説明

液体印刷カラー工程及び印刷機

印刷カラーが一つの転写装置から別の転写装置に、及び/又は印刷媒体上に転写される印刷工程中の液体印刷カラーの使用。特に、印刷カラーの取り扱いの改善、その最適化、望ましくは印刷カラーの悪影響を及ぼす転写の回避、同時に、印刷媒体上への逆効果の回避のために、印刷カラーの少なくとも一つの液体成分が減少される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一つの転写装置から別の転写装置に及び/又は印刷媒体に印刷カラーを転写する印刷機の印刷工程の間、液体印刷カラーを使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
液体印刷カラーを印刷媒体、特に紙、上に転写するために、異なる方法を用いることができる。この点で、「印刷カラー」の語はその最も広い意味で用いられ、特に、凸版印刷、凹版印刷又はオフセット印刷のカラーとして用いられるが、この語はインクジェット印刷に用いられるインクを説明するためにも用いられる。しかし、本ケースにおいては、印刷カラーは、電子写真印刷に主として用いられる液体トナーをも意味することができる。異なる印刷工程において、特に、オフセット印刷及び電子写真印刷において、幾つかの転写装置を順次用いることができ、印刷カラーを印刷圧胴に及び印刷圧胴から転写できる。
【0003】
印刷カラーの一つの可能な液体成分は、液体溶剤、特に、極性溶剤、好ましくは水であるが、環境的に好都合な溶剤を優先しなければならない。
【0004】
液体の形態での印刷カラーは、転写可能性及び印刷カラーの正しい配置と共に転写する画像の現像を促進するが、スミアリングを齎すこともあり、あるいは印刷媒体に不利な効果又は変化を齎すこともある。このことは、印刷媒体が吸収紙である場合は、より厳しく生じることさえある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、印刷カラーの取り扱いを向上させるものであり、特にこのような取り扱いを最適化し、かつ、望ましくは、印刷媒体への不利な効果を避けながら、印刷カラーの移転に悪影響を及ぼすことを回避することである。
【0006】
本発明は、印刷カラーの少なくとも一つの液体成分を減少させることにより達成される。このことは、転写の前若しくは後、又は転写の部分的に前若しくは部分的に後の何れかに前記成分を減少させることによりなし得る。特に、この減少は、転写される画像の現像後、及び/又は印刷圧胴上への転写の前又は後、及び/又は印刷媒体への転写の前又は後のまさに印刷された用紙上に起こり得る。このタイミングは、主に、選択された印刷工程、選択された印刷媒体及び印刷カラーの特性に応じるであろう。印刷媒体への転写に続く液体成分の減少は、特に印刷媒体が紙である場合、望ましくは、転写の直後で、過度の毛細管活動が液体を印刷媒体中に極めて深く吸収させてしまう前に、発生すべきである。特に、液体成分の減少は、湿気が印刷媒体に望ましくない影響を及ぼすのを防止するのに十分である一方、同時に、印刷媒体の自然の含水量を維持して印刷媒体が完全に乾いてしまわないようにすることを意図することが有益である。
【0007】
液体成分は、例えば、液体成分を減少させる目的でマイクロ波を用いることにより、望ましくは、暖め、又は加熱することにより、減少する。マイクロ波を用いた照射には幾つかの利点がある。特にマイクロ波は、既に存在する水成分により吸収されるので、この工程はある程度まで自動制御式である。したがって、地盤が大きければ大きい程、加熱が寄り有効である。さらに、マイクロ波を用いて加熱することは、徹底的で体積に関係している。マイクロ波の照射のために、少なくとも一つの共振器、特にTE10N又はTE101型の共振器を用いて定在マイクロ波を発生させることが好ましい。
【0008】
さらに、本発明により、印刷カラー、及び/又は液体成分のマイクロ波を吸収する容量を増加するために、設備を設けることができる。このことは、種々の手段を用いてなし得る。特に、印刷カラーの吸収容量は、マイクロ波を吸収するための高められた容量を有する添加剤を用いることにより大きくすることができ、印刷カラーの容量は、マイクロ波を吸収するために高めた容量を有する液体成分を混合することにより大きくすることができ、混和又は混合は共沸的に、すなわち定沸により、生じ得、混和又は混合は、その少なくとも一つの液体成分がマイクロ波を吸収するための高められた容量を有する、異なる相を有する少なくとも二つの液体成分により形成され、これらの液体成分の一つは他方の液体成分中に乳化することができ、及び/又はこの乳化は少なくとも一つの添加剤により支持乃至促進されることを言及すべきである。
