説明

液体吐出装置のパージ後空吸引方法及び液体吐出装置

【課題】 パージ後の空吸引によってキャップ内の液体を適切に排出することができる空吸引方法及び液体吐出装置を提供する。
【解決手段】 パージ後空吸引方法は、吐出ヘッド10のノズル孔10bからその内部のインクを吸引する吸引パージステップS3と、吸引パージステップS3の後に、キャップ12を吐出ヘッド10から離隔した状態で残留インクを外部へ空吸引する空吸引ステップS7とを備え、空吸引ステップS7は、所定の速度で外部へ吸引する第1吸引ステップS11と、その後に実行されて前記速度とは異なる速度により吸引する第2吸引ステップS12とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置が有する吐出ヘッドをキャップで覆ってパージした後、キャップ内に溜まった液体を吸引排出するための空吸引方法、及び液体吐出装置に関する。
【0002】
インクジェット式のプリンタ装置を一例とする液体吐出装置では、吐出ヘッドのノズル面に複数のノズル孔が形成され、該ノズル孔からインク等の液体を吐出する。長い不使用期間を経て使用する場合には、ノズル孔内に残留している劣化した液体を廃棄するため、吸引ポンプによって残留液体を吸い出すパージ処理が行われる(特許文献1,2参照)。
【0003】
特許文献1,2では、このパージ処理のため、ノズル面をキャップで覆う構成を備えており、更に該キャップの底部に形成された排出孔と吸引ポンプとがインク流路で接続されている。そして、ノズル孔を内包するようにしてノズル面をキャップで覆った状態で、吸引ポンプを駆動してキャップ内に負圧を生じさせることにより、ノズル孔内の液体をキャップ内へ吸い出すパージ処理が行われる。
【0004】
また、パージ処理によりキャップ内に溜まった液体をそのまま残しておくと、次にパージ処理を行うときのキャップ内の液体収容能力が低下してしまう他、キャップ底部の排出孔やインク流路が目詰まりし、次回以降にパージ処理を適切に実行できなくなる可能性がある。そのため、特許文献1,2では、パージ処理を終えた後に、ノズル面からキャップが離された状態で吸引ポンプを駆動(空吸引)することにより、チューブを通じてキャップ内に溜まった液体をキャップ外へ排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−33126号公報
【特許文献2】特開2009−18447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、空吸引する場合に、一定の吸引速度(即ち、単位時間当たりのポンプ吸引量)で吸引ポンプを駆動すると、キャップの内底部に溜まった液体の液面に、排出孔に連通する開口が形成される場合がある。このような事象は、液体の粘性(流動性)とポンプの吸引速度とに起因していると考えられる。
【0007】
例えば液体の粘性が高い(流動性が小さい)ときに、相対的に大きい一定の吸引速度で空吸引すると、排出孔近傍の液体のみがその周辺の液体から分離して排出され、周辺の液体が取り残されるため、液面に排出孔に続く開口が形成されると考えられる。そして、このような開口が形成されると、吸引ポンプを空吸引駆動してもこの開口を通じてエアばかりが吸引されてしまう。また、一旦開口を通じてエアが吸引されはじめると、該エアの通流によって周囲の液体が開口を塞ぐ方向へ移動するのを阻害してしまい、開口が塞がれにくくなるため、エアのみを吸引する期間が長くなってキャップ内の液体を効率的に排出することが困難になる。
【0008】
また、液体吐出装置が使用される温度環境は様々であり、比較的低温の環境で使用されることもあれば、対称的に比較的高温の環境で使用されることもある。そして、使用される温度環境によって液体(特に、インク)の粘性は変化するため、空吸引時の吸引速度を一定にしてしまうと、例えば低温の環境下で使用する場合に、適切に空吸引ができない可能性がある。なお、このような事情は、インクを吐出するプリンタ装置に限られず、他の液体を吐出する液体吐出装置においても同様のことがいえる。
【0009】
そこで本発明は、パージ後の空吸引を適切に行うことのできる空吸引方法、及び液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液体吐出装置のパージ後空吸引方法は、吐出ヘッドのノズル面をキャップで覆った状態でノズル孔からその内部の液体を吸引する吸引パージステップと、該吸引パージステップの後に、前記キャップを前記吐出ヘッドから離隔した状態で前記キャップ内に残留する液体を該キャップ底部の排出孔を通じて外部へ空吸引する空吸引ステップとを備え、前記空吸引ステップは、所定の速度で外部へ吸引する第1吸引ステップと、その後に実行されて前記速度とは異なる速度により吸引する第2吸引ステップとを有している。
【0011】
