流体排出機能を備えたダックビル型シール
トロカールアセンブリで一般的に使用するためのシールアセンブリであって、シールアセンブリの中央部からの流体の移動を選択的に促進するシールアセンブリが提供される。例示的一実施形態では、シールアセンブリのシール体の内表面が、シール体の中央部からシール体の周縁部へと向かうこうした流体の移動を選択的に促進するように構成されている。異なる構成、幾何学的形状、及び寸法を検討するが、こうした構成の一例では、シール体の中央部をシール体の周縁部よりも基端側の位置に配置する。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本願はトロカールアセンブリに関し、より詳細には、トロカールアセンブリにおいてしばしば使用されるシールアセンブリに関する。
【0002】
〔背景技術〕
外科手術では外科医が患者の体腔にアクセスを得る必要がしばしば生ずる。一般にこうした手術が必要とされる場合、体腔の外壁を切開し、切開によって形成された作業通路に器具を挿入する。こうした手術で使用される一般的な器具の1つにトロカールアセンブリがある。トロカールアセンブリは様々な構成要素を有するが、一般にトロカールカニューレ、トロカール栓子、及びトロカールハウジングを有し得る。多くの設計では、体腔へのアクセスを得るためには皮膚を貫通してトロカールカニューレを導入し、トロカール栓子をカニューレによって画定される内腔を通じて挿入する。次いでトロカール栓子を用いて、メス又は同様の器具によって、多くの場合、切開創が既に形成されている皮膚を貫通して体腔にアクセスする。より具体的には、特定の設計においては、トロカール栓子の基端に圧力を作用させることによって、トロカール栓子の末端の尖った先端部を体腔に進入するまで皮膚を貫通させて押し込む。次いで、トロカール栓子によって形成された穿孔にトロカールカニューレを挿通し、トロカール栓子を抜去すると、トロカールカニューレの内腔が身体の外側から体腔にアクセスするための通路として残る。
【0003】
トロカールハウジングはトロカールカニューレの基端部分に連結することが可能であり、カニューレの内腔と連通した開放末端部分を有する作業チャンバを更に画定することができる。内腔は、栓子を受容できるのと同様に、他の長尺の手術器具も受容することが可能であり、これにより、トロカールハウジングによって画定される作業チャンバの基端部分を通じて器具を軸方向にカニューレ内に延長したり、カニューレから引き抜くことができる。例えば、外科医が手術中により見やすくするように、カニューレを通じて内視鏡を体腔の近傍又は内部に挿入することができる。
【0004】
トロカールアセンブリにおいてはシールアセンブリ又はシール装置を使用することが一般的である。シールアセンブリは一般に外科手術の際に流体やガスが漏れることを防止する。こうした防止措置は、注入ガスを使用して体腔を拡張するような特定の低侵襲性の外科手術において特に必要とされる。しかしながら、手術の過程では、通常、トロカールアセンブリの内外に器具が通されるためにガスの内圧を保つことが困難である場合がある。このため、シールアセンブリ(しばしば2個のシールアセンブリ)がトロカールアセンブリに一般的に設けられる。シールアセンブリは、挿入された器具の外表面に対してシールすることによってトロカールカニューレを通じて流体及び注入ガスが体腔から漏れる、かつ/又は体腔に入ることを防止することができる。
【0005】
2個のシールアセンブリが設けられる場合では、上部、すなわち基端側となるシールは、外科器具が存在する場合にその周囲をシールするように通常設計され、下部、すなわち末端側となるシールは外科器具が存在しない場合にトロカールカニューレをシールするように通常設計されている。末端側シールの1つのタイプとして「ダックビル」型のシールがある。ダックビル型シールアセンブリは、ちょうどアヒルがくちばしを開閉するような要領で開閉する2個の対向した弁部材を概して有している。更にダックビル型シールアセンブリは、アセンブリの開閉の際の屈曲点を規定する直線状の壁の角度を有してもよく、又はこれに代えて、同じ目的を果たすが、高い引き裂き強度と坐屈防止性を更に有する多角化された壁部を有してもよい。
【0006】
こうしたシールアセンブリは、流体及び注入ガスがトロカールカニューレを通じて体腔から漏れる、かつ/又は体腔に入ることを防止するうえで効果的であるが、シール状に蓄積する流体が、シールを通じて器具が挿入される際に器具上にしばしば擦り付けられる。これは、流体がしばしばカメラレンズに直接擦り付けられ、外科医の視界を妨げることから内視鏡などの器具において特に問題となる。
【0007】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
したがって、トロカールアセンブリの内外に通される外科器具への流体の蓄積を最小にするシールアセンブリが求められている。
【0008】
〔課題を解決するための手段〕
シールアセンブリの中央部からの流体の移動を選択的に促進するための1以上のシールアセンブリを有するトロカールが概して提供される。一実施形態では、トロカールアセンブリで使用するためのシールアセンブリが提供され、前記シールアセンブリは、物体がシール体に挿入されることに対応して前記シールアセンブリを選択的に開放するように構成されたシール体を有する。例示的一実施形態では、シール体の内表面は、シール体の中央部からシール体の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている。一実施形態では、シール体の中央部はシール体の周縁部よりも基端側の位置に位置する。更に、シール体の内表面は任意の数の幾何学形状で形成することができるが、2つの例示的実施形態では、シール体の内表面は中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるか、又はこれに代えて、シール体の内表面は中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びる。一実施形態では、シールアセンブリはダックビル型シールアセンブリである。
【0009】
トロカールアセンブリで使用するためのシールアセンブリの別の実施形態では、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体が提供される。同様に、シール体の基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素が提供される。対向したシール要素は、シール体の末端に位置するシール面で合流する内表面と外表面とを有してよく、更に、対向したシール要素はシール面を選択的に開放し、かつ実質的に閉鎖するように構成することができる。例示的一実施形態では、シール要素の内表面は、シール面におけるシール要素の中央部からシール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成することができる。一実施形態では、シール要素の内表面のそれぞれの中央部は、シール面におけるシール要素の周縁部よりも基端側の位置に位置する。更に、シール要素のそれぞれの内表面は任意の数の幾何学形状で形成することができるが、2つの例示的実施形態では、内表面は中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるか、又はこれに代えて、シール要素のそれぞれの内表面は中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びる。別の実施形態では、シール体は、該シール体の末端に形成された1以上の通路を有し、該1以上の通路はシール要素の中央部から移動する流体を受容するように構成することができる。一実施形態では、シールアセンブリはダックビル型シールアセンブリである。更なる別の実施形態では、前記複数のシール要素は2個のシール要素である。
【0010】
トロカールアセンブリの一実施形態では、ハウジングから延びるカニューレが設けられることによって、ハウジングとカニューレとが手術器具を受容するようなサイズ及び形態に構成された作業通路を画定する。シールアセンブリの少なくとも一部分を作業通路内に配置することが可能であり、該シールアセンブリは、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体を有し得る。更に、複数の対向したシール面が、シール体の基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延び得る。対向したシール要素は、シール体の末端のシール面で合流する内表面と外表面とを有することにより、シール要素がシール面を選択的に開放し、かつ実質的に閉鎖するようにシール要素を構成することができる。例示的一実施形態では、シール要素の内表面は、シール面におけるシール要素の中央部からシール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成することができる。一実施形態では、シール要素の内表面のそれぞれの中央部は、シール面におけるシール要素の周縁部よりも基端側の位置に位置する。更に、シール要素のそれぞれの内表面は任意の数の幾何学形状で形成することができるが、2つの例示的実施形態では、内表面は中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるか、又はこれに代えて、シール要素のそれぞれの内表面は中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びる。一実施形態では、トロカールアセンブリのシールアセンブリはダックビル型シールアセンブリである。トロカールアセンブリは1個のシールアセンブリを有してもよいが、別の実施形態では、トロカールアセンブリが2個のシールアセンブリを有することにより、第2のシールアセンブリが第1のシールアセンブリから基端側に間隔をおいて配され、更に第1のシールアセンブリと同様、第2のシールアセンブリも選択的に開放及び実質的な閉鎖を行うように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全に理解されよう。
