説明

流体圧ユニット

【解決手段】
この発明は、スリップ制御されるブレーキ装置用の流体圧ユニットに関し、そのブレーキスリップ制御に必要である入口および出口バルブ(6、12)は、特別に空間節約方式において、1つの単一バルブ列(X)内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スリップ制御ブレーキ装置用の、特別には、特許請求項1の前文による、オートバイにおける使用のための流体圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許EP1194321B1は、上に述べたタイプの流体圧ユニットを開示している。この流体圧ユニットは、アンチロック制御の目的のための、第1および第2バルブ列の数個のバルブ収容穴内に入口バルブおよび出口バルブを収容するブロック形状の収容部材からなっている。そのうえ、ポンプ穴が、その収容部材内に配置され、この収容部材は、バルブ収容穴がその収容部材に開口するポートに横方向に整列されており、そのポンプ穴に直角に整列されたモータ収容穴を数個の圧力流体チャネルとともに有し、このチャネルは、そのバルブ収容穴およびポンプ穴を接続し、さらには、その収容部材および数個の車輪ブレーキ接続に開口するブレーキ圧発生器接続間の流体圧接続を確立することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明の目的は、ここに示されたタイプの流体圧ユニットにおける収容部材内の圧力流体チャネルの配置のための、収容部材および製造労力の全体規模を縮小し、しかもブレーキ制御機能に関して欠点を受入れる必要なしに、オートバイにおける使用のためにそれを適応させることである。この目的は、特許請求項1の特徴をなす主要点を有する図示されたタイプの流体圧ユニットのために達成される。
【0004】
この発明のさらなる特徴、利点および可能な応用は、数図の添付図面による実施例の記述によって、以下において理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
図1は、後続の図において例証された収容部材11のよりよい理解のためのオートバイブレーキ装置用の流体圧回路図を示す。このブレーキ装置は、前輪ブレーキ回路4に接続されマニュアル力によって比例して動作可能なマスターブレーキシリンダ7と、脚操作力に比例して動作可能な後輪ブレーキHAにおけるマスターブレーキシリンダ13とをそれぞれ備えて、流体圧で動作可能な前輪および後輪ブレーキ回路4、10を有する。
【0006】
ブレーキスリップ制御用に、電磁的に動作可能な入口および出口バルブ6、12は、前輪および後輪ブレーキ回路4、10内に嵌め込まれ、さらにはその基準位置で開いている入口バルブ6は、前輪または後輪ブレーキ回路4、10のブレーキライン内に常に挿入され、そして各回路は、関連するマスターブレーキシリンダ7、13を、それぞれ前輪または後輪ブレーキVA、HAに接続する。その基準位置で閉じている出口バルブ12は、それぞれ各ブレーキ回路のリターンライン15内に挿入され、このブレーキ回路は、その前輪または後輪ブレーキVA、HAを、それぞれ1つの低圧アキュムレータ16および2系統式ポンプ9の吸込み側と接続し、このポンプ9は、そのリターン原理(return principle)によって作動する。このポンプ9は、常に、前輪または後輪ブレーキVA、HAから放出されたブレーキ流体量のリターン分配が要求に従って守られるように、2つのブレーキ回路内に挿入されたノイズ減衰チャンバ17経由でブレーキライン18と接続される。
【0007】
図1とは異なって、前輪ブレーキVAに導く別のブレーキライン18が、望ましくは、後輪ブレーキ回路10に接続されたマスターブレーキシリンダ13が作動されるときに、そのブレーキ圧力が、同様に前輪ブレーキVAで有効であるように、図6における後輪ブレーキ回路10に加えて接続される。その上、追加のブレーキライン18は、後輪ブレーキ回路10が作動されるときと同様に、前輪ブレーキVAでロックすることを防ぐために、1対の追加の入口および出口バルブ6、12のために、図1から知られるように、リターン原理にしたがって回路構成を有する。
【0008】
入口および出口バルブ6、12は、図1および6の回路図に対応するバイナリーシートバルブとして設計されている。要請または要求があったときは、これらのバルブも比例制御バルブとして駆動することができ、そのために適切な圧力センサが使用され、そのセンサは、車輪ブレーキにおけるそれぞれに優勢である圧力、およびマスタシリンダ7、13によって導入された圧力を検知する。
【0009】
図1において例証される回路図に基づいて、この発明の本質的な特徴は、今度は図2〜5によって説明される。
【0010】
図2〜4は、入口および出口バルブ6、12を1つの単一バルブ列Xの4つのバルブ収容穴2内に収容するブロック形状の収容部材11を装備して、ブレーキスリップ制御されるオートバイブレーキ装置における使用のための流体圧ユニットの本質的な特徴についての異なる図を示している。この収容部材11内に配置されたポンプ穴3は、この収容部材内に開口するバルブ収容穴2の方向に対して横方向に指向される。
【0011】
