説明

海洋タンパク質加水分解産物、その製造方法及び応用。

本発明は加水分解海洋タンパク質産物及び該製品の製造方法に関係する。さらに本発明は、ヒト及び培地を含めた動物の、加水分解海洋タンパク質産物を含む飼料製品に関係する。このタンパク質産物は酵素作用、微生物作用、酸、調理又はそれらのいずれかの組合せにより加水分解することができる。前記タンパク質産物は、生物活性ペプチドを含む魚粉廃液ペプチドフラクションを含むこともできる。飼料製品はヒトを含むいずれの動物によっても摂取することができる栄養的製品になりうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海洋タンパク質の加水分解産物及び該製品の製造方法に関係する。さらにこの発明は、海洋タンパク質加水分解産物を含むヒトを含めた動物のための食品及び培地に関係する。
【0002】
タンパク質産物は酵素作用、細菌の作用、酸、調理又はこれらのいずれかの組み合わせにより加水分解することができる。タンパク質産物は、生物活性ペプチドを含有する魚粉廃液ペプチドフラクション(stickwater peptide fraction)を含み得る。食品は、ヒトを含めた動物による摂取が可能ないずれかの栄養産物であり得る。
【背景技術】
【0003】
水産業、畜産及び海洋養殖からの副産物は、タンパク質、炭水化物及び油脂の資源である。魚加工業、酪農及び食品工業からの副産物の量は莫大であり、例えば水産養殖業が一層発展するに従って増加している。これは、輸送(logistical)及び環境の両者に関する難題である。数日古くなった場合には味が悪くなり、動物の健康を害することがある産物から大量のミールとサイレージが作られているので、伝統的な魚の副産物を大量に飼育農場の動物に使用することは実際上困難である。新鮮な魚からのLT(低温ミール)又は高品質ミールの製造は、このような問題を生じることなく飼料の品質及び成長成績を改善することが立証されている。健康食品としての加水分解産物の価値に関する主張が既に行われている。(Journal of Food Science−ニシンタンパク質の加水分解産物の機能的性質。酪農分野におけるMauboisらのUS patent 4427558−乳清タンパク質の加水分解−では医薬として食品の使用を記述:Animal Feed Sci. Technology July 1996−Oullet D.R.ミルク生産の改善及び排泄による窒素消失の制限の手段として、反芻動物の栄養成分におけるタンパク質加水分解産物が考慮された)。
【0004】
動物飼料として乳清を使用することは、タンパク質の機能的性質及びラクトースにより供給されるエネルギーに基づいて充分確立されている。標準的魚ミールは、しばしば成績を向上させるために約5%加えられる。これにより若いブタを飼育することは特に有益である。乳清は、子牛用栄養補助物、子牛用ミルク代替物及び乳牛用にも使用される。さらに、ブタ及びウシの血漿タンパク質は、健康、成長及び一般的成績を改善するための飼料として広く使用されている。自身のタンパク質を哺乳動物種に与えることは重大な健康リスクの原因になりうることが判明したことにより、血漿タンパク質の使用は現在欧州共同体内では行われていない。BSE(ウシ海綿状脳症)の問題は、このために生じたと考えられている。(肉食動物以外の)動物の飼料に哺乳動物の(ミルク以外の)タンパク質を使用することは欧州共同体全域で現在禁止されている。全く異なる属に入る魚のタンパク質は例外であり、鳥類、哺乳動物及びヒトを含めて、動物を養育するために使用することができる。
【0005】
乳清タンパク質に対する需要が世界的に増加しているので、代替タンパク質、主として大豆粉が乳清を代替させるために加えられている。これらのタンパク質は主に未加工の、元の状態又は大豆粉であり、これらのタンパク質の消化と吸収に関係する問題がある。腸の中の天然タンパク質分解酵素であるトリプシンは、大豆タンパク質の中に存在するあるアミノ酸部位により阻害される。これが、例えば、トリプシンのレベルが低い若いブタの消化能力に影響を及ぼす。
【0006】
魚タンパク質及び魚ミールも、歴史的に、酪農業、養豚業及び養鶏業にとってタンパク質及びミネラルの良い資源として使用されてきた。それらは、必須アミノ酸であるリジンとメチオニンの天然の良い資源である。ヨード及びセレンの微量元素についても好都合である。これは、純度、塩含量及び好ましく無い窒素化合物レベルの技術的問題が解決されるならば、継続され、需要は増加するであろう。
【0007】
ラクトースの天然の甘味を加えた加水分解海洋タンパク質の混合物及びその改良された品質は、総て本明細書で示すような膜技術により好ましくない生物起源アミンを除去することに基づいている。
【0008】
清澄化した海洋タンパク質加水分解物及び生物活性ペプチドを含む粘性廃液ペプチドフラクションの利用が、現在搾乳場の限外濾過透過液中の価値のある乳清タンパク質の代替を可能にしている。試験において、この有益な海洋タンパク質でブタを飼育することが、哺乳類血漿タンパク質と比較され、成績を向上させることが示されている(ヨーロッパ特許出願 EP 09512837A1)。それは特に必須アミノ酸であるリジンとメチオニンが豊富であった。リジンはブタの食料の中では特に重要である。他の試験が酸性化したエンシレージの制御加水分解を使用することによる魚の加水分解物の栄養的価値は成長を促進することができるが、加水分解の程度は苦味にも影響することを示している(魚加工の副産物の酵素加水分解―Journal of Science Food & Agriculture 80:581−589(2000))。
