説明

液体吐出装置

【課題】ヘッド制御回路が発生させた熱を効率良く放散させて放熱効果を向上させる。
【解決手段】本発明に係る液体吐出装置は、媒体を搬送する搬送方向と交差する交差方向に移動するキャリッジと、前記キャリッジに設けられたヘッド部であって、ノズルと、前記ノズルから液体を吐出させる駆動素子と、前記駆動素子に駆動信号を印加するか否かのオンオフ制御を行うスイッチを有し前記駆動素子の駆動を制御するヘッド制御部と、を有するヘッド部と、前記交差方向に沿って設けられた空洞部であって、前記交差方向の一方側と他方側に開口の大きさを変更可能に設けられた可変開口部と、前記ヘッド制御部に接触した状態で前記可変開口部間に設けられた金属部と、を有し、前記キャリッジの移動により前記可変開口部から流入した空気を前記金属部にあてて冷却する空洞部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置の一例として、紙等の媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット
プリンターが知られている。このインクジェットプリンターには、ヘッドユニットが設け
られており、ヘッドユニットは、ノズルと、ノズルに対応した駆動素子(例えば、ピエゾ
素子)と、駆動信号を選択的に駆動素子に印加するスイッチを有するヘッド制御回路と、
を有している(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−300956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなインクジェットプリンターでは、印刷が長時間に亘って行われると、ヘッド
制御回路内のスイッチが駆動素子に駆動信号を印加するか否かのオンオフ制御を頻繁に繰
り返すこととなる。その結果、ヘッド制御回路の発熱によって温度が過度に上昇し、誤動
作を発生させるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ヘ
ッド制御回路が発生させた熱を効率良く放散させて放熱効果を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための主たる発明は、
媒体を搬送する搬送方向と交差する交差方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられたヘッド部であって、
ノズルと、前記ノズルから液体を吐出させる駆動素子と、前記駆動素子に駆動信号を印
加するか否かのオンオフ制御を行うスイッチを有し前記駆動素子の駆動を制御するヘッド
制御部と、を有するヘッド部と、
前記交差方向に沿って設けられた空洞部であって、
前記交差方向の一方側と他方側に開口の大きさを変更可能に設けられた可変開口部と、
前記ヘッド制御部に接触した状態で前記可変開口部間に設けられた金属部と、を有し、前
記キャリッジの移動により前記可変開口部から流入した空気を前記金属部にあてて冷却す
る空洞部と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】プリンター1の全体構成のブロック図である。
【図2】プリンター1の構成を示す概略図である。図2Aは、プリンター1の斜視図である。図2Bは、プリンター1の横断面図である。
【図3】ヘッド制御部HCのブロック図である。
【図4】各信号のタイミングを説明する説明図である。
【図5】ヘッド制御部HC周辺の分解斜視図である。
【図6】キャリッジ31に搭載された状態のヘッドユニット40の構成を示す概略図である。
【図7】可変開口部48の動作例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0009】
即ち、媒体を搬送する搬送方向と交差する交差方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられたヘッド部であって、
ノズルと、前記ノズルから液体を吐出させる駆動素子と、前記駆動素子に駆動信号を印
加するか否かのオンオフ制御を行うスイッチを有し前記駆動素子の駆動を制御するヘッド
制御部と、を有するヘッド部と、
前記交差方向に沿って設けられた空洞部であって、
前記交差方向の一方側と他方側に開口の大きさを変更可能に設けられた可変開口部と、
前記ヘッド制御部に接触した状態で前記可変開口部間に設けられた金属部と、を有し、前
記キャリッジの移動により前記可変開口部から流入した空気を前記金属部にあてて冷却す
る空洞部と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置である。
このような液体吐出装置によれば、空洞部の一部を金属部材により形成し、ヘッド制御
部を当該金属部材に接触させるようにし、かつ、空洞部内に流入した空気を当該金属部材
にあてて冷却するようにしたため、放熱効果を向上させ、ヘッド制御部の誤動作の発生を
抑えることができる。
【0010】
また、かかる液体吐出装置であって、
前記キャリッジの進行方向前側に位置する前記可変開口部を前記一方側の可変開口部と
し、かつ、前記キャリッジの進行方向後側に位置する前記可変開口部を前記他方側の可変
開口部としたときに、
前記一方側の可変開口部は、前記他方側の可変開口部よりも開口の大きさを大きくする
こととしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、進行方向前側の可変開口部から空洞部内へ多くの空
気が取り込まれ、進行方向後側の可変開口部から少ない空気が排出されるようになるため
、より放熱効果を向上させることができる。
【0011】
また、かかる液体吐出装置であって、
前記金属部は、アース接続されていることとしてもよい。
