説明

流体沿面曲り作用を活用した竪樋取水等塵芥除去装置

【課題】 雨水等、河川等、終末処理場の排水等、に混在する塵芥を取除き用水のみを取水すること、並びに粉塵等を含む混合気体から目的ガスを低コストで高速に分離補集する。
【解決手段】 沿面を液体や気体が特別な乱れが無く一定の厚みで流れ移動している時、その面が厚みの方向に後退している場合その曲り面に沿って流体が流体の表面に作用する周辺雰囲気圧により押し曲げられ沿面に沿うように移動する流体沿面曲り作用を活用し、選別スリットや孔或は選別櫛刃や遠心式分離、慣性と重力作用等を用途により巧みに組み合せ、固形物を含む流体から必要な物を簡潔な構成で高速に且つ自浄作用により保守費用を格段に下げ分別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体中に散在する固形物の粗分離除去を高速で行うことが可能な流体沿面曲り作用を活用した液体或は気体から比重の重いものや固体を粗分離し流体のみを簡単な装置で容易にに補集することが可能な分離装置に関するもので塵芥を含む水、一般的に竪樋取水装置や河川等からの取水設備並びに粉塵の混入する気体から気体のみを分離補集する装置等に応用することで日常メンテナンスとコストの大幅削減を可能にした事を特徴とする塵芥分離技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の地球温暖化対策の推進を踏まえ雨水活用の気運が高まりの中、枯れ落葉等の塵芥除去に掛るメンテナンス作業が雨水の長期連続活用において障害となっていた。
【0003】
塵芥除去方法として網やスリットによる捕捉除去が一般的であるが、網に捕捉された塵芥の除去が短い周期で定期的に行うことが必要であり、網やスリットの清浄の為の自動除去又は自然除去の方法方式、或は塵芥の多い降雨初期雨水の取水を制限する方式等が考案されて実用化されてはいるが、一度捕捉されたものは容易に自然除去出来ず、また小雨時における取水率の悪さに問題があり苦悩の要因となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許出願公開 平9−500215
【特許文献2】特許出願公開 平11−131537
【特許文献3】特許出願公開 2002−70086
【特許文献4】特許出願公開 2003−293401
【特許文献5】特許出願公開 2003−96996
【特許文献6】特許出願公開 2005−9155
【特許文献7】特許出願公開 2006−507927
【特許文献8】特許 P4395041
【特許文献9】特許 P4423505
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】菊岡武男著 「取水堰設計上の問題点について(続)」 平成7年公開
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
雨水活用促進を図る上で、雨水取水以降における導水、貯溜、活用における障害である塵芥の混入を防止することが出来れば問題になることは無く、飛来する木の葉や道路下屋根等では飛来する小石等を排除し雨水のみをどのように取り込むかが課題である。
【0007】
網目の細かい網や、細めのスリットを用いる一般的な方法は、細かくする程それに応じた塵芥の除去が可能である反面、取水率の低下、捕捉された塵芥の除去に苦悩しなければならない。導水、貯溜、活用においては直径2mm以細の固形物等や自由に折れ曲る細薄の繊維等の浮遊物は、導水経路では自然流下作用で移動し、貯溜槽の底に沈殿することが多く底に取付の泥抜き栓の開放により容易に排除出来、希に活用時の手動散水にてヘッド等の詰りを発生することが有っても人為的に容易に除去することが可能である。
【0008】
