液体吐出ヘッド及び画像形成装置
【課題】流体抵抗部の上流側の液体導入部の壁面が薄肉部で形成されて構造コンプライアンスが大きくなり、滴吐出特性が不安定になる。
【解決手段】振動板部材2の振動領域2aを変位させる駆動圧電柱12Aは、液室長手方向において、流体抵抗部7を経て液体導入部8に対向する位置まで延び、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dは、平面で見て、液体導入部8側と反対側の面に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向(液室長手方向)に沿って形成された厚肉部2fによって2つの薄肉領域2d1、2d2に分割される。
【解決手段】振動板部材2の振動領域2aを変位させる駆動圧電柱12Aは、液室長手方向において、流体抵抗部7を経て液体導入部8に対向する位置まで延び、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dは、平面で見て、液体導入部8側と反対側の面に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向(液室長手方向)に沿って形成された厚肉部2fによって2つの薄肉領域2d1、2d2に分割される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
液体吐出ヘッドとして、液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室(加圧室、圧力室、個別液室、加圧液室、加圧液室などとも称される。)と、個別流路に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、個別液室、流体抵抗部及び液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、振動板部材の個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材とを有する圧電型ヘッドが知られている。
【0005】
ところで、高画質画像を高速で形成するために、個別液室が小さくなる傾向にあり、ピ圧電型ヘッドにあっては、個別液室の長手方向(個別液室の並び方向と短手方向といい、短手方向と直交する方向を長手方向という。)の長さよりも、圧電部材(圧電素子)の長手方向が長くなり、更には流体抵抗部を超えて液体導入部まで圧電素子の方が長くなる場合もある。
【0006】
ここで、振動板部材を薄肉部の厚肉部の二層構造とした場合、上述したように圧電素子の長手方向長さが長くなると、振動板部材と圧電素子との干渉を回避するために、振動板部材の流体抵抗部や液体導入部の壁面を形成する部分を薄肉部にしなければならなくなる。
【0007】
ところが、液体導入部や流体抵抗部の壁面が薄肉部で形成されると、滴吐出時の圧力変動によって薄肉部が振動するようになり、個別液室の固有振動モードとは別の固有振動が生じて滴吐出制御の制御性が悪くなり、吐出性能が低下するという問題を生じる。
【0008】
そこで、従来、流体抵抗部を振動板部材の厚肉部の上部に重なるように個別液室から屈折させて配置するヘッドが知られている(特許文献1)。
【0009】
また、加圧液室の長手方向において、圧力発生手段の長さは加圧液室の長さより大きく形成され、圧力発生手段の供給路側端部は供給路と対向する振動板の領域と対向しないで、加圧液室と対向する振動板の領域に対して対向する位置に配置したものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−144706号公報
【特許文献2】特開2007−176153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている構成にあっては、圧電部材が流体抵抗部よりも上流側の液体導入部まで臨んでいる場合には、液体導入部の壁面を形成する振動板部材の部分で固有振動が発生するという課題が残っている。また、流路板をシリコン基板のエッチングで形成する場合に、特許文献1に開示されているような流体抵抗部構造を形成することができないという課題もある。
【0012】
また、特許文献2に開示されている構成にあっては、圧電素子の片側に振動板部材の厚肉部を寄せて接合するが、圧電素子の中央に振動板部材の厚肉部を配置しようとすると、流体抵抗部の壁面を形成する振動板部材の領域を薄肉部にしなければ圧電素子と干渉するため、液室に対向する振動領域以外の薄肉部で固有振動が発生するという課題を解決することができない。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、液体導入部における圧電部材と振動板部材との干渉を避けつつ、振動板部材の液体導入部領域における固有振動を低減し、安定した滴吐出特性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記液体導入部側と反対側の面に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成された厚肉部で分割されている
構成とした。
【0015】
ここで、前記厚肉部で分割されている前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部の前記個別液室の並び方向の幅が同じである構成とできる。
【0016】
また、前記流体抵抗部は、前記個別液室の並び方向で、前記個別液室に対して液室間隔壁の一方隔壁側に片寄って形成され、
前記液体導入部は、前記個別液室の並び方向で、前記流体抵抗部に対して、前記流体抵抗部の片寄り方向に片寄って形成されている
構成とできる。
【0017】
この場合、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面である構成とできる。
【0018】
また、前記個別液室及び前記流体抵抗部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面である構成とできる。
【0019】
また、前記振動板部材の前記個別液室に対応する振動領域には前記個別液室の長手方向に前記圧電部材が当接する厚肉部が形成され、
前記液体導入部に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅が、前記振動領域に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅よりも広い
構成とできる。
【0020】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記流路板に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成され、前記液体導入部の壁面を形成している薄肉部に接合された支持部で分割されている
構成とした。
【0021】
ここで、前記流路板の支持部は、島状に形成されている構成とできる。
【0022】
また、前記流路板の支持部は、前記振動板部材の前記厚肉部が形成されている部分まで延びている構成とできる。
【0023】
また、前記流体抵抗部は、隔壁部にて2つの経路に分割されている構成とできる。
【0024】
この場合、前記流体抵抗部を分割している隔壁部と前記支持部とは連続して形成されている構成とできる。
【0025】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、圧電部材は個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が液体導入部に対向し、液体導入部の壁面を形成する振動板部材の薄肉部は、平面で見て、液体導入部側と反対側の面に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成された厚肉部で分割されている構成としたので、液体導入部における圧電部材と振動板部材の干渉を避けつつ、振動板部材のコンプライアンスを低減することができて、振動板部材の液体導入部領域における固有振動を低減し、安定した滴吐出特性を確保することができる。
【0027】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、圧電部材は個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が液体導入部に対向し、液体導入部の壁面を形成する振動板部材の薄肉部は、平面で見て、流路板に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成され、液体導入部の壁面を形成している薄肉部に接合された支持部で分割されている構成としたので、液体導入部における圧電部材と振動板部材の干渉を避けつつ、振動板部材のコンプライアンスを低減することができて、振動板部材の液体導入部領域における固有振動を低減し、安定した滴吐出特性を確保することができる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えるので、高画質画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向に沿う要部断面説明図である。
