説明

液体吐出装置および記録装置

【課題】液体を吐出するように構成された液体吐出装置において、液体の固着を抑制しつつ、液体を適切に吐出する。
【解決手段】本発明に係る液体吐出装置100は、可動である吐出電極117と、これに対向して位置付けられる対向電極120と、吐出電極117を待機位置と飛翔位置との間で動かすように構成された吐出電極117の駆動装置122と、吐出電極117と対向電極120との間に所定電圧を加える電源装置とを備える。吐出電極117が待機位置にあるとき吐出電極の先端は液室114内の液体INの内部にあり、吐出電極117が飛翔位置にあるとき吐出電極117の先端は液体INの外部にある。そして、駆動装置122は、液体の吐出の度に、吐出電極117を、待機位置から飛翔位置へ動かす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出するように構成された液体吐出装置、および、これを搭載した記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを帯電させて静電吸引することで被記録媒体にインクを吐出する装置の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の装置は、インク室に貯蔵したインクを吐出するためのノズルを備えている。ノズルのインク吐出孔からインク滴を吐出するために、ノズルの内壁部に静電界印加用電極が設けられ、これに対して、インク吐出孔の対向面側には所定距離離れた位置に対向電極が配設されている。インク滴をノズルから吐出するために、ノズル吐出口のインクと、ノズルと対向電極との間に搬送される被記録媒体とを異なる極性の電位に帯電させるように、インクに印加される電圧が制御される。
【0003】
また、特許文献2は、静電的引力を用いてインク滴を飛翔させる方式のインクジェット記録装置を開示する。この装置は、上記特許文献1の装置とは異なる構成を備える。特許文献2の装置は、記録紙方向へのインクの飛翔を案内するインクガイドを備える。このインクガイドの突出部は、インクを吐出させる必要のある記録時には、継続して、インク室のインク面から突出され、他方、全部の記録が終了したときや待機時である非記録時には、インク中に沈めた状態に保持される。インクガイドの突出部がインク室のインク面から突出しているとき、つまり、記録時、インク室内のインクは、インクガイドの表面をそこに形成された溝を伝って這い上がる。そして、制御電極に電圧が印加されると、インクガイドの先端から、対向して置かれている記録紙に向かってインクは飛翔する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−114370号公報
【特許文献2】特開平10−244687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の装置において、1回のインクの吐出の量を少なくするようにインク吐出孔の径を小さくした場合、ノズル表面のインクが乾燥して固着しやすくなる。特にインク以外の液体として接着剤、銀ペースト等を用いると更にそれらの固着は顕著になる。このようなインクに代表される液体の固着は液体吐出に悪影響を与え得るので、そのような液体の固着は生じないことが望まれる。
【0006】
他方、上記特許文献2に記載の装置では、インクガイドの先端に毛細管現象を利用してインクリフィルを行っている。したがって、粘度がある程度高いインクの吐出または使用は容易でない。
【0007】
そこで、本発明はかかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、液体の固着を抑制しつつ、液体を適切に吐出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、液体を吐出するように構成された液体吐出装置に関する。本発明の液体吐出装置は、吐出電極と、該吐出電極の先端に対向して位置付けられる対向電極とを備える。液体吐出装置は、さらに、吐出電極の駆動装置と、電源装置とを備える。吐出電極は、駆動装置によって動かされ得る。駆動装置は、吐出電極を、待機位置と、この待機位置よりも対向電極に近い飛翔位置との間で動かすことができるように構成される。吐出電極が待機位置にあるとき、吐出電極の先端は液体の内部にある。そして、駆動装置は、液体を吐出させるために待機位置から飛翔位置へ吐出電極を動かすことができる。電源装置は、液体を吐出させるために吐出電極と対向電極との間に所定電圧を加えて吐出電極と対向電極との間に電位差を発生させることができる。そして、このような構成を備える液体吐出装置では、駆動装置は、液体の吐出の度に、吐出電極を、待機位置から飛翔位置へ動かす。
【0009】
なお、本発明は、このような液体吐出装置を備えた記録装置にも存する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、液体の吐出の度に、駆動装置によって、吐出電極は、待機位置から飛翔位置へ動かされるので、液体の固着を抑制しつつ、液体を適切に吐出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が待機位置にあるところを表す図である。
【図2】第1実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が飛翔位置にあるところを表す図である。
【図3】第1実施形態の液体吐出装置の電極針の先端周囲の模式図である。
【図4】第1実施形態の液体吐出装置における液体吐出の制御の流れを簡単に表したフローである。
