説明

流体ポンプ

本発明は、空洞を形成しているハウジングを含む流体ポンプを提供する。前記空洞は、少なくとも1つの流体用入口および出口、および磁界を発生するための少なくとも一組のコイルを含む。使用中、インペラ(3)は、本体、流体を前記入口から前記出口に付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根(4A,4B)および多数のドライバ磁石(9)を含む前記空洞内に位置する。使用中、前記インペラは、軸方向の結合により前記空洞内に吊り下げられ、前記コイルが発生する磁界により回転する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関し、特にLVAD(左心室用デバイス)またはBiVAD(両心室用デバイス)のような心臓補助装置または心臓置換装置として使用するのに適しているインペラを使用する流体ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において、任意の従来技術を参照した場合、その従来技術が通常の一般的な知識の一部を形成していると言っているわけでもなければ、または何らかの形の示唆でもなければ、そのように見なすべきでもない。
【0003】
高品質で高生産性の機械にとっては、高速でメンテナンス・フリーのモータが必要になる。このようなモータは非接触式サポートを使用しているので、これらの機械には磁気軸受が徐々に導入されてきている。しかし、初期の磁気軸受システムは、別々の駆動モータを必要とした。それ故、この技術を流体ポンプに適用した場合、流体が駆動モータに接触するのを防止するためにシールが必要になる。
【0004】
この問題を克服するために、自己軸受モータが開発された。自己軸受モータは、ロータを吊り下げ、また回転するように動作する磁界を生成し、それにより同じ一組のコイル、または同じ円周上の位置に位置する二組のコイルから軸受およびモータ機能を提供することができる。多数の磁気原理が、いわゆるリラクタンスおよびローレンツ理論に基づいてこの目標を達成することができる。遠心ポンプ技術に適用した場合、自己軸受モータを使用すれば、シャフトまたはシールを使用する必要がなくなる。何故なら、ロータが、ポンプ空洞内に完全に収容されるからである。
【0005】
このことは、人の心臓に対する生命に関わる損傷の問題に対する高性能な対応策として開発された心臓移植外科手術の分野と特に関連する。
しかし、全人口の平均年齢が高くなるにつれて、激しい心不全の絶対数が増加しつつあり、やがて心臓移植外科手術を受けることになるであろう患者数が増大している。都合の悪いことに、適当な代用器官の使用できる数はいつでも不足していて、心臓が原因で重大な死の危険に瀕している患者すべてに対して使用するのがますます難しくなってきている。
【0006】
利用できる心臓ドナーの数が不足していることに対するもう1つの対応策として、患者の心臓の働きを増大し、または理想的には、機能不全の心臓全部を置換するのに適している人工ポンプを開発するために種々の試みが行われてきた。
【0007】
効果的な形のこのようなポンプを提供する際の難問の1つは、使用できる電源を効率的に使用しなければならないことである。このようなポンプを停止させることなく高い信頼性で動作するのは非常に重要なことなので、電源の使用の際には、効率をピークにする必要がある。実験のための試作品以外の目的で機能する場合には、このようなポンプは、患者がかなりの時間の間、燃料補給または再充填のためのデバイスなしでいられるようにしなければならない。
【0008】
ポンプは、また血球に対するポンプ機構の破壊的影響を最小限度に低減するものでなければならない。過度の剪断応力を発生するすべてのポンプ・セグメントは、その領域内で外傷性の血球溶解を引き起こす。さらに、血液の滞留を促進するセグメントは、ポンプ内に危険な凝血塊を形成する恐れがあり、この凝血塊は、身体全体を通して移動し、運ばれ、周辺の循環系内の生命維持に必要な動脈を潜在的に閉塞する恐れがある。
【0009】
エネルギーの喪失および血液の外傷の重要な問題のうちの1つは、ポンプ・ロータ、すなわち、インペラの回転方法に関連して発生する。ロータを支持するのに従来の軸受を使用すると、摩擦抵抗およびその結果としての磨耗にそれぞれ関連する動力消費の増大およびデバイスの寿命の問題が発生する恐れがある。さらに、この技術は、回転シャフトの周囲の流れの滞留に関連する軸受の接触部位のところの過度の熱の発生および高い剪断応力による血球の外傷を促進する。ということは、これらの悪影響を除去するために、保守手順を行わなければならないことになる。
【0010】
摩擦がなく、シールを必要としない軸受を提供する目的で、ポンプ・ロータまたはインペラを磁気的に、または流体力学的に懸架するための種々の試みが行われてきた。
「流体力学的に懸架したインペラを備えるロータリ・ポンプ」(Rotary Pump with Hydrodynamically Suspended Impeller)という名称の特許文献1には、その縁部を流体スラスト軸受として使用している開放または閉鎖インペラ・ブレードを特徴とするシールもシャフトもないポンプが記載されている。回転トルクは、ブレードに埋め込まれている磁石と、ポンプ・ハウジングに固定されているコイルに発生する回転磁界との間の相互作用により供給される。
【0011】
流体軸受の場合には、十分な軸受力を供給するのに隙間を比較的狭くする必要がある。高い剪断応力は、このような隙間内に位置していて、この領域内に血球が入ると溶血が起こる恐れがある。流体軸受は、インペラに加わる力への受動的レスポンスに依存する。すなわち、軸受剛性を所与の条件に対して変化させることができない。力が所定の軸受剛性を超えると、まもなくタッチダウンが起こることになる。さらに、流体力学的に懸架されているロータは、ロータの回転速度に比例して軸受力剛性を発生する。心室補助デバイスは、循環系が過度の流れを要求すると、心室の壁部を破壊する恐れがあり、それ故、ポンプへの入口カニューレを閉塞する恐れがある。この困った問題を防止するために、心室壁部が流体軸受により懸架されているポンプがどうすることもできない状況から切り離すことができるように、ある時間ポンプの回転速度を低減しなければならない。何故なら、回転速度を低減すると、軸受剛性が低減し、潜在的なインペラのタッチダウンが低減するからである。
【0012】
受動的流体力学的懸架技術の潜在的な障害の見地から見て、例えば、特許文献2および特許文献3に記載されているように、ポンプ空洞内のロータの位置を制御する磁気軸受技術を中心とした他の構成が提案されてきた。
【0013】
「磁気的に懸架した回転ロータ」(Magnetically Suspended and Rotated Rotor)という名称の特許文献2には、インペラおよびポンプ・ハウジング内にそれぞれ位置していて、ハウジング上の電磁石により安定している永久磁石により支持されている血液ポンプ用のインペラが記載されている。この磁気懸架システムの構成は、比較的広い磁気「エア・ギャップ」のために効率が低い。すなわち、ロータ磁石からハウジング磁石までの距離が比較的長く、そのため過度の磁束漏洩が起こり効率が低くなる。さらに、両方の機能を別々に提供するために、磁気懸架システムが駆動機構から離れていて、サイズおよび電子回路が大きくなる。
【0014】
特許文献3には、流体力および浮力の組合わせにより達成される動的バランスをとるためにインペラの位置に依存する血液ポンプ用の改良形ロータが記載されている。ロータは、永久磁石の1つまたは複数のアレイと一緒に動作する電磁駆動システムにより電磁的に駆動される。永久磁石は、ブラシレス・モータ構成に配置されている駆動構成要素を含むロータの表面上の放射状羽根内に収容することができる。このデバイスにおいては、ロータの回転運動は、ポンプ・ハウジングに対して変化する軸を中心にして起こる。
【特許文献1】米国特許第6,609,883号明細書
【特許文献2】米国特許第5,326,344号明細書
【特許文献3】国際公報第99/01663号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
このような配置になったのは、非常に正確な軸制御および設計製造を行わなくてもすむように試みたためである。当面の問題の一部は、磁気浮揚システムでロータの軸が、その通常中心に配置された位置からずれた場合に、そうでない場合に発生する大きな力が導入されるのを避けなければならないことである。ロータは、入口流体を収容するための内部の孔部の周囲に形成されていて、複数の環状の流れチャネルを提供する一連の外部の囲い板を備える。この配置により、通常のポンプ動作中に血液と接触する表面積が広くなる。赤血球の脆さが、このようなデバイスで非常に重要な関心事になっている。何故なら、移動構成要素と血液量との間の剪断力および摩擦力の相互作用が、赤血球を溶解する傾向があるからである。
【0016】
これに加えて、今日まで左心室補助用に使用されてきた遠心心臓ポンプの大部分は、従来の片側吸込羽根車を特徴とする。すなわち、一組の羽根を含む回転インペラが、1つの入口から1つの出口へ血液を付勢するために使用される。しかし、この技術は、インペラの下に滞留ゾーン、および懸架技術により発生する力により対抗しなければならないインペラが受けるバランスのとれていない流体力を発生する恐れがあり、そのため軸受動力要件が厳しくなり、効率の全体的損失が増大する。懸架および/または駆動のために必要なロータ内に磁気材料を入れようとしても、ロータ・サイズが非常に小さいのでうまくいかない。両側吸込羽根車を使用することにより、軸方向の流体力のバランスがもっとうまくとれ、潜在的滞留ゾーンがなくなる。
【0017】
さらに、両心室補助の使用を解決するためにこれらのポンプを使用すると、現在の技術では、2つの別々のポンプを移植し、動作しなければならないし、左右の心臓の補助のために2つの独立しているポンプを制御しなければならないので、移植サイズが大きくなり、制御がさらに複雑になる。1つの回転遠心デバイス、BiVADを生成しようとする試みは、インペラは共通の回転速度を有しているために、各空洞の出力の流れを別々に変化させるのが難しく、高圧の左の空洞から低圧の右の空洞への漏洩を防止するのが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1の広い形態の場合には、本発明は、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)上記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、上記空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口へ付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)空洞内のインペラの位置を検出することができる少なくとも2つのセンサと、
d)空洞軸に直角の方向にインペラの位置を制御するためのラジアル軸受と、
e)空洞軸に平行な方向にインペラの位置を制御するための軸方向の結合と、
f)使用中、磁界を制御し、それによりインペラ軸を中心とするインペラの回転を制御するために、センサおよびコイルの第1および第2の組と結合している制御装置とを含む流体ポンプを提供する。
【0019】
軸方向の結合は、
a)第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組と、
b)本体内に設けられていて、使用中、第2の磁界内に位置する多数の軸方向の支持磁石とを含むことができる。その場合、制御装置は、第2の磁界を制御し、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制御する。
【0020】
軸方向の結合は、コイルの第1の組、および本体内に設けられていて、使用中磁界内に位置する多数の軸方向の支持磁石とを含むことができる。その場合、制御装置は、磁界を制御し、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制御する。
【0021】
軸方向の結合は、
a)軸方向の制御磁界を発生するために、ハウジングと結合している一組の磁石、および
b)本体内に設けられていて、使用中軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限する多数の軸方向の支持磁石
のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0022】
軸方向の支持磁石は、ドライバ磁石であってもよい。
軸方向の結合は、
a)ハウジングと結合している第1の軸受部材と、
b)インペラと結合している第2の軸受部材を含むことができる。第1および第2の軸受部材は、協働することにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限する。
【0023】
ラジアル軸受は、
a)ハウジングの内面と、
b)使用中流体がポンピングされると、内面部分と外面部分との間に境界層が形成され、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動が制限されるように、内面と協働するような形をしているインペラの外面の少なくとも一部とを含むことができる。
【0024】
ラジアル軸受は、第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組を含むことができる。この場合、制御装置は、センサからの信号により第3の磁界を制御し、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動を制御する。
【0025】
流体ポンプは、通常、空洞の第1の端部に位置する少なくとも1つのセンサ、および空洞の第2の対向端部に位置する少なくとも2つのセンサを含む。