前記の従来の塵芥捕捉装置は、保守を要することを発見する時が、往々にして降雨時であり、発見した場合は直ちに除去作業を行う必要がある場合が多く、雨降りの中、噴出す雨水と格闘し取水装置を分解し塵芥を除去し再取付することは容易ではない。本装置設置により微細な固形物や流動可能な繊維等が希に混入したとしても自動散水をする用途の場合は保守のし易い場所に専用のろ過網を併用することで散水ヘッド等の詰りを防止することが可能で雨中での作業に比べ問題とならない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一点は、塵芥を捕捉しないことに尽き、雨樋設置作業において発見した、竪樋の仮設柔軟管接続の作業性を考慮した元管の斜め切断部の降水時における傾斜方向への雨水の極端な曲り現象を活用し、固形物は慣性作用並びに重力作用で直進落下させ雨水のみをこの沿面曲り作用で取込む、自動瞬時分別機能を活用するものである。
【0010】
第二点は、塵芥除去機構部分は単純構造且つ容易に取外分解組立てが可能な組み合せとし、雨水の取水運搬貯溜において通常問題とならない、微細な固形物や希に混入する自在に曲る繊維状物体の排除はメンテナンス作業の困難な屋外の竪樋の取水場所では行わず常時取扱い作業の容易な貯水槽の泥抜き栓又は特別設置したろ過装置にて行う。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は流体沿面曲り作用を活用した雨水竪樋取水装置の、図2に示すB−b部断面部に、取水取り出し口として自在継手を装着した例を加味した代表断面概要図である。
【図2】図2は図1の流体沿面曲り作用傾斜面1bを持つスリット部並びに取水口4を通る取水装置の図1に示すA−aの断面概要図で、(a)は代表的な円筒形雨樋に本発明を適用したものを示し、(b)は角筒形雨樋に、(c)(d)は変則的な応用例を示している。
【図3】図3は塵芥・雨水分離取込み筒体を平面的に展開し傾斜スリット又は傾斜穴の配置形状例を図示したもので、(a)は円形筒体に取水方向に断面的に傾斜角θを持つスリットを加工する場合容易で尚且つ同筒体の強度を確保した場合の展開図で、(b)(c)(d)(e)はその他の傾斜スリット又は傾斜穴の例の一部を示したものである。
【図4】図4は図1に示すK部の拡大図で(a)は傾斜スリット幅又は傾斜穴径と同等以上の大きな固形物が元雨水と共に進入した場合の進行状況概要図で、(b)は木の葉、(c)は傾斜スリット幅又は傾斜穴より小さい固形物が、(d)は柔らかい繊維状のもの或は固い繊維状の塵芥が、それぞれ進入した場合の例を示す。
【図5】図5は河川等からの取水口に本原理機構を採用し堰堤等に施設した例、並びに、粉塵等を含む混合気体から粉体を除去し最も軽質気体と重質気体を分離精製する場合に本原理機構を採用した、各断面概要図である
【図6】図6は本発明の基本原理作用を平滑な親液性の沿面を液体が所定のスピードで均等厚にて移動している場合、進行方向に対し沿面が急に成す角θをもって後退した場合、移動する液体の曲り運動状況を数式にて理論付けし、強度をグラフにて表現したニ例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を最も活用できる形態は、省資源の観点から水道水の使用を削減し従来放流されていた雨水を中水として、沿面流速流量の不規則な且つ変化量の大きい場合に自浄作用が大きく働きメンテナンス作業や目詰り等の障害が少なく、定水量取水機能を持つ本装置を竪樋に装着することで安心して活用でき広く普及させることが出来る。
【0013】
河川等からの取水口に本原理機構を採用することで極少スペースに、メンテナンスフリーの塵芥粗分離排除と定水量取水並びに出水時に取水停止の機能を持たせた安全な簡易取水設備が容易に構築出来る。例えば堰堤等に図5(a)(b)(c)の断面概要図に示す方式で施設することが可能である。また、図5(d)に示すように粉塵を含む気体の遠心式分離装置に応用すれば粉体を除去しながら且つ大容量の気体高速比重分離が可能である。
