流通情報管理システム
【課題】 商品及び容器を追跡管理することによって得た情報の開示の可否を、要求者の立場に応じて決定する流通情報管理システムを提供する。
【解決手段】 製品の流通経路に沿った少なくとも三つの流通拠点にそれぞれ配置され、各々がタグ情報読み取り装置に接続された情報処理端末11〜51と、データベース90と接続されたサーバ100とがネットワークを介して接続された流通情報管理システムであって、サーバ100は、各情報処理端末11〜51から取得した二次元コード情報及び端末IDを基に、製品の流通又は使用済み容器の回収に関する情報を生成し、その情報を、所定のアクセスレベルに対応させてデータベース90に格納し、情報処理端末から情報の取得要求を受信した場合に、取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断し、権限を有する情報処理端末からの取得要求に応じて、データベース90に蓄積されているデータを読み出して、該取得要求の送信元の情報処理端末に送信する。
【解決手段】 製品の流通経路に沿った少なくとも三つの流通拠点にそれぞれ配置され、各々がタグ情報読み取り装置に接続された情報処理端末11〜51と、データベース90と接続されたサーバ100とがネットワークを介して接続された流通情報管理システムであって、サーバ100は、各情報処理端末11〜51から取得した二次元コード情報及び端末IDを基に、製品の流通又は使用済み容器の回収に関する情報を生成し、その情報を、所定のアクセスレベルに対応させてデータベース90に格納し、情報処理端末から情報の取得要求を受信した場合に、取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断し、権限を有する情報処理端末からの取得要求に応じて、データベース90に蓄積されているデータを読み出して、該取得要求の送信元の情報処理端末に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有体物の流通状態を管理するシステムに関し、特に、流通した物品の回収状態を管理できる流通情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、消耗品の容器などを回収し、回収した容器に再び消耗品を充填する取り組みが重要視されており、回収・再充填可能な容器を用いた商品が増えている。
【0003】
このような消耗品の一例としては、画像形成装置に用いるトナーがあり、その容器であるプロセスカートリッジがリサイクル・リユースの対象となる。
【0004】
消耗品の容器をリサイクル・リユースする場合、その容器が正規の製造メーカに回収されれば、メーカにおいて純正の消耗品が充填されることとなり、その容器を再度利用して出荷される商品も本来の品質が保証される。
【0005】
しかし、このような消耗品容器の再利用に関しては、いわゆるサードパーティと呼ばれる業者が存在する。サードパーティは、使用済みの容器に純正ではない消耗品を充填して販売する業者である。
【0006】
サードパーティにおいて充填される消耗品は、純正品と比較して品質に劣る場合が多く、例えばプロセスカートリッジの場合には、サードパーティにおいて充填されたトナーが画像形成装置を故障させる原因となることがある。
【0007】
しかし、サードパーティにおいて消耗品が充填されたとしても、容器自体は正規の製造メーカにおいて製造されたものであることには変わりがない。そして正規のメーカにおいて製造された消耗品の容器には、ロゴマークや商品名などメーカを特定するような情報が表示されていることがほとんどである。
【0008】
よって、消費者としては、容器の外観だけでは、容器内の消耗品が純正のものであるのか否かを判断することは難しく、気付かぬうちに品質が劣るサードパーティ製の消耗品を使用してしまうおそれがある。
【0009】
このため、自分が購入しようとする製品が、どのようにして生産され、流通してきたのかを知りたいと考える消費者も多い。
【0010】
また、流通経路にある仲介業者としても、消費者からの問い合わせに応じるために、これらの情報を知る必要性に迫られている。
【0011】
さらに、経時劣化によって容器の耐久性が劣ってくることを考えると、メーカとしてもどの容器がどのくらいの期間・回数使用されたのかを把握する必要がある。
【0012】
そのためには、メーカは商品の流通段階だけでなく、回収段階まで含めて全商品(容器)の追跡管理(トレーサビリティ)を行い、それによって得た情報を消費者や仲介業者の要求に応じて開示する必要がある。
【0013】
しかし、トレーサビリティによって得られる情報の中には、企業のノウハウに関するものも多々含まれるため、トレーサビリティによって得た情報の全てを消費者や仲介業者に開示することは、企業(メーカ)にとって好ましくはない。
【0014】
よって、情報を要求する者の立場(消費者、仲介業者、メーカ社員など)に応じて、情報の種別ごとに参照を許可するか否かを判断する必要がある。
【0015】
データベース内の情報に対するアクセス制限に関する従来技術としては、特許文献1に開示される「人事管理システム、人事管理方法、及び記録媒体」がある。特許文献1には、クライアントからサーバシステムに対してファイルの参照の依頼があったときには、照会依頼を出した従業員の職務権限又は職位に応じて照会内容に制限を加える人事管理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−230241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献1に開示される発明は、人事業務に使用される情報を管理するためのものであり、物品の流通に関する情報を管理することを想定してはいない。例えば、メーカが製造した製品は、所定個数ごとに梱包(場合によっては二重三重に)されて取り扱われるが、特許文献1に開示される発明は、梱包状態にある製品群から個々の製品の情報をどのようにして取得するかについては何ら開示されていない。すなわち、特許文献1に開示される発明を、物流情報の管理に適用することはできない。
【0017】
このように、従来は、商品の流通段階だけでなく、回収段階まで含めて商品及び容器の追跡管理を行い、それによって得た情報の開示の可否は、要求者の立場に応じて決定する流通情報管理システムは提供されていなかった。
【0018】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、商品及び容器を追跡管理することによって得た情報の開示の可否を、要求者の立場に応じて決定する流通情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記目的を達成するために、製品の流通経路に沿った少なくとも三つの流通拠点にそれぞれ配置され、各々がタグ情報読み取り装置に接続された情報処理端末と、データベースと接続されたサーバとがネットワークを介して接続された流通情報管理システムであって、各タグ情報読み取り装置は、流通対象物である製品又は使用済み製品若しくはこれらを収容する包装部材に貼付されているタグを読み取ってタグ情報を取得する手段を有し、各情報処理端末は、自端末に接続されているタグ情報読み取り装置からタグ情報を取得する手段と、該取得したタグ情報と自端末に固有の情報である端末IDとを関連づけてサーバへ送信する手段と、データベースに格納されている情報の取得要求と共に自端末の端末IDをサーバへ送信する手段とを有し、サーバは、各情報処理端末から取得したタグ情報及び端末IDに基づいて、製品の流通状態及び使用済み製品の回収状態に関する情報をタグ情報を主キーとしてデータベースに記録する流通情報記録手段と、データベースに記録した情報を基に、製品の流通又は使用済み製品の回収に関する情報を生成する情報生成手段と、情報生成手段が生成した情報を、所定のアクセスレベルに対応させてデータベースに格納する手段と、各情報処理端末の端末IDと、その端末のアクセス権限とが関連づけられた端末アクセス権限テーブルと、情報処理端末から情報の取得要求を受信した場合に、端末アクセス権限テーブルに基づいて、取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断するアクセス可否判断手段と、権限を有する情報処理端末からの取得要求に応じて、データベースに蓄積されているデータを読み出して、該取得要求の送信元の情報処理端末に送信する手段とを有し、流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、タグ情報とともに該流通対象物の送り先の情報をサーバへ送信し、流通対象物の納入側の流通拠点に設置された情報処理端末は、自装置に接続されているタグ情報読み取り装置から取得したタグ情報を主キーとするレコードの送信要求を該タグ情報とともにサーバへ送信することを特徴とする流通情報管理システムを提供するものである。
【0020】
以上の構成においては、各情報処理端末は、ユーザを特定する情報であるユーザ情報を取得する手段と、認証要求とともにユーザ情報をサーバへ送信する手段とを有し、サーバは、各ユーザごとにユーザ情報とアクセス権限とが関連づけられたユーザアクセス権限テーブルをさらに有し、アクセス可否判断手段は、ユーザアクセス権限テーブルにも基づいて、取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断することが好ましい。これに加えて、各情報処理端末は、タグ情報及びこれに関連づけられている端末IDにユーザIDをさらに関連づけてサーバへ送信し、サーバは、製品の流通状態及び使用済み製品の回収状態に関する情報を、各情報処理端末から受信したユーザIDにも基づいて、タグ情報を主キーとして記録することがより好ましい。
【0021】
上記のいずれの構成においても、流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、2以上の流通対象物を関連づけてグループ化し、該グループ毎に送り先の情報をサーバへ送信して、データベースに記録させることが好ましく、これに加えて、ユニークなタグ情報が格納されている情報タグを、2以上の流通対象物を一体に梱包する梱包部材に貼付し、流通対象物に貼付されている情報タグに格納されているタグ情報に続いて、梱包部材に貼付された情報タグに格納されている情報タグを発送側の流通拠点に設置された情報処理端末に接続されているタグ情報読み取り装置で読み取ることによって、2以上の流通対象物をグループ化することがより好ましい。
【0022】
上記のいずれの構成においても、タグは、二次元コードがレーザ刻印として施された透明層を有するシールであり、タグ情報読み取り装置は二次元コードを読み取って二次元コード情報を取得する二次元コードリーダであることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、商品及び容器を追跡管理することによって得た情報の開示の可否を、要求者の立場に応じて決定する流通情報管理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の好適な実施の形態について説明する。図1に、本実施形態にかかる流通情報管理システムの構成を示す。この流通情報管理システムは、流通の各拠点に配置した情報処理端末11、21、31、41及び51のそれぞれとサーバ100とがネットワークを介して接続され、各情報処理端末に二次元コードリーダ12、22、32、42及び52が、サーバ100にはデータベース(DB)90がそれぞれ接続された構成である。また、情報処理端末61及び二次元コードリーダ62が配置されたアンテナショップはユーザのサポート窓口であり、情報処理端末61は不特定多数者が利用可能である。なお、情報処理端末61もネットワークを介してサーバに接続されている。
【0025】
二次元コードリーダ12、22、32、42、52及び62は、製品に貼付されるシール60に形成されている二次元コードを光学的に読み取って、デジタルデータに変換する機能を有する。なお、二次元コードの偽造・変造を防止することを目的として、シールには通常の方法(単なる印刷)とは異なる方法で二次元コードを形成するが、各二次元コードリーダはこれを読み取ることができるものを適用する。なお、二次元コードが形成されるシールや二次元コードリーダの構成については後段で詳細に説明する。
