液体噴射用ノズル
【課題】 低粘度の液体から高粘度の液体まで、充分に拡散噴射させ、かつ広範な領域を欠けることなく散布できる液体噴射用ノズルを提供する。
【解決手段】 液体噴射用ノズル10は、ノズル口11に連なるように形成されて液体が圧送される中央孔12を有し、該中央孔12の液体圧送方向途中にオリフィス部13が形成されるノズル本体14と、ノズル本体14の内方から外方へ延びてオリフィス部13を挿通するように設けられ、ノズル本体14の軸線15に対して垂直な方向に広がるフランジ部16およびフランジ部16に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有する導流部17を備えるノズル軸体18とを含んで構成される。
【解決手段】 液体噴射用ノズル10は、ノズル口11に連なるように形成されて液体が圧送される中央孔12を有し、該中央孔12の液体圧送方向途中にオリフィス部13が形成されるノズル本体14と、ノズル本体14の内方から外方へ延びてオリフィス部13を挿通するように設けられ、ノズル本体14の軸線15に対して垂直な方向に広がるフランジ部16およびフランジ部16に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有する導流部17を備えるノズル軸体18とを含んで構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体特に水よりも粘度が高い液体を噴射するのに適する液体噴射用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
液体をノズル口から噴射する液体噴射用ノズルは、塗装、消火などの分野において多用されている。塗装、消火いずれの分野においても、ノズル口から噴射される塗料または消火薬剤などの液体が、広い面積をカバーして散布されることが、効率的な塗布および消火の観点から好ましい。
【0003】
特に火災の消火という観点では、短時間の間に消火薬剤を効率的に噴射散布して類焼を防ぐことが必要であり、また多量の消火薬剤の使用が見込めず貯留している少量の消火薬剤の消費で対応せざるを得ないような場合、たとえば移動用車両の火災、消防自動車や屋外の消火栓からの放水が届かないような高層ビル内のオフィス火災などでは、消火能力の高い少量の薬剤を効率的に噴射散布して鎮火させることが要求される。
【0004】
このような要求に対して、消火能力が高い薬剤として、水にポリマーを含有させたポリマー水が提案されている。ポリマー水は、温度が上昇すると増粘ゲル化を起し、燃焼物表面に粘着、滞留する性質を有し、少量の使用で高い消火能力を発揮する。
【0005】
しかしながら、ポリマー水は、水に比べて粘度がおおよそ数倍〜数十倍高いので、液体が圧送される中央孔が単純なストレート形状に形成される液体噴射ノズルでポリマー水を噴射しても棒状噴射されるのみである。
【0006】
さらに図10に示すような液体が圧送される中央孔1が、ノズル口手前でその液体流路が90度曲げられて形成される液体噴射ノズル2で、旋回流を使用して拡散させるように噴射しても、ポリマー水のような高粘度の液体では、ポリマー水が単に棒状に噴射されるのみであり、たとえばノズル口から約2.3m離隔した位置におけるポリマー水の散布領域3は、たかだかφ600mm程度であり、広範囲に拡散させることができないという問題がある。
【0007】
このような粘度が高い液体であっても拡散させて噴射することのできる液体噴射用ノズルとして、拡散板を備えるノズルが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。図11は、従来技術における拡散板4を備えるノズル5の構成を簡略化して示す断面図である。特許文献1に開示される従来技術のノズル5では、ノズル口にノズル5の軸線6に対してほぼ垂直方向に広がるようにして、噴霧液と空気とを拡散させる拡散板4が設けられる。
【0008】
従来技術のノズル5では、噴霧液と空気との2流体を用いるとともに、ノズル口から噴射される流体が拡散板4にあたって軸線6に対してほぼ垂直方向に拡散されるので、粘度の高い液体であっても充分に拡散させることが可能である。しかしながら、従来技術のノズル5は、たとえば化学反応槽の補修用釉薬を、ノズルを正対させて塗装することができないような化学反応槽の狭隘部に塗装することに用いられるものである。すなわち、ノズル5は、内部が狭隘な管部などに挿入し、軸線6の方向に進退させることによって、軸線6に対する垂直方向に在る管部の内壁などに対して塗装するには好適である。しかしながら、ノズル5をたとえば消火に用いる場合、消火対象物に対してノズル5から液体を噴射させたとしても、拡散板4によって軸線6に対して垂直な方向に液体が拡散して散布領域の形状が円環状になるので、円環の中央部分にあたる消火対象物には散布されず、消火効力を発揮することができないという問題がある。また従来技術のノズル5では、噴霧液と空気とのような2流体を用いなければ充分に拡散させることができないという問題もある。
【0009】
したがって、たとえばポリマー水のような消火能力に優れる高粘度の液体を、2流体を用いることなく充分に拡散させることができ、かつ広範な領域を欠けることなく散布することができる液体噴射用ノズルが希求されている。
【0010】
【特許文献1】特開2000−84440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、簡単な構造で、低粘度の液体から高粘度の液体まで、充分に拡散噴射させ、かつ広範な領域を欠けることなく散布することのできる液体噴射用ノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、液体をノズル口から噴射する液体噴射用ノズルにおいて、
ノズル口に連なるように形成され液体が圧送される中央孔を有し、該中央孔の液体圧送方向途中にオリフィス部が形成されるノズル本体と、
