説明

流体冷却用シュラウドを有するトランスミッション

改良された放熱部品を有するトランスミッション(10)を開示する。このトランスミッションは、内部チャンバ(30)を形成するハウジング壁(18,20,22)を有するハウジング(12)と、前記ハウジング壁の一つ(20)を通って前記内部チャンバにまで延在する回転自在の入力(14)軸とを備えている。パワー・トランスミッション部品(29)が前記チャンバ内に設けられて、前記入力軸によって回転駆動される。出力軸(16)が前記内部チャンバから前記ハウジング壁の一つ(22)を通って延在し、前記パワー・トランスミッション部品によって回転駆動される。潤滑流体(32)が前記チャンバ内部に供給されて、前記パワー・トランスミッション部品を潤滑する。冷却用シュラウド(40)が前記ハウジングを囲み、前記内部チャンバと流体連結した冷却用通路を備えている。前記潤滑流体が、前記内部チャンバから前記冷却用通路へ流出し、前記冷却用通路を通って前記内部チャンバに戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部流体冷却器を有するトランスミッションに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工業用ギア・ドライブのようなトランスミッションは、大量の機械的パワーを伝達することができる。残念なことに、伝達されたパワーの幾らかは、熱に変換され、伝達温度を受け容れ難いほど高いレベルに増加させることがある。このような温度は、トランスミッション・ハウジング内の潤滑流体を急激に劣化させ、ついには部品を磨耗させ、故障させることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、多くのトランスミッションは、過熱を防止するための放熱部品を備えている。例えば、幾つかのトランスミッションは、トランスミッション・ハウジングの外表面に空気を吹きつけることで対流冷却するためのファンを単に備えている。しかし、これらの放熱システムは、構造的に単純で比較的低コストではあるが、トランスミッション自体よりもはるかに大きなものでない限り、伝達温度を著しく下げるためには一般的に非効率的である。
【0004】
別の例として、幾つかのトランスミッションは、潤滑流体を収容してトランスミッション・ハウジングの外側を冷却できる内部チャンバを有する外部ラジエータやヒートパイプを備えている。上記ファン・システムと同様に、比較的大きなラジエータ、例えば比較的大きな表面を有するものが、トランスミッションを冷却するために最も効率的である。従って、最も効率的な放熱部品は、トランスミッションのために必要な空間を著しく増大させる。
【0005】
従来の設計のこれら欠点を考慮して、改良された放熱部品を有するトランスミッションが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの態様において、本発明は、内部チャンバを形成するハウジング壁を有するハウジングと、前記ハウジング壁の一つを通って前記内部チャンバに延在する回転自在の入力軸を備えたトランスミッションを提供する。パワー・トランスミッション部品は前記内部チャンバ内に設けられて、前記入力軸によって回転駆動される。出力軸は前記ハウジング壁の一つを通って前記内部チャンバから延在し、前記パワー・トランスミッション部品によって回転駆動される。潤滑流体が前記内部チャンバに供給されて、パワー・トランスミッション部品を潤滑する。冷却用シュラウドが前記ハウジングを囲み、前記ハウジング壁の少なくとも一つとの間に間隙を形成する。前記冷却用シュラウドは、前記内部チャンバと流体連結した冷却用通路を備えている。前記潤滑流体が、前記内部チャンバから前記冷却用通路へ流出し、前記冷却用通路を通って前記内部チャンバに戻る。前記トランスミッションは、前記間隙を通る空気を排出して、前記ハウジング壁の少なくとも一つと前記冷却用通路を通って流れる前記潤滑流体とを冷却するファンを更に備えている。
【0007】
幾つかの実施例において、前記冷却用シュラウドは前記ファンを囲むファン・シュラウドと、前記ハウジングを囲むハウジング・シュラウドを備えている。
【0008】
前述の事項と本発明の特長は、以下の詳細な説明で明らかになる。明細書において、本発明の好ましい実施例を表わした添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る冷却用シュラウドを備えたトランスミッションの斜視図である。
