説明

流体噴射装置、及び流体噴射方法

【課題】配線数を軽減させる。
【解決手段】ノズルに対応して設けられた駆動素子と、ノズルが1画素に流体を噴射する
周期ごとに繰り返される駆動信号を生成する駆動信号生成部と、ノズルから流体を噴射す
るか否かを示すデータ信号を周期ごとに出力するとともに、駆動信号に含まれる駆動パル
スを駆動素子に印加する区間を示すタイミング制御信号を出力する本体側コントローラー
と、データ信号とタイミング制御信号を伝送する配線と、周期を示す周期信号を生成する
周期信号生成部であって、クロック信号を発生するクロック発生回路と、クロック信号が
入力されるRC回路と、タイミング制御信号に応じて動作し、RC回路の出力と所定電圧
とを比較するコンパレーターと、を有し、コンパレーターの比較結果に基づいて周期信号
を生成する周期信号生成部と、データ信号に基づいて、所定の駆動パルスを駆動素子へ印
加するヘッドコントローラーと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射装置、及び流体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体噴射装置の一例として、インクを噴射するインクジェットプリンターが知られてい
る。プリンターには、複数のノズル及び各ノズルに対応した駆動素子(例えばピエゾ素子
)を有するヘッドユニットが備えられており、駆動素子を駆動させることに基づいて、対
応するノズルからインクが噴射される。なお、このようなプリンターでは、駆動素子の駆
動を制御するための信号(駆動信号、画素データなど)が装置本体側からヘッド側に伝送
されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−81013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリンターでは、複数の駆動素子の駆動を制御するために、装置本体側からヘッド側に
複数の信号を送信する必要がある。このため、装置本体側からヘッド側までの配線数が多
くなるおそれがあった。
そこで本発明は、装置本体側からヘッド側への配線数を軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための主たる発明は、(A)ノズルに対応して設けられた駆動素子
と、(B)前記ノズルが1画素に流体を噴射する周期ごとに繰り返される駆動信号であっ
て、各前記周期において複数の駆動パルスが含まれる駆動信号を生成する駆動信号生成部
と、(C)前記ノズルから流体を噴射するか否かを示すデータ信号を前記周期ごとに出力
するとともに、前記駆動信号に含まれる前記駆動パルスを前記駆動素子に印加する区間を
示すタイミング制御信号を出力する本体側コントローラーと、(D)前記本体側コントロ
ーラーから出力された前記データ信号と前記タイミング制御信号を伝送する配線と、(E
)前記周期を示す周期信号を生成する周期信号生成部であって、(E1)クロック信号を
発生するクロック発生回路と、(E2)前記クロック信号が入力されるRC回路と、(E
3)前記配線を介して受信した前記タイミング制御信号に応じて動作し、前記RC回路の
出力と所定電圧とを比較するコンパレーターと、を有し、前記コンパレーターの比較結果
に基づいて前記周期信号を生成する周期信号生成部と、(F)前記周期信号に応じて取り
込んだ前記データ信号に基づいて、前記周期に含まれる複数の駆動パルスのうちの所定の
駆動パルスを前記駆動素子へ印加するヘッドコントローラーと、を備えることを特徴とす
る流体噴射装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】プリンターの全体構成のブロック図である。
【図2】図2Aは、プリンターの斜視図である。図2Bは、プリンターの横断面図である。
【図3】ヘッドコントローラーHCの説明図である。
【図4】各信号のタイミングの説明図である。
【図5】第1実施形態の説明図である。
【図6】第1実施形態の各種信号の説明図である。
【図7】第2実施形態の各種信号の説明図である。
【図8】第3実施形態のヘッドユニットの説明図である。
【図9】第3実施形態の信号生成回路及びヘッドコントローラーに入力される信号の説明図である。
【図10】第3実施形態の制御ロジックの動作の説明図である。
【図11】第3実施形態のデコーダーの動作の説明図である。
【図12】第3実施形態でピエゾ素子へ印加される印加信号の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0008】
(A)ノズルに対応して設けられた駆動素子と、(B)前記ノズルが1画素に流体を噴
射する周期ごとに繰り返される駆動信号であって、各前記周期において複数の駆動パルス
が含まれる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、(C)前記ノズルから流体を噴射する
か否かを示すデータ信号を前記周期ごとに出力するとともに、前記駆動信号に含まれる前
記駆動パルスを前記駆動素子に印加する区間を示すタイミング制御信号を出力する本体側
コントローラーと、(D)前記本体側コントローラーから出力された前記データ信号と前
記タイミング制御信号を伝送する配線と、(E)前記周期を示す周期信号を生成する周期
信号生成部であって、(E1)クロック信号を発生するクロック発生回路と、(E2)前
記クロック信号が入力されるRC回路と、(E3)前記配線を介して受信した前記タイミ
ング制御信号に応じて動作し、前記RC回路の出力と所定電圧とを比較するコンパレータ
ーと、を有し、前記コンパレーターの比較結果に基づいて前記周期信号を生成する周期信
号生成部と、(F)前記周期信号に応じて取り込んだ前記データ信号に基づいて、前記周
期に含まれる複数の駆動パルスのうちの所定の駆動パルスを前記駆動素子へ印加するヘッ
ドコントローラーと、を備えることを特徴とする流体噴射装置が明らかとなる。
このような流体噴射装置によれば、装置本体側からヘッド側への配線数を軽減させるこ
とができる。
【0009】
かかる流体噴射装置であって、前記周期信号生成部は、前記タイミング制御信号が前記
コンパレーターの動作に有効でないときに、前記RC回路に蓄えられた電荷を放電する放
電回路をさらに有することが望ましい。
このような流体噴射装置によれば、コンパレーターによる比較を正確に行うことができ
る。
【0010】
かかる流体噴射装置であって、前記タイミング制御信号は、前記区間の境界に対応する
部分と前記周期の境界に対応する部分にタイミングパルスを有し、前記周期の境界に対応
する部分の前記タイミングパルスの長さは、前記区間の境界に対応する部分の前記タイミ
ングパルスの長さよりも長いことが望ましい。
このような流体噴射装置によれば、タイミング制御信号から周期信号を確実に生成する
ことができる。
【0011】
かかる流体噴射装置であって、前記周期の境界に対応する部分の前記タイミングパルス
は、前記周期の始まりよりも前から前記タイミング制御信号に含まれていることが望まし
い。
このような流体噴射装置によれば、周期信号のタイミングを正確に設定することができ
る。
【0012】
かかる流体噴射装置であって、前記RC回路は、抵抗とコンデンサーが直列接続された
ものであり、前記抵抗の一端に前記タイミング制御信号が印加されることが望ましい。
このような流体噴射装置によれば、タイミングパルスの長さに応じて周期信号生成部の
出力を調整することができる。
【0013】
また、ノズルが1画素に流体を噴射する周期ごとに繰り返される駆動信号であって、各
々の前記周期において複数の駆動パルスが含まれる駆動信号を生成すること、前記ノズル
から流体を噴射するか否かを示すデータ信号を前記周期ごとに出力するとともに、前記駆
動信号に含まれる前記駆動パルスを駆動素子に印加する区間を示すタイミング制御信号を
本体側コントローラーから出力すること、前記本体側コントローラーから出力された前記
データ信号と前記タイミング制御信号を伝送すること、クロック信号が入力されるRC回
路の出力と、所定電圧とを、前記タイミング制御信号に応じて動作するコンパレーターに
よって比較すること、前記コンパレーターの比較結果に基づいて前記周期を示す周期信号
を生成すること、及び、前記周期信号に応じて取り込んだ前記データ信号に基づいて、前
記周期に含まれる複数の駆動パルスのうちの所定の駆動パルスを前記駆動素子へ印加する
ことを有することを特徴とする流体噴射方法が明らかとなる。
【0014】
