説明

浴室暖房乾燥機における衣類の乾燥運転制御方法

【課題】浴室暖房乾燥機における衣類の乾燥運転制御方法であって、予め設定したトータル運転時間TMtol内で、先ず、浴室の室温に応じて決定される乾燥運転時間TMkをトータル運転時間TMtolから差し引いた時間だけ、循環ファンを作動させて浴室に涼風を送風すると共に換気ファンを作動させる涼風運転を行い、その後に乾燥運転時間TMkだけ、循環ファン及び加熱手段を作動させて浴室に温風を送風すると共に換気ファンを作動させる乾燥運転を行うものにおいて、トータル運転時間が長く設定された場合の過剰な乾燥運転によるエネルギーの浪費を防止できるようにする。
【解決手段】乾燥運転時間TMkを、トータル運転時間TMtolが長くなるほど乾燥運転時間TMkが短くなるように、浴室の室温だけでなくトータル運転時間TMtolを加味して決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に吸込み口及び吹出し口を介して連通する機体内の通風路に配置した循環ファンと、通風路に流れる空気を加熱する加熱手段と、浴室の換気を行う換気ファンとを備える浴室暖房乾燥機における衣類の乾燥運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の乾燥運転制御方法として、浴室の室温に応じて乾燥運転時間を決定し、予め設定したトータル運転時間内で、先ず、トータル運転時間から乾燥運転時間を差し引いた時間だけ、循環ファンを作動させて浴室に涼風を送風すると共に換気ファンを作動させる涼風運転を行い、その後に乾燥運転時間だけ、循環ファン及び加熱手段を作動させて浴室に温風を送風すると共に換気ファンを作動させる乾燥運転を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このものでは、浴室の室温が低いときは乾燥運転時間が長くなり、衣類を確実に乾燥させることができる。
【0003】
ところで、トータル運転時間はユーザが適宜設定できるようになっている。そして、トータル運転時間が長く設定された場合、涼風運転の時間も長くなる。ここで、涼風運転中も衣類は徐々に乾燥する。そのため、涼風運転の時間が長くなると、その後の乾燥運転途中で衣類が乾燥してしまい、以後の乾燥運転は無駄になって、エネルギーの浪費になる。
【特許文献1】特開2002−62049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、トータル運転時間が長く設定された場合の過剰な乾燥運転によるエネルギーの浪費を防止できるようにした浴室暖房乾燥機における乾燥運転制御方法を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、浴室に吸込み口及び吹出し口を介して連通する機体内の通風路に配置した循環ファンと、通風路に流れる空気を加熱する加熱手段と、浴室の換気を行う換気ファンとを備える浴室暖房乾燥機における衣類の乾燥運転制御方法であって、予め設定したトータル運転時間内で、先ず、浴室の室温に応じて決定される乾燥運転時間をトータル運転時間から差し引いた時間だけ、循環ファンを作動させて浴室に涼風を送風すると共に換気ファンを作動させる涼風運転を行い、その後に乾燥運転時間だけ、循環ファン及び加熱手段を作動させて浴室に温風を送風すると共に換気ファンを作動させる乾燥運転を行うものにおいて、乾燥運転時間は、トータル運転時間が長くなるほど乾燥運転時間が短くなるように、浴室の室温だけでなくトータル運転時間を加味して決定されることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、トータル運転時間が長く設定された場合には乾燥運転時間が短くなる。そのため、過剰な乾燥運転によるエネルギーの浪費を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1を参照して、1は浴室BRの天井部BRaに設置する浴室暖房乾燥機を示している。この浴室暖房乾燥機1の機体1aの下面には、浴室BR内に露出するカバー1bが設けられている。カバー1bには、固定ルーバ21a付きの吸込み口21と、可変ルーバ22a付きの吹出し口22とが形成されている。
【0008】
機体1a内には、吸込み口21及び吹出し口22を介して浴室BRに連通する通風路2が画成されている。通風路2には、循環ファン3が配置されると共に、循環ファン3より上流側(吸込み口21側)の通風路2の部分に位置させて、通風路2に流れる空気を加熱する加熱手段たる放熱器4が配置されている。放熱器4には、図外の給湯暖房熱源機の暖房部で加熱された熱媒体(水、不凍液等)が供給される。そして、循環ファン3の作動により吸込み口21から通風路2に吸込まれた浴室の空気が放熱器4で加熱され、温風となって吹出し口22から浴室BR内に送風される。
【0009】
浴室暖房乾燥機1は、更に、換気ファン5を備えている。換気ファン5は、機体1aの外側面に取り付けた換気ボックス51内のファンケーシング52に水平姿勢で収納した、モータ53により回転駆動される両吸込み型のシロッコファンで構成されている。ファンケーシング52には、上下一対のベルマウス状の吸気口52a,52aが形成されている。また、換気ボックス51の内部空間は、機体1a内の通風路2の上側に画成した換気用通路23を介して放熱器4の上流側の通風路2の部分(吸込み口21に連通する部分)に連通している。
【0010】
換気ファン5を回転させると、浴室BR内の空気が吸込み口21、換気用通路23及び換気ボックス51の内部空間を経由してファンケーシング52の上下の吸気口52a,52aからファンケーシング52内に吸込まれ、ファンケーシング52の送気口に接続した図外のダクトを介して屋外に排気される。ここで、換気ファン5を本実施形態のように両吸込み型にすると、ファン効率が向上するため、ファン回転数が低くても所要の換気風量を得られるようになり、騒音を低減できる。また、換気ファン5の小型化も可能になるため、換気ボックス51を小型化でき、天井裏の高さが低くても浴室暖房乾燥機1を設置できる。
