説明

液体化粧料

【課題】塗布部を具備した液体塗布具に充填して化粧に供するのに適した液体化粧料であって、特に、目元周辺のアイメイクアップに好適な液体化粧料を提供する。
【解決手段】少なくとも高輝性粒子1〜20質量%と、皮膜形成性樹脂2〜10重量%と、増粘作用を有するアニオン性高分子化合物0.3〜2重量%と、水とを含有してなる液体化粧料であって、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が250〜1000mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体化粧料に関し、更に詳しくは、耐水性、耐摩擦性に優れ、鮮やかな発色を有する高輝性粒子が沈降することなく、また、塗布部の流路に詰まることなくスムーズに吐出されるアイライナー化粧料などに好適な液体化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
アイライナー化粧料は、近年、ファッション性を高めるために、様々な色の色材や高輝度で粒子径の大きな色材が用いられるようになってきている。
しかしながら、粒子径の大きな色材は、液体化粧料を内蔵する容器を使用した場合、液吐出流路で詰まりが生じ、スムーズに吐出することが困難である。また、色材が沈降してしまうため、沈んだ色材を撹拌するための撹拌ボールや撹拌棒などが必要であった。
【0003】
そこで、本出願人らは、耐水性及び肌密着性に優れた液体化粧料を提供するために、無機顔料、特定の分散剤、特定の被膜形成剤から成る液体化粧料(例えば、特許文献1参照)や、細線を描き易く、耐水固着性能に優れ、わずかな振動で再均一分散化が可能な水系メイクアップ化粧料を提供するために、板状顔料と、顔料分剤および水とからなる液体化粧料であって、更に所望により、界面活性剤を配合されてなることを特徴とし、分散剤と、被膜形成剤と、界面活性剤と、水とを含む水系液体メイクアップ化粧料(例えば、特許文献2参照)を提案している。
これらの液体化粧料等は、今までにない優れたものであるが、本発明とは発明の課題、配合物性などが相違し、区別化できるものである。アイメイクアップ化粧料等を求める消費者のニーズは、撹拌作業の手間を省いた使用性に優れ、更には、粒子径の大きな高輝性色材を、液吐出流路で詰まることなくスムーズに吐出することが出来る、吐出性に優れた液体化粧料が切望されているのが現状である。
【0004】
また、本出願人らは、経時沈降安定性に優れ、また仮に顔料が沈降しても撹拌することで容易に再分散可能であり、塗布部として筆穂を用いる水性液体化粧料を内蔵する液体化粧料塗布具に好適なパール顔料配合の水性液体化粧料を提供するために、少なくとも、界面活性剤と、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンと、パール顔料と、構造粘性付与剤としてアニオン性高分子化合物を配合し、かつ特定の非ニュートン粘性指数(n)と、所定のずり速度において、特定の粘度の範囲からなる液体化粧料(特許文献3参照)を提案している。
しかしながら、本発明においては、上記特許文献3と比較して、界面活性剤と、アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンは配合しておらず、特定のアニオン性高分子化合物を配合することで、顔料沈降を無くしたことから再分散させる必要がない。よって、本発明とは発明の課題、配合物性などが相違し、区別化できるものである。
【0005】
一方、特許文献4においては、特定のアクリル酸系クロスポリマーを配合したメイクアップ化粧料が提案されている。このメイクアップ化粧料は、水中油型の乳化系であり、疎水化処理多孔質球状シリカを必須成分とすることにより、感触が良く、撥水性、化粧塗膜持続性、過剰皮脂吸収性、安定性に優れた性能を有しているが、本発明とは発明の課題、配合物性などが相違し、区別化できるものである。
また、特許文献5においては、架橋した直線状ポリ(ビニルアミド/重合可能なカルボン酸)コポリマーであるレオロジー調整剤/ヘアスタイリング樹脂及び同樹脂の製造方法と、長続きするカール保持力を使用者のために示すヘアケア処方物を開示しているが、本発明とは発明の課題、配合物性などが相違し、区別化できるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO2007/083753号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】国際公開WO2007/123115号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開2000−247833号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開2010−222332号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献5】特表2008−516950号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題及び現状に鑑み、これを解消しようとするものであり、液体化粧料を内蔵する容器を使用した場合、目元周りのキラキラとした効果を出すためには、粒子径の大きな高輝性色材を、液吐出流路で詰まることなくスムーズに吐出させ、更には、吐出性能を損なうことなく、液粘性を上げて沈降を防止し、また更には吐出された高輝性粒子がポロポロ剥がれ落ちることなく、耐水・耐摩擦性に優れ、肌にしっかり付着させることができる液体化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記従来の課題等を解決すべく、液体化粧料を内蔵する容器を使用した化粧料として好適に用いることのできる液体化粧料を提供すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の増粘作用を有するアニオン性高分子化合物を特定量含有することになどにより、高輝性粒子が詰まることなくスムーズに吐出され、更には、吐出性能を損なうことなく、液粘性を上げて沈降を防止し、また更には吐出された高輝性粒子がポロポロ剥がれ落ちることなく、耐水・耐摩擦性に優れ、肌にしっかり付着させることに成功し、本発明を完成するに至ったのである。
