説明

液体供給装置およびレジスト現像装置

【課題】被処理基板に供給される現像液の温度変動に起因した現像ムラ等が生じていた。
【解決手段】被処理基板6に現像液11を供給して現像処理するレジスト現像装置1の構成として、恒温状態に制御された現像液を貯留する貯留部4と、被処理基板6を保持する保持部8と、貯留部4に貯留された現像液を流すための流路を形成するとともに、この流路に沿って流れた現像液を吐出する吐出部14を有し、保持部8に保持された被処理基板6に向けて吐出部14から現像液を吐出することにより、現像液を被処理基板6に供給する供給管5と、供給管5の吐出部14から吐出する現像液が被処理基板6に到達しないように現像液を遮断する遮断部材26と、現像液を遮断する遮断位置と前記現像液を遮断しない非遮断位置との間で遮断部材26を移動させる移動手段(27)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体供給装置およびレジスト現像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある物質に液体を供給する装置は、これまでに数多く知られている。たとえば、リソグラフィの分野で用いられる液体供給装置の一例としてレジスト現像装置が知られている(たとえば、特許文献1を参照)。レジスト現像装置は、露光済みのレジスト膜に現像液を供給することにより、レジスト膜の不要部分を現像液で溶解する装置である。
【0003】
近年においては、半導体デバイスの高集積化などに伴って、現像の解像度向上が強く望まれている。現像液でレジスト膜を現像(以下、「レジスト現像」とも記す)する場合は、先述のように現像液でレジスト膜の不要部分を除去するが、現像中にパターンのエッジ部分がダレを起こす場合がある。その結果、パターンのエッジ部分の角(かど)が形状的に崩れ、解像度の低下を招いてしまう。
【0004】
そこで、レジスト現像の解像度向上を図る技術として、常温よりも低い「低温の現像液」を用いてレジスト膜を現像する方法(以下、「低温現像法」と記す)が知られている(たとえば、特許文献2を参照)。低温の現像液を用いてレジスト膜を現像すると、現像中にパターンのエッジ部分がダレを起こしにくくなる。その結果、パターンのエッジ部分の形状的な崩れが抑制され、解像度の向上が図られる。ちなみに、本書で記述する「常温」とは、「15℃〜25℃の範囲内の温度」をいう。したがって、低温現像法で使用する現像液の温度は15℃未満となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−154641号公報
【特許文献2】特開平07−142322号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、たとえばナノインプリントの分野において、ナノレベルの微細な凹凸パターンの形成が要求されている。こうした微細な凹凸パターンを高精度に形成するには、低温現像法のように、レジストの種類によって現像液の温度を所望所定の温度に設定して用いる必要がある。
【0007】
しかしながら、上述のように現像液の温度が低くなると、この現像液に要求される温度と、レジスト現像装置の設置場所等の温度(以下、「環境温度」という)との差が大きくなるため、以下のような不具合が発生するおそれがある。
一般に、レジスト現像装置においては、現像液を貯留部に貯留して一定(所望)の温度に制御し、その貯留部から現像液供給用の配管(以下、「供給管」という)を通して基体(被処理基板等)に現像液を供給する仕組みになっている。そうした場合、貯留部に貯留された現像液を一定の温度に制御しても、そこから供給管を通して基体に供給される現像液の温度が、環境温度の影響を受けて変動しやすくなる。その結果、現像液の温度変動によって現像処理の安定性や均一性を損なうおそれがある。具体的には、同一(一つ)の基体内では現像のムラを招き、異なる基体間では現像のバラツキを招くおそれがある。
【0008】
本発明の主たる目的は、実際に基体に供給される液体の温度変動を抑えて、液体の供給を伴う基体の処理を安定的に行うことができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、
恒温状態に制御された液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された液体を供給すべき基体を保持する保持部と、
前記貯留部に貯留された液体を流すための流路を形成するとともに、この流路に沿って流れた液体を吐出する吐出部を有し、前記保持部に保持された基体に向けて前記吐出部から液体を吐出することにより、当該液体を基体に供給する供給管と、
前記供給管の吐出部から吐出する液体が前記基体に到達しないように当該液体を遮断する遮断部材と、
前記液体を遮断する遮断位置と前記液体を遮断しない非遮断位置との間で前記遮断部材を移動させる移動手段と
を備えることを特徴とする液体供給装置である。
【0010】
本発明の第2の態様は、
前記保持部に保持された基体に液体を供給する場合に、前記移動手段により前記遮断部材を前記遮断位置に移動させた状態で、前記供給管の吐出部から液体を吐出させる第1の動作と、前記移動手段により前記遮断部材を前記非遮断位置に移動させた状態で、前記供給管の吐出部から液体を吐出させる第2の動作とを行うことにより、当該基体に液体を供給する