このような液体吐出装置によれば、静電気によるヘッド制御部の損傷や、この静電気が
ノイズとして駆動信号に重畳することによる誤動作等の不具合を抑止することができる。
【0012】
また、かかる液体吐出装置であって、
前記キャリッジは、
ガイドレールに案内されて前記交差方向に移動するものであり、
前記ヘッド部は、
前記搬送方向において前記ガイドレールよりも下流側の第一側面部と、前記搬送方向に
おいて前記第一側面部よりも下流側の第二側面部とを有するヘッドケースを備えており、
前記空洞部は、前記ヘッドケースの前記第二側面部側に設けられたこととしてもよい。

このような液体吐出装置によれば、空洞部を第二側面部側に設けることで、プリンター
内部の空気よりも低温のプリンター外部の空気が空洞部内を通過するようになるため、よ
り放熱効果を向上させることができる。
【0013】
以下の実施形態では、インクジェットプリンター1(以下、「プリンター1」ともいう
)を例に挙げて説明する。
【0014】
===実施の形態===
<<<プリンター1の構成例について>>>
プリンター1の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施形態
のプリンター1の全体構成のブロック図である。図2Aは、プリンター1の斜視図であり
、図2Bは、プリンター1の横断面図である。
【0015】
本実施形態のプリンター1は、搬送部の一例としての搬送ユニット20と、キャリッジ
ユニット30と、ヘッド部の一例としてのヘッドユニット40と、検出器群50と、コン
トローラー60とを有する。外部装置であるコンピューター110から印刷データを受信
したプリンター1は、コントローラー60によって各ユニット(搬送ユニット20、キャ
リッジユニット30、ヘッドユニット40)を制御する。コントローラー60は、コンピ
ューター110から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印
刷する。プリンター1内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は
、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から
出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。
【0016】
搬送ユニット20は、媒体S(例えば、紙Sなど)を所定の方向(以下、「搬送方向」
という)に搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、給紙ローラー21と
、搬送モーター22(「PFモーター」とも言う)と、搬送ローラー23と、プラテン2
4と、排紙ローラー25とを有する。給紙ローラー21は、紙挿入口に挿入された紙をプ
リンター内に給紙するためのローラーである。搬送ローラー23は、給紙ローラー21に
よって給紙された紙Sを印刷可能な領域まで搬送するローラーであり、搬送モーター22
によって駆動される。プラテン24は、印刷中の紙Sを支持する。排紙ローラー25は、
紙Sをプリンターの外部に排出するローラーであり、印刷可能な領域に対して搬送方向下
流側に設けられている。
【0017】
キャリッジユニット30は、ヘッドを搬送方向と交差する交差方向(以下、「移動方向
」という)に移動(「走査」とも呼ばれる)させるためのものである。キャリッジユニッ
ト30は、キャリッジ31と、キャリッジモーター32(「CRモーター」とも言う)と
を有する。キャリッジ31は、ガイドレール33に沿って移動方向に往復移動可能であり
、キャリッジモーター32によって駆動される。また、キャリッジ31は、インクを収容
するインクカートリッジCRGを着脱可能に保持している。
【0018】
ヘッドユニット40は、紙にインクを吐出するためのものである。ヘッドユニット40
は、複数のノズルを有するヘッド41と、ヘッド制御部HC(ヘッド制御回路)と、それ
らを収容するヘッドケース45とを備える。このヘッド41はキャリッジ31に設けられ
ているため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する
。そして、ヘッド41が移動方向に移動中にインクを断続的に吐出することによって、移
動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)が紙に形成される。なお、ヘッド41の構
成及びヘッド制御部HCの詳細については後述する。
【0019】
検出器群50には、リニア式エンコーダー51、ロータリー式エンコーダー52、紙検
出センサー53、および光学センサー54等が含まれる。リニア式エンコーダー51は、
キャリッジ31の移動方向の位置を検出する。ロータリー式エンコーダー52は、搬送ロ
ーラー23の回転量を検出する。紙検出センサー53は、給紙中の紙Sの先端の位置を検
出する。光学センサー54は、キャリッジ31に取付けられている発光部と受光部により
、紙Sの有無を検出する。そして、光学センサー54は、キャリッジ31によって移動し
ながら紙Sの端部の位置を検出し、紙Sの幅を検出することができる。また、光学センサ
ー54は、状況に応じて、紙Sの先端(搬送方向下流側の端部であり、「上端」ともいう
)・後端(搬送方向上流側の端部であり、「下端」ともいう)も検出できる。
【0020】
コントローラー60は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。コント
ローラー60は、インターフェイス部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット
制御回路64と、駆動信号生成部65とを有する。インターフェイス部61は、外部装置
