説明

浴槽等自動洗浄システム

【課題】浴槽内におけるカビや酵母菌等の繁殖を確実に抑制して次の入浴時まで浴槽内を清潔に保つことができる浴槽等自動洗浄システムを提供する。
【解決手段】浴槽等自動洗浄システムは、浴槽洗浄又は配管洗浄に当たって湯又は水を放出させるために浴槽2へ通じる通水管路(洗浄管32、湯張り管17等)においてこの通水管路に流れる湯又は水に対し電気分解により銀イオンを溶解させる銀電極62を備えた銀イオン発生装置6(60)を設け、また、銀イオン発生装置6(60)の銀電極62に通電する電流値を制御することにより上記の湯又は水の銀イオン濃度を変更させる濃度制御手段51(71)を設ける。濃度制御手段51(71)は、例えば、夏季には高濃度となるように季節に応じて銀イオン濃度を変更させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄又は配管洗浄を行う浴槽等自動洗浄システムに関し、詳しくは、浴槽洗浄又は配管洗浄に当たって銀イオン洗浄を行うことができる浴槽等の自動洗浄システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽自動洗浄装置として、給湯器により熱交換加熱された温水を洗剤と混合し噴出口から浴槽内壁に向けて噴出させて浴槽洗浄する際、浴槽洗浄に用いる温水の温度を、冬季には高く夏季節には低くして季節に応じて変更させるものがある(特許文献1の段落0006等)。これによれば、季節による浴槽壁の温度変動に対応して良好な浴槽洗浄を安定して行うことができるとする。
また、風呂給湯機として、浴槽水の排水後に追焚き循環管路に浄水を導入して追焚き循環管路を洗浄することにより、次回の湯張り時には常に清潔な温水を湯張りできるとしたものがある(特許文献2)。
【0003】
一方、殺菌機能付給湯装置として、給湯器から浴槽へ湯張りする落とし込み配管路に銀イオン殺菌器を設け、湯張り温水に銀イオンを溶解させるとともに、設定スイッチにより湯張り温水の銀イオン濃度を基準濃度、高め濃度、銀イオンなしのいずれかに設定できるようにしたものがある(特許文献3の段落0022)。これによれば、湯張りされる浴槽水に対する銀イオンの殺菌効果が弱い時には銀イオン濃度を高くできるとする。
また、浴槽洗浄装置として、給湯機の追焚通路に銀イオンを水中に電解溶出させる殺菌装置を設け、浄化運転により追焚通路内のポンプを駆動して浴槽水を殺菌装置に循環させて、浴槽水中に銀イオンを一定量添加するようにしたものがある(特許文献4の段落0037、段落0038、図3)。これによれば、浴槽水がきれいになる結果、浴槽が汚れ難くなり、洗剤を使わなくても洗浄ノズルからの水又は湯のみの噴射で浴槽をきれい洗浄できるとしている。
【特許文献1】特開平10−300188号公報
【特許文献2】特開2000−111142号公報
【特許文献3】特開2006−322687号公報
【特許文献4】特開平11−276367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴槽内の汚れは、カビや酵母菌等が繁殖して浴槽内の各部に強固に固着することが大きな問題の一つとなっている。このカビや酵母は、湯垢のみならず洗剤をも餌として繁殖するため、湯垢がきれいに落ちたとしても、洗剤が残っているとこの洗剤を餌として発生する。
【0005】
しかるに、特許文献1の従来例のように、洗浄能力を高めても浴槽内の隅々まで湯垢を完全に洗い流すことは困難であり、また、噴射した洗浄液の洗剤が浴槽内に残ることもある。従って、浴槽内を洗浄したにもかかわらず、カビや酵母菌等が湯垢や洗剤等を餌として繁殖してしまう。また、特許文献2の従来例のように、配管内の残水を排水し浄水と置換するようにしても、配管内に固着した湯垢等を除去することは困難であり、そのため、配管内にはカビ等が繁殖してしまう。従って、これらの特許文献1,2の従来例のものでは、次の入浴時に湯張りされるまでには浴槽の各部や配管内にはカビや酵母菌等により汚染され浴槽内を清潔に保つことが困難であった。
【0006】
また、特許文献3,4の従来例のように、浴槽水を殺菌しても浴槽水は入浴によって人体の脂質等により汚れるため、入浴後に浴槽内の浴槽水を排水すると、この浴槽水の汚れが浴槽内壁、循環金具、排水口等に付着し、また、この汚れた浴槽水が配管内に残水として溜まることになる。そのため、このまま放置しておくと、浴槽の各部や配管内等にはカビや酵母菌等が繁殖して汚染されることとなる。その結果、次の入浴時に湯張りされるまでには浴槽の各部や配管内にはカビや酵母菌等により汚染され浴槽内を清潔に保つことが困難であった。
【0007】
一方、浴槽におけるカビや酵母菌等の繁殖度合いは一定ではない。すなわち、季節、浴室や浴槽の環境、入浴方法や入浴人数等の様々な要因によって、カビ等が繁殖し易い浴槽もあれば、そうでない浴槽もある。そのため、浴槽内のカビ等の発生状況や発生するカビ種等に応じてその措置を採れるようにすることが望まれる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、浴槽内におけるカビや酵母菌等の繁殖を確実に抑制して次の入浴時まで浴槽内を清潔に保つことができる浴槽等自動洗浄システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る浴槽等自動洗浄システムは、
浴槽洗浄又は配管洗浄を行う浴槽等自動洗浄システムであって、
浴槽洗浄又は配管洗浄に当たって湯又は水を放出させるために浴槽へ通じる通水管路においてこの通水管路に流れる湯又は水に対し電気分解により銀イオンを溶解させる銀電極を備えた銀イオン発生装置を設け、
上記銀イオン発生装置の銀電極に通電する電流値を制御することにより上記の湯又は水の銀イオン濃度を変更させる濃度制御手段を設けたものである。
これにより、銀イオンの抗菌、除菌効果により浴槽又は配管等の浴槽内におけるカビ、酵母菌などの繁殖を抑制することができる。そして、浴槽洗浄又は配管洗浄に当たって放出させる湯又は水の銀イオン濃度を変更することができるので、浴槽内のカビ等の発生状況等に応じて銀イオンの抗菌、除菌効果を加減しカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。