【図2】図1のトランスミッションのファンを示した分解斜視図である。
【図3】ファンとファン・シュラウドを取り除いた図1のトランスミッションの正面図である。
【図4】流路を示したハウジング・シュラウドの扁平概略図である。
【図5】図2の線5−5に沿ったファン・シュラウドの上断面図である。
【図6】図2の線6−6に沿ったトランスミッションの詳細断面図である。
【図7】図2の線7−7に沿ったトランスミッションの詳細断面図である。
【図8】本発明に係る冷却用シュラウドを備えたトランスミッションの第二実施例の斜視図である。
【図9】図8の線9−9に沿ったファン・シュラウドの上断面図である。
【図10】ファンとファン・シュラウドを取り除いた本発明に係るトランスミッショ ンの第三実施例の正面図である。
【図11】図10のトランスミッションの詳細断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここに示した詳細は、一例であって、単に本発明の実施例の説明を目的としている。ここに示した詳細は、本発明の原理と概念的見地の最も役に立ち容易に理解できる記述と考えられるものを提供するために提示される。この点において、本発明の基本的な理解のために必要なもの以上の詳細な本発明の構造的詳細を示すことは意図していない。図面を参照した記述は、本発明の幾つかの態様が、どのように実際に実現されるかについて、当業者に明らかにするはずである。
【0011】
図1と2を参照して、本発明に係るトランスミッション10は、入力軸14とこの入力軸14によって駆動される出力軸16とを回転自在に支持するハウジング12を備えている。このハウジング12は、それぞれ入力軸14と出力軸16がそこから延在する前面20と右側面22を有したハウジング壁18を備えている。従って、トランスミッション10は直角軸トランスミッションである。出力軸16は、ハウジング12の左側面24から延在してもよい。また、出力軸16は前面20と対向する面、即ちハウジング12の背面26から延在して、平行軸トランスミッションを提供することも、本発明の範囲内である。ハウジング壁18は、脱着自在の点検カバー(図示せず)を有する上面28も備えている。上面28は、前面20、右側面22、左側面24、そして背面26と隣接している。ここで用いている「隣接する」という用語は、2つの面が共通のエッジを共有していることを意味する。対照的に、ここで用いる「対向する」という用語の意味は、2つの面が共通のエッジを共有していないことを意味する。
【0012】
入力軸14は、入力軸14が回転するのに従って空気をハウジング12に向かって引き込むファン27を支持している。このファン27は、出力軸16によっても駆動可能であり、又は本発明の範囲内で、入力軸14と出力軸16から完全に独立させることもできる。特定の構造に依存することなく、ファン27はハウジング壁18に沿って空気を排出することでハウジング12を冷却し、それによってトランスミッション10が過熱することを防いでいる。トランスミッション10からさらに放熱させるための他の部品については、詳細を後述する。
【0013】
図2に最も明確に示すように、ハウジング壁18はパワー・トランスミッション部品29が設けられた内部チャンバ30を形成している。パワー・トランスミッション部品29は、例えば傘歯車と螺旋歯車である。しかし、他の種類の歯車、例えば平歯車、ウォーム・ギア、遊星歯車や螺旋歯車、そしてこれらの組み合わせや、又は他の種類のパワー・トランスミッション部品も、本発明の範囲内で用いることができる。いずれの場合においても、パワー・トランスミッション部品は、入力軸14と出力軸16の間の駆動関係を提供する。
【0014】
ハウジング12の内部チャンバ30は、トランスミッション部品が発生する熱を吸収することによってトランスミッションの磨耗を減らす潤滑流体32も収容している。従って、好ましくは内部チャンバ30は潤滑流体32をハウジング出力ポート36へ供給して冷却するためのポンプ34も収容する。しかし、潤滑流体32は本発明の範囲内で他の手段、例えば重力などによって直接出力ポート36に供給することもできる。いずれの場合においても、冷却後、潤滑流体32はハウジング入力ポート38を通って内部チャンバ30に戻る。
【0015】