であるコンピューター110とプリンター1との間でデータの送受信を行う。CPU62
は、プリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU6
2のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、RAM等の記
憶素子を有する。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従って、ユ
ニット制御回路64を介して各ユニットを制御する。
【0021】
なお、駆動信号生成部65は、共通駆動信号COMを生成する。駆動信号生成部65で
生成された共通駆動信号COMは、可撓性を有するフレキシブルケーブル71によって、
本体側(コントローラー60)からヘッド側(ヘッドユニット40)に送信される。
【0022】
<<<ヘッドユニット40について>>>
<ヘッド制御部HCについて>
ここで、ヘッド制御部HCについて、図3及び図4を用いて説明する。図3は、ヘッド
制御部HCのブロック図であり、図4は、各信号のタイミングの説明図である。
【0023】
ヘッド制御部HCは、第1シフトレジスタ81Aと、第2シフトレジスタ81Bと、第
1ラッチ回路82Aと、第2ラッチ回路82Bと、デコーダー83と、制御ロジック84
と、スイッチ86を備えている。そして、制御ロジック84を除いた各部(すなわち、第
1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B、第1ラッチ回路82A、第2ラッ
チ回路82B、デコーダー83、スイッチ86)は、それぞれピエゾ素子417毎に設け
られる。なお、ピエゾ素子417は、ノズルからインクを吐出するために駆動される素子
(駆動素子)であり、ヘッド41においてノズル毎に設けられている。
【0024】
ヘッド制御部HCには、共通駆動信号COM、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、
画素データSI、クロック信号CLKが入力される。以下、これらの信号について説明す
る。
【0025】
駆動信号COMは、繰り返し周期T毎に繰り返し生成される。この繰り返し周期Tは、
キャリッジ31が所定距離移動するために要する時間である。このように、キャリッジ3
1が所定距離移動する毎に、同じ波形COMが駆動信号生成部65から繰り返し生成され
る。そして、この共通駆動信号COMは、繰り返し周期Tにおける期間T11で生成され
る第1波形部SS11と、期間T12で生成される第2波形部SS12と、期間T13で
生成される第3波形部SS13とを有する。ここで、第1波形部SS11は駆動パルスP
S1を有している。また、第2波形部SS12は駆動パルスPS2を、第3波形部SS1
3は駆動パルスPS3をそれぞれ有している。そして、駆動パルスPS1、駆動パルスP
S2及び駆動パルスPS3は、後で詳述する大ドットの形成時にピエゾ素子417へ印加
されるものであり、互いに同じ波形をしている。また、駆動パルスPS1と駆動パルスP
S2は、後で詳述する中ドットの形成時にも、ピエゾ素子417へ印加されるものである
。また、駆動パルスPS1は、後で詳述する小ドットの形成時にも、ピエゾ素子417へ
印加されるものである。なお、駆動パルスがピエゾ素子417に印加されない場合は、イ
ンクが噴射されない(ドットが形成されない)。
【0026】
この駆動信号COMは、ピエゾ素子417毎に設けられたスイッチ86にそれぞれ入力
されている。スイッチ86は、駆動信号COMをピエゾ素子417に印加するか否かのオ
ン/オフ制御を行う。このオン/オフ制御により、駆動信号COMの一部分を、選択的に
ピエゾ素子417へ印加させることができ、これにより、ドットの大きさを変更すること
ができる。このように、各波形部は、ピエゾ素子417へ印加される一単位である。なお
、各波形部をピエゾ素子417へ印加させるための制御については、後で詳しく説明する

【0027】
ラッチ信号LATは、繰り返し周期T(1画素の区間をヘッド41が移動する期間)を
示す信号である。すなわち、ラッチ信号LATは、キャリッジ31が所定距離移動する毎
に出力されるリニア式エンコーダー51の信号に基づいて、コントローラー60によって
生成され、制御ロジック84とラッチ回路(第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82
B)に入力される。
【0028】
チェンジ信号CHは、繰り返し周期Tを3等分した期間を示す信号である。チェンジ信
号CHは、リニア式エンコーダー51の信号に基づいてコントローラー60によって生成
され、制御ロジック84に入力される。
【0029】
画素データSIは、画素毎の階調(ドット無し、小ドット、中ドット、大ドット)を示
す信号である。この画素データは、1個のノズルに対して2ビットずつで構成されている
。例えば、ノズル数が64個の場合、2ビット×64の画素データSIが繰り返し周期T
毎にコントローラー60から送られてくることになる。なお、画素データSIは、第1シ
フトレジスタ81A及び第2シフトレジスタ81Bに入力される。
【0030】
クロック信号CLKは、コントローラー60から送られる画素データSIを、各シフト
レジスタ(第1シフトレジスタ81A、第2シフトレジスタ81B)にセットする際に用
いられる信号である。
【0031】
次に、ヘッド制御部HCで生成される信号について説明する。ヘッド制御部HCでは、
選択信号q0〜q3、スイッチ制御信号SW、印加信号が生成される。
選択信号q0〜q3は、ラッチ信号LATとチェンジ信号CHに基づいて、制御ロジッ
ク64で生成される。そして生成された選択信号q0〜q3は、ピエゾ素子417毎に設
けられたデコーダー83にそれぞれ入力される。
【0032】
