説明

消耗品交換時期予測システム

【課題】
消耗品等の利用状態に即した交換時期を少ないコストで予測できるようにした消耗品交換時期予測システムを提供する。
【解決手段】
センサー搭載画像形成装置10が搭載するセンサーを用いて検知した消耗品の使用量、摩耗量に基づく消耗品使用履歴情報と、画像形成処理における履歴情報である印刷履歴情報とを受信した消耗品情報管理サーバ20が、消耗品ごとの交換時期を予測する予測式を作成する。また、消耗品情報管理サーバ20がセンサー非搭載画像形成装置10から印刷履歴情報を受信すると、予測式に印刷履歴情報を適用して、この印刷履歴情報に基づく消耗品の交換時期を予測する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品交換時期予測システムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷処理を行う印刷装置やファクシミリ送受信を行うファクシミリ機器等の画像形成装置は、これらの処理に用いる印字材料やこの印刷材料を転写する転写装置に代表される消耗品が搭載されている。消耗品はその使用状態により適時交換が必要であり、その最適な交換時期を経過した場合の利用に際しては、画質の劣化、機能低下等による品質の低下のほか、処理が停止することとなってしまう。
【0003】
このため、従来より消耗品の最適な交換時期を予測する技術が公開されている。
【0004】
例えば、消耗品や交換部品の使用量を、その消耗品や交換部品の回転数、利用頻度、摩耗量等の情報を用いて算出、検出し、交換を必要とするこれらの情報からの差分により最適な交換時期を予測している。
【0005】
特許文献1に開示された従来技術では、顧客に配置された機器の情報を取得するとともに、機器の使用量情報及び品質情報を利用して、顧客支援を行うことを可能にしている。
【0006】
この特許文献1では、顧客に配置された機器が当該機器の使用量情報及び前記機器の品質を示す品質情報とを収集して記憶し、これらの情報をそのまま、又は加工して、顧客情報利用システムに配信する。そして、この顧客情報利用システムが、顧客支援センター11の記憶手段にアクセスし、この記憶手段に記憶されている使用量情報及び品質情報を任意に取得して、この使用量情報および品質情報に基づく前記機器の利用状況に基づいて顧客の支援を行っている。
【特許文献1】特開2001−250008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、計測器を搭載しない画像形成装置においても、計測器を搭載する画像形成装置における消耗品等の利用状態に即した交換時期を少ないコストで予測できるようにした消耗品交換時期予測システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、消耗品の使用状態を計測する計測器を搭載し、画像形成処理による前記消耗品の使用状態を前記計測器で計測する画像形成装置と、前記消耗品の使用状態を管理する管理装置とを備え、前記画像形成装置は、前記消耗品の交換までに前記計測器で計測した当該消耗品の使用状態に基づいて使用履歴情報を作成する使用履歴情報作成手段と、前記使用履歴作成手段により作成した使用履歴情報を前記管理装置に送信する送信手段とを具備し、前記管理装置は、前記送信手段により送信された前記使用履歴情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記使用履歴情報を用いて前記消耗品の交換事由に基づく当該消耗品の交換時期を予測する予測式を作成する予測式作成手段と、前記予測式作成手段で作成した予測式を用い、前記計測器を搭載しない他の画像形成装置の消耗品の使用履歴から当該消耗品の交換時期を予測する交換時期予測手段とを具備する。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記使用履歴情報作成手段は、前記消耗品ごとに前記使用履歴情報を作成し、前記予測式作成手段は、前記受信手段により受信した前記使用履歴情報に基づき消耗品ごとの前記予測式を作成し、前記交換時期予測手段は、前記消耗品ごとの予測式を用いて消耗品ごとに交換時期を予測する。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明において、前記管理装置は、前記受信手段により受信した前記使用履歴情報を記憶する記憶手段を更に具備し、前記予測式作成手段は、前記受信手段により使用履歴情報を受信すると、前記記憶手段で記憶する他の使用履歴情報をも用いて前記予測式を作成する。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれかの発明において、前記管理装置は、前記交換時期予測手段により予測された前記消耗品の交換時期を前記他の画像形成装置に通知する交換時期通知手段を更に具備し、前記他の画像形成装置は、前記交換時期通知手段により通知された交換時期を報知する報知手段を具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の請求項1によれば、計測器を搭載しない画像形成装置においても、計測器を搭載する画像形成装置における消耗品等の利用状態に即した交換時期を、本構成を有しない場合に比較して少ないコストで予測できるようになるという効果を奏する。