情報処理端末11、21、31、41、51及び61は、二次元コードリーダ12、22、32、42、52及び62が二次元コードを読み取って得たデジタルデータを取得する。また、ネットワークを介してサーバ100と情報を送受信する機能を備えている。
データベース90には、各情報処理端末から取得したデータが蓄積される。
サーバ100は、データベース90に蓄積されているデータを情報処理端末からの要求に応じて参照させる。なお、データベース90は、各情報処理端末の端末IDと設置位置との組合せを示す情報が予め登録されており、サーバ100は情報処理端末のいずれかから情報を受信した場合には、端末IDに基づいて送信元を特定できる。また、サーバ100は、パスワード入力やバイオメトリックス情報の読み取り又はIDカードの読み取りなどによって各流通拠点の情報処理端末が取得した認証情報を、データベース90に蓄積されているデータと比較することによってユーザ認証を行う機能を備える。
【0026】
なお、各情報処理端末には不図示の印刷装置が接続されており、データベース90の情報が更新された場合(各情報処理端末において入力された情報が新たに蓄積された時)には常にハードコピーが印刷装置から出力されるようになっている。
【0027】
メーカで製造した製品を販売会社へ出荷し、そこからさらに代理店へ分配する場合を例として、本実施形態にかかる物流情報管理システムの動作について説明する。なお、図2に示すように、代理店Aは入荷した製品を代理店Bに出荷する。また、代理店Bは入荷した製品を代理店Cへ出荷する。また、各代理店とも、ユーザに対して製品を販売する場合があるものとする。
【0028】
メーカで製造された製品には、ユニークな二次元コードが表面に形成されたシール60が貼付される。
【0029】
複数個の製品を組として梱包する場合には、紙箱や袋などの梱包部材に二次元コードが形成されたシール70を新たに貼付する。この二次元コードは製品に貼付するシール60に形成されている二次元コードとは異なる系統のものである。例えば、製品にA+5桁の数字の組合せからなる情報を示す二次元コードを割り当てる場合には、紙箱等にはB+5桁の数字の組合せからなる情報を示す二次元コードを割り当てる。そして、各製品に貼付したシール60の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取り、続いて紙箱等に貼付したシール70の二次元コードを読み取る。
情報処理端末11は、紙箱等に割り当てられるB+5桁の数字の情報を二次元コードリーダ12から取得した場合には、その直前に二次元コードリーダ12から取得した製品に関する情報を複数個関連づけてサーバ100へ送信する。
【0030】
例えば、製品を三個一組として紙箱で梱包する場合には、各製品に貼付されているシール60の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取り、続いて紙箱に貼付されているシール70の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取る。情報処理端末11には、A+5桁の数字からなる情報が3回続けて入力されたのち、B+5桁の数字からなる情報が入力される。情報処理端末11は、B+5桁の数字からなる情報が二次元コードリーダ12から入力されると、その直前に取得したA+5桁の数字からなる情報を三つ分関連づける。そして、これらの関連づけた情報と端末IDとを組としてサーバ100へと送信する。
情報処理端末11からの情報を受信したサーバ100は、受信した端末IDに基づいて、メーカに設置されている情報処理端末11から受信したデータであることを確認した上で、製品三つ分の情報と紙箱の情報とを関連づけて、データベース90に登録する。
【0031】
さらに大きな単位で仕分ける場合には、その仕分け単位ごとに系統が異なる二次元コードを割り当てて、上記同様にして管理する。例えば、三個一組としたパックを20パックまとめて段ボールに箱詰めする場合には、各パックに貼付されているシール70二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取り、続いて段ボール箱に貼付されているシール80の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取る。ここで段ボール箱にはC+5桁の数字からなる情報が割り当てられるとすると、情報処理端末11には、B+5桁の数字からなる情報が20回続けて入力されたのち、C+5桁の数字からなる情報が入力される。情報処理端末11は、C+5桁の数字からなる情報が二次元コードリーダ12から入力されると、その直前に取得したB+5桁の数字からなる情報を20個分関連づけてサーバ100へと送信する。
【0032】
以上のようにしてサーバ100が取得した製品の梱包状態に関する情報がデータベース90に登録される。
【0033】
製品などを出荷する際には、出荷担当者は、最も外側の梱包部材に貼付されているシールの二次元コード(最も大きな仕分け単位に割り当てられた二次元コード)を二次元コードリーダ12で読み取り、続いて情報処理端末11を操作して出荷先に関する情報を入力する。情報処理端末11は、二次元コードリーダから取得した情報と出荷担当者の入力操作によって取得した情報と自端末の端末IDとを関連づけてデータベース90へと送信する。
情報処理端末11からの情報を受信したサーバ100は、受信した端末IDに基づいて、メーカに設置されている情報処理端末11から受信したデータであることを確認した上で、二次元コードの情報によって特定されるレコードに出荷先に関する情報をデータベース90に追記する。
以上のようにして、データベース90に登録される製品の出荷先に関する情報のデータの構造を図3に示す。不図示の印刷装置において出力されるハードコピーはこれと同じものである。
【0034】
販売会社が製品を入荷する際には、入荷した製品の最も外側の梱包部材に貼付されているシールの二次元コード(最も大きな仕分け単位に割り当てられた二次元コード)を二次元コードリーダ22で読み取ると、二次元コードのデジタルデータは情報処理端末21へと送られる。情報処理端末21は、二次元コードリーダ22から得た情報(例えば、C+5桁の数字)と自端末の端末IDとをサーバ100へ送信する。情報処理端末21からの情報を受信したサーバ100は、データベース90に蓄積されている情報を受信した端末IDに基づいて参照し、製品などを受け取る立場にある流通拠点(販売会社)に設置されている情報処理端末21から受信したデータであることを確認した上で、二次元コードの情報を受信した時刻をデータベース90に追記する。さらに、サーバ100は、その二次元コードによって特定されるレコードの情報を情報処理端末21へ送信する。これにより、入荷した製品などに関する情報を情報処理端末21で参照することが可能となる。
【0035】
販売会社に入荷した製品をさらに分配する場合には、製品の最も外側の梱包部材に貼付されているシールの二次元コード(最も大きな仕分け単位に割り当てられた二次元コード)を二次元コードリーダ22で読み取るとともに、情報処理端末21において出荷先の情報を入力する。情報処理端末21は、二次元コードリーダ22から取得した情報と担当者の入力操作によって取得した情報と自端末の端末IDとを関連づけてサーバ100へと送信する。
情報処理端末21からの情報を受信したサーバ100は、データベース90に蓄積されている情報を受信した端末IDに基づいて参照し、製品などを発送する立場にある流通拠点に設置されている情報処理端末21から受信したデータであることを確認した上で、二次元コードの情報によって特定されるレコードに出荷先に関する情報を追記する。
以上のようにして、製品の出荷先に関する情報がデータベース90に登録される。
【0036】
各代理店では、製品などに貼付されている二次元コードを二次元コードリーダ32、42又は52で読み取ることによって、製品がどのような流通経路を経て入荷したのかを特定できる。
【0037】
なお、データベース90に情報登録されている情報を各情報処理端末を用いて更新する場合には、ユーザ認証を行うようにすると良い。ユーザ認証の方法としては、パスワード及びユーザIDの入力、IDカードの読み取り、バイオメトリックス認証などの公知の方法を適用可能であるため詳細な説明は省略する。
ユーザ認証を行うことにより、図3に示したように、データベース90内のデータを更新した人物を表す情報がデータベース90に記録される。
【0038】
次に、使用済みの製品を回収する場合のシステムの動作について図4を用いて説明する。
使用済みの製品は、各代理店において回収されうるが、ここでは代理店Cで回収した場合を例に説明する。代理店Cの回収業務担当者は、製品に添付されているシール60の二次元コードを二次元コードリーダ52で読み取る。二次元コードリーダ52が読み取った二次元コードのデジタルデータは、情報処理端末51へと送られる。情報処理端末51は、二次元コードリーダ52から得た情報と自端末の端末IDとをサーバ100へ送信する。
情報処理端末51からの情報を受信したサーバ100は、データベース90に蓄積されている情報を、受信した端末IDに基づいて参照し、その二次元コードによって特定されるレコードにすでに記録されている情報を基に、添付されているシール60から二次元コードを読み取った製品が回収段階にあると判断する。この場合は、その製品(又はそれを含んだパックや箱)に添付されているシールの二次元コードのデジタルデータを最後に送信してきたのは情報処理端末51であり、同じ情報処理端末から再びその製品に添付されているシールの二次元コードのデジタルデータを受信したため、その製品が回収段階に入っていると判断する。サーバ100は、受信した端末IDと二次元コードの情報を受信した時刻とを含む情報をデータベース90に追記する。
【0039】
高次の代理店から発送された使用済みの製品は、低次の代理店又は販売会社において受領される。ここでは、代理店Bが使用済みの製品を受領する場合を例に説明する、入荷した使用済み製品に貼付されているシール60の二次元コードを二次元コードリーダ(以下、二次元コードリーダ42を例とする)で読み取ると、二次元コードのデジタルデータは情報処理端末42へと送られる。情報処理端末41は、二次元コードリーダ42から得た情報(A+5桁の数字)と自端末の端末IDとをサーバ100へ送信する。情報処理端末41からの情報を受信したサーバ100は、その二次元コードによって特定されるレコードにすでに記録されている情報を基に、
その使用済み製品が流通拠点において受け取られる状態にあると判断する。そして、受信した端末IDと、二次元コードの情報を受信した時刻とをデータベース90に追記する。さらに、その二次元コードによって特定されるレコードの情報を情報処理端末41へ送信する。これにより、入荷した製品などに関する情報を情報処理端末41で参照することが可能となる。
【0040】
以上のようにして、製品の流通及び回収を行うと、データベース90には、図5に示すようなデータが蓄積される。
サーバ100は、データベース90に蓄積されている情報に基づいて製品の流通及び回収状況を管理する。
例えば、三次代理店出荷の項目にdc*****というデータが記録されているレコードは、そのレコードの製品が代理店Cで入荷されたことを示す。よって、三次代理店出荷の項目にdc*****というデータが記録されているレコードの総数が代理店Cに入荷した製品数を表す。同様に、二次代理店の項目にdb*****というデータが記録されているレコードの総数が、二次代理店に入荷した製品の数を表す。また、二次代理店の項目にdb*****というデータが記録されており、三次代理店出荷の項目に何かしらのデータが記録されているレコードの総数は、代理店Bを経て高次の代理店へ出荷された製品の数を示す。さらに、二次代理店出荷の項目にdb*****というデータが記録されており、三次代理店出荷の項目にデータが記録されていないレコードの総数は、二次代理店から消費者に直接販売されたか、在庫として保管されている製品の数を表す。