図1から7を参照して、ハウジング12は、潤滑流体32が流れて冷却する冷却用回路又は冷却用通路を有するラジエター・ジャケット又は冷却用シュラウド40を支持している。冷却用シュラウド40の形状は、ハウジング12の外形に密接に合致しており、従って冷却用シュラウド40はトランスミッション10に必要な空間を著しく増加させない。冷却用シュラウド40は、入力軸14とファン27を囲むファン・シュラウド42と、ハウジング12を囲むハウジング・シュラウド60とを備えている。ファン・シュラウド42とハウジング・シュラウド60については、以下の段落で詳細に記載するが、ここで用いられた用語「囲む」とその変化形は、シュラウドが他の物体の二つの対向する面に接近して設けられているという意味であることに留意されたい。
【0016】
ファン・シュラウド42は、空気がファン27によって引き込まれるような略開放椀形状を有し、ハウジング壁18に向いている。つまり、空気は空気入力43を通って引き込まれ、ハウジング12の前面20に近接した空気出力45の方に向かっている。空気入力43と空気出力45とは、ファン・シュラウド42の開放椀形状を構成する対角線上に延在する壁によって切り離されている。ファン・シュラウド42の開放椀形状は、一体となって入力軸14とファン27とを囲む右半分47と左半分49とによっても形成されている。これら右半分47と左半分49は、締結部材によって互いに接続されるか、又は図示のように対角線上に延在する溶接線66によって互いに接続される。
【0017】
図5に最も明確に示すように、右半分47と左半分49の壁は、好ましくは金属板の断片で形成された内側層44と外側層46とによって画定されるが、他の材料を用いることも本発明の範囲内である。いずれの場合においても、内側層44と外側層46とは、互いに間隔をあけて設けられており、その間に冷却用通路を形成している。もちろん、内側層44と外側層46のエッジは、例えば溶接線48によって封止されており、潤滑流体32が漏れないようになっている。
【0018】
ファン・シュラウド42の右半分47と左半分49は、潤滑流体32が通過する冷却用通路の切り離されたセクションをそれぞれ形成している。例えば、潤滑流体32が、ハウジング12の上面28近くに設けられハウジング出力ポート36と接続されたシュラウド入力ポート54を通って右半分47に入る。シュラウド入力ポート54は、右半分47の内側層44と外側層46の間に形成された冷却用通路の入力通路56へ潤滑流体32を供給する。入力通路56は、ハウジング12の前面20と右側面22の底部コーナー近傍に設けられたファン・シュラウド出力ポート58に潤滑流体32を供給する。ファン・シュラウド出力ポート58はハウジング・シュラウド60に潤滑流体32を供給する。
【0019】
同様に、ハウジング・シュラウド60からの潤滑流体32は、前面20と左側面24の底部コーナー近傍に設けられたファン・シュラウド入力ポート62を通って左半分49に入る。ファン・シュラウド入力ポート62は、左半分49の内側層44と外側層46の間に形成された冷却用通路の出力通路64へ潤滑流体32を供給する。出力通路64は、ハウジング12の上面28近傍に設けられハウジング入力ポート38と接続されたシュラウド出力ポート68へ潤滑流体32を供給する。
【0020】
ファン・シュラウド42の右半分47と左半分49は、ハウジング12やハウジング・シュラウド60又はその両方と様々な態様で接続することができる。例えば、ファン・シュラウド42のエッジは、ハウジング・シュラウド60と溶接することができる。しかし、図示のように、好ましくは金属板外側層46が、ファン・シュラウド42をハウジング12と接続する例えばボルトとスペーサーといった締結部材を収容する幾つかの取付脚50を形成する。
【0021】
次に図2から7を参照して、先に短く記載したように、ハウジング・シュラウド60はファン・シュラウド42からの潤滑流体32を収容することで、トランスミッション10からさらに熱を放散させる。ハウジング・シュラウド60は、ハウジング12の前面20と背面26に渡って延在する略鞍形状を有している(即ち、ハウジング・シュラウド60はハウジング12の上面28と両側面22、24に近接して位置している)。加えて、冷却用通路はハウジング・シュラウド60の略鞍形状の上の蛇行通路に従っており、ハウジング・シュラウド60は潤滑流体32が放熱するための比較的大きな表面積を有している。また、ハウジング・シュラウド60はハウジング12の右側面22、左側面24、上面28と間隔をあけて設けられており、間隙75をその間に形成している。ファン27によって排出される空気は、間隙75を通って、ハウジング・シュラウド60内のハウジング壁18と潤滑流体32を対流冷却する。
【0022】