【0009】
高レベルのヒスタミンは、「サバ亜目魚によるヒスタミン中毒」を生じることがある。短い潜伏期の後に生じるこの症状は、発疹、顔面紅潮、嘔吐、下痢、呼吸困難(難しい又は苦しい呼吸)、頭痛及び金属様/胡椒様の味などである。高レベルの毒性アミンは、腸で吸収され、通常は肝臓により解毒されて、腎臓により排泄されるが、持続的暴露は最後には臓器の細胞障害を引き起こし、肝臓及び腎臓の機能不全を生じる。アメリカのFDAによると、50ppmより多いヒスタミンを含有する魚は腐敗していると考えられるが、一般的に中毒は200ppmを超えたところで生じる。腐敗した魚、廃物の使用及び悪い処理の組み合わせは一般的に食べ物及び他の製品中に高レベルのヒスタミンを生じる。
【0010】
酪農産業及びより小規模ではあるが魚加工業において、膜技術を使用することにより、加工装置が伝統的な副産物からタンパク質を分離することが可能になった。乳清はチーズ及びカゼイン製造の副産物である。数世紀の間、それは動物、特に乳牛及びブタの飼料として使用されてきた。それはアルブミン及び免疫グロブリン、並びにラクトフェリン及びラクトペルオキシダーゼ等の抗菌性物質のような可溶性ミルクタンパク質を総て含んでいる。これらは若い動物を保護するための天然の手段である。膜濾過の発達は、乳児用人工乳、ベーカリー製品、健康食品及び品質改良酪農製品のためにこの高い栄養価のたんぱく質を酪農会社が利用することを可能にした。逆に、これは限外濾過(UF)透過液の余剰を創り出し、それは往々にして処分することが困難である。
【0011】
タンパク質は乳清の乾燥品のわずか10〜12%を占めるに過ぎない。残りの90%は、ラクトース及びミネラル類、特に、マグネシウム、カルシウム、リン及びカリウムのような生理的に重要なマクロミネラル、プラス非タンパク性窒素で構成されている。UF透過液中に存在するミネラルは、ブタでは植物性飼料中のミネラルよりもより効率よく利用される。(ブタの栄養理論−Texas A&M University)。
【0012】
ラクトースは乳清の乾燥品の残りの約75%を占め、哺乳動物種の子供の主なエネルギー源である。商業的に製造された精製ラクトースと合成アミノ酸を組み合わせて肥育飼料の乳清を代替する努力がなされ(USA Animal and Dairy Science−Dove 1998)、その成績は乳清と類似することが示された。早期離乳のブタの飼料中のほぼ5%であるについて、の乳清ラクトース及びアミノ酸が、その飼料中の乳清について置換できることがこれらの試験において示された。飼料中の乳清を減らすことによりブタ生産者は早期離乳のブタの飼料のコストを減少させることができる。これらの試験において、5%レベルの魚粉も総ての試験に存在した。
【0013】
一部の試験では(J Food Sci Vol 64 No.6 1999. Functional Properties of Fish Hydrolysate from Herring [Clupea harengus])、類似の酵素的方法を使用して加水分解したときに、良好な乳化安定性及び適当な泡拡大能力を持つ加水分解物を生産することが示された。標準的ミール製造に比較して、加水分解物中のタンパク質含量は水性分画中に増加したが、一方脂質含量は実質的に減少し、良好な脂肪分離が可能であった。
乾燥飼料製造の新規方法も開発されている−Dry Feed for fish US patent 6168815 Alfa Laval and US Patent 6036983 NovoNordisk AS.
【0014】
課題は、これらの副産物から、ミネラル、特にナトリウム及び塩素イオンが低いレベルにあり、更に好ましくないアミン化合物、及び他のアミノ酸の酵素的及び微生物分解産物が低いレベルにある、高品質のタンパク質誘導物を製造することである。
【0015】
加水分解された魚タンパク質にUFを使用することがいくつかの場合に商業的に試みられたが、工程の不効率、コスト、入手可能な膜システム及び膜材料のために全て不成功であった。
【0016】
二番目の課題は、ペプトン生成により生じる苦味にある。先行技術は、乳酸菌とインキュベートすることによりペプトン及びタンパク質フラクションを甘味化することで好ましい制御を達成したことを記述している。US patent 6214585は、乳酸菌が基質としてラクトースを利用できるので、ラクトースを含むミルクタンパク質UF透過液を添加することによりこの工程が著しく促進されることを記述している。本発明による工程は、生物由来のアミンの含量を減少させることにより好ましくない味の問題を減らすものである。これによって、添加されたラクトースは維持され、乳酸菌の添加の必要性もより少なくなるであろう。
【0017】
先行技術としては、粘性廃液にセラミックミクロフィルトレーションを使用する方法が存在する。これはノルウェーにおいて商業的に使用されており、これを用いて、魚スープ、フレーバリング及び栄養成分のための食品添加物として販売されている透過液を生産している。使用されている膜はMembralox(France)により製造された0.2ミクロンの酸化チタン膜である。ヨーロッパ特許出願EP 0951837 A1は、動物の成長を促進するための生物活性ペプチドの製造を検討しており、それには温体動物(warm bodied animals)及び魚の成長を促進するための組成物の調製及びそれへの使用が含まれる。その概要は、大西洋タラの胃から得られた酵素を使用する酵素加水分解を使用する生物活性ペプチド組成物の製造方法についての発明を示すものである。これは血漿蛋白質(血液、卵、乳清)と比較され、温血哺乳動物の成長促進のための代替タンパク質として提案されている。標準的加水分解におけると同様に、この発明は制御された時間と温度で酵素を使用し、標準的生成物を生産する。比較試験により、血漿タンパク質の代替物としてこのペプチドを使用する利点が示めされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