【図2】図1のX−X線に沿う液室短手方向の要部断面説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する図1のY−Y線に沿う要部平断面説明図である。
【図4】比較例の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図9】本発明の第6実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図10】本発明の第7実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図11】本発明の第8実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図12】本発明の第9実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図13】本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例の説明に供する機構部の側面説明図である。
【図14】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図、図2は図1のX−X線に沿う液室短手方向の要部断面説明図である。
【0031】
この液体吐出ヘッドは、流路部材としての流路板(流路基板、液室基板)1と、この流路板1の下面に接合した振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル4がノズル連通路(連通管)5を介してそれぞれ連通する個別液室としての複数の加圧液室(以下、単に「液室」ともいう。)6が形成され、フレーム部材17に形成した共通液室10から振動板部材2に形成した流入口9を介して各加圧液室6に液体導入部8及び流体抵抗部7を介してインクを供給する。ここでノズル板3と流路板1は一体で形成される構成であってもよい。
【0032】
流路板1は、シリコン基板を異方性エッチングして、ノズル連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7、液体導入部8などの開口部や溝部をそれぞれ形成している。ノズル連通路5及び加圧液室6などを形成するエッチングで残された部分が流路間隔壁(液室間隔壁)30となる。
【0033】
振動板部材2は、加圧液室6、流体抵抗部8及び液体導入部8の壁面を形成する壁面部材であり、変形可能な第1層2Aと、第1層2A上に積層した第2層2Bとからなり、各液室6の壁面を形成する変形可能な第1層2Aで形成された薄肉部である振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、振動領域2aに第2層2Bで形成した島状凸部2bに、振動領域2aを変形させ、液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての柱状の電気機械変換素子である積層型圧電部材12の圧電柱12Aが接合されている。
【0034】
圧電部材12はハーフカットダイシングにより櫛歯状に圧電柱12A、12Bを形成したものであり、圧電柱12Aは駆動波形を印加する駆動圧電柱となり、圧電柱12Bは駆動波形を印加しないで流路間隔壁30を支持する支柱である非駆動圧電柱となる。すなわち、圧電部材12の圧電柱12A、12Bは加圧液室6の配列密度の2倍の密度で配列された所謂バイピッチ構造としている。この圧電部材12の下端面はベース部材13に接合している。
【0035】
そして、駆動圧電柱12Aは、振動板部材2の振動領域2aに設けられた島状凸部(厚肉部)2bに接着剤で接合されている。非駆動圧電柱12Bは、振動板部材2の流路間隔壁30に対応して設けられた厚肉部2cに接着剤で接合されている。
【0036】
この圧電部材12は、例えば厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層21と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層22A、22Bとを交互に積層し、内部電極22を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極23及び共通電極24にそれぞれ電気的に接続したものである。そして、個別電極23にはFPC15の個別電極ラインが半田接合され、また、共通電極24は圧電部材12の端部に電極層を設けて個別電極23側端面に回し込んでFPC15のGN電極(共通電極ライン)に接続している。FPC15には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動柱12Aへの駆動電圧印加を制御している。
【0037】
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各加圧液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
【0038】
また、FPC15を実装した(接続した)圧電柱12A及びベース部材13などで構成される圧電型アクチュエータの外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。そして、このフレーム部材17には共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部からインクを供給するために連結管を介して供給口を形成し、この供給口は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
【0039】
このヘッドでは、圧電柱12A、12Bは300dpiの間隔でダイシングされており.それが対向して2列配置され、加圧液室6及びノズル4は、1列150dpiの間隔で2列がそれぞれ千鳥配置に整列しており,300dpiの解像度を1スキャンで得ることができる構成としている。
【0040】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電柱12Aが収縮し、振動板部材2の液室壁面を形成する振動領域2aが下降して加圧液室6の容積が膨張することで、加圧液室6内にインクが流入し、その後圧電柱12Aに印加する電圧を上げて圧電柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材2の振動領域2aをノズル4方向に変形させて液室6の容積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインク滴が吐出(噴射)される。
【0041】
そして、圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2の振動領域2aが初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0042】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0043】
次に、本発明の第1実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図3も参照して説明する。なお、図3は同実施形態の説明に供する図1のY−Y線に沿う要部平断面説明図である。
振動板部材2の振動領域2aを変位させる駆動圧電柱12Aは、液室長手方向において、流体抵抗部7を経て液体導入部8に対向する位置まで延びている。したがって、駆動圧電柱12Aと振動板部材2との干渉を避けるために、駆動圧電柱12と対向する振動板部材2の領域は第1層2Aのみで形成される薄肉部2dとしている。なお、液体導入部8の幅(液室短手方向の幅:液室並び方向の幅)は、流体抵抗部7の幅よりも広く形成されている。
【0044】
そして、平面で見て(上方から見て)、流体抵抗部7は、個別液室6の並び方向で、個別液室6に対して液室間隔壁30、30の一方の隔壁側に片寄って形成されている。さらに、液体導入部8は、個別液室の並び方向で、流体抵抗部7に対して、流体抵抗部7の片寄り方向に片寄って形成されている。
【0045】
ここで、個別液室6及び流体抵抗部7の液室短手方向の一方の壁面30a、7aは個別液室6の長手方向に沿って同一面に形成し、流体抵抗部7の液室短手方向の他方の壁面7b及び液体導入部8の一方の壁面8aは個別液室6の長手方向に沿って同一面に形成している。