【図1】トロカールアセンブリの例示的一実施形態の等角図。
【図2】シールアセンブリの例示的一実施形態を有する図1のトロカールアセンブリの等角分解図。
【図3】T−T線に沿った図1のトロカールアセンブリの側断面図。
【図4】図2のシールアセンブリの例示的実施形態の等角図。
【図5】図4のシールアセンブリの上面斜視図。
【図6】図4のシールアセンブリの側面図。
【図7】S−S線に沿った図4のシールアセンブリの等角断面図。
【図8】S−S線に沿った図4のシールアセンブリの側断面図。
【図9】シールアセンブリの別の例示的実施形態の等角図。
【図10】図9のシールアセンブリの上面斜視図。
【図11】図9のシールアセンブリの側面図。
【図12】S’−S’線に沿った図9のシールアセンブリの等角断面図。
【図13】S’−S’線に沿った図9のシールアセンブリの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示する装置の構造、機能、製造並びに使用の原理について全体的理解を与えるため、特定の例示的実施形態を以下に述べる。これらの実施形態の1以上の例を付属の図面に示す。当業者であれば、本明細書で具体的に述べられ、付属の図面に示される装置は非限定的な例示的実施形態であって、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されるものであることは理解されよう。1つの例示的な実施形態に関連して示されるか述べられる特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。こうした改変及び変形は本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0013】
本明細書で述べるトロカールは、シール体の中央部からシール体の周縁部に向かう流体の選択的な移動を可能とするように構成されたシールアセンブリを有する。この選択的な移動は、様々な幾何学的形態を用いてシール体を形成することによって実現される。シール体の中央部分からの流体の移動は、外科手術の際にトロカールアセンブリの内外に内視鏡などの器具が通される際にシールに蓄積して器具に擦り付けられる流体の量が減少する、などの多くの利点を与えるものである。
【0014】
シールアセンブリを除けば、本開示に基づけば一般にトロカールアセンブリの一般的構造は本発明の一部をなすものではない。その点、当業者であれば、本明細書に開示される発明の趣旨から逸脱することなく、本発明のシールアセンブリを様々なトロカールアセンブリと使用するために適合することが可能である点は確実に認識されよう。更に、開示されるシールアセンブリは、トロカールアセンブリ用のダックビル型シールアセンブリとして概ね述べられるものの、当業者であれば本明細書で検討する設計は、ダックビル型シールアセンブリのみばかりではなく、あらゆるシールアセンブリ、及びシールアセンブリ又は同様の種類の要素を用いることで装置の一部をトロカールアセンブリに限らない別の装置から少なくとも部分的に遮断するような他の装置に等しく適用することができる点は認識されよう。
【0015】
図1〜3を参照すると、トロカールアセンブリ100は、トロカールカニューレ102及びトロカールハウジング(又はハンドル)104を一般に有し得る。更に、トロカールカニューレ102は開放基端部と開放末端部とを有する内腔を画定し得る。基端部はトロカールハウジング104の末端部104d内に延びて取り付けられ得る。トロカールハウジング104は作業通路106を画定し得る開放基端部104pを有し得る。一実施形態では、作業通路106は内部に少なくとも一部分が配置された基端側シールアセンブリ108を有し得る。例示的一実施形態では、作業通路106は、やはり内部に少なくとも一部分が配置されたダックビル型シールアセンブリ10、10’を更に有し得る。例えば図3に示されるように、ダックビル型シールアセンブリ10は、基端側シールアセンブリ108の末端側に配置され、トロカールハウジング104の作業通路106を選択的にシールすることが可能である。当業者であれば、例示的一実施形態では2個のシールアセンブリが作業通路106内に設けられるのに対して、他の実施形態では、1個のシールアセンブリ、又は2個よりも多いシールアセンブリをトロカールアセンブリ100において使用することも可能である点は認識されよう。更に、基端側シールアセンブリ108及びダックビル型シールアセンブリ10、10’は、クラウンリング110とガスケットリング112とを互いにスナップ嵌めした後、ガスケットリング112をトロカールハウジング104に固定するなどの異なる方法によって少なくとも一部分が作業通路116の内部となるように、所望の位置に固定することができる。更にガスケット保持リング114によってガスケットリング112とトロカールハウジング104との間の接続を確実に固定することができる。一実施形態では、トロカールハウジング104は、可撓性のチューブを通じたトロカールハウジング104及びトロカールカニューレ102の部分内への注入流体又はガス(例、二酸化炭素)の通過を可能とするか、かつ/又はこれを防止するように互いに協働するストップコック弁116及びストップコック弁レバー118を更に含み得る。
【0016】
基端側シールアセンブリ108は、トロカールカニューレ102を通じて少なくとも部分的に挿入される任意の器具の外面と協働することで基端側シールアセンブリ108が器具の外面をシールするように外面と係合し、これによりトロカールアセンブリ100内に器具が存在する場合にトロカールハウジング104を通じた流体の通過を防止するように構成することができる。あらゆる種類の器具(主として手術器具であるが)をトロカールカニューレ102を通じて少なくとも部分的に挿入することができる。こうした器具の1つの例として、低侵襲性の外科手術の際の視覚化を可能とする内視鏡又はこれに類する装置がある。当業者であれば、他の多くの器具をトロカールカニューレ102の少なくとも一部の中へ挿入することができることが知られており、したがって同様に基端側シールアセンブリ108がこうした器具の外面をシールするように外面と係合可能であることは認識されるであろう。
【0017】
図4〜13を大まかに参照すると、ダックビル型シールアセンブリ10、10’は、基端12p、12p’及び末端12d、12d’を有するシール体12、12’、シール体12、12’を通じて延びる長手方向軸L、L’(図6及び11)、及び長手方向軸L、L’にほぼ直交する横断面を一般的に有し得る。シール体12、12’は、物体がシール体12、12’に挿入されることに応じてシールアセンブリ10、10’を選択的に開放するように構成することができる。更に、シール体12、12’の基端12p、12p’はシール体12、12’の幅を超えて延びる外周フランジ14、14’を有し得る。
【0018】
一実施形態ではシール体12、12’は一体構造であってよい。別の実施形態では、シール体12、12’は複数の対向したシール要素を有し得る。図に示した実施形態では、2個のシール要素16、16’、18、18’がシール体を構成している。他の実施形態では、3個以上のシール要素がシール体を形成してもよい。シール要素16、16’、18、18’は、シール体12、12’の基端12p、12p’から横断面に対して鋭角をなして末端側に延び得る。シール要素16、16’、18、18’は、中央部20、20’及び周縁部22、並びに内表面24、24’及び外表面26、26’を有し得る。いくつかの実施形態では、当業者には周知であるように1以上のリブ28、28’又は他の突出構造を内表面24、24’と関連して設けることによって更なる安定性などの様々な利点を得ることができる。例示的一実施形態では、シール要素16、16’、18、18’の内表面24、24’はシール体12、12’の末端12d、12d’において合流してシール面30、30’を形成してもよく、更にシール体12、12’及び/又はシール要素16、16’、18、18’はシール面30、30’を選択的に開放及び実質的に閉鎖するように一般的に構成することができる。