発明の説明
例えば飼料の栄養分として使用される現行の加水分解タンパク質産物は、高レベルの1価イオン、並びに他でも記述されているように、毒性があり、製品に悪い味を与えるので問題となる、生物由来アミンを含有している。
【0019】
この問題は本発明により解決される。即ち、非タンパク質性窒素、アミン及び1価イオンのレベルが著しく減少され、生物由来アミン及び高濃度の塩による毒性作用が低減された、新しい加水分解タンパク質産物を提供する。
【0020】
さらに、加水分解タンパク質産物を製造する工程において大量の水を取り除くという問題がある。通常、水は大量のエネルギーを消費する工程である蒸発により取り除かれる。
【0021】
本発明はこの問題をUF及びNFを組み合わせ、それにより70%を超える水を除去することにより解決する。これによりエネルギーを消費する蒸発ステップが殆んど取り除かれる。
【0022】
魚粉廃液及びサイレージの物理的性質は殆んどの工業的膜で処理することを非常に困難にしているので、小分子量分子及び水のそのような著しい減少は期待されなかった。
【0023】
高温に置けるセラミックUFの使用及びNFによる濃度の調節の組み合わせは、高い最終製品濃度を与え、好ましくない化合物の除去と共に問題原料を好ましい製品に変換する品質の著しい増加を生じる。
【0024】
本発明の一つの目的は、NFから最少レベルの生物由来アミン及び1価イオンを含む加水分解タンパク製品又は精製魚粉廃液を提供することである。
【0025】
その他の本発明の目的は、該製品の製造のための費用−効果の良い工程を提供することである。
【0026】
低塩、低生物由来アミン及びNPN(非タンパク質窒素)を含む加水分解海洋タンパク質産物の製造を記述する。この製品は動物、ヒト及び微生物の食べ物の成分として使用され、例えばホールミール(whole meal)の品質を改善する。さらに、改良された動物飼料成分としてミルク製品の限外濾過濾過液(75%ラクトース)と混合する場合には、飼料配合において、乳清、ミルク:大豆、コムギ及びそれらの誘導物のような他のタンパク質代替物の代わりに使用される。
【0027】
本発明は、加水分解海洋タンパク質、該タンパク質の製造方法、並びに動物及びヒトの食料及び培地における該タンパク質の使用に関係する。特に本発明は、減少したレベルの1価イオン及び生物由来アミン類、並びに酵素、調理、酸及び微生物による分解又はそれらの組み合わせによるその他の製品を有する加水分解海洋タンパク質産物に関する。
【0028】
塩含量は、使用した生物が含有する塩及び魚を汲み上げるのに使用する海水に由来する。好ましくない小量の窒素化合物(非タンパク質性窒素[NPN]及び生物由来アミン)は、タンパク質原料に対する加水分解作用により創り出される。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明による工程は次のステップを含む:
− 魚及び/又は他の海産業/資源の副産物をホモジナイズする
− 該タンパク質の制御された加水分解及び/又は海洋原料の処理から生じた魚粉廃液の分離
− 清澄化海洋タンパク質加水分解産物を提供する限外濾過
− 1価イオン及び生物由来アミンを除去するための清澄UF透過液のナノフィルトレーション(NF)
− NF透過液及びUF濃縮液のそれぞれ、又はその組み合わせをスプレー乾燥、真空乾燥又はその他の乾燥方法により乾燥。
【0030】
次いで、得られた生物活性ペプチドを含む精製魚タンパク質加水分解物の清澄濃縮混合物は、魚粉廃液から除去されている場合には、油及びタンパク質と再度組み合わせることができるし、或いはミルクタンパク質の有意のレベルを含まない乳清の限外濾過透過液、又はミルク及びミルク製品と混合することができる。この後者の製品は動物飼料に使用することができる。精製魚タンパク質加水分解産物はまた魚処理副産物の酸性混合物の酵素分解によっても調製することができ、同じ方法により処理することもできる。
【0031】
一態様において、これらの二つの製品は、飼料製品を形成するために、必要なタンパク質及び含水炭素原料の両者と組み合わせられる。乳清の限外濾過透過液中にラクトースが存在することは、若い離乳ブタにとってはエネルギー源として特に利点である。UFにより処理された魚タンパク質加水分解物又は魚粉廃液UF透過液の添加は、必須(特にリジン)及び非必須アミノ酸のすべてを供給する。必須アミノ酸の全て、微量元素及びミネラルもまた存在する。それぞれに成長と栄養を助ける特定の役割があり、本製品に混合されている。ナノフィルトレーション(NF)の段階を使用しないこれらの製品の通常の製造においては、高レベルの塩化ナトリウムの存在、加えてヒスタミン及びその誘導物である、プトレッシン及びカダベリンを生成するタンパク質の細菌性分解物が、若いブタ及び他の動物の飼育に対する受け入れや添加を低いレベルに制限する可能性がある。
【0032】
本発明による加水分解魚タンパク質は、多様な製品の成分として広く使用することができる。好ましくは、加水分解魚タンパク質は、特にブタ及びウシ(乳牛)種の飼料製品として意図されているが、魚食が伝統的(毛皮生産用のミンク及びキツネ)である場合には全てのタイプの動物を飼育することができ、飼い猫及びイヌのような動物種並びにヒトにおいても同様に利点がある。