【実施例】
【0014】
詳細実施例を各図並びに数式或は表により説明する。数1の流体を単ブロックの集合体1u、1ud、1ueに見立てた略図において流体沿面曲り入出力界壁1に設けられた流体入力側沿面1aと成す角θを呈する流体曲り沿面1bにおいて、入力流体1uが流体曲り沿面分界点(曲り角)1cにおける垂直進入速度をSfとするとその角1cで作用する力は、重力による加速度については沿面落下抵抗にて略相殺される為無視し、慣性の法則と大気圧による押し圧力による作用のみをベクトル図Vaに示す。該ブロックは曲り機能斜面1bとの間に真空個所が認められるが、大気圧Npが物体の隅々まで作用している為、真空個所はその圧力によりそのブロック部の質量と大気圧による押し圧力の相関理論による加速度(力)により真空部を消滅させるように移動する。
【0015】
【数1】

【0016】
拡大Va(ベクトル)図にて、真空部を消滅させる為に移動する加速度と移動距離を、最適条件下で移動可能な理論値Xpと傾斜沿面の成す角θと形状による実移動位置Xaの値を雨水の自由落下速度を仮定し、前記曲り角の通過時を基点として任意の短時間Δt秒後のXp並びにXaをΔtを変数として数式化し、図6のグラフに実線として明示した。極端な参考事象として竪樋内の雨水が略充満状態で流速1秒間に2m、水流厚60mmとし傾斜角θを45度と仮定した場合のXp(b)並びにXa(b)の値を同図6に破線として明示した。
【0017】
数式1並びに図6において明確にされることは、通常の降雨時の竪樋での雨水の沿面水流厚2mmから3mm程度でXpはXaより遥かに大きく確実に沿面曲り効果が得られ、多少の変則面にも追随出来塵芥が不定期に混入した場合にも確実に高割合で取水出力側に雨水を導き取水することが出来ることを理論付けた。極端な参考事例として破線にて明示した事例ではで2ms迄はXp(b)の値が、所謂傾斜沿面側に曲げる作用が落下速度と傾斜角度による移動予測位置Xa(b)の値を下回り不安定な沿面曲り現象になることを理論付けた。また、この不安定な現象特性が図5に示す河川等の堰堤等に施設する用水、特にマイクロ小水力発電設備の取水口での必要な機能に合致し将来有望な設備機構として普及促進を図ることが出来る。
【0018】
図1は代表的な雨水竪樋取水装置中心軸を通る断面図で、元雨水竪樋沿面落下状況2に示す図のごとく飛跳ね状態で筒体内を飛遊する水滴、或は水流は完全に竪樋に平行な落下状態のものは存在せず必ず筒体壁面に接触することとなり、一度壁面を接触流動を始めると平滑面を流れる場合は飛跳ねる要素がない限り、水や油の幕が在るような潤滑面に真空吸盤を押付けたまま、面に対し直角に吸盤を引き放そうとしても大気圧の力より強力に力を入れない限り引離すことは出来ないが、潤滑面と平行に動かすと、割と簡単に移動するのと同じで、表面を流動することには抵抗が無いが、表面を離れるには、表面張力以上の水流厚に乱れが発生し突起状態の部分が拡大することでしか自然に流体は沿面移動を止め飛散することはない。
【0019】
入出界壁要素の塵芥・雨水粗分離筒体1wの内壁を流下する元雨水は中程にに設けられた流体沿面曲り作用傾斜スリット又は傾斜孔1sにより前述の機能により取水側に取込まれ落下する。
【0020】
図2は、そのスリットの平面的な構成例集で、(a)は代表的な図1の雨水竪樋取水装置のA−a断面図で円筒形装置の場合を示し、(b)は角筒形装置の場合を示す。(c)(d)は取水量を多く必要としない場合既存の厚みのある竪樋に傾斜スリット又は穴を加工し、取水側の集水筒をその外面に差込或は押し当て接続し水封工作をするだけで完成する方式を示したものである。何れも中心中空部内壁表面を雨水が沿面落下し傾斜スリット又は傾斜孔に達した所で強力な大気圧Npの作用により流体曲り傾斜沿面1bにそって取水側槽3vに移動し、取水側に取込まれた雨水の取出し状況2fが示すように貯水槽へ導かれる様子を示す。