【0019】
一態様では、シール要素16、16’、18、18’の内表面24、24’は、内表面24、24’がシール体12、12’の中央部20、20’からシール体12、12’の周縁部22、22’に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成される。様々な構成を用いてこの設計上の目的を実現することができるが、一実施形態では中央部20、20’を周縁部22、22’よりも基端側となるように配置することができる。換言すると、中央部20、20’を周縁部22、22’に対して基端側に隆起させる。
【0020】
これら2つの図に示した実施形態を更に詳細に検討する前に、図の実施形態はシール体12、12’及びシール要素16、16’、18、18’を有するシールアセンブリ10、10’を備えるが、当業者であればここで検討するような特徴は一体型のシール体における使用に容易に適合可能である点は認識されるであろうことは注意を要する。しかしながら参照を容易にするため、本発明は、シール要素16、16’、18、18’を有するシール体12、12’を備えたシールアセンブリについて述べることとする。
【0021】
図4〜8は、シール要素16、18の内表面24が、シール面30におけるシール要素16、18の中央部20からシール要素16、18の周縁部22に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されたシールアセンブリ10としての一実施形態を示したものである。この実施形態では、中央部20は周縁部22よりも基端側に位置している。更に、シール要素16、18のそれぞれの内表面24はシール面30の中央部20から周縁部22へとほぼ直線状に延びている。中央部20におけるシール要素16、18の最も基端側の部分と周縁部22における最も末端側の部分との間の高さの差H1(図8)は異なる値を取り得る。しかしながら一般的には高さの差H1は、約0.13〜0.64cm(0.050〜0.250インチ)の範囲であればよい。例示的一実施形態では、高さの差H1は、約0.33cm(0.128インチ)である。この実施形態では、シール要素16、18の内表面24は直線状に延びているため、内表面の向きを所定の角度として表わすこともできる。内表面がシール要素の周縁部22に向かって傾斜する角度は異なり得るが、水平に対する角度は概ね約10°〜25°の範囲である。例示的な一実施形態ではこの角度は約14°である。
【0022】
図9〜13は、シールアセンブリ10’が円弧状の形態を有することにより、シール要素16’、18’の内表面24’がシール面30’におけるシール要素16’、18’の中央部20’からシール要素16’、18’の周縁部22’に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成された別の実施形態を示したものである。図9〜13に示される実施形態は、図4〜8に示される実施形態と機能的に似ているが、シール要素が図4〜8に示されるような直線的な方向の内表面を有する代わりに湾曲した内表面を有している。より詳細には、中央部20’は周縁部22’よりも基端側に位置している。図に示されるように、シール要素16’、18’のそれぞれの内表面24’はシール面30’の中央部20’から周縁部22’へとほぼ円弧状に延びている。一実施形態では、シール体12’の中央部20’と周縁部22’との間の高さの差H2(図13)は、約0.13〜0.64cm(0.050〜0.250インチ)の範囲である。例示的一実施形態では、高さの差H2は、約0.39cm(0.155インチ)である。図9〜13の実施形態では、内表面24’はほぼ円弧状に延びているため、結果として生じる円弧の半径を測定することができる。この半径は異なる値を取り得るが、約1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の範囲であってよい。例示的な一実施形態では半径は約1.9cm(0.772インチ)である。
【0023】
再び図4〜13を参照すると、シール体12、12’の末端12d、12d’は、シールの周縁領域24、24’において、中央部20、20’から移動する流体を受容することができる1以上の通路32、32’を有してよい。当業者であれば、シールアセンブリ10、10’の外部へと中央部20、20’から移動する流体を保持、貯蔵、及び/又は除去することが可能な他の機構を、シールアセンブリ10、10’における使用に容易に適合することも可能である点は認識されるであろう。非限定的な例として、中央部20、20’から流体が除去される際に流体がシールアセンブリ10、10’から直接排出されるようにしてもよく、あるいは、流体をシールアセンブリ10、10’の外部に排出することが可能な吸引管をシールアセンブリ10、10’が有してもよい。図9〜13に示されるように、シール体12’は、シール体12’の末端12d’に位置する1以上の面取り34’を場合により更に有してもよい。面取り34’によって与えられる少なくとも1つの利点は、面取り34’によって流体が通路32’の隅に溜まることが防止される点である。図13に示される実施形態では、面取り34’は約15°の角度で形成されているが、面取り34’に異なる角度を用いて同様の結果を得ることも可能である。面取りを、図4〜8に示されるシール体12、並びに本開示の範囲に包含されるシールアセンブリの他の設計に含めることも可能である点は理解されよう。
【0024】
シールアセンブリ10、10’の性能を向上させる更なる特徴を本明細書に開示されるような装置に組み込むことも可能である。例えば、一実施形態では、ここにその全容を援用する、2004年9月17日出願の発明の名称が「多角化されたダックビル型シールアセンブリ」(Multi-Angled Duckbill Seal Assembly)である、ボエゲレ(Voegele)等による米国特許出願公開第2005/0077688号においてより詳細に検討されているように、シール要素16、16’、18、18’は多角化された表面を有してもよい。
【0025】
シール体12、12’は広範な材料で形成することができる。例えば、例示的一実施形態ではシール体12、12’は、例えばシリコーン又はポリイソプレンを含むエラストマーなどのポリマーで形成することができる。当業者であれば、他の材料をシールアセンブリ10、10’、特にシール体12、12’及び/又はシール要素16、16’、18、18’を形成するうえで使用することができることが認識されるであろう。
【0026】
更に、ここでは例示的実施形態として2つの異なる幾何学的設計を示したが、当業者であれば、シール面30、30’における、シール要素16、16’、18、18’の中央部20、20’からシール要素16、16’、18、18’の周縁部22、22’に向かう流体の移動を選択的に促進することが可能な、シールアセンブリ10、10’にやはり組み込むことができる様々な他の設計が考えられることは認識されるであろう。同様に、本明細書で開示する寸法は、例示的実施形態において使用することが可能な寸法の範囲を与えるものであるが、当業者であれば同様の装置において他の寸法を用いることによっても同様の結果が得られることは認識されるであろう。目的とする用途、製造の容易さ、及びシールアセンブリ10、10’と併せて使用される他のアセンブリの設計などの多くの要因によって、同様のシールアセンブリにおいて使用するために選択される幾何学的形態、形状、寸法及び材料に関連した設計の選択は影響され得る。本明細書において具体的に開示されていない幾何学的形態、形状、寸法、及び材料は開示される装置の趣旨から逸脱するものではない点は理解されよう。更に、開示される装置の記載において直線状又は円形の寸法が用いられる限りにおいて、こうした寸法はシールアセンブリにおいて用いることができる形状の種類を限定することを目的としたものではない。当業者であれば、任意の幾何学的形状についてこうした直線状及び円形の寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点は認識されるであろう。同様な理由で、本明細書において開示される設計は対称的な設計を示したものであるが、他の実施形態では非対称的な設計を使用することも可能である。同様に、一実施形態では、シールアセンブリは、シール面においてシール要素の中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるシール要素の少なくとも1つの内表面と、シール面においてシール要素の中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びるシール要素の少なくとも1つの内表面とを有してもよい。
【0027】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を本明細書に特に援用するものである。
【0028】
〔実施態様〕
(1) トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