羽根の寸法は、通常、出口のところの流体圧力および流速のうちの少なくとも一方を制御するように選択される。
【0026】
この寸法は、
a)羽根の高さ、
b)インペラの直径、
c)羽根の長さ、
d)羽根の幅、
e)入口および出口の羽根の角度、
f)羽根の形状、
g)羽根の数
のうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0027】
通常、
a)ハウジングは、
i)少なくとも2つの流体入口と、
ii)少なくとも2つの流体出口とを含み、
b)インペラは、
i)少なくとも2つの本体部分と、
ii)それぞれ第1および第2の本体部分の上に位置する羽根の第1および第2の組とを含む。羽根の各組は、使用中、流体を各入口から各出口へ付勢するためのものである。
【0028】
好適には、インペラは、第1および第2の空洞部分を形成するために、空洞と協働することが好ましい。各空洞部分は、それぞれ入口、出口およびインペラを含み、空洞は、空洞部分間の流体の移動を実質的に防止するように構成されている。
【0029】
羽根の第1および第2の組は、それぞれほぼ同じ寸法を有し、それにより出口のところで流体をほぼ同じ圧力および流速で供給する。
羽根の第1および第2の組は、それぞれ異なるそれぞれの寸法を有し、それにより各出口のところで流体をそれぞれの第1および第2の圧力で供給する。
【0030】
第1の出口は、第2の入口と結合することができる。
空洞は、空洞軸に対してほぼ回転対称にすることができ、その場合、コイルは、空洞の周囲に円周方向に間隔を置いて配置される。
【0031】
本体は、インペラ軸に対してほぼ回転対称であり、ドライバ磁石は、インペラ軸から半径方向に外側を向いて、またインペラ軸を中心にして円周方向に間隔を置いて位置する。
好適には、ドライバ磁石は、コイルの半径方向に内側を向いて位置することが好ましい。
【0032】
コイルの第1の組は、コイルの第2の組の半径方向に内側を向いて位置することができる。
コイルは、通常、ヨーク上に装着される。
【0033】
ヨークは、コイルを収容するためのスロットを含むことができる。
一組のコイルは、第1のコイルの3つのペアを含むことができる。各ペア内の第1のコイルは、円周方向に対向して位置していて、制御装置は、対応する方向にコイルを通して電流を流すことができ、それによりインペラを回転させる。
【0034】
制御装置は、
a)必要なインペラ回転速度を決定し、
b)第1のコイルの各ペアに対する制御信号シーケンスを決定し、
c)所定の方向にドライバを移動させ、それによりインペラを回転させるため
に、第1のコイルの各ペアに各制御信号シーケンスを供給することができる。
【0035】
コイルの第2の組は、第2のコイルの3つのペアを含むことができる。各ペア内の第2のコイルは、円周方向に対向して位置していて、制御装置は、対応する対向方向にコイルを通して電流を流すことができ、それにより空洞軸に対してドライバ部材を半径方向に移動することができる。
【0036】
制御装置は、通常、
a)センサを監視し、
b)空洞軸に対して半径方向のドライバ軸の移動を決定し、
c)第2の磁石の1つまたは複数のペアを選択し、
d)選択した各ペアに対して制御信号を発生し、
e)ドライバを所定の方向に移動させ、それにより空洞軸の方向にドライバ軸を移動するために、選択した各ペアに制御信号を供給することができる。
【0037】
制御装置は、メモリおよびプロセッサを有する処理システムから形成することができる。処理システムは、メモリが記憶している所定のアルゴリズムに従って、コイルが発生する磁界を制御するための制御信号を発生することができる。
【0038】
処理システムは、信号発生器と結合することができる。制御信号は、処理システムにより信号発生器に所定の電流をコイルに流させることにより発生することができる。
ドライバ磁石は、8つの円周方向に間隔を置いて位置する永久磁石を含むことができる。磁石の磁極は、ドライバ軸と垂直方向に整合していて、磁極の整合の方向が隣接する磁石で逆になるように配置されている。
【0039】
本体は、
a)2つの本体端部と、
b)本体端部上に位置する多数の羽根とを含むことができる。羽根は、ドライバ軸にほぼ平行な方向に、本体端部の表面から延びていて、ドライバ軸から半径方向に外側を向いて、またドライバ軸の周囲を円周方向に間隔を置いて位置する。
【0040】
各本体端部は、ほぼ円錐形をしている。
本体は、2つの本体端部間に位置するほぼ円筒状の中央本体部分を含むことができる。ドライバ磁石は、円筒状の中央本体部分内に位置する。
【0041】
空洞は、第1および第2の空洞端部を含むことができる。各空洞端部は、
a)空洞軸に沿って位置する入口と、
b)空洞軸に対して直角方向を向いていて、空洞軸から半径方向にずれて配置されている出口とを有し、
c)羽根が流体をインペラの回転に対して入口から出口に付勢することができるように、インペラと協働するためにほぼ円錐形をしている。
【0042】
インペラおよび空洞は、通常、流体が一方の空洞端部から他方の空洞端部に流れるのを実質的に防止するために協働する。各本体端部上の羽根は、それぞれの高さまたは長さを有し、それにより各端部内の出口のところで流体の圧力または流速を制御する。
【0043】
好適には、ポンプは、空洞端部の少なくとも一方内に位置する少なくとも2つのセンサを含み、それによりセンサと各本体端部の表面との間の距離を測定する。
インペラは、羽根と結合している囲い板を含むことができる。センサは囲い板の位置を決定することができる。
【0044】
ポンプは、空洞軸から半径方向に外側を向いて、また空洞軸の周囲を円周方向に間隔を置いて位置する少なくとも3つのセンサを含むことができる。
センサは、各本体端部の表面の方向に放射線を放射することができる放射線源、および反射した放射線を検出するための検出器を含むことができる。
【0045】
インペラは、位置磁石を含むことができ、センサは、位置磁石が発生する磁界を決定することができるホール効果センサから形成される。
この場合、位置磁石は、ドライバ磁石であってもよい。
【0046】
支持磁石は、ほぼ円錐または円錐台の形をとることができる。
インペラおよび空洞は、ほぼ円筒形をとることができる。
インペラは、本体の外周上に位置する1つまたは複数の楔を含むことができ、それにより空洞軸に直角な方向にインペラの位置を流体力学的に制御するために内面と協働する。
【0047】
楔は中央本体部分内に設けることができる。
軸方向の支持磁石は、磁界内に位置する磁石材料から形成することができる。
軸方向の支持磁石は、軟鉄から作ることができる。
【0048】
インペラは、各本体端部上に囲い板を含むことができる。
各囲い板は、ドライバ磁石を含むことができる。
各囲い板は、軸方向の支持磁石を含むことができる。
【0049】
ポンプは、2つの各空洞端部内に位置する一組の第2の磁石を含むことができる。
第1の広い形態の場合には、本発明は、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1および第2の各磁界を発生するためのコイルの第1および第2の組と
を有するハウジングと、
b)空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口へ付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)空洞内のインペラの位置を検出することができる少なくとも2つのセンサと、
d)センサとコイルの第1および第2の組と結合し、使用中、
i)第1の磁界を制御し、それによりインペラの軸を中心とするインペラの回転を制御し、
ii)第2の磁界を制御し、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動を制御する制御装置と
を含む流体ポンプを提供する。
【0050】
制御装置は、第2の磁界を制御し、それにより空洞軸に平行なインペラの運動を制御することができる。
流体ポンプは、空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限するための軸方向の結合を含むことができる。
【0051】
第1の広い形態の場合には、本発明は、
a)空洞軸を有する空洞を形成している内面を有するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するためにハウジングと結合している一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)上記空洞内に位置しているインペラであって、
i)インペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口へ付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
iv)外面であって、使用中流体がポンピングされると、内面部分と外面部分との間に境界層が形成され、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動が制限されるように、少なくとも外面の一部が、内面の対応する形の部分と協働するような形をしている外面と
を有するインペラと、
c)空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限するための軸方向の結合と、
d)第1の磁界を制御し、それによりインペラ軸を中心にしてインペラを回転するための制御装置とを含む流体ポンプを提供する。
【0052】
軸方向の結合は、
a)第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組と、
b)空洞内のインペラの位置を感知するための少なくとも2つのセンサとを含み、制御装置は、センサおよびコイルの第2の組に結合していて、使用中、制御装置は、第2の磁界を制御し、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制御する。
【0053】
軸方向の結合は、
a)軸方向の制御磁界を発生するために、ハウジングと結合している一組の磁石、および
b)本体内に設けられていて、使用中軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限する多数の軸方向の支持磁石
のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0054】
軸方向の結合は、
a)ハウジングと結合している第1の軸受部材と、
b)インペラと結合している第2の軸受部材とを含むことができる。第1および第2の軸受部材は、協働して空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限する。
【0055】
第1の広い形態の場合には、本発明は、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)上記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口へ付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、第1の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)空洞内のインペラの位置を検出することができる少なくとも2つのセンサと、
d)センサおよび一組のコイルと結合している制御装置であって、使用中、磁界を制御し、それにより
i)インペラの軸を中心とするインペラの回転を制御し、
ii)空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制御する制御装置と
を含む流体ポンプを提供する。
【0056】
第1の広い形態の場合には、本発明は、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1の磁界を発生するための一組のコイルと、
iv)軸方向の制御磁界を発生するための一組の磁石と
を有するハウジングと、
b)空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口へ付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、第1の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
iv)軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限する多数の支持磁石と
を有するインペラと、
c)第1の磁界を制御するために一組のコイルと結合していて、それによりドライバ軸を中心とするドライバの回転を制御する制御装置と
を含む流体ポンプを提供する。
【0057】
第1の広い形態の場合には、本発明は、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1の軸受部材と、
iv)各磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口へ付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)多数のドライバ磁石と、
iv)第2の軸受部材と
を有し、第1および第2の軸受部材が協働し、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限するインペラと、
c)一組のコイルと結合し、コイルの第1の組が発生する磁界を制御し、それによりドライバ軸を中心とするドライバの回転を制御することができる制御装置とを含む流体ポンプを提供する。
【0058】
流体ポンプは、通常、空洞軸に直角な方向のインペラの運動を制御するためのラジアル軸受をさらに含む。
ラジアル軸受は、
a)ハウジングの内面と、
