説明

液体処理装置

【課題】回収ガスの溶解効率を向上することで運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、運転管理が容易な液体処理装置を提供する。
【解決手段】減圧ノズル5で生成されたマイクロバブルをオゾン接触槽1に注入するマイクロバブル注入口6より上部の前記オゾン接触槽1に接続され、該オゾン接触槽1の上部空間に放出される前記減圧ノズル5でマイクロバブル化されない未溶解ガスを吸引する槽内ガス注入管8と、被処理水の前記オゾン接触槽1への流入配管23の途中に設置され、前記槽内ガス注入管8に吸引された前記未溶解ガスを、前記被処理水の流れに伴い吸引し該被処理水と混合して前記オゾン接触槽1に戻す気液混合器7とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体処理装置に係り、特に、上水や下水処理等にオゾンの微細気泡(マイクロバブル)を用いたものに好適な液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オゾンは酸化力を有し水に可溶であるため、上水や下水処理において、色度除去、臭気除去、殺菌などに活用されている。オゾンを生成させる際には電力を消費するため、ランニングコストが増加する。このため、オゾンを水処理に活用する場合には、オゾンの溶解効率向上が課題となる。
【0003】
未溶解のオゾンを、気水分離手段で回収して再溶解させるシステムとして特許文献1が挙げられる。
また、オゾンをマイクロバブル化し、かつ、未溶解オゾンを回収しマイクロバブルを生成させるための加圧ポンプの入口に再注入するシステムが特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−188246号公報
【特許文献2】特許4201042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1では、オゾン溶解手段(上流)と、オゾン溶解手段の未溶解ガスを回収して溶解させる回収ガス溶解手段(下流)を直列に配置している。回収ガス溶解手段の流入水は、既にオゾン溶解手段でオゾンが溶解しており、かつ、注入するオゾンガス濃度は、上流のオゾン溶解手段に比べ低い。
【0006】
このため、回収ガス溶解手段では、高濃度のオゾン水に低濃度のオゾンガスを溶解させる条件となり、オゾンの溶解速度が低下する恐れがあった。また、回収されたガスには被処理水が混入する場合もあり、被処理水中の固形物質などが散気管などを通過させると目詰まりする恐れがある。
【0007】
一方、特許文献2では、回収した未溶解ガスを注入ガスと混合し、被処理水や循環水と一緒に加圧ポンプで昇圧している。注入するガスにオゾンを用いると、オゾン注入率を増加させるためには、オゾン濃度か、或いはオゾン流量を増加させる必要がある。流入するオゾン流量を増加させると、未溶解のガスも増加するため、加圧ポンプでは増加させたオゾン流量以上のガスが流入することになる。
【0008】
このため、小量のガスの増加で、加圧ポンプが許容できる以上のガスが流入し、ポンプが空転し運転不可能になる恐れがある。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、回収ガスの溶解効率を向上することで運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、運転管理が容易な液体処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の液体処理装置は、上記目的を達成するために、オゾンと被処理水が接触した反応液を収納するオゾン接触槽と、該オゾン接触槽の反応液の一部を循環させる配管の途中に設置された加圧ポンプと、該加圧ポンプと前記オゾン接触槽の間の前記配管にオゾンガスを注入するオゾナイザと、前記加圧ポンプより下流側の前記配管の途中に設置され、前記オゾナイザからのオゾンガスが注入された前記反応液を減圧し、前記オゾンガスのマイクロバブルを生成させる減圧ノズルと、該減圧ノズルで生成された前記マイクロバブルを前記オゾン接触槽に注入するマイクロバブル注入口とを備えた液体処理装置において、前記マイクロバブル注入口より上部の前記オゾン接触槽に接続され、該オゾン接触槽の上部空間に放出される前記減圧ノズルでマイクロバブル化されない未溶解ガスを吸引する槽内ガス注入管と、前記被処理水の前記オゾン接触槽への流入配管に途中に設置され、前記槽内ガス注入管に吸引された前記未溶解ガスを、前記被処理水の流れに伴い吸引し該被処理水と混合して前記オゾン接触槽に戻す気液混合器とを備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する溶解タンクを設置し、該溶解タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンクを設置し、該気水分離タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、前記気水分離タンクで生成された前記オゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁で抜いて回収ガス