【0009】
すなわち、本発明は、次の(1)〜(5)に存する。
(1) 少なくとも高輝性粒子1〜20質量%と、皮膜形成性樹脂2〜10重量%と、増粘作用を有するアニオン性高分子化合物0.3〜2質量%と、水とを含有してなる液体化粧料であって、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が250〜1000mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。
(2) 増粘作用を有するアニオン性高分子化合物は、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマー、〔アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)〕クロスポリマーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)記載の液体化粧料。
(3) アイメイクアップ化粧料であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の液体化粧料。
(4) ビヒクル(ベース)色が透明であることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の液体化粧料。
(5) 塗布部を具備した液体塗布具に充填されることを特徴とする上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の液体化粧料。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、目元周りのキラキラとした効果を出すために、粒子径の大きな高輝性粒子を使用しても、液吐出流路で詰まることなくスムーズに吐出させ、また、吐出性能を損なうことなく、液粘性を上げて沈降を防止し、更には吐出された高輝性粒子がポロポロ剥がれ落ちることなく、耐水・耐摩擦性に優れ、肌にしっかり付着させることができる液体化粧料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の液体化粧料を充填した液体塗布具の一例を示す全体断面の説明図である。
【図2】図1の液体塗布具の塗布部の説明図であって、(a)は塗布部の平面図、(b)は塗布部の断面図である。
【図3】(a)は塗布部における塗布面の先端を始点に2mm撓ませた際の塗布部の部分断面態様の説明図、(b)及び(c)は塗布部の形状、構造を詳述するための平面態様、並びに、断面態様で示す各説明図である。
【図4】本発明に用いる液体塗布具の液押圧機構を他の形態とした場合の液体塗布具の全体断面の説明図である。
【図5】本発明に用いる液体塗布具のシール部を他の形態とした場合のシール部の全体断面の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。
本発明の液体化粧料は、少なくとも高輝性粒子1〜20質量%と、皮膜形成性樹脂2〜10重量%と、増粘作用を有するアニオン性高分子化合物0.3〜2質量%と、水とを含有してなる液体化粧料であって、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が250〜1000mPa・sの範囲であることを特徴とするものである。
【0013】
本発明に用いる高輝性粒子は、化粧品に一般的に用いられているものであれば、特に限定されず何れのものも使用できる。例えば、雲母チタン、金属被覆雲母チタン、金属被覆ガラス末、金属酸化物被覆ガラス末、金属酸化物被覆合成金雲母、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の少なくとも1種を用いることができる。
これらの中でも、金属酸化物被覆ガラス末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末を使用すると、より鮮やかで優れた発色を発揮することができるため好ましい。
【0014】
用いる高輝性粒子の粒子径は、50〜500μmが好ましく、更に好ましくは、150〜300μmである。この粒子径が50μm未満では、高輝性大粒子の効果が不十分となり、一方、500μmを超えるとザラザラとした感触が生じてしまうため好ましくない。
なお、本発明(実施例等を含む)における「粒子径」は、顕微鏡により観察し、n=20以上の任意の部分の測定結果の平均粒子径に基づく値である。
これらの高輝性粒子の含有量は、液体化粧料全量に対して、1〜20質量%(以下、単に「%」という)が好ましく、更に好ましくは、2〜10%である。
この高輝性粒子の含有量が1%未満では、高輝性大粒子の効果が不十分となり、一方、20%を超えて含有すると、固形分が高くなり過ぎることから吐出流路の詰まりが生じることとなる。
【0015】