【0013】
また、請求項2によれば、画像形成装置で用いる各消耗品に対して交換時期を予測できるようになるという効果を奏する。
【0014】
また、請求項3によれば、消耗品の交換時期を、本構成を有しない場合に比較して、精度よく予測することができるようになるという効果を奏する。
【0015】
また、請求項4によれば、計測器を搭載しない画像形成装置においても、利用者に対して予測された交換時期の報知が可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係わる消耗品交換時期予測システムの一実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムを適用して構成したシステム構成図の一例である。
【0018】
図1において、本消耗品交換時期予測システムは、画像形成処理を行う画像形成装置のうち当該画像形成処理に用いる印刷材料および構成部材(以下、「消耗品」という)の使用量、摩耗量等を検知するセンサーを搭載するセンサー搭載画像形成装置(10−1、10−2、・・・10−n、10−m(以下、総称して「センサー搭載画像形成装置10」という))と、当該センサーを搭載しないセンサー非搭載画像形成装置(11−1、11−2、・・・11−n、11−m(以下、総称して「センサー非搭載画像形成装置11」という))を具備し、さらにセンサー非搭載画像形成装置11が装備する消耗品の最適な交換時期の予測処理を行う消耗品情報管理サーバ20を具備して構成される。
【0019】
上記のセンサー搭載画像形成装置10、センサー非搭載画像形成装置11では、画像形成処理に用いる感光体(ドラム)、インクやトナーなどの印刷材料、用紙搬送ローラ、転写ベルト等に代表される消耗品を装備し、これらの消耗品を使用することによって画像データの画像形成処理を行っている。
【0020】
センサー搭載画像形成装置10は、画像形成処理ごとに消耗品の使用量、摩耗量等を、搭載するセンサーによって検知し、センサーで検知した使用量、摩耗量等に基づく消耗品の使用履歴を示した「消耗品使用履歴情報」を収集する。
【0021】
このセンサーで検知する使用量や摩耗量は、例えば、消耗品が感光体の場合、厚み検出センサーを用いて感光体の表面薄膜の厚みを検出することにより当該感光体の摩耗量を検知する。また、消耗品がトナーの場合、残量監視センサーを用いてトナーの残量により当該トナーの使用量を検知する。
【0022】
なお、これらに代表されるセンサーは、画像形成処理に基づく使用量、摩耗量のほか、当該画像形成処理の準備段階で行われるウォーミングアップ処理や、画像形成処理後に行われる後処理の際における消耗品の使用量、摩耗量等をも検知する。
【0023】
さらに、この消耗品使用履歴情報は、消耗品の残量等がなくなったことをセンサーにより検知した場合若しくは消耗品が指定した残量となったことをセンサーにより検知した場合若しくは消耗品が交換された場合におけるその時点までの各消耗品の使用履歴を示している。
【0024】
また、センサー搭載画像形成装置10は、この消耗品使用履歴情報に加えて、印刷日時、印刷枚数および用紙サイズや白黒/カラー等、1ページ当りの印刷ページ数などの印刷条件等により構成される「印刷履歴情報」を記録する。
【0025】
このセンサー搭載画像形成装置10では、印刷履歴情報と消耗品使用履歴情報とを対応付けて記憶し、定期的に若しくは上記に示すような所定の状態となった場合に消耗品情報管理サーバ20へと送信する。もちろん、記録された印刷履歴情報と消耗品使用履歴情報のデータサイズが所定データサイズ以上となることにより逐次、消耗品情報管理サーバ20へと送信するような構成であってもよい。
【0026】
それに対して、センサー非搭載画像形成装置11は、当センサー非搭載画像形成装置11における「印刷履歴情報」を集計して記録する。この印刷履歴情報は、画像形成処理における印刷日時、印刷回数、用紙サイズや白黒/カラー等の印刷条件等により構成される。
【0027】
このセンサー非搭載画像形成装置11で記録された印刷履歴情報は、一定期間の経過後、消耗品情報管理サーバ20に送信する。このほか、記録された印刷履歴情報のデータサイズが所定データサイズ以上となることにより消耗品情報管理サーバ20へと送信するような構成であってもよい。
【0028】
