説明

流体圧力で作動するピストンエンジンの装置及び方法

【課題】確実に作動し続け且つ信頼性を保ち続けることが可能な複動式ピストン(両行程ピストン)を提供する。
【解決手段】流体圧力で作動するピストンエンジン装置は、ピストンユニットと、加圧流体をピストンユニット内に選択的に導くように構成される弁と、弁移動機構と、磁気移動止め装置と弁駆動部材を備える。弁駆動部材は、第1の磁気的に保持される位置と第2の磁気的に保持される位置との間で移動して、弁素子を移動させ、加圧流体をピストンユニットのピストン室内に方向を変えて導き、軸部材の進行の方向の逆転を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、ピストンポンプのような流体圧力で作動するピストンエンジンに関し、詳細には、そのような装置においてピストンの方向を変えるために用いられる移動装置(shifter)に関する。
【背景技術】
【0002】
複動式ピストン(両行程ピストン)は、加熱接着剤のポンプ輸送又は他の作業の実行のような様々な異なる種類の産業上の利用において用いられる。各方向にピストンを動かすことは、加圧流体を、空気弁のような流体弁によって導くことによって達成することができる。通常、加圧空気は、ピストン室内に空気弁を介して導かれる。空気弁は、2つの位置の間で可動である弁素子を有する。第1の位置において、加圧空気は、ピストン室内のピストンの一方の側に導かれ、第2の位置において、加圧空気は、ピストン室内のピストンの他方の側に方向を変えて導かれる。したがって、ピストン及び接続されたピストン軸部材は、加圧空気が導かれるピストンの側に応じて一方の方向又は他方の方向へ動く。様々な従来のピストンポンプにおいて、ピストン軸部材は、二又部材又は他の接続部材によって移動装置に接続される。1つの例が、本発明の出願人に譲渡された米国特許第5,325,762号に開示されている。ピストン及び軸部材が、行程の第1の終端及び第2の終端のそれぞれに近づくと、移動装置は、移動装置上の磁石と二又部材上の磁石との間で発生する磁力によって移動する。これによって、弁素子が、第1の位置と第2の位置との間で移動する。このプロセスは、ピストン行程の各終端において繰り返され、例えばポンプ輸送の作動中にピストン及び軸部材の方向が絶えず変化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
移動機構に関連する技術における改良の必要性が絶えず存在する。例えば、幾つかの機構は比較的複雑であるか、又は複数の永久磁石を使用するか、又は改良の他の必要性を有する。さらに、移動機構が、広範な様々な応用形態において行程が数百万回に及ぶ場合に、確実に作動し続け且つ信頼性を保ち続けることが望ましい。その応用形態は、場合によっては、加熱接着剤、すなわち、いわゆる熱溶融型接着剤(ホットメルト接着剤)のポンプ輸送に関連する高温環境を含む。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様においては、流体圧力で作動するピストンエンジン装置は、概して、流体圧力で作動するピストンユニットと、弁と、弁移動機構と、磁気移動止め装置とを備える。流体圧力で作動するピストンユニットは、ピストン室と、ピストン室内で往復運動するように据え付けられるピストンと、ピストンに結合する軸部材とを備える。この方式においては、ピストン及び軸部材は、第1の終端と第2の終端とを有する行程に沿って共に往復運動する。弁は、加圧流体をピストン室内のピストンの両側の第1の側と第2の側とへ選択的に導くように構成されている。弁は、(i)弁が加圧流体をピストン室内のピストンの第1の側へ導き、それによって、軸部材を行程の第1の終端へ向かって動かす第1の位置と、(ii)弁が加圧流体をピストン室内のピストンの第2の側へ導き、それによって、軸部材を行程の第2の終端へ向かって動かす第2の位置との間で可動である弁素子を備える。弁移動機構は、軸部材を弁素子に作動可能に結合する。また、弁移動機構は、付勢装置を備え、付勢装置は、軸部材が行程の第1の終端に近づくと第1の付勢力を提供すると共に、軸部材が行程の第2の終端に近づくと第2の付勢力を提供する。磁気移動止め装置は、弁駆動部材を備え、弁駆動部材は、弁素子に結合されると共に、第1の磁気的に保持される位置と第2の磁気的に保持される位置との間で移動可能である。この点に関しては、「に結合される」は、駆動部材と弁素子とのような2つの部品が、互いに一体になった場合であっても、別個の構成要素の組み立て体になった場合であってもよい。第1の磁気的に保持される位置と第2の磁気的に保持される位置とは、それぞれ、弁素子の第1の位置と第2の位置とにおいて弁素子を保持する。軸部材が行程の第1の終端及び第2の終端のそれぞれに近づくと、第1の付勢力及び第2の付勢力のそれぞれは少なくとも部分的に用いられて、弁駆動部材を保持する磁気吸着力に打ち勝つ。この方式においては、弁駆動部材は、第1の磁気的に保持される位置と第2の磁気的に保持される位置との間を移動し、弁素子を移動させる。これは、加圧流体をピストン室内に方向を変えて導き、軸部材の進行の逆転を達成する。