注入管に回収し、該回収ガス注入管で回収した少なくとも前記未溶解ガスを前記オゾン接触槽に供給する経路とを備えていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記回収ガス注入管は、前記オゾン接触槽の上部空間若しくは反応液部のいずれか一方に接続されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記オゾン接触槽の上部空間に、前記回収ガス注入管と槽内ガス注入管が接続されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記槽内ガス注入管は、前記回収ガス注入管の上部に設置されていることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンクを設置し、該気水分離タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、前記気水分離タンクで生成された前記オゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁で抜いて回収ガス注入管に回収し、該回収ガス注入管で回収した少なくとも前記未溶解ガスを、前記オゾン接触槽の上部に設置され、該オゾン接触槽と連通すると共に、上部に前記槽内ガス注入管が接続された分離ガス注入室に供給する経路とを備えていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンクを設置し、該気水分離タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、前記気水分離タンクで生成された前記オゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁で抜いて回収ガス注入管に回収し、該回収ガス注入管で回収した少なくとも前記未溶解ガスを、前記オゾン接触槽の上部に設置された回収ガス注入室に供給する経路と、前記回収ガス注入室と該オゾン接触槽の間に設置された電動弁と、前記回収ガス注入室の水位を計測する水位計と、該水位計の計測値を基に前記電動弁を開閉する弁排水制御装置とを備えていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記回収ガス注入室に、前記オゾン接触槽に散気するための散気管が接続された接触槽注入管を設置し、かつ、前記槽内ガス注入管を前記散気管の上部に設けたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の液体処理装置は、上記に加え、前記被処理水の流入配管の流量を計測する流量計と、前記オゾン接触槽の排ガスを分解するためのオゾン分解塔と、前記オゾン接触槽の上部のガスを前記オゾン分解塔に流入させるブロワと、前記流量計の計測信号が入力されて前記ブロワの動作を制御する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記流量計の計測値が予め設定された設定値以上の場合に前記ブロワを停止させ、設定値以下の場合に前記ブロワを起動させるよう制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、回収ガスの溶解効率を向上することで運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、運転管理が容易な液体処理装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の液体処理装置の実施例1を示す図である。
【図2】本発明の液体処理装置の実施例2を示す図である。
【図3】本発明の液体処理装置の実施例3を示す図である。
【図4】本発明の液体処理装置の実施例4を示す図である。
【図5】本発明の液体処理装置の実施例5を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図示した実施例に基づいて本発明の液体処理装置について説明する。尚、同一構成物については同符号を使用し、重複して説明はしない。
【実施例1】
【0023】
図1に本発明の液体処理装置の実施例1を示す。該図に示す如く、本実施例の液体処理装置は、オゾンと被処理水が接触した反応液を収納するオゾン接触槽1と、このオゾン接触槽1の反応液の一部を循環させる配管22の途中に設置された加圧ポンプ2と、この加圧ポンプ2とオゾン接触槽1の間の配管22にオゾンガスを注入するオゾナイザ3と、加圧ポンプ2の流下方向の配管22の途中に、オゾン接触槽1からの反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する溶解タンク4と、この溶解タンク4を経たオゾン溶解水を減圧し、オゾンガスのマイクロバブルを生成させる減圧ノズル5と、この減圧ノズル5で生成されたマイクロバブルをオゾン接触槽1に注入するマイクロバブル注入口6と、このマイクロバブル注入口6より上部のオゾン接触槽1に接続され、オゾン接触槽1の上部空間に放出される減圧ノズル5でマイクロバブル化されない未溶解ガスを吸引する槽内ガス注入管8と、被処理水のオゾン接触槽1への流入配管23の途中に設置され、槽内ガス注入管8に吸引された未溶解ガスを、被処理水の流れに伴い吸引し、この被処理水と混合してオゾン接触槽1に戻す気液混合器7とから概略構成されている。尚、24は、オゾン接触槽1にガスを導入するガス入口である。