【図5】1回の液体吐出に関する図4の制御による電極針およびその周囲の状態変化を説明するためのフローである。
【図6】電極針の先端へ液体が付着した状態を表す模式図である。
【図7】電極針から液滴が飛翔した状態を表す模式図である。
【図8】本発明に係る第2実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が待機位置にあるところを表す図である。
【図9】第2実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が飛翔位置にあるところを表す図である。
【図10】本発明に係る第3実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が待機位置にあるところを表す図である。
【図11】第3実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が飛翔位置にあるところを表す図である。
【図12】本発明に係る第4実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が待機位置にあるところを表す図である。
【図13】第4実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が飛翔位置にあるところを表す図である。
【図14】本発明に係る第5実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が待機位置にあるところを表す図である。
【図15】第5実施形態の液体吐出装置の断面模式図であって、吐出電極が飛翔位置にあるところを表す図である。
【図16】第5実施形態の液体吐出装置において、電極針を待機位置から第1飛翔位置へ動かしときの、液滴の飛翔を説明するための図である。
【図17】第5実施形態の液体吐出装置において、電極針を待機位置から第2飛翔位置へ動かしときの、液滴の飛翔を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る液体吐出装置は、静電的引力を使って液体を飛翔させる、つまり吐出するための構成を備える。簡単に説明すると、本発明に係る液体吐出装置の吐出電極は、可動であり、対向電極に対して進退することができるように構成されている。吐出電極は、駆動装置によって、その先端が液室の液体の内部にある待機位置と、この待機位置よりも対向電極に近い飛翔位置との間で動かされ得る。この液体吐出装置では、吐出電極と対向電極との間に電位差が発生させられる。そして、吐出電極が待機位置から飛翔位置へ動かされるときに、液滴の吐出が行われる。
【0013】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。ただし、以下に実施形態にしたがって説明される液体吐出装置は、吐出用液体としてインクを用いる。したがって、以下の説明では、液体吐出装置はインク吐出装置と称される。しかし、本発明に係る液体吐出装置は、インクの他、接着剤、封止剤、油等の液体の吐出にも適用され得る。
【0014】
まず、本発明に係る第1実施形態を図1から図7に基づいて説明する。
【0015】
液体吐出装置であるインク吐出装置100は、図1、2では、模式的に表されていて、その主要部が簡単に表されている。インク吐出装置100は、インクジェット形式の記録装置に搭載されている。図示しないが、記録装置は、インク吐出装置100の他、紙等の被記録媒体を供給するための供給装置、それを搬送するための搬送装置、画像(文字、線等を含む。)を形成された被記録媒体を排出するための排出装置を備える。インク吐出装置100の本体部である記録ヘッド(ヘッド)112は、記録装置のキャリッジに搭載されている。インク吐出装置100のヘッド112は、被記録媒体の搬送方向に対して直交する方向に動かされ得る。インク吐出装置100のヘッド112からは、所望の画像を被記録媒体に形成するように、所定のタイミングで、被記録媒体に向けてインク滴が吐出可能である。1回に吐出されるインク滴は、1pl以下の量を有し得る。なお、記録装置の構成は、このような構成に限定されない。
【0016】
インク吐出装置100は、上記ヘッド112を備え、そして、ヘッド112からのインクの吐出を制御する制御装置(制御手段)(不図示)を備えている。なお、制御装置は、CPU、ROM、RAM、入力インタフェース、出力インタフェース等を含むマイクロコンピュータで構成されている。入力インタフェースには、各種センサ類等が電気的に接続されている。そして、記憶装置、具体的にはROMには、種々のデータや制御プログラム等が記憶されていて、それらに基づいて、制御装置は、後述する制御を実行する。
【0017】
ヘッド112には、液室であるインク室114、ノズル(吐出口区画形成部材)116が設けられている。インク室114には、図示されないインク供給機構より液体であるインクが供給される。なお、好ましくは、図示されないインク還流機構により、インク室114のインクは、記録中および/または記録待機中、循環される。ただし、ここでは、インク室114は、複数のノズル116に対して共通に設けられる。したがって、インク室114は、共通液室と称され得る。しかし、1つのインク室114には、1つのノズル116が対応付けられてもよい。複数のノズルは、所定のノズル列を構成するように、所定の配列に並べられている。各ノズル116は、所定の大きさのノズル孔116hを有するように構成されている。ただし、複数のノズル孔116hがつなげられて、例えば1つのスリットを形成してもよい。ノズル孔116hは、インクが自然に流れ出ないように設計されている。なお、ヘッド112には、たった1つのノズル116が設けられてもよい。