【0046】
また、振動板部材2には、非駆動圧電柱12Bを接合する厚肉部2cから非駆動圧電柱12Bに沿って液室長手方向にフレーム部材17と接合する厚肉部2e(図1参照)まで延びる厚肉部2fを形成している。
【0047】
これにより、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dは、平面で見て、液体導入部8側と反対側の面に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向(液室長手方向)に沿って形成された厚肉部2fによって2つの薄肉部領域2d1、2d2に分割される。
【0048】
このように構成することで、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を狭くすることができる。薄膜の構造コンプライアンスは幅の5乗に比例するため、構造コンプライアンスを小さくすることができる。特に、本実施形態においては、液体導入部8のインクの圧縮性の流体コンプライアンスの数分の1にまで小さくすることができる。
【0049】
ここで、比較例について図4を参照して説明する。なお、図4は図3と同様な要部平断面説明図である。
この比較例では、個別液室6、流体抵抗部7及び液体導入部8の液室長手方向に沿う液室短手方向の中心線が同一線上に並ぶ位置に形成されている。そして、前述したように、駆動圧電柱12Aが液体導入部8に対向する位置まで延びていることから、駆動圧電柱12Aに対向する領域では振動板部材2は薄肉部2dとしなければならない。そのため、全体が1枚の薄肉部22dとなり、液体導入部8の壁面を形成する薄肉部22dの構造コンプライアンスが大きくなり、滴吐出時の圧力変動による固有振動が発生して、滴吐出特性が不安定になる。
【0050】
これに対して、本実施形態では、上述したように液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を狭くなって構造コンプライアンスが小さくなるため、滴吐出時の圧力変動による固有振動が低減ないし防止されて、安定した滴吐出特性が得られる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図5も参照して説明する。なお、図5は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅を同じにしている。つまり、液体導入部8を、厚肉部2fで分割される2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅が同じになる位置及び形状に形成している。
【0052】
つまり、振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の構造コンプライアンスは、液体導入部8の幅、薄肉部2dを分割する厚肉部2fの幅が同じであれば、厚肉部2fが液体導入部8の液室短手方向の中心軸位置に配置されるとき最も小さくすることができるので、前記第1実施形態に比べてより効果的に構造コンプライアンスを小さくすることができ、滴吐出特性を安定化させることができる。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図6も参照して説明する。なお、図6は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dを分割する厚肉部2fの幅を、液室間隔壁30に対向する厚肉部2cの幅よりも広く形成している。
【0054】
これにより、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部領域2d1、2d2の幅を前記第1、第2実施形態よりも狭くすることができ、更に構造コンプライアンスを小さくすることができ、滴吐出特性を安定化させることができる
【0055】
次に、本発明の第4実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図7も参照して説明する。なお、図7は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、上記第3実施形態において、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅を同じにしている。
【0056】
これにより、前記第2実施形態と前記第3実施形態とを合わせた作用効果を得ることができて、一層構造コンプライアンスを小さくすることができ、滴吐出特性を安定化させることができる
【0057】
次に、本発明の第5実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図8も参照して説明する。なお、図8は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、流体抵抗部7の他方の壁面7b(個別液室6の壁面と同一面でない壁面)と液体導入部8の一方の壁面8aとは短手方向にずらして形成し、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅を同じにしている。
【0058】
シリコン基板のウエットエッチングで流路を形成する場合であっても、流体抵抗部7の幅よりも狭い範囲であれば、本実施形態のように液体導入部8の位置をさらにずらすことができるので、流体抵抗部7の設計自由度と、液体導入部8の構造コンプライアンスの低減の両立を図ることができる。
【0059】
次に、本発明の第6実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図9も参照して説明する。なお、図9は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、前記比較例と同様に、個別液室6、流体抵抗部7及び液体導入部8の液室長手方向に沿う液室短手方向の中心線が同一線上に並ぶ位置に形成されている。そして、前述したように、駆動圧電柱12Aが液体導入部8に対向する位置まで延びていることから、液体導入部8の駆動圧電柱12Aに対向する領域では振動板部材2は薄肉部2dとしている。
【0060】
そこで、流路板1側に、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dを接合固定する島状の支持部(隔壁部)31を設けている。この支持部31の幅は流体抵抗部7と同じ幅としている。
【0061】
このように、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dを流路板1の支持部31に接合固定することで、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dは2つの薄肉部領域2d1、2d2に分割されたことと同じになる。
【0062】
したがって、前記第1実施形態で説明したと同様に、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を狭くすることができ、薄膜の構造コンプライアンスは幅の5乗に比例するため、構造コンプライアンスを小さくすることができて、滴吐出時の圧力変動による固有振動が低減ないし防止されて、安定した滴吐出特性が得られる。
【0063】
次に、本発明の第7実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図10も参照して説明する。なお、図10は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、流路板1の支持部31は、振動板部材2の厚肉部2eまで延ばして設けられている。また、支持部31の幅も流体抵抗部7の幅よりも広く形成している。ただし、図10中の矢印で示した支持部31、31同士の間隔32は滴吐出に影響を及ぼすような抵抗(流体抵抗)にならない距離とする。
【0064】
このように構成することで、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を更に狭くすることができ、構造コンプライアンスを大幅に小さくすることができて、より滴吐出特性が安定する。
【0065】
次に、本発明の第8実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図11も参照して説明する。なお、図11は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、流路板1に、個別液室6と液体導入部8との間で、支持部31の個別液室6側から連続する隔壁部33を形成することで、流体抵抗部7を、第1流路7aと第2流路7bの2本に分割している。
