説明

液体供給装置およびこれを備えたインクジェット印刷装置

【課題】メインタンク内の液体の残量または液体の消費量を精度良く取得することができる液体供給装置およびこれを備えたインクジェット印刷装置を提供する。
【解決手段】インクジェット印刷装置1は、液体供給装置11を備えている。液体供給装置11は、メインタンク13と、メインタンク13の一側部に連結され、水平軸P回りに回転自在にメインタンク13を支持する第1支持部37と、メインタンク13の一側部とは反対側の他側部を支持し、メインタンク13を一定の姿勢に保たせる第2支持部39と、第2支持部39がメインタンク13から受ける荷重を測定する荷重センサ21と、荷重センサ21の検知結果に基づいて、メインタンク13に貯留されている液体のタンク内重量を取得する制御部27と、を備えている。タンク内重量は第2支持部39がメインタンク13から受ける荷重をベースに取得される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体供給装置およびこれを備えたインクジェット印刷装置に係り、特に、メインタンク内の液体の残量を取得する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を供給する液体供給装置は、種々の装置に適用されている。例えば、インクジェット印刷装置の場合、インクジェットヘッド(ノズル)に対してインクを供給するための液体供給装置が設けられている。以下では、便宜上、インクジェット印刷装置に適用される液体供給装置を例にとって説明する。
【0003】
この場合、液体供給装置は、インクを貯留するメインタンクと、メインタンクとインクジェットヘッドとを連通接続する液体供給ラインとを備えている。この液体供給ラインには、弁やポンプなどのほかに、サブタンクやエアトラップタンク等のような貯留部が適宜に設けられる。
【0004】
貯留部のインク量が低下すると、貯留部に対してメインタンクからインクが補充される。これにより、液体供給装置は、インクジェットヘッドに対してインクを円滑に供給可能な状態に保たれる。また、液体供給装置は、メインタンクから貯留部に供給したインクの量(以下、適宜に「消費量」という)や、メインタンク内のインクの残量等を取得し、これらを監視している。
【0005】
従来、この消費量はインクの流量をベースとして取得される。例えば、消費量を、弁の開放時間またはポンプの動作時間にインクの流量を乗じた値としている。また、補充1回当たりの弁の開放時間やポンプの動作時間が一定である場合、インクを補充した回数に、補充1回当たりのインクの補充量を乗じた値を消費量としている。ただし、この場合であっても、補充1回当たりのインクの補充量はインクの流量に基づいて設定されているので、インクの流量をベースとして消費量が取得されていることに変わりがない。
【0006】
また、メインタンク内のインクの残量は、上述のように取得された消費量を、メインタンクの初期のインク量から差し引くことによって取得される。したがって、メインタンク内のインクの残量も、インクの流量をベースとして取得される(例えば、特許文献1、2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−199551号公報
【特許文献2】特開2006−188002号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、インクは、その温度に応じて粘性が有意に変わるので、インクの流量は変動し易い。このため、取得された消費量と、実際に消費されたインク量との間には、誤差が生じ易くなる。また、インクの温度変化が大きいほど、両者の間の誤差が増大してしまう。さらに、メインタンクの容積を大きくするほど、メインタンクが補充可能な回数が増大するので、両者の間に生じる誤差が一層増大してしまう。このように、従来の液体供給装置では、インクの消費量およびメインタンク内のインクの残量を精度良く取得することが困難であるという不都合がある。
【0009】
なお、このような不都合は、インクジェット印刷装置に適用された液体供給装置に特有のものではなく、種々の装置に適用される液体供給装置に共通する不都合である。
【0010】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、メインタンク内の液体の残量または液体の消費量を精度良く取得することができる液体供給装置およびこれを備えたインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明の液体供給装置は、液体を貯留するメインタンクと、前記メインタンクの一側部に連結され、水平軸回りに回転自在に前記メインタンクを支持する第1支持部と、前記メインタンクの一側部とは反対側の他側部を支持し、前記メインタンクを一定の姿勢に保たせる第2支持部と、前記第2支持部が前記メインタンクから受ける荷重を測定する荷重センサと、前記荷重センサの検知結果に基づいて、前記メインタンクに貯留されている液体のタンク内重量を取得する制御部と、を備えている液体供給装置である。
【0012】
[作用・効果]本発明に係る液体供給装置によれば、第1、第2支持部がそれぞれメインタンクの一側部および他側部を支持しているので、メインタンクを安定して支持することができる。また、第1、第2支持部は、メインタンクによる荷重を分散して受けることができる。このため、荷重センサが測定する荷重をメインタンクの全重量に比べて小さくさせることができ、荷重センサに過負荷がかかることを好適に防止することができる。この結果、荷重センサの検出精度を良好に保つことができる。さらに、荷重センサは第2支持部のみに設けられ、第1支持部には設けていないため、構成を簡素化することができる。
【0013】
また、液体の温度が変化しても液体の重量は変わらないので、荷重センサの検出結果の精度は液体の温度変化の影響を受けない。制御部は、この荷重センサの検知結果に基づいて、メインタンクに貯留される液体の重量、すなわち、タンク内重量を取得する。このタンク内重量によれば、メインタンクの液体の残量や液体の消費量を精度よく取得することができる。また、タンク内重量によれば、所定の初期重量分の液体を貯留していないメインタンクに交換した場合であっても、メインタンクの液体の残量を好適に取得することができる。さらに、タンク内重量によれば、メインタンクを交換することなくメインタンク内に液体を補充するような場合であっても、メインタンクの液体の残量を好適に管理することができる。
【0014】
なお、本明細書では、「メインタンクの液体の残量」および「液体の消費量」の単位は、重さ/質量であってもよいし、体積であってもよい。いずれの場合であっても、上述したタンク内重量によれば精度良く取得することができる。
【0015】
上述した発明において、前記制御部は、前記タンク内重量と前記第2支持部が受ける荷重との関係を示す対応情報を予め記憶している第1記憶部と、前記対応情報と前記検知結果に基づいて前記タンク内重量を決定する決定部と、を備えていることが好ましい。メインタンクは第1、第2支持部によって一定の姿勢で保持されているので、第2支持部が受ける荷重(すなわち、荷重センサが測定する荷重)は、タンク内重量に対応したものとなる。本発明における制御部は、これらタンク内重量と荷重との対応関係を示す対応情報を予め記憶している第1記憶部と、この対応情報を参照することでタンク内重量を決定する決定部を有している。よって、制御部は容易かつ的確にタンク内重量を決定することができる。
【0016】
また、上述した発明において、前記第2支持部は、前記水平軸と同じ高さ位置で前記他側部を支持し、前記制御部は、前記メインタンクの形状に関する寸法情報と、前記メインタンク、第1支持部、及び、前記第2支持部の相対的な位置に関する位置情報を予め記憶している第2記憶部と、前記寸法情報と前記位置情報と前記荷重センサの検知結果に基づいて、前記タンク内重量を算出する算出部と、を備えていることが好ましい。タンク内重量とメインタンクの重心位置との関係は、寸法情報に基づいて特定される。さらに、位置情報を考慮すれば、タンク内重量、メインタンクの重心位置および第2支持部が受ける荷重の三者の関係が特定される。ここで、第2支持部が受ける荷重が既知とすると、タンク内重量およびメインタンクの重心位置は一意に決まる。本発明では、第2記憶部が寸法情報と位置情報を記憶する。また、算出部がこれら寸法情報および位置情報を参照するとともに第2支持部が受ける荷重を荷重センサの検知結果として、上述した三者の関係を満足するときのタンク内重量を算出する。したがって、荷重センサの検知結果に応じてタンク内重量を好適に取得することができる。