以下の実施形態では、インクジェットプリンター(以下、プリンター1ともいう)を例
に挙げて説明する。
【0015】
===プリンターの構成===
図1は、本実施形態のプリンター1の全体構成のブロック図である。また、図2Aは、
プリンター1の斜視図であり、図2Bは、プリンター1の横断面図である。以下、本実施
形態のプリンター1の基本的な構成について説明する。
【0016】
本実施形態のプリンター1は、搬送ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユ
ニット40、検出器群50、及びコントローラー60(本体側コントローラーに相当する
)、及び、フレキシブルケーブル71を有する。外部装置であるコンピューター110か
ら印刷データを受信したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送
ユニット20、キャリッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントロー
ラー60は、コンピューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制
御し、紙に画像を印刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されてお
り、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は
、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0017】
搬送ユニット20は、媒体(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、搬送方向という
)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラー21と、搬送
モーター22(PFモーターとも言う)と、搬送ローラー23と、プラテン24と、排紙
ローラー25とを有する。給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙をプリンター内
に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21によって給紙
された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22によって駆
動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラー25は、紙Sをプリ
ンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下流側に設け
られている。
【0018】
キャリッジユニット30は、ヘッドを所定の方向(以下、移動方向という)に移動(「
走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニット30は、キャリッジ
31と、キャリッジモーター32(CRモーターとも言う)とを有する。キャリッジ31
は、移動方向に往復移動可能であり、キャリッジモーター32によって駆動される。また
、キャリッジ31は、インクを収容するインクカートリッジを着脱可能に保持している。
【0019】
ヘッドユニット40は、紙にインクを噴射するためのものである。ヘッドユニット40
は、複数のノズルを有するヘッド41と、ヘッドコントローラーHCとを備える。このヘ
ッド41はキャリッジ31に設けられているため、キャリッジ31が移動方向に移動する
と、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインク
を断続的に噴射することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙
に形成される。
なお、ヘッドユニット40の構成については後述する。
【0020】
検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検
出センサー53、および光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダー51は、
キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ロ
ーラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の紙の先端の位置を検出
する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により、
紙の有無を検出する。そして、光学センサー54は、キャリッジ31によって移動しなが
ら紙の端部の位置を検出し、紙の幅を検出することができる。また、光学センサー54は
、状況に応じて、紙の先端(搬送方向下流側の端部であり、上端ともいう)・後端(搬送
方向上流側の端部であり、下端ともいう)も検出できる。
【0021】
コントローラー60は、プリンターの制御を行うための制御ユニットである。コントロ
ーラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制
御回路64と、駆動信号生成部65とを有する。インターフェイス部61は、外部装置で
あるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62は
、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62
のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM、EEP
ROM等の記憶素子を有する。駆動信号生成部65は、ピエゾ素子を駆動させるための共
通駆動信号COMを生成する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラム
に従って、ユニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0022】
フレキシブルケーブル71は、可撓性を有する配線であり、コントローラー60とヘッ
ドユニット40との間で各種の信号を伝送する。
【0023】
なお、本体側(コントローラー60)からフレキシブルケーブル71を介してヘッド側
(ヘッドユニット40)に送られる信号は、本実施形態では、共通駆動信号COM、タイ
ミング制御信号TMC、画素データSI、転送用クロックCLK、接地ライン(GND)
である。後述する比較例では、タイミング制御信号TMCの代わりに、ラッチ信号LAT
とチェンジ信号CHが、それぞれ別々に、フレキシブルケーブル71を介してヘッドユニ
ット40に送信される。
【0024】
<印刷手順について>
コントローラー60は、コンピューター110から印刷命令及び印刷データを受信する
と、印刷データに含まれる各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の処
理を行う。
【0025】
まず、コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき用紙Sを搬送
ローラー23の所まで送る。次に、コントローラー60は、搬送モーター22を駆動させ
ることによって搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回
転すると、用紙Sは所定の搬送量にて搬送される。
【0026】
用紙Sがヘッドユニット40の下部まで搬送されると、コントローラー60は、印刷命
令に基づいてキャリッジモーター32を回転させる。このキャリッジモーター32の回転
に応じて、キャリッジ31が移動方向に移動する。また、キャリッジ31が移動すること
によって、キャリッジ31に設けられたヘッドユニット40も同時に移動方向に移動する
。そして、コントローラー60は、ヘッドユニット40が移動方向に移動している間にヘ
ッド41から断続的にインク滴を噴射させる。このインク滴が、用紙Sに着弾することに
よって、移動方向に複数のドットが並ぶドット列が形成される。なお、移動するヘッド4
1からインクを噴射することによるドット形成動作のことをパスという。
【0027】
また、コントローラー60は、ヘッドユニット40が往復移動する合間に搬送モーター
22を駆動させる。搬送モーター22は、コントローラー60からの指令された駆動量に
応じて回転方向の駆動力を発生する。そして、搬送モーター22は、この駆動力を用いて