このような構成とすることにより、空吸引の際に高速での吸引と低速での吸引とを織り交ぜて実行するため、例えば高速吸引により排出孔に連通する開口が形成された場合であっても、低速吸引時に液体の移動を誘起して開口を塞ぐことができ、キャップ内に溜まった液体を効率的に排出することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パージ後の空吸引によってキャップ内の液体を適切に排出することができる空吸引方法及び液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】液体吐出装置たるプリンタ装置の要部を示す模式的平面図である。
【図2】プリンタ装置のメンテナンスに関する構成を示す模式図である。
【図3】プリンタ装置による空吸引処理を説明するためのフローチャートであり、(a)は空吸引処理を含むメンテナンス処理の一例を示し、(b)は空吸引処理を示している。
【図4】キャップ内のインクを空吸引している途中の状態を示す模式図であり、(a)は環境温度に関係なく比較的高速で空吸引した場合の比較例を示し、(b)は本実施の形態に係る動作実行時の実施例を示している。
【図5】図3のステップS7において実行することのできる他の空吸引処理の態様を示すフローチャートである。
【図6】図3のステップS7において実行することのできる更に他の空吸引処理の態様を示すフローチャートである。
【図7】図1のプリンタ装置に適用することのできる他の構成を示す模式図であり、主にメンテナンスに関係する構成を示している。
【図8】図7の状態からキャップを下方へリリースする態様を示しており、(a)はキャップホルダを所定距離だけ下降させた第1の離隔状態、(b)はキャップホルダを更に下降させた第2の離隔状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る液体吐出装置及びそのパージ後空吸引方法について、液体吐出装置の一例であるインクジェット式のプリンタ装置(以下、「プリンタ装置」と称する)に適用したとき場合を例にとり、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明はプリンタ装置への適用に限定されるものではなく、インク以外の液体を吐出する液体吐出装置全般に対しても適用できることを付言しておく。
【0015】
[プリンタ装置の全体構成]
図1は、液体吐出装置たるプリンタ装置1の要部を示す模式的平面図である。図1に示すように、プリンタ装置1は、左右方向へ延びる一対のガイドレール2,3が略平行に配設されており、このガイドレール2,3に液体供給ユニット4が走査方向にスライド可能に支持されている。ガイドレール3の左右の端部付近には一対のプーリ5,6が設けられ、液体供給ユニット4は、このプーリ5,6に巻き掛けられたタイミングベルト7に接合されている。一方のプーリ6には正逆回転駆動するモータ(図示せず)が設けられており、そのプーリ6が正逆回転駆動することでタイミングベルト7が左方向及び右方向へと往復移動可能になっており、これに伴って液体供給ユニット4がガイドレール2,3に沿って左右方向へ往復走査される。
【0016】
プリンタ装置1には、4つのインクカートリッジ8が交換のために挿脱可能にして装着されている。そして、液体供給ユニット4には、これらのインクカートリッジ8から4色の有色インク(例えば、ブラック、シアン、マゼンダ、イエロー)を夫々供給すべく、可撓性を有する4本のインク供給チューブ9が接続されている。液体供給ユニット4の下部には平面視矩形状の吐出ヘッド10(図2参照)が搭載されており、その下方で走査方向と直角する方向(紙送り方向)に搬送される被記録体(例えば、記録用紙)に向けて吐出ヘッド2からインク(液体)を吐出し、この被記録体に画像を形成することができるようになっている。
【0017】
また、液体供給ユニット4の走査可能範囲の一端にはメンテナンスポジション11(図1中に二点鎖線で示す位置)が設定されており、その下方には、パージ処理を行う際に使用されるキャップ12が配設されている。プリンタ装置1は、長期の不使用期間を経て再使用される場合などに、液体供給ユニット4をメンテナンスポジション11に位置させ、ここでパージ処理等を実行する。
【0018】
[メンテナンスに関する構成]
図2は、プリンタ装置1のメンテナンスに関係する構成を示す模式図である。図2に示すように、プリンタ装置1は、メンテナンスポジション11に位置する吐出ヘッド10の下方にキャップ12を備えている。該キャップ12は、平面視では吐出ヘッド10を一回り小さくした矩形状を成しており、底壁部12aの四辺からは周壁部12bが立設され、底壁部12a及び周壁部12bに囲まれた内部空間が液体貯留スペース13となっている。
【0019】
このようなキャップ12には昇降機構(移動手段)20が接続されており、吐出ヘッド10の下面のノズル面10aに周壁部12bの上端部が当接する上方位置(キャッピング位置)と、該ノズル面10aから離隔する下方位置(退避位置)との間を、昇降動可能になっている。なお、キャップ12が上方位置でノズル面10aに当接しているとき、ノズル面10aに形成された液体吐出用の複数のノズル孔10bは、周壁部12bに囲まれるようにしてキャップ12に内包された状態(液体貯留スペース13に向けて開口した状態)となる。