【0018】
ヘッド112には、ノズル116からのインクの吐出用に、吐出電極117を備えた電極針118が備えられている。なお、吐出電極117を備えた電極針118は、ノズル116ごとに備えられる。そして、電極針118の先端118tに対向して位置付けられる対向電極120が備えられている。対向電極120は吐出電極117の先端117tに対して所定距離離された位置に設けられる。電極針118の吐出電極117と対向電極120との間には、後述するように、不図示の制御装置によって作動が制御される吐出電源121によって、所定電圧(例えば0.5〜2kV)が印加され得る。なお、吐出電源121と制御装置の一部とを含んで、電源装置は構成される。電極針118つまり吐出電極117は可動であり、対向電極120に対して駆動装置122により動かされ得る。
【0019】
駆動装置122は、膨張部124と、内圧増強部126とを備えて構成されている。なお、駆動装置122には、上記制御装置の一部も含まれる。膨張部124の外殻125は弾性材、ここではエラストマーでつくられている。つまり、膨張部124は後述するようにして膨らむことが可能なように構成されている。膨張部124には上記電極針118が取り付けられている。電極針118の取付位置および取付角度は、電極針118の軸線がノズル116のノズル孔116hの中心を通るノズル116の軸線と一致するように定められている。ただし、膨張部124の非膨張時の電極針118の軸線と、膨張部124の膨張時の電極針118の軸線とは一致する(重なる)ように膨張部124は構成されている。つまり、電極針118は、膨張部124の膨張により、その軸線方向に動かされて、対向電極120に近づくように、膨張部124に固定されている。ただし、ここでは、膨張部124は、略円錐台の形状を有し、膨張したときにも、略円錐台の形状を有するように構成されているが、他の形状を有してもよい。膨張部124内部には空間124sがあり、その空間124sは圧力伝達流体Lによって満たされている。圧力伝達流体Lは、種々の流体であり得るが、非圧縮性に優れた液体から構成されるのが望ましい。
【0020】
膨張部124は、内圧増強部126と一体的にされている。膨張部124の内部空間124sと内圧増強部126の内部空間126sとは連通口126aを介して連通している。したがって、圧力伝達流体Lは、膨張部124内から内圧増強部126内にまで満たされている。なお、内圧増強部126の外殻つまりベース部材127は、膨張部124とは異なり、使用条件で変形しないような材料によって形成されている。ベース部材127には、空気孔127aが設けられている。
【0021】
なお、膨張部124の内部空間124sと内圧増強部126の内部空間126sとは、インク室114内のインクから完全に隔てられている。したがって、圧力伝達流体LとインクINとが混ざり合うことはない。
【0022】
内圧増強部126には、内部空間126sの一部を区画形成するように、絶縁材料から構成される絶縁伸縮部材128と、この絶縁伸縮部材128を挟んで配置される2つの伸縮電極部材130、132とが配置されている。これらは、内圧増強部126の内部空間126sの、ノズル孔116hとは反対側の境界を定めるように、配置される。絶縁伸縮部材128の周囲はベース部材127に強固に固定されている。2つの伸縮電極部材130、132は、絶縁伸縮部材128に張り付くように、設けられている。2つの伸縮電極部材130、132間には、制御装置によって作動が制御される駆動電源134および印加装置136によって所定タイミングで、所定期間、所定電圧(例えば0.5〜2kV)が印加され得る。なお、印加装置136は、それらに駆動電源134からの所定電圧を印加する場合と、印加しない場合とを切り換えるために用いられ得、その切り換えによる電圧変化がパルス的であり得るので、駆動パルス発生装置とも称され得る。
【0023】
そして、電極針118は、図3に表されているように、円筒形状を有し、先端118tに端面118eを有している。端面118eは、吐出電極117の先端117tが露出する面を形成する。端面118eは、その中心部に、直径25μm程度の吐出電極面117fを有する。電極針118の端面118eは親水性に優れるように構成されているので、インクが端面118eに付着しやすくなっている(付着可能になっている)。電極針118の端面以外の面は、所定の撥水性を有すると共に所定の絶縁性を有するように構成されている。このように、吐出電極117が所定の撥水性を有する部材で一部を除いて覆われていることにより、後述するように吐出電極117が待機位置から飛翔位置へ動かされるとき、吐出電極117の先端117tにインク滴が適切に付着することが可能になる。なお、吐出電極117は、所定の撥水性を有する材料、例えば撥水性膜で覆われてもよい。
【0024】
このような吐出電極117を備える電極針118は、上記した駆動装置122によって、待機位置と、この待機位置よりも対向電極に相対的に近い飛翔位置との間で動かされることができる。なお、待機位置や飛翔位置に位置しているか否かは、電極針118の先端118tつまり吐出電極117の先端117tの位置が何処にあるのかで定められるとよい。
【0025】