【0010】
上記濃度制御手段は、夏季には高濃度となるように季節に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とすることができる。
これにより、カビや酵母菌等の繁殖が著しい夏季においては銀イオンの抗菌、除菌効果を強力にして浴槽内のカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。一方、カビ等の繁殖が比較的乏しい夏季以外では銀イオン濃度を高濃度としないので、カビ等の繁殖を適切に抑制すると同時に銀イオン発生装置における銀の消費を少なく抑えてコストを低減することができる。
【0011】
上記濃度制御手段は、外気温又は水温が所定温度よりも高いときには高濃度となるように外気温検出器又は水温検出器の検出値に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とすることができる。
これにより、気温や水温が高くカビや酵母菌等の繁殖が著しい時においては銀イオンの抗菌、除菌効果を強力にして浴槽内のカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。一方、気温等が低くカビ等の繁殖が比較的乏しい時には銀イオン濃度を高濃度としないので、カビ等の繁殖を適切に抑制すると同時に銀イオン発生装置における銀の消費を少なく抑えてコストを低減することができる。
【0012】
上記濃度制御手段は、浴室温度が所定温度よりも高いときには高濃度となるように浴室温度検出器の検出値に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とすることができる。
これにより、浴室温度が高くカビや酵母菌等の繁殖が著しい時においては銀イオンの抗菌、除菌効果を強力にして浴槽内のカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。一方、浴室温度が低くカビ等の繁殖が比較的乏しい時には銀イオン濃度を高濃度としないので、カビ等の繁殖を適切に抑制すると同時に銀イオン発生装置における銀の消費を少なく抑えてコストを低減することができる。
【0013】
上記濃度制御手段は、浴槽洗浄時に洗浄モードが標準モードよりも洗浄能力を高くした念入りモードのときには高濃度となるように洗浄モードに応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とすることができる。
使用者が念入りモードで浴槽洗浄を行うときは、通常、浴槽の汚れ具合が著しいと感じるときに行われるから、この場合に、上記銀イオン濃度を高濃度とすることで、銀イオンの抗菌、除菌効果を強力にして浴槽内のカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。
【0014】
上記濃度制御手段は、マニュアルスイッチからの入力信号に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とすることができる。
これにより、使用者がマニュアルスイッチを操作して上記銀イオン濃度を変更して、銀イオンの抗菌、除菌効果を加減することができる。例えば、使用者が浴槽内におけるカビ等の発生具合が著しいと感じるときには、上記銀イオン濃度を高濃度とすることで、銀イオンの抗菌、除菌効果を強力にして浴槽内のカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。一方、使用者が浴槽内におけるカビ等の発生具合が比較的乏しいと感じるときには、銀イオン濃度を低濃度とすることで、カビ等の繁殖を適切に抑制すると同時に銀イオン発生装置における銀の消費を少なく抑えてコストを低減することができる。
このように浴槽内のカビ等の発生状況や発生するカビ種等に応じて使用者の要望により銀イオンの抗菌、除菌効果を加減することができ、使い勝手が向上される。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、浴槽洗浄又は配管洗浄に際してカビ等の発生状況や発生するカビ種等に応じて銀イオンの抗菌、除菌効果を加減することができる。従って、浴槽内におけるカビや酵母菌等の繁殖を確実に抑制して次の入浴時まで浴槽内を清潔に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を説明する。
<実施形態1>
図1に示すように、実施の形態1による浴槽等自動洗浄システムは、熱源機となる給湯器1と浴槽2との間に銀イオン発生装置6を備える洗浄ユニット3を設け、この洗浄ユニット3によって浴槽内に洗剤液や湯又は水を噴き付ける浴槽洗浄運転を行うにあたって最後に銀イオン洗浄を行うようにしたものである。そして、上記銀イオン洗浄は、季節ごとに異なる銀イオン濃度を設定し、季節に応じて銀イオン濃度を変更するようにしている。
以下に、この浴槽等自動洗浄システムの各構成を説明する。
【0017】
給湯器1は、給湯用熱交換器10aに給水管11及び出湯管12が接続された給湯管路13と、追焚き用熱交換器10bと浴槽2の循環金具20との間に戻り管14及び往き管15が接続された追焚き循環管路16と、給湯管路13の出湯管12から分岐して追焚き循環管路16の戻り管14に接続された湯張り管17とを備えている。各熱交換器10a,10bを加熱する燃焼部18a,18bには燃料ガスを供給するためのガス供給管19が接続されて燃焼を行うバーナが設けられている。そして、給湯管路13には、給水管11に流量センサ111と給水温センサ(水温検出器)112が設けられ、出湯管12に出湯温センサ121が設けられている。追焚き循環管路16には、戻り管14にポンプ141、水位センサ142及び水流スイッチ143が設けられ、往き管15にふろ温度センサ151が設けられている。湯張り管17には、注湯電磁弁171、逆止弁172、流量センサ173及び大気開放弁174が設けられている。なお、大気開放弁174は、給水路側が負圧状態に陥ったときに湯張り管17を大気開放する弁である。また、給湯器1には、外気温センサ(外気温検出器)100が設けられている。この外気温センサ100は、燃焼部18a,18bの熱の影響を受け難い場所に設けられる。また、給湯器1は、リモコン4及び上記の各センサ等と信号接続された制御部5を備えている。