【0033】
本発明は、濾過の新しい方法に基づいて高品質の製品を製造することにより、高レベルの塩、並びに生物由来アミン及びアミノ酸の酵素的及び微生物分解によるその他の産物の問題を実質上取り除く。水と溶質(solute)の除去後にUF及びNF系から再度組み合わせたホールミールでは、LTレベルの品質に適合しうる魚ミール製品が製造されることを意味する。次いで、ミルクタンパク質透過液中に含まれるミルクの糖と組み合わされるNF濃縮物を製造するためにこの工程を使用すると、香りを改善し、加水分解タンパク質から作られるペプトンに伴う苦味をマスクするのに役立つことができる。
【0034】
タンパク質加水分解物は高レベルの塩化ナトリウムを含有する。タンパク質の細菌による分解はヒスタミン及びその誘導体であるプトレッシン及びカダベリンを創出し、これらは毒性がある。本発明は、魚タンパク質加水分解物或いは限外濾過により処理した魚粉廃液透過液にナノフィルトレーション(NF)膜を使用することにより、これらの好ましくない化合物を有意に除去することにも関係する。そうすることにより、UF透過液はNFにより4〜5倍のレベルに濃縮され、類似の比率の好ましくない溶質を含有する水を80%まで除去する。これにより、標準的な蒸発のコストの50%までの有意なエネルギーの節約を生じる。
【0035】
本発明による加水分解海洋タンパク質産物及び飼料製品のその他の有意な利点は、従来の動物飼料に比較して1価イオンの量が減少していることである。過剰の1価イオン(塩)の摂取は水の摂取を増加させ、充分な水がないと動物、特に若い動物に重大な害を与えることが知られている。毒性症状は摂食の欠如、バランスの欠如、異常行動であり、そして最終的に死亡する(障害は典型的に脳に認められる)。本発明によるナノフィルトレーションの使用による1価イオンの減少及びミネラル含量の低下はミネラルプロフィールを改善する。したがって、ナノフィルトレーションはそのような障害からの若い動物の保護を提供し、重要な2価化合物を保持する。さらに、清澄化タンパク質加水分解物にナノフィルトレーションを使用することにより、微生物による分解の結果として―しばしば粗雑な処理、経年及び現地で加工されなかったことの結果として副産物中に通常存在する微生物―存在する可能性があるカダベリン、プトレッシン、ヒスタミン及びその他の好ましくないアミンのようなアミン群の量が有意に減少することが明らかになった。よくある原因菌はClostridium,Salmonella,Proteus及びEscherichia Coliであり、汚染はサイレージの酸性化の前に生じる。餌の中の過剰なヒスタミンによる毛皮動物における症状は下痢、餌摂取の減少、認められるヒスチジンのレベルに正比例する餌摂取に比例する獲得体重の減少、嘔吐及び胃拡張である。(Nutrient requirements of Mink and Foxes 1982 National Academy Press).
【0036】
これらの問題は本発明により今回解決された。本発明により、より良い加工方法が提供される。本発明は、大容量(一工場において1日当たり平均1百万リットルの液体)を処理することによりコスト削減、効率の良い設計、より回復力のある膜の技術及び建設を達成する、酪農加工工業での進歩において開発された技術を使用する。使用される膜は、油と水を分離するために使用されてきたものと類似している。さらに、高い塩含量環境において使用されていて、脂肪や油による汚れに対する抵抗性がより強く、著しくより疎水性であり、これらの処理に使用した場合に魚粉廃液の低いpH及び高温に対する機械的防御性がより良い、特別な膜材料が使用される。より良い膜の選択及び流れと圧の状態を最適化するための装置の設計は、生物活性ペプチドを含有する海洋タンパク質加水分解物又は魚粉廃液フラクションの大規模なより費用効率の良い加工を可能にする。
【0037】
より伝統的には、魚加工の副産物は切り身を取った後の残骸と共にサイレージに作られ、内臓及び骨は全てサイレージの低いグレードの魚ミールを作るために使用されていた。シシャモ及びニシンのように丸ごとの魚も使用される。サイレージ用の標準的工程は副産物を集めて、鉱酸又は有機酸でpHを4.0より低くすることである。これにより細菌の増殖を防ぎ、そしてタンパク質を部分的に加水分解する。
低いpHにおいて働くことができるタンパク分解酵素の添加は加水分解をさらに促進し、ペプチド、油、スラリー、骨及びうろこの混合物を生じる。時には、これはホモジナイズされて均一な混合物を形成する。油と水を分離するために遠心分離が使用される。丸ごとの魚及び/又は調理され滅菌されたサイレージを混合して魚ミールは製造される。得られた水性液状副産物は蒸発され、そして濃縮物はサイレージに再び添加される。これらの製品はしばしば悪臭を発する高レベルのヒスタミン及びその誘導体を含有する。
【0038】
本発明の方法により提供される加水分解タンパク質は医薬品産業において増殖培地としての使用にも適する可能性がある。
【0039】
管理された条件下、海洋タンパク質加水分解物を高レベルの炭水化物を含有するミルクUF透過液と混合し、加水分解の程度を管理し、直接加工の現場で、また船上で新鮮産品を使用し、次いで中央処理操作で膜技術を使用することにより、この発明の方法は生産者が強化飼料を作ることを可能にするであろう。この飼料は飼育の成績(成長、エネルギー、体重増加、健康)を向上させるであろう。この新しい方法は、ヒスタミン及びその他の動物由来のアミンのレベルが不良品の閾値より低いことを確実にするであろう。ホールミール及びサイレージから製造された餌の総合的品質もまた有意に向上するであろう。