【0041】
サーバ100は、このようにして製品の流通状況を把握する。製品の回収状況についても同様であり、サーバ100は各レコードのそれぞれの項目に記録されているデータを基に、製品容器の回収状況を把握する。
【0042】
メーカに回収された容器は、製品が再充填された後に再び商品として出荷される。この際には、最初の出荷の際と同様にして、製品容器や梱包材料に添付されている二次元コードを各流通拠点において二次元コードリーダで読み取ることにより、図6に示すように2回目以降の流通・回収に関する情報がデータベース90に記録されていく。3回目以降の流通・回収に関しても同様である。
【0043】
サーバ100は、このようにしてデータベース90に蓄積した情報を基に、製品の流通や容器の回収に関する情報を生成する。例えば、各流通拠点における容器の回収率(回収した容器数÷納入された製品数)を生成し、データベース90に記録する。生成した情報には、所定のアクセスレベルが設定される。どのような情報を生成するかやどのアクセスレベルとするかは、サーバ100の管理者があらかじめ設定しておけばよい。
例えば、製品容器に添付されている二次元コードに関するレコードがデータベースに登録されているか否かは、その製品の真贋を表すため、全てのユーザに開示できるようにアクセスレベルを設定しない。また、製品がいつメーカから出荷されたかや、どのような経路を経て流通したかは、一般消費者には開示せず、特定の消費者(例えば、ユーザ登録済みの消費者)に開示するようにアクセスレベルを設定する。
このようにして生成した情報の種別とアクセスレベルの対応付けは、図7に示すようなテーブルとしてサーバ100に記録される。ここで、アクセスレベルが設定されていない情報は、システムにログインすることなくどの情報処理端末からでも閲覧可能な情報である。
なお、商品及び容器を追跡管理することによって得た情報以外の情報(例えば、製品の原材料に関する情報)についても、アクセスレベルを設定した上でデータベース90に記録するようにしてもよい。
【0044】
また、サーバ100は、端末アクセス権限テーブルを保持している。図8に、端末アクセス権限テーブルの一例を示す。この端末アクセス権限テーブルにおいてアクセス権限が“1”である情報処理端末は、全ての情報に対してアクセス可能であることを表している。また、アクセス権限が“2”である情報処理端末は、アクセスレベルが“1”以外のデータに対してアクセス可能である。さらに、アクセス権限が“3”である情報処理端末は、アクセスレベルが“1”又は“2”以外のデータに対してアクセス可能である。アクセス権限が4〜6の情報処理端末についても同様である。
システム内の全ての情報処理端末には、1〜6のいずれかのアクセス権限が設定されている。
【0045】
サーバ100は、いずれかの情報処理端末からデータベース90に蓄積されているデータへのアクセスが要求された場合、アクセス要求とともに送信されてきた端末IDを引数として端末アクセス権限テーブルを参照し、要求元の情報処理端末のアクセス権限を取得する。
そして、要求元の情報処理端末が、アクセスを要求する情報に対するアクセス権限を持っているか否かを確認し、持っていなければそのアクセス要求を拒否する。この場合には、サーバ100は要求元の情報処理端末にエラー表示させるようにしても良い。
【0046】
このようにすることで、情報処理端末が設置された流通拠点の立場に応じて、それらの情報処理端末に情報を開示できる。
【0047】
なお、情報処理端末だけでなくユーザに対してもアクセス権限を設定してもよい。
この場合には、サーバ100には、図9に示すような、ユーザIDとアクセス権限とを関連づけたテーブル(ユーザアクセス権限テーブル)を保持させておく。そして、サーバ100は、ユーザがログインしている情報処理端末からアクセス要求を受信した場合には、ログインしているユーザに設定されているアクセス権限及び情報処理端末のアクセス権限のうち高い方に応じて、情報に対するアクセスを認めるか否かを判断する。
なお、ログインしているユーザに設定されているアクセス権限及び情報処理端末のアクセス権限のうち低い方に応じて、情報に対するアクセスを認めるか否かを判断するようにしても良いことは言うまでもない。
【0048】
このようにすることにより、ユーザが、普段使用している情報処理端末よりも低いアクセス権限が設定されている情報処理端末を使用する場合(例えば、メーカの社員が仲介業者に出向き、そこに設置されている情報処理端末を使用する場合)でも、普段と同じアクセスレベルの情報にアクセスすることが可能となる。
【0049】
本実施形態にかかる流通情報管理システムによれば、メーカは、トレーサビリティによってデータベースに蓄積したデータに基づいた情報の開示の可否を、要求者の立場に応じて決定できる。
【0050】
なお、ここでは、製品に直接シール60が添付されている場合を例としたが、シール60は製品を包装する部材、例えば包装紙や小袋などに貼り付けてもよい。
また、製品容器の回収の際にも、流通時と同様に複数個の使用済み容器をグループ化して回収しても良い(例えば、通箱を用いる)ことは言うまでもない。
また、製品容器が収納するものは有体物に限られることはない。換言すると、製品は有体物を収容した容器に限定されることはない。例えば、製品が電池の場合には、使用済み電池が上記例における製品容器に対応することとなるが、システムの動作は同様である。
【0051】
本実施形態にかかる流通情報管理システムでは、製品や梱包部材に貼付するシールが偽造や変造可能であると、流通情報を正確に管理できなくなる可能性がある。よって、本実施形態にかかる流通情報管理システムには、偽造・変造ができないように二次元コードが表面に形成されたシールを製品などに貼付する必要がある。
以下、このような二次元コードシールの構成及び製造方法並びにこれを読み取るための二次元コードリーダについて説明する。
【0052】
〔二次元コードシールの構成例〕
図10は、本実施形態にかかる流通情報管理システムに用いる偽造防止粘着シールの構成例の模式断面図である。上記のように偽造防止粘着シールは、製品などの物品を形成する面やこれを梱包する部材(袋、箱など)に貼付される。
【0053】
図10に示されているように、偽造防止粘着シールは、ホログラム樹脂層101と、再帰反射材層102と、接着剤層103とからなる。接着剤層103上には再帰反射材層102が積層されている。また、再帰反射材層102上には、再帰反射材層102の保護層としてホログラム樹脂層101が積層されている。
【0054】
また、ホログラム樹脂層101表面には、CO2レーザにより二次元コードが刻印されている。二次元コードは、偽造防止粘着シールが貼付された製品の識別情報を表すものであるが、管理情報(ロットナンバー、製造日、製造地など)が含まれていてもよい。偽造防止粘着シール上の二次元コードを二次元コードリーダで読み取ることにより、偽造防止粘着シールが貼付された物品の製造、流通の管理が容易になる。
【0055】
なお二次元コードは、スタック型二次元コードであってもよいし、マトリックス型二次元コードであってもよい。
【0056】
ホログラム樹脂層101は透過性を有する熱可塑樹脂層であって、例えば、ポリエチレンテレフタレートを素材とする。また、ホログラム樹脂層101には、複数のホログラム像の干渉縞が多重記録されている。ホログラム樹脂層101に対して所定方向からの白色光が照射されると、2D及び3Dの複数のホログラム像が再生される。また、ホログラム樹脂層101に対して所定方向からのレーザ光が照射されると、記録物のフーリエ変換パターンにより形成された干渉縞による可視像が再生される。
【0057】
また、ホログラム樹脂層101の上面には、二次元コードを形成する複数のドット104が形成されている。CO2レーザマーカは、ホログラム樹脂層101上にCO2レーザを照射することにより、ホログラム樹脂層101を形成する樹脂を昇華させ、ホログラム樹脂層101上に凹陥部(ドット104)を複数形成する。この複数のドット104により二次元コードが形成される。
【0058】
再帰反射材層102は、所定方向から偽造防止粘着シールに照射された光を光源方向(光進入方向)に再帰反射させる。
【0059】
図11に、再帰反射材層102の構造を示す。再帰反射材層102は、ガラスビーズ131と、反射層132と、基材133とから構成される。図11に示されているように、基材133上には反射層132が設けられ、反射層132上には、複数のガラスビーズ131が整列配置されている。
【0060】
基材133は、金属、布、又は紙素材によりなるものであってもよいし、樹脂フィルムによりなるものであってもよい。
【0061】
反射層132は、ガラスビーズ131を介して進入した入射光を再帰反射させ、その反射光に色彩を付与するものであり、従来のようなアルミニウム又はシルバーなどの反射性金属版/反射性金属蒸着面(層)であるとしてもよい。また、反射層132は、Li2CoTi3O8被覆雲母などの干渉物質からなるとしてもよい。この場合、反射層132は、干渉を利用して反射光に色彩を付与する。
【0062】
ガラスビーズ131は透明な真円球であって、凸レンズとして作用するものである。例えば、ガラスビーズ131は、直径40〜90μm程度の微小球である。ガラスビーズ131は、反射層132上に均一に多数配置される。ガラスビーズ131に入射した光は、ガラスビーズ131の内部を通り屈折して反射層132上の一点に焦点を結ぶ。反射層132上の焦点から反射された光は、再度ガラスビーズ131の内部を通り屈折して光源方向に帰される。
【0063】
接着剤層103は、感圧接着剤などからなる層であり、偽造防止粘着シールを物品を形成する平面に接着するために設けられている。
【0064】
本例構成の偽造防止粘着シールの製造工程について説明する。
【0065】
まず、白色光により再生映像を再生可能なレインボーホログラムとしての干渉縞と、赤色レーザ光によってのみ再生映像を再生可能なフーリエ変換ホログラムとしての干渉縞とが多重に記録された記録材料をマスターホログラムとして用い、マスターホログラムと同様の干渉縞を記録することによってマスターホログラムと同じ再生映像を再生し得るホログラムフィルムを作成する。このホログラムフィルムに二酸化チタンを蒸着して、ホログラム樹脂層101を作成する。
【0066】
ホログラム樹脂層101は、白色光下では、再生光の照射方向を変えると異なる再生映像が1種類以上観察可能なホログラムであり、かつ赤色レーザを照射したときのみ特定の再生映像が観察し得るホログラム(フーリエ変換ホログラム)である。
【0067】
次に、白色のアクリル繊維による布などを基材133とし、基材133上に、Li2CoTi3O8被覆雲母とアクリル樹脂溶液とを混合した透明着色スクリーン印刷用インクをスクリーン印刷して反射層132を形成する。形成された反射層132上に、例えば屈折率が1.9で200〜250メッシュのガラスビーズ131を均一に多数散布して、各ガラスビーズ131の半球以上が埋没しないように一重に付着乾燥させ、再帰反射材層102を製造する。再帰反射材層102は、通常光のもとで、緑〜青の外観色を呈し、直線光のもとで赤〜紫色の干渉色を呈するものである。
【0068】
次に、それぞれ上述したように別々に製造されたホログラム樹脂層101と再帰反射材層102とを積層して偽造防止粘着シールを製造する。
【0069】
まず、台紙上に接着剤を塗布して接着剤層103を設け、接着剤層103上に再帰反射材層102の基材133側を固定する。次に、接着剤層103上に固定された再帰反射材層102のガラスビーズ131上全面にシリコン樹脂溶液を塗布し、その樹脂が流れない程度に乾燥した時にホログラム樹脂層101を積層して固定する。
【0070】
次に、CO2レーザマーカからCO2レーザをホログラム樹脂層101に照射してホログラム樹脂層101を昇華させてドット(凹陥部)形成を繰り返し、二次元コードを刻印する。また、ここで形成される凹陥部は、再帰反射材層102の深さまで達していないこととする。このようにして、本例構成の偽造防止粘着シールが完成する。