【0021】
図3は、塵芥・雨水粗分離筒体1wの表面を平面的に展開して観察した場合の図であり、(a)はその代表的なもので、垂直に沿面にそってどの場所を流下しても必ず上下2段の傾斜スリット1s部を通過することとなり上段にて取込まれなかった雨水が、再度、粗分離作業を受けることになり、(b)は上下のどちらかで必ず分離作業を受けることになり、その他(c)(d)(e)は前前述に準ずるものである。(a)(b)は筒状の状態ではスリットは直線的になっている。(c)(d)(e)は平面状態に展開した場合は直線のようになるが筒状の状態では円周上に曲線となる。(e)はスリットの替わりに傾斜の連続孔を設けたもので、繊維状態の物が雨水と共に沿面移動した場合の用水側への取込みを大幅に抑えることが出来る。それぞれに長所、短所が有り選択は自由である。
【0022】
図4に流体沿面曲り作用並びにその際得られる高速塵芥分離機能を、元雨水中に混入している塵芥類の除去プロセスの様子をスリット部Kの拡大図を用い説明する。傾斜スリット又は傾斜孔1sより大きな塵芥類は(a)(b)に示すごとく取込みを拒絶され、同図(c)(d)の例の場合は僅か取込まれ、ほぼ、塵芥の混入の無い用水としての雨水が確保される。図中共通表現として、Sfは元雨水沿面曲り作用直前沿面落下状況2aの流速を表し、Stは沿面曲り作用を受け取水側に斜めに移動する雨水状況2bの流速を表し、2aと2bの成す角度をθにて示している。水流は実際には各図中に示すように単純で均等厚で全てが沿面流下する訳では無く、水滴となり飛散するものや水流厚が一定ではなく不規則に大きく変形しているが、概、図のような流下形態となり基本理論作用を明確に表現する為それら不規則なものは省略している。次項にて各詳細を述べる。
【0023】
図4(a)は、塵芥・雨水粗分離筒体1wの元雨水沿面曲り作用直前沿面落下状況2aに示す雨水と共に、傾斜スリット幅又は孔径と同程度以上の大きな固形物が元雨水と共に落下する様子5aのごとく落下し、同固形物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により僅か取込み側に移動を開始した様子5bで落下方向が取水側に傾いた様子を示し、同固形物が流体沿面曲り対壁分界点1pに阻止され取込み側に移動出来ず元雨水通過筒内側に重力により戻される様子5cでこの塵芥の分別位置を示し、対壁分界点1pに阻止された同固形物が元雨水通過筒内側を落下する様子5dで、取込みされなかった同固形塵芥は従来通り放流されることを順を追って示している。
【0024】
図4(b)は、同様に木の葉が元雨水と共に落下する様子6aのごとく落下し、同木の葉が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により僅か取込み側に移動を開始した様子6bで落下方向が取水側に傾いた様子を示し、同木の葉が流体沿面曲り対壁分界点1pに阻止され取込み側に移動出来ず元雨水通過筒内側に重力により戻される様子6cでこの塵芥の分別位置を示し、対壁分界点1pに阻止された同木の葉が元雨水通過筒内側を落下する様子6dで、取込みされなかった同木の葉は従来通り放流されることを順を追って示している。
【0025】
図4(c)は、同様に傾斜スリット幅又孔径より小さい固形物が元雨水と共に落下する様子7aのごとく落下し、同固形物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により僅か取込み側に移動を開始した様子7bで落下方向が取水側に傾いた様子を示し、同固形物が流体沿面曲り対壁分界点1pを取込み側に通過移動出来取込み雨水と共に取込み移動する様子7eでこの塵芥が取込み雨水と共に用水側に取込まれることを示している。
【0026】