スイッチ制御信号SWは、各ラッチ回路(第1ラッチ回路82A、第2ラッチ回路82
B)にラッチされた画素データ(2ビット)に基づいて、選択信号q0〜q3の何れかが
デコーダー83によって選択されたものである。各デコーダー83で生成されたスイッチ
制御信号SWは、対応するスイッチ86にそれぞれ入力される。
【0033】
印加信号は、共通駆動信号COMとスイッチ制御信号に基づいてスイッチ86から出力
される。この印加信号は、各スイッチ86と対応するピエゾ素子417にそれぞれ印加さ
れる。
【0034】
(ヘッド制御部HCの動作)
ヘッド制御部HCは、コントローラー60からの画素データSIに基づき、インクを吐
出させるための制御を行う。すなわち、ヘッド制御部HCは、印刷データに基づいてスイ
ッチ86のオン/オフを制御し、共通駆動信号COMの必要な波形部を選択的にピエゾ素
子417へ印加させている。言い換えると、ヘッド制御部HCは、各ピエゾ素子417の
駆動を制御している。本実施形態では、画素データSIが2ビットで構成されている。そ
して、転送用クロックCLKに同期して、この画素データSIが記録ヘッド41へ送られ
てくる。さらに、画素データSIの上位ビット群が各第1シフトレジスタ81Aにセット
され、下位ビット群が各第2シフトレジスタ81Bにセットされる。第1シフトレジスタ
81Aには第1ラッチ回路82Aが電気的に接続され、第2シフトレジスタ81Bには第
2ラッチ回路82Bが電気的に接続されている。そして、コントローラー60からのラッ
チ信号LATがHレベルになると、各第1ラッチ回路82Aは対応する画素データSIの
上位ビットをラッチし、各第2ラッチ回路82Bは画素データSIの下位ビットをラッチ
する。第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bでラッチされた画素データSI(
上位ビットと下位ビットの組)はそれぞれ、デコーダー83に入力される。デコーダー8
3は、第1ラッチ回路82A及び第2ラッチ回路82Bにラッチされた画素データSIに
応じて、制御ロジック84から出力される選択信号q0〜q3のうちの一つの選択信号(
例えば選択信号q1)を選択し、選択された選択信号をスイッチ制御信号SWとして出力
する。各スイッチ86は、スイッチ制御信号に応じてオン/オフされて、駆動信号COM
に含まれる波形部を選択的にピエゾ素子417へ印加する。
【0035】
(画素データとドットの関係)
まず、ドットの非形成の場合(画素データSIがデータ[00]の場合)について説明
する。画素データ[00]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q0が出力される。選択信号q0は、画素データSIが[00]であるノズルに対し、
任意の時点で、スイッチ86をオンするかオフするかを示す信号で、制御ロジック84が
出力するが、制御ロジック84は、ラッチ信号LATかチェンジ信号CHのパルスごとに
(予め定められたとおりに)値が規定される(なお、選択信号q1〜q3も同様である)
。これにより、期間Tにおいてスイッチ86がオフ状態になる。この結果、共通駆動信号
COMの駆動パルスはピエゾ素子417へ印加されない。この場合、ノズルからはインク
滴は吐出されない。
【0036】
次に、小ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[01]の場合)について説明
する。画素データ[01]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q1が出力される。これにより、期間T11においてスイッチ86がオン状態になり、
期間T12及び期間T13においてスイッチ86がオフ状態になる。この結果、共通駆動
信号COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1がピエゾ素子417へ印加さ
れ、ノズルからは小ドットに対応する量のインク滴が噴射される。
【0037】
次に、中ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[10]の場合)について説明
する。画素データ[10]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q2が出力される。これにより、期間T11及び期間T12においてスイッチ86がオ
ン状態になり、期間T13ではスイッチ86がオフ状態になる。この結果、共通駆動信号
COMの第1波形部SS11が有する駆動パルスPS1と、共通駆動信号COMの第2波
形部SS12が有する駆動パルスPS2がピエゾ素子417へ印加され、ノズルからは中
ドットに対応する量のインク滴(中インク滴)が噴射される。
【0038】
次に、大ドットの形成の場合(画素データSIがデータ[11]の場合)について説明
する。画素データ[11]がラッチされている場合、スイッチ制御信号SWとして選択信
号q3が出力される。これにより、期間T11、期間T12及び期間T13においてスイ
ッチ86はオン状態になる。この結果、共通駆動信号COMの第1波形部SS11が有す
る駆動パルスPS1と、共通駆動信号COMの第2波形部SS12が有する駆動パルスP
S2と、共通駆動信号COMの第3波形部SS13が有する駆動パルスPS3とがピエゾ
素子417へ順に印加され、ノズルからは大ドットに対応する量のインク滴(大インク滴
)が吐出される。
【0039】
<ヘッド制御部HCからピエゾ素子までの配線について>
次に、ヘッド制御部HCからピエゾ素子までの配線について、図5を用いて説明する。
図5は、ヘッド制御部HC周辺の分解斜視図である。
【0040】
まず、本実施形態のヘッド部分の構成について説明する。図5に示すように、本実施形