【0071】
なお、ここで使用するCO2レーザマーカは、堀内電機製作所製の「12W CO2 レーザマーカ LSS−S050VAH」であってもよい。
【0072】
CO2レーザマーカを用いて二次元コードを刻印する際の各条件値の例を以下に記載する。なお、ここでは、例として一辺4mmの正方形形状のデータマトリックス(英数字30文字程度)をマーキングしたときの各条件値を示す。
レーザ波長:10.6±0.1μm程度
レーザ出力:1.20〜1.44W程度
1ドットの照射時間:1.0〜1.4msec程度
マーキング範囲:一辺45mmの正方形
レンズからワークまでの距離:115mm
1ドット照射してから次の1ドットを照射するまでの待機時間:好ましくは1.0msec程度
1ドットのマーキング径:120μm程度
1ドットの最大深さ30μm程度
【0073】
図12は、本構成例において、CO2レーザ照射により、二次元コード(データマトリックス)が形成された偽造防止粘着シールを示す図である。図12に示されているように、偽造防止粘着シールのホログラム樹脂層101上には、複数のドット104が形成されている。その複数のドット104により二次元コードが形成される。
【0074】
図13は、偽造防止粘着シール上に二次元コードを形成するドット104を示す図である。図13の(a)は、ドットを真上から見た平面図であり、(b)は、(a)の平面図に対応するドット104の断面図である。
【0075】
CO2レーザがホログラム樹脂層101に照射されると、ホログラム樹脂層101におけるレーザ照射部分が加熱されて気化し、凹陥部(ドット104)が形成される。その際、ホログラム樹脂層101表面において、凹陥部周囲が盛り上がり、凹陥部の周囲に沿って凸部141が環状に形成される。
【0076】
また、レーザの照射部分の加熱及び気化により、凹陥部の表面には複数の気泡142が形成される。
【0077】
このように、レーザ照射の際に、偽造防止粘着シール上にリング状の凸部141が形成されたことにより、ドット104の輪郭部分が明瞭となるため、ドット104部分と偽造防止粘着シール上のドット104以外の部分(ホログラム映像)とのコントラストが大きくなり、二次元コードを明瞭に刻印することが可能となる。
【0078】
また、レーザ照射の際に、ドット104の表面に気泡142が複数形成されたことにより、ドット104表面が白色に反射するため、透明であるホログラム樹脂層101上のドット104以外の部分とのコントラストが大きくなり、明瞭な二次元コードを刻印することが可能となる。
【0079】
以下、偽造防止粘着シール上の二次元コードの読み取りについて説明する。偽造防止粘着シール上に刻印された二次元コードを読み取る二次元コードリーダは、自装置に設けられている光源から対象となる物体に光を照射して、その反射光の強度を測定してコードを読み取る装置である。例えば、上記の二次元コードリーダとして、株式会社東研製の「THIR−3000LP ハンドヘルド一次元/二次元イメージリーダー」を用いることができる。
【0080】
ホログラム樹脂層101上の二次元コードに光を照射すると、二次元コード刻印部の反射光強度は、二次元コードが刻印されていないホログラム樹脂層101の反射光に比べて大きく増加する。これは、二次元コード刻印部上に環状の凸部141及び気泡142が形成され、ホログラム樹脂層101表面に凹凸が生じることにより、二次元コード刻印部が白色に反射し、二次元コードリーダの受光素子側に到達する反射光の強度が増加することがその理由である。
【0081】
このようにして、二次元コードリーダは、二次元コードの刻印部分からの反射光と二次元コードの非刻印部分からの反射光との強度の違いに基づいて、二次元コードを読み取る。
【0082】
また、二次元コード刻印部以外の部分とのコントラストが不十分であるために読み取りが困難である二次元コードを読み取る場合、二次元コードリーダの利得(ゲイン)を調節することにより、その二次元コードを読み取ることが可能となる。
【0083】
以上説明したように、上記構造では、インク印刷により偽造防止粘着シール上に二次元コードを形成する場合に比べて、二次元コードの耐久性を向上させることが可能となることに加え、ホログラム映像の美観を損なうことなく、意匠性に優れた二次元コードが刻印される。
【0084】
また、図14に示されているように、読み取りの際、二次元コード非刻印部に照射された光は光源方向に再帰し、二次元コード刻印部に照射された光は白色乱反射を起こして受光部に到達するため、二次元コードを安定して読み取れる。
【0085】
また、上記構造では、マーキング径が120μm程度のドットを微小面積上に複数刻印可能である。従って、二次元コードの偽造を困難にし、抑制することが可能となる。
【0086】
このように、上記構造の偽造防止粘着シールは、ホログラムに加えて、耐久性、意匠性、及び偽造防止性に優れ、読み取り良好な二次元コードが刻印されているので、偽造防止粘着シールが貼付された物品の信頼性を保証することが可能である。
【0087】
この構成例において、コードマークを刻印するレーザとしてCO2レーザを使用したが、これは、他のレーザ(例えばYAGレーザ)を偽造防止粘着シールに照射した場合、レーザ光がホログラム樹脂層1を透過してしまい、コードマークを刻印することができないという理由によるものである。
【0088】
上記構成例のような偽造防止粘着シールを用いることにより、偽造・変造が不可能な二次元コードとして、ユニークなIDを製品や梱包部材に貼付できる。
これにより、流通情報の管理を低コストで確実に行える。
【0089】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。例えば、上記実施形態においては、製品やその梱包材に添付するタグとして二次元コードがレーザ刻印されたシールを用いたが、ユニークな情報を記録できる複製不能な情報記録媒体であれば良く、例えばICタグを用いても同様の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、製品の流通及び使用済み容器の回収を例に説明したが、物品の貸出及び返却の場合にも本発明は適用可能である。
このように本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の好適な実施の形態にかかる流通情報管理システムの構成を示す図である。
【図2】製品流通時の流通情報管理システムを示す図である。
【図3】製品流通時にデータベースに蓄積されるデータの構造例を示す図である。
【図4】使用済み容器回収時の流通情報管理システムを示す図である。
【図5】使用済み容器回収時にデータベースに蓄積されるデータの構造例を示す図である。
【図6】2回目の製品流通・使用済み容器回収時にデータベース蓄積されたデータの構造例を示す図である。
【図7】データベースに格納されている情報の種別とアクセスレベルとの関係を示す図である。
【図8】端末アクセス権限テーブルの構成を示す図である。
【図9】ユーザアクセス権限テーブルの構成を示す図である。
【図10】偽造防止粘着シールの模式断面図である。
【図11】偽造防止弁着シールの再帰反射材層を示す図である。
【図12】CO2レーザ照射により、コードマークが形成された偽造防止粘着シールを示す図である。
【図13】(a)は、偽造防止粘着シール上のコードマークを形成するドットを真上から見た平面図であり、(b)は、(a)の平面図に対応するドットの断面図である。
【図14】二次元コードリーダによって偽造防止粘着シール上のコードマーク読み取る状態を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
11、21、31、41、51、61 情報処理端末
12、22、32、42、52、62 二次元コードリーダ
90 データベース(DB)
60、70、80 シール
100 サーバ
101 ホログラム樹脂層
102 再帰反射材層
103 接着剤層
104 ドット
131 ガラスビーズ
132 反射層
133 基材
141 凸部
142 気泡
【技術分野】
【0001】
本発明は、有体物の流通状態を管理するシステムに関し、特に、流通した物品の回収状態を管理できる流通情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境保護の観点から、消耗品の容器などを回収し、回収した容器に再び消耗品を充填する取り組みが重要視されており、回収・再充填可能な容器を用いた商品が増えている。
【0003】
このような消耗品の一例としては、画像形成装置に用いるトナーがあり、その容器であるプロセスカートリッジがリサイクル・リユースの対象となる。
【0004】
消耗品の容器をリサイクル・リユースする場合、その容器が正規の製造メーカに回収されれば、メーカにおいて純正の消耗品が充填されることとなり、その容器を再度利用して出荷される商品も本来の品質が保証される。
【0005】
しかし、このような消耗品容器の再利用に関しては、いわゆるサードパーティと呼ばれる業者が存在する。サードパーティは、使用済みの容器に純正ではない消耗品を充填して販売する業者である。
【0006】
サードパーティにおいて充填される消耗品は、純正品と比較して品質に劣る場合が多く、例えばプロセスカートリッジの場合には、サードパーティにおいて充填されたトナーが画像形成装置を故障させる原因となることがある。
【0007】
しかし、サードパーティにおいて消耗品が充填されたとしても、容器自体は正規の製造メーカにおいて製造されたものであることには変わりがない。そして正規のメーカにおいて製造された消耗品の容器には、ロゴマークや商品名などメーカを特定するような情報が表示されていることがほとんどである。
【0008】
よって、消費者としては、容器の外観だけでは、容器内の消耗品が純正のものであるのか否かを判断することは難しく、気付かぬうちに品質が劣るサードパーティ製の消耗品を使用してしまうおそれがある。
【0009】
このため、自分が購入しようとする製品が、どのようにして生産され、流通してきたのかを知りたいと考える消費者も多い。
【0010】
また、流通経路にある仲介業者としても、消費者からの問い合わせに応じるために、これらの情報を知る必要性に迫られている。
【0011】
さらに、経時劣化によって容器の耐久性が劣ってくることを考えると、メーカとしてもどの容器がどのくらいの期間・回数使用されたのかを把握する必要がある。
【0012】
そのためには、メーカは商品の流通段階だけでなく、回収段階まで含めて全商品(容器)の追跡管理(トレーサビリティ)を行い、それによって得た情報を消費者や仲介業者の要求に応じて開示する必要がある。
【0013】
しかし、トレーサビリティによって得られる情報の中には、企業のノウハウに関するものも多々含まれるため、トレーサビリティによって得た情報の全てを消費者や仲介業者に開示することは、企業(メーカ)にとって好ましくはない。
【0014】
よって、情報を要求する者の立場(消費者、仲介業者、メーカ社員など)に応じて、情報の種別ごとに参照を許可するか否かを判断する必要がある。
【0015】
データベース内の情報に対するアクセス制限に関する従来技術としては、特許文献1に開示される「人事管理システム、人事管理方法、及び記録媒体」がある。特許文献1には、クライアントからサーバシステムに対してファイルの参照の依頼があったときには、照会依頼を出した従業員の職務権限又は職位に応じて照会内容に制限を加える人事管理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2002−230241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献1に開示される発明は、人事業務に使用される情報を管理するためのものであり、物品の流通に関する情報を管理することを想定してはいない。例えば、メーカが製造した製品は、所定個数ごとに梱包(場合によっては二重三重に)されて取り扱われるが、特許文献1に開示される発明は、梱包状態にある製品群から個々の製品の情報をどのようにして取得するかについては何ら開示されていない。すなわち、特許文献1に開示される発明を、物流情報の管理に適用することはできない。
