説明

消臭剤組成物

本発明は、(a)ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物、(b)塩基性物質、及び(c)金属塩を含む消臭剤組成物に関する。本発明の消臭剤組成物は悪臭源に適用したときに短い時間内に消臭効果を発揮でき、さらに優れた消臭活性を発揮するとともに保存安定性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な消臭剤組成物に関する。すなわち、本発明は、ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物、あるいはそれらの造粒物、塩基性物質、金属塩からなる新規な消臭剤組成物に関する。
詳しくは、悪臭源に適用したときに短い時間内に消臭効果を発揮でき、しかも優れた消臭活性を発揮するとともに保存安定性に優れた消臭剤組成物に関する。また、口臭、体臭、冷蔵庫内での臭い、生ゴミ臭、下駄箱臭、ヒトや動物の体臭、ヒト・動物の糞尿の臭いなど日常の生活において感じられる臭い、工場内あるいは工業廃液中の悪臭などを消去あるいは軽減するために使用される新規な消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生活の多様化、生活程度の向上、意識の変化・向上などに伴い、身の周りの様々な点に注意が向けられるようになった。その一つに、様々な悪臭の存在がある。その悪臭の主要成分として、アンモニア、尿素、インドール、スカトール、アミン類などの含窒素化合物、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルスルフィドなどの含硫黄化合物、酪酸などの低級脂肪酸などが知られている。 それら悪臭を消去あるいは軽減するために使用される消臭剤について多数の報告がある。
例えば、多種類のポリフェノール化合物混合物を含む植物抽出液を消臭剤とする報告がある(例えば、特許文献1を参照)。これら消臭剤は、それなりの消臭効果を示すが、十分な消臭効果を示すとはいえないものが多く、その点で改善される余地が残されている。
その点を改善した解消した消臭剤組成物として、ポリフェノール化合物をアルカリ性を示す溶媒中、酸素分子共存下で、反応時のpH値が6.5以上で反応して得られた有色の化合物を有効成分とする消臭剤組成物が報告されている(特許文献2)。この消臭剤組成物は、一度消臭剤組成物を調製すれば、長い時間が経過しても消臭能が維持され、しかも、とくに含窒素化合物や含硫黄化合物などの悪臭成分に対して優れた消臭効果を有することができる優れた消臭剤組成物であるが、一方、有効成分が有色物質であるために、消臭剤として適用するときに一定の制限を受けることがあり、また悪臭源に適用したときに短い時間内に消臭効果を発揮できにくいという問題点が指摘されている。
また、ポリフェノール化合物とアルカリとからなる消臭剤組成物を調製する技術が報告されているが(非特許文献1参照)、それらには、悪臭源に適用したときに短い時間内に消臭効果を発揮させようとする認識はない。
【0003】
【特許文献1】特開平11−319051号公報
【特許文献2】特開2004−167218号公報
【非特許文献1】フレグランスジャーナルNo.12、第58−59頁、1995年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明の課題は、悪臭源に適用したときに短い時間内(20分以内)に消臭効果を発揮できる新規な消臭剤組成物を提供することにある。さらに、それらの特徴を保持し、しかも、消臭剤として適用するときに制限を受けることが殆どない新規な消臭剤組成物を提供することにある。また、本発明はそれらの特徴を保持し、そのうえ消臭効果に優れ、簡単な方法で消臭剤 組成物を得ることができる新規な消臭剤組成物を提供することにある。また、広範囲な悪臭成分に対して優れた消臭効果を有する消臭剤組成物を提供することにもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究する最中、ポリフェノール化合物とアルカリ性を示す物質との混合物に金属塩を添加し、得られた混合物を悪臭源に適用したところ、意外にも消臭効果を発揮する立ち上がりが早く、短い時間内に消臭効果を発揮できるという知見を得た。この知見に基づき、さらに鋭意研究を重ね、ついに本発明を完成させた。
【0006】
即ち、本発明は次の(1)〜(8)のとおりである。
(1)請求項1記載の発明は、(a)ポリフェノール化合物及び又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物、(b)塩基性物質、及び(c)金属塩を含むことを特徴とする消臭剤組成物。
(2)(a)ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物を含む造粒物、(b)塩基性物質、及び(c)金属塩を含むことを特徴とする消臭剤組成物。
(3)さらにポリフェノール化合物酸化酵素を含むことを特徴とする(1)または(2)記載の消臭剤組成物。
(4)二酸化ケイ素を更に含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1に記載の消臭剤組成物。
(5)塩基性物質がかんすい、灰汁、および漂白剤からなる群から選ばれる少なくとも一種または二種以上である(1)〜(4)のいずれか1に記載の消臭剤組成物。
(6)金属塩がにがりである(1)〜(5)のいずれか1に記載の消臭剤組成物。
(7)(1)〜(6)のいずれか1に記載の消臭剤組成物を適用する、悪臭の消臭方法。
(8)(1)〜(6)のいずれか1に記載の消臭剤組成物を、悪臭の消臭に使用する方法。
これらの消臭剤組成物は構成成分の性状により変動するが、無色、又は、白色、淡灰色や灰色のことがあり、また、淡い色を有することもあり、例えば、淡黄色、茶色などを呈することもある。さらには、黄色を呈することもある。
なお、本発明は、(a)ポリフェノール化合物及び又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物、(b)塩基性物質、及び(c)金属塩を有効成分として含むことを特徴とする消臭剤組成物である。また、本発明は、(a)ポリフェノール化合物及び又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物、(b)塩基性物質、及び(c)金属塩から実質的になることを特徴とする消臭剤組成物と記載することもできる。
本発明では、塩基性物質、及び金属塩も造粒物として使用してもよい。これら発明では、上記成分が必須成分であるが、所期の目的を損なわない限り、ほかの成分を共存させておいてもよい。
上記発明を構成する成分に加えて、さらにポリフェノール化合物の酸化酵素を含むことを特徴とする。ここでポリフェノール化合物の酸化酵素には、ポリフェノール化合物の酸化酵素そのもの、及び該酸化酵素を含む植物抽出物でもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、悪臭源に適用したときに短い時間内に消臭効果を発揮する消臭剤組成物を提供できる。しかも優れた消臭活性を発揮するとともに保存安定性に優れた消臭剤組成物を提供できる。また、本発明の消臭剤組成物は無色、白色、あるいは淡い色を呈するので、消臭剤として適用するときに制限を受けることが殆どない。本発明により、口臭、体臭、冷蔵庫内での臭い、生ゴミ臭、下駄箱臭、ヒトや動物の体臭、ヒト・動物の糞尿の臭いなど日常の生活において感じられる臭い、工場内あるいは工業廃液中の悪臭などを消去あるいは軽減するために使用される新規な消臭剤組成物を提供できる。