本発明においては、高輝性粒子と他の色材を組み合わせて用いてもよく、他の色材として、例えば、黒酸化鉄、黄酸化鉄、酸化クロム、群青、紺青、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化クロム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタンイエロー、ベンガラなどの無機顔料の少なくとも1種が挙げられる。
これらの無機顔料の含有量については特に制限はなく、本発明の化粧料の粘度範囲で任意の量を適宜含有できる。なお、高輝性粒子と無機顔料の他に、必要に応じて、有機顔料、もしくは種々の染料やカーボンブラックを用いることもできる。
【0016】
本発明に用いる増粘作用を有するアニオン性高分子化合物としては、例えば、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマー、〔アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)〕クロスポリマー、(アクリル酸/ビニルピロリドン)クロスポリマーから選択される1種又は2種が好ましく用いられる。
この(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマー、及び〔アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)〕クロスポリマー、(アクリル酸/ビニルピロリドン)クロスポリマーは、アルカリ中和によって増粘性が増大する性質を有するものである。
(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマーの基本骨格となるのは、メチルビニルエーテルと無水マレイン酸のコポリマーを均一にデカジエンで架橋したミクロゲル高分子である。また、〔アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)〕クロスポリマーは、アクリル酸およびメタアクリル酸から選択される少なくとも一つの第一のモノマー単位と、アクリル酸の炭素数10〜30アルキルエステルおよびメタアクリル酸の炭素数10〜30アルキルエステルから選択される少なくとも一つの第二のモノマー単位から構成される、網状に連結したコポリマーである。更に、(アクリル酸/ビニルピロリドン)クロスポリマーは、アクリル酸とビニルピロリドンとの共重合体である。
中和剤としてのアルカリとしては、特に限定されるものではないが、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノール等のアルカノールアミン類、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等が挙げられる。
好ましくは、塗布性能において、塗布ムラなく均一に塗布できる点から、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマー、及び〔アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)〕クロスポリマーの使用が望ましい。
市販品としては、「スタビリーゼ」シリーズ(アイエスピー・ジャパン社製)、「カーボポール」シリーズ(B.F.グッドリッチ社製)等が挙げられる。
【0017】
これらの増粘作用を有するアニオン性高分子化合物の含有量は、液体化粧料全量に対して、0.3〜2%が好ましく、更に好ましくは、0.4〜1%である。
この含有量が0.3%未満では粘度が低く、色材の沈降が発生することとなり、一方、2%を超えて含有すると、粘性が高くなり塗布性能が劣るため、好ましくない。
【0018】
本発明に用いる皮膜形成性樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの(炭素数1〜4および炭素数8)アルキルエステルのうちから選択される1種又は2種以上の化合物を原料モノマーとする単独重合体もしくは共重合体が用いられる。好ましくは、その単独重合体もしくは共重合体は、その繰り返し構造中、側鎖として酸性残基を有するものであって、中和によって水に溶解し得るアクリル樹脂、アクリル酸アルキル共重合体が良い。特に望ましいアクリル酸アルキル共重合体としては、tert−ブチルアクリレート、エチルアクリレート、及びメタクリル酸からなる混合物の共重合体が例示され、市販品では、Luvimer 100P(BASF社製)などが挙げられる。
【0019】
これらの皮膜形成性樹脂の含有量は、液体化粧料全量に対して、2〜10%が好ましく、更に好ましくは、3〜6%である。この含有量が2%未満では、耐水・耐摩擦性が不十分となり、一方、10%を超えて含有しても、更なる向上は見られず経済的でない。
【0020】
本発明の液体化粧料は、上記高輝性粒子、皮膜形成性樹脂、増粘作用を有するアニオン性高分子化合物を含有するものであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、水系液体メイクアップ化粧料に通常使用されるキレート剤、pH調整剤、保湿剤、増粘剤、防腐剤などを含有することができ、残部は精製水、イオン交換水などの水で調製される。
【0021】
本発明では、高輝性粒子の沈降制御や再分散性、及び塗布性能の点から、粘度〔EMD型粘度計、25℃、標準コーンローター 20rpm(ずり速度76.8s−1)のときの粘度〕範囲は250〜1000mPa・sとなる液体化粧料とするものであり、好ましくは、280〜900mPa・sとすることが望ましい。
この粘度が250mPa・s未満では、色材の沈降が生じるため、好ましくなく、一方、1000mPa・sを越えると、粘性が高くなり塗布性能が劣ることとなる。
更に好ましくは、ずり速度3.83s−1、19.20s−1、38.3s−1のときの粘度範囲が下記の範囲となることが望ましい。