ことを特徴とする上記第1の態様に記載の液体供給装置である。
【0011】
本発明の第3の態様は、
前記第1の動作においては、当該第1の動作前に前記供給管に残留している液体の全量以上を前記供給管の吐出部から吐出させる
ことを特徴とする上記第2の態様に記載の液体供給装置である。
【0012】
本発明の第4の態様は、
前記供給管の一部に温度調整部が設けられている
ことを特徴とする上記第1、第2または第3の態様に記載の液体供給装置である。
【0013】
本発明の第5の態様は、
被処理基板に現像液を供給して現像処理するレジスト現像装置であって、
恒温状態に制御された現像液を貯留する貯留部と、
前記被処理基板を保持する保持部と、
前記貯留部に貯留された現像液を流すための流路を形成するとともに、この流路に沿って流れた現像液を吐出する吐出部を有し、前記保持部に保持された被処理基板に向けて前記吐出部から現像液を吐出することにより、当該現像液を被処理基板に供給する供給管と、
前記供給管の吐出部から吐出する現像液が前記被処理基板に到達しないように当該現像液を遮断する遮断部材と、
前記現像液を遮断する遮断位置と前記現像液を遮断しない非遮断位置との間で前記遮断部材を移動させる移動手段と
を備えることを特徴とするレジスト現像装置である。
【0014】
本発明の第6の態様は、
前記現像液の供給対象となる被処理基板が、ナノインプリント用のモールド基板である
ことを特徴とする上記第5の態様に記載のレジスト現像装置である。
【0015】
本発明の第7の態様は、
前記貯留部に貯留された現像液を0℃以下の低温に制御する液温制御手段を備える
ことを特徴とする上記第5または第6の態様に記載のレジスト現像装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、実際に基体に供給される液体の温度変動を抑えて、液体の供給を伴う基体の処理を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】液体供給装置の一例となるレジスト現像装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】ジャケットの構造例を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るレジスト現像装置の要部の構成を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るレジスト現像装置の動作を説明する図である。
【図5】本発明の変形例の一つを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る液体供給装置を、たとえばフォトリソグラフィの分野で用いられるレジスト現像装置に適用した場合の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
ただし、本発明に係る液体供給装置は、ここで挙げるレジスト現像装置に限らず、他の分野において、基体を対象に液体を供給する液体供給装置全般に広く適用することが可能である。たとえば、基体の装飾や保護を目的として、液状の塗料を噴射し供給する塗装装置にも適用可能である。また、液体を供給すべき対象となる「基体」については、特に構造的に限定されるものではなく、さまざまな構造の物体が「基体」となりうる。たとえば、液体供給装置がレジスト現像装置である場合を想定すると、「露光済みのレジスト膜を有する基板」が「基体」に該当するものとなる。
【0019】
本発明の実施の形態においては、次の順序で説明を行う。
1.液体供給装置の一例としてのレジスト現像装置の全体構成
2.レジスト現像装置の要部構成
3.レジスト現像装置の動作
4.実施の形態の効果
5.変形例等
【0020】
<1.レジスト現像装置の全体構成>
図1は液体供給装置の一例となるレジスト現像装置の全体構成を示す概略図である。図示したレジスト現像装置1は、大きくは、現像液供給部2と現像処理部3とを備えた構成となっている。現像液供給部2は、現像処理部3での現像処理に必要となる現像液を供給する部分である。現像液供給部2は、少なくとも、現像液を貯留する貯留部4と、現像液を供給(輸送)する供給管5と、を備える。現像処理部3は、被処理基板6に現像処理を行う部分である。現像処理部3は、少なくとも、現像処理のための空間を有する処理室7と、この処理室7で被処理基板6を保持する保持部8と、この保持部8を回転駆動する回転駆動部9と、を備える。以下、現像液供給部2と現像処理部3の構成について、さらに詳しく説明する。
【0021】
(現像液供給部の構成)
貯留部4は、詳しくは図示しないが、たとえば、上部を開口した槽本体と、この槽本体の上部開口を閉塞する蓋体とを備え、この蓋体によって槽本体の内部を密閉し得る槽構造になっている。つまり、貯留部4は、密閉型の槽構造になっている。貯留部4には、適量の現像液11が収容(貯留)されている。現像液11は、想定している設定温度で液体のものが用いられる。貯留部4内において、現像液11の液面よりも上方の空間は、上述した蓋体によって気密状態に密閉された空間(以下、「密閉空間」と記す)12になっている。
【0022】
