説明

浄水装置

【課題】逆洗運転時にろ過材を原水と清澄水とを用いて十分にかつ効率よく洗浄することができるとともに、その清澄水の使用を必要最小限に抑えて経済的に洗浄することができる浄水装置を提供する。
【解決手段】ろ過材2が収容された処理槽1内に流入管4を通して原水を供給してろ過材2に通すことによりその原水を清澄な浄化水として流出管5から流出させる浄化運転と、この浄化運転からろ過材2が一定以上汚れたときに、そのろ過材を洗浄する手段として、流出管5から処理槽1内に洗浄用の水を逆流するように供給して流入管4から流出させる逆洗運転に切替えることが可能で、その逆洗運転時には、最初は流出管5から処理槽1内に供給して逆流させる洗浄用の水として原水を用い、それ以後には清澄水を用いる。原水と清澄水の切替えは、原水・清澄水切替用電動弁23を制御部45により制御して行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば井戸から取水した原水に含まれる鉄イオンやマンガンイオンなどの不純成分を除去してその原水を浄化する浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
井戸などから取水した原水には、鉄イオンやマンガンイオンなどの不純成分が含まれており、このため従来からその不純成分を除去して浄化するための浄水装置が提案され、特開2003−269630公報などに開示されている。
【0003】
井戸水などの原水を取水した際には、前処理としてその原水に次亜塩素酸ナトリウムなどを注入して鉄やマンガンなどのイオンを析出させ、この後、その原水を浄水装置に導入して浄化するようにしている。
【0004】
浄水装置は処理槽を備え、この処理槽内にアンスラサイトやろ過砂、マンガン砂などのろ過材が収容されている。この処理槽内に前処理後の原水が導入され、この原水がろ過材中を通過する際に鉄やマンガンなどの不純成分がそのろ過材により捕捉除去され、清澄な浄化水として処理槽から吐出され、所定の給水設備に供給される。
【0005】
処理槽内のろ過材には時間の経過と共に鉄やマンガンなどの不純成分が蓄積される。ろ過材に不純成分が一定量以上蓄積されたまま浄化運転が継続されると、浄化水中に所定の水質基準を超える不純成分が含有してしまう。このため、ろ過材に不純成分が一定量以上蓄積される前に、その汚れを落とす手段として、逆洗運転が行なわれる。
【0006】
この逆洗運転は、井戸などから取水した原水を電動弁の切替えにより、浄化運転時とは逆の流れとなるように処理槽内に流し、その原水でろ過材に蓄積されている不純成分を洗い流してろ過材の機能を回復させる工程である。
【特許文献1】特開2003−269630公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
逆洗運転時には、本来ならば処理槽内に原水を流すのではなく、浄化したきれいな浄化水や、可能であれば水道水を流すことが好ましい。なぜならば、原水には不純成分が含まれており、したがってこのような原水を処理槽内に逆流させたのでは、洗浄の初期にはろ過材を効率よく洗浄することができるものの、一定時間が経過した後には効率が低下して完全に洗浄することが困難となるからである。特に原水に含まれる不純成分の含有率が高い場合などにはさらに洗浄効率が低下してしまう。
【0008】
このため、逆洗運転時には、浄化運転で得た浄化水や水道水などの清澄水を用いてろ過材を洗浄することが好ましいが、しかし清澄水はコストが高く、清澄水をふんだんに使用したのでは経済的な損失が大きくなる。
【0009】
一方、逆洗運転時には、逆流する水流の勢いでろ過材同士が衝突し合い、付着している鉄やマンガンなどの不純成分が剥離して細かい粒子として残り、この粒子がその後の浄化運転時の浄化水中に混入する恐れがあり、このため逆洗運転後の浄化運転の初期には浄化水を一定時間いわゆる捨て水として廃棄することが行われるが、この場合にも無駄が生じ、経済的な損失となる。
【0010】
