説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】圧電アクチュエーターのショートを未然に防止することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】流路形成基板11の圧電アクチュエーター側の面の周縁部に、互いに近接して配された複数の検出電極131,132の一部である導通検出部130が設けられている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、
液体としてインクを噴射するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置
に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を噴射する液体噴射ヘッドの代表例であるインクジェット式記録ヘッドとしては、
例えば、ノズルに連通する圧力発生室と、圧力発生室に対向して設けられる圧電アクチュ
エーターと、を具備し、この圧電アクチュエーターの変位によって圧力発生室内に圧力変
化を生じさせることで、ノズルからインク滴を噴射するものがある。
【0003】
このようなインクジェット式記録ヘッドの構造は、様々提案されているが、一般的に、
複数の部材が接着剤等によって固定されてなる(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3402349号公報
【特許文献2】特開2005−219243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように複数の部材で構成されるインクジェット式記録ヘッドにおいては、インク流
路も複数の部材によって画成される。インク流路は、その形状が噴射特性に大きく影響す
るため、できるだけ高精度に形成されていることが好ましい。そこで近年では、ヘッドを
構成する各部材の材料としてシリコン基板を用い、このシリコン基板をエッチングするこ
とによって流路が形成されている。このようにヘッドの各部材の材料としてシリコン基板
を用いることで、インク流路を比較的高精度に形成することができる。
【0006】
しかしながら、流路内にシリコン基板の表面が露出されていると、その部分からインク
によってシリコン基板がエッチングされてしまう虞がある。そして、このようにシリコン
基板がエッチングされることで、例えば、圧電アクチュエーターの配線が露出されて圧電
アクチュエーターが短絡(ショート)する虞があり、またそれに伴って発煙が生じる虞も
ある。
【0007】
なお、このような問題はインクを噴射するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、
インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、圧電アクチュエーターのショー
トを未然に防止することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題
とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、液体を噴射するノズルに連通する複数の圧力発生室を備
える流路形成基板と、前記流路形成基板に、前記圧力発生室に対向して設けられる圧電ア
クチュエーターと、前記圧電アクチュエーターが収容される保持部を有し前記流路形成基
板に接合される保護基板と、を備え、前記保護基板がシリコン基板で形成されているとと
もに、前記流路形成基板の前記圧電アクチュエーター側の面の周縁部に、互いに近接して
配された複数の検出電極の一部である導通検出部が設けられていることを特徴とする液体
噴射ヘッドにある。
かかる本発明では、導通検出部の導通状態、すなわち複数の検出電極間の導通状態から
保護基板のエッチング状態を検出することができる。そして、この結果に基づいて圧電ア
クチュエーターのショートの発生を未然に防止することができる。
【0010】
ここで、複数の前記圧力発生室に連通するマニホールドが前記保護基板の外周部に設け
られ、前記導通検出部が前記マニホールドと前記保持部との間に設けられていることが好
ましい。これにより、流路内の液体による圧電アクチュエーターの短絡をより確実に防止
することができる。
【0011】
また前記マニホールドの内面の一部は、前記保護基板が露出された露出部からなり、前
記導通検出部が、前記露出部に隣接して設けられていることが好ましい。これにより、導
通検出部の導通状態に基づいて保護基板のエッチング状態をより正確に検出することがで
きる。
【0012】
また前記露出部の一部に、前記保護基板の一部を除去した凹部が設けられていることが
好ましい。これにより、保護基板のエッチングがこの凹部を起点として進行するため、導
通検出部によってより保護基板のエッチング状態をさらに確実に検出することができる。
【0013】
また本発明は、このような液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置に
ある。かかる本発明では、安全性や信頼性を向上した液体噴射装置を実現することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一実施形態に係る記録ヘッドを示す分解斜視図である。