態のプリンター1は、ヘッド部分にヘッド41と、テープキャリアパッケージ(Tape Car
rier Package:以下「TCP」ともいう)とを備えている。
【0041】
ヘッド41は、ノズルプレート42と、リザーバープレート43と、アクチュエーター
部44とを有している。ノズルプレート42は、6列のノズル開口が形成されている。ま
た、その各列につき、それぞれ64個のノズル開口が搬送方向に並んで形成されている。
下記の説明では、搬送方向下流側から順に各ノズルに#1〜#64の番号を付けている。
リザーバープレート43は、インクを貯留するリザーバー(貯留室)とノズル毎の圧力発
生室とを形成する。アクチュエーター部44には、ノズル毎に対応してピエゾ素子が設け
られており、このピエゾ素子の動作に応じて、リザーバープレート43の圧力発生室内を
膨張・収縮させる。また、アクチュエーター部44には、ノズル毎(ピエゾ素子毎)に接
続端子Taが設けられている。つまり、1つのノズル列につき64個の接続端子Taが設
けられている。
【0042】
TCPは、本体側(コントローラー60)からの入力信号に基づいてヘッドの駆動を制
御するヘッド制御部HCをFPC(Flexible printed circuit)に実装し、必要な配線パ
ターンを形成して構成されている。なお、ヘッド制御部HCは半導体集積回路(IC)に
よって構成されている。
【0043】
ヘッド制御部HCの入力側の配線は、前述した共通駆動信号COM、ラッチ信号LAT
、チェンジ信号CH、画素データSI、クロック信号CLKなどを伝送するものである。
【0044】
また、同図では示していないがヘッド制御部HCの出力側の配線は、印加信号を各ピエ
ゾ素子に伝送する。
【0045】
なお、TCPには、アクチュエーター部44の接続端子Taと接続するための接続端子
Tbが、ノズル毎に設けられている。つまり、1つのノズル列につき64個の接続端子T
bが設けられている。このTCPの各接続端子Tbは、アクチュエーター部44の各接続
端子Taとそれぞれ対応している。そして、ヘッド制御部HCから出力される印加信号は
、出力側の配線を通り、接続端子Tb、接続端子Taを介してピエゾ素子に印加される。
【0046】
<ヘッドケース45について>
ここで、ヘッドケース45について、図6及び図7を用いて説明する。図6は、キャリ
ッジ31に搭載された状態のヘッドユニット40を示す概略図であり、ヘッドケース45
の構成が横断面図により示されている。図7は、可変開口部48の動作例を説明する図で
ある。図7Aは、キャリッジ31が移動方向の一方向(往路)に移動する際の空洞部46
の状態を示す図である。図7Bは、キャリッジ31が移動方向の他方向(復路)に移動す
る際の空洞部46の状態を示す図である。なお、図7では、ヘッドユニット40のうちの
空洞部46及びTCP(ヘッド制御部HC)を抜き出して図示している。
【0047】
(ヘッド制御部HCの発熱)
上述したとおり、ヘッド制御部HCが、印刷データに基づいてスイッチ86のオン/オ
フを制御し、共通駆動信号COMの必要な波形部を選択的にピエゾ素子417へ印加させ
ることにより、所定の大きさのインク滴がノズルから媒体Sに向けて噴射される。そして
、本実施形態に係るプリンター1では、このようなインク滴の吐出を繰り返すことによっ
て印刷が行われる。
【0048】
しかし、印刷が長時間に亘って行われると、駆動素子に駆動信号を印加するか否かのオ
ンオフ制御がスイッチ86によって頻繁に繰り返されることになる。そうすると、スイッ
チ86を構成するトランジスタから過度に熱が発生し、ヘッド制御部HC内の温度が大幅
に上昇することとなる。その結果、吐出不良等が生じ、プリンター1の故障の原因となる

【0049】
これに対し、本実施形態に係るヘッドユニット40においては、金属部47を有する空
洞部46をヘッドケース45に形成し、当該金属部47にヘッド制御部HCを接触させる
ようにした。そして、空洞部46に、開口の大きさを変更可能にした可変開口部48を設
け、キャリッジ31の移動により可変開口部48から流入した空気を金属部47にあてて
冷却するようにした。これにより、ヘッド制御部HCが発生させた熱を効果的に放散させ
ることができる。
以下、かかるヘッドケース45の構成例を、具体的に説明する。
【0050】
(ヘッドケース45の構成)
まず、本実施形態に係るヘッドケース45の構成について、図6を用いて説明する。
なお、図6に示すヘッドユニット40においては、インクカートリッジCRGが装着さ
れるインク導入針、インク流路等は省略されている。また、図6に示すヘッドケース45
においては、上面が開放された状態で図示されているが、密閉されているものとする。
【0051】
ヘッドケース45は、キャリッジ31によって支持されており、ヘッド41及びヘッド
制御部HCを収容可能に構成されたケーシングである。
ヘッドケース45は、主に合成樹脂により形成されており、金属部材により形成された
部位47(以下、「金属部47」と呼ぶ)を有する空洞部46を備えている。また、ヘッ
ドケース45は、底面にノズルプレート42を有している。
【0052】
ノズルプレート42の上面には、リザーバープレート43がフィルム接着剤により接着
されている。
リザーバープレート43の上面には、リザーバープレート43側へインクを供給する供
給プレート(不図示)がフィルム接着剤により接着されている。
供給プレートの上面には、アクチュエーター部44がフィルム接着剤により接着されて
いる。
【0053】
アクチュエーター部44の上面には、ヘッド制御部HCを有するTCPが接着されてい
る。このように接着することで、TCPの各接続端子Tbがアクチュエーター部44の各
接続端子Taに対応して接続されることになる(図5参照)。
【0054】
このTCPは、可撓性部材により形成されているため、自在に屈曲することができる。