【0009】
さらに、あるいは印刷カラーを直接加熱する代わりに、印刷媒体自体を加熱することもできる。本発明による他の展開は、印刷カラーが転写された印刷媒体に入力されるエネルギーと相関するパラメータの関数として制御又は規制される少なくとも一つの物理的パラメータを備えている。したがって、本発明は、単純で、固定した標準の適用を利用するものではなく、むしろ、実際の望ましい測定された環境に基づいた可変標準の適用を利用する。
【0010】
この点で、上述したエネルギー入力は、全システムにより吸収されるマイクロ波出力の量に本質的に対応することができる。この全システムは、印刷媒体と印刷カラーの両者を含み、その結果、本発明により、出力エネルギーを、実際の支配的な環境に従って、吸収されたエネルギーと比較し、調整することができる。このことは、次に、効率的な制御及び/又は調整と一致する。この点で、言葉の最広義での伝達及び/又はカラー印刷及び印刷媒体を含む受信システム自体若しくは受信システムの取り扱いを制御することを考慮する事ができる。
【0011】
この点で、本発明は、マイクロ波放出器の調整及び/又は印刷媒体の移動速度の調整及び/又は共振器の調整及び/又はマイクロ波の周波数の調整を詳細に提供する。最後の二つの測定は、印刷媒体を介した場合は間接的でより問題を含む可能性があり、それよりもより正確にその溶融に影響を及ぼすように、印刷カラー中に直接高エネルギーの吸収をするためにも用いることが望ましいであろう。
【0012】
従属的な調整を案内するために用いられる測定可能なパラメータに関して、本発明は、使用される印刷媒体の温度、あるいは使用される印刷カラー/印刷媒体システムから反射されしたがってそれにより吸収されないマイクロ波のエネルギーの何れかを優先的に提案する。他の測定パラメータは、これらに限定はされないが、重量、厚さ、又は印刷媒体の含水量である。
【0013】
望ましくは、少なくとも二つの共振器が、印刷カラーの一様な加熱を保証するために、マイクロ波に対して要求されるであろう。これらは、共振器中の定在波の最大値を対応してずらすために、互いにλ/4だけずらすべきである。
【0014】
本発明の更なる展開は、このアプローチの代わりに、完全に又は部分的に振動する一つだけの共振器を使用することを提供する。本発明の他の更なる展開は、二以上の共振器を使用するときはいつも、これらの共振器は、波長λを共振器の数の2倍で割った長さだけ互いにずれていることを提供する。このことは、ずれがλ/4のときよりも基層上での温度分布が寄り平坦であることを齎す。本発明の好ましい実施の形態においては、4個の共振器が用いられ、それらはそれぞれ隣り合う共振器とλ/8だけずれている。
【0015】
原理的に、100MHzから100GHzまでのマイクロ波範囲の周波数の全てを使用することができる。 通例、工業、科学、及び医薬上の使用のために容認されるISM周波数は望ましくは2.45GHzが使用される。しかし、上記幅広い周波数範囲中の他の周波数を用いると照射エネルギーのより大きなパーセンテージの吸収が有利に齎される。
【0016】
特に、印刷カラーの少なくとも一つの液体成分のこのような減少のための機構は、転写装置の上流、下流、又は上流及び下流の双方に取り付けることができる。この減少機構は、加熱機構、特にマイクロ波照射器、望ましくは定在マイクロ波を発生させるための少なくとも一つの共振器を有利に組み込む。
【0017】
本発明による、この機構の更なる展開は、放出器(マイクロ波源)から伝送されるマイクロ波のための少なくとも一つの共振器により特徴付けられ、この共振器は、前記印刷媒体の平面に略垂直な定在マイクロ波を発生する。
【0018】
この方法で鉛直に取り付けられた共振器は、特に印刷媒体の平面で好ましい電磁界の強度を分配する効果を有する。すなわち、適当に限定された共振器の幅を横切って、電磁界の非常に一様な強度が、印刷媒体の平面に、その移動方向に直角に発生し、その結果、印刷媒体と印刷媒体上の印刷カラーとがこの幅を横切って均一に加熱され、また、印刷媒体がその移動方向に均一に移送される場合、印刷媒体の長さに沿って均一に加熱される。したがって、本発明による共振器を用いて、共振器自身の幅と等しい幅を連続的にかつ均一に印刷媒体の長さに亘って加熱することができる。
【0019】