b)外面を有し、使用中、流体がポンピングされると、内面部分と外面部分との間に境界層が形成され、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動が制限されるように、内面の対応する形の部分と協働するような形をしている外面の少なくとも一部を有するインペラとを含むことができる。
【0059】
ラジアル軸受は、
a)第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組と、
b)空洞内のインペラの位置を検出することができる少なくとも2つのセンサとを含むことができる。この場合、制御装置は、センサからの信号により第3の磁界を制御し、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動を制御する。
【0060】
流体ポンプは、空洞の第1の端部に位置する少なくとも1つのセンサ、および空洞の第2の対向端部に位置する少なくとも2つのセンサを含む。
第1の広い形態の場合には、本発明は、
a)空洞軸を有する空洞を形成している内面を有するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1の磁界を発生するためのハウジングと結合している一組のコイルと、
iv)軸方向の制御磁界を発生するために、ハウジングと結合している一組の磁石と
を有するハウジングと、
b)流体を入口から出口に付勢するために空洞内に位置しているインペラであって、
i)インペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、第1の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
iii)外面であって、使用中、流体がポンピングされると、内面部分と外面部分との間に境界層が形成され、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動が制限されるように、少なくとも外面の一部が、内面の対応する形の部分と協働するような形をしている外面と、
iv)軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制限する多数の軸方向の支持磁石と
を有するインペラと、
c)磁界を制御し、それによりインペラ軸を中心にしてインペラを回転するための制御装置とを含む流体ポンプを提供する。
【0061】
第1の広い形態の場合には、本発明は、流体ポンプにより流体をポンピングするための方法であって、上記流体ポンプが、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1および第2の各磁界を発生するためのコイルの第1および第2の組と
を有するハウジングと、
b)空洞内に位置しているインペラであって、
i)空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口に付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)空洞内のインペラの位置を検出することができる少なくとも2つのセンサとを有し、
i)第1の磁界を制御し、それによりインペラ軸を中心とするインペラの回転を制御するステップと、
ii)第2の磁界を制御し、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動を制御するステップとを含む方法を提供する。
【0062】
第1の広い形態の場合には、本発明は、流体ポンプにより流体をポンピングするための方法であって、上記流体ポンプが、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を入口から出口に付勢するために本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)空洞内のインペラの位置を検出することができる少なくとも2つのセンサとを有し、磁界を制御し、それにより
i)インペラ軸を中心とするインペラの回転を制御するステップと、
ii)空洞軸に平行な方向のインペラの運動を制御するステップとを含む方法を提供する。
【0063】
第1の広い形態の場合には、本発明は、適当な処理システム上で実行した場合、処理システムに請求項46または48に記載の第8および第9の広い形態から見た方法を実行させるコンピュータ実行可能コードを含むコンピュータ・プログラム製品を提供する。
【0064】
第1の広い形態の場合には、本発明は、流体ポンプで使用するための、ポンプ空洞内に装着されていて、流体を第1および第2の入口から対応する第1および第2の出口に付勢することができるインペラを提供する。インペラは、
a)インペラ軸を形成していて、第1および第2の本体端部を含む本体と、
b)使用中、流体を各入口から対応する出口に付勢するために、各本体端部上に位置する一組の羽根と、
c)使用中、第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
d)使用中、流体がポンピングされると、内面部分と外面部分との間に境界層が形成され、それにより空洞軸に直角な方向のインペラの運動が制限されるように、内面の対応する形の一部と協働するような形をしている外面部分とを含む。
【0065】
インペラは、請求項4に記載の流体ポンプの一部を形成する。
第1の広い形態の場合には、本発明は、流体ポンプで使用するための、ポンプ空洞内に装着されていて、流体を第1および第2の入口から対応する第1および第2の出口に付勢することができるインペラを提供する。インペラは、
a)インペラ軸を形成していて、第1および第2の本体端部を含む本体と、
b)使用中、流体を各入口から対応する出口へ付勢するために、各本体端部上に位置する一組の羽根と、
c)使用中、第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
d)インペラ軸に平行な方向のインペラの運動を制限するための軸方向の結合の少なくとも第1の部分を含む。
【0066】
軸方向の結合は、
a)ハウジング上に設けられている第1の軸受部材と協働することができる第2の軸受部材、および
b)使用中、軸方向の制御磁界を位置決めするための多数の支持磁石
のうちの少なくとも一方を含むことができる。
【0067】
羽根の寸法は、通常、出口のところの流体圧力および流速のうちの少なくとも一方を制御するように選択される。
この寸法は、通常、
a)羽根の高さ、
b)インペラの直径、
c)羽根の長さ、
d)羽根の幅、
e)入口および出口の羽根の角度、
f)羽根の形状、
g)羽根の数
のうちの少なくとも1つを含む。
【0068】
インペラは、各入口が、各本体端部の方向に本体の軸に沿って流体を送るように位置している場合に、入口が本体の軸に平行に整合するように、使用中、ポンプの空洞内に位置させることができる。インペラは、使用中、回転し、それにより流体を出口の方向へ半径方向に外側に付勢する。
【0069】
本体は、2つの端部間に位置するほぼ円筒状の中央本体部分を含むことができる。ドライバ磁石は、円筒状の中央本体部分内に位置する。
インペラは、第1および第2の空洞部分を形成するためにポンプの空洞と協働することができる。各空洞部分は、それぞれの入口、出口、および本体端部を含む。インペラは、空洞部分間での流体の移動を実質的に防止することができる。
【0070】
インペラは、心臓ポンプで使用することができる。羽根の第1および第2の組は、それぞれ左右の心室を補助するために血液をポンピングすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0071】
添付の図面を参照しながら本発明のある例について説明する。
図1A〜図1Eは、ダブル・インペラを内蔵する流体ポンプの一例である。図に示すように、ポンプは、インペラ3を内蔵する空洞2を形成している2つの円錐形の端部1A、1Bを有するハウジング1を含む。インペラは、それぞれがその上に装着されている多数の羽根4を有する2つのほぼ円錐形の本体端部3A、3Bから形成されている。
【0072】
各ハウジング部分1A、1Bは、各入口5A、5Bおよび各出口6A、6Bを備える。
ハウジングは、空洞2を2つの空洞に分割するのに効果的に協働するリム8とインペラ3との間に隙間ギャップ8Aを含む。空洞端部は、それぞれ2A、2Bを形成し、2つの空洞間の流体の流れを低減する。それ故、この例の場合には、ポンプは、空洞2A、2Bにより形成される2つのポンプを効率的に内蔵する。使用中、インペラ3は、全体を参照番号7で示す軸を中心にして回転する。当業者であれば理解することができると思うが、この回転により、各入口5A、5Bの流体が、各出口6A、6Bの方向に付勢される。
【0073】
動作効率を改善するために、好適には、入口5A、5Bは空洞軸7と整合していて、それによりインペラ3上に血液の流れを直接向け、それにより羽根4と接触させることが好ましい。これにより、ポンプ内への流体の流れによるインペラ3上の半径方向の変位の影響が最小限度に低減する。しかし、軸方向のデバイスのサイズを小さくし、心臓ポンプ使用の際の解剖学的互換性を改善するために、流体は空洞軸にほぼ垂直な方向から空洞に入らなければならない。これを達成するために、入口は、空洞軸7に沿って空洞2内への流体の流入を整合するために90度の屈曲部を含む。
【0074】
この配置が解剖学的に適しているのであるが、入口ボリュート5A、5Bの代わりに、インペラの回転軸7に平行でまっすぐなカニューレを使用することができることに留意されたい。
【0075】
このことは、入口ボリュート5C、5Dにより達成することができる。図2Aおよび図2Bは、その例を示す。流れは、各ポート5E、5Fを通して入口ボリュート5C、5Cに入り、5Gにて示すボリュートの形をしている回転構成要素およびインペラの目の位置にリップ5Hを備える。このリップ5Hは、また、この領域内での循環および潜在的な滞留を低減する。それ故、流体が入口5A、5Bに入ると、回転しているインペラ・ブレード内への移動を助ける渦巻構成要素を有する。入口ボリュート5C、5Dは、患者の心臓の下に流体ポンプを移植した場合に、解剖学的互換性をさらに改善する。ポンプのある例の場合には、好適には、入口および出口の流れは、同じ平面内に位置することが好ましい。さらに、流体の軸方向の大きさは、平らな「パンケーキ」タイプの入口ボリュートを使用することにより小さくすることができる。
【0076】
使用中、入口ボリュート5C、5Dは、血液を、回転しているインペラ3の方向に向ける。羽根4は、螺旋チャネルの形をしていて、出口6A、6Bにそれぞれ接続している各出口ボリュート37A、37Bを通して血液を移動させる。
【0077】
図2C〜図2Fは、多数の出口ボリュートの例を示す。図2Cに示すように、ボリュート37A、37Bの最初の部分は、「水切り」38Aと呼ばれる羽根4と空洞2の内面の間の狭い空間である。ボリュートは、太くなり、外側に膨らんで各出口6A、6Bと連続しているか、別の方法としては、図2Eに示すように、羽根なしディフューザ38C内にさらに外側に膨らむことができる。このボリュートの構造は、血液の量が出口の方向に付勢される場合、流入中、乱流を少なくするのを助け、壁部摩擦を少なくするのを助ける。何故なら、流体速度が一定に維持され、それにより剪断応力の発生が低減し、ポンピングしている流体の分力を保存するからである。
【0078】
図2Dの実施形態では、ボリュートは分割される。この例の場合には、ロータとハウジングとの間の半径方向の隙間ギャップ、または最初のボリュート領域37Aは、インペラの半分、すなわち約180度を収容するまで、最初の点(水切り)38Aから広くなっている。第2の水切り38Bは、第2のボリュート37Bが始まる180度のところで実施される。分割すなわち「ダブル」ボリュートは、半径方向の推力が小さく、種々のレベルの心臓疾患を有し、そのためサポート中補助を必要とする患者が遭遇するもっと広い動作範囲で効率を改善する。
【0079】
別の方法として、図2Fは、同心ボリュートを示す。半径方向の水圧推力は、単一ボリュートの効率が一番高い点でだけ低減され、一方、同心ボリュートは、すべての動作条件で最大の半径方向の推力を受ける。
【0080】
空洞2内および空洞軸の周囲でのインペラ3の浮揚および回転は、多くの方法で行うことができる。ある例の場合には、この浮揚および回転は、ハウジング内に設置されている電流が流れているコイル11、12、および図4Bに示し、以下にさらに詳細に説明するインペラ内に設置されている一組の永久ドライバ磁石9からなる二組の磁石により行われる。
【0081】
この例の場合には、磁石(コイル11)の第1の組は、インペラ内に埋め込まれているドライバ磁石9と協働して回転トルクを供給する。磁石(コイル12)の第2の組は、空洞内でインペラ3の位置を維持するために使用することができる磁石軸受を形成するために使用される。
【0082】
しかし、適当な制御戦略を使用した場合には、一組のコイルだけで軸受とモータ磁束発生の両方の機能を提供しなければならない。それ故、磁石(コイル)の第1および第2の組を一組の磁石(コイル)にまとめて、軸受およびモータ磁束の生成を別々に行うために重畳電流を流すことができる。
【0083】
それ故、二組のコイル11、12を使用すると、1つまたは複数のコイルのうちの一方の組が故障した場合、コイルの他の組内の対応するコイルが機能を行うことができるというように冗長性が得られることを理解されたい。
【0084】
使用中、インペラが空洞2内の中央に位置する場合には、最小の力で位置決めを行うことができる。しかし、マイナスの剛性またはステータへの永久磁石の引力により、ロータの位置は元来不安定なものである。それ故、能動磁気軸受は、任意の外乱力を打ち消すために追加の磁束を供給する。Schweitzer,G.、Bleuler,H.、Traxler,A.(1994年)の「能動磁気軸受:能動磁気軸受の基本、特性および用途」(Active Magnetic Bearings:Basics, Properties and Applications of Active Magnetic Bearings)に記載されているように、この方法は、いわゆるローレンツおよびリラクタンス理論による磁気モータ軸受システムで通常使用される。