【0018】
リモコン4は、この給湯器1を遠隔操作するものであり、運転スイッチ41、湯張りスイッチ42、追焚きスイッチ43、タッチパネル44等が設けられている。タッチパネル44には、その画面上をタッチ操作することにより、給湯設定温度、湯張り設定温度等を入力し設定するための操作画面が表示される。また、このリモコン4には、カレンダー機能部を内蔵し、タッチパネル44に年月日、時刻等を表示することができる。
【0019】
そして、制御部5は、リモコン4や上記の各センサからの出力等に基づいて給湯、追焚き、湯張りの各運転を制御する。すなわち、この制御部5は、給湯制御部55、追焚き制御部56、湯張り制御部57を備えている。そして、給湯制御部55によって給湯栓の開操作により給湯管路13を通じて給湯が行われる給湯運転が制御され、追焚き制御部56によってポンプ141の駆動により追焚き循環管路16を通じて浴槽2内の浴槽水の追焚きが行われる追焚き運転が制御され、また、湯張り制御部57によって注湯電磁弁171の開弁により湯張り管17を通じて給湯管路13側から追焚き循環管路16に湯が供給されてこの湯が戻り管14及び往き管15により搬送されて浴槽2への湯張りが行われる湯張り運転が制御される。
【0020】
なお、制御部5は、洗浄ユニット3のコントローラ7が燃焼禁止信号を出力していない限り、給水管11に設けた流量センサ111が最低流量の通水を検出すると燃焼部18aを燃焼開始させて給湯用熱交換器10aの加熱が行われる。そして、流量センサ111が通水検出しなくなると燃焼部18aを燃焼停止(種火状態も含む。)させる。
【0021】
洗浄ユニット3は、浴槽2の外周部に設置されており、弁装置8と、浴槽2に取り付けられた洗浄ノズル30と、給湯器1の出湯管12から分岐されて弁装置8と連結された接続管31と、弁装置8と洗浄ノズル30とが連結された洗浄管32と、洗剤原液が貯留される洗剤タンク33と、洗浄管32に設けられた銀イオン発生装置6と、この洗浄ユニット3の動作を制御するコントローラ7とを備える。なお、銀イオン発生装置6を設けた洗浄管32が浴槽2へ湯又は水を放出させるための通水管路の一部となる。
【0022】
弁装置8は、水量制御弁81、流量センサ82、開閉弁83、大気開放弁84、逆流防止弁85を備えている。なお、大気開放弁84は、給水管11が負圧状態に陥ったときに大気開放させるための弁である。また、水量制御弁81は、ステッピングモータ等により弁の開度を所定位置に調節できる弁である。
【0023】
洗浄ノズル30は、循環金具20と一体に設けられており、浴槽2の内壁面及び浴槽2上に載置された浴槽蓋21の下面に向けて洗剤液や湯又は水等を放射状に噴射させるノズル形状となっている。ここで、浴槽2の内壁面とは、浴槽2内の側面及び底面を含む。なお、この洗浄ノズル30は、循環金具20とは別に設けられてもよいし、浴槽2の底面に設けられてもよいし、また、複数設けられてもよい。
【0024】
洗浄管32には、ベンチュリー構造の洗剤混合部34が設けられており、この洗剤混合部34には、洗剤タンク33から延設する洗剤供給管35が接続されている。この洗剤供給管35には、洗剤タンク33から洗剤混合部34への洗剤原液の供給・遮断を制御する洗剤弁36が配設されている。この洗剤弁36は、弁が開閉されるとともに弁の開度を所定開度に調節される弁が用いられる。
【0025】
銀イオン発生装置6は、筒体内に配設された一対の銀電極62を備えており、通電回路61を介して所定の電源からこの一対の銀電極62間に通電することで、この銀電極62から銀イオンが電気分解されて筒体内に通水される湯又は水に溶解される構成となっている(図2参照)。このとき、湯又は水の銀イオン濃度は、銀電極62に通電する電流値によって制御され、そして、この電流値は、通電回路61により設定される。従って、銀イオン発生装置6を稼動させることにより洗浄管32を流れる湯又は水に銀イオンが混入され、その際に銀電極62に通電する電流値により湯又は水の銀イオン濃度が任意に設定される。なお、この銀イオン発生装置6は、洗浄管32において洗剤混合部34より上流位置に設けられている。これにより、洗剤液が銀電極62と接触することが防止され、洗剤の付着によって銀イオンの発生性能が劣化されることもない。
【0026】
図2に示すように、コントローラ7は、洗浄ユニット3による浴槽洗浄の動作を制御するための洗浄工程制御部72と、銀イオン発生装置6の動作を制御して銀イオン濃度を設定するための濃度制御手段71とを備える。洗浄工程制御部72は、浴槽洗浄における予備すすぎ、洗剤洗浄、待機、仕上げすすぎ、銀イオン洗浄の各工程の動作を制御する。濃度制御手段71は、浴槽洗浄時の季節を判定し、銀イオン洗浄の際にこの季節に応じた銀イオン濃度を設定するための機能部であり、記憶部711と、判定部712と、指令部713とを備えている。
【0027】
記憶部711には、季節テーブルと濃度テーブルとが記憶されている。
季節テーブルは、外気温と季節との関係を過去の気象データや実験等により予め定めたデータからなり、例えば、図3(a)に示すように、季節毎に1日の気温変化を示すデータなどから定めることができる。なお、この気温変化のデータを地域毎に得ることで季節判定を正確に行うことができる。そして、この季節テーブルとしては、例えば、1日の時間毎に、外気温が、所定温度(T1)を超えると夏季、他の所定温度(T2)未満では冬季、所定温度範囲内(T2〜T1)であれば春季及び秋季として定めることができる。
【0028】