このようにセンサー搭載画像形成装置10、センサー搭載画像形成装置11から所定の情報が送信されると、消耗品情報管理サーバ20は、これらの情報を受信し、送信元の画像形成装置に対応付けて記録する。
【0029】
この消耗品情報管理サーバ20では、センサー搭載画像形成装置10から印刷履歴情報のほか消耗品使用履歴情報を受信すると、その消耗品使用履歴情報を用いて、消耗品ごとに当該消耗品の交換時期を予測する「予測式」を作成する。
【0030】
この予測式として、各消耗品の使用により使用寿命(ライフエンド)となって交換が必要になるまでの時期を予測する演算式のほか、各消耗品の不具合により使用寿命となる前に交換が必要になる場合の交換時期を予測する演算式がある。
【0031】
この予測式は、消耗品の稼動状態(稼動回数、稼動率等)を示す情報それぞれに各画像形成装置に応じた各消耗品に対する回帰係数を掛け合わせたものを加算して任意の定数を加算した重回帰式で表される。この予測式の例については以下で説明する。
【0032】
なお、予測式は、消耗品情報管理サーバ20がセンサー搭載画像形成装置10から消耗品使用履歴情報および印刷履歴情報を受信するたびに新たな予測式を作成して元の予測式を更新するほか、一定のデータサイズ以上の消耗品使用履歴情報および印刷履歴情報を受信することによって予測式を作成して更新するような構成であってもよい。
【0033】
すなわち、使用状態に応じた予測式を作成して、消耗品情報管理サーバ20は、この予測式を記憶する。
【0034】
それに対して、消耗品情報管理サーバ20がセンサー非搭載画像形成装置11から印刷履歴情報を受信した場合、すなわちその使用履歴情報にセンサーに基づく使用量若しくは摩耗量の情報が含まれていない若しくはその印刷履歴情報の送信元がセンサー非搭載画像形成装置11であると識別した場合には、センサー搭載画像形成装置10から消耗品使用履歴情報と印刷履歴情報を受信することで作成した予測式を用いて当該印刷履歴情報に基づくセンサー非搭載画像形成装置11の消耗品ごとの交換時期を予測する予測処理を行う。
【0035】
予測処理により消耗品ごとの交換時期の予測が行われ、交換時期が決定すると、この交換時期の情報を、当該交換時期の情報の予測に用いた印刷履歴情報の送信元であるセンサー非搭載画像形成装置11に送信するほか、予め指定した管理者等のコンピュータに送信する。もちろん、消耗品情報管理サーバ20で送信元のセンサー非搭載画像形成装置11に対応付けて交換時期の情報を記憶しておくような構成であってもよい。
【0036】
なお、センサー非搭載画像形成装置11に交換時期の情報を送信した場合、そのセンサー非搭載画像形成装置11は、交換時期の情報を管理制御することで当該交換時期となることでその旨を表示ディスプレイやアラート音を用いて報知する。また、消耗品情報管理サーバ20で交換時期の情報を記憶した場合、交換時期の情報を当該交換時期となる前に該当するセンサー非搭載画像形成装置11に送信することで、センサー非搭載画像形成装置11が上記の方法により報知する。
【0037】
図2は、センサー搭載画像形成装置10の詳細な構成を示すブロック図を示しており、センサー搭載画像形成装置10は、検知部101、計数部102、履歴情報集計部103、記憶部104、送受信制御部105、画像形成処理部106を具備して構成される。
【0038】
画像形成処理部106は、上記のような消耗品を用いて印刷出力等の画像形成処理を行う。
【0039】
検知部101は、感光体やインクなどの消耗品の残量、摩耗量等を検知するセンサーであり、計数部102は、消耗品の使用回数を計数するカウンタであって、これら検知部101、計数部102は、画像形成処理部106で使用する消耗品の使用状態を検知、計数し、検知若しくは計数した消耗品の残量等の情報を履歴情報集計部103に送出する。
【0040】
履歴情報集計部103では、検知部101および計数部102から受信した情報を元に消耗品の使用履歴を示す消耗品使用履歴情報として集計する。
【0041】
さらに、履歴情報集計部103では、画像形成処理部106から、当該画像形成処理部106の画像形成処理に用いた用紙サイズや白黒/カラー等の印刷条件、印刷枚数等を受信することにより印刷履歴情報として集計する。集計した消耗品使用履歴情報と印刷履歴情報は、データベースである記憶部104に記憶し、さらに履歴情報集計部103は、送受信制御部105へこれらの情報の集計が完了したことを通知する。
【0042】
送受信制御部105では、履歴情報集計部103から消耗品使用履歴情報および印刷履歴情報の集計完了が通知されると、記憶部104で記憶する消耗品使用履歴情報および印刷履歴情報を消耗品情報管理サーバ20に送信する。
【0043】
なお、この送受信制御部105では、記憶部104に一定のデータサイズの消耗品使用履歴情報および印刷履歴情報が記憶された状態となることにより消耗品情報管理サーバ20へ消耗品使用履歴情報および印刷履歴情報を送信するような構成であってもよい。