ノズル本体の内方から外方へ延びてオリフィス部を挿通するように設けられるノズル軸体であって、ノズル本体の軸線に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部およびフランジ部に連なり端部に向って縮閉する円錐台状の傾斜面または半球状の曲面を有するように形成される導流部を備えるノズル軸体とを含むことを特徴とする液体噴射用ノズルである。
【0013】
また本発明は、ノズル軸体とノズル本体のオリフィス部とは、
軸線方向における相対位置が可変に設けられることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、ノズル軸体には、フランジ部と導流部との間に、端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面が形成されることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、ノズル口から噴射する液体が、水の粘度以上、ポリマーを含有する液体の粘度以下の粘度を有する液体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズル本体のオリフィス部を挿通して設けられるノズル軸体には、軸線に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部と、フランジ部に連なり端部に向って縮閉する円錐台状の傾斜面または半球状の曲面を有するように形成される導流部とが備えられる。このように噴射される液体を、フランジ部で拡散するとともに導流部で案内するという簡単な構成によって、高い粘度を有する液体であっても、円環のような欠ける領域を生じることなく、また2流体を用いることなく、広範囲の領域に拡散噴射させることができる。
【0017】
さらに、粘度の高い液体がたとえば消火薬剤であるとき、消火能力に優れる薬剤を広範な領域に欠けることなく充分に拡散噴射することができるので、少量の薬剤で効果的な消火を実現することが可能になる。
【0018】
また本発明によれば、ノズル軸体とノズル本体のオリフィス部とは、軸線方向における相対位置が可変に設けられるので、オリフィス部とノズル軸体の各部との相対位置を自在に変化させることができる。このことによって、オリフィス部とフランジ部との軸線方向位置を一致させて液体の拡散を抑制して遠方へ噴射することができ、またオリフィス部とノズル軸体のフランジ部よりも液体圧送方向上流側における細径部との相対位置を一致させて液体を充分に拡散させて近距離域に噴射することもできる。
【0019】
また本発明によれば、ノズル軸体には、フランジ部と導流部との間に、端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面が形成されるので、フランジ部に沿って流過した液体をも拡散させることができる。
【0020】
また本発明によれば、液体が、水の粘度以上、ポリマーを含有する液体の粘度以下の粘度を有する液体であるので、低粘度の水から粘度が水よりも高く消火能力に優れるポリマー水のような薬剤まで、広範囲の粘度を有する液体の噴射に好適な液体噴射用ノズル、すなわち消火用ノズルが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施の第1形態である液体噴射用ノズル10の構成を簡略化して示す分解断面図であり、図2は図1に示す液体噴射用ノズル10の組立断面図である。
【0022】
液体噴射用ノズル10は、ノズル口11に連なるように形成され液体が圧送される中央孔12を有し、該中央孔12の液体圧送方向途中にオリフィス部13が形成されるノズル本体14と、ノズル本体14の内方から外方へ延びてオリフィス部13を挿通するように設けられ、ノズル本体14の軸線15に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部16およびフランジ部16に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有するように形成される導流部17を備えるノズル軸体18とを含む。
【0023】
このような液体噴射用ノズル10は、たとえば消火薬剤、塗料、農薬などの液体をノズル口11から噴射し、散布または塗布することに用いられる。
【0024】
ノズル本体14は、大略円筒状の金属製たとえば黄銅またはステンレス鋼などからなる部材である。ノズル本体14の一方の端部には、液体の噴射口であるノズル口11が形成され、軸線15方向にノズル本体14を貫通し、ノズル口11に連なるように中央孔12が形成される。中央孔12には、矢符21にて示す液体の圧送方向途中に液体の流路断面積を絞るオリフィス部13が形成される。中央孔12には、ノズル口11付近の液体圧送方向上流側で、一旦液体の流路断面積が縮閉するように円錐台状の傾斜面を有するオリフィス傾斜面22が形成され、該オリフィス傾斜面22がオリフィス部13に連なる。オリフィス部13の液体圧送方向下流側には、ノズル本体14の外方側に向って拡開するように円錐台状の傾斜面を有するノズル口11が形成される。
【0025】
ノズル軸体18は、金属製であり、たとえば黄銅またはステンレス鋼などで形成され、円柱状の軸基体部23と、軸基体部23にその一方の底面から突出するように装着される軸棒部24とを含む。
【0026】
図1(a)は、ノズル軸体18を軸基体部23の他方の底面側から見た図であり、図1(b)は、ノズル軸体18の側面から見た部分断面図である。軸基体部23は、円柱の高さ方向に貫いて5つの孔が形成される。1つの孔は、軸基体部23の円柱軸心部に形成され、この孔には軸棒部24が装着されるので装着孔25と呼ぶ。この装着孔25の内壁には、めねじが刻設される。装着孔25の周囲には、均等間隔で4つの同一形状の貫通孔が形成され、該貫通孔は噴射されるべき液体が流過するので流過孔26と呼ぶ。
【0027】