【0017】
また、上述した発明において、前記メインタンクはその勾配が変化可能な底面を有しており、前記装置は、さらに前記メインタンクの底面の勾配を検出する勾配検出部を備え、前記算出部は、さらに勾配検出部の検出結果を考慮して前記タンク内重量を算出することが好ましい。これによれば、算出部は、第2記憶部に記憶される寸法情報と、勾配検出部との検出結果に基づいて、底面の勾配に応じたメインタンクの形状を特定することができる。よって、底面の勾配が変化可能に構成されるメインタンクであっても、算出部は適切にタンク内重量を算出することができる。
【0018】
また、上述した発明において、前記メインタンクは、傾斜した底面を有することが好ましい。メインタンクの液体の残量が少なくなっても、メインタンク内の液体を円滑に消費することができる。
【0019】
また、上述した発明において、前記メインタンクは、変形可能な形状を有し、液体を貯留する軟質袋と、前記軟質袋を収容し、かつ、前記第1支持部及び第2支持部に支持される筐体と、を備えていることが好ましい。軟質袋によって液体を収容するので、比較的容易にメインタンクの容量を大きくすることができる。また、この軟質袋を収容する筐体を備えているので、第1、第2支持部はメインタンクを適切に支持することができる。
【0020】
また、上述した発明において、前記メインタンクに連通接続される液体供給ライン上に設けられ、液体を貯留する貯留部と、前記貯留部内の液体の容積に関連する情報を検出する体積センサと、を備え、前記制御部は、前記体積センサの検出結果に基づいて、前記メインタンクから流出した液体の流出量を取得する流出量取得部と、前記流出量によって前記タンク内重量を補正する補正部と、を備えていることが好ましい。
【0021】
体積センサが検出する「貯留部内の液体の容積に関連する情報」とは、それに基づけば、貯留部に貯留されている液体の体積を取得することができる情報である。この情報は、貯留部内の液体または貯留部自体の長さ(m)、面積(m)または体積(m)に関する空間的な情報(静的な情報)である。たとえば、貯留部内の液面高さ(液位)であってもよいし、貯留する液体の容積に応じて貯留部の外形状が変形可能である場合にあっては貯留部自体の寸法であってもよい。このような体積センサの検出結果は、液体の流量(m/s)や流速(m/s)等のような動的な情報(時間的な情報)に比べて液体の粘性の影響を受けにくく、精度が高い。換言すれば、液体の温度が変化しても、体積センサの検出結果は誤差を含みにくい。
【0022】
流出体積取得部は、この体積センサの検出結果に基づいて、メインタンクから流出した液体の流出量を取得する。このように、本発明によれば、タンク内重量とは別個に、体積センサの検出結果に基づいて流出量を取得する。そして、この流出量によっても、メインタンクの液体の残量や液体の消費量を精度よく取得することができる。
【0023】
さらに、補正部はこの流出量を用いてタンク内重量を補正する。よって、タンク内重量の精度を一層高めることができる。
【0024】
また、上述した発明において、前記タンク内重量を出力する出力部を備えていることが好ましい。これによれば、ユーザーに対してタンク内重量を明示することができる。
【0025】
また、上述した発明において、前記制御部は、さらに、印刷ジョブごとに取得される前記タンク内重量に基づいて、各印刷ジョブにおける液体の使用量を取得する使用量取得部を備え、前記出力部は、各印刷ジョブにおける前記使用量を出力することが好ましい。これによれば、ユーザーに対して液体の使用量を印刷ジョブごとに分けて明示することができる。ここで、「液体の使用量」の単位は、重さ/質量であってもよいし、体積であってもよい。
【0026】
また、本発明のインクジェット印刷装置は、請求項1から請求項8に記載の液体供給装置と、前記液体供給装置と連通接続され、前記液体供給装置によって供給された液体を吐出する吐出部と、を備え、前記液体はインクであるインクジェット印刷装置である。
【0027】
[作用・効果]本発明に係るインクジェット印刷装置によれば、上述した液体供給装置を備えているので、メインタンクのインクの残量やインクの消費量を精度よく取得することができる。
【0028】
また、本発明の液体供給装置は、液体を貯留するメインタンクと、前記メインタンクに連通接続される液体供給ライン上に設けられ、液体を貯留する貯留部と、前記貯留部内の液体の容積に関連する情報を検出する体積センサと、前記体積センサの検出結果に基づいて、前記メインタンクから流出した液体の流出量を取得する制御部と、を備えている液体供給装置である。
【0029】
[作用・効果]体積センサが検出する「貯留部内の液体の容積に関連する情報」とは、それに基づけば、貯留部に貯留されている液体の体積を取得することができる情報である。この情報は、貯留部内の液体または貯留部自体の長さ(m)、面積(m)または体積(m)に関する空間的な情報(静的な情報)である。このような体積センサの検出結果は、液体の流量(m/s)や流速(m/s)等のような動的な情報(時間的な情報)に比べて液体の粘性の影響を受けにくく、精度が高い。
【0030】
制御部は、この体積センサの検出結果に基づいて、メインタンクから流出した液体の流出量を取得する。この流出量によれば、メインタンクの液体の残量や液体の消費量を精度よく取得することができる。
【0031】
上述した発明において、前記貯留部に液体を流入させているときは、前記貯留部から液体を流出させないことが好ましい。これによれば、制御部は、流出量を取得する際に、貯留部からの流出分を考慮しなくてもよい。よって、制御部は、簡易に流出量を取得することができる。
【0032】
また、上述した発明において、前記貯留部は、貯留する液体の容積に応じて膨張変形可能であり、前記体積センサは、前記貯留部の寸法を検出し、前記制御部は、前記貯留部の寸法の増加分に応じて、前記流出量を取得することが好ましい。体積センサは貯留部自体の寸法を検出するので、その検出結果の精度は液体の温度変化の影響を受けにくい。よって、流出量を精度よく取得することができる。
【0033】
また、上述した発明において、前記体積センサは、前記貯留部の寸法が第1所定値に達しているか否かを検出する第1寸法センサと、前記貯留部の寸法が前記第1所定値よりも大きい第2所定値に達しているか否かを検出する第2寸法センサと、を備え、前記制御部は、前記第1、第2寸法センサの検出結果に基づき、前記貯留部が前記第1所定値未満となると前記貯留部に対する液体の供給を開始させ、かつ、前記貯留部の寸法が第2所定値に達すると前記貯留部に対する液体の供給を終了させることが好ましい。第1、第2寸法センサを含む簡素な構成で体積センサを実現することができる。また、このような体積センサの検出結果と、貯留部への液体の供給タイミングを連動させることによって、流出量を好適に取得することができる。
【0034】
また、上述した発明において、前記流出量を出力する出力部を備えていることが好ましい。これによれば、ユーザーに対して流出量を明示することができる。
【0035】
また、上述した発明において、前記制御部は、さらに、印刷ジョブごとに取得された前記流出量に基づいて、各印刷ジョブにおける液体の使用量を取得する使用量取得部を備え、前記出力部は、各印刷ジョブにおける前記使用量を出力することが好ましい。これによれば、ユーザーに対して印刷ジョブごとに液体の使用量を分けて明示することができる。ここで、「液体の使用量」の単位は、重さ/質量であってもよいし、体積であってもよい。
【0036】
また、本発明のインクジェット印刷装置は、請求項10から請求項15に記載の液体供給装置と、前記貯留部の2次側に連通接続され、前記貯留部から供給された液体を吐出する吐出部と、を備え、前記液体はインクであるインクジェット印刷装置である。
【0037】
[作用・効果]本発明に係るインクジェット印刷装置によれば、上述した液体供給装置を備えているので、インクの消費量やメインタンクのインクの残量を精度よく取得することができる。
【0038】
なお、本明細書は、次のような液体供給装置に係る発明も開示している。
【0039】