電極針118つまり吐出電極117が待機位置にあるときのインク吐出装置100が図1に表されている。電極針118つまり吐出電極117が待機位置にあるとき、吐出電極117の吐出電極面117fを含む先端117tがインク室114のインク内にあるように、電極針118は実質的にインク室114のインクINに浸かっている。これに対して、電極針118つまり吐出電極117が飛翔位置にあるときのインク吐出装置100が図2に表されている。電極針118つまり吐出電極117が飛翔位置にあるとき、吐出電極117の吐出電極面117fを含む先端117tがインク室114のインクINの外部にあるように、電極針118の先端118tはインク室114のインクから突出されている。
【0026】
電極針118が後述するようにして駆動装置122によって待機位置から飛翔位置へ動かされるとその途中で、電極針118の先端118tは直径100μm程度のノズル孔116hに形成されたインクメニスカス(インク表面)を突き破ってインクから突出する。このとき、電極針118の軸線方向に、電極針118は動かされる。そして、電極針118の先端118tの端面118eは親水性に優れ、電極針118のそれ以外の部分は撥水性を有する。したがって、インクメニスカスを破って大気中に露出した先端118tには一定量のインクが表面張力により付着することができる。そのようにして先端118tには、一定量のインクによって形成された略半球形を有するインク滴が形成され得る。
【0027】
そのようにして形成された略半球形を有するインク滴は電極針118の先端118tに設けられている吐出電極117の端部に接する。したがって、略半球形を有するインク滴内部に分散している粒子には、吐出電源121からの電荷が供給され得る。
【0028】
これに対して、対向電極120には吐出電源121から吐出電極117の電荷と逆極性の電荷が与えられている。それ故、電荷を供給された略半球形を有するインク滴内では、対向電極120側に吐出電源121から与えられた電荷を帯びた粒子が凝集する。
【0029】
電極針118が移動して対向電極120に近づくにつれて、略半球形を有するインク滴に作用する電界は強くなる。これにより、略半球形を有するインク滴先端付近に集まった電荷を帯びたインク内に分散した粒子は、電極針118と対向電極120との間に発生する電位差によって対向電極120の電荷に対する電荷を有するので、より強く対向電極側に引き付けられる。そして、両電極117、120間の電界が電荷を帯びた分散粒子を対向電極120に引き寄せる電界になったときに、つまり、インク溶媒の表面張力をそれらのクーロン力が超えたときに、電荷を帯びた分散粒子を含んだインクは対向電極120に向かって飛翔する。
【0030】
ここで、上記構成を有するインク吐出装置100からのインクの吐出に関して説明する。なお、図4はインク吐出装置100における制御装置による制御の流れを簡単に表したフローであり、図5は図4の制御による電極針、吐出電極およびその周囲の状態変化を簡単に表したフローである。そして、図6は電極針118の先端118tへのインク滴の付着、つまり、インク滴の形成を説明するための図であり、図7は電極針118からのインク滴の飛翔を説明するための図である。
【0031】
不図示の制御装置は、被記録媒体に対してインク吐出(記録動作)を行うインク吐出タイミング(記録タイミング)であるか否かを判定する(ステップS401)。この判定は、ユーザによる入力装置の操作に起因して生じる信号またはインク吐出装置100内部あるいは外部の周辺機器等の装置からの信号に基づいて行われることができる。ここで記録タイミングであると判断すると(ステップS401で肯定判定)、制御装置は、まず、吐出電源121と駆動電源134とをON状態にする。ただし、吐出電源121と駆動電源134とが既にON状態にあったときには、これは省略され得る。そして、インク吐出を行うべく、制御装置は、印加装置136に吐出用信号を出力する。これにより、インク吐出用電圧が両電極117、120間に印加されているときに(またはインク吐出用電圧が印加されると共に)、伸縮電極部材130、132間に電圧が印加され、電極針118の駆動が実行される(ステップS403)。なお、吐出電源121と駆動電源134とは共に、例えば、インク吐出装置100が搭載された記録装置(不図示)の電源がONにされたときから、または、記録装置が作動モードに入ったときから、OFFにされるまで、ON状態に維持されてもよい。
【0032】
なお、記録タイミングであるか否かを判定する判定手段は、制御装置の一部を含んで構成される。具体的には、記録タイミングであるか否かは、形成される画像の情報、被記録媒体の位置、キャリッジの位置に基づいて判断され得る。
【0033】
この電圧印加によって、伸縮電極部材130、132間にクーロン力がかかり、絶縁伸縮部材128を押し潰す方向に伸縮電極部材130、132は互いに対して引き寄せられる。そのため、絶縁伸縮部材128は厚み方向に押し潰され、周囲に広がる方向に伸びようとするが、絶縁伸縮部材128の周囲はベース部材127にしっかりと固定されているので、図2の矢印138方向に変形する。絶縁伸縮部材128が矢印138方向に変形すると、内圧増強部126の内部空間126sの容積が実質的に減り、内部空間126s内の圧力伝達流体Lが連通口126aを通り、膨張部124の内部空間124sに移動する。圧力伝達流体Lが膨張部124に流入することにより膨張部124の圧力が高くなり、膨張部124が膨張する。これによって、電極針118は、図1の待機位置から図2の飛翔位置へ向けて進むように、対向電極120側に向けて移動し始める(図5のステップS501)。
【0034】
