハウジング402と第2側方ハウジング412とは、シール容器に関する複数の実施形態と、背の高いチューブ456と、背の低いチューブ458と、を支持している。この図示の実施形態においては、各々の側方ハウジングは、少なくとも1つの張出部材406と、少なくとも1つのガイドスロット409と、を備えている。ガイドスロット409および張出部材406を使用することにより、アセンブリ上において動作するシステム内において、容器支持体400とカートリッジアレイ300とを位置合わせすることができる。ガイドスロット409は、カートリッジアレイ300上のフィン103(図5において、カートリッジの底部上に図示されている)に対して係合することができる。ラッチ403を使用することにより、1つまたは複数のカートリッジアレイ300と第1側方ハウジング402と第2側方ハウジング412とを連結することができる。
【0068】
図13は、カートリッジアレイ300に対して連結された図12の容器支持体400を、部分断面図でもって概略的に図示している。この図は、さらに、背の高いチューブ456と、背の低いチューブ458と、上位置に配置されたチューブ506と、を示している。背の高いチューブ456は、第1バーコード557によってラベル付けされている。背の低いチューブ458は、第2バーコード559によってラベル付けされている。上位置に配置されたチューブ506は、第3バーコード561によってラベル付けされている。複数のチューブは、隔壁キャップ560の形態とされたシール構造の実施形態を備えたものとして、図示されている。隔壁キャップは、カートリッジアレイ300の剛直な導管319を向いた向きとされている。各チューブは、チューブホルダ504内において、それぞれの長手方向軸線まわりに自由に回転することができる。そのような回転可能性により、操作者またはシステムは、チューブを回転させることができる。これにより、第1側方ハウジング402によって形成されているコードウインドウ505を通して、それぞれのバーコードを読み取ることができる。
【0069】
当業者であれば、容器支持体400内に、様々な高さ位置とされたサンプルチューブを収容し得ることは、理解されるであろう。図13は、最大で8本のチューブを収容し得る容器支持体400の一実施形態を概略的に図示している。しかしながら、当業者であれば、容器支持体400のサイズを変更することによって、任意の数のチューブを収容し得ることは、理解されるであろう。
【0070】
図14は、容器支持体300の第1側方ハウジング402を概略的に図示している。第1側方ハウジング402は、複数のチューブホルダ504を備えている。各チューブホルダ504は、例えば背の高いチューブ456や背の低いチューブ458や上位置に配置されたチューブ506といったような様々なチューブを保持することができる。第1側方ハウジング402は、複数のコードウインドウ505を形成している。コードウインドウ505通して、サンプルチューブの外面上のデータを読み取ることができる。第1側方ハウジング402は、さらに、フィンスロット409を形成している。フィンスロット409は、カートリッジアレイ300のフィン103を収容し得るとともに、サンプルチューブ(例えば、456、458、あるいは、506)に対する連結のためにカートリッジアレイ300を位置合わせすることができる。
【0071】
図15は、図14に示すように容器支持体300の第1側方ハウジング402を概略的に図示している。チューブホルダ504内には、背の高いチューブ456と、背の低いチューブ458と、が収容されている。
【0072】
『方法』
本発明は、例えば血液や血清やあるいは他の生物学的流体といったような流体を取り扱うための方法を備えている。本発明による方法においては、本発明のカートリッジおよび/またはシステムを使用することができる。本発明による方法においては、シール容器(例えば、隔壁シール容器)とその周囲雰囲気との間において圧力を等しくすることができる、および/または、(容器からシール部材を取り外すことなく)シール容器からサンプルを抽出することができる、および/または、レセプタクル内へとそのサンプルを導出することができる。一実施形態においては、本発明による方法においては、周囲雰囲気に対してシール容器から流体(例えば、エアロゾルといったような流体)を放出することなく、流体サンプルを抽出することができる。
【0073】
本発明による方法は、自動化されたようなあるいは半自動化されたようなシステムによって実施することができる。一実施形態においては、自動化した方法によって、高処理速度でのサンプルの取扱いと導出とを行うことができる。そのような高処理速度での方法においては、1時間あたりにつき最大で1000個というサンプル容器からサンプル抽出を行うことができる、および/または、任意の様々なサンプル抽出容量(例えば、約50〜約1000μLといったような容量)でもってサンプル抽出を行うことができる、および/または、可変的なサンプル容量でもって導出を行うことができる。
【0074】
一実施形態においては、自動化した方法においては、容器から識別マーク(例えば、バーコード)を機械的に読み取ることができる。有利には、機械的な読取は、容器を事前的に手動で向き揃えすることなく、行うことができる。例えば、一実施形態においては、機械は、識別マークを機械的に読み取り得る向きも含めた様々な向きへと、シール容器を移動させる(例えば、回転させる)ことができる。自動化した方法においては、さらに、識別マークを使用して、サンプル容器からレセプタクルへの自動化的なサンプル管理を維持することができる。一実施形態においては、本発明による方法においては、所定のシーケンスでもってサンプルを処理することができる。一実施形態においては、本発明による方法においては、少なくとも1つのサンプルの少なくとも1つの特性に応答してシステムによって決定されたシーケンスでもってサンプルを処理することができる。
【0075】