【0040】
本発明により、魚粉廃液又はサイレージから由来する清澄化海洋タンパク質加水分解物の組み合わせ、及びミルクタンパク質UF透過液との混合により調製された動物飼料が提供される。この新規動物物飼料のさらに一つの利点は、本来遺伝子組換え生物(GMO)を全く含まないことである。非GMO大豆及び他の植物原料が得難かったために、GMOに基づく動物飼料はこの数年に亘って広く使用されてきた。
【0041】
本発明のその他の特徴及び利点は、以下の本発明の詳細な説明により明らかになるであろう。
【0042】
発明の詳細な説明
本発明の目的は以下を提供することである
− ヒト、動物及び培養にとって有益な費用効果が改善された新健康製品
− 酵素反応を調節することにより加水分解物の香りを改善すること
− 改善された組成物(高い栄養価、より良い品質、少ない1価イオン、少ない生物由来アミン化合物を有する消化し易いタンパク質)を製造すること
− 水及び好ましくない溶質を除いて成分を組み合わせた場合に総合的品質を改善することにより丸ごとの魚及び/又はサイレージから作られる魚ミールに対する価値を付加すること
− NF濾液中に含有される水及び好ましくない溶質を除去しながらペプチドを濃縮することによりエネルギーコストを削減すること
− 改善された機械的強度を有し、中空線維又はチューブ状又は他のセラミックにより従来得られていたよりは低いユニットコスト及び製造コストであり、50℃を超え90℃までの操作温度において1から14のpH範囲で有意な利点がある、高密度セラミック限外濾過膜を使用する新しい限外濾過法
− ミネラルバランスを改善するために1価イオンを選択的に除去し、生物由来アミン化合物を含む好ましくないNPNを除去する新しいナノフィルトレーション
− より味の良い、純粋な魚タンパク質加水分解物を製造し、魚粉廃液に使用した場合に味及び純度に関して高品質の混合餌製品を製造するこれらの限外濾過及びナノフィルトレーション工程の組み合わせ
− 高いエネルギー源と共に改善された栄養価を提供する高品質魚タンパク質及びミルクタンパク質UF透過液の混合。
【0043】
通常の生産経路及び本新発明の経路の模式図を図1に示す。
【0044】
本発明の一態様において、1価イオン、生物由来アミン及びその他の残りの産物のレベルは、UF及びNFのステップの組合せにより減少し、そのレベルは原液の少なくとも40%に減少する。さらに揮発性の可溶性有機化合物は取り除かれ、臭いの減少及び味が改善された製品を生じる。
【0045】
本発明によると、加水分解海洋タンパク質は、魚飼料加工からの魚サイレージ、魚副産物及び魚粉廃液を含むいずれかの魚資源から、或いはカニ、甲殻類、サイレージ、副産物及び魚粉廃液及び加工の調理液又はそれらのいずれかの組合せを含む水性動物種資源から得ることができる。
【0046】
さらに本発明は、以下のステップを含む加水分解海洋タンパク質産物の製造方法に関係する:
− 魚及び/又は他の海洋水産業/資源からの副産物をホモジナイズし、
− 該タンパク質の制御された加水分解及び/又は海洋粗原料の加工により生じた魚粉廃液の分離をし、
− 限外濾過をして、清澄化海洋タンパク質加水分解物を提供し、
− 透明UF透過液をナノフィルトレーションして、1価イオン及び生物由来アミンを除去し、
− スプレー、真空乾燥又はいずれかの形態の乾燥によりNF濾液及びUF濃縮液のそれぞれ又は混合物を乾燥する。
【0047】
限外濾過は好ましくは高密度セラミック膜によって行うことができる。ナノフィルトレーションは好ましくは高選択性膜によって行うことができる。
【0048】
本発明の一態様において、限外濾過及びナノフィルトレーションのステップは魚粉廃液及び料理液に対して60℃より高い温度で操作することができる。
【0049】
本発明のその他の態様は、加水分解海洋タンパク質産物並びにいずれかの炭水化物源、ビタミン、油、脂肪及び微量元素を含む飼料製品である。
【0050】
ヒト及び動物、特に若いブタ、乳牛、ミンク、キツネ、家庭のペット及び他の種にとってバランス食が必要な場合に、この飼料製品(又は食品)は好ましくは使用される。これは有益な魚タンパク質と、低レベルの1価イオン及び生物由来のアミンと、いずれかの資源、好ましくはミルク加工の副産物由来の炭水化物を含有する高品質の飼料(又は食品)を提供する本発明により達成される。
【0051】
本発明のその他の態様は微生物の栄養物であり、加水分解海洋タンパク質産物は培地への添加物として使用される。
【0052】
その他の態様は、NF及びUF水除去工程により余剰のエネルギーを船に利用可能とすることであり、それによりコストを削減し、また船の操業期間及び半径を増加させる。
【0053】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、これは発明の範囲を限定することを意図していない。
【実施例】
【0054】
材料と方法
限外濾過(UF)及びナノフィルトレーション(NF)工程
本発明の加水分解海洋タンパク質産物の出発原料は、魚、魚の副産物、魚サイレージ及び魚粉加工からの魚粉廃液のような海洋タンパク質源であり得る。工程を説明するために、魚粉廃液及びサイレージを使用する。
【0055】
80℃の魚粉廃液は、油、タンパク質、塩、アミン及び水を含有する。最初のステップはこの分野における任意の適当な分離技術により油を除去することである。油の分離後、UFが使用してタンパク質及び分離後に残存する油を、加水分解タンパク質アミン及び塩から分離する。保持物、すなわち濃縮されたタンパク質及び油は、ゼラチン状タンパク質を含み、結合性を改善するためにミールに戻すことができる。
