説明

流量計

【課題】圧力損失が小さく、組み立て易く、作動流体の漏出を防止して、回転弁のスムーズな回転が可能な流量計の提供。
【解決手段】本体ケーシング(2)にシリンダー(3)及び流路(4)を形成し、シリンダー(3)内を摺動するピストン(5)を設け、このピストン(5)に連結されたピストン杆(6)をクランク軸(7)に係合し、流路(4)を切り替える切替弁(9)にクランク軸(7)を係合し、そして切替弁(9)を囲うように流入口ケーシング(10)を設け、クランク軸(7)の回転を検知する流量信号発信器(30)を設けた流量計(1)において、流入口ケーシング(2)と一体的に流量制御弁(16)を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料を自動車へ給油する給油装置等で使用される流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
その様な流量計は、従来より、種々提供されている(例えば、特許文献1参照)。
図5を参照して、従来の流量計を説明する。図5で示す流量計は、給油装置等で使用されている。
【0003】
図5において、流量計41の本体ケーシング42には、図5の上方から見ると概略十字状に、シリンダー43(43a〜43d)及び流路44(4つの流路:図5では流路44a、44bのみを示す)が形成されている。シリンダー43の各々には、ピストン45(45a〜45d)が嵌入している。
対向するシリンダー43a、43bに嵌入されたピストン45a、45bは、ピストン杆46aで連結されている。そして、シリンダー43c、43dに嵌入されたピストン45c、45dは、ピストン杆46bで連結されている。
ピストン杆46a、46bにはクランク軸47が係合している。
【0004】
シリンダー43の各々に対して流路44を切り替えるために、切替弁48が設けられている。切替弁48は本体ケーシング42の上部に設けられており、切替弁48を包囲するように流入口ケーシング49が設けられている。
切替弁48の弁座50には複数の開口が設けられており、当該複数の開口の各々には、流路44の各々が連通している。
弁座50に着座した回転弁51は、流入口ケーシング49に当接したバネ52により、弁座50側に押圧付勢されている。
【0005】
クランク軸47の下端は、本体ケーシング42の底板53に軸支され、クランク軸47の上端は、回転弁51に連結している。
回転弁51には出力軸54が取り付けられており、出力軸54は流入口ケーシング49を貫通している。そして、出力軸54には、流量発信器55が設けられている。
【0006】
図5において、符合56は計量された後の液体が流出する流出口を示しており、流出口56は、本体ケーシング42の側面に設けられている。
また、符号57は、本体ケーシング42に設けられた各シリンダーにおける蓋板を包括的に示している。
【0007】
このように構成された流量計41は給油装置に組み込まれ、流入口ケーシング49に接続された配管58は、流量制御弁59及びポンプ60を介してタンク61に接続される。
図5では明示されていないが、流出口56には配管62が接続されている。そして、配管62は、給油ホース63を介して、給油ノズル64へ接続されている。
【0008】
給油ノズル64が自動車の燃料タンクに挿入され、ポンプ60が駆動されて流量制御弁59が開かれると、タンク61内の液体は流入口ケーシング49、切替弁48、流路44aを介してシリンダー43a内に流入し、ピストン45aはシリンダー43b側に移動する。そして、シリンダー43b内の液体は、流路44b、切替弁48、クランク軸室65を介して流出口56から流出し、給油ノズル64から給油される。
その際に、ピストン杆46に係合したクランク軸47は回転し、クランク軸47に係合した回転弁51が回転し、流入口ケーシング49と流路44との連通状態が切り換わる。同時に、回転弁51と共に出力軸54が回転し、流量信号発信器55から流量信号が出力される。
【0009】
図5を参照して説明した従来技術に係る流量計は、依然として有効な技術である。