【0044】
図3は、センサー非搭載画像形成装置11の詳細な構成を示すブロック図を示しており、センサー非搭載画像形成装置11は、記憶部104、送受信制御部105、画像形成部106、消耗品交換時期管理制御部107、履歴情報集計部108を具備して構成される。
【0045】
画像形成処理部106は、上記のような消耗品を用いて印刷出力等の画像形成処理を行う。
【0046】
印刷履歴情報集計部108は、画像形成処理部106で画像形成処理が行われると、その画像形成処理における印刷日時、印刷回数、用紙サイズや白黒/カラー等の印刷条件を印刷履歴情報として集計する。集計した印刷履歴情報は、記憶部104に記憶される。
【0047】
そして、この印刷履歴情報集計部108は、記憶部104に印刷履歴情報を記憶したことを通知する。また、印刷履歴情報集計部108は、画像形成処理部106での画像形成処理に用いる消耗品が交換されたことを検出し、その旨を送受信制御部105へと通知する。
【0048】
送受信制御部105では、印刷履歴情報を記憶部104に記憶したことを印刷履歴情報集計部108から受信し、また印刷履歴情報集計部108から消耗品の交換が行われたことを受信する。
【0049】
消耗品の交換が行われたことを受信すると、送受信制御部105は、記憶部104に記憶する印刷履歴情報を取得し、消耗品情報管理サーバ20へと送信する。このとき、記憶部104に記憶する印刷履歴情報を消去するような構成であってもよい。
【0050】
これにより、消耗品情報管理サーバ20では、上記に示すような処理により作成した予測式を用いて消耗品ごとの交換時期を予測する処理を行う。
【0051】
消耗品情報管理サーバ20で消耗品ごとの交換時期が予測されることにより、送受信制御部105では、各消耗品に対する交換時期の予測結果を受信する。消耗品の交換時期の予測結果を受信した送受信制御部105は、この情報を消耗品交換時期管理制御部107へと通知し、消耗品ごとの交換時期の管理制御を行う。
【0052】
つまり、この消耗品交換時期管理制御部107では、消耗品の交換時期の予測結果に基づく消耗品の交換時期となることを監視し、当該交換時期を計時することによって、該当する消耗品の交換時期である旨を表示ディスプレイ(図示せず)上に表示すること等により報知する。
【0053】
図4は、消耗品情報管理サーバ20の詳細な構成を示すブロック図を示しており、消耗品情報管理サーバ20は、情報解析部201、履歴情報管理部202、予測式作成部203、予測式登録部205、予測式記憶部206、予測式検索部207、予測処理部208、送信制御部209を具備して構成される。
【0054】
この消耗品管理サーバ200がセンサー搭載画像形成装置10から印刷履歴情報および消耗品使用履歴情報を、センサー非搭載画像形成装置11から印刷履歴情報を受信すると、情報解析部201は、受信したこれらの情報若しくは送信元を解析する。
【0055】
この解析によりセンサー搭載画像形成装置10から印刷履歴情報および消耗品使用履歴情報を受信した場合には、受信した印刷履歴情報および消耗品使用履歴情報を履歴情報管理部202に記憶し、また消耗品使用履歴情報の受信通知を予測式作成部203へと送出する。
【0056】
それに対して、センサー非搭載画像形成装置11から印刷履歴情報を受信した場合には、受信した印刷履歴情報を履歴情報管理部202に記憶するとともに、予測式検索部207へと送出する。
【0057】
履歴情報管理部202では、センサー搭載画像形成装置10から受信した印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を管理し、また、センサー非搭載画像形成装置11から受信した印刷履歴情報を管理する。
【0058】
予測式作成部203では、情報解析部201から消耗品使用履歴情報の受信通知が送出されると、履歴情報管理部202で管理するその消耗品使用履歴情報の送信元のセンサー搭載画像形成装置10に対する消耗品ごとの消耗品使用履歴情報を取得し、当該消耗品の交換時期を予測する予測式を作成する。
【0059】
このときの予測式は、画像形成処理に用いる各消耗品の交換時期を予測する演算式である。
【0060】
例えば、消耗品が感光体である場合における交換時期の予測は、感光体の表面に塗布された感光膜の厚みが所定の厚み以下の値となることにより交換時期であると判断する。
【0061】
この場合における予測式は、以下のようになる。
【0062】
まず、センサー搭載画像形成装置10から受信した消耗品使用履歴情報を用いて、使用期間に基づく膜厚の減少割合を示す図7に示すようなグラフを作成する。
【0063】
次に、消耗品である感光体の表面の膜厚を以下の式(式1)により算出する。
【0064】