【0066】
このように、実質的には流体抵抗部7を形成するための隔壁部33を液体導入部8側に延長することで、簡単な構成で、液体導入部8の壁面を形成する薄肉部2dの構造コンプライアンスを低減することができる。
【0067】
次に、本発明の第9実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図12も参照して説明する。なお、図12は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、前記第8実施形態において、液体導入部8側の支持部31の幅を流体抵抗部間隔壁部33の幅よりも広く形成している。ただし、図12中の矢印で示した支持部31、31同士の間隔32は滴吐出に影響を及ぼすような抵抗(流体抵抗)にならない距離とする。
【0068】
これにより、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を更に狭くすることができ、構造コンプライアンスを大幅に小さくすることができて、より滴吐出特性が安定する。
【0069】
なお、上記各実施形態の液体吐出ヘッドにインクを供給するタンクを一体にしたインクカートリッジを構成することもできる。
【0070】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は同装置の機構部の側面説明図、図14は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0071】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドと同ヘッドに供給するインクを収容するタンクを一体化した液体吐出ヘッドユニットからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0072】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッドユニット234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、1ヘッド当たり4ノズル列配置とし、1個のヘッドで4色の各色を吐出させることもできる。
【0073】
また、記録ヘッド234のタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0074】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0075】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0076】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0077】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0078】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0079】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0080】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0081】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0082】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0083】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0084】
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えるので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0085】
なお、ここでは、画像形成装置としてシリアル型画像形成装置で説明しているが、本発明に係る液体吐出ヘッドはライン型画像形成装置にも搭載することができる。また、液体吐出ヘッドとしてバイピッチ構造の構成で説明しているが、ノーマルピッチ構造(前記2つの圧電柱12A、12Bをいずれも駆動柱とするもの)の構成にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 流路板
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
5 ノズル連通路
6 加圧液室(個別液室)
7 流体抵抗部
8 液体導入部
10 共通液室
12 圧電部材
12A、12B 圧電柱
17 フレーム部材
30 液室間隔壁
31 支持部
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド
411y、411m、411c、411k 記録ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置としてインクジェット記録装置などが知られている。この液体吐出記録方式の画像形成装置は、記録ヘッドからインク滴を、搬送される用紙(紙に限定するものではなく、OHPなどを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体あるいは記録媒体、記録紙、記録用紙などとも称される。)に対して吐出して、画像形成(記録、印字、印写、印刷も同義語で使用する。)を行なうものであり、記録ヘッドが主走査方向に移動しながら液滴を吐出して画像を形成するシリアル型画像形成装置と、記録ヘッドが移動しない状態で液滴を吐出して画像を形成するライン型ヘッドを用いるライン型画像形成装置がある。
【0003】
なお、本願において、液体吐出記録方式の「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。また、「インク」とは、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0004】
液体吐出ヘッドとして、液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室(加圧室、圧力室、個別液室、加圧液室、加圧液室などとも称される。)と、個別流路に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、個別液室、流体抵抗部及び液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、振動板部材の個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材とを有する圧電型ヘッドが知られている。
【0005】
ところで、高画質画像を高速で形成するために、個別液室が小さくなる傾向にあり、ピ圧電型ヘッドにあっては、個別液室の長手方向(個別液室の並び方向と短手方向といい、短手方向と直交する方向を長手方向という。)の長さよりも、圧電部材(圧電素子)の長手方向が長くなり、更には流体抵抗部を超えて液体導入部まで圧電素子の方が長くなる場合もある。
【0006】
ここで、振動板部材を薄肉部の厚肉部の二層構造とした場合、上述したように圧電素子の長手方向長さが長くなると、振動板部材と圧電素子との干渉を回避するために、振動板部材の流体抵抗部や液体導入部の壁面を形成する部分を薄肉部にしなければならなくなる。
【0007】
ところが、液体導入部や流体抵抗部の壁面が薄肉部で形成されると、滴吐出時の圧力変動によって薄肉部が振動するようになり、個別液室の固有振動モードとは別の固有振動が生じて滴吐出制御の制御性が悪くなり、吐出性能が低下するという問題を生じる。
【0008】
そこで、従来、流体抵抗部を振動板部材の厚肉部の上部に重なるように個別液室から屈折させて配置するヘッドが知られている(特許文献1)。
【0009】
また、加圧液室の長手方向において、圧力発生手段の長さは加圧液室の長さより大きく形成され、圧力発生手段の供給路側端部は供給路と対向する振動板の領域と対向しないで、加圧液室と対向する振動板の領域に対して対向する位置に配置したものが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007−144706号公報
【特許文献2】特開2007−176153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている構成にあっては、圧電部材が流体抵抗部よりも上流側の液体導入部まで臨んでいる場合には、液体導入部の壁面を形成する振動板部材の部分で固有振動が発生するという課題が残っている。また、流路板をシリコン基板のエッチングで形成する場合に、特許文献1に開示されているような流体抵抗部構造を形成することができないという課題もある。