【0005】
本発明の別の態様においては、加熱接着剤のポンプ輸送のための装置が提供される。この実施の形態においては、その装置は、ほぼ直前で述べたように構成されることができ、軸部材は、ポンプの一部として利用できる。さらに、弁はピストン室の外部に装着され、弁、弁移動機構、及び磁気移動止め装置は全て、少なくとも摂氏176.7度(華氏350度)の温度で作動することができる。
【0006】
軸部材に結合されたピストンを含む複動式ピストンを作動させる方法は、加圧空気を、磁力によって第1の位置において保持される弁素子を備える弁によって導くことを含む。その空気は、ピストンの第1の側に向かってさらに導かれ、ピストンの行程の第1の終端に向かって軸部材を動かす。本方法は、軸部材が行程の第1の終端に近づいたときに弁素子に付勢力を加えるために付勢装置を駆動することをさらに含むことができる。そして、付勢力を用いることによって少なくとも部分的に磁力に打ち勝って、弁素子が移動し、弁によって空気がピストンの反対側の第2の側に向かって方向を変えて導かれ、それによって、軸部材を行程の第2の終端に向かう反対の方向へ動かす。
【0007】
本発明の様々な追加の組み合わせ、特徴及び利点は、添付の図面と共に例示的な実施形態の以下の詳細な説明を吟味すると、当業者により容易に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1〜図4は、流体圧力で作動するピストンエンジン装置10の1つの例を示し、当該流体圧力で作動するピストンエンジン装置10は、概して、ピストンユニット、すなわち空気圧シリンダ12と、弁14と、弁移動機構16と、磁気移動止め装置18とを備える。本明細書において用いられる全ての方向に関する指示は説明の便宜性のためだけに行われ、装置10は様々な向きにおいて用いられてもよい。ピストンユニット12は、概して、内側ピストン室22を画定する上側ピストンハウジング20を備える。ピストンハウジング20は、キャップ24によって一端部を封止され、下側ハウジング30の一部によって反対側の端部を封止される。ピストン32は、ピストン室22内に往復運動のために据え付けられ、ねじナット36によって軸部材34に強固に接続される。軸部材34は、液状の熱溶融型接着材料をポンプ輸送するためのポンプとして用いることができる。接続部材40は、ピストンハウジング20を弁14に接続し、ピストンハウジング20と接続部材40とは合わさって、内側円筒状壁44a及び44bを提供し、ピストン32は、当該内側円筒状壁44a及び44bに対して少なくともほぼ気密的に封止しながら滑動する。軸部材34は、下側ハウジング30の両端部において、ピストン32を伴う往復運動のために支持される。空気シール50は、下側ハウジング30の上端部において凹部52内に押し込まれる。空気シール50は、動く軸部材34に対して少なくともほぼ気密的な封止を提供し、ピストン室22内の空気圧を維持することを可能にする。位置合わせ部材56も、ハウジング30の下端部において設けられる。凹部60がキャップ24内に設けられ、行程の第2の終端、すなわち上側終端におけるナット36の間隙を準備することができる。参照により本明細書に援用される米国特許第5,325,762号の開示によれば、装置10の様々な構成要素は、少なくとも摂氏176.7度(華氏350度)の温度で効果的に作動するように製造されることができる。
【0009】
図1を参照すると、弁14は、弁14内の空気通路74及び76のそれぞれに結合する、接続部材40内の一対の空気通路70及び72によって、ピストン室22と流体結合する。図1に示されているように、加圧空気は、通路74を通じてピストン室22内に導かれると、ピストン32を下方へ推し進める。加圧空気が通路76を通じてピストン室22内に導かれると、ピストン32は反対側の上方の方向へ推し進められる。加圧空気が、通路74を通じて導かれるか、又は通路76を通じて導かれるかは、可動弁素子80の位置によって決まる。例示的な実施形態においては、弁素子80は往復運動をして行き来することができる。図1に示されている位置においては、弁素子80は、自身の最上位置にまで動かされて、加圧空気源82を流入ポート84を介して通路74へ接続させる。加圧空気は、固定スリーブ、すなわち弁素子ホルダ94内のポート90及び92のそれぞれを通じて、及び弁素子80の外面を囲んで延在する環状溝96を通じて進み、通路74に到達する。ピストンが下方に動いている間に、ピストン32の下の空気は、通路72及び76を通じて排気され、そして、スリーブ94内のポート100及び102のそれぞれを通じて、及び上側排気ポート106に通じる流路内の弁素子内の上側環状溝104を通じて排気される。