一実施形態においては、本発明による方法においては、シール容器内へと導管を付勢することができる。これは、容器からキャップまたはシール部材を取り除くことなく、行うことができる。本発明による方法においては、さらに、シール容器から通風を行うこともできる。通風の際には、シール容器内へと流入するあるいはシール容器から放出されるすべての流体を濾過することができる。濾過により、例えば、容器から放出されるすべての固体または液体(例えば、エアロゾルからの固体または液体)を捕捉することができ、また、周囲雰囲気から流入するすべての液体または固体を捕捉することができる。本発明による方法においては、さらに、サンプルの導出後には、サンプルを抽出するに際して使用したカートリッジあるいは他の物品を廃棄することができる。
【0076】
一実施形態においては、本発明による方法においては、複数のカートリッジからなるアセンブリを、複数のサンプル容器からなるアセンブリに対して、連結することができる。そのような連結においては、カートリッジとサンプル容器とを1対1の対応関係でもって関係づけることができる。
【0077】
一実施形態においては、本発明による方法においては、シール容器からの通風を行い、その際、容器から放出されるすべての流体をトラップまたは濾過する。本発明による方法においては、さらに、シール容器から流体サンプルを抽出する。一実施形態においては、通風および抽出に際しては、シール容器上の隔壁を穿孔する。通風および抽出は、例えば本発明によるカートリッジといったような単一の装置を使用して行うことができる。一実施形態においては、本発明による方法においては、複数のシール容器に対して、同時に動作する。例えば、本発明による方法においては、通風および抽出を行う複数の各装置を、一度に、複数のシール容器の各々の近傍に配置する。本発明による方法においては、オーバーラップした時間で、あるいは、迅速なシーケンスでもって、複数の装置が同時に動作し、通風と抽出とを行う。
【0078】
本発明による方法においては、流体サンプルを導出する(あるいは、分配する、供給する、小分けする)ことができる。導出により、サンプルを、例えばマイクロタイタープレートの1つまたは複数の井戸といったような任意の様々な便利な容器へと配置することができる。一実施形態においては、導出の際には、シール容器から装置(例えば、カートリッジ)を離間させ、その装置を、受領容器の近傍に配置する。一実施形態においては、導出の際には、通風および抽出を行う複数の装置を、一度に、複数の受領容器の各々の近傍へと、配置する。例えば、導出の際には、複数のより大きなシール容器の各々で近傍に複数の装置が配置された第1位置から、1つまたは複数のより小さな受領容器(例えば、マイクロタイタープレートの井戸)の近傍に複数の装置が配置された第2位置へと、複数の装置を移動させる。導出の際には、任意の与えられたタイミングで、1つまたは複数の装置が内容物を導出することができる。
【0079】
一実施形態においては、導出に際しては、装置から流体サンプルを抽出し、受領容器内にその流体を配置する。例えば、導出に際しては、複数の装置の各々から流体サンプルを同時に抽出し、複数のより小さな受領容器(例えば、マイクロタイタープレートの井戸)の各々内へとサンプルを配置することができる。導出に際しては、任意の与えられたタイミングで、1つまたは複数の装置から流体サンプルを抽出することができる。一実施形態においては、8個の装置が設けられ、最初の4個の装置の内容物が、複数の受領容器の中の4つの受領容器内へと導出され、その後、8個の装置が、複数の受領容器に対して移動され、第2の4個の装置の内容物が、複数の受領容器の中の他の4個の受領容器へと導出される。サンプルの導出に際しては、ピストンまたは正圧源を使用することにより、複数の装置からサンプルを導出することができる。
【0080】
一実施形態においては、本発明は、自動化したシステムを使用して流体サンプルを取り扱うための方法に関するものであり、この方法においては、サンプル流体をサンプル容器から流体レセプタクル内へと抽出する。流体レセプタクルは、流体抽出導管を備え得るとともに、第1キャビティを形成することができ、さらに、第1ピストンと第2ピストンとを備えることができる。第1ピストンは、第1キャビティ内に配置し得るとともに、第2キャビティを形成することができる。第2ピストンは、第2キャビティ内に配置することができる。
【0081】
一実施形態においては、本発明による方法においては、サンプル容器を通風することができる。第1ピストンは、第1流体コンジットと、第2流体コンジットと、を形成することができる。第1流体コンジットは、流体抽出導管に対して流体連通状態とすることができる。第1流体コンジットは、第1キャビティに対して流体連通状態とすることができる。第2ピストンは、第1キャビティが第2流体コンジットに対して流体連通状態とされた開放位置と、第1キャビティが第2流体コンジットに対して流体連通していない閉塞位置と、の間にわたって移動可能なものとすることができる。サンプル容器の通風に際しては、第2ピストンを開放位置とした状態で、流体抽出導管をサンプル容器内に挿入することができる。本発明による方法においては、さらに、サンプル流体を、流体レセプタクルから出力容器内へと導出することができる。
【0082】
『方法に関する図示の実施形態』
本発明による方法の実施形態は、図13を参照して説明することができる。図13は、カートリッジアレイ300に対して連結された容器支持体400を部分断面図によって概略的に図示している。方法のこの実施形態においては、容器支持体400内へとサンプルチューブ(例えば、456、458、506)を配置することができる。サンプルチューブは、識別バーコード(例えば、557、559、561)を備えることができる。本発明による方法においては、カートリッジアレイ300を容器支持体400に対して連結することができる。この連結は、配置の前においてもまた配置の後においても、行うことができる。連結に際しては、ラッチ403を使用することによって、容器支持体400に対してカートリッジアレイ300を係止することができる。図14は、ラッチ403を示している。
【0083】
