説明

流体包装袋の製造方法

【課題】詰め替え時、飲用時、開口時に袋内部が密着することがなく、スムースに内容物を注ぐことができ、飲用時には補助パイプを使用する必要がなく、内容物を楽に、しかも袋内に残すことなく吸出すことができ、袋を構成するプラスチックフィルムの腰が強化され、店頭においてディスプレイ効果が向上する流体包装体の製造方法を提供する。
【解決手段】柱を多数横たえた断面形状の凹凸模様が内面に形成された2枚のプラスチックフィルムを用意する工程、引き続き、このプラスチックフィルム同士を押圧しても互いの凹凸模様が嵌合しないように配置し、凹凸模様が嵌合するときは、いずれかのプラスチックフィルムを平行移動、斜め移動又は回転移動する工程、その後、プラスチックフィルムを固定して、その周辺を溶着する工程を含むことを特徴とする流体包装袋の製造方法を提供した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体包装袋の製造方法に関し、さらに詳しくは、2枚のプラスチックフィルムを重合し、その周辺を溶着して作った流体包装袋において、詰め替え時、飲用時、開口時に袋内部が密着することがなく、スムースに内容物を注ぐことができ、飲用時には補助パイプを使用する必要がなく、袋自体の流出パイプを吸うことにより内容物を楽に、しかも袋内に残すことなく吸出すことができる流体包装袋、及び袋を構成するプラスチックフィルムの腰が強化され、店頭においてディスプレイ効果が向上する流体包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マヨネーズ、コーヒー、ジュース、シャンプー、リンス、ボディソープ等の液体調味料、飲料品、洗濯用や台所用の液体洗剤等は、プラスチック製のボトルや袋に充填して販売・使用されてきた。ボトル入りは、高級感があり、自立性があるので店頭にてディスプレイしやすく、使用時においてもキャップの脱着により、所望量を注ぎだすことができ、液漏れしない状態で保存でき、飲用時やコップ等に注ぎ出す時、キャップを取り外し、ボトルの口から容易に飲んだり、注ぎ出すことができ便利な一面もあるが、コストが高いこと、流通・保管・廃棄時にデッドスペースを生じること、資源の浪費になること等の問題があった。
【0003】
これを解決するためのものとして、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、ポリエステル等の単層又は多層フィルムを重合し、周囲を溶着して作った、三方シール袋、四方シール袋、ドイパック袋、船底レール袋、テトラパック袋、スタンディングバウチ、合掌貼り袋、ガゼット貼り袋、封筒貼り袋、二重袋貼り袋、ラベルサイドシール袋、バックインボックス等が開発され、上部には、ボトルと同じ構造のキャップを付けた上記の各種の袋が開発され、それらはコストがやすく、容積も嵩張らなく、省資源的であるので、ボトルの需要の一部を置換して使用されてきている。
上記の各種袋の内、図1に示す詰め替え用四方シール袋が需要も多く、代表的な流体包装袋(パウチまたは袋と呼称することもある)である。この袋にも微細な点では構造が異なった各種のタイプがあるが、典型的なものは、長方形の2枚のプラスチックフィルムを重合し、その周辺を溶着して(但し、袋の上辺の右半分は流体充填口3であり、袋製造時には溶着されてなく、流体充填後に溶着される)、流体を入れる袋を形成し、上辺の左半分の溶着部に、非溶着部の流体流出通路5をその基端を袋内に連通すると共にその閉鎖先端を袋の隅角部に配置して形成した流出通路付き流体包装袋がある。
流体流出通路5の基端を入口4と定義し、流体流出通路5の閉鎖先端を出口7と定義すると、袋に流体を充填して保管している時は、袋の隅角部は溶着されているので出口7からは流体は流出せず、流体流出通路の出口を開口する切断位置を示す線6をハサミで切断し出口を開口し、流出通路の先端を開放し、袋を握って袋内の流体を圧迫し流体を流出させる。又、上記流出通路は、袋を握って袋内の流体を圧迫し流体を流出させると流体が流出通路から流出し、一方、袋を握る力を弱めると、流体の流出が停止し、次いで流出通路に残っている流体を絞り出すと、袋を任意の位置にしても、袋内の流体を圧迫しない限り、流体が流出通路から流出しない、いわゆる自己閉鎖性タイプの特殊構造の流出通路もある。
そして、自己閉鎖性タイプの特殊構造の流出通路を有する袋を使用するときは、袋を押せば内容物が流出し、押すことを止めれば流出がとまるので、その都度プラスチックボトルのキャップをしめる煩わしさがなく、ボトルの様に転倒により内容物が流出し周囲を汚すことなく、内容物の損失も発生しないので、近年、大量に使用されるようになってきた。
【0004】
しかしながら、普通のタイプの流出通路付パウチ、又は自己閉鎖性流出通路付きパウチは、そのまま使うことは少なく、ボトルへの詰め替え用として使われることが多く、パウチの内容物を出口から流出させ、直接的に、人が口に入れ、飲むことは少ない。この理由は、構造がしっかりしたボトルからキャップを取り外し、ボトルの出口に唇を接触し、ボトルの底部の位置を唇の位置に平行か、やや高い位置にすれば、液体は高い所から低い所に重力差により自然に流れ落ち、かつ空気が流出したボトル内の空間を充満するからである。
これに対して、パウチから内容物を飲むとき、上記のようにボトルから内容物を飲む方法と同じやり方をすると、パウチは薄いプラスチックフィルムで構成されているので、パウチ内から流出した内容物の占めていた場所を空気で置換することは困難であり、2枚のプラスチックフィルムの距離を接近させることにより、内容物を流出させざるを得ない。すなわち、2枚のプラスチックフィルムの距離を接近させるため、手で袋を押し潰す行為を行うか、パウチの出口を口で銜え、口内を真空に近づけ強引に吸飲するほかはなく、肺活量が余程多くないと飲むことは困難である。
【0005】
これを解決するために、従来使用されているパウチでは、注ぎ口部に短いストローを挿入したり、膨らむよう成形したりしていた(例えば、特許文献2,3参照)。しかし、短いストロー付きではコストがかかり、さらに充填時にストロー部分の膨らみが邪魔とされていた。注ぎ口部を膨らませる成形したパウチでは、充填前に段詰めにした状態で成形した部分が閉じてしまったりして十分な効果が発現されていなかった。また、短いストロー入りパウチも、注ぎ口が成形されたパウチも先端部分は良かったが、そのすぐ下側部分が密着して出難くなったり、途中で折れ曲がったりして使用感が悪かった。また詰替え用だけなら良いが、飲料用として飲むのには上記したようにパウチは適していなかった。
一部ストローがパウチの背面に接着剤でひっついている飲料用パウチもあるが、やはり加工も手間でコストが掛かりすぎるという欠点があった。また、2枚のプラスチックフィルムを重合し、その周辺を溶着して作った流体包装袋においては、袋内部が密着しており、充填時、詰め替え時、飲用時、開口時に、密着している袋内部のプラスチックフィルム同士を引き剥がす作業が必要であり、コスト上昇の一因ともなっている。