本発明の引き続く更なる展開は、一以上の共振器の使用を提供し、それにより、隣り合う共振器の有効幅が必要的かつ有利に重なり合うように印刷媒体の幅を横切って共振器が取り付けられ、その結果、印刷媒体と、印刷媒体上の印刷カラーとが、均一に、完全に、かつ隙間なく、印刷媒体の全表面に亘って加熱される。そして、この工程において、上述したように、共振器が最も均一な電磁界を放出できるよう気が配られ、このことは、略20cmまでの共振器の幅中で容易に保証されることができ、それにより略4cm乃至8cmの共振器幅が好ましい。
【0020】
共振器は、互い違いにした構成で取り付けることが望ましく、それにより異なる構成が可能である。例えば、互いの間に空間を設けた前後2行に共振器を取り付けることができ、これは密集した、空間節約型配置を提供する。しかし、共振器は、階段構成又はV構成にも配列できる。これらの構成は、共振器の作動幅の重なり合う領域でのトナーが、逐次的に取り付けられた共振器を通過する間に冷却されないという利点を有する。これは、次に、重なり合う領域中での印刷カラーの加熱を繰り返すことにより惹き起こされる可視境界層の構築の可能性を防止する。さらに、上述の構成は、本発明による機構の領域中に印刷媒体を移送する素子に利用できる十分な空間が残るという利点を提供する。
【0021】
原理的に、使用される全ての共振器は単一のマイクロ波源により給電され得る。この工程において、エネルギーは、例えば、Tピースにより個々のシステムに分配されうる。
【0022】
溶融される画像を一様に加熱することは、各共振器がそれ自身のマイクロ波源により給電される場合により信頼度が高く保証し得る。したがって、共振器のマイクロ波分散の異なるレベルにより惹起される、溶融される画像の不均一な加熱は、各共振器に対するマイクロ波エネルギーを調節する事により補償することができる。それにより、マイクロ波エネルギーは、共振器のマイクロは分散のレベルに適合するように調整される。
【0023】
それにもかかわらず、マイクロ波源の数の合理的な減少を、Tピースにより二個の共振器に単一のマイクロ波源の出力を分配することにより、達成する場合も有る。それにより、この二個の共振器が適当な同一のマイクロ波分散レベル有することを保証することが望ましい。例えば、印刷媒体の幅を横切って取り付けられた4個の共振器からなる行中で、二個の中間共振器と、二個の外側の共振器とが、マイクロ波の分散の対称的なレベルが、二個の内部の共振器の間に走行する対称軸に関して常に存在するように、常に互いに連携して動作できる。このようにして、マイクロ波源又はマグネトロンの数を半分に減らす事ができる。
【0024】
各共振器を分割し、それを通って印刷媒体が移送され、それによりそれを印刷媒体平面とする平面中で、共振器室の内壁に横流がまったく流れないかわずかに流れる。その結果、高レベルの散乱放射は生じない。共振器の分割された領域(半シェル)間に電気的接触を確立するために、適当な伝導性の接続器を用いる事ができる。勿論、形状の観点から、幾つかの共振器が隣接して取り付けられている場合に、接続器を生じるのは困難である。したがって、適当に互いに接続された接続器により電気的接触を齎すのは理解できる。このような、相互接続は個々の共振器に影響を及ぼさないであろう。この工程において、分岐接続の接続点は、共振器の内部の高電流密度が存在する場所に置くことに気をつけることが必要かもしれない。
【0025】
最大の吸収のために個々の共振器を独立に調整する事は、環境によっては不満足な結果となるであろう。減少結果は不均一であり得る。したがって、均一な結果を得るために、印刷媒体の吸収は、先行する共振器がオンである間に逐次に後行する共振器中で最適化できる。
【0026】
さらに、共振器の開口を通る通過から放出する放射散乱は、いわゆるチョークを構成すること及び/又は共振器の外側に吸収材料を使用することにより減少できる。
【0027】
印刷媒体の移動方向に1cm乃至20cmの長さの少なくとも一つの共振器を使用する事は、印刷媒体の取り扱いを簡易化するためには望ましいく、アークを発生させずに、十分な出力(例えば共振器当たり1KW乃至10KW)を可能にする事もできる。この工程において、共振器の幅は、印刷媒体の移動速度にも適合させるべきである。ここで述べる速度は、加熱機構自身が、停止している印刷媒体に対して移動できる、又は両者が移動できる相対速度(例えば、10cm/s)である。加熱は完全に静的な環境でなされる事すら考える事ができる。
【0028】
本発明は、デジタル多色印刷機と共に使用することが望ましい。
【0029】
本発明、その目的及び利点は、以下に示す望ましい実施の形態の詳細な説明中により明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
添付の図面を参照すると、