本発明による方法においては、容器支持体400内における各チューブを互いに識別することができる。識別に際しては、各チューブ上の識別バーコードを機械的に読み取ることができる。識別に際しては、さらに、識別バーコードが機械的に読取可能な状態となるように、チューブを操作することができる。この操作においては、例えば、長手方向軸線まわりでチューブを回転させることができる。図示の実施形態においては、操作に際し、バーコードをコードウインドウ505に対して位置合わせすることができる。これにより、バーコードを、容器支持体400の外側から見えるものとすることができる。
【0084】
本発明による方法においては、カートリッジに対して少なくとも1つのチューブを連結することができる。この連結に際しては、カートリッジに向けてチューブを移動させ、カートリッジの導管をチューブ内へと付勢することができる。これに代えて、連結に際しては、チューブに向けてカートリッジを移動させることができる、あるいは、チューブとカートリッジとの双方を移動させることができる。カートリッジの一部(例えば、導管)がチューブ内に位置した時点で、チューブとカートリッジとが互いに連結される。
【0085】
図示の実施形態においては、チューブは、カートリッジに対して移動させることができ、開口510を通して容器支持体400内へと挿入し得るシャフトまたは他の構造によって導管を付勢することができる。シャフトまたは他の構造(図示せず)を、容器支持体に対して移動させることができる。あるいは、容器支持体を、シャフトまたは他の構造に対して移動させることができる。一実施形態においては、シャフトまたは他の構造が、静止したままとされ、容器支持体が、シャフトまたは他の構造に対して移動される。例えば、シャフトは、カートリッジに向けて隔壁シールチューブを移動させることができ、導管(剛直な導管319として図示されている)によって隔壁を穿孔してチューブ内へと侵入することができる。
【0086】
連結は、ベント付きカートリッジを開放状態として、行うことができる。これにより、剛直な導管との間の流体連通を可能とすることができる。そのような通風は、図2〜図4および図6〜図8に関して上述したようにして、行うことができる。本発明による方法においては、さらに、サンプルチューブからサンプルを抽出することができる、および/または、カートリッジを充填することができる。そのような抽出および充填は、図2〜図4および図6〜図8に関して上述したようなものとされる。
【0087】
『システム』
本発明は、例えば血液や血清やあるいは他の生物学的流体といったような流体を自動的に取り扱うに際して使用し得るようなシステムを備えている。本発明によるシステムの実施形態は、本発明によるカートリッジを操作し得るとともに、本発明による方法における自動化した実施形態を実行することができる。一実施形態においては、本発明によるシステムは、複数のシール容器のラックに対して連結されたカートリッジラックを操作することができる。有利には、ある種の実施形態においては、自動化したシステムは、シール容器のラックに対して連結されたカートリッジラックに対しての、高処理速度での取扱いを提供することができる。例えば、一実施形態においては、システムは、1時間あたりにつき最大で1000個というサンプル容器から任意の様々な所定容量(例えば、約50〜約1000μLといったような容量)のサンプルを抽出することができ、例えばマイクロタイタープレートといったような二次的容器内へと、サンプルの全部または一部を導出することができる。一実施形態においては、システムは、シール容器に対して連結されたカートリッジを、あるいは、シール容器のラックに対して連結されたカートリッジラックを、ひっくり返すことができる。
【0088】
システムは、シール容器上の識別マーク(例えば、バーコード)を読み込み得るように構成することができ、必要に応じて、機械的な読取のために容器の向きを揃え得るように構成することができる。システムは、プロセッサを備えることができる。プロセッサは、識別マークを、サンプルの特徴または特性に対して、および/または、サンプルに対して実施すべき取扱いに対して、および/または、サンプルの目的地に対して、関連づけし得るよう構成される。そのような構成は、サンプル容器から二次的容器への自動的なサンプル連鎖メンテナンスを提供することができる。プロセッサは、操作者入力に応じて、あるいは、識別されたサンプルに関連する情報に応じて、1つまたは複数のサンプルに関する処理の順序やタイプを変更し得るように、構成することができる。
【0089】
本発明によるシステムは、シール容器からサンプルを抽出する際に行われる様々な手順を実施し得るように、また、二次的容器内へとサンプルを分配する際に行われる様々な手順を実施し得るように、構成することができる。例えば、一実施形態においては、本発明によるシステムは、例えば隔壁シール容器といったような少なくとも1つのシール容器から、流体レセプタクル内へと、流体サンプルを吸引することができる。本発明によるシステムは、シール容器と周囲雰囲気との間における圧力を等しくし得るようにして流体レセプタクルを操作し得るように、構成することができる。そのようなシステムは、流体レセプタクルからおよびシール容器から許容不可能な流体(例えば、エアロゾルといったような流体)を放出することなく、流体サンプルを抽出することができる。システムは、流体レセプタクルから二次的容器内へと流体サンプルを導出し得るように、構成することができる。
【0090】
『システムの実施形態』
システムは、カートリッジおよび/または容器を取り扱い得るように、構成することができる。一実施形態においては、システムは、シール容器からサンプルを抽出することができる。例えば、システムは、カートリッジを操作することによって、シール容器からサンプルを抽出することができる。システムおよびカートリッジは、サンプルまたは容器を変更することなくシール容器からサンプルを抽出するようにして、一緒に動作することができる。つまり、容器は、サンプルを含有することなく、システムから効果的に回収することができ、貯蔵やさらなる処理に供することができる。
【0091】