搬送ローラー23を回転させる。搬送ローラー23が所定の回転量にて回転すると、用紙
Sは所定の搬送量にて搬送される。つまり、用紙Sの搬送量は、搬送ローラー23の回転
量に応じて定まることになる。このように、パスと搬送動作を交互に繰り返して行い、用
紙Sの各画素にドットを形成していく。こうして用紙Sに画像が印刷される。
【0028】
そして、最後に、コントローラー60は、搬送ローラー23と同期して回転する排紙ロ
ーラー25によって印刷が終了した用紙Sを排紙する。
【0029】
===ヘッドユニットについて===
<比較例>
図3は、ヘッドコントローラーHCの説明図であり、図4は、各信号のタイミングの説
明図である。
【0030】
図3に示すヘッドコントローラーHCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレ
ジスタ81Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダー83と
、制御ロジック84と、スイッチ86を備えている。そして、制御ロジック84を除いた
各部(すなわち、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回
路82A、第2ラッチ回路82B、デコーダー83、スイッチ86)は、それぞれピエゾ
素子417毎に設けられる。なお、ピエゾ素子417は、ノズルからインクを噴射するた
めに駆動される素子(駆動素子)であり、ヘッド41においてノズル毎に設けられている

【0031】
比較例(図3)の場合、フレキシブルケーブル71中の伝送線には、共通駆動信号CO
M、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、画素データSI、転送用クロックCLK、及
び接地ラインGNDの各伝送線がある。そして、ヘッドコントローラーHCには、コント
ローラー60からフレキシブルケーブル71の各伝送線を介して、共通駆動信号COM、
ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、画素データSI、転送用クロックCLKが送信さ
れる。以下、これらの信号について説明する。
【0032】
共通駆動信号COMは、繰り返し周期Tにおける期間T11で生成される第1波形部S
S11と、期間T12で生成される第2波形部SS12と、期間T13で生成される第3
波形部SS13と、期間T14で生成される第4波形部SS14を有する。ここで、第1
波形部SS11は駆動パルスPS1を有している。また、第2波形部SS12は駆動パル
スPS2を、第3波形部SS13は駆動パルスPS3、第4波形部SS14は駆動パルス
PS4をそれぞれ有している。そして、駆動パルスPS1及び駆動パルスPS3は、後で
詳述する大ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加されるものであり、互いに同じ波形
をしている。また、駆動パルスPS3は、後で詳述する中ドットの形成時にも、ピエゾ素
子417へ印加されるものである。また、駆動パルスPS2は、後で詳述する小ドットの
形成時に、ピエゾ素子417へ印加されるものである。また、駆動パルスPS4は、ドッ
トを形成しないときに、ピエゾ素子417に印加されるものである。但し、この駆動パル
スPS4がピエゾ素子417へ印加されると、ヘッド41からはインク滴は噴射されない
が、ヘッド41のインク貯留室(不図示)や圧力室(不図示)内のインクが微振動され、
ノズルNz内のインクの目詰まりが防止される。
【0033】
この共通駆動信号COMは、ピエゾ素子417毎に設けられたスイッチ86にそれぞれ
入力されている。スイッチ86は、共通駆動信号COMをピエゾ素子417に印加するか
否かのオン/オフ制御を行う。このオン/オフ制御により、共通駆動信号COMの一部分
を、選択的にピエゾ素子417へ印加させることができ、これにより、ドットの大きさを
変更することができる。このように、各波形部は、ピエゾ素子417へ印加される一単位
である。なお、各波形部をピエゾ素子417へ印加させるための制御については、後で詳
しく説明する。
【0034】
ラッチ信号LATは、繰り返し周期T(1画素の区間をヘッド41が移動する期間)を
示す信号である。ラッチ信号LATは、リニア式エンコーダー51の信号に基づいて、コ
ントローラー60によって生成され、制御ロジック84とラッチ回路(第1ラッチ回路8
2A、第2ラッチ回路82B)に入力される。
【0035】
チェンジ信号CHは、共通駆動信号COMに含まれる駆動パルスをピエゾ素子417に
印加する区間を示す信号である。チェンジ信号CHは、リニア式エンコーダー51の信号
に基づいてコントローラー60によって生成され、制御ロジック84に入力される。
【0036】
画素データSI(データ信号に相当する)は、各画素にドットを形成するか否か(すな
わちノズルからインクを噴射するか否か)を示す信号である。この画素データは、1個の
ノズルに対して2ビットずつで構成されている。例えば、ノズル数が64個の場合、2ビ
ット×64の画素データSIが繰り返し周期T毎にコントローラー60から送られてくる
ことになる。なお、画素データSIは、第1シフトレジスタ81A及び第2シフトレジス
タ81Bに入力される。
【0037】
転送用クロックCLKは、コントローラー60から送られる画素データSIやチェンジ
信号CHを、制御ロジック84や各シフトレジスタ(第1シフトレジスタ81A、第2シ
フトレジスタ81B)にセットする際に用いられる信号である。
【0038】
次に、ヘッドコントローラーHCで生成される信号について説明する。ヘッドコントロ
ーラーHCでは、選択信号q0〜q3、スイッチ制御信号SW、印加信号が生成される。
【0039】
選択信号q0〜q3は、ラッチ信号LATとチェンジ信号CHに基づいて、制御ロジッ
ク64で生成される。そして生成された選択信号q0〜q3は、ピエゾ素子417毎に設
けられたデコーダー83にそれぞれ入力される。
【0040】
スイッチ制御信号SWは、各ラッチ回路(第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82
B)にラッチされた画素データ(2ビット)に基づいて、選択信号q0〜q3の何れかが
デコーダー83によって選択されたものである。各デコーダー83で生成されたスイッチ
制御信号SWは、対応するスイッチ86にそれぞれ入力される。
【0041】
印加信号は、共通駆動信号COMとスイッチ制御信号に基づいてスイッチ86から出力
される。この印加信号は、各スイッチ86と対応するピエゾ素子417にそれぞれ印加さ
れる。
【0042】
(ヘッドコントローラーHCの動作)
ヘッドコントローラーHCは、コントローラー60からの画素データSIに基づき、イ
ンクを噴射させるための制御を行う。すなわち、ヘッドコントローラーHCは、印刷デー
タに基づいてスイッチ86のオン/オフを制御し、共通駆動信号COMの必要な波形部を
選択的にピエゾ素子417へ印加させている。言い換えると、ヘッドコントローラーHC
は、各ピエゾ素子417の駆動を制御している。本実施形態では、画素データSIが2ビ
ットで構成されている。そして、転送用クロックCLKに同期して、この画素データSI
がヘッド41へ送られてくる。さらに、画素データSIの上位ビット群が各第1シフトレ
ジスタ81Aにセットされ、下位ビット群が各第2シフトレジスタ81Bにセットされる
。第1シフトレジスタ81Aには第1ラッチ回路82Aが電気的に接続され、第2シフト
レジスタ81Bには第2ラッチ回路82Bが電気的に接続されている。そして、コントロ
ーラー60からのラッチ信号LATがハイレベル(以下、Hレベル)になると、各第1ラ
ッチ回路82Aは対応する画素データSIの上位ビットをラッチし、各第2ラッチ回路8
2Bは画素データSIの下位ビットをラッチする。第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ
回路82Bでラッチされた画素データSI(上位ビットと下位ビットの組)はそれぞれ、
デコーダー83に入力される。デコーダー83は、第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ
回路82Bにラッチされた画素データSIに応じて、制御ロジック84から出力される選
択信号q0〜q3のうちの一つの選択信号(例えば選択信号q1)を選択し、選択された
選択信号をスイッチ制御信号SWとして出力する。各スイッチ86は、スイッチ制御信号