【0012】
また、特許文献2に開示されている構成にあっては、圧電素子の片側に振動板部材の厚肉部を寄せて接合するが、圧電素子の中央に振動板部材の厚肉部を配置しようとすると、流体抵抗部の壁面を形成する振動板部材の領域を薄肉部にしなければ圧電素子と干渉するため、液室に対向する振動領域以外の薄肉部で固有振動が発生するという課題を解決することができない。
【0013】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、液体導入部における圧電部材と振動板部材との干渉を避けつつ、振動板部材の液体導入部領域における固有振動を低減し、安定した滴吐出特性を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記液体導入部側と反対側の面に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成された厚肉部で分割されている
構成とした。
【0015】
ここで、前記厚肉部で分割されている前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部の前記個別液室の並び方向の幅が同じである構成とできる。
【0016】
また、前記流体抵抗部は、前記個別液室の並び方向で、前記個別液室に対して液室間隔壁の一方隔壁側に片寄って形成され、
前記液体導入部は、前記個別液室の並び方向で、前記流体抵抗部に対して、前記流体抵抗部の片寄り方向に片寄って形成されている
構成とできる。
【0017】
この場合、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面である構成とできる。
【0018】
また、前記個別液室及び前記流体抵抗部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面である構成とできる。
【0019】
また、前記振動板部材の前記個別液室に対応する振動領域には前記個別液室の長手方向に前記圧電部材が当接する厚肉部が形成され、
前記液体導入部に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅が、前記振動領域に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅よりも広い
構成とできる。
【0020】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記流路板に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成され、前記液体導入部の壁面を形成している薄肉部に接合された支持部で分割されている
構成とした。
【0021】
ここで、前記流路板の支持部は、島状に形成されている構成とできる。
【0022】
また、前記流路板の支持部は、前記振動板部材の前記厚肉部が形成されている部分まで延びている構成とできる。
【0023】
また、前記流体抵抗部は、隔壁部にて2つの経路に分割されている構成とできる。
【0024】
この場合、前記流体抵抗部を分割している隔壁部と前記支持部とは連続して形成されている構成とできる。
【0025】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えているものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、圧電部材は個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が液体導入部に対向し、液体導入部の壁面を形成する振動板部材の薄肉部は、平面で見て、液体導入部側と反対側の面に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成された厚肉部で分割されている構成としたので、液体導入部における圧電部材と振動板部材の干渉を避けつつ、振動板部材のコンプライアンスを低減することができて、振動板部材の液体導入部領域における固有振動を低減し、安定した滴吐出特性を確保することができる。
【0027】
本発明に係る液体吐出ヘッドは、圧電部材は個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が液体導入部に対向し、液体導入部の壁面を形成する振動板部材の薄肉部は、平面で見て、流路板に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成され、液体導入部の壁面を形成している薄肉部に接合された支持部で分割されている構成としたので、液体導入部における圧電部材と振動板部材の干渉を避けつつ、振動板部材のコンプライアンスを低減することができて、振動板部材の液体導入部領域における固有振動を低減し、安定した滴吐出特性を確保することができる。
【0028】
本発明に係る画像形成装置によれば、本発明に係る液体吐出ヘッドを備えるので、高画質画像を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る液体吐出ヘッドの一例を示す液室長手方向に沿う要部断面説明図である。
【図2】図1のX−X線に沿う液室短手方向の要部断面説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する図1のY−Y線に沿う要部平断面説明図である。
【図4】比較例の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図7】本発明の第4実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図8】本発明の第5実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図9】本発明の第6実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図10】本発明の第7実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図11】本発明の第8実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図12】本発明の第9実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造の説明に供する要部平断面説明図である。
【図13】本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例の説明に供する機構部の側面説明図である。
【図14】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明に係る液体吐出ヘッドの一例について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1は同ヘッドの液室長手方向に沿う要部断面説明図、図2は図1のX−X線に沿う液室短手方向の要部断面説明図である。
【0031】
この液体吐出ヘッドは、流路部材としての流路板(流路基板、液室基板)1と、この流路板1の下面に接合した振動板部材2と、流路板1の上面に接合したノズル板3とを有し、これらによって液滴(液体の滴)を吐出する複数のノズル4がノズル連通路(連通管)5を介してそれぞれ連通する個別液室としての複数の加圧液室(以下、単に「液室」ともいう。)6が形成され、フレーム部材17に形成した共通液室10から振動板部材2に形成した流入口9を介して各加圧液室6に液体導入部8及び流体抵抗部7を介してインクを供給する。ここでノズル板3と流路板1は一体で形成される構成であってもよい。
【0032】
流路板1は、シリコン基板を異方性エッチングして、ノズル連通路5、加圧液室6、流体抵抗部7、液体導入部8などの開口部や溝部をそれぞれ形成している。ノズル連通路5及び加圧液室6などを形成するエッチングで残された部分が流路間隔壁(液室間隔壁)30となる。
【0033】
振動板部材2は、加圧液室6、流体抵抗部8及び液体導入部8の壁面を形成する壁面部材であり、変形可能な第1層2Aと、第1層2A上に積層した第2層2Bとからなり、各液室6の壁面を形成する変形可能な第1層2Aで形成された薄肉部である振動領域(ダイアフラム部)2aを有し、振動領域2aに第2層2Bで形成した島状凸部2bに、振動領域2aを変形させ、液滴を吐出させるエネルギーを発生する駆動素子(アクチュエータ手段、圧力発生手段)としての柱状の電気機械変換素子である積層型圧電部材12の圧電柱12Aが接合されている。
【0034】