ファン・シュラウド42と同様に、ハウジング・シュラウド60は、その間に冷却用通路も形成する内側層70と外側層72(例えば溶接線74で接続された切り離された金属板層)によって形成される。内側層70と外側層72は、冷却用通路の蛇行形状を提供する三枚のパネル76、92、106も形成している。図示のように、パネル76、92、106は、好ましくは互いに一体に接続されている(即ち、同じ内側層70と外側層72によって形成されている)。しかし、本発明の範囲内で、パネル76、92、106は、切り離された層によって形成することもできる。
【0023】
パネル76、92、106のそれぞれは、潤滑流体32をハウジング12の前面20と背面26の間に前後に方向付ける冷却用通路の蛇行形状の一部を形成している。例えば、ハウジング12の右側面22に近接して設けられた第一又は右側面シュラウド・パネル76は、蛇行流路のS字状部分を形成している。このS字状部分は、第一パネル76の以下の部品によって形成されている。
【0024】
第一の又は右側面シュラウド入力ポート78は、前面20の底部コーナーに、そしてハウジング12の右側面22に設けられている。この入力ポート78は、ファン・シュラウド42から潤滑流体32を受け取り、冷却用通路の第一脚80へ潤滑流体32を供給する。この第一脚80は、ハウジング12の背面26近傍で冷却用通路の第二脚82と接続されている。例えば溶接線84がハウジング・シュラウド内側層70と外側層72を接続して形成された内壁は、第一脚80と第二脚82の大部分を切り離している。
【0025】
第二脚82は、ハウジング12の前面20近傍で冷却用通路の第三脚86と接続されている。第一シュラウド開口88が第二脚82と第三脚86の大部分を切り離している。出力軸16が第一シュラウド開口88を通って延在しており、もちろん空気も第一シュラウド開口88を通って間隙75から漏れ出ることができる。第三脚86は、潤滑流体32を背面26の上部コーナーかつハウジング12の右側面22の近傍に設けられた第一又は右側面シュラウド出力ポート90に供給する。
【0026】
第一パネル76は、ハウジング12の上面28に近接した第二又は上面シュラウド・パネル92に接続されている。第二パネル92は、蛇行流路のU字状部分を形成する。このU字状部分は、第二パネル92の以下の部品によって形成される。
【0027】
第二又は上面シュラウド入力ポート94は、背面26の上部コーナーかつハウジング12の右側面22近傍に設けられている。この第二又は上面シュラウド入力ポート94は、第一出力ポート90と接続されて、そこから潤滑流体32を受け取る。第二ポート94はまた、冷却用通路の第四脚96に潤滑流体32を供給する。この第四脚96は、好ましくは例えばハウジング・シュラウド内側層70と外側層72を接続する溶接線98で形成された内壁によって、第一パネル76の第三脚86と切り離されている。
【0028】
第四脚96は、ハウジング12の前面20近傍で第五脚100と接続されている。第二シュラウド開口102が、第四脚96と第五脚100の大部分を切り離している。脱着自在の点検カバーを、第二シュラウド開口102を通して接続することができ、もちろん空気が第二シュラウド開口102を通って間隙75から漏れ出ることができる。第五脚100は、潤滑流体32を背面26の上部コーナーかつハウジング12の左側面24近傍に設けられた第二又は上面シュラウド出力ポート104へ供給する。
【0029】
第二パネル92は、ハウジング12の左側面24に近接した第三又は左側面シュラウド・パネル106に接続されている。この第三パネル106は、蛇行流路の逆S字部分を形成している。この逆S字部分は、第一パネル106の以下の部品によって形成されている。
【0030】
第三又は左側面シュラウド入力ポート108は、背面26の上部コーナーかつハウジング12の左側面24の近傍に設けられている。この第三入力ポート108は、第二シュラウド出力ポート104と接続されて、そこから潤滑流体32を受け取る。第三入力ポート108は冷却用通路の第六脚110に潤滑流体32を供給する。この第六脚110は、好ましくは例えばハウジング・シュラウド内側層70と外側層72を接続する溶接線111で形成された内壁によって、第二パネル92の第五脚100と切り離されている。
【0031】
第六脚110は、ハウジング12の前面20近傍で冷却用通路の第七脚112と接続されている。第三シュラウド開口114が第六脚110と第七脚112の大部分を切り離している。出力軸16は、第三シュラウド開口114を通って延在してもよく、もちろん空気が第三シュラウド開口114を通って間隙75から漏れ出ることができる。
【0032】