3.83s−1:2500〜10000mPa・s、好ましくは、3500〜9000mPa・s
19.20s−1:1000〜3000mPa・s、好ましくは、1100〜2500mPa・s
38.30s−1:500〜1500mPa・s、好ましくは、600〜1300mPa・s
なお、上記粘度範囲の調整は、上記高輝性粒子、皮膜形成性樹脂、増粘作用を有するアニオン性高分子化合、水の各含有量を好適に組み合わせたり、また、増粘剤などを含有せしめて好適に調整することができる。
また、本発明の液体化粧料は、エマルジョンを配合していない水系処方となるので、ビヒクル(ベース)色が透明となるので、意匠性が高く目元周辺のアイライナー用又はアイブロウ用のアイメイクアップ化粧料に好適なものとなる。
【0022】
このように構成される本発明の液体化粧料では、少なくとも高輝性粒子1〜20%と、皮膜形成性樹脂2〜10%と、増粘作用を有するアニオン性高分子化合物0.3〜2%と、水とを含有してなる液体化粧料であって、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が250〜1000mPa・sの範囲とすることにより、目元周りのキラキラとした効果を出す目元周辺のアイライナー用又はアイブロウ用のアイメイクアップ化粧料に好適な液体化粧料が得られるものであり、粒子径の大きな高輝性粒子を使用した液体化粧料であっても、液吐出流路で詰まることなくスムーズに吐出させ、更には、吐出性能を損なうことなく、液粘性を上げて沈降を防止し、また更には吐出された高輝性粒子がポロポロ剥がれ落ちることなく、耐水・耐摩擦性に優れ、肌にしっかり付着させることができる液体化粧料が得られるものとなる。
特に、この構成の液体化粧料を塗布するものとしては、塗布部を具備した液体塗布具に充填されて使用に供することができる。
用いることができる塗布部を具備した液体塗布具としては、アイライナー用又はアイブロウ用である筆穂、ペン芯や、ゴム、エラストマー、または復元性を有する独立気泡体から構成される塗布部となる塗布体を具備し、液体化粧料を充填する容器を有する塗布具であれば、特に限定されないが、好ましくは、本体内部に液体化粧料である液体化粧料を充填し、加圧により液押圧機構を具備した液体塗布具を有するものが望ましい。
【0023】
本発明の液体化粧料を効果的に充填する塗布具としては、図1に示す、液押圧機構が回転式繰出タイプとなる液体塗布具の使用が望ましい。
このタイプの液体塗布具は、図1に示すように、液押圧機構10により、液押圧機構10の前方に内蔵された本発明の液体化粧料(以下、単に「液体化粧料」という」)を吐出させる貯留部となる化粧料内蔵容器11の前方に具備された、熱硬化性ゴム又は熱硬化性エラストマー、または、熱可塑性ゴム又は熱可塑性エラストマーで形成した塗布部30を有するものである。
液押圧機構10は、軸本体12後端部に配設された繰り出し部材13を軸本体12に対して周方向に相対回転させることにより容器(貯留部)11内の液体化粧料を繰り出すことにより塗布部30に供給される構成となっている。
【0024】
この塗布具の液押圧機構10は、軸本体12の後端に回転可能に嵌合された繰り出し部材13と、使用者による繰り出し部材13の回転の力をネジ棒14に伝える駆動筒15と、軸本体12に固定してネジ棒14が螺合するネジ体16と、先端にピストン体17が回転可能に係合したネジ棒14と、軸本体12の貯留部11内を摺動するピストン体17とを有する。前記駆動筒15を介して繰り出し部材13の回転をネジ棒14に伝え、該ネジ棒14の回転によってナット状のネジ体16の雌ネジを介して該ネジ棒14及びピストン体17が前進して貯留部11内から前記液体化粧料を塗布部30へ繰出す構造になっている。
【0025】
繰り出し部材13は、図1に示すように、後端に天冠13aが嵌入することによって閉じられた筒状を呈する操作部が軸本体12後端部に回動可能に嵌め込まれかつ露出しているものである。駆動筒15が繰り出し部材13内に嵌入して回転方向に固定されており、この駆動筒15内に回転方向固定かつ軸方向への相対移動可能(ネジ体は動かない)にネジ体16が装着されている。13bは、スプリング部材であり、回転体となる繰り出し部材13を後方に付勢するものである(図1の矢印10の下にあるカム体と呼ばれるものを前方付勢するものである)。
この塗布具において、軸本体12の前端部12aには、シール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30が嵌入により取り付けられる。軸本体12の貯留部11には、液体化粧料が収容され、その貯留部11から繰出された液体化粧料は継手部材19内の流路を通り塗布部30に吐出されて塗布可能になる。また、使用後にキャップ40を塗布部30及び先軸20を覆うように先軸20に装着(嵌着)できるよう形成されている。
【0026】
また、図1において、図示符号21は、貯留部11内の液体化粧料を往復動によって攪拌する攪拌ボール、22はシールボールである。また、41はキャップ40内のインナーキャップ、42はインナーキャップ後方付勢用のスプリングである。なお、攪拌ボール26は省略してもよい。
更に、図示符号23は、未使用時における塗布部30に向かう液体化粧料の流通路を閉鎖する位置にシール部18、継手部材19、先軸20、塗布部30を位置させるため、前記先軸20後端と軸本体12前端部12aの段状箇所前面との間にリング状部が装着されたストッパーである。このストッパー23は、リング状部の一部が切り離され、その切り離された箇所の反対側に摘み片が一体形成され、摘み片を引くことによって、リング状部が切り離し箇所から拡径して前記先軸20後端と軸本体12の前端部12aとの間から取り外せるものになっている。