基端及び末端を有し、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体と、
前記シール体の前記基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素であって、内表面及び外表面を有するとともに前記シール体の前記末端のシール面において合流し、該シール面を選択的に開放、及び実質的に閉鎖するように構成された、対向したシール要素と、を備え、
前記シール要素の前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の中央部から前記シール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
(2) 前記シール要素の前記内表面のそれぞれの中央部が、前記シール面における前記シール要素の前記周縁部よりも基端側の位置にある、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(3) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、実施態様2に記載のシールアセンブリ。
(4) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、実施態様2に記載のシールアセンブリ。
(5) 前記シール要素の前記内表面のそれぞれの前記周縁部にわたり、かつ前記シール要素のそれぞれの前記中央部を通じて延びる円弧が、約1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の範囲の半径を有する、実施態様4に記載のシールアセンブリ。
(6) 前記シール体が更に、該シール体の前記末端に形成された1以上の通路であって、前記内表面と連通することによって、前記シール要素の前記中央部から移動する流体を受容する、1以上の通路を有する、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(7) ダックビル型シールアセンブリである、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(8) 2個のシール要素を有する、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(9) トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
シール体であって、物体が前記シール体に挿入されることに応じて前記シールアセンブリを選択的に開放するように構成されており、内表面並びに基端及び末端を有する、シール体を備え、
前記シール体の前記内表面が、前記シール体の中央部から前記シール体の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
(10) 前記シール体の前記中央部が、前記シール体の前記周縁部よりも基端側の位置にある、実施態様9に記載のシールアセンブリ。
(11) 前記シール体の前記内表面が、前記シール体の前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、実施態様10に記載のシールアセンブリ。
(12) 前記シール体の前記内表面が、前記シール体の前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、実施態様10に記載のシールアセンブリ。
(13) ダックビル型シールアセンブリである、実施態様10に記載のシールアセンブリ。
(14) ハウジングであって、前記ハウジングから延出するカニューレを有しており、該ハウジングと該カニューレとは手術器具を受容するようなサイズ及び形態に構成された作業通路を画定する、ハウジングと、
前記作業通路内に少なくとも一部分が配置されるシールアセンブリであって、
基端及び末端を有し、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体と、
前記シール体の前記基端の外周フランジから前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素であって、内表面及び外表面を有するとともに前記シール体の前記末端のシール面において合流し、該シール面を選択的に開放、及び実質的に閉鎖するように構成された、対向したシール要素と、を備え、
前記シール要素の前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の中央部から前記シール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、
シールアセンブリと、を備える、トロカールアセンブリ。
(15) 前記シール要素の前記内表面のそれぞれの中央部が、前記シール面における前記シール要素の前記周縁部よりも基端側の位置にある、実施態様14に記載のトロカールアセンブリ。
(16) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、実施態様15に記載のトロカールアセンブリ。
(17) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、実施態様15に記載のトロカールアセンブリ。
(18) 前記第1のシールアセンブリから基端側に間隔をおいて配される第2のシールアセンブリであって、選択的に開放及び実質的閉鎖を行うように構成された、第2のシールアセンブリを更に備える、実施態様14に記載のトロカールアセンブリ。
(19) 前記シールアセンブリがダックビル型シールアセンブリである、実施態様14に記載のトロカールアセンブリ。
【開示の内容】
【0001】
〔技術分野〕
本願はトロカールアセンブリに関し、より詳細には、トロカールアセンブリにおいてしばしば使用されるシールアセンブリに関する。
【0002】
〔背景技術〕
外科手術では外科医が患者の体腔にアクセスを得る必要がしばしば生ずる。一般にこうした手術が必要とされる場合、体腔の外壁を切開し、切開によって形成された作業通路に器具を挿入する。こうした手術で使用される一般的な器具の1つにトロカールアセンブリがある。トロカールアセンブリは様々な構成要素を有するが、一般にトロカールカニューレ、トロカール栓子、及びトロカールハウジングを有し得る。多くの設計では、体腔へのアクセスを得るためには皮膚を貫通してトロカールカニューレを導入し、トロカール栓子をカニューレによって画定される内腔を通じて挿入する。次いでトロカール栓子を用いて、メス又は同様の器具によって、多くの場合、切開創が既に形成されている皮膚を貫通して体腔にアクセスする。より具体的には、特定の設計においては、トロカール栓子の基端に圧力を作用させることによって、トロカール栓子の末端の尖った先端部を体腔に進入するまで皮膚を貫通させて押し込む。次いで、トロカール栓子によって形成された穿孔にトロカールカニューレを挿通し、トロカール栓子を抜去すると、トロカールカニューレの内腔が身体の外側から体腔にアクセスするための通路として残る。
【0003】
トロカールハウジングはトロカールカニューレの基端部分に連結することが可能であり、カニューレの内腔と連通した開放末端部分を有する作業チャンバを更に画定することができる。内腔は、栓子を受容できるのと同様に、他の長尺の手術器具も受容することが可能であり、これにより、トロカールハウジングによって画定される作業チャンバの基端部分を通じて器具を軸方向にカニューレ内に延長したり、カニューレから引き抜くことができる。例えば、外科医が手術中により見やすくするように、カニューレを通じて内視鏡を体腔の近傍又は内部に挿入することができる。
【0004】
トロカールアセンブリにおいてはシールアセンブリ又はシール装置を使用することが一般的である。シールアセンブリは一般に外科手術の際に流体やガスが漏れることを防止する。こうした防止措置は、注入ガスを使用して体腔を拡張するような特定の低侵襲性の外科手術において特に必要とされる。しかしながら、手術の過程では、通常、トロカールアセンブリの内外に器具が通されるためにガスの内圧を保つことが困難である場合がある。このため、シールアセンブリ(しばしば2個のシールアセンブリ)がトロカールアセンブリに一般的に設けられる。シールアセンブリは、挿入された器具の外表面に対してシールすることによってトロカールカニューレを通じて流体及び注入ガスが体腔から漏れる、かつ/又は体腔に入ることを防止することができる。
【0005】
2個のシールアセンブリが設けられる場合では、上部、すなわち基端側となるシールは、外科器具が存在する場合にその周囲をシールするように通常設計され、下部、すなわち末端側となるシールは外科器具が存在しない場合にトロカールカニューレをシールするように通常設計されている。末端側シールの1つのタイプとして「ダックビル」型のシールがある。ダックビル型シールアセンブリは、ちょうどアヒルがくちばしを開閉するような要領で開閉する2個の対向した弁部材を概して有している。更にダックビル型シールアセンブリは、アセンブリの開閉の際の屈曲点を規定する直線状の壁の角度を有してもよく、又はこれに代えて、同じ目的を果たすが、高い引き裂き強度と坐屈防止性を更に有する多角化された壁部を有してもよい。
