説明

液中圧電板センサー

【課題】 圧電板にかかる圧力のばらつきを抑え、しかも、効率的に圧電板を基板に固定することが可能な固定構造を備えた液中圧電板センサーを提供することを目的とする。
【解決手段】 基板に設けられた圧電板の片面側を溶液に接するようにし、反対面側を溶液から隔離されるようにして使用する液中圧電板センサーであって、前記圧電板は両面に電極を備え、前記電極が導電性接着剤を介して前記基板に設けられた配線と接続され、前記圧電板の溶液に接する側の面の外周縁部から前記基板に粘着テープを貼着することにより、前記圧電板を前記基板に固定したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶振動子等の圧電板を利用した液中圧電板センサーの構造に関し、詳細には、圧電板を基板に取り付けるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電板として知られる水晶振動子は、電極表面上への物質の吸着量に比例して基本振動数が減少するため、マスセンサーとして用いられる。特に液相中においては電極表面上の分子と溶液中の分子との相互作用を観察できるため分子間相互作用測定装置として有用である。水晶振動子を溶液中でマスセンサーとして利用するには、水晶の両面に配置された電極間の短絡を防ぐために、物質検出面を溶液に接するようにし、反対面を溶液に触れないよう隔離することが必要である。
このために従来法では、(1)ゴム製のガスケットやOリングを使用して隔離する方法や、(2)隔離し易いように形成されたシリコン材料等からなる部材により隔離する方法、(3)接着剤によって外周部を固化する方法などが採られている。
【0003】
水晶振動子センサーの片面の溶液との隔離におけるこれまでの報告にはいくつか課題がある。
Oリングを用いる方法では、水晶板に加わる圧力の制御が困難であり、Oリングの位置によって水晶板への圧力が異なることでノイズの原因となる。また、メンテナンスや実験の工程からの要請等のためにOリングを外して再度組立を行うと水晶の基本振動数が大きく乱れることがある。これはOリングを外して行う処理、例えば、Oリングの素材が耐性のない特殊な溶剤に溶解したサンプルを水晶板上に固定化するときなどを行ったときの工程のモニタリング、即ち、水晶板上に固定化したサンプルの固定化量を固定化前後での基本振動数変化から測定を行う際に問題となる。
シリコン材料などで隔離する方法は、Oリングを用いた方法の問題を解決できるが、所望の形状とするためにシリコン材料やプラスチック板を加工する必要があるために一般的に高価となる。また水晶板と材料の間の接着は基本的には液状の接着剤で行う必要があり正確な塗布のためにはディスペンサーなどの製造設備が必要になる。
接着剤により水晶の外周部に固形物を形成する方法は、Oリングやシリコン材料を用いた方法の問題を解決できるが、液状の接着剤を水晶振動子の周りに塗布する必要があるので、ディスペンサーなどの高価な製造設備が必要になる。更に、意図しない箇所へ液状の接着剤が回りこみ、水晶の特性悪化を招くという問題がある。また、接着剤固化の際に接着剤容積の変化により水晶板に応力がかかることも問題視されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2759659号公報
【特許文献2】特許4246992号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】M. Rodahl, et.al. , Rev. Sci. Instrum. 66 (7), July 1995,3924-3930
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、上記の問題を解決するために、本発明は、圧電板にかかる圧力にばらつきを抑え、しかも、効率的に圧電板を基板に固定することが可能な固定構造を備えた液中圧電板センサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討の結果、以下の解決手段を見出した。