しかし、流量計41と流量制御弁59が別体に構成されているので、配管58により、流量計41と流量制御弁59を接続する必要がある。そのため、流量計41と流量制御弁59との間の領域で多大な圧力損失を発生してしまう。
また、流量計41と流量制御弁59が別体に構成したため、全体が大きくなってしまい、構成が複雑となり、組み立て作業に多大な労力を必要とする。
【0010】
さらに、図5を参照して説明した従来技術に係る流量計においては、出力軸54が流入口ケーシング49を貫通しているので、当該貫通箇所から作動流体(液体)が漏出する危険性が存在している。
これに加えて、回転弁51の押さえバネ52を支持する部材(バネ受座)が、流入口ケーシング49に形成されているので、バネ52を、いわゆる「強い」バネにすると、バネ52で弁座50側に押圧付勢されている回転弁51が、スムーズに回転しなくなってしまう。
それとは逆に、バネ52として、いわゆる「弱い」バネを選択すると、回転弁51が弁座50から離隔してしまい、シール性が保てなくなる可能性がある。
【0011】
さらに、図5の従来技術では、クランク軸47の下方端部は、その自重により、本体ケーシング42の底板53の凹部に嵌合して支持されているため、流量計41を水平設置(いわゆる「横置き」)して、クランク軸47が垂直方向に配置されることが必然となる。
そのため、流量計41を垂直配置(いわゆる「縦置き」)することが出来ず、レイアウトの自由度を制限している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平6−167371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたもので、圧力損失が小さく、組み立て易く、作動流体の漏出を防止して、回転弁のスムーズな回転が可能な流量計の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の流量計は、流量計の流入口ケーシング(2)と一体的に流量制御弁(16)を設けている。
【0015】
本発明において、前記流量制御弁(16)の液圧室(22)と流入路(21)とは開口部(小穴20)を介して連通し、液圧室(22)と流出路(23)とは第一の電磁弁(25)を介して接続され、流入路(21)と流出路(23)とは第二の電磁弁(27)を介して接続されているのが好ましい。
【0016】
また、本発明において、前記切替弁(9)は、本体ケーシング(2)の各流路(4)が開口する弁座(11)と、弁座(11)に着座する回転弁(12)と、回転弁(12)を弁座(11)側に押圧付勢するバネ(14)で構成され、バネ(14)のバネ座(13)は前記クランク軸(7)の一端に設けられているのが好ましい。
【0017】
さらに、本発明において、前記流量信号発信器(30)は、クランク軸(7)の一端に設けられた磁石(28)の磁束変化を検知する磁気センサ(31)を、流量計(1)の下部隔壁(底板29)を隔てて、クランク軸(7)の反対側に設けているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
上述した構成を具備する本発明によれば、流量計の流入口ケーシング(2)と一体的に流量制御弁(16)を設けているので、流量計(1)の配管系の構成を簡素化して、配管系における圧力損失を低減すると共に、配管による接続に必要な作業労力を軽減できる。
【0019】
本発明において、流量制御弁(16)に第一の電磁弁(25)及び第二の電磁弁(27)を設け、第一の電磁弁(25)を開いて大流量で給液を行ない、第一の電磁弁(25)を閉じて且つ第二の電磁弁(27)を開いて小流量で給液を行う様に構成すれば、大流量での給液と小流量での給液を自在に選択することが出来るので、精度の良いプリセット給液ができる。
【0020】
本発明において、回転弁(12)と回転弁(12)を弁座(11)側に押圧付勢するバネ(14)がクランク軸(7)と共に回転する様に構成することにより、当該バネ(14)の弾性係数が小さくても(バネ14が、いわゆる「強い」バネであっても)回転弁(12)はスムーズに回転することができる。