一実施形態においては、システムは、例えばマイクロタイタープレートといったような二次的容器内へとサンプルを分配することができる、一実施形態においては、システムは、例えばマイクロタイタープレートの井戸といったような2つ以上の二次的容器内へとサンプルの一部を分配することができる。有利には、ある種の実施形態においては、システムおよびカートリッジは、サンプルどうしの間にわたっての相互汚染を引き起こすことなく複数の容器からサンプルを抽出したり導出したりし得るようにして、一緒に動作することができる。有利には、ある種の実施形態においては、システムは、商業的な用途や研究所における使用に適したような精度および正確さでもって複数のサンプルを迅速に抽出したり分配したりすることができる。
【0092】
流体取扱いシステムは、例えばラック内に配置されたような1つまたは複数の流体シール容器を収容し得るように、構成することができる。システムは、容器受領システムを備えることができる。シール容器のラックは、操作者によって、前もってカートリッジラックに対して係合させることができる。あるいは、シール容器のラックとカートリッジラックとを係合させものとして、システムを構成することができる。流体取扱いシステムは、カートリッジ受領システムと、ラック係合システムと、を備えることができる。
【0093】
流体取扱いシステムは、ラック搬送システムを備えることができる。ラック搬送システムは、流体取扱いシステム内へとあるいは流体取扱いシステムを通して、容器のラックおよび/またはカートリッジラックを輸送し得るように、構成することができる。ラック搬送システムは、例えば、容器受領システムと協働することができる、あるいは、容器受領システムの一部として動作することができる。ラック搬送システムは、容器受領システムからのラックを、流体取扱いシステムのそれ以降のサブシステムに対してあるいはそのようなサブシステムを通して、移動させ得るように、構成することができる。
【0094】
流体取扱いシステムは、サンプルのカタログを生成するサンプルカタログ生成システムを備えることができる。サンプルカタログ生成システムは、容器上のあるいは容器ラック上の機械読取可能情報(例えば、バーコード、あるいは、ラジオ周波数識別タグ(RFIDタグ))を読み取り得るように、構成することができる。サンプルカタログ生成システムは、二次的容器上の機械読取可能情報(例えば、バーコード、あるいは、ラジオ周波数識別タグ(RFIDタグ))を読み取り得るように、構成することができる。サンプルカタログ生成システムは、情報を処理して、格納し得るように、構成することができる。ラック搬送システムは、サンプルカタログ生成システムに対しておよび/またはサンプルカタログ生成システムを通しておよび/またはサンプルカタログ生成システムから、ラックを移動させ得るように、構成することができる。
【0095】
流体取扱いシステムは、サンプル抽出システムを備えることができる。サンプル抽出システムは、カートリッジを操作することによってシール容器から流体サンプルを抽出し得るように、構成することができる。例えば、一実施形態においては、サンプル抽出システムは、1つまたは複数のカートリッジを駆動することによってカートリッジの一部をシール容器内へと侵入させ得るように、構成することができる。サンプル抽出システムは、カートリッジを操作することによって容器からカートリッジ内へと流体サンプルを抽出し得るように、構成することができる。サンプル抽出システムは、カートリッジを容器から離間させ得るように、構成することができる。一実施形態においては、サンプル抽出システムは、シール容器の上下をひっくり返し得るように、あるいは、シール容器ラックの上下をひっくり返し得るように、構成することができる。
【0096】
ラック搬送システムは、サンプル抽出システムに対しておよび/またはサンプル抽出システムを通しておよび/またはサンプル抽出システムから、ラックを移動させ得るように、構成することができる。ラック搬送システムは、シール容器のラックをサンプル抽出システムから離間させて流体取扱いシステムの外部へと輸送し得るように、構成することができる。シール容器のラックは、その後、システムから取り外すことができ、例えば、貯蔵したり、あるいは、廃棄したり、あるいは、さらなる追加的な処理ステップに供されたり、することができる。
【0097】
流体取扱いシステムは、カートリッジ取扱いシステムを備えることができる。カートリッジ取扱いシステムは、シール容器から流体サンプルを既に受け取ったカートリッジを受領し得るように、および/または、そのようなカートリッジに対して作用し得るように、構成することができる。カートリッジ取扱いシステムは、カートリッジに対して流体を添加し得るように、あるいは、カートリッジから流体を除去(あるいは、抽出)し得るように、あるいは、カートリッジを加熱し得るように、あるいは、カートリッジを冷却し得るように、あるいは、カートリッジ内の流体を処理し得るように、構成することができる。カートリッジ取扱いシステムは、カートリッジラックを容器ラックから離間させ得るように、構成することができる。
【0098】
カートリッジ取扱いシステムは、二次的容器内へと、カートリッジからの流体をあるいはカートリッジラックからの流体を、分配し得るように、構成することができる。カートリッジ取扱いシステムは、離間されたラック内の1つまたは複数のカートリッジからの流体を、例えばマイクロタイタープレートの井戸といったような1つまたは複数の二次的容器内へと、導出し得るように、構成することができる。例えば、カートリッジ取扱いシステムは、マイクロタイタープレートの隣接した井戸内へと、ラック内において隣接したカートリッジからの流体を、導出することができる。カートリッジ取扱いシステムは、マイクロタイタープレートの隣接した井戸の第2セット内へと、ラック内において隣接した他のカートリッジからの流体を、導出することができる。カートリッジ取扱いシステムは、カートリッジを廃棄に供し得るように、あるいは、廃棄コンテナ内へとカートリッジを配置し得るように、構成することができる。
【0099】