圧電部材12はハーフカットダイシングにより櫛歯状に圧電柱12A、12Bを形成したものであり、圧電柱12Aは駆動波形を印加する駆動圧電柱となり、圧電柱12Bは駆動波形を印加しないで流路間隔壁30を支持する支柱である非駆動圧電柱となる。すなわち、圧電部材12の圧電柱12A、12Bは加圧液室6の配列密度の2倍の密度で配列された所謂バイピッチ構造としている。この圧電部材12の下端面はベース部材13に接合している。
【0035】
そして、駆動圧電柱12Aは、振動板部材2の振動領域2aに設けられた島状凸部(厚肉部)2bに接着剤で接合されている。非駆動圧電柱12Bは、振動板部材2の流路間隔壁30に対応して設けられた厚肉部2cに接着剤で接合されている。
【0036】
この圧電部材12は、例えば厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層21と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層22A、22Bとを交互に積層し、内部電極22を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極23及び共通電極24にそれぞれ電気的に接続したものである。そして、個別電極23にはFPC15の個別電極ラインが半田接合され、また、共通電極24は圧電部材12の端部に電極層を設けて個別電極23側端面に回し込んでFPC15のGN電極(共通電極ライン)に接続している。FPC15には図示しないドライバICが実装されており、これにより駆動柱12Aへの駆動電圧印加を制御している。
【0037】
ノズル板3は、ニッケル(Ni)の金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法(電鋳)で製造している。このノズル板3には各加圧液室6に対応して直径10〜35μmのノズル4を形成し、流路板1に接着剤接合している。そして、このノズル板3の液滴吐出側面(吐出方向の表面:吐出面、又は液室6側と反対の面)には撥水層を設けている。
【0038】
また、FPC15を実装した(接続した)圧電柱12A及びベース部材13などで構成される圧電型アクチュエータの外周側には、エポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したフレーム部材17を接合している。そして、このフレーム部材17には共通液室10を形成し、更に共通液室10に外部からインクを供給するために連結管を介して供給口を形成し、この供給口は更に図示しないサブタンクやインクカートリッジなどのインク供給源に接続される。
【0039】
このヘッドでは、圧電柱12A、12Bは300dpiの間隔でダイシングされており.それが対向して2列配置され、加圧液室6及びノズル4は、1列150dpiの間隔で2列がそれぞれ千鳥配置に整列しており,300dpiの解像度を1スキャンで得ることができる構成としている。
【0040】
このように構成した液体吐出ヘッドにおいては、例えば駆動圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電柱12Aが収縮し、振動板部材2の液室壁面を形成する振動領域2aが下降して加圧液室6の容積が膨張することで、加圧液室6内にインクが流入し、その後圧電柱12Aに印加する電圧を上げて圧電柱12Aを積層方向に伸長させ、振動板部材2の振動領域2aをノズル4方向に変形させて液室6の容積を収縮させることにより、液室6内のインクが加圧され、ノズル4からインク滴が吐出(噴射)される。
【0041】
そして、圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材2の振動領域2aが初期位置に復元し、液室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室10から液室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0042】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0043】
次に、本発明の第1実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図3も参照して説明する。なお、図3は同実施形態の説明に供する図1のY−Y線に沿う要部平断面説明図である。
振動板部材2の振動領域2aを変位させる駆動圧電柱12Aは、液室長手方向において、流体抵抗部7を経て液体導入部8に対向する位置まで延びている。したがって、駆動圧電柱12Aと振動板部材2との干渉を避けるために、駆動圧電柱12と対向する振動板部材2の領域は第1層2Aのみで形成される薄肉部2dとしている。なお、液体導入部8の幅(液室短手方向の幅:液室並び方向の幅)は、流体抵抗部7の幅よりも広く形成されている。
【0044】
そして、平面で見て(上方から見て)、流体抵抗部7は、個別液室6の並び方向で、個別液室6に対して液室間隔壁30、30の一方の隔壁側に片寄って形成されている。さらに、液体導入部8は、個別液室の並び方向で、流体抵抗部7に対して、流体抵抗部7の片寄り方向に片寄って形成されている。
【0045】
ここで、個別液室6及び流体抵抗部7の液室短手方向の一方の壁面30a、7aは個別液室6の長手方向に沿って同一面に形成し、流体抵抗部7の液室短手方向の他方の壁面7b及び液体導入部8の一方の壁面8aは個別液室6の長手方向に沿って同一面に形成している。
【0046】
また、振動板部材2には、非駆動圧電柱12Bを接合する厚肉部2cから非駆動圧電柱12Bに沿って液室長手方向にフレーム部材17と接合する厚肉部2e(図1参照)まで延びる厚肉部2fを形成している。
【0047】
これにより、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dは、平面で見て、液体導入部8側と反対側の面に設けられている個別液室の並び方向と直交する方向(液室長手方向)に沿って形成された厚肉部2fによって2つの薄肉部領域2d1、2d2に分割される。
【0048】
このように構成することで、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を狭くすることができる。薄膜の構造コンプライアンスは幅の5乗に比例するため、構造コンプライアンスを小さくすることができる。特に、本実施形態においては、液体導入部8のインクの圧縮性の流体コンプライアンスの数分の1にまで小さくすることができる。
【0049】
ここで、比較例について図4を参照して説明する。なお、図4は図3と同様な要部平断面説明図である。
この比較例では、個別液室6、流体抵抗部7及び液体導入部8の液室長手方向に沿う液室短手方向の中心線が同一線上に並ぶ位置に形成されている。そして、前述したように、駆動圧電柱12Aが液体導入部8に対向する位置まで延びていることから、駆動圧電柱12Aに対向する領域では振動板部材2は薄肉部2dとしなければならない。そのため、全体が1枚の薄肉部22dとなり、液体導入部8の壁面を形成する薄肉部22dの構造コンプライアンスが大きくなり、滴吐出時の圧力変動による固有振動が発生して、滴吐出特性が不安定になる。
【0050】
これに対して、本実施形態では、上述したように液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を狭くなって構造コンプライアンスが小さくなるため、滴吐出時の圧力変動による固有振動が低減ないし防止されて、安定した滴吐出特性が得られる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図5も参照して説明する。なお、図5は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅を同じにしている。つまり、液体導入部8を、厚肉部2fで分割される2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅が同じになる位置及び形状に形成している。
【0052】
つまり、振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の構造コンプライアンスは、液体導入部8の幅、薄肉部2dを分割する厚肉部2fの幅が同じであれば、厚肉部2fが液体導入部8の液室短手方向の中心軸位置に配置されるとき最も小さくすることができるので、前記第1実施形態に比べてより効果的に構造コンプライアンスを小さくすることができ、滴吐出特性を安定化させることができる。
【0053】