【0056】
透過液、すなわち、UF膜を通りNFに送入される液体は、塩、アミン及び水を含有する。透過液中のアミンの一部は好ましい、すなわち、ペプチド及びペプトンである。生体由来アミンのような他のものは好ましくない。生体由来アミンの含量はNF膜により減らされる。これらの低分子量の化合物は膜を通り抜ける。より大きな好ましいアミンはNF保持液中に残る。塩の除去も製品の品質を改善するのに有益である。NFは、水、非常に小さなアミン及び塩を通過させる。塩などが濾過物として除去される時に大部分の水は失われるので、NFの使用はまたこれらのペプトンを濃縮する。
【0057】
ペプトンが魚粉廃液から製造された場合には、それをミールに再び添加する。ペプトンがサイレージから製造された場合には、それを分離し、魚タンパク質濃縮物(FPC)として販売することができる。この場合にUF保持物は酵素製品として使用することができるか、又はミールに加えることができる。
【0058】
パート1−UF膜の操作条件の決定
実験は孔径0.01ミクロンのCorning Ceramicエレメントを装着したSeparaTech CMFパイロットプラントを使用して行った。
【0059】
セラミック膜の試験プロトコールの構築に際して、一連の初期試験が種々の透過流量において行われる。この実験により最も適する膜表面を透過する流量及び生じる圧低下(pressure drop)を決定することができる。Corning膜は独特の一枚岩構造の故に選択された。他の全てのセラミック膜システムと異なり、この膜は種々の流れの条件に対してフィルターを通る圧力変化を非常に均一にする容器を充たす。これによりタンパク質、油及びペプトンを分離する最適のパラメーターの選択が可能であった。
【0060】
膜間差圧、TMPは膜の片側と他の側の間の圧力差の平均として定義される。これは以下のように算出される

【0061】
これは製品に対して最も良い操作条件を決定するために一連の種々の流速について計算される。圧低下P1−P2は所与の流速に対して一定である。P1及びP3は最良のそして最も調和した透過液流速を与えるように調節される。750,850,950及び1050リットル/分(lpm)の流速において4回の実験が行われた。その結果は図2,3,4及び5にそれぞれ示す。膜のメーカーは4バールの最大TMP及び1150 lpmまでの流速を推奨している。
【0062】
得られた結果から、最も調和した透過流は750から850 lpmの間の流速において得られることが確認された。平均の透過流は850 lpmより高かったので、タンパク質からペプトン及び塩の分離を評価するために選択された流速であった。総ての試験について温度は50℃であった。
【0063】
パート2−生産試験
同じ膜を横切る再還流流速850 lpmを使用して3回の異なる試験を実施した。
【0064】
パート2.1―低い注入口圧
1回目の試験は2バール(低圧)の注入口圧で行われ、測定は、温度変化に対して較正した透過液流量、濃縮が起こり透過速度が減少するにつれダイアフィルトレーションで増加するバッチ容積、及び濃縮率を記録した。
【表1】


略記:
圧低下はP1及びP2の間の差
TMP−膜間差圧
Perm lpm−lpmでの透過液の流速
Perm Corr−温度に対して較正した透過液流速
Conc lpm−バッチタンクへの濃縮液流速
Recirc lpm−濃縮液再循環流速 lpm
Permeate volume lts−得られた透過液の合計容積(リットル)
Totals of perm and conc−透過液及び加えられたダイアフィルトレーション水の合計容積
【0065】
パート2.2−高い注入口圧
2バールにおける最初の試験の後、透過流に対する影響及び実施の範囲を決定するために高いベースライン圧力で第2の試験が行われた。表2に要約されたその結果は、より低いベースライン圧は低い流束を生じるが、4バールのベースライン(推進圧力)が使用される場合には、流束の減少の率はより高く、カーブの勾配はより急になる。
【表2】


略記:表1と同じ。
【0066】
パート2.3−高い固体含量
最後に、原料液流における変動を試験するために、高い乾燥物質含量の魚粉廃液を使用して、システムに対していかなる影響を与えるかをみた。結果を表3に要約する。経時的に濃度は非常に低くなり、それにつれ流束が低くなった。
【表3】


略記:表1と同じ。
【0067】
表1,2及び3の結果を図6にプロットして、経時的流束及び濃度比の減少を示した。図は、より高い圧力で透過する流束において一層急速な減少があることを示している。ゼラチン様タンパク質、リン脂質及び油の濃縮に対する能力を決定するために、UFシステムを2つの異なる圧力で異なる供給固型物を用いて運転した。UF膜の透過液は、膜(<50,000分子量カットオフ)を通過し得る程充分に小さなペプチド、ペプトン、アミノ酸及び塩のような低分子量の化合物のみを含有する。したがって、魚粉廃液中の固体が4%である場合に、最良の分離を得るためには、できるだけ低い圧においてシステムを操作することが良い。
【0068】
パート2.4 80℃における魚粉廃液の限外濾過―標準的生産原料の連続バッチ
最適膜操作圧及び最適通過流速を決定した後に、連続バッチ製造試験が80℃において行われた。その結果は以下の通り。
【表4】


略記:
TS−総容積の%として示した総溶解固体
Flux−リットル/m/時間として示した膜を通過する浸透液の流速
【0069】