図1は、本発明による、印刷画像を加熱するための、特に本発明に従った工程を実施するための、機構の可能な実施の形態の図を概略的に、また、一例としてのみ示す。図1は、シート状の印刷媒体のシートを次々と載置して移送することのできるコンベアベルト1の一部を示す。このコンベアベルト1は、互いにずれて置かれた二つの共振器2,3をその他の物と共に含む加熱機構を通り抜ける。これらの共振器は、ほぼ3mm乃至10mmの高さでその中をコンベアベルトと印刷媒体が通過するスリット4を適切な位置に有する。
【0031】
図1に示したように、定在マイクロ波5が共振器2,3中に形成され、それらから電界強度の極大値がコンベアベルト1の平面中又はその上に置かれた印刷媒体の平面中に見出され、特に、印刷媒体とその上に印刷された画像を加熱し、その結果、画像の印刷カラーの液体成分が減少する。図1中に見られるように、マイクロ波5の極大値のずれに対応して印刷媒体と画像とを相対的に均等に加熱するために、共振器2,3は、マイクロ波5の1/4波長だけ互いにずれるように取り付けられている。以下λ記号で表され、印刷媒体に入力されるエネルギーの推移に対応するマイクロ波5の波長が、導波管を介して供給された元々の自由マイクロ波の波長のわずかに半分に対応することに注意すべきである。
【0032】
マイクロ波電界を形成するために、共振器2,3が、(図中線で表す)導波管を介して、マイクロ波を発生するための適当なシステム6に接続されている。コンベアベルト1とその上の印刷媒体とは、共振器2,3を通って矢印7の方向に、例えば、秒速1mまでの速度で移動する。共振器の開口を通って射出される放射散乱を、いわゆるチョーク及び/又は共振器の外側に置かれた吸収材料を用いて減少させることができる。
【0033】
図2は、4つの共振器を用いたときの定在マイクロ波又は電界強度の推移のずれた配置が、印刷媒体の特に一様な加熱を有利に齎すことを明らかにする。図2は、印刷媒体の幅を横断した印刷媒体に対する(画素に関して解析又は測定した)温度曲線を摂氏((C)で表し、その最初のものは一つの共振器のみを使用した場合で、その第二のものは二つの共振器を使用した場合で、その第三のものは三つの共振器を組み合わせて使用した場合で、その第四のものは四つの共振器を使用した場合である。一連のものの中で最後の温度曲線は、基層の幅を横切って略100(Cで等しいことが認識できる。
【0034】
図3は、共振器21の分割スロット23を介して矢印22により示される方向に搬送される図示しない印刷媒体の搬送平面に垂直に取り付けられる、本発明による共振器21の概略図である。共振器21は分割スロットにより二つの部分21a,21bに分割され、この分割スロットは同時に印刷媒体の搬送平面を定義する。マイクロ波は、図示されないマイクロ波源から矢印24により示される方向から共振器21に供給することができ、それにより共振器部21a中に可動停止弁25が示される。
【0035】
図3の共振器の周りに、x、y、z軸を有する座標系が示され、それを使用することにより共振器21の方位が示される。印刷媒体の移動方向22はy軸に一致し、印刷媒体の幅はx軸の方向に走り、共振器21中の定在波の励起方向はz軸の方向に垂直に走る。
【0036】
共振器の電磁界の要素の強度Ex,Ey,Ezは、座標系の軸に沿って定性的に表され、これらはそれぞれ特別の座標の関数である。したがって、x軸方向、したがって印刷媒体の幅方向、の電磁界Exの強度を示す曲線が略正方形であることが分かり、このことは、この強度が、共振器21の幅を横切って、本質的に一定、すなわち一様、である事を意味する。このことは、印刷カラーがその上にある印刷媒体が強度分布に比例して加熱されることをもたらす。すなわち、印刷媒体は、共振器21のx幅を横切って移動方向22に移動する間一様に加熱される。この点で、勿論、共振器21のx幅は、広がりが大き過ぎる場合には電界分布が変化するという事実により制限される。この結果は、x方向の加熱の概要は最早一様ではないであろうことであり得る。この結果、共振器21のx幅は、20cmより小さく、望ましくは4cmから8cmであるべきである。
【0037】
したがって、印刷媒体のx幅全体を覆う目的で、印刷媒体の幅を横切って分布する幾つかの共振器を取り付ける必要がある。なお、共振器21の千鳥形配列により、印刷媒体を搬送するために必要な要素を設置するための十分な空間が存在するように共振器を配置できるという利点が提供される。このように、印刷媒体を搬送手段と物理的に接触させ続けることができる。このことは、次に、確実な搬送を保証する。
【0038】