次に、本発明の第3実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図6も参照して説明する。なお、図6は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dを分割する厚肉部2fの幅を、液室間隔壁30に対向する厚肉部2cの幅よりも広く形成している。
【0054】
これにより、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部領域2d1、2d2の幅を前記第1、第2実施形態よりも狭くすることができ、更に構造コンプライアンスを小さくすることができ、滴吐出特性を安定化させることができる
【0055】
次に、本発明の第4実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図7も参照して説明する。なお、図7は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、上記第3実施形態において、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅を同じにしている。
【0056】
これにより、前記第2実施形態と前記第3実施形態とを合わせた作用効果を得ることができて、一層構造コンプライアンスを小さくすることができ、滴吐出特性を安定化させることができる
【0057】
次に、本発明の第5実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図8も参照して説明する。なお、図8は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、流体抵抗部7の他方の壁面7b(個別液室6の壁面と同一面でない壁面)と液体導入部8の一方の壁面8aとは短手方向にずらして形成し、液体導入部8の壁面を形成している振動板部材2の薄肉部2dの分割された2つの薄肉部領域2d1、2d2の幅を同じにしている。
【0058】
シリコン基板のウエットエッチングで流路を形成する場合であっても、流体抵抗部7の幅よりも狭い範囲であれば、本実施形態のように液体導入部8の位置をさらにずらすことができるので、流体抵抗部7の設計自由度と、液体導入部8の構造コンプライアンスの低減の両立を図ることができる。
【0059】
次に、本発明の第6実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図9も参照して説明する。なお、図9は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、前記比較例と同様に、個別液室6、流体抵抗部7及び液体導入部8の液室長手方向に沿う液室短手方向の中心線が同一線上に並ぶ位置に形成されている。そして、前述したように、駆動圧電柱12Aが液体導入部8に対向する位置まで延びていることから、液体導入部8の駆動圧電柱12Aに対向する領域では振動板部材2は薄肉部2dとしている。
【0060】
そこで、流路板1側に、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dを接合固定する島状の支持部(隔壁部)31を設けている。この支持部31の幅は流体抵抗部7と同じ幅としている。
【0061】
このように、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dを流路板1の支持部31に接合固定することで、液体導入部8の壁面を形成する振動板部材2の薄肉部2dは2つの薄肉部領域2d1、2d2に分割されたことと同じになる。
【0062】
したがって、前記第1実施形態で説明したと同様に、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を狭くすることができ、薄膜の構造コンプライアンスは幅の5乗に比例するため、構造コンプライアンスを小さくすることができて、滴吐出時の圧力変動による固有振動が低減ないし防止されて、安定した滴吐出特性が得られる。
【0063】
次に、本発明の第7実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図10も参照して説明する。なお、図10は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、流路板1の支持部31は、振動板部材2の厚肉部2eまで延ばして設けられている。また、支持部31の幅も流体抵抗部7の幅よりも広く形成している。ただし、図10中の矢印で示した支持部31、31同士の間隔32は滴吐出に影響を及ぼすような抵抗(流体抵抗)にならない距離とする。
【0064】
このように構成することで、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を更に狭くすることができ、構造コンプライアンスを大幅に小さくすることができて、より滴吐出特性が安定する。
【0065】
次に、本発明の第8実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図11も参照して説明する。なお、図11は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、流路板1に、個別液室6と液体導入部8との間で、支持部31の個別液室6側から連続する隔壁部33を形成することで、流体抵抗部7を、第1流路7aと第2流路7bの2本に分割している。
【0066】
このように、実質的には流体抵抗部7を形成するための隔壁部33を液体導入部8側に延長することで、簡単な構成で、液体導入部8の壁面を形成する薄肉部2dの構造コンプライアンスを低減することができる。
【0067】
次に、本発明の第9実施形態における液体導入部から加圧液室に至る流路構造について図12も参照して説明する。なお、図12は同実施形態の説明に供する図3と同様な要部平断面説明図である。
本実施形態では、前記第8実施形態において、液体導入部8側の支持部31の幅を流体抵抗部間隔壁部33の幅よりも広く形成している。ただし、図12中の矢印で示した支持部31、31同士の間隔32は滴吐出に影響を及ぼすような抵抗(流体抵抗)にならない距離とする。
【0068】
これにより、液体導入部8の振動板部材2の薄肉部2d1、2d2の幅を更に狭くすることができ、構造コンプライアンスを大幅に小さくすることができて、より滴吐出特性が安定する。
【0069】
なお、上記各実施形態の液体吐出ヘッドにインクを供給するタンクを一体にしたインクカートリッジを構成することもできる。
【0070】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図13及び図14を参照して説明する。なお、図13は同装置の機構部の側面説明図、図14は同機構部の要部平面説明図である。
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0071】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドと同ヘッドに供給するインクを収容するタンクを一体化した液体吐出ヘッドユニットからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0072】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッドユニット234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、1ヘッド当たり4ノズル列配置とし、1個のヘッドで4色の各色を吐出させることもできる。
【0073】
また、記録ヘッド234のタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0074】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0075】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド部材245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0076】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0077】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0078】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0079】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0080】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0081】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0082】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0083】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0084】