本発明により、各種悪臭成分に対して優れた消臭効果がある消臭剤組成物が提供される。本発明の消臭剤組成物は悪臭成分の中でも、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルスルファイドなどの含硫黄系化合物や酪酸、イソ吉草酸などの低級脂肪酸などの悪臭成分の消臭効果に優れているうえ、アルカリ性であるアンモニアなどのアミン系悪臭成分にも消臭効果が優れている。さらにこの消臭剤組成物は調製方法が比較的簡単であり、しかも消臭剤 組成物を一度調製すれば、該消臭剤組成物を長い時間保存した後でも消臭機能が維持されるという効果も有するので、極めて優れた消臭剤組成物といえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず本発明の消臭剤組成物を調製する原料であるポリフェノール化合物について説明する。本発明で使用されるポリフェノール化合物とは、同一ベンゼン環に二個あるいは二個以上の水酸基が水素原子と置換されている化合物を意味し、その配糖体もポリフェノール化合物として含む。本発明で使用されるポリフェノール化合物は、所期の目的を達成できるポリフェノール化合物である限りとくに限定されない。その中でも、ヒドロキノンおよびo−ジフェノール構造を有するポリフェノール化合物が好ましい。なお、o−ジフェノール構造とはベンゼン環に直接水酸基が置換されており、しかもその水酸基が隣接しているときの構造を意味する。
【0009】
ポリフェノール化合物の具体例としては、例えば、アピゲニン、アピゲニン配糖体、アカセチン、イソラムネチン、イソラムネチン配糖体、イソクエルシトリン、エピカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、エスキュレチン、エチルプロトカテキュ酸塩、エラグ酸、カテコール、ガンマ酸、カテキン、ガルデニン、ガロカテキン、カフェ酸、カフェ酸エステル、クロロゲン酸、ケンフェロール、ケンフェロール配糖体、ケルセチン、ケルセチン配糖体、ケルセタゲニン、ゲニセチン、ゲニセチン配糖体、ゴシペチン、ゴシペチン配糖体、ゴシポール、4−ジヒドロキシアントラキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、シアニジン、シアニジン配糖体、シネンセチン、ジオスメチン、ジオスメチン配糖体、3,4'−ジフェニルジオール、シナピン酸、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スピナセチン、タンゲレチン、タキシホリン、タンニン酸、ダフネチン、チロシン、デルフィニジン、デルフィニジン配糖体、テアフラビン、テアフラビンモノガレート、テアフラビンビスガレート、トリセチニジン、ドーパ、ドーパミン、ナリンゲニン、ナリンジン、ノルジヒドログアヤレチック酸、ノルアドレナリン、ヒドロキノン、バニリン、パチュレチン、ハーバセチン、バニリルアルコール、バニトロープ、バニリンプロピレングリコールアセタール、バニリン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン酸、ビスフェノールA、ピロカテコール、ビテキシン、4,4'−ビフェニルジオール、4−t−ブチルカテコール、2−t−ブチルヒドロキノン、プロトカテキュ酸、フロログルシノール、フェノール樹脂、プロシアニジン、プロデルフィニジン、フロレチン、フロレチン配糖体、フィゼチン、フォリン、フェルバセチン、フラクセチン、フロリジン、ペオニジン、ペオニジン配糖体、ペルオルゴニジン、ペルアグゴニジン配糖体、ペチュニジン、ペチュニジン配糖体、ヘスペレチン、ヘスペレジン、没食子酸、没食子酸エステル(没食子酸ラウリル、没食子酸プロピル、没食子酸ブチル)、マンジフェリン、マルビジン、マルビジン配糖体、ミリセチン、ミリセチン配糖体、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、メチルアトラレート、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、4−メトキシカテコール、5−メトキシカテコール、メチルカテコール−4−カルボン酸、2−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、モリン、リモシトリン、リモシトリン配糖体、リモシトロール、ルテオリン、ルテオリン配糖体、ルテオリニジン、ルテオリニジン配糖体、ルチン、レゾルシン、レスベラトロール、レゾルシノール、ロイコシアニジン、ロイコデルフィニジンなどが挙げられる。
【0010】
これらのポリフェノール化合物の中でも、ケルセチン、エピカテキン、および、エピガロカテキン等のフラボノイド類及びそれらの配糖体、没食子酸、没食子酸エステル、クロロゲン酸、カフェ酸、カフェ酸エステル、タンニン酸、ピロカテコール、ノルジヒドログアイアレクチック酸、L−ドーパ、4−メチルカテコール、5−メチルカテコール、4−メトキシカテコール、5−メトキシカテコール等のo−ジフェノール構造を有するポリフェノール化合物、および、ヒドロキノンが特に好ましい。
これらのポリフェノール化合物は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
また、上記ポリフェノール化合物は、公知の方法により調製できるが、市販品を購入してもよい。また、合成により調製してもよい。さらには、植物から調製したポリフェノール化合物含有画分を使用することもできる。
【0011】
本発明では、ポリフェノール化合物の代わりに、ポリフェノール化合物を含む植物抽出物を使用することもできる。この植物抽出物は公知の方法により調製されたものを使用してもよいし、また市販のものを使用してもよい。
植物抽出物を得る植物の例としては、例えば、アロエ、アニスシード、エルダー、エレウテロコック、オオバコ、オレンジフラワー、オールスパイス、オレガノ、カノコソウ、カモミル、カプシカムペッパー、カルダモン、カシア、ガーリック、キャラウエイシード、クローブ、クミンシード、コーラ、コリアンダーシード、五倍子、サフラン、サンショウ、ジュニパーベリー、シナモン、ジンジャー、スター・アニス、セント・ジョーンズ・ウオルト、セロリーシード、セサミ(ゴマ)、ダイオウ、タラゴン、ターメリック、チィスル、デイルシード、ナツメグ、ネットル、ハイビスカス、ハマメリス、バーチ、バジル、ビター・オレンジ、フェンネル、プリムローズ、フェヌグリーク、ベルベナ、ベイローレル、ホップ、ボルドー、ホースラデイッシュ、ポピーシード、没食子、マリーゴールド、マロー、マジョラム、マスタード、ミルフォイル、ミントリーブス、メリッサ、メース、リンデン、リンドウ、ローズヒップ、ローズマリー、マンネンロウ、ひまわり種子、ブドウ果皮、リンゴ、ニンジン葉、バナナ、イチゴ、アンズ、モモ、プラム、パイナップル、ナシ、カキ、サクランボ、パパイヤ、マンゴー、アボガド、メロン、ビワ、イチジク、キウイ、プルーン、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、コーヒー豆、カカオ豆、ブドウ種子、グレープフルーツ種子、ペカンナッツ、カシューナッツ、クリ、ココナッツ、ピーナツ、クルミ、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、タバコ、シソ葉、ニワタイム、セージ、ラベンダー、スペアミント、ペパーミント、サントリソウ、ヒソップ、メボウキ、マリーゴールド、タンポポ、アーチチョーク、ドイツカミルレ、キンミズヒキ、カンゾウ、アニス、ノコギリソウ、ユーカリ、ワームウッド、香油、シシウド、コロハ、シシトウガラシ、ウイキョウ、トウガラシ、コエンドロ種子、ヒメウイキョウ種子、ウイキョウ種子、ショウガ、西洋ワサビ、マヨラナ、ハナハッカ、カラシ、パセリ、コショウ、セイヴォリー、タラゴン、ウコン、ワサビ、イノンド種子、柑橘果実、西洋ナシ、タイムなどが挙げられる。特に、ローズマリー、ひまわり種子、ブドウ果皮、リンゴ、ニンジン葉、コーヒー豆、カカオ豆、ブドウ種子、緑茶葉、紅茶葉、ウーロン茶葉、シソ葉、ニワタイム、セージ、スペアミント、ペパーミント、西洋ナシ、バナナ、タイムが好ましい。