電極針118がさらに対向電極120側に移動すると、電極針118の先端118tは、ノズル116に形成されたインクメニスカスを突き破ってインクから突出する。このとき、上記したように、インクメニスカスを破って大気中に露出した先端118tには一定量のインクつまりインク滴142が表面張力により付着する。つまり、インク滴142が形成される(図5のステップS503、図6参照)。
【0035】
さらに内圧増強部126の絶縁伸縮部材128が変形して内部空間126sの容積が減ると、圧力伝達流体Lがさらに膨張部124の内部空間124sに移動し、膨張部124の先端に取り付けられた電極針118がその軸線方向にさらに進む。これにより、電極針118がその軸線方向(図6の矢印144)に移動して対向電極120にさらに近づく間に、電極針118の先端118tの半球形状のインク滴142に吐出電極面117fから電荷が供給される。その結果、電極針118の先端118t、要するに、インク滴142に電荷が集中する。電極針118の先端118tと対向電極120との間隔が所定距離以下の距離になったとき、先端118t上のインク滴142の付着力を、両電極117、120間への電圧印加によって生じた吸引力(静電的引力)が上回る。その結果、電極針118の先端118t上からインク滴142の全部または一部のインク(インク滴)142pが飛翔し、電極針118と対向電極120との間に搬送された被記録媒体146に到達する(着弾する)(図5のステップS505、図2、図7参照)。なお、インクが飛翔するタイミングは、電極針118つまり吐出電極117が飛翔位置に到達したまさにそのときが好ましいが、それより前または後であってもよい。飛翔位置は、電極針118つまり吐出電極117が飛翔位置に到達したときに、まさにインク滴が飛翔するように定められることができる。なお、飛翔位置は、吐出位置と称されることができる。
【0036】
電極針118つまり吐出電極117が飛翔位置に到達すると、印加装置136により、駆動電源134から伸縮電極部材130、132間に印加されている電圧が遮断される(ステップS405)。なお、このとき、記録動作を継続せずに終了する場合には、吐出電源121や駆動電源136がOFFにされてもよい。
【0037】
この部材130、132間の電圧遮断により、伸縮電極部材130、132間に発生していたクーロン力が消失し、伸縮電極部材130、132間に挟まれて変形していた絶縁伸縮部材128は、自らの弾性力(復元力)により、元の形状に戻ることが可能になる。これにより膨張部124の内部空間124sの圧力も元に戻り、膨張部124は元の形に収縮する。これに伴って、電極針118は図7の矢印148方向に移動して待機位置に戻る(図5のステップS507)。その結果、電極針118の先端118tはインクの中に沈み込み、これにより、再度、吐出電極117の先端にインクが付着することが可能になる。
【0038】
なお、ここでは、印加装置136は、予め決められている所定期間の間、伸縮電極部材130、132間に所定電圧を印加するように構成されているので、電極針118が飛翔位置に動かされた後、実質的に自動的に待機位置へ戻される。しかし、電極針118が飛翔位置へ到達したことを制御装置が判断したとき、制御装置が制御信号を印加装置136に出力することで、伸縮電極部材130、132への電圧印加が終了されてもよい。この場合、電極針118つまり吐出電極117が飛翔位置に到達したか否かを判定する位置判定手段は、制御装置の一部を含んで構成され得る。例えば、伸縮電極部材130、132間への電圧印加が開始されてからの時間が制御装置のタイマ手段によって計測されて、所定時間に達したとき、電極針118つまり吐出電極117が飛翔位置に到達したと判定されてもよい。なお、位置センサを用いて、電極針118の位置が判定されてもよい。
【0039】
以上説明したように、インク吐出を行うとき、吐出電極は、駆動装置により、その先端がインク中に浸かった待機位置からその先端がインクから突出した飛翔位置へ向けて動かされる。この過程で、吐出電極の先端には、所定量のインクつまりインク滴が形成される。このとき、吐出電極と対向電極との間には、所定の電圧がかけられているので、吐出電極と対向電極との間の距離が所定距離以下になると、吐出電極の先端のインク滴は、対向電極側に向けて飛翔する(吐出される)。1回のインク吐出後、吐出電極は、駆動装置により、待機位置に戻される。これらの工程は、インク吐出を行う度に繰り返される。なお、インク吐出後、吐出電極が待機位置に戻されることは、次回のインク吐出用にインク滴を吐出電極の先端に付着させることをもたらし得る。
【0040】
このように、吐出電極の先端は、インク吐出の際にインク滴を形成して飛翔させるようにインクから出され、それ以外のときにはインク室に浸かった状態に維持されるので、吐出電極の先端にインクが固着することを抑制できる。また、吐出電極がインク室のインク内に浸かったりそこから露出したりすることを繰り返すことで、吐出電極上にインク滴が形成されるので、例えば、種々の粘性を有するインクを用いることができる。したがって、インク吐出装置100は、インクを適切に吐出することを可能にする。
【0041】
なお、本第1実施形態では、駆動装置は、吐出電極を、1回の液滴の吐出の度に、飛翔位置へ動かす。そして、1回の液滴の吐出のために飛翔位置へ動かした後、駆動装置は吐出電極を待機位置へ向けて動かす。しかし、吐出電極の待機位置から飛翔位置へそして飛翔位置から待機位置への1回の往復移動は、複数回(例えば2、3回)のインクの吐出のために実行されてもよい。
【0042】