【0006】
一方、内面に凹凸が形成された2枚のプラスチックフィルムを重合し、その周辺を溶着して作った流体包装袋も提案されている(例えば、特許文献1,4参照)。
特許文献1には、多層プラスチックフィルムから成る包装袋であって、該多層プラスチックフィルムが内層に熱接着性プラスチック層を有し、排出口付近の内面に断面形状が凹部と凸部が隣接した形状である線状リブから成る内容物誘導用線状リブを内容物の排出流れ方向に沿って設けていることを特徴とする包装袋が記載されている。この文献には、線状リブが1本のみ配置されるか、あるいは2〜3本、下方に向かって間隔が広がるように配置されており、これらの態様では、内容物を少量ずつ注ぎ出すことが容易ではない。
また、特許文献4には、内面にヒートシール性を有する単体フィルム若しくは積層材から製袋されて、上部に開口部を備え、側壁の少なくとも一部に上下方向に走る凸条と凹条とが交互に整列する凹凸形状が形成されてなることを特徴とする小袋包装体が記載されている。この文献には、左上コーナーに出口と凹凸形状を多数平行に配置したものが記載されているが、この凹凸形状は、フィルム基材を前後に折り曲げることで凸条と凹条による凹凸形状を形成しているために、袋周囲をヒートシールしたときに出口周辺は凹凸が消えてしまい、内容物が吸出しにくい構造になっている。
【0007】
さらに、鉄、アルミニウム、錫、チタン、陶磁器、ガラス、セラミック、木材、等で作ったボトルは、強固で変形しなく自立性があるが、2枚のプラスチックフィルムを重合し、その周辺を溶着して作った流体包装袋は、プラスチックフィルムが柔軟であり、いわゆるフィルムの腰がないので、スタンディングパウチの構造に代えても、パウチの下部は比較的しっかりしているものの、パウチの上部になるほど折れ曲がり易く、特に内容物が充満されているときはしっかりしているが、内容物を使用するために排出していくと、内容物の圧力による支えが無くなるので、プラスチックフィルムも容易に折れ曲がり、袋の自立性も無くなってしまう問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−1358号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】特開平11−29156号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献3】特開平11−245959号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献4】特開2000−72152号公報(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、詰め替え時、飲用時、開口時に袋内部が密着することがなく、スムースに内容物を注ぐことができ、飲用時には補助パイプを使用する必要がなく、袋自体の流出パイプを吸うことにより内容物を楽に、しかも袋内に残すことなく吸出すことができる流体包装袋、及び袋を構成するプラスチックフィルムの腰が強化され、店頭においてディスプレイ効果が向上する流体包装体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、2枚のプラスチックフィルムを重合し、その周辺を溶着して作った流体包装袋を製造する際に、プラスチックフィルムの内面に柱を多数横たえた断面形状の凹凸模様を設けておき、このプラスチックフィルム同士を押圧しても互いの凹凸模様が嵌合しないように配置し、凹凸模様が嵌合するときは、いずれかのプラスチックフィルムを平行移動、斜め移動又は回転移動すると、袋内部が密着することがなく、スムースに内容物を注ぐことができ、飲用時には補助パイプを使用する必要がなくなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、柱を多数横たえた断面形状の凹凸模様が内面に形成された2枚のプラスチックフィルムを用意する工程、引き続き、このプラスチックフィルム同士を押圧しても互いの凹凸模様が嵌合しないように配置し、凹凸模様が嵌合するときは、いずれかのプラスチックフィルムを平行移動、斜め移動又は回転移動する工程、その後、プラスチックフィルムを固定して、その周辺を溶着する工程を含むことを特徴とする流体包装袋の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記プラスチックフィルムの凹凸模様は、柱が水平面に対して30〜60度の範囲で傾斜していることを特徴とする流体包装袋の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記凹凸模様は、流体包装袋の周辺溶着部の少なくとも一個所に設けられた流体流出通路の入口付近に設けられていることを特徴とする流体包装袋の製造方法が提供される。
本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記凹凸模様の先端は、流体流出通路の入口から始まり、その末端は、該流体包装袋の下部溶着部付近まで伸びていることを特徴とする流体包装袋の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、前記凹凸模様は、雄形と雌形の型成形法又はエンボス成形法で形成されることを特徴とする流体包装袋の製造方法が提供される。
本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、さらに、流体流出用中空パイプが、流体包装袋の周辺溶着部の少なくとも一個所に設けられた流体流出通路の出口に、凹凸模様と連続するように設けられていることを特徴とする流体包装袋の製造方法が提供される。
本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、流体包装袋は、その底部に袋自立構造部を有することを特徴とする流体包装袋の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明により得られた流体包装体は、詰め替え時、飲用時、開口時に袋内部が密着することがなく、スムースに内容物を注ぐことができ、飲用時には補助パイプを使用する必要がなく、袋自体の流出パイプを吸うことにより内容物を楽に、しかも袋内に残すことなく吸出すことができ、袋を構成するプラスチックフィルムの腰が強化されているので、袋の自立機能が更に改善され、店頭においてディスプレイ効果が向上する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来の流体包装体の1例を示す正面図である。
【図2】フィルムに形成される凹凸模様の例示図である。
【図3】流体包装体の断面図(A1)であり、(A2)は上側フィルム、(A3)は下側フィルムの平面図である。
【図4】凹凸模様同士が嵌合する流体包装体の断面図(A1)(B1)である。(A2)(B2)は上側フィルム、(A3)(B3)は下側フィルムの平面図である。