(1)請求項7に記載の液体供給装置において、前記補正部は、前記メインタンクの交換時に取得されたタンク内重量を初期重量として、前記メインタンクの交換後においては、前記荷重センサの検知結果に基づいて取得された前記タンク内重量を、前記初期重量から前記流出量分を差し引いた値に置き換える液体供給装置。
【0040】
前記(1)に記載の液体供給装置によれば、補正部は流出量によってタンク内重量を好適に補正することができる。よって、タンク内重量を一層精度よく取得することができる。なお、「流出量分」とは、流出量の単位が初期重量と同じである場合は流出量そのものであり、異なる場合は流出量を初期重量の単位に換算した値である。
【発明の効果】
【0041】
本発明に係る液体供給装置によれば、荷重センサの検知結果に基づいてメインタンクに貯留される液体のタンク内重量を取得する。このように、タンク内重量は第2支持部がメインタンクから受ける荷重をベースに取得されるので、液体の温度変化の影響を受けない。よって、タンク内重量によれば、メインタンクの液体の残量や液体の消費量を精度よく取得することができる。
【0042】
また、本発明にかかる液体供給装置によれば、体積センサの検出結果に基づいてメインタンクから貯留部に流出した流出量を得る。このように、流出量は貯留部内のインクの容積をベースに取得されるので、液体の温度変化の影響を受けにくい。よって、流出量によれば、メインタンクの液体の残量や液体の消費量を精度よく取得することができる。
【0043】
また、本発明に係るインクジェット印刷装置によれば、上述した液体供給装置を備えているので、メインタンクのインクの残量やインクの消費量を精度よく取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
【図2】メインタンクの外観斜視図である。
【図3】サブタンクの外観斜視図であり
【図4】サブタンクの側面図である。
【図5】サブタンクにインクを供給するフローチャートである。
【図6】実施例2に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
【図7】供給ラインの要部におけるインクの流れを模式的に示す図である。
【図8】図8(a)はメインタンク13の要部平面図であり、図8(b)はメインタンクの要部正面図である。
【図9】液位が底面の上端より高い場合のメインタンクの模式図である。
【図10】液位が底面の上端より低い場合のメインタンクの模式図である。
【実施例1】
【0045】
1.全体構成
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。本実施例では、インクジェット印刷装置に適用される液体供給装置を例に採って説明する。図1は、実施例1に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
【0046】
インクジェット印刷装置1は、インクジェットヘッド3を備える。インクジェットヘッド3は、インク滴を吐出可能な複数のノズル(不図示)を有する。インクジェットヘッド3と向かい合う位置には、印刷用紙7が配置される。インクジェットヘッド3と印刷用紙7とは、図示省略の移動機構によって相対移動可能である。インクジェット印刷装置1は、この移動機構を制御するとともにインクジェットヘッド3の各ノズルの吐出を制御する印刷制御部9とを備えている。印刷制御部9は、ユーザーから受け付けた印刷ジョブ(印刷命令に関する情報)に基づいて、インクジェットヘッド3および印刷用紙7を相対移動させつつ、各ノズルからインク滴を吐出させる。これにより、印刷用紙7に対して印刷が行われる。なお、インクジェットヘッド3は、この発明における吐出部に相当する。
【0047】
また、インクジェット印刷装置1は、インクジェットヘッド3に液体を供給する液体供給装置11を備えている。液体供給装置11は、インクを貯留するメインタンク13と、このメインタンク13とインクジェットヘッド3との間を連通接続する供給ライン15とに大別される。メインタンク13は、インクの供給源として機能する。供給ライン15は、メインタンク13から各インクジェットヘッド3にインクを供給する。
【0048】
この供給ライン15上には、ポンプ17やサブタンク19などが設けられている。ポンプ17は、メインタンク13からインクを汲み出し、サブタンク19にインクを送る。サブタンク19は、その内部でインクを一時的に貯留する。そして、インクジェットヘッド3(ノズル)がインク滴を吐出する度に、サブタンク19内のインクが吸引されてインクジェットヘッド3に送られる。このようにして、サブタンク19はインクジェットヘッド3にインクを円滑に補充する。なお、サブタンク19は、この発明における貯留部に相当する。
【0049】
また、液体供給装置11は、荷重センサ21と体積センサ23とを備えている。荷重センサ21は、メインタンク13から受ける荷重を測定する。体積センサ23は、サブタンク19自体の寸法を取得する。
【0050】
さらに、液体供給装置11は、供給装置用制御部27と出力部29とを備えている。供給装置用制御部27には、荷重センサ21および体積センサ23の各結果のほか、印刷ジョブ等が入力される。図1では、印刷ジョブが印刷制御部9から供給装置用制御部27に入力される例を示している。
【0051】
供給装置用制御部27は、体積センサ23の検出結果に基づいて、ポンプ17を制御する。これにより、サブタンク19内のインク量は適量に保たれる。また、供給装置用制御部27は、荷重センサ21の検知結果に基づいて、メインタンク13に貯留されているインクの重量(以下、「タンク内重量」と呼ぶ)を取得する。さらに、供給装置用制御部27は、体積センサ23の検出結果に基づいて、メインタンク13から流出したインクの量(以下、「流出量」と呼ぶ)を取得する。なお、供給装置用制御部27は、この発明における制御部に相当する。
【0052】
出力部29には、供給装置用制御部27から各種の命令や情報が入力される。出力部29は、上述したタンク内重量などを出力する。出力部29としてはディスプレイ等が例示される。これにより、インクジェット印刷装置1のユーザーは、これらの情報を好適に把握することができる。
【0053】
以下では、メインタンク13、サブタンク19および液体供給装置用制御部27に分けてさらに詳細に説明する。
【0054】
2.メインタンク13に関連する構成
【0055】
図2は、メインタンクの外観斜視図である。メインタンク13は、液体を貯留する軟質袋31と、この軟質袋31を収容する筐体32とを備えている。軟質袋31は屈曲可能な柔軟な素材からなり、その形状は容易に変形可能である。軟質袋31の材質としては、例えばポリエチレンなどの合成樹脂等が例示される。軟質袋31の内部にはインクが貯留されている。軟質袋31はその上部に供給口31aを有している。この供給口31aを通じて供給ライン15の一次側が軟質袋31の内部に差し込まれている。
【0056】
筐体32は、比較的剛性の高い素材からなり、インクの重み程度で変形しない程度の強度を有している。筐体32の材質としては金属であることが好ましい。筐体32は、上部が開放された略箱形状を有しており、その上部から軟質袋31を筐体内に収容可能である。また、筐体32の底面33は傾斜している。よって、軟質袋31が収容されると、軟質袋31の外形状は、筐体32の底面33に沿うように変形する。
【0057】
筐体32の互いに向かい合う側部34、35は、第1支持部37および第2支持部39によってそれぞれ支持されている。以下では、説明の便宜上、側部34を「一側部34」と呼び、この一側部34とは反対側の側部35を、「他側部35」と呼ぶ。
【0058】
第1支持部37は、断面円形の棒状物であり、その軸心Pが水平方向と平行となるように固定的に設置されている。筐体32の一側部34には、貫通孔が形成された複数の連結部34aが設けられている。第1支持部37は、各連結部34aの貫通孔に挿入されている。連結部34aと第1支持部37との間には軸受け38が設けられている。これにより、第1支持部37は、メインタンク13の一側部34を水平軸P回りに回転自在に支持している。
【0059】