本実施形態においては、図6に示すように、TCPをヘッドケース45の内壁に沿って上
向きに屈曲させて、ヘッド制御部HCを金属部47に接触させた状態にしている。そして
、ヘッド制御部HCは、熱伝導性の高い素材からなる接着剤により金属部47に接着され
ている。
【0055】
このように、ヘッド制御部HCを金属部47に接触させた状態でケース内に収容したた
め、ヘッド制御部HCが発生させた熱は金属部47の表面から空気中に放散されることに
なる。
【0056】
さらに、図6に示すように、TCPを搬送方向の下流方向へ屈曲させて、TCPの端部
のうちのアクチュエーター部44側と反対側の端部を基板CBに固定している。この基板
CBには、コネクターCNが搭載されている。TCPは、基板CBを介してコネクターC
Nに対して電気的に接続される。コネクターCNには、可撓性を有するフレキシブルケー
ブル71が接続されている。
【0057】
このため、駆動信号生成部65により生成された共通駆動信号COMが、本体側(コン
トローラー60)からヘッドユニット40側へ送信されると、フレキシブルケーブル71
、コネクターCN、基板CB、TCP、を順次経由して、アクチュエーター部44によっ
て受信される。
【0058】
また、ヘッドケース45は、図6に示すように、搬送方向においてガイドレール33よ
りも下流側の第一側面部45aと、搬送方向において第一側面部45aよりも下流側の第
二側面部45bとを有している。
【0059】
そして、本実施形態においては、ヘッドケース45の第二側面部45b側に、空洞部4
6が設けられている。
空洞部46は、図7に示すように、移動方向に沿って設けられ、移動方向の一方側と他
方側に可変開口部48、48を有しており、可変開口部48、48間には金属部47を有
している。
【0060】
このため、キャリッジ31が移動方向に移動すると、出入り口となる可変開口部48を
通じて空洞部46内に風が流れ込むことになる。
そうすると、空洞部46内に流入した風が金属部47の表面にあたり、その表面からヘ
ッド制御部HCが発生させた熱が放散されることになる。
【0061】
また、空洞部46を第二側面部45b側に設けることで、第二側面部45b側は第一側
面部45a側よりも媒体Sを排出する排出口側に近いため、プリンター内部の空気よりも
低温のプリンター外部の空気が可変開口部48から空洞部46内へ流入するようになる。
【0062】
その結果、空洞部46内へ流入した低温の外気が金属部47の表面に触れることによっ
て熱を奪うことになるため、より放熱効果を向上させることができる。
【0063】
金属部47は、図6に示すように、突出部47aの先端をヘッドケース45の第二側面
部45bに接触させた状態でヘッドケース45に固定されている。これにより、金属部4
7とヘッドケース45とによって空洞部46が形成される。
【0064】
本実施形態においては、金属部47を接地電位に設定している。このように、金属部4
7を接地させる(アース接続させる)ことで、ヘッド制御部HC等に帯電した静電気を徐
電することができ、静電気によるヘッド制御部の損傷や、この静電気がノイズとして駆動
信号に重畳することによる誤動作を抑止することが可能となる。
【0065】
可変開口部48は、図7に示すように、軸48aと、軸48aを中心に回動するフラッ
プ48bと、フラップ48bを軸48a回りに回動させる駆動部の一例としてのモーター
(不図示)と、を有している。
すなわち、コントローラー60は、モーターを駆動させることにより、フラップ48b
を軸48a回りに回動させることができる。
そして、フラップ48bが回動することによって、可変開口部48は開口の大きさを変
更させることができる。
このように、コントローラー60は、各可変開口部48を制御することで、空洞部46
内に流入する空気の量を調整することができる。
【0066】
<<<プリンター1の動作例について>>>
次に、プリンター1の動作例にについて、図7を用いて説明する。
プリンター1は、コンピューター110から印刷データが送られてくると、印刷処理を
実行する。以下に説明される各処理は、コントローラー60が、メモリー63内に格納さ
れたプログラムに従って、各ユニットを制御することにより実行される。このプログラム
は、各処理を実行するためのコードを有する。
【0067】
コントローラー60は、コンピューター110からインターフェイス部61を介して、
印刷命令を受信する。この印刷命令は、コンピューター110から送信される印刷データ
のヘッダに含まれている。そして、コントローラー60は、受信した印刷データに含まれ
る各種コマンドの内容を解析し、各ユニットを用いて、以下の給紙処理・搬送処理・イン
ク吐出処理等を行う。
【0068】
<給紙処理>
まず、コントローラー60は、給紙処理を行う。給紙処理とは、印刷すべき紙Sをプリ
ンター1内に供給し、印刷開始位置(頭出し位置とも言う)に紙Sを位置決めする処理で
ある。コントローラー60は、給紙ローラー21を回転させ、印刷すべき紙Sを搬送ロー
ラー23まで送る。コントローラー60は、搬送ローラー23を回転させ、給紙ローラー
21から送られてきた紙を印刷開始位置に位置決めする。紙Sが印刷開始位置に位置決め
されたとき、ヘッド41の少なくとも一部のノズルは、紙Sと対向している。
【0069】
<ドット形成処理>
次いで、コントローラー60は、ドット形成処理を行う。ドット形成処理とは、キャリ
ッジ移動方向に沿って移動するヘッド41からインクを断続的に吐出させ、紙上にドット
を形成する処理である。コントローラー60は、キャリッジモーター32を駆動し、キャ
リッジ31をキャリッジ移動方向に往復移動させる。そして、コントローラー60は、キ
ャリッジ31が移動している間に、印刷データに基づいてヘッド41からインクを吐出さ