表4及び図10に示された結果は、油を分離した後の魚粉廃液は4%TS乾燥物を含有することを示している。物質収支の計算は図10に示されている。UFによる濃縮の後、5×容積の濃縮を受けた濃縮液中の乾燥物質は約11%である。透過液の乾燥物含量は約2.0%であり、灰分の80%及び好ましくないアミンを含む。保持液の固形の増加は粘度に影響する。5×濃縮以上では、流れを維持するために非常に高い推進圧が必要であった。流束(flux)は継続的に膜を横切ったが、これを維持するためにより高い推進圧が必要であった。これは自動的にポンプモーターに周波数インバーターを使用して調節した。
【0070】
種々の時点において検体を採取し、その乾燥物を分析した。その結果は物質収支に外挿された。図10を参照。全ての透過液は集められ、連続UF膜設備により生産される透過液と同じである均一な混合物を提供した。次いでこれは、存在する好ましくないアミン及び1価イオン(塩)を分離するためにナノフィルトレーションシステムに投入された。次いで、NFからの濃縮物をUF濃縮物と混合して、好ましくないアミン及び塩を殆んど含まない「ホールミール」魚粉廃液製品を生産した。
【0071】
パート2.5−UF透過液のナノフィルトレーション
NF膜は1.14mの面積を持つPTI社TFC(複合薄膜Thin Film Composite)スパイラル型モデルであった。
【0072】
25バールの操作圧を使用した。膜通過の圧力低下は、メーカー推奨に一致する0.7バールであった。これは膜容器中への22 lpmの流速に相当した。
【0073】
透過液流速が記録され、保持液容積及び乾燥物の測定が行われた。これらの値を使用して、当該保持液中で達成される容積濃縮係数及び最終的乾燥物を計算した。透過液の乾燥物も屈折計により測定され、検体を採取して、除去された塩の量を分析し、非タンパク質性窒素及び塩の消失を測定した。NPN(非タンパク性窒素)及びタンパク質については、総窒素を測定するために標準的なキエルダール法が使用された。塩の分析は、標準的な硝酸銀滴定法を使用して行われた。保持液中の好ましくないアミンのレベルは、魚粉の品質及び漁業におけるその格付けの決定のための標準的方法であるHPLCを使用して測定した。
【0074】
その結果は表5に示され、そして複合工程の後の各成分の比率を示すために理論的物質収支を作成した。図10参照。
【0075】
UF及びNF工程のその他の利点は、透過液は希釈され、保持液は濃縮されるということである。この結果、70%を超える水が蒸発前に除去され(図10参照)、エネルギーのコストが大幅に節約される。使用する魚のタイプによって魚粉廃液が非常にゼラチン状であるような場合には、蒸発は省かれ、フィルタープレスを使用して少し多くの水が除去される。
【0076】
これにより複合UF及びNFシステムの使用者に大幅な経済的利益が創り出され、エネルギーのコストが削減される。
【表5】

【0077】
これらの結果により、希釈されたUF透過液はナノフィルトレーション膜システムを使用して10倍まで濃縮することができることが確認された。
【0078】
10倍のVCRに濃縮することにより、UF透過液中に存在する1価イオン及び好ましくないアミンの90%の除去が達成される。UFとNFの複合使用により水の除去は72%であり、乾燥物の減少は31%である。総固体18.5%TSゼラチン状物質、室温で固体、80℃で液体。

NH3/VN 塩
魚粉廃液 28.36% 1.80%
透過液 22.49% 1.33%
濃縮液 30.31% 1.60%

略記
NH3/VN−アンモニア又は総揮発性窒素(VN)として含有される窒素
塩−硝酸銀沈殿法を使用して測定された塩化ナトリウム
【0079】
容積濃縮係数は10×であったので、物質収支は水の90%除去を示し、この水は、塩の66.5%及びNH3/VNの71.4%を含有する。
【0080】
透過液はまたペプトン及びペプチドフラクションも含有した。透過液が含有する総溶解固形物は2.0%TSであった。
【0081】
ペプトンに対するUFシステム及びNFの選択的使用は異なる結果を生じる。現在の技術では、酵素及び酸加水分解により生産されたペプトンを清澄化するためのUF膜使用が存在する。ナノフィルトレーションを使用することにより、1価イオン、及び通常はサイレージ用の原料として古い又は分解した魚廃棄物を使用した結果として存在する好ましくないアミンの除去により、これをさらに改善することができる。上記の技術を適用せずに、これをミールに変換するならば、製品は低品質となる。
【0082】
魚廃棄物が加水分解された場合に、典型的なUFへの送入濃度は約12%TSであり、得られる透過液は約8%乾燥物を含む。
ペプトンの静水学的性質及び高い浸透圧(水を除くために必要な圧力)のために30バールでNFを操作し、50%の水の除去の後にダイアフィルトレーションを使用して、必要な濃度を得、塩とアミンを除去する必要がある。使用されるダイアフィルトレーション比は、1000リットルが500に減少し、次いで容積を1000リットルにするために500リットルの水を加える。この容積は、減少した塩及びアミンを含む目的の産物を得ることができる限り減らされた。得られた結果は、8×の濃縮係数の領域であり、塩とアミンの87%の除去を生じた。
【表6】


容積濃縮比が3.0のときにダイアフィルトレーション水が加えられた。
【0083】
この結果により、このシステムは高品質サイレージ又は魚廃棄物から作られた清澄化ペプトンの製造にも使用できることが確認された。
【0084】
この結果は、従来のUF及びNFを使用しない方法により達成されるレベルに比較してアミン及び塩(1価イオン)のレベルを減少させるために、調理、酸、酵素作用又はこれらのいずれかの組合せにより加水分解された海洋たんぱく質を、UF次いでNFを使用して、処理することができることを示している。