【0010】
図2に示されるように弁素子80が自身の下方の位置へ動かされた場合、加圧空気源82は、流入ポート84を介して、ポート90及び100並びに弁素子80内の環状溝104を通じて導かれる。そして空気は、ピストン室22内に通路76及び通路72を介して進み、ピストン32を上方へ動かし始める。ピストン32の上側における室22内の空気は、通路70及び74と、ポート92及び110と、環状溝96と、下側排気ポート112とを通じて導かれることで下側排気ポート112を通じて排気される。
【0011】
図1〜図5を参照すると、直前に述べたような弁素子80の移動を促進するために、ピストン軸部材34が、ねじナット132を用いることによって軸部材34に固定されることができる二又部材130のような接続部材によって弁移動機構16に接続される。弁移動機構16は、上側フランジ144及び下側フランジ146と、第1のコイルばね152及び第2のコイルばね154のそれぞれを収容するための上方内側空間148及び下方内側空間150とを有する、概ね円筒状のスプール142の形態を取ることができる付勢装置140を備える。スプール142は、弁駆動部材160を囲み、且つ当該弁駆動部材160に沿って滑動する。このために、滑り軸受筒162を、スプール142上で概ね中央に設けることができる。弁駆動部材160は下端部において停止部材170に接続し、それによって、当該停止部材170と共に動き、停止部材170は、移動機構ハウジング174内の下側開口172を通じて滑動することができる。この滑動の動きを促進するために、スリーブ176を図示されるように提供することができる。弁駆動部材160の上端部は、スリーブ軸受177によって支持され、例えば接続組み立て体178によって弁素子80と結合する。接続組み立て体178は、左右方向すなわち半径方向の少量の「遊び」すなわち移動を許容し、弁素子80及び駆動部材160に概ね沿う構成要素の小さな位置合わせの不良を調整する。
【0012】
図5を最も特に参照すると、磁気移動止め装置18の可動部180は、弁駆動部材160に固定されて、図1に示されている第1の位置と図2に示されている第2の位置との間を移動する。磁気移動止め装置18の固定部182は、例えば、磁気移動止め装置18を概ね収容するハウジング190と弁移動機構ハウジング174との間の位置において固定される。そして、磁気移動止めハウジング190は弁14(図1)に固定される。図示されている実施形態においては、磁気移動止め装置18の固定された部分、すなわち固定部182は、支持板202内に接合される永久磁石200を備えることができ、一方、可動部180は、板部材204及び206のような隔置された第1部材及び第2部材を備えることができる。これらの板部材204及び206は、弾性緩衝部材208及び210をそれぞれ有し、磁気移動止め装置18の固定部182との衝撃を和らげることができる。緩衝部材208及び210は、代替的に、磁性部材200及び/又は支持板202の両側に据え付けることができるか、又は、当然のことながら、不要と見なされる場合は除去することができる。スリーブ212は、板部材204及び206を隔置するために用いることができ、板部材204及び206を固定して弁駆動部材と共に移動することができる。これらの磁性部材200、204及び206は、例えば、永久磁石200に磁気的に吸着される炭素鋼などの金属性板部材からなる。例えば、磁気移動止め装置18の可動部180及び固定部182の両方が、永久磁石材料から形成されてもよいし、又はこの装置の可動部180が永久磁石材料から形成されて、固定部182は永久磁石材料に磁気的に吸着される金属から形成されてもよいことが理解されるであろう。この点に関しては、用語「磁性」の使用は、永久磁石材料、又は、本明細書に概ね従って磁気吸着力をもたらす組み合わせが用いられる限りにおいて鉄類のような、永久磁石材料に引き寄せられるあらゆる金属を包含することが意図される。
【0013】