【0020】
また、キャップ12の底壁部12aには、これを貫通する排出孔14が形成されている。該排出孔14には可撓性の吸引チューブ15の一端が接続され、他端には吸引ポンプ(吸引手段)16が接続されている。従って、吸引ポンプ16が駆動すると、吸引チューブ15を介してキャップ12の液体貯留スペース13に負圧を生じさせることができる。また、吸引ポンプ16としては、吸引速度(単位時間当たりのポンプ吸引量)を変更可能なものであれば適宜選択することができ、本実施の形態では公知のチューブポンプを採用している。
【0021】
なお、チューブポンプについて付言しておくと、該チューブポンプは、上記吸引チューブ15の他端が巻回されて周部に圧子を有するロータ(図示せず)と、該ロータを回転駆動するモータ(図示せず)とから構成されている。そして、ロータの回転と共に圧子による吸引チューブ15の局所的な押圧箇所が移動することによって、吸引チューブ15内のインクをチューブポンプ側へ吸引できるようになっている。また、このような構成ゆえに、チューブポンプは、非動作時においても吸引チューブ15内のインクの移動を阻止することができ、キャップ12側への逆流を防止可能になっている。
【0022】
一方、図2に示すように、プリンタ装置1は制御部21を備えている。該制御部21は、図示しないMPUと、PROM(Programmable Read-Only Memory)やマスクROMなどから成るROMと、RAMとを備えている。そして該制御部21には、上記吸引ポンプ16と吐出ヘッド10近傍の環境温度を検出する温度センサ17と昇降機構20とが接続されている。ROMには、プリンタ装置1が、少なくとも本実施の形態において説明する空吸引動作を含むメンテナンス動作を実行するのに必要なプログラム及びデータを記録している。また、RAMには、温度センサ17にて検出された温度に関する情報が一時的に記録される。そして、MPUが、ROMに記録されたデータやRAMに記録された情報を参照しつつ、ROMに記録された所定のプログラムを実行することにより、制御部21は、後述するパージ処理を実行するパージ実行部21a、及び空吸引処理を実行する空吸引実行部21bとしてプリンタ装置1を機能させ、更に空吸引実行部21bは吸引ポンプ16の駆動速度を決定する吸引速度決定部211としてプリンタ装置1を機能させる。また、上述した昇降機構20も制御部21によってその動作が制御され、駆動することによってキャップ12を上方のキャッピング位置と下方の退避位置との間で昇降動可能になっている。
【0023】
[空吸引動作(1)]
図3は、上述したプリンタ装置1による空吸引処理を説明するためのフローチャートであり、(a)は空吸引処理を含むメンテナンス処理の一例を示し、(b)は空吸引処理を示している。図3(a)に示すように、空吸引処理を含むメンテナンス実行時には、はじめに液体供給ユニット4をメンテナンスポジションに位置させる(ステップS1)。次に、昇降機構20を駆動してキャップ12を上方のキャッピング位置へ上昇させ、吐出ヘッド10のノズル面10aをキャップ12により覆い、この状態で吸引ポンプ16を所定速度で所定量だけ駆動してパージ処理を行う(ステップS3)。このパージ処理は、制御部21がパージ実行部21aとしてプリンタ装置1を機能させることによって実現され、この処理によって、キャップ12の液体貯留スペース13には所定量のインクが排出される。なお、パージ処理を実行するに際しては、吸引ポンプ16の駆動によって行うのに代えて、吐出ヘッド10に設けられたインク吐出用のアクチュエータ(図示せず)を駆動することによって実行してもよい。パージ処理を終えると、再び昇降機構20を駆動してキャップ12を降下させてノズル面10aから所定距離だけ退避位置までリリースさせる(ステップS5)。
【0024】
次に、この退避位置において、吸引ポンプ16を駆動して空吸引処理を実行する(ステップS7)。この空吸引処理は、制御部21が空吸引実行部21bとしてプリンタ装置1を機能させることにより実現される。図3(b)に示すように空吸引処理では、はじめに吸引ポンプ16を第1の吸引速度で駆動させ(ステップS11)、その後、第1の吸引速度とは異なる第2の吸引速度で駆動させる(ステップS12)。より具体的には、ステップS11では、第1の吸引速度として相対的に高速で吸引ポンプ16を駆動させ、次のステップS12では、第2の吸引速度として相対的に低速で吸引ポンプ16を駆動させる。このような吸引ポンプ16の速度の変更・決定は、制御部21がプリンタ装置1を吸引速度決定部211として機能させることによって実現される。そして、所定の総吸引容量を吸引し終えた時点で吸引ポンプ16を停止させて空吸引処理を終了させる(ステップS13)。
【0025】