感光体膜厚(X) = AC帯電時サイクル数×(a1)+サイクルアップ回数×(a2)+モノクロ速時印刷数×(a3)+モノクロ印刷数×(a4)+カラー印刷数×(a5)+ベルトセットアップ回数×(a6)+モノクロ画像セットアップ回数×(a7)+カラー画像セットアップ回数×(a8)+清掃部材セットアップ回数×(a9)+転写ローラセットアップ回数×(a10)+b・・・(式1)
このときのa1、a2、〜、a10は回帰係数であって、bは定数であり、搭載される感光体により可変である。
【0065】
このようにして算出した感光体膜厚(X)を用いて、摩耗量を以下の式(式2)により算出する。
【0066】
摩耗量(Z) = 未使用状態における感光体の膜厚(Y)−感光体膜厚(X)・・・(式2)
(式2)により算出した摩耗量を感光体の未使用状態からの経過時間で除算する以下の式(式3)により感光体膜厚の摩耗速度(S)を算出する。
【0067】
感光体膜厚の摩耗速度(S) = 摩耗量(Z)/未使用状態からの経過時期(T)・・・(式3)
このようにして感光体膜厚の摩耗速度(S)を算出すると、続いて、感光体膜厚の摩耗速度(S)を変化の割合とするグラフ(一例として、図7に示すグラフ)を作成する。
【0068】
そして、消耗品使用履歴情報に示される消耗品の残量から、交換が必要であるとされる残量となるまでの経過時間を特定する。
【0069】
このような予測式により、算出した時期となることで感光体の交換時期であると判断する。
【0070】
図7に示す使用期間に基づく膜厚の減少割合を示す図は、横軸に「経過時間」を示し、縦軸に「感光膜の膜厚」を示した図である。
【0071】
経過時間が「0(ゼロ)」である際、すなわち感光体の使用開始前の感光体の膜厚が「y1」であることを示し、感光体の交換が必要であると判断する際の感光膜の膜厚が「y2」であることを示している。
【0072】
すなわち、感光体の交換時期は、感光膜の膜厚が「y2」となった時点での経過時間であることを示す。
【0073】
なお、感光体膜厚(X)を算出する(式1)で用いられる「AC帯電時サイクル数」は、感光体の表面を所定の電位に帯電させるための回転数であって、「サイクルアップ回数」は、サイクルアップ(待機状態から画像形成処理を開始する前に感光体を所定か回転させるとともに画像処理のために行う準備の処理)が実行された回数である。また、「モノクロ印刷数」は、モノクロで画像形成されたモノクロ画像数を示し、「カラー印刷数」は、カラーで画像形成されたカラー画像数を示す。さらに、「ベルトセットアップ回数」は、中間転写ベルトのエッジが検出され回数を示しており、「モノクロ画像セットアップ回数」は、モノクロ画像処理が行われた回数を示しており、「カラー画像セットアップ回数」は、カラー画像処理が行われた回数を示している。
【0074】
またさらに、「清掃部材セットアップ回数」は、感光体のクリーニングを行う処理を行うグリー人具装置のめり込みを防止するために感光体に帯状にトナーを付着させる処理を行った回数を示しており、「転写ローラセットアップ回数」は、転写ローラの清掃処理が行われた回数を示している。
【0075】
このようにして予測式作成部203で予測式が作成されると、作成した予測式を予測式登録部205へと送出する。予測式登録部205では、予測式を受信すると、消耗品ごとの予測式として各消耗品に対応付けて予測式記憶部206に登録する。
【0076】
この予測式記憶部206で記憶する消耗品ごとの予測式は、消耗品情報管理サーバ20が消耗品使用履歴情報、印刷履歴情報をセンサー搭載画像形成装置10から受信するたびに作成されて更新される。
【0077】
このように予測式記憶部206で消耗品ごとの予測式が記憶された状態で、センサー非搭載画像形成装置11から印刷履歴情報を受信すると、予測式検索部207は、その印刷履歴情報を元に、各消耗品の交換時期を予測する処理を行う予測式を、予測式記憶部206から検索する。
【0078】
この予測式検索部207では、消耗品に対応する予測式をそれぞれ検索し、検索した各消耗品の予測式を予測式処理部208へ印刷履歴情報とともに送出する。
【0079】
予測式処理部208では、予測式検索部207から予測式および印刷履歴情報を受信すると、その印刷履歴情報を予測式に当てはめることにより消耗品の交換時期を算出する。算出した交換時期の情報を送信制御部209へと送出する。
【0080】
送信制御部209では、交換時期の情報を受信すると、印刷履歴情報の送信元であるセンサー非搭載画像形成装置11に交換時期の情報を送信する。もちろん、消耗品情報管理サーバ20で記憶した状態とすることも可能である。
【0081】
図5は、本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムのセンサー搭載画像形成装置で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0082】