【図5】本発明における流体包装体の断面図(A1)(B1)である。(A2)(B2)は上側フィルム、(A3)(B3)は下側フィルムの平面図である。
【図6】本発明における流体包装体の断面図(A1)(B1)である。(A2)(B2)は上側フィルム、(A3)(B3)は下側フィルムの平面図であって、断面は、(B2)及び(B3)のa−a’線で切断した面である。
【図7】本発明における流体包装体の平面図(A1)(A2)、及び斜視図(A3)である。(A1)(A2)は左上コーナーに出口と凹凸模様がある袋の平面図、(A3)は上辺中央に出口があり、出口付近から下辺中央に向かい凹凸模様が形成されたガゼット袋である。
【図8】本発明における流体包装体の平面図(A1)〜(A3)である。(A4)出口が左上コーナーに横方向に突出した袋、(A5)左上コーナーの出口が上方に突出した袋、(A6)出口が下辺中央に下方に突出した袋である。
【図9】本発明に係る流体包装体の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の流体包装袋の製造方法について、各項目毎に詳細に説明する。
【0016】
1.プラスチックフィルム
本発明における流体包装袋を作るために使用するプラスチックフィルムは、高圧法低密度ポリエチレン(HP−LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状超低密度ポリエチレン(VLDPE)、メタロセン触媒によるポリエチレン(MCAT−PE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、アイオノマー(IONOMER)、エチレン−ビニールアルコール共重合体(EVOH)、ポリアミド(PA)、ポリエステル(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、アルミニウム(AL)等の単層フィルム、又はそれらから選択された樹脂の多層フィルムである。単層フィルム、又はそれらから選択された樹脂の多層フィルムは、延伸されていてもよい。
特に、2軸延伸ポリアミドフィルム(OPA)、2軸延伸ポリエステルフィルム(OPET)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等を使用した積層フィルムが、引裂強度、耐突刺強度、引張強度、柔軟性、透明性、耐熱性、耐寒性、耐破裂性、低水蒸気透過性、低酸素透過性等の性質において優れており好ましい。積層フィルムの代表的な例としては、以下の構成が挙げられる。
【0017】
・OPA/ポリウレタン接着剤/OPA/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・OPA/アイオノマー接着剤/OPA/アイオノマー接着剤/HP−LDPE
・OPA/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・OPA/アイオノマー接着剤/HP−LDPE
・OPA/アイオノマー接着剤/AL箔/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・シリカ蒸着OPA/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・OPA/アイオノマー接着剤/OPP/アイオノマー接着剤/EVA
・アルミナ蒸着OPA/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・OPET/ポリウレタン接着剤/OPET/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・OPET/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/EEA
・OPET/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・OPET/アイオノマー接着剤/HP−LDPE
・OPET/アイオノマー接着剤/AL箔/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・シリカ蒸着OPET/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・OPET/アイオノマー接着剤/OPP/アイオノマー接着剤/EVA
・アルミナ蒸着OPET/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・OPET/ポリウレタン接着剤/EVOH/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・OPET/アイオノマー接着剤/EVOH/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・LLDPE/ポリウレタン接着剤/EVOH/ポリウレタン接着剤/MCAT−PE
【0018】
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/EVOH/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPA/ポリウレタン接着剤/OPA/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPA/アイオノマー接着剤/OPA/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPA/ポリウレタン接着剤/MCAT−PE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPA/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPA/アイオノマー接着剤/AL箔/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/シリカ蒸着OPA/ポリウレタン接着剤/MCAT−PE
・EVA/アイオノマー接着剤/OPA/アイオノマー接着剤/OPP/アイオノマー接着剤/EVA
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/アルミナ蒸着OPA/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・LLDPE/アイオノマー接着剤/OPET/ポリウレタン接着剤/OPET/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・EEA/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/EEA