貯留部4に貯留された現像液11は、図示しない液温制御手段によって恒温状態に制御されるようになっている。液温制御手段の具体的な形態としては、たとえば図示はしないが、貯留部4内の現像液11をポンプで循環させるとともに、その循環途中で冷却器により現像液11を冷却することにより、現像液11の温度を予め決められた温度(以下、「設定温度」)に維持するといった形態が考えられる。いずれの形態を採用するにしても、貯留部4内の現像液11の温度は、設定温度(たとえば、−10℃)を中心値とした許容範囲内(たとえば、±0.2℃以内)におさまるように制御される。
【0023】
供給管5は、貯留部4に貯留された現像液11を被処理基板6に向けて供給するものである。被処理基板6は、液体(本形態では現像液)を供給すべき基体の一例として、現像処理部3の処理室7にセットされるものである。現像処理の対象となる被処理基板6は、露光済みのレジスト膜を有する基板となる。また、被処理基板6の一例として、ナノインプリント用のモールド基板を挙げることができる。ナノインプリント用のモールド基板(以下、単に「モールド基板」ともいう)は、ナノインプリント法によってパターンの転写を行う場合に、その元型に相当するマスターモールドの基材となる基板である。
【0024】
供給管5は、たとえば、断面円形の細長い中空の管を用いて構成されている。供給管5の一端部は取込部13となっており、同他端部は吐出部14となっている。供給管5の取込部13は、現像液11を管内に取り込むために開口している。供給管5の吐出部14は、被処理基板6に向けて現像液11を吐出するために開口している。吐出部14は、単なる一つの開口になっていてもよいし、複数の小さな開口が設けられたシャワーヘッドのような構造になっていてもよい。また、吐出部14は、現像液11を霧状に噴出するスプレーのような構造になっていてもよい。
【0025】
供給管5の取込部13は、現像液供給部2の貯留部4内に配置されている。また、供給管5の吐出部14は、現像処理部3の処理室11内に配置されている。そして、供給管5は、取込部13を最上流部とし、吐出部14を最下流部として、それらの間に現像液11の流路を形成するように配管されている。具体的には、供給管5は、貯留部4の内部から外部へと導出するように配管されている。さらに、貯留部4の外部における供給管5の導出部分は、現像処理部3の外壁部分を貫通して処理室7内に進出し、かつ、処理室7内で保持部8に臨む位置まで配管されている。保持部8に臨む位置とは、供給管5の吐出部14から吐出させた現像液11を、保持部8に保持された被処理基板6に供給しうる位置をいう。図例においては、供給管5の最下流に位置する吐出部14が、保持部8に保持される被処理基板6の直上に配置されている。
【0026】
また、供給管5の配管途中には、開閉弁15とポンプ16が設けられている。開閉弁15は、処理室7の内部に配置されている。開閉弁15を処理室7の内部に配置した理由は、次のような事情による。すなわち、開閉弁15の取付部位よりも下流側に延在する供給管5の配管部分(外部に露出している配管部分)は、そこに残留する、またはそこを流れる現像液11の温度変動要因となる。したがって、現像液11の温度変動を抑えるうえでは、開閉弁15の取付部位よりも下流側に延在する供給管5の配管部分の長さを短くすることが有効である。そこで、開閉弁15については、できるだけ吐出部14の近くに位置するように、処理室7の内部に配置している。ポンプ16は、貯留部4の外部に配置されている。開閉弁15とポンプ16は、いずれも供給管5における現像液11の流れを制御するための部材となる。
【0027】
すなわち、開閉弁15は、供給管5を通して現像液11を供給する場合に、供給管5の管路を開状態とすることにより、現像液11の流れを許容するとともに、供給管5の管路を閉状態とすることにより、現像液11の流れを阻止するものである。開閉弁15によって現像液11の流れを許容すると、供給管5を通して現像液11の供給が開始されることになる。また、開閉弁15によって現像液11の流れを阻止すると、供給管5を通した現像液11の供給が停止することになる。したがって、開閉弁15は、現像液11の供給を開始または停止する機能を果たす部材となる。
【0028】
ポンプ16は、当該ポンプ16を実際に駆動した場合に、供給管5に沿った現像液11の流れを生成する動力を発生するものである。ポンプ16は、供給管5を通して現像液11を供給するにあたって、現像液11の吸引および移送のための圧力を現像液11に付与する。すなわち、ポンプ16は、貯留部4に貯留された現像液11を供給管5内に吸引するとともに、吸引した現像液11を供給管5に沿って移送する駆動源となる。このため、ポンプ16の駆動を停止した状態(オフ状態)では、供給管5の内部に現像液11の流れが形成されないが、ポンプ16の駆動を開始または継続した状態(オン状態)では、供給管5の内部に現像液11の流れが形成されることになる。開閉弁15の開閉状態やポンプ16の駆動(オン、オフ)状態は、たとえば、図示しないレジスト現像装置の主制御部により制御可能となっている。
【0029】
貯留部4の外部に導出された供給管5は、ジャケット17によって覆われている。ジャケット17は、温度調整部の一例として、供給管5の一部に設けられている。ジャケット17は、供給管5とその周囲の外気(大気)との間に介在して温度調整機能をなすものであり、さらに好ましくは、供給管5の周囲に冷却液を流してこれを循環させることにより、供給管5内の現像液11を貯留部4内と同じ温度(設定温度)に保つ機能(保冷機能)を有するものである。ジャケット17は、たとえば、供給管5を中心とした多重管構造(二重管構造を含む)になっている。