軸棒部24には、細径部31と、細径部31の液体圧送方向下流側の一方の端部に上記の軸線15に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部16と、フランジ部16に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有する導流部17とが形成される。また軸棒部24の液体圧送方向上流側の他端部には、おねじが刻設され、該おねじ部が軸基体部23の装着孔25のめねじ部に螺合されることによって、軸棒部24が軸基体部23に着脱自在に装着され、ノズル軸体18を構成する。
【0028】
ノズル軸体18は、軸棒部24を液体圧送方向下流側に向けてノズル本体14の中央孔12中へ圧入され、軸基体部23が、中央孔12のオリフィス部13よりも液体圧送方向上流側に形成される段差部27に当接する位置に装着される。このとき、ノズル軸体18の軸棒部24は、オリフィス部13を、ノズル本体14の内方から外方に延びて挿通し、フランジ部16と導流部17とが、ノズル本体14の外方に位置するように設けられる。
【0029】
このような液体噴射用ノズル10によれば、高い粘度を有する液体であっても、円環のような欠ける領域を生じることなく、また2流体を用いることなく、広範囲の領域に拡散噴射させることができる。
【0030】
図3は、液体噴射用ノズル10における液体噴射の概要を説明する図である。図3を参照して、液体噴射用ノズル10における液体噴射について説明する。
【0031】
液体の供給源から圧送されてノズル本体14の中央孔12に流入した液体は、軸基体部23の流過孔26を流過し、さらにオリフィス部13と軸棒部24の細径部31とによって形成される間隙を矢符28の方向に流過してノズル口11から外方に噴射される。外方に噴射された液体は、細径部31に沿って流れ、軸線15に対する垂直方向に突出して形成されるフランジ部16に衝突する。フランジ部16に衝突した矢符28で示す液体の流れは、フランジ16に衝突することによって拡散される。この拡散方向は、矢符28で示す液体の流れの細径部31表面からの離隔距離に伴って異なる。すなわち、図3(b)に拡大して示すように、最も細径部31表面に近い位置の流れ28aは、軸線15に対してほぼ垂直方向29aに拡散され、フランジ部16のエッジ部に衝突する流れ28cは、フランジ部16に対して大きい角度を有する方向29cに拡散され、流れ28aと流れ28cとの中間位置の流れ28bは、先の軸線15に対する垂直方向29aとフランジ部16に対して大きい角度を有する方向29cとの中間方向29bに拡散される。このように、高い粘度を有する液体であっても、液体噴射用ノズル10では、フランジ部16が形成されることによって、広範な方向に均一に拡散される。
【0032】
本発明の液体噴射用ノズル10のさらなる特徴は、フランジ部16に連なって形成される導流部17にある。導流部17が形成されていることによって、細径部31に沿って流れる液体は、フランジ部16に衝突して前記の矢符29a,29b,29c方向へ拡散するとともに、導流部17に沿う矢符30方向の流れも形成される。特に粘度の高い液体の場合、その粘性による導流部17に対する付着力の作用によって、一層導流部17の表面に沿うような流れが形成され易くなる。このことによって、液体噴射用ノズル10から噴射される液体は、広範囲に充分拡散されるとともに、散布領域の中央部にももれなく散布されるので、円環状の欠損部を生じることのない散布領域を形成することができる。
【0033】
噴射する液体として、ポリマーを含有する水である消火薬剤について例示すると以下のようである。本実施の形態では、ポリマーを含有する水として、ポリマーを界面活性剤によって水中に分散させたエマルジョンが用いられる。ポリマーの含有量は、ポリマー水全体に対して0.1重量%である。ポリマー含有水の粘度は、30℃で約5.0mPa・sであり、水のみの粘度30℃で約0.8mPa・sに比べて、約6倍程度高い。
【0034】
このようなポリマー水を、液体噴射用ノズル10から、約0.7MPaの圧力で噴射させるとき、ノズル口11から約2.3m離隔した位置におけるポリマー水の散布領域32は、図4に示すようにφ2,500mmにも及び、かつ円形状であり、中央部の欠損領域を生じることが無い。
【0035】
上記のポリマー水を一般的なノズルで図4に示すような広範囲に拡散させるには、4〜10MPaもの圧力を必要とするけれども、本実施形態の液体噴射用ノズル10によれば、上記のように小さな圧力で広範囲に拡散噴射させることが可能になるので、操作が容易であるとともに、ノズルを固定使用する場合、ノズル保持部材の構造の簡素化を実現することができる。
【0036】
さらに、0.2m2の開口部を有するオイルパンに燃焼物として500mL(ミリリットル)のn−ヘプタンを投入し、着火させた模擬火災に対して、ポリマー含有水を液体噴射用ノズル10で噴射散布して消火実験を行ったところ、わずか9L/minの流量で約15秒程度で鎮火させることができた。消火能力が高いポリマー水を、液体噴射用ノズル10で広範囲に拡散させて噴射することができるので、少量の消火薬剤で効率的な消火が実現されたものである。
【0037】
このように、液体噴射用ノズル10は、消火薬剤を広範囲に拡散噴射させることによって、少量の消火薬剤の使用で効果的に消火することを可能にするので、大量の消火薬剤を用いることができず、少量の貯留消火薬剤で火災に対処しなければならない、たとえば移動用車両、高層ビル内のオフィスなどにおける消火設備末端の消火薬剤噴射用ノズルとして好適に用いることができる。また、消火薬剤の大量使用による家財等の損傷を軽減する意味から、一般家屋のスプリンクラーノズル、駐車場などの泡消火設備用ノズルとしても有用である。
【0038】