【0017】
このように、従来は、商品の流通段階だけでなく、回収段階まで含めて商品及び容器の追跡管理を行い、それによって得た情報の開示の可否は、要求者の立場に応じて決定する流通情報管理システムは提供されていなかった。
【0018】
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、商品及び容器を追跡管理することによって得た情報の開示の可否を、要求者の立場に応じて決定する流通情報管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、上記目的を達成するために、製品の流通経路に沿った少なくとも三つの流通拠点にそれぞれ配置され、各々がタグ情報読み取り装置に接続された情報処理端末と、データベースと接続されたサーバとがネットワークを介して接続された流通情報管理システムであって、各タグ情報読み取り装置は、流通対象物である製品又は使用済み製品若しくはこれらを収容する包装部材に貼付されているタグを読み取ってタグ情報を取得する手段を有し、各情報処理端末は、自端末に接続されているタグ情報読み取り装置からタグ情報を取得する手段と、該取得したタグ情報と自端末に固有の情報である端末IDとを関連づけてサーバへ送信する手段と、データベースに格納されている情報の取得要求と共に自端末の端末IDをサーバへ送信する手段とを有し、サーバは、各情報処理端末から取得したタグ情報及び端末IDに基づいて、製品の流通状態及び使用済み製品の回収状態に関する情報をタグ情報を主キーとしてデータベースに記録する流通情報記録手段と、データベースに記録した情報を基に、製品の流通又は使用済み製品の回収に関する情報を生成する情報生成手段と、情報生成手段が生成した情報を、所定のアクセスレベルに対応させてデータベースに格納する手段と、各情報処理端末の端末IDと、その端末のアクセス権限とが関連づけられた端末アクセス権限テーブルと、情報処理端末から情報の取得要求を受信した場合に、端末アクセス権限テーブルに基づいて、取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断するアクセス可否判断手段と、権限を有する情報処理端末からの取得要求に応じて、データベースに蓄積されているデータを読み出して、該取得要求の送信元の情報処理端末に送信する手段とを有し、流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、タグ情報とともに該流通対象物の送り先の情報をサーバへ送信し、流通対象物の納入側の流通拠点に設置された情報処理端末は、自装置に接続されているタグ情報読み取り装置から取得したタグ情報を主キーとするレコードの送信要求を該タグ情報とともにサーバへ送信することを特徴とする流通情報管理システムを提供するものである。
【0020】
以上の構成においては、各情報処理端末は、ユーザを特定する情報であるユーザ情報を取得する手段と、認証要求とともにユーザ情報をサーバへ送信する手段とを有し、サーバは、各ユーザごとにユーザ情報とアクセス権限とが関連づけられたユーザアクセス権限テーブルをさらに有し、アクセス可否判断手段は、ユーザアクセス権限テーブルにも基づいて、取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断することが好ましい。これに加えて、各情報処理端末は、タグ情報及びこれに関連づけられている端末IDにユーザIDをさらに関連づけてサーバへ送信し、サーバは、製品の流通状態及び使用済み製品の回収状態に関する情報を、各情報処理端末から受信したユーザIDにも基づいて、タグ情報を主キーとして記録することがより好ましい。
【0021】
上記のいずれの構成においても、流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、2以上の流通対象物を関連づけてグループ化し、該グループ毎に送り先の情報をサーバへ送信して、データベースに記録させることが好ましく、これに加えて、ユニークなタグ情報が格納されている情報タグを、2以上の流通対象物を一体に梱包する梱包部材に貼付し、流通対象物に貼付されている情報タグに格納されているタグ情報に続いて、梱包部材に貼付された情報タグに格納されている情報タグを発送側の流通拠点に設置された情報処理端末に接続されているタグ情報読み取り装置で読み取ることによって、2以上の流通対象物をグループ化することがより好ましい。
【0022】
上記のいずれの構成においても、タグは、二次元コードがレーザ刻印として施された透明層を有するシールであり、タグ情報読み取り装置は二次元コードを読み取って二次元コード情報を取得する二次元コードリーダであることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、商品及び容器を追跡管理することによって得た情報の開示の可否を、要求者の立場に応じて決定する流通情報管理システムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の好適な実施の形態について説明する。図1に、本実施形態にかかる流通情報管理システムの構成を示す。この流通情報管理システムは、流通の各拠点に配置した情報処理端末11、21、31、41及び51のそれぞれとサーバ100とがネットワークを介して接続され、各情報処理端末に二次元コードリーダ12、22、32、42及び52が、サーバ100にはデータベース(DB)90がそれぞれ接続された構成である。また、情報処理端末61及び二次元コードリーダ62が配置されたアンテナショップはユーザのサポート窓口であり、情報処理端末61は不特定多数者が利用可能である。なお、情報処理端末61もネットワークを介してサーバに接続されている。
【0025】
二次元コードリーダ12、22、32、42、52及び62は、製品に貼付されるシール60に形成されている二次元コードを光学的に読み取って、デジタルデータに変換する機能を有する。なお、二次元コードの偽造・変造を防止することを目的として、シールには通常の方法(単なる印刷)とは異なる方法で二次元コードを形成するが、各二次元コードリーダはこれを読み取ることができるものを適用する。なお、二次元コードが形成されるシールや二次元コードリーダの構成については後段で詳細に説明する。
情報処理端末11、21、31、41、51及び61は、二次元コードリーダ12、22、32、42、52及び62が二次元コードを読み取って得たデジタルデータを取得する。また、ネットワークを介してサーバ100と情報を送受信する機能を備えている。
データベース90には、各情報処理端末から取得したデータが蓄積される。
サーバ100は、データベース90に蓄積されているデータを情報処理端末からの要求に応じて参照させる。なお、データベース90は、各情報処理端末の端末IDと設置位置との組合せを示す情報が予め登録されており、サーバ100は情報処理端末のいずれかから情報を受信した場合には、端末IDに基づいて送信元を特定できる。また、サーバ100は、パスワード入力やバイオメトリックス情報の読み取り又はIDカードの読み取りなどによって各流通拠点の情報処理端末が取得した認証情報を、データベース90に蓄積されているデータと比較することによってユーザ認証を行う機能を備える。
【0026】
なお、各情報処理端末には不図示の印刷装置が接続されており、データベース90の情報が更新された場合(各情報処理端末において入力された情報が新たに蓄積された時)には常にハードコピーが印刷装置から出力されるようになっている。
【0027】
メーカで製造した製品を販売会社へ出荷し、そこからさらに代理店へ分配する場合を例として、本実施形態にかかる物流情報管理システムの動作について説明する。なお、図2に示すように、代理店Aは入荷した製品を代理店Bに出荷する。また、代理店Bは入荷した製品を代理店Cへ出荷する。また、各代理店とも、ユーザに対して製品を販売する場合があるものとする。
【0028】
メーカで製造された製品には、ユニークな二次元コードが表面に形成されたシール60が貼付される。
【0029】
複数個の製品を組として梱包する場合には、紙箱や袋などの梱包部材に二次元コードが形成されたシール70を新たに貼付する。この二次元コードは製品に貼付するシール60に形成されている二次元コードとは異なる系統のものである。例えば、製品にA+5桁の数字の組合せからなる情報を示す二次元コードを割り当てる場合には、紙箱等にはB+5桁の数字の組合せからなる情報を示す二次元コードを割り当てる。そして、各製品に貼付したシール60の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取り、続いて紙箱等に貼付したシール70の二次元コードを読み取る。
情報処理端末11は、紙箱等に割り当てられるB+5桁の数字の情報を二次元コードリーダ12から取得した場合には、その直前に二次元コードリーダ12から取得した製品に関する情報を複数個関連づけてサーバ100へ送信する。
【0030】
例えば、製品を三個一組として紙箱で梱包する場合には、各製品に貼付されているシール60の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取り、続いて紙箱に貼付されているシール70の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取る。情報処理端末11には、A+5桁の数字からなる情報が3回続けて入力されたのち、B+5桁の数字からなる情報が入力される。情報処理端末11は、B+5桁の数字からなる情報が二次元コードリーダ12から入力されると、その直前に取得したA+5桁の数字からなる情報を三つ分関連づける。そして、これらの関連づけた情報と端末IDとを組としてサーバ100へと送信する。
情報処理端末11からの情報を受信したサーバ100は、受信した端末IDに基づいて、メーカに設置されている情報処理端末11から受信したデータであることを確認した上で、製品三つ分の情報と紙箱の情報とを関連づけて、データベース90に登録する。
【0031】
さらに大きな単位で仕分ける場合には、その仕分け単位ごとに系統が異なる二次元コードを割り当てて、上記同様にして管理する。例えば、三個一組としたパックを20パックまとめて段ボールに箱詰めする場合には、各パックに貼付されているシール70二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取り、続いて段ボール箱に貼付されているシール80の二次元コードを二次元コードリーダ12で読み取る。ここで段ボール箱にはC+5桁の数字からなる情報が割り当てられるとすると、情報処理端末11には、B+5桁の数字からなる情報が20回続けて入力されたのち、C+5桁の数字からなる情報が入力される。情報処理端末11は、C+5桁の数字からなる情報が二次元コードリーダ12から入力されると、その直前に取得したB+5桁の数字からなる情報を20個分関連づけてサーバ100へと送信する。
【0032】
以上のようにしてサーバ100が取得した製品の梱包状態に関する情報がデータベース90に登録される。
【0033】
製品などを出荷する際には、出荷担当者は、最も外側の梱包部材に貼付されているシールの二次元コード(最も大きな仕分け単位に割り当てられた二次元コード)を二次元コードリーダ12で読み取り、続いて情報処理端末11を操作して出荷先に関する情報を入力する。情報処理端末11は、二次元コードリーダから取得した情報と出荷担当者の入力操作によって取得した情報と自端末の端末IDとを関連づけてデータベース90へと送信する。
情報処理端末11からの情報を受信したサーバ100は、受信した端末IDに基づいて、メーカに設置されている情報処理端末11から受信したデータであることを確認した上で、二次元コードの情報によって特定されるレコードに出荷先に関する情報をデータベース90に追記する。
以上のようにして、データベース90に登録される製品の出荷先に関する情報のデータの構造を図3に示す。不図示の印刷装置において出力されるハードコピーはこれと同じものである。