【0006】
こうしたシールアセンブリは、流体及び注入ガスがトロカールカニューレを通じて体腔から漏れる、かつ/又は体腔に入ることを防止するうえで効果的であるが、シール状に蓄積する流体が、シールを通じて器具が挿入される際に器具上にしばしば擦り付けられる。これは、流体がしばしばカメラレンズに直接擦り付けられ、外科医の視界を妨げることから内視鏡などの器具において特に問題となる。
【0007】
〔発明の概要〕
〔発明が解決しようとする課題〕
したがって、トロカールアセンブリの内外に通される外科器具への流体の蓄積を最小にするシールアセンブリが求められている。
【0008】
〔課題を解決するための手段〕
シールアセンブリの中央部からの流体の移動を選択的に促進するための1以上のシールアセンブリを有するトロカールが概して提供される。一実施形態では、トロカールアセンブリで使用するためのシールアセンブリが提供され、前記シールアセンブリは、物体がシール体に挿入されることに対応して前記シールアセンブリを選択的に開放するように構成されたシール体を有する。例示的一実施形態では、シール体の内表面は、シール体の中央部からシール体の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている。一実施形態では、シール体の中央部はシール体の周縁部よりも基端側の位置に位置する。更に、シール体の内表面は任意の数の幾何学形状で形成することができるが、2つの例示的実施形態では、シール体の内表面は中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるか、又はこれに代えて、シール体の内表面は中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びる。一実施形態では、シールアセンブリはダックビル型シールアセンブリである。
【0009】
トロカールアセンブリで使用するためのシールアセンブリの別の実施形態では、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体が提供される。同様に、シール体の基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素が提供される。対向したシール要素は、シール体の末端に位置するシール面で合流する内表面と外表面とを有してよく、更に、対向したシール要素はシール面を選択的に開放し、かつ実質的に閉鎖するように構成することができる。例示的一実施形態では、シール要素の内表面は、シール面におけるシール要素の中央部からシール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成することができる。一実施形態では、シール要素の内表面のそれぞれの中央部は、シール面におけるシール要素の周縁部よりも基端側の位置に位置する。更に、シール要素のそれぞれの内表面は任意の数の幾何学形状で形成することができるが、2つの例示的実施形態では、内表面は中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるか、又はこれに代えて、シール要素のそれぞれの内表面は中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びる。別の実施形態では、シール体は、該シール体の末端に形成された1以上の通路を有し、該1以上の通路はシール要素の中央部から移動する流体を受容するように構成することができる。一実施形態では、シールアセンブリはダックビル型シールアセンブリである。更なる別の実施形態では、前記複数のシール要素は2個のシール要素である。
【0010】
トロカールアセンブリの一実施形態では、ハウジングから延びるカニューレが設けられることによって、ハウジングとカニューレとが手術器具を受容するようなサイズ及び形態に構成された作業通路を画定する。シールアセンブリの少なくとも一部分を作業通路内に配置することが可能であり、該シールアセンブリは、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体を有し得る。更に、複数の対向したシール面が、シール体の基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延び得る。対向したシール要素は、シール体の末端のシール面で合流する内表面と外表面とを有することにより、シール要素がシール面を選択的に開放し、かつ実質的に閉鎖するようにシール要素を構成することができる。例示的一実施形態では、シール要素の内表面は、シール面におけるシール要素の中央部からシール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成することができる。一実施形態では、シール要素の内表面のそれぞれの中央部は、シール面におけるシール要素の周縁部よりも基端側の位置に位置する。更に、シール要素のそれぞれの内表面は任意の数の幾何学形状で形成することができるが、2つの例示的実施形態では、内表面は中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるか、又はこれに代えて、シール要素のそれぞれの内表面は中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びる。一実施形態では、トロカールアセンブリのシールアセンブリはダックビル型シールアセンブリである。トロカールアセンブリは1個のシールアセンブリを有してもよいが、別の実施形態では、トロカールアセンブリが2個のシールアセンブリを有することにより、第2のシールアセンブリが第1のシールアセンブリから基端側に間隔をおいて配され、更に第1のシールアセンブリと同様、第2のシールアセンブリも選択的に開放及び実質的な閉鎖を行うように構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明は、以下の詳細な説明を付属の図面と併せ読むことでより完全に理解されよう。
【図1】トロカールアセンブリの例示的一実施形態の等角図。
【図2】シールアセンブリの例示的一実施形態を有する図1のトロカールアセンブリの等角分解図。
【図3】T−T線に沿った図1のトロカールアセンブリの側断面図。
【図4】図2のシールアセンブリの例示的実施形態の等角図。
【図5】図4のシールアセンブリの上面斜視図。
【図6】図4のシールアセンブリの側面図。
【図7】S−S線に沿った図4のシールアセンブリの等角断面図。
【図8】S−S線に沿った図4のシールアセンブリの側断面図。
【図9】シールアセンブリの別の例示的実施形態の等角図。
【図10】図9のシールアセンブリの上面斜視図。
【図11】図9のシールアセンブリの側面図。
【図12】S’−S’線に沿った図9のシールアセンブリの等角断面図。
【図13】S’−S’線に沿った図9のシールアセンブリの側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示する装置の構造、機能、製造並びに使用の原理について全体的理解を与えるため、特定の例示的実施形態を以下に述べる。これらの実施形態の1以上の例を付属の図面に示す。当業者であれば、本明細書で具体的に述べられ、付属の図面に示される装置は非限定的な例示的実施形態であって、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されるものであることは理解されよう。1つの例示的な実施形態に関連して示されるか述べられる特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。こうした改変及び変形は本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0013】
本明細書で述べるトロカールは、シール体の中央部からシール体の周縁部に向かう流体の選択的な移動を可能とするように構成されたシールアセンブリを有する。この選択的な移動は、様々な幾何学的形態を用いてシール体を形成することによって実現される。シール体の中央部分からの流体の移動は、外科手術の際にトロカールアセンブリの内外に内視鏡などの器具が通される際にシールに蓄積して器具に擦り付けられる流体の量が減少する、などの多くの利点を与えるものである。
【0014】
シールアセンブリを除けば、本開示に基づけば一般にトロカールアセンブリの一般的構造は本発明の一部をなすものではない。その点、当業者であれば、本明細書に開示される発明の趣旨から逸脱することなく、本発明のシールアセンブリを様々なトロカールアセンブリと使用するために適合することが可能である点は確実に認識されよう。更に、開示されるシールアセンブリは、トロカールアセンブリ用のダックビル型シールアセンブリとして概ね述べられるものの、当業者であれば本明細書で検討する設計は、ダックビル型シールアセンブリのみばかりではなく、あらゆるシールアセンブリ、及びシールアセンブリ又は同様の種類の要素を用いることで装置の一部をトロカールアセンブリに限らない別の装置から少なくとも部分的に遮断するような他の装置に等しく適用することができる点は認識されよう。