図5は本発明の実施の第2形態である液体噴射用ノズル40の構成を簡略化して示す分解断面図であり、図6は図5に示す液体噴射用ノズル40の拡散時の組立断面図である。本実施の形態の液体噴射用ノズル40は、実施の第1形態の液体噴射用ノズル10に類似し対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施の形態の液体噴射用ノズル40において注目すべきは、ノズル軸体41とノズル本体42のオリフィス部13とは、軸線15方向における相対位置が可変に設けられることである。
【0040】
ノズル本体42は、実施の第1形態のノズル本体14と同様に、大略円筒状の金属製たとえば黄銅またはステンレス鋼などからなる部材である。以下実施の第1形態のノズル本体14との相違点についてのみ説明する。ノズル口11の周辺部から外方へ突出し、ノズル口11を周回するようにしてカバー部43が形成される。また中央孔12の内壁には、軸線15方向のほぼ中央部よりも液体圧送方向上流側にめねじが刻設されて内ねじ部44が形成される。またノズル本体42の軸線15方向の他端部付近には、ノズル本体42の外面から中央孔12に向けて貫通する固定孔45が、対向する位置に2つ形成される。固定孔45は、その内壁部にめねじが刻設され、後述する止めねじ62が螺合される。
【0041】
図5(a)には、ノズル軸体41を示す。ノズル軸体41の軸基体部23は、実施の第1形態の軸基体部23と同一に形成される。ノズル軸体41の軸棒部46は、細径部31と、液体圧送方向下流側の一方の端部に軸線15に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部47と、フランジ部47に連なり端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面から成る緩拡散部48と、緩拡散部48に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有する導流部17とが形成される。
【0042】
本実施形態の軸棒部46に形成されるフランジ部47の軸線15方向の長さは、実施の第1形態の軸棒部24に形成されるフランジ部16の軸線15方向の長さよりも長く形成される。本実施形態の液体噴射用ノズル40では、ノズル本体42とノズル軸体41との軸線15方向の相対位置が可変に構成されるので、オリフィス部13に対する軸棒部46の相対位置を変化させたとき、容易にオリフィス部13とフランジ部47との軸線15方向位置を一致させることができるように、フランジ部47の長さが長く形成される。
【0043】
フランジ部47に連なる緩拡散部48は、フランジ部47が軸線15方向に長く形成されるので、フランジ部47に沿う液体の流れを、さらに拡散することができるように形成される。ただし、軸線15に対する垂直方向に広がるように形成すると、後述する遠投時に、液体を遠い距離にまで噴射することを抑制することになるので、軸線15に対して傾斜面を有する程度に形成される。
【0044】
また軸棒部46の液体圧送方向上流側の他端部にはおねじが刻設され、軸基体部23に螺合装着されることは、実施の第1形態と同じである。
【0045】
本実施の形態の液体噴射用ノズル40では、ノズル軸体41が、直接ノズル本体42に装着されるのではなく、軸体保持部材51に装着される。軸体保持部材51も、大略円筒状の形状を有し、金属製たとえば黄銅またはステンレス鋼などから成る部材である。
【0046】
軸体保持部材51には、軸線15方向に貫通して保持孔52が形成される。保持孔52には、液体の圧送方向に向って、軸線15に対する垂直断面における断面積が減少するように3つの第1〜第3段差部53,54,55が形成される。ノズル軸体41は、保持孔52内へ挿入され、軸基体部23が第2段差部54に当接するようにして圧入される。このとき、ノズル軸体41は、その軸棒部46が、軸体保持部材51の保持孔52を挿通し、内方から外方へ突き出るようにして、軸体保持部材51に装着保持される。
【0047】
軸体保持部材51の外周には、一端部付近にその肉厚を減少させるように環状の凹所56が形成される。この環状凹所56には、パッキングとしてオー(O)リング58が嵌められ、軸体保持部材51がノズル本体42に装着された際、軸体保持部材51とノズル本体42との間隙から液体が漏出することを防止する。
【0048】
軸体保持部材51の軸線15方向のほぼ中央部には、フランジ状に第1環状突出部59が形成される。第1環状突出部59には、おねじが刻設され、外ねじ部60が形成される。この第1環状突出部59は、その外径が、ノズル本体42の中央孔12の内ねじ部44の内径に合致するように形成される。
【0049】
軸体保持部材51の液体圧送方向下流側には、フランジ状に第2環状突出部61が形成される。第2環状突出部61は、そのフランジ状部分の外径が、ノズル本体42の他方側の端面42aに当接することができる寸法に形成される。すなわち、第2環状突出部61は、軸体保持部材51に対して軸線15方向に相対移動するノズル本体42の液体圧送方向上流側への移動限界を規定するストッパとして作用する。
【0050】
ノズル軸体41が圧入された軸体保持部材51の第1環状突出部59に形成された外ねじ部60を、ノズル本体42の中央孔12に形成された内ねじ部44に螺合させることによって、軸体保持部材51、ひいてはノズル軸体41をノズル本体42に装着することができる。
【0051】
ノズル軸体41は軸体保持部材51に固着されるので、両者の相対位置関係は不変であるけれども、軸体保持部材51とノズル本体42とは、外ねじ部60と内ねじ部44とで螺合されているのみであるので、ノズル本体42を軸線15まわりに回転させることによって、ノズル本体42が軸線15方向に進退することができる。すなわちノズル本体42と軸体保持部材51との相対位置、さらにはノズル本体42とノズル軸体41との相対位置を変化させることができる。このことによって、ノズル本体42のオリフィス部13に対するノズル軸体41の軸棒部46の相対位置を変化させることが可能になる。
【0052】
なお、ノズル本体42とノズル軸体41との相対位置が定まり、位置決めされた状態は、止めねじ62を固定孔45に螺合させて締付けることによって固定することができる。