このような空吸引動作を実行することにより、パージ後にキャップ12内に溜まったインクを、排出孔14から確実に吸引・排出することができる。図4は、本実施の形態に係る空吸引動作による作用効果を説明すべく、キャップ12内のインクを空吸引している途中の状態を示す模式図であり、(a)は一定の比較的高速で空吸引した場合の比較例を示し、(b)は本実施の形態に係る動作実行時の実施例を示している。
【0026】
図4(a)に示すように、一定の比較的高速で吸引ポンプ16を駆動して空吸引した場合、排出孔14の直上の液面に開口35が形成され、該開口35と排出孔14とが連通した状態となる。この場合、更に吸引ポンプ16が駆動しても、排出孔14へは開口35を通じて吸入抵抗の小さいエアが吸引されてしまい、周辺のインクが吸引されにくくなっている。これに対して図4(b)に示す本実施例の場合、はじめに高速で空吸引した後は低速で空吸引するため、液面に排出孔14へ通じる開口35が形成されないか、あるいは高速空吸引時に開口35が形成されても低速空吸引中に開口35を塞ぐことができる。従って、排出孔14へエアが吸引されるのを抑制でき、キャップ12内のインクは効率的に排出孔14へ向かって移動して吸引される。
【0027】
なお、吸引ポンプ16を第1の吸引速度による駆動から第2の吸引速度による駆動に変更させるに吸引速度決定部211の処理としては、例えば、第1の吸引速度及びその駆動時間と第2の吸引速度及びその駆動時間とを示すデータを予めROMに記憶させておき、空吸引処理において読み出したこのデータに基づいて吸引ポンプ16を駆動させればよい。また、他の方法によって吸引速度決定部211が処理を行うようにしてもよく、例えば、上述した駆動時間に代えて吸引ポンプ16の回転数(回転角度)を示すデータを用いるようにしてもよい。
【0028】
[空吸引動作(2)]
図5及び図6は、図3のステップS7において実行することのできる他の空吸引処理の態様を示すフローチャートであり、図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)に、夫々異なる空吸引処理の内容を示している。
【0029】
図5(a)に示す空吸引処理では、図3(b)に示したステップS11と同様の高速での空吸引(ステップS21)と、ステップS12と同様の低速での空吸引(ステップS23)とを実行して空吸引を停止(ステップS24)するが、これらステップS21,S23の処理の間に吸引ポンプ16を停止させる処理(ステップS22)を介在させている。また、この停止処理では、図示しない時間計測手段によって経過時間が計測されており、所定の時間が経過するとステップS23の処理へ移行するようになっている。
【0030】
なお、この停止処理には、吸引ポンプ16の駆動を完全に停止させる動作態様が含まれるのに加え、吸引ポンプ16による吸引速度を実質的にゼロとするような極めて低速での駆動も含まれる。また、ステップS21での高速駆動からステップS23の低速駆動に遷移する際に、吸引ポンプ16の構造上の要因などから避けられない一時的な停止状態が生じる場合があるが、このような停止状態は、ステップS22で意図する停止処理には含まれない。
【0031】
このような空吸引動作を実行することにより、パージ後にキャップ12内に溜まったインクを、排出孔14からより確実に吸引・排出することができる。即ち、多くのインクが液体貯留スペース13に溜まっている初期の状態では、ステップS21の高速空吸引によって効率的にインクを吸引・排出する。そして、この際に図4(a)に示したような開口35が形成されたとしても、次のステップS22での一定期間の停止処理により、この開口35を塞ぐことができ、更に次のステップS23の低速空吸引によって、液体貯留スペース13内のインクが少ない状態でも、開口35が形成されないように効率的にインクを吸引・排出することができる。
【0032】
なお、ステップS21〜S23の処理は、吸引速度決定部211によって実現され、例えば、高速での吸引速度及びその駆動時間と、停止時時間と、低速での吸引速度及びその駆動時間とを示すデータを予めROMに記憶させておき、空吸引処理において読み出したこのデータに基づいて吸引ポンプ16を駆動させればよい。また、上述した駆動時間に代えて吸引ポンプ16の回転数(回転角度)を示すデータを用いるようにしてもよい。
【0033】
[空吸引動作(3)]
図5(b)に示す空吸引処理では、図3(b)にて既に説明した高速での空吸引と低速での空吸引とを複数回繰り返して実行するようになっている。具体的に説明すると、空吸引処理(ステップS7:図3(a)参照)を開始すると、図示しないカウンタを起動し、初期値としてC=1が設定される(ステップS31)。次に、図3(b)のステップS11,S12と同様にして、高速での空吸引(ステップS32)と低速での空吸引(ステップS33)とが順次実行され、その後、カウント値Cが所定の終了値C(例えば、C=3)に一致するか否かを判断する(ステップS34)。カウント値Cが終了値Cと一致しない場合(ステップS34:NO)は、カウント値Cに1を加えたものを新たなカウント値Cとした上で(ステップS35)、再びステップS32からの処理を実行する。一方、ステップS34にてカウント値Cが終了値Cと一致した場合(ステップS34:YES)には、空吸引を停止する(ステップS36)。