・LLDPE/アイオノマー接着剤/OPET/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/HP−LDPE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/AL箔/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・LLDPE/アイオノマー接着剤/シリカ蒸着OPET/ポリウレタン接着剤/LLDPE
【0019】
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/OPP/アイオノマー接着剤/EVA
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/アルミナ蒸着OPET/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
・LLDPE/アイオノマー接着剤/OPET/ポリウレタン接着剤/EVOH/ポリウレタン接着剤/LLDPE
・MCAT−PE/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/EVOH/アイオノマー接着剤/MCAT−PE
【0020】
本発明において、袋に使用するフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、単層フィルムの場合、厚さは30〜500μm、好ましくは100〜200μm程度であり、積層フィルムの場合、構成する各層の厚さは5〜300μm、好ましくは100〜200μm程度であり、合計の厚さは50〜500μm、好ましくは100〜200μm程度が好ましい。フィルムの厚みは、小容量で、比重の小さい流体を入れる袋の場合、比較的薄くてよく、大容量で、比重の大きい流体を入れる袋の場合は、比較的厚いものが望ましい。
【0021】
2.液体
本発明において、液体とは袋に入れる内容物であり、マヨネーズ、コーヒー、ミルク、ジュース、シャンプー、リンス、ボディソープ、洗濯用や台所用の液体洗剤、ナチュラルウォーター、ミネラルウォーター、清涼飲料、味噌、液体スープ、醤油、ラー油、そばつゆ、うどんつゆ、天ぷらつゆ、ジャム、甘酒、酒、ウイスキー、ワイン、焼酎、溶剤、化学薬品、ゲル状物、写真現像液、パーマ液等であり、特に飲食品が好ましい。また粘度の低いものから高いものまで充填可能である。
【0022】
3.凹凸模様
本発明において、凹凸模様とは、2枚のプラスチックフィルムを重合し、その周辺を溶着して作った流体包装袋において、該流体包装袋のプラスチックフィルムの内面の一部又は全部に設けるものであり、流体包装袋において、詰め替え時、飲用時、開口時に袋内部が密着することがなく、スムースに内容物を注ぐことができ、飲用時には補助パイプを使用する必要がなく、袋自体の流出パイプを吸うことにより内容物を楽に、しかも袋内に残すことなく吸出すことができ、またプラスチックフィルムの腰が強化され、店頭においてディスプレイ効果が向上する機能を付与するものである。
凹凸模様としては、例えば、3角柱、半円柱、半楕円柱、4角柱、半多角柱、断面が、長方形、三角台、半円台、半楕円台、等である柱から選択された柱を多数横たえて配置するに際し、等間隔又は間隔なしで平行に並べた形状もしくは非等間隔に並べた形状のものである。これらの柱は直線状であっても、非直線状であってもよい。又、柱は中空状であってもよく、柱には、長手方向に直角の方向に各種形状の孔、溝等を設けてもよい。
【0023】
上記のプラスチックフィルム上で柱の配置は、具体例を図5に示した。上側のフィルムの柱が三角柱で、下側のフィルムの柱が三角台柱である左の例では、このまま袋の長手方向全面に使用し袋の周辺を溶着すると袋の内容物は、袋の左上コーナーの流体出口から流出出来ないので、袋上辺の溶着部と各柱の上端部との間は3〜10mm程度の柱部分がないフラットなフィルム部分とすることができる。こうすれば、流体は、流体出口につながっている中空パイプを吸うと、袋の下方から上方に縦方向に上がっていき、上記の袋上辺の溶着部と各柱の上端部との間を、袋の左上コーナーの流体出口に向かって横に流れていき、袋外に流出する。この場合においても、柱には、長手方向に直角の方向に各種形状の孔、溝等を設けておけば、更に短時間に、少ない吸引力(口で吸う力)で流体を流出させることができる。
【0024】
図5の右側に示した事例では、袋の上側フィルムの三角柱の方向が、袋の左上コーナーに向かっており、その角度は水平に対して60度であり、袋の下のフィルムの三角柱の方向も、袋の左上コーナーに向かっており、その角度は水平に対して30度である。これにより、上下フィルムの三角柱の稜線同士は平行になることなく点で交差・接触するので、流体は非常に抵抗が少なく流れることができ、図面通りに袋の左上コーナーに図7の様に配置すると、非常によい結果がえられる。
袋の上側フィルムの三角柱の角度を60度から30度の間から選択し、袋の下側フィルムの三角柱の角度を30度から60度の間から選択し、それぞれから、例えば、55度と35度又は50度と40度等の組合せの上下フィルムで袋を作ると、更に流体流動抵抗の少ない袋が得られる。これらの凹凸模様の高さ、幅、長さ、ピッチ間隔等の数値範囲は、袋の大きさ、袋の用途、フィルムの厚さ、凹凸模様の目的等によって異なるが、袋内面同士の密着が防止できる事、飲用時に袋内に残すことなく流体が楽に吸い出せる事、袋の強度を損なわない事、袋の外観を悪くしない事等を満たせば特に限定されないが、おおよその目安としては下記の数値範囲が好ましい。
【0025】
高さは、15〜300μm、好ましくは30〜200μm、最も好ましくは50〜100μmの範囲であり、かつフィルムの厚さの3〜60%、好ましくは6〜40%、最もこのましくは10〜20%の範囲である。下限値よりも低いと本発明の目的・効果を達することができなく、上限値よりも高くなると、フィルムに薄い部分ができ、袋の耐破裂性、耐突刺性、耐引裂性、耐引張性が悪くなり好ましくない。
なお、高さとは、凹凸模様の凸部頂点と凹部底点のそれぞれの地面からの距離の差を意味する。例えば、三角柱を横たえた図2の(A2)の場合、稜線10と谷底線9のそれぞれの地面からの距離の差になる。また、幅とは、例えば三角柱を横たえた場合、断面の三角形の底辺を意味し、0.1〜5mm、好ましくは0.5〜3mm、最も好ましくは1〜2mmの範囲であり、長さは3〜500mm、好ましくは30〜300mm、最も好ましくは50〜100mmの範囲である。
【0026】
また、ピッチ間隔とは、例えば図2の(B2)の「横たえた半円柱の谷間11」の幅の2分の1の点から「横たえた半円柱12」を挟んだ次ぎの「横たえた半円柱の谷間11」の幅の2分の1の点までの直線距離であり、フィルムの厚さによって異なるが、0.02〜10mm、好ましくは1〜6mm、最も好ましくは2〜4mmの範囲である。ピッチ間隔が狭すぎると、液体の流動抵抗が大きくなり吸い難くなり、ピッチ間隔が広すぎるとフィルム同士が閉じてしまい流路が狭くなり好ましくない。