【0053】
先の図6に示す拡散時におけるノズル本体42とノズル軸体41の相対位置は、以下のようである。拡散時には、ノズル本体42は、軸体保持部材51の第2環状突出部61に当接する位置に達するまで締められる。このとき、オリフィス部13と軸棒部46との相対位置は、軸棒部46の細径部31がオリフィス部13に一致する。
【0054】
図7は、液体噴射用ノズル40の拡散時における液体噴射の概要を説明する図である。図7を参照して、液体噴射用ノズル40における拡散時の液体噴射について説明する。
【0055】
液体の供給源から圧送されて軸体保持部材51の保持孔52に流入した液体は、軸基体部23の流過孔26を流過して同じく保持孔52内を圧送され、さらにオリフィス部13と軸棒部46の細径部31とによって形成される間隙を矢符65の方向に流過してノズル口11から外方に噴射される。外方に噴射された液体は、フランジ部47に衝突し、矢符66a,66b,66cで示す広範な方向へ拡散されるとともに、フランジ部47の軸線15方向に平行な側面に沿った矢符67方向にも流れる。液体の矢符67方向の流れは、さらに緩拡散部48で若干軸線15に対して傾斜角度を有するように矢符68方向に拡散されるとともに、導流部17に沿う矢符69方向の流れも形成されて噴射される。
【0056】
したがって、図6および図7に示す拡散時には、実施の第1形態の液体噴射用ノズル10と同様に、比較的近距離の噴射対象に対して、充分に拡散された広範囲の散布領域を形成するように噴射される。
【0057】
図8は図5に示す液体噴射用ノズル40の遠投時の組立断面図であり、図9は液体噴射用ノズル40の遠投時における液体噴射の概要を説明する図である。ここで遠投とは、散布領域の面積が若干減少することを容認したうえで、液体を遠くまで噴射させることを意味する。
【0058】
遠投時には、ノズル本体42は、外ねじ部60と内ねじ部44との螺合が緩められて液体圧送方向下流側へ移動し、オリフィス部13と軸棒部46のフランジ部47とが一致するように位置決めされる。本実施形態の液体噴射用ノズル40では、フランジ部47の軸線15方向の長さを長く形成してあるので、オリフィス部13をフランジ部47に対して容易に一致させることができる。
【0059】
図9を参照して、液体噴射用ノズル40における遠投時の液体噴射について説明する。液体の供給源から圧送されて軸体保持部材51の保持孔52に流入した液体は、軸基体部23の流過孔26を流過して同じく保持孔52内を圧送され、さらにノズル本体42の中央孔12を経て、オリフィス部13と軸棒部46のフランジ部47とによって形成される間隙を矢符71の方向に流過してノズル口11から外方に噴射される。
【0060】
遠投時には、フランジ部47の張出し部分が中央孔12内に位置するので、噴射される液体が、フランジ部47によって軸線15に対する垂直方向へ拡散されることがない。ノズル口11から噴射されてフランジ部47の軸線15方向に平行な側面に沿う矢符71方向の流れは、緩拡散部48で若干軸線15に対して傾斜角度を有するように矢符72方向に拡散されるとともに、導流部17に沿う矢符73方向の流れも形成されて噴射される。
【0061】
このように遠投時のノズル本体42とノズル軸体41との配置では、噴射される液体のエネルギが、拡散に大きく費やされることがないので、噴射される液体が遠方にまで到達することができる。なお、液体噴射用ノズル40は、緩拡散部48を有するので、単純なストレート形状のノズルによって液体が噴射される場合に比べると、より広範囲の散布領域を形成することができる。
【0062】
このように本実施形態の液体噴射用ノズル40では、ノズル本体42を軸線15まわりに回転させるという簡単な操作で、比較的近距離において充分な散布領域が得られるように拡散を重視した噴射と、散布領域は若干狭まるけれども比較的遠距離まで到達させる遠投を重視した噴射とを切換え使用することができる。さらに実施の第1形態の液体噴射用ノズル10と同じく、液体噴射用ノズル40は、粘度が高く消火能力が高い消火薬剤の使用に適するので、少量の消火薬剤を、消火対象との距離、出火原因などに応じて効果的に噴射散布することができる。たとえば、消火用のハンドガンに本液体噴射用ノズル40を装着し、該ハンドガンをたとえば加圧手段を備える携帯式の消火薬剤収納容器に接続することによって、軽装備での消火活動が可能になるので、消火栓または消防自動車などに拘束されずに消火活動することが要求される高速道路のレスキュー隊、工場内で初期消火活動に従事する消防隊などに好適に用いることができる。
【0063】
以上に述べたように、本実施の形態では、液体噴射用ノズル40において、ノズル軸体41が軸体保持部材51に装着され、軸体保持部材51がさらにノズル本体42に装着される構成であるけれども、これに限定されることなく、軸体保持部材51を含まないように構成されてもよい。たとえばノズル軸体がハンドガンに直接固定して装着され、ノズル本体がハンドガンとの間で進退できるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の第1形態である液体噴射用ノズル10の構成を簡略化して示す分解断面図である。
【図2】図1に示す液体噴射用ノズル10の組立断面図である。
【図3】液体噴射用ノズル10における液体噴射の概要を説明する図である。
【図4】液体噴射用ノズル10による散布領域31を例示する図である。
【図5】本発明の実施の第2形態である液体噴射用ノズル40の構成を簡略化して示す分解断面図である。
【図6】図5に示す液体噴射用ノズル40の拡散時の組立断面図である。
【図7】液体噴射用ノズル40の拡散時における液体噴射の概要を説明する図である。
【図8】図5に示す液体噴射用ノズル40の遠投時の組立断面図である。
【図9】液体噴射用ノズル40の遠投時における液体噴射の概要を説明する図である。
【図10】従来技術の液体噴射ノズル2の構成と液体の散布領域3とを示す図である。