他側部35には、略水平方向に張り出された鍔部35aが設けられている。第2支持部39は平坦な上面を有する台状物である。第2支持部39の上面には上述した荷重センサ21が配置されている。この荷重センサ21を介して、鍔部35aは第2支持部39上に載置されている。なお、鍔部35aは、その下面が荷重センサ21と接触した状態で載置されているだけであり、荷重センサ21や第2支持部39と連結されていない。第2支持部39は、鍔部35aの下面が第1支持部37の水平軸Pとが略同じ高さ位置となるように設定されている。これら第1、第2支持部37、39によって、メインタンク13の姿勢は一定に保たれている。
【0060】
荷重センサ21は、第2支持部39がメインタンク13から受ける荷重を測定する。荷重センサ21としては、例えば、ロードセル等が例示される。荷重センサ21は、その検出結果を液体供給装置用制御部27に出力する。
【0061】
3.サブタンク19に関連する構成
図3は、サブタンクの外観斜視図であり、図4はサブタンクの側面図である。サブタンク19は、柔軟なシート状の素材を用いて袋状に成形されている。サブタンク19の材質は、例えばポリエチレンなどの合成樹脂であることが好ましい。サブタンク19には供給ライン15が連通接続されており、インクが流入および流出可能である。
【0062】
サブタンク19は、貯留するインクの容積(体積)に応じて膨張/収縮変形する。図4では、収縮した状態のサブタンク19を実線で示し、膨張した状態のサブタンク19を点線で示す。図示するように、サブタンク19の膨張/収縮によって、サブタンク19の上下方向の寸法(以下、「高さ寸法」と適宜に呼ぶ)Dが変動する。
【0063】
上述した体積センサ23は、突片41と、突片41を検出可能な第1寸法センサ43及び第2寸法センサ44によって構成されている。突片41は、サブタンク19の表面19fの中央に、上方に突出するように設けられている。この突片41は、高さ寸法Dの変動に応じて上下方向に昇降する。
【0064】
第1、第2寸法センサ43、44は光センサ等が例示される。第1寸法センサ43は、突片41を挟んで互いに対向するように配置される光発光部43aと光受光部43bとを備えている。第2寸法センサ44は、同様に配置される光発光部44aと光受光部44bとを備えている。
【0065】
第1寸法センサ43は、高さ寸法Dが第1所定値L以上であるときに突片41を検出可能な位置に配置されている。また、第2寸法センサ44は、高さ寸法Dが第1所定値Lより大きな第2所定値H以上であるときに突片41を検出可能な位置に配置されている。これにより、第1寸法センサ43は、高さ寸法Dが第1所定値Lに達しているか否かを検出する。また、第2寸法センサ44は、高さ寸法Dが第2所定値Hに達しているか否かを検出する。
【0066】
4.供給装置用制御部27の構成
図1を参照する。供給装置用制御部27は、供給ライン制御部51と第1記憶部53と決定部55と流出量取得部57と補正部58と使用量取得部59とを有している。
【0067】
供給ライン制御部51には、体積センサ23の検出結果が入力される。供給ライン制御部51は、体積センサ23の検出結果に基づいて、サブタンク19の高さ寸法Dを監視する。また、供給ライン制御部51には、印刷制御部9から印刷ジョブが入力される。供給ライン制御部51は、印刷ジョブを参照して、印刷が実行中であるか否か、換言すれば、ノズルからインク滴が吐出中であるか否かを判断する。そして、供給ライン制御部51は、サブタンク19の高さ寸法Dが第1所定値L未満になると、インク滴の吐出が停止されていることを条件に、ポンプ17を駆動させる。また、供給ライン制御部51は、サブタンク19の高さ寸法Dが第2所定値Hに達するとポンプ17を停止させる。
【0068】
第1記憶部53は、タンク内重量と、第2支持部39がメインタンク13から受ける荷重(すなわち、荷重センサ21が測定する荷重である)との関係を示す対応情報を予め記憶している。この対応情報は、実験等によって予め得られたデータである。対応情報の構成としては、表の形式であってもよいし、関数の形式であってもよい。
【0069】
決定部55には、荷重センサ21の検知結果が入力される。決定部55は、第1記憶部53に記憶される対応情報を参照して、荷重センサ21の検知結果に対応付けられているタンク内重量(すなわち、メインタンク13に貯留されているインクの重量である)を決定する。
【0070】
流出量取得部57には、体積センサ23の検出結果が入力される。流出量取得部57は、体積センサ23の検出結果に基づいてサブタンク19の高さ寸法Dの変動を監視する。また、流出量取得部57には、サブタンク19の高さ寸法Dが第1所定値Lから第2所定値Hに増大するときに、サブタンク19内に流入するインク量(以下、適宜「単位流入量」と呼ぶ)が予め設定されている。この単位流入量は、実験等によって予め得られた所定値である。なお、単位流入量の単位は、重さ/質量であってもよいし、体積であってもよい。
【0071】
そして、流出量取得部57は、サブタンク19の高さ寸法Dが第1所定値Lから第2所定値Hに増大した回数に単位流入体積を乗じることによって、流出量(すなわち、メインタンク13からサブタンク19に流出したインクの量である)を取得する。
【0072】
補正部58には随時、決定部55からタンク内重量が入力されるとともに、流出量取得部57から流出量が入力される。補正部58は、流出量によってタンク内重量を補正する。本実施例では、補正部58は、メインタンク13の交換時に取得されたタンク内重量を、「初期重量」に設定する。そして、メインタンク13の交換後においては、初期重量から流出量分を差し引いた値をタンク内重量とみなす。換言すれば、メインタンク13の交換後に取得されたタンク内重量を全て、初期重量と流出量分の差に置き換える。ここで、流出量分は、流出量の単位が初期重量と同じである場合は流出量そのものであり、異なる場合は流出量を初期重量の単位に換算した値である。補正部58は、補正されたタンク内重量を出力部29に出力する。
【0073】
使用量取得部59には、補正部58から補正済みのタンク内重量が入力されるとともに、印刷ジョブが入力される。使用量取得部59は、タンク内重量の時間的な推移と、印刷ジョブが実行されたタイミングとに基づいて、各印刷ジョブにおけるインクの使用量を取得する。使用量取得部59は、各印刷ジョブにおけるインクの使用量を出力部29に出力する。なお、「インクの使用量」の単位は、重さ/質量であってもよいし、体積であってもよい。
【0074】
上述した供給装置用制御部27は、各種処理、操作を実行する中央演算処理装置(CPU)や、演算処理の作業領域となるRAM(Random-Access Memory)や、各種情報を記憶する固定ディスク等の記憶媒体等によって実現されている。
【0075】
5.動作
次に、実施例1に係る液体供給装置11の動作について説明する。まず、メインタンク13からサブタンク19にインクを供給させる動作を説明する。図5は、サブタンクにインクを供給するフローチャートである。
【0076】
<ステップS1> サブタンクが第1所定値未満か?
印刷制御部9は、印刷ジョブに基づいてノズルからインク滴を吐出させ、印刷用紙7に対して印刷を行う。インク滴が吐出された分だけ、サブタンク19内のインクは吸引され、インクジェットヘッド3へ送られる。この動作により、サブタンク19内のインク量は徐々に減少し、サブタンク19の高さ寸法Dは徐々に低くなる。
【0077】
供給ライン制御部51は、体積センサ23の検出結果に基づいて、サブタンク19の高さ寸法Dが第1所定値L未満になったか否かを判断する。サブタンク19の高さ寸法Dが第1所定値L未満になったと判断すると、ステップS2に進む。そうでない場合は、本ステップS1の処理を繰り返す。これにより、供給ライン制御部51は、サブタンク19の高さ寸法Dを監視する。
【0078】
<ステップS2> インク滴の吐出が停止しているか?
供給ライン制御部51は、印刷ジョブに基づき、ノズルからインク滴が吐出されているか否かを判断する。そして、インク滴の吐出が停止していると判断すると、ステップS3に進む。そうでない場合は、本ステップS2の処理を繰り返す。これにより、供給ライン制御部51はインク滴の吐出が停止するまで待つ。
【0079】
<ステップS3> ポンプを駆動
供給ライン制御部51は、ポンプ17を駆動させる。ポンプ17はメインタンク13内のインクを汲み出してサブタンク19側に送る。これにより、メインタンク13内のインクは、供給ライン15を通じてサブタンク19に流入する。このとき、インク滴の吐出は停止しているので、サブタンク19内のインクはインクジェットヘッド3へ流出しない。
【0080】
<ステップS4> サブタンクが第2所定値に達したか?