【0034】
販売会社が製品を入荷する際には、入荷した製品の最も外側の梱包部材に貼付されているシールの二次元コード(最も大きな仕分け単位に割り当てられた二次元コード)を二次元コードリーダ22で読み取ると、二次元コードのデジタルデータは情報処理端末21へと送られる。情報処理端末21は、二次元コードリーダ22から得た情報(例えば、C+5桁の数字)と自端末の端末IDとをサーバ100へ送信する。情報処理端末21からの情報を受信したサーバ100は、データベース90に蓄積されている情報を受信した端末IDに基づいて参照し、製品などを受け取る立場にある流通拠点(販売会社)に設置されている情報処理端末21から受信したデータであることを確認した上で、二次元コードの情報を受信した時刻をデータベース90に追記する。さらに、サーバ100は、その二次元コードによって特定されるレコードの情報を情報処理端末21へ送信する。これにより、入荷した製品などに関する情報を情報処理端末21で参照することが可能となる。
【0035】
販売会社に入荷した製品をさらに分配する場合には、製品の最も外側の梱包部材に貼付されているシールの二次元コード(最も大きな仕分け単位に割り当てられた二次元コード)を二次元コードリーダ22で読み取るとともに、情報処理端末21において出荷先の情報を入力する。情報処理端末21は、二次元コードリーダ22から取得した情報と担当者の入力操作によって取得した情報と自端末の端末IDとを関連づけてサーバ100へと送信する。
情報処理端末21からの情報を受信したサーバ100は、データベース90に蓄積されている情報を受信した端末IDに基づいて参照し、製品などを発送する立場にある流通拠点に設置されている情報処理端末21から受信したデータであることを確認した上で、二次元コードの情報によって特定されるレコードに出荷先に関する情報を追記する。
以上のようにして、製品の出荷先に関する情報がデータベース90に登録される。
【0036】
各代理店では、製品などに貼付されている二次元コードを二次元コードリーダ32、42又は52で読み取ることによって、製品がどのような流通経路を経て入荷したのかを特定できる。
【0037】
なお、データベース90に情報登録されている情報を各情報処理端末を用いて更新する場合には、ユーザ認証を行うようにすると良い。ユーザ認証の方法としては、パスワード及びユーザIDの入力、IDカードの読み取り、バイオメトリックス認証などの公知の方法を適用可能であるため詳細な説明は省略する。
ユーザ認証を行うことにより、図3に示したように、データベース90内のデータを更新した人物を表す情報がデータベース90に記録される。
【0038】
次に、使用済みの製品を回収する場合のシステムの動作について図4を用いて説明する。
使用済みの製品は、各代理店において回収されうるが、ここでは代理店Cで回収した場合を例に説明する。代理店Cの回収業務担当者は、製品に添付されているシール60の二次元コードを二次元コードリーダ52で読み取る。二次元コードリーダ52が読み取った二次元コードのデジタルデータは、情報処理端末51へと送られる。情報処理端末51は、二次元コードリーダ52から得た情報と自端末の端末IDとをサーバ100へ送信する。
情報処理端末51からの情報を受信したサーバ100は、データベース90に蓄積されている情報を、受信した端末IDに基づいて参照し、その二次元コードによって特定されるレコードにすでに記録されている情報を基に、添付されているシール60から二次元コードを読み取った製品が回収段階にあると判断する。この場合は、その製品(又はそれを含んだパックや箱)に添付されているシールの二次元コードのデジタルデータを最後に送信してきたのは情報処理端末51であり、同じ情報処理端末から再びその製品に添付されているシールの二次元コードのデジタルデータを受信したため、その製品が回収段階に入っていると判断する。サーバ100は、受信した端末IDと二次元コードの情報を受信した時刻とを含む情報をデータベース90に追記する。
【0039】
高次の代理店から発送された使用済みの製品は、低次の代理店又は販売会社において受領される。ここでは、代理店Bが使用済みの製品を受領する場合を例に説明する、入荷した使用済み製品に貼付されているシール60の二次元コードを二次元コードリーダ(以下、二次元コードリーダ42を例とする)で読み取ると、二次元コードのデジタルデータは情報処理端末42へと送られる。情報処理端末41は、二次元コードリーダ42から得た情報(A+5桁の数字)と自端末の端末IDとをサーバ100へ送信する。情報処理端末41からの情報を受信したサーバ100は、その二次元コードによって特定されるレコードにすでに記録されている情報を基に、
その使用済み製品が流通拠点において受け取られる状態にあると判断する。そして、受信した端末IDと、二次元コードの情報を受信した時刻とをデータベース90に追記する。さらに、その二次元コードによって特定されるレコードの情報を情報処理端末41へ送信する。これにより、入荷した製品などに関する情報を情報処理端末41で参照することが可能となる。
【0040】
以上のようにして、製品の流通及び回収を行うと、データベース90には、図5に示すようなデータが蓄積される。
サーバ100は、データベース90に蓄積されている情報に基づいて製品の流通及び回収状況を管理する。
例えば、三次代理店出荷の項目にdc*****というデータが記録されているレコードは、そのレコードの製品が代理店Cで入荷されたことを示す。よって、三次代理店出荷の項目にdc*****というデータが記録されているレコードの総数が代理店Cに入荷した製品数を表す。同様に、二次代理店の項目にdb*****というデータが記録されているレコードの総数が、二次代理店に入荷した製品の数を表す。また、二次代理店の項目にdb*****というデータが記録されており、三次代理店出荷の項目に何かしらのデータが記録されているレコードの総数は、代理店Bを経て高次の代理店へ出荷された製品の数を示す。さらに、二次代理店出荷の項目にdb*****というデータが記録されており、三次代理店出荷の項目にデータが記録されていないレコードの総数は、二次代理店から消費者に直接販売されたか、在庫として保管されている製品の数を表す。
【0041】
サーバ100は、このようにして製品の流通状況を把握する。製品の回収状況についても同様であり、サーバ100は各レコードのそれぞれの項目に記録されているデータを基に、製品容器の回収状況を把握する。
【0042】
メーカに回収された容器は、製品が再充填された後に再び商品として出荷される。この際には、最初の出荷の際と同様にして、製品容器や梱包材料に添付されている二次元コードを各流通拠点において二次元コードリーダで読み取ることにより、図6に示すように2回目以降の流通・回収に関する情報がデータベース90に記録されていく。3回目以降の流通・回収に関しても同様である。
【0043】
サーバ100は、このようにしてデータベース90に蓄積した情報を基に、製品の流通や容器の回収に関する情報を生成する。例えば、各流通拠点における容器の回収率(回収した容器数÷納入された製品数)を生成し、データベース90に記録する。生成した情報には、所定のアクセスレベルが設定される。どのような情報を生成するかやどのアクセスレベルとするかは、サーバ100の管理者があらかじめ設定しておけばよい。
例えば、製品容器に添付されている二次元コードに関するレコードがデータベースに登録されているか否かは、その製品の真贋を表すため、全てのユーザに開示できるようにアクセスレベルを設定しない。また、製品がいつメーカから出荷されたかや、どのような経路を経て流通したかは、一般消費者には開示せず、特定の消費者(例えば、ユーザ登録済みの消費者)に開示するようにアクセスレベルを設定する。
このようにして生成した情報の種別とアクセスレベルの対応付けは、図7に示すようなテーブルとしてサーバ100に記録される。ここで、アクセスレベルが設定されていない情報は、システムにログインすることなくどの情報処理端末からでも閲覧可能な情報である。
なお、商品及び容器を追跡管理することによって得た情報以外の情報(例えば、製品の原材料に関する情報)についても、アクセスレベルを設定した上でデータベース90に記録するようにしてもよい。
【0044】
また、サーバ100は、端末アクセス権限テーブルを保持している。図8に、端末アクセス権限テーブルの一例を示す。この端末アクセス権限テーブルにおいてアクセス権限が“1”である情報処理端末は、全ての情報に対してアクセス可能であることを表している。また、アクセス権限が“2”である情報処理端末は、アクセスレベルが“1”以外のデータに対してアクセス可能である。さらに、アクセス権限が“3”である情報処理端末は、アクセスレベルが“1”又は“2”以外のデータに対してアクセス可能である。アクセス権限が4〜6の情報処理端末についても同様である。
システム内の全ての情報処理端末には、1〜6のいずれかのアクセス権限が設定されている。
【0045】
サーバ100は、いずれかの情報処理端末からデータベース90に蓄積されているデータへのアクセスが要求された場合、アクセス要求とともに送信されてきた端末IDを引数として端末アクセス権限テーブルを参照し、要求元の情報処理端末のアクセス権限を取得する。
そして、要求元の情報処理端末が、アクセスを要求する情報に対するアクセス権限を持っているか否かを確認し、持っていなければそのアクセス要求を拒否する。この場合には、サーバ100は要求元の情報処理端末にエラー表示させるようにしても良い。
【0046】
このようにすることで、情報処理端末が設置された流通拠点の立場に応じて、それらの情報処理端末に情報を開示できる。
【0047】
なお、情報処理端末だけでなくユーザに対してもアクセス権限を設定してもよい。
この場合には、サーバ100には、図9に示すような、ユーザIDとアクセス権限とを関連づけたテーブル(ユーザアクセス権限テーブル)を保持させておく。そして、サーバ100は、ユーザがログインしている情報処理端末からアクセス要求を受信した場合には、ログインしているユーザに設定されているアクセス権限及び情報処理端末のアクセス権限のうち高い方に応じて、情報に対するアクセスを認めるか否かを判断する。
なお、ログインしているユーザに設定されているアクセス権限及び情報処理端末のアクセス権限のうち低い方に応じて、情報に対するアクセスを認めるか否かを判断するようにしても良いことは言うまでもない。
【0048】
このようにすることにより、ユーザが、普段使用している情報処理端末よりも低いアクセス権限が設定されている情報処理端末を使用する場合(例えば、メーカの社員が仲介業者に出向き、そこに設置されている情報処理端末を使用する場合)でも、普段と同じアクセスレベルの情報にアクセスすることが可能となる。
【0049】
本実施形態にかかる流通情報管理システムによれば、メーカは、トレーサビリティによってデータベースに蓄積したデータに基づいた情報の開示の可否を、要求者の立場に応じて決定できる。
【0050】
なお、ここでは、製品に直接シール60が添付されている場合を例としたが、シール60は製品を包装する部材、例えば包装紙や小袋などに貼り付けてもよい。
また、製品容器の回収の際にも、流通時と同様に複数個の使用済み容器をグループ化して回収しても良い(例えば、通箱を用いる)ことは言うまでもない。
また、製品容器が収納するものは有体物に限られることはない。換言すると、製品は有体物を収容した容器に限定されることはない。例えば、製品が電池の場合には、使用済み電池が上記例における製品容器に対応することとなるが、システムの動作は同様である。
【0051】
本実施形態にかかる流通情報管理システムでは、製品や梱包部材に貼付するシールが偽造や変造可能であると、流通情報を正確に管理できなくなる可能性がある。よって、本実施形態にかかる流通情報管理システムには、偽造・変造ができないように二次元コードが表面に形成されたシールを製品などに貼付する必要がある。
以下、このような二次元コードシールの構成及び製造方法並びにこれを読み取るための二次元コードリーダについて説明する。
【0052】
〔二次元コードシールの構成例〕
