説明

液体口腔用組成物及びl−メントールの析出防止方法

【解決手段】 (A)カチオン性殺菌剤、
(B)パラオキシ安息香酸メチル及びパラオキシ安息香酸エチル、
(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又は炭素鎖長が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜50モルのポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)l−メントール
を含有し、エタノール含有量が組成物全体の3質量%以下であることを特徴とする液体口腔用組成物。
【効果】 本発明の液体口腔用組成物は、口腔細菌に対して殺菌効果を発揮し、外観安定性が良好で、刺激の少ない液体口腔用組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔細菌に対して殺菌力を発揮し、かつ組成物の外観安定性が良好で、刺激の少ないノンアルコール又は低アルコール組成の液体口腔用組成物に関する。また、本発明は、かかるノンアルコール又は低アルコール組成の液体口腔用組成物におけるl−メントールの析出を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、う蝕、歯肉炎、歯周病及び口臭等の原因とされている口腔細菌に対して、その殺菌が口腔疾患の予防に重要であることから、カチオン性殺菌剤が口腔用組成物に含有されてきた。しかしながら、これら殺菌剤は、主に香料を可溶化するために含有される非イオン性界面活性剤により、殺菌剤の活性部位が不活化され、その効果が半減してしまう問題点があった。そのため、殺菌力向上のために界面活性剤の含有量を減じると、特に低温保存において、香料の主成分で主に清涼感を付与させるl−メントールが析出し、組成物の外観安定性が著しく損なわれるという課題があった。そこで、エタノールを増量させ、l−メントールの析出を防止することも可能であるが、近年普及が進んでいる低アルコールのマイルドタイプ洗口剤やノンアルコール洗口剤では、l−メントールの析出を防止することは困難であった。
従って、殺菌力を発揮させながら、低温保存においても外観安定性の良好な、刺激の少ない液体口腔用組成物の開発が望まれてきた。
【0003】
これまで、カチオン性殺菌剤を併用することにより口腔疾患を予防させる技術(特許文献1:特開平5−931号公報、特許文献2:特開平7−25734号公報、特許文献3:特開平8−133969号公報、特許文献4:特開平8−259428号公報、特許文献5:特開平8−268850号公報、特許文献6:特開平11−12142号公報、特許文献7:特開2000−53546号公報、特許文献8:特開2000−178154号公報、特許文献9:特開2001−81019号公報、特許文献10:特開2001−151690号公報、特許文献11:特開2001−294536号公報、特許文献12:特開2002−284657号公報、特許文献13:特開2003−12484号公報参照)では、油溶性香料を可溶化し、良好な外観安定性を確保するために非イオン性界面活性剤の含有量が多く、十分な殺菌力が発揮できなかったり、5%以上のエタノールを含有させ、刺激の強いタイプの口腔用組成物にせざるを得なかった。逆に、殺菌力を重視するあまり低アルコール組成で活性剤量を減らすと、室温では問題ないものの低温に保管された時に組成物に清涼感を付与させるための必須成分であるl−メントールが析出して良好な外観安定性が維持できないという不具合があった。
【0004】
【特許文献1】特開平5−931号公報
【特許文献2】特開平7−25734号公報
【特許文献3】特開平8−133969号公報
【特許文献4】特開平8−259428号公報
【特許文献5】特開平8−268850号公報
【特許文献6】特開平11−12142号公報
【特許文献7】特開2000−53546号公報
【特許文献8】特開2000−178154号公報
【特許文献9】特開2001−81019号公報
【特許文献10】特開2001−151690号公報
【特許文献11】特開2001−294536号公報
【特許文献12】特開2002−284657号公報
【特許文献13】特開2003−12484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、口腔細菌に対して殺菌力を発揮し、外観安定性が良好で、刺激の少ないノンアルコール又は低アルコール組成の液体口腔用組成物及びかかる液体口腔用組成物におけるl−メントールの析出を防止する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、殺菌成分として塩化セチルピリジニウムをはじめとしたカチオン性殺菌剤及び香料としてl−メントールを含有し、エタノール含有量が組成物全体の3%(質量%、以下同じ)以下である低アルコール又はノンアルコール組成の液体口腔用組成物に、非イオン界面活性剤として特定のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合し、またパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルとを組み合わせて配合することにより、口腔細菌に対して殺菌力を発揮し、更に、刺激の少ない低アルコール組成において、低温保存してもl−メントールが析出することなく、外観安定性の良好な液体口腔用組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルとの併用により、低温でのl−メントールの析出を防止する作用機作としては、これらパラオキシ安息香酸エステルの併用系がl−メントールと疎水性相互作用し、l−メントールの溶解性を向上させ、結晶化を抑制しているものと思われる。