説明

流動性を有するマニホールドを用いて減圧治療を経皮的に施すためのシステム及び方法

組織部位に減圧治療を適用するための減圧送出システムが、通路及び遠位端を有するマニホールド送出管であって、遠位端を組織部位の近くに経皮的に挿入及び配置するよう構成されたマニホールド送出管を有している。流動性を有する材料が設けられており、マニホールド送出管を通して組織部位に経皮的に送出可能である。流動性を有する材料は、組織部位の近くの空洞を充填して組織部位と流通する複数の流路を有するマニホールドを形成し得る。マニホールドの流路と流通し得る減圧送出管が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、組織の成長を促進するためのシステム又は方法に関し、特に、組織部位に減圧組織治療を適用するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
減圧治療無しでは治癒が遅かったり治癒しない軟らかい組織の傷の創傷治癒を促進する減圧治療が益々使用されている。一般に、減圧を送出するマニホールドとして機能するオープンセルの発泡体を通して減圧を傷の部位に適用する。オープンセルの発泡体は、存在する傷に合うような大きさとなっており、傷に接触するように置かれ、その後傷が治癒し始めて小さくなると発泡体の小さな小片と経皮的に入れ替わる。オープンセルの発泡体を頻繁に取り替えることが、発泡体のセルの中に成長する組織の量を最小限にするために必要である。成長するかなりの組織によって、発泡体を外す際に患者に痛みを引き起こす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
減圧治療は、一般に治癒しない傷口の開いた傷に適用される。いくつかのケースでは、治癒する組織は皮下に関し、他のケースでは、組織が皮膚組織の中又は皮膚組織にある。従来、減圧治療は主に軟らかい組織に適用されている。このような傷に近づくことが困難なため、減圧治療は一般に閉じた深い組織を治療するよう用いられない。さらに、主に近付けることに関する問題のため、骨の血管の治癒又は骨の成長の促進に関連した減圧治療は使用されていない。骨を減圧治療の適用に外科的にさらすと、問題が解決するのではなく発生する可能性がある。結局、減圧治療を適用するための装置及びシステムは、創傷部位に合うよう手作業で形作り減圧治療の後に取り除かれるオープンセルの発泡体の小片以上にあまり進歩していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
創傷治癒システム及び方法の存在によって発生する問題を、本発明に係るシステム及び方法によって解決する。減圧治療システムが組織部位に減圧を適用するための本発明に係る実施例と関連して提供されている。減圧送出システムは、通路及び遠位端を有するマニホールド送出管を有しており、流動性のある材料が組織部位の近くの空洞を充填可能で組織部位と流通する複数の流路を有するマニホールドを形成するように、遠位端は組織部位にマニホールド送出管を通して経皮的に送出可能である。マニホールドの流路と流通可能な減圧送出管が設けられている。
【0005】
本発明の別の実施例によれば、組織部位に減圧治療を施すための方法が提供されており、組織部位の近くのマニホールド送出管の遠位端を経皮的に位置決めするステップを有する。組織部位の近くのマニホールド送出管を通して流動性のある材料を経皮的に送出する。流動性のある材料は、組織部位の近くの空洞を充填して組織部位と流通する複数の流路を有するマニホールドを形成し得る。マニホールドの流路を介して組織部位に減圧を適用する。
【0006】
本発明の他の目的、態様、及び利点が図面及び以下の詳細な説明を参照して明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
好適な実施例に係る以下の詳細な説明では、これに関する一部分を形成する添付図面について説明されており、その中で本発明を実施する特に好適な実施例を説明するために示す。これらの実施例を十分詳細に説明することで当業者が本発明を実施することが可能であるが、他の実施例を使用し、論理的な構造的、機械的、電気的、及び化学的な変更を本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに行ってもよいことに留意されたい。当業者が本発明を実施し得るよう不要な詳細を避けるため、当業者にとって既知の情報の説明を省略する。このため、以下の詳細な説明は、限定的な意味に取るべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲のみによって規定される。
【0008】
本書で使用するように、「エラストマーの」という用語は、エラストマーの特性を有することを意味する。「エラストマー」という用語は、一般にゴム状の特性を有するポリマー材料に関する。特に、大部分のエラストマーは、100%よりも大きい伸び率を有し、相当な量の弾力性を有する。材料の弾力性は、材料の弾性変形からの回復の性能に関する。エラストマーの例は、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリブタジエン、ニトリルゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエン単量体、クロロスルホン化ポリエチレン、多硫化ゴム、ポリウレタン、及びシリコーンを含むが、これらに限定されない。
【0009】
本書で使用するように、「柔軟性のある」という用語は、曲げたり収縮させたりすることのできる物体又は材料に関する。エラストマー材料は一般に柔軟性があるが、柔軟性のある材料へのここでの言及は、材料の選択をエラストマーのみに必ずしも限定しない。材料又は本発明の減圧送出器具に関する「柔軟性」という用語の使用は、一般に組織部位に形状に適合又は厳密に合致する材料の性能に言及するものである。例えば、骨欠損の治療に使用される減圧送出器具の柔軟性のある性質により、器具が欠陥を有する骨の周囲の一部を覆ったり又は折り畳んだりできる。
【0010】
本書で使用する「流体」という用語は、一般に、気体又は液体に言及するものであるが、ゲル、コロイド、及び発泡体を含むがこれらに限定されない他の流動可能な材料を有してもよい。
【0011】
本書で使用する「不透過性の」という用語は、一般に、膜、カバー、シート、又は液体又は気体のいずれかの通過を阻止又は遅くするための他の物質の性能に言及するものである。不透過性を、気体が膜を通って通過し得る一方で、カバー、シート、又は液体の通過に対して抵抗性がある他の膜に言及するのに使用してもよい。不透過膜は液密である一方、膜は全部又はあるいくつかの液体の通過率を単に減少させる。「不透過性の」という用語使用は、不透過膜が、透湿度(WVTR)の特定の値といった不透過性に関する特定の工業規格の測定値よりも高いあるいは低いという意味を含むものではない。
【0012】
本書で使用する「マニホールド」という用語は、一般に、組織部位に減圧を適用し、流体を送出し、又は組織部位から流体を排出するのを補助するよう設けられた物質又は構造に言及するものである。マニホールドは、一般に、相互接続された複数の流路又は通路を有しており、マニホールドの周りの組織領域に供給及びこの組織領域から排出する流体の分配を改善する。マニホールドの例として、流路を形成するよう構成された構造部材、オープンセルの発泡体といった多孔性発泡体、多孔質の組織採取、及び流路を含め又は含めるよう硬化する液体、ゲル、及び発泡体を有する器具を有するがこれらに限定されない。
【0013】
本書で使用する「減圧」という用語は、一般に、治療を受ける組織部位の周囲圧力よりも小さい圧力に言及するものである。大部分のケースでは、このような減圧は患者が居る大気圧よりも小さい。代替的に、減圧は、組織部位の組織の静水圧よりも小さくてもよい。「真空」及び「負圧」という用語を使用して組織部位にかかる圧力を説明してもよいが、組織部位にかかる実際の圧力は完全真空に通常関連する圧力よりも大幅に小さくてもよい。減圧は、管及び組織部位の領域の流れを始めに発生させる。組織部位の周りの静水圧は所望の減圧に達し、流れが弱まり、その後減圧を維持する。特に示さない限り、本書で言及する圧力の値はゲージ圧である。
【0014】
本書で使用する「骨格」という用語は、一般に、細胞の成長及び/又は組織の形成を増進又は促進するよう使用される下地又は構造体に言及するものである。骨格は、一般に、細胞の成長のためのテンプレートを提供する3次元の多孔質構造体である。骨格に細胞、成長因子、又は細胞の成長を促進するための他の栄養素を細胞を注入し、これらでコーティングし、又はこれらを具えていてもよい。骨格を本書に記載の実施例に従ってマニホールドとして使用して組織部位に減圧組織治療を施してもよい。
【0015】
本書で使用する「組織部位」という用語は、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、又は靱帯といったこれらに限定されない組織又はその中にある創傷又は欠陥に言及するものである。さらに、「組織部位」という用語は、必ずしも傷ついていたり欠陥がある組織の領域ではないが、さらなる組織の成長を付加又は促進するのが望ましい領域に言及するものである。例えば、ある組織領域に減圧組織治療を使用して、採取及び別の組織の場所に移植されるさらなる組織を成長させてもよい。
【0016】
図1から図5を参照すると、本発明の原理に従った減圧送出装置、又はウイングマニホールド211が、背(spine)部215及び一対のウイング(wing)部219を有する柔軟なバリヤ(barriesr)211を有している。各ウイング部219は、背部215の両側に沿って設けられている。背部215は、ウイングマニホールド211の長さ全体を拡張して又は拡張しないアーチ形の溝部223を形成する。ウイング部219の幅が等しくなるように背部215をウイングマニホールド211の中央に設けてもよいが、図1から図5に示すように背部215をオフセットしてもよく、これにより、一方のウイング部219が他方のウイング部219よりも幅が広くなる。骨再生又は治療に関してウイングマニホールド211を使用する場合に、一方のウイング部219の余分な幅が特に有用であり、幅の広い方のマニホールド211が骨に取り付けられる固定器具の周りを覆う。
【0017】
柔軟なバリヤ213は、好適には、シリコーンポリマーといったエラストマー材料で形成される。適切なシリコーンポリマーの例は、Nusil Technologies of Carpinteria,Californiaによって製造されるMED−6015を含んでいる。しかしながら、他の生体適合性のある柔軟な材料で柔軟なバリヤ213を作製できることに留意されたい。柔軟なバリヤ213は、柔軟なバリヤ213の強度及び耐久性を増す柔軟な裏地(backing)227をはめている。柔軟な裏地227をはめた柔軟なバリヤ213の厚さは、ウイング部219での厚さよりもアーチ状溝部223において薄くてもよい。シリコーンポリマーを使用して柔軟なバリヤ213を形成する場合、シリコーン接着剤を使用して柔軟な裏地227に接着し易くしてもよい。シリコーン接着剤の例として、Nusil Technologiesによって販売されるMED−1011が挙げられる。柔軟な裏地227は、好適には、CR.Bard of Tempe,Arizonaによって製造されるBard 6013といったポリエステル織物で作製される。しかしながら、柔軟な裏地227を、柔軟なバリヤ213の強度及び耐久性を増すことが可能な生体適合性のある柔軟な材料で作製できる。このような状況の下、柔軟なバリヤ213を適切な強い材料で作製する場合、柔軟な裏地227を省略できる。
【0018】
柔軟なバリヤ213又は柔軟な裏地227のいずれかを液体、空気、及び他の気体を通さないようにするのが好ましく、又は代替的に、柔軟な裏地227及び柔軟なバリヤ213の双方を液体、空気、及び他の気体を通さないようにしてもよい。
【0019】
また、柔軟なバリヤ213及び柔軟な裏地227を、減圧送出器具211の使用後に患者の体から取り除く必要がない生体吸収性材料で構成してもよい。適切な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)及びポリグリコール酸(PGA)のポリマー混合物を含んでいるが、これに限定されない。また、ポリマー混合物は、ポリカーボネート、ポリフマル酸エステル、及びcapralactoneを有しているがこれらに限定されない。柔軟なバリヤ213及び柔軟な裏地227は、さらに、新たな細胞成長のための骨格として機能し、又は柔軟なバリヤ213及び柔軟な裏地227とともに骨格材料を使用して細胞成長をし易くする。適切な骨格材料は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴのヒドロキシアパタイト、炭酸塩、又は処理された同種移植材料を有するがこれらに限定されない。好適には、骨格材料は、高い空洞率(すなわち、高含量の空気)を有している。