濃度テーブルは、湯又は水に溶解させる銀イオン濃度として所定の銀イオン濃度を得るために銀イオン発生装置6に通電する電流値を実験等により予め定めたデータからなる。具体的に、この濃度テーブルとしては、図3(b)のグラフに示すように、高濃度(例えば、700ppb)、標準濃度(例えば、500ppb)、低濃度(例えば、300ppb)にそれぞれ対応する上記電流値が定められている。そして、各濃度に対応する上記電流値は、銀イオン発生装置6に通水される湯又は水の流量に対して比例関係となるように定められている。これにより、給湯栓等の他栓の使用等により銀イオン発生装置6に通水される湯又は水の流量が変動してもその銀イオン濃度を一定に保つことができる。
【0029】
判定部712は、季節判定とともに季節に応じた銀イオン濃度の決定を行い、決定した銀イオン濃度を指令部713に出力する。具体的に、季節判定は、給湯器1の外気温センサ100で検出された外気温より、この外気温検出時の時刻に対応する上記季節テーブルに基づいて現在の季節が判定される。この場合、外気温センサ100の検出情報は、洗浄ユニット3のコントローラ7が給湯器1の制御部5を介して取得することができる。そして、銀イオン濃度の決定は、この判定された季節に応じて、例えば、春季及び秋季は標準濃度、夏季は高濃度、冬季は低濃度とするように決定される。
【0030】
指令部713は、判定部712で決定された銀イオン濃度(標準濃度、高濃度、低濃度)について上記濃度テーブルを参照して銀イオン発生装置6に通電する電流値を読出し取得する。このとき、洗浄管32を流れる湯又は水の流量を流量センサ82で検出し、この検出された流量と対応した電流値が読み出される。そして、指令部713は、この電流値に関する指令信号を銀イオン発生装置6の通電回路61に出力する。これにより、銀イオン発生装置6の銀電極62に通電される電流値が制御される。従って、銀イオン発生装置6では、指令信号に応じた電流値により銀電極62に通電されて、湯又は水に混入される銀イオン濃度が設定される。
以上の結果、この銀イオン発生装置6に通水されて洗浄管32を流れる湯又は水の銀イオン濃度は、季節に応じて変更され、季節毎に所定の銀イオン濃度(標準濃度、高濃度、低濃度)に設定される。
【0031】
また、洗浄ユニット3には、この洗浄ユニット3を遠隔操作するための洗浄用リモコン9が通信接続されている。この洗浄用リモコン9は、洗浄ユニット3のコントローラ7と信号接続されており、運転スイッチ91、洗浄スイッチ92、表示部93等が設けられている(図1参照)。表示部93には、浴槽洗浄運転時に進行状況を表示させたり、上記の季節判定された季節や設定された銀イオン濃度等の表示が行われるようにしてもよい。なお、この洗浄用リモコン9には、カレンダー機能部を内蔵させて表示部93に年月日や時刻等を表示させるようにしてもよい。また、この洗浄用リモコン9は、給湯器1のリモコン4とは別に設けているが、これら両方のリモコン4,9の機能を備えた1つの多機能リモコンとしてもよい。
【0032】
次に、浴槽洗浄運転の一例を説明する。
以下に述べる浴槽洗浄運転は、予備すすぎ工程、洗剤洗浄工程、待機工程、すすぎ工程、銀イオン洗浄工程が順次に実行されるものとする。なお、この浴槽洗浄運転を行う際は、浴槽2内浴槽水排水されており、浴槽2内の排水栓22は開状態にされているものとする。また、浴槽蓋21は、浴槽2上に載置されているものとする。そして、浴槽洗浄の動作は、上記コントローラ7によって制御される。
【0033】
図4を参照して、洗浄用リモコン9において運転スイッチ91がオン状態で洗浄スイッチ92がオンされて浴槽洗浄運転の開始が指示されると、まず現在の季節を判定する(S101、S102)。この季節判定としては、給湯器1の外気温センサ100が検出する外気温情報を取得して(S101)、この外気温検出時の時刻に対応する上記季節テーブルに基づいて、この外気温が、所定温度(T1)を超える場合には夏季、他の所定温度(T2)未満の場合には冬季、これらの温度範囲内(T2〜T1)にある場合には春季及び秋季のように判定される(S102)。なお、外気温検出時の時刻は、洗浄用リモコン9、コントローラ7、あるいは給湯器のリモコン4、制御部5のいずれかに備える時計機能部から取得される。
【0034】
そして、判定された季節に応じて最後の銀イオン洗浄時の銀イオン濃度が決定される(S103)。ここでは、銀イオン濃度としては、春季及び秋季は標準濃度(例えば、500ppb)、夏季は高濃度(例えば、700ppb)、冬季は低濃度(例えば、300ppb)のように決定される。そして、この銀イオン濃度が決定されると、予備すすぎ工程が開始される。なお、予備すすぎ工程は、上記季節判定の終了をもって開始されてもよい。
【0035】
予備すすぎ工程では、洗浄ユニット3の水量制御弁81が所定開度に設定されるとともに開閉弁83が開かれ(S104)、給湯器1の流量センサ111が通水を検出すると燃焼部18aが燃焼開始して給湯用熱交換器10aが加熱される。すると、給水管11からの水が給湯用熱交換器10aで加熱され、所定温度(例えば、湯張り設定温度)の湯が出湯管12、接続管31、洗浄管32を通り、この湯のみが洗浄ノズル30から浴槽2の内壁面及び浴槽蓋21の下面に向けて噴射される。これにより、浴槽2の内壁面に付着している毛、湯垢等の汚れが予備的に洗い流される。この湯の噴射が所定時間(例えば、1分)行われると(S105)、予備すすぎ工程を終了して洗剤洗浄工程に移行される。
【0036】
洗剤洗浄工程では、上記予備すすぎの状態から洗剤供給管35の洗剤弁36が開かれる(S106)。すると、洗浄管32を流れる湯がベンチュリー構造の洗剤混合部34を通過する際に生じる負圧によって洗剤タンク33から洗剤原液が洗剤供給管35を介して洗剤混合部34に注入され、湯に洗剤原液が混合されて洗剤液が生成される。そして、この洗剤液が洗浄ノズル30から浴槽2の内壁面及び浴槽蓋21の下面に向けて噴射される。これにより、浴槽2の内壁面及び浴槽蓋21の下面に付着している湯垢等の汚れが洗浄される。この洗剤液の噴射が所定時間(例えば、2分)行われると(S107)、洗浄ユニット3の洗剤弁36、開閉弁83を閉じて(S108)、洗浄ノズル30からの洗剤液の噴射が停止されて洗剤洗浄工程が終了される。この洗剤洗浄工程が終了すると、待機工程に移行される。
【0037】