【0027】
図1に示すように、未使用時ではシールボール22がシールボール受け部となるシール部18の内径部に嵌入して密封しており塗布部30側に液体化粧料が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部がシールボール22に突き当たってシールボール22がシール部18の内径部から外されて前記貯留部11内に入り込み、当該貯留部11内の液体化粧料が継手部材19の内径部から塗布部30の液流路内に流入して、塗布部30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になる。
【0028】
本発明となる塗布部30は、図2(a)及び(b)に示すように、先細りの形状を有し、塗布部30内部に液吐出流路となる液流通路31を形成し、塗布部30は一つの液体化粧料流出開口部32(本実施形態では、平面視楕円状の開口部)を有し、塗布部30内部の液流通路31と連通すると共に、開口部32の面は略平面又は傾斜面(本実施形態では略平面)33で、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を備え、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部を有する塗布面34を除いた部分は、外径形状と略相似形の液流通路31aを有するものである。この塗布部30は、先軸20内に嵌入され、後方のフランジ部35が先軸20の後方段部20aと継手部材19の先端部19aに挟まれて固着されるものである。
【0029】
この塗布部30において、好ましくは、開口部32の面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面34の先端を始点に、図3(a)及び(b)に示すように、2mm撓ませた際に、開口部A(図示符合では32、以下同様)と、開口部A下部の液流通路底面31bとの距離をaとし、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離をbとしたときに、下記式(I)を満たすことが望ましい。
a/b<0.9 ………(I)
上記式(I)は、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34の先端を始点に撓ませとき、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近する長さの関係を示す式であり、更に好ましくは、0.5≦a/b<0.9とすることが望ましい。
【0030】
上記式(I)を満たすことにより、液体化粧料の塗布部内部の流路31aでの目詰まりを防止することができる。特に、長期間の未使用において効果を発揮できるものとなる。
上記式(I)の技術的意義を更に詳述すると、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34の先端を支点にたわませると〔図3(a)参照〕、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部へ接近する。さらに詳しくは、開口部Aの下部の液流通路31cは、液体化粧料内蔵側の開口部A下部から、先細りの略塗布面I方向に斜面が形成され、その角度(α)は160°〜175°となることが好ましい。
この塗布具を用いると塗布時には、前記斜面の始まり付近で屈曲点が発生しやすくなり、この作用で、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近することにより、液流路31cに保持された液体化粧料が、開口部Aから流出して、最初の半球状の液体化粧料に追加して、次の液体化粧料を供給できることで、塗布ラインがより長く描けることとなる。
また、液体化粧料に、特に、本発明の150μm〜500μmの大きな高輝性粒子等を含む場合には、開口部Aの下部の底面が変形しやすく、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近するので、大きな粒子が堆積が少なくなるといった効果が得られる。更に、大きな粒子を含む液体化粧料を塗布した部位に再度塗布を繰り返したときも、開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近しているので、大きな粒子を、開口部Aへ巻き込むことを防止することができる。
【0031】
更に、上記式(I)を満たすと共に、図3(b)に示すように、塗布部30内部の液流通路の断面積をBとし、開口部Aに接合する液流通路断面積をCとし、開口部Aの面積をSとしたときに、下記式(II)〜(IV)の全てを満たすことが好ましい。
1.5mm<B<3.0mm ………(II)
0.5mm<C<B ………(III)
0.6mm<S<2.0mm ………(IV)
更に、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことにより、美麗な細い塗布ラインを描くことができ、また、塗布部の外形の大きさと比較して、内部の空間が大きく、これらの範囲で塗布部30を形成することで、流路の確保、変形性を効果的に保つことができ、本発明の効果を更に発揮することができるものとなる。
【0032】