【0020】
ある実施例では、柔軟な裏地227を柔軟なバリヤ213の面に接着して付ける。シリコーンポリマーを使用して柔軟なバリヤ213を形成する場合、シリコーンの接着剤も使用して柔軟な裏地227を柔軟なバリヤ213に付けてもよい。柔軟な裏地227を柔軟なバリヤ213に表面接着する場合に接着剤が付けるための好適な方法である一方、何らかの適切な取り付け具を使用してもよい。
【0021】
柔軟なバリヤ213は、柔軟なバリヤ213の面のウイング部219から延びる複数の突起部231を有している。この突起部231は、各突起部231の少なくとも一部が、突起部231が付けられている柔軟な裏地213の側と関連する面とは異なる平面にある限り、円筒形、球形、半球形、立方体、又は他の形状としてよい。その際、特定の突起部231は他の突起部213と同じ形状又は大きさを有する必要はなく;実際には、突起部231は様々な形状及び大きさが不規則に混ざっていてもよい。このため、柔軟なバリヤ213から各突起部231が延びる距離は変わるが、複数の突起部231が均一であってもよい。
【0022】
柔軟なバリヤ213上に突起部231を配置することで、突起部間に複数の流路233を形成する。突起部231が柔軟なバリヤ213上に均一の形状及び大きさで等間隔に設けられている場合、突起部231間に形成される流路233は、同じように均一である。大きさ、形状、及び突起部231の間隔のバリエーションを使用して、流路233の大きさ及び流れ特性を変えてもよい。
【0023】
図5に示すように、減圧送出管241が、アーチ状溝部223中に設置され、柔軟なバリヤ213に取り付けられている。減圧送出管241を、柔軟なバリヤ213又は柔軟な裏地227に単独で付けてもよく、又は管241を柔軟なバリヤ213及び柔軟な裏地227の双方に付けてもよい。減圧送出管241は、管241の遠位端において遠位開口243を有している。遠位開口243がアーチ状溝部223に沿った任意の点に設置されるように、管241を設置してもよいが、管241は好適には、遠位開口243がアーチ状溝部223の長手方向に沿った長さのほぼ中央に位置するように設置される。遠位開口243は、好適には、管241の長手軸に対して90度よりも小さい方向の面に沿って管241を切断することによって、楕円形又は長円形に作られる。開口243を円形にしてもよいが、楕円形の開口243が突起部231間に形成される流路233との流通を増やす。
【0024】
減圧送出管241は、好適には、paralyneをコーティングしたシリコーン又はウレタンで作製される。しかしながら、医療グレードの管材を使用して減圧送出管241を構成してもよい。管の表面を覆う他のコーティングが、ヘパリン、抗凝固剤、抗フィブリノゲン、抗付着剤(anti−adherents)、抗トロンビン剤(anti−thrombinogens)、及び親水性皮膜を有している。
【0025】
ある実施例では、減圧送出管241が、遠位開口243の代わりとして又は遠位開口243に加えて、減圧送出管241に沿って設けられた開口又は液口251をも有しており、減圧送出管241と流路233との間の流通をさらに増やす。図1から5に示すように、アーチ状溝部223の長手方向の長さのほんの一部に沿って減圧送出管241を設けてもよく、又は代替的に、アーチ状溝部223の長手方向の長さ全体に沿って設けてもよい。減圧送出管241がアーチ状溝部223の長さ全体を占めるよう設けた場合、減圧送出管241と流路233との間の流通が全て液口251を通って生じるように、遠位開口243を覆ってもよい。
【0026】
減圧送出管241は、さらに、管241の近位端に近位開口255を有している。近位開口255は、減圧源に整合するよう構成されており、図9を参照して以下に詳細に説明されている。図1から3、4A、及び5に示す減圧送出管241は、単一の管腔、又は通路259のみを有している。しかしながら、図4Bに示すように、双対の管腔261といった複数の管腔を減圧送出管241に含めることが可能である。双対の管腔261は、第1の管腔261及び第2の管腔265を有している。双対の管腔261を使用することで、減圧送出管241の近位端と流路233との間の流通の通路が分けられる。例えば、双対の管腔261を使用して、第1の管腔263に沿って減圧源と流路233との間が流通し得るようにしてもよい。第2の管腔265を使用して、流路233に流体を導入してもよい。この流体は、ろ過した空気又は他の気体、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞増殖促進薬、洗浄用流体、化学的活性流体、又は他の流体である。別々の流通路を通って流路233に複数の流体を導入するのが望ましい場合、減圧送出管に3以上の管腔を設けてもよい。
【0027】
さらに図4Bを参照すると、横仕切り271が減圧送出管241の第1及び第2の管腔263,265を分けることで、第1の管腔263が第2の管腔265の上方に位置する。第1及び第2の管腔263,265の相対的な位置を、管腔263,265と流路233との間をどのように流通させるかに応じて変えてもよい。例えば、第1の管腔263を図4Bに示すように設ける場合、液口251と同じような液口を設けてもよく、流路233と流通し得る。第2の管腔263を図4Bに示すように設ける場合、第2の管腔263は遠位開口243と同じように遠位開口を通して流路233と通じる。代替的に、減圧送出管の複数の管腔を管腔を分ける縦仕切りとともに並べて設置でき、又は管腔を同心円状又は同軸に構成できる。
【0028】
上記のような複数管腔の管の提供を含む、多くの様々な方法で流通する独立した通路を提供することが当業者にとって明らかである。代替的に、1つの管腔を別の1つの管腔に付けることによって、又は1つ又は複数の管腔とともに別々の結合されていない管を使用することによって、流通する独立した流路を設けてもよい。
【0029】
別々の管腔を使用して流路233に向けた別々の流通通路を与える場合、背部215が、複数のアーチ状溝部223を各管について1つ有してもよい。代替的に、複数の管に適合するようアーチ状溝部223を大きくしてもよい。流体送出管から分かれた減圧送出管を有する減圧送出器具の一例を、図9を参照して以下に詳細に説明する。
【0030】
図6から8を参照すると、減圧送出器具又は本発明の原理に従ったウイングマニホールド311が、背部315及び1対のウイング部319を有する柔軟なバリヤ313を有している。それぞれのウイング部319は、背部315の両側に沿って設けられている。背部315は、ウイングマニホールド311の長さ全体を拡張又は拡張しないアーチ状溝部323を形成する。ウイング部319の大きさが等しくなるように背部315をウイングマニホールド311の中央に設けてもよいが、図6から図8に示すように背部315をオフセットしてもよく、これにより、一方のウイング部319が他方のウイング部319よりも幅が広くなる。骨再生又は治療に関してウイングマニホールド311を使用する場合に、一方のウイング部319の余分な幅が特に有用であり、幅の広い方のマニホールド311が骨に取り付けられる固定器具の周りを覆う。
【0031】
気泡材料327が柔軟なバリヤ313に付けられており、背部315及び双方のウイング部319にわたって延びる柔軟なバリヤ313の面全体を覆う1つの材料として設けられている。気泡材料327は、柔軟なバリヤ313の近くに設けられた取り付け面(図6に図示せず)と、取り付け面に対向する主要な分配面329と、複数の周囲面330と、を有している。
【0032】
ある実施例では、柔軟なバリヤ313が柔軟なバリヤ213と同じようであり、柔軟な裏地を有してもよい。接着剤が柔軟なバリヤ313に気泡材料327を付けるための好適な方法であるが、他の適切な取り付け方法によって、柔軟なバリヤ313及び気泡材料327を付けることができる。柔軟なバリヤ313及び/又は柔軟な裏地は、液体、空気、及び他の気体といった流体を通さない不透過性のバリヤとして機能する。
【0033】
ある実施例では、柔軟なバリヤ及び柔軟な裏地を、気泡材料327の裏に付けるよう別々に設けなくてもよい。むしろ、気泡材料327は、気泡材料327の不透過性を有する部分となる一体のバリヤ層を有する。流体が通過するのを防止するためのクローズドセルの材料でバリヤ層を形成することで、柔軟なバリヤ313の代わりにできる。一体のバリヤ層を気泡材料327とともに使用する場合、バリヤ層は、柔軟なバリヤ313に関連した上記のような背部及びウイング部を有している。
【0034】
柔軟なバリヤ313は、好適には、シリコーンポリマーといったエラストマー材料で形成される。適切なシリコーンポリマーの例は、Nusil Technologies of Carpinteria,Californiaによって製造されるMED−6015を含んでいる。しかしながら、他の生体適合性のある柔軟な材料で柔軟なバリヤ313を作製できることに留意されたい。柔軟なバリヤは、柔軟な裏地をはめているか又はそうでなければ組み込んでおり、柔軟な裏地は、好適には、CR.Bard of Tempe,Arizonaによって製造されるBard 6013といったポリエステル織物で作製される。しかしながら、柔軟な裏地227を、柔軟なバリヤ313の強度及び耐久性を増すことが可能な生体適合性のある柔軟な材料で作製できる。
【0035】
一実施例では、気泡材料327が、約400から600ミクロンの範囲の細孔サイズを具えた、オープンセルの網状のポリエーテルウレタン発泡体である。このような発泡体の一例として、Kinetic Concepts,Inc.of San Antonio,Texasによって製造されるGranuFoamが含まれる。また、気泡材料327が、複数の通路を通して立体的に流通させる、ガーゼ、フェルトのマット、又は他の生体適合性材料でもよい。
【0036】
気泡材料327は、隣接するセルに流通する複数のセルを有する主として「オープンセル」材料である。複数の流路が、気泡材料327の「オープンセル」によってこれらの間に形成されている。流路によりオープンセルを有する気泡材料327のこのような部分に通して流通し得る。セル及び流路は、均一の形状及び大きさでよく、又はパターン化して又は不規則に変化する形状及び大きさを有してもよい。気泡材料327のセルの形状及び大きさの変化により流路が変化し、このような特性を使用して気泡材料327を通る流体の流れ特性を変えることが可能である。気泡材料327は、さらに、「クローズドセル」を有する部分を含んでもよい。気泡材料327のこのようなクローズドセル部は複数のセルを収容しており、これらの大部分は隣接するセルと流体接続されていない。クローズドセル部の一例が、柔軟なバリヤ313に代えてもよいバリヤ層として上述されている。同様に、気泡材料327の中にクローズドセル部を選択的に設置して、流体が気泡材料327の周囲の面330を通って流れ出るのを防止することが可能である。
【0037】
また、柔軟性のあるバリヤ313及び気泡材料327を、減圧送出器具311の使用後に患者の体から取り除く必要がない生体吸収性材料で構成してもよい。適切な生体吸収性材料は、ポリ乳酸(PLA)及びポリグリコール酸(PGA)のポリマー混合物を有しているが、これに限定されない。また、ポリマー混合物は、ポリカーボネート、ポリフマル酸エステル、及びcapralactoneを有しているがこれらに限定されない。柔軟なバリヤ313及び気泡材料327は、さらに、新たな細胞成長のための骨格として機能し、又は柔軟なバリヤ313、柔軟な裏地327、及び/又は気泡材料327とともに骨格材料を使用して細胞成長をし易くする。適切な骨格材料は、リン酸カルシウム、コラーゲン、PLA/PGA、サンゴのヒドロキシアパタイト、炭酸塩、又は処理された同種移植材料を有するがこれらに限定されない。好適には、骨格材料は、高い空洞率(すなわち、高含量の空気)を有している。
【0038】
減圧送出管341が、アーチ状溝部323中に設置され、柔軟なバリヤ313に取り付けられている。また、減圧送出管341を気泡材料327に付けてもよく、又は気泡材料327のみを有するケースでは、気泡材料327のみに減圧送出管341を付けてもよい。減圧送出管341は、図5の遠位開口243と同じように管341の遠位端において遠位開口343を有している。遠位開口343がアーチ状溝部323に沿った任意の点に位置するように減圧送出管341を設置してもよいが、好適には、アーチ状溝部323の長手方向に沿った長さのほぼ中央に設置される。遠位開口343は、好適には、管341の長手軸に対して90度よりも小さい方向の面に沿って管341を切断することによって、楕円形又は長円形に作られる。開口を円形にしてもよいが、開口の楕円形の形状が気泡材料327の流路との流通を増やす。
【0039】
