説明

消炎鎮痛外用剤

【課題】非ステロイド系消炎鎮痛剤の有する消炎・鎮痛効果を効果的に発揮させ、貼付部位における皮膚刺激を緩和させると共に、慢性関節リウマチや変形性関節症、更には腰痛症等の炎症を伴う痛みに対して優れた効果を有する外用剤を提供すること。
【解決手段】非ステロイド系消炎鎮痛剤及びオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有してなることを特徴とする外用剤であり、非ステロイド系消炎鎮痛剤の含有量が、製剤全重量に対して0.1〜10重量%、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が、製剤全重量に対して0.01〜60重量%である外用剤としての製剤形態が、軟膏剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤又は外用散剤の製剤形態である外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消炎鎮痛剤に関し、詳細には、薬効成分として非ステロイド系消炎鎮痛剤及び局所麻酔剤であるオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有してなる、消炎・鎮痛効果が著しく改善された外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、副作用の多いステロイド系消炎鎮痛剤に代わり、多くの非ステロイド系消炎鎮痛剤が開発され、臨床的に使用されてきている。
これらの非ステロイド系消炎鎮痛剤は、優れた消炎・鎮痛効果を発揮するものの、経口投与によっては胃腸障害の副作用が強く、したがって、副作用を軽減した投与経路としての経皮吸収製剤が検討され、非ステロイド系消炎鎮痛剤を含有する外用剤として、例えば軟膏剤、硬膏剤(スチック剤)、パップ剤、テープ剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤等の液剤、エアゾール剤等の開発が進められ、既に幾つかの製剤が臨床的に使用されるに至っている。
【0003】
しかしながら、一般的に非ステロイド系消炎鎮痛剤の経皮吸収性はそれほど高いものではなく、外用剤として投与した場合には、経口投与に比較してその効果が低下する傾向にある。
そこでこの経皮吸収性を向上されるため種々の検討がなされており、例えば、製剤中への有効成分である非ステロイド系消炎鎮痛剤の含有量を高めたり、経皮吸収促進剤を配合したりする工夫がなされている。
【0004】
最近に至り、その検討の一つとして非ステロイド系消炎鎮痛剤に局所麻酔剤を添加して経皮吸収性等の向上を図る提案がなされている(特許文献1〜6)。
例えば、特許文献1には、非ステロイド系消炎鎮痛剤である例えば、インドメタシン、ケトプロフェン等と共に局所麻酔剤であるリドカイン又はベンゾカイン等を配合した外用貼付剤が提案されており、特に慢性関節リウマチや変形性関節症、腰痛症等の炎症を伴う痛みの鎮痛効果に優れた外用貼付剤であるとされている。
【0005】
また、特許文献2には、ジクロフェナックナトリウムと局所麻酔剤であるリドカイン又はベンゾカイン等を配合した外用剤が提案されており、特許文献3には、ピロキシカムと共にリドカインを配合した外用剤が、更に、特許文献4〜6には、非ステロイド系消炎鎮痛剤である例えば、インドメタシン、ジクロフェナック等と共に局所麻酔剤であるリドカイン又はテトラカイン等を配合した外用貼付剤が提案されている。
【0006】
上記で提案されている外用剤は、例えば、非ステロイド系消炎鎮痛剤の皮膚刺激性を軽減させること、或いは組織中での薬物の浸透性や拡散性の向上を目的とするものであり、非ステロイド系消炎鎮痛剤の有する消炎・鎮痛効果を効果的に発揮する外用剤であるとされている。
【特許文献1】国際公開WO 01/47559号
【特許文献2】特開2003−335663号公報
【特許文献3】特開2004−123632号公報
【特許文献4】特開2004−323502号公報
【特許文献5】特開2005−068035号公報
【特許文献6】特開2005−145932号公報
【0007】
しかしながら、実際の皮膚適用を考えた場合には、これらの外用剤にあっては非ステロイド系消炎鎮痛剤の有する消炎・鎮痛効果はそれほど高いものではなく、更なる改良が求められているのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者等は、かかる現状を鑑み、非ステロイド系消炎鎮痛剤の有する消炎・鎮痛効果を効果的に発揮させ、貼付部位における皮膚刺激を緩和させると共に、慢性関節リウマチや変形性関節症、更には腰痛症等の炎症を伴う痛みに対して優れた効果を有する外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するべく本発明者等は鋭意検討を行い、これまで提案されている非ステロイド系消炎鎮痛剤と局所麻酔剤を配合した外用剤において、特に局所麻酔剤の配合効果を検討した結果、局所麻酔剤のなかでもオキシブプロカインを非ステロイド系消炎鎮痛剤と併用した場合、非ステロイド系消炎鎮痛剤の有する鎮痛、消炎効果を効果的に向上させる作用があることを見出した。