【0034】
このような空吸引動作を実行することにより、高速での空吸引(ステップS32)にてインクを効率的に吸引・排出し、その際に開口35が形成されたとしても、次の低速での空吸引(ステップS33)にて開口35を塞ぐことができる。更に、開口35が塞がれた状態で再び高速での空吸引(ステップS32)を実行することにより、残留しているインクを再度効率的に吸引・排出することができる。このように、高速及び低速での空吸引を繰り返すことによって、開口35を塞ぎながら早期にインクを吸引・排出することができる。
【0035】
なお、上記カウンタとしては、制御部21のROMにカウンタプログラムを記憶させておき、これをMPUにて実行させればよい。また、吸引ポンプ16を高速及び低速で繰り返し駆動させるに際し、カウンタを用いる方法に限定されず他の方法によって実現してもよい。例えば、高速での吸引速度及びその駆動時間と低速での吸引速度及びその駆動時間とが所定回数だけ繰り返し記述されたデータを予めROMに記憶させておき、空吸引処理において読み出したこのデータに基づいて吸引ポンプ16を駆動させればよい。また、上述した駆動時間に代えて吸引ポンプ16の回転数(回転角度)を示すデータを用いるようにしてもよい。このような繰り返しに関する処理の実現方法については、以下に説明する空吸引動作(4)〜(7)についても同様である。
【0036】
[空吸引動作(4)]
図5(c)に示す空吸引処理では、図5(b)に示したステップS31〜S36の処理に対応するステップS41〜S46を有しているが、このうちステップS42,S43の処理だけが、これに対応するステップS32,S33とは異なっており、その他の処理は同じ動作を実行する。具体的には、ステップS42の処理では吸引ポンプ16が所定の吸引速度(第1の吸引速度)で駆動されるが、次のステップS43では吸引ポンプ16は停止状態とされる。そして、このような吸引処理(ステップS42)と停止処理(ステップS43)とを所定回数だけ繰り返し実行し(ステップS44,S45)、その後、空吸引を停止する(ステップS46)。
【0037】
なお、ステップS43での停止処理については、図5のステップS22での停止処理と同様であり、この停止処理には、吸引ポンプ16の駆動を完全に停止させる動作態様が含まれるのに加え、吸引ポンプ16による吸引速度を実質的にゼロとするような極めて低速での駆動も含まれる。
【0038】
このような空吸引動作を実行することにより、空吸引(ステップS42)にてインクを効率的に吸引・排出し、その際に開口35が形成されたとしても、次の停止処理(ステップS43)にて開口35を塞ぐことができる。更に、開口35が塞がれた状態で再び空吸引(ステップS42)を実行することにより、残留しているインクを再度効率的に吸引・排出することができる。このように、吸引動作及び停止状態を繰り返すことによって、開口35を塞ぎながら早期にインクを吸引・排出することができる。
【0039】
[空吸引動作(5)]
図6(a)に示す空吸引処理では、図5(c)に示したステップS41〜S46と同様のステップS51〜S56の処理が行われる。但し、ステップS52での吸引処理においては、ステップS52,S53の処理が繰り返されるに従って、吸引速度Vが低速化されるようになっている。例えば、1回目(C=1)のステップS52での吸引速度をV1、2回目(C=2)での吸引速度をV2、3回目(C=3)の吸引速度をV3とすると、V1>V2>V3となるように、吸引ポンプ16の動作条件が設定されている。このような吸引速度による吸引ポンプ16の駆動は、制御部21の吸引速度決定部211によって実現される。
【0040】
このような空吸引動作を実行すると、吸引動作及び停止状態を繰り返すたびに少なくなっていくインクの残留量に応じて吸引速度を低速化するため、図4(a)に示したような開口35が形成されにくくなる。従って、開口35が形成されるのを抑制しつつ、早期にインクを吸引・排出することができる。
【0041】
[空吸引動作(6)]
図6(b)に示す空吸引処理では、図5(c)に示したステップS41〜S46と同様のステップS61〜S66の処理が行われる。但し、ステップS63での停止処理においては、ステップS62,S63の処理が繰り返されるに従って、停止時間Tが長くなるようになっている。例えば、1回目(C=1)のステップS63での停止時間をT1、2回目(C=2)での停止時間をT2、3回目(C=3)の停止時間をT3とすると、T1<T2<T3となるように、吸引ポンプ16の動作条件が設定されている。このような吸引ポンプ16の駆動は、制御部21の吸引速度決定部211によって実現される。