ある実施例では、減圧送出管341が、図5の液口251と同じような開口、又は液口(図示せず)をも有している。液口は、遠位開口343の代わりとして又は遠位開口343に加えて管341に沿って設けられており、減圧送出管341と流路との間の流通をさらにさらに増やす。上記のように、アーチ状溝部323の長手方向の長さのほんの一部に沿って減圧送出管341を設けてもよく、又は代替的に、アーチ状溝部323の長手方向の長さ全体に沿って設けてもよい。減圧送出管341がアーチ状溝部323の長さ全体を占めるよう設けた場合、管341と流路との間の流通が全て液口を通って生じるように、遠位開口343を覆ってもよい。
【0040】
好適には、気泡材料327は、重なって減圧送出管341に直接接触する。気泡材料327を減圧送出管341に取り付けてもよく、又は気泡材料327を柔軟なバリヤ313に単に取り付けてもよい。減圧送出管341が単にアーチ状溝部323の中間点に延びるように減圧送出管341を設置する場合、減圧送出管341を収容していないアーチ状溝部323の領域で気泡材料327を柔軟なバリヤ313の背部315に取り付けてもよい。
【0041】
減圧送出管341は、さらに、管341の近位端に近位開口355を有している。近位開口355は、減圧源に整合するよう構成されており、図9を参照して以下に詳細に説明されている。図6から8に示す減圧送出管341は、単一の管腔、又は通路359のみを有している。しかしながら、図4Bに関連して上述したような複数の管腔を減圧送出管341に含めることが可能である。双対の管腔を使用することで、上記のように減圧送出管341の近位端と流路との間の流通通路が分けられる。また、これらの別々の流通通路を、流路に流通する1つ又は複数の管腔を有する分かれた管によって設けてもよい。
【0042】
図8A及び8Bを参照すると、本発明の原理に従った減圧送出器具371が、減圧送出管373の遠位端377に延長部375を有する減圧送出管373を有している。この延長部375は、好適には、減圧送出管373の湾曲と一致するアーチ形の形状となっている。減圧送出管373の一部を遠位端377で取り除くことによって、延長部375を形成してもよく、これにより肩部383を有する切り欠き部381を形成する。複数の突起部385が減圧送出管373の内面387に設けられており、突起部385間に複数の流路391を形成する。突起部385は、図1から5に関して記載された突起部と同じ大きさ、形状、及び間隔でよい。減圧送出器具371は、切り欠き部381の中に受容し得る結合組織の組織に減圧を適用してこれを再生するのに特に適している。靱帯、腱、及び軟骨が、減圧送出器具371によって治療される組織の非限定的な例である。
【0043】
図9を参照すると、本書に記載の他の減圧送出器具と同じような減圧送出器具471を使用して、人間の骨415といった患者の組織部位413に減圧の組織治療を適用する。骨の組織成長を促すのに使用する場合、減圧送出治療により、骨折、偽関節、空洞、又は他の骨欠損に関する治癒の速さを高めることができる。さらに、減圧組織治療を使用して骨髄炎からの回復を改善すると考えられている。さらに、骨髄炎を患っている患者の局所的な骨密度を高めるよう本治療を用いてもよい。また、減圧組織治療を使用して、腰インプラント、膝インプラント、及び固定器具といった整形外科用インプラントのオッセオインテグレーション(oseointegration)を促進且つ改善してもよい。
【0044】
さらに図9を参照すると、減圧送出器具411が、減圧源427と流通する近位端421を有する減圧送出管419を有している。減圧源427は、減圧送出管419及び減圧送出器具411と関連する複数の流路を通して組織部位413に減圧を適用し得るポンプ又は他の装置である。組織部位413の近くに減圧送出器具411のウイング部を設置して、このような特定の例では骨415の中の空洞欠陥の周囲をウイング部で包むことによって、組織部位413に減圧の適用が行われる。減圧送出器具411は、外科的又は経皮的に挿入してよい。経皮的に挿入する場合、好適には、患者の皮膚の組織を貫通する殺菌した挿入シースを通して減圧送出管419を挿入する。
【0045】
減圧組織治療の適用により、一般に組織部位413の周囲の領域に肉芽組織を形成する。肉芽組織は、多くの場合、体の組織の修復に先だって形成する一般的な組織である。通常の状況下では、肉芽組織は体内に入った異物に応じて又は創傷治癒の際に形成する。肉芽組織は、一般に、健常な代替組織のための骨格として機能し、さらには瘢痕組織を発生させる。肉芽組織は血管に非常に発達し、成長の増加及び減圧下で非常に血管に発達する組織の成長速度が組織部位413での新たな組織の成長を促進する。
【0046】
さらに図9を参照すると、流体送出管431が、減圧送出器具411の流路に遠位端で流体的に接続されている。流体送出管431は、流体送出源433に流体的に接続された近位端432を有している。組織部位に送出される流体が空気の場合、空気は好適には、少くとも0.22μmの程度の粒子をろ過し得るフィルタ434によってろ過され、空気を浄化及び滅菌する。組織部位413への空気の導入は、特に組織部位413が皮膚の表面の下方に位置している場合に、組織部位413を十分に排出し易くするのに重要であり、これにより減圧送出管419の閉塞を減少又は防止する。また、減圧送出管413及び流体送出源433を使用して、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞増殖促進薬、洗浄用流体、又は他の化学的活性薬剤といったこれらに限定されない他の流体を組織部位413に導入できる。経皮的に挿入する場合、好適には、患者の皮膚の組織を貫通する殺菌した挿入シースを通して流体送出管432を挿入する。
【0047】
流体送出管431に圧力センサ435を作動可能に接続して、流体送出管431が血液又は他の体液で閉塞しているかどうかを表示させてもよい。流体送出源433に圧力センサ435を作動可能に接続して、組織部位413に導入される流体の量を制御するようにフィードバックさせてもよい。また、チェックバルブ(図示せず)を流体送出管431の遠位端の近くに動作可能に接続してもよく、血液又は他の体液が流体送出管431に進入するのを防止する。
【0048】
減圧送出管419及び流体送出管431によって与えられる独立した流通通路を、図4Bに関連して上述したような、単一又は複数管腔を与える方法を含む、多くの様々な方法で実現してもよい。当業者は、流体送出管431に関連するセンサ、バルブ、及び他の部品もまた、複数管腔の管を使用する場合、同様に減圧送出管419の特定の管腔と関連することを認識するであろう。好適には、組織部位と流通する管腔又は管を抗凝血剤でコーティングして、管腔又は管の中に体液又は血液が蓄積するのを防止する。管腔又は管を覆う他のコーティングは、ヘパリン、抗凝固剤、抗フィブリノゲン、抗付着剤(anti−adherents)、抗トロンビン剤(anti−thrombinogens)、及び親水性皮膜を有しているがこれらに限定されない。
【0049】
図10から図19を参照すると、試験結果が、骨の組織に適用した場合の減圧組織治療の好ましい効果を示している。ある特定の試験では、数頭のウサギの頭蓋骨に減圧組織治療を適用して骨の成長及び再生に関するその効果を判定した。この試験の特定の目的は、頭蓋骨に欠陥又は損傷が無いウサギの減圧組織治療の効果、頭蓋骨に臨界サイズの欠陥を有するウサギの減圧組織治療の効果、及び頭蓋骨の臨界サイズの欠陥を治療するために減圧組織治療とともに骨格材料を使用する効果、を発見することであった。特定の試験手順及びウサギの数を、以下の表1に一覧にする。





【0050】
臨界サイズの欠陥は、その大きさが十分に大きいため単に回復によって治癒しない組織(例えば、頭蓋骨)の中の欠陥である。ウサギでは、約15mmの直径の頭蓋骨を貫通する全層穴を開けることで、頭蓋骨の臨界サイズの欠陥を形成する。
【0051】
図10をさらに具体的に参照すると、実験未使用の損傷していない骨を有するウサギの頭蓋骨の組織切片を示す。頭蓋骨の骨組織に赤紫色の色を付け、周囲の軟らかい組織を白くし、骨膜の層を黄色い星印によって強調表示している。図11は、6日間減圧組織治療を適用した後に周辺組織を採取した後のウサギの頭蓋骨を示す。骨及び骨膜が観察でき、肉芽組織の層が成長している。図12は、6日間減圧組織治療を適用した後に周辺組織の採取した後のウサギの頭蓋骨を示す。図12の組織切片は、肉芽組織の下にある新たな骨組織の成長を特徴とする。骨組織を黄色の星印で強調表示する。図13は、6日間減圧組織治療を適用した後に周辺組織を採取した後のウサギの頭蓋骨を示す。新たな骨及び骨膜が観察できる。減圧組織治療に応じた骨組織の成長の組織学的所見は、新たな骨の極めて迅速な成長及び沈着が起きる幼若動物の骨の成長の組織学的所見と極めてよく似ている。
【0052】
図14から図19をさらに具体的に参照すると、臨界サイズの欠陥を有するウサギの頭蓋骨に関する減圧組織治療の処置及び結果を表すいくつかの写真及び組織切片を示す。図14は、2つの臨界サイズの欠陥が形成されているウサギの頭蓋骨を示す。全層の臨界サイズの欠陥は、約15mmの直径である。図15は、ステンレス鋼のスクリーンが臨界サイズの欠陥のうちの1つを覆っており、リン酸カルシウムの骨格が別の臨界サイズの欠陥の中に設置されている。図16は、本書で説明するのと同じような減圧組織治療器具を使用して、臨界サイズの欠陥に減圧を適用する。各欠陥に適用される圧力量は、125mmHgのゲージ圧であった。表1に示すプロトコルのうちの1に従って減圧を適用した。図17は、6日間の減圧組織処理後、術後12週において採取した頭蓋骨の組織切片を示す。示されている切片は、赤い矢印によって示されるリン酸カルシウムの骨格を有している。減圧組織治療の適用により、黄色の星印によって図17で強調表示されているような新たな骨組織が顕著に成長する。骨の成長量は、同じリン酸カルシウム骨格を含むが減圧組織治療によって治療されなかった臨界サイズの欠陥の場合よりもかなり大きい。このような観察結果は、大量の新たな骨の反応を引き出すのに要する閾値レベル又は治療期間を有する可能性を示唆している。減圧組織治療の効果は、減圧組織治療が新たな骨組織の形成増強をもたらす続いて起こる生物学的事象を開始させることを示している、術後12週で収集された試料で最も断言できる。
【0053】
ステンレス鋼のスクリーンで覆われているが欠陥の中に骨格材料が無い臨界サイズの欠陥(図15)は、最小限の新たな骨の成長を具えた動物内での対照としての役割を果たした。これらのデータは、骨格の一体化及び生物学的性能に関する適切な骨格材料の利点及び減圧組織治療の好ましい効果を強調している。図18及び19は、骨格を装填した放射線写真であり、6日間の減圧組織治療の後の臨界サイズの欠陥を示す。図18は、術後2週間の欠陥を示しており、骨格の中のいくつかの新たな骨の堆積を示す。骨格の主要な構造が明らかである。図19は、術後12週の欠陥を示しており、ほとんど完全に治癒した臨界サイズの欠陥及び組織の一体化による主要な骨格構造のほぼ完全な消失、すなわち、骨格の母組織の中の新たな骨の形成を示している。
【0054】
図20を参照すると、本発明の実施例に係る減圧送出システム711が、患者の組織部位713に減圧組織治療を送出する。減圧送出システム711は、マニホールド送出管721を有している。マニホールド送出管721は、カテーテル又はカニューレでよく、組織部位713にマニホールド送出管721を案内し得る操作ユニット725及びガイドワイヤ727といった形態を有している。ガイドワイヤ727及びマニホールド送出管721の配置及び案内を、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、又は他の適切な位置特定方法を用いることによって行ってもよい。マニホールド送出管721は、患者の組織部位713に減圧送出器具を経皮的に挿入するよう設けられている。経皮的に挿入する場合、マニホールド送出管721を、好適には、患者の皮膚の組織を貫通する殺菌した挿入シースを通して挿入する。
【0055】
図20で、組織部位713が、患者の骨733の裂け目733の近くの骨組織を有している。マニホールド送出管721を患者の皮膚735及び骨733の周りの軟らかい組織739を通して挿入する。また上記のように、組織部位713は、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨、腱、又は靱帯を含む、他のタイプの組織を有しているが、これらに限定されない。
【0056】
図21及び図22を参照すると、減圧送出システム711をさらに示す。マニホールド送出管721は先細の遠位端743を有しており、患者の皮膚735及び軟らかい組織739に挿入し易くなっている。さらに先細の遠位端743は、遠位端743の内径が管721の他の部分の内径とほぼ同じとなるか、又は管721の他の部分の内径よりも大きくなるように、拡開位置に向けて半径方向外側に曲がるよう構成されている。遠位端743の拡開位置を図21に破線737で概略的に示す。
【0057】
マニホールド送出管721は、さらに、減圧送出器具761又は他の減圧送出器具を収容する通路751を有している。減圧送出器具761は、図6から図8に関して上述したのと同じような柔軟なバリヤ及び/又は気泡材料767を有している。柔軟なバリヤ765及び/又は気泡材料767は、好適には、巻き付けられ、折り畳まれ、又はそうでなければ減圧送出管769の周りに押し付けられて、通路751内での減圧送出器具761の断面積を減らす。