【図2】一実施形態に係る記録ヘッドを示す断面図である。
【図3】一実施形態に係る記録ヘッドの電極パターンを示す平面図である。
【図4】一実施形態に係る記録ヘッドの製造方法の一例を示す断面図である。
【図5】一実施形態に係る記録ヘッドを示す拡大断面図である。
【図6】一実施形態に係る記録装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態に係る液体噴射ヘッドの一例であるイ
ンクジェット式記録ヘッド1は、ヘッド本体10と、ヘッド本体10が内部に収容される
ケース部材40とを備えている。本実施形態では、ヘッド本体10は、流路形成基板11
、ノズルプレート20及び保護基板30で構成されている。
【0016】
流路形成基板11には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設された列が2列形成
されている。また流路形成基板11の圧力発生室12の長手方向の一端側にはインク供給
路14が設けられている。この流路形成基板11は、シリコン基板、本実施形態では面方
位(110)のシリコン単結晶基板からなる。そして流路形成基板11の一方の面には二
酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。この弾性膜50は、例えば、拡散炉
等によって流路形成基板11を加熱して、その表面を熱酸化することによって形成される
。また圧力発生室12及びインク供給路14は、シリコン基板である流路形成基板11を
異方性エッチングすることによって形成されている。その結果、これら圧力発生室12及
びインク供給路14の一方面は弾性膜50によって構成されている。
【0017】
また流路形成基板11に形成された圧力発生室12等の液体流路の内壁表面(内面)に
は、耐インク性(耐液体性)を有する材料、例えば、酸化タンタル(TaO;アモルフ
ァス)からなる保護膜(図示なし)が設けられている。これにより、液体流路内にインク
を供給した際に、シリコン基板からなる流路形成基板11がインクによってエッチングさ
れるのを防止している。なおこのような保護膜の材料は、酸化タンタルに限定されず、使
用するインクのpH値によっては、例えば、酸化シリコン(SiO)、酸化ジルコニウ
ム(ZrO)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いてもよい。
【0018】
流路形成基板11の開口面側(弾性膜50とは反対側)には、各圧力発生室12に連通
する複数のノズル21が穿設されたノズルプレート20が接合されている。なおノズルプ
レートは、例えば、流路形成基板11と同様にシリコン基板からなり、ノズル21は異方
性エッチングによって形成されている。またノズルプレート20の表面には、例えば、熱
酸化等によって形成された二酸化シリコン膜からなる保護膜が形成されている。
【0019】
流路形成基板11に形成された弾性膜50上には、さらに弾性膜50とは異なる材料の
酸化膜からなる絶縁体膜55が形成されている。この絶縁体膜55上には、第1電極60
と圧電体層70と第2電極80とからなる圧電アクチュエーター(圧力発生手段)300
が設けられている。本実施形態では、第1電極60が複数の圧電アクチュエーター300
に共通して設けられ、第2電極80が各圧電アクチュエーター300で独立して設けられ
ている。第2電極80には、リード電極90の一端がそれぞれ接続されている。各リード
電極90の他端には、駆動回路120が設けられた配線基板121が接続されている。
【0020】
また流路形成基板11の周縁部には、図3に示すように、互いに接触しない程度に近接
して配された複数の検出電極の一部である導通検出部130が設けられている。本実施形
態では、圧力発生室12の並設方向において、流路形成基板11の中央部から一端側の周
縁部に第1の検出電極131が連続的に延設され、流路形成基板11の中央部から他端側
の周縁部に第2の検出電極132が連続的に延設されている。導通検出部130は、これ
ら第1の検出電極131及び第2の検出電極132の端部同士が近接して配されてなる。
つまり本実施形態では、流路形成基板11の外周部に、第1の検出電極131及び第2の
検出電極132の両端部同士がそれぞれ近接して配されてなる二つの導通検出部130を
備えている。
【0021】
そして、これら第1の検出電極131と第2の検出電極132との間には、導通検出部
130における第1の検出電極131と第2の検出電極132との導通状態を検出する検
出手段140が接続されている。すなわち検出手段140は、第1の検出電極131と第
2の検出電極132との間の抵抗値等に基づいて、両電極が導通されているか否かを判定
する。なお第1の検出電極131と第2の検出電極132とは、互いに接触しない程度に
近接して配されていることが好ましい。ただし、導通状態を検出することができる程度で
あれば、両電極の間隔は特に限定されるものではない。
【0022】
またこれら第1及び第2の検出電極131,132は、例えば、圧電アクチュエーター
300を構成する第1電極60と同一層で構成されている。第1及び第2の検出電極13
1,132は、図示は省略するが第1電極60及びリード電極90と共に配線基板121
に接続され、この配線基板121を介して検出手段140に接続されている。