【0042】
このような空吸引動作を実行すると、吸引動作及び停止状態を繰り返すたびに少なくなっていくインクの残留量に応じて、吸引処理後の停止時間を長くしているため、図4(a)に示したような開口35が形成された場合であっても、各1回の停止期間中に確実にこの開口35を塞ぐことができる。従って、開口35を塞ぎつつ、早期にインクを吸引・排出することができる。
【0043】
[空吸引動作(7)]
図6(c)に示す空吸引処理は、図6(a)に示す処理と図6(b)に示す処理とを合わせた態様となっている。具体的には、空吸引処理を開始してカウンタを初期値C=1に設定(ステップS71)した後、吸引動作(ステップS72)及び停止状態(ステップS73)を所定回数だけ繰り返し(ステップS74,S75)、空吸引を停止する(ステップS76)。但し、ステップS72の吸引動作では、ステップS72,S73の処理が繰り返されるに従って吸引速度Vが低速化され、ステップS73の停止処理においては、ステップS72,S73の処理が繰り返されるに従って停止時間Tが長くなるようになっている。
【0044】
このような空吸引動作を実行すると、吸引動作及び停止状態を繰り返すたびに少なくなっていくインクの残留量に応じて、吸引速度を低速化すると共に吸引処理後の停止時間を長くなる。従って、図4(a)に示したような開口35が形成されにくくなり、且つ該開口35が形成された場合であっても各1回の停止期間中に確実にこの開口35を塞ぐことができる。従って、開口35が形成されるのを抑制しつつ、また、形成された開口35は確実に塞ぎつつ、早期にインクを吸引・排出することができる。
【0045】
[空吸引動作(8)]
図2に示すように、本実施の形態に係るプリンタ装置1は温度センサ17を備えている。従って、上述した説明のうち吸引ポンプ16の停止処理においては、その停止時間を、温度センサ17により検出された環境温度に基づいて決定するようにしてもよい。例えば、検出された環境温度が相対的に高い場合には、インクの粘性が低い(流動性が大きい)ため、停止期間を相対的に短く設定し、反対に環境温度が相対的に低い場合には停止期間を相対的に長く設定する。
【0046】
このようにすると、環境温度が高い場合には、停止期間を不要に長くすることなく早期にインクを吸引・排出することができ、環境温度が低い場合には、停止期間を長く確保して確実に開口35を塞ぐことができる。このような処理は、既に説明した図5(a)のステップS22、図5(c)のステップS43、図6(a)のステップS53、図6(b)のステップS63、及び図6(c)のステップS73の停止処理に対して適用することができる。また、各停止処理に適用するに際し、環境温度を検出する処理及び停止期間を決定する処理は、パージ処理(図3(a)のステップS3参照)の実行中に行ってもよく、あるいは、空吸引処理(ステップS7)の開始直後に行ってもよい。
【0047】
[プリンタ装置の他の構成]
図7は、プリンタ装置1に適用することのできる他の構成を示す模式図であり、主にメンテナンスに関係する構成を示している。図7に示すプリンタ装置1は、図2に示す構成に対してキャップ12及び昇降機構(移動手段)20において異なっており、その他の構成については図2に示す同一符号の構成と同様になっている。従って、以下ではこれらの相違する構成について説明する。
【0048】
図7に示すプリンタ装置1が備える昇降機構20は、キャップ12を傾斜した姿勢でノズル面10aからリリースさせられる構成となっている。詳しく説明すると、昇降機構20は、所定のプロファイルを有するカム41と、該カム41を回転駆動させる駆動手段である電動モータ42と、キャップ12を収容するキャップホルダ43とを備えている。キャップホルダ43は、上部が開口したボックス形状を成しており、その内部にキャップ12が収容されている。また、キャップホルダ43の内底部には付勢手段としてのコイルバネ43aが設けられており、該コイルバネ43aによってキャップ12は上方へ付勢されている。
【0049】
キャップ12は、図2に示したものと同様に矩形状の底壁部12aとその四辺に立設された周壁部12bとを有しており、ここでは更に、底壁部12aの一端部に突設された係止突起12cを備えている。そしてキャップホルダ43においてキャップ12の一端部近傍部分には、この係止突起12cに係合する突起状のストッパ43bが設けられている。該ストッパ43bは係止突起12cに対して上方に設けられており、係止突起12cがストッパ43bに当接することによって、コイルバネ43aに付勢されるキャップ12の上方限界位置が規定されている。
【0050】
また、キャップ12の他方端には、図7の紙面に直交する方向に軸芯を有する枢支軸12dが設けられており、キャップホルダ43の他端部には、この枢支軸12dを軸受けする縦長の軸受部43cが設けられている。
【0051】