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えるので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0085】
なお、ここでは、画像形成装置としてシリアル型画像形成装置で説明しているが、本発明に係る液体吐出ヘッドはライン型画像形成装置にも搭載することができる。また、液体吐出ヘッドとしてバイピッチ構造の構成で説明しているが、ノーマルピッチ構造(前記2つの圧電柱12A、12Bをいずれも駆動柱とするもの)の構成にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 流路板
2 振動板部材
3 ノズル板
4 ノズル
5 ノズル連通路
6 加圧液室(個別液室)
7 流体抵抗部
8 液体導入部
10 共通液室
12 圧電部材
12A、12B 圧電柱
17 フレーム部材
30 液室間隔壁
31 支持部
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド
411y、411m、411c、411k 記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記液体導入部側と反対側の面に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成された厚肉部で分割されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記厚肉部で分割されている前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部の前記個別液室の並び方向の幅が同じであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記流体抵抗部は、前記個別液室の並び方向で、前記個別液室に対して液室間隔壁の一方隔壁側に片寄って形成され、
前記液体導入部は、前記個別液室の並び方向で、前記流体抵抗部に対して、前記流体抵抗部の片寄り方向に片寄って形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記流体抵抗部及び前記液体導入部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記個別液室及び前記流体抵抗部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面であることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記振動板部材の前記個別液室に対応する振動領域には前記個別液室の長手方向に前記圧電部材が当接する厚肉部が形成され、
前記液体導入部に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅が、前記振動領域に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅よりも広い
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記流路板に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成され、前記液体導入部の壁面を形成している薄肉部に接合された支持部で分割されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記流路板の支持部は、島状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記流路板の支持部は、前記振動板部材の前記厚肉部が形成されている部分まで延びていることを特徴とする請求項7又は8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記流体抵抗部は、隔壁部にて2つの経路に分割されていることを特徴とする請求項7ないし8のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記流体抵抗部を分割している隔壁部と前記支持部とは連続して形成されていることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記液体導入部側と反対側の面に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成された厚肉部で分割されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記厚肉部で分割されている前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部の前記個別液室の並び方向の幅が同じであることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記流体抵抗部は、前記個別液室の並び方向で、前記個別液室に対して液室間隔壁の一方隔壁側に片寄って形成され、
前記液体導入部は、前記個別液室の並び方向で、前記流体抵抗部に対して、前記流体抵抗部の片寄り方向に片寄って形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記流体抵抗部及び前記液体導入部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記個別液室及び前記流体抵抗部の前記個別液室の並び方向の一方の壁面は前記個別液室の長手方向に沿って同一面であることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記振動板部材の前記個別液室に対応する振動領域には前記個別液室の長手方向に前記圧電部材が当接する厚肉部が形成され、
前記液体導入部に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅が、前記振動領域に対応する厚肉部の前記個別液室の並び方向の幅よりも広い
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
液滴を吐出する複数のノズルがそれぞれ連通する個別液室と、前記個別液室に連通する流体抵抗部と、各個別液室に液体を供給する共通液室からの液体を導入する液体導入部とを形成する流路板と、
前記個別液室、前記流体抵抗部及び前記液体導入部の壁面を形成する薄肉部と厚肉部とからなる振動板部材と、
前記振動板部材の前記個別液室に対する振動領域を変位させる圧電部材と、を有し、
前記圧電部材は前記個別液室の並び方向と直交する方向の一端部側が前記液体導入部に対向し、
前記液体導入部の壁面を形成する前記振動板部材の薄肉部は、平面で見て、前記流路板に設けられている前記個別液室の並び方向と直交する方向に沿って形成され、前記液体導入部の壁面を形成している薄肉部に接合された支持部で分割されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記流路板の支持部は、島状に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
前記流路板の支持部は、前記振動板部材の前記厚肉部が形成されている部分まで延びていることを特徴とする請求項7又は8に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項10】
前記流体抵抗部は、隔壁部にて2つの経路に分割されていることを特徴とする請求項7ないし8のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項11】
前記流体抵抗部を分割している隔壁部と前記支持部とは連続して形成されていることを特徴とする請求項10に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−192716(P2012−192716A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60318(P2011−60318)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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