【0010】
すなわち、局所麻酔剤であるオキシブプロカインを非ステロイド系消炎鎮痛剤と共に含有する鎮痛・鎮痒用外用剤を調製し、この製剤を、痛みを伴う皮膚患部、或いは炎症と痛みを伴うに皮膚患部に適用したところ、皮膚刺激性が緩和されると共に、局所麻酔薬であるオキシブプロカインの鎮痛作用と相俟って、極めて高い鎮痛・消炎効果が認められることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】
したがって本発明は、その基本的態様として、薬効成分として、非ステロイド系消炎鎮痛剤及びオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有してなることを特徴とする外用剤である。
【0012】
具体的には、本発明は、非ステロイド系消炎鎮痛剤の含有量が、薬物含有製剤全重量に対して0.1〜10重量%である外用剤であり、また、オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が、薬物含有製剤全重量に対して0.01〜60重量%である外用剤である。
【0013】
更に具体的には、本発明は、非ステロイド系消炎鎮痛剤1重量部に対してオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を0.1〜10重量部含有したことを特徴とする外用剤である。
【0014】
また本発明は、具体的には、配合する非ステロイド系消炎鎮痛剤が、インドメタシン、ケトプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ブフェキサマク、スプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナック、イブプロフェン及びこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるものである外用剤である。
【0015】
また本発明は、外用剤としての製剤形態が、軟膏剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤又は外用散剤の製剤形態である上記の外用剤である。
【0016】
そのなかでも、本発明の最も好ましい態様の一つとしては、有効成分として、非ステロイド系消炎鎮痛剤であるフェルビナクと共にオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有するパップ剤、或いはテープ剤の形態にある外用剤である。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、非ステロイド系消炎鎮痛剤の有する消炎・鎮痛効果を効果的に発揮させ、貼付部位における皮膚刺激を緩和させると共に、炎症を伴う痛みに対して優れた効果を有する外用剤が提供される。
また本発明が提供する外用剤は、経皮吸収性に優れると共に、生体内移行後の組織中への有効成分の浸透性並びに拡散性に優れたものである。したがって、本発明により、オキシブプロカインの作用と相俟って、皮膚の様々な痛み及び痒みに対して十分な治療効果を有し、副作用の非常に少ない各種の剤型を有する外用剤が提供され、その医療上の価値は多大なものである。
【0018】
すなわち、本発明の消炎鎮痛外用剤は、例えば慢性関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症等の慢性疼痛、肩関節周囲炎や腱蛸炎等の炎症性疾患、手術や外傷等による疼痛等の痛みを伴う疾患のみならず、アトピー性皮膚炎、湿疹、接触性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、蕁麻疹、小児ストロフルス、虫刺傷、皮膚掻痒症、尿毒症、慢性腎不全等の代謝性疾患、糖尿病等の内分泌疾患等に伴う掻痒並びに切創、術後創、熱傷創等の皮膚創傷に伴う掻痒等の痒みを伴う疾患、又は神経因性疼痛に対しても、きわめて効果的なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、上記したようにその基本は、薬効成分として、非ステロイド系消炎鎮痛剤及びオキシブプロカインを含有してなることを特徴とする外用剤である。
有効成分として含有される非ステロイド系消炎鎮痛剤としては、インドメタシン、ケトプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ブフェキサマク、スプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナック、イブプロフェン及びこれらの薬理学的に許容される塩から選択される化合物が挙げられるが、これらに限定させるものではない。
また、これらの非ステロイド系消炎鎮痛剤は、1種のみでもよく、また2種以上を併用してもよい。
なかでも、非ステロイド系消炎鎮痛剤としてフェルビナクを選択することにより、極めて効果的な外用剤が提供されることが判明した。
【0020】
前記の非ステロイド系消炎鎮痛剤の含有量は、用いる非ステロイド系消炎鎮痛剤により、また目的とする外用剤の剤形により異なるが、薬物含有製剤全重量に対して好ましくは0.1〜10重量%、より好ましくは0.2〜5重量%である。