前記植物単独あるいは複数の植物から植物抽出物を調製することができる。また、単独の植物抽出物を得、ついでそれら単独の植物抽出物を混合することもできる。
前記植物抽出物の製造方法は特に制限されない。
消臭剤組成物とするために用いられる前記ポリフェノール化合物の使用量は、消臭したい悪臭源の種類、共存する塩基性物質、金属塩などの種類や量により変動するので一概に規定することができないが、例えば、消臭剤組成物全体に対して、1〜90重量%程度であり、より好ましくは10〜50重量%である
【0012】
本発明で必須の成分である塩基性物質(アルカリ性を示す物質)は、公知の化学物質であり、本発明の所期の目的を達成することができる限り、特に制限されない。具体的な塩基性物質としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸グアニジン等の炭酸塩;もしくは炭酸水素塩;ホウ酸カリウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩;珪酸カリウム、1号珪酸ナトリウム、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウム、オルト珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム等の珪酸塩;リン酸1水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウムなどが挙げられる。
【0013】
また、本発明の塩基性物質として、かんすい、灰汁、および漂白剤から選ばれる少なくとも一種でもよい。
かんすいは古くから製麺時に使用されている。主成分は炭酸ナトリウムと炭酸カリウムであり、そのほか多数の成分が共存する。市販されているので簡単に入手することができる。
灰汁は、主に植物の灰を水に溶解・分散させて得られる上澄みの液であり、炭酸カリウムなどのアルカリが主成分である。洗濯剤や漂白剤に用いられる。 市販されているので簡単に入手することができる。
漂白剤は、汚れなどの着色物質を酸化あるいは還元により他の物質に化学変化される物質を意味し、酸素系漂白剤および塩素系漂白剤がよく使用されている。本発明では酸素系漂白剤が好ましい。
かんすい、灰汁は食品使用が許可されているため食品用の消臭剤組成物では特に好ましい。
これら塩基性物質は単独で用いてもよいが、複数の塩基性物質を用いてもよい。
消臭剤組成物とするために用いられる前記塩基性物質の使用量は、用いるポリフェノール化合物の種類や量、金属塩の種類や量、消臭したい悪臭源などによって変動するので一概に規定することができないが、たとえば本発明の消臭剤組成物を水に溶かしたときに、その水溶液のpHが6.5以上となるように用いると好ましい結果が得られる。とくに水溶液のpH7〜13とすることが好ましく、さらにはpH8〜13とすることが好ましく、さらにpH9〜11が最も好ましい。水溶液のpHが6.5を下回ると、好ましい消臭効果を有する消臭剤組成物をもたらすことができず、逆に、あまりにも高いpH(pH14付近)とすると、消臭剤組成物を取り扱う際に注意が必要であり、不都合である。
【0014】
本発明で必須の成分である金属塩は、所期の目的を達成することができる限り特に制限されない。数多くの金属塩の中でも、好ましい金属塩は、Mg塩、Ca塩、Cu塩、Mn塩、Ag塩、Ti塩、及びZn塩からなる群から選ばれる少なくとも一種または二種以上の金属塩である。それら金属塩は公知の化学物質である。具体的な金属塩としては、塩化銅、フッ化銅、硫酸銅、硝酸銅、水酸化銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、アスパラギン酸銅、グルタミン酸銅、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル等の銅化合物;塩化亜鉛、フッ化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、水酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、アスパラギン酸亜鉛、グルタミン酸亜鉛、リン酸亜鉛、乳酸亜鉛等の亜鉛化合物;塩化カルシウム、水酸化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、L−グルタミン酸カルシウム、炭酸カルシウム、乳酸カルシウム、パントテン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、プロピオン酸カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム等のカルシウム化合物;塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、L−グルタミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物;酸化銀等の銀化合物;過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩、硫酸マンガン等のマンガン化合物などがあげられる。また二酸化チタン等のチタン化合物も使用することができる。
本発明では、金属塩として、にがりを使用することができる。にがりは、海水から食塩を製造するときに副生される。市販されているので簡単に入手することができる。
にがりは食品使用が許可されているため食品用の消臭剤組成物ではとくに好ましい。
金属塩の使用量としては、消臭剤組成物を構成するポリフェノール化合物、塩基性物質、悪臭源により変動するが、消臭剤組成物水溶液中の金属イオンの濃度が0.00005mM〜100mMとなるように添加することが好ましく、より好ましくは0.0001mM〜10mMであり、さらに好ましくは0.01mM〜5mMである。
【0015】
前記ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物を造粒処理して、造粒物を用いて消臭剤組成物を調製することもできる。それら造粒物としては、粉末、顆粒状粉末あるいはカプセル状粉末でもよく、また、多孔質体に浸透吸着した粉末、天然ガムや糖類でカプセル化処理した粉末、糖類マトリックス中に封入したロックイン型粉末、シクロデキストリンなどで包接された包接体、賦形剤からなる外壁膜でコートされたマイクロカプセル、ローラーコンパクターを用いて調製される粉末などが挙げられる。また、それら粉末同士が互いに吸着しあうなどして、得られるより大きな径を有する粉体も本発明の造粒物である。
本発明では、塩基性物質や金属塩も造粒処理してから、消臭剤組成物の構成成分としてもよい。ここで、塩基性物質や金属塩を造粒処理する手段は特に制限されないのであって、すでに知られている手段を適宜採用すればよい。
【0016】