画像形成処理が行われて消耗品が使用されると処理が開始され、消耗品の状態をセンサーやカウンタなどにより検出する(501)。続いて、画像形成処理における印刷枚数、モノクロ/カラー、用紙サイズ等の印刷条件や印刷回数、印刷日時などの印刷履歴情報およびセンサーやカウンタにより検出した消耗品の使用量や摩耗量を示す消耗品使用履歴情報を作成する(502)。
【0083】
そして、これら印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を登録する(503)。
【0084】
続いて、検出した消耗品の使用量や摩耗量により消耗品が使用できないライフエンドの状態若しくは予め指定した所定の残量となったかを判断し(504)、消耗品がこれらのいずれかの状態となっている場合(504でYES)には、登録した印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を取得し(505)、消耗品情報管理サーバにその印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を送信する(506)。
【0085】
図6は、本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムの消耗品情報管理サーバで行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【0086】
センサー搭載画像形成装置10から印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を受信するか若しくはセンサー非搭載画像形成装置11から印刷履歴情報を受信すると処理が開始され、これらの情報を送信した送信元を識別する(601)。
【0087】
識別した送信元の画像形成装置が消耗品の使用量若しくは摩耗量を検出するセンサーを搭載した装置であるかを判断し(602)、センサーを搭載する画像形成装置から印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を受信した場合(602でYES)には、その受信した印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を登録する(603)。
【0088】
続いて、この印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を登録してから一定時間が経過した若しくは登録した印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報が予め指定したデータサイズとなったかを判断する(604)。
【0089】
いずれかの状態となると判断すると(604でYES)、登録した印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を取得する(605)。このときの一定時間を「0(ゼロ)」とすることにより印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報が登録されるたびに所定の処理が行われることを示す。
【0090】
続いて、印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報を取得すると、この印刷履歴情報、消耗品使用履歴情報に基づいて消耗品ごとの交換時期を予測する予測式を作成する(606)。
【0091】
そして、作成した予測式を保存する(607)。
【0092】
それに対して、センサーを搭載しない画像形成装置から印刷履歴情報を受信した場合(602でNO)には、この印刷履歴情報を予測式に適用して消耗品の交換時期を予測する(608)。
【0093】
予測処理により予測した予測結果を、印刷履歴情報の送信元に送信する(609)。
【0094】
なお、同じ消耗品に関する予測式でも、画像形成装置の種類(モデル)、機種ごとに変わり得る。
【0095】
そこで、消耗品情報管理サーバ20は、画像形成装置の種類ごとに予測式を作成し、画像形成処理装置の種類ごとに予測式を保存することで、画像形成処理装置の種類ごとに異なる予測式を用いて消耗品の交換時期を予測するようにしてもよい。
【0096】
この場合、次の方法などが考えられる。
【0097】
センサー搭載画像形成装置10が消耗品情報管理サーバ20に印刷履歴情報および消耗品使用履歴情報を送信する際、当該センサー搭載画像形成装置10の種類に関する情報を合わせて送信するなどして、消耗品情報管理サーバ20に当該センサー搭載画像形成装置10の種類を認識させる。消耗品情報管理サーバ20は、認識したセンサー搭載画像形成装置10の種類に基づいて、画像形成装置の種類ごとの予測式を作成し、保存する。
【0098】
一方、センサー非搭載画像形成装置11が消耗品情報管理サーバ20に印刷履歴情報を送信する際も当該センサー非搭載画像形成装置11の種類に関する情報を合わせて送信するなどして、消耗品情報管理サーバ20に当該センサー非搭載画像形成装置11の種類を認識させる。