更に詳述すれば、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことにより、開口部Aから吐出した液体化粧料は略半球状に流出し、半球状の液体化粧料が、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を持った塗布面の先端を始点にして、開口部側方向に移動させると、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面34に必要十分な状態で移動する。その結果美麗な細い塗布ラインが描けることとなる。また、塗布ラインを描く始点が略開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iの先端と一致し、始まりの塗布ラインが描きやすくなる。開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iに溝等をつけることで、より好ましい状態となる。
更に、前述の開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近させる効果を発生させる作用もあり、広い面を塗布する、従来技術のように、開口部Aの面より先方に配置される塗布面の長さHと開口部長径Gの比率が、0.7<(H/G)<1.6の好ましい範囲から外れると、例えば、開口部Aの面より先方に配置される塗布面だけが、撓み、前述の開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近させる効果を失うことになる。この場合、塗布ラインを形成する、液体化粧料がなくなり再度液体化粧料を開口部Aから流出させる操作が必要となり煩雑である。また、液体化粧料に大きな粒子を含む場合、前述の開口部A下部の液流通路底面31bが開口部Aへ接近させる効果を失っているので、開口部Aへの大きな粒子の堆積がしやすくなり、繰り返し使用の場合、不具合が発生する場合があるが、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことなどにより、これらの問題も解消するものとなる。
また、単純に吐出させるには、液量を多く設定し開口部Aを大きく設計すれば液体化粧料の供給量および液体化粧料の大きな粒子を含む場合の大きな粒子の堆積の課題は回避される場合も得られる可能性はあるが、塗布ライン等が引けない、多量に付着する、塗布ライン開始点がわからない、鏡を見て化粧動作等をするとき塗布具に隠れて、不具合が発生するなどの問題が発生するものとなるが、上記式(II)〜(IV)の全てを満たすことなどにより、これらの問題も解消するものとなる。更にまた、塗布面の長さHを薄肉(塗布面の厚さFを例えば、0.5〜1.2mm)にすることで、開口部Aより先の塗布面の長さが短く、開口部の下部付近で、屈曲点が発生しやすい構造とすることで、断面C付近の液流路下部が変形しやすく、液が塗出しやすくなる。
【0033】
この形態の液体塗布具では、更に、塗布部30の液流通路断面積Bと液流通路断面積Cの和を液流通路B−C間の距離Dで除したときの比において、下記式(V)を満たすことが好ましい〔図3(b)参照〕。
(B+C)/D>0.5 ………(V)
更にまた、先軸20から吐出部分において開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを有する塗布面34を除いた部分の、外径体積Yと、略相似形の液流通路の体積Xの比が下記式(VI)を満たすことが好ましい〔図3(b)参照〕。
X/Y>0.4 ………(VI)
上記式(V)及び/又は式(VI)を満たすことにより、塗布部の外形の大きさと比較して、内部の空間を更に大きくでき、これらの範囲〔上記式(V)及び/又は式(VI)、更に上記式(II)〜(IV)を含めた上記式(V)及び/又は式(VI)〕で塗布部30を形成することで、流路の更なる確保、変形性が相乗的にかつ効果的に保つことができ、本発明の液体化粧料を効果的に塗布することができるものとなる。
【0034】
以上のような構造特性を有する塗布部30は、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、二トリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴムなどの熱硬化性ゴム、熱硬化性エラストマーで、好ましくは、デュロメータA硬度で10〜70の範囲となる熱硬化性ゴム、熱硬化性エラストマーなどの材料を用いることにより、一体成形することができる。
【0035】
また、塗布部30を、スチレン系、エステル系、ウレタン系などの熱可塑性ゴム、熱可塑性エラストマーなどの材料を用いることにより、一体成形することもできる。熱可塑性ゴム、熱可塑性エラストマーなどの材料を用いる場合は、好ましくは、成形性、塗布性、使用性等の点から、スチレン系エラストマーの使用が望ましく、さらに、塗布性、操作性を向上させるために、塗布体の硬度が柔らかすぎる場合は、上記熱可塑性エラストマーなどに、デュロメータA硬度を70以上となるように樹脂、例えば、PP、PE、TPU、PBTをブレンドしたものを用いても良いものである。
更に好ましい塗布部としては、成形性、塗布性、使用性等の点から、液状シリコーンゴムを用いてLIM成形法(液状射出成形法、Liquid Injection Moldingと称する成形法)で塗布部を一体成形、または、スチレン系エラストマーで一体成形することができる。
【0036】
また、上記式(I)、(II)〜(IV)及び(V)の少なくとも1つを満たす塗布部30において、更に、本発明の液体化粧料を効果的に塗布せしめる点から、図3(b)に示すように、塗布部内部の液流通路Bから開口部Aに接合する液流通路Cまでの距離Dが0mm<D<5mmとすることが好ましく、また、開口部Aの面より先方にはさらに先細り略平面部Iを持った塗布面の先端は、開口部面視で先端の幅Eは0.8mm<E<1.6mmとすることが望ましい。