前記多孔質体に浸透吸着した粉末とは、多孔質体に前記ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物(以下、ポリフェノール化合物ということがある)を浸透吸着して得た粉末をいう。
【0017】
ここで、多孔質体としては、ポリフェノール化合物を担持しながら粉末状を保つことができる無機または有機化合物の粉末であれば特に制限はない。具体的には、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、ケイ藻土、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、モンモリロナイト、カオリンなどの粘土鉱物、食塩などの無機化合物、乳酸カルシウム、乳糖などの低分子有機化合物、デキストリン、加工澱粉、多孔質澱粉などの澱粉類、結晶セルロース、メチルセルロース、セルロースエーテル化合物などのセルロース誘導体あるいはポリビニルアルコールなどの有機化合物が用いられる。
前記多孔質にポリフェノール化合物の水溶液あるいは分散液を用い、公知の方法を適用すれば、前記多孔質体に浸透吸着した粉末を得ることができる。その粉末の粒度は0.5mm以下、好ましくは100ミクロン以下のものが用いられる。
【0018】
前記天然ガムや糖類でカプセル化処理した粉末とは、ポリフェノール化合物と天然ガムや糖類とを必要に応じて界面活性剤と共存させ、ポリフェノール化合物をカプセル化処理した粉末をいう。その中でも、特に好ましいカプセル化処理した粉末として、ポリフェノール化合物を天然ガムと共存させ、必要に応じて天然界面活性剤を更に共存させ、ポリフェノール化合物をカプセル化処理した粉末、あるいは、ポリフェノール化合物を糖類と共存させ、必要に応じて天然界面活性剤及び/又は合成界面活性剤を更に共存させ、ポリフェノール化合物をカプセル化処理した粉末を挙げられる。
前記天然ガムとしては、加工澱粉、アラビアガム、大豆多糖類などから選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、前記糖類としては、デキストリン、澱粉などから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。また、前記天然界面活性剤としては、レシチン、サポニン、キラヤ抽出物、キラヤサポニンから選ばれる1種又は2種以上が挙げられ、前記合成界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリンエステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
前記各成分を混合攪拌したのち、粉末化処理する。ここで言う粉末化処理としては、噴霧乾燥処理が挙げられる。
【0019】
前記糖類マトリックス中に封入した粉末は、ポリフェノール化合物が糖マトリックス材中に封入された粉末をいう。前記糖類としては、例えば、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、ポリオール、糖誘導体、化工デンプン、改質デンプン、ゴム類などが挙げられ、より具体的には、例えば、ショ糖、グルコース、ラクトース、レブロース、フルクトース、マルトース、グルコピラノシルマンニトール、グルコピラノシルソルビトール、リボース、デキストロース、イソマルト、ソルビトール、マンニトール、キシロール、ラクチトール、マルチトール、ペンタトール、アラビノース、ペントース、キシロース、ガラクトース、デンプン、水素化デンプン加水分解物、マルトデキストリン、アガー、カラゲナン、ポリデキストロースならびにこれらの誘導体および混合物などが挙げられる。
この粉末の製造法は次のとおりである。まずマトリックス材に必要に応じて水を添加して加熱し、マトリックス材の溶融物を形成する。次に、得られた溶融物にポリフェノール類を添加し、加熱しながら、混合攪拌して、粘度が高い液状混合物を得、押出機により溶媒中に押出、粉末を得る。
【0020】
前記包接体は、ホスト分子がかご形のような包接格子を作り、そのすき間にポリフェノール化合物が取り込まれる(包接される)ことによって生じる化合物をいう。ホスト分子としてはとくに制限されないが、シクロデキストリンが代表的なホスト分子である。ここで用いるシクロデキストリンとしては、αーシクロデキストリン、β−シクロデキストリン又はγ−シクロデキストリンの1種又は2種以上の他に、グルコース、マルトース、マルトトリオース等の糖類が1分子、又は2分子α−1,6結合した誘導体、グルコース残基の少なくともその一部をヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、2、3−ジヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシイソブチル、ジエチルアミノエチル、トリメチルアンモニオプロピルなどの親水性官能基にて化学修飾したシクロデキストリン誘導体、エピクロルヒドリンや多価グリシジルエーテルなどの架橋剤にて高分子化したシクロデキストリンポリマー、グルコース、マルトースなどの分岐側鎖を有する分岐シクロデキストリンなどから選ばれるシクロデキストリン誘導体がある。
前記包接体は、シクロデキストリン類若しくはシクロデキストリン誘導体とポリフェノール化合物を水の存在下で撹拌混合して、析出する包接化合物をろ過、乾燥して得るか、あるいはこのまま水溶液として、さらには所望によりこの包接化合物を乾燥、粉末化することにより製造されるが、本発明ではこれらの方法になんら制限されない。
【0021】
前記ローラーコンパクターを用いて調製される粉末は、ローラーコンパクターを用いてポリフェノール化合物と賦形剤とを含む組成物から粉体を調製される粉体である。前記賦形剤としては、親水性物質が好ましく、ゼラチン、カゼイン、カゼインナトリウム、ホエータンパク、脱脂粉乳、全脂粉乳、アルブミン等の親水性蛋白質、マルトデキストリン、化工澱粉(酸分解澱粉、酸化澱粉、α化澱粉、グラフト化澱粉、エーテル化澱粉、酢酸、リン酸等を反応させたエステル化澱粉等)、アルギン酸塩、アラビアガム、大豆多糖類、グアーガム、キサンタンガム、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、アガロース等の親水性多糖類、HAP、HVP等のタンパク部分加水分解物、オリゴ糖等の澱粉部分分解物、乳糖に代表される糖類等が用いられる。
以上、主として粉末について説明したが、本発明では顆粒やカプセル状物も含まれる。例えば、ローラーコンパクターを用いて調製される顆粒、上記粉末同士をさらに処理して得られる粉末同士が吸着した造粒物なども本発明で言う造粒物に含まれる。さらに、上記粉末をさらに油脂やセルロース類でコーティング処理して得られる造粒物も本発明で言う造粒物に含まれる。さらに、二重コーティング処理してえられる造粒物も本発明で言う造粒物に含まれる。
【0022】
本発明の消臭剤組成物の構成成分として、二酸化ケイ素を更に使用してもよい。二酸化ケイ素を使用する態様としては、前記(a)成分、(b)成分、(c)成分の混合物に二酸化ケイ素を添加してもよいが、前記各成分のいずれかに添加して使用することもできる。
この二酸化珪素を含む消臭剤組成物は、悪臭源に適用しようとするとき、あるいは保存しようとするときなどに、操作性(ハンドリング)が向上するという利点がある。そのうえ消臭剤組成物の保存安定性の向上にも有効である。
【0023】