【0085】
この形のポンプ組立体は、ほ乳類の心臓の1つまたは複数の心室を補助することもできるし、これらの心室の代わりに使用することができる。このことは、ポンプの入口5A、5Bを左心室または心房に接続し、両側遠心インペラ3を通して流体にエネルギーを供給し、出口6A、6Bを大動脈に接続し、それにより左の心臓の自然の機能を補助することにより行われる。追加的にまたは別の方法としては、入口5A、5Bを右の心室/心房に接続し、出口6A、6Bを肺動脈に接続し、それによりそれぞれ左右または右の心臓を補助することができる。
第1の特定の例
心臓の左の心室(LVAD)の機能を補助し、またはその代行を行うことができるポンプを参照しながら、ポンプの第1の特定の例について以下に説明する。
【0086】
図1Aは、左心室補助デバイスの実施形態として使用するポンプの一例の詳細断面図である。すでに説明したように、この構成は、それぞれがその上に装着されている多数の羽根4A、4Bを有する2つのほぼ円錐形の本体部分3A、3Bからなる両側遠心ポンプに流体を供給する2つのボリュート・タイプの入口5C、5Dを含む。
【0087】
羽根は、各空洞2A、2Bの出口6A、6Bに同じ圧力が発生するように構成される。これは、実際には、並列に動作している2つの遠心ポンプを表し、それ故、カニューレ40における出力の流れは、特定の圧力の増大に対して各出口6A、6Bに発生する流速の2倍である。この例の場合には、空洞2は、半径方向タイプの磁気モータ軸受のための場所である狭い隙間ギャップ8Aにより2つの空洞2A、2Bに分割される。この例の場合には、図に示すように、コイル11、12は、ポンプ・ハウジング1の外側に常駐していて、インペラの円筒状の円周内に埋め込まれている永久ドライバ磁石9と結合している。この磁気軸受は、半径(x,y)方向に接点のないインペラ・サスペンションおよび回転トルクを供給する。図1Eは、ポンプの詳細な分解図である。
【0088】
入口の流れは、左の心室または心房からの1本のカニューレ39により供給され、両方の空洞2A、2B内で均一な流れを供給するように、入口5A、5Bに接続している2つのコンジット39A、38B内に分割される。この配置の場合、心収縮期および心拡張期に起こる左心室の圧力の変動は、バランスをとっている入口ボリュート5C、5Dを通して、ポンプの両方の入口5A、5Bに直接送られ、そのため、インペラ3が受ける軸方向の推力を最小限度に低減する。これは、従来の片側ポンプではなかなか得られない機能である。
【0089】
図3Aは、この例で使用するインペラ3の構成の一例である。より詳細に説明すると、図3Aは、インペラが、3つの部分、すなわち、一例の場合には、永久ドライバ磁石9を含む端部3A、3Bおよび中央部分3Cからなることを示す。端部3A、3Bは、図に示すように、羽根4A、5Bのそれぞれの組を含む。
【0090】
羽根4A、4Bの構成により、出口6A、6Bのところに供給される流れの特性を制御することができる。この制御は、以下にさらに詳細に説明するように、多くの要因により行われる。しかし、これから多数の異なる羽根の配置を使用することができることを理解することができるだろう。
【0091】
例えば、図3Bは、別の1つのインペラの構成を示す。この例の場合には、囲い板3Dは、水圧効率を改善するために羽根4A、4B上で使用され、もっと近い近接センサの目標を提供する。しかし、この状況は、囲い板3Dと空洞2との間の剪断値を潜在的により高くはしないで、以下にさらに詳細に説明するように、センサの解像度を改善する。
【0092】
図3Cは、所望の流れ特性を生成するために使用することができる「背後に向かって傾斜している」羽根の実施形態を示す。外部および内部のブレードの直径は4D、4Cであり、出口の羽根角度は4Eであり、入口の羽根角度は4Fであり、羽根の高さは4Gである。別の方法としては、図3Dに示すように、羽根4の最初の部分から半径方向にまっすぐにすることができるし、または前に傾斜させることもできる(図示せず)。
【0093】
好適には、インペラ3を離れた流体は、9つの分割ボリュート・タイプのケーシング37A、37Bにより収集し、設計条件で羽根4から離れる流れの相対角度に対応する螺旋角度で出口6A、6Bに送ることが好ましい。出口の流れは、大動脈に1本のカニューレを供給するために、コンジット40A、40Bにより結合される。
【0094】
別の方法としては、出力の各流れ6A、6Bを、例えば、上行大動脈および下行大動脈のような大動脈の異なるサイトに向けることができる。そうすることにより、そうしない場合1つの上行大動脈インタフェースからでは血液が不足する特定の器官に追加の血流を供給することができるが、循環系への追加のインタフェース・サイトは必要ない。
【0095】
インペラ3およびハウジング1の構成を設計する際には、計算上の流体力学技術により、当業者であれば理解できると思うが、確実に分割カニューレ内に滞留ゾーンができないようにし、血栓ができる可能性を除去しなければならない。
【0096】
ある例の場合には、図4Aに示すように、インペラ3は吊り下げられ、インペラ3の中央部分3C内に設置されているドライバ磁石9と結合されて、各磁界を発生するコイル11、12の第1および第2の組により駆動される。
【0097】
図4Bに示すように、コイル11、12の第1および第2の組は、ドライバ磁石9を円周方向に囲んでいるハウジング1の外側のセクション内に位置していて、それにより必要な磁気軸受および回転トルクを供給する。
【0098】
コイル11、12の組は、ステータとしての働きをする共通のヨーク15上に配置されている。好適には、ヨークは、渦電流損失を低減するために、レーザまたは水ジェット・カットの積層または焼結した鉄のコアから作ることが好ましい。磁気材料は、希土類、ネオジム、または十分な磁束を供給するために使用することができる任意の材料であってもよい。ある例の場合には、各組は6つのコイルからできているが、コイルの数は6つでなくてもよい。
【0099】
コイル11、12は、図4C〜図4Eに示すように、ヨーク15(「スロットレス」配置と呼ばれる)を同一平面に設置することができる。この構成の場合には、図4Fに示すように、永久磁石の形9Aが必要になる。他の配置と比較した場合、この配置であると半径方向の力の発生が少なくなるが、マイナスの剛性の不安定の程度がかなり低減し、またインダクタンスが少なくなり、それ故、回転速度を速くすることができる。何故なら、逆起電力の発生が少ないからである。インペラの質量がもっと大きかったり、コイルのサイズがもっと大きかったりすると、この磁気軸受タイプの占有空間が大きくなる。
【0100】
別の方法としては、コイルをヨーク(「スロット・タイプ」と呼ばれる)内のスロット15A内に置くことができ、この場合、図4Gの15C、15Dにて示すように、ヨークは半径方向に内側に延びる。この構成の場合には、発生するコギング・トルクを低減するには、図4Hおよび図4Iに示す磁石の形9Bを使用することが好ましい。このステータ・タイプの場合には、より大きな軸受およびトルクを発生することができるが、比較的大きなインダクタンスのために速度が制限される。しかし、この用途に対しては、回転速度を十分速くすることができる。
【0101】
さらにまたは別の方法としては、磁束密度を改善するために、図4Jに示すように、磁石をハルバッハ配列(Halbach array)にて構成することができる。この場合、それぞれの半径方向の極性の向きが若干異なる複数のもっと小さい磁石から別々の各磁石が作られる。
【0102】
使用中、ドライバ磁石9は、その磁極がインペラ3の軸に垂直に整合されるように配置される。この場合、隣接する磁石は対向方向に整合している磁極を有する。そうすることにより、矢印10で示すように、インペラ3の外側の周囲に交互の磁界ができる。より詳細に説明すると、この例の場合には、磁界は、永久磁石9から半径方向の外方に延びる。この場合、図に示すように、間で交互に変わる磁界の方向は、半径方向の外方にまたは半径方向の内方に向く。
【0103】
コイル11、12の方向を示すためのコイル11、12およびヨーク15の円周の断面図である図5A、図5Bを参照しながら、インペラの回転および位置を制御する方法の一例について以下に説明する。この例の場合には、コイル11の第1の組は、回転トルク(「モータ・コイル」と呼ばれる)を提供し、コイル12の第2の組は、軸受機能(「軸受コイル」と呼ばれる)を提供する。
【0104】
より詳細に説明すると、図5Aの場合には、モータ巻線の一対の対向して位置するモータ・コイル11A、11Bには図に示すように電流が流れる。それにより矢印16Aで示す磁界が発生し、この磁界により矢印16Bで示すように、コイル内にローレンツ力が発生する。コイルはステータに固定されているので、これにより矢印17の方向にインペラ本体が回転する。それ故、モータ・コイルに適当な電流を供給することにより、インペラを回転させることができる。
【0105】
図5Bの場合には、軸受巻線の一対の対向コイル12A、12Bには図に示すように電流が流れる。これにより矢印16Bで示すように、コイル12A、12B内にローレンツ力が発生する。コイル11、12はステータ・ヨーク15に固定されているので、これによりインペラ3は、矢印18で示すように空洞軸7に対して横方向に運動する。同様に、軸受コイルに適当な電流を供給することにより、インペラを横方向に運動させることができる。
【0106】
横方向の運動は、通常、制御装置により行われる。図6はその一例を示す。この例の場合には、制御装置は、プロセッサ21、メモリ22、およびバス24を通して一緒に結合している外部インタフェース23を有する処理システム20を含む。任意の入出力装置25も設置することもできる。
【0107】
処理システム20は、外部インタフェース23を介して、3つのセンサ26A、26B、26Cおよび信号発生器27と結合している。信号発生器27は、それぞれモータ・コイル11A、11B、11C、11D、11E、11Fおよび軸受コイル12A、12B、12C、12D、12E、12Fに対して、全体的に示すように、対向コイルのペアを選択的に作動することができるように、モータ・コイルおよび軸受コイルと結合している。図に示すように、コイルは、対向位置コイル11A、11B;11C、11D;11E、11Fおよび12A、12B;12C、12D;12E、12Fのペアとして配置されている。
【0108】
使用中、プロセッサ21は、メモリ22内に記憶しているデータから、必要な回転速度とするためにモータ・コイルに供給しなければならない電流を決定する。心臓ポンプの場合には、デバイスを移植する前に1つの速度が予め設定される。このことは、メモリ22内に予め設定した速度を定義する情報を記憶し、入出力装置25または外部インタフェース23と結合しているリモート処理システムを使用することにより達成することができることを理解することができるだろう。
【0109】
別の方法としては、ポンプを使用中に、いくつかの速度を設定することができる。このことは、適当な検出システムを使用することにより、例えば、入出力装置25または外部インタフェース23との有線または無線接続を介して、または潜在的心拍等の上昇のような外部の刺激に応じて行うことができる。
【0110】
いずれにせよ、供給すべき電流を表す信号が、信号発生器27に供給され、この信号発生器は、適当な電流を発生するために動作し、この電流は、次にモータ・コイル11A、11B、11Cに供給される。このことは、通常、インペラに所望の運動を行わせるための所定のシーケンスによるモータ・コイルのペアの作動を含む。
【0111】
特に、図に示すような8つの等間隔の永久磁石9および6つの等間隔のモータ・コイルおよび軸受コイル11、12を含む上記構成について考えてみる。
回転中、モータ・コイル11のペアは、三相電流により駆動される。ハウジング位置に固定されているセンサに対するドライバ磁石の位置の変化を検出するために装着されている適当に設置されたホール効果センサにより、正確な回転速度を監視することができる。別の方法としては、第1の組の磁石に発生する逆起電力を回転速度と関連づけることもできる。この速度が決定されると、設定回転速度を維持するために、この速度を制御装置にフィードバックすることができる。
【0112】
インペラの横方向の位置を制御する場合には、この制御は、センサ26A、26B、26Cからの位置情報をプロセッサに決定させることにより行うことができる。この制御を行うために、例えば、空洞2A、2Bの内面内のハウジング1(図示せず)内に適当なアパーチャを全体的に設けることにより、図7A、図7B、図7Cに示すように、センサがハウジング内に設置される。
【0113】
これらの図面は、インペラの位置を決定するために使用する好適な技術を詳細に示す。各空洞2A、2Bの周囲には、円周方向に等間隔で、各本体部分1A、1B内に一組のアパーチャが設けられている。使用中、一組のセンサ26A、26B、26Cだけを使用することができる。何故なら、インペラ3の横方向(x,y)の位置を決定するには、一組のセンサだけで十分であるからである。しかし、さらに、すべての自由度でインペラの位置を決定し、ある程度の位置決定の冗長性を提供するためには、すべてのアパーチャ内にセンサ26D、26E、26Fを含んでいると有利である場合がある。
【0114】
好ましい実施形態の場合には、空洞軸と一致する原点を有するx軸およびy軸に沿ってセンサ26A、26Bが配置されるような間隔で、アパーチャの各組が配置される。第3のセンサ26Cは、−x軸および−y軸の間の中間に位置する。センサ26A、26B、26Cは、図8に示すように、各センサとインペラ3の表面33との間の距離「d」を測定することにより動作する。3つのセンサ26A、26B、26Cに対して測定した距離は、当業者であれば誰でも理解することができるように、x、yおよびz面へのこれらの距離を測定することにより、インペラ本体の位置を決定するために使用される。この例の場合には、x−y面内のインペラ3の位置を測定するだけでよいので、このことは理論的にはセンサ26A、26Bだけで行うことができる。第3のセンサは、実際には、空洞軸に沿ったインペラ3の位置の変化が起こっても影響を受けないようにするためのものである。