この発明はこのような点に着目してなされたもので、その目的とするところは、逆洗運転時にろ過材を原水と清澄水とを用いて十分にかつ効率よく洗浄することができるとともに、その清澄水の使用を必要最小限に抑えて経済的に洗浄することができる浄水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、流入路および流出路を有し、内部にろ過材が収容された処理槽内に前記流入路を通して原水を供給し、この原水を前記ろ過材に通すことによりその原水を清澄な浄化水として前記流出路から流出させる浄化運転と、この浄化運転から前記ろ過材が一定以上汚れたときに、そのろ過材を洗浄する手段として、前記流出路から処理槽内に洗浄用の水を逆流するように供給して前記流入路から流出させる逆洗運転に切替えることが可能な浄水装置おいて、前記逆洗運転時には、その運転の開始から途中までは前記流出路から処理槽内に供給して逆流させる洗浄用の水として原水を用い、それ以後には清澄水を用いることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明は、前記原水が井戸水であり、前記清澄水が前記処理槽で浄化した浄化水または水道水であることを特徴としている。
【0013】
請求項3の発明は、前記逆洗運転時において、洗浄用の水として原水を用いる運転と、清澄水を用いる運転とに切替えることが可能な制御手段を有することを特徴としている。
【0014】
請求項4の発明は、前記制御手段が、洗浄用の水として原水を用いる運転の時間と、清澄水を用いる運転の時間との比率を変える機能を有することを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明は、前記処理槽の流入路と流出路とに渡って接続された浄化・逆洗切替用の電動弁と、この電動弁に接続された原水・清澄水切替用の電動弁とを備え、浄化運転時には前記原水・清澄水切替用の電動弁、前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記流入路を通して処理槽内に原水を供給し、逆洗運転時にはその開始から途中までは、前記浄化・逆洗切替用の電動弁の切替えの動作により、前記原水・清澄水切替用の電動弁、前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記流出路を通して処理槽内に原水を逆流するように供給し、それ以後は前記原水・清澄水切替用の電動弁の切替えの動作により、前記原水・清澄水切替用の電動弁、前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記流出路を通して処理槽内に清澄水を逆流するように供給することを特徴としている。
【0016】
請求項6の発明は、前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記原水・清澄水切替用の電動弁の切替えの動作が前記制御手段により行なわれることを特徴としている。
【0017】
請求項7の発明は、前記原水・清澄水切替用の電動弁が前記浄化・逆洗切替用の電動弁に着脱可能に取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
この発明の浄水装置によれば、逆洗運転時にろ過材を原水と清澄水とを用いて十分にかつ効率よく洗浄することができるとともに、その清澄水の使用を必要最小限に抑えて経済性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1には浄水装置の側面から見た断面構造を、図2には平面から見た断面構造をそれぞれ示してある。この浄水装置は例えば除鉄除マンガン用で、縦型密閉構造の処理槽1を備えている。処理槽1は、有底筒状の胴部1aと、この胴部1aの上端の開口部に締結された鏡板1bとで構成されている。
【0021】
処理槽1の内部にはアンスラサイトやろ過砂、マンガン砂などのろ過材2が一定の高さの層をなして収容されている。処理槽1の側面上部には、流入路を構成する流入管4および流出路を構成する流出管5が設けられている。これら流入管4および流出管5は、胴部1aの側面を貫通するように処理槽1の外側から内部に渡って水平に挿入されている。
【0022】
処理槽1内に挿入された流入管4の端部には散水管7が取り付けられ、流出管5の端部にはガイド管8が取り付けられている。散水管7はろ過材2の上層面の上側に配置され、その先端部は散水部7aとして鏡板1bの内面中央に向くように立ち上がっている。ガイド管8はろ過材2の上層から下層に向けて挿入され、その下端部にはフィルタ9が取り付けられている。