本発明の消臭剤組成物は、(a)前記ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物、(b)前記塩基性物質及び(c)前記金属塩を混合することにより調製できる。ここで、前記各成分を別々に保存しておき、消臭効果を発揮させたいときに、各成分を混合することも可能である。したがって、本発明の消臭剤組成物を構成する各成分を別個に保存しておく場合も本発明の範囲に属する。例えば、(a)成分と(c)成分との混合物と、(b)成分とを本発明の消臭剤組成物ということができるし、(b)成分と(c)成分との混合物と、(a)成分とを消臭剤組成物ということもできる。さらには、(a)成分と(b)成分と(c)成分とを別個に保存しておく場合も本発明の消臭剤組成物ということができる。
本発明では、前記各成分のそれぞれを溶媒と混合し、液状物とすることができる。前記溶媒としては、水、含水アルコール、低級アルコール(メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなど)、ポリオール系有機溶媒(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、ベンジルアルコール、グリセロール、モノグリセリド、ジグリセリド、動植物油、精油などが挙げられる。
また、前記各成分を固体状物あるいはゲル状物のまま使用することができる。好ましい固体状物として粉末を挙げることができるが、粉末はすでに説明したとおりである。
【0024】
前記賦形剤からなる外壁膜でコートされたマイクロカプセルは、ポリフェノール化合物を賦形剤でコートして得られる粉末をいう。
前記ゲル状物質の例として、上記各成分をゲル化剤と共存させて得られるゲル状物が好ましい。前記ゲル化剤としては、カラギーナン、カルボキシビニルポリマー、架橋ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸ソーダ、寒天、ゼラチン、ペクチン、ファーセラン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジュランガム、コラーゲン等の水性ゲル化剤;金属石鹸、ジベンジリデンソルビトール等の油性ゲル化剤が挙げられ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
本発明の消臭剤組成物を担体に担持させることもできる。担体に担持させる方法として、消臭剤組成物を溶液の状態とし、担体に塗布、含浸、噴霧等の手段により付着させ、次いで乾燥(例えば、60℃で12時間、風乾)する方法を挙げることが出来る。
本発明の消臭剤組成物は、任意の担体に担持させることもできるが、それ以外に、ゼラチン、アラビアガム、アルギン酸ソーダ、エチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリスチレン、パラフィンワックス等を用い、公知の方法でカプセル化して使用しても良い。
【0025】
本発明においては、上記方法により得られた消臭剤組成物に、市販されている各種の配合剤を添加することができる。配合剤としては、例えば、増量剤、抗酸化剤、色素、公知の消臭素材、悪臭を軽減させるための酵素、界面活性剤、香料、安定化剤、抗菌剤、吸湿剤(塩化カルシウム、高吸水性高分子等)、賦形剤(乳糖等)などが挙げられる。
これらを単独あるいは2種以上を組み合わせて本発明の消臭剤組成物に配合することができ、特徴のある消臭剤を調製することができる。とくに抗菌剤を消臭剤組成物に配合すると消臭効果が相乗的に増加するので、これに他の配合剤を併用して配合剤の機能を引き出し、より特徴のある消臭剤を調製することが可能となる。上記配合剤の配合量は所期の目的を達成できる量であれば、とくに限定されない。
【0026】
前記増量剤としては、糖類、多糖類、加工澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース(以下、CMCという)、レシチン等がある。
抗酸化剤としては、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、クエン酸、ビオフラボ酸、グルタチオン、セレン、リコペン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC等の他、ピロロピロール誘導体や各種植物からの抽出物から得られる遊離基スカベンジャー(freeradical scavengers)、スーパーオキサイドディスムターゼやグルタチオンペルオキシダーゼなどの抗酸化特性を有する酵素などが知られている。
【0027】
色素としては、染料、レーキ、有機顔料などの有機合成色素(タール色素)、天然色素、無機顔料などが知られており、具体的には、ハイビスカス色素、ハクルベリー色素、プラム色素、ノリ色素、デュベリー色素、ブドウ果汁色素、ブラックベリー色素、ブルーベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素、パブリカ粉末、麦芽エキス、ルチン、フラボノイド、アカキャベツ色素、アカダイコン色素、アズキ色素、ウコン色素、オリーブ茶、カウベリー色素、クロレラ粉末、サフラン色素、シソ色素、ストロベリー色素、チコリ色素、ペカンナッツ色素、ベニコウジ色素、ベニバナ色素、ムラサキイモ色素、ラック色素、スピルリナ色素、タマネギ色素、タマリンド色素、トウガラシ色素、クチナシ色素、シコン色素、シタン色素、オキアミ色素、オレンジ色素、ニンジンカロテン、カルメル、鉄クロロフィリンナトリウム、リボフラビン、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム、アラマンス、エリスロシン、ニューコクシン、フロキシンB、ローズベンガル、アシッドレッド、クートラジン、サンセットイエロー、ファストグリーン、ブリリアントブルー、インジゴカルミン、レーキレッドC、リソールレッド、ローダミン、フロキシン、インジゴ、ポンソー、オレンジI、スダンブルーなどが知られている。無機顔料としては、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、無水ケイ酸、酸化アルミニウム、ベンガラ、酸化鉄、群青、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化亜鉛、雲母、オキシ塩化ビスマス、窒化ホウ素、フォトクロミック顔料、微粒子複合粉体(ハイブリットファインパウダー)、合成マイカなどが挙げられる。
【0028】
抗菌剤としては安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ツヤプリシン、ウド抽出物、エゴノキ抽出物、カワラヨモギ抽出物、しらこたん白抽出物、酵素分解ハトムギ抽出物等がある。
【0029】
公知の消臭剤としては、たとえば、硫酸第一鉄などの硫酸鉄や塩酸鉄などの脱硫作用による消臭剤、酸性剤、アルカリ性剤、酸化剤などの化学反応作用による消臭剤;付加剤としての(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸エステルなどや縮合剤としてのグリオキシザールなどの付加・縮合作用による消臭剤;両性イオン交換樹脂、カチオン性イオン交換樹脂、アニオン性イオン交換樹脂などのイオン交換作用による消臭剤;アルカリ性または酸性添着活性炭、活性炭と化学反応剤との混合物などの薬剤添着吸着作用による消臭剤;中性活性炭、繊維化炭素吸着剤、ゼオライト、活性白土などの多孔質の吸着剤などの吸着作用による消臭剤;消化酵素や口内善玉菌LS-1乳酸菌、酵母、土壌細菌などが生産する酵素あるいはそれら菌自体などの酵素作用による消臭剤;クロラミンT、パラベン系、フェノール系などの防腐・殺菌作用による消臭剤;柿ポリフェノール化合物、茶カテキン、ローズマリー抽出物、ウーロン茶抽出物、ヨモギ抽出物、ウラジロガシ葉抽出物、米糠・大豆焙煎抽出物などのポリフェノール化合物系消臭剤等が挙げられ、その他、サイクロデキストリン、シャンピニオンエキス、ルイボス抽出物、鉄クロロフィンナトリウム、活性炭、ゼオライト等が挙げられる。