図4乃至6は、印刷媒体をその幅全体に亘って一様に加熱できる共振器21の望ましい配列の概略頭上図をそれぞれ示す。コンベアベルト26が、共振器の表現された作業領域の下に示され、このコンベアベルトは、矢印22により示された方向に移動し、この移動は、印刷媒体を搬送する目的のためであり、共振器21の分割スロット23を通って印刷媒体を搬送する。
【0039】
図4は、特に密集した配置を示す。共振器21は、4行に配置され、移動方向22に関して連続的に2列に配置されている。それにより、各共振器21は空隙を覆うように配置される。図5において、共振器21は、V構成で前後に互い違いにされ、それによりここでも、共振器21は、群として、コンベアベルト26の幅全体を覆う。図6においては、共振器は、階段状に前後に互い違いにされ、もう一度共振器が群としてコンベアベルトの幅全体を覆う。
【0040】
この三個の図面、図4乃至図6、において、次々と続く共振器21の縦方向の縁は、コンベアベルト26の幅全体の次の部分を常に覆い、そしてそのそれぞれは、その他のものと一列になる。しかし、共振器の有効な幅とそれらにより掃引される有効領域とが互いに重なり合うとき印刷媒体の一様な加熱に関してよりよい。このような重なり領域は1mm乃至300mmであることが有利であり得るが、望ましくは1mm乃至10mmである。共振器21の望ましい数は、したがって、個々の共振器21の幅、重なり合う領域の大きさ、及び印刷媒体又はコンベアベルト26の幅の関数であり得る。例えば、最大383mmの幅の1枚の用紙(印刷媒体)に対して図4に示した配置を用いると、それぞれ4個の共振器21の2列に8個の共振器を取り付けることができる。これらの共振器のそれぞれが、移動方向に直角に54mmの有効幅を有することができる。2行の共振器21は、移動方向22に互いに525mm離れることができる。2行の共振器21は、移動方向に直角に配置して、間隙を覆うことができる。すなわち、それらは互いに47mmだけずらすことができる。所与の有効幅を考慮して、方向22に連続的に走行する共振器21の有効幅は、したがって、7mmだけ重なり合うであろう。
【0041】
図5及び6に示された配列は追加的利点を有し、それは、印刷媒体が更に移動方向22に搬送されるにつれて、一つの共振器の有効領域から次の共振器21の有効領域までの間共振器21の重なり合う領域が冷たくならないと言うことである。したがって、共振器21の重なり領域中の復活した加熱により惹き起こされた可視境界層の可能な構成は、回避できる。図5及び図6に示した配列は、最小の表面だけが印刷媒体の搬送手段と接触しないという効果に最適化されもする。
【0042】
図7は、図3に示された共振器21の概略図を再び示すが、ここでは、接続部21a及び共振器21の部分21bに用いられる電気的に伝導性の素子27と共に示す。これは、均等化電流が流れられるように共振器部21a及び共振器部21bの間に電気的接続を提供する。
【0043】
図8は、本発明による加熱機構を少なくとも一つ組み込んだ電子写真式印刷機の撮像機構の概略側面図を示す。この撮像機構は、米国特許第5,561,507号の開示中に見られる概念に従っている。原理的に、本発明の工程は、本発明により装備乃至改良された印刷機を用いて当然に実施でき、特に、例えば米国特許第5,752,142号又はPCT出願第WO01/92968号に従って電子写真式に動作する他の印刷機と共に実施できる。
【0044】
図8に示した機構において、シート又はロール形の何れでもあり得る印刷媒体31が示され、この印刷媒体は印刷機の撮像シリンダ32を通過し、この撮像シリンダ32は転写装置として動作し、印刷された画像を印刷媒体31上に直接転写する。この目的のために、撮像シリンダ32は第一のコロナ33により均一に充電又は放電される。続いて、画像が露光部34により撮像シリンダ32上に載置され、撮像シリンダ32は、第一のコロナ33が撮像シリンダ32を充電したか放電したかに応じて、印刷された画像情報に対応する撮像シリンダ32上の感光層を選択的に充電又は放電する。転写装置とも言われる塗布ローラ35の助けを借りて、タンク37からの液体トナー36が撮像シリンダ32に転写され、それによりこのトナー36が、露光部34を用いて事前になされた撮像に対応する撮像シリンダ32に選択的に付着し、転写される画像がこの方法で現像される。トナー36の塗布と転写とは、ワイパ38,39の助けを借りて制御される。印刷画像の撮像シリンダ32から印刷媒体への転写は、そこで、印刷媒体の下に置かれた第一のコロナ40の助けを借りてなされる。
【0045】