待機工程では、洗浄ノズル30からの一切の噴射を停止し浴槽2の内壁面や浴槽蓋21の下面に洗剤液が付着した状態で、所定時間が経過するまで放置される(S109)。これにより、洗剤液が浴槽2の内壁面及び浴槽蓋21の下面に付着した湯垢等の汚れに浸透し、汚れを浮き上がらせて次のすすぎ工程で洗い流されやすくすることができる。この所定時間(例えば、3分)が経過すると(S109)、待機工程を終了してすすぎ工程に移行される。
【0038】
すすぎ工程では、基本的には上述の予備すすぎ工程と同様に、洗浄ユニット3の水量制御弁81が所定開度に設定されるとともに開閉弁83が開かれて(S110)、給湯用熱交換器10aで熱交換加熱された湯が洗浄ノズル30から浴槽2の内壁面及び浴槽蓋21の下面に向けて噴射される。これにより、浴槽2の内壁面及び浴槽蓋21の下面において洗剤液により浮き上がらされた湯垢等の汚れが洗剤液とともにきれいに洗い流される。この湯の噴射が所定時間(例えば、2分)行われると(S111)、洗浄ユニット3の開閉弁83を閉じて(S112)、洗浄ノズル30からの噴射が停止され、よって給湯用熱交換器10aへの入水も無くなり、燃焼部18aの燃焼が停止されてすすぎ工程が終了される。以上のすすぎ工程が終了すると、最後に銀イオン洗浄が実行される。
【0039】
銀イオン洗浄工程では、洗浄ユニット3の水量制御弁81が所定開度に設定されるとともに開閉弁83が開かれて(S113)、給湯器1の給湯管路13側から洗浄ユニット3の洗浄管32に水を供給させる。このとき、コントローラ7は給湯器1の制御部5に燃焼禁止信号を出力し、流量センサ111が通水を検出しても燃焼部18aを燃焼開始させず、給湯用熱交換器10aは加熱停止状態に維持される。ただし、この銀イオン洗浄工程中に給湯栓が開かれて給湯動作が行われたときは給湯器1の制御部5は上記燃焼禁止信号を無効化して燃焼部18aを燃焼させるようにしてもよい。従って、開閉弁83が開弁されることにより給湯管路13側からの水が接続管31を介して洗浄ユニット3の洗浄管32に送り込まれ、水量制御弁81により一定水量の水が洗浄管32内に流される。
【0040】
そして、洗浄管32に流れる水の流量を流量センサ82の検出値から取得して(S114)、銀イオン発生装置6の電極62に通電する電流値を取得する(S115)。すなわち、この浴槽洗浄開始指示の時の季節判定により現在の季節に応じて決定された銀イオン濃度(標準濃度、高濃度、低濃度)の上記濃度テーブルに基づいて、洗浄管32を流れる水の流量に対応する電流値を読み出し取得する。続いて、この電流値に関する指令信号を銀イオン発生装置6の通電回路61に出力する(S116)。そして、この電流値の指令信号に基づいて銀イオン発生装置6を稼動してその一対の銀電極62に通電すると、銀電極62の電気分解により銀イオンが洗浄管32を流れる水に対して銀イオン発生装置6の筒体内を通過する間に溶解される。これにより、洗浄管32を流れる水の銀イオン濃度が季節に応じた所定の銀イオン濃度とされる。
【0041】
そして、現在の季節に応じた銀イオン濃度となった銀イオン水は、洗浄ノズル30から浴槽2の内壁面や浴槽蓋21の下面に向けて噴射される。これにより、浴槽2の内壁面や浴槽蓋21の下面に銀イオンが付着される。また同時に、浴槽2の排水口23や洗浄ノズル30等にも銀イオンが付着される。従って、銀イオンの抗菌、除菌効果により、これらの場所でのカビや酵母菌などの繁殖を防止することができる。
【0042】
なお、洗浄管32を流れる水の流量検出とこの検出流量に対応する電流値の指令は(S114〜S116)、この銀イオン洗浄工程の間は繰り返して行われるようにしてもよい。これにより、他栓の使用等により洗浄管32での水量が変動してもその銀イオン濃度を一定に保つことができる。
【0043】
この銀イオン水の噴射が所定時間(例えば、2分)行われると(S117)、洗浄ユニット3の開閉弁83を閉じるとともに銀イオン発生装置6を稼動停止させる(S118)。これにより、洗浄ノズル30からの銀イオン水の噴射が停止されて銀イオン洗浄工程が終了される。この銀イオン洗浄工程の終了をもって浴槽洗浄運転が終了される。
【0044】
以上のように、本実施形態1による浴槽等の自動洗浄システムによれば、浴槽洗浄運転の最後に上記銀イオン洗浄工程が行われるので、浴槽2の内壁面や浴槽蓋21の下面、浴槽2内の排水口23や洗浄ノズル30等の浴槽2内に付着された銀イオンが浴槽洗浄後においても保持される。従って、銀イオンの抗菌、除菌効果により浴槽洗浄後の浴槽2内におけるカビや酵母菌などの繁殖を抑制することができる。そして、上記銀イオン洗浄工程において、洗浄ノズル30から噴射される銀イオン水は、加熱されていない水が使用されるため、浴槽2自体を冷ますことができるので、高温多湿下で繁殖しやすいカビ等の発生を抑えるのに有効である。その結果、浴槽洗浄後から次回の湯張り時まで浴槽2内を清潔に保つことができる。
【0045】
しかも、銀イオン水の銀イオン濃度は、季節に応じて変更されるので、夏季はカビや酵母菌等の繁殖が著しいから銀イオン濃度を高濃度とすることで銀イオンの除菌、抗菌効果を強力にして、夏季でのカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。一方、冬季はカビ等の繁殖が乏しいから銀イオン濃度を低濃度とすることで、カビ等の繁殖を適切に抑制すると同時に銀イオン発生装置6における銀の消費を少なく抑えてコストを低減することができる。
【0046】
なお、上記の浴槽洗浄運転は、いくつかの洗浄モードを設けてもよい。例えば、上記の浴槽洗浄運転を標準モードとし、この標準モードにおける待機工程後に続いてもう一度洗剤洗浄工程と待機工程を行って洗剤洗浄を2度繰り返して洗浄能力を高くする念入りモードや、標準モードにおける洗剤洗浄時の洗剤量を少なくすると共に仕上げのすすぎ時間を短縮して運転時間を短くするスピードモードを設けることができる。
また、銀イオン洗浄工程は、仕上げのすすぎ工程に代えて実行するようにしてもよい。これにより、仕上げのすすぎが不要となる分、節水することができる。この場合、予備すすぎ工程、洗剤洗浄工程のいずれか又は両工程ともに、銀イオン洗浄工程と同様に銀イオンを混入させるようにしてもよい。