システムは、カートリッジに関して上述したような任意の容器やチューブやキャップやシール部材も含めたシール容器に対してあるいはシール容器ラックに対して、作用することができる。システムは、単一のラック内においておよび/または連続したラック内において、互いに一様なものとされたチューブ長さおよび/または直径の組および/または互いに異なるものの混合とされたチューブ長さおよび/または直径の組に対して、作用することができる。一実施形態においては、本発明によるシステムは、ピストンの移動精度を正確に制御することによってあるいはサンプルの抽出および/または導出に際してのカートリッジの操作を正確に制御することによって、サンプルの抽出容量および/または導出容量を、正確なものとすることができる。
【0100】
『システムの図示の実施形態』
図16は、本発明による流体取扱いシステムの一実施形態を概略的に図示している。図示の実施形態は、ラックコンベヤ701と、識別システム703と、吸引システム705と、付加的な流体処理システム707と、流体導出システム709と、端部コンベヤ711と、を備えている。
【0101】
この図示の実施形態においては、ラックコンベヤ701は、ラック搬送システムの一実施形態を示している。ラックコンベヤ701は、シール容器ラックを受領して輸送し得るように、構成することができる。シール容器ラックは、カートリッジラックに対して連結することができる。ラックコンベヤ701は、シール容器ラックを、流体取扱いシステム内へとあるいは流体取扱いシステムを通して搬送し得るように、構成することができる。ラックコンベヤ701は、複数のチューブからなるラックの搬送に適しているような任意の様々な公知のコンベヤとすることができるあるいはそのようなコンベヤを備えたものとすることができる。
【0102】
この図示の一実施形態においては、識別システム703は、カタログ生成システムの一実施形態を示している。識別システム703は、カートリッジラック上における例えばバーコードやRFIDタグ等といったような標示を読み取り得るように、構成することができる。標示は、シール容器の内容物の表示を提供することができる、あるいは、そのサンプルに関する処理ステップの表示を提供することができる。識別システム703は、任意の様々なバーコードリーダーや無線周波数アクチュエータやあるいは標示を読むための他の公知のシステムとすることができる、あるいは、そのようなものを備えたものとすることができる。識別システム703は、さらに、容器ラック上の標示、および/または、例えばマイクロタイタープレートといったような二次的容器上の標示、を読み取ることもできる。
【0103】
この図示の一実施形態においては、吸引システム705は、サンプル抽出システムの一実施形態を示している。吸引システム705は、カートリッジの少なくとも一部をシール容器内へと付勢して、カートリッジ内へと流体サンプルを抽出し得るように、構成することができる。吸引システム705は、カートリッジに対して連結することができて流体を効果的に抽出し得るようなバルブやチューブやプローブやポンプやアスピレータ等からなる任意の様々な構成を備えることができる。吸引システム705は、さらに、カートリッジやシール容器やあるいはこれら双方を上下逆にし得るように、構成することができる。
【0104】
この図示の実施形態においては、付加的な流体処理システム707は、カートリッジ取扱いシステムの一部の一実施形態を示している。流体処理システム707は、吸引システム705によって抽出された流体サンプルに対して、加熱を行ったり、あるいは、光照射を行ったり、放射線照射を行ったり、あるいは、試薬を添加したり、あるいは、成分を除去したり、あるいは、他の処理を行ったり、し得るように、構成することができる。流体処理システム707は、ベッセル内において流体サンプルを処理するのに効果的であるような光源やヒータや試薬ディスペンサやバルブやチューブやプローブやポンプやアクチュエータ等からなる任意の様々な構成を備えることができる。
【0105】
この図示の実施形態においては、流体導出システム709は、カートリッジ取扱いシステムの他の一部の一実施形態を示している。流体導出システム709は、カートリッジ内へと抽出された流体サンプルを、例えばマイクロタイタープレートの特定の井戸といったような所定の容器内へと、配置し得るように、構成することができる。流体導出システム709は、複数の流体サンプルの各々を、複数の井戸のうちの対応する各々の中へと配置し得るように、構成することができる。流体導出システム709は、容器内へと流体サンプルを導出するのに効果的であるようなバルブやチューブやプローブやポンプやアクチュエータ等からなる任意の様々な構成を備えることができる。
【0106】
この図示の実施形態においては、端部コンベヤ711は、ラック搬送システムの一部の一実施形態を示している。端部コンベヤ711は、例えばマイクロタイタープレートといったような容器を、流体導出システム709から周囲雰囲気へと輸送し得るように、構成することができる。端部コンベヤ711は、例えばマイクロタイタープレートといったような容器を搬送するのに適しているような任意の様々なコンベヤとすることができるあるいはそのようなコンベヤを備えたものとすることができる。
【0107】
本発明による自動システムを使用することにより、いくつかのものに関して上述したように、本発明によるシステムの機能を自動化することができる、あるいは、本発明による方法において使用されている手順を自動化することができる。自動システムの構成部材は、さらに、サンプルラックの上下をあるいはカートリッジラックの上下をひっくり返すことができる。
【0108】
再び図13を参照すれば、本発明によるシステムの自動化した実施形態は、容器支持体400および/またはカートリッジアレイ300に対して係合し得るとともに、ラッチ403(図15に示されている)を操作することができる。容器支持体400に対して係合してラッチ403を操作することにより、システム内にこのアセンブリを固定し得るとともに、アセンブリの2つの構成部材を互いに連結することができる。図13に示すように、本発明によるシステムの自動化した実施形態は、容器支持体400内のチューブを、カートリッジアレイ300から係合解除した位置(2つのチューブのうちの右側のチューブ)から、カートリッジアレイ300に対して連結された位置(左側のチューブ)まで、移動させことができる。システムは、プッシュロッド、あるいは、アレイをなす複数のロッド、あるいは、容器支持体400に対してのサンプルチューブを移動させ得るよう構成された他の構成、を備えることができる。チューブを移動させためのロッドまたは他の構成は、開口510を通して容器支持体400に侵入することができる。ロッドは、容器支持体400に対して相対的に移動する。したがって、ロッドは、静止したものとすることも、また、移動可能なものとすることも、できる。容器支持体400は、静止したものとすることも、また、移動可能なものとすることも、できる。