従って、キャップ12は、キャップホルダ43の内底面に当接する下方限界位置から、係止突起12cがストッパ43bに当接する上方限界位置に至る間を、上下方向に移動可能になっている。また、枢支軸12dが軸受部43cに支持されていることによって、キャップ12は他端部に対して一端部が上下方向に回動可能になっている。なお、キャップ12の底壁部12aの一端部近傍部分には、排出孔14が形成されており、この排出孔14には、キャップホルダ43の底壁部に形成された孔43dを通じて配設された吸引チューブ15を介し、吸引ポンプ16が接続されている。
【0052】
このようにしてキャップ12を収容するキャップホルダ43には、下方からカム41の周面が当接している。該カム41は、制御部21によって動作制御される電動モータ42の駆動により回転し、カム41の位相(回転角度)に応じてキャップホルダ43(及びキャップ12)は昇降動するようになっている。そして、吐出ヘッド10がメンテナンスポジション11(図1参照)にあるときにキャップホルダ43が上昇することにより、図7に示すようにキャップ12が吐出ヘッド10のノズル面10aに当接し、ノズル孔10bを覆った状態となる。一方、キャップホルダ43を下降させる場合には、カム41を逆回転させることにより、該カム41のプロファイルに応じて自重によりキャップホルダ43を下降させることができる。なお、ここで説明した構成では、カム41のプロファイルに応じて自重によってキャップホルダ43を下降させるものを示したが、カム41のカムノーズ部分とキャップホルダ43とをリンク機構により連結し、自重によらずカム41の回転に連動してキャップホルダ43が昇降動するように構成してもよい。
【0053】
図8は、図7の状態からキャップ12を下方へリリースする態様を示しており、(a)はキャップホルダ43をキャッピング位置から所定距離だけ下降させた第1の離隔状態、(b)はキャップホルダ43を更に下降させた第2の離隔状態を示している。
【0054】
図8(a)に示すように、カム41を所定角度だけ回転させてキャップホルダ43を下降させると、キャップ12はコイルバネ43aによって上方へ付勢されるため、該キャップ12の一端部に位置する周壁部12bの上端面は、ノズル面10aに当接したた状態を維持する。一方、キャップ12の他端部は、枢支軸12dが軸受部43cに拘束されるため、該他端部に位置する周壁部12bの上端面はノズル面10aから下方へ離隔する。このようにして、第1の離隔状態では、キャップ12がその一端部が他端部より上方に位置する傾斜姿勢になる。
【0055】
次に、図8(b)に示すように、更にカム41を回転させてキャップホルダ43を下降させると、その途中でキャップ12の一端部側の係止突起12cがストッパ43bに当接する。そしてこれ以降、キャップ12はキャップホルダ43と共に下降することになり、傾斜姿勢のままノズル面10aから完全に離隔した第2の離隔状態となる。
【0056】
このように、図7に示すプリンタ装置1の昇降機構20は、キャップ12がノズル面10aに当接してノズル孔10bを覆った状態から、キャップ12が傾斜した第1の離隔状態(図8(a))を経て、ノズル面10aから完全に離隔した第2の離隔状態(図8(b))へとキャップ12を移動させることができる。また、キャップ12によってノズル面10aをキャッピングする場合には、カム41を逆回転させることにより、第2の離隔状態から第1の離隔状態を経て、図7に示すキャッピング状態とすることができる。
【0057】
ところで、図7に示すように、キャップ12によりノズル面10aを覆った状態でパージ処理を行うと、キャップ12内に吸引されたインクが、ノズル面10aとキャップ12との間で連なった状態(インクブリッジが形成された状態)になる場合がある。この状態でキャップ12を、キャッピングしたときの水平姿勢のままで下降させると、ノズル面10aに大量のインクが付着したままになる可能性がある。
【0058】
しかしながら、図7に示すプリンタ装置1は、図8に示すようにキャップ12を傾斜した姿勢で下降させ、ノズル面10aから離隔させる。また、インクブリッジは、離隔する距離が相対的に小さい部分に形成されやすい傾向がある。そのため、図7に示す水平姿勢の状態から図8(a)の傾斜姿勢の状態へと、カム41の回転に伴ってキャップ12が徐々に傾斜していくと、これに伴ってインクブリッジは、ノズル面10aからの距離が小さい方へと移動し、キャップ12の一端部近傍の小領域に集約される。従って、図8(b)に示すようにキャップ12がノズル面10aから完全に離隔した第2の離隔状態において、ノズル面10a上の残留インクをより少なくすることができる。
【0059】
このようなプリンタ装置1に対しても、既に説明した空吸引動作(1)〜(8)を実行することができる。また、このプリンタ装置1では、キャップ12の底壁部に形成された排出孔14が一端部近傍に設けられているため、図8(a)に示す第1の離隔状態ではインクブリッジの直下近傍に位置している。従って、この状態で空吸引処理を開始すべく吸引ポンプ16を駆動すると、インクブリッジを形成するインクが排出孔14から早期に吸引される。その結果、ノズル面10aに残留するインク量を少なくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、パージ後の空吸引によってキャップ内の液体を適切に排出することができる空吸引方法及び液体吐出装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 プリンタ装置(液体吐出装置)