に応じてオン/オフされて、共通駆動信号COMに含まれる波形部を選択的にピエゾ素子
417へ印加する。
【0043】
(画素データとドットの関係)
まず、ドットの非形成の場合(画素データSIがデータ[00]の場合)について説明
する。画素データ[00]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q0が出力される。これにより、期間T14においてスイッチ86がオン状態になり、
期間T11〜期間T13においてスイッチ86がオフ状態になる。この結果、この結果、
共通駆動信号COMの第4波形部SS14が有する駆動パルスPS4がピエゾ素子417
へ印加される。この場合、ノズルNzからはインク滴は噴射されないが、ピエゾ素子41
7の駆動によってインクが微振動し、ノズル内のインクが攪拌される。
【0044】
次に、小ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[01]の場合)について説明
する。画素データ[01]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q1が出力される。これにより、期間T12においてスイッチ86がオン状態になり、
期間T11、期間T13及び期間T14においてスイッチ86がオフ状態になる。この結
果、共通駆動信号COMの第2波形部SS12が有する駆動パルスPS2がピエゾ素子4
17へ印加され、ノズルからは小ドットに対応する量のインク滴(小インク滴)が噴射さ
れる。
【0045】
次に、中ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[10]の場合)について説明
する。画素データ[10]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q2が出力される。これにより、期間T13においてスイッチ86がオン状態になり、
期間T11、期間T12、及び期間T14においてスイッチ86がオフ状態になる。この
結果、共通駆動信号COMの第3波形部SS13が有する駆動パルスPS3がピエゾ素子
417へ印加され、ノズルからは中ドットに対応する量のインク滴(中インク滴)が噴射
される
次に、大ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[11]の場合)について説明
する。画素データ[11]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q3が出力される。これにより、期間T11及び期間T13においてスイッチ86がオ
ン状態になり、期間T12期間T14においてスイッチ86がオフ状態となる。この結果
、共通駆動信号COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1と共通駆動信号C
OMの第3波形部SS13が有する駆動パルスPS3がピエゾ素子417へ印加され、ノ
ズルからは大ドットに対応する量のインク滴(大インク滴)が噴射される。
【0046】
このように、ヘッドコントローラーHCは、ラッチ信号LATに応じて取り込んだ画像
データSIに基づいて、共通駆動信号COMの、繰り返し周期Tに含まれる所定の駆動パ
ルスをピエゾ素子417に印加する。
【0047】
<第1実施形態>
比較例では、ラッチ信号LATを伝送するための伝送線と、チェンジ信号CHを伝送す
るための伝送線を、それぞれ別々にフレキシブルケーブル71に用意する必要がある。こ
れに対し、本実施形態では、ラッチ信号LATとチェンジ信号CHを伝送する代わりにタ
イミング制御信号TMCを伝送し、このタイミング制御信号TMCを受信したヘッドユニ
ット側でラッチ信号LATを生成する。また、タイミング制御信号はチェンジ信号CHと
同様に使用される。これにより、ケーブル71の信号線(伝送線)の数を減らすことがで
きる。
【0048】
図5は、第1実施形態の説明図である。また、図6は第1実施形態の各種信号の説明図
である。
【0049】
本実施形態では、コントローラー60からヘッドユニット40に転送用クロックCLK
、画素データSI、タイミング制御信号TMC、共通駆動信号COM、接地ラインGND
の各信号が伝送される。
【0050】
図6に示すようにタイミング制御信号TMCの変化のタイミングは、比較例のラッチ信
号LAT及びチェンジ信号CHのパルスのタイミングと等しい。ただし、タイミング制御
信号TMCは、繰り返し周期Tの開始(ラッチ信号LATの立ち上がり)よりも前に立ち
上がっている(Hレベルになっている)。また、チェンジ信号CHのタイミングに相当す
るパルスよりもラッチ信号LATのタイミングに相当するパルスの方がHレベルの期間が
長くなっている。なお、このタイミング制御信号TMCは、後述するコンパレーター45
のゲート信号となっている。
【0051】
フレキシブルケーブル71は、前述したように、コントローラー60とヘッドユニット
40との間に設けられた可撓性を有する配線である。本実施形態のフレキシブルケーブル
71は、転送用クロックCLK、画素データSI、タミング制御信号TMC、共通駆動信
号COM、接地ラインGNDの各信号を伝送する伝送線を有している。比較例(図3)と
比べると、比較例ではフレキシブルケーブル71の信号線の数が6本であったのに対し、
本実施形態では信号線の数が5本である。つまり、比較例よりも本実施形態の方が、信号
線の数が1つ少ない。
【0052】
次に本実施形態のヘッドユニット40の構成について説明する。
本実施形態のヘッドユニット40は、図5に示すようにヘッドコントローラーHCと、
信号生成部42を備えている。
【0053】
信号生成部42(周期信号生成部に相当する)は、タイミング制御信号TMCに基づい
てラッチ信号LATを生成する。そして、生成したラッチ信号LATをヘッドコントロー
ラーHCに出力する。図に示すように、信号生成部42は、発振回路43(クロック信号
発生回路に相当する)と、RC回路44と、コンパレーター45と、放電回路46とを備
えている。
発振回路43は、内部クロック信号CK(クロック信号に相当する)を発生する。
RC回路44は、直列接続された抵抗RとコンデンサーCとを有している。抵抗Rの一
端には内部クロック信号CKが印加され、他端はコンデンサーCの一方の電極に接続され
ている。また、コンデンサーCの他方の電極は接地されている。そして、抵抗Rとコンデ
ンサーCとの接続点の電圧がRC回路44の出力となっている。
【0054】
コンパレーター45の+端子(非反転入力端子)にはRC回路44の出力電圧が印加さ
れ、コンパレーター45の−端子(反転入力端子)には基準電圧Vrefが印加されてい
る。また、コンパレーター45は、タイミング制御信号TMCがHレベルのときに+端子
と−端子の比較の動作を行う。
【0055】
具体的には、コンパレーター45は、タイミング制御信号TMCがHレベルのときに動
作して+端子と−端子の電圧を比較し、+端子の電圧が−端子の電圧よりも高ければHレ
ベルを出力する。逆に、+端子の電圧が−端子の電圧よりも低ければ、コンパレーター4
5はローレベル(以下、Lレベル)を出力する。
【0056】
放電回路46は、コンデンサーCの非接地側の電極(コンパレーター45の+端子)と
接続されており、タイミング制御信号TMCがLレベルのときに動作して、コンデンサー
Cに蓄えられた電気を放電させる。
【0057】
コンパレーター45の出力は、ラッチ信号LATとしてヘッドコントローラーHCの制
御ロジック84に入力される。
【0058】
次に、信号生成部42の動作について説明する。図6に示すように、まず、繰り返し周
期Tよりも前に、タイミング制御信号TMCが立ち上がる(Hレベルになる)。これによ
り、放電回路46の動作が停止するとともにコンパレーター45が動作し、+端子の電圧
(RC回路44の出力電圧)と−端子の電圧(基準電圧)との比較を行う。
【0059】
図のように、RC回路44の出力は、タイミング制御信号TMCがHレベルになるのと
同時に上昇し始め、繰り返し周期Tの開始の際に、RC回路44の出力が基準電圧Vre
fよりも大きくなる。コンパレーター45は、RC回路44の出力が基準電圧Vrefよ
りも大きくなることによりHレベルを出力する。その後、タイミング制御信号TMCがL
レベルになると、コンパレーター45の動作が停止するとともに、放電回路46が動作し
てコンデンサーCに蓄えられた電荷を放電させる。これにより、次にタイミング制御信号