供給ライン制御部51は、体積センサ23の検出結果に基づいて、サブタンク19の高さ寸法Dが第2所定値Hに達したか否かを判断する。サブタンク19の高さ寸法Dが第2所定値Hに達したと判断すると、ステップS5に進む。そうでない場合は、本ステップS4の処理を繰り返す。これにより、供給ライン制御部51は、サブタンク19の高さ寸法Dを監視する。
【0081】
<ステップS5> ポンプを停止
供給ライン制御部51は、ポンプ17を停止させる。
【0082】
続いて、タンク内重量を取得する動作を簡単に説明する。ここでは、メインタンク13の交換の場面から説明する。
【0083】
メインタンク13の交換は、筐体32内から使用済みの軟質袋31を取り出し、新たな軟質袋31を筐体32内に収容する。荷重センサ21は、第2支持部39が受ける荷重を測定し、決定部55に出力する。決定部55は、荷重センサ21の検知結果と対応情報に基づいてタンク内重量を特定する。決定部55は、決定したタンク内重量を補正部58に出力する。補正部58は、このインク交換時に取得されたタンク内重量を初期重量とする。
【0084】
メインタンク13のインクを交換した後、上述したステップS1〜S5の処理が繰り返えされ、サブタンク19に対するインクの供給が繰り返される。これに伴い、メインタンク13内のインクの残量は徐々に減少し、第2支持部39が受ける荷重も徐々に減少していく。
【0085】
このようなインク交換後の期間においても、決定部55は、随時に、荷重センサ21の検知結果に基づいてタンク内重量を決定し、決定したタンク内重量を補正部58に出力する。これと並行して、流出量取得部57は、体積センサ23の検出結果に基づいて流出量を取得し、取得した流出量を補正部58に出力する。補正部58は、決定部55から入力されたタンク内重量を、初期重量と流出量分の差に置き換える。補正部58は、この補正済みのタンク内重量を出力部29と使用量取得部59に対して出力する。使用量取得部59は、補正済みのタンク内重量の時間的な推移と、印刷ジョブが実行されたタイミングとに基づいて、各印刷ジョブにおけるインクの使用量を取得する。使用量取得部59は、印刷ジョブごとに区分されたインクの使用量を出力部29に出力する。出力部29は、タンク内重量と、各印刷ジョブにおけるインクの使用量を表示する。
【0086】
このように、実施例1に係る液体供給装置11およびインクジェット印刷装置1によれば、メインタンク13は、第1、第2支持部37、39によって支持されているので、メインタンク13を安定して支持することができる。特に、第1支持部37によってメインタンク13の可動域を水平軸P回りの回転移動の範囲に規制している。このため、第2支持部39がメインタンク13から鉛直方向下向きの荷重を受け止めることにより、メインタンク13を好適に支持することができる。
【0087】
また、メインタンク13の荷重は第1、第2支持部37、39に分散されるので、荷重センサ21に過負荷がかかることを防止できる。また、インクの交換作業等において荷重センサ21に衝撃が加わっても、荷重センサ21が受ける衝撃は比較的に小さくさせることができる。よって、荷重センサ21の検出精度を良好に保つことができる。
【0088】
また、荷重センサ21は第2支持部39のみに設けられ、第1支持部37には設けておらず、単一である。このように比較的に高価な荷重センサ21が1個で済むので、液体供給装置11およびインクジェット印刷装置1を安価に構成することができる。
【0089】
また、インクの重量はインクの温度変化によって変わらないので、荷重センサ21の検出結果の精度はインクの温度変化による影響を受けない。タンク内重量は、このような荷重センサ21の検出結果をベースに取得されるので、メインタンク13内のインクの残量やインクの消費量を精度よく取得することができる。
【0090】
また、タンク内重量によれば、所定の初期重量分のインクを貯留していない(インクの一部を消費した)メインタンク13に交換した場合であっても、メインタンク13のインクの残量を好適に管理することができる。さらに、タンク内重量によれば、メインタンク13を交換せずにメインタンク13内にインクを補充する(注ぎ足す)ような場合であっても、メインタンク13のインクの残量を好適に管理することができる。
【0091】
また、メインタンク13は一定の姿勢で保持されているので、第2支持部39が受ける荷重は、タンク内重量のみに依存して変化する。第1記憶部53はこれら両者の対応関係を示す対応情報を記憶しているので、決定部55はタンク内重量を容易かつ的確に決定することができる。
【0092】
また、筐体32の傾斜した底面33に沿うように軟質袋31が変形しているので、実質的にメインタンク13の底面は傾斜しているといえる。このため、メインタンク13内のインクの残量が少なくなっても、供給ライン15はメインタンク13からインクを円滑に流出させることができる。また、メインタンク13内のインクをほぼ完全に使い切ることができる。
【0093】
また、メインタンク13は、インクを貯留する軟質袋31を備えているので、メインタンク13のインクの容量を大型化するなど、比較的容易に変更することができる。また、メインタンク13は軟質袋31を収容する筐体32を備えているので、第1、第2支持部37、39はメインタンク13を適切に支持することができる。
【0094】
また、インクの容積は、インクの粘度等に比べてインクの温度変化によって変わりにくい。体積センサ23は、サブタンク19自体の寸法を検出することでサブタンク19内のインクの容積を間接的に測定するので、体積センサ23の検出結果の精度はインクの温度変化の影響を比較的に受けにくい。流出量は、このような体積センサ23の検出結果をベースに取得されるので、メインタンク13内のインクの残量やインクの消費量を精度よく取得することができる。
【0095】
また、サブタンク19は貯留するインクの容積に応じて変形するので、体積センサ23は、サブタンク19内のインクの容積に関連する情報を好適に取得することができる。
【0096】
また、体積センサ23の検出結果は、サブタンク19に対するインクの供給タイミングとも連動している。このように体積センサ23は、流出量取得部57のみならず供給ライン制御部51が利用するセンサを兼ねているので、装置構成を簡略化することができる。
【0097】
また、供給ライン制御部51はサブタンク19にインクを流入させている際にサブタンク19からインクを流出させない。よって、流出量取得部57はサブタンク19からの流出分を考慮することなく、流入量を簡易に取得することができる。
【0098】
また、補正部58は、流出量取得部57によって取得された流出量を用いて、決定部55によって決定されたタンク内重量を補正するので、タンク内重量の精度を一層高めることができる。
【0099】
また、使用量取得部59は、印刷ジョブごとに区分されたインクの使用量を取得するので、インクジェット印刷装置1のランニングコスト等を的確に管理することができる。
【0100】
また、出力部29はタンク内重量等を表示するので、インクジェット印刷装置1のユーザーに対してメインタンク13内のインクの残量やインクの消費量を明示することができる。
【実施例2】
【0101】
以下、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。本実施例では、インクジェット印刷装置に適用される液体供給装置を例に採って説明する。図6は、実施例2に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。なお、実施例1と同じ構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
【0102】
1.概略構成
実施例2における供給装置61は、メインタンク13とインクジェットヘッド3との間を連通接続する供給ライン63を備えている。供給ライン63は、ポンプ17とインクジェットヘッド3との間において、2つの並列ライン63a、63bに分岐されている。各並列ライン63a、63bには、それぞれサブタンク71、81が設けられている。さらに、並列ライン63aには、サブタンク71の一次側および二次側に開閉弁73、75がそれぞれ設けられている。同様に、並列ライン63bには、サブタンク81の一次側および二次側に開閉弁83、85がそれぞれ設けられている。なお、サブタンク71、81は、この発明における貯留部に相当する。
【0103】
各サブタンク71、81には、それぞれ体積センサ77、87が設けられている。体積センサ77、87は、それぞれ実施例1で説明した体積センサ23と同様に構成されている。
【0104】
供給装置用制御部91は、供給ライン制御部93と第2記憶部95と算出部97と流出量取得部99を備えている。なお、その他については実施例1と同じであるので説明を省略する。なお、供給装置用制御部91は、この発明における制御部に相当する。以下では、供給ライン制御部93および流出量取得部99と、第2記憶部95および算出部97とに分けてそれぞれ詳細に説明する。
【0105】
2.供給ライン制御部93および流出量取得部99の構成
供給ライン制御部93は、インクジェットヘッド3に対してサブタンク71、81から交互にインクを供給させる。すなわち、サブタンク71、81間でインクジェットヘッド3にインクを供給するサブタンクを交互に切り替える。
【0106】
図7(a)、(b)は、供給ラインの要部におけるインクの流れを模式的に示す図である。図7(a)は、サブタンク71によるインクの供給を行っているときの様子を示しており、図7(b)は、サブタンク81によるインクの供給を行っているときの様子を示している。