そして、回転弁(12)が弁座(11)から浮いてしまうことがなくなるので、計量精度が向上する。
それに加えて、流量計(1)を、いわゆる「横置き」のみならず、「縦置き」にすることも出来るので、流量計設置の自由度を増加できる。
【0021】
また、本発明において、クランク軸(7)の一端に磁石(28)を設け、その磁石(28)の磁束の変化を検知する磁気センサ(30)を、流量計(1)の下部隔壁(29)を隔てて、クランク軸(7)の反対側に設けることにより、下部隔壁(29)により流量信号発信器(磁気センサ31の発信器30)は完全にシールされるので、液漏れにより磁気センサが誤作動を生じることがない。
ここで、下部隔壁(29)を非磁性体(例えば、アルミニウム)で構成すれば、磁気センサ(30)を、流量計(1)の下部隔壁(29)を隔てて、クランク軸(7)すなわち磁石(28)の反対側に配置しても、磁石(28)の磁束は下部隔壁(29)を透過するので、磁気センサ(30)は、クランク軸(7)の回転による磁束の変化を確実に検出することが出来る。
そして、磁束の変化を検出することにより、クランク軸(7)の回転数、作動流体(液体)の流量が正確に検出される。
【0022】
そして本発明の流量計によれば、圧力損失が小さくなり、組み立てが容易であり、作動流体(液体)が漏出することによる各種弊害を防止することが出来ると共に、設置の自由度を増すことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る流量計を示す断面図である。
【図2】図1で流量計の要部のみを示す断面図である。
【図3】図1で示す流量計に組み込まれた流量制御弁の一例を示す断面図である。
【図4】図1で示す流量計に組み込まれた流量制御弁の他の例を示す断面図である。
【図5】従来の流量計の断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
最初に、図1、図2を参照して、本発明の実施形態に係る流量計について説明する。
図1において、全体を符合1で示す流量計は、本体ケーシング2を有している。本体ケーシング2には、図1の上方(矢印SU方向)から見て概略十字状に、シリンダー3及び流路4が形成されている。
本明細書では、概略十字状に配置された複数のシリンダー3a〜3dの総称として、「シリンダー3」と標記する場合がある。同様に、複数のシリンダー3a〜3dに連通する複数の流路(4つの流路:図1では流路4a、4bのみが表示されている)についても、本明細書では、「流路4」と総称する場合がある。
【0025】
シリンダー3の各々には、ピストン5が嵌入している。なお、本明細書では、複数のシリンダー3a〜3dの各々に嵌入されたピストンの総称として、「ピストン5」と標記する場合がある。
対向するシリンダー3a、3bに、それぞれ嵌入されたピストン5a、5bは、ピストン杆6aで連結されている。
【0026】
図1の紙面に垂直な方向に配置されたシリンダー3c、3dについても、各々に嵌入したピストン5c、5dが嵌入されており、ピストン5c、5dはピストン杆6bで連結されている。
そして、ピストン杆6a、6bにはクランク軸7が係合している。図1では、ピストン5a、5bを連結するピストン杆6aが、クランク軸7に係合している状態を示している。
シリンダー3a〜3dの各々には蓋8が被されている(被覆されている)。図1では、シリンダー3a、3bに蓋8が被されている状態が、明示されている。
【0027】
シリンダー3の各々に連通する流路4を切り替える切替弁は、図1において全体が符合9で示されており、本体ケーシング2の上部に設けられている。そして、切替弁9を包囲するように、流入口ケーシング10が設けられている。
切替弁9の弁座11には、流路4の各々が、弁座11の開口と連通している。
図1では、流路4aが弁座11の開口11aと連通しており、流路4bが弁座11の開口11bと連通している状態が明示されている。
【0028】
弁座11には回転弁12が着座している。
図1及び図2で示すように、クランク軸7の一端(図1における矢印SUの反対方向側端部:図2における矢印U方向端部)にはバネ座13が形成されており、バネ座13にはバネ14が係合している。