図10は、本実施形態にかかる流通情報管理システムに用いる偽造防止粘着シールの構成例の模式断面図である。上記のように偽造防止粘着シールは、製品などの物品を形成する面やこれを梱包する部材(袋、箱など)に貼付される。
【0053】
図10に示されているように、偽造防止粘着シールは、ホログラム樹脂層101と、再帰反射材層102と、接着剤層103とからなる。接着剤層103上には再帰反射材層102が積層されている。また、再帰反射材層102上には、再帰反射材層102の保護層としてホログラム樹脂層101が積層されている。
【0054】
また、ホログラム樹脂層101表面には、CO2レーザにより二次元コードが刻印されている。二次元コードは、偽造防止粘着シールが貼付された製品の識別情報を表すものであるが、管理情報(ロットナンバー、製造日、製造地など)が含まれていてもよい。偽造防止粘着シール上の二次元コードを二次元コードリーダで読み取ることにより、偽造防止粘着シールが貼付された物品の製造、流通の管理が容易になる。
【0055】
なお二次元コードは、スタック型二次元コードであってもよいし、マトリックス型二次元コードであってもよい。
【0056】
ホログラム樹脂層101は透過性を有する熱可塑樹脂層であって、例えば、ポリエチレンテレフタレートを素材とする。また、ホログラム樹脂層101には、複数のホログラム像の干渉縞が多重記録されている。ホログラム樹脂層101に対して所定方向からの白色光が照射されると、2D及び3Dの複数のホログラム像が再生される。また、ホログラム樹脂層101に対して所定方向からのレーザ光が照射されると、記録物のフーリエ変換パターンにより形成された干渉縞による可視像が再生される。
【0057】
また、ホログラム樹脂層101の上面には、二次元コードを形成する複数のドット104が形成されている。CO2レーザマーカは、ホログラム樹脂層101上にCO2レーザを照射することにより、ホログラム樹脂層101を形成する樹脂を昇華させ、ホログラム樹脂層101上に凹陥部(ドット104)を複数形成する。この複数のドット104により二次元コードが形成される。
【0058】
再帰反射材層102は、所定方向から偽造防止粘着シールに照射された光を光源方向(光進入方向)に再帰反射させる。
【0059】
図11に、再帰反射材層102の構造を示す。再帰反射材層102は、ガラスビーズ131と、反射層132と、基材133とから構成される。図11に示されているように、基材133上には反射層132が設けられ、反射層132上には、複数のガラスビーズ131が整列配置されている。
【0060】
基材133は、金属、布、又は紙素材によりなるものであってもよいし、樹脂フィルムによりなるものであってもよい。
【0061】
反射層132は、ガラスビーズ131を介して進入した入射光を再帰反射させ、その反射光に色彩を付与するものであり、従来のようなアルミニウム又はシルバーなどの反射性金属版/反射性金属蒸着面(層)であるとしてもよい。また、反射層132は、Li2CoTi3O8被覆雲母などの干渉物質からなるとしてもよい。この場合、反射層132は、干渉を利用して反射光に色彩を付与する。
【0062】
ガラスビーズ131は透明な真円球であって、凸レンズとして作用するものである。例えば、ガラスビーズ131は、直径40〜90μm程度の微小球である。ガラスビーズ131は、反射層132上に均一に多数配置される。ガラスビーズ131に入射した光は、ガラスビーズ131の内部を通り屈折して反射層132上の一点に焦点を結ぶ。反射層132上の焦点から反射された光は、再度ガラスビーズ131の内部を通り屈折して光源方向に帰される。
【0063】
接着剤層103は、感圧接着剤などからなる層であり、偽造防止粘着シールを物品を形成する平面に接着するために設けられている。
【0064】
本例構成の偽造防止粘着シールの製造工程について説明する。
【0065】
まず、白色光により再生映像を再生可能なレインボーホログラムとしての干渉縞と、赤色レーザ光によってのみ再生映像を再生可能なフーリエ変換ホログラムとしての干渉縞とが多重に記録された記録材料をマスターホログラムとして用い、マスターホログラムと同様の干渉縞を記録することによってマスターホログラムと同じ再生映像を再生し得るホログラムフィルムを作成する。このホログラムフィルムに二酸化チタンを蒸着して、ホログラム樹脂層101を作成する。
【0066】
ホログラム樹脂層101は、白色光下では、再生光の照射方向を変えると異なる再生映像が1種類以上観察可能なホログラムであり、かつ赤色レーザを照射したときのみ特定の再生映像が観察し得るホログラム(フーリエ変換ホログラム)である。
【0067】
次に、白色のアクリル繊維による布などを基材133とし、基材133上に、Li2CoTi3O8被覆雲母とアクリル樹脂溶液とを混合した透明着色スクリーン印刷用インクをスクリーン印刷して反射層132を形成する。形成された反射層132上に、例えば屈折率が1.9で200〜250メッシュのガラスビーズ131を均一に多数散布して、各ガラスビーズ131の半球以上が埋没しないように一重に付着乾燥させ、再帰反射材層102を製造する。再帰反射材層102は、通常光のもとで、緑〜青の外観色を呈し、直線光のもとで赤〜紫色の干渉色を呈するものである。
【0068】
次に、それぞれ上述したように別々に製造されたホログラム樹脂層101と再帰反射材層102とを積層して偽造防止粘着シールを製造する。
【0069】
まず、台紙上に接着剤を塗布して接着剤層103を設け、接着剤層103上に再帰反射材層102の基材133側を固定する。次に、接着剤層103上に固定された再帰反射材層102のガラスビーズ131上全面にシリコン樹脂溶液を塗布し、その樹脂が流れない程度に乾燥した時にホログラム樹脂層101を積層して固定する。
【0070】
次に、CO2レーザマーカからCO2レーザをホログラム樹脂層101に照射してホログラム樹脂層101を昇華させてドット(凹陥部)形成を繰り返し、二次元コードを刻印する。また、ここで形成される凹陥部は、再帰反射材層102の深さまで達していないこととする。このようにして、本例構成の偽造防止粘着シールが完成する。
【0071】
なお、ここで使用するCO2レーザマーカは、堀内電機製作所製の「12W CO2 レーザマーカ LSS−S050VAH」であってもよい。
【0072】
CO2レーザマーカを用いて二次元コードを刻印する際の各条件値の例を以下に記載する。なお、ここでは、例として一辺4mmの正方形形状のデータマトリックス(英数字30文字程度)をマーキングしたときの各条件値を示す。
レーザ波長:10.6±0.1μm程度
レーザ出力:1.20〜1.44W程度
1ドットの照射時間:1.0〜1.4msec程度
マーキング範囲:一辺45mmの正方形
レンズからワークまでの距離:115mm
1ドット照射してから次の1ドットを照射するまでの待機時間:好ましくは1.0msec程度
1ドットのマーキング径:120μm程度
1ドットの最大深さ30μm程度
【0073】
図12は、本構成例において、CO2レーザ照射により、二次元コード(データマトリックス)が形成された偽造防止粘着シールを示す図である。図12に示されているように、偽造防止粘着シールのホログラム樹脂層101上には、複数のドット104が形成されている。その複数のドット104により二次元コードが形成される。
【0074】
図13は、偽造防止粘着シール上に二次元コードを形成するドット104を示す図である。図13の(a)は、ドットを真上から見た平面図であり、(b)は、(a)の平面図に対応するドット104の断面図である。
【0075】
CO2レーザがホログラム樹脂層101に照射されると、ホログラム樹脂層101におけるレーザ照射部分が加熱されて気化し、凹陥部(ドット104)が形成される。その際、ホログラム樹脂層101表面において、凹陥部周囲が盛り上がり、凹陥部の周囲に沿って凸部141が環状に形成される。
【0076】
また、レーザの照射部分の加熱及び気化により、凹陥部の表面には複数の気泡142が形成される。
【0077】
このように、レーザ照射の際に、偽造防止粘着シール上にリング状の凸部141が形成されたことにより、ドット104の輪郭部分が明瞭となるため、ドット104部分と偽造防止粘着シール上のドット104以外の部分(ホログラム映像)とのコントラストが大きくなり、二次元コードを明瞭に刻印することが可能となる。
【0078】
また、レーザ照射の際に、ドット104の表面に気泡142が複数形成されたことにより、ドット104表面が白色に反射するため、透明であるホログラム樹脂層101上のドット104以外の部分とのコントラストが大きくなり、明瞭な二次元コードを刻印することが可能となる。
【0079】
以下、偽造防止粘着シール上の二次元コードの読み取りについて説明する。偽造防止粘着シール上に刻印された二次元コードを読み取る二次元コードリーダは、自装置に設けられている光源から対象となる物体に光を照射して、その反射光の強度を測定してコードを読み取る装置である。例えば、上記の二次元コードリーダとして、株式会社東研製の「THIR−3000LP ハンドヘルド一次元/二次元イメージリーダー」を用いることができる。
【0080】
ホログラム樹脂層101上の二次元コードに光を照射すると、二次元コード刻印部の反射光強度は、二次元コードが刻印されていないホログラム樹脂層101の反射光に比べて大きく増加する。これは、二次元コード刻印部上に環状の凸部141及び気泡142が形成され、ホログラム樹脂層101表面に凹凸が生じることにより、二次元コード刻印部が白色に反射し、二次元コードリーダの受光素子側に到達する反射光の強度が増加することがその理由である。
【0081】
このようにして、二次元コードリーダは、二次元コードの刻印部分からの反射光と二次元コードの非刻印部分からの反射光との強度の違いに基づいて、二次元コードを読み取る。
【0082】
また、二次元コード刻印部以外の部分とのコントラストが不十分であるために読み取りが困難である二次元コードを読み取る場合、二次元コードリーダの利得(ゲイン)を調節することにより、その二次元コードを読み取ることが可能となる。
【0083】
以上説明したように、上記構造では、インク印刷により偽造防止粘着シール上に二次元コードを形成する場合に比べて、二次元コードの耐久性を向上させることが可能となることに加え、ホログラム映像の美観を損なうことなく、意匠性に優れた二次元コードが刻印される。
【0084】
また、図14に示されているように、読み取りの際、二次元コード非刻印部に照射された光は光源方向に再帰し、二次元コード刻印部に照射された光は白色乱反射を起こして受光部に到達するため、二次元コードを安定して読み取れる。
【0085】
また、上記構造では、マーキング径が120μm程度のドットを微小面積上に複数刻印可能である。従って、二次元コードの偽造を困難にし、抑制することが可能となる。
【0086】
このように、上記構造の偽造防止粘着シールは、ホログラムに加えて、耐久性、意匠性、及び偽造防止性に優れ、読み取り良好な二次元コードが刻印されているので、偽造防止粘着シールが貼付された物品の信頼性を保証することが可能である。
【0087】
この構成例において、コードマークを刻印するレーザとしてCO2レーザを使用したが、これは、他のレーザ(例えばYAGレーザ)を偽造防止粘着シールに照射した場合、レーザ光がホログラム樹脂層1を透過してしまい、コードマークを刻印することができないという理由によるものである。
【0088】
上記構成例のような偽造防止粘着シールを用いることにより、偽造・変造が不可能な二次元コードとして、ユニークなIDを製品や梱包部材に貼付できる。
これにより、流通情報の管理を低コストで確実に行える。
【0089】
なお、上記実施形態は本発明の好適な実施の一例であり、本発明はこれに限定されることはない。例えば、上記実施形態においては、製品やその梱包材に添付するタグとして二次元コードがレーザ刻印されたシールを用いたが、ユニークな情報を記録できる複製不能な情報記録媒体であれば良く、例えばICタグを用いても同様の効果が得られる。
また、上記実施形態においては、製品の流通及び使用済み容器の回収を例に説明したが、物品の貸出及び返却の場合にも本発明は適用可能である。