即ち、本発明は、請求項1に記載の通り、基板に設けられた圧電板の片面側を溶液に接するようにし、反対面側を溶液から隔離されるようにして使用する液中圧電板センサーであって、前記圧電板は両面に電極を備え、前記電極が導電性接着剤を介して前記基板に設けられた配線と接続され、前記圧電板の溶液に接する側の面の外周縁部から前記基板に粘着テープを貼着することにより、前記圧電板を前記基板に固定したことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記導電性接着剤及び前記基板に設けられた前記配線の一部を前記粘着テープにより被覆することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項2において、前記基板に設けられた前記配線が前記粘着テープにより被覆された領域を、前記液中圧電板センサーが溶液と接触する部位としたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項において、前記圧電板の周囲に、前記圧電板の高さと同じになるように、前記配線の一部又は全部を構成するか、前記配線とは異なるパターン層を設けるか、或いは、前記配線の一部又は全部にパターン層を積層することにより、前記圧電板の溶液の接する側の面の外周縁部及び前記配線及び/又は前記パターン層の液接触表面側のみに前記粘着テープを貼着したことを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項において、前記基板の前記圧電板の前記電極に対応する部位に貫通孔を設けたことを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れか1項において、前記圧電板は水晶振動子であることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1乃至6の何れか1項において、前記粘着テープの基材の主な成分が、ポリイミド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ガラスクロス及びアセテートクロスの少なくとも何れかであることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項において、前記圧電板の溶液に接する側に溶液を蓄えられる反応槽を設け、前記反応槽中の溶液を撹拌するための機構を設けたことを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項1乃至7の何れか1項において、前記圧電板の溶液に接する側に溶液を蓄えられる反応槽を設け、前記反応槽が溶液の導入口と排出口を備え、前記導入口からの溶液が前記圧電板の検出面に接触して前記排出口より排出されるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化が可能な液中圧電板センサーを簡便かつ安価に製造でき、さらに液状の接着剤を用いることのない液中圧電板センサーを提供する。
また、粘着テープは型を作成することにより小型化も容易でありまた大量生産にも適したものとなる。また、粘着テープを貼る際には特別な装置は必要ではなく設備投資もしなくて済む。
また、粘着テープの粘着剤は、通常は樹脂等の変形の比較的小さい基材に塗られており、形状の変化がほとんどないため水晶等の圧電板の望まない場所に粘着剤が漏れる等することがなく、圧電板の測定時の特性が悪化することを防ぐことができる。
また、粘着テープによる水晶の片面隔離は貼るだけの操作であり加熱や乾燥など水晶の特性に影響を与える工程もない。また一つの基板に複数の水晶振動子等を固定する場合においても、一枚の粘着テープにより複数の水晶振動子を処理することができ効率が良い。また、粘着テープの基材としてポリテトラフルオロエチレンなどの疎水性材料を用いることによって粘着テープを貼ったところを撥水性にすることができ、水晶振動子等の電極部分などに溶液を滴下する操作をするときに操作性が容易になる。
また、剥離紙及び粘着テープに位置を制御するガイド穴などを付け、そのガイド穴で基板と粘着テープの位置を合わせる冶具を用いることにより水晶振動子とそれを固定する基板の任意の位置に正確に貼ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施の形態で使用される水晶振動子の外形と電極パターンを示す概略図((a)表面(b)裏面)
【図2】(a)本発明の実施の形態のプリント基板を示す平面図、(b)プリント基板に水晶振動子を貼着した状態を示す平面図、(c)粘着テープを貼った状態を示す平面図、(d)粘着テープを貼った状態のA−A’断面図(同図(c)のA−A’断面)
【図3】(a)本発明の他の実施の形態のプリント基板を示す平面図、(b)プリント基板に水晶振動子を貼着した状態を示す平面図、(c)粘着テープを貼った状態を示す平面図、(d)粘着テープを貼った状態のB−B’断面図(同図(c)のB−B’断面)
【図4】ポリイミド性粘着テープによる貼りつけ前後での抵抗値、及びシリコン接着剤にて封止した場合の抵抗値(各N=4にて測定)