【0030】
一例を挙げると、ジャケット17は、図2に示すように、供給管5を内包する三重管構造になっている。供給管5は、最も内側に位置する管となっており、その外側に供給管5よりも大径の第2の管18が配置され、さらにその外側(つまり、最も外側)に第2の管18よりも大径の第3の管19が配置されている。この三重管構造のジャケット17において、供給管5の外周面と第2の管18の内周面との間には、そこに冷却層18aを形成すべく、たとえば冷却液が循環するようになっている。また、第2の管18の外周面と第3の管19の内周面との間には、そこに断熱層19aを形成すべく、たとえば空気(好ましくは冷気)が循環するようになっている。
【0031】
ジャケット17は、供給管5の長さ方向において、貯留部4から現像処理部3の処理室7に至る配管部分と、処理室7内で保持部8に臨む位置に至る配管部分とに連続するかたちで、供給管5を覆う状態に設けられている。また、ジャケット17は、上記の貯留部4から現像処理部3の処理室7に至る配管部分で、開閉弁15の取付部位とポンプ16の取付部位を除いて、供給管5を覆う状態に設けられている。また、処理室7の内部では、開閉弁15の取付部位を終端位置としてジャケット17が設けられている。
【0032】
(現像処理部の構成)
現像処理部3は、上述したように処理室7、保持部8および回転駆動部9を備えるものである。このうち、保持部8は、被処理基板6を固定状態に支持するテーブル21と、このテーブル21に連結されたスピンドル軸22とを用いて構成されている。テーブル21は、たとえば、被処理基板6が円板であるとすると、これと相似の平面視円形に形成されている。図例ではテーブル21の外径が被処理基板6の外径よりも大きくなっているが、両者の大小関係はこれに限らず、互いに同じ外径であってもよいし、図例とは逆の大小関係であってもよい。また、テーブル21の平面視形状は円形に限らず、矩形を含む多角形であってもよい。
【0033】
テーブル21は、少なくとも被処理基板6と対向する側の面(図例ではテーブル上面)が水平に配置されている。テーブル21は、その上面に被処理基板6を載置した状態で、この被処理基板6を下面側から支持するものである。また、テーブル21は、真空吸着方式で被処理基板6を固定し得る構成になっている。具体的には、テーブル21はその上面に複数の吸引孔(または吸引溝)を有し、これらの吸引孔を通して被処理基板6の下面に真空引きによる吸引力を作用させることにより、被処理基板6を吸着(真空吸着)し得る構成になっている。ただし、テーブル21による支持構造は、ここで挙げた真空吸着方式に限らず、他の方式(たとえば、ピン等を用いた突き当て方式など)で被処理基板6を固定状態に支持する構成であってもよい。
【0034】
スピンドル軸22は、回転駆動部9の駆動力をもって回転駆動される軸である。スピンドル軸22は、たとえば、ボルト等の締結手段を用いて、テーブル21の下面側の中心部に連結されている。このため、スピンドル軸22が回転すると、これと一体にテーブル21が回転する。スピンドル軸22は、箱状の壁で区画された処理室7の底壁を貫通する状態で配置されている。また、処理室7の底壁におけるスピンドル軸22の貫通部分には、シール部材23が設けられている。シール部材23は、スピンドル軸22の回転を許容しつつ、スピンドル軸22の貫通部分から処理室7外への液体(現像液11を含む)の漏出を防止するものである。回転駆動部9は、処理室7とは壁で仕切られた下部室24に配置されている。回転駆動部9は、たとえば図示はしないが、回転の駆動源となるモータと、このモータの駆動力をスピンドル軸22に伝達する駆動力伝達機構(歯車列等)とを用いて構成されている。
【0035】
なお、図1には示していないが、レジスト現像装置1は、付加的な機能部として、リンス液供給部を備えている。リンス液供給部は、現像処理を終えた被処理基板6にリンス液を供給してリンス処理するための機能部である。
【0036】
<2.レジスト現像装置の要部構成>
図3は本発明の実施の形態に係るレジスト現像装置の要部の構成を説明するもので、図中(A)は平面図、(B)は側面図を示している。図3においては、遮断部材26が一対の案内部材27によってD方向に往復移動可能に設けられている。ここではD方向の一方をd1方向、同他方をd2方向とする。
【0037】
遮断部材26は、供給管5の吐出部14から吐出する現像液11が被処理基板6に到達しないように現像液11を遮断するものである。遮断部材26は、平面視四角形(図例では矩形)の平らな板状に形成されている。遮断部材26の平面的な寸法は、少なくとも被処理基板6の直上位置を遮蔽し得る大きさに設定されている。遮断部材26は、上述した処理室7の内部で保持部8に保持される被処理基板6よりも上方に位置するように配置されている。また、遮断部材26は、水平な姿勢で配置されている。
【0038】
一対の案内部材27は、それぞれ長尺のレール状に形成されている。一対の案内部材27は、遮断部材26をD方向に移動自在に案内するものである。各々の案内部材27には、断面U字形の案内溝27aが形成されている。各々の案内溝27aは、遮断部材26の縁部を収容し得る大きさで形成されている。一対の案内部材27は、互いの案内溝27aを対向させた状態で、水平かつ平行に配置されている。