この場合、パラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸エチルをそれぞれ単独で用いてもこのような効果は発揮されず、また、パラオキシ安息香酸プロピルやパラオキシ安息香酸ブチルをパラオキシ安息香酸メチルやパラオキシ安息香酸エチルと併用しても、同様に上記効果は発揮されず、パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルとの併用系のみが特異的に上記効果を与えるものである。
【0008】
従って、本発明は、
(A)カチオン性殺菌剤、
(B)パラオキシ安息香酸メチル及びパラオキシ安息香酸エチル、
(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又は炭素鎖長が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜50モルのポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)l−メントール
を含有し、エタノール含有量が組成物全体の3%以下であることを特徴とする液体口腔用組成物を提供する。
【0009】
また、本発明は、
(A)カチオン性殺菌剤と(D)l−メントールとを含有し、エタノール含有量が組成物全体の3%以下である液体口腔用組成物における(D)l−メントールの析出を防止する方法であって、上記口腔用組成物に、(B)パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルとを併用して配合すると共に(C)特定のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合することを特徴とする上記液体口腔用組成物におけるl−メントールの析出防止方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体口腔用組成物は、口腔細菌に対して殺菌効果を発揮し、外観安定性が良好で、刺激の少ない液体口腔用組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の液体口腔用組成物は、(A)殺菌成分としてカチオン性殺菌剤を含有し、(B)パラオキシ安息香酸エステルとしてパラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルとを併用し、(C)非イオン界面活性剤として特定のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有し、更に(D)l−メントールを含有し、(E)エタノールの含有量が3%以下であることを特徴とする。
【0012】
本発明で使用される成分(A)カチオン性殺菌剤としては、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン等があり、その1種又は2種以上を用いることができる。その配合量は、口腔細菌に対して殺菌力を発揮させる点で、組成物全体の好ましくは0.01〜0.10%、より好ましくは0.02〜0.05%である。少なすぎると、口腔細菌に対して殺菌力を発揮できない場合があり、多すぎると、刺激が強く、使用感が損なわれる場合がある。
【0013】
本発明で使用される成分(B)パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルの合計配合量は、低温保存でのl−メントールの析出を防止させる点で、組成物全体の好ましくは0.05〜0.40%、より好ましくは0.15〜0.25%である。少なすぎると、低温保存でのl−メントールの析出を防止できない場合があり、多すぎると、刺激が強く、使用感が損なわれる場合がある。なお、パラオキシ安息香酸メチル(Me)とパラオキシ安息香酸エチル(Et)との質量比(Me/Et)は、1/1〜3/1、特に2/1とすることが、本発明の効果を達成する上で好ましい。
【0014】
本発明で使用される成分(C)非イオン性界面活性剤としては、エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、炭素鎖長が16〜18のアルキル鎖長でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜50モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルである。その中では、口腔細菌に対する殺菌力及び香料の可溶化の点で、エチレンオキサイドの平均付加モル数が60〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、炭素鎖長が16〜18のアルキル鎖長でエチレンオキサイドの平均付加モル数が20〜50モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましい。その配合量は、口腔細菌に対する殺菌力及び香料の可溶化の点で、好ましくは0.1〜1.0%、より好ましくは0.2〜0.7%である。少なすぎると、低温でのl−メントールの析出を防止するのが難しく、多すぎると、口腔細菌に対する殺菌力が損なわれる場合がある。