【0085】
これらの結果を達成するために、温度は最低50℃、そして理想的には80℃を使用しなければならない。低温では、タンパク質、特に一部の種類の魚のタンパク質の高い粘度のために流束が低すぎる。
【0086】
アミン及び1価イオンは原液中の最初の量の約30%に減少する。70%以上が除去される。
【0087】
複合工程は、水が既に除去されているため蒸発のエネルギーの使用を減少させる油とタンパク質(UF)及びペプトン(NF)の濃縮を生じる。濃度が充分高いか或いはタンパク質が十分にゼラチン性である一部の場合には蒸発は不必要になる。これにより高度のエネルギー削減を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明による加水分解タンパク質産物の製造が通常の工業的工程とどのように異なるかを示すフローチャートである。
【図2】750 lpmの流速における経膜圧力を示す曲線である。
【図3】850 lpmの流速における経膜圧力を示す曲線である。
【図4】950 lpmの流速における経膜圧力を示す曲線である。
【図5】1050 lpmの流速における経膜圧力を示す曲線である。
【図6】異なる稼動圧及び送入固体に対する経時的UF濾過を示すグラフである。
【図7】80℃における魚粉廃液の残留濃度に対する流出曲線を示すグラフである。
【図8】残留容積濃度比(VCR)に対する流出速度の減少を示すグラフである。
【図9】魚サイレージの酵素加水分解及び限外濾過(濾液)により製造されたペプトンのNF膜による濃縮を示すグラフである。
【図10】UF及びNFの組合せによる塩及び生物由来アミンの除去を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減少したレベルの1価イオン及び生物由来アミン群(NPN)と、酵素的、調理、酸及び微生物分解又はそれらのいずれかの組合せによるその他の産物を含む加水分解海洋タンパク質産物。
【請求項2】
前記1価イオン及び生物由来アミンのレベルが、UFとNFのステップの組合せにより減少させられる請求項1に記載の産物。
【請求項3】
前記海洋タンパク質が魚サイレージ、魚副産物及び魚ミール加工からの魚粉廃液を含むいずれかの魚資源から得られる請求項1に記載の産物。
【請求項4】
前記海洋タンパク質が、カニ、甲殻類、サイレージ、副産物及び魚粉廃液及び加工の調理液、又はこれらのいずれかの組合せから得られる請求項1に記載の産物。
【請求項5】
前記生物由来アミン及び1価イオンのレベルが原液の少なくとも40%に減少されている請求項2に記載の産物。
【請求項6】
揮発性可溶性有機化合物が除去されて臭いが減少されている請求項2に記載の産物。
【請求項7】
魚及び/又は他の海産業/資源の副産物をホモジネートし、
該タンパク質の制御された加水分解及び/又は海洋原料の処理から生じた魚粉廃液の分離を行い、
限外濾過して、清澄化海洋タンパク質加水分解産物を提供し、
清澄UF透過液をナノフィルトレーションして、1価イオン及び生物由来アミン並びに水を除去し、
スプレー乾燥、真空乾燥又はその他の乾燥方法のそれぞれ又はその組み合わせによる該NF透過液及びUF濃縮液の乾燥を行うステップを含む、加水分解海洋タンパク質産物の製造方法。
【請求項8】
前記限外濾過が、高密度セラミック膜を使用することにより行われる請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノフィルトレーションが、高選択性膜を使用することにより行われる請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記UF及びNFの水除去工程が余剰のエネルギーを船に利用することを可能にしてコストを削減し、船の操業期間及び行動範囲を増加させる請求項7に記載の方法。
【請求項11】
水の蒸発及びエネルギーの必要を実質的に減少させる請求項7に記載の方法。
【請求項12】
該限外濾過及びナノフィルトレーションを60℃より高い温度で魚粉廃液及び/又は調理液に適用することができる請求項7に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の産物と、炭水化物資源、ビタミン、油、脂肪及び微量元素のいずれかとを含む飼料産物。
【請求項14】
前記炭水化物資源が乳清から得られる請求項13に記載の飼料産物。
【請求項15】
魚タンパク質が有益であり高品質特に、1価イオン及び生物由来アミンが少ない製品が必要であり、若いブタ、乳牛、ミンク、キツネ、家庭のペット及び他の動物種に対するバランスの取れた餌を必要とする場合に、炭水化物をミルク加工の副産物から得ることができる請求項13に記載の飼料産物。
【請求項16】
培地の添加物として請求項1に記載の前記製品の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−500040(P2008−500040A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514960(P2007−514960)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/NO2005/000172
【国際公開番号】WO2005/115176
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(506392768)ノルケープ バイオテクノロジー エーエス (1)
【Fターム(参考)】