【0109】
本明細書においておよび特許請求の範囲において使用された場合には、単数扱いで記載されているものであっても、明確に言及しない限りにおいては、複数ののものである場合を包含していることに、注意されたい。よって、例えば、『1つの化合物』を含有した組成物とは、2つ以上の化合物からなる混合物をも包含している。また、『あるいは』という用語が、明確に言及しない限りにおいては、『および/または』という意味合いで一般的に使用されていることに、注意されたい。
【0110】
本明細書においておよび特許請求の範囲において使用された場合には、『構成されている』という表現が、特定の機能を達成し得るようにあるいは特定の機能に適応し得るように構築されたシステムや装置や他の構造を表現していることに、注意されたい。『構成されている』という表現は、例えば、設けられて構成されているや、適応可能に構成されているや、構築されて設置されているや、適応されているや、構築されているや、製造されて設置されている、といったような類似の他の表現と互換的に使用することができる。
【0111】
本明細書において使用された方向は、相対的な関係を例示するためのものに過ぎない。例えば、物品の上に配置されているとして記載されたものは、物品の向きによっては、物品の底部に配置されていることもあり得る。さらに、本明細書においては、物品どうしの移動は、相対的である。例えば、物品がものを移動させるという記載においては、ものは、実際には静止していることができ、相手方の物品が移動することができる。
【0112】
本明細書中における文献は、本発明が関係する当業者の技術常識を示している。それら文献の記載内容は、参考のため、ここに組み込まれる。
【0113】
本発明につき、様々な特定の好ましい実施形態および技術に関して上述してきた。しかしながら、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、様々な変更や修正を行い得ることは、理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明による流体レセプタクルの一実施形態を概略的に示す図であって、穿孔システムと、リザーバと、充填システムと、ベントシステムと、を備えてなる一実施形態を示している。
【図2】本発明による流体レセプタクルの一実施形態を概略的に示す図であって、穿孔システムと、リザーバと、ピストン式充填システムと、ピストン用ベントシステムと、ベントフィルタと、を備えてなる一実施形態を示しており、さらに、流体レセプタクルが、容器を周囲エアに対して通風させ得る状態とされている様子を示している。
【図3】本発明による流体レセプタクルの一実施形態を概略的に示す図であって、穿孔システムと、リザーバと、ピストン式充填システムと、ピストン用ベントシステムと、ベントフィルタと、を備えてなる一実施形態を示しており、さらに、ベントがシールされた状態でもって、流体レセプタクルを図示している。
【図4】本発明による流体レセプタクルの一実施形態を概略的に示す図であって、穿孔システムと、リザーバと、ピストン式充填システムと、ピストン用ベントシステムと、ベントフィルタと、を備えてなる一実施形態を示しており、さらに、ベントがシールされた状態でもって流体レセプタクルを図示しているとともに、充填システムは、リザーバ内に流体を吸引または保持し得る位置へと駆動されている。
【図5】本発明による流体レセプタクルの一実施形態を概略的に示す斜視図である。
【図6】図5の流体レセプタクルを、A−A’線に沿って示す矢視断面図であって、穿孔システムと、リザーバと、ピストン式充填システムと、ピストン用ベントシステムと、ベントフィルタと、を備えてなる一実施形態を示しており、さらに、流体レセプタクルが、容器を周囲エアに対して通風させ得る状態とされている様子を示している。
【図7】図5の流体レセプタクルを、A−A’線に沿って示す矢視断面図であって、穿孔システムと、リザーバと、ピストン式充填システムと、ピストン用ベントシステムと、ベントフィルタと、を備えてなる一実施形態を示しており、さらに、ベントがシールされた状態でもって、流体レセプタクルを図示している。
【図8】図5の流体レセプタクルを、A−A’線に沿って示す矢視断面図であって、穿孔システムと、リザーバと、ピストン式充填システムと、ピストン用ベントシステムと、ベントフィルタと、を備えてなる一実施形態を示しており、さらに、ベントがシールされた状態でもって流体レセプタクルを図示しているとともに、充填システムは、リザーバ内に流体を吸引または保持し得る位置へと駆動されている。
【図9】図5の流体レセプタクルを、B−B’線に沿って示す矢視断面図であって、ベントを備えている。
【図10】本発明による装置の一実施形態を概略的に示す図であって、支持体と、複数の流体レセプタクルと、を備えてなる一実施形態を示している。
【図11】本発明の一実施形態に基づきアレイ状に構成された複数の流体レセプタクルを概略的に示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に基づきアレイ状に構成された複数の流体レセプタクルを備えて構成されたサンプル保持ラックを概略的に示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に基づき、サンプル保持ラックと、複数のサンプルと、アレイ状に構成された複数の流体レセプタクルと、を概略的に示す図である。