【0107】
図7(a)では、供給ライン制御部93は、開閉弁75を開放させ、開閉弁85を閉止させている。これにより、サブタンク71のみがインクジェットヘッド3に対してインクを供給可能であり、サブタンク81は供給不能である(インクを流出できない)。このとき、供給ライン制御部93は、体積センサ87の検出結果に基づき、サブタンク81の高さ寸法Dが第1所定値L未満であると判断すると、開閉弁83を開放させるとともにポンプ17を駆動させる。なお、開閉弁73は閉止されている。これにより、ポンプ17によって送られるインクは、サブタンク81に流入する。図7(a)では、サブタンク81にインクを供給している状態を示している。やがて、サブタンク81の高さ寸法Dが第2所定値Hに達したと判断すると、ポンプ17を停止させ、開閉弁83を閉止させる。これにより、サブタンク81へのインクの補充を終了させる。
【0108】
その後、サブタンク71の高さ寸法Dが第1所定値L未満になると、開放弁75を閉止させ、開閉弁85を開放させる。これにより、サブタンク71に代わってサブタンク81がインクジェットヘッド3に対してインクを供給する。続いて、供給ライン制御部93は、開閉弁73を開放させ、ポンプ17を駆動させる。このように、供給ライン制御部93は、サブタンク71からインクを流出させない状態にした上で、サブタンク71にインクを流入させる。
【0109】
以上のように、供給ライン制御部93は、図7(a)、(b)に示す動作を交互に繰り返すように制御する。
【0110】
流出量取得部99は、上述したような制御に対応して、サブタンク71、81にインクを補充した回数の総数に基づいて、流出量を取得する。なお、流出量取得部99は、各サブタンク71、81に対応した単位流入量を別個に有していることが好ましい。これによれば、貯留するインク量に応じた変形量がサブタンク71、81間で等しくない(ばらついている)場合であっても、精度よく流出量を取得することができる。
【0111】
3.第2記憶部95および算出部97の構成
第2記憶部95は、メインタンク13の形状に関する寸法情報と、メインタンク13と第1、第2支持部37、39の相対的な位置に関する位置情報とを記憶している。
【0112】
図8を参照して具体例を例示する。図8(a)はメインタンク13の要部平面図であり、図8(b)はメインタンク13の要部正面図である。なお、図8では第1、第2支持部37、39等の図示を省略している。また、図8(a)、(b)では、タンクの幅方向をx軸、タンクの奥行き方向をy軸、タンクの高さ方向をz軸で明示している。これらの点は後述する図9、図10についても同様である。
【0113】
図示するように、メインタンク13は略直方体形状を有しているが、その底面13Bは幅方向にわたって傾斜している。なお、底面13Bの上端jより上側の部分については直方体とみなすことができる。
【0114】
このようなメインタンク13の場合、寸法情報は、図8(a)、(b)に示すように、幅寸法(e)、幅寸法の2分の1の長さ(b)、奥行き寸法(i)を含む。また、底面13Bの下端kと底面13Bの上端jの高低差(h1)も寸法情報に含まれる。なお、寸法情報は、いずれも既知の定数である。
【0115】
また、位置情報は、水平軸Pとメインタンク13の左側面13Lとのy方向における距離(a)と、水平軸Pと荷重センサ21とのy方向における距離(c)とを含む。なお、前者はメインタンク13と第1支持部37との相対的な位置情報であり、後者は第1、第2支持部37、39の相対的な位置情報である。これら位置情報も既知の定数である。
【0116】
算出部97は、第2記憶部95に記憶される寸法情報と位置情報と荷重センサ21の検知結果に基づいて、タンク内重量を算出する。この算出部97による処理について具体的に説明する。
【0117】
インクの密度をρ、重力加速度をgとする。タンク内重量をM、荷重センサ21によって測定される荷重(以下、適宜に「荷重」と略記する)をFとする。底面の下端kを基準(零)としたインクの液面高さ(以下、適宜に「液位」と略記する)をhとする。上述した高低差(h1)は、上端jにおける液位と言い換えることができる。
【0118】
液位hがh1であるときのタンク内重量M1は、式(1)で表される。
M1 = 1/2 * h1 * e * i * ρ ・・・(1)
【0119】
なお、記号「*」は、乗算記号を示す(以下に説明する数式も同様である)。
【0120】
このとき、荷重センサ21が測定する荷重F1は、式(2)で表される。
F1 = M1 * g * (a + 2/3 * b) / c
= 1/2 * h1 * e * i * ρ* g * (a + 2/3 * b) /c ・・・(2)
【0121】
よって、荷重FがF1と等しいとき、タンク内重量MはM1となる。また、荷重FがF1より大きいとき、液位hはh1より高いことになる。荷重FがF1より小さいとき、液位hはh1より低いことになる。以下、液位hがh1より高い場合と、h1より低い場合に分けて、タンク内重量Mの導出を説明する。
【0122】
<液位hがh1より高い場合>
図9を参照する。図9は、液位hがh1より高い場合のメインタンクの模式図である。図示するように、液位hを(h1 + h2)とおくと、タンク内重量Mは式(3)で表される。
M = (1/2 * h1 + h2) * e * i * ρ ・・・(3)
【0123】
図示するように、メインタンク13内のインクの重心Gcは、上端jより下方のインクの重心G1と、上端jより上方のインクの重心G2とを結んだ線分上にある。また、重心Gcの位置は、図9において、三角形jklと四角形jlmnとの面積比で与えられる。
【0124】
三角形jklの面積S1は、式(4)で表される。
S1 = e * h1 / 2 ・・・(4)
【0125】
四角形jlmnの面積S2は、式(5)で表される。
S2 = e * h2 ・・・(5)
【0126】
重心G1とメインタンク13の左側面13Lとのy方向における距離d1は、式(6)で表される。
d1 = 2/3 * b ・・・(6)
【0127】
重心Gcとメインタンク13の左側面13Lとのy方向における距離dcは、式(7)で表される。
dc = d1 + ( b - d1 )* S2 /(S1 + S2) ・・・(7)
【0128】
荷重Fはタンク内重量Mと距離dcを用いて式(8)で表される。
F = M * g * (a + dc) / c ・・・(8)
【0129】
式(8)に、式(3)乃至式(7)を代入し、h2について解くと、h2は次のよう求められる。
h2 = (- B ± (B2- 4AC)(1/2) ) / (2 * A) ・・・(9)
但し、A、B、Cはそれぞれ、式(10)乃至(12)のとおりとする。
A = 2 * ( a + b) ・・・(10)
B = 2 * a * h1 + d1 * h1 + b * h1 - 2 * F * c / (e * i * ρ * g) ・・・(11)
C = 1/2 * (a + d1) * h12- F * c /(e * i * ρ * g) * h1 ・・・(12)
【0130】
ここで、h2は正の数であるので、h2は式(13)で求められる。
h2 = (-B + (B2- 4AC)(1/2) ) / (2 * A) ・・・(13)
【0131】
式(13)で得られたh2を式(3)に代入することにより、タンク内重量Mも求められる。
【0132】
<液位がh1より低い場合>
図10を参照する。図10は、液位hがh1より低い場合のメインタンクの模式図である。図示するように、液位hをh3とおくと、タンク内重量Mは式(14)で表される。
M = 1/2 * h3 * e * h3 / h1 * i * ρ ・・・(14)
【0133】
メインタンク13内のインクの重心Gcとメインタンク13の左側面13Lとのy方向における距離dcは、式(15)で表される。
dc = 2/3 * b * h3/h1 ・・・(15)
【0134】
荷重Fはタンク内重量Mと距離dcを用いて式(16)で表される。
F = M * g * (a + dc) / c ・・・(16)
【0135】
式(16)に、式(14)および式(15)を代入すると、式(17)のようになる。
F = λ * h32* (a + 2/3 * b * h3/h1) ・・・(17)
但し、λは式(18)のとおりとする。
λ=1/2 * e / h1 * i * ρ * g / c ・・・(18)
【0136】
式(17)、(18)に荷重Fを与えると、h3が求められる。さらに、h3を式(14)に代入することで、タンク内重量Mが求められる。
【0137】
以下、具体的な数値例を示す。まず、各寸法情報は、下記の数値をとるものとする。
幅寸法の2分の1の長さ: b =0.15 [m]
幅寸法: e =0.3 [m]
奥行き寸法: i =0.1 [m]
高低差(上端jの液位): h1 =0.1 [m]
【0138】
また、各位置情報は、下記の数値をとるものとする。
水平軸Pとメインタンク13とのy方向における距離: a = 0.1 [m]
水平軸Pと荷重センサ21とのy方向における距離: c =0.5 [m]
【0139】
インクの密度ρおよび重力加速度gは下記の数値とする。
密度: ρ=1000 [kg/m3]
重力加速度: g=9.8 [m/s2]
【0140】
上述した条件において、液位hがh1となるときの荷重F1は下記値となる。
F1=5.88 [N]
【0141】