【0023】
処理槽1の外側には、流入管4および流出管5の双方に接続されて水の流路を複数に切替える浄化・逆洗切替用電動弁11が設けられている。この浄化・逆洗切替用電動弁11の水の流路を図9に模式的に示してある。
【0024】
この浄化・逆洗切替用電動弁11は、流入口12、吐出口13、第2流入口14、浄化水吐出口15、逆洗水排出口16、洗浄水排出口17を備え、また水の流路を切替える弁機構駆動用のモータ18,19を備え、前記吐出口13が前記流入管4に接続され、前記第2流入口14が前記流出管5に接続されている。
【0025】
この浄化・逆洗切替用電動弁11は、流入口12から吐出口13に通じる流路a、第2流入口14から浄化水吐出口15に通じる流路b、流入口12から第2流入口14に通じる流路c、吐出口13から逆洗水排出口16に通じる流路d、第2流入口14から洗浄水排出口17に通じる流路eと、前記流路a〜eを選択的に開閉する弁機構20,21とを有し、前記弁機構20,21が前記モータ18,19により駆動されるようになっている。
【0026】
浄化・逆洗切替用電動弁11には原水・清澄水切替用電動弁23が着脱可能に取り付けられている。この原水・清澄水切替用電動弁23は原水流入口25、清澄水流入口26および吐出口27を備え、また水の流路を切替える弁機構駆動用のモータ28を備え、前記吐出口27が浄化・逆洗切替用電動弁11の流入口12に着脱可能に接続されている。
【0027】
この原水・清澄水切替用電動弁23は、原水流入口25から吐出口27に通じる流路f、清澄水流入口26から吐出口27に通じる流路gと、前記流路f,gを択一的に開閉する三方弁からなる弁機構29とを有し、前記弁機構29が前記モータ28により駆動されるようになっている。
【0028】
図1に示すように、浄化・逆洗切替用電動弁11の浄化水吐出口15には、給水設備33に通じる導水管34が接続され、この導水管34の途中からは貯水槽36に通じる分岐管37が導出されている。そして貯水槽36からは給水管38が導出され、この給水管38が原水・清澄水切替用電動弁23の清澄水流入口26に接続され、またこの給水管38の途中に給水ポンプ40が取り付けられている。
【0029】
図2に示すように、原水・清澄水切替用電動弁23の原水流入口25には井戸41から導出された吸込管42が接続され、この吸込管42の途中に給水ポンプ43が取り付けられている。
【0030】
処理槽1の外側には、制御手段として、タイマを内蔵する制御部45が設けられ、この制御部45より前記モータ18,19,28や給水ポンプ40,43などが制御されるようになっている。
【0031】
次に、この浄水装置の作用について説明する。
【0032】
(浄化運転)
図1および図2には浄化運転時における水の流れを矢印で示してある。浄化運転時には、原水・清澄水切替用電動弁23の原水流入口25から吐出口27に通じる流路fが開かれ、また浄化・逆洗切替用電動弁11の流入口12から流入管4に通じる流路aおよび第2流入口14から浄化水吐出口15に通じる流路bが開かれ、他の流路c,d,e,gが閉じられている。
【0033】
この状態で、制御部45による制御で給水ポンプ43が駆動され、この給水ポンプ43により井戸41内の原水(井戸水)が吸上げられ、吸込管42を通して原水・清澄水切替用電動弁23の原水流入口25に送られる。なお、井戸41から吸い上げられた原水には、前処理として鉄やマンガンなどのイオンを析出させるための次亜塩素酸ナトリウムなどが注入される。
【0034】
原水・清澄水切替用電動弁23の原水流入口25に送られた原水は、前記流路fを通して浄化・逆洗切替用電動弁11の流入口12に送られ、さらに浄化・逆洗切替用電動弁11の前記流路aおよび流入管4を通して散水管7に送られ、この散水管7の散水部7aから処理槽1内に散水される。
【0035】
処理槽1内に散水された原水は、ろ過材2を通過して処理槽1の内底部に至る。原水がろ過材2を通過する際には、その原水中に含まれる鉄やマンガンなどの不純成分がろ過材2により捕捉除去され、原水が清澄な浄化水となる。
【0036】
浄化された浄化水はフィルタ9を通してガイド管8内に流入し、このガイド管8から流出管5および浄化・逆洗切替用電動弁11の前記流路bを通して浄化水吐出口15から吐出され、この浄化水が導水管34を通して給水設備33に送られ、各種の用途に使用される。この際、浄化水の一部は貯水槽36に貯留される。