また、上記浴槽洗浄運転における銀イオン洗浄を給湯温度等に設定されたお湯によって実行するようにしてもよい。
【0047】
<実施形態2>
図5に示すように、実施の形態2による浴槽等自動洗浄システムは、熱源機となる給湯器1の湯張り管17に銀イオン発生装置60を設け、この湯張り管17を通して一定量の新たな湯又は水を追焚き循環管路16に供給して浴槽2内へ放出させる配管洗浄運転を行うにあたって湯又は水に銀イオンを混入させた銀イオン洗浄を行うようにしたものである。そして、上記銀イオン洗浄は、季節ごとに異なる銀イオン濃度を設定し、季節に応じて銀イオン濃度を変更するようにしている。なお、このものは、湯張り管17が浴槽2へ湯又は水を放出させるための通水管路の一部となる。また、リモコン4には、更に、配管洗浄運転を行わせるための配管洗浄スイッチ45が設けられている。
【0048】
銀イオン発生装置60は、上記の銀イオン発生装置6と同様の構成を有し、この銀イオン発生装置60を稼動させることにより、湯張り管17を流れる湯又は水に銀イオンが混入され、その際に銀電極62に通電する電流値により湯又は水の銀イオン濃度が任意に設定されるようになっている。
【0049】
また、図6に示すように、給湯器1の制御部5には、配管洗浄制御部50を備えており、この配管洗浄制御部50によってリモコン4からの出力及び各種センサ等からの出力等に基づいて配管洗浄運転の動作制御を行う。
【0050】
配管洗浄制御部50は、注湯電磁弁171を開いて一定量の新鮮な湯又は水を追焚き循環管路16に導入させる配管洗浄動作の制御を行う洗浄制御部52と、この配管洗浄時に銀イオン発生装置60を動作制御して湯又は水の銀イオン濃度を設定するための濃度制御手段51とを備えている。
【0051】
濃度制御手段51は、配管洗浄時の季節を判定し、銀イオン洗浄に際してこの季節に応じた銀イオン濃度を設定するための機能部であり、上記コントローラ7の濃度制御手段71と略同様の構成を有する記憶部511、判定部512及び指令部513を備えている。ただし、指令部513では、湯張り管17を流れる湯又は水の流量を流量センサ173で検出し、この検出された流量と対応した電流値が読み出され、この電流値に関する指令信号を銀イオン発生装置60の通電回路61に出力する。これにより、銀イオン発生装置60では、指令信号に応じた電流値により銀電極62に通電されて、湯又は水に混入される銀イオン濃度が設定される。従って、この銀イオン発生装置60に通水されて湯張り管17を流れる湯又は水の銀イオン濃度は、季節に応じて変更され、季節毎に所定の銀イオン濃度(標準濃度、高濃度、低濃度)に設定される。
【0052】
なお、リモコン4には、タッチパネル44において上記の季節判定された季節や設定された銀イオン濃度等の表示が行われるようにしてもよい。
実施の形態2における他の構成は、上記実施の形態1の浴槽等自動洗浄ユニットと同様である。なお、この実施の形態2では、上記洗浄ユニット3を設けない構成とすることもできる。
【0053】
次に、配管洗浄運転の一例を説明する。
配管洗浄運転は、注湯電磁弁171を開いて一定量の新鮮な湯又は水を追焚き循環管路16に導入することで、追焚き循環管路16内に溜まっていた残水を浴槽2内に排出させる動作を行う。なお、この配管洗浄運転を行う際は、浴槽2内浴槽水排水されており、浴槽2内の排水栓22は開状態にされているものとする。そして、配管洗浄の動作は、上記配管洗浄制御部50によって制御される。
【0054】
図7を参照して、リモコン4において配管洗浄スイッチ45がオンされて配管洗浄運転の開始が指示されると、まず現在の季節を判定する(S201、S202)。この季節判定は、上記の浴槽洗浄運転のときと同様に、給湯器1の外気温センサ100が検出する外気温情報を取得して(S201)、この外気温検出時の時刻に対応する上記季節テーブルに基づいて、この外気温が、所定温度(T1)を超える場合には夏季、他の所定温度(T2)未満の場合には冬季、これらの温度範囲内(T2〜T1)にある場合には春季及び秋季のように判定される(S202)。なお、外気温検出時の時刻は、リモコン4、制御部5、あるいは洗浄ユニット3の洗浄用リモコン9、コントローラ7のいずれかに備える時計機能部から取得される。
【0055】
そして、判定された季節に応じて銀イオン洗浄時の銀イオン濃度が決定される(S203)。ここでは、銀イオン濃度としては、春季及び秋季は標準濃度(例えば、500ppb)、夏季は高濃度(例えば、700ppb)、冬季は低濃度(例えば、300ppb)のように決定される。この銀イオン濃度が決定されると、配管洗浄動作を実行する。
【0056】
配管洗浄の動作では、注湯電磁弁171を開弁する(S204)。このとき、配管洗浄制御部50は、燃焼部18aを燃焼させないように制御している。ただし、この配管洗浄運転中に給湯栓を開いて給湯動作が行われると、燃焼部18aを燃焼させるように制御してもよい。従って、注湯電磁弁171が開弁されることにより給湯管路13側から湯張り管17に水が供給される。
【0057】
そして、湯張り管17に流れる水の流量を流量センサ173の検出値から取得して(S205)、銀イオン発生装置60の電極62に通電する電流値を取得する(S206)。すなわち、この配管洗浄開始指示の時の季節判定により現在の季節に応じて決定された銀イオン濃度(標準濃度、高濃度、低濃度)の上記濃度テーブルに基づいて、湯張り管17を流れる水の流量に対応する電流値を読み出し取得する。続いて、この電流値に関する指令信号を銀イオン発生装置60の通電回路61に出力する(S207)。そして、この電流値の指令信号に基づいて銀イオン発生装置60を稼動してその一対の銀電極62に通電すると、銀電極62の電気分解により銀イオンが湯張り管17を流れる水に対して銀イオン発生装置60の筒体内を通過する間に溶解される。これにより、湯張り管17を流れる水の銀イオン濃度が季節に応じた所定の銀イオン濃度とされる。
【0058】
そして、現在の季節に応じた銀イオン濃度の銀イオン水は、追焚き循環管路16の往き管15及び戻り管14ともに導入されて循環金具20から浴槽2内に排出される。これにより、追焚き循環管路16内に溜まっていた浴槽水の残水が浴槽2内に流し出されて銀イオンを含む新鮮な水と置換される。また同時に、ポンプ141、循環金具20に銀イオンを付着させることができる。