第七脚112は、ハウジング12の背面26近傍で冷却用通路の第八脚116と接続されている。例えばハウジング・シュラウド内側層70と外側層72を接続する溶接線118で形成された内壁によって、第七脚112と第八脚116の大部分が切り離されている。第八脚116は、潤滑流体32を前面20の下部コーナーかつハウジング12の左側面24近傍に設けられた第三又は左側面シュラウド出力ポート120に供給する。
【0033】
上で簡単に記載したように、第三出力ポート120はファン・シュラウド入力ポート62と接続されて、潤滑流体32をファン・シュラウド左半分49の出力通路64に供給する。この出力通路64は、次に潤滑流体32をハウジング入力ポート38に接続されたシュラウド出力ポート68の方向へ向かわせ、潤滑流体32をハウジング12の内部チャンバ30に戻す。
【0034】
ファン・シュラウド42と同様に、ハウジング・シュラウド60はハウジング12やファン・シュラウド42、又はその両方と様々な方法で接続することができる。例えば、ハウジング・シュラウド60はファン・シュラウド42に溶接することができる。しかし、図示のように、好ましくは、ハウジング・シュラウド60は締結部材52によってハウジングに接続され、またこの締結部材52の幾つかによってファン・シュラウド42がハウジング12に接続される。この場合、締結部材52の中のスペーサーが、パネル76、92、106をハウジング壁18から切り離して、その間に間隙75を形成する。
【0035】
動作時において、潤滑流体32は出力ポート36を通ってハウジング12の内部チャンバ30から流出し、ファン・シュラウド右半分47の入力通路56に流入する。次に、潤滑流体32は、ハウジング・シュラウド・パネル76、92、106によって形成された冷却用通路の蛇行部分を通って流れる。ハウジング・シュラウド60は潤滑流体32をファン・シュラウド左半分49の出力通路64に供給する。次に、潤滑流体32は、ハウジング入力ポート38を通ってハウジング12の内部チャンバ30に還流される。もちろん、同時にファン27が間隙75から空気を排出して、ハウジング壁18と冷却用シュラウド40の冷却用通路を通って流れる潤滑流体32を冷却する。
【0036】
冷却用シュラウド40の構造は、本発明の範囲内において、上記記述から様々に変形することができる。例えば、ハウジング・シュラウド60は、上記蛇行流路とは異なる形状を有する潤滑流体32の流路を提供することができる。それにもかかわらず、このようなハウジング・シュラウド60は、好ましくは潤滑流体32が放熱するための比較的大きな表面積を有している。
【0037】
別の例として、溶接線98と118とシュラウド開口88、102、114は、図示し記載したものより短くしてもよい。しかし、これらの特徴は、好ましくは前面20と背面26の間の長さの大部分に延在して、間隙75での比較的高い熱伝達のための比較的大きな表面積を提供する。
【0038】
また別の例として、ファン・シュラウド42の右半分47と左半分49は、共通の内側層44と外側層46から形成することができる。この場合、ファン・シュラウド42の入力通路56と出力通路64は、例えば内側層44と外側層46を接続する溶接線66で形成された内壁によって切り離すことができる。
【0039】
また別の例として、図8と9を参照して、本発明に係る第二実施例のトランスミッション210は、上から見て略U字形状を有するファン・シュラウド242を備えている。上述のファン・シュラウド42と同様に、ファン・シュラウド242は、その間に流体冷却用通路256、264を形成する(例えば金属板の異形材からなる)内側層244と外側層246とを備えている。しかし、ファン入力243は、空気がファン・シュラウド242に進入するための複数の小さな入力スリット247を備えている。
【0040】
また別の例として、図10と11を参照して、本発明に係る第三実施例のトランスミッション310は、トランスミッション310から放熱するための追加のパネルを有するハウジング・シュラウド360を備えている。即ち、ハウジング・シュラウド360は上記と同じパネル376、392、406と、更にハウジング壁318に隣接した間隙375に設けられた内側パネル376’、392’、406’を備えている。この内側パネル376’、392’、406’は、上記のような外側パネル376、392、406と同様の略鞍形状とすることができる。このように、与えられた時間の中で、内側パネル376’、392’、406’は、ハウジング・シュラウド360内の潤滑流体32の量を2倍近くにすることができる。