TMCがHレベルになったときにコンパレーター45の比較を正確に行うことができる。
【0060】
なお、本実施形態のタイミング制御信号TMCには、比較例のチェンジ信号CHのタイ
ミングと同じタイミング(すなわち、期間T11と期間T12の間、期間T12と期間T
13の間、及び期間T13と期間T14の間)にもHレベルになるが、ここでのHレベル
の長さは、繰り返し周期Tの開始時のHレベルの長さよりも短く、RC回路44の出力が
基準電圧Vrefよりも大きくならないようになっている。つまり、このタイミングでは
、コンパレーター45の出力はHレベルにならなない。よって、コンパレーター45の出
力(すなわち信号生成部42の出力)は、比較例のラッチ信号LATと同じになる。
【0061】
なお、本実施形態の制御ロジック84には、信号生成部42によって生成されたラッチ
信号LATとタイミング制御信号TMCが入力される。前述したように、タイミング制御
信号TMCには比較例のチェンジ信号CHと同じタイミングにパルスが含まれているので
、制御ロジック84においてタイミング制御信号TMCは比較例のチェンジ信号CHと同
様に用いられる。例えば、ラッチ信号LATのパルスの後、タイミング制御信号TMCの
パルスが入力されると、1回目のCH信号のパルスとして用いられる。
ヘッドコントローラーHCの構成及び動作は、比較例と同じである。よって、説明を省
略する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のプリンター1は、ノズルに対応して設けられたピエ
ゾ素子417と、各繰り返し周期Tにおいて複数の駆動パルスが含まれる共通駆動信号C
OMを生成する駆動信号生成部65と、ノズルからインクを噴射するか否かを示す画素デ
ータSIを、繰り返し周期Tごとに出力するとともに、共通駆動信号COMに含まれる駆
動パルスをピエゾ素子417に印加する区間を示すタイミング制御信号TMCを出力する
装置本体側のコントローラー60を有している。また、コントローラー60から出力され
た画素データSIとタイミング制御信号TMCをヘッドユニット側に伝送するフレキシブ
ルケーブル71と、フレキシブルケーブル71を介して受信したタイミング制御信号TM
Cを用いて繰り返し周期Tを示すラッチ信号LATを生成する信号生成部42と、ラッチ
信号LATに応じて取り込んだ画素データSIに基づいて、繰り返し周期Tに共通駆動信
号COMに含まれる複数の駆動パルスのうちの所定の駆動パルスをピエゾ素子417へ印
加するヘッドコントローラーHCを有している。
【0063】
また、信号生成部42は、内部クロック信号CKを発生する発振回路43と、内部クロ
ック信号CKが入力されるRC回路44と、タイミング制御信号TMCに応じて動作して
、RC回路44の出力と、基準電圧Vrefとの比較を行うコンパレーター45を有して
おり、コンパレーター45の比較結果に基づいてラッチ信号LATを生成している。
【0064】
比較例では、繰り返し周期Tに共通駆動信号COMに含まれる複数の駆動パルスを選択
的にピエゾ素子417に印加するために、装置本体側(コントローラー60)からヘッド
側(ヘッドユニット40)にラッチ信号LAT以外にチェンジ信号CHを伝送する必要が
あったが、本実施形態では、タイミング制御信号TMCを伝送するだけでよく、ヘッドユ
ニット40の信号生成部42で、タイミング制御信号TMCに基づいてラッチ信号LAT
が生成される。また、タイミング制御信号TMCはチェンジ信号CHと同様に用いること
ができる。これにより、比較例の場合と比べて、フレキシブルケーブル71の線数を軽減
することができる。
【0065】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態の各種信号の説明図である。なお、第2実施形態のヘッドユニッ
ト側の構成については第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
第2実施形態では、装置本体側からヘッドユニット40に送信される共通駆動信号CO
Mの中の駆動パルスは図7に示すように3個である。
【0066】
第2実施形態の共通駆動信号COMは、繰り返し周期Tにおける期間T11で生成され
る第1波形部SS11と、期間T12で生成される第2波形部SS12と、期間T13で
生成される第3波形部SS13とを有する。第1波形部SS11は駆動パルスPS1を有
している。また、第2波形部SS12は駆動パルスPS2を、第3波形部SS13は駆動
パルスPS3をそれぞれ有している。そして、駆動パルスPS1、駆動パルスPS2及び
駆動パルスPS3は、大ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加されるものであり、互
いに同じ波形をしている。また、駆動パルスPS1と駆動パルスPS2は、中ドットの形
成時にも、ピエゾ素子417へ印加されるものである。また、駆動パルスPS1は、小ド
ットの形成時にも、ピエゾ素子417へ印加されるものである。なお、駆動パルスがピエ
ゾ素子417に印加されない場合は、インクが噴射されない(ドットが形成されない)。
【0067】
第2実施形態のコントローラー60は、第1実施形態と同様に共通駆動信号COMに対
するタイミング制御信号TMCを生成する。つまり、繰り返し周期Tの切り替わり時の所
定期間と、各期間(期間T11、期間T12、期間T13)の切り替わり時にHレベルに
なるタイミング制御信号TMCを生成する。このタイミング制御信号TMCは、フレキシ
ブルケーブル71を介してヘッドコントローラーHCの信号生成部42に送信される。
【0068】
信号生成部42は、発振回路43、RC回路44とコンパレーター45によって、図7
のような、ラッチ信号LATを生成する。なお、ラッチ信号LATの生成の処理について
は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0069】
第2実施形態の制御ロジック84は、ラッチ信号LAT、タイミング制御信号TMCに
基づいて図7に示すような選択信号q0〜q3を生成する。そして生成された選択信号q
0〜q3は、ピエゾ素子417毎に設けられたデコーダー83にそれぞれ入力される。
【0070】
次に第2実施形態の画素データとドットの関係について説明する。
まず、ドットの非形成の場合(画素データSIがデータ[00]の場合)について説明
する。画素データ[00]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q0が出力される。これにより、期間Tにおいてスイッチ86がオフ状態になる。この
結果、共通駆動信号COMの駆動パルスはピエゾ素子417へ印加されない。この場合、
ノズルからはインク滴は噴射されない。
【0071】
次に、小ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[01]の場合)について説明
する。画素データ[01]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q1が出力される。これにより、期間T11においてスイッチ86がオン状態になり、
期間T12及び期間T13においてスイッチ86がオフ状態になる。この結果、共通駆動
信号COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1がピエゾ素子417へ印加さ
れ、ノズルからは小ドットに対応する量のインク滴が噴射される。
【0072】
次に、中ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[10]の場合)について説明
する。画素データ[10]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q2が出力される。これにより、期間T11及び期間T12においてスイッチ86がオ
ン状態になり、期間T13ではスイッチ86がオフ状態になる。この結果、共通駆動信号
COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1と、共通駆動信号COMの第2波
形部SS12が有する駆動パルスPS2がピエゾ素子417へ印加され、ノズルからは中
ドットに対応する量のインク滴(中インク滴)が噴射される
次に、大ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[11]の場合)について説明