柱状凹凸模様は、連続した柱であってもなくてもよく、また柱の途中に幅が1〜10mm程度の柱の長手方向に直角に溝または、U、V、またはW字形の谷や溝を作ってもよい。これらの模様は、エンボス加工によっても形成させることができる。例えば、3角柱を5本平行に横たえた凹凸模様を図2の(A1=平面図)、(A2=断面図)に示し、半楕円柱を間隔をおいて4本平行に横たえた凹凸模様を図2の(B1=平面図)、(B2=断面図)に、三角台柱を4本平行に横たえた凹凸模様を図2の(C1=平面図)、(C2=断面図)にそれぞれ示した。
【0027】
深さは、エンボス加工にて、フィルム表面に多数の凹模様を付けた場合に、フィルム表面と凹部低点のそれぞれの地面からの距離の差を意味し、数値範囲は上記の高さの数値範囲と同じである。上記した凹凸模様は、金型を用いて形成される場合が多いが、本発明においてはエンボス加工にて形成させた凹凸模様も、効果を発現する。エンボス加工にて形成させた凹凸模様は、例えば差し渡し(直径)0.01〜5mm、好ましくは0.1〜3mm、最も好ましくは0.5〜2mmの範囲で、高さは、15〜300μm、好ましくは30〜200μm、最も好ましくは50〜100μmの範囲であり、かつフィルムの厚さの3〜60%、好ましくは6〜40%、最もこのましくは10〜20%の範囲である。円板、楕円板、3角板、4角板、多角板、星形板、ハート形板、3角錐、4角錐、多角錐、3角錐台、4角錐台、多角錐台等の板を、等間隔、非等間隔、又は間隔なしで配置した形状であってもよい。これらの板状体は、凸版模様及び/又は凹版模様としてフィルム表面に形成してもよい。
【0028】
凹凸模様の他の例としては、亀甲、格子、絹目、ダイヤ、玉虫、麻目、梨地、しぶき、すじ等がある。これらの模様は、金型加工によっても形成させることができる。それらの例として、36個の正4角立方体が間隔を開けて配置された凸模様を図2の(D1、平面図)、(D2、断面図)に示した。なお、袋の外側となる面は、平坦であっても、凹凸模様があっても、いずれでもよい。
【0029】
4.凹凸模様の形成方法
4−1 雄形と雌形の型成形による方法
3角柱、半円柱、半楕円柱、4角柱、半多角柱、断面が、長方形、三角台、半円台、半楕円台等である柱から選択された柱を多数横たえて配置するタイプの凹凸模様は、雄形と雌形による型成形による方法により製造するのが、コストや品質面から好ましい。雄形と雌形による型成形の概略を以下に説明する。
【0030】
本発明に係る凹凸模様が設けられている流体包装袋は、本願出願人の特許第2528611号公報に開示されている成形装置と成形方法を転用することによって製造することができる。但し、特許第2528611号公報は、自己閉鎖性流出通路付きの流体包装袋の成形方法と成形装置に関するものであるから、本発明のように、所定の凹凸模様を形成できるようになっていない。したがって、特許第2528611号公報に記載の金型の模様は、自己閉鎖性流出通路のみを形成できる模様しか彫ってないので、流体包装袋の任意の位置に、特に流出通路の入口につながり、入口付近の領域に凹凸模様が設けられるよう金型に模様を付加する必要がある。
【0031】
4−2 エンボスロールによる成形方法
円板、楕円板、3角板、4角板、多角板、星形板、ハート形板、3角錐、4角錐、多角錐、3角錐台、4角錐台、多角錐台から選択された板を、等間隔、非等間隔、又は間隔なしで配置した形状のものや、亀甲、格子、絹目、ダイヤ、玉虫、麻目、梨地、しぶき、すじ等の凹凸模様は、エンボスロールによる成形方法により製造する。この方法は、品質面ではやや型成形方法より劣るもののコストが安く、袋内面の密着防止には、生産性もよく利用価値が十分ある。
エンボスロールによる成形方法には、概略、カレンダや押出機から成形されたウエブを溶融状態にあるうちにしぼロールとゴムロールの間を通す方法、断続的にプレスする方法、エンボスされたベルトの上に樹脂をキャスティングする方法がある。
【0032】
5.流出通路
本発明において、流出通路とは、袋の内容物である流体を袋の外部に流出させるための通路であり、前記自己閉鎖性タイプの特殊構造の流出通路も包含しているものとする。
通常の袋では、袋の左上部のコーナーに設けられている。図1で説明すると、入口4は流出通路5の袋内の先端にあり、出口7は流出通路5の袋コーナーへ向かう先端にあり、内容物が袋に充填されて保管・ディスプレイされているときは、流出通路5の先端部分は溶着されているので、出口7は開口されてない。
袋内の流体を袋外に流出させる場合には、流体流出通路の出口を開口する切断位置を示す線6をハサミ等で出口を開口する。図1に示す流出通路5は、1回で内容物全部を使いきる詰め替え専用の袋であるから簡単な構造となっているが、内容物を多数回にわたり使ったり、横転させたり、逆様に吊して使ったりする特殊な使い方をする場合は、下記に説明する自己閉鎖性流出通路をもつ袋を使用した方が便利である。
【0033】
自己閉鎖性流出通路とは、袋を握って袋内の流体を圧迫すると、流体が流出通路から流出し、袋を握る力を弱めると、流体の流出が停止し、次いで流出通路に残っている流体を絞り出すと、袋を任意の位置にしても、袋内の流体を圧迫しない限り、流体が流出通路から流出しない機能を有する流出通路である。
したがって、内容物の流体を袋外に流出させた後、袋を倒したり、流出通路の出口を下にして袋を吊下げても、内容物の流体が流出する事がないので、ボトル容器の場合の様に、使用後、その都度キャップを閉める手間が省け、能率が上がり便利である。自己閉鎖性流出通路の形状は、例えば、S、C、V、L、N、M、W、く、へ、て、ん、し、つ、ひ、ろ、2、3、7等の形状か、それらを変形したものであり、直線状ではなく、流出通路の入口から出口の途中に液体の流動に対して抵抗を生じさせる屈曲部分を有することが必要である。これらの具体例を、本特許出願人は、特願2000−396432号の明細書の図9〜11に示したが、これらに限定されるものではない。
大きな抵抗を生じさせるには、流出通路の幅を狭くし、屈曲部分を多個所にすればよく、小さい抵抗を生じさせるには、流出通路の幅を大きくし、屈曲部分を1個所にすればよい。流出通路の幅は、袋の容量・寸法によって異なるが、2〜20mm程度であることが望ましい。また、流出通路は2枚のプラスチックフィルムの間に形成されるので、通常は流体が通過しないときは、フィルム同士が密着している様に設計されているが、フィルムの流出通路形成部分を外面側に所定量だけ膨張させて突出させることもできる。突出させると、液体の流動に対して抵抗を低減できる効果があるが、突出量が多過ぎる場合は、内容物の流体を袋外に流出させた後、袋を倒したり、流出通路の出口を下にして袋を吊下げた場合に、袋内の内容物を圧迫しなくても、内容物が流出通路の出口から流出してしまうので、注意が必要である。
【0034】
6.中空パイプ
本発明において中空パイプとは、袋の内容物を流出通路を経由して袋の出口から袋外に排出される流体を口にくわえたり、容器に注ぐとき便利になるように、袋の出口に取り付けた中空物である。