図1において概略的に示されるように、加圧空気が、空気源82から弁14を通じて、及び通路72を通じて室22内に導かれると、ピストン32と軸部材34は、行程の第1の終端に向かって下方に動く。行程の第1の終端に接近すると、二又部材130は、スプール142の下側フランジ146に接触して、下側ばね154を圧縮し始め、それによって、付勢力を停止素子170に加える。したがってこれは、全てが共に接続されている、弁駆動部材160、移動止め18の可動部180及び弁素子80に下向きの力を加える。図1及び図5に示されている時点においては、磁気移動止め装置18の可動部180はその上側位置にあり、したがって、下側板部材206と固定磁性部材200との間の磁気吸着力によって、弁素子80を当該素子の第1の位置、すなわち上側位置に保持する。下側ばね154によって生じる付勢力が増加すると、付勢力は、板部材206と固定磁性部材200との間の磁気吸着力に打ち勝って、板部材206を固定磁性部材200から引き離して移動させるとともに、第2の板部材204を固定磁性部材200へ向けて下方に移動させて当該固定磁性部材200に当てて最終的に停止させることができる。次に、磁気吸着力は、第2の板部材を固定磁性部材200に当てた状態で保持する。可動磁性部材204及び206は、互いに対して固定され、弁駆動部材160及び弁素子80に強固に固定されているため、これによって、図2に示されているように、弁素子80を当該弁素子80の第2の位置、すなわち下側位置へと移動させる。図1は、可動スプール142と停止部材170の上側フランジ170aとの間の直接接触を示しているが、直接接触と、その接触によって結果的に生成されるあらゆる物理的力とは、弁素子80を移動させるために必要でない場合もあることが理解されるであろう。しかし、直接接触は、例えば弁素子80の喰い付き(スティックキング)により磁気移動止め装置18を移動させるのに付勢力のみでは不十分である場合に、支援力として用いることができる。
【0014】
図3及び図4に示されているように、行程の第2の、すなわち上側終端において、同じような基本手順が見られる。この点に関しては、行程の第2の、すなわち上側終端において、二又部材130が、スプール142の上側フランジ144と接触してスプールを弁駆動部材160に対して動かすため、二又部材130は上側コイルばね152を圧縮する。したがって、上側コイルばね152は、上向きの付勢力を下側板部材206に加え、当該下側板部材206は、上側可動磁性部材すなわち板部材204と固定磁性部材200との間の磁気吸着力に打ち勝つことができる。図4に示されているように、この時点において、ばね152は、可動磁性部材204及び206を上方に推し進めて、下側可動磁性部材206が固定磁性部材200に当たって停止し、弁素子80を当該弁素子80の上側位置に磁気的に保持し、もう一度ピストン行程の逆転を開始できるようにする。図3は、スプール142の上端部と下側可動磁性部材すなわち板部材206との間の物理的接触を図示していないが、またもや支援力手段として、例えば弁素子80の喰い付き(スティッキング)の場合に、補助力として物理的直接接触するようにしてもよい。
【0015】
図6は、流体圧力で作動するピストンエンジン装置300の代替の一実施形態を示す。この実施形態において、同様の参照符号は、図1〜図5に示されている第1の実施形態に関して上述したような構造の同様の要素を示すために用いられる。ダッシュ記号(’)を有する同様の参照符号は、容易に明らかになるように、第1の実施形態における対応する要素と設計において若干異なっている要素を示す。したがって、これらの要素のさらに詳細な説明は不要である。この装置は、磁気移動止め装置18の位置が変わっている点を除いて、図1〜図5に関して説明した装置と同じである。この点に関して、磁気移動止め装置18は、弁駆動部材160’の下端部に結合されていて、弁移動機構16が弁14と磁気移動止め装置18との間に配置されている。磁気移動止め装置は、ハウジング部190a及び190bのそれぞれの内部に装着されている。装置300の作動は、その点以外においては、上述したのと同じである。
【0016】
図7は、代替の一実施形態による磁気移動止め装置400を示す。この実施形態においては、同様の参照符号は、図6との関連で図示及び説明されている第2の実施形態に関して上述したような構造の同様の要素を示すために用いられる。二重ダッシュ記号(”)を有する同様の参照符号は、図6と図7とを比較する際に容易に明らかになるように、若干異なる設計を有する対応する要素を示す。したがって、これらの要素のさらに詳細な情報及び説明は不要である。この実施形態において、磁性部材302は、永久磁石であることができ、軸部材160”とともに往復運動動作できるように固定される。それぞれの移動止め304及び306は、固定されており、離れた位置に備えられる。移動止め304及び306も、上記の説明による磁性部材である。