【図5】反応槽を備えた液中圧電板センサーの測定系を示す説明図
【図6】リン酸緩衝液中での基本振動数の経時的計測結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の液中圧電板センサーは、水晶板等の圧電板の溶液に接する側の面の外周縁部を粘着テープにより基板に固定することにより、圧電板を基板上に固定するものである。
粘着テープは、粘着剤を備えたものであれば、特に形状又は基材や粘着剤の材料等は問わない。
基材に関しては、例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ガラスクロスまたはアセテートクロス等を使用することができる。
粘着剤に関しては、例えば、シリコーンやアクリル等の柔軟な物質を使用することができる。このように柔軟な物質で構成することにより、粘着テープの粘着剤が圧電板に接したとしても圧電板の特性の悪化を招くことがないからである。
【0011】
粘着テープは、粘着剤側を圧電板の外周縁部、即ち、外周部及び/又は外周面、望ましくは溶液に接する面の外周部から始まって圧電板の外周面、そして、基板に亘り貼着する。圧電板の溶液に接する面側に接着される粘着テープは、その粘着面の面積が圧電板の特性を損なわない程度に少ない方が好ましい。
また、圧電板の溶液に接する面に粘着テープが接着する場合は圧電板の外周面への粘着テープの貼着は必須ではない。同様に、圧電板の外周面に粘着テープを貼着する場合は、圧電板の溶液に接する面への粘着テープの粘着は必須ではない。
粘着テープは、複数枚を貼着しても良いが、作業効率を高めるために、圧電板の溶液と接触する部位と対応する箇所を開口した1枚の粘着テープとすることが好ましい。
また、粘着テープは、液中圧電センサーに外部測定機器と接続するための接続端子(基板の配線の一部等)の部分を被覆しないようにした上で基板の広範囲を覆うように貼着できるものが好ましい。圧電センサーに溶液などを添加する際などに基板やその上の配線上の望まない位置に溶液が飛散してもこれによる電気的短絡を防ぐことができるからである。
【0012】
圧電板を固定するための基板についても、圧電板を固定できる程度の強度を有するものであれば、特に、その形状や材質について制限をするものではないが、例えば、厚さ0.5mm〜5mm程度のガラス板、ガラスエポキシ板、アクリル板、セラミック板等を使用することができる。
また、基板には、圧電板の電極と対応する部位には、貫通孔を設けることが好ましい。電極が基板に接触せずに、正確な測定が可能となるからである。
この基板には、圧電板に通電するための配線を成膜等により設けるものであるが、この配線の一部又は全部の膜厚を圧電板の厚さと同程度にし、圧電板の外周部の一部または全部を囲むように形成した上で、圧電板の側面で配線と通電することが望ましい。粘着テープにより被覆する際に、圧電板と配線との間で段差があると、粘着テープで被覆した際に空隙が生じたり、また段差により粘着テープに応力がかかると基板からの剥がれの原因になるからである。尚、段差を防止するためには、配線の一部又は全部を圧電板の厚さと同じにするだけでなく、圧電板の外周部の一部又は全部を囲むようにして、配線を構成する金属材料と同一又は異なる金属材料や、レジスト等で構成されたパターン層を圧電板と同じ厚さになるようにしたり、或いは、配線の上にパターン層(この場合は、レジスト等でパターン層を構成することになる)を積層して、配線及びパターン層の総厚が圧電板の厚さと同じようになるようにしてもよい。このような配線、またはレジスト層からなるパターンは製造工程において水晶板を基板に正確に配置する際の位置決めとしても有用である。
【0013】
尚、上記した圧電板には、電極及びリード電極が設けられ、リード電極と基板に設けられた配線とを接続するために導電性接着剤を使用するが、この導電性接着剤としては、公知のものを利用することができ、例えば、ド―タイトシリーズ(藤倉化成)等を使用することができる。
【0014】
また、上記説明したように、圧電板を粘着テープにより固定した後に、圧電板の電極の周囲を囲繞するようにして筒状の反応槽を設けるようにすれば、ある程度の量の液体についての測定も可能となり、この場合に、撹拌棒等の公知の撹拌手段を反応槽内に設けるようにする。これにより反応槽内の物質の圧電板への吸着をモニタリングすることがでる溶液中のマスセンサーとして利用できる。
また、反応槽に溶液の導入口及び排出口を形成すれば、フロースルータイプのセルとして同様のマスセンサーに利用することができる。