【0059】
また、この配管洗浄運転は、浴槽2の浴槽水をすべて排水させてから実行しているので、浴槽2内に放出された銀イオン水は、浴槽2の排水口23を通って排水される。従って、この浴槽2の排水口23や排水管24においても銀イオンを付着させることができる。
【0060】
なお、湯張り管17を流れる水の流量検出とこの検出流量に対応する電流値の指令は(S205〜S207)、この銀イオン洗浄工程の間は繰り返して行われるようにしてもよい。これにより、他栓の使用等により湯張り管17での水量が変動してもその銀イオン濃度を一定に保つことができる。
【0061】
その後、追焚き循環管路16への水の供給が流量センサ173により一定量(例えば、5リットル)に達したことが検知されると(S208)、注湯電磁弁171を閉弁し、銀イオン発生装置60を稼動停止させて(S209)、配管洗浄運転を終了する。
【0062】
以上のように、本実施形態2による浴槽等の自動洗浄システムによれば、銀イオンを含む水により配管洗浄を行うので、追焚き循環管路16のみならず、これまで汚染が著しかった循環金具20や排水口23、更には追焚き循環管路16のポンプ141や排水口23に連通する排水管24等の場所に対して、銀イオンが付着されてこの銀イオンによる抗菌、除菌効果により、カビや酵母菌などの繁殖を確実に抑制して汚染を確実に防止することができる。
【0063】
その結果、追焚き循環管路16、循環金具20、排水口23、排水管24等の場所は、次回の湯張りまで清潔に保つことができ、また、次回の湯張り時には浴槽2内に清潔な湯が湯張りされることになる。また、浴槽2の排水口23も清潔に維持されるので、この排水口23からカビなどが浴槽水に混入することも抑制される。
【0064】
しかも、銀イオン水の銀イオン濃度は、季節に応じて変更されるので、夏季はカビや酵母菌等の繁殖が著しいから銀イオン濃度を高濃度とすることで銀イオンの抗菌、除菌効果を強力にして、夏季でのカビ等の繁殖を確実に抑制することができる。一方、冬季はカビ等の繁殖が乏しいから銀イオン濃度を低濃度とすることで、カビ等の繁殖を適切に抑制すると同時に銀イオン発生装置60における銀の消費を少なく抑えてコストを低減することができる。
【0065】
なお、上記配管洗浄運転における銀イオン洗浄を湯張り温度等に設定されたお湯によって実行するようにしてもよい。
また、上記配管洗浄運転は、リモコン4の配管洗浄スイッチ45のオン操作によって開始されることに代えて、浴槽水の排水を自動検出して自動的に開始させるようにしてもよい。
この場合の一例として、例えば、水位センサ142の検出値より浴槽水の水位降下が循環金具20の位置(基準水位)となったことが検出されると、この時点から浴槽2内の浴槽水が完全に排水されるまでの排水時間をタイマー等で計時し、この排水時間の経過により配管洗浄運転を実行するようにしてもよい。ここで、排水時間は、予め試運転を行ってその浴槽2の浴槽水の排水スピードを基に求めることができる。また、季節判定及び銀イオン濃度決定は、浴槽水の水位降下が基準水位を検出した時点から排水時間の経過時点までの任意の時点で行ってもよいが、配管洗浄を実行する時点では、銀イオン濃度が決定されているものとする。
他の例として、例えば、排水栓22の開閉検知手段とともに排水管24に水流スイッチを設けて、排水栓22が開状態で水流スイッチが水流無しを検知することで、浴槽水がすべて排水されたことを検出し、この排水完了検出により配管洗浄運転を実行するようにしてもよい。この場合、季節判定及び銀イオン濃度決定は、排水栓22の開検知の時点から排水管24の水流スイッチの水流無し検知の時点までの任意の時点で行ってもよいが、配管洗浄を実行する時点では銀イオン濃度が決定されているものとする。
<その他の実施形態>
【0066】
上記季節判定は、給湯器1の給水温センサ(水温検出器)112を用いて、この給水温センサ112が検出する給水温度(水温)から季節を判定するようにしてもよい。この場合、水温検出は、浴槽洗浄時(実施形態1)では予備すすぎ工程のときに行うようにし、配管洗浄時(実施形態2)では注湯電磁弁171を開いた初期動作のときに行うようにする。また、外気温の場合と同様に、実験や気象データ等により、水温と季節との関係を示す季節テーブルを予め記憶させ、この季節テーブルに基づいて、給水温度が、所定温度(T1)を超える場合には夏季とし、他の所定温度(T2)未満の場合には冬季とし、これらの温度範囲内(T2〜T1)にある場合には春季及び秋季として判定することができる。そして、上記季節テーブルは、水温検出時の時間帯や地域毎に水温と季節との関係を得るようにすることで、きめの細かい制御を行うことができる。
【0067】
また、上記季節判定は、リモコン4,9等に内蔵されたカレンダー機能部によって、例えば、12〜2月を冬季、3〜5月を春季、6〜8月を夏季、9〜11月を秋季として、上記の浴槽洗浄又は配管洗浄が行われる日が何月であるかによって季節を判定するようにしてもよい。
【0068】
上記銀イオン洗浄時の銀イオン濃度は、季節を問わず、浴槽洗浄時又は配管洗浄時の浴室内の温度(浴室温度)に応じて変更し設定するようにしてもよい。従って、この場合は季節判定を行わないし、季節テーブルも不要である。また、この場合、浴室温度を検出するための温度センサは、例えば、洗浄ユニット3、浴槽2や浴槽2付近、又は浴室内等に設けるようにすればよい。そして、判定部712,512は、銀イオン濃度として、浴室温度が、所定温度(T1)を超える場合には高濃度(例えば、700ppb)とし、他の所定温度(T2)未満の場合には低濃度(例えば、300ppb)とし、これらの温度範囲内(T2〜T1)にある場合には標準濃度(例えば、500ppb)のように、浴室温度が高くなる程に銀イオン濃度も高く設定することができる。
【0069】
また同様に、上記銀イオン洗浄時の銀イオン濃度は、季節を問わず、浴槽洗浄時又は配管洗浄時の外気温(上記外気温センサ100の検出値)又は水温(上記給水温センサ112の検出値)に応じて変更し設定するようにしてもよい。この場合も、外気温や水温が高くなるほどに銀イオン濃度を高く設定することができる。