【0039】
また、遮断部材26は、図示しない移動駆動部により、一対の案内部材27に案内されてD方向に移動する構成になっている。移動駆動部の具体的な構成としては、たとえば、リニアモータを用いた構成や、ボールネジ機構を用いた機構、あるいはベルトとプーリを組み合わせた構成などを採用することができる。この移動駆動部は、一対の案内部材27とともに、「移動手段」を構成するものである。すなわち、D方向に沿う遮断部材26の移動範囲内には「遮断位置」と「非遮断位置」とが設定され、これら位置の間で一対の案内部材27と不図示の移動駆動部とが、遮断部材26を移動させる構成となっている。
【0040】
ここで、遮断位置と非遮断位置について記述する。
遮断位置とは、供給管5の吐出部14から吐出する現像液11を遮断する位置である。具体的には、供給管5の吐出部14から吐出した現像液11が被処理基板6に到達しないように、被処理基板6の上方を遮蔽することにより、被処理基板6に対する現像液11の供給を阻止(禁止)する位置である。これに対して、非遮断位置とは、供給管5の吐出部14から吐出する現像液11を遮断しない位置である。具体的には、供給管5の吐出部14から吐出した現像液11が被処理基板6に到達するように、被処理基板6の上方を開放することにより、被処理基板6に対する現像液11の供給を許容する位置である。ちなみに、図3(A)、(B)においては、遮断部材26が非遮断位置に停止した状態を示している。
【0041】
<3.レジスト現像装置の動作>
次に、上記構成からなるレジスト現像装置1の動作について説明する。レジスト現像装置1の動作は、上述した主制御部からの制御指令に基づいて行われる。
【0042】
まず、現像液供給部2については、貯留部4に貯留された現像液11の温度を液温制御手段(不図示)によって制御することにより、貯留部4内の現像液11を設定温度(たとえば、−10℃)に維持する。一方、現像処理部3については、保持部8のテーブル21上に被処理基板6を載せた後、真空吸着等により被処理基板6を固定状態に支持する。次に、回転駆動部9を駆動してスピンドル軸22を回転させる。これにより、被処理基板6を支持しているテーブル21がスピンドル軸22と一体に回転した状態となる。
【0043】
このような状態のもとで、貯留部4内の開閉弁15を開状態とし、かつポンプ16を駆動することにより、貯留部4内の現像液11を供給管5内に取り込むとともに、この供給管5を通して現像液11を現像処理部3側に送り出す。そうすると、供給管5の最下流に位置する吐出部14から現像液11が吐出する。このとき、現像液11の吐出に先立って遮断部材26を非遮断位置に停止(待機)させておく。そうすると、被処理基板6の上方が開放された状態となる。このため、供給管5の吐出部14から吐出した現像液11が、回転中の被処理基板6の表面(上面)に到達する。このとき、被処理基板6の面内においては、少なくとも被処理基板6の中心部を含む領域に現像液11が到達するものとする。そうすると、被処理基板6の回転に伴う遠心力によって、被処理基板6全体に現像液11が満遍なく供給される。その結果、被処理基板6の表面に形成された、露光済みのレジスト膜の可溶部が、現像液11との化学反応によって溶解・除去される。これにより、処理室7内で被処理基板6の現像処理がなされる。
【0044】
ちなみに、被処理基板6に対するレジスト膜の成膜および露光に際して、ネガ型のレジストを用いてレジスト膜を形成した場合は、その後の露光処理で露光されなかった部分が可溶部となる。これに対して、ポジ型のレジストを用いてレジスト膜を形成した場合は、その後の露光処理で露光された部分が可溶部となる。したがって、現像処理を行うと、次のようなレジストパターンが得られる。すなわち、ネガ型のレジストを用いた場合は、露光パターンを反転したかたちのレジストパターンが得られる。また、ポジ型のレジストを用いた場合は、露光パターンに整合するかたちのレジストパターンが得られる。
【0045】
現像処理を終えた後は、開閉弁15を開状態から閉状態に切り替えることにより、現像液11の供給を停止し、その後、必要に応じてポンプ16の駆動を停止しておく。次に、図示しないリンス液供給部によって被処理基板6にリンス液を供給してリンス処理を行う。次に、リンス処理を終えたらリンス液の供給を停止してスピン乾燥を行った後、回転駆動部9の駆動を停止する。これにより、スピンドル軸22とテーブル21の回転が停止する。
【0046】
その後、次の被処理基板6を現像する場合は、現像済みの被処理基板6を保持部8のテーブル21から取り外し、これに替えて、未現像の被処理基板6を上記同様に保持部8で保持する。以降は、上記同様の手順で被処理基板6の現像処理、リンス処理および乾燥処理(スピン乾燥)を行う。
【0047】
上述したレジスト現像装置1の動作において、n枚目(nは自然数)の被処理基板6の現像処理を終えてから、n+1枚目の被処理基板6の現像処理を開始するまでの間は、現像液11の供給が開閉弁15によって停止した状態に維持される。このため、その間は供給管5の内部に現像液11が残留する。そして、n+1枚目の被処理基板6の現像処理を開始するときに、それまで供給管5内に残留していた現像液11が、供給管5の吐出部14から被処理基板6に向けて供給される。