【0024】
このように構成される本実施例の液体処理装置の動作について説明する。
【0025】
本実施例のオゾン接触槽1では、被処理水と注入ガス(オゾンガス)が反応している。このオゾン接触槽1の反応液の一部は、加圧ポンプ2により循環している。加圧ポンプ2には、反応液とオゾナイザ3から供給されたオゾンガスとの気液混合流体が流入する。加圧ポンプ2により加圧された気液混合流体は,溶解タンク4でオゾンガスが溶解し高圧オゾン水が生成される。溶解タンク4を経た高圧オゾン水は、減圧ノズル5で減圧され、溶解していたオゾンの微細気泡(マイクロバブル)が生成される。この微細気泡は、マイクロバブル注入口6を経てオゾン接触槽1に供給される。
【0026】
一方、被処理水は、気液混合器7を経てオゾン接触槽1に供給される。気液混合器7は、被処理水が通過することでガスを吸引し被処理水とガスを混合できる。気液混合器7が吸引するガスは、槽内ガス注入管8から供給される。槽内ガス注入管8は、オゾン接触槽1の上部空間のガスを吸引でき,マイクロバブル注入口6の上部に設置することが望ましい。
【0027】
また、オゾン接触槽1の内部は、複数に分割されていることが望ましい。即ち、図1のように、オゾン接触槽1の内部を、反応液が上下繰り返して流れるように仕切板25で仕切りることで、微細気泡が処理水側に流下しながら反応するため、被処理水が原水に短絡することがなく処理水の水質を向上できる。
【0028】
また、気液混合器7は、ベンチュリー作用を有するエゼクターなどでよいし、被処理水を一部分岐した配管に設置してもよい。
【0029】
また、本実施例のように、オゾン接触槽1が複数に分割されている場合には、マイクロバブル注入口6を有する区画の上部に、槽内ガス注入管8を設置するとよい。尚、オゾン接触槽1の上部空間は、被処理水側から処理水側まで連通させるとよい。
【0030】
次に、本実施例における効果について説明する。上述した如く、オゾナイザ3から注入されたオゾンガスは加圧ポンプ2、溶解タンク4で溶解し、減圧ノズル5でマイクロバブル化するが、一部は未溶解ガスとなる。この未溶解ガスは、減圧ノズル5を通過し、マイクロバブルでない粗大気泡状態で、マイクロバブル注入口6からオゾン接触槽1に注入される。注入された粗大気泡は、オゾン接触槽1内を上昇し、水面からオゾン接触槽1内空間部に放出される。
【0031】
本実施例のオゾン接触槽1は、マイクロバブルでオゾンを溶解させるため、通常の散気管などでオゾンを溶解させる反応槽よりも水深が低く設計されている。
【0032】
このため、粗大気泡中のオゾンは、オゾン接触槽1を上昇中に一部が槽内の反応液に溶解するが、オゾンを槽内の空間部に放出することになる。槽内の空間部のガスは、槽内ガス注入管7に吸引され被処理水と混合される。被処理水は、オゾンが含まれていなため濃度差が大きくオゾンが溶解しやすい。
【0033】
また、槽内ガス注入管8がオゾンマイクロバブル注入口6の上部にあるため、粗大気泡から放出されたオゾンを効率よく吸引できる。槽内ガス注入管8の設置位置は、オゾンマイクロバブル注入口6の上部でなくてもよいが、粗大気泡が達する水面の上部が望ましい。更に、オゾン接触槽1の上部空間を連通させることで、下流側の空間に放出されたオゾンも吸引でき、排ガス中のオゾンを削減でき、オゾンの利用率を向上できる。
【0034】
尚、本実施例では、排ガス処理設備、排ガス吸引時に必要な外部の空気を吸い込むための通気弁は省略している。
【0035】
このような本実施例によれば、回収した未溶解ガスを効率良く再溶解できるので、回収ガスの溶解効率を向上させることができ、これにより運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、長期の安定運転を実現できるので、運転管理が容易となる効果が得られる。
【実施例2】
【0036】
図2に本発明の液体処理装置の実施例2を示す。図2に示す実施例2と図1の実施例1との違いは、溶解タンク4の換わりに気水分離タンク9とし、気水分離タンク9にエアベントなどの気体抜き弁10と、気体抜き弁10で回収されたガスをオゾン接触槽1に供給する回収ガス注入管11を設けたことにある。
【0037】
即ち、加圧ポンプ2の流下方向の配管22の途中に、反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンク9を設置し、この気水分離タンク9で生成されたオゾン水を減圧ノズル5で減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、気水分離タンク9で生成されたオゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁10で抜いて回収ガス注入管11に回収し、この回収ガス注入管11で回収した少なくとも未溶解ガスをオゾン接触槽1に供給する経路とを備えているものである。
【0038】