【0015】
図1〜3を参照すると、トロカールアセンブリ100は、トロカールカニューレ102及びトロカールハウジング(又はハンドル)104を一般に有し得る。更に、トロカールカニューレ102は開放基端部と開放末端部とを有する内腔を画定し得る。基端部はトロカールハウジング104の末端部104d内に延びて取り付けられ得る。トロカールハウジング104は作業通路106を画定し得る開放基端部104pを有し得る。一実施形態では、作業通路106は内部に少なくとも一部分が配置された基端側シールアセンブリ108を有し得る。例示的一実施形態では、作業通路106は、やはり内部に少なくとも一部分が配置されたダックビル型シールアセンブリ10、10’を更に有し得る。例えば図3に示されるように、ダックビル型シールアセンブリ10は、基端側シールアセンブリ108の末端側に配置され、トロカールハウジング104の作業通路106を選択的にシールすることが可能である。当業者であれば、例示的一実施形態では2個のシールアセンブリが作業通路106内に設けられるのに対して、他の実施形態では、1個のシールアセンブリ、又は2個よりも多いシールアセンブリをトロカールアセンブリ100において使用することも可能である点は認識されよう。更に、基端側シールアセンブリ108及びダックビル型シールアセンブリ10、10’は、クラウンリング110とガスケットリング112とを互いにスナップ嵌めした後、ガスケットリング112をトロカールハウジング104に固定するなどの異なる方法によって少なくとも一部分が作業通路116の内部となるように、所望の位置に固定することができる。更にガスケット保持リング114によってガスケットリング112とトロカールハウジング104との間の接続を確実に固定することができる。一実施形態では、トロカールハウジング104は、可撓性のチューブを通じたトロカールハウジング104及びトロカールカニューレ102の部分内への注入流体又はガス(例、二酸化炭素)の通過を可能とするか、かつ/又はこれを防止するように互いに協働するストップコック弁116及びストップコック弁レバー118を更に含み得る。
【0016】
基端側シールアセンブリ108は、トロカールカニューレ102を通じて少なくとも部分的に挿入される任意の器具の外面と協働することで基端側シールアセンブリ108が器具の外面をシールするように外面と係合し、これによりトロカールアセンブリ100内に器具が存在する場合にトロカールハウジング104を通じた流体の通過を防止するように構成することができる。あらゆる種類の器具(主として手術器具であるが)をトロカールカニューレ102を通じて少なくとも部分的に挿入することができる。こうした器具の1つの例として、低侵襲性の外科手術の際の視覚化を可能とする内視鏡又はこれに類する装置がある。当業者であれば、他の多くの器具をトロカールカニューレ102の少なくとも一部の中へ挿入することができることが知られており、したがって同様に基端側シールアセンブリ108がこうした器具の外面をシールするように外面と係合可能であることは認識されるであろう。
【0017】
図4〜13を大まかに参照すると、ダックビル型シールアセンブリ10、10’は、基端12p、12p’及び末端12d、12d’を有するシール体12、12’、シール体12、12’を通じて延びる長手方向軸L、L’(図6及び11)、及び長手方向軸L、L’にほぼ直交する横断面を一般的に有し得る。シール体12、12’は、物体がシール体12、12’に挿入されることに応じてシールアセンブリ10、10’を選択的に開放するように構成することができる。更に、シール体12、12’の基端12p、12p’はシール体12、12’の幅を超えて延びる外周フランジ14、14’を有し得る。
【0018】
一実施形態ではシール体12、12’は一体構造であってよい。別の実施形態では、シール体12、12’は複数の対向したシール要素を有し得る。図に示した実施形態では、2個のシール要素16、16’、18、18’がシール体を構成している。他の実施形態では、3個以上のシール要素がシール体を形成してもよい。シール要素16、16’、18、18’は、シール体12、12’の基端12p、12p’から横断面に対して鋭角をなして末端側に延び得る。シール要素16、16’、18、18’は、中央部20、20’及び周縁部22、並びに内表面24、24’及び外表面26、26’を有し得る。いくつかの実施形態では、当業者には周知であるように1以上のリブ28、28’又は他の突出構造を内表面24、24’と関連して設けることによって更なる安定性などの様々な利点を得ることができる。例示的一実施形態では、シール要素16、16’、18、18’の内表面24、24’はシール体12、12’の末端12d、12d’において合流してシール面30、30’を形成してもよく、更にシール体12、12’及び/又はシール要素16、16’、18、18’はシール面30、30’を選択的に開放及び実質的に閉鎖するように一般的に構成することができる。
【0019】
一態様では、シール要素16、16’、18、18’の内表面24、24’は、内表面24、24’がシール体12、12’の中央部20、20’からシール体12、12’の周縁部22、22’に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成される。様々な構成を用いてこの設計上の目的を実現することができるが、一実施形態では中央部20、20’を周縁部22、22’よりも基端側となるように配置することができる。換言すると、中央部20、20’を周縁部22、22’に対して基端側に隆起させる。
【0020】
これら2つの図に示した実施形態を更に詳細に検討する前に、図の実施形態はシール体12、12’及びシール要素16、16’、18、18’を有するシールアセンブリ10、10’を備えるが、当業者であればここで検討するような特徴は一体型のシール体における使用に容易に適合可能である点は認識されるであろうことは注意を要する。しかしながら参照を容易にするため、本発明は、シール要素16、16’、18、18’を有するシール体12、12’を備えたシールアセンブリについて述べることとする。
【0021】
図4〜8は、シール要素16、18の内表面24が、シール面30におけるシール要素16、18の中央部20からシール要素16、18の周縁部22に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されたシールアセンブリ10としての一実施形態を示したものである。この実施形態では、中央部20は周縁部22よりも基端側に位置している。更に、シール要素16、18のそれぞれの内表面24はシール面30の中央部20から周縁部22へとほぼ直線状に延びている。中央部20におけるシール要素16、18の最も基端側の部分と周縁部22における最も末端側の部分との間の高さの差H1(図8)は異なる値を取り得る。しかしながら一般的には高さの差H1は、約0.13〜0.64cm(0.050〜0.250インチ)の範囲であればよい。例示的一実施形態では、高さの差H1は、約0.33cm(0.128インチ)である。この実施形態では、シール要素16、18の内表面24は直線状に延びているため、内表面の向きを所定の角度として表わすこともできる。内表面がシール要素の周縁部22に向かって傾斜する角度は異なり得るが、水平に対する角度は概ね約10°〜25°の範囲である。例示的な一実施形態ではこの角度は約14°である。
【0022】
図9〜13は、シールアセンブリ10’が円弧状の形態を有することにより、シール要素16’、18’の内表面24’がシール面30’におけるシール要素16’、18’の中央部20’からシール要素16’、18’の周縁部22’に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成された別の実施形態を示したものである。図9〜13に示される実施形態は、図4〜8に示される実施形態と機能的に似ているが、シール要素が図4〜8に示されるような直線的な方向の内表面を有する代わりに湾曲した内表面を有している。より詳細には、中央部20’は周縁部22’よりも基端側に位置している。図に示されるように、シール要素16’、18’のそれぞれの内表面24’はシール面30’の中央部20’から周縁部22’へとほぼ円弧状に延びている。一実施形態では、シール体12’の中央部20’と周縁部22’との間の高さの差H2(図13)は、約0.13〜0.64cm(0.050〜0.250インチ)の範囲である。例示的一実施形態では、高さの差H2は、約0.39cm(0.155インチ)である。図9〜13の実施形態では、内表面24’はほぼ円弧状に延びているため、結果として生じる円弧の半径を測定することができる。この半径は異なる値を取り得るが、約1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の範囲であってよい。例示的な一実施形態では半径は約1.9cm(0.772インチ)である。