【0058】
マニホールド送出管721の遠位端743を組織部位713に配置した後に、減圧送出器具761を通路751の中に置いて組織部位713に案内してもよい。代替的に、患者にマニホールド送出管721を挿入するのに先だって、通路751の中に減圧送出器具761を予め置いてもよい。減圧送出器具761を通路751に押し通す場合、生体適合性のある潤滑剤を使用して減圧送出器具761とマニホールド送出管721との間の摩擦を減らしてもよい。遠位端743を組織部位713に配置して減圧送出器具761を遠位端743に送出し、その後で減圧送出器具761を遠位端743に向けて押すことで、遠位端743が拡開位置に向けて半径方向外側に拡張する。減圧送出器具761をマニホールド送出管721の中から、好適には組織部位713の近くの欠陥又は空間の中に押し出す。欠陥又は空間は、一般に軟らかい組織の切開によって形成されるが、これは経皮的な手段によって行われる。あるケースでは、組織部位713が傷口であり、傷の組織により欠陥が自然に存在する。他の例では、バルーン切開、鋭い切開、鈍い切開、水による切開(hydrodissection)、空気による切開(pneumatic dissection)、超音波切開、電気焼灼による切開、レーザ切開、又は他の適切な切開方法により、欠陥を形成する。減圧送出器具761が組織部位713の近くの欠陥に進入すると、減圧送出器具761の柔軟なバリヤ765及び/又は気泡材料767が、減圧送出器具761が組織部位713と接触するよう配置し得るように、展開、拡張、又は減圧(図22参照)される。必要とされないが、柔軟なバリヤ765及び/又は気泡材料767を減圧送出管769を通して真空又は減圧下に置いて、柔軟なバリヤ765及び/又は気泡材料767を圧縮してもよい。柔軟なバリヤ765及び/又は気泡材料767の拡張を、減圧送出管769を通して圧力を緩めるか、又は拡開プロセスを補助するよう減圧送出管769を通して正圧を供給することによって、行ってもよい。減圧送出器具761の最終的な配置及び操作を、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、又は他の適切な位置特定方法を使用することによって行ってもよい。好適には、減圧送出器具761の配置に続いて、マニホールド送出管721を患者から取り外すが、減圧送出器具761と関係がある減圧送出管をその場に残すことで組織部位713への減圧の経皮的な適用が可能となる。
【0059】
図23から図25を参照すると、本発明の実施例に係る減圧送出システム811が、遠位端843の内径が管821の他の部分の内径とほぼ同じとなるか、又は管821の他の部分の内径よりも大きくなるように、拡開位置に向けて半径方向外側に曲がるよう構成された先細の遠位端843を有するマニホールド送出管821を有している。遠位端843の拡開位置を図23から図25に破線837で概略的に示す。
【0060】
マニホールド送出管821は、さらに、本書で記載した他の減圧送出器具と同じような減圧送出器具861を収容する通路を有している。減圧送出器具861は、柔軟なバリヤ865及び/又は気泡材料867を有しており、これらは好適には、巻き付けられ、折り畳まれ、又はそうでなければ減圧送出管869の周りに押し付けられて、通路内での減圧送出器具861の断面積を減らす。
【0061】
減圧送出器具861が不透過膜871の内部空間873の中に収容されるように、内部空間873を有する不透過膜871が減圧送出器具861の周りに設けられている。不透過膜871は、不透過膜871が圧縮位置(図23参照)、緩和位置(図24参照)、及び拡張位置(図25及び図25A参照)の少なくとも1つを取るように、流体が通過するのを防止し得るバルーン、シース、又は他のタイプの膜でよい。不透過膜871は、不透過膜871の内部空間873がマニホールド送出管821の通路と流通するように、マニホールド送出管821にシール接続されている。不透過膜871の内部空間873が減圧送出管869の通路と流通するように、不透過膜871を減圧送出管869に代替的に取り付けてもよい。代わりに不透過膜871を、内部空間873と流通する別の制御管又は制御管腔(例えば図25A参照)に取り付けてもよい。
【0062】
ある実施例では、通路の中の減圧送出器具861の断面積をさらに減らすよう不透過膜871を設けてもよい。これを実現するために、不透過膜871を取り囲む周囲の圧力よりも小さい圧力を不透過膜871の内部空間873に加える。これにより、内部空間873中の空気又は他の流体の大部分が真空に引かれ、不透過膜871を図23に示すような圧縮位置にする。圧縮位置では、減圧送出器具861に圧縮力を加えて減圧送出器具861の断面積をさらに減らすように、不透過膜871が内側に引き寄せられる。図21及び図22を参照して上述したように、減圧送出器具861を組織部位に送出した後にマニホールド送出管821の遠位端843を組織部位に配置してもよい。不透過膜871及び減圧送出器具861の配置及び操作は、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、又は他の適切な方法を使用することによって行われる。不透過膜871は、それを取り外す前にX線透視によって不透過膜871を見易くするX線を通さないマーカを有してもよい。
【0063】
遠位端843を通して減圧送出器具861を押し出した後、内部空間873に適用された減圧により不透過膜871を緩和位置(図24参照)に位置させ易くすることで、不透過膜871から減圧送出器具861が取り外し易くなる。トロカール、探り針、又は他の鋭い器具といった取り外し器具を不透過膜871を破裂させるよう設けてもよい。好適には、減圧送出管869を通して取り外し器具885を挿入することで、不透過膜871と接触するよう前進させることができる。不透過膜871を破った後に、取り外し器具885及び不透過膜871をマニホールド送出管821を通して引き出すことで、組織部位と接触するよう減圧送出器具861を配置できるように、減圧送出器具861の柔軟なバリヤ865及び/又は気泡材料867を展開、拡張、又は減圧し得る。柔軟なバリヤ865及び/又は気泡材料867の展開を、内部空間873への減圧の緩和及び不透過膜871の取り外しの後に自動的に行ってもよい。あるケースでは、減圧送出管869を通して正圧を送出して、柔軟なバリヤ865及び/又は気泡材料867の展開又は減圧を補助している。減圧送出器具861の最終的な配置の後に、マニホールド送出管821を好適には患者から外すが、減圧送出器具861と関連する減圧送出管869をその場に残すことで、組織部位への減圧の経皮的な適用が可能となる。
【0064】
また、組織部位に接触するよう減圧送出器具861を配置する前に、不透過膜871を使用して組織部位の近くの組織を分析してもよい。減圧送出器具861及び無傷の不透過膜871をマニホールド減圧管821の遠位端843を通して押し出した後に、不透過膜871の内部空間873の中に空気又は他の流体を注入又は圧入してもよい。液体の非圧縮性により不透過膜871をより均一且つ常に拡張させ得るため、好適には液体を使用して不透過膜871を膨張させる。不透過膜871は、その製造方法及びマニホールド送出管821への取り付け方法に応じて図25に示すように半径方向又は一方向に拡張する。不透過膜871が空気又は流体の圧力により拡張位置(図25参照)に向けて外側に拡張すると、欠陥が組織部位の近くで切り裂かれる。欠陥が十分大きい場合、液体、空気又は他の流体を内部空間873から解放させることで、不透過膜871が解放位置を取ることが可能となる。そして、不透過膜871を上記のように破裂させて減圧送出器具861を組織部位の近くに挿入する。
【0065】
図25Aを参照すると、不透過膜871を主に使用して組織部位の近くの組織を切り裂く場合、内部空間873がマニホールド送出管821と関連又はこれに取り付けられる第2の管腔又は管891と流通するように、不透過膜871をマニホールド送出管821にシーリングして付けてもよい。第2の管腔891を使用して内部空間873に液体、空気、又は他の流体を送出し、拡張位置に不透過膜871を置いてもよい。切り裂きに続いて、図24を参照して上述したように不透過膜871を緩和及び破裂させる。
【0066】
図26を参照すると、本発明の実施例に係る減圧送出システム911が、遠位端943の内径が管921の他の部分の内径とほぼ同じとなるか、又は管921の他の部分の内径よりも大きくなるように、拡開位置に向けて半径方向外側に曲がるよう構成された先細の遠位端943を有するマニホールド送出管921を有している。遠位端943の拡開位置を、図26に破線937で概略的に示す。
【0067】
マニホールド送出管921は、さらに、本書に記載の他の減圧送出器具と同じような減圧送出器具961を収容する通路を有している。減圧送出器具961は、柔軟なバリヤ965及び/又は気泡材料967を有しており、これらは、好適には巻き付けられ、折り畳まれ、又はそうでなければ減圧送出管969の周りに押し付けられて、マニホールド送出管921の通路内での減圧送出器具961の断面積を減らす。
【0068】
減圧送出器具961が不透過膜971の内部空間973の中に収容されるように、内部空間973を有する不透過膜971が減圧送出器具961の周りに設けられている。不透過膜971は、不透過膜971の一端に貼り付けシール977を有しており、不透過膜971から減圧送出システム961を取り外すための代替的な方法を与える。不透過膜971の内部空間973がマニホールド送出管921の通路と流通するように、不透過膜971をマニホールド送出管921の他端にシール取り付けしてもよい。代替的に、不透過膜971を内部空間973と流通する別の制御管(図示せず)に付けてもよい。
【0069】
図23の不透過膜871と同じように、不透過膜971が圧縮位置、緩和位置、及び拡張位置の少なくとも1つを取り得るように、不透過膜971は流体の通過を防止し得る。圧縮位置及び拡張位置に不透過膜971を置くための手順は、不透過膜871についてのそれらと同じであるため、減圧送出器具961を取り外すための異なったプロセスのみを説明する。
【0070】
不透過膜971の中の組織部位に減圧送出器具961を送出して、内視鏡、超音波、X線透視法、聴診、触診、又は他の適切な位置特定方法を使用して適切に配置する。不透過膜971は、それを取り外す前にX線透視によって不透過膜971を見易くするX線を通さないマーカ981を有してもよい。そして、マニホールド送出管921の遠位端943を通して減圧送出器具961を押し出す。内部空間973に減圧を適用することで、緩和位置に不透過膜971を位置させ易くする。そして、接着シール977を通して減圧送出器具961を押して不透過膜971から出す。
【0071】
図26Aを参照すると、本発明の実施例に係る減圧送出システム985は、図26のマニホールド送出管921と同じようなマニホールド送出管を有しなくてもよい。実際には、減圧送出システム985は、ガイドワイヤ987と、減圧送出管989と、減圧送出器具991とを有している。減圧送出器具991は、減圧送出管989に流体接続された複数の流路を有している。減圧送出器具991を送出するための独立したマニホールド送出管を使用する代わりに、組織部位993に経皮的に案内するガイドワイヤ987に減圧送出器具991及び減圧送出管989を配置してもよい。好適には、ガイドワイヤ987及び減圧送出管989は、殺菌したシースを通して患者の皮膚を貫通する。ガイドワイヤ987に沿って減圧送出管989及び減圧送出器具991を案内することによって、減圧送出器具991を組織部位993に配置して、減圧組織治療の経皮的な適用が可能となる。
【0072】
減圧送出器具991は、組織部位993への送出の際にマニホールド送出管の中に拘束されないため、送出の間に圧縮位置に減圧送出器具991を保持するのが好適である。減圧送出器具991として弾性発泡剤を使用する場合、生体適合性のある水溶性の接着剤を発泡体及び圧縮発泡体に適用してもよい。組織部位に達すると、減圧送出システム989を通って送出される体液又は他の流体が接着剤を分解することで、組織部位と接触するよう発泡体が膨張し得る。代替的に、減圧送出器具991を圧縮した乾燥ヒドロゲルで形成してもよい。ヒドロゲルは、組織部位993に送出した後に湿気を吸収して、減圧送出器具991を拡張し得る。さらに別の減圧送出器具991を、患者の体温に晒された場合に組織部位993で拡張する熱活性化材料(例えば、ポリエチレングリコール)で製造可能である。さらに別の実施例では、圧縮した減圧送出器具991を溶解可能な膜の中で組織部位993に送出してもよい。
【0073】
図27を参照すると、本発明の実施例に係る減圧送出システム1011が、組織部位1025に近付くよう患者の組織を通して挿入される遠位端1043を有するマニホールド送出管1021を有している。組織部位1025は、傷又は他の欠陥と関連する空洞1029、又は代替的に上記のような切り裂き法を含む切り裂きによって形成される欠陥を有している。