尚、回収ガス注入管11は、オゾン接触槽1の空間部、反応液部のどちらに接続しても良いが、槽内ガス注入管8は、回収ガス注入管11の上部でオゾン接触槽1に接続されることが望ましい。また、本実施例では、オゾン接触槽1の内部の区切りは1つだが、多くしても良い。
【0039】
次に、本実施例における効果について説明する。上述した気水分離タンク9は、溶解タンク4と同様に、オゾンガスが溶解し高圧オゾン水を生成でき、更に、未溶解ガスを気体抜き弁10により排出できる。気体抜き弁10は、ガスのみを通過させる構造になっているが、小量の循環水、即ち反応液が回収ガス注入管11に流入する。
【0040】
本実施例では、回収ガス注入管11から排出される水分をオゾン接触槽1で処理できるため、気液混合器6が水分中の固形物質による目詰まりを防止でき、かつ、水分の処理装置が不要である。また、回収ガス注入管11から放出された回収ガスは、槽内ガス注入管8で回収されて気体混合器7で被処理水と混合され、オゾン接触槽1に再注入される。気液混合器7の吸引ガス量を回収ガス注入管11の放出ガス量よりも多くすることで、槽内の空間部のガスを、引き込み未溶解のオゾンを被処理水に溶解させることができる。
【0041】
なお、回収ガス注入管11と気液混合器7を直接接続すると、以下の課題が生じる恐れがある。1)気体抜き弁10より排出される未溶解ガス量が一定でないため、気液混合器7の溶解効率が低下する。2)気液混合器7でガスが吸引されるため、回収ガス注入管11が不圧になり気体抜き弁10が正常に動作できない。このため、本実施例のように、回収ガスは、オゾン接触槽1に供給する経路を備える必要がある。
【0042】
このような本実施例によれば、回収した未溶解ガスを効率良く再溶解できるので、回収ガスの溶解効率を向上させることができ、これにより運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、長期の安定運転を実現できるので、運転管理が容易となる効果が得られる。
【実施例3】
【0043】
図3に本発明の液体処理装置の実施例3を示す。図3に示す実施例3と図2の実施例2との違いは、回収ガス注入管11の出口に、分離ガス注入室12を設けたことにある。
【0044】
即ち、加圧ポンプ2の流下方向の配管22の途中に、反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンク9を設置し、この気水分離タンク9で生成されたオゾン水を減圧ノズル5で減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、気水分離タンク9で生成されたオゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁10で抜いて回収ガス注入管11に回収し、この回収ガス注入管11で回収した少なくとも未溶解ガスを、オゾン接触槽1の上部に設置され、オゾン接触槽1と連通すると共に、上部に槽内ガス注入管8が接続された分離ガス注入室12に供給する経路とを備えているものである。
【0045】
尚、分離ガス注入室12は、オゾン接触槽1の上部に設置され、下部には穴が開いており、オゾン接触槽1と繋がっている。また、分離ガス注入室12の上部に槽内ガス注入管7が接続されている。
【0046】
次に、本実施例における効果について説明する。上述した回収ガス注入管11より放出された回収ガスは、分離ガス注入室12に留まるため、オゾン接触槽1の上部空間のガスに希釈されることなく気液混合器7で再注入できる。また、回収ガス注入管11のガス量以上に気液混合器7でガスを吸引させることで、オゾン接触槽1内のガスも再注入できる。回収ガスと一緒に運ばれた水分は、分離ガス注入室12の下部の穴よりオゾン接触槽1に落下し処理され、処理装置が不要である。更に、気液混合器7は水分を吸引しないため、水中の固形物質などによる目詰まりを防止できる。
【0047】
このように、オゾン接触槽1の上部に分離ガス注入室12を設けることで、回収ガス中の水分除去と回収ガスの拡散による濃度低下を防止できる。
【0048】
本実施例によれば、回収した未溶解ガスを効率良く再溶解できるので、回収ガスの溶解効率を向上させることができ、これにより運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、長期の安定運転を実現できるので、運転管理が容易となる効果が得られる。
【実施例4】
【0049】
図4に本発明の液体処理装置の実施例4を示す。図4に示す実施例4と図2の実施例2との違いは、回収ガス注入管11の出口に回収ガス注入室13を設けたことにある。
【0050】
即ち、加圧ポンプ2の流下方向の配管22の途中に、反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンク9を設置し、この気水分離タンク9で生成されたオゾン水を減圧ノズル5で減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、気水分離タンク9で生成されたオゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁10で抜いて回収ガス注入管11に回収し、この回収ガス注入管11で回収した少なくとも未溶解ガスを、オゾン接触槽1の上部に設置された回収ガス注入室13に供給する経路と、回収ガス注入室13とオゾン接触槽1の間に設置され、オゾン接触槽1とを仕切る電動弁15と、回収ガス注入室13の水位を計測する水位計16と、水位計16の計測値を基に電動弁15を開閉する弁排水制御装置17とを備えているものである。