本発明による加熱機構41及び/又は加熱機構42は、印刷画像が現像された後の撮像シリンダ32上の、液体トナー36が撮像シリンダ32に転写される前の塗布ローラ35上の、及び/又は印刷画像が転写された後の印刷媒体上の液体トナー36の液体成分を減少させるのに用いる異なった位置に搭載することができる。位置41において、印刷媒体31は、印刷画像を受け取る前ですらこの目的のために事前加熱することもできる。
【0046】
例としてのみ、図1に示すような共振器は、位置42に示され、一方図3に示すような共振器は位置41に示される。このような使用は、勿論、選択的である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
以下に提示され、それから本発明による更なる特徴が帰結するが、本発明はそれに限定されるものではない、本発明の実施の形態の詳細な説明中、実施の形態が添付図面中に示される。図は次のごとくである。
【図1】印刷された画像を加熱するための、本発明による機構の実施の形態の概略図である。
【図2】一枚の用紙の温度分布を示し、測定は、用紙が共振器を出た直後にバーテック(Bartec)R2610ラインパイロメータによりなされ、それにより、用紙の幅を横切る温度曲線が、第一の一つの共振器がオンし、そして第一の二つの共振器、そして第一の三つの共振器、そして全ての四つの共振器がオンした状態で、画素サイズが略3mmで、示される図である。
【図3】印刷された画像を加熱するのに用いる、本発明による共振器の別の実施の形態の概略図を示す。
【図4】印刷された画像を加熱するのに用いる、本発明による8つの共振器の2行配列の頭上図を示す。
【図5】V構成に配列した7つの共振器の配列の頭上図を示す。
【図6】印刷された画像を加熱するのに用いる、本発明による機構の8つの共振器の追加的な互い違いの配列の頭上図を示す。
【図7】図3に示したような共振器を接続器と共に示す図である。
【図8】電子写真式印刷機の撮像機構の概略側面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷カラーが一つの転写装置から別の転写装置及び/又は印刷媒体に転写される印刷工程における液体印刷カラーを用いるための工程であって、前記印刷カラーの少なくとも一つの液体成分を減少させるステップを備えたことを特徴とする工程。
【請求項2】
請求項1に記載の工程であって、前記減少ステップは、前記転写の前に生じることを特徴とする工程。
【請求項3】
請求項1に記載の工程であって、前記減少ステップは、前記転写の後に生じることを特徴とする工程。
【請求項4】
請求項1に記載の工程であって、前記減少ステップは、部分的に前記転写の前に、そして部分的に前記転写の後に生じることを特徴とする工程。
【請求項5】
請求項1に記載の工程であって、前記減少ステップは、前記印刷カラーを加熱することによりなされることを特徴とする工程。
【請求項6】
請求項5に記載の工程であって、前記加熱は、マイクロ波を用いた照射によりなされることを特徴とする工程。
【請求項7】
請求項6に記載の工程であって、少なくとも一つの共振器により発生された定在マイクロ波を用いることを特徴とする工程。
【請求項8】
請求項6に記載の工程であって、前記印刷カラーの吸収容量が、マイクロ波に対する高い吸収容量を有する添加剤を用いることにより高められることを特徴とする工程。
【請求項9】
請求項6に記載の工程であって、前記印刷カラーの吸収容量が、マイクロ波に対する高い吸収容量を有する液体成分の混合により高められることを特徴とする工程。
【請求項10】
請求項9に記載の工程であって、前記混合又は改質が、共沸的になされることを特徴とする工程。
【請求項11】
請求項9に記載の工程であって、前記混合又は改質が、相の異なる少なくとも二つの液体成分を用いてなされ、その少なくとも一つの液体成分はマイクロ波に対する高い吸収容量を有することを特徴とする工程。
【請求項12】
請求項11に記載の工程であって、前記液体成分の一つは、他方の液体成分中に乳化されることを特徴とする工程。
【請求項13】
請求項12に記載の工程であって、前記乳化が、少なくとも一つの乳化剤により支持又は促進されることを特徴とする工程。
【請求項14】
請求項5に記載の工程であって、前記印刷媒体が加熱されることを特徴とする工程。
【請求項15】
請求項6に記載の工程であって、前記マイクロ波の前記照射の少なくとも一つの物理的工程パラメータが、その上に印刷カラーが転写される印刷媒体中に入力されるエネルギーと相関するパラメータの関数として制御又は規制されることを特徴とする工程。
【請求項16】