【0011】
また、機体1a内には、吸込み口21から吸込まれた空気の温度、即ち、浴室BRの室温を検出する室温センサ6と、コントローラ7とが配置されている。そして、暖房運転時、室温センサ6の検出温度が暖房設定温度になるように、放熱器4への熱媒体の供給と循環ファン3の回転数とがコントローラ7により制御される。
【0012】
次に、図2を参照して、浴室BR内で衣類の乾燥を行う場合のコントローラ7による乾燥運転制御について説明する。ここで、衣類乾燥は、図外の浴室暖房乾燥機用リモコン(図示せず)により6〜12時間の範囲内において30分単位で可変設定されるトータル運転時間TMtolだけ行われる。
【0013】
乾燥運転制御では、先ず、STEP1でリモコンに設けられた乾燥スイッチがオンされたか否かを判別し、オンされたときにSTEP2に進み、循環ファン3を作動させて浴室BRに涼風を送風すると共に換気ファン5を作動させる涼風運転を開始する。次に、STEP3で涼風運転開始からの経過時間TMが所定の待ち時間TMwに達したか否かを判別する。そして、TM=TMwになったときにSTEP4に進み、この時点で室温センサ6により検出される浴室BRの室温とトータル運転時間TMtolとに基づいて後記詳述するように乾燥運転時間TMkを決定する。
【0014】
尚、待ち時間TMwが経過してからSTEP4に進むのは、浴室BRの室温が外気温と同等になるまで乾燥運転時間TMkの決定に用いる室温の検出を待つためである。この待ち時間TMwは、入浴直後等では浴室BRの室温が外気温と大きく異なることを考慮して、例えば2時間に設定されている。
【0015】
STEP4で乾燥運転時間TMkを決定すると、次に、STEP5に進み、涼風運転開始からの経過時間TMがトータル運転時間TMtolから乾燥運転時間TMkを差し引いた時間に達したか否かを判別する。そして、TM=TMtol−TMkになったときにSTEP6に進み、循環ファン3を作動させながら放熱器4に熱媒体を供給して浴室BRに温風を送風すると共に換気ファン5を作動させる乾燥運転を行う。次に、STEP7で涼風運転開始からの経過時間TMがトータル運転時間TMtolに達したか否かを判別し、TM=TMtolになったとき、STEP8に進んで乾燥運転を終了する。
【0016】
ところで、乾燥運転時間TMkは、図2のSTEP4の右側に示すように、浴室BRの室温が高くなるほど短く設定され、更に、トータル運転時間TMtolが長くなるほど短く設定される。このように、乾燥運転時間TMkを浴室BRの室温だけでなくトータル運転時間TMtolを加味して決定する理由を以下に説明する。
【0017】
図3に示す如く、涼風運転中も衣類は徐々に乾燥する。そして、図3(b)に示すようにトータル運転時間TMtolが長くなると、涼風運転時間も長くなり、乾燥運転開始時点での衣類の乾燥率が高くなる。そのため、トータル運転時間TMtolが長い場合に、乾燥運転時間TMkをトータル運転時間TMtolが比較的短い図3(a)に示す場合と同様に設定すると、乾燥運転の途中で図3(b)に仮想線で示すように衣類の乾燥率が100%に達してしまう。そして、乾燥率が100%に達した後の乾燥運転は無駄になって、エネルギーの浪費になる。
【0018】
これに対し、トータル運転時間TMtolが長くなるほど乾燥運転時間TMkを短く設定すれば、図3(b)に実線で示すように乾燥率が乾燥運転の終期で100%に達するようになる。そのため、過剰な乾燥運転によるエネルギーの浪費を抑制することができる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態では、加熱手段として放熱器4を用いているが、電気式ヒータを加熱手段として用いることも可能である。また、図2のSTEP4の右側に示した乾燥運転時間TMkの値は一例であって、この値に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明方法の実施に用いる浴室暖房乾燥機の一例の切断側面図。
【図2】本発明の実施形態の乾燥運転制御方法を示すフロー図。
【図3】衣類の乾燥率の変化を示すグラフ。
【符号の説明】
【0021】
1…浴室暖房乾燥機、1a…機体、2…通風路、21…吸込み口、22…吹出し口、3…循環ファン、4…放熱器、5…換気ファン、6…室温センサ、7…コントローラ、TM…涼風運転開始からの経過時間、TMk…乾燥運転時間、TMtol…トータル運転時間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室に吸込み口及び吹出し口を介して連通する機体内の通風路に配置した循環ファンと、通風路に流れる空気を加熱する加熱手段と、浴室の換気を行う換気ファンとを備える浴室暖房乾燥機における衣類の乾燥運転制御方法であって、
予め設定したトータル運転時間内で、先ず、浴室の室温に応じて決定される乾燥運転時間をトータル運転時間から差し引いた時間だけ、循環ファンを作動させて浴室に涼風を送風すると共に換気ファンを作動させる涼風運転を行い、その後に乾燥運転時間だけ、循環ファン及び加熱手段を作動させて浴室に温風を送風すると共に換気ファンを作動させる乾燥運転を行うものにおいて、
乾燥運転時間は、トータル運転時間が長くなるほど乾燥運転時間が短くなるように、浴室の室温だけでなくトータル運転時間を加味して決定されることを特徴とする浴室暖房乾燥機における乾燥運転制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−124941(P2010−124941A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300857(P2008−300857)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】