【0115】
センサ26A、26B、26Cとインペラ表面33との間の距離は、多くの方法で測定することができる。それ故、例えば、好適には、センサ26A、26B、26Cは、ドライバ磁石9から作ることができる永久磁気センサ目標が発生する磁界を検出することができるホール効果センサであることが好ましい。次に、プロセッサ21は、インペラ3の位置を入手するために、ホール効果センサで発生する電流の大きさを使用することができる。
【0116】
別の方法としては、当業者であれば理解することができるように、各センサ26A、26B、26Cは、LEDレーザのような放射線源等および対応する光検出器から作ることができる。
【0117】
インペラ3の表面の位置を測定する他の方法としては、図9に示すように、羽根34上に囲い板3Dを装着することができる。この場合、インペラ3の位置は、囲い板3Dに埋め込まれている磁気センサ目標とセンサ26A、26B、26Cとの間の距離d1を測定することにより測定することができる。
【0118】
この方法は、永久磁気センサ目標とセンサ26A、26B、26Cとの間の距離d1が、表面33とセンサ26A、26B、26C間の距離dより短いという点が有利である。これに加えて、表面33とセンサ26A、26B、26Cとの間の距離を測定する場合、羽根4は、センサ26A、26B、26Cと表面33との間を周期的に通過し、このことが測定値に影響を与える。その結果、囲い板3Dを使用すると、プロセッサが、もっと高い解像度で、インペラの位置をより迅速に、より正確に検出することができるようになる。しかし、囲い板3Dを使用すると、インペラ3の効果を低減する恐れがあり、各空洞2A、2B内に乱流を発生する恐れがある。このことは、システムを心臓ポンプとして使用する場合のようなある種の用途の場合望ましくない。
【0119】
空洞2内のインペラの位置を感知するもう1つの方法は、各モータ・コイルおよび/または軸受コイルの電圧および電流波形を、インペラの位置を感知するための処理システム20により監視することができる、いわゆる「自己感知」技術と関連する。電流波形の成分は、回路インダクタンスに関連し、回路インダクタンスは、エア・ギャップ8A内の永久ドライバ磁石9の動きと反対の変化をする。モータが発生する逆起電力の電圧を記録し、分析することにより、位置を決定する軸受コイルからの信号により回転位置を感知することができる。この例の場合には、軸受コイル12およびモータ・コイル11が、センサ26を形成していることを理解することができるだろう。
【0120】
いずれにせよ、処理システム20が、インペラ3の軸および空洞軸7がもはや整合状態にないというようなインペラの横方向の動きを検出すると、プロセッサは、軸受コイル12の選択したペアに供給しなければならない電流を発生するために所定のアルゴリズムを使用する。この1つの表示は、信号発生器27に転送され、信号発生器27は、適当な電流を生成し、これら電流を軸受コイル12の選択したものに適用することにより応答する。コイル12内の電流により、以下に説明するように、インペラ本体が移動し、それによりインペラ本体の軸が空洞軸と再度整合する。
【0121】
センサ26が、また、インペラ3の回転位置を決定することができ、それにより処理システム3により回転速度を監視し、調整することができることを理解することができるだろう。
【0122】
さらに、リラクタンス・タイプの磁気理論をベースとする技術のような別の磁気軸受技術も使用することができる。この構成の場合には、当業者であれば理解することができると思うが、若干異なる制御戦術および6つの鉄だけのコアの周囲に6つのコイルを有するスロット付きステータ構成が必要になる。
【0123】
より詳細に説明すると、好適には、磁石9が、モータ・コイルおよび軸受コイル11、12の半径方向の内方を向いて位置するように、インペラを位置させることが好ましい。何故なら、このようにすると、コイル11、12と永久磁石9との間に最適な結合が行われ、それにより半径方向に最適な効率およびそれ故、剛性を提供するからである。このことは、特定の実施態様に依存する多くの方法により行うことができる。
【0124】
インペラ3の横方向の位置を制御する他に、空洞軸に沿ったインペラの位置(「軸方向位置」)を確実に維持する必要もある。
上記例の場合には、永久ドライバ磁石9は、モータ・コイルおよび軸受コイル11、12内に発生する磁界に取り付けられる。それにより、軸方向のヌル位置へのある程度の復帰運動が行われる。より詳細に説明すると、インペラが空洞軸に沿って変位すると、コイル11、12の引力により、受動的安定性と呼ばれる効果によりインペラが最適位置に押し戻される。
【0125】
一般的に、特に流体圧力が両方の空洞2A、2B内でほぼ等しい場合には、これだけでほとんどの場合、軸方向の整合を維持するのに十分である。しかし、他のまたはもう1つの軸方向の整合は、追加の支持磁石を使用することにより行うことができる。この場合、対応する磁石をインペラ3の本体内に設置した状態で、支持磁石をハウジング内に設置することができる。
【0126】
このことは、種々の磁石構成により行うことができる。それ故、例えば、平らな(半径方向の軸に平行な)または円錐台形の永久磁石35を、図10に示すように、ハウジング部分1A、1Bの円周に沿って設置することができる。このことは、1つの適当な形の磁石または一連の円周方向に間隔を置いて位置する磁石35により行うことができる。いずれにせよ、支持磁石35A、35Bは、インペラ本体3内に位置する対応する永久支持磁石36A、36Bと協働する。磁石が、相互に対面している類似の極性で構成されている場合には、支持磁石35は、支持磁石36と反発し、それによりインペラ本体を空洞の中央に移動させる。
【0127】
それ故、空洞軸7に平行な方向にインペラ3が運動すると、支持磁石35と対応する支持磁石36との間の距離が短くなり、それにより結果としての反発力が増大し、それによりインペラを最適位置に対応する空洞の中心の方向に移動させる。
【0128】
インペラのジャイロスコープ効果により傾斜しても、インペラを安定した位置に押し戻す力が増大する。
別の方法としては、この例の場合には、磁石35の代わりにコイルを使用することができる。この場合、ドライバ磁石9の場合と類似の方法で支持磁石36を構成することにより、軸方向軸受を、上記方法と類似の方法でインペラを駆動するためにさらに使用することができる。
【0129】
当業者であれば、アーンショーの定理(EARNSHAWS Theorem)が記述している少なくとも1度の自由度で、ある形の能動磁気サスペンションを実施しなければならないことを理解することができるだろう。この配置を使用すると、ハウジング磁石およびロータ磁石の極性の軸が、インペラの軸に対してある角度を有することになる。しかし、ロータおよび/またはハウジング磁石は、インペラ軸に対して物理的に垂直になることができ、その場合、上記角度は、0度であることが望ましく、磁極はインペラ軸に対して平行であることが望ましい。好適には、この角度は、ロータ永久磁石およびハウジング永久磁石の間のギャップを最も狭くするために、インペラ3を形成している円錐の角度に対応することが好ましい。しかし、0〜65度の範囲内であれば適切である。この角度は、ポンピングされた流体が加える軸方向の変化する負荷に対して最大の反作用を行うように配置しなければならない。この角度は、実際には、ロータ磁石からハウジング磁石方向に異なっていて、半径方向支持または軸方向支持のうちの一方を提供するようにすることができる。
【0130】
それ故、このことは、軸方向にインペラの位置を維持するための自己バランス技術を提供する。
上記の場合、永久磁石36がインペラ本体上に位置している場合には、ハウジング部分1A、1B内の磁石35に近ければ近いほど、磁石の効果は大きくなる。それ故、磁石36は、羽根4上に位置する囲い板に装着することができる。図11Aは、この様子の一例を示す。当業者であれば理解することができると思うが、これによりセンサ26A、26B、26Cにより入手した距離の測定値を、囲い板上に装着されている磁石36への距離を測定することにより入手することができる。図11Bは、ハウジング1の外観を示す。この例の場合には、ハウジングは、支持磁石35を内蔵することができる。
【0131】
いずれにせよ、このシステム内に追加の受動永久磁石を内蔵させると、一般的に、インペラに加わる軸方向の力が低減し、そのため軸方向のインペラ・サスペンションを維持するために必要な電流が少なくてすむ。
第2の特定の例
第2の特定の例の場合、第1の例と比較すると、ポンプは、遅い回転速度またはインペラの直径で、左心室の自然の機能を補助したり、またはその代わりとなるために動作することができる。
【0132】
このことは、第1の特定の例(以後XLVADと呼ぶ)のように並列ではなく、直列の2つのポンプとして、ダブル・インペラの構成を使用することにより達成することができる。それ故、上記例の場合には、流体は左心室/心房から第1の入口ボリュート5Cに直接入る。流体は、流体を出口6Aの方向に付勢する働きをする空洞2A内のインペラ3A上の羽根4Aにより入口5Aを通る。次に、流体は、クロスオーバ・ボリュートを通して、出口6Aから入口5Bへ移動し、それ故、ポンプの空洞2Bに入る。羽根4Bは、流体を出口6Bへまた大動脈へのカニューレを介して循環系内に送る。流体は、隙間ギャップ8Aにより空洞2A、2Bから分離される。
【0133】
ポンプを直列の2つの遠心ポンプとして作動させることにより、流体の圧力は2つの段により増大する。それ故、空洞2Aに入る流体は、流体が入口5Aから出口6Bに移動する間に、必要な全出力圧力の増大の半分程度圧力が増大しなければならない。それ故、入口5Bを通して空洞2Bに入る流体は、すでに所望の全圧力値の半分になっていて、それ故、空洞2B内で必要な全圧力の他の半分を上昇させることができる。
【0134】
この結果、インペラの回転速度を上記LVADの例より遅くすることができる。速度の低減は、LVAD RPM/√2程度である。回転速度のこの低減は、ポンプ内の剪断応力のレベルを有意に低減し、溶血レベルを潜在的に低減する。
【0135】
別の方法としては、流体メカニクス理論が記述しているように、必要な圧力上昇を行うためにインペラの外径を小さくすることにより、インペラの回転速度を一定に維持することができる。
【0136】
この構成を使用すると、2つの空洞2A、2B間の圧力分布をアンバランスにして、圧力が低い空洞2Aの方向の空洞軸7の方向に軸方向の力が発生する恐れがある。同様に、空洞2A、2B間の圧力差により、隙間ギャップ8Aを通して空洞2Bから空洞2Aへ流体が漏洩する恐れがある。
【0137】
それ故、通常は、軸方向の力を打ち消し、そのため発生する漏洩の流れのレベルを低減するインペラ・サスペンション方法が使用される。しかし、必ずしもこの方法を使用しなくてもよい。
【0138】
図12A〜図12Fは、X−LVAD動作用の第1の例の構成を示す。この例の場合には、上記の参照番号と類似の参照番号であって、50だけ大きい参照番号を使用する。それ故、ポンプの各素子については詳細に説明しない。
【0139】
この例の場合には、インペラ53は、軸方向に完全に吊り下げられていて、軸方向の磁気モータ軸受により空洞軸57を中心にして回転する。半径方向の自由度は、58のところに位置する流体軸受と結合している能動軸方向軸受が発生する受動磁気力の組合わせにより制限される。流体軸受の場合には、空洞52Bから空洞52Aへの流体の流れを有意に低減する働きをする隙間ギャップ58Aの幅は最も狭くする必要がある。空洞52は、それに応じて他のインペラの形状を収容するような形をしていることを理解することができるだろう。
【0140】
この例の場合には、インペラ53は円筒状であって、水圧効率を改善し、磁気材料を置くための領域を供給するために囲い板53Dを使用する。羽根44Aは、ポンプが必要とする所望の全圧力上昇の半分の圧力を上昇させるために、羽根の角度および高さを正しく選択することにより構成される。ある例の場合には、入口55Aから出口56Aへの圧力の上昇は、50mmHg程度である。
【0141】
流体は、出口56Aを通して第1の段から出て、「クロスオーバ」ボリュート56Cに入る。このボリュートは、流体を効率的に第2の段の入口55Bに移送する。第2の段に入る流体は、全圧力の半分であり、全圧力の後の半分を上昇させるために羽根54Bを必要とする。羽根54Bは、異なる入口条件でも使用することができるように若干異なるプロファイルを有することができる。
【0142】
この例の場合には、磁石システムは、空洞52を含むインペラ53の軸方向のサスペンションおよび回転の両方を行うために使用される。図12G〜図12Lを参照しながらこの磁石システムの一例について以下に説明する。
【0143】
この場合、2つのスロット付きタイプのステータ65A、65Bは、インペラ53の軸方向の上方及び下方に位置する。ステータ65A、65B内のコア65Cの周囲に巻かれたコイル61A、61Bが発生する磁界は、インペラ53の囲い板53D内に埋め込まれている特殊な形の永久ドライバ磁石59と結合している。
【0144】
この例の場合には、4つのドライバ磁石59Aが、第2の端部53B上に位置するドライバ磁石59Bの対応する組を含むインペラの第1の端部53A上に位置する。しかし、他の数の磁石も使用することができる。
【0145】
モータ機能の場合、同じ電流が、頂部ステータおよび底部ステータ65A、65B内に位置するコイル61A、61Bに供給される。この例の場合には、6つのコイル61A、61Bが図示されているが、他の数のコイルも使用することができる。
【0146】