また、本第1実施形態では、吐出電極が飛翔位置にあるときは、吐出電極の先端が液室の液体から突出してその液体の外部にあるように、飛翔位置は定められた。しかし、吐出電極が飛翔位置にあるとき、吐出電極の先端は必ず液体の外部にある必要はない。例えば、吐出電極が飛翔位置にあるとき、吐出電極の先端が液室の液体の内部にまたは液面にあってもよい。
【0043】
次に、本発明に係る第2実施形態のインク吐出装置200を説明する。ただし、第2実施形態のインク吐出装置200は、上記した第1実施形態のインク吐出装置100と、電極針の駆動装置の構成の点を除いて、概ね同じ構成を備える。したがって、以下では、インク吐出装置200の電極針の駆動装置を主として説明して、上記した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、インク吐出装置200でも、インク吐出装置100における制御と同様の制御が適用され得、同様の効果を奏することができ、また、同様の変更を適用することができる。
【0044】
図8には電極針218つまり吐出電極217が待機位置にあるインク吐出装置200が模式的に表されていて、図9には電極針218が飛翔位置にあるインク吐出装置200が模式的に表されている。
【0045】
インク吐出装置200の駆動装置222では、圧力伝達流体Lの代わりに発泡剤Sが用いられている。発泡剤Sは、液体であっても、固体であってもよく、種々の状態であり得るが、所定の加熱により、所定の容積を有するように、膨らむことができる材料から構成されている。
【0046】
発泡剤Sの加熱用に、内圧増強部226には、ヒーター250が設けられている。ヒーター250はベース部材227に設けられている。ヒーター250は、制御装置からの信号に基づいて駆動電源234および印加装置236が作動されることで、所定タイミングで所定温度にまで加熱される。
【0047】
制御装置より記録タイミングに駆動信号が印加装置236に入力されると、ヒーター250に所定電流が印加される。その結果、ヒーター250が発熱することにより、ここでは、ヒーター250に接触している発泡剤Sが、例えば沸騰して、気泡Gが発生する。
【0048】
さらにヒーター250が発熱し続けることにより、気泡Gが成長する。これにより、内圧増強部226の内部空間226sのみならず、膨張部224の内部空間224sの圧力も上昇する。その結果、膨張部224が図9に表すように膨張して、電極針218つまり吐出電極217が図8の待機位置から図9の飛翔位置へ動かされ得る。この過程で、インク滴が電極針218の先端218tに形成されて、インク滴が吐出されることは、第1実施形態の説明において説明したとおりである。
【0049】
電極針218が飛翔位置に到達した後、印加装置236がヒーター250に印加されている電流を遮断することにより、ヒーター250の温度が下がり、気泡Gが収縮する。その結果、膨張部224の内部空間224sの圧力は下がるので、電極針218は、飛翔位置から待機位置へ戻ることが可能になる。
【0050】
次に、本発明に係る第3実施形態のインク吐出装置300を説明する。ただし、第3実施形態のインク吐出装置300は、上記した第1実施形態のインク吐出装置100および第2実施形態のインク吐出装置200と、電極針の駆動装置の構成の点を除いて、概ね同じ構成を備える。したがって、以下では、インク吐出装置300の電極針の駆動装置を主として説明して、上記した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、インク吐出装置300でも、インク吐出装置100における制御と同様の制御が適用され得、同様の効果を奏することができ、また、同様の変更を適用することができる。
【0051】
図10には電極針318つまり吐出電極317が待機位置にあるインク吐出装置300が模式的に表されていて、図11には電極針318が飛翔位置にあるインク吐出装置300が模式的に表されている。
【0052】
第3実施形態のインク吐出装置300の駆動装置322は、上記第1実施形態のそれと同様に、圧力伝達流体Lを収容するように構成されている。しかし、内圧増強部326の内部空間326sを区画形成する一部の壁部は、圧電素子350から構成されている。圧電素子350には、電極352、354が設けられている。制御装置からの信号に基づいて駆動電源334および印加装置336が作動されることで、所定タイミングで、所定期間、電極352、354を介して圧電素子350に例えば10〜50Vの範囲の所定電圧が印加され得る。この電圧印加によって、圧電素子350は変形することができる。
【0053】
制御装置より記録タイミングに駆動信号が印加装置336に入力されると、圧電素子350に所定電圧が印加される。圧電素子350は周囲を略剛体の壁部つまりベース部材327に固定されていると共に、図11の矢印方向とは異なる方向への変形が図示しないが制限されているので、図11の矢印方向に変形することができる。これにより、内圧増強部326の内部空間326sのみならず、膨張部324の内部空間324sの圧力も上昇する。その結果、膨張部324が図11に表すように膨張して、電極針318つまり吐出電極317が図10の待機位置から図11の飛翔位置へ動かされることができる。この過程で、電極針318の先端318tにインク滴が形成されて、インクが吐出されることは、第1実施形態の説明において既に説明したとおりである。
【0054】
電極針318が飛翔位置に到達した後、印加装置336が圧電素子350に印加されている電圧を遮断することにより、圧電素子350が元の状態に戻ろうとする。その結果、膨張部324の内部空間324sの圧力は下がるので、電極針318は、飛翔位置から待機位置へ戻ることが可能になる。