【0037】
このような浄化運転の継続に伴い、ろ過材2には鉄やマンガンなどの不純成分が徐々に蓄積される。ろ過材2に蓄積される不純成分の蓄積量は、例えば浄化運転の時間を制御部45が計測することにより検出される。そして、不純成分の蓄積量が一定量に達し、それが制御部45により検出されると、制御部45による信号に基づいて浄化運転が逆洗運転に切替えられる。
【0038】
(逆洗運転)
図3および図4には逆洗運転時における水の流れを矢印で示してある。逆洗運転時には、まず制御部45による信号に基づいて浄化・逆洗切替用電動弁11のモータ18,19が駆動され、弁機構20,21の動作で流入口12から流入管4に通じる流路aが閉じられるとともに、流入口12から流出管5に通じる流路cが開かれ、かつ流出管5から浄化水吐出口15に通じる前記流路bが閉じられ、また流入管4から逆洗水排出口16に通じる流路dが開かれる。
【0039】
そして、井戸41から吸上げられた原水が給水ポンプ43を介して原水・清澄水切替用電動弁23の原水流入口25に送られるとともに、この原水が原水・清澄水切替用電動弁23の前記流路fを通して浄化・逆洗切替用電動弁11の流入口12に送られ、この流入口12から流路cを通して流出管5に送られる。
【0040】
流出管5に送られた原水は、ガイド管8を通り、フィルタ9から処理槽1の内底部に噴出される。噴出された原水は、ろ過材2の下層から上層に向って流通するとともに、散水部7aから散水管7内に流入する。
【0041】
このように逆洗運転時には、原水が浄化運転時とは逆にろ過材2の下層から上層に向って逆流するように流通し、このためろ過材2に付着している不純成分がその逆流する原水により分離除去される。そして原水は、不純成分を含むことにより汚水となり、この汚水が散水管7内に流入し、さらに流入管4から流路dを通して浄化・逆洗切替用電動弁11の逆洗水排出口16から排出され、所定の廃棄部に廃棄される。
【0042】
このような原水を用いる逆洗運転は、制御部45による制御で所定時間継続され、この工程の間にろ過材2に付着している不純成分の大部分が除去される。この工程は、ろ過材2の洗浄に原水が用いられるが、その原水自体が不純成分をもつため、ろ過材2にはある程度の不純成分が残る。
【0043】
そこで、この発明では、原水を用いる逆洗運転の工程後に、制御部45の制御により清澄水を用いる逆洗運転が開始される。図5および図6には清澄水を用いる逆洗運転時における水の流れを示してある。
【0044】
清澄水を用いる逆洗運転時には、まず制御部45による信号に基づいて原水・清澄水切替用電動弁23のモータ28が駆動され、原水流入口25から吐出口27に通じる流路fが閉じられると共に、清澄水流入口26から吐出口27に通じる流路gが開かれ、また井戸用の給水ポンプ43が停止され、これに替り浄化水用の給水ポンプ40が動作するように切替えられる。
【0045】
そして浄化水用の給水ポンプ40の動作により、貯水槽36内の浄化水が清澄水として原水・清澄水切替用電動弁23の清澄水流入口26に送られるとともに、この清澄水が浄化・逆洗切替用電動弁11の流路cを通して流出管5に送られる。
【0046】
流出管5に送られた清澄水は、ガイド管8を通り、フィルタ9から処理槽1の内底部に噴出され、ろ過材2の下層から上層に向って流通するとともに、散水部7aから散水管7内に流入する。
【0047】
このように、清澄水がろ過材2の下層から上層に向って流通することにより、その清澄水でろ過材2がすすがれ、不純成分のほとんどが分離除去される。そして、散水管7内に流入した清澄水は、流入管4を通して浄化・逆洗切替用電動弁11の逆洗水排出口16から排出され、所定の廃棄部に廃棄される。
清澄水による逆洗運転は、制御部45による制御で所定時間行なわれる。そして所定時間が経過した後には、制御部45による制御で洗浄運転に切替えられる。
【0048】
(洗浄運転)