このバネ14の弾性反撥力F(図2参照)によって、回転弁12は、弁座11側(図2では矢印Uの反対方向)に押圧付勢される。
【0029】
バネ座13がクランク軸7の端部に形成されているので、バネ座13はクランク軸7及び回転弁12と一体になって回転する。そして、バネ14はバネ座13に係合しているので、クランク軸7及び回転弁12が回転しても、バネ14が捩れてしまうことはない。
そのため、バネ14として、いわゆる「強い」バネ(弾性係数が小さいバネ)を使用しても、バネ14の捩れによって回転弁12の回転が阻害されてしまうことはなく、回転弁12はスムーズに回転することができる。
また、バネ14として、いわゆる「強い」バネを使用することができるので、バネ14の弾性反撥力、すなわち、回転弁12を弁座11側(図2では矢印Uの反対方向)に押圧付勢する力を強くすることが出来る。そのため、回転弁12が弁座11から浮き上がってしまう(図2では、矢印Uの反対方向に移動してしまう)ことが防止される。
その結果、図示の実施形態に係る流量計1の計量精度が向上する。
【0030】
図2において、バネ14の弾性反撥力Fにより回転弁12を弁座11側(図2では矢印Uの反対方向)に押圧付勢する力の反力として、バネ座13及びクランク軸7を上方(矢印U方向)に移動させようとする力Rが発生する。
バネ14として、いわゆる「強いバネ」を用いた場合には、係る反力Rは大きくなる。
係る反力Rが生じても、クランク軸7が上方(図2の矢印U方向)に移動することを制限して、回転弁12がスムーズに回転することを補償するために、本体ケーシング2に設けられている軸受15には、鍔15aが設けられている。そして、クランク軸7にも鍔状の部分(鍔)7aが形成されている。そして、軸受15の鍔15aと、クランク軸7の鍔7aとが当接した状態で配置されている。
係る状態で、反力Rによりクランク軸7を上方(図2の矢印U方向)に移動しようとしても、軸受15の鍔15aと、クランク軸7の鍔7aとが当接しているため、クランク軸7の上方への移動は制限される。そのため、クランク軸7が上方(図2の矢印U方向)へ浮き上がってしまうことが防止される。
【0031】
上述した様に、軸受15の鍔15aと、クランク軸7の鍔7aが当接しているため、クランク軸7の上方(回転弁12側:図2では矢印U側)への移動は制限されるので、図示の実施形態に係る流量計1が、いわゆる「縦置き」の状態で配置され、クランク軸7が水平方向に配置されて、その重量が図2の下方(図2では矢印Uの反対側)に作用しなくても、クランク軸7が回転弁12側に移動してしまうことはない。
そのため、図示の実施形態に係る流量計1は、いわゆる「縦置き」に配置することも、「横置き」に配置することも可能である。その結果、流量計1の設置の自由度が増加する。
【0032】
図1において、流入口ケーシング10には、流量制御弁16が一体的に設けられている。
流量制御弁16の弁座17にはダイヤフラム弁19が着座しており、ダイヤフラム弁19は、バネ18により、弁座17側へ付勢(閉付勢)されている。
ダイヤフラム弁19には小穴20(開口部)が形成されており、小穴20を介して、流入路21と液圧室22は連通している。
【0033】
図3において、流量制御弁16の液圧室22と流出路23とを接続する流路24には、第一の電磁弁25(大流量用の電磁弁)の弁体25aが設けられている。
一方、図4において、流量制御弁16の流入路21と流出路23とを接続する流路26には、第二の電磁弁27(小流量用の電磁弁)の弁体27aが設けられている。
【0034】
図1において、クランク軸7の、回転弁12とは反対側の端部(矢印SU側端部)には、磁石28が取り付けられている。
そして、クランク軸7の当該端部(磁石28を設けた側の端部)は、軸受15R(図2参照)により、本体ケーシング2の底板29(下部隔壁)に軸支されている。
【0035】
底板29の外側、すなわちクランク軸7を設けたのとは反対側(図1において、底板29よりも矢印SU側)の領域には、流量信号発信器30が設けられている。