例えば、荷重Fが 34.3 [N]であるとき、液位hはh1より高いことになる。この場合、h2およびタンク内重量Mは下記の値となる。
h2 = 0.1933 [m]
M = 7.3 [kg]
【0142】
また、例えば、荷重Fが3.920 [N]であるとき、液位hはh1より低いことになる。この場合、液位h3およびタンク内重量Mは下記値となる。
h3 = 0.08492 [m]
M = 1.082 [kg]
【0143】
このように、実施例2に係る液体供給装置61およびインクジェット印刷装置1によれば、寸法情報と位置情報を記憶する第2記憶部95と、寸法情報と位置情報と荷重センサ21の検出結果に基づいてタンク内重量Mを算出する算出部97を備えているので、好適にタンク内重量Mを求めることができる。また、メインタンク13の底面13Bが傾斜している場合であっても、タンク内重量Mの重心Gcを考慮することで、好適にタンク内重量Mを算出することができる。
【0144】
また、第1、第2支持部37、39は、メインタンク13を高さ位置で支持するので、第2支持部39がメインタンク13から受ける荷重は、重心Gcの高さ位置に関わらず、常に鉛直下向きの荷重であり、水平方向の成分を含まない。このため、z方向における重心Gcの位置を特定しなくても、y方向における重心Gcの位置(具体的には、距離dc)を特定すれば、タンク内重量Mが求められる。
【0145】
また、インクジェットヘッド3に対して並列的に連通接続されている複数のサブタンク71、81を備えているので、インクジェットヘッド3にインクを安定的に供給することができる。また、供給ライン制御部93は、インクジェットヘッド3にインクを供給するサブタンクをサブタンク71、81間で交互に切り替えるので、サブタンク71、81のいずれかによってインクジェットヘッド3にインクを常に供給し続けることができる。よって、インクジェット印刷装置1の稼動率を高めることができる。
【0146】
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0147】
(1)上述した各実施例では、体積センサ23、77、87は、サブタンク19、71、81自体の寸法を検出することによって流出量を取得していたが、これに限られない。例えば、サブタンク71自体の容積あるいはサブタンク71内のインクの容積を検出する体積センサに変更してもよい。この場合、体積センサの構成や方式は、適宜に選択、変更することができる。
【0148】
(2)上述した各実施例では、体積センサ23、77、87は、サブタンク19、71、81を検出対象としていたが、これに限られず、他の貯留部を検出対象とするように変更してもよい。他の貯留部としては、例えば、エアトラップタンクやバッファタンク等が例示される。エアトラップタンクは、インクからエア(溶存気体)を脱気、脱泡するためのものである。バッファタンクは、インクを一時的に貯留するためのものである。
【0149】
ここで、エアトラップタンクを体積センサの検出対象とし、エアトラップタンク内のインク量に基づいて流出量を取得する変形例の構成および動作を具体的に説明する。
【0150】
エアトラップタンクは、共通ライン15上であって、メインタンク13とサブタンク19との間に設けられる。このエアトラップタンクには、エアトラップタンク内のインクの液位を検出する液面レベルセンサが設けられている。液位はエアトラップタンク内のインクの容積に関連する情報であるので、液面レベルセンサはこの発明における体積センサに相当する。共通ライン15上にはさらに、エアトラップタンクとサブタンク19との間にエアトラップ二次側開閉弁が設けられている。
【0151】
そして、液面レベルセンサに基づいて、エアトラップタンクの液位が比較的に低い所定値まで低下したと判断すると、共通ライン制御部51は、エアトラップ二次側開閉弁を閉止させ、メインタンク13からエアトラップタンクにインクを供給させる。なお、メインタンク13からエアトラップタンクにインクを供給させている間であっても、サブタンク19はインクジェットヘッド3(ノズル)に対してインクを支障なく供給することができる。よって、供給ライン制御部51は、ノズルからインク滴が吐出されているか否かに関わらず、上述した制御を行う。
【0152】
メインタンク13からエアトラップタンクへのインクの供給は種々の方法を適用することができる。たとえば、メインタンク13とエアトラップタンク13の間の水頭差、エアトラップタンクへの圧送、エアトラップタンク内からの真空引き(気体排出)等が例示される。なお、エアトラップタンクにインクを供給している際、エアトラップ二次側開閉弁は閉止しているので、エアトラップタンク内のインクはサブタンク19側へ流出しない。
【0153】
その後、液面レベルセンサに基づいて、エアトラップタンクの液位が比較的に高い所定値まで上昇したと判断すると、共通ライン制御部51は、メインタンク13からエアトラップタンクへのインクの供給を停止させ、エアトラップ二次側開閉弁を開放させる。なお、エアトラップへの供給の停止を行うために、メインタンク13とエアトラップタンクとの間における共通ライン15上に、さらにエアトラップ1次側開閉弁を備えるように構成してもよい。
【0154】
液面レベルセンサの検出結果は流出量取得部57にも与えられる。流出量取得部57はこの検出結果に基づいて流出量を取得し、取得した流出量を補正部58に出力する。
【0155】
このような変形例によっても、エアトラップタンクにインクを供給する際には、エアトラップタンクからインクを流出させないので、流出量取得部57は簡易に流出量を取得することができる。また、流出量はエアトラップタンク内のインクの容積をベースに取得されるので、液体の温度変化の影響を受けにくい。よって、この流出量によれば、メインタンク13のインクの残量やインクの消費量を精度よく取得することができる。さらに、この変形例によれば、サブタンク19からインクジェットヘッド3(ノズル)に対してインクを供給させつつ、エアトラップタンクにインクを供給することができる。よって、印刷インクジェット印刷装置1の稼動率を高めることができる。
【0156】
なお、上述した変形例では、液面レベルセンサを用いていたが、これに限られない。すなわち、エアトラップタンク内のインク量に関連する情報を検出する体積センサであれば、適宜に選択変更することができる。
【0157】
また、上述した変形例では、メインタンク13とサブタンクとの間に設けられるエアトラップタンクを備えていたが、これに限られない。例えば、メインタンク13とサブタンクの間に設けられるバッファタンクを備える構成であっても、上述した変形例を適用することができる。さらには、エアトラップタンクやバッファタンクに限られず、その他の貯留部を備える構成であっても、上述した変形例を適用することができる。この場合において、エアトラップタンクやバッファタンク、その他の貯留部の構造に応じた体積センサを適宜に選択、変更することができる。
【0158】
(3)上述した各実施例では、サブタンク19、71、81は、貯留するインクの容積に応じて膨張変形するものであったが、これに限られない。すなわち、貯留するインクの容積に応じて膨張変形しないサブタンク(ハードケースサブタンク)に適宜に変更することができる。この場合、サブタンクの構造に応じて体積センサを適宜に変更することができる。
【0159】
(4)上述した各実施例では、底面が傾斜したメインタンク13を例示したが、これに限られない。すなわち、平坦な底面を有するメインタンクに変更してもよい。また、上述した各実施例では、メインタンク13の底面は一律な勾配で傾斜していたが、これに限られない。勾配の異なる傾斜面又は平坦面を組み合わせた底面に適宜に変更することができる。
【0160】
(5)上述した各実施例では、メインタンクの底面の勾配はタンク内重量等に関わらず一定であったが、これに限られない。たとえば、底面の勾配を任意に可変することができるメインタンク、あるいは、可動な底面を有するメインタンクに適宜に変更してもよい。
【0161】
ここで、タンク内重量に応じてメインタンクの底面の勾配が変化する変形例であっても、タンク内重量と第2支持部39が受ける荷重とは一定の対応関係を有する。すなわち、両者間の対応情報を予め実験等によって取得することができる。よって、このような変形例であっても、実施例1で説明した第1記憶部53および決定部55によってタンク内重量を好適に取得することができる。
【0162】
また、メインタンクの底面の勾配が任意に変化する変形例であっても、その勾配を検出する勾配検出部を備えることによって、底面の勾配を適切に取得することができる。ここで、底面の勾配は、実施例2で説明した高低差h1に相当する。したがって、取得した底面の勾配を実施例2で説明した算出部97に与えることにより、算出部97は底面の傾斜量に応じてタンク内重量Mを好適に算出することができる。このように、上述した変形例であっても、実施例2の第2記憶部95および算出部97に勾配検出部を組み合わせることで、タンク内重量Mを取得することができる。
【0163】
(6)上述した各実施例では、インクジェット印刷装置1に適用された液体供給装置11、61を例示したが、これに限られない。すなわち、種々の装置に液体供給装置11、61を適用してもよい。また、各実施例では、液体供給装置11、61が扱う液体としてはインクを例示したが、これに限られない。液体供給装置11、61が適用される装置に応じて、扱う液体についても適宜に変更することができる。
【0164】