【0051】
また、回収ガス注入室13には、散気管26等が設置された接触槽注入管14が接続され、回収ガスは、接触槽注入管14を経てオゾン接触槽1に再溶解できる。更に、水位計16の信号は、弁排水制御装置17に送られ、所定の水位になると電磁弁15を開放し、蓄積した水分をオゾン接触槽1に注入するようになっている。槽内ガス注入管8は、接触槽注入管14から放出される気泡が達する水面の上部が望ましい。
【0052】
次に、本実施例における効果について説明する。上述した回収ガス注入室13に供給されたガスには、気水分離タンク9の圧力が加わるため、電磁弁15を閉じることで回収ガスは、接触槽注入管14を通過してオゾン接触槽1内に散気管26で散気でき、散気された回収ガス中のオゾンを溶解できる。回収ガス中に含まれる水分は回収ガス注入室13で分離されるため、水分中に含まれる固形物質等による散気管26の目詰まりを防止できる。また,散気管26による再注入でも溶解しきれないガスは、槽内ガス注入管8を経て気液混合器7で被処理水に混合され、溶解される。
【0053】
このような本実施例によれば、回収した未溶解ガスを効率良く再溶解できるので、回収ガスの溶解効率を向上させることができ、これにより運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、長期の安定運転を実現できるので、運転管理が容易となる効果が得られる。
【実施例5】
【0054】
図5に本発明の液体処理装置の実施例5を示す。図5に示す実施例5と図2の実施例2との違いは、被処理水の流入配管23の流量を計測する流量計20と、オゾン接触槽1の排ガスを分解するためのオゾン分解塔18と、オゾン接触槽1の上部のガスをオゾン分解塔18に流入させるブロワ19と、流量計20の計測信号が入力されてブロワ19の動作を制御する制御装置21とを備え、制御装置21は、流量計20の計測値が予め設定された設定値以上の場合にブロワ19を停止させ、設定値以下の場合にブロワ19を起動させるよう制御する点である。
【0055】
即ち、制御装置21は、オゾン分解塔18を気液混合器7で吸引できるガス量が気体抜き弁9で回収される流量以下になった場合に起動させる。気液混合器7のガス吸引量は、被処理水の流量に比例するため、制御装置21は、流量計20の計測値が予め設定された設定値以下になった場合に、ブロワ19を起動し、オゾン接触槽1内のガスをオゾン分解塔18で処理させる。
【0056】
オゾナイザ3の供給流量の50%が気体抜き弁10から回収されると仮定し、気体抜き弁10を通過するガス量以上の流量を、気液混合器7が吸引できる流量に設定するとよい。流量が設定値以上では、気液混合器7の吸引量が気体抜き弁10の流量以上になるため、回収ガスを被処理水に溶解させオゾンを処理でき、オゾン分解塔18を停止しても、オゾンが漏洩することはない。
【0057】
尚、制御装置21は、流量計20の計測信号の代わりに被処理水の供給手段の起動、又は停止信号でブロワ18を起動させても良い。また、本実施例では、図2との組合せで説明したが、図3、又は図4の実施例と組合わせてもよい。
【0058】
このような本実施例によれば、回収した未溶解ガスを効率良く再溶解できるので、回収ガスの溶解効率を向上させることができ、これにより運転費を削減でき、かつ、加圧ポンプ空転や目詰まりを防止し、長期の安定運転を実現できるので、運転管理が容易となる効果が得られる。
【符号の説明】
【0059】
1…オゾン接触槽、2…加圧ポンプ、3…オゾナイザ、4…溶解タンク、5…減圧ノズル、6…マイクロバブル注入口、7…気液混合器、8…槽内ガス注入管、9…気水分離タンク、10…気体抜き弁、11…回収ガス注入管、12…分離ガス注入室、13…回収ガス注入室、14…接触槽注入管、15…電磁弁、16…水位計、17…弁排水制御装置、18…オゾン分解塔、19…ブロワ、20…流量計、21…制御装置、22…配管、23…流入配管、24…ガス入口、25…仕切板、26…散気管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オゾンと被処理水が接触した反応液を収納するオゾン接触槽と、該オゾン接触槽の反応液の一部を循環させる配管の途中に設置された加圧ポンプと、該加圧ポンプと前記オゾン接触槽の間の前記配管にオゾンガスを注入するオゾナイザと、前記加圧ポンプより下流側の前記配管の途中に設置され、前記オゾナイザからのオゾンガスが注入された前記反応液を減圧し、前記オゾンガスのマイクロバブルを生成させる減圧ノズルと、該減圧ノズルで生成された前記マイクロバブルを前記オゾン接触槽に注入するマイクロバブル注入口とを備えた液体処理装置において、
前記マイクロバブル注入口より上部の前記オゾン接触槽に接続され、該オゾン接触槽の上部空間に放出される前記減圧ノズルでマイクロバブル化されない未溶解ガスを吸引する槽内ガス注入管と、前記被処理水の前記オゾン接触槽への流入配管に途中に設置され、前記槽内ガス注入管に吸引された前記未溶解ガスを、前記被処理水の流れに伴い吸引し該被処理水と混合して前記オゾン接触槽に戻す気液混合器とを備えていることを特徴とする液体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体処理装置において、