請求項15に記載の工程であって、マイクロ波放出器の出力が、エネルギー入力が低過ぎる場合は前記出力が高められ、前記エネルギー入力が高過ぎる場合は前記出力が低くされ、その結果平均で本質的に一定で適切なエネルギー入力が維持されるようなエネルギー入力の関数として規制されることを特徴とする工程。
【請求項17】
請求項16に記載の工程であって、マイクロ波により照射される領域を通過する前記印刷媒体の移動速度は、エネルギー入力が低過ぎるときには前記印刷媒体は低速で溶融し、該エネルギー入力が高過ぎるときには前記印刷媒体は高速で溶融するように、該エネルギー入力の関数として規制されることを特徴とする工程。
【請求項18】
請求項15に記載の工程であって、前記マイクロ波放出器はエネルギー入力の関数として調節されることを特徴とする工程。
【請求項19】
請求項15に記載の工程であって、前記印刷媒体の温度は、前記エネルギー入力に相関したパラメータとして用いられることを特徴とする工程。
【請求項20】
請求項15に記載の工程であって、前記エネルギー入力の効率は、該エネルギー入力に相関するパラメータとして用いられることを特徴とする工程。
【請求項21】
請求項15に記載の工程であって、定在マイクロ波が少なくとも一つの共振器により発生され、部分的にか全体的にか印刷媒体を含む前記共振器の反射電力又はエネルギーが、前記エネルギー入力と相関するパラメータとして測定され、そして前記マイクロ波放出器からの出力と比較されることを特徴とする工程。
【請求項22】
請求項21に記載の工程であって、100MHzと100GHzとの間のマイクロ波周波数範囲において、承認されたISM周波数の外部にあり、吸収された全マイクロ波エネルギーに対する前記トナーにより吸収されたマイクロ波エネルギーの比において、該トナーにより吸収された増大したマイクロ波エネルギーに好都合である周波数が選択されることを特徴とする工程。
【請求項23】
請求項22に記載の工程であって、マイクロ波を用いて照射される前記領域を通過する前記印刷媒体の前記移動方向に垂直な移動成分と部分的又は全体的に同期して振動するマイクロ波のための共振器が用いられることを特徴とする工程。
【請求項24】
一つの転写装置から別の転写装置及び/又は印刷媒体への印刷工程の間液体印刷カラーを転写する印刷機であって、前記印刷カラーの少なくとも一つの液体成分を減少させるための少なくとも一つの機構を備えたことを特徴とする印刷機。
【請求項25】
請求項24に記載の印刷機であって、このような減少のための前記機構は、転写装置の上流に取り付けられていることを特徴とする印刷機。
【請求項26】
請求項24に記載の印刷機であって、このような減少のための前記機構は、転写装置の下流に取り付けられていることを特徴とする印刷機。
【請求項27】
請求項24に記載の印刷機であって、このような減少のための前記機構は、転写装置の上流及び下流の双方に取り付けられていることを特徴とする印刷機。
【請求項28】
請求項24に記載の印刷機であって、このような減少のための前記機構は加熱機構であることを特徴とする印刷機。
【請求項29】
請求項28に記載の印刷機であって、前記加熱機構は、少なくとも一つのマイクロ波照射器を組み込んでいることを特徴とする印刷機。
【請求項30】
請求項29に記載の印刷機であって、前記加熱機構は、定在マイクロ波を発生するための少なくとも一つの共振器を組み込んでいることを特徴とする印刷機。
【請求項31】
請求項30に記載の印刷機であって、前記定在マイクロ波を発生するための少なくとも一つの共振器は、前記印刷媒体の平面に略垂直に定在マイクロ波を発生することを特徴とする印刷機。
【請求項32】
請求項31に記載の印刷機であって、一以上の共振器が用いられ、これらの共振器が、前記印刷媒体の幅を横切って配置されるように搭載されていることを特徴とする印刷機。
【請求項33】
請求項30に記載の印刷機であって、一以上の共振器が用いられ、これらの共振器が、それらが互いに互い違いにされて配置されていることを特徴とする印刷機。
【請求項34】
請求項30に記載の印刷機であって、前記共振器が、重なり合う有効幅を有するように配置されていることを特徴とする印刷機。
【請求項35】
請求項30に記載の印刷機であって、前記印刷媒体によるマイクロ波エネルギーの吸収は、先行する共振器がオンしている間に後行する共振器により最適化できることを特徴とする印刷機。
【請求項36】
請求項30に記載の印刷機であって、前記印刷媒体の進路に直角な前記共振器の幅が、この幅を横切って比較的一様なマイクロ波電界強度の存在が保証されるように選択されることを特徴とする印刷機。
【請求項37】