(7)上述した各実施例では、メインタンク13は、軟質袋31と筐体32とによって構成されていたが、これに限られない。メインタンク13の構成は適宜に選択、変更することができる。
【0165】
(8)上述した各実施例では、荷重センサ21はメインタンク13(鍔部35a)と直接、接触するように配置されていたが、これに限られない。例えば、荷重センサ21を第2支持部39の下部に配置し、荷重センサ21上に第2支持部39が載置されるような構造であってもよい。この変形例であっても、荷重センサは、第2支持部39がメインタンク13から受ける荷重を好適に測定することができる。
【0166】
(9)上述した各実施例では、第1支持部37は単一であり、各連結部34aとそれぞれ連動連結されていたが、これに限られない。例えば、分割された複数の第1支持部に変更し、これら各第1支持部が単一の連結部34aとそれぞれ連動連結するように変更してもよい。
【0167】
(10)上述した各実施例では、補正部58は、メインタンク13の交換後に取得されたタンク内重量を、初期重量と流出量分の差に置き換えたが、これに限られない。たとえば、タンク内重量と、初期重量と流出量分の差との平均をとり、それを補正済みのタンク内重量とするなど、適宜の処理を選択することができる。また、補正部58を省略して、決定部55/算出部97が取得したタンク内重量を補正せずに、そのまま出力部29に出力させるように変更してもよい。このように、インク交換後において決定部55、算出部97が取得したタンク内重量であっても、メインタンク13内のインクの残量やインクの消費量を精度よく取得することができる。
【0168】
(11)上述した各実施例および上記(1)から(10)で説明した各変形実施例については、さらに各構成を他の変形実施例の構成に置換または組み合わせるなどして適宜に変更してもよい。
【符号の説明】
【0169】
1 … インクジェット印刷装置
3 … インクジェットヘッド(吐出部)
11、61 … 液体供給装置
13 … メインタンク
13B … メインタンクの底面
15、63 … 供給ライン
19、71、81 … サブタンク(貯留部)
21 … 荷重センサ
23、77、87 … 体積センサ
27、91 … 供給装置用制御部(制御部)
29 … 出力部
31 … 軟質袋
32 … 筐体
37 … 第1支持部
39 … 第2支持部
43 … 第1寸法センサ
44 … 第2寸法センサ
51、93 … 供給ライン制御部
53 … 第1記憶部
55 … 決定部
57、99 … 流出量取得部
58 … 補正部
59 … 使用量取得部
95 … 第2記憶部
97 … 算出部
P … 水平軸
D … 高さ寸法
H … 第1所定値
L … 第2所定値
F … 荷重
M … タンク内重量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給装置であって、
液体を貯留するメインタンクと、
前記メインタンクの一側部に連結され、水平軸回りに回転自在に前記メインタンクを支持する第1支持部と、
前記メインタンクの一側部とは反対側の他側部を支持し、前記メインタンクを一定の姿勢に保たせる第2支持部と、
前記第2支持部が前記メインタンクから受ける荷重を測定する荷重センサと、
前記荷重センサの検知結果に基づいて、前記メインタンクに貯留されている液体のタンク内重量を取得する制御部と、
を備えている液体供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体供給装置において、
前記制御部は、
前記タンク内重量と前記第2支持部が受ける荷重との関係を示す対応情報を予め記憶している第1記憶部と、
前記対応情報と前記検知結果に基づいて前記タンク内重量を決定する決定部と、
を備えている液体供給装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体供給装置において、
前記第2支持部は、前記水平軸と同じ高さ位置で前記他側部を支持し、
前記制御部は、
前記メインタンクの形状に関する寸法情報と、前記メインタンク、第1支持部、及び、前記第2支持部の相対的な位置に関する位置情報を予め記憶している第2記憶部と、
前記寸法情報と前記位置情報と前記荷重センサの検知結果に基づいて、前記タンク内重量を算出する算出部と、
を備えている液体供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体供給装置において、
前記メインタンクはその勾配が変化可能な底面を有しており、
前記装置は、さらに前記メインタンクの底面の勾配を検出する勾配検出部を備え、
前記算出部は、さらに勾配検出部の検出結果を考慮して前記タンク内重量を算出する液体供給装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の液体供給装置において、
前記メインタンクは、傾斜した底面を有する液体供給装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の液体供給装置において、
前記メインタンクは、
変形可能な形状を有し、液体を貯留する軟質袋と、
前記軟質袋を収容し、かつ、前記第1支持部及び前記第2支持部に支持される筐体と、
を備えている液体供給装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の液体供給装置において、
前記メインタンクに連通接続される液体供給ライン上に設けられ、液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部内の液体の容積に関連する情報を検出する体積センサと、
を備え、
前記制御部は、
前記体積センサの検出結果に基づいて、前記メインタンクから流出した液体の流出量を取得する流出量取得部と、
前記流出量によって前記タンク内重量を補正する補正部と、
を備えている液体供給装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の液体供給装置において、
前記タンク内重量を出力する出力部を備えている液体供給装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体供給装置において、
前記制御部は、さらに、印刷ジョブごとに取得される前記タンク内重量に基づいて、各印刷ジョブにおける液体の使用量を取得する使用量取得部を備え、
前記出力部は、各印刷ジョブにおける前記使用量を出力する液体供給装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9に記載の液体供給装置と、
前記液体供給装置と連通接続され、前記液体供給装置によって供給された液体を吐出する吐出部と、
を備え、
前記液体はインクであるインクジェット印刷装置。
【請求項11】
液体供給装置であって、
液体を貯留するメインタンクと、
前記メインタンクに連通接続される液体供給ライン上に設けられ、液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部内の液体の容積に関連する情報を検出する体積センサと、
前記体積センサの検出結果に基づいて、前記メインタンクから流出した液体の流出量を取得する制御部と、
を備えている液体供給装置。
【請求項12】
請求項11に記載の液体供給装置であって、
前記貯留部に液体を流入させているときは、前記貯留部から液体を流出させない液体供給装置。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の液体供給装置であって、
前記貯留部は、貯留する液体の容積に応じて膨張変形可能であり、
前記体積センサは、前記貯留部の寸法を検出し、
前記制御部は、前記貯留部の寸法の増加分に応じて、前記流出量を取得する液体供給装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液体供給装置であって、
前記体積センサは、
前記貯留部の寸法が第1所定値に達しているか否かを検出する第1寸法センサと、
前記貯留部の寸法が前記第1所定値よりも大きい第2所定値に達しているか否かを検出する第2寸法センサと、
を備え、
前記制御部は、前記第1、第2寸法センサの検出結果に基づき、前記貯留部が前記第1所定値未満となると前記貯留部に対する液体の供給を開始させ、かつ、前記貯留部の寸法が第2所定値に達すると前記貯留部に対する液体の供給を終了させる液体供給装置。
【請求項15】
請求項11から請求項14のいずれかに記載の液体供給装置において、
前記流出量を出力する出力部を備えている液体供給装置。
【請求項16】
請求項15に記載の液体供給装置において、
前記制御部は、さらに、印刷ジョブごとに取得された前記流出量に基づいて、各印刷ジョブにおける液体の使用量を取得する使用量取得部を備え、
前記出力部は、各印刷ジョブにおける前記使用量を出力する液体供給装置。
【請求項17】
請求項11から請求項16のいずれかに記載の液体供給装置と、
前記貯留部の2次側に連通接続され、前記貯留部から供給された液体を吐出する吐出部と、
を備え、
前記液体はインクであるインクジェット印刷装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−206455(P2012−206455A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75294(P2011−75294)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】