流量信号発信器30は磁気センサ31を有し、磁気センサ31は磁石28に対向して配置されており、磁石28からの磁束の変化を検知するように構成されている。
流量信号発信器30は信号線32に接続され、信号線32は表示制御装置33に接続されている。そして、流量信号発信器30はカバー34で保護されている。
【0036】
クランク軸7の端部に磁石28を設けたので、クランク軸7が回転すると、磁石28も回転し、そこから発生する磁束も変化する。
底板29を隔てた反対側(図1では下側:矢印SU側)の領域に配置された磁気センサ31により、当該磁束の変化を検出することにより、クランク軸7の回転数、すなわち流量が検出される。
この様に、底板29を隔てた反対側、或いは外側から、非接触で流量に対応するパラメータ(磁束の変化)を検知することにより、流量信号発信器30及び磁気センサ31は、底板29により、底板29のクランク軸7側に存在する作動流体(液体)から完全にシールされ、且つ、流量信号発信器30及び磁気センサ31側に作動流体(液体)が漏出する恐れが防止される。
ここで、本体ケーシング2及び底板29は、アルミダイカスト等の非磁性体で作られている。そのため、磁気センサ31は、底板29を隔てて、磁石28が回転することによる磁束変化を、確実に検知することが出来る。
【0037】
なお、図1において、本体ケーシング2におけるクランク軸室35の側面には、開口(穴)が形成されており、当該開口(穴)は、計量された後の流体が流出する流出口36である。
【0038】
上述した構成を具備する図示の実施形態に係る流量計1は、給油装置に組み込まれる。
図1において明確に図示はされていないが、流入口ケーシング10の流入路21には、配管58が接続されている。そして、配管58は、ポンプ60を介して、タンク61に接続されている。
同様に、図1において明確に図示はされていないが、流出口36には配管62が接続されている。そして、配管62は、給油ホース63を介して、給油ノズル64へ接続されている。
【0039】
給油ノズル64が自動車の給油口へ挿入され、ポンプ60が駆動すると、図3において、第一の電磁弁25が励磁されて、弁体25aが開かれると、作動流体(液体)が、流路24を介して流入路21から流出路23へ流れ出す。ここで、流路24を介して流出路23へ流れ出す作動流体(液体)の量は、小穴20を介して流入路21から液圧室22へ流入する作動流体(液体)の量よりも多い。その結果、流出路23の液圧により、バネ18に抗してダイヤフラム弁19が開かれる。
係る状態では、作動流体(液体)は、図1において、流入路21、流量制御弁16、切替弁9、流路4aを介して、シリンダー室3a内に流入する。これにより、ピストン5aが、シリンダー室3b側(図1では右側)に移動(後退)する。
【0040】
ピストン5aが、シリンダー室3b側(図1では右側)に移動すると、ピストン杆6aで接続されたピストン5bは、シリンダー室3b側(図1では右側)に移動(前進)する。そして、シリンダー室3b内の液体は、流路4b、切替弁9、クランク軸室35を介して、流出口36から流出する。
流出口36から流出した液体は、配管62、給油ホース63を介して、給油ノズル64から自動車へ給油される。
【0041】
また、ピストン5a及び5bが、シリンダー室3b側(図1では右側)に移動することにより、ピストン杆6a、6bに係合したクランク軸7は回転し、クランク軸7に係合した回転弁12が回転し、流路4の接続が、順次、切り替えられる。
ここで、クランク軸7が回転することにより磁石28も回転し、磁石28からの磁束が変化する。磁気センサ31は、磁石28の回転による磁束変化を検知し、クランク軸7の回転数及び流量に対応するパラメータが検出される。そして、流量信号発信器30から表示制御装置33へ流量信号が出力され、流量が表示される。
【0042】
図3において、第一の電磁弁25を消磁すれば、弁体25aが、液圧室22と流出口23との流路24を閉鎖する。そのため、液圧室22から流出路23への液体の流出が遮断され、流入路21の液は小穴20を介して液圧室22内へ流入する。そして、液圧室22内へ流入した液体の圧力は流入路21と同圧力となるため、バネ18がダイヤフラム弁19を閉鎖して、給液が停止する。