【0074】
組織部位1025の近くの空洞1029の中への遠位端1043の配置に続いて、注射可能、注入可能、又は流動性のある減圧送出器具1035をマニホールド送出管1021を通して組織部位1025に送出する。減圧送出器具1035は、好適には、組織部位への送出の際に流動性のある状態で存在し、到達後に減圧又は流体の分配のための複数の流路を形成する。あるケースでは、流動性のある材料が組織部位に達した後に、乾燥プロセス、硬化プロセス、又は他の化学的又は物理的反応によって固体の状態に固まる。他のケースでは、流動性のある材料が、組織部位に送出したのに続いてその場で発泡体を形成する。さらに他の材料が組織部位1025にゲル状の状態で存在してもよいが、それでも、減圧を送出するための複数の流路を有している。組織部位1035に送出される減圧送出器具1035の量は、空洞1029を部分的又は完全に充填するのに十分である。減圧送出器具1035は、マニホールド又は骨格の双方の態様を有してよい。マニホールドでは、減圧送出器具1035は、空洞1029への送出の後に材料に形成される複数の空孔又はオープンセルを有している。空孔又はオープンセルが互いに連通することで、複数の流路を形成する。流路を使用して、組織部位1025に減圧を適用及び分布させる。骨格では、減圧送出器具1035が生体吸収性材料であり新たな組織がそこで及びその中で成長する下地として機能する。
【0075】
一実施例では、減圧送出器具1035が、液体又は粘性ゲル全体に分散するNaCl又は他の塩といったポラゲン(poragen)を有している。液体又は粘性ゲルを組織部位1025に送出させた後に、材料が空洞1029に適合してその後で固体の塊に硬化する。水溶性のNaClポラゲンは、相互に繋がる空孔又は流路を具えた構造を残して体液の存在下で溶ける。減圧及び/又は流体が流路に送出される。新たな組織が成長すると、組織が減圧送出器具1035の空孔の中に成長し、分解すると最終的に減圧送出器具1035と入れ替わる。このような特定の実施例では、減圧送出器具1035はマニホールドとして機能するだけではなく、新たな組織の成長のための骨格としても機能する。
【0076】
別の実施例では、減圧送出器具1035が400μmのマンノースビーズと混合するアルギン酸塩である。ポラゲン又はビーズは、局部の体液又は注入によって、又は組織部位の減圧送出器具1035に送出される他の流体によって分解する。ポラゲン又はビーズの分解に続いて、ポラゲン又はビーズによって前に占められていた空間が他の空洞と相互に接続される空洞となって、減圧送出器具1035の中に流路を形成する。
【0077】
材料の中で流路を形成するためのポラゲンの使用は効果的であるが、またそれは選択したポラゲンのほぼ粒径の大きさに限定される空孔及び流路を形成する。ポラゲンの代わりに化学反応を使用して、気体の副生成物の形成によりもっと大きな空孔を形成してもよい。例えば、ある実施例では、重炭酸ナトリウム及びクエン酸の粒子(非化学量論量を用いてもよい)を含む組織部位1025に流動性のある材料を送出してもよい。流動性のある材料がその場で発泡体又は固体を形成すると、体液が重炭酸ナトリウムとクエン酸との間の酸塩基の反応を開始する。生成する得られる二酸化炭素ガス粒子は、ポラゲンの溶解に応じた方法よりも、減圧送出器具1035全体に大きな空孔及び流路を形成する。
【0078】
液体又は粘性ゲルから固体又は発泡体への減圧送出器具1035の変化は、pH、温度、光、又は体液との反応、組織部位に送出される化学物質又は他の物質によって引き起こされ得る。また、複数の反応成分を混ぜることによって変化が発生する。ある実施例では、生体吸収性のポリマーでできた生体吸収性の微小球を選択することによって、減圧送出器具1035を用意する。微小球は、光開始剤及びヒアルロン酸、コラーゲン、又は光反応基を具えたポリエチレン・グリコールといったヒドロゲル形成材料を含む溶液の中に分散する。微小球ゲル混合物を短い時間光に当てると、ヒドロゲルを部分的に架橋して微小球にヒドロゲルを固定する。余分な溶液を排出した後、微小球を乾燥させる。注射又は注入によって組織部位に微小球を送出し、送出に続いて、混合物が湿気を吸収し、ヒドロゲルコーティングが水和する。そして、混合物に再び光を当てると、混合物が微小球を架橋して、複数の流路を形成する。そして、架橋した微小球はマニホールドとして機能して組織部位に減圧を送出し、多孔質の骨格として機能して新たな組織の成長を促進する。
【0079】
本書に記載の上記の実施例に加えて、減圧送出器具1035は、気体、液体、ゲル、ペースト、パテ、スラリー、懸濁液、又は他の流動性のある材料として組織部位に送出することが可能で、組織部位と流通する複数の流路を形成し得る、リン酸カルシウム、コラーゲン、アルギン酸塩、セルロース、又は他の等価な材料を含む様々な材料で作製してもよいが、これらに限定されない。さらに、流動性のある材料は、粒子状固体の大きさが十分に小さい場合、マニホールド送出管1021を通って流れることができるビーズといった粒子状固体を有してよい。流動可能な状態で組織部位に送出される材料は、その場で重合又はゲル化する。
【0080】
上記のように、減圧送出器具1035は組織部位1025の近くの空洞1029の中に直接注射又は注入される。図27Aを参照すると、マニホールド送出管1021が、マニホールド送出管1021の遠位端1043に不透過膜又は半透膜1051を有している。膜1051はマニホールド送出管1021に取り付けられた第2の管腔1057と流通する内部空間1055を有している。マニホールド送出管1021はガイドワイヤ1061によって組織部位1025に案内される。
【0081】
第2の管腔1057を通して減圧送出器具1035を注射又は注入して、膜1051の内部空間1055に充填してもよい。流体又はゲルが膜1051を充填すると、膜が組織部位1025と接触するように、膜1051が拡張して空洞1029を充填する。膜1051が拡張すると、膜1051を使用して組織部位1025に隣接する又はその近くの余計な組織を切り裂く。膜1051が不透過性の場合、部分的に破裂及び取り除かれて、組織部位1025に接触する減圧送出器具1035の後方に残る。代替的に、膜1051に送出される体液又は生体適合性溶媒の存在下で溶ける分解可能な材料で膜1051を作製してもよい。膜1051が半透膜の場合、膜1051をその場に残す。半透膜1051により組織部位1025への減圧の適用あるいは他の流体とのやり取りが可能となる。
【0082】
図28を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施すための方法1111が、ステップ1115で組織部位の近くにマニホールドを外科的に挿入するステップを有しており、マニホールドは柔軟なバリヤから延びる複数の突起部を有し、突起部間に複数の流路を形成する。突起部の少なくとも一部分が組織部位と接触するように、ステップ1119でマニホールドを配置する。ステップ1123で、マニホールドを通して組織部位に減圧を適用する。
【0083】
図29を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施すための方法1211が、ステップ1215で組織部位の近くにマニホールドを経皮的に挿入するステップを有している。マニホールドは柔軟なバリヤから延びる複数の突起部を有しており、突起部間に複数の流路を形成する。代替的に、マニホールドが気泡材料の中に複数の流路を有する気泡材料を有している。代替的に、マニホールドを、組織部位に送出して組織部位に到達した後に複数の流路を形成する注射可能又は注入可能な材料で作製してもよい。ステップ1219で、流路の少なくとも一部が組織部位と流通するようにマニホールドを配置する。ステップ1223でマニホールドを通して組織部位に減圧を適用する。
【0084】
図30を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施すための方法1311が、ステップ1315で、患者の組織を通して通路を有する管を経皮的に挿入して組織部位の近くに管の遠位端を配置するステップを有している。ステップ1319で、管に関連するバルーンを膨張させて組織部位の近くの組織を切り裂くことで、空洞を形成する。ステップ1323で、通路を通してマニホールドを送出する。マニホールドは、柔軟なバリヤから延びる複数の突起部を有しており、突起部間に複数の流路を形成する。代替的に、マニホールドが気泡材料の中に複数の流路を有する気泡材料を有している。代替的に、マニホールドを、図27に関連して上述したように、組織部位に送出される注射可能又は注入可能な材料で作製してもよい。ステップ1327で、流路の少なくとも一部が組織部位と流通するように空洞の中にマニホールドを配置する。ステップ1331で減圧送出管又は他の送出手段を介してマニホールドを通して組織部位に減圧を適用する。
【0085】
図31を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施すための方法1411が、ステップ1415で、患者の組織を通して通路を有する管を経皮的に挿入して組織部位の近くに管の遠位端を配置するステップを有している。ステップ1423で、不透過性のシースの中で組織部位に通路を通してマニホールドを送出し、ステップ1419で、不透過性のシースにシースの周囲の圧力よりも小さい第1の減圧を適用する。ステップ1427で、シースを破裂させて組織部位に接触するようマニホールドを配置する。ステップ1431で、組織部位にマニホールドを通して第2の減圧を適用する。
【0086】
図32及び図33を参照すると、本発明の実施例に係る減圧送出器具1511が、患者の大腿骨1517の既存の大腿骨頭を取り換えるための整形外科用の人工股関節1515を有している。人工股関節1515は、ステム部1521及び頭部1525を有している。ステム部1521は、大腿骨1517の骨幹に穴開けされた通路の1529の中に挿入するために細長い。多孔質のコーティング1535がステム部の周りに施されており、これは好適には焼結又はガラス化(vitrified)セラミックス又は金属で構成される。代替的に、多孔質の特性を有する気泡材料をステム部の周りに配置しうる。流路1541が多孔質のコーティング1535と流通するように、人工股関節1515のステム部1521の中に複数の流路1541が設けられている。結合部1545が流路1541に流体結合されており、ポートが減圧送出管1551及び減圧送出源1553に取り外し可能に接続するよう構成されている。移植した後に、流路1541を使用して多孔質のコーティング1535及び/又は人工股関節1515を囲む骨に減圧を送出する。流路1541は、いくつかの横方向の支線1547と流通して多孔質のコーティング1535と連通する主要な分配線1543を有している。横方向の支線1545は、図32に示すように主要な分配線1543に対して垂直な方向に向いているか、又は主要な分配線1543に対して角度を成している。減圧を分配するための代替的な方法が、中空の人工股関節を設けて人工関節の内部空間を多孔質のコーティング1535と流通し得る気泡材料(好適にはオープンセル)で充填することを有している。
【0087】
特に図33を参照すると、人工股関節1515がさらにステム部1521の中に第2の複数の流路1561を有しており、多孔質のコーティング1535及び/又は人工股関節1515を囲む骨に流体を供給する。流体は、フィルタ処理した空気又は他の気体、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞増殖促進薬、洗浄用流体、化学的活性流体、又は他の流体を有する。人工股関節1515を囲む骨に複数の流体を導入するのが望ましい場合、流通する追加の通路を設けてもよい。接続ポート1565が流路1561に流体接続されており、ポート1565が流体送出管1571及び流体送出源1573に対して取り外し可能な接続部を構成する。流路1561は、いくつかの横方向の支線1585と流通して多孔質のコーティング1535と連通する主要な分配線1583を有している。横方向の支線1585は、図33に示すように主要な分配線1583に対して垂直な方向に向いているか、又は主要な分配線1583に対して角度を成している。
【0088】
第1の複数の流路1541への減圧の送出及び第2の複数の流路1561への流体の送出を、減圧送出管1551及び流体送出管1571といった別々の管によって行ってもよい。代替的に、本書で上述したような複数の管腔を有する管を使用して、減圧及び流体を送出するための連通路を分けてもよい。さらに、人工股関節1515の中で流通する別々の通路を設けることが好ましいが、第1の複数の流路1541を使用して人工股関節1515を囲む骨に減圧及び流体の双方を送出し得ることに留意されたい。
【0089】