前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する溶解タンクを設置し、該溶解タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させることを特徴とする液体処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液体処理装置において、
前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンクを設置し、該気水分離タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、前記気水分離タンクで生成された前記オゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁で抜いて回収ガス注入管に回収し、該回収ガス注入管で回収した少なくとも前記未溶解ガスを前記オゾン接触槽に供給する経路とを備えていることを特徴とする液体処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体処理装置において、
前記回収ガス注入管は、前記オゾン接触槽の上部空間若しくは反応液部のいずれか一方に接続されていることを特徴とする液体処理装置。
【請求項5】
請求項3に記載の液体処理装置において、
前記オゾン接触槽の上部空間に、前記回収ガス注入管と槽内ガス注入管が接続されていることを特徴とする液体処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体処理装置において、
前記槽内ガス注入管は、前記回収ガス注入管の上部に設置されていることを特徴とする液体処理装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液体処理装置において、
前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンクを設置し、該気水分離タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、前記気水分離タンクで生成された前記オゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁で抜いて回収ガス注入管に回収し、該回収ガス注入管で回収した少なくとも前記未溶解ガスを、前記オゾン接触槽の上部に設置され、該オゾン接触槽と連通すると共に、上部に前記槽内ガス注入管が接続された分離ガス注入室に供給する経路とを備えていることを特徴とする液体処理装置。
【請求項8】
請求項1に記載の液体処理装置において、
前記加圧ポンプの流下方向の配管の途中に、前記反応液からオゾンガスを溶解してオゾン水を生成する気水分離タンクを設置し、該気水分離タンクで生成された前記オゾン水を前記減圧ノズルで減圧してオゾンガスのマイクロバブルを生成させる経路と、前記気水分離タンクで生成された前記オゾン水中の少なくとも未溶解ガスを気体抜き弁で抜いて回収ガス注入管に回収し、該回収ガス注入管で回収した少なくとも前記未溶解ガスを、前記オゾン接触槽の上部に設置された回収ガス注入室に供給する経路と、前記回収ガス注入室と該オゾン接触槽の間に設置された電動弁と、前記回収ガス注入室の水位を計測する水位計と、該水位計の計測値を基に前記電動弁を開閉する弁排水制御装置とを備えていることを特徴とする液体処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の液体処理装置において、
前記回収ガス注入室に、前記オゾン接触槽に散気するための散気管が接続された接触槽注入管を設置し、かつ、前記槽内ガス注入管を前記散気管の上部に設けたことを特徴とする液体処理装置。
【請求項10】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の液体処理装置において、
前記被処理水の流入配管の流量を計測する流量計と、前記オゾン接触槽の排ガスを分解するためのオゾン分解塔と、前記オゾン接触槽の上部のガスを前記オゾン分解塔に流入させるブロワと、前記流量計の計測信号が入力されて前記ブロワの動作を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記流量計の計測値が予め設定された設定値以上の場合に前記ブロワを停止させ、設定値以下の場合に前記ブロワを起動させるよう制御することを特徴とする液体処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−63396(P2013−63396A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203930(P2011−203930)
【出願日】平成23年9月19日(2011.9.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】