第1の管状スペーサー素子310を用いて、固定された磁気移動止め304及び306を隔置及び維持することができる。第2の管状スペーサー素子312を用いて、ハウジング190a及び190bのそれぞれを共に固定することができる。座金すなわち輪状体320及び322は、往復運動する磁性部材302の各側において、弾性緩衝部材324をそれらの間に挟む。輪状体320及び322、緩衝部材324並びに磁性部材302の組み立て体全体は、軸受筒332内で滑動可能なナット330の使用によって、往復運動する軸部材160”上に保持されている。スペーサー334は、軸部材160”を中心にして且つ往復運動する磁性部材302の中央開口内に配置され、磁性部材302の両側にそれぞれの輪状体320及び322並びに緩衝部材324を隔置する。さらに別の代替形態として、緩衝部材又は緩衝部材組み立て体を、固定磁性部材と可動磁性部材との両方に設けてもよいし、あるいは、緩衝機能は全て除去してもよい。図7に示されている代替形態の作動は、図6のものとは逆に1つの磁性部材が2つの固定磁性部材の間で動くという点を除いて、図6に関して上述したものと同じであることが理解されるであろう。
【0017】
本発明を、様々な好ましい実施形態の説明によって示し、また、これらの実施形態を或る程度詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限又は何らかの点で限定することは出願人の意図するところではない。さらなる利点及び変更は、当業者に容易に明らかとなるであろう。本発明の様々な特徴を、使用者の必要性及び選択に応じて、単独で又はあらゆる組み合わせにおいて用いることができる。本明細書は、現時点で判明しているような本発明を実施する好ましい方法と共に、本発明を説明してきた。しかし、本発明自体は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態に従って構成される例示的な空気圧複動式ピストン装置の縦断面図であって、概ねピストンの行程の第1の終端におけるピストンを示す縦断面図である。
【図2】図1と同様であるが、ピストンを反対の方向に動かし始めるためにピストン軸部材と共に往復運動する二又部材によってもたらされる移動機構の異なる位置を示す断面図である。
【図3】図2と同様であるが、二又部材によって移動機構が移動すなわち駆動される直前の行程の第2の終端に近づくピストンを示す断面図である。
【図4】図3と同様であるが、加圧空気を方向を変えて導くと共にピストンの逆転を達成するための、磁気移動止め装置の位置変化と弁の駆動とを示す断面図である。
【図5】図1に示されている磁気移動止め装置の拡大断面図である。
【図6】図1と同様であるが、磁気移動止め装置の代替位置を示す縦断面図である。
【図7】図5と同様であるが、磁気移動止め装置の代替の一実施形態を示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧力で作動するピストンエンジン装置であって、
ピストン室と、該ピストン室内で往復運動するように装着されたピストンと、第1の終端及び第2の終端を有する行程に沿って該ピストンと共に往復運動するように該ピストンに結合された軸部材とを備える流体圧力で作動するピストンユニットと、
前記ピストンの両側の第1の側と第2の側とで前記ピストン室内へ加圧流体を選択的に導くように構成された弁と、
該弁は、弁素子を備え、該弁素子は、(i)該弁が前記ピストンの前記第1の側で前記ピストン室内へ前記加圧流体を導き、それによって、前記軸部材を前記行程の前記第1の終端へ向かって移動させる第1の位置と、(ii)前記弁が前記ピストンの前記第2の側で前記ピストン室内へ前記加圧流体を導き、それによって、前記軸部材を前記行程の前記第2の終端へ向かって移動させる第2の位置との間で可動であり、
前記軸部材を前記弁素子に作動可能に結合する弁移動機構と、
前記弁移動機構は、前記軸部材が前記行程の前記第1の終端に近づくと第1の付勢力を発生させ、前記軸部材が前記行程の前記第2の終端に近づくと第2の付勢力を発生させる付勢装置を備えており、
前記弁素子に結合された弁駆動部材を備える磁気移動止め装置とを備えたピストンエンジン装置において、
前記弁駆動部材は、前記弁素子の第1の位置において前記弁素子を保持する第1の磁気的に保持される位置と、前記弁素子の第2の位置において前記弁素子を保持する第2の磁気的に保持される位置との間で移動可能であり、