図7および図8には洗浄運転時における水の流れを示してある。洗浄運転時には、制御部45による制御で原水・清澄水切替用電動弁23のモータ28が駆動され、弁機構29の動作で清澄水流入口26から吐出口27に通じる流路gが閉じられると共に、原水流入口25から吐出口27に通じる流路fが開かれ、また浄化・逆洗切替用電動弁11のモータ18,19が駆動され、弁機構20,21の動作で流入口12から第2流入口14に通じる流路cが閉じられると共に、流入口12から吐出口13に通じる流路aが開かれ、かつ吐出口13から逆洗水排出口16に通じる流路dが閉じられると共に、第2流入口14から洗浄水排出口17に通じる流路eが開かれ、さらに清澄水用の給水ポンプ40が停止され、これに替り井戸用の給水ポンプ43が動作するように切替えられる。
【0049】
そして、井戸41から吸上げられた原水が給水ポンプ43を介して原水・清澄水切替用電動弁23の原水流入口25に送られ、この原水が浄化・逆洗切替用電動弁11から流入管4を通して散水管7に送られ、処理槽1内に散水され、さらにろ過材2を通過して処理槽1の内底部に至り、ガイド管8から流出管5を通り、浄化・逆洗切替用電動弁11の洗浄水排出口17から排出され、所定の廃棄部に廃棄される。
【0050】
このように、原水が順方向に流通することにより、その流通経路やろ過材2が最終的な仕上り状態に洗浄される。この洗浄運転はごく僅かな時間だけ行なわれ、この洗浄運転後には制御部45による制御で浄化・逆洗切替用電動弁11のモータ19が駆動され、弁機構21の動作で第2流入口14から洗浄水排出口17に通じる流路eが閉じられると共に、第2流入口14から浄化水吐出口15に通じる流路bが開かれ、浄化運転に切替わる。そして、処理槽1で処理された浄化水が浄化水吐出口15から吐出され、給水設備33に送られ、所定の用途に使用される。
【0051】
以上のように、本実施形態では、原水を用いる逆洗運転で処理槽1内のろ過材2をある程度洗浄(粗洗浄)し、この後、清澄水を用いる逆洗運転でろ過材2を綿密にすすぐように洗浄(すすぎ洗浄)するため、ろ過材2を効率よく高い洗浄度で洗浄することができる。
【0052】
逆洗運転時に、最初から清澄水を用いてろ過材2を洗浄すれば、それだけ高い洗浄度で洗浄することはできるが、それではコストの高い清澄水を多量に消費することになり、経済的な損失が生じる。
【0053】
本実施形態では、ろ過材2に多量の不純成分が付着している逆洗運転の前半工程ではコストの安い原水を用いてろ過材2を粗洗浄し、この後、清澄水を用いてろ過材2を綿密にすすぐように洗浄するものであり、このためコストの高い清澄水の消費を少なく抑えて経済性を高めることができる。
【0054】
原水を用いる逆洗運転の時間と清澄水を用いる逆洗運転の時間との比率は、ろ過材2に付着する不純成分の付着度合などに応じて制御部45による制御で任意に設定することができる。また、清澄水としては、処理槽1で処理した浄化水を用いる場合のほか、水道水を用いることも可能である。
【0055】
原水の不純成分の濃度が低く、清澄水を用いる逆洗運転を必要としないような場合には、制御部45の設定の変更により清澄水を用いる逆洗運転の時間をゼロとし、原水を用いる逆洗運転のみでろ過材2を洗浄するような形態をとることも可能である。
【0056】
ところで、浄化・逆洗切替用電動弁11のみを有する浄水装置は標準製品として従来から一般に設置されている。この場合、浄化・逆洗切替用電動弁11の流入口12に井戸から直接原水が送り込まれ、弁機構20,21の切替えによりその原水で浄化する浄化運転とその原水を処理槽1に逆流させてろ過材2を洗浄する逆洗運転とが行なわれるが、原水の不純成分の濃度が高いなどの理由から原水を用いる逆洗運転だけでは洗浄が不十分となるようなときに、その浄水装置の浄化・逆洗切替用電動弁11に原水・清澄水切替用電動弁23を取り付けて清澄水を用いる洗浄運転を付加するような形態をとることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】この発明の一実施形態に係る浄水装置の側面から見た断面図で、浄化運転時の水の流れを矢印で示してある。
【図2】その浄水装置の平面から見た断面図で、浄化運転時の水の流れを矢印で示してある。
【図3】浄水装置の側面から見た断面図で、逆洗運転前半時の水の流れを矢印で示してある。
【図4】浄水装置の平面から見た断面図で、逆洗運転前半時の水の流れを矢印で示してある。
【図5】浄水装置の側面から見た断面図で、逆洗運転後半時の水の流れを矢印で示してある。
【図6】浄水装置の平面から見た断面図で、逆洗運転後半時の水の流れを矢印で示してある。