【0015】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態で使用する液中圧電板センサーのセンサー部を構成する圧電素子の構造を、図1に示す。この圧電素子(水晶振動子)1は、円盤状の水晶板2の両面の中央部に略円形状の電極3,3’を設け、それぞれの電極3,3’に外部電源からの電流を導くためのリード電極3a,3a’を接続することにより構成される。尚、電極3,3’及びリード電極3a,3a’は、金等の金属を成膜することにより形成される。また、リード電極3a,3a’は、図1(a)に示すように、水晶振動子1の表裏において互いに反対方向に延びるようにして構成され、溶液と接触する側の電極3に接続されたリード電極3aは、図1(b)に示すように、水晶板2の側面から背面側へと回り込むようにして形成している。これにより、両電極3,3’の外部と接続するためのリード電極3a,3a’の端部は、水晶板2の溶液と接触しない側に位置することになる。また、リード電極3a,3a’の端部は、水晶板2の外周形状に合わせて所定幅の端子3b,3b’が形成されている。
水晶振動子1が固定される基板4は、図2に示すように、外形寸法9mm×30mm×1.6 mm(厚さ)のガラスエポキシ樹脂製のプリント基板を使用している。基板4には、外部端子と接続される側(図2(a)において左側)から基板4の長手方向に沿って、両側部に略平行に所定の幅で配線5,5が設けられており、水晶振動子1が配置される側(図2(a)中の右側)において、それぞれの配線5,5は幅広に形成されるとともに、水晶振動子1の外周形状に合わせて1/4の円弧状に形成されている。
尚、基板4の水晶振動子1の電極3’が位置することになる部位には、水晶振動子1の電極3’よりも大きく、水晶板2よりも直径が小さい貫通穴6が設けられており、水晶振動子1の溶液に接しない側の電極3’が基板4と接触して特性が悪化することがないようにしている。
【0016】
水晶振動子1は、図2(b)に示すように、上記した配線5,5の端部間に形成された半円に合わせて配置される。即ち、水晶振動子1に設けられたリード電極3a,3a’が、配線端部間に形成された半円の直径に沿うようにして配置される。そして、それぞれの端子3b,3b’が、導電性接着剤7.7を介して配線5,5の端部と接続される。
【0017】
次に、図2(c)に示すように、外形寸法9mm×20mm×0.08mm(厚さ)の粘着テープ8で、水晶振動子1の水晶板2の直径よりも1周り小さい程度の円形状の開口部9が設けられたものを、水晶振動子1の中心と粘着テープ8の開口部9が対応するように貼ることによって水晶振動子1の外周部分を基板4に貼着する。この時に、図2(d)に断面図を示すように、水晶板2の外周において、幅1.5mm程度の粘着テープ8が基板4に貼着されるようにし、粘着テープ8の一部は水晶板2の側面側の一部にも回り込むようにしている。
尚、基板4の配線5,5のうち測定装置の接続端子と接続される端部側(図2(c)中の左側)には、粘着テープを貼着しないようにしている。
上記図2で示すように液中圧電センサーを構成すれば、安価で接着剤を用いずに液中圧電センサーを得ることができる。
【0018】
次に、図2で説明した実施の形態の変形例について図3を用いて説明する。
図3に示した液中圧電板センサーは、図2の配線5,5の膜厚を水晶板2と同じ程度とし、更に、水晶振動子1が配置される側の端子5,5間に水晶振動子1が配置されるように、端子5,5の端部の形状を略半円形に形成している。
このように水晶板2の厚みと同等の厚さで、しかも、水晶振動子1の外周形状が形成された配線5,5間には、水晶振動子1を位置決め配置することが容易であり、また、粘着テープ8を水晶板2の外周部と配線5,5上に貼ることで、粘着テープ8の形状のゆがみを最小限にして水晶振動子1を固定することができる。
【実施例】
【0019】
次に、上記図2で説明した構造の液中圧電板センサーにおいて、粘着テープを以下に示すものを使用した例を実施例1〜3とし、比較例のセンサーとともに比較を行った。尚、何れの粘着テープにも、剥離紙が貼着されているものを使用した。
【0020】
[実施例1]
ポリテトラフルオロエチレン基材にシリコン粘着剤が塗布されたものを粘着テープ(例えば日東電工903-UL)とした。
【0021】
[比較例1]
実施例1の粘着テープに代えて、水晶振動子の外周をシリコン接着剤にて封止したものを比較例1とした。
【0022】
実施例1〜3の液中圧電板センサーの水晶振動子の特性調べるために、π回路冶具を介してネットワークアナライザ(アドバンテスト, R3754B)により抵抗値を測定した結果を図4(a)に示す。