【0023】
また流路形成基板11の圧電アクチュエーター300側の面には、流路形成基板11と
略同一の大きさを有する保護基板30が接着剤35によって接合されている。保護基板3
0は、圧電アクチュエーター300を保護するための空間である保持部31を有する。上
述した第1及び第2の検出電極131,132はこの保持部31内、或いは保護基板30
に対向する部分に形成されている。何れにしても第1及び第2の検出電極131,132
は、流路形成基板11と保護基板30とを接合するための接着剤35よりも内側に設けら
れている。
【0024】
また保護基板30には貫通孔32が設けられている。リード電極90の他端側は、この
貫通孔32内に露出するように延設され、リード電極90と配線基板121とが貫通孔3
2内で電気的に接続されている。なお保護基板30は、流路形成基板11の熱膨張率と略
同一の材料であるシリコン単結晶基板で形成されている。
【0025】
このような流路形成基板11、ノズルプレート20及び保護基板30で構成されるヘッ
ド本体10には、ヘッド本体10を収容するケース部材40が固定されている。このケー
ス部材40は、複数の圧力発生室12に連通するマニホールドをヘッド本体10と共に画
成するマニホールド部材を兼ねている。
【0026】
ケース部材40は、ヘッド本体10が収容される凹部41を有する。この凹部41は、
流路形成基板11よりも広い開口面積を有し、圧力発生室12の長手方向における流路形
成基板11の両外側には、ケース部材40とヘッド本体10とによってインクが貯留され
る空間であるマニホールド100が画成されている。すなわち凹部41内にヘッド本体1
0を収容することで、凹部41の開口面がノズルプレート20によって封止される。これ
により、圧力発生室12の長手方向における流路形成基板11の両外側にマニホールド1
00が形成され、インク供給路14を介して各圧力発生室12に接続される。
【0027】
なおケース部材40の凹部41の底面部分は、フィルム状の封止膜45が接合されてい
る。またケース部材40の凹部41の底面部分には、マニホールド100に対向する凹状
の空間部46が形成されている。これにより封止膜45の一部は、マニホールド100内
の圧力変化によって撓み変形可能な可撓部となっている。
【0028】
さらに、ケース部材40には、厚さ方向に貫通して、保護基板30の貫通孔32に連通
する接続口47が設けられている。この接続口47に挿通された配線基板121が、保護
基板30の貫通孔32内でリード電極90及び第1の検出電極131及び第2の検出電極
132に接続される。
【0029】
このような構成のインクジェット式記録ヘッド1では、インクを噴射する際に、まずイ
ンクカートリッジ等から導入路43を介してインクを取り込み、マニホールド100から
ノズル21に至るまで流路内部をインクで満たす。その後、駆動回路120からの信号に
従い、圧力発生室12に対応する各圧電アクチュエーター300に電圧を印加することに
より、圧電アクチュエーター300と共に弾性膜50及び絶縁体膜55をたわみ変形させ
る。これにより、圧力発生室12内の圧力が高まり所定のノズル21からインク滴が噴射
される。
【0030】
次に、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドの製造方法の一例について、図4を参
照して説明する。
【0031】
まず図4(a)に示すように、シリコンウエハーである流路形成基板用ウエハー211
上に弾性膜50及び絶縁体膜55を形成すると共に、絶縁体膜55上に第1電極60、圧
電体層70及び第2電極80を形成する。なお導通検出部130を構成する第1及び第2
の検出電極131,132は、第1電極60を成膜及びパターニングする際に同時に形成
する。さらに、各圧電アクチュエーター300の第2電極80に一端が接続されるリード
電極90を形成する。
【0032】
次に、図4(b)に示すように、流路形成基板用ウエハー211の圧電アクチュエータ
ー300側の面に、複数の保護基板30が一体的に形成されたシリコンウエハーである保
護基板用ウエハー230を接合する。なお保護基板用ウエハー230には、予め、保持部
31と貫通孔32とが形成されている。
【0033】
次いで、図4(c)に示すように、流路形成基板用ウエハー211を研磨等することに
より所定の厚さに加工する。次いで、流路形成基板用ウエハー211を、KOH等のアル
カリ溶液によって異方性エッチングすることにより、図4(d)に示すように、流路形成
基板用ウエハー211に圧力発生室12及びインク供給路14を形成する。また、これら
圧力発生室12及びインク供給路14を含む液体流路の内面を構成する部分に、例えば、
酸化タンタル等からなる保護膜15を形成する。次に図4(e)に示すように、流路形成
基板用ウエハー211及び保護基板用ウエハー230を複数の流路形成基板11及び保護
基板30に分割する。
【0034】
その後、流路形成基板11にノズルプレート20を接合してヘッド本体10を形成し、
このヘッド本体10をケース部材40の凹部41内に収容して固定する。さらに配線基板
121を、第1電極60、第2電極80、第1の検出電極131及び第2の検出電極13
2に接続して固定することで、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1が形成される