【図7】浄水装置の側面から見た断面図で、洗浄運転時の水の流れを矢印で示してある。
【図8】浄水装置の平面から見た断面図で、洗浄運転時の水の流れを矢印で示してある。
【図9】浄水装置の水の流通経路を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
1…処理槽
2…ろ過材
4…流入管
5…流出管
7…散水管
8…ガイド管
9…フィルタ
11…浄化・逆洗切替用電動弁
12…流入口
13…吐出口
14…第2流入口
15…浄化水吐出口
16…逆洗水排出口
17…洗浄水排出口
18.19…モータ
20.21…弁機構
23…原水・清澄水切替用電動弁
25…原水流入口
26…清澄水流入口
27…吐出口
28…モータ
29…弁機構
33…給水設備
36…貯水槽
40.43…給水ポンプ
41…井戸
42…吸込管
45…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入路および流出路を有し、内部にろ過材が収容された処理槽内に前記流入路を通して原水を供給し、この原水を前記ろ過材に通すことによりその原水を清澄な浄化水として前記流出路から流出させる浄化運転と、この浄化運転から前記ろ過材が一定以上汚れたときに、そのろ過材を洗浄する手段として、前記流出路から処理槽内に洗浄用の水を逆流するように供給して前記流入路から流出させる逆洗運転に切替えることが可能な浄水装置おいて、
前記逆洗運転時には、その運転の開始から途中までは前記流出路から処理槽内に供給して逆流させる洗浄用の水として原水を用い、それ以後には清澄水を用いることを特徴とする浄水装置。
【請求項2】
前記原水は井戸水であり、前記清澄水は前記処理槽で浄化した浄化水または水道水であることを特徴とする請求項1に記載の浄水装置。
【請求項3】
前記逆洗運転時において、洗浄用の水として原水を用いる運転と、清澄水を用いる運転とに切替えることが可能な制御手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載の浄水装置。
【請求項4】
前記制御手段は、洗浄用の水として原水を用いる運転の時間と、清澄水を用いる運転の時間との比率を変える機能を有することを特徴とする請求項3に記載の浄水装置。
【請求項5】
前記処理槽の流入路と流出路とに渡って接続された浄化・逆洗切替用の電動弁と、この電動弁に接続された原水・清澄水切替用の電動弁とを備え、浄化運転時には前記原水・清澄水切替用の電動弁、前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記流入路を通して処理槽内に原水を供給し、逆洗運転時にはその開始から途中までは、前記浄化・逆洗切替用の電動弁の切替えの動作により、前記原水・清澄水切替用の電動弁、前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記流出路を通して処理槽内に原水を逆流するように供給し、それ以後は前記原水・清澄水切替用の電動弁の切替えの動作により、前記原水・清澄水切替用の電動弁、前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記流出路を通して処理槽内に清澄水を逆流するように供給することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の浄水装置。
【請求項6】
前記浄化・逆洗切替用の電動弁および前記原水・清澄水切替用の電動弁の切替えの動作は前記制御手段により行なわれることを特徴とする請求項5に記載の浄水装置。
【請求項7】
前記原水・清澄水切替用の電動弁は前記浄化・逆洗切替用の電動弁に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の浄水装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2007−21361(P2007−21361A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−206988(P2005−206988)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000148209)株式会社川本製作所 (161)
【Fターム(参考)】