【0015】
また、本発明で使用される成分(C)非イオン性界面活性剤/(A)カチオン性殺菌剤の質量比は、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジン又はグルコン酸クロルヘキシジンの場合、4〜20であり、口腔細菌に対して殺菌力を発揮させる点でより好ましくは4〜12である。当該(C)/(A)の質量比が4未満であると低温でのl−メントールの析出を防止するのが難しい場合があり、当該(C)/(A)の質量比が20を超えると、口腔細菌に対する殺菌力が損なわれる場合がある。更に、(C)非イオン性界面活性剤/(A)カチオン性殺菌剤の質量比は、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウムの場合、10〜80であり、口腔細菌に対して殺菌力を発揮させる点でより好ましくは10〜60である。当該(C)/(A)の質量比が10未満であると低温でのl−メントールの析出を防止するのが難しい場合があり、当該(C)/(A)の質量比が80を超えると、口腔細菌に対する殺菌力が損なわれる場合がある。
【0016】
本発明で使用される成分(D)l−メントールは、単独で使用してもよいし、l−メントールを含有するペパーミント油や和種ハッカ油等として用いても、更に両者を併用してもよい。その合計配合量は、清涼感を確保させる点で、好ましくは0.001〜0.15%、より好ましくは0.005〜0.10%である。少なすぎると、清涼感を確保させることが難しく、多すぎると、低温でのl−メントールの析出を防止するのが難しく、外観安定性が損なわれる場合がある。
【0017】
本発明で使用される成分(E)エタノールは単独で使用してもよいし、香料中のエタノールを用いても、更に両者を併用してもよい。その合計配合量は、低刺激性を確保させる点で3%以下、特に2%以下とすることが好ましく、3%を超えると、刺激が強く、使用感が損なわれる場合がある。また、本発明の口腔用組成物のエタノール下限値は0%で、エタノールを実質上含まないノンアルコール型口腔用組成物にも調製することが可能である。
【0018】
容器としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ガラス、ポリプロピレン、ポリエチレンが使用できるが、カチオン性殺菌剤及び香料の吸着抑制の点からPET又はガラスの使用が好ましい。
【0019】
本発明の液体口腔用組成物は、洗口剤、口中清涼剤、濃縮タイプ洗口剤などとして調製、適用することができるが、本発明の液体口腔用組成物には、上記成分以外に、その剤型に応じて適宜な任意成分を配合することができ、例えば、湿潤剤、増粘剤、pH調整剤、防腐剤、甘味剤、香料、界面活性剤、有効成分、着色料等を含有できる。
【0020】
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等を含有することができる。増粘剤としては、キサンタンガム、カラギーナン、ヒドロキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等、pH調整剤としては、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸及び炭酸並びにそれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、リボ核酸及びその塩類、更に水酸化ナトリウムなどの1種又は2種以上を用いることができ、特にリン酸、クエン酸とそれらのナトリウム塩を組み合わせたものが好ましい。
【0021】
特に、本発明の液体口腔用組成物は、25℃におけるpHを5.5〜7.5に調整することが好ましく、この付近のpH調整剤としてリン酸二水素ナトリウムとリン酸一水素ナトリウムあるいはクエン酸とクエン酸ナトリウムを組み合わせたものを用いることができる。
【0022】
防腐剤としては、上記パラオキシ安息香酸エステルに加えて、安息香酸ナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、ソルビン酸カリウム等を含有することができる。
【0023】
また、甘味剤としてはサッカリンナトリウム、ステビオサイト等を含有することができる。
【0024】
香料としては、スペアミント油、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、クローブ油、タイム油、セージ油、カルダモン油、ローズマリー油、マジョラム油、レモン油、ナツメグ油、ラベンダー油、パラクレス油等の天然精油及び、l−カルボン、1,8−シネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、チモール、リナロール、リモネン、メントン、メンチルアセテート、シトラール、カンファー、ボルネオール、ピネン、スピラントール等の上記天然精油中に含まれる香料成分、また、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキサナール、ヘキセナール、メチルアンスラニレート、エチルメチルフェニルグリシデート、ベンツアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フラネオール、マルトール、エチルマルトール、ガンマ/デルタデカラクトン、ガンマ/デルタウンデカラクトン、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、メンチルラクテート、エチレングリコール−l−メンチルカーボネート等の香料成分、更には、いくつかの香料成分や天然精油を組み合わせてなる、アップル、バナナ、ストロベリー、ブルーベリー、メロン、ピーチ、パイナップル、グレープ、マスカット、ワイン、チェリー、スカッシュ、コーヒー、ブランデー、ヨーグルト等の調合フレーバーの1種又は2種以上を用いることができ、本発明の組成物中0.00001〜3%の配合量で、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0025】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又はポリオキシエチレンアルキルエーテル以外の界面活性剤として、ミリスチル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルザルコシネート、ラウロイルメチルタウリン、アシルアミノ酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル・ナトリウム、アルキルリン酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩などのイミダゾリン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−L−アルギネート塩等のアミノ酸型界面活性剤などを単独又は組み合わせて用いることができ、配合量は0.01〜1%とすることができ、本発明の効果を妨げない範囲で使用することができる。
【0026】
有効成分として、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールなどの殺菌剤、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸などの抗炎症剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素、リテックエンザイム等の酵素、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一錫等のフッ化物、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アラントイン、アズレン、塩化リゾチーム、アスコルビン酸等のビタミンC類、ジヒドロコレステロール、グリチルレチン塩類、グリチルレチン酸類、ヒドロコレステロール、クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、タイム、オウゴン、チョウジ、ハマメリス等の植物抽出物、グルコン酸銅、カロペプタイド、ポリリン酸ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ラウロイルサルコシンナトリウム、歯石防止剤、歯垢防止剤、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム等を添加することができる。なお、これらの有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0027】
着色料として、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号など安全性の高い水溶性色素を添加することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。なお、下記に示す%はいずれも質量%を意味する。
【0029】
[実験1]
口腔細菌に対する殺菌効果
菌数測定試験には、唾液中のミュータンスの簡易菌数測定キットであるDentocult−SM(Orion Diagnostica社製, Finland)を用いた。予め、唾液中の菌数をDentocult−SMの使用方法に則り評価し、下記判定基準に則り2点以上の人10名を対象とした。測定は、表1,2に示す組成の洗口剤10mLを口に含み30秒間洗口し、3時間後の唾液中のミュータンス菌数を同様にDentocult−SMを用い、下記に示したキット記載されている判定基準に則り評価し、10名の平均点を算出した。
判定基準
3:ミュータンス菌数が106以上
2:ミュータンス菌数が105以上106未満
1:ミュータンス菌数が105未満
【0030】
[実験2]
外観安定性
表1及び2に示したサンプルを満注量500mLのPET容器に450mL充填し、−5℃恒温槽に1ヶ月保存後の外観安定性を下記基準に則り目視判定した。
外観安定性評価基準
◎:初期品と差がなく、針状結晶の析出が認められない。
○:ごく微量のオリが認められる。
△:微量の結晶の析出が認められる。
×:針状結晶の析出が認められる。
【0031】
[実験3]
使用感評価
表1及び2に示したサンプル10mLを口に含み30秒間すすいだ後、洗口後の刺激のなさ及び清涼感について下記の3段階で評価し、10名の平均点を算出した。
洗口後の刺激のなさ
3:刺激が認められなかった
2:やや刺激が認められた
1:刺激が認められた
洗口後の清涼感
3:清涼感が認められた
2:やや清涼感が認められた
1:清涼感が認められなかった
【0032】
[実施例1〜10、比較例1〜7]
【表1】