【0048】
その場合、供給管5に残留する現像液11の温度は、ジャケット17によって貯留部4内の現像液11と同等の温度に保たれる。このため、現像処理の再開によって供給管5の吐出部14から吐出する現像液11の温度は、貯留部4内の現像液11と同等の温度となる。したがって、n+1枚目の被処理基板6の現像処理を開始するにあたって、この被処理基板6に供給される現像液11の温度変動が抑えられる。
【0049】
ただし、ジャケット17で覆われていない開閉弁15の取付部位やその下流側の供給管5の配管部分では、環境温度の影響を強く受けることもあって、高精度に温度制御を行うことができない。また、供給管5の配管部分をすべてジャケット17で被覆するとなると、設備が非常に大がかりになって設備コストがかさんでしまう。このため、被処理基板6の現像処理を終えて現像液11の供給を停止すると、特に、処理室7内の供給管5の配管途中に残留する現像液11の温度が、環境温度(室温等)の影響を受けて徐々に変化する。また、現像液11の残留時間が長くなると、それだけ現像液の温度変化が大きくなる。したがって、残留する現像液11の温度が適温範囲を超えて変動する場合もありうる。また、開閉弁15の取付部位よりも下流側の供給管5内に現像液11が残留しない場合(空の状態)でも、当該供給管5の温度が環境温度の影響で変化することにより、そこを通過する現像液の温度が適温範囲を超えて変動する場合がありうる。
【0050】
ここで、上記の「適温範囲」とは、現像処理によって所望の解像度を満たすパターンを得るにあたって、実際に被処理基板6に供給される現像液11に求められる適切な温度範囲をいう。「適温範囲」は、貯留部4に貯留された現像液11に求められる上記の許容範囲に対して、供給管5を流れる間に生じる現像液11の温度変動分を加味して設定される。
【0051】
現像液11の温度が適温範囲を超えて変動する場合への対応として、レジスト現像装置1の主制御部は、以下に記述する第1の動作と第2の動作とを行うように、レジスト現像装置1の動作を制御する。
すなわち、主制御部は、保持部8に保持された被処理基板6に現像液11を供給する場合に、第1の動作として、一対の案内部材27と移動駆動部により遮断部材26を遮断位置に移動させた状態で、供給管5の吐出部14から現像液11を吐出させる動作を行わせる。また、主制御部は、第1の動作の後の第2の動作として、一対の案内部材27と移動駆動部とにより遮断部材26を非遮断位置に移動させた状態で、供給管5の吐出部14から現像液11を吐出させる動作を行わせる。
【0052】
上述した主制御部による動作制御は、保持部8で保持する被処理基板6を入れ替えるたびに行ってもかまわない。ただし、この入れ替えが短時間で済む場合は、それだけ環境温度の影響が小さくなるため、必ずしも上記第1の動作と第2の動作を行う必要はない。そうした場合は、かかる動作制御を、予め決められた条件を満たした場合にのみ適用することが好ましい。一例を挙げると、開閉弁15の閉じ動作によって現像液11の供給を停止してからの経過時間(現像液11の残留時間)をタイマー等で計測し、当該計測値が予め決められた許容時間を超過した場合にのみ、上記の動作制御を適用することが好ましい。ここで記述する「許容時間」とは、供給管5の配管途中(特に、ジャケット17で覆われていない配管部分)に残留する現像液11の温度や、ジャケット17で覆われていない供給管5の温度が、環境温度の影響を受けて変化しても、そこを通して供給される現像液11の温度が上記適温範囲を超えない条件で設定された時間をいう。
【0053】
上記の動作制御を適用する場合、より具体的には以下のような手順で第1の動作と第2の動作が行われる。なお、ここでは、供給管5の配管方向において、開閉弁15の取付部位よりも下流側の配管部分に現像液11が残留する場合を想定してレジスト現像装置1の動作を記述する。
【0054】
まず、次の被処理基板の現像処理を行うのに先立って、図示しない移動駆動部の駆動によって遮断部材26を一対の案内部材27で案内しつつd1方向(図3(A)を参照)に移動させる。そして、遮断部材26が予め設定された遮断位置に到達したら、移動駆動部の駆動を停止する。これにより、図4(A),(B)に示すように、遮断部材26が遮断位置に停止した状態となる。
【0055】
次に、上記同様に被処理基板6を回転させた状態で、開閉弁15を開状態とし、かつポンプ16を駆動することにより、供給管5の吐出部14から現像液11を吐出させる。そうすると、それまで供給管5の配管途中に残留していた現像液(以下、「残留現像液」とも記す)11が、最初に供給管5の吐出部14から吐出する。ただし、供給管5から吐出した現像液11は、遮断位置に存在する遮断部材26によって遮断される。このため、残留現像液11が被処理基板6に供給されることがない。ここまでが第1の動作となる。
【0056】
上記第1の動作においては、この第1の動作の前に供給管5に残留している現像液11の全量以上を供給管5の吐出部14から吐出させることが好ましい。また、上記第1の動作においては、供給管5内を流れる現像液11の低温エネルギーを受けて供給管5自体の温度が、貯留部4内の現像液11の温度に近いレベル(低温状態)に達するまでに要する量の現像液11を吐出させることが好ましい。ただし、これに限らず、第1の動作を開始する前に開閉弁15の取付部位よりも下流側の供給管5内に残留する、温度制御が適切にされていない現像液11を、第1の動作によって吐出させるだけでもよい。