この例を図9に示すが、中空パイプ19の断面は、円、半円、楕円、半楕円、三角、四角、多角、半円台、三角台、菱形、星形、ハート形等の任意の形状でよく、材質も、金属、プラスチック、陶磁器、木材などいずれでもよく、中空パイプは飲用に使用しないときは、取り外すことができたり、薄い柔軟性のフィルム、箔等で作り扁平に折り畳んでもよい。また、キャップ、栓、蓋等流出防止手段を付けても良い。
【0035】
7.自立構造
本発明において自立(スタンディング)構造とは、袋の下部に袋が自立できる構造体を付加したもので、商品として陳列したり、使用するとき倒れないので便利である。
【0036】
8.流体包装袋の製造方法
8−1 プラスチックフィルムへの凹凸模様の形成
本発明において、プラスチックフィルムへ凹凸模様を形成するには、本出願人の特許第2528611号公報に記載の金型の改造金型と成形装置を使用し、同公報の成形方法に準じて製造できる。概要を以下に示すが、これに限定されるものではない。
【0037】
まず、袋の素材となる前記した単層または積層フィルム(以降、単にフィルムと呼称することもある)を準備する。このフィルムは、通常長い帯状であり、ロール巻きとなっている。
フィルム供給装置は、フィルムを上下に隔離する一対の案内ローラで隔離し、凹凸模様が彫刻された改造雄形成形金型と凹凸模様が彫刻された改造雌形成形金型を対面して設けて、前方へ水平に間欠的に送る装置である。
次いで、長い帯状のフィルムを巻き取った上側の芯軸(ロール巻き)と下側の芯軸(ロール巻き)からそれぞれ帯状のフィルムを繰り出すようにする。
その後、上下に重合した両積層フィルムを上下に隔離する一対の案内ローラで隔離し、次いで上下に重合して前方へ水平に間欠的に送るフィルム供給装置により前方に送り、次いで上下に隔離した両フィルムの内側位置と外側位置に、それぞれ、凹凸模様を彫刻するための改造雄形成形金型と改造雌形成形金型を対面して設けるようにする。
両フィルムの供給停止毎に、改造雌形成形金型がそれぞれ改造雄形成形金型側に移動し、上側と下側の両フィルムが、改造雄形成形型の凸部と改造雌形成形型の凹部で挟まれて、凹凸模様が形成され、外面側に所定量だけ膨張して突出する。(この突出した両フィルムを以降、金型加工両フィルムと呼称する。)
【0038】
両フィルムが雄形と雌形の型成形で成形し難い場合は、改造雄形成形金型に内蔵の電熱式加熱装置と改造雌形成形金型に内蔵の電熱式加熱装置の片方又は両方を作動して改造雄形成形金型と改造雌形成形型の片方又は両方を120〜220℃位に加熱しておき、両フィルムの流出通路形成部分を、改造雄形成形金型と改造雌形成形金型の片方又は両方で加熱しつつ、改造雄形成形金型と改造雌形成形金型で挟んで成形してもよい。即ち、熱圧成形することができる。
両フィルムが熱圧成形で成形し難い場合は、高圧空気を改造雄形成形金型の空気供給通路に供給して改造雄形成形金型の凸部の開口から噴出させ、両フィルムの中空定量部を有する流出通路形成部分を、改造雄形成形金型の凸部面から噴出する1〜6kgf/cmの高圧空気で改造雌形成形金型の凹部に押し付けつつ、改造雄形成形金型と改造雌形成形金型で挟んで成形してもよい。即ち、圧空成形することができる。この際、熱圧成形を併用してもよいし、又は、併用しなくてもよい。
両フィルムが更に成形し難い場合は、空気吸引装置を作動して空気排出通路を経て改造雌形成形金型の凹部の空気を1〜6kgf/cmの圧力で排出し、両積層フィルムの中空定量部を有する流出通路形成部分を、減圧される改造雌形成形金型の凹部に吸引しつつ、改造雄形成形金型と改造雌形成形金型で挟んで成形してもよい。即ち、減圧成形することができる。この際、圧空成形又は熱圧成形を併用してもよいし、又は、併用しなくてもよい。
【0039】
要するに、両フィルムは、その成形性に応じて、型成形と、熱圧成形、圧空成形又は減圧成形を適宜組み合わせて成形する。エンボス加工を行う場合は、単層または積層フィルムの製造工程で行うことが望ましいが、上記の流体包装袋の製造工程の、いずれかの工程の前後で行っても良い。本発明においては、凹凸模様は、雄形と雌形の型成形方法又はエンボス成形方法のみで形成してもよく、雄形と雌形の型成形方法とエンボス成形方法を併用して形成しても良い。こうすると、厚さが数10〜300μm位の両フィルムの内面に、所定の通りに柱を多数横たえた断面形状の凹凸模様が形成された金型加工両フィルムが得られる。
【0040】
8−2 フィルムの配置と溶着(シール)
本発明では、まず、柱を多数横たえた断面形状の凹凸模様が内面に形成された2枚のプラスチックフィルムを用意する。
【0041】
この際、このプラスチックフィルム同士を押圧しても互いの凹凸模様が嵌合しないように配置する。凹凸模様が嵌合するときは、いずれかのプラスチックフィルムを平行移動、斜め移動又は回転移動させる。前記プラスチックフィルムへの凹凸模様の形成工程において、雄形と雌形の成形金型の一方を他方に対して移動させておけば、より簡便である。
プラスチックフィルム同士を押圧しても互いの凹凸模様が嵌合すると、所望の流体包装袋を得ることができない。プラスチックフィルムの凹凸模様は、柱が水平面に対して30〜60度の範囲で傾斜していることが好ましい。例えば、一方のフィルムに形成された三角柱の角度を60度から30度の間から選択し、他方のフィルムは、三角柱の角度を30度から60度の間から選択し、それぞれから、上下フィルムを例えば、55度と35度、又は50度と40度等に組合せると、流体流動抵抗の少ない流体包装袋を得ることができる。
【0042】
次いで、金型加工両フィルムの供給通路に沿って、金型加工両フィルムの供給停止毎に、袋になる上下の金型加工両フィルムの少なくとも一部、とくに袋の上左側部分となる部分を流出通路となる部分を除いて溶着するシール装置に供給し溶着し、その溶着部を冷却する装置で冷却する。また、金型加工両積層フィルムの袋の下側部となる部分を溶着するシール装置で溶着し、その溶着部を冷却装置で冷却し、金型加工両積層フィルムの袋の右側部となる部分を溶着するシール装置で溶着し、その溶着部を冷却装置で冷却し、同様に金型加工両フィルムの袋の左側部となる部分も溶着するシール装置で溶着し、その溶着部を冷却装置で冷却する。
その後、金型加工両フィルムの袋部分と隣の袋部分の間を切断するカッター装置で切断し、流出通路の基端部に中空軽量部を有する流体包装袋が得られる。
なお、内容物の流体は、製袋工程の途中で袋に充填してもよいし、製袋後充填してもよい。なお、本発明で用いる前記金型の材料は、金属、セラミックス、エンジニアリングプラスチック、シリコーン系樹脂、光硬化樹脂等から適宜選択すればよく、雄型金型の材料が、雌型金型と異なっていてもよい。また、金型の表面の模様形成部分と、基部の材料が異なっていてもよい。例えば、雄型金型を鉄鋼で作り、雌型金型の基部を鉄鋼とし表面の模様形成部分をシリコーン樹脂としてもよい。このようにすれば、シリコーン樹脂製型は、迅速に安く作れるので、金型製作期間が短縮でき製品開発期間が短縮でき、金型製作費用も低減できるので製品コストが低減できる。
【実施例】
【0043】