上述のように、骨組織への減圧の適用により、新たな骨組織の成長を促進且つ速める。マニホールドとして人工股関節1515を使用して人工股関節を囲む骨の領域に減圧を送出することによって、大腿骨1517の回復がより速くなり、人工股関節1515が骨と首尾よく一体化する。第2の複数の流路1561を設けて人工股関節1515を囲む骨を抜くことで、関節の周りの新たな骨の良好な成長を向上させる。
【0090】
所定時間の人工股関節1515を通した減圧の適用に続いて、減圧送出管1551及び流体送出管1571を接続ポート1545,1565から抜いて、好適には外科的に侵襲的な処置無しに患者の体から外す。接続ポート1545,1565と管1551,1571間の接続は、患者の体の外側の管1551,1571に軸方向に向いた張力を加えることによって実現される手で取り外し可能な接続である。代替的に、接続ポート1545,1565は、流体又は化学物質に接続ポート1545,1565を晒すことによって管1551,1571を解放するように、所定の流体又は化学物質の存在下で生体吸収可能又は分解可能な材料でもよい。また、長い期間をかけて分解する生体吸収性材料又は特定の化学物質又は他の物質の存在下で分解する活性材料で管1551,1571を作製してもよい。
【0091】
減圧送出源1553を患者の体外に設けて減圧送出管1551に接続し、人工股関節1515に減圧を送出してもよい。代替的に、減圧送出源1553を、基板上に置くか又は人工股関節1515に近くに設置することによって患者の体内に埋め込んでもよい。患者の体内に減圧送出源1553を設置することで、経皮的な流体接続の必要性を無くす。埋め込まれた減圧送出源1553は、流路1541に動作可能に接続された従来型のポンプでよい。患者の中に埋め込まれたバッテリによってポンプに電力を供給するか、又はポンプに電気的且つ経皮的に接続された外部のバッテリによってポンプに電力を供給する。また、減圧を送出して流路1541,1561を通して流体を循環させる化学反応によってポンプを直接駆動してもよい。
【0092】
人工股関節1515のステム部1521及び頭部1525のみを図32及び図33に示すが、本書に記載の流路及び減圧組織治療を適用するための手段を、例えば寛骨臼カップを含む、骨又は他の組織に接触する人工股関節1515の部品に適用してもよいことに留意されたい。
【0093】
図34を参照すると、患者の関節を修復するための方法1611が、ステップ1615で、関節の近くの骨の中に人工関節を埋め込むステップを有している。人工関節は、患者の関節の動きが回復するのを補助する上記のような人工股関節又は他の人工関節が可能である。人工関節は、骨と流通するよう構成された複数の流路を有している。ステップ1619で、複数の流路を通して骨に減圧を適用して人工関節のオッセオインテグレーションを改善する。
【0094】
図35及び図36を参照すると、本発明の実施例に係る減圧送出器具1711が、骨折1719又は他の欠陥を含む患者の骨1717を固定するための整形外科用の固定器具1715を有している。図35及び図36に示す整形外科用の固定器具1715は、ネジ1725、ピン、ボルト、又は他の締結具で骨1717に整形外科用の固定器具1715を固定するための複数の通路1721を有するプレートである。多孔質のコーティング1735を骨1717に接触するよう整形外科用の固定器具1715の面に施してもよい。多孔質のコーティングは、好適には、焼結又はガラス化セラミックス又は金属で構成されている。代替的に、多孔質の特性を有する気泡材料を骨1717と整形外科用の固定器具1715との間に設けることができる。複数の流路1741が、流路1741が多孔質のコーティング1735と流通するように、整形外科用の固定器具1715の中に設けられている。接続ポート1745は流路1741に流体接続されており、このポートが減圧送出管1751及び減圧送出源1753への接続部を構成している。骨1717に整形外科用の固定器具1715を固定した後に、流路1741を使用して多孔質のコーティング1735及び/又は整形外科用の固定器具1715を囲む骨に減圧を送出する。流路1741は、いくつかの横方向の支線1747と流通して多孔質のコーティング1735と連通する主要な分配線1743を有している。横方向の支線1747は、図35に示すように主要な分配線1743に対して垂直な方向に向いているか、又は主要な分配線1743に対して角度を成している。減圧を分配するための代替的な方法が、中空の整形外科用の固定器具を設けて、整形外科用の固定器具の内部空間を多孔質のコーティング1735と流通し得る気泡材料(好適にはオープンセル)で充填することを有している。
【0095】
整形外科用の固定器具1715は、図35に示すようなプレート、又は代替的に、骨の一部を安定化させるよう使用する、スリーブ、支柱(brace)、支柱(strut)、又は他の器具でよい。さらに、整形外科用の固定器具1715は、締結具が締結具の近く又は周囲の組織に減圧を送出するための流路を有しているならば、人工装具又は他の整形外科用の器具又は移植組織(例えば、骨組織又は軟骨)を取り付けるよう使用する締結具でよい。これらの締結具の例は、ピン、ボルト、ネジ又は他の適切な締結具を含んでいる。
【0096】
図36をさらに詳細に参照すると、整形外科用の固定器具1715が、さらに整形外科用の固定器具1715の中に第2の複数の流路1761を有しており、多孔質のコーティング1735及び/又は整形外科用の固定器具1715の周りの骨に流体を送出する。流体は、フィルタ処理した空気又は他の気体、抗生物質、抗ウイルス薬、細胞増殖促進薬、洗浄用流体、化学的活性薬剤、又は他の流体を含む。整形外科用の固定器具1715を囲む骨に複数の流体を導入するのが望ましい場合、流通する追加の通路を設けてもよい。接続ポート1765は流路1761に流体接続されており、このポート1765が流体送出管1771及び流体送出源1773への接続部を構成している。流路1761は、いくつかの横方向の支線1785と流通して多孔質のコーティング1735と連通する主要な分配線1783を有している。横方向の支線1785は、図33に示すように主要な分配線1783に対して垂直な方向に向いているか、又は主要な分配線1783に対して角度を成している。
【0097】
第1の複数の流路1741への減圧の送出及び第2の複数の流路1761への流体の送出を、減圧送出管1751及び流体送出管1771といった別々の管によって行ってもよい。代替的に、本書で上述したような複数の管腔を有する管を使用して、減圧及び流体を送出するための連通路を分けてもよい。さらに、整形外科用の固定器具1715の中で流通する別々の通路を設けることが好ましいが、第1の複数の流路1741を使用して整形外科用の固定器具1715の近くの骨に減圧及び流体の双方を送出し得ることに留意されたい。
【0098】
整形外科用の固定器具1715の近くの骨の領域に減圧を送出するマニホールドとして整形外科用の固定器具1715を使用することで、骨1717の欠陥1719の回復を速め且つ改善する。第2の複数の流路1761を設けて整形外科用の固定器具1715を囲む骨に流体を流すことで、整形外科用の固定器具の近くの新たな骨の良好な形成を向上させる。
【0099】
図37を参照すると、骨の骨欠損を治療するための方法1811が、ステップ1815で、整形外科用の固定器具を使用して骨を固定する。整形外科用の固定器具は、整形外科用の固定器具の中に設けられた複数の流路を有している。ステップ1819で、複数の流路を通して骨欠損に減圧を適用する。
【0100】
図38を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施すための方法1111が、流路の少なくとも一部が組織部位と流通するように、ステップ1915で複数の流路を有するマニホールドを配置する。ステップ1919で、流路を通して組織部位に減圧を適用し、ステップ1923で流路を通して組織部位に流体を送出する。
【0101】
図39を参照すると、組織部位に減圧組織治療を施すための方法2011が、ステップ2015で組織部位の近くにマニホールド送出管の遠位端を配置する。ステップ2019で組織部位にマニホールド送出管を通して流体を送出する。流体は組織部位の近くの空洞を充填することが可能であり、組織部位と流通する複数の流路を有する固体マニホールドとなる。ステップ2023で固体マニホールドの流路を通して組織部位に減圧を適用する。
【0102】
図40から図48を参照すると、減圧送出システム2111が主要な流路2121を囲む柔軟な壁部2117を有する主要なマニホールド2115を有している。柔軟な壁部2117は近位端2123で減圧送出管2125に接続されている。減圧送出管2125の形状は一般に断面円形であり、主要なマニホールド2115の形状は断面が円形以外でもよいため(すなわち、図40から図45の矩形及び図46から図48の三角形)、移行領域2129を減圧送出管2125と主要なマニホールド2115との間に設けている。主要なマニホールド2115を、減圧送出管2125に接着してもよく、融合又はインサート成形といった他の手段を用いて付けてもよく、又は代替的に共押し出しによって一体接続してもよい。減圧送出管2125は組織部位に又はその近くに分配するための主要なマニホールド2115に減圧を送出する。
【0103】
閉塞防止部材2135が主要なマニホールドの中に設けられており、減圧を適用する際にマニホールド2115そして主要な流路2121が潰れるのを防ぐ。ある実施例では、閉塞防止部材2135が、柔軟な壁部2117の内面2141に設けられ主要な流路2121の中に延びる複数の突起部2137(図44参照)である。別の実施例では、閉塞防止部材2135が内面2141に設けられた単一又は複数のリッジ(ridge)2145である(図40及び41)。さらに別の実施例では、閉塞防止部材2135が、図47に示すように主要な流路中に設けられた気泡材2149を有している。閉塞防止部材2135は、流路の中に挿入し得る又は一体とし得る又はそうでなければ柔軟な壁部2117に取り付けられる材料又は構造体である。閉塞防止部材2135は柔軟な壁部2117が全体的に潰れるのを防止できる一方で、主要な流路2121を通して流体を流すことが可能である。
【0104】
柔軟な壁部2117はさらに、柔軟な壁部2117を通して主要な流路2121と連通する複数の開口2155を有する。開口2155は、主要な流路2121に送出される減圧を組織部位に分配し得る。開口2155をマニホールド2115の周囲に選択的に設けて、真空の送出を優先的に導いてもよい。例えば、図51で、骨に面する開口、重なっている組織に面する開口、又はそれら双方を設けてもよい。
【0105】
減圧送出管2125は好適には、主要な流路2121に接続されて主要な流路2121に減圧を送出する少なくとも1の出口を有する第1の管路2161を有している。また、第2の管路2163を、主要な流路2121及び第1の管路2161を流体で洗浄するよう設けてもよく、傷からの浸出液及び組織部位から出される他の流体によって引き起こされる閉塞を防止又は解決する。第2の管路2163は、好適には主要な流路2121の少なくとも1つ及び第1の管路2161の少なくとも1つの出口の近位に設けられた少なくとも1の出口を有する。
【0106】
図40及び図41をさらに詳しく参照すると、減圧送出システム2111の第2の管路2163が、主要な流路2121及び第1の管路2161を洗浄するための複数の管路を有している。減圧送出管2125に取り付けられた端部とは反対側の柔軟な壁部2117の端部が図40に示すように開放している一方で、柔軟な壁部2117の一端をキャッピングすることで洗浄機能の性能及び信頼性を改善することが分かっている。好適には、柔軟な壁部のキャッピングした端部と第2の管路2163の端部との間にヘッドスペース2171を設ける。ヘッドスペース2171により洗浄処理の際に洗浄流体を蓄積し、洗浄流体が主要な流路2121を通って第1の管路2161の中に流れるのを後押しする。
【0107】
また、閉塞防止部材2135として機能する仕切りを図41に示す。中央に設置された仕切りは、主要な流路2121を2つの部屋に分岐させ、これにより、この部屋のうちの一方が閉塞して洗浄により閉塞を解除することが不可能となる場合、主要なマニホールド2115の連続的な動作が可能となる。
【0108】
図49及び図50を参照すると、減圧送出システム2211が、減圧送出管2217と一体となった主要なマニホールド2215を有している。減圧送出管2217は、中央管腔2223と複数の補助管腔2225とを有している。補助管腔2225を使用して組織部位又はその近くの圧力を測定する一方、さらに補助管腔2225を使用して中央管腔2223を洗浄し閉塞を防止又は解除してもよい。複数の開口2231が中央管腔2223と連通して中央管腔2223によって送出される減圧を分配する。図50に示すように、好適には、開口2231は補助管腔2225を貫通しない。また、減圧送出管の皿先(countersunk)を図50に示しており、これが補助管腔2225の端部の向こう側にヘッドスペース2241を形成する。減圧を適用する間に、組織、骨格、又は他の材料が減圧送出管2217の端部に係合すると、ヘッドスペース2241が連続して中央管腔2223に洗浄流体を送出可能になる。