する。画素データ[11]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q3が出力される。これにより、期間T11、期間T12及び期間T13においてスイ
ッチ86はオン状態になる。この結果、共通駆動信号COMの第1波形部SS11が有す
る駆動パルスPS1と、共通駆動信号COMの第2波形部SS12が有する駆動パルスP
S2と、共通駆動信号COMの第3波形部SS13が有する駆動パルスPS3とがピエゾ
素子417へ順に印加され、ノズルからは大ドットに対応する量のインク滴(大インク滴
)が噴射される。
【0073】
このように、第2実施形態では、駆動信号COMの駆動パルスの数が第1実施形態と異
なっているが、第1実施形態と同様にタイミング制御信号TMCに基づいてラッチ信号L
ATを生成している。このように、信号生成部42を用いることにより、駆動信号COM
の駆動パルスの数にかかわらずに、容易にラッチ信号LATを生成することができる。
【0074】
<第3実施形態>
前述の実施形態では、駆動信号COMが一つであったが、第3実施形態では、駆動信号
COMが2つである。
図8は、第3実施形態のヘッドユニットの説明図である。図9は、第3実施形態の信号
生成回路及びヘッドコントローラーに入力される信号の説明図である。
【0075】
なお、第3実施形態では、コントローラー60は2種類の駆動信号(第1駆動信号CO
M1、第2駆動信号COM2)を生成する駆動信号生成部65´を有している。そして、
コントローラー60の駆動信号生成部65´によって生成された第1駆動信号COM1、
第2駆動信号COM2が、フレキシブルケーブル71の2本の伝送線を介してヘッドユニ
ット40に伝送される。
第3実施形態のヘッドユニット40は、信号生成部42´とヘッドコントローラーHC
´を有している。
【0076】
(信号生成部42´について)
信号生成部42´は、タイミング制御信号TMC´に基づいてラッチ信号LATと、第
1チェンジ信号CH1又は第2チェンジ信号CH2を生成する。そして、生成したラッチ
信号LAT、第1チェンジ信号CH1、第2チェンジ信号CH2をヘッドコントローラー
HC´に出力する。
本実施形態の信号生成部42´は、信号生成部42と、判定部47とを有する。
【0077】
信号生成部42は、タイミング制御信号TMC´に基づいて、ラッチ信号LATを生成
する。なお、信号生成部42の構成は前述の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0078】
判定部47には、信号生成部42の出力(ラッチ信号LAT)とタイミング制御信号T
MC´が入力される。判定部47は、例えば不図示のカウンタを有しており、タイミング
制御信号TMC´のパルスのタイミングに基づいて、第1チェンジ信号CH1のパルス又
は第2チェンジ信号のパルスを発生する。例えば、図12に示すように、ラッチ信号LA
Tのパルスの後、最初(1回目)のタイミング制御信号TMC´のパルス(単独パルス)
を受信すると、判定部47は、第1チェンジ信号CH1の1回目のパルスを発生する。ま
た、その次(2回目)のタイミング制御信号TMC´のパルスを受信すると、判定部47
は、第2チェンジ信号CH2のパルスを発生する。また、その次(3回目)のタイミング
制御信号TMC´のパルスを受信すると、判定部47は、第1チェンジ信号CH1の2回
目のパルスを発生する。そして、ラッチ信号LATが入力されるとカウンタがリセットさ
れる。以後、ラッチ信号LATとタイミング制御信号TMC´に基づいて同様の動作を行
う。
【0079】
(ヘッドコントローラーHC´について)
ヘッドコントローラーHC´は、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ8
1Bと、第1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダー83´と、制御
ロジック84´と、第1スイッチ861と、第2スイッチ862を備えている。そして、
制御ロジック84´を除いた各部(すなわち、第1シフトレジスタ81A、第2シフトレ
ジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82B、デコーダー83´、第1
スイッチ861、及び第2スイッチ862)は、それぞれピエゾ素子417毎に設けられ
る。
【0080】
ヘッドコントローラーHC´は、コントローラー60からの画素データSIに基づき、
インクを噴射させるための制御を行う。すなわち、ヘッドコントローラーHC´は、印刷
データに基づいて第1スイッチ861と第2スイッチ862を制御し、第1駆動信号CO
M1と第2駆動信号COM2の必要な波形部を選択的にピエゾ素子417へ印加させてい
る。ここでは、画素データSIが2ビットで構成されている。そして、転送用クロックC
LKに同期して、この画素データSIがヘッドコントローラーHC´へ送られてくる。さ
らに、画素データSIの上位ビット群が各第1シフトレジスタ81Aにセットされ、下位
ビット群が各第2シフトレジスタ81Bにセットされる。第1シフトレジスタ81Aには
第1ラッチ回路82Aが電気的に接続され、第2シフトレジスタ81Bには第2ラッチ回
路82Bが電気的に接続されている。そして、信号生成部42´からのラッチ信号LAT
がHレベルになると、各第1ラッチ回路82Aは対応する画素データSIの上位ビットを
ラッチし、各第2ラッチ回路82Bは画素データSIの下位ビットをラッチする。第1ラ
ッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bでラッチされた画素データSI(上位ビットと
下位ビットの組)はそれぞれ、デコーダー83´に入力される。デコーダー83´は、第
1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bにラッチされた画素データSIに応じて、
制御ロジック84´から出力される第1選択信号q0〜q3と第2選択信号q4〜q7の
うちの一組の選択信号(例えば第1選択信号q0及び第2選択信号q4)を選択し、選択
された一組の選択信号を第1スイッチ制御信号SW1及び第2スイッチ制御信号SW2と
して出力する。第1スイッチ861には第1駆動信号COM1が入力されており、第2ス
イッチ862には第2駆動信号COM2が入力されている。各スイッチは、スイッチ制御
信号に応じてオン/オフされて、各駆動信号COMに含まれる波形部を選択的にピエゾ素
子417へ印加する。
【0081】
図8に示すようにヘッドコントローラーHC´には、2種類の駆動信号COM(第1駆
動信号COM1、第2駆動信号COM2)及び、ラッチ信号LAT、第1チェンジ信号C
H1、第2チェンジ信号CH2が入力される。
ラッチ信号LATとは、繰り返し周期T(1画素にドットを形成する期間)を示す信号
である。なお、本実施形態では、信号生成部42のRC回路44の出力が基準電圧Vre
fを超えることによって、ラッチ信号LATのパルスが発生する。
【0082】
第1チェンジ信号CH1は、繰り返し周期Tにおいて、第1駆動信号COM1に含まれ
る駆動パルスをピエゾ素子へ印加する区間を示す信号である。なお、本実施形態では、ラ
ッチ信号LATのパルスが発生した後に、タイミング制御信号TMC´のパルスが信号生
成部42に入力されることによって、第1チェンジ信号CH1の1回目のパルスが発生す
る。また、ラッチ信号LATのパルスが発生した後に、タイミング制御信号TMC´の3
回目のパルスが信号生成部42に入力されることによって、第1チェンジ信号CH1の2
回目のパルスが発生する。
【0083】
第2チェンジ信号CH2は、繰り返し周期Tにおいて、第2駆動信号COM2に含まれ
る駆動パルスをピエゾ素子へ印加する区間を示す信号である。なお、本実施形態では、ラ
ッチ信号LATのパルスが発生した後に、タイミング制御信号TMC´の2回目のパルス
が信号生成部42に入力されることによって、第2チェンジ信号CH2のパルスが発生す
る。
【0084】
第1駆動信号COM1は、繰り返し周期Tにおける期間T11で生成される第1波形部
SS11と、期間T12で生成される第2波形部SS12と、期間T13で生成される第
3波形部SS13とを有する。ここで、第1波形部SS11は駆動パルスPS1を有して
いる。また、第2波形部SS12は駆動パルスPS2を、第3波形部SS13は駆動パル
スPS3をそれぞれ有している。そして、駆動パルスPS1、駆動パルスPS2及び駆動
パルスPS3は、大ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加されるものであり、互いに