また、内側パネル376’、392’、406’は、それぞれ潤滑流体32を受け取って供給するための入力ポート422と出力ポート424を備えており、それによって内側パネル376’、392’、406’は、第二蛇行冷却経路を提供する。又は、内側パネル376’、392’、406’はより多くの量の流体が内側パネル376’、392’、406’と外側パネル376、392、406の間で交換できるように、様々な位置に多数のポートを設けることもできる。いずれの場合においても、ファンによって排出される空気が、内側パネル376’、392’、406’と外側パネル376、392、406の両方にある潤滑流体32を冷却する。
【0041】
本発明の例示的実施例をかなり詳細に記載した。記載された実施例の多くの変形例は、当業者には明らかであると思われる。従って、本発明は記載された実施例に限定されることなく、以下の請求項で定義される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部チャンバを形成し、出力ポートと入力ポートを備えたハウジング壁を有するハウジングと、
前記ハウジング壁の一つを通って前記内部チャンバにまで延在する回転自在の入力軸と、
前記内部チャンバ内に設けられ、前記入力軸によって回転駆動されるパワー・トランスミッション部品と、
前記内部チャンバから前記ハウジング壁の一つを通って延在し、前記パワー・トランスミッション部品によって回転駆動される出力軸と、
前記チャンバ内部に供給されて、前記パワー・トランスミッション部品を潤滑する潤滑流体と、
前記ハウジングを囲み、前記ハウジング壁の少なくとも一つとの間に間隙を形成し、出力ポートと入力ポートとの間に流体連結した冷却用通路を形成する冷却用シュラウドであって、前記潤滑流体が、前記内部チャンバから前記出力ポートを通って前記冷却用通路へ流出し、前記入力ポートを通って前記内部チャンバに戻るようになっている冷却用シュラウドと、
前記間隙を通る空気を排出して、前記ハウジング壁の少なくとも一つと前記冷却用通路を通って流れる前記潤滑流体を冷却するファンと、
を備えていることを特徴とするトランスミッション。
【請求項2】
前記ファンが、前記入力軸と前記出力軸のうちの一つに支持され、前記入力軸と前記出力軸のうちの前記一つが回転する間に、前記間隙を通る空気を排出して、前記ハウジング壁の前記少なくとも一つと前記冷却用通路を通って流れる潤滑流体を冷却することを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項3】
前記冷却用シュラウドが、前記ファンを囲むファン・シュラウドを備え、前記ファン・シュラウドが、前記冷却用通路を部分的に形成していることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項4】
前記冷却用シュラウドが前記ハウジングを囲むハウジング・シュラウドを備え、前記ハウジング・シュラウドが、部分的に前記冷却用通路を形成する第一シュラウド・パネルと、前記冷却用通路を部分的に形成し、前記第一シュラウド・パネルと接続される第二シュラウド・パネルと、前記冷却用通路を部分的に形成し、前記第一シュラウド・パネルと対向して前記第二シュラウド・パネルと接続される第三シュラウド・パネルとを備え、前記ハウジングが前記第一シュラウド・パネルと前記第三シュラウド・パネルの間に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項5】
前記第一シュラウド・パネルと前記第二シュラウド・パネルと前記第三シュラウド・パネルとが、前記冷却用通路の蛇行形状を形成していることを特徴とする請求項4に記載のトランスミッション。
【請求項6】
前記冷却用シュラウドが、互いの間に前記冷却用通路を形成する内側シート金属層と外側シート金属層とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項7】
前記ハウジングの前記内部チャンバにポンプを更に備え、前記ポンプが前記潤滑流体を前記出力ポートを通して前記冷却用通路に供給し、前記入力ポートを通して前記内部チャンバに戻されることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項8】
前記冷却用シュラウドを前記ハウジングに固定するための複数の締結部材を更に備え、前記複数の締結部材のそれぞれが、前記間隙に配するスペーサーを有していることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項9】