10 吐出ヘッド
12 キャップ
14 排出孔
16 吸引ポンプ(吸引手段)
17 温度センサ
20 昇降機構(移動手段)
21 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出ヘッドのノズル面をキャップで覆った状態でノズル孔からその内部の液体を吸引する吸引パージステップと、
該吸引パージステップの後に、前記キャップを前記吐出ヘッドから離隔した状態で前記キャップ内に残留する液体を該キャップ底部の排出孔を通じて外部へ空吸引する空吸引ステップとを備え、
前記空吸引ステップは、所定の速度で外部へ吸引する第1吸引ステップと、その後に実行されて前記速度とは異なる速度により吸引する第2吸引ステップとを有することを特徴とする液体吐出装置のパージ後空吸引方法。
【請求項2】
ノズル面に複数のノズル孔を有する吐出ヘッドと、
前記ノズル孔を覆うキャップと、
該キャップの底部に形成された排出孔を通じて前記キャップの内部空間を負圧を生じさせる吸引手段と、
前記吐出ヘッド及び前記キャップを相対的に移動させ、前記キャップを前記ノズル孔を覆うキャッピング位置と、前記キャップが前記吐出ヘッドから離れた退避位置とに位置付ける移動手段と、
前記吸引手段及び前記移動手段の動作を制御する制御部とを備え、
該制御部は、前記キャップを前記キャッピング位置に位置付けた状態で前記吸引手段を作動させることで、前記ノズル内のインクを吸引するパージ動作を行わせると共に、前記パージ動作の後に、前記キャップを前記退避位置に位置付けた状態で前記吸引手段を作動させることで、前記キャップ内に残留する液体を該キャップ底部の排出孔を通じて外部へ空吸引する空吸引動作を行わせるものであり、
前記制御部は、前記空吸引動作を行わせる際に、前記吸引手段を第1の吸引速度で駆動させた後、該第1の速度とは異なる第2の吸引速度で前記吸引手段を駆動させることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
前記第2の吸引速度は前記第1の吸引速度よりも低速に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記空吸引動作において、前記第1の吸引速度と前記第2の吸引速度との組み合わせによる前記吸引手段の駆動を複数回繰り返させることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記第2の吸引速度は、実質的にゼロであることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の吸引速度を、前記組み合わせを繰り返すに従って低速化するよう設定することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第2の吸引速度による前記吸引手段の駆動時間を、前記組み合わせを繰り返すに従って長く設定することを特徴とする請求項5又は6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記空吸引動作において、前記第1の吸引速度による前記吸引手段の駆動と、相対的に低速の前記第2の吸引速度による前記吸引手段の駆動との間に、実質的に速度をゼロとする前記吸引手段の駆動状態を介在させることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
外部環境の温度を検出する温度センサを更に備え、
前記制御部は、前記温度センサにより検出された温度に応じて、実質的に速度をゼロとする前記吸引手段の駆動時間を変更することを特徴とする請求項4乃至8の何れかに記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記排出孔は前記キャップの一端部近傍に形成されており、
前記移動手段は、前記一端部の方が他端部よりも前記ノズル面との距離が小さくなるように、前記キャップを傾斜姿勢とすることができ、
前記制御部は、前記キャップが前記傾斜姿勢のときに前記空吸引動作を開始させることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−51140(P2011−51140A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−199975(P2009−199975)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】