【0057】
その後、残留現像液を含む所定量の現像液11を供給管5から吐出させた段階で、遮断部材26を遮断位置から非遮断位置に移動させる。具体的には、図示しない移動駆動部の駆動によって遮断部材26を一対の案内部材27で案内しつつd2方向(図3(A)を参照)に移動させる。そして、遮断部材26が予め設定された非遮断位置に到達したら、移動駆動部の駆動を停止する。これにより、上記図3(A),(B)に示すように、遮断部材26が非遮断位置に停止した状態となる。このとき、現像液11の吐出を一時的に停止してもよいし、そのまま継続してもよい。いずれにしても、遮断部材26を非遮断位置に移動(退避)させた状態で、供給管5の吐出部14から現像液11を吐出させる。ここまでが第2の動作となる。この場合は、供給管5の吐出部14から吐出した現像液11が、遮断部材26で遮断されることなく、被処理基板6に到達するようになる。したがって、被処理基板6に供給される現像液11は、残留現像液をほとんど含まない、貯留部4で恒温制御された状態の現像液となる。
【0058】
<4.実施の形態の効果>
本発明の実施の形態に係るレジスト現像装置によれば、次のような効果が得られる。
【0059】
すなわち、供給管5の吐出部14から吐出する現像液11を遮断する遮断部材26を設けるとともに、この遮断部材26を遮断位置と非遮断位置との間で移動可能とし、遮断部材26の移動によって、適温範囲の現像液11だけを被処理基板6に供給しうる構成になっている。このため、供給管5の配管途中に残留する現像液11の温度や、ジャケット17で覆われない供給管5の温度が、環境温度の影響を受けて変化する場合でも、被処理基板6に対して温度変動を抑えた現像液11を供給することができる。したがって、現像液11の温度変動に起因した現像時の溶解ムラ等を抑えることができる。よって、高い解像度でパターンを形成することが可能となる。
【0060】
特に、一つ前の被処理基板6を現像処理してから、次の被処理基板6を現像処理するまでの時間(以下、「処理中断時間」という)が、上記の許容時間よりも長くなる場合に、上述した第1の動作と第2の動作とを順に行うことにより、温度変動が大きい吐出初期の現像液11を供給せずに、次の被処理基板6を現像処理することができる。このため、被処理基板6の現像処理を安定的に行うことが可能となる。
【0061】
処理中断時間が許容時間よりも長くなる状況としては、たとえば、製造ロット等の切り替えや段取り替え等が必要になった場合、あるいはレジスト現像装置1のメンテナンス等が必要になった場合などが考えられる。
【0062】
また特に、被処理基板6がナノインプリント用のモールド基板である場合は、被処理基板6に供給される現像液11の温度変動が小さくなることにより、微細な凹凸パターンを高精度に形成することが可能となる。その理由は、ナノインプリント用のモールド基板に凹凸パターンを形成する場合、現像液の温度を低温に設定して現像処理を行うことによって、パターンのエッジ部分における形状的な崩れによる現像の解像度の低下を防ぐことができるためである。特に0℃以下に設定して現像処理を行った場合、その効果は顕著に現れる。そのような現状において、上記のレジスト現像装置1の構成を採用すれば、現像液11の温度を0℃以下の低温に維持し、この現像液11の温度変動を抑えて被処理基板6に供給することができる。このため、ナノインプリント用のモールド基板を被処理基板6として現像する場合に、ナノレベルの微細な凹凸パターンの形成を実現することが可能となる。
【0063】
<5.変形例等>
本発明の技術的範囲は上述した実施の形態に限定されるものではなく、発明の構成要件やその組み合わせによって得られる特定の効果を導き出せる範囲において、種々の変更や改良を加えた形態も含む。
【0064】
たとえば、上述した遮断部材26やこれを移動させる移動手段の構成は、種々の変形が可能である。具体例を挙げると、図5(A)に示すように、凹状に湾曲した遮断部材31を支持アーム32で支持し、この支持アーム32を連結部材33により駆動軸34に連結した構成を採用することができる。このうち、支持アーム32、連結部材33および駆動軸34は、後述する移動用駆動源とともに、遮断部材31を移動させる移動手段を構成するものである。
【0065】
遮断部材31は、図中奥行き方向において、少なくとも被処理基板6の直径よりも長い薄板状に形成されている。支持アーム32は、たとえば、図中奥行き方向において、遮断部材31の両端に連結された一対のアームで構成されている。連結部材33は、支持アーム32と駆動軸34とを連結することにより、これらを一体化している。駆動軸34は、図示しない軸受け部材によって回転自在に支持されている。また、駆動軸34には、たとえば図示しない歯車が同軸状に固定されている。この歯車は、図示しないモータ等を駆動源として伝達される回転力を受けて駆動軸34と一体に回転するものである。
【0066】