この図1〜図3(後述する図4を含む)形態の液体塗布具において、上記式(I)〜(V)等における値は、下記のとおりである。
開口部A下部の液流通路底面31bとの距離a:0.16mm、撓ませる前の開口部Aと開口部A下部の液流通路底面との距離b:0.37mm、a/b=0.43
塗布部30内部の液流通路の断面積B:2.54mm、開口部Aに接合する液流通路断面積C:0.74mm、開口部Aの面積S:0.94mm、(B+C)/D=0.86
外径体積Y:14.4mm、液流通路の体積X:9mm、X/Y=0.63
また、図3(b)中のH=1.2mm、G=1.6mm、H/G=0.75、D=3.8mm、E=1.2mm、F=0.7mm、角度(α)は170°であった。また、この構造特性の塗布部30は、液状シリコーンゴム(KE1940、信越化学社製)を用いてLIM成形法で成形したものである。
【0037】
この形態の液体塗布具では、本発明の液体化粧料を更に塗布部内の流路で詰まらせることなく、スムーズに吐出させて液体化粧料流出開口部に少量の化粧料等の液体化粧料を保持して、先細りの塗布面、外径寸法であっても塗布部の大きさが小さく、液体化粧料流出開口部の先に配置された塗布面の幅を細くできるので、細い塗布ラインを容易に描くことができるものとなる。
特に、塗布部30において、開口部32の面より先方の先細り略平面部Iを有する塗布面34の先端を始点に、2mm撓ませた際に、上記式(I)を満たす塗布部を用いたものでは、開口部の面より先方にはさらに先細り略平面部を持った塗布面の先端を支点にたわませると、開口部の下部付近で、屈曲点が発生して、開口部下部の液流通路底面が開口部へ接近し、塗布時には、前期斜面の始まり付近で屈曲点が発生しやすくなり、この作用で、開口部Aの下部付近で、屈曲点が発生して、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近することにより、液流路に保持された化粧料が、開口部Aから流出して、最初の半球状の化粧料に追加して、化粧料を供給できることで、ラインがより長く描けることができ、大きな粒子を含む場合にも、開口部Aの下部の底面が変形しやすく、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近するので、大きな粒子が堆積が少なくなるといった効果が得られ、また、大きな粒子を含む化粧料を塗布した部位に再度塗布を繰り返したときも、開口部A下部の液流通路底面が開口部Aへ接近しているので、大きな粒子を、開口部Aへ巻き込むことを防止できるものとなる。
【0038】
上記形態の液体塗布具では、リキッドアイライナーおよびリキッドアイシャドの液体塗布具を例にして説明したが、これに限られるものではなく、眉毛にラインを描くアイブロー塗布具、肌にラインを描くことにも適用することができる。
また、塗布体30の開口部32、塗布面34の周囲面の面取り処理をそれぞれ施してもよいものである。
更に、上記形態の液体塗布具の液押圧機構として、図1に示す、回転式繰出タイプとなる塗布具を用いたが、例えば、図4に示す、ノック式繰出タイプとなる塗布具を用いても良いものである。
【0039】
図4は、ノック式繰出タイプの塗布具の説明図である。なお、図4中、上記形態と同様の箇所には、同一の符号を付してその説明を省略する。
この実施形態に係るノック式繰出タイプの塗布具は、図4に示すように、軸本体12後端部に配設されたノック部材50を軸方向前方に押圧することにより貯留部11内の液体化粧料を繰り出すことができるものであって、使用者のノック操作によるノック部材50の押圧の力をカム機構により回転の力に変換するノック機構部60と、軸本体12に固定したネジ体61と、ネジ体61に螺合させたネジ棒62とを有し、そのノック機構部60が変換した回転の力でネジ棒62を回転させることによってネジ体61を介して該ネジ棒62を前進させて前記液体化粧料を繰出すものである。また、ノック部材50の押圧による力を回転の力に変換するノック機構部60は、第1及び第2のカム面を有する回転体63と、第1の固定カム面を有するネジ体61、第2の固定カム面を有するカム体65とを主な構成要素とするものである。
【0040】
このノック式繰出タイプの液体塗布具は、ノック部材50を軸線方向に押圧してノックを開始すると、ノック部材50と回転体63はバネ部材64を圧縮させながら一体的に前方へ移動を開始し、さらにノックを続けると、回転体63が所定方向に回転しながら前方へ移動する。この時、回転体63はノック部材50に対して回転可能に取り付けられているためノック部材50自体は回転しない。このノック時の回転体63の回転に伴い、回転体63と回転方向に規制され軸線方向に移動自由に設けたネジ棒62が回転体63と一体的に回転する。ネジ棒62はネジ体61と螺合していることによりピストン体66と共に前進し貯留部11の液体化粧料を繰り出すものとなる。この状態からノックを解除する。ネジ体61内部に配設されたバネ部材64が回転体63を押上げることでノックを解除して行くが、この時、回転体63は所定回転方向に回転及び後方へ移動を開始する。さらにノック解除を続けると、バネ部材64の押上げ力で回転体63も回転しながら後退する。この回転時も上記の通りネジ棒62を回転させピストン体66と共に前進し、液体化粧料を繰り出すものとなる。上記のノック動作を繰り返すことにより、軸線方向のノック動作及び解除動作が回転の力に変換され、ネジ棒62を回転させ、ピストン体66を押し出すことで液体化粧料を定量的に繰出すことが可能となる。
【0041】
更に、図1及び図4の各形態の液体塗布具において、継手部材19を密封するのに、シールボール受け部となるシール18にシールボール22を使用して行ったが、シールボール22の使用に限定されない。例えば、図5に示すように、内部に密封部材となる環状薄膜18aをシール部18に一体的に設けてシールボール22の代わりにすることができる。