前記軸部材が前記行程の前記第1の終端及び前記第2の終端のそれぞれに近づくと、前記第1の付勢力及び前記第2の付勢力のそれぞれが少なくとも部分的に用いられて前記弁駆動部材を保持する磁気吸着力に打ち勝ち、それによって、前記弁駆動部材が、前記第1の磁気的に保持される位置と前記第2の磁気的に保持される位置との間で移動して、前記弁素子を移動させ、前記加圧流体を前記ピストン室内へ方向を変えて導き、前記軸部材の進行方向を逆転させる流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項2】
前記磁気移動止め装置は、固定磁性部材を備え、前記弁駆動部材は、該固定磁性部材の両側において往復運動できるように装着された第1の隔置されている磁性部材及び第2の隔置されている磁性部材を備え、該一対の磁性部材は、前記弁素子と共に移動できるように結合されている請求項1に記載の流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項3】
前記固定磁性部材は、永久磁石を備え、前記第1の隔置されている磁性部材及び前記第2の隔置されている磁性部材のそれぞれは、金属板部材を備えている請求項2に記載の流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項4】
さらに、前記第1の隔置されている磁性部材及び前記第2の隔置されている磁性部材と前記固定磁性部材との間にそれぞれ位置決めされた第1の弾性緩衝部材及び第2の弾性緩衝部材を備えている請求項2に記載の流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項5】
前記弁移動機構は、前記第1の付勢力を発生する第1のばねと、前記第2の付勢力を発生する第2のばねとを備えている請求項1に記載の流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項6】
前記弁移動機構は、スプールを備え、該スプールは、往復運動できるように装着されると共に、前記軸部材と前記第1のばね及び前記第2のばねとに作動可能に結合されており、前記軸部材は、前記行程の前記第1の終端及び前記第2の終端のそれぞれに近づくと、前記スプールを第1の方向及びその反対の第2の方向へ移動させ、それによって、前記第1のばね及び前記第2のばねを圧縮して、前記第1の付勢力及び前記第2の付勢力を発生させる請求項5に記載の流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項7】
前記磁気移動止め装置は、前記弁と前記弁移動機構との間に位置決めされている請求項1に記載の流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項8】
前記弁移動機構は、前記弁と前記磁気移動止め装置との間に位置決めされている請求項1に記載の流体圧力で作動するピストンエンジン装置。
【請求項9】
加熱接着剤をポンプ輸送する装置であって、
ピストン室と、該ピストン室内で往復運動するように装着されたピストンと、第1の終端及び第2の終端を有する行程に沿って該ピストンと共に往復運動するように該ピストンに結合された軸部材とを備える流体圧力で作動するポンプと、
前記ピストン室の外部に装着されて、少なくとも摂氏176.7度(華氏350度)の温度で作動することができる弁であって、前記ピストンの両側の第1の側と第2の側とで前記ピストン室内へ加圧流体を選択的に導くように構成された弁と、
該弁は、弁素子を備え、該弁素子は、(i)該弁が前記ピストンの前記第1の側で前記ピストン室内へ前記加圧流体を導き、それによって、前記軸部材を前記行程の前記第1の終端へ向かって移動させる第1の位置と、(ii)前記弁が前記ピストンの前記第2の側で前記ピストン室内へ前記加圧流体を導き、それによって、前記軸部材を前記行程の前記第2の終端へ向かって移動させる第2の位置との間で可動であり、
前記軸部材を前記弁素子に作動可能に結合すると共に、少なくとも摂氏176.7度(華氏350度)の温度で作動することができる弁移動機構と、
前記弁移動機構は、前記軸部材が前記行程の前記第1の終端に近づくと第1の付勢力を発生させ、前記軸部材が前記行程の前記第2の終端に近づくと第2の付勢力を発生させる付勢装置を備えており、
少なくとも摂氏176.7度(華氏350度)の温度で作動することができるとともに、前記弁素子に結合された弁駆動部材を備える磁気移動止め装置とを備えたピストンエンジン装置において、
前記弁駆動部材は、前記弁素子の第1の位置において前記弁素子を保持する第1の磁気的に保持される位置と、前記弁素子の第2の位置において前記弁素子を保持する第2の磁気的に保持される位置との間で移動可能であり、