上記構成を採用した場合は、移動用駆動源の駆動によって遮断部材31を遮断位置(図5(B)参照)と非遮断位置(図5(A)参照)との間で移動させる。遮断部材31を遮断位置に移動させた状態では、供給管5の吐出部14から吐出する現像液11が、遮断部材31によって遮断される。このため、現像液11が被処理基板6に供給されることがない。一方、遮断部材31を非遮断位置に移動させた状態では、現像処理部3の吐出部14から吐出する現像液11が、遮断部材31によって遮断されることなく、被処理基板6に到達する。このため、被処理基板6に現像液11が供給される。したがって、上記実施の形態と同様の効果が得られる。
【0067】
本発明を実施するにあたって、遮断部材を移動させる方式としては、上述した2つの移動方式を含めて、種々の方式を採用することが可能である。たとえば、水平方向において遮断部材を旋回移動させる方式や、垂直方向において遮断部材を往復移動(上下動)させる方式を採用することが可能である。またこれ以外にも、たとえば、垂直方向(又は水平方向)に対して傾斜(たとえば、斜め45°に傾斜)した傾斜方向において遮断部材を往復移動させる方式を採用することも可能である。
【0068】
また、遮断部材の形状は、板状や凹状に限らず、凸状や波状であってもよい。基体に向けて吐出された液体を遮断しうる形状であれば何でも良く、種々の形状を選択できる。
【0069】
また、本発明に係る液体供給装置は、上記の現像液11のように一定温度に冷却された液体に限らず、一定温度に加熱された液体、あるいは常温の範囲内で一定温度になるように制御された液体を、それぞれに対象とする基体に供給する液体供給装置に広く適用することが可能である。
【0070】
また、本発明に係る液体供給装置(レジスト現像装置を含む)は、より上位の概念でとらえると、供給管の吐出部から吐出する液体(現像液を含む)を基体(被処理基板を含む)に到達させない第1の動作と、供給管の吐出部から吐出する液体を基体に到達させる第2の動作とを実行可能な装置である。そして、かかる動作を実現する手段の一例として、遮断部材および移動手段を具備するものである。
【符号の説明】
【0071】
1…レジスト現像装置
2…現像液供給部
3…現像処理部
4…貯留部
5…供給管
6…被処理基板
7…処理室
8…保持部
11…現像液
17…ジャケット
26…遮断部材
27…案内部材
31…遮断部材
32…支持アーム
33…連結部材
34…駆動軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
恒温状態に制御された液体を貯留する貯留部と、
前記貯留部に貯留された液体を供給すべき基体を保持する保持部と、
前記貯留部に貯留された液体を流すための流路を形成するとともに、この流路に沿って流れた液体を吐出する吐出部を有し、前記保持部に保持された基体に向けて前記吐出部から液体を吐出することにより、当該液体を基体に供給する供給管と、
前記供給管の吐出部から吐出する液体が前記基体に到達しないように当該液体を遮断する遮断部材と、
前記液体を遮断する遮断位置と前記液体を遮断しない非遮断位置との間で前記遮断部材を移動させる移動手段と
を備えることを特徴とする液体供給装置。
【請求項2】
前記保持部に保持された基体に液体を供給する場合に、前記移動手段により前記遮断部材を前記遮断位置に移動させた状態で、前記供給管の吐出部から液体を吐出させる第1の動作と、前記移動手段により前記遮断部材を前記非遮断位置に移動させた状態で、前記供給管の吐出部から液体を吐出させる第2の動作とを行うことにより、当該基体に液体を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
【請求項3】
前記第1の動作においては、当該第1の動作前に前記供給管に残留している液体の全量以上を前記供給管の吐出部から吐出させる
ことを特徴とする請求項2に記載の液体供給装置。
【請求項4】
前記供給管の一部に温度調整部が設けられている
ことを特徴とする請求項1、2または3に記載の液体供給装置。
【請求項5】
被処理基板に現像液を供給して現像処理するレジスト現像装置であって、
恒温状態に制御された現像液を貯留する貯留部と、
前記被処理基板を保持する保持部と、
前記貯留部に貯留された現像液を流すための流路を形成するとともに、この流路に沿って流れた現像液を吐出する吐出部を有し、前記保持部に保持された被処理基板に向けて前記吐出部から現像液を吐出することにより、当該現像液を被処理基板に供給する供給管と、
前記供給管の吐出部から吐出する現像液が前記被処理基板に到達しないように当該現像液を遮断する遮断部材と、
前記現像液を遮断する遮断位置と前記現像液を遮断しない非遮断位置との間で前記遮断部材を移動させる移動手段と
を備えることを特徴とするレジスト現像装置。
【請求項6】
前記現像液の供給対象となる被処理基板が、ナノインプリント用のモールド基板である
ことを特徴とする請求項5に記載のレジスト現像装置。
【請求項7】
前記貯留部に貯留された現像液を0℃以下の低温に制御する液温制御手段を備える
ことを特徴とする請求項5または6に記載のレジスト現像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−119576(P2012−119576A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269547(P2010−269547)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】