含有量が上記の範囲未満であると効果が不十分であるので好ましくなく、また上記の範囲を超えても、それ以上の効果は望めず、かえって副作用が発現する恐れがあり好ましくない。
【0021】
一方、これら非ステロイド系消炎鎮痛剤と共に配合されるオキシブプロカインは、局所麻酔剤として開発され、表面、浸潤、伝達麻酔作用を有し、主として眼科領域における表面麻酔等に使用されている薬物である。
本発明にあっては、このオキシブプロカインを非ステロイド系消炎鎮痛剤と共に配合することにより、オキシブプロカインの有する局所麻酔効果により適用部位における非ステロイド系消炎鎮痛剤の鎮痛効果が相乗的に高められ、また皮膚刺激性を緩和すると共に、外用剤製剤からの経皮吸収性が高められるものであることが判明した。
【0022】
オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量は、一緒に配合する非ステロイド系消炎鎮痛剤の種類により異なり、一概に限定できないが、好ましくは薬物含有製剤全重量に対して0.01〜60重量%、より好ましくは0.1〜30重量%である。
オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が上記の範囲未満であると併用効果が不十分であり、好ましいものではなく、また上記の範囲を超えると、製剤の物性に影響を与え、また、副作用が発現する恐れがあり好ましいものではない。
【0023】
また、本発明においては、上記の含有量の範囲内において、さらに、非ステロイド系消炎鎮痛剤1重量部に対してオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を0.1〜10重量部含有したものがより効果的なものであることが判明した。
【0024】
本発明が提供する外用剤としては、皮膚の疾患部表面に有効成分を直接投与できる剤形であれば特に限定されず、例えば軟膏剤、液剤(懸濁剤、乳剤、ローション剤等)、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤および外用散剤等の製剤に調製して用いることができる。
これらの製剤を調製するに際して、有効成分として含有する非ステロイド系消炎鎮痛剤並びにオキシブプロカイン以外に、通常の外用剤を調製するのに使用される各種配合成分を適宜選択して使用することが可能である。
【0025】
そのような成分としては、軟膏剤・クリーム剤・ゲル剤・ローション剤の場合にあっては、白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、サラシミツロウ、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、硬化油、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、スクワラン等の基剤;オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、植物油等の溶剤および溶解補助剤;トコフェロール誘導体、L−アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤等を挙げることができる。
更に、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0026】
また、パップ剤の場合にあっては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合体等の粘着付与剤;硫酸アルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、塩化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ジヒドロキシアルミニウムアセテート等の架橋剤;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;グリセリン、ポリエチレングリコール(マクロゴール)、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール類;ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤;l−メントール等の香料;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;精製水等を挙げることができる。
更に、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0027】
テープ剤の場合にあっては、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)やアクリル樹脂等の粘着剤;脂環族飽和炭化水素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂等の粘着付与樹脂;液状ゴム、流動パラフィン等の軟化剤;ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;プロピレングリコール等の多価アルコール;オレイン酸等の吸収促進剤;ポリオキシエチレン誘導体等の界面活性剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