軸受機能の場合、コイル61Aに供給される電流が増大すると、コイル61Bに供給される電流が対応して減少し、それによりコイル61Aへの磁気引力が増大し、コイル61Bへの磁気引力が減少する。そのため、コイル61Aに向かう空洞軸57沿いの力が発生し、そのためこの力を空洞軸57に沿ったインペラ53の位置を変えるために使用することができる。この制御は、処理システム70と結合している適当なセンサ76を使用して、インペラ53の位置を決定することにより再度行われる。次に、図5A、図5Bおよび図6のところで説明したのと類似の方法で動作が行われるが、この動作についてはすでに説明したので詳細には説明しない。
【0147】
二組のドライバ磁石59A、59Bを設置する他の方法としては、ステータ65Aをインペラの第1の端部53A上の鉄と結合している磁気軸受としてだけ動作するようにすることができる。この場合、回転トルクは、端部53B内に埋め込まれている適当な数のドライバ磁石59Bと結合しているもっと多くの鉄のコアを有する底部ステータ65Bが供給するだけである。
【0148】
この例の場合には、センサ76は、軸方向タイプの磁気軸受のために必要であるため、軸方向の運動だけを直接感知するために、平らなインペラの囲い板53D上に目標を設定するように装着することができる。
【0149】
他の例の場合には、コイル61A、61Bが発生する磁界は、インペラ53のどちらかの端部53A、53Bのところの囲い板55D内に埋め込まれている鉄に直接結合する。これにより軸方向の軸受の制御だけを行うことができ、それ故、空洞軸57に沿ったインペラ53の位置を制御するために使用することができる。三相モータをインペラ53の円筒状の円周内に埋め込まれている磁石59と結合することにより、すでに説明したのと類似の方法で、回転トルクが供給される。このことは、図4〜図7で説明したのと類似の配置を使用して達成することができる。
【0150】
ある例の場合には、モータは、インペラの外周から半径方向の外側を向いている、ハウジング内に位置する6つのコア・ステータの周囲に巻かれている6つのコイルを有する。
上記すべての例の場合、多くの異なる方法により半径方向の運動を制御することができる。例えば、このような制御は、ハウジング51上に設置されているコイルの適当な組により行うことができる。図1〜図11のところですでに説明したように、このコイルは、ドライバ・コイル、または制御コイルの追加の組を含むことができる。
【0151】
別の方法としては、半径方向の運動を、インペラ3とハウジング8との間の隙間ギャップ8A内の流体軸受を使用することにより制限することができる。この場合、インペラの円筒状の円周は、多数の小さなテーパ状の楔90から作ることができる。図13Gは、その例を示す。
【0152】
好適には、楔90は、血液成分の損傷を軽減するために丸い縁部を有することが好ましい。しかし、縁部を丸くすると流体軸受の剛性が低下する。これらの楔と相対的回転速度とを組み合わせると、レイノルドの潤滑理論が記述しているように、テーパ状ギャップを通して流体が締め付けられるために推力が発生する。この半径方向の推力は、ポンプ内で発生するすべての半径方向の力のバランスをとるために使用される。
第3の特定の例
第3の特定の例は、BiVADと呼ばれる心臓の左右両方の心室の機能を補助またはその代わりをすることができる1台のポンプに関連する。
【0153】
図13A〜図13Hを参照しながらこのポンプの一例について以下に説明する。これらの図面においては、100だけ多い類似の参照番号を、第1の特定の例で示したこれらのものへの類似の整数を示すのに使用する。
【0154】
この例の場合には、流体は、入口105Aに接続しているカニューレを介して、左の心室から空洞102Aに送られる。流体は、円筒状のインペラ103に入り、その羽根104Aがボリュート137Aを介して流体を出口106Aの方向に付勢し、大動脈に接続しているカニューレを通して循環システムに戻る。これにより、ある例の場合には、5L/分の流速で100mmHg圧力を上昇する組織的循環系が必要とする十分な流速および圧力が与えられる。
【0155】
同時に、流体は、入口105Bに接続しているカニューレを介して、右心室から空洞102Bに送られる。流体は、インペラ103の側面103Bに流れ、このインペラは、ボリュート137Bを介して流体を出口106Bの方向に付勢する羽根104Bを有する。この場合、羽根104Bは、ある例の場合には、5L/分の流速で20mmHgだけ圧力を上昇する、肺循環系に適する流速および圧力を供給するように設計されている。流体は、肺動脈に接続している適当なカニューレを介して送られる。
【0156】
この例の場合には、軸方向のサスペンションおよびインペラのドライブは、第1または第2の特定の例のところで説明したように行われる。
図13の例の場合には、インペラ103は、囲い板103D内に埋め込まれているドライバ磁石109A、109Bへの各ステータ115A、115B上に巻かれているコイル111A、111Bが発生する結合磁界により回転する。
【0157】
別の方法としては、または追加的に、軸方向の位置は、囲い板103D内の鉄だけの目標と結合しているハウジング101Bに位置する純粋な軸方向の磁気軸受により制御することができる。
【0158】
空洞軸に沿ってインペラの位置を制御する他の手段を使用した場合には、上記実施形態のところで説明したような他のモータ・コイルおよび軸受コイルを使用することができることを理解することができるだろう。
【0159】
この場合も、半径方向の位置の制御は、インペラ103の中央部分103C内に位置するドライバ磁石109と協働する適当なコイル構成を使用して行うことができる。別の方法としては、この制御を、第2の特定の例のところで説明したような流体力学的サスペンションにより行うことができる。
【0160】
この後の例の場合、この領域内の狭い隙間ギャップ8Aおよび短い円筒状の部分は、流体の流れに対して適当な抵抗を形成することにより、高圧側から低圧側への漏洩の流れを低減する働きをし、そのため汚染が少なくなる。
【0161】
図13H〜図13Jに示すように、羽根104A、104Bの組の各寸法により、差圧および流れ特性が達成される。より詳細に説明すると、インペラが1つの回転速度で動作するので、高圧インペラ側103A、および低圧側103B上に異なるインペラの羽根104A、104Bを設けることにより圧力差ができる。
【0162】
この場合、図13Jに示すように、インペラ部分103B上の羽根104Bの長さは、インペラ部分103A上の羽根104Aより短い。
この例の場合には、インペラ103が2200rpmで回転している場合、下記の寸法にすれば必要な流速および圧力にすることができる。
【0163】
・羽根104A Ll=22mm
・羽根端部103Aの半径 Rl=25mm
・羽根104B Lr=11mm
・インペラ端部103Bの半径 R=12.5mm
この例の場合には、この圧力差により、ポンプの左側から右側への血液の流れが最小になることを理解されたい。しかし、これらの値は、酸素を吹き込んだ血液の酸素を吹き込んでいない血液への流れを表しているので、これは医学的側面からの問題を表していない。
【0164】
上記説明から、多数の異なる回転ドライブと一緒に、多数の異なる軸方向およびラジアル軸受を提供することができることを理解することができるだろう。これらの軸受は、円筒状または二重円錐形のインペラと一緒に任意の組合わせで使用することができる。
【0165】
それ故、例えば、システムは下記の種々の組合わせを使用することができる。
・インペラ内に永久磁石を含むポンプ・ハウジング内の磁気結合永久磁石による受動軸方向サスペンション
・図14内に参照番号150、151で示すハウジングとインペラとの間の物理的結合による受動軸方向サスペンション
・インペラ内に永久磁石または鉄を含むポンプ・ハウジング内の磁気結合コイルによる能動軸方向サスペンション
・インペラ内に永久磁石を含むポンプ・ハウジング内の磁気結合コイルによる能動半径方向サスペンション
・インペラとハウジング間の流体力学的効果による受動半径方向サスペンション
・インペラ内に永久磁石を含むポンプ・ハウジング内の磁気結合コイルによるインペラの回転
当業者であれば、多くの変更および修正を容易に思い付くことができるだろう。当業者が容易に思い付くこのようなすべての変更および修正は、今まで広義に説明してきた本発明の精神および範囲に入る。
【0166】
それ故、上記説明は、心臓補助デバイスとしての流体ポンプの使用に焦点を当てているが、この流体ポンプは、他の目的、および圧力および流速がこのデバイスの動作パラメータ内に入るすべての流体ポンピング用途にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】(A)〜(E)はインペラを内蔵する流体ポンプの一例の概略断面図、端面図、平面図、斜視図および分解斜視図。
【図2】(A)〜(F)は図1(A)〜図1(E)のポンプで使用するための入口および出口ボリュートの例の概略平面図。
【図3】(A)〜(D)は図1(A)〜図1(E)のポンプで使用するためのインペラの例の概略斜視図および平面図。
【図4】(A)〜(J)は図1(A)〜図1(E)のポンプで使用するための磁石の例の略図。
【図5】(A),(B)は図1(A)〜図1(E)のポンプでコイルが発生する磁界およびインペラの対応する運動の概略平面図。
【図6】図1(A)〜図1(E)のポンプを制御するための制御装置の一例の略図。
【図7】(A)〜(C)は図1(A)〜図1(E)のポンプで使用するためのセンサの例の概略斜視図、平面図および側面図。
【図8】図3(A)のインペラの位置の感知の一例の略図。
【図9】図3(B)のインペラの位置の感知の一例の略図。
【図10】追加の軸方向のサスペンションを有する流体ポンプの一例の略図。
【図11】(A),(B)は能動軸方向サスペンションを有するポンプで使用するためのインペラおよびハウジングの一例の概略斜視図。
【図12】(A)〜(L)はインペラを内蔵する流体ポンプのもう1つの例の略図。
【図13】(A)〜(J)はインペラを内蔵する流体ポンプのもう1つの例の略図。
【図14】軸方向軸受を有する流体ポンプの概略断面図。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体ポンプであって、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、前記空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口へ付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、前記磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)前記空洞内の前記インペラの位置を検出するように適合された少なくとも2つのセンサと、
d)前記空洞軸に直角な方向に前記インペラの位置を制御するためのラジアル軸受と、
e)前記空洞軸に平行な方向に前記インペラの位置を制御するための半径方向結合と、
f)使用中、前記磁界を制御し、それにより前記インペラ軸を中心とする前記インペラの回転を制御するために、前記センサおよびコイルの前記第1および第2の組と結合している制御装置と
を含む流体ポンプ。
【請求項2】
前記軸方向の結合が、
a)第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組と、
b)前記本体内に設けられていて、使用中、前記第2の磁界内に位置する多数の軸方向の支持磁石とを含み、前記制御装置が、前記第2の磁界を制御し、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制御する請求項1に記載の流体ポンプ。
【請求項3】
前記軸方向の結合が、コイルの前記第1の組および前記本体内に設けられていて、使用中、前記磁界内に位置する多数の軸方向の支持磁石とを含み、前記制御装置が、前記磁界を制御し、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制御する請求項1に記載の流体ポンプ。
【請求項4】
前記軸方向の結合が、
a)軸方向の制御磁界を発生するために、前記ハウジングと結合している一組の磁石、および
b)前記本体内に設けられていて、使用中、前記軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限する多数の軸方向の支持磁石
のうちの少なくとも一方を含む請求項1に記載の流体ポンプ。
【請求項5】
前記軸方向の支持磁石が前記ドライバ磁石である請求項2〜4の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項6】
前記軸方向の結合が、
a)前記ハウジングに結合している第1の軸受部材と、
b)インペラと結合している第2の軸受部材とを含み、前記第1および第2の軸受部材が協働し、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限する請求項1に記載の流体ポンプ。
【請求項7】
前記ラジアル軸受が、
a)前記ハウジングの内面と、
b)使用中流体がポンピングされるときに、前記内面部分と外面部分との間に境界層が形成され、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動が制限されるように、前記内面と協働する形状を有している、前記インペラの外面の少なくとも一部とを含む請求項1〜6の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項8】
前記ラジアル軸受が、第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組を含み、前記制御装置が、前記センサからの信号により前記第3の磁界を制御し、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動を制御する請求項1〜6の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項9】