同じ波形をしている。なお、駆動パルスPS2は、中ドットの形成時においても、ピエゾ
素子417へ印加されるものである。
【0085】
第2駆動信号COM2は、期間T21で生成される第1波形部SS21と、期間T22
で生成される第2波形部SS22とを有する。この第2駆動信号COM2では、第1波形
部SS21は駆動パルスPS4を、第2波形部SS22は駆動パルスPS5をそれぞれ有
している。ここで、駆動パルスPS4は、小ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加さ
れる。また、駆動パルスPS5は、ドットを形成しない時にピエゾ素子417へ印加され
るものである。但し、この駆動パルスPS5がピエゾ素子417へ印加されると、ヘッド
41からはインク滴は噴射されないが、ヘッド41のインク貯留室(不図示)や圧力室(
不図示)内のインクが微振動され、ノズルNz内のインクの目詰まりが防止される。
【0086】
図9に示すようなラッチ信号LAT、第1チェンジ信号CH1及び第2チェンジ信号C
H2が制御ロジック84に入力されると、制御ロジック84は図10に示すように第1選
択信号q0〜q3及び第2選択信号q4〜q7を出力する。図10は、第3実施形態の制
御ロジック84´の動作の説明図である。
【0087】
例えば、第1選択信号q2に着目すると、最初のラッチ信号LATのパルスが入力され
てから、第1チェンジ信号CH1のパルスが入力されるまでの間の期間T11の間、Lレ
ベルの信号が出力される。そして、最初の第1チェンジ信号CH1のパルスが入力されて
から、2回目の第1チェンジ信号CH1のパルスが入力されるまでの間の期間T12の間
、Hレベルの信号が出力される。そして、2回目の第1チェンジ信号CH1のパルスが入
力されてから、次のラッチ信号LATのパルスが入力されるまでの間の期間13の間、L
レベルの信号が出力される。この結果、選択信号q2は、期間Tの中で0(Lレベル)→
1(Hレベル)→0(Lレベル)と変化する信号になる。
【0088】
また、第2選択信号q4に着目すると、最初のラッチ信号LATのパルスが入力されて
から、第2チェンジ信号CH2のパルスが入力されるまでの間の期間T21の間、Lレベ
ルの信号が出力される。そして、第2チェンジ信号CH2のパルスが入力されてから、次
のラッチ信号LATのパルスが入力されるまでの間の期間T22の間、Hレベルの信号が
出力される。この結果、選択信号q4は、期間Tの中で0(Lレベル)→1(Hレベル)
と変化する信号になる。
【0089】
図11は、第3実施形態のデコーダー83´の動作の説明図である。
デコーダー83´は、第1選択信号q0〜q3及び第2選択信号q4〜q7の中から、
ラッチされた画素データSIに対応する組み合わせを選択し、スイッチ制御信号SWとし
て出力する。
例えば、ラッチされた2ビットデータ(画素データSI)が[00]の場合、デコーダ
ー83´は、第1スイッチ制御信号SW1として第1選択信号q0を出力し、第2スイッ
チ制御信号SW2として第2選択信号q4を出力する。
【0090】
図12は、第3実施形態でピエゾ素子417へ印加される印加信号の説明図である。
まず、大ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[11]の場合)について説明
する。画素データ[11]がラッチされている場合、図11より、第1スイッチ制御信号
SW1として第1選択信号q3が出力され、第2スイッチ制御信号SW2として第2選択
信号q7が出力される。これにより、期間T11、期間T12及び期間T13において第
1スイッチ861はオン状態になり、期間Tにおいて第2スイッチ862はオフ状態にな
る。この結果、第1駆動信号COM1の第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1と
、第1駆動信号COM1の第2波形部SS12が有する駆動パルスPS2と、第1駆動信
号COM1の第3波形部SS13が有する駆動パルスPS3とがピエゾ素子417へ順に
印加され、ノズルNzからは大ドットに対応する量のインク滴(大インク滴)が噴射され
る。
【0091】
次に、中ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[10]の場合)について説明
する。画素データ[10]がラッチされている場合、図11より、第1スイッチ制御信号
SW1として第1選択信号q2が出力され、第2スイッチ制御信号SW2として第2選択
信号q6が出力される。これにより、期間T12において第1スイッチ861がオン状態
になり、他の期間では第1スイッチ861がオフ状態になる。また、期間Tにおいて第2
スイッチ862はオフ状態になる。この結果、第1駆動信号COM1の第2波形部SS1
2が有する駆動パルスPS2がピエゾ素子417へ印加され、ノズルNzからは中ドット
に対応する量のインク滴(中インク滴)が噴射される。
【0092】
次に、小ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[01]の場合)について説明
する。画素データ[01]がラッチされている場合、図11より、第1スイッチ制御信号
SW1として第1選択信号q1が出力され、第2スイッチ制御信号SW2として第2選択
信号q5が出力される。これにより、期間Tにおいて第1スイッチ861がオフ状態にな
る。また、期間T21において第2スイッチ862がオン状態になり、期間T22におい
て第2スイッチ862はオフ状態になる。この結果、第2駆動信号COM2の第1波形部
SS21が有する駆動パルスPS4がピエゾ素子417へ印加され、ノズルNzからは小
ドットに対応する量のインク滴(中インク滴)が噴射される。
【0093】
次に、ドットの非形成の場合(画素データSIがデータ[00]の場合)について説明
する。画素データ[00]がラッチされている場合、図11より、第1スイッチ制御信号
SW1として第1選択信号q0が出力され、第2スイッチ制御信号SW2として第2選択
信号q4が出力される。これにより、期間Tにおいて第1スイッチ861がオフ状態にな
る。また、期間T21において第2スイッチ862がオフ状態になり、期間T22におい
て第2スイッチ862がオン状態になる。この結果、第2駆動信号COM2の第2波形部
SS22が有する駆動パルスPS5がピエゾ素子417へ印加される。この場合、ノズル
Nzからはインク滴は噴射されないが、ピエゾ素子417の駆動によってインクが微振動
し、ノズル内のインクが攪拌される。
【0094】
このように、ドットの非形成の場合、制御ロジック84から出力される選択信号q0〜
q7のうち、第1選択信号q0及び第2選択信号q4の組がスイッチ制御信号として選択
される。同様に、小ドットの形成の場合は第1選択信号q1及び第2選択信号q5の組が
、中ドットの形成の場合は第1選択信号q2及び第2選択信号q6の組が、大ドットの形
成の場合は第1選択信号q3及び第2選択信号q7の組が、スイッチ制御信号として選択
される。
【0095】
なお、ドットの形成の際に、期間Tにおいて、第1スイッチ861及び第2スイッチ8
62のうちの一方のスイッチがオフ状態になるので、各ピエゾ素子417には、第1駆動
信号COM1及び第2駆動信号COM2のうちの一方の駆動信号しか選択されない。この
ため、ドット形成の際に、第1駆動信号COM1に含まれる波形部と、第2駆動信号CO
M2に含まれる波形部とが、期間Tにおいて同じピエゾ素子417に印加されることはな
い。また、第1スイッチ861及び第2スイッチ862が同時にオン状態になることはな
い。
【0096】
このように、第3実施形態では、装置本体側からヘッドユニット側にタイミング制御信
号TMC´を送信し、ヘッドユニット側の信号生成部42´で、タイミング制御信号TM
C´に基づいてラッチ信号LAT、第1チェンジ信号CH1、第2チェンジ信号CH2を
生成している。よって、ラッチ信号LAT、第1チェンジ信号CH1、第2チェンジ信号
CH2を、それぞれ別々に送信する場合と比較して、フレキシブルケーブル71の中の伝
送線を2本軽減することができる。
【0097】
===その他の実施形態===
一実施形態としてのプリンター等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容
易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、