せる。ヘッド41から吐出されたインク滴が紙上に着弾すれば、紙上にドットが形成され
る。
【0070】
<冷却処理>
上記のドット形成処理の際、コントローラー60は、冷却処理を行う。冷却処理とは、
キャリッジ31が進行する進行方向に応じて、各可変開口部48、48における開口の大
きさを変更する処理である。
【0071】
すなわち、コントローラー60は、キャリッジ31がガイドレール33に沿って移動方
向に往復移動する際に、その進行方向に応じて各フラップ48b、48bの回動制御を行
い、空洞部46内に流入する空気量を調整することによって、ヘッド制御部HCの発熱に
より高温となった金属部47を冷却している。
【0072】
具体的には、コントローラー60は、図7Aに示すように、キャリッジ31が往路にあ
るときに、モーターを駆動させて、各可変開口部48、48の各フラップ48b、48b
をそれぞれ反時計回りに回動させる。
【0073】
その結果、進行方向前側の可変開口部48(一方側の可変開口部)は、進行方向後側の
可変開口部48(他方側の可変開口部)よりも開口の大きさを大きくすることができる。
そうすると、進行方向前側の可変開口部48から空洞部46内へ多くの空気が取り込まれ
、進行方向後側の可変開口部48から少ない空気が排出されるようになるので、空洞部4
6内において金属部47の表面から空気中に放出される熱量を増加させることが可能とな
る。このため、より効率良く金属部47を空冷することができる。
【0074】
一方で、コントローラー60は、図7Bに示すように、キャリッジ31が復路にあると
きは、モーターを駆動させて、各可変開口部48、48の各フラップ48b、48bをそ
れぞれ時計回りに回動させる。
【0075】
その結果、進行方向前側の可変開口部48(一方側の可変開口部)は、進行方向後側の
可変開口部48(他方側の可変開口部)よりも開口の大きさを大きくすることができる。
このため、往路同様、より効率良く金属部47を空冷することが可能となる。
【0076】
<搬送処理>
次いで、コントローラー60は、搬送処理を行う。搬送処理とは、紙Sをヘッド41に
対して搬送方向に沿って相対的に移動させる処理である。コントローラー60は、搬送モ
ーター22を駆動し、搬送ローラー23を回転させて紙Sを搬送方向に搬送する。この搬
送処理により、ヘッド41は、先ほどのドット形成処理によって形成されたドットの位置
とは異なる位置に、ドットを形成することが可能になる。
【0077】
<排紙判断>
次に、コントローラー60は、印刷中の紙Sの排紙の判断を行う。印刷中の紙Sに印刷
するためのデータが残っていれば、排紙は行われない。そして、コントローラー60は、
印刷するためのデータがなくなるまでドット形成処理と搬送処理とを交互に繰り返し、ド
ットから構成される画像を徐々に紙Sに印刷する。なお、排紙を行うか否かの判断は、印
刷データに含まれる排紙コマンドに基づいても良い。
【0078】
<排紙処理>
次いで、コントローラー60は、印刷中の紙Sに印刷するためのデータがなくなれば、
その紙Sを排紙する。コントローラー60は、排紙ローラー25を回転させることにより
、印刷した紙Sを外部に排出する。
【0079】
<印刷終了判断>
次に、コントローラー60は、印刷を続行するか否かの判断を行う。次の紙Sに印刷を
行うのであれば、印刷を続行し、次の紙Sの給紙処理を開始する。次の紙Sに印刷を行わ
ないのであれば、印刷動作を終了する。
【0080】
以上のように、キャリッジ31が往復移動を行う際に、キャリッジ31の進行方向前側
の可変開口部48の開口の大きさを、進行方向後側の可変開口部48の開口の大きさより
も大きくすることにより、空洞部46内に取り込まれる空気量を多くすることができ、取
り込んだ空気を澱みなく通過させることができるため、金属部47がより効率良く空冷さ
れる。
【0081】
その結果、ヘッド制御部HCが発生させた熱を金属部47の表面から効率良く放散させ
ることができ、ヘッド制御部HCの誤動作の発生を抑えることが可能となる。
【0082】
===その他の実施の形態===
本実施形態は、主として液体吐出装置について記載されているが、液体吐出方法等の開
示も含まれる。また、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発
明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変
更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に
、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0083】
<液体吐出装置>
上記の実施形態においては、液体吐出装置としてインクジェット式プリンターを例に挙
げて説明したが、これに限定されるものではない。たとえば、インク以外の他の液体を吐
出する液体吐出装置であってもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備え
る各種の液体吐出装置に流用可能である。なお、液滴(インク滴)とは、上記液体吐出装
置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする
。また、ここでいう液体とは、液体吐出装置が吐出させることができるような材料であれ
ばよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い
液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属
融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子など
の固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。ま