【図11】従来技術における拡散板4を備えるノズル5の構成を簡略化して示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
10,40 液体噴射用ノズル
11 ノズル口
12 中央孔
13 オリフィス部
14,42 ノズル本体
15 軸線
16,47 フランジ部
17 導流部
18,41 ノズル軸体
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体特に水よりも粘度が高い液体を噴射するのに適する液体噴射用ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
液体をノズル口から噴射する液体噴射用ノズルは、塗装、消火などの分野において多用されている。塗装、消火いずれの分野においても、ノズル口から噴射される塗料または消火薬剤などの液体が、広い面積をカバーして散布されることが、効率的な塗布および消火の観点から好ましい。
【0003】
特に火災の消火という観点では、短時間の間に消火薬剤を効率的に噴射散布して類焼を防ぐことが必要であり、また多量の消火薬剤の使用が見込めず貯留している少量の消火薬剤の消費で対応せざるを得ないような場合、たとえば移動用車両の火災、消防自動車や屋外の消火栓からの放水が届かないような高層ビル内のオフィス火災などでは、消火能力の高い少量の薬剤を効率的に噴射散布して鎮火させることが要求される。
【0004】
このような要求に対して、消火能力が高い薬剤として、水にポリマーを含有させたポリマー水が提案されている。ポリマー水は、温度が上昇すると増粘ゲル化を起し、燃焼物表面に粘着、滞留する性質を有し、少量の使用で高い消火能力を発揮する。
【0005】
しかしながら、ポリマー水は、水に比べて粘度がおおよそ数倍〜数十倍高いので、液体が圧送される中央孔が単純なストレート形状に形成される液体噴射ノズルでポリマー水を噴射しても棒状噴射されるのみである。
【0006】
さらに図10に示すような液体が圧送される中央孔1が、ノズル口手前でその液体流路が90度曲げられて形成される液体噴射ノズル2で、旋回流を使用して拡散させるように噴射しても、ポリマー水のような高粘度の液体では、ポリマー水が単に棒状に噴射されるのみであり、たとえばノズル口から約2.3m離隔した位置におけるポリマー水の散布領域3は、たかだかφ600mm程度であり、広範囲に拡散させることができないという問題がある。
【0007】
このような粘度が高い液体であっても拡散させて噴射することのできる液体噴射用ノズルとして、拡散板を備えるノズルが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。図11は、従来技術における拡散板4を備えるノズル5の構成を簡略化して示す断面図である。特許文献1に開示される従来技術のノズル5では、ノズル口にノズル5の軸線6に対してほぼ垂直方向に広がるようにして、噴霧液と空気とを拡散させる拡散板4が設けられる。
【0008】
従来技術のノズル5では、噴霧液と空気との2流体を用いるとともに、ノズル口から噴射される流体が拡散板4にあたって軸線6に対してほぼ垂直方向に拡散されるので、粘度の高い液体であっても充分に拡散させることが可能である。しかしながら、従来技術のノズル5は、たとえば化学反応槽の補修用釉薬を、ノズルを正対させて塗装することができないような化学反応槽の狭隘部に塗装することに用いられるものである。すなわち、ノズル5は、内部が狭隘な管部などに挿入し、軸線6の方向に進退させることによって、軸線6に対する垂直方向に在る管部の内壁などに対して塗装するには好適である。しかしながら、ノズル5をたとえば消火に用いる場合、消火対象物に対してノズル5から液体を噴射させたとしても、拡散板4によって軸線6に対して垂直な方向に液体が拡散して散布領域の形状が円環状になるので、円環の中央部分にあたる消火対象物には散布されず、消火効力を発揮することができないという問題がある。また従来技術のノズル5では、噴霧液と空気とのような2流体を用いなければ充分に拡散させることができないという問題もある。
【0009】
したがって、たとえばポリマー水のような消火能力に優れる高粘度の液体を、2流体を用いることなく充分に拡散させることができ、かつ広範な領域を欠けることなく散布することができる液体噴射用ノズルが希求されている。
【0010】
【特許文献1】特開2000−84440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、簡単な構造で、低粘度の液体から高粘度の液体まで、充分に拡散噴射させ、かつ広範な領域を欠けることなく散布することのできる液体噴射用ノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、液体をノズル口から噴射する液体噴射用ノズルにおいて、
ノズル口に連なるように形成され液体が圧送される中央孔を有し、該中央孔の液体圧送方向途中にオリフィス部が形成されるノズル本体と、
ノズル本体の内方から外方へ延びてオリフィス部を挿通するように設けられるノズル軸体であって、ノズル本体の軸線に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部およびフランジ部に連なり端部に向って縮閉する円錐台状の傾斜面または半球状の曲面を有するように形成される導流部を備えるノズル軸体とを含むことを特徴とする液体噴射用ノズルである。
【0013】
また本発明は、ノズル軸体とノズル本体のオリフィス部とは、