図4(d)は、同様に傾斜スリット幅又孔径より遥かに細く柔らかい繊維状の物が元雨水と共に落下する様子8aのごとく落下し、同繊維状の物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により取込み側に移動をし取込まれた様子8e部の
ごとくこの塵芥が取込み雨水と共に用水側に取込まれることを示している。また、傾斜スリット幅又孔径より細く固い繊維状の物が元雨水と共に落下する様子9aに示す塵芥が同繊維状の物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により先端が取込み側に移動をしようとしたが後部の方が雨水との接触面が大きく吸引力では固い繊維を曲げることが出来ず元雨水通過筒内側を重力により落下する様子9dに示すように分別され従来通り放流されることを示している。
【0027】
表1は、図4に示す塵芥類の混入を模した塵芥通水試験の結果を示したもので、元雨水から用水の取水率は約半分となり、細かい砂や泥状の埃の用水への混入は避けられないが、貯溜タンクの底に堆積し泥抜き栓の開放により容易に排除することが出来、中水として実用上問題の無い範囲といえる。実験後各部を分解し点検を行ったが、塵芥・雨水分離スリットに絡んでいるものは無く、最後の水流で取残された模擬塵芥が雨樋内や塵芥・雨水粗分離筒体1wの内壁に張り付いた状況で後の雨水の通水により自然に洗い流され、特に支障が無いことが確認された。
【0028】
【表1】

【0029】
図5にて、本発明の主要な流体沿面曲り作用並びにその時得られる高速塵芥分離機能を応用した河川等の堰堤等に施設する取水設備と、気体の沿面曲り作用を巧みに取入れた粉体を含む混合気体の比重による遠心式精製分離装置についてその概要を説明する。
【0030】
河川の堰堤等に施設する取水設備について、(a)(b)の方式について、取水率が100%近くでも小スペースながら微細な物以外の、塵芥侵入阻止櫛刃1xの隙間より大きいあらゆる塵芥類の高速分別取込み阻止機能を持ち、特に大型の或は比重の大きな塵芥の侵入阻止に大きな威力を発揮する。塵芥侵入阻止櫛刃1xにより取込みを阻止された塵芥は沿面流方向に対して斜め(重力方向に対しては垂直方向に釣下げられた状態)に配置されている為、そこに停止する事無く刃先方向に移動すると同時にその流れ前後の水流も阻止し、連続性を失った水流は最早流体沿面曲り作用を失い阻止された塵芥と共に重力により垂直に落下する。その時櫛刃に加わる力は固形物を瞬間に停止させることがない為衝撃的な押し圧力にならず、また比重の重い石等が流下してきた場合には、櫛刃に達する前に遠心力により沿面を離れ落下し櫛刃まで達することは殆ど無い為、櫛刃の強度を上げず配置することが出来る。
【0031】
洪水を引起こすような出水時に大きな流木や転石が流下してきた場合、或は元水量が大量な時には沿面曲り作用より上流より流れ来る水勢の方が上回り沿面曲り作用が得られず、大きく放物線を描き落下する為、流木や転石はそのまま落下し、濁流は取水されることが無く自己自然取水制限機能として働く。塵芥類を捕捉する事無く、省メンテナンスに構築された他に類を見ないこのような特異な機能は河川等から用水を取水する場合不可欠な機能である。
【0032】
図5(c)は、調整された水が構造体10の直線的な開口より噴出される場合に、流体沿面曲り作用を活用した塵芥取込み阻止機能を持つ取水設備を付加したもので、水流厚が一定の場合は図に示すごとく流体曲り傾斜沿面を水流の上部側に配置することが出来る為、流体沿面曲り入出界壁1に対し外側に取水側槽3vを構築出来、常時取水状況の確認が容易な構成とすることが出来る。櫛刃の機能等については(a)(b)と同様である。
【0033】