【図14】本発明の一実施形態に基づくサンプル保持ラックの半分を概略的に示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に基づくサンプル保持ラックの半分の中に配置された複数のサンプルチューブを概略的に示す図である。
【図16】本発明による流体取扱いシステムの一実施形態を概略的に示す図である。
【符号の説明】
【0115】
5 レセプタクル、カートリッジ
7 穿孔システム
9 リザーバ
11 ベントシステム
13 充填システム
19 剛直な導管
25 第1ピストン
29 第2ピストン
31 フィルタ
33 第1ベントコンジット
35 第2ベントコンジット
37 ベントチャンバ
39 第2シール部材
41 バルブ付きベントシステム
43 ピストン式ベントシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
支持体と、複数の流体レセプタクルを、を具備し、
前記支持体が、前記流体レセプタクルを保持し得るよう構成さ、
前記流体レセプタクルが、シール容器からサンプルを抽出し得るよう構成され、
前記流体レセプタクルが、穿孔システムと、リザーバと、ベントシステムと、充填システムと、を備え、
前記ベントシステムが、前記シール容器と周囲雰囲気との間の流体連通を提供し得るように、構成され、
前記充填システムが、前記シール容器と前記リザーバとの間にわたっての流体移動を行い得るように、構成され、
前記穿孔システムが、前記シール容器内へと侵入し得るように、構成され、
前記リザーバが、前記サンプルを保持するように、構成されていることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記支持体が、支持体ボディと、複数のレセプタクル保持部材と、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1記載の装置において、
前記流体レセプタクルが、前記穿孔システムと、前記リザーバと、前記充填システムと、バルブ付きベントシステムと、を備えていることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項3記載の装置において、
前記穿孔システムが、剛直な導管を備え、
この剛直な導管が、前記シール容器から前記リザーバへの流体連通を提供し得るように、構成されていることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項3記載の装置において、
前記リザーバが、リザーバハウジングを備え、
このリザーバハウジングが、流体チャンバを備えていることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項3記載の装置において、
前記充填システムが、第1ピストンを備え、
この第1ピストンが、往復移動可能であるように構成され、
前記第1ピストンが、前記リザーバハウジングに対してシール可能に係合していることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6記載の装置において、
前記第1ピストンが、第1シール部材を備えていることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項3記載の装置において、
前記バルブ付きベントシステムが、第2ピストンと、フィルタと、第1ベントコンジットと、第2ベントコンジットと、ベントボディと、を備え、
前記第1ピストンが、前記第1ベントコンジットと、前記第2ベントコンジットと、を形成し、
前記第1ベントコンジットと前記ベントボディと前記第2ベントコンジットとが、前記剛直な導管から周囲雰囲気への流体連通を提供し得るように、構成され、
前記フィルタが、前記第1ベントコンジットから前記第2ベントコンジットへと通過する流体を濾過し得るように、構成され、
前記第2ピストンが、往復移動可能であるように構成されているとともに、バルブボディに対してシール可能に係合し、
前記第2ピストンが、前記第2コンジットから離間した位置から、前記第1ベントコンジットから前記第2ベントコンジットへの流体の流れを妨げる位置へと、往復運動し得るように、構成されていることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8記載の装置において、
前記第2ピストンが、第2シール部材を備えていることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1記載の装置において、
前記ベントシステムが、剛直な導管と、流体チャネルと、フィルタと、を備え、
前記剛直な導管および前記流体チャネルが、前記シール容器と前記フィルタとの間における流体連通を提供し得るように、構成され、
前記フィルタが、液体および固体を保持し得るように、かつ、前記流体チャネルから周囲雰囲気へのガス連通を提供し得るように、構成されていることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10記載の装置において、
前記剛直な導管が、ニードルを備えていることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1記載の装置において、
前記支持体が、複数の前記シール容器を収容し得るよう構成されたラックに対して連結し得るよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置において、
前記流体レセプタクルが、さらに、前記支持体に対して着脱可能に係合し得るよう構成された位置合わせフィンを備えていることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13記載の装置において、
前記支持体が、前記位置合わせフィンに対して係合し得るよう構成された位置合わせグルーブを備えていることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項1記載の装置において、