【0023】
再び図4〜13を参照すると、シール体12、12’の末端12d、12d’は、シールの周縁領域24、24’において、中央部20、20’から移動する流体を受容することができる1以上の通路32、32’を有してよい。当業者であれば、シールアセンブリ10、10’の外部へと中央部20、20’から移動する流体を保持、貯蔵、及び/又は除去することが可能な他の機構を、シールアセンブリ10、10’における使用に容易に適合することも可能である点は認識されるであろう。非限定的な例として、中央部20、20’から流体が除去される際に流体がシールアセンブリ10、10’から直接排出されるようにしてもよく、あるいは、流体をシールアセンブリ10、10’の外部に排出することが可能な吸引管をシールアセンブリ10、10’が有してもよい。図9〜13に示されるように、シール体12’は、シール体12’の末端12d’に位置する1以上の面取り34’を場合により更に有してもよい。面取り34’によって与えられる少なくとも1つの利点は、面取り34’によって流体が通路32’の隅に溜まることが防止される点である。図13に示される実施形態では、面取り34’は約15°の角度で形成されているが、面取り34’に異なる角度を用いて同様の結果を得ることも可能である。面取りを、図4〜8に示されるシール体12、並びに本開示の範囲に包含されるシールアセンブリの他の設計に含めることも可能である点は理解されよう。
【0024】
シールアセンブリ10、10’の性能を向上させる更なる特徴を本明細書に開示されるような装置に組み込むことも可能である。例えば、一実施形態では、ここにその全容を援用する、2004年9月17日出願の発明の名称が「多角化されたダックビル型シールアセンブリ」(Multi-Angled Duckbill Seal Assembly)である、ボエゲレ(Voegele)等による米国特許出願公開第2005/0077688号においてより詳細に検討されているように、シール要素16、16’、18、18’は多角化された表面を有してもよい。
【0025】
シール体12、12’は広範な材料で形成することができる。例えば、例示的一実施形態ではシール体12、12’は、例えばシリコーン又はポリイソプレンを含むエラストマーなどのポリマーで形成することができる。当業者であれば、他の材料をシールアセンブリ10、10’、特にシール体12、12’及び/又はシール要素16、16’、18、18’を形成するうえで使用することができることが認識されるであろう。
【0026】
更に、ここでは例示的実施形態として2つの異なる幾何学的設計を示したが、当業者であれば、シール面30、30’における、シール要素16、16’、18、18’の中央部20、20’からシール要素16、16’、18、18’の周縁部22、22’に向かう流体の移動を選択的に促進することが可能な、シールアセンブリ10、10’にやはり組み込むことができる様々な他の設計が考えられることは認識されるであろう。同様に、本明細書で開示する寸法は、例示的実施形態において使用することが可能な寸法の範囲を与えるものであるが、当業者であれば同様の装置において他の寸法を用いることによっても同様の結果が得られることは認識されるであろう。目的とする用途、製造の容易さ、及びシールアセンブリ10、10’と併せて使用される他のアセンブリの設計などの多くの要因によって、同様のシールアセンブリにおいて使用するために選択される幾何学的形態、形状、寸法及び材料に関連した設計の選択は影響され得る。本明細書において具体的に開示されていない幾何学的形態、形状、寸法、及び材料は開示される装置の趣旨から逸脱するものではない点は理解されよう。更に、開示される装置の記載において直線状又は円形の寸法が用いられる限りにおいて、こうした寸法はシールアセンブリにおいて用いることができる形状の種類を限定することを目的としたものではない。当業者であれば、任意の幾何学的形状についてこうした直線状及び円形の寸法に相当する寸法を容易に決定することができる点は認識されるであろう。同様な理由で、本明細書において開示される設計は対称的な設計を示したものであるが、他の実施形態では非対称的な設計を使用することも可能である。同様に、一実施形態では、シールアセンブリは、シール面においてシール要素の中央部から周縁部へとほぼ直線状に延びるシール要素の少なくとも1つの内表面と、シール面においてシール要素の中央部から周縁部へとほぼ円弧状に延びるシール要素の少なくとも1つの内表面とを有してもよい。
【0027】
当業者であれば、上記に述べた実施形態に基づく本発明の更なる特徴及び利点は認識されるであろう。したがって、本発明は、付属の特許請求の範囲において示される場合は例外として、具体的に図示、記載されたものに限定されるものではない。本明細書中に引用される刊行物及び参考文献はすべて、それらの全容を本明細書に特に援用するものである。
【0028】
〔実施態様〕
(1) トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
基端及び末端を有し、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体と、
前記シール体の前記基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素であって、内表面及び外表面を有するとともに前記シール体の前記末端のシール面において合流し、該シール面を選択的に開放、及び実質的に閉鎖するように構成された、対向したシール要素と、を備え、
前記シール要素の前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の中央部から前記シール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
(2) 前記シール要素の前記内表面のそれぞれの中央部が、前記シール面における前記シール要素の前記周縁部よりも基端側の位置にある、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(3) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、実施態様2に記載のシールアセンブリ。
(4) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、実施態様2に記載のシールアセンブリ。
(5) 前記シール要素の前記内表面のそれぞれの前記周縁部にわたり、かつ前記シール要素のそれぞれの前記中央部を通じて延びる円弧が、約1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の範囲の半径を有する、実施態様4に記載のシールアセンブリ。
(6) 前記シール体が更に、該シール体の前記末端に形成された1以上の通路であって、前記内表面と連通することによって、前記シール要素の前記中央部から移動する流体を受容する、1以上の通路を有する、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(7) ダックビル型シールアセンブリである、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(8) 2個のシール要素を有する、実施態様1に記載のシールアセンブリ。
(9) トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
シール体であって、物体が前記シール体に挿入されることに応じて前記シールアセンブリを選択的に開放するように構成されており、内表面並びに基端及び末端を有する、シール体を備え、
前記シール体の前記内表面が、前記シール体の中央部から前記シール体の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
(10) 前記シール体の前記中央部が、前記シール体の前記周縁部よりも基端側の位置にある、実施態様9に記載のシールアセンブリ。
(11) 前記シール体の前記内表面が、前記シール体の前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、実施態様10に記載のシールアセンブリ。
(12) 前記シール体の前記内表面が、前記シール体の前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、実施態様10に記載のシールアセンブリ。
(13) ダックビル型シールアセンブリである、実施態様10に記載のシールアセンブリ。
(14) ハウジングであって、前記ハウジングから延出するカニューレを有しており、該ハウジングと該カニューレとは手術器具を受容するようなサイズ及び形態に構成された作業通路を画定する、ハウジングと、
前記作業通路内に少なくとも一部分が配置されるシールアセンブリであって、