また、ポリアクリル酸ナトリウムやポリビニルアルコールのような含水可能な高分子と少量の精製水を加えて含水テープ剤とすることもできる。
この場合にあっても、更に、所望により安定剤、保存剤、吸収促進剤、pH調整剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0028】
エアゾール剤の場合にあっては、軟膏剤・クリーム剤・ゲル剤・懸濁剤・乳剤・液剤およびローション剤等の調製に用いられる白色ワセリン、黄色ワセリン、ラノリン、サラシミツロウ、セタノール、ステアリルアルコール、ステアリン酸、硬化油、ゲル化炭化水素、ポリエチレングリコール、流動パラフィン、スクワラン等の基剤;オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸イソプロピル、トリイソオクタン酸グリセリン、クロタミトン、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシル、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪族アルコール、植物油等の溶剤および溶解補助剤;トコフェロール誘導体、L−アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;パラヒドロキシ安息香酸エステル等の防腐剤;グリセリン、プロピレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤;ポリオキシエチレン誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン等の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;さらに、各種安定剤、緩衝剤、矯味剤、懸濁化剤、乳化剤、芳香剤、保存剤、溶解補助剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0029】
外用散剤の場合にあっては、バレンショデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、タルク、酸化亜鉛等の賦形剤又はその他の適当な添加剤を配合することができる。
この場合にあっても、更に、所望により各種安定剤、保存剤、吸収促進剤、その他の適当な添加剤を配合することができる。
【0030】
本発明が提供する外用剤を調製する手段は特に限定されず、所望の剤形に応じて、各成分および必要に応じた基剤成分をよく混練する等の通常の外用剤を製造する方法を用いて製造される。
またパップ剤並びにテープ剤の調製にあっては、混練した混合物を剥離紙上に展延、乾燥し、さらに柔軟な支持体と貼り合わせ、所望の大きさに裁断することにより調製することができる。
【0031】
本発明が提供する外用剤は、例えば、軟膏剤、液剤(懸濁剤、乳剤、ローション剤等)、エアゾール剤および外用散剤の場合には、皮膚患部に塗布等により直接適用したり、或いは、布等の支持体に塗布又は含浸させて適用したりする等の通常の使用方法により用いられる。
また、パップ剤或いはテープ剤の場合には、これらの製剤を皮膚患部に直接貼付する方法により使用される。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例および試験例により本発明が提供する外用剤につき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0033】
実施例1:
下記表1に示す処方の薬物含有基剤を調製した。具体的には、フェルビナクはクロタミトンに溶解させ、オキシブプロカインはプロピレングリコールに溶解させ、両者を混合し、次いで、これら溶解物を表1に示す他の成分と均一になるまで練合し、薬物含有基剤を得た。かくして調製された薬物含有基剤を、不織布上に1000g/mで展延し、ポリプロピレン製のライナーを添着し、10×14cmになるように裁断して外用貼付剤を得た。
【0034】
【表1】

単位:重量部
【0035】
実施例2:
下記表2に示す処方の薬物含有基剤を調製した。具体的には、インドメタシンはクロタミトンに溶解させ、オキシブプロカインはプロピレングリコールに溶解させた。
次いで、これら溶解物を表2に示す他の成分と均一になるまで練合し、薬物含有基剤を得た。かくして調製された薬物含有基剤を、不織布上に1000g/mで展延し、ポリプロピレン製のライナーを添着し、10×14cmになるように裁断して外用貼付剤を得た。
【0036】
【表2】

単位:重量部
【0037】
実施例3:
下記表3に示す処方の薬物含有基剤を調製した。具体的には、ジクロフェナックナトリウムはN−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、オキシブプロカインはプロピレングリコールに溶解させた。