【0030】
本発明の消臭剤組成物には、ポリフェノール化合物酸化酵素を共存させてもよい。好ましい酵素としては、カテコールオキシダーゼ、ポリフェノールオキシダーゼ、チロシナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。本発明での消臭剤組成物は、特にアルカリ性にて酵素活性を示す酵素を用いることが好ましい。
酵素の添加量はとくに限定されないが、消臭剤組成物のポリフェノール化合物100mg当たり、酵素活性が100単位以上となる量で添加することが好ましい。なお、ここでいう酵素活性の単位とは、(L)−ドーパ(L−DOPA)を基質として、pH6.5、温度25℃の条件下、1分間反応させた場合にOD265nmでの吸光値を0.001増加させたときを1単位と定義する。
本発明では植物の抽出物から得られる粗酵素(以下、植物由来酵素パウダーということがある)を使用することもできる。粗酵素としては、本発明の所期の目的を損なわない限り特に制限されない。粗酵素を調製するために用いる具体的な植物としては、アガリクス属およびボレタス属のキノコ、リンゴ、バナナ、ナシ、イチゴ、カキ、パイナップル、ブドウ、アンズ、モモ、プラム、パパイヤ、マルメロ、アボガド、マンゴー、サクランボ、アプリコット、メロン、ビワ、イチジク、プルーン、キウイ、ブルーベリー、ブラックベリー、ラスベリー、ツルコケモモ、スグリ、ゴボウ、ナス、トマト、ヨモギ、ハスの根、レタス、キャベツ、甜菜、ホップ、バースニップ、ほうれん草、大根、カブ、カリフラワー、チコリー、タマネギ、セロリ、ニンジン、アスパラガス、西洋ワサビ、ショウガ、アロエ、ピーマン、大麦、小麦、トウモロコシ、アルファルファ、モルト、ソラマメ、大豆、アズキ、インゲン、サヤインゲン、ヤエナリ、バレイショ、サツマイモ、サトウキビ、タロイモ、茶、タバコ、オリーブ、ナツメグ、キクなどが挙げられる。特に、アガリクス属およびボレタス属のキノコ、リンゴ、バナナ、ナシ、モモ、ゴボウ、西洋ワサビ、茶、タバコが好ましい。これら植物を凍結乾燥して得られる凍結乾燥パウダー、熱風乾燥して得られる熱風乾燥パウダーも本発明の酵素に含まれるし、これら植物からのアセトンパウダーも本発明の酵素に含まれる。
【0031】
界面活性剤としては、ノニオンタイプ(ポリオキシエチレンアルキルエーテルや脂肪酸アルキロールアミドなど)、アシルグルタミン酸タイプなどをあげることができ、これらの界面活性剤を1種または2種以上組み合わせて用いることが好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの例としては、ポリオキシエチレンステアリル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油などがあげられる。脂肪酸アルキロールアミドの例としては、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドがあげられる。アシルグルタミン酸タイプとしては、炭素数12〜18の飽和及び不飽和脂肪酸、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸などのグルタミン酸エステルが挙げられ、具体的には、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸・硬化牛脂脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸カリウムなどがあげられる。
【0032】
本発明の消臭剤組成物にはフレーバー及び/又はフレグランス(以下、香料ということがある)を使用してもよい。その結果、基質特有の異臭をマスキングすることができ、しかも心地よい香気を付与することもできる。
用いられる香料は何れでも良く、特に限定されないのであって、合成香料でも天然精油でもよく、液状、ペースト状、固形状等いずれの状態のものであってもよい。例えば、本発明で用いられるフレーバーとしては、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、ケトン類、アセタール類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、フラン類、炭化水素類、酸類などの合成香料、および、天然香料などが挙げられる。
本発明の用いられるフレグランスとしては、炭化水素類、アルコール類、フェノール類、アルデヒド類及び/又はアセタール類、ケトン類及び/又はケタール類、エーテル類、合成ムスク類、酸類、ラクトン類、エステル類、含ハロゲン化合物、天然香料などが挙げられる。
【0033】
さらに、上記フレーバーおよびフレグランスの他に、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書;日本香料工業会 平成13年3月発行)、「合成香料 化学と商品知識」(1996年3月6日発行 印藤元一著 化学工業日報社)、「Perfume and Flavor Chemicals(Aroma Chemicals)1,2」(Steffen Arctender(1969)などの記載の香料を使用することができる。
これら、フレーバーおよびフレグランスは、1種および2種以上を混合して使用しても良い。
これらは市販のものを使用することもできる。また単品は、合成品を使用してもよいし、植物などの天然起源から導入してもよい。精油、レジノイド、バルサム、アブソリュート、コンクリート、チンキなどは、公知の方法で調製してから使用することもできる。
【0034】
香料成分の具体例としては、リモネン、ピネン、γ−テレピネン、カリオフィレンなどの炭化水素系香料;フェニルエチルアルコール、テレピネオール、パクダノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シス−3−ヘキセノールなどのアルコール系香料;リリアール、シトラール、アルデヒドC−8、アルデヒドC−9、アルデヒドC−11、ヘキシルシンナミックアルデヒド、バニリン、ヘリオトロピンなどのアルデヒド系香料;ヨノン、ローズフェノン、ウッディーフロー、ダマスコン、イソイースーパーなどのケトン系香料;ムスク類、オイゲノール、クマリンなどの他の香料;レモン油、オレンジ油、ペパーミント油のような精油類;アップルエッセンス、ストロベリーエッセンスのようなエッセンス類などを挙げることができ、とくに硫黄原子や窒素原子を含まない化合物が好ましい。本発明においては、これら香料成分の1種または2種以上が含まれる。
【0035】
また、香料とともに、必要により、溶剤(エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなど)、乳化剤、可溶化剤、保留剤・保香剤、冷感剤・温感剤、エンハンサー、酸化防止剤、光劣化防止剤などの添加剤を適宜用いることができる(例えば、「周知・慣用技術集(香料)第1部 香料一般」、平成11年1月29日、特許庁発行参照)。
【0036】
香料の配合量は、採用されるポリフェノール化合物、消臭剤組成物の適用対象、使用方法などにより変動するが、通常消臭剤組成物に対して0.001〜10重量%とすることが好ましい。