軸線方向における相対位置が可変に設けられることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、ノズル軸体には、フランジ部と導流部との間に、端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面が形成されることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、ノズル口から噴射する液体が、水の粘度以上、ポリマーを含有する液体の粘度以下の粘度を有する液体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ノズル本体のオリフィス部を挿通して設けられるノズル軸体には、軸線に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部と、フランジ部に連なり端部に向って縮閉する円錐台状の傾斜面または半球状の曲面を有するように形成される導流部とが備えられる。このように噴射される液体を、フランジ部で拡散するとともに導流部で案内するという簡単な構成によって、高い粘度を有する液体であっても、円環のような欠ける領域を生じることなく、また2流体を用いることなく、広範囲の領域に拡散噴射させることができる。
【0017】
さらに、粘度の高い液体がたとえば消火薬剤であるとき、消火能力に優れる薬剤を広範な領域に欠けることなく充分に拡散噴射することができるので、少量の薬剤で効果的な消火を実現することが可能になる。
【0018】
また本発明によれば、ノズル軸体とノズル本体のオリフィス部とは、軸線方向における相対位置が可変に設けられるので、オリフィス部とノズル軸体の各部との相対位置を自在に変化させることができる。このことによって、オリフィス部とフランジ部との軸線方向位置を一致させて液体の拡散を抑制して遠方へ噴射することができ、またオリフィス部とノズル軸体のフランジ部よりも液体圧送方向上流側における細径部との相対位置を一致させて液体を充分に拡散させて近距離域に噴射することもできる。
【0019】
また本発明によれば、ノズル軸体には、フランジ部と導流部との間に、端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面が形成されるので、フランジ部に沿って流過した液体をも拡散させることができる。
【0020】
また本発明によれば、液体が、水の粘度以上、ポリマーを含有する液体の粘度以下の粘度を有する液体であるので、低粘度の水から粘度が水よりも高く消火能力に優れるポリマー水のような薬剤まで、広範囲の粘度を有する液体の噴射に好適な液体噴射用ノズル、すなわち消火用ノズルが実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1は本発明の実施の第1形態である液体噴射用ノズル10の構成を簡略化して示す分解断面図であり、図2は図1に示す液体噴射用ノズル10の組立断面図である。
【0022】
液体噴射用ノズル10は、ノズル口11に連なるように形成され液体が圧送される中央孔12を有し、該中央孔12の液体圧送方向途中にオリフィス部13が形成されるノズル本体14と、ノズル本体14の内方から外方へ延びてオリフィス部13を挿通するように設けられ、ノズル本体14の軸線15に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部16およびフランジ部16に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有するように形成される導流部17を備えるノズル軸体18とを含む。
【0023】
このような液体噴射用ノズル10は、たとえば消火薬剤、塗料、農薬などの液体をノズル口11から噴射し、散布または塗布することに用いられる。
【0024】
ノズル本体14は、大略円筒状の金属製たとえば黄銅またはステンレス鋼などからなる部材である。ノズル本体14の一方の端部には、液体の噴射口であるノズル口11が形成され、軸線15方向にノズル本体14を貫通し、ノズル口11に連なるように中央孔12が形成される。中央孔12には、矢符21にて示す液体の圧送方向途中に液体の流路断面積を絞るオリフィス部13が形成される。中央孔12には、ノズル口11付近の液体圧送方向上流側で、一旦液体の流路断面積が縮閉するように円錐台状の傾斜面を有するオリフィス傾斜面22が形成され、該オリフィス傾斜面22がオリフィス部13に連なる。オリフィス部13の液体圧送方向下流側には、ノズル本体14の外方側に向って拡開するように円錐台状の傾斜面を有するノズル口11が形成される。
【0025】
ノズル軸体18は、金属製であり、たとえば黄銅またはステンレス鋼などで形成され、円柱状の軸基体部23と、軸基体部23にその一方の底面から突出するように装着される軸棒部24とを含む。
【0026】
図1(a)は、ノズル軸体18を軸基体部23の他方の底面側から見た図であり、図1(b)は、ノズル軸体18の側面から見た部分断面図である。軸基体部23は、円柱の高さ方向に貫いて5つの孔が形成される。1つの孔は、軸基体部23の円柱軸心部に形成され、この孔には軸棒部24が装着されるので装着孔25と呼ぶ。この装着孔25の内壁には、めねじが刻設される。装着孔25の周囲には、均等間隔で4つの同一形状の貫通孔が形成され、該貫通孔は噴射されるべき液体が流過するので流過孔26と呼ぶ。
【0027】
軸棒部24には、細径部31と、細径部31の液体圧送方向下流側の一方の端部に上記の軸線15に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部16と、フランジ部16に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有する導流部17とが形成される。また軸棒部24の液体圧送方向上流側の他端部には、おねじが刻設され、該おねじ部が軸基体部23の装着孔25のめねじ部に螺合されることによって、軸棒部24が軸基体部23に着脱自在に装着され、ノズル軸体18を構成する。
【0028】
ノズル軸体18は、軸棒部24を液体圧送方向下流側に向けてノズル本体14の中央孔12中へ圧入され、軸基体部23が、中央孔12のオリフィス部13よりも液体圧送方向上流側に形成される段差部27に当接する位置に装着される。このとき、ノズル軸体18の軸棒部24は、オリフィス部13を、ノズル本体14の内方から外方に延びて挿通し、フランジ部16と導流部17とが、ノズル本体14の外方に位置するように設けられる。