【0043】
ここで、小流量で給液するに際しては、第一の電磁弁25を消磁したまま、第二の電磁弁27を励磁する。第二の電磁弁27が励磁されることにより、図4で示す様に、弁体27aが(図4における右方へ)吸引される。弁体27aが、図4における右方へ吸引されることにより、流入路21と流出路23は、比較的断面積が小さい流路26を介して連通する。
その結果、ダイヤフラム弁19が閉じた状態のままで、流路26を介して、流入路21から流出路23へ、液体の流れが確保される。ここで、流路26の断面積は小さいので、流路26を介して流入路21から流出路23へ流れる液体の流量は、小さな数値に留まる。
第二の電磁弁27を消磁すれば、弁体27aが、図4における左側に復位して、液路26を遮断する。その結果、給液が停止される。
【0044】
図示の実施形態によれば、流量計1の流入口ケーシング10に一体的に流量制御弁16を設けているので、設置時の配管接続を簡素化することが出来る。その結果、圧力損失を低減することができる。
また、流量制御弁16に、第一の電磁弁25、第二の電磁弁27を設け、第一の電磁弁25および第二の電磁弁27を開放することにより、大流量で給液を行い、第一の電磁弁25を閉じることにより、小流量で給液を行なうことが出来る。
換言すれば、大流量で給液を行なう場合には第一の電磁弁25および第二の電磁弁27を開放し、小流量で給液を行なう場合には第二の電磁弁27を開放したまま第1の電磁弁25を閉鎖する。そして、第一の電磁弁25および第二の電磁弁27を閉鎖することにより、給液が閉止される。
これにより、精度の良いプリセット給液が実現出来る。
【0045】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0046】
1・・・流量計
2・・・本体ケーシング
3・・・シリンダー
4・・・流路
5・・・ピストン
6・・・ピストン杆
7・・・クランク軸
8・・・蓋
9・・・切替弁
10・・・流入口ケーシング
11・・・弁座
12・・・回転弁
13・・・バネ座
14・・・バネ
15・・・軸受
16・・・流量制御弁
17・・・弁座
18・・・バネ
19・・・ダイヤフラム弁
20・・・小穴
21・・・流入路
22・・・液圧室
23・・・流出路
24、26・・・流路
25・・・第一の電磁弁
27・・・第二の電磁弁
28・・・磁石
29・・・底板
30・・・流量信号発信器
31・・・磁気センサ
32・・・信号線
33・・・表示制御装置
34・・・カバー
35・・・クランク室
36・・・流出口
58、62・・・配管
60・・・ポンプ
61・・・タンク
63・・・給油ホース
64・・・給油ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量計の流入口ケーシングと一体的に流量制御弁を設けたことを特徴とする流量計。
【請求項2】
前記流量制御弁の液圧室と流入路とは開口部を介して連通し、液圧室と流出路とは第一の電磁弁を介して接続され、流入路と流出路とは第二の電磁弁を介して接続されている請求項1に記載の流量計。
【請求項3】
前記切替弁は、本体ケーシングに形成された各流路が開口する弁座と、弁座に着座する回転弁と、回転弁を弁座側に押圧付勢するバネで構成され、バネのバネ座は前記クランク軸の一端に設けられている請求項1又は2の何れかに記載の流量計。
【請求項4】
前記流量信号発信器は、クランク軸の一端に設けられた磁石の磁束変化を検知する磁気センサを、流量計の下部隔壁を隔てて、クランク軸の反対側に設けている請求項1〜3の何れか1項に記載の流量計。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−158379(P2012−158379A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20698(P2011−20698)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ (167)
【Fターム(参考)】