図5(d)は、主要な流体沿面曲り作用並びにその時得られる高速塵芥分離機能を応用した、粉塵等を含む混合気体から粉体を除去し最も軽質気体と重質気体を分離精製する場合に本原理機構を応用する例を示したもので、同心軸に配置された図のように配置された容器に粉体を含む混合気体送入口11から中間室に粉体を含む元混合気体を供給し、当該分屋に外部回転界磁型軸無し浮動旋回攪拌羽根16を備え高速回転させることで粉塵等を含む混合気体に回転運動を与えることで通常の遠心力作用を発生させる。
【0034】
内部外側の界壁に流体沿面曲り作用を発生させる流体沿面曲り初期壁面1a、流体沿面曲り作用傾斜スリット1b、流体沿面曲り沿面分界点(曲り角)1c、流体沿面曲り対壁分界点1pを設けることにより粉体は同室内を巡回しているのみで遠心力が働いても外側の部屋に移動することは出来なく僅か移動したとしてもそこに設けられた粉体ポケット並びに排出口15より排出除去される。故に最外側の部屋には粉塵等の含まれない最も重質な気体が補集され最重質気体取出し口13より取出すことが出来る。
【0035】
同様に内部内側の界壁にも流体沿面曲り作用を発生させる流体沿面曲り初期壁面1a、流体沿面曲り作用傾斜スリット1b、流体沿面曲り沿面分界点(曲り角)1c、流体沿面曲り対壁分界点1pを設けることにより、最も軽質な気体のみが中心室に補集され最軽質気体取出し口12より取出すことが出来る。何れも高速流体には自浄作用がありメンテナンス作業を大幅に削減出来る。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、ある沿面を流体が特別な乱れが無く一定の厚みで移動している場合、その面が厚みの方向に後退している場合その曲り面に沿って流体が流体の表面に作用する雰囲気圧、所謂、大気圧により押し曲げられ沿面に沿うように移動する流体沿面曲り作用を活用するもので、塵芥等を含む流体から選別櫛刃や遠心式分離、慣性と重力作用を用途により巧みに組み合すことで、従来は塵芥を捕捉し処分することに動力と労力を傾注してきたが、本方式は自然に存在する大気圧により流体のみを選別取込むことで原動力が不要か必要であっても僅かな動力で済み、従来に無い簡潔な構造により高速で且つメンテナンス作業の容易な流体沿面曲り作用を活用した流体分離装置を提供するものであ。
【0037】
一般論的に表現すると、液体中に散在する固形物の粗分離除去であればこれを瞬時に行うことが可能で、液体或は気体から比重の重いものや固体を粗分離し流体のみを簡単に補集する装置で、例えば竪樋取水に応用することで日常メンテナンスの大幅削減を可能にした雨水活用の為の装置を提供出来る。
【0038】
また、小スペースながら瞬時に大型或は比重の大きな塵芥の侵入阻止に大きな威力を発揮し、元水量が大量な時に自己自然取水制限機能など特徴的な機能を持つことから河川等の堰堤等に施設する用水、特にマイクロ小水力発電設備の取水口での必要な機能に適合し有望な発明としてとして普及が見込める。
【0039】
粉体等を含む各種混合気体の中から目的のガスの補集、一般的にはバイオマスの密閉加熱燃焼により得られる粉塵を含むバイオガスから新エネルギー源としての比重の軽い水素ガスの補集や、二酸化炭素ガスの排出や補集が容易に出来、且つメンテナンスフリーの装置の提供が可能になる。
【符号の説明】
【0040】
1 流体沿面曲り入出界壁
1a 流体沿面曲り初期壁面
1b 流体沿面曲り作用傾斜スリット又は傾斜孔1sの流体沿面曲り初期壁面に沿面分界点1cで接する沿面(流体曲り傾斜沿面)
1c 流体沿面曲り沿面分界点(曲り角)
1p 流体沿面曲り対壁分界点
1s 流体沿面曲り作用傾斜スリット又は傾斜孔
1u 入力流体(単位量ブロック)
1ub 沿面曲り流体(単位量ブロック)
1ue 沿面曲り作用により取込まれた流体(単位量ブロック)
1w 塵芥・雨水粗分離筒体
1x 塵芥侵入阻止櫛刃
2 元雨水竪樋沿面落下状況
2a 元雨水沿面曲り作用直前沿面落下状況
2b 沿面曲り作用を受け取水側に移動する雨水状況
2e 沿面曲り作用により取水側に取込まれ沿面を離れ自由落下する雨水状況