基端及び末端を有し、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体と、
前記シール体の前記基端の外周フランジから前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素であって、内表面及び外表面を有するとともに前記シール体の前記末端のシール面において合流し、該シール面を選択的に開放、及び実質的に閉鎖するように構成された、対向したシール要素と、を備え、
前記シール要素の前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の中央部から前記シール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、
シールアセンブリと、を備える、トロカールアセンブリ。
(15) 前記シール要素の前記内表面のそれぞれの中央部が、前記シール面における前記シール要素の前記周縁部よりも基端側の位置にある、実施態様14に記載のトロカールアセンブリ。
(16) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、実施態様15に記載のトロカールアセンブリ。
(17) 前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、実施態様15に記載のトロカールアセンブリ。
(18) 前記第1のシールアセンブリから基端側に間隔をおいて配される第2のシールアセンブリであって、選択的に開放及び実質的閉鎖を行うように構成された、第2のシールアセンブリを更に備える、実施態様14に記載のトロカールアセンブリ。
(19) 前記シールアセンブリがダックビル型シールアセンブリである、実施態様14に記載のトロカールアセンブリ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
基端及び末端を有し、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体と、
前記シール体の前記基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素であって、内表面及び外表面を有するとともに前記シール体の前記末端のシール面において合流し、該シール面を選択的に開放、及び実質的に閉鎖するように構成された、対向したシール要素と、を備え、
前記シール要素の前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の中央部から前記シール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
【請求項2】
前記シール要素の前記内表面のそれぞれの中央部が、前記シール面における前記シール要素の前記周縁部よりも基端側の位置にある、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、請求項2に記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、請求項2に記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
前記シール要素の前記内表面のそれぞれの前記周縁部にわたり、かつ前記シール要素のそれぞれの前記中央部を通じて延びる円弧が、約1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の範囲の半径を有する、請求項4に記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
前記シール体が更に、該シール体の前記末端に形成された1以上の通路であって、前記内表面と連通することによって、前記シール要素の前記中央部から移動する流体を受容する、1以上の通路を有する、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
ダックビル型シールアセンブリである、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
2個のシール要素を有する、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項9】
トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
シール体であって、物体が前記シール体に挿入されることに応じて前記シールアセンブリを選択的に開放するように構成されており、内表面並びに基端及び末端を有する、シール体を備え、
前記シール体の前記内表面が、前記シール体の中央部から前記シール体の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
【請求項10】
前記シール体の前記中央部が、前記シール体の前記周縁部よりも基端側の位置にある、請求項9に記載のシールアセンブリ。
【請求項1】
トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
基端及び末端を有し、内部を通じて延びる長手方向軸及び該長手方向軸にほぼ直交する横断面を有するシール体と、
前記シール体の前記基端から前記横断面に対して鋭角をなして末端側に延びる複数の対向したシール要素であって、内表面及び外表面を有するとともに前記シール体の前記末端のシール面において合流し、該シール面を選択的に開放、及び実質的に閉鎖するように構成された、対向したシール要素と、を備え、
前記シール要素の前記内表面が、前記シール面における前記シール要素の中央部から前記シール要素の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
【請求項2】
前記シール要素の前記内表面のそれぞれの中央部が、前記シール面における前記シール要素の前記周縁部よりも基端側の位置にある、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項3】
前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ直線状に延びる、請求項2に記載のシールアセンブリ。
【請求項4】
前記シール要素のそれぞれの前記内表面が、前記シール面における前記シール要素のそれぞれの前記中央部から前記周縁部へとほぼ円弧状に延びる、請求項2に記載のシールアセンブリ。
【請求項5】
前記シール要素の前記内表面のそれぞれの前記周縁部にわたり、かつ前記シール要素のそれぞれの前記中央部を通じて延びる円弧が、約1.3〜2.5cm(0.5〜1インチ)の範囲の半径を有する、請求項4に記載のシールアセンブリ。
【請求項6】
前記シール体が更に、該シール体の前記末端に形成された1以上の通路であって、前記内表面と連通することによって、前記シール要素の前記中央部から移動する流体を受容する、1以上の通路を有する、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項7】
ダックビル型シールアセンブリである、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項8】
2個のシール要素を有する、請求項1に記載のシールアセンブリ。
【請求項9】
トロカールアセンブリにおいて使用するためのシールアセンブリであって、
シール体であって、物体が前記シール体に挿入されることに応じて前記シールアセンブリを選択的に開放するように構成されており、内表面並びに基端及び末端を有する、シール体を備え、
前記シール体の前記内表面が、前記シール体の中央部から前記シール体の周縁部に向かう流体の移動を選択的に促進するように構成されている、シールアセンブリ。
【請求項10】
前記シール体の前記中央部が、前記シール体の前記周縁部よりも基端側の位置にある、請求項9に記載のシールアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−532218(P2010−532218A)
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−514948(P2010−514948)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/066629
【国際公開番号】WO2009/005986
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/066629
【国際公開番号】WO2009/005986
【国際公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(595057890)エシコン・エンド−サージェリィ・インコーポレイテッド (743)
【氏名又は名称原語表記】Ethicon Endo−Surgery,Inc.
【Fターム(参考)】
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