請求項36に記載の印刷機であって、前記共振器が略20cmまでで、好ましくは略4cm乃至8cmの幅を有することを特徴とする印刷機。
【請求項38】
請求項30に記載の印刷機であって、前記印刷媒体の移動方向の前記共振器の長さが略1cmから略20cmであることを特徴とする印刷機。
【請求項39】
請求項30に記載の印刷機であって、幾つかの共振器、好ましくはそれぞれ2個、が互いのマイクロ波源に作用的に接続されていることを特徴とする印刷機。
【請求項40】
請求項39に記載の印刷機であって、同一のマイクロ波源に接続された前記共振器のそれぞれのマイクロ波分散のレベルが、その他の共振器のマイクロ波分散レベルと対称であることを特徴とする印刷機。
【請求項41】
請求項40に記載の印刷機であって、前記同一のマイクロ波源に接続された前記共振器のそれぞれの前記マイクロ波分散のレベルは、同一であることを特徴とする印刷機。
【請求項42】
請求項24に記載の印刷機であって、該印刷機は、電子写真式印刷工程に従って動作する多色印刷機又はこのような多色印刷機の構成部品であることを特徴とする印刷機。
【請求項43】
請求項42に記載の印刷機であって、処置が放射散乱を減少するためになされることを特徴とする印刷機。
【請求項44】
請求項43に記載の印刷機であって、共振器部品の間を走行する印刷媒体の移動進路により互いに分離された該共振器部品が、適当な電気的に伝導性の接続器により互いに接続されていることを特徴とする印刷機。
【請求項45】
請求項30に記載の印刷機であって、一以上の共振器が用いられ、これらの共振器の最大値が、共振器数の2倍により割られたマイクロ波の波長λだけたがいにずれていることを特徴とする印刷機。
【請求項46】
請求項45に記載の印刷機であって、一以上の共振器が用いられ、後行する各共振器の最大値が、先行する共振器数の最大値より、前記共振器数の2倍により割られた前記マイクロ波の波長λだけ、ずれていることを特徴とする印刷機。
【請求項47】
請求項46に記載の印刷機であって、二以上の共振器が用いられ、後行する各共振器の最大値が、先行する共振器数の最大値より、前記共振器数の2倍により割られた前記マイクロ波の波長(だけ、一方向にずれていることを特徴とする印刷機。
【請求項48】
請求項47に記載の印刷機であって、二以上等しい数の共振器が用いられ、これらの共振器は、Nを共振器の数、λをマイクロ波の長さとして、互いにλ/Nだけずれているマイクロ波電界強度の最大値を有するN/2個のN/2群に分配されることを特徴とする印刷機。
【請求項49】
請求項48に記載の印刷機であって、前記後行する共振器中の前記印刷媒体の吸収は、前記先行する共振器がオンしている間に最適化できることを特徴とする印刷機。
【請求項50】
請求項49に記載の印刷機であって、全共振器又は一部の共振器が振動できることを特徴とする印刷機。
【請求項51】
請求項45に記載の印刷機であって、前記印刷媒体の前記進路に沿う前記共振器の前記幅は、前記印刷媒体の取り扱いを簡略化するためにできるだけ小さくなるように選択され、前記共振期中の電磁界をアーク発生レベルより低く維持するように十分に大きく選択されることを特徴とする印刷機。
【請求項52】
請求項45に記載の印刷機であって、前記共振器の幅は、印刷媒体の移動速度、及び/又は前記共振器中に照射されるマイクロ波のエネルギーの関数であることを特徴とする印刷機。
【請求項53】
請求項51に記載の印刷機であって、前記共振器は略1cm乃至10cmの幅を有することを特徴とする印刷機。
【請求項54】
請求項45に記載の印刷機であって、該印刷機は電子写真式印刷工程に従って動作する多色印刷機であることを特徴とする印刷機。
【請求項55】
請求項45に記載の印刷機であって、放射散乱を減少させる処置が取られることを特徴とする印刷機。
【請求項56】
請求項45に記載の印刷機であって、前記共振器の配列が前記用紙の進路の配列から90(だけずれていることを特徴とする印刷機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2007−534521(P2007−534521A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508427(P2007−508427)
【出願日】平成17年4月11日(2005.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2005/012183
【国際公開番号】WO2005/105464
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】