次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1(参考例)
2枚のそれぞれが厚み200μm、幅32cm、長さ50mの直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(ロール巻き)を準備した。次いで、図3に示す3角柱を連続して平行に横たえた凹凸模様が設けられている金型を準備し、上記「8.流体包装袋の製造方法」の記載に基づき、流体包装袋になる一方のプラスチックフィルムの内面のみ、凹凸模様が設けられている流体包装袋(図1に示す袋であり、高さ30cm、幅18cm)を作った。
該流体包装袋になる一方のプラスチックフィルムの内面にのみ、凹凸模様を設ければよいので、製造コストは安くなる利点がある。凹凸模様により、袋内面が密着することはなく、また内容物をスムースに排出できた。
【0045】
実施例2(参考例)
2枚のそれぞれが厚み200μm、幅50cm、長さ50mのプラスチックフィルム(OPA/ポリウレタン接着剤/LLDPE、ロール巻き)を準備した。その周辺を溶着して、流体包装袋(図7の(A1)に示す袋であり斜線部分が凹凸模様、高さ23cm、幅13cm)とするため、該流体包装袋となる両方のプラスチックフィルム内面の少なくとも一部に凹凸模様が設け、それぞれの模様は、それぞれの内面上に設けられている凹凸模様同士を対向させた場合、凹凸模様同士は、プラスチックフィルムに対する圧力の有無にかかわらず、嵌合しないような任意形状の凹凸模様として、流体包装袋を上記「8.流体包装袋の製造方法」の記載に基づき製造した。
この流体包装袋によれば、2枚のプラスチックフィルムの間隔を大きくすることができ、内部の流体を容易に吸引して飲むことができる利点がある。また、両方のプラスチックフィルムの凹凸模様が異なるので、流体包装袋の製造時、両方のプラスチックフィルムの位置合わせを厳格に設定しなくとも、不良品が発生することはない。
凹凸模様は、図5(A1)、(A2)、及び(A3)に示す様に、3角柱が平行に横たえた凹凸模様を設けた上側プラスチックフィルムと、3角台柱を平行に横たえた凹凸模様を設けた下側プラスチックフィルムの組合わせとした。(A1、断面図)、(A2、上側プラスチックフィルム平面図)、及び(A3、下側プラスチックフィルム平面図)に示した構造となっているので、フィルム同士は嵌合しない。
【0046】
実施例3
実施例2(参考例)に記載の凹凸模様を、図5の(A1)、(A2)、(A3)から、図5(B1:断面図)、(B2:上側プラスチックフィルム平面図)、及び(B3:下側プラスチックフィルム平面図)に示すようにし、また、袋を図7(A1)から図8(A4)に示すようにした以外は、実施例2(参考例)と同様な実験を行った。
すなわち、水平面にたいして60度の傾斜で並べた3角柱を平行に横たえた凹凸模様を設けた上側プラスチックフィルムと、水平面にたいして30度の傾斜で並べた3角台柱を平行に横たえた凹凸模様を設けた下側プラスチックフィルムの組合わせである。
凹凸模様を図8の(A4)に示す様に、袋の左上コーナーにもうけており、谷の走る方向が流体流出通路の方向と概略一致しているので、口で吸引することにより、楽に内容物の流体を飲むことができた。
【0047】
比較例1
2枚のそれぞれが厚み200μm、幅50cm、長さ50mのプラスチックフィルム(OPET/アイオノマー接着剤/EVOH/アイオノマー接着剤/MCAT−PE、ロール巻き)を準備した。
該流体包装袋の両方のプラスチックフィルム内面のそれぞれに、その少なくとも一部に凹凸模様が設けられており、それぞれの模様は、それぞれの内面上に設けられている凹凸模様同士を対向させた場合、凹凸模様同士が、プラスチックフィルムに対する圧力の有無にかかわらず、嵌合するようにした。
次に、その周辺を溶着して、流体包装袋(図7の(A1)に示す袋であり、斜線部分が凹凸模様、高さ23cm、幅13cm)を上記「8.流体包装袋の製造方法」の記載に基づき製造した。上記の凹凸模様として、3角柱が平行に横たえた凹凸模様を設けた上側プラスチックフィルムと、3台柱を平行に横たえた凹凸模様を設けた下側プラスチックフィルムの組合わせを、図4の(A1、断面図)、(A2、上側プラスチックフィルム平面図)、及び(A3、下側プラスチックフィルム平面図)に示したが、3角柱で形成される山と谷の形状が同一であり、しかも両者が嵌合する位置関係に配置されているので、流体は流れる事が出来なかった。
【0048】
比較例2
比較例1において、凹凸模様を、図4の(A1)、(A2)、及び(A3)に示す模様から、図4(B1=断面図)、(B2=上側プラスチックフィルム平面図)、及び(B3=下側プラスチックフィルム平面図)に示す模様に代えた事、及び袋を図7の(A1)から図8の(A5)に代えた事以外は、比較例1と同様な実験を行った。
比較例2においては、正4角立方体を上側プラスチックフィルム上に等間隔で20個配置し、これに対応する下側プラスチックフィルムの位置に上記正4角立方体20個それぞれが嵌合することができる正4角立方体の空間を設けた下側プラスチックフィルムの組合わせとし、その状態を図4(B1=断面図)、(B2=上側プラスチックフィルム平面図)、(B3=下側プラスチックフィルム平面図)に示したが、正4角立方体で形成された凸部と正4角立方体の凹部の形状が同一であり、しかも両者が嵌合する位置関係に配置されているので、流体は流れる事は出来なかった。
【0049】
実施例4
2枚のそれぞれが厚み200μm、幅50cm、長さ50mのプラスチックフィルム(EEA/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/OPET/アイオノマー接着剤/EEA、ロール巻き)を準備し、上記「8.流体包装袋の製造方法」の記載に基づき、フィルムの周辺を溶着して、流体包装袋(図7の(A1)に示す袋であり斜線部分が凹凸模様、高さ23cm、幅13cm)を製造した。
該流体包装袋の両方のプラスチックフィルム内面のそれぞれに、その少なくとも一部に任意形状の凹凸模様が設けられており、それぞれの模様は、それぞれの内面上に設けられている凹凸模様同士を対向させた場合、凹凸模様同士は、プラスチックフィルムに対する圧力の有無にかかわらず、嵌合する任意形状の凹凸模様である場合は、それぞれの凹凸模様の設けられたプラスチックフィルム同士の位置を、平行移動により、凹凸模様同士が嵌合しないような位置に配置した。
上側フィルムと下側フィルムの凹凸模様が同一であるので、金型の製造コストがやすくなる利点がある。凹凸模様は、図6に示す様に、3角柱が平行に横たえた凹凸模様を設けた上側プラスチックフィルムと、3角台柱を平行に横たえた凹凸模様を設けた下側プラスチックフィルムの組合わせとした。図6(A1=断面図)、(A2=上側プラスチックフィルム平面図)、及び(A3=下側プラスチックフィルム平面図)に示した構造となっており、山の稜線が対向位置にあるのでフィルム同士は嵌合せず、袋に充填した流体を容易に流れ出すことができた。
【0050】
実施例5