【0099】
そして、消耗品情報管理サーバ20は、認識したセンサー非搭載画像形成装置11の種類に基づき、対応する予測式に用いて、消耗品の交換時期を予測する。
【0100】
本発明は、上記し、且つ図面に示す実施例に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムを適用して構成したシステム構成図の一例。
【図2】本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムを構成するセンサー搭載画像形成装置の詳細な構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムを構成するセンサー非搭載画像形成装置の詳細な構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムを構成する消耗品情報管理サーバの詳細な構成を示すブロック図。
【図5】本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムのセンサー搭載画像形成装置で行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図6】本発明の実施の形態における消耗品交換時期予測システムの消耗品情報管理サーバで行われる処理の流れを示すフローチャート。
【図7】使用期間に基づく膜厚の減少割合を示すグラフ。
【符号の説明】
【0102】
10 センサー搭載画像形成装置
11 センサー非搭載画像形成装置
20 消耗品情報管理サーバ
101 検知部(センサー)
102 計数部(カウンタ)
103 履歴情報集計部
104 記憶部
105 送受信制御部
106 画像形成処理部
107 消耗品交換時期管理制御部
201 情報解析部
202 履歴情報管理部
203 予測式作成部
205 予測式登録部
206 予測式記憶部
207 予測式検索部
208 予測処理部
209 送信制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品の使用状態を計測する計測器を搭載し、画像形成処理による前記消耗品の使用状態を前記計測器で計測する画像形成装置と、
前記消耗品の使用状態を管理する管理装置と
を備え、
前記画像形成装置は、
前記消耗品の交換までに前記計測器で計測した当該消耗品の使用状態に基づいて使用履歴情報を作成する使用履歴情報作成手段と、
前記使用履歴作成手段により作成した使用履歴情報を前記管理装置に送信する送信手段と
を具備し、
前記管理装置は、
前記送信手段により送信された前記使用履歴情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記使用履歴情報を用いて前記消耗品の交換事由に基づく当該消耗品の交換時期を予測する予測式を作成する予測式作成手段と、
前記予測式作成手段で作成した予測式を用い、前記計測器を搭載しない他の画像形成装置の消耗品の使用履歴から当該消耗品の交換時期を予測する交換時期予測手段と
を具備する消耗品交換時期予測システム。
【請求項2】
前記画像形成装置は、
複数の前記消耗品を備え、
前記使用履歴情報作成手段は、
前記消耗品ごとに前記使用履歴情報を作成し、
前記予測式作成手段は、
前記受信手段により受信した前記使用履歴情報に基づき消耗品ごとの前記予測式を作成し、
前記交換時期予測手段は、
前記消耗品ごとの予測式を用いて消耗品ごとに交換時期を予測する請求項1記載の消耗品交換時期予測システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
前記受信手段により受信した前記使用履歴情報を記憶する記憶手段
を更に具備し、
前記予測式作成手段は、
前記受信手段により使用履歴情報を受信すると、前記記憶手段で記憶する他の使用履歴情報をも用いて前記予測式を作成する請求項1または2記載の消耗品交換時期予測システム。
【請求項4】
前記管理装置は、
前記交換時期予測手段により予測された前記消耗品の交換時期を前記他の画像形成装置に通知する交換時期通知手段
を更に具備し、
前記他の画像形成装置は、
前記交換時期通知手段により通知された交換時期を報知する報知手段を具備する請求項1乃至3のいずれかに記載の消耗品交換時期予測システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−145942(P2010−145942A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325825(P2008−325825)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】