さらに、収容部材11は、電気モータ8用のモータ収容穴5を有し、その電気モータ8は、ポンプ穴の半分の長さで、ポンプ穴3に対して直角に指向されている。さらに、そのバルブ収容穴2とポンプ穴3とを接続する数個の圧力流体チャネルが設けられ、そのことは、収容部材11および2つの車輪ブレーキ接続VA、HA内に開口する2つのブレーキ圧力接続HZ1、HZ2間に流体圧接続を構成することができる。
【0012】
図2〜4によって描かれているように、この発明は、入口および出口バルブ6、12が、1つの単一バルブ列Xに配置され、さらに、入口および出口バルブ6、12が、制御ユニット1によって電磁的に制御可能であり、この制御ユニットは、ただ単にバルブ列Xの領域内においてのみ、その収容部材11に設置される。望ましくは、これは、その収容部材11の特別に細い輪郭を守るもので、この収容部材は、オートバイの組立条件に適合される。
【0013】
収容部材11における制御ユニット1の前述した配置に関して、参照が、図6における流体圧ユニットの全体的な図についてなされている。
【0014】
さらに、出口バルブ12が、バルブ列Xだけにおける入口バルブ6間に配置されることが、図2〜4から明白になり、その列Xはポンプ穴3に対して平行に配置されており、それによって、製造することが容易なチャネル穴は、低圧アキュムレータ穴23に対する出口バルブ12と入口バルブ6のバルブ収容穴2との流体圧接続のために、達成される。
【0015】
好都合には、入口バルブ6のために提供されたバルブ収容穴2は、ポンプ穴3に直接隣接する収容部材11内に開口しており、それによって、 ポンプ穴3の外部端において、それぞれ設計された圧力接続HZ1、HZ2とノイズ減衰チャンバ17との間の短いチャネル接続を可能にする。
【0016】
1つの単一バルブ列Xにおける入口および出口バルブ6、12の配置によって、出口バルブ12のために設けられたバルブ収容穴2は、 車輪ブレーキ接続VA、HAに直接隣接する収容部材11内に開口し、 同様に出口バルブ12のために必要であるチャネル穴が可能な限り短く設計されることを可能にする。
【0017】
したがって、車輪ブレーキ接続VA、HAは、1対のブレーキ圧発生器接続HZ1、HZ2の間に配列され、その接続は、相互に独立して動作することができる2つのブレーキ圧発生器7、13によって、流体圧的には相互に独立して動作可能である。
【0018】
さらに、収容部材11は、モータ収容穴5内に挿入される電気モータ8との制御ユニット1の電気的接触のために、2つの車輪ブレーキ接続VA、HA間の貫通穴14を有する。
ポンプ穴3は、入口および出口バルブ6、12を収容するバルブ列Xと1対の圧力アキュムレータ穴23との間に配置され、この穴は、ポンプ穴とバルブ収容部材穴3、2とに対して横方向に開口する。
【0019】
図3および4において明瞭に理解できることは、2つのブレーキ圧発生器接続HZ1、HZ2は、ポンプ穴3内に、ポンプ圧バルブの下流に放射状に、好ましくは接線方向に開口する2本の圧力流体チャネル19を通ってポンプ穴3に隣接するノイズ減衰チャンバ6と関連していることである。
図4から得ることができるように、各圧力流体チャネル19は、それぞれ、各ブレーキ回路の2つのバルブ収容穴2のうちの1つに導くブランチ20を有しており、このブレーキ回路は、入口バルブ6を収容するために、バルブ列Xの終端部に常に配置される。
【0020】
ノイズ減衰チャンバ17は、ポンプ穴3の直径方向に位置した端部に配置されるので、ノイズ減衰チャンバ17およびポンプ穴3の両者は、閉鎖部材によって圧力液体密のやり方で閉じることができ、この閉鎖部材は、外部から収容部材11の2つの外側面の中に設置される。ポンプ穴3は、2つの低圧アキュムレータ穴23に関して直角に収容部材11を貫通しており、各ポンプ回路のために、ポンプ吸込チャネル21経由で2つの平行な整列した低圧アキュムレータ穴に関連する。
【0021】
各低圧アキュムレータ穴23の段状底部により、ポンプ吸込チャネル21は特に短い設計を有しており、そこではポンプ吸込バルブ(逆止バルブ)は、常に挿入される。
【0022】
さらに、各低圧アキュムレータ穴23の底部は、各ブレーキ回路のためにリターンライン15を有し、そのリターンラインは、収容部材11内におけるバルブ列Xに対して横方向に整列され、さらに、各低圧アキュムレータ穴23の底部を通って出口バルブ12の収容穴2まで直線穴として延びる。現実施例においては、リターンライン15は、出口バルブ12のために提供された各1つのブレーキ回路のバルブ収容穴2の方向における角度のあるオフチャネルとして、バルブ列Xの平面内に継続される。
【0023】
収容部材11の最も細い可能性のタイプの構成を考慮して、バルブ列Xにおける入口バルブ6間の出口バルブ12の配置は、短くて、したがって、作ることが容易なリターンライン15を可能にし、そのリターンラインは、ブレーキ装置の2次回路のブレーキ液による改良された抜取および充填のためにそのすきま容積を最小にし、それによって、その流体圧ユニットの最初の充填のために必要である抜取および充填プロセスを単純化する。その用語「2次回路」は、通常閉じた出口バルブ12と、低圧アキュムレータ5と、ポンプ穴3との間に存在するチャネル接続を指す。
【0024】