【0109】
動作時に、図40から図50の減圧送出システム2111,2211を組織部位に直接的に加えて、組織部位に減圧を分配してもよい。本書に記載の経皮的な導入及び取り外し方法では、薄型の主要なマニホールドの形状が大いに望ましい。また同様に、主要なマニホールドを外科的に挿入してもよい。
【0110】
図51を参照すると、第2のマニホールド2321とともに主要なマニホールド2115,2215を使用してもよい。図51では、第2のマニホールド2321が2層のフェルトマットを有している。第2のマニホールド2321の第1の層は、骨折を含む骨の組織部位と接触するよう配置されている。主要なマニホールド2115は第1の層と接触するよう配置されており、第2のマニホールド2321の第2の層が主要なマニホールド2115及び第1の層の上部に設けられている。第2のマニホールド2321により、主要なマニホールド2115と組織部位との間の流通が可能となるが、組織部位と主要なマニホールド2115との間の直接的な接触を防止する。
【0111】
好適には、第2のマニホールド2321は生体適合性を有しており、減圧治療の完了の後に第2のマニホールド2321をその場に残すことが可能である。減圧治療が完了すると、組織にほとんど又は全く障害を与えずに、主要なマニホールド2115を第2のマニホールドの層間から取り外す。ある実施例では、主要なマニホールドに潤滑材料又はヒドロゲル形成材料をコーティングをして、層間から取り外し易くしてもよい。
【0112】
第2のマニホールドは、好適には、新たな組織成長のための骨格として機能する。骨格として、第2のマニホールドは、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレラート、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン、ポリウレタン、コラーゲン、ヒアルロン酸、キトサン、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、バイオガラス、ステンレス鋼、チタン、タンタル、同種移植片、自家移植片の群から選択される少なくとも1の材料を具えている。
【0113】
上記のような減圧送出システム2111,2211の洗浄機能を本書に記載のようなマニホールドで使用してもよい。減圧を送出するマニホールド又は管路を洗浄する能力により、閉塞が減圧の供与を抑制するのを防止する。これらの閉塞は一般に、組織部位の近くの圧力が平衡に達する際に形成し、組織部位の周りの流体排出が遅くなる。所定の時間間隔で空気でマニホールド及び減圧管路を洗浄することで、閉塞を防止又は解除するのに役立つのが見受けられた。
【0114】
さらに具体的には、減圧を送出する第1の管路とは別の第2の管路を通して空気を送出する。第2の管路の出口は、好適には、マニホールド又は第1の管路の出口に隣接している。第2の管路の出口に向けて空気を与圧及び「押す」一方、好適には組織部位での減圧によって第2の管路を通して空気を引き出す。減圧を適用する際に、60秒の間隔で2秒間空気を送出することで、多くの場合閉塞を形成するのを防止するのに十分であることが見受けられた。このような洗浄過程によりマニホールド及び第1の管路の中に流体を流すのに十分な空気を与える一方、多過ぎる空気が導入されるのを防止する。空気の導入が多過ぎる場合、又は空気の導入の頻度が高過ぎると、洗浄周期の間に減圧システムが目標とする減圧に戻れないようになるであろう。洗浄流体を送出する所定時間及び洗浄流体を送出する所定の間隔は、一般にシステムの部品(例えば、ポンプ、管、等)の構造及び大きさに基づいている。しかしながら、完全な目標圧力に洗浄周期の合間に戻ることができつつ、閉塞を効果的に除去するのに十分な量及び頻度で空気を送出すべきである。
【0115】
図52を参照すると、ある具体例では、減圧送出システム2411が第1の管路2419及び第2の管路2423に流体接続されたマニホールド2415を有している。第1の管路2419は減圧源2429に接続されてマニホールド2415に減圧を与える。第2の管路2423は、マニホールド2415と流通するよう設置された出口2435を有しており、第1の管路2419の出口に隣接している。第2の管路2423は、バルブ2439に流体接続されており、バルブを開放位置に設定すると第2の管路2423と周囲空気との間の流通が可能となる。バルブ2439は、開放を制御してバルブ2439を閉止可能なコントローラ2453に動作可能に接続されており、コントローラ2453が周囲空気による第2の管路の洗浄を調整してマニホールド2415及び第1の管路2419の中の閉塞を防止する。
【0116】
液体又は気体を含む流体を使用して本書に記載の洗浄方法を実施することが可能なことに留意されたい。洗浄流体の駆動力は、好適には組織部位での減圧の引き込みであるが、図9を参照して説明した手段と同じ流体送出手段によって同じように流体を送出できる。
【0117】
本書に記載のシステム及び方法に従って組織部位に減圧組織治療を施すことを、組織部位に十分な減圧を適用し、その後で所定の時間このような十分な減圧を保持することによって行ってもよい。代替的に、組織部位に適用する減圧が事実上周期的でもよい。さらに具体的には、適用する減圧の量を選択した一時的な周期に従って変えてもよい。減圧を適用するためのさらに別の方法は、ランダムに減圧の量を変えるものである。同様に、組織部位に送出される流体の速さ又は量は、事実上、一定、周期的、又はランダムでよい。流体の送出は、周期的に行う場合、減圧を適用する間、又は減圧を適用しない周期に発生する。組織部位に適用する減圧の量は、一般に組織部位の病状及び減圧組織治療を施す環境に従って変わる一方で、減圧は一般に約−5mmHgと−500mmHgとの間であり、より好適には約−5mmHgと−300mmHgとの間である。
【0118】
本発明のシステム及び方法を、人間の患者の組織の成長及び治癒に関連して説明したが、減圧組織治療を適用するためのこれらのシステム及び方法を、組織の成長及び治癒を促進することが望まれる生体で使用できると認識すべきである。同様に、本発明のシステム及び方法を、骨組織、脂肪組織、筋肉組織、神経組織、皮膚組織、維管束組織、結合組織、軟骨、腱、又は靱帯を含むがこれらに限定されない組織に適用してもよい。組織の治癒は、本書に記載するように減圧組織治療の適用の1つの関心の的であるが、特に患者の皮下組織への減圧組織治療の適用を使用して、罹患していない、欠陥がない、又は損傷していない組織の成長を起こしてもよい。例えば、経皮的な埋め込み方法を使用して減圧組織治療を適用し組織部位において後で採取可能なさらなる組織を成長させるのが望ましい。採取した組織を別の組織に移植して罹患又は損傷組織と取り替えてもよく、又は代替的に採取した組織を別の患者に移植してもよい。
【0119】
また、本書に記載の減圧送出器具を骨格材料とともに使用して新たな組織の成長及び成長速度を高めることに注目することが重要である。組織部位と減圧送出器具との間に骨格材料を配置でき、又は減圧送出器具自身を新たな組織の成長に対する骨格として機能する生体吸収性材料で作製することができる。
【0120】
顕著な利点を有する発明が提供されていることに上記の内容から明らかである。本発明をわずか数種類の形式で示したが、本発明はこれらに限定されず、その精神から逸脱することなしに様々な変更及び改良を受け入れることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0121】
特許又は出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1の図面を含んでいる。カラー図面を具えた本特許又は出願公開は、要求及び必要な手数料の支払いに応じてオフィスによって提供される。
【0122】
【図1】図1は、本発明の実施例に係る減圧送出器具の斜視図を示しており、減圧送出器具は柔軟性のあるバリヤから延びて複数の流路を形成する複数の突起部を有している。
【図2】図2は、図1の減圧送出器具の正面図を示す。
【図3】図3は、図1の減圧送出器具の平面図を示す。
【図4】図4Aは、図1の減圧送出器具の側面図を示しており、減圧送出器具は1つの管腔、減圧送出管を有している。図4Bは、図1の減圧送出器具の代替的な実施例の側面図を示しており、減圧送出器具は2つの管腔、減圧送出管を有している。
【図5】図5は、図1の減圧送出器具の拡大斜視図を示している。
【図6】図6は、本発明の実施例に係る減圧送出器具の斜視図を示しており、減圧送出器具が、背部及び1組のウイング部を有する柔軟性のあるバリヤに取り付けられる気泡材料を有し、気泡材料が複数の流路を有している。
【図7】図7は、図6の減圧送出器具の正面図を示す。
【図8】図8は、図7の7−7断面である減圧送出器具の側断面図を示す。
【図8A】図8Aは、本発明の実施例に係る減圧送出器具の正断面図を示す。
【図8B】図8Bは、図8Aの減圧送出器具の側面図を示す。
【図9】図9は、患者の骨に減圧組織治療を適用するために使用する本発明の実施例に係る減圧送出器具の正面図を示す。
【図10】図10は、実験未使用の、損傷を受けていない骨を示すウサギの頭蓋骨のカラーの組織切片を示す。
【図11】図11は、減圧組織治療の適用後の肉芽組織の導入を示すウサギの頭蓋骨のカラーの組織切片を示す。
【図12】図12は、減圧組織治療の適用後の新たな骨の堆積を示すウサギの頭蓋骨のカラーの組織切片を示す。
【図13】図13は、減圧組織治療の適用後の新たな骨の堆積を示すウサギの頭蓋骨のカラーの組織切片を示す。
【図14】図14は、頭蓋骨に形成された2つの臨界サイズの欠陥を有するウサギの頭蓋骨のカラー写真を示す。
【図15】図15は、臨界サイズの欠陥及び第2の臨界サイズの欠陥の下にあるステンレス鋼のスクリーンの一方に挿入されたリン酸カルシウム骨格を示すウサギの頭蓋骨のカラー写真を示す。
【図16】図16は、臨界サイズの欠陥への減圧組織治療の適用を示す図14のウサギの頭蓋骨のカラー写真を示す。
【図17】図17は、減圧組織治療に続くウサギの頭蓋骨のカラーの組織切片を示しており、組織切片はリン酸カルシウム骨格の中の新たな骨の堆積を示す。
【図18】図18は、6日間の減圧治療後、術後2週の図15の臨界サイズの欠陥の骨格を充填した放射線写真を示す。
【図19】図19は、6日間の減圧治療後、術後12週の図15の臨界サイズの欠陥の骨格を充填した放射線写真を示す。
【図20】図20は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出システムは組織部位に減圧送出器具を経皮的に挿入するよう使用されるマニホールド送出管を有する。
【図21】図21は、図20のマニホールド送出管の拡大正面図を示しており、マニホールド送出管が圧縮位置に有る柔軟性のあるバリヤ及び/又は気泡材料を有する減圧送出器具を含んでいる。
【図22】図22は、図21のマニホールド送出管の拡大正面図を示しており、マニホールド送出管から押し出された後に拡張位置にある減圧送出器具の柔軟性のあるバリヤ及び/又は気泡材料を示す。
【図23】図23は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出システムが組織部位に減圧送出器具を経皮的に挿入するマニホールド送出管を有しており、減圧送出器具がマニホールド送出管の外側において圧縮位置に不透過膜によって拘束された状態を示す。
【図24】図24は、図23の減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出器具がマニホールド送出管の外側において緩和位置に不透過膜によって拘束された状態を示す。
【図25】図25は、図23の減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出器具がマニホールド送出管の外側において拡張位置に不透過膜によって拘束された状態を示す。
【図25A】図25Aは、図23の減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出器具がマニホールド送出管の外側において拡張位置に不透過膜によって取り囲まれた状態を示す。
【図26】図26は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出システムが、組織部位に減圧送出器具を経皮的に挿入するのに使用するマニホールド送出管を有しており、減圧送出器具がマニホールド送出管の外に出ているが接着シールを有する不透過膜によって拘束されている。
【図26A】図26Aは、本発明の実施例に係る減圧送出システムの正面図を示す。
【図27】図27は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出システムが組織部位に減圧送出器具を経皮的に注入するのに使用するマニホールド送出管を有している。