【0037】
本発明の消臭剤組成物は、広い範囲の臭いの除去あるいは軽減に有効である。
具体的には、口臭、体臭、冷蔵庫内での臭い、ヒト・動物・鳥の糞尿の臭い、体臭、生ゴミの臭いなど日常の生活において感じられる臭い、工場内あるいは工業廃液中の悪臭など様々な臭気を消去あるいは軽減するのに有効である。
また、本発明の消臭剤組成物は、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルスルフィドなどの含硫黄化合物;アンモニア、尿素、インドール、スカトール、アミン類などの含窒素化合物;酪酸などの低級脂肪酸などの消臭効果に優れている。その中でも、本発明の消臭剤組成物は、とくにメチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルスルフィドなどの含硫黄化合物の消臭効果に優れている。
【0038】
また、本発明の消臭剤組成物は、下記の製品あるいは商品に含ませておき、消臭機能を発揮することも可能である。具体的には、各種飲料、粉末飲料などの飲料;ゼリー、錠菓、スナック類、水産加工食品、畜肉加工食品、調味料、粉末スープ、粉末デザートのような粉末食品、スナック焼き菓子、レトルト食品、冷凍食品、インスタントラーメン、健康食品、電子レンジ調理用食品、各種製菓、各種デザートなどの食品;洗口液、歯磨き剤、チューイングガム、タブレット、ハードキャンディー、ソフトキャンディー、カプセル、口腔用スプレーなどの口腔用製品;猫砂、猫寝藁、シート等の犬、猫、ウサギ、ハムスター、インコなどの鳥類等のペット用品・動物用品;洗濯洗剤、台所用洗剤、浴室用洗剤、カーペット用洗剤、トイレ用洗剤などの洗浄剤;せっけん、ボディーシャンプー、ハンドソープ、ローション、化粧水、制汗剤、足用消臭スプレー、足用パウダーなどの化粧品;シャンプー、コンディショナー、ヘアリンス、ヘアーカラー剤、パーマネント剤、ワックス、ヘアースプレー、ムースなどのヘアケア製品;入浴剤;紙オムツ、紙パッド、生理用ナプキン、シーツ、タオル、ウェットティッシュ等の衛生用品;家庭用クリーニング製品、下駄箱スプレー、靴中用シート、生ゴミ用スプレー、空気清浄装置や空調機、脱臭機、送・排風機用のフィルター、冷蔵庫用消臭・脱臭剤(材)、衣類用消臭・脱臭剤、たんす・クローゼット・押し入れ用消臭・脱臭剤、室内・車内用消臭・脱臭剤(材)、トイレ用消臭・脱臭剤、繊維製品用消臭・脱臭剤、衣類(肌着や靴下)、車のシート、消臭繊維、工場内あるいは工業廃液用の消臭・脱臭剤、その他の各種消臭剤、各種脱臭剤を挙げることができる。
本発明の消臭剤組成物の使用量は、製品あるいは商品の種類、形態などにより異なるが、一般的には、製品あるいは商品1重量部に対して約0.001〜約0.1重量部、好ましくは約0.01〜約0.05重量部の範囲内とすることが好ましい。
【0039】
本発明の消臭剤組成物を用いて悪臭を消臭する際には、本出願前公知の方法を適用することができる。例えば、本発明の消臭剤組成物の固形状物、ゲル状物あるいは液状物を、悪臭成分が存在する部位・場所、あるいは悪臭成分が発生するであろうと予測される部位・場所に、直接散布する、振り掛ける、ふき取る、漬け込む、放置するなどの方法により適用すると悪臭成分の除去あるいは発生予防を可能とすることができる。また、本発明の消臭剤組成物をスプレー法により適用してもよい。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。
実施例1〜5 消臭剤組成物の調製
クロロゲン酸2μmol、炭酸水素ナトリウム100μmol、表1記載の金属塩0.5μmolを加えて混合し、消臭剤組成物を得た。
【0041】
試験例1 消臭剤組成物のメチルメルカプタンに対する消臭効果
50mLのバイアル瓶に実施例1の消臭剤組成物、水2mL、メチルメルカプタンナトリウムの15%水溶液(東京化成工業株式会社)4uLを加えて、パラフィルムで蓋をして、25℃にて攪拌する。所定時間に、バイアル瓶内のヘッドスペースガス50μLをガス検知管(ガステック株式会社製)に通して、ガス内に残存する悪臭成分である含イオウ化合物の濃度を測定し、下式に従って消臭率を算出した。その結果を表1に示す。
消臭率(%)=100×{1−(A/B)}
なお、上記式中、Aは測定された悪臭成分濃度を示し、Bはコントロールでの測定された悪臭成分濃度を示す。
コントロールは、炭酸水素ナトリウム100μmolに対して水2mL加えた。
【0042】
比較例1
クロロゲン酸2μmol、及び炭酸水素ナトリウム100μmolを混合し、比較用の消臭剤組成物を得た。
比較例2
クロロゲン酸1mmol、炭酸水素ナトリウム50mmolの混合物に対して、水50mLを加えて室温下、酸素と接触できる条件で3時間攪拌した後、凍結乾燥し、有色化合物を得、その中の12mgを比較用の消臭剤組成物とした。
比較例3
クロロゲン酸1mmol、炭酸水素ナトリウム50mmol、塩化マグネシウム0.25mmolの混合物に対して、水50mLを加え、それ以降は比較例2と同様に操作して、有色化合物を得、その中の12mgを比較用の消臭剤組成物とした。
【0043】
試験例2
実施例2〜5の消臭剤組成物のメチルメルカプタンに対する消臭効果を、試験例1と同様な操作に従い、測定した。
測定結果を下記表1に示した。
【0044】
試験例3
比較例1〜3の比較用の消臭剤組成物のメチルメルカプタンに対する消臭効果を、試験例1と同様な操作に従い、測定した。
測定結果を下記表1に示した。
【0045】
【表1】

【0046】
実施例6〜9 消臭剤組成物の調製
クロロゲン酸2μmol、炭酸水素ナトリウム100μmol、表2記載の金属塩0.5μmol、表2記載の植物由来酵素パウダー10mgを加えて混合物し、消臭剤組成物を得た。
【0047】
試験例4
実施例6〜9の消臭剤組成物のメチルメルカプタンに対する消臭効果を、試験例1と同様な操作に従い、測定した。
測定結果を下記表2に示した。
【0048】
【表2】

【0049】
表1と表2とから、ポリフェノール化合物と塩基性物質の系に所定の金属塩を混入させることにより、ポリフェノール化合物と塩基性物質の系よりも顕著に消臭効果が向上した。その効果は、同じ原料組成で生成した有色化合物に比較しても、優れた効果を示した。
さらにpH7以上のアルカリ性領域でも作用するポリフェノール酸化酵素が共存するとさらに消臭効果が高まることが明らかになった。
なお、表中のゴボウアセトンパウダーは、植物100gに−20℃アセトン400lを入れてミキサーで磨砕した後、吸引濾過する。残渣は5℃の80%アセトン含水溶液500mlで十分洗浄し、濾液と合わせてアセトン溜去後、凍結乾燥して粉末にした。
また、ナシ凍結乾燥パウダー、リンゴ凍結乾燥パウダー、バナナ凍結乾燥パウダーは、各植物を薄片とし、次いで凍結乾燥後、粉砕して調製した。
【0050】
実施例10〜18 消臭剤組成物の調製
表3記載のポリフェノール化合物2μmol、塩基性物質100μmol、金属塩0.5μmol、を加えて混合し、消臭剤組成物を得た。
【0051】
試験例5
実施例10〜17の消臭剤組成物のメチルメルカプタンに対する消臭効果を、試験例1と同様な操作に従い、測定した。
測定結果を下記表3に示した。
【0052】
比較例4〜12
表3記載のポリフェノール化合物2μmol、及び塩基性物質100μmolを混合し、比較用の消臭剤組成物を得た。
【0053】
試験例6
比較例4〜11の比較用の消臭剤組成物のメチルメルカプタンに対する消臭効果を、試験例1と同様な操作に従い、測定した。
測定結果を下記表3に示した。
【0054】