【0070】
また、上記銀イオン洗浄時の銀イオン濃度は、リモコン4,9等に設けたマニュアルスイッチにより、例えば、標準濃度、高濃度、低濃度のように任意に設定するようにしてもよい。この場合、マニュアルスイッチを押す度に、順次に、標準濃度、高濃度、低濃度のように変更されるようにしてもよい。なお、この場合も季節判定や季節に応じた銀イオン濃度決定は不要である。
【0071】
また、銀イオン濃度を変更するマニュアルスイッチとして、高濃度ボタン及び低濃度ボタンを設け、このボタンを押すと基準濃度(上記標準濃度でもよいし、任意の濃度でもよい。)に対して一定濃度ずつ加算、減算されるようにしてもよい。例えば、基準濃度(例えば、500ppb)に対して、高濃度ボタンを押す度に100ppbずつ濃度が上がり、低濃度ボタンを押す度に100ppbずつ下がるようにしてもよい。ただし、設定可能な銀イオン濃度の上限と下限を決めておき、その限度の範囲内で銀イオン濃度を変更できるようにしてもよい。
【0072】
さらには、上記銀イオン洗浄時の銀イオン濃度は、上記の季節や、浴室温度、気温又は水温等に応じて変更することと、上記の高濃度ボタン及び低濃度ボタンにより手動で銀イオン濃度を加減算することを組み合わせてもよい。すなわち、銀イオン濃度は、季節等に応じて所定濃度に設定されると、この所定濃度を基準濃度として、更に、高濃度ボタン又は低濃度ボタンにより銀イオン濃度が加減算されるようにする。
【0073】
また、実施形態1において、標準モード、これより洗浄能力を高くした念入りモード、運転時間を短縮等したスピードモード等のような洗浄モードを設ける場合、銀イオン洗浄時の銀イオン濃度がこの洗浄モードに応じて変更し設定されるようにしてもよい。この場合、判定部712は、浴槽洗浄の洗浄能力を高くする念入りモードがセットされた場合には銀イオン濃度を高く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】実施の形態1による浴槽等自動洗浄システムの全体構成を示す概略構成図である。
【図2】洗浄ユニットのコントローラと各要素との信号接続関係を示すブロック図である。
【図3】一日の気温変化を季節毎に示すデータと(図3(a))、銀イオンを混入させる湯又は水の流量と銀イオン発生装置の銀電極に印加する電流値との関係を濃度毎に示す濃度テーブルである(図3(b))。
【図4】実施の形態1において、浴槽洗浄運転の動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】実施の形態2による浴槽等自動洗浄システムの全体構成を示す概略構成図である。
【図6】給湯器に備える制御部の配管洗浄制御部と各要素との信号接続関係を示すブロック図である。
【図7】実施の形態2において、配管洗浄運転の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 給湯器
2 浴槽
3 洗浄ユニット
5 制御部
6,60 銀イオン発生装置
7 コントローラ
17 湯張り管(通水管路)
30 洗浄ノズル
32 洗浄管(通水管路)
51,71 濃度制御手段
61 通電回路
62 銀電極
100 外気温センサ
112 給水温センサ
511,711 記憶部
512,712 判定部
513,713 指令部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽洗浄又は配管洗浄を行う浴槽等自動洗浄システムであって、
浴槽洗浄又は配管洗浄に当たって湯又は水を放出させるために浴槽へ通じる通水管路においてこの通水管路に流れる湯又は水に対し電気分解により銀イオンを溶解させる銀電極を備えた銀イオン発生装置を設け、
上記銀イオン発生装置の銀電極に通電する電流値を制御することにより上記の湯又は水の銀イオン濃度を変更させる濃度制御手段を設けた浴槽等自動洗浄システム。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽等自動洗浄システムにおいて、
上記濃度制御手段は、夏季には高濃度となるように季節に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とした浴槽等自動洗浄システム。
【請求項3】
請求項1に記載の浴槽等自動洗浄システムにおいて、
上記濃度制御手段は、外気温又は水温が所定温度よりも高いときには高濃度となるように外気温検出器又は水温検出器の検出値に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とした浴槽等自動洗浄システム。
【請求項4】
請求項1に記載の浴槽等自動洗浄システムにおいて、
上記濃度制御手段は、浴室温度が所定温度よりも高いときには高濃度となるように浴室温度検出器の検出値に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とした浴槽等自動洗浄システム。
【請求項5】
請求項1に記載の浴槽等自動洗浄システムにおいて、
上記濃度制御手段は、浴槽洗浄時に洗浄モードが標準モードよりも洗浄能力を高くした念入りモードのときには高濃度となるように洗浄モードに応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とした浴槽等自動洗浄システム。
【請求項6】
請求項1に記載の浴槽等自動洗浄システムにおいて、
上記濃度制御手段は、マニュアルスイッチからの入力信号に応じて銀イオン濃度を変更させる制御構成とした浴槽等自動洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−183414(P2009−183414A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−25573(P2008−25573)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】