【図27A】図27Aは、本発明の実施例に係る減圧送出システムの正面図を示しており、減圧送出システムが組織部位に配置された不透過膜に減圧送出器具を経皮的に送出するのに使用するマニホールド送出管を有している。
【図28】図28は、本発明の実施例に係る組織部位に減圧組織治療を施すための方法のフローチャートを示す。
【図29】図29は、本発明の実施例に係る組織部位に減圧組織治療を施すための方法のフローチャートを示す。
【図30】図30は、本発明の実施例に係る組織部位に減圧組織治療を施すための方法のフローチャートを示す。
【図31】図31は、本発明の実施例に係る組織部位に減圧組織治療を施すための方法のフローチャートを示す。
【図32】図32は、本発明の実施例に係る減圧送出器具の正面の断面図を示しており、減圧送出器具が、人工股関節を囲む骨の領域に減圧を適用するための複数の流路を有する人工股関節を含んでいる。
【図33】図33は、人工股関節を囲む骨の領域に流体を送出するための別の複数の流路を有する図32の人工股関節の正面の断面図を示す。
【図34】図34は、本発明の実施例に係る減圧組織治療を用いた患者の関節を修復するための方法のフローチャートを示す。
【図35】図35は、本発明の実施例に係る減圧送出器具の正面の断面図を示しており、減圧送出器具が、整形外科用の器具の近くの骨の領域に減圧を適用するための複数の流路を有する整形外科用の器具を含んでいる。
【図36】図36は、整形外科用の器具の近くの骨の領域に流体を送出するための別の複数の流路を有する図35の整形外科用の器具の正面の断面図を示す。
【図37】図37は、本発明の実施例に係る減圧組織治療を用いた骨の骨欠損を治癒するための方法のフローチャートを示す。
【図38】図38は、本発明の実施例に係る、組織部位に減圧組織治療を施すための方法のフローチャートを示す。
【図39】図39は、本発明の実施例に係る、組織部位に減圧組織治療を施すための方法のフローチャートを示す。
【図40】図40は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図41】図41は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図42】図42は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図43】図43は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図44】図44は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図45】図45は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図46】図46は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図47】図47は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図48】図48は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの様々な視野を示しており、減圧送出システムが、主要な流路を囲む柔軟な壁部を有する主マニホールド及び柔軟な壁部の複数の開口を有している。
【図49】図49は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの斜視図を示しており、減圧送出システムが、減圧組織管に一体接続された主マニホールドを有している。
【図50】図50は、本発明の実施例に係る減圧送出システムの平断面図を示しており、減圧送出システムが、減圧組織管に一体接続された主マニホールドを有している。
【図51】図51は、組織部位に第2のマニホールドで適用する図40から図50の主マニホールドの斜視図を示す。
【図52】図52は、本発明の実施例に係る、第2の管路に流体接続されたバルブを有する減圧送出システムの概略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織部位に減圧組織治療を適用するための減圧送出システムであって、
通路及び遠位端を有するマニホールド送出管であって、前記遠位端が前記組織部位の近くに経皮的に挿入及び配置されるマニホールド送出管と、
前記組織部位に前記マニホールド送出管を通して経皮的に送出可能な流動性を有する材料であって、前記流動性を有する材料が前記組織部位の近くの空洞を充填して前記組織部位と流通する複数の流路を有するマニホールドを形成し得る流動性を有する材料と、
前記マニホールドの前記流路と流通し得る減圧送出管と、
を具えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記マニホールド送出管及び前記減圧送出管が同一の管であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記マニホールドが、生体吸収性材料であることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記マニホールドが、組織成長のための骨格として機能することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記マニホールドが、体液及び体温のうちの少なくとも一方の存在下で発泡且つ硬化することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
さらに、前記マニホールドが、溶媒の中で分解して重炭酸ナトリウム及びクエン酸と混合する生体吸収性ポリマーを具えていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記生体吸収性ポリマーが、ポリラクチド−グリコリド共重合体(PLAGA)ポリマー及びポリエチレン・グリコール−PLAGA共重合体のうちの一方であることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記溶媒が塩化メチレンであることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
前記流動性を有する材料が、液体、スラリー、懸濁液、粘性ゲル、ペースト、パテ及び粒状固体の群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記流動性を有する材料が、体液及び体温のうちの少なくとも一方の存在下で相変化を起こし、
前記流動性を有する材料が、前記流動性を有する材料の硬化に続いて分解するポラゲン(poragen)を含んでおり、前記ポラゲンの分解により複数の流路を形成することを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記流動性を有する材料が、組織部位への前記流動性を有する材料の送出の後に選択的に架橋し得るコーティングを有する微小球を有していることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記コーティングが、熱、光、及び化学物質のうちの少なくとも1に応じて選択的に架橋されることを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記微小球が架橋に続いて複数の流路を形成することを特徴とする請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記流動性を有する材料が、初期粘度を有するペースト及びパテの群から選択され、
前記流動性を有する材料の粘度が、前記組織部位への送出の際にせん断力の存在下で前記初期粘度を下回って減少し、
前記流動性を有する材料の粘度が、前記組織部位への前記流動性を有する材料の送出の後に前記初期粘度に戻ることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
組織部位に減圧治療を施すための方法であって、
組織部位の近くにマニホールド送出管の遠位端を経皮的に配置するステップと、
前記マニホールド送出管を通して前記組織部位に流動性を有する材料を経皮的に送出して、前記組織部位の近くの空洞を充填し得る流体が前記組織部位と流通する複数の流路を有するマニホールドを形成するステップと、
前記マニホールドの前記流路を通して前記組織部位に減圧を適用するステップと、
を具えることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記マニホールドが、生体吸収性材料であることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マニホールドが、組織成長のための骨格として機能することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記マニホールドが、体液及び体温のうちの少なくとも一方の存在下で発泡且つ相変化を起こすことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記マニホールドが、熱可逆性ゲルであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
さらに、前記マニホールドが、溶媒の中で分解して重炭酸ナトリウム及びクエン酸と混合する生体吸収性ポリマーを具えていることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記生体吸収性ポリマーが、ポリラクチド−グリコリド共重合体(PLAGA)ポリマー及びポリエチレン・グリコール−PLAGA共重合体のうちの一方であることを特徴とする請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記溶媒が塩化メチレンであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記流動性を有する材料が、液体、スラリー、懸濁液、粘性ゲル、ペースト、パテ及び粒状固体の群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記流動性を有する材料が、体液及び体温のうちの少なくとも一方の存在下で相変化を起こし、
前記流動性を有する材料が、前記流動性を有する材料の硬化に続いて分解するポラゲン(poragen)を含んでおり、前記ポラゲンの分解により複数の流路を形成することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記流動性を有する材料が、前記組織部位への前記流動性を有する材料の送出の後に選択的に架橋し得るコーティングを有する微小球を有していることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項26】
前記コーティングが、熱、光、及び化学物質のうちの少なくとも1に応じて選択的に架橋されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記微小球が架橋に続いて前記複数の流路を形成することを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記流動性を有する材料が、初期粘度を有するペースト及びパテの群から選択され、
前記流動性を有する材料の粘度が、前記組織部位への送出の際にせん断力の存在下で前記初期粘度を下回って減少し、
前記流動性を有する材料の粘度が、前記組織部位への前記流動性を有する材料の送出の後に前記初期粘度に戻ることを特徴とする請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図25A】
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【図26】
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【図26A】
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【図27】
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【図27A】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【公表番号】特表2009−532080(P2009−532080A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500508(P2009−500508)
【出願日】平成19年3月14日(2007.3.14)
【国際出願番号】PCT/US2007/006652
【国際公開番号】WO2007/106594
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】