【表3】

表3中、漂白剤、灰汁、かんすい、にがりは市販品である。
【0055】
表3中の抽出物:
緑茶抽出物: 煎茶1kgを90℃の熱水10Lで1時間攪拌しながら抽出し、茶葉を濾過により除き、8.3Lの抽出液を得た。この液を1Lまで濃縮し、これにアセトン1Lを加えて攪拌し、生じた不溶物を遠心分離により除いた。上清液に酢酸エチル1Lを加えて攪拌し、30分間静置した。得られた酢酸エチル層を減圧下に濃縮し、水層に転換した後凍結乾燥して、純度60%の緑茶抽出物97gを得た。
コーヒー生豆抽出物: コーヒー生豆を粉砕機で粉砕後(メッシュ5mm)、水を加えて85〜95℃で2時間抽出する。抽出物を濾過後、濾液をXAD−2(オルガノ(株)製)カラムに吸着させる。水で洗浄した後、メタノールで溶出させたものを濃縮乾固し、コーヒー生豆抽出物とする。
リンゴ抽出物: ニッカウイスキー株式会社製
ブドウ果皮抽出物: ブドウ果皮(品種:キャンベル種)にエタノールを加えた後、70℃、2時間攪拌抽出した。抽出液を濃縮乾固したものをブドウ果皮抽出物とした。
表3から、ポリフェノール化合物と塩基性物質の系に所定の金属塩を混入させることにより、ポリフェノール化合物と塩基性物質の系よりも顕著に消臭効果がアップしたことがわかった。
【0056】
実施例19 消臭剤組成物の調製
下記ポリフェノール化合物含有造粒物を調製し、その造粒物をポリフェノール化合物含量が2μmolとなる量秤量し、次いで炭酸水素ナトリウム100μmol及び塩化マグネシウム0.5μmolを加え、混合し、消臭剤組成物を得た。
(ポリフェノール化合物含有造粒物の調製)
イソマルト(パラチニット)66.79重量部、化工デンプン(ピュリティガム59:ナショナルスターチアンドケミカル社製)0.95重量部、デキストリン(パインデックス#1:松尾化学工業社製)22.26重量部を、イオン交換水27mLに分散させたカテキン(ポリフェノールパウダーGTP90:あいや社製)10重量部とともに撹拌しながら加熱し、均一な溶融物を得た。次いで、その溶融物を、押出機を用いて、−10℃に冷却されたイソプロピルアルコール中にフィラメント状に押し出し、急速冷却した後、撹拌、粉砕した。次いで、その粉砕物を遠心分離処理によりイソプロピルアルコールを除去して、ポリフェノール化合物含有造粒物を得た。
【0057】
実施例20 消臭剤組成物の調製
下記ポリフェノール化合物含有造粒物を調製し、その造粒物をポリフェノール化合物含量が2μmolとなる量秤量し、次いで炭酸水素ナトリウム100μmol及び塩化マグネシウム0.5μmolを加え、混合し、消臭剤組成物を得た。
(ポリフェノール化合物含有造粒物の調製)
ソルビトール10kgとカテキン(ポリフェノールパウダーGTP90:あいや社製)0.2kgの混合物をホッパー内で自然落下させ、次いで水平スクリューを利用し、スクリュー回転数15rpmで水平移動させ、圧縮用ローラー間に供給した。該カテキンを、ローラー圧縮圧25N/cm、ローラー間隔0.5mm、ローラー回転数15rpmの条件下で圧縮し、板状物を得た。この板状物を冷風にて冷却した。この冷却物を回転式粉砕機にて粉砕し、サイズを揃え、ポリフェノール化合物含有造粒物を得た。
【0058】
実施例21 消臭剤組成物の調製
下記ポリフェノール化合物含有造粒物を調製し、その造粒物をポリフェノール化合物含量が2μmolとなる量秤量し、次いで炭酸水素ナトリウム100μmol及び塩化マグネシウム0.5μmolを加え、混合し、消臭剤組成物を得た。
(ポリフェノール化合物含有造粒物の調製)
水15kgと賦形剤であるデキストリン(松谷化学製)8.9kg、乳化剤0.1kg(ポリグリセリン脂肪酸エステル)を溶解させた後、カテキン(ポリフェノールパウダーGTP90:あいや社製)1kgを添加し、TKミキサーを用いて、撹拌混合を行い、乳化物を得た。ついで該乳化物を入口温度180℃排出温度90℃に設定されたスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、ポリフェノール化合物含有造粒物を得た。
【0059】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2006年3月22日出願の日本特許出願(特願2006−079559)、に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明により、悪臭源に適用したときに短い時間内に消臭効果を発揮する消臭剤組成物を提供できる。しかも優れた消臭活性を発揮するとともに保存安定性に優れた消臭剤組成物を提供できる。また、本発明の消臭剤組成物は無色、白色、あるいは淡い色を呈するので、消臭剤として適用するときに制限を受けることが殆どない。本発明により、口臭、体臭、冷蔵庫内での臭い、生ゴミ臭、下駄箱臭、ヒトや動物の体臭、ヒト・動物の糞尿の臭いなど日常の生活において感じられる臭い、工場内あるいは工業廃液中の悪臭などを消去あるいは軽減するために使用される新規な消臭剤組成物を提供できる。
本発明により、各種悪臭成分に対して優れた消臭効果がある消臭剤組成物が提供される。本発明の消臭剤組成物は悪臭成分の中でも、メチルメルカプタン、硫化水素、ジメチルスルファイドなどの含硫黄系化合物や酪酸、イソ吉草酸などの低級脂肪酸などの悪臭成分の消臭効果に優れているうえ、アルカリ性であるアンモニアなどのアミン系悪臭成分にも消臭効果が優れている。さらにこの消臭剤組成物は調製方法が比較的簡単であり、しかも消臭剤組成物を一度調製すれば、該消臭剤組成物を長い時間保存した後でも消臭機能が維持されるという効果も有するので、極めて優れた消臭剤組成物といえる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物、(b)塩基性物質、及び(c)金属塩を含むことを特徴とする消臭剤組成物。
【請求項2】
(a)ポリフェノール化合物又はポリフェノール化合物を含有する植物抽出物を含む造粒物、(b)塩基性物質、及び(c)金属塩を含むことを特徴とする消臭剤組成物。
【請求項3】
さらにポリフェノール化合物酸化酵素を含むことを特徴とする請求項1または2記載の消臭剤組成物。
【請求項4】
二酸化ケイ素を更に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の消臭剤組成物。
【請求項5】
塩基性物質がかんすい、灰汁、および漂白剤からなる群から選ばれる少なくとも一種または二種以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の消臭剤組成物。
【請求項6】
金属塩がにがりである請求項1〜5のいずれか1項記載の消臭剤組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の消臭剤組成物を適用する、悪臭の消臭方法。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項記載の消臭剤組成物を、悪臭の消臭に使用する方法。

【公表番号】特表2009−530014(P2009−530014A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−501106(P2009−501106)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際出願番号】PCT/JP2007/056753
【国際公開番号】WO2007/111362
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】