図4(a)のグラフから、本発明の実施例によれば粘着テープを貼る前後で抵抗値の変化はほとんどなく、粘着剤の水晶振動子への接触や粘着テープによる基板への固定は、水晶の特性には影響を与えないことが分かった。
これに対して、水晶振動子の外周をシリコン接着剤にて封止した比較例1の場合の抵抗値は、図4(b)に示すようにシリコン接着剤によるシールの前後で抵抗値が増加した。これはシリコン接着剤が固化する前に水晶振動子とプリント基板の間に浸み込んでしまったためと考えられる。
【0023】
次に、この水晶振動子の溶液中での特性を調べるために、図5に示すように、基板上に水晶振動子の溶液に接する側に内径寸法7mm、高さ10mmの円筒状反応槽10を取り付けて、発振回路12及び周波数カウンタ13に接続して、センサーの基本周波数を1秒1点で計測した。
反応槽10にはリン酸緩衝液を150μL入れ、反応槽10の上部開口から小型のモーターと撹拌子とから構成される撹拌手段11により撹拌を行った。数時間計測した後の水晶振動子の波形の一部を図6に示す。
図6から、リン酸緩衝液中での計測はノイズも小さく良好であった。また、このセンサーは繰り返しの使用や数日間溶液を入れておいても耐える耐久性があることがわかった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた圧電板の片面側を溶液に接するようにし、反対面側を溶液から隔離されるようにして使用する液中圧電板センサーであって、
前記圧電板は両面に電極を備え、前記電極が導電性接着剤を介して前記基板に設けられた配線と接続され、
前記圧電板の溶液に接する側の面の外周縁部から前記基板に粘着テープを貼着することにより、前記圧電板を前記基板に固定したことを特徴とする液中圧電板センサー。
【請求項2】
前記導電性接着剤及び前記基板に設けられた前記配線の一部を前記粘着テープにより被覆することを特徴とする請求項1記載の液中圧電板センサー。
【請求項3】
前記基板に設けられた前記配線が前記粘着テープにより被覆された領域を、前記液中圧電板センサーが溶液と接触する部位としたことを特徴とする請求項2記載の液中圧電板センサー。
【請求項4】
前記圧電板の周囲に、前記圧電板の高さと同じになるように、前記配線の一部又は全部を構成するか、前記配線とは異なるパターン層を設けるか、或いは、前記配線の一部又は全部にパターン層を積層することにより、前記圧電板の溶液の接する側の面の外周縁部及び前記配線及び/又は前記パターン層の液接触表面側のみに前記粘着テープを貼着したことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液中圧電板センサー。
【請求項5】
前記基板の前記圧電板の前記電極に対応する部位に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液中圧電板センサー。
【請求項6】
前記圧電板は水晶振動子であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の液中圧電板センサー。
【請求項7】
前記粘着テープの基材の主な成分が、ポリイミド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ガラスクロス及びアセテートクロスの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の液中圧電板センサー。
【請求項8】
前記圧電板の溶液に接する側に溶液を蓄えられる反応槽を設け、前記反応槽中の溶液を撹拌するための機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の液中圧電板センサー。
【請求項9】
前記圧電板の溶液に接する側に溶液を蓄えられる反応槽を設け、前記反応槽が溶液の導入口と排出口を備え、前記導入口からの溶液が前記圧電板の検出面に接触して前記排出口より排出されるようにしたことを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の液中圧電板センサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−36877(P2013−36877A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173732(P2011−173732)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】