実施例4において、凹凸模様を、図6の(A1)、(A2)、及び(A3)に示す模様から、図6の(B1=断面図)、(B2=上側プラスチックフィルム平面図)、及び(B3=下側プラスチックフィルム平面図)に示す模様に代えた事、及び袋を図7の(A1)から図8の(A5)に代えた事以外は、実施例4と同様な実験を行った。
実施例5において、正4角立方体を上側プラスチックフィルム上に等間隔で配置し、これに対応する下側プラスチックフィルムの位置に、上記正4角立方体がそれぞれ嵌合することができる正4角立方体の空間を設けた下側プラスチックフィルムを、嵌合しない位置にずらして組合わせた。
図6(B1=断面図)、(B2=上側プラスチックフィルム平面図)、(B3=下側プラスチックフィルム平面図)に示したが、正4角立方体で形成された凸部と正4角立方体の凹部の形状が同一でありながら、両者が嵌合する位置関係に配置されていないので、袋に充填した流体を容易に流れ出すことができた。
【0051】
実施例6
2枚のそれぞれが厚み150μm、幅60cm、長さ50mのプラスチックフィルム(シリカ蒸着OPA/ポリウレタン接着剤/LLDPE、ロール巻き)を準備し、流体包装袋を上記「8.流体包装袋の製造方法」の記載に基づき、その周辺を溶着して流体包装袋を製造した。
図8の(A6)に示す斜線部分18が凹凸模様(高さ28cm、幅13cm)であり、該流体流出通路の入口に連続する四角柱を多数平行に横たえた形状で袋内領域のプラスチックフィルムの内面に形成され、該流体包装袋の周辺の溶着部には流体流出通路を設けた。
流体包装袋に流体を充填すると、下辺中央部に向かって流体が流れていくので、袋内の流体を容易に注ぎだすことができた。
【0052】
実施例7
2枚のそれぞれが厚み150μm、幅50cm、長さ50mのプラスチックフィルム(LLDPE/ポリウレタン接着剤/EVOH/ポリウレタン接着剤/MCAT−PE、ロール巻き)を準備した。プラスチックフィルムの内面に三角柱を多数平行に横たえて凹凸模様が設けられている流体包装袋の周辺を溶着して、上記「8.流体包装袋の製造方法」の記載に基づき、凹凸模様が流体流出通路の入口に連続するようにした。
流体包装袋は、図7の(A1)に示す袋であり、斜線部分が凹凸模様、高さ23cm、幅13cm)において、該流体包装袋の周辺溶着部の左上コーナーに流体流出通路を設けた。
流体包装袋に流体を充填すると、周辺の溶着部の左上コーナーに向かって流体が流れていくので、袋内の流体を容易に注ぎだしたり、口で中空パイプを吸って容易に内容物を飲むことができた。
【0053】
実施例8
2枚のそれぞれが厚み200μm、幅50cm、長さ50mのプラスチックフィルム(LLDPE/アイオノマー接着剤/OPET/ポリウレタン接着剤/OPET/ポリウレタン接着剤/LLDPE、ロール巻き)を準備した。その周辺を溶着して、上記「8.流体包装袋の製造方法」の記載に基づき、流体包装袋(図9に示す袋であり斜線部分が凹凸模様、高さ23cm、幅13cm)を製造した。
凹凸模様が、プラスチックフィルム内面上に一辺が1mmの4角柱からなる柱を10本1mmの間隔で横たえて配置し、かつ該柱群の先端は該流体流出通路の入口から始まり、末端は袋の下部溶着部にて終わる流体包装袋を製造した。なお、流体流出用中空パイプ19を流体通路の出口6に設けた。
多数の柱により、フィルムの腰が強化され、袋のスタンディング性がよくなり、ディスプレイ効果が増し、流体包装袋に流体を充填すると、周辺の溶着部の左上コーナーに向かって流体が流れていくので、袋内の流体を容易に注ぎだしたり、中空パイプを吸って容易に内容物を飲むことができた、
【符号の説明】
【0054】
1 上側フィルム
2 下側フィルム
3 液体充填口
4 流体流出通路の入口
5 流体流出通路
6 流体流出通路の出口を開口する切断位置を示す線
7 流体流出通路の出口
8 袋周辺溶着部
9 谷底線
10 横たえた三角柱の稜線
11 横たえた半円柱間の谷間
12 横たえた半円柱
13 横たえた三角台柱の谷間線
14 横たえた三角台柱
15 横たえた三角台柱台の両端を示す図
16 正四角立方体
17 正四角立方体の凹部
18 凹凸模様。
19 中空パイプ
20 キャップ
21 ガゼット部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱を多数横たえた断面形状の凹凸模様が内面に形成された2枚のプラスチックフィルムを用意する工程、
引き続き、このプラスチックフィルム同士を押圧しても互いの凹凸模様が嵌合しないように配置し、凹凸模様が嵌合するときは、いずれかのプラスチックフィルムを平行移動、斜め移動又は回転移動する工程、
その後、プラスチックフィルムを固定して、その周辺を溶着する工程を含むことを特徴とする流体包装袋の製造方法。
【請求項2】
前記プラスチックフィルムの凹凸模様は、柱が水平面に対して30〜60度の範囲で傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の流体包装袋の製造方法。
【請求項3】
前記凹凸模様は、流体包装袋の周辺溶着部の少なくとも一個所に設けられた流体流出通路の入口付近に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体包装袋の製造方法。
【請求項4】
前記凹凸模様の先端は、流体流出通路の入口から始まり、その末端は、該流体包装袋の下部溶着部付近まで伸びていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流体包装袋の製造方法。
【請求項5】
前記凹凸模様は、雄形と雌形の型成形法又はエンボス成形法で形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の流体包装袋の製造方法。
【請求項6】
さらに、流体流出用中空パイプが、流体包装袋の周辺溶着部の少なくとも一個所に設けられた流体流出通路の出口に、凹凸模様と連続するように設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の流体包装袋の製造方法。
【請求項7】
流体包装袋は、その底部に袋自立構造部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の流体包装袋の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−136574(P2011−136574A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−44586(P2011−44586)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【分割の表示】特願2001−175825(P2001−175825)の分割
【原出願日】平成13年6月11日(2001.6.11)
【出願人】(393015184)カウパック株式会社 (9)
【Fターム(参考)】