(図2参照)。
【0035】
このような方法により製造されたインクジェット式記録ヘッド1においては、シリコン
基板からなる保護基板30の表面(端面)がマニホールド100内に露出される。このた
め、マニホールド100内に供給されるインクによって保護基板30が徐々にエッチング
されてしまう。長期の使用によっては、保持部31がマニホールド100と連通されてし
まい、インクによって圧電アクチュエーター300がショートする虞がある。すなわち第
1電極60と第2電極80とがインクによって短絡する虞がある。またそれに伴って発煙
が生じる虞もある。
【0036】
しかしながら本発明では、流路形成基板11の外周部、具体的には、各マニホールド1
00と保持部31との間のそれぞれに、導通検出部130が設けられている。このため、
インクによる圧電アクチュエーター300のショート等を未然に防止することができる。
【0037】
例えば、図5に示すように、保護基板30がエッチングされてマニホールド100の壁
面が後退し、導通検出部130の第1及び第2の検出電極131,132が露出されると
、インクを介して第1の検出電極131と第2の検出電極132とが導通される。検出手
段140の検出結果に基づいて、これら第1の検出電極131と第2の検出電極132と
が導通していることが確認されると、ユーザーに対してインクジェット式記録ヘッド1の
使用中止、あるいはヘッド1の交換等を促す。これにより、圧電アクチュエーター300
のショートや、それに伴う発煙を未然に防止することができる。
【0038】
ここでマニホールド100に露出されている保護基板30の端面に、例えば、凹部或い
は凸部を導通検出部130に対応する位置に設けてもよい。この場合、インクによる保護
基板30の端面のエッチングは、この凹部又は凸部が起点となる。したがって導通検出部
130の導通状態に基づいて、圧電アクチュエーターのショート等の故障をより確実に未
然に防止することができる。
【0039】
なお、マニホールド100の内面を構成する保護基板の表面に、圧力発生室等と同様に
保護膜を形成することができれば、上述の圧電アクチュエーター300のショートといっ
た問題の発生を防止することができる。しかしながら、保護基板用ウエハー230を複数
の保護基板30に切断した後に、保護基板30の端面に保護膜を形成することは難しい。
したがって本願発明は、上述した構造のインクジェット式記録ヘッド1においては特に有
効なものである。
【0040】
このように保護基板30の端面に保護膜を形成することができる場合、保護基板30の
表面がマニホールド100内に露出される露出部を積極的に設けると共に、この露出部に
隣接して上述した導通検出部130を設けるようにしてもよい。そして導通検出部130
の導通状態からヘッドの寿命を判定するようにしてもよい。この場合にも、ヘッドの故障
を未然に防止することができる。
【0041】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるも
のではない。
【0042】
また上述の実施形態では、圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段として、薄
膜型の圧電アクチュエーターを例示したが、圧力発生手段の構成は特に限定されるもので
はない。圧力発生手段は、例えば、縦振動型の圧電アクチュエーターや、グリーンシート
を貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電アクチュエーターなどであってもよい
。さらに圧力発生手段は、例えば、圧力発生室内に配された発熱素子の発熱で生じるバブ
ルによってノズルから液滴を噴射させるものや、振動板と電極との間に発生させた静電気
力によって振動板を変形させてノズルから液滴を噴射させるものなどであってもよい。
【0043】
なお上述したインクジェット式記録ヘッドは、インクジェット式記録ヘッドユニットの
一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図6は、そのインクジェット
式記録装置の一例を示す概略図である。
【0044】
本実施形態のインクジェット式記録装置は、いわゆるライン式の装置である。図6に示
すように、インクジェット式記録装置Iは、インクジェット式記録ヘッド1を具備するイ
ンクジェット式記録ヘッドユニット2(以下、ヘッドユニット2という)と、装置本体3
と、被記録媒体である記録シートSを給紙するローラー4と、液体貯留手段5とを備えて
いる。
【0045】
ヘッドユニット2は、複数のインクジェット式記録ヘッド1と、これら複数のインクジ
ェット式記録ヘッド1を保持する板状のベースプレート6と、を具備する。このヘッドユ
ニット2は、ベースプレート6に取り付けられたフレーム部材7を介して装置本体3に固
定されている。
【0046】
ローラー4は、装置本体3に設けられ、装置本体3に給紙されインクジェット式記録ヘ
ッド1のノズル面側を通過した紙等の記録シートSを搬送して装置外部に排出させる。
【0047】
またインクが貯留されている液体貯留手段5は装置本体3に固定されており、フレキシ
ブルチューブ等の供給管8を介して各インクジェット式記録ヘッド1に接続されている。
【0048】