前記軸部材が前記行程の前記第1の終端及び前記第2の終端のそれぞれに近づくと、前記第1の付勢力及び前記第2の付勢力のそれぞれが少なくとも部分的に用いられて前記弁駆動部材を保持する磁気吸着力に打ち勝ち、それによって、前記弁駆動部材が、前記第1の磁気的に保持される位置と前記第2の磁気的に保持される位置との間で移動して、前記弁素子を移動させ、前記加圧流体を前記ピストン室内へ方向を変えて導き、前記軸部材の進行方向を逆転させる加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項10】
前記磁気移動止め装置は、固定磁性部材を備え、前記弁駆動部材は、該固定磁性部材の両側において往復運動できるように装着された第1の隔置されている磁性部材及び第2の隔置されている磁性部材を備え、該一対の磁性部材は、前記弁素子と共に移動できるように結合されている請求項9に記載の加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項11】
前記固定磁性部材は、永久磁石を備え、前記第1の隔置されている磁性部材及び前記第2の隔置されている磁性部材のそれぞれは、金属板部材を備えている請求項10に記載の加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項12】
さらに、前記第1の隔置されている磁性部材及び前記第2の隔置されている磁性部材と前記固定磁性部材との間にそれぞれ位置決めされた第1の弾性緩衝部材及び第2の弾性緩衝部材を備えている請求項10に記載の加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項13】
前記弁移動機構は、前記第1の付勢力を発生する第1のばねと、前記第2の付勢力を発生する第2のばねとを備えている請求項9に記載の加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項14】
前記弁移動機構は、スプールを備え、該スプールは、往復運動できるように装着されると共に、前記軸部材と前記第1のばね及び前記第2のばねとに作動可能に結合されており、前記軸部材は、前記行程の前記第1の終端及び前記第2の終端のそれぞれに近づくと、前記スプールを第1の方向及びその反対の第2の方向へ移動させ、それによって、前記第1のばね及び前記第2のばねを圧縮して、前記第1の付勢力及び前記第2の付勢力を発生させる請求項13に記載の加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項15】
前記磁気移動止め装置は、前記弁と前記弁移動機構との間に位置決めされている請求項9に記載の加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項16】
前記弁移動機構は、前記弁と前記磁気移動止め装置との間に位置決めされている請求項9に記載の加熱接着剤をポンプ輸送する装置。
【請求項17】
軸部材に結合されたピストンを備えた複動式ピストンを作動させる方法であって、
第1の磁力によって第1の位置に保持されている弁素子を備える弁に加圧空気を通し、さらに、該加圧空気を前記ピストンの第1の側へ導くことにより、前記軸部材を行程の第1の終端へ向かって移動させることと、
前記軸部材が前記行程の前記第1の終端に近づいたときに、前記弁素子に第1の付勢力を与えるために付勢装置を駆動することと、
前記第1の付勢力で前記第1の磁力を克服することにより前記弁素子が前記第2の位置へ移動し、前記空気が、前記弁を通して前記ピストンの反対側の第2の側へ向かって方向を変えて導かれ、それによって、前記軸部材を反対方向である前記行程の第2の終端へ向かう方向へ移動させることと
を含む方法。
【請求項18】
前記弁素子を第2の磁力によって前記第2の位置に保持することと、
前記軸部材が前記行程の前記第2の終端に近づいたときに、前記付勢装置を駆動して、第2の付勢力を前記弁素子に与えることと、
前記第2の付勢力で前記第2の磁力を克服することにより前記弁素子が前記第1の位置へ戻り、前記空気が、前記弁を通して前記ピストンの第1の側へ向かって方向を変えて導かれ、それによって、前記軸部材を前記行程の前記第1の終端へ向かって前記軸部材を戻すことと、
を含む請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−190521(P2008−190521A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−310165(P2007−310165)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】