前記ハウジング壁が第一面と前記第一面に対向する第二面とを形成し、前記冷却用通路が前記第一面近傍の前記潤滑流体を前記第二面に向かって方向付ける第一脚を備えていることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項10】
前記冷却用通路が、前記第一脚と流体連結した第二脚を備え、前記第二脚が前記潤滑流体を前記第一脚から前記第一面に向かって方向付けることを特徴とする請求項9に記載のトランスミッション。
【請求項11】
前記入力軸が、前記第一面から延在していることを特徴とする請求項9に記載のトランスミッション。
【請求項12】
内部チャンバを形成し、出力ポートと入力ポートを備えたハウジング壁を有するハウジングと、
前記ハウジング壁の一つを通って前記内部チャンバにまで延在する回転自在の入力軸と、
前記内部チャンバ内に設けられ、前記入力軸によって回転駆動されるパワー・トランスミッション部品と、
前記内部チャンバから前記ハウジング壁の一つを通って延在し、前記パワー・トランスミッション部品によって回転駆動される出力軸と、
前記チャンバ内部に供給されて、前記パワー・トランスミッション部品を潤滑する潤滑流体と、
ファン・シュラウドと前記ハウジングを囲むハウジング・シュラウドとを備えた冷却用シュラウドであって、前記ハウジング・シュラウドは前記ハウジング壁の少なくとも一つとの間に間隙を形成し、前記ハウジング・シュラウドと前記ファン・シュラウドとで、前記出力ポート及び前記入力ポートと流体連結した蛇行形状の冷却用経路を形成し、前記潤滑流体が、前記内部チャンバから前記出力ポートを通って前記冷却用通路へ流出し、前記入力ポートを通って前記内部チャンバに戻るようになっている冷却用シュラウドと、
前記ファン・シュラウド内に設けられ、前記間隙を通る空気を排出して、前記ハウジング壁の少なくとも一つと前記冷却用通路を通って流れる前記潤滑流体を冷却するファンと、
を備えていることを特徴とするトランスミッション。
【請求項13】
前記ハウジング・シュラウドが、互いの間に前記冷却用通路を部分的に形成する内側シート金属層と外側シート金属層とを備え、前記内側シート金属層と前記外側シート金属層の少なくとも幾つかのエッジ同士が、互いにシールされていることを特徴とする請求項12に記載のトランスミッション。
【請求項14】
前記内側シート金属層と前記外側シート金属層の前記少なくとも幾つかのエッジ同士が、溶接線によって互いにシールされていることを特徴とする請求項13に記載のトランスミッション。
【請求項15】
前記ファン・シュラウドが、互いの間に前記冷却用通路を部分的に形成する内側シート金属層と外側シート金属層とを備えていることを特徴とする請求項1に記載のトランスミッション。
【請求項16】
前記ハウジング・シュラウドが、前記冷却用通路を部分的に形成する第一シュラウド・パネルと、前記冷却用通路を部分的に形成し、前記第一シュラウド・パネルと接続する第二シュラウド・パネルと、前記冷却用通路を部分的に形成し、前記第一シュラウド・パネルと対向して前記第二シュラウド・パネルと接続する第三シュラウド・パネルとを備え、
前記ハウジングが前記第一シュラウド・パネルと前記第三シュラウド・パネルの間に設けられていることを特徴とする請求項12に記載のトランスミッション。
【請求項17】
前記第一シュラウド・パネルが前記出力軸が通る第一シュラウド開口を備えていることを特徴とする請求項16に記載のトランスミッション。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2013−518232(P2013−518232A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551214(P2012−551214)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/022222
【国際公開番号】WO2011/094151
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(506224746)レックスノード インダストリーズ, エルエルシー (14)
【氏名又は名称原語表記】Rexnord Industries, LLC
【住所又は居所原語表記】4701 West Greenfield Avenue, Milwaukee, WI 53214−1498, U.S.A.
【Fターム(参考)】