【0055】
次に、本発明に係る第4実施形態のインク吐出装置400を説明する。ただし、第4実施形態のインク吐出装置400は、上記した第1から3実施形態のインク吐出装置100、200、300と、電極針の駆動装置の構成の点を除いて、概ね同じ構成を備える。したがって、以下では、インク吐出装置400の電極針の駆動装置を主として説明して、上記した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、インク吐出装置400でも、インク吐出装置100における制御と同様の制御が適用され得、同様の効果を奏することができ、また、同様の変更を適用することができる。
【0056】
図12には電極針418つまり吐出電極417が待機位置にあるインク吐出装置400が模式的に表されていて、図13には電極針418が飛翔位置にあるインク吐出装置400が模式的に表されている。
【0057】
インク吐出装置400の駆動装置422は、ベース部材450に周囲が取り付けられた膜部材452を備えている。そして、膜部材452とベース部材450との間に形成された内部空間452sを貫通するように電極針418が備えられている。内部空間452s内には、電極針418駆動用のコイル454と、コイル454から所定距離離された円筒状の永久磁石456とが設けられている。ただし、コイル454は、絶縁層を介して電極針418に固定されている。また、永久磁石456は、ベース部材450に固定されている。そして、駆動装置422のベース部材450と電極針418の後方突出部418bとの間には、電極針418を待機位置に付勢するバネ458が備えられている。
【0058】
制御装置より記録タイミングに駆動信号が印加装置436に入力されると、コイル454に所定電流が印加されて、コイル454周辺に磁界が発生する。永久磁石456はベース部材450に固定されているので、コイル454が設けられた電極針418は図13の矢印方向に移動する。このようにして、電極針418つまり吐出電極417は図12の待機位置から図13の飛翔位置へ動かされることができる。この過程で、インク滴が形成されて、インク滴が吐出されることは第1実施形態の説明において説明したとおりである。
【0059】
電極針418が飛翔位置に到達した後、印加装置436がコイル454に印加されている電流を遮断すると、バネ458の復元力により電極針418が元の状態に戻ろうとする。その結果、電極針418は、飛翔位置から待機位置へ戻ることが可能になる。
【0060】
なお、膜部材452と電極針418との間から、インクが内部空間452sに漏れないように、インク吐出装置400は構成されている。例えば、膜部材452は、電極針418に接着される。
【0061】
次に、本発明に係る第5実施形態のインク吐出装置500を説明する。ただし、第5実施形態のインク吐出装置500は、上記した第3実施形態のインク吐出装置300と、圧電素子に印加する電圧を可変とする点を除いて、概ね同じ構成を備える。したがって、以下では、インク吐出装置500のそのような相違点を主として説明して、上記した構成要素と同じまたは対応する構成要素には、対応する符号を付して、それらの重複説明を省略する。なお、インク吐出装置500でも、インク吐出装置300の制御と同様の制御が適用され得、同様の効果を奏することができ、また、同様の変更を適用することができる。
【0062】
なお、第5実施形態のインク吐出装置500では、駆動装置は、以下で説明するように、吐出電極を、待機位置と、この待機位置よりも対向電極に近い複数の飛翔位置のうちから選択された1つの飛翔位置との間で動かすことができる。そして、それら複数の飛翔位置は、対向電極に対する距離が異なる。
【0063】
図14には電極針518つまり吐出電極517が待機位置にあるインク吐出装置500が模式的に表されていて、図15には電極針518が飛翔位置にあるインク吐出装置500が模式的に表されている。
【0064】
インク吐出装置500の駆動装置522は、異なる駆動電圧値を発することができる2種類の駆動電源560、562、および、2種類の駆動電源560、562からの出力電圧を切り替えるための切替手段としてのスイッチ564を備える。ここでは、例えば駆動電源560の出力電圧は10Vであり、駆動電源562からの出力電圧は20Vである。
【0065】
スイッチ564は、制御装置からの信号に基づいて切り換えられる。駆動電源560がつなげられて、10Vの電圧が圧電素子550に印加されるとき、電極針518は、待機位置から第1飛翔位置へ動かされる。吐出電極517が第1飛翔位置にあるとき、吐出電極517の先端517tは、対向電極520から約1mm離れて位置される。他方、駆動電源562がつなげられて、20Vの電圧が圧電素子550に印加されるとき、電極針518は、待機位置から第2飛翔位置へ動かされる。吐出電極517が第2飛翔位置にあるとき、吐出電極517の先端517tは、対向電極520から約0.5mm離れて位置される。
【0066】
このように吐出電極517を待機位置と対向電極に対する距離が異なる飛翔位置との間で動かすことで、次のような効果が奏され得る。
【0067】
図16に模式的に表すように、吐出電極517が第1飛翔位置にまで動かされるとき、吐出電極517先端からは、例えば直径約5μmのインク滴が飛翔することができる。これに対して、図17に模式的に表すように、吐出電極517が第2飛翔位置にまで動かされるとき、電極針518の先端と対向電極520との距離が第1飛翔位置まで動かされるときに比べて約半分になる。これにより両電極517、520間に生じる電界から受けるクーロン力は約2倍となる。したがって、飛翔するインク滴の大きさは、相対的に大きくなる。例えば、直径約7μmのインク滴を飛翔させることが可能になる。このように、吐出するインク滴の大きさを可変できるので、画像情報データの画素毎の複雑な階調表現が可能になる。