前記流体レセプタクルが、さらに、前記支持体に対して着脱可能に係合し得るよう構成された位置合わせ突起を備えていることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15記載の装置において、
前記支持体が、流体レセプタクルチャネルと、位置合わせグルーブと、を備え、
前記流体レセプタクルチャネルが、前記流体レセプタクルを収納し得るように、構成され、
前記位置合わせグルーブが、前記位置決め突起に対して着脱可能に係合し得るよう構成されていることを特徴とする装置。
【請求項17】
生物学的流体を自動的に取り扱うための方法であって、
少なくとも1つのシール容器を通風し;
前記少なくとも1つのシール容器から少なくとも1つの対応カートリッジ内へと流体サンプルを抽出し;
その流体サンプルを出力容器へと移送し;
その出力容器を移動させる;
ことを特徴とする方法。
【請求項18】
自動化したシステムを使用して流体サンプルを取り扱う方法であって、
サンプル容器から流体レセプタクル内へとサンプル流体を抽出し、
その際、前記流体レセプタクルを、流体抽出導管を備えたものとするとともに、第1キャビティを形成するものとし、さらに、第1ピストンと第2ピストンとを備えたものとし、さらに、前記第1ピストンを、前記第1キャビティ内に配置するとともに第2キャビティを形成し、前記第2ピストンを、前記第2キャビティ内に配置することを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の装置において、
さらに、前記サンプル容器を通風し;
前記第1ピストンを、第1流体コンジットと第2流体コンジットとを形成するものとし;
前記第1流体コンジットを、前記流体抽出導管に対して流体連通させ;
前記第1流体コンジットを、前記第1キャビティに対して流体連通させ;
前記第2ピストンを、前記第1キャビティが前記第2流体コンジットに対して流体連通した開放位置と、前記第1キャビティが前記第2流体コンジットに対して流体連通していない閉塞位置と、の間にわたって移動可能なものとし;
前記サンプル容器の前記通風に際しては、前記第2ピストンを前記開放位置とした状態で、前記流体抽出導管を前記サンプル容器内に挿入する;
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項18記載の装置において、
さらに、前記流体レセプタクルから出力容器内へと前記サンプル流体を導出することを特徴とする方法。
【請求項21】
流体取扱いシステムであって、
複数のカートリッジからなるアレイを受領して搬送し得るように構成されたサンプル搬送システムと;
前記カートリッジ上の識別マークを読み取り得るように構成されたサンプルカタログ生成システムと;
前記カートリッジから流体サンプルを抽出し得るように構成されたサンプル抽出システム;
前記流体サンプルを出力容器内へと導出し得るよう構成されたサンプル導出システムと;
前記出力容器を搬送し得るよう構成されたコンベヤシステムと;
を具備していることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記サンプル搬送システムが、ラックコンベヤを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22記載のシステムにおいて、
前記ラックコンベヤが、シール容器のラックに対して連結されたカートリッジラックを受領して輸送し得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記サンプル抽出システムが、吸引システムを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項24記載のシステムにおいて、
前記吸引システムが、カートリッジの一部をシール容器内へと挿入し得るよう構成されているとともに、前記シール容器から流体サンプルを抽出し得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項26】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記サンプルカタログ生成システムが、識別システムを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項27】
請求項26記載のシステムにおいて、
前記識別システムが、カートリッジのラック上の標示を読み取り得るように構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記コンベヤシステムが、端部コンベヤを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項21記載のシステムにおいて、
前記サンプル導出システムが、流体導出システムを備えていることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29記載のシステムにおいて、
前記流体導出システムが、既に抽出した流体サンプルを、所定の容器内へと導出し得るように、構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項21記載のシステムにおいて、
さらに、流体処理システムを具備していることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2008−508522(P2008−508522A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523755(P2007−523755)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【国際出願番号】PCT/US2005/026585
【国際公開番号】WO2006/015014
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507028435)エキスパート・サーヴィシズ・グループ・インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】