この形態では、未使用時では環状薄膜18aがシール部18の内部に液流路を密封しており、塗布部30側に液体化粧料が流れ込まないようになっている。一方、使用時は、上記第1実施形態と同様に、ユーザーがストッパー23を軸本体12から引き抜き、先軸20を後端側に押し込むことにより、継手部材19の後端細径部が環状薄膜18aに突き当たって環状薄膜18aの外周状に形成した切り欠き溝(断面V字溝)18bにより環状薄膜18aがシールボール受け部18の内径部から一部外れて、当該貯留部11内の液体化粧料が継手部材19の内径部から塗布部30の液流路内に流入して、塗布部30にその内部から供給されて、対象部に塗布可能になるものである。
【実施例】
【0042】
次に、実施例及び比較例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記実施例等に限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1〜7及び比較例1〜4〕
下記表1及び表2に示す配合処方の液体化粧料(配合単位:質量%、全量100質量%)を調製し、各成分を混合し、室温下、3時間撹拌して、各表に示す液体化粧料を得た。
このようにして得た各液体化粧料について、下記方法により粘度を測定すると共に、耐水・耐摩擦性、顔料沈降状態、塗布部の詰まりや吐出性能について評価した。
【0044】
(粘度測定方法)
得られた液体化粧料を用いて、EMD型粘度計(東機産業社製)、25℃、標準コーンローター20rpm、ずり速度3.83s−1、19.20s−1、38.3s−1、76.8s−1のときの各粘度を測定した。
【0045】
(耐水・耐摩擦性の評価方法)
耐水・耐摩擦性については、液体化粧料を手の甲に塗布し、10分間自然乾燥させた後に、塗布部に流水をあて、指で擦過し、塗布物の落ち具合を目視と指先の感触について下記評価基準で官能評価した。
評価基準:
○:塗布部の剥がれがなく、良好である。
△:部分的に塗布部の剥がれがある。
×:塗布部がほとんど剥がれてしまう。
【0046】
(顔料沈降状態の評価方法)
図1に準拠する液体塗布具(液体化粧料の充填量:1.4ml)を用いて、50℃、3ヶ月間、倒立の状態で放置することにより、顔料の沈降状態を目視にて観察し、下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:顔料の沈降が全く見られない。
△:軽微な顔料沈降が起こり、上澄み液の部分が2mm未満 生じる。
×:顔料沈降が起こり、上澄み液の部分が2mm以上 生じる。
【0047】
(塗布部の詰まりや吐出性能の評価方法)
図1に準拠する液体塗布具(液体化粧料の充填量:1.4ml)を用いて、25℃、3日間、キャップレスの状態で放置することにより、過酷条件における、内容液の吐出性を下記評価基準で評価した。
評価基準:
○:液吐出流路内で内容液が詰まることなく、正常に吐出される。
△:詰まりは生じていないが、塗布ムラが生じる。
×:液吐出流路内で詰まりを生じて塗布出来ない。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
上記表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜7の液体化粧料は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べて、耐水・耐摩擦性、顔料沈降状態、塗布性能(塗布部の詰まり)に優れていることが判明した。
【0051】
アイライナー用又はアイブロウ用のアイメイクアップ化粧料に好適な液体化粧料が得られる。
【符号の説明】
【0052】
10 液押圧機構
12 軸本体
13 繰り出し部材
17 ピストン体
18 シール部
19 継手部材
20 先軸
30 塗布体
31 液流通路
32 開口部
34 塗布面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも高輝性粒子1〜20質量%と、皮膜形成性樹脂2〜10重量%と、増粘作用を有するアニオン性高分子化合物0.3〜2質量%と、水とを含有してなる液体化粧料であって、EMD型粘度計におけるずり速度76.8S−1の粘度(25℃)が250〜1000mPa・sの範囲であることを特徴とする液体化粧料。
【請求項2】
増粘作用を有するアニオン性高分子化合物は、(メチルビニルエーテル/マレイン酸)クロスポリマー、〔アクリレーツ/アクリル酸アルキル(炭素数10〜30)〕クロスポリマーから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の液体化粧料。
【請求項3】
アイメイクアップ化粧料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体化粧料。
【請求項4】
ビヒクル(ベース)色が透明である請求項1〜3の何れか一つに記載の液体化粧料。
【請求項5】
塗布部を具備した液体塗布具に充填されることを特徴とする請求項1〜4の何れか一つに記載の液体化粧料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232917(P2012−232917A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102081(P2011−102081)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005957)三菱鉛筆株式会社 (692)
【Fターム(参考)】