次いで、これら溶解物を表3に示す他の成分と均一になるまで練合し、薬物含有基剤を得た。かくして調製された薬物含有基剤を、不織布上に1000g/mで展延し、ポリプロピレン製のライナーを添着し、10×14cmになるように裁断して外用貼付剤を得た。
【0038】
【表3】

単位:重量部
【0039】
実施例4:
下記表4に示す処方に従って、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SISブロック共重合体)、水素添加ロジングリセリンエステル、流動パラフィン、ポリブテン、酸化防止剤等を加え、トルエンにて混合融解させ、この混合物にフェルビナク及びオキシブプロカインを投入混合し、よく混練し得られた混合物を剥離紙上に展延後、トルエンを乾燥し、柔軟な支持体と貼り合わせ、所望の大きさに裁断してテープ剤を得た。
【0040】
【表4】

単位:重量部
【0041】
比較例1:
実施例1において、オキシブプロカインの代わりに同量の精製水を配合し、同様の方法により外用貼付剤を得た。
【0042】
比較例2:
実施例1において、フェルビナクの代わりに同量の精製水を配合し、同様の方法により外用貼付剤を得た。
【0043】
比較例3:
実施例1において、フェルビナク及びオキシブプロカインの代わりに同量の精製水を配合し、同様の方法により外用貼付剤を得た。
【0044】
試験例:
実施例1及び比較例1〜3で得られた外用貼付剤を、それぞれ腰痛を有する男性ボランティア10名に患部に貼付し、官能試験を実施した。
投与時間は1日12時間とし、7日間行った。
試験終了後、ボランティアにその効果を「著効」、「有効」、「不変」、「悪化」の4段階で評価してもらった。
更に休薬1週間後に同様の試験を繰り返し、すべての貼付剤の評価が終了するまで行った。
その結果を下記表5に示した。
【0045】
【表5】

【0046】
上記した表中に示すように、有効成分として非ステロイド系消炎鎮痛剤であるフェルビナクとオキシブプロカインの両者を含有する本発明の外用貼付剤である実施例1の貼付剤は、その改善率(有効以上)は90%(9/10)であり、オキシブプロカインを併用しない比較例1の貼付剤における改善率90%(9/10)と同様であったが、著効の改善率において80%(8/10)と40%(4/10)と顕著な差異が認められ、本発明の有効性が理解される。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上記載のように、本発明により、非ステロイド系消炎鎮痛剤の有する消炎・鎮痛効果を効果的に発揮させ、貼付部位における皮膚刺激を緩和させると共に、慢性関節リウマチや変形性関節症、更には腰痛症等の炎症を伴う痛みに対して優れた効果を有する各種の剤型の外用剤が提供される。
本発明が提供する外用剤は、経皮吸収性に優れると共に、生体内移行後の組織中への有効成分の浸透性並びに拡散性に優れたものであり、副作用の非常に少ない外用剤であることから、その医療上の価値は多大なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬効成分として、非ステロイド系消炎鎮痛剤及びオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有してなることを特徴とする外用剤。
【請求項2】
非ステロイド系消炎鎮痛剤の含有量が、薬物含有製剤全重量に対して0.1〜10重量%である請求項1に記載の外用剤。
【請求項3】
オキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類の含有量が、薬物含有製剤全重量に対して0.01〜60重量%である請求項1に記載の外用剤。
【請求項4】
非ステロイド系消炎鎮痛剤1重量部に対してオキシブプロカインを0.1〜10重量部含有したことを特徴とする請求項1に記載の外用剤。
【請求項5】
非ステロイド系消炎鎮痛剤が、インドメタシン、ケトプロフェン、ピロキシカム、フェルビナク、ブフェキサマク、スプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナック、イブプロフェン及びこれらの薬理学的に許容される塩から選択されるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の外用剤。
【請求項6】
非ステロイド系消炎鎮痛剤が、フェルビナクである請求項1ないし4のいずれかに記載の外用剤。
【請求項7】
軟膏剤、液剤、懸濁剤、乳剤、ローション剤、パップ剤、テープ剤、エアゾール剤又は外用散剤の製剤形態である請求項1ないし6のいずれかに記載の外用剤。
【請求項8】
薬効成分として、フェルビナク及びオキシブプロカイン又は薬学的に許容される塩類を含有してなることを特徴とする請求項7に記載の外用剤。

【公開番号】特開2009−298741(P2009−298741A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156713(P2008−156713)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000215958)帝國製薬株式会社 (44)
【Fターム(参考)】