前記流体ポンプが、前記空洞の第1の端部に位置する少なくとも1つのセンサと、前記空洞の第2の対向端部に位置する少なくとも2つのセンサとを含む、請求項1〜8の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項10】
前記羽根の寸法が、前記出口における前記流体圧力および前記流速のうちの少なくとも一方を制御するように選択されている請求項1〜9の何れか1項に記載のる流体ポンプ。
【請求項11】
前記寸法が、
a)前記羽根の高さ、
b)前記インペラの直径、
c)前記羽根の長さ、
d)前記羽根の幅、
e)前記入口および出口の羽根の角度、
f)前記羽根の形状、
g)前記羽根の数
のうちの少なくとも1つを含む請求項10に記載の流体ポンプ。
【請求項12】
a)前記ハウジングが、
i)少なくとも2つの流体用入口と、
ii)少なくとも2つの流体用出口とを含み、
b)前記インペラが、
i)少なくとも2つの本体部分と、
ii)それぞれ前記第1および第2の本体部分の上に位置する羽根の第1および第2の組とを含み、羽根の各組が使用中流体を各入口から各出口へ付勢する請求項1〜11の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項13】
前記インペラが、第1および第2の空洞部分を形成するために、前記空洞と協働し、各空洞部分が、それぞれ入口、出口および前記インペラを含み、空洞が、前記空洞部分間の流体の移動を実質的に防止するように構成されている請求項12に記載の流体ポンプ。
【請求項14】
羽根の前記第1および第2の組が、それぞれほぼ同じ寸法を有し、それにより前記出口のところで流体をほぼ同じ圧力および流速で供給する請求項12または13に記載の流体ポンプ。
【請求項15】
羽根の前記第1および第2の組が、それぞれ異なる寸法をそれぞれ有し、それにより前記各出口のところで流体をそれぞれの第1および第2の圧力で供給する請求項12または13に記載の流体ポンプ。
【請求項16】
前記第1の出口が、前記第2の入口と結合している請求項15に記載の流体ポンプ。
【請求項17】
前記空洞が、前記空洞軸に対してほぼ回転対称になっていて、前記コイルが前記空洞の周囲に円周方向に間隔を置いて配置されている請求項1〜16の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項18】
前記本体が、前記インペラに対してほぼ回転対称であり、前記ドライバ磁石が、前記インペラから半径方向の外側を向いて、また前記インペラ軸の周囲に円周方向に間隔を置いて位置する請求項1〜17の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項19】
前記ドライバ磁石が、前記コイルの半径方向に内側を向いて位置する請求項18に記載の流体ポンプ。
【請求項20】
コイルの前記第1の組が、コイルの前記第2の組の半径方向に内側を向いて位置する請求項2に記載の流体ポンプ。
【請求項21】
前記コイルが、ヨーク上に装着されている請求項1〜20の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項22】
前記ヨークが、前記コイルを収容するためのスロットを含む請求項21に記載の流体ポンプ。
【請求項23】
前記一組のコイルが、第1のコイルの3つのペアを含み、各ペア内の前記第1のコイルが、円周方向に対向して位置していて、前記制御装置が、対応する方向に前記コイルを通して電流を流すことができ、それにより前記インペラを回転させる請求項1〜22の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項24】
前記制御装置が、
a)必要なインペラ回転速度を決定し、
b)第1のコイルの各ペアに対する制御信号シーケンスを決定し、
c)所定の方向にドライバを移動させ、それにより前記インペラを回転させるために、第1のコイルの前記各ペアに各制御信号シーケンスを供給するように適合された請求項23に記載の流体ポンプ。
【請求項25】
コイルの前記第2の組が、第2のコイルの3つのペアを含み、各ペア内の前記第2のコイルが、円周方向に対向して位置していて、前記制御装置が、対応する対向方向に前記コイルを通して電流を流すことができ、それにより前記空洞軸に対して前記ドライバ部材を半径方向に移動せるように適合された請求項2に記載の流体ポンプ。
【請求項26】
前記制御装置が、
a)前記センサを監視し、
b)前記空洞軸に対して半径方向の前記ドライバ軸の任意の移動を決定し、
c)第2の磁石の1つまたは複数のペアを選択し、
d)選択した各ペアに対して制御信号を発生し、
e)前記ドライバを所定の方向に移動させ、それにより前記空洞軸の方向に前記ドライバ軸を移動するために、選択した前記各ペアに前記制御信号を供給するように適合された請求項25に記載の流体ポンプ。
【請求項27】
前記制御装置が、メモリおよびプロセッサを有する処理システムから形成されていて、前記処理システムが、メモリが記憶している所定のアルゴリズムに従って、前記コイルが発生する前記磁界を制御するための制御信号を発生するように適合された請求項1〜26の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項28】
前記処理システムが、信号発生器と結合していて、前記制御信号が、前記処理システムにより前記信号発生器に、所定の電流をコイルに供給させることにより形成される請求項27に記載の流体ポンプ。
【請求項29】
前記ドライバ磁石が、8つの円周方向に間隔を置いて位置する永久磁石を含み、前記磁石の磁極が、前記ドライバ軸と垂直方向に整合していて、磁極の整合の前記方向が隣接する磁石で逆になるように配置されている請求項1〜28の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項30】
前記本体が、
a)2つの本体端部と、
b)前記本体端部上に位置する多数の羽根とを含み、前記羽根が、前記ドライバ軸にほぼ平行な方向に、前記本体端部の表面から延びていて、前記ドライバ軸から半径方向に外側を向いて位置していて、また前記ドライバ軸の周囲を円周方向に間隔を置いて位置する請求項1〜29の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項31】
各本体端部が、ほぼ円錐形をしている請求項30に記載の流体ポンプ。
【請求項32】
前記本体が、前記2つの本体端部間に位置するほぼ円筒状の中央本体部分を含み、前記ドライバ磁石が、前記円筒状の中央本体部分内に位置する請求項30または31に記載の流体ポンプ。
【請求項33】
前記空洞が、第1および第2の空洞端部を含み、各空洞端部が、
a)前記空洞軸に沿って位置する入口と、
b)前記空洞軸に対して直角方向を向いていて、前記空洞軸から半径方向にずれて配置されている出口とを有し、
c)前記羽根が流体を前記インペラの回転に応じて、前記入口から前記出口に付勢するように適合され、前記インペラと協働するためにほぼ円錐形の形状を有する請求項31または32に記載の流体ポンプ。
【請求項34】
前記インペラおよび前記空洞が、流体が一方の空洞端部から他方の空洞端部に流れるのを実質的に防止するために協働し、各本体端部上の前記羽根が、それぞれのある高さまたは長さを有し、それにより前記各端部内の前記出口のところで前記圧力または流速を制御する請求項33に記載の流体ポンプ。
【請求項35】
前記ポンプが、前記空洞端部のうちの少なくとも一方内に位置する少なくとも2つのセンサを含み、それにより前記センサと前記各本体端部の表面との間の距離を測定する請求項30〜34の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項36】
前記インペラが、前記羽根と結合している囲い板を含み、前記センサが前記囲い板の位置を決定するように適合された請求項35に記載の流体ポンプ。
【請求項37】
前記ポンプが、前記空洞軸から半径方向に外側を向いて位置していて、また前記空洞軸の周囲に円周方向に間隔を置いて位置している少なくとも3つのセンサを含む請求項35または36に記載の流体ポンプ。
【請求項38】
前記センサが、前記各本体端部の表面の方向に放射線を放射するように適合された放射線源、および反射した放射線を検出するための検出器を含む請求項35〜37の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項39】
前記インペラが位置磁石を含み、前記センサが、前記位置磁石が発生する磁界を測定するように適合されたホール効果センサから形成される請求項35〜37の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項40】
前記位置磁石が、前記ドライバ磁石である請求項39に記載の流体ポンプ。
【請求項41】
前記支持磁石が、ほぼ円錐または円錐台の形をしている請求項6、9または15に記載の流体ポンプ。
【請求項42】
前記インペラおよび前記空洞が、ほぼ円筒形をしている請求項1〜41の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項43】
前記インペラが、前記本体の外周上に位置する1つまたは複数の楔を含み、それにより前記空洞軸に直角な方向に前記インペラの位置を流体力学的に制御するために内面と協働する請求項7に記載の流体ポンプ。
【請求項44】
前記楔が中央本体部分内に設けられる請求項43に記載の流体ポンプ。
【請求項45】
前記軸方向の支持磁石が、磁界内に位置する磁石材料から形成される請求項2〜5の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項46】
前記軸方向の支持磁石が、軟鉄から形成される請求項45に記載の流体ポンプ。
【請求項47】
前記インペラが、各本体端部上に囲い板を含む請求項30に記載の流体ポンプ。
【請求項48】
各囲い板が、ドライバ磁石を含む請求項47に記載の流体ポンプ。
【請求項49】
各囲い板が、軸方向の支持磁石を含む請求項47に記載の流体ポンプ。
【請求項50】
前記ポンプが、2つの各空洞端部内に位置する一組の第2の磁石を含む請求項2に記載の流体ポンプ。
【請求項51】
流体ポンプであって、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1および第2の各磁界を発生するためのコイルの第1および第2の組と
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中前記空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口へ付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、前記第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)前記空洞内の前記インペラの位置を検出するように適合された少なくとも2つのセンサと、
d)前記センサとコイルの前記第1および第2の組と結合している制御装置であって、使用中、
i)前記第1の磁界を制御し、それにより前記インペラ軸を中心とする前記インペラの回転を制御し、
ii)前記第2の磁界を制御し、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動を制御する制御装置と
を含む流体ポンプ。
【請求項52】
前記制御装置が、前記第2の磁界を制御し、それにより前記空洞軸に平行な前記インペラの運動を制御する請求項51に記載の流体ポンプ。
【請求項53】
前記流体ポンプが、前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限するための軸方向の結合を含む請求項51に記載の流体ポンプ。
【請求項54】
流体ポンプであって、
a)空洞軸を有する空洞を形成している内面を有するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するためのハウジングと結合している一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)インペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口へ付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、前記磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
iv)外面であって、使用中、流体がポンピングされるとき、前記内面部分と前記外面部分との間に境界層が形成され、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動が制限されるように、少なくとも外面の一部が、前記内面の対応する形の部分と協働するような形をしている外面と
を有するインペラと、
c)前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限するための軸方向の結合と、
d)前記第1の磁界を制御し、それにより前記インペラ軸を中心にして前記インペラを回転するための制御装置と
を含む流体ポンプ。
【請求項55】
前記軸方向の結合が、
a)第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組と、
b)前記空洞内の前記インペラの位置を感知するための少なくとも2つのセンサとを含み、前記制御装置が、前記センサおよびコイルの前記第2の組と結合していて、使用中、前記制御装置が、前記第2の磁界を制御し、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制御する請求項53または54に記載の流体ポンプ。