このように本発明は様々な変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の好適な実施の形態にかかる流通情報管理システムの構成を示す図である。
【図2】製品流通時の流通情報管理システムを示す図である。
【図3】製品流通時にデータベースに蓄積されるデータの構造例を示す図である。
【図4】使用済み容器回収時の流通情報管理システムを示す図である。
【図5】使用済み容器回収時にデータベースに蓄積されるデータの構造例を示す図である。
【図6】2回目の製品流通・使用済み容器回収時にデータベース蓄積されたデータの構造例を示す図である。
【図7】データベースに格納されている情報の種別とアクセスレベルとの関係を示す図である。
【図8】端末アクセス権限テーブルの構成を示す図である。
【図9】ユーザアクセス権限テーブルの構成を示す図である。
【図10】偽造防止粘着シールの模式断面図である。
【図11】偽造防止弁着シールの再帰反射材層を示す図である。
【図12】CO2レーザ照射により、コードマークが形成された偽造防止粘着シールを示す図である。
【図13】(a)は、偽造防止粘着シール上のコードマークを形成するドットを真上から見た平面図であり、(b)は、(a)の平面図に対応するドットの断面図である。
【図14】二次元コードリーダによって偽造防止粘着シール上のコードマーク読み取る状態を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
11、21、31、41、51、61 情報処理端末
12、22、32、42、52、62 二次元コードリーダ
90 データベース(DB)
60、70、80 シール
100 サーバ
101 ホログラム樹脂層
102 再帰反射材層
103 接着剤層
104 ドット
131 ガラスビーズ
132 反射層
133 基材
141 凸部
142 気泡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の流通経路に沿った少なくとも三つの流通拠点にそれぞれ配置され、各々がタグ情報読み取り装置に接続された情報処理端末と、データベースと接続されたサーバとがネットワークを介して接続された流通情報管理システムであって、
前記各タグ情報読み取り装置は、流通対象物である前記製品又は使用済み製品若しくはこれらを収容する包装部材に貼付されているタグを読み取ってタグ情報を取得する手段を有し、
前記各情報処理端末は、自端末に接続されている前記タグ情報読み取り装置から前記タグ情報を取得する手段と、該取得したタグ情報と自端末に固有の情報である端末IDとを関連づけて前記サーバへ送信する手段と、
前記データベースに格納されている情報の取得要求と共に自端末の端末IDを前記サーバへ送信する手段とを有し、
前記サーバは、前記各情報処理端末から取得したタグ情報及び前記端末IDに基づいて、前記製品の流通状態及び前記使用済み製品の回収状態に関する情報を前記タグ情報を主キーとして前記データベースに記録する流通情報記録手段と、
前記データベースに記録した情報を基に、前記製品の流通又は前記使用済み製品の回収に関する情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段が生成した情報を、所定のアクセスレベルに対応させて前記データベースに格納する手段と、
前記各情報処理端末の端末IDと、その端末のアクセス権限とが関連づけられた端末アクセス権限テーブルと、
前記情報処理端末から情報の取得要求を受信した場合に、前記端末アクセス権限テーブルに基づいて、前記取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断するアクセス可否判断手段と、
権限を有する情報処理端末からの取得要求に応じて、前記データベースに蓄積されているデータを読み出して、該取得要求の送信元の情報処理端末に送信する手段とを有し、
前記流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、前記タグ情報とともに該流通対象物の送り先の情報を前記サーバへ送信し、
前記流通対象物の納入側の流通拠点に設置された情報処理端末は、自装置に接続されている前記タグ情報読み取り装置から取得した前記タグ情報を主キーとするレコードの送信要求を該タグ情報とともに前記サーバへ送信することを特徴とする流通情報管理システム。
【請求項2】
前記各情報処理端末は、ユーザを特定する情報であるユーザ情報を取得する手段と、認証要求とともに前記ユーザ情報を前記サーバへ送信する手段とを有し、
前記サーバは、各ユーザごとにユーザ情報とアクセス権限とが関連づけられたユーザアクセス権限テーブルをさらに有し、前記アクセス可否判断手段は、前記ユーザアクセス権限テーブルにも基づいて、前記取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の流通情報管理システム。
【請求項3】
前記各情報処理端末は、前記タグ情報及びこれに関連づけられている端末IDに前記ユーザIDをさらに関連づけて前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記製品の流通状態及び前記使用済み製品の回収状態に関する情報を、前記各情報処理端末から受信した前記ユーザIDにも基づいて、前記タグ情報を主キーとして記録することを特徴とする請求項2記載の流通情報管理システム。
【請求項4】
前記流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、2以上の流通対象物を関連づけてグループ化し、該グループ毎に送り先の情報を前記サーバへ送信して、前記データベースに記録させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の流通情報管理システム。
【請求項5】
ユニークなタグ情報が格納されている情報タグを、2以上の流通対象物を一体に梱包する梱包部材に貼付し、前記流通対象物に貼付されている情報タグに格納されているタグ情報に続いて、前記梱包部材に貼付された情報タグに格納されている情報タグを前記発送側の流通拠点に設置された情報処理端末に接続されているタグ情報読み取り装置で読み取ることによって、前記2以上の流通対象物をグループ化することを特徴とする請求項4記載の流通情報管理システム。
【請求項6】
前記タグは、二次元コードがレーザ刻印として施された透明層を有するシールであり、前記タグ情報読み取り装置は二次元コードを読み取って二次元コード情報を取得する二次元コードリーダであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の流通情報管理システム。
【請求項1】
製品の流通経路に沿った少なくとも三つの流通拠点にそれぞれ配置され、各々がタグ情報読み取り装置に接続された情報処理端末と、データベースと接続されたサーバとがネットワークを介して接続された流通情報管理システムであって、
前記各タグ情報読み取り装置は、流通対象物である前記製品又は使用済み製品若しくはこれらを収容する包装部材に貼付されているタグを読み取ってタグ情報を取得する手段を有し、
前記各情報処理端末は、自端末に接続されている前記タグ情報読み取り装置から前記タグ情報を取得する手段と、該取得したタグ情報と自端末に固有の情報である端末IDとを関連づけて前記サーバへ送信する手段と、
前記データベースに格納されている情報の取得要求と共に自端末の端末IDを前記サーバへ送信する手段とを有し、
前記サーバは、前記各情報処理端末から取得したタグ情報及び前記端末IDに基づいて、前記製品の流通状態及び前記使用済み製品の回収状態に関する情報を前記タグ情報を主キーとして前記データベースに記録する流通情報記録手段と、
前記データベースに記録した情報を基に、前記製品の流通又は前記使用済み製品の回収に関する情報を生成する情報生成手段と、
前記情報生成手段が生成した情報を、所定のアクセスレベルに対応させて前記データベースに格納する手段と、
前記各情報処理端末の端末IDと、その端末のアクセス権限とが関連づけられた端末アクセス権限テーブルと、
前記情報処理端末から情報の取得要求を受信した場合に、前記端末アクセス権限テーブルに基づいて、前記取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断するアクセス可否判断手段と、
権限を有する情報処理端末からの取得要求に応じて、前記データベースに蓄積されているデータを読み出して、該取得要求の送信元の情報処理端末に送信する手段とを有し、
前記流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、前記タグ情報とともに該流通対象物の送り先の情報を前記サーバへ送信し、
前記流通対象物の納入側の流通拠点に設置された情報処理端末は、自装置に接続されている前記タグ情報読み取り装置から取得した前記タグ情報を主キーとするレコードの送信要求を該タグ情報とともに前記サーバへ送信することを特徴とする流通情報管理システム。
【請求項2】
前記各情報処理端末は、ユーザを特定する情報であるユーザ情報を取得する手段と、認証要求とともに前記ユーザ情報を前記サーバへ送信する手段とを有し、
前記サーバは、各ユーザごとにユーザ情報とアクセス権限とが関連づけられたユーザアクセス権限テーブルをさらに有し、前記アクセス可否判断手段は、前記ユーザアクセス権限テーブルにも基づいて、前記取得要求の送信元の情報処理端末に、要求する情報にアクセスする権限があるか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の流通情報管理システム。
【請求項3】
前記各情報処理端末は、前記タグ情報及びこれに関連づけられている端末IDに前記ユーザIDをさらに関連づけて前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記製品の流通状態及び前記使用済み製品の回収状態に関する情報を、前記各情報処理端末から受信した前記ユーザIDにも基づいて、前記タグ情報を主キーとして記録することを特徴とする請求項2記載の流通情報管理システム。
【請求項4】
前記流通対象物の発送側の流通拠点に設置された情報処理端末は、2以上の流通対象物を関連づけてグループ化し、該グループ毎に送り先の情報を前記サーバへ送信して、前記データベースに記録させることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の流通情報管理システム。
【請求項5】
ユニークなタグ情報が格納されている情報タグを、2以上の流通対象物を一体に梱包する梱包部材に貼付し、前記流通対象物に貼付されている情報タグに格納されているタグ情報に続いて、前記梱包部材に貼付された情報タグに格納されている情報タグを前記発送側の流通拠点に設置された情報処理端末に接続されているタグ情報読み取り装置で読み取ることによって、前記2以上の流通対象物をグループ化することを特徴とする請求項4記載の流通情報管理システム。
【請求項6】
前記タグは、二次元コードがレーザ刻印として施された透明層を有するシールであり、前記タグ情報読み取り装置は二次元コードを読み取って二次元コード情報を取得する二次元コードリーダであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の流通情報管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図4】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2006−285545(P2006−285545A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103366(P2005−103366)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】
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