た、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられ
る。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホット
メルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては
、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光デ
ィスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又
は溶解のかたちで含む液体を吐出する液体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体
有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する
液体吐出装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメ
ラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いら
れる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液
を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等の
エッチング液を吐出する液体吐出装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか
一種の液体吐出装置に本発明を適用することができる。
【0084】
<その他について>
上記の実施形態ではTCPの場合について説明したが、TCPには限られない。例えば
、COF(Chip On Film)でも良い。
また、上記の実施形態では、1個のヘッド制御部HCが6個のノズル列を制御していた
が、これに限られるものではない。1個のヘッド制御部HCが1個のノズル列の制御しか
行わない場合でも良い。
【符号の説明】
【0085】
1 プリンター、20 搬送ユニット、
21 給紙ローラー、22 搬送モーター(PFモーター)、
23 搬送ローラー、24 プラテン、25 排紙ローラー、
30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 キャリッジモーター(CRモーター)、
40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
45 ヘッドケース、45a 第一側面部、45b 第二側面部、
46 空洞部、47 金属部、48 可変開口部、
48a 回転軸、48b フラップ、
50 検出器群、51 リニア式エンコーダー、
52 ロータリー式エンコーダー、53 紙検出センサー、
54 光学センサー、60 コントローラー、
61 インターフェイス部、62 CPU、63 メモリー、
64 ユニット制御回路、65 駆動信号生成部、
71 フレキシブルケーブル、
81A 第1シフトレジスタ、81B 第2シフトレジスタ、
82A 第1ラッチ回路、82B 第2ラッチ回路、
83 デコーダー、84 制御ロジック、86 スイッチ、
110 コンピューター、417 ピエゾ素子、
HC ヘッド制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送方向と交差する交差方向に移動するキャリッジと、
前記キャリッジに設けられたヘッド部であって、
ノズルと、前記ノズルから液体を吐出させる駆動素子と、前記駆動素子に駆動信号を印
加するか否かのオンオフ制御を行うスイッチを有し前記駆動素子の駆動を制御するヘッド
制御部と、を有するヘッド部と、
前記交差方向に沿って設けられた空洞部であって、
前記交差方向の一方側と他方側に開口の大きさを変更可能に設けられた可変開口部と、
前記ヘッド制御部に接触した状態で前記可変開口部間に設けられた金属部と、を有し、前
記キャリッジの移動により前記可変開口部から流入した空気を前記金属部にあてて冷却す
る空洞部と、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置であって、
前記キャリッジの進行方向前側に位置する前記可変開口部を前記一方側の可変開口部と
し、かつ、前記キャリッジの進行方向後側に位置する前記可変開口部を前記他方側の可変
開口部としたときに、
前記一方側の可変開口部は、前記他方側の可変開口部よりも開口の大きさを大きくする
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1又2に記載の液体吐出装置であって、
前記金属部は、アース接続されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の液体吐出装置であって、
前記キャリッジは、
ガイドレールに案内されて前記交差方向に移動するものであり、
前記ヘッド部は、
前記搬送方向において前記ガイドレールよりも下流側の第一側面部と、前記搬送方向に
おいて前記第一側面部よりも下流側の第二側面部とを有するヘッドケースを備えており、
前記空洞部は、前記ヘッドケースの前記第二側面部側に設けられたことを特徴とする液
体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206285(P2012−206285A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71855(P2011−71855)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】