【請求項56】
前記軸方向の結合が、
a)軸方向の制御磁界を発生するために、前記ハウジングと結合している一組の磁石、および
b)前記本体内に設けられていて、使用中、前記軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限する多数の軸方向の支持磁石
のうちの少なくとも一方を含む請求項53または54に記載の流体ポンプ。
【請求項57】
前記軸方向の結合が、
a)前記ハウジングと結合している第1の軸受部材と、
b)前記インペラと結合している第2の軸受部材とを含み、前記第1および第2の軸受部材が協働し、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限する請求項53または54に記載の流体ポンプ。
【請求項58】
流体ポンプであって、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、前記空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口へ付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、前記第1の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)前記空洞内の前記インペラの位置を検出するように適合された少なくとも2つのセンサと、
d)前記センサおよび前記一組のコイルと結合している制御装置であって、使用中、前記磁界を制御し、それにより
i)前記インペラの軸を中心とする前記インペラの回転を制御し、
ii)前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制御する制御装置と
を含む流体ポンプ。
【請求項59】
流体ポンプにおいて、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1の磁界を発生するための一組のコイルと、
iv)軸方向の制御磁界を発生するための一組の磁石と
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、前記空洞軸にほぼ平行な前記インペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口へ付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、前記第1の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
iv)前記軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限する多数の支持磁石と
を有するインペラと、
c)前記第1の磁界を制御するための前記一組のコイルと結合していて、それにより前記ドライバ軸を中心とする前記ドライバの回転を制御する制御装置と
を含む流体ポンプ。
【請求項60】
流体ポンプにおいて、
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1の軸受部材と、
iv)各磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、前記空洞軸にほぼ平行な前記インペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口へ付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)多数のドライバ磁石と、
iv)第2の軸受部材であって、前記第1および第2の軸受部材が協働し、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限する第2の軸受部材と
を有するインペラと、
c)前記一組のコイルと結合していて、コイルの前記第1の組が発生する前記磁界を制御し、それにより前記ドライバ軸を中心とする前記ドライバの回転を制御するように適合された制御装置と
を含む流体ポンプ。
【請求項61】
前記流体ポンプが、さらに前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動を制御するための軸受を含む請求項8〜10の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項62】
前記軸受が、
a)前記ハウジングの内面と、
b)外面であって、使用中、流体がポンピングされるとき、前記内面部分と前記外面部分との間に境界層が形成され、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動が制限されるように、少なくとも外面の一部が、前記内面の対応する形の部分と協働する形状を有している外面を有するインペラとを含む請求項11に記載の流体ポンプ。
【請求項63】
前記軸受が、
a)第2の磁界を発生するためのコイルの第2の組と、
b)前記空洞内の前記インペラの位置を検出するように適合された少なくとも2つのセンサとを含み、前記制御装置が、前記センサからの信号により前記第3の磁界を制御し、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動を制御する請求項11に記載の流体ポンプ。
【請求項64】
前記流体ポンプが、前記空洞の第1の端部に位置する少なくとも1つのセンサと、前記空洞の第2の対向端部に位置する少なくとも2つのセンサとを含む請求項1、5、8および13の何れか1項に記載の流体ポンプ。
【請求項65】
流体ポンプであって、
a)空洞軸を有する空洞を形成している内面を有するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1の磁界を発生するための前記ハウジングと結合している一組のコイルと、
iv)軸方向の制御磁界を発生するために、前記ハウジングと結合している一組の磁石と
を有するハウジングと、
b)流体を前記入口から前記出口に付勢するために前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)インペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、前記第1の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
iii)外面であって、使用中、流体がポンピングされると、前記内面部分と前記外面部分との間に境界層が形成され、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動が制限されるように、少なくとも外面の一部が、前記内面の対応する形の部分と協働するような形をしている外面と、
iv)前記軸方向の制御磁界内に位置していて、それにより前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限する多数の軸方向の支持磁石と
を有するインペラと、
c)前記磁界を制御し、それにより前記インペラ軸を中心として前記インペラを回転させる制御装置と
を含む流体ポンプ。
【請求項66】
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)第1および第2の各磁界を発生するためのコイルの第1および第2の組と
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、前記空洞軸にほぼ平行な前記インペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口に付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、前記第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)前記空洞内の前記インペラの位置を検出するように適合された少なくとも2つのセンサと
を有する流体ポンプにより流体をポンピングするための方法であって、
i)前記第1の磁界を制御し、それにより前記インペラ軸を中心とする前記インペラの回転を制御するステップと、
ii)前記第2の磁界を制御し、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動を制御するステップとを含む方法。
【請求項67】
a)空洞軸を有する空洞を形成するハウジングであって、
i)少なくとも1つの流体用入口と、
ii)少なくとも1つの流体用出口と、
iii)磁界を発生するための一組のコイルと
を有するハウジングと、
b)前記空洞内に位置しているインペラであって、
i)使用中、前記空洞軸にほぼ平行なインペラ軸を形成している本体と、
ii)使用中、流体を前記入口から前記出口に付勢するために前記本体上に位置する多数の羽根と、
iii)使用中、前記第1の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と
を有するインペラと、
c)前記空洞内の前記インペラの位置を検出するように適合された少なくとも2つのセンサと
を有する流体ポンプにより流体をポンピングするための方法であって、前記磁界を制御し、それにより
i)前記インペラ軸を中心とする前記インペラの回転を制御するステップと、
ii)前記空洞軸に平行な方向の前記インペラの運動を制御するステップと
を含む方法。
【請求項68】
適当な処理システム上で実行した場合、前記処理システムに請求項66または67に記載の方法を実行させるコンピュータ実行可能コードを含むコンピュータ・プログラム製品。
【請求項69】
流体ポンプで使用するためのインペラであって、ポンプ空洞内に装着されていて、流体を第1および第2の入口から対応する第1および第2の出口に付勢するように適合され、
a)インペラ軸を形成していて、第1および第2の本体端部を含む本体と、
b)使用中、流体を各入口から対応する出口に付勢するために各本体端部上に位置する一組の羽根と、
c)使用中、前記第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
d)使用中、流体がポンピングされると、前記内面部分と外面部分との間に境界層が形成され、それにより前記空洞軸に直角な方向の前記インペラの運動が制限されるように、前記内面の対応する形の部分と協働するような形をしている外面部分とを含むインペラ。
【請求項70】
前記インペラが、請求項1に記載の流体ポンプの一部を形成する請求項69に記載のインペラ。
【請求項71】
流体ポンプで使用するためのインペラであって、ポンプ空洞内に装着されていて、流体を第1および第2の入口から対応する第1および第2の出口に付勢することができ、
a)インペラ軸を形成していて、第1および第2の本体端部を含む本体と、
b)使用中、流体を各入口から対応する出口に付勢するために、各本体端部上に位置する一組の羽根と、
c)使用中、前記第1および第2の磁界内に位置する多数のドライバ磁石と、
d)前記インペラ軸に平行な方向の前記インペラの運動を制限するための軸方向の結合の少なくとも第1の部分とを含むインペラ。
【請求項72】
前記軸方向の結合が、
a)前記ハウジング上に設けられている第1の軸受部材と協働するように適合された第2の軸受部材、および
b)使用中、軸方向の制御磁界を位置決めするための多数の支持磁石
のうちの少なくとも一方を含む請求項61に記載のインペラ。
【請求項73】
前記羽根の寸法が、前記出口における前記流体圧力および前記流速のうちの少なくとも一方を制御するように選択される請求項69〜72に記載のインペラ。
【請求項74】
前記寸法が、
a)前記羽根の高さ、
b)前記インペラの直径、
c)前記羽根の長さ、
d)前記羽根の幅、
e)前記入口および出口の羽根の角度、
f)前記羽根の形状、
g)前記羽根の数
のうちの少なくとも1つを含む請求項63に記載のインペラ。
【請求項75】
各入口が、各本体端部の方向に前記本体の軸に沿って流体を送るように位置している場合に、前記インペラが、前記入口が前記本体の軸に平行に整合するように、使用中、ポンプの空洞内に位置していて、前記インペラが、使用中に回転し、それにより前記流体を前記出口の方向へ半径方向に外側に付勢する請求項69〜74の何れか1項に記載のインペラ。
【請求項76】
前記本体が、前記2つの端部間に位置するほぼ円筒状の中央本体部分を含み、前記ドライバ磁石が、前記円筒状の中央本体部分内に位置する請求項69〜75の何れか1項に記載のインペラ。
【請求項77】
前記インペラが、第1および第2の空洞部分を形成するために前記ポンプの空洞と協働することができ、各空洞部分が、それぞれの入口、出口、および本体端部を含み、前記インペラが前記空洞部分間での流体の移動を実質的に防止するように適合された請求項69〜76の何れか1項に記載のインペラ。
【請求項78】
前記インペラを心臓ポンプで使用することができ、羽根の前記第1および第2の組が、それぞれ左右の心室を補助するために血液をポンピングするように適合された請求項69〜77の何れか1項に記載のインペラ。

【図14】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−525460(P2006−525460A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504034(P2006−504034)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000600
【国際公開番号】WO2004/098677
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(592253275)クイーンズランド ユニバーシティ オブ テクノロジー (13)
【Fターム(参考)】