*:香料中のエタノールは微量なため、小数点第2位を四捨五入し、合計量を記載した。
【0033】
【表2】

*:香料中のエタノールは微量なため、小数点第2位を四捨五入し、合計量を記載した。
【0034】
[実施例11] 洗口剤
A 塩化ベンゼトニウム 0.01%
塩化ベンザルコニウム 0.01
B パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.1
C ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.3
D 香料A(l−メントール:23%含有) 0.4
エタノール * 2.8
フッ化ナトリウム 0.05
アスコルビン酸 0.01
カチオン化セルロース 0.05
酢酸dl−α−トコフェノール 0.05
グリセリン 7
キシリトール 3
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.3
水 残
計 100.0%
l−メントール合計量 0.09%
*:香料中のエタノールは微量なため、小数点第2位を四捨五入し、合計量を記載した。
【0035】
[実施例12] 洗口剤
A 塩化セチルピリジニウム 0.05%
B パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
C ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油 0.6
D 香料B(l−メントール:21%含有) 0.05
イソプロピルメチルフェノール 0.03
トリクロサン 0.02
プロピレングリコール 3
グリセリン 5
キシリトール 2
サッカリンナトリウム 0.006
ε−アミノカプロン酸 0.02
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.25
水 残
計 100.0%
l−メントール合計量 0.01%
【0036】
[実施例13] 洗口剤
A 塩化ベンザルコニウム 0.02%
B パラオキシ安息香酸メチル 0.2
パラオキシ安息香酸エチル 0.1
C ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 0.2
D l−メントール 0.04
香料C(l−メントール:19%含有) 0.2
エタノール * 2
フッ化ナトリウム 0.05
デキストラナーゼ 0.2
銅クロロフィリンナトリウム 0.01
リン酸一水素ナトリウム 0.2
リン酸二素ナトリウム 0.1
アスパルテーム 0.02
キシリトール 5
グリシン 0.2
水 残
計 100.0%
l−メントール合計量 0.08%
*:香料中のエタノールは微量なため、小数点第2位を四捨五入し、合計量を記載した。
【0037】
[実施例14] 洗口剤
A 塩化セチルピリジニウム 0.05%
B パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
C ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油 0.6
D l−メントール 0.02
香料D(l−メントール:19%含有) 0.4
エタノール * 2.2
ピロリン酸ナトリウム 0.2
ポリエチレングリコール600 0.5
トラネキサム酸 0.03
グリセリン 2
サッカリンナトリウム 0.002
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.25
水 残
計 100.0%
l−メントール合計量 0.1%
*:香料中のエタノールは微量なため、小数点第2位を四捨五入し、合計量を記載した。
【0038】
[実施例15] 洗口剤
A 塩酸クロルヘキシジン 0.05%
B パラオキシ安息香酸メチル 0.2
パラオキシ安息香酸エチル 0.1
C ポリオキシエチレン(30)ステアリルエーテル 0.4
D l−メントール 0.06
香料E(l−メントール:8%含有) 0.5
エタノール * 1
ポリビニルピロリドン 0.05
ポリリン酸ナトリウム 0.02
フッ化ナトリウム 0.02
プロピレングリコール 2
グリセリン 2
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.3
水 残
計 100.0%
l−メントール合計量 0.1%
*:香料中のエタノールは微量なため、小数点第2位を四捨五入し、合計量を記載した。
【0039】
[実施例16] 洗口剤
A 塩化セチルピリジニウム 0.05%
B パラオキシ安息香酸メチル 0.1
パラオキシ安息香酸エチル 0.05
C ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
香料F(l−メントール:18%含有) 0.1
塩化リゾチーム 0.5
プロピレングリコール 4
ポリエチレングリコール600 3
クエン酸 0.06
クエン酸ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.005
水 残
計 100.0%
l−メントール合計量 0.02%
【0040】
【表3】

【0041】
【表4】

注)上記表において、部は質量部である(以下、同様)。
【0042】
【表5】

【0043】
【表6】

【0044】
【表7】

【0045】
【表8】

【0046】
【表9】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)カチオン性殺菌剤、
(B)パラオキシ安息香酸メチル及びパラオキシ安息香酸エチル、
(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又は炭素鎖長が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜50モルのポリオキシエチレンアルキルエーテル、
(D)l−メントール
を含有し、エタノール含有量が組成物全体の3質量%以下であることを特徴とする液体口腔用組成物。
【請求項2】
それぞれ組成物全体の含有量として、(A)成分の含有量が0.01〜0.10質量%であり、(B)成分の含有量が0.05〜0.40質量%であり、(C)成分の含有量が0.1〜1.0質量%であり、(D)成分の含有量が0.001〜0.15質量%である請求項1記載の液体口腔用組成物。
【請求項3】
(A)カチオン性殺菌剤と(D)l−メントールとを含有し、エタノール含有量が組成物全体の3質量%以下である液体口腔用組成物における(D)l−メントールの析出を防止する方法であって、上記口腔用組成物に、(B)パラオキシ安息香酸メチルとパラオキシ安息香酸エチルとを併用して配合すると共に(C)エチレンオキサイドの平均付加モル数が40〜100モルのポリオキシエチレン硬化ヒマシ油又は炭素鎖長が16〜18でエチレンオキサイドの平均付加モル数が10〜50モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを配合することを特徴とする上記液体口腔用組成物におけるl−メントールの析出防止方法。

【公開番号】特開2007−31394(P2007−31394A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219999(P2005−219999)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】