最後に、例証され、かつ記述されたように、バルブ収容穴2と、ポンプ穴3と、低圧アキュムレータ穴23とは、圧力流体チャネルを収容部材11の外側表面で密封するために必要である閉鎖栓における経費がごく僅かであるように、収容部材11において相互に整列される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明の特徴を備えている流体圧ユニット用の流体圧回路図を示す。
【図2】バルブ収容穴の平面図における図1の流体圧ユニットに設けられる収容部材を示す。
【図3】モータ収容穴の平面図において、180度だけ回転した図2による収容部材を示す。
【図4】その収容部材の斜視図である。
【図5】すべての機能素子を装備した流体圧ユニットについての全体図である。
【図6】別の圧力制御チャネルによって図1の流体圧回路の機能を拡張した図であって、このチャネルは、この発明についての考えを維持して、2つのさらなるバルブ収容穴および前輪ブレーキ間の接続を可能とする追加の圧力流体チャネルによってその収容部材内に実現されている。
【符号の説明】
【0026】
制御ユニット:1 バルブ収容穴:2 ポンプ穴:3 前輪ブレーキ回路:4 モータ収容穴:5 入口バルブ:6 マスターブレーキシリンダ:7 電気モータ:8 ポンプ:9 後輪ブレーキ回路:10 収容部材:11 出口バルブ:12 マスターブレーキシリンダ:13 貫通穴:14 リターンライン:15 低圧アキュムレータ:16 ノイズ減衰チャンバ:17 ブレーキライン:18 圧力流体チャネル:19 ブランチ:20 ポンプ吸込チャネル:21 供給容器:22 圧力アキュムレータ穴:23 車輪ブレーキ接続:VA、HA 圧力接続:HZ1、HZ2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
数個のバルブ収容穴内に入口および出口バルブを収容する収容部材と、
この収容部材内に配置され、かつ、前記収容穴内に開口するバルブ収容穴の方向に対して横方向に整列されるポンプ穴と、
電気モータであって、前記ポンプ穴に直角に指向するもののためのモータ収容穴と、
数個の圧力流体チャネルであって、前記バルブ収容穴とポンプ穴とを接続し、かつ、前記収容部材および数個の車輪ブレーキ接続内に開口する2つのブレーキ圧発生器接続間に流体圧接続を確立することができるものとを有し、前記入口および出口バルブ(6、12)が1つの単一バルブ列(X)に一緒に整列されることを特徴とするスリップ制御ブレーキ装置用流体圧ユニット。
【請求項2】
前記入口および出口バルブ(6、12)は制御ユニット(1)によって電磁的に動作可能であり、この制御ユニットは、収容部材(11)の単一バルブ列(X)上に配置されることを特徴とする請求項1記載の流体圧ユニット。
【請求項3】
前記出口バルブ(12)は、前記単一バルブ列(X)における入口バルブ(6)間に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の流体圧ユニット。
【請求項4】
前記バルブ列(X)は、ポンプ穴(3)に対して平行に配置され、前記入口バルブ(6)用に設けられたバルブ収容穴(2)は、前記ポンプ穴(3)に直接隣接して収容部材(11)内に開口することを特徴とする請求項1記載の流体圧ユニット。
【請求項5】
前記出口バルブ(12)用に設けられたバルブ収容穴(2)は、前記車輪ブレーキ接続(VA、HA)に直接隣接して、前記収容部材(11)内に開口することを特徴とする請求項1記載の流体圧ユニット。
【請求項6】
前記車輪ブレーキ接続(VA、HA)は、1対のブレーキ圧発生器接続(HZ1、HZ2)間に配置され、相互に独立して動作可能である2つのブレーキ圧発生器(7、13)に接続することができることを特徴とする請求項1記載の流体圧ユニット。
【請求項7】
前記収容部材(11)は、前記モータ収容穴(5)内に挿入される電気モータ(8)を具備する制御ユニット(1)の電気接触用の2つの車輪ブレーキ接続(VA、HA)間に貫通穴(14)を有し、この貫通穴は、前記制御ユニット(1)によって閉じることができることを特徴とする請求項1記載の流体圧ユニット。
【請求項8】
前記ポンプ穴(3)は、入口および出口バルブ(6、12)を収容する前記バルブ列(X)と1対の圧力アキュムレータ穴(23)との間に配置され、この穴(23)は、前記ポンプ穴とバルブ収容穴(3、2)とに対して横方向に前記収容部材(11)内に開口していることを特徴とする請求項1記載の流体圧ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−521696(P2008−521696A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543831(P2007−543831)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056184
【国際公開番号】WO2006/058859
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(500030596)コンチネンタル・テベス・アーゲー・ウント・コンパニー・オーハーゲー (126)
【Fターム(参考)】