2f 取水側に取込まれた雨水の取出し状況
3 取込み雨水側筒体
3v 取水側槽
3y 分離気体貯まり層
4 取込み雨水取出し口
5a 傾斜スリット幅又は孔径と同程度以上の大きな固形物が元雨水と共に落下する様子
5b 同固形物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により僅か取込み側に移動を開始した様子
5c 同固形物が流体沿面曲り対壁分界点1pに阻止され取込み側に移動出来ず元雨水通過筒内側に重力により戻される様子
5d 対壁分界点1pに阻止された同固形物が元雨水通過筒内側を落下する様子
6a 木の葉が元雨水と共に落下する様子
6b 同木の葉が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により僅か取込み側に移動を開始した様子
6c 同木の葉が流体沿面曲り対壁分界点1pに阻止され取込み側に移動出来ず元雨水通過筒内側に重力により戻される様子
6d 対壁分界点1pに阻止された同木の葉が元雨水通過筒内側を落下する様子
7a 傾斜スリット幅又孔径より小さい固形物が元雨水と共に落下する様子
7b 同固形物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により僅か取込み側に移動を開始した様子
7e 同固形物が流体沿面曲り対壁分界点1pを取込み側に通過移動出来取込み雨水と共に取込み移動する様子
8a 傾斜スリット幅又孔径より遥かに細く柔らかい繊維状の物が元雨水と共に落下する様子
8e 同繊維状の物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により取込み側に移動をし取込まれた様子
9a 傾斜スリット幅又孔径より細く固い繊維状の物が元雨水と共に落下する様子

9d 同繊維状の物が沿面曲り作用により取込み側に雨水が移動すると共に雨水との間に働く吸引作用により先端が取込み側に移動をしようとしたが後部の方が雨水との接触面が大きく吸引力では固い繊維を曲げることが出来ず元雨水通過筒内側を重力により落下する様子
10 河川堰堤等構造体
11 粉体を含む混合気体送入口
12 最軽質気体取出し口
13 最重質気体取出し口
14 中間重質粉体混合気体取出し口
15 粉体留ポケット並びに排出口
16 外部回転界磁型軸無し浮動旋回攪拌羽根



【特許請求の範囲】
【請求項1】
沿面を液体や気体が特別な乱れが無く一定の厚みで流れ移動している時、その面が厚みの方向に後退している場合その曲り面に沿って流体が流体の表面に作用する周辺雰囲気圧により押し曲げられ沿面に沿うように移動する流体沿面曲り作用を活用したことを特徴とする、選別櫛刃や遠心式分離、慣性と重力作用等を用途により巧みに組み合せ固形物を含む流体から必要な流体物質を分別する装置或は分別する方式。
【請求項2】
請求項1の流体沿面曲り作用を活用し高取水率と保守の省力化を実現した事を特徴とする塵芥除去雨樋取水装置。
【請求項3】
請求項1の流体沿面曲り作用を活用した河川等から自動取水制限機能付無動力型塵芥除去方式を特徴とする省力化を実現した安全な取水設備又は方式。
【請求項4】
請求項1の流体沿面曲り作用を活用したことを特徴とする塵芥を含む混合気体から比重の軽い又は重いガスを塵芥を排除し簡易構造であり且つメンテナンスが殆ど不要で高速に補集できる遠心式気体分別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−45506(P2012−45506A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191584(P2010−191584)
【出願日】平成22年8月28日(2010.8.28)
【出願人】(300051607)
【Fターム(参考)】