その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含ま
れることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれる
ものである。
【0098】
<液体噴射装置について>
前述の実施形態では、液体噴射装置の一例としてインクジェットプリンターが説明され
ている。但し、液体噴射装置はインクジェットプリンターに限られるものではなく、イン
ク以外の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような
液状体も含む)や液体以外の流体(流体として噴射できる固体、例えば粉体)を噴射する
流体噴射装置にも適用可能である。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面
発光ディスプレイの製造などに用いられる液状の色剤や電極材などを噴射する噴射装置や
、バイオチップ製造に用いられる液状の生体有機物を噴射する噴射装置に、前述の実施形
態を適用しても良い。
【0099】
<インクについて>
前述の実施形態は、プリンターの実施形態だったので、インクをノズルから噴射してい
るが、このインクは水性でも良いし、油性でも良い。また、ノズルから噴射する流体は、
インクに限られるものではない。例えば、金属材料、有機材料(特に高分子材料)、磁性
材料、導電性材料、配線材料、成膜材料、電子インク、加工液、遺伝子溶液などを含む液
体(水も含む)をノズルから噴射しても良い。
【0100】
<ピエゾ素子について>
前述の実施形態では、ピエゾ素子を用いてインクを噴射していた。しかし、液体を噴射
する方式は、これに限られるものではない。例えば、熱によりノズル内に泡を発生させる
方式など、他の方式を用いてもよい。
【0101】
<印刷方式について>
前述の実施形態では、媒体を搬送方向に搬送する搬送動作と、ヘッドを移動方向に移動
させながらノズルからインクを噴射することによって媒体にドットを形成するドット形成
動作を繰り返し行なうプリンター(いわゆるシリアルプリンター)であったが、シリアル
プリンターに限られない。例えば、媒体幅方向に媒体幅以上の長さのノズル列を備え、媒
体を搬送方向に搬送させながらノズル列の各ノズルからインクを噴射させることで媒体に
画像を印刷するラインプリンターでも良い。
【0102】
<フレキシブルケーブルについて>
前述の実施形態では、フレキシブルケーブルを介してデータの送受信を行なっていたが
、フレキシブルケーブルに限られず、基板上の配線でも良い。この場合にも配線数を軽減
することができる。
【0103】
<コンデンサーCの充放電について>
前述の実施形態では、放電回路46を用いることによってタイミング制御信号TMCが
LレベルのときにコンデンサーCを放電させていたが、これには限られない。例えば、発
振回路43と抵抗Rとの間にタイミング制御信号TMCがHレベルのときだけオンするよ
うなスイッチを設けてもよい。こうすることにより、タイミング制御信号TMCがHレベ
ルのときだけコンデンサーCに充電が行われることになる。
【符号の説明】
【0104】
1 プリンター、20 搬送ユニット、21 給紙ローラー、
22 搬送モーター(PFモーター)、23 搬送ローラー、
24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモーター(CRモーター)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 信号生成部、
43 発振回路、44 RC回路、45 コンパレーター、
46 放電回路、47 判定部、50 検出器群、
51 リニア式エンコーダー、52 ロータリー式エンコーダー、
53 紙検出センサー、54 光学センサー、
60 コントローラー、61 インターフェイス部、
62 CPU、63 メモリー、64 ユニット制御回路、
65 駆動信号生成部、71 フレキシブルケーブル、
81A 第1シフトレジスタ、81B 第2シフトレジスタ、
82A 第1ラッチ回路、82B 第2ラッチ回路、
83 デコーダー、84 制御ロジック、86 スイッチ、
110 コンピューター、417 ピエゾ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ノズルに対応して設けられた駆動素子と、
(B)前記ノズルが1画素に流体を噴射する周期ごとに繰り返される駆動信号であって、
各前記周期において複数の駆動パルスが含まれる駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
(C)前記ノズルから流体を噴射するか否かを示すデータ信号を前記周期ごとに出力する
とともに、前記駆動信号に含まれる前記駆動パルスを前記駆動素子に印加する区間を示す
タイミング制御信号を出力する本体側コントローラーと、
(D)前記本体側コントローラーから出力された前記データ信号と前記タイミング制御信
号を伝送する配線と、
(E)前記周期を示す周期信号を生成する周期信号生成部であって、
(E1)クロック信号を発生するクロック発生回路と、
(E2)前記クロック信号が入力されるRC回路と、
(E3)前記配線を介して受信した前記タイミング制御信号に応じて動作し、前記R
C回路の出力と所定電圧とを比較するコンパレーターと、
を有し、前記コンパレーターの比較結果に基づいて前記周期信号を生成する周期信号生
成部と、
(F)前記周期信号に応じて取り込んだ前記データ信号に基づいて、前記周期に含まれる
複数の駆動パルスのうちの所定の駆動パルスを前記駆動素子へ印加するヘッドコントロー
ラーと、
を備えることを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流体噴射装置であって、
前記周期信号生成部は、前記タイミング制御信号が前記コンパレーターの動作に有効で
ないときに、前記RC回路に蓄えられた電荷を放電する放電回路をさらに有することを特
徴とする流体噴射装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の流体噴射装置であって、
前記タイミング制御信号は、前記区間の境界に対応する部分と前記周期の境界に対応す
る部分にタイミングパルスを有し、
前記周期の境界に対応する部分の前記タイミングパルスの長さは、前記区間の境界に対
応する部分の前記タイミングパルスの長さよりも長い
ことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の流体噴射装置であって、
前記周期の境界に対応する部分の前記タイミングパルスは、前記周期の始まりよりも前
から前記タイミング制御信号に含まれている、
ことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載の流体噴射装置であって、
前記RC回路は、抵抗とコンデンサーが直列接続されたものであり、前記抵抗の一端に
前記クロック信号が印加される
ことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項6】
ノズルが1画素に流体を噴射する周期ごとに繰り返される駆動信号であって、各々の前
記周期において複数の駆動パルスが含まれる駆動信号を生成すること、
前記ノズルから流体を噴射するか否かを示すデータ信号を前記周期ごとに出力するとと
もに、前記駆動信号に含まれる前記駆動パルスを駆動素子に印加する区間を示すタイミン
グ制御信号を本体側コントローラーから出力すること、
前記本体側コントローラーから出力された前記データ信号と前記タイミング制御信号を
伝送すること、
クロック信号が入力されるRC回路の出力と、所定電圧とを、前記タイミング制御信号
に応じて動作するコンパレーターによって比較すること、前記コンパレーターの比較結果
に基づいて前記周期を示す周期信号を生成すること、及び、前記周期信号に応じて取り込
んだ前記データ信号に基づいて、前記周期に含まれる複数の駆動パルスのうちの所定の駆
動パルスを前記駆動素子へ印加すること
を有することを特徴とする流体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−213035(P2011−213035A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−84914(P2010−84914)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】