【0029】
このような液体噴射用ノズル10によれば、高い粘度を有する液体であっても、円環のような欠ける領域を生じることなく、また2流体を用いることなく、広範囲の領域に拡散噴射させることができる。
【0030】
図3は、液体噴射用ノズル10における液体噴射の概要を説明する図である。図3を参照して、液体噴射用ノズル10における液体噴射について説明する。
【0031】
液体の供給源から圧送されてノズル本体14の中央孔12に流入した液体は、軸基体部23の流過孔26を流過し、さらにオリフィス部13と軸棒部24の細径部31とによって形成される間隙を矢符28の方向に流過してノズル口11から外方に噴射される。外方に噴射された液体は、細径部31に沿って流れ、軸線15に対する垂直方向に突出して形成されるフランジ部16に衝突する。フランジ部16に衝突した矢符28で示す液体の流れは、フランジ16に衝突することによって拡散される。この拡散方向は、矢符28で示す液体の流れの細径部31表面からの離隔距離に伴って異なる。すなわち、図3(b)に拡大して示すように、最も細径部31表面に近い位置の流れ28aは、軸線15に対してほぼ垂直方向29aに拡散され、フランジ部16のエッジ部に衝突する流れ28cは、フランジ部16に対して大きい角度を有する方向29cに拡散され、流れ28aと流れ28cとの中間位置の流れ28bは、先の軸線15に対する垂直方向29aとフランジ部16に対して大きい角度を有する方向29cとの中間方向29bに拡散される。このように、高い粘度を有する液体であっても、液体噴射用ノズル10では、フランジ部16が形成されることによって、広範な方向に均一に拡散される。
【0032】
本発明の液体噴射用ノズル10のさらなる特徴は、フランジ部16に連なって形成される導流部17にある。導流部17が形成されていることによって、細径部31に沿って流れる液体は、フランジ部16に衝突して前記の矢符29a,29b,29c方向へ拡散するとともに、導流部17に沿う矢符30方向の流れも形成される。特に粘度の高い液体の場合、その粘性による導流部17に対する付着力の作用によって、一層導流部17の表面に沿うような流れが形成され易くなる。このことによって、液体噴射用ノズル10から噴射される液体は、広範囲に充分拡散されるとともに、散布領域の中央部にももれなく散布されるので、円環状の欠損部を生じることのない散布領域を形成することができる。
【0033】
噴射する液体として、ポリマーを含有する水である消火薬剤について例示すると以下のようである。本実施の形態では、ポリマーを含有する水として、ポリマーを界面活性剤によって水中に分散させたエマルジョンが用いられる。ポリマーの含有量は、ポリマー水全体に対して0.1重量%である。ポリマー含有水の粘度は、30℃で約5.0mPa・sであり、水のみの粘度30℃で約0.8mPa・sに比べて、約6倍程度高い。
【0034】
このようなポリマー水を、液体噴射用ノズル10から、約0.7MPaの圧力で噴射させるとき、ノズル口11から約2.3m離隔した位置におけるポリマー水の散布領域32は、図4に示すようにφ2,500mmにも及び、かつ円形状であり、中央部の欠損領域を生じることが無い。
【0035】
上記のポリマー水を一般的なノズルで図4に示すような広範囲に拡散させるには、4〜10MPaもの圧力を必要とするけれども、本実施形態の液体噴射用ノズル10によれば、上記のように小さな圧力で広範囲に拡散噴射させることが可能になるので、操作が容易であるとともに、ノズルを固定使用する場合、ノズル保持部材の構造の簡素化を実現することができる。
【0036】
さらに、0.2m2の開口部を有するオイルパンに燃焼物として500mL(ミリリットル)のn−ヘプタンを投入し、着火させた模擬火災に対して、ポリマー含有水を液体噴射用ノズル10で噴射散布して消火実験を行ったところ、わずか9L/minの流量で約15秒程度で鎮火させることができた。消火能力が高いポリマー水を、液体噴射用ノズル10で広範囲に拡散させて噴射することができるので、少量の消火薬剤で効率的な消火が実現されたものである。
【0037】
このように、液体噴射用ノズル10は、消火薬剤を広範囲に拡散噴射させることによって、少量の消火薬剤の使用で効果的に消火することを可能にするので、大量の消火薬剤を用いることができず、少量の貯留消火薬剤で火災に対処しなければならない、たとえば移動用車両、高層ビル内のオフィスなどにおける消火設備末端の消火薬剤噴射用ノズルとして好適に用いることができる。また、消火薬剤の大量使用による家財等の損傷を軽減する意味から、一般家屋のスプリンクラーノズル、駐車場などの泡消火設備用ノズルとしても有用である。
【0038】
図5は本発明の実施の第2形態である液体噴射用ノズル40の構成を簡略化して示す分解断面図であり、図6は図5に示す液体噴射用ノズル40の拡散時の組立断面図である。本実施の形態の液体噴射用ノズル40は、実施の第1形態の液体噴射用ノズル10に類似し対応する部分については、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0039】
本実施の形態の液体噴射用ノズル40において注目すべきは、ノズル軸体41とノズル本体42のオリフィス部13とは、軸線15方向における相対位置が可変に設けられることである。
【0040】
ノズル本体42は、実施の第1形態のノズル本体14と同様に、大略円筒状の金属製たとえば黄銅またはステンレス鋼などからなる部材である。以下実施の第1形態のノズル本体14との相違点についてのみ説明する。ノズル口11の周辺部から外方へ突出し、ノズル口11を周回するようにしてカバー部43が形成される。また中央孔12の内壁には、軸線15方向のほぼ中央部よりも液体圧送方向上流側にめねじが刻設されて内ねじ部44が形成される。