このようなインクジェット式記録装置Iでは、液体貯留手段5から供給管8を介して各
インクジェット式記録ヘッド1に供給され、ローラー4によって記録シートSが搬送され
ると、ヘッドユニット2のインクジェット式記録ヘッド1からインクが噴射されて記録シ
ートSに画像等が印刷される。
【0049】
なおこの例では、インクジェット式記録装置にはヘッドユニット2を一つだけ搭載され
ているが、インクジェット式記録装置Iに搭載するヘッドユニット2の数は特に限定され
ず、ヘッドユニット2は複数設けられていてもよい。
【0050】
またインクジェット式記録装置として、いわゆるライン式のものを例示したが、インク
ジェット式記録装置は、勿論、これに限定されるものではない。例えば、キャリッジに搭
載されたインクジェット式記録ヘッドを移動させながら印刷を行う、いわゆるシリアル型
のインクジェット式記録装置にも本発明を適用することができる。この場合、液体貯留手
段はインクジェット式記録ヘッドと共にキャリッジに搭載されていてもよい。
【0051】
さらに上述の実施形態では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッド
を挙げて本発明について説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド及びそれを具備する液
体射装置全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッド及び
それを具備する液体噴射装置にも勿論適用することができる。液体噴射ヘッドとしては、
例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレイ
等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FE
D(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオch
ip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
【符号の説明】
【0052】
1 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 2 インクジェット式記録ヘ
ッドユニット、 3 装置本体、 4 ローラー、 5 液体貯留手段、 6 ベースプ
レート、 7 フレーム部材、 8 供給管、 10 ヘッド本体、 11 流路形成基
板、 12 圧力発生室、 14 インク供給路、 15 保護膜、 20 ノズルプレ
ート、 21 ノズル、 30 保護基板、 31 保持部、 32 貫通孔、 40
ケース部材、 41 凹部、 43 導入路、 50 弾性膜、 55 絶縁体膜、 6
0 第1電極、 70 圧電体層、 80 第2電極、 90 リード電極、 100
マニホールド、 120 駆動回路、 121 配線基板、 130 導通検出部、 1
31 第1の検出電極、 132 第2の検出電極、 140 検出手段、 211 流
路形成基板用ウエハー、 230 保護基板用ウエハー、 300 圧電アクチュエータ
ー、 I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 S 記録シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルに連通する複数の圧力発生室を備える流路形成基板と、
前記流路形成基板に、前記圧力発生室に対向して設けられる圧電アクチュエーターと、
前記圧電アクチュエーターが収容される保持部を有し前記流路形成基板に接合される保
護基板と、を備え、
前記保護基板がシリコン基板で形成されているとともに、
前記流路形成基板の前記圧電アクチュエーター側の面の周縁部に、互いに近接して配さ
れた複数の検出電極の一部である導通検出部が設けられていることを特徴とする液体噴射
ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドであって、
複数の前記圧力発生室に連通するマニホールドが前記保護基板の外周部に設けられ、
前記導通検出部が前記マニホールドと前記保持部との間に設けられていることを特徴と
する液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射ヘッドであって、
前記マニホールドの内面の一部は、前記保護基板が露出された露出部からなり、
前記導通検出部が、前記露出部に隣接して設けられていることを特徴とする液体噴射ヘ
ッド。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射ヘッドであって、
前記露出部の一部に、前記保護基板の一部を除去した凹部が設けられていることを特徴
とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴
射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−206361(P2012−206361A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73563(P2011−73563)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】