【0068】
また、このような2つの飛翔位置から、用いるインクの粘度に基づいて1つの飛翔位置を選択することが可能である。インクの粘度が高いとき(例えばインクの粘度が約6mPa・sであるとき)、電極針518の先端へのインクの付着力は高くなる。これに対して、インクの粘度が低いとき(例えばインクの粘度が約3mPa・sであるとき)、電極針518の先端へのインクの付着力は低くなる。したがって、インクの付着力が高いときには、そのインクの離脱を促すように、第2飛翔位置が選択されることができる。このように、インク吐出装置500では、物性の異なる複数種類のインクを適切に吐出することが可能である。
【0069】
なお、複数の飛翔位置のうちから1つの飛翔位置を選択する飛翔位置選択手段は、制御装置の一部を含んで構成される。飛翔位置選択手段は、ユーザが選択した外部スイッチからの位置信号に基づいてインクの粘度、インクの特性を知り、それに基づいて、1つの飛翔位置を選択してもよい。また、飛翔位置選択手段は、画像情報データに基づいて、1つの飛翔位置を選択してもよい。なお、飛翔位置選択手段は、これらの両方、他の条件、および/または他の入力信号に基づいて、1つの飛翔位置を選択してもよい。飛翔位置選択手段による選択は、上記図4のステップS401の判定の前、同時に、または後、行われることができる。
【0070】
なお、選択対象の飛翔位置は、2つに限定されず、3つ以上いくつであってもよい。3つ以上の飛翔位置から選択可能な場合、例えば、3つの以上の接点を有するスイッチが切替手段として採用され得る。また、単一の電源(1つの可変出力電圧型の電源)が採用されて、複数の飛翔位置のうちから選択された1つの飛翔位置に対する電圧が印加されてもよい。さらに、上記したような固定出力型固定電源に加えて、1つまたは複数の可変出力型出力電源が採用されてもよい。
【0071】
なお、第5実施形態における複数の飛翔位置の採用およびそこからの選択は、上記第1、第2、第4実施形態のインク吐出装置にも同様に適用され得る。
【0072】
以上、本発明を実施形態等に基づいて説明したが、本発明は、これらの任意の組み合わせまたは部分的な組み合わせを許容する。そして、その組み合わせの際には、種々の変更が適用されてもよい。
【0073】
以上、本発明を実施形態等に基づいて説明したが、これらは一例にすぎず、本発明はこれらに限定されない。本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。
【符号の説明】
【0074】
100、200、300、400、500 インク吐出装置
117、217、317、417、517 吐出電極
118、218、318、418、518 電極針
120、220、320、420、520 対向電極
122、222、322、422、522 駆動装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するように構成された液体吐出装置において、
可動である吐出電極と、
該吐出電極の先端に対向して位置付けられる対向電極と、
前記吐出電極を待機位置と該待機位置よりも前記対向電極に近い飛翔位置との間で動かすように構成された前記吐出電極の駆動装置と、
液体を吐出させるために前記吐出電極と前記対向電極との間に所定電圧を加えて前記吐出電極と前記対向電極との間に電位差を発生させる電源装置と
を備え、
前記吐出電極が前記待機位置にあるときは前記吐出電極の前記先端は液体の内部にあり、
前記駆動装置は、液体の吐出の度に、前記吐出電極を、前記待機位置から前記飛翔位置へ動かすことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、液体の吐出の度に、前記吐出電極を、前記待機位置から前記飛翔位置へ動かした後、前記待機位置へ向けて動かすことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記吐出電極が前記飛翔位置にあるときは前記吐出電極の前記先端は液体の外部にあることを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記吐出電極が前記待機位置から前記飛翔位置へ動かされるとき、前記吐出電極の前記先端に液体が付着するように、前記吐出電極は、所定の撥水性を有する部材または材料で覆われていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記駆動装置は、前記吐出電極を、前記待機位置と、該待機位置よりも前記対向電極に近い複数の飛翔位置のうちから選択された1つの飛翔位置との間で動かすことができ、
前記複数の飛翔位置は、前記対向電極に対する距離が異なることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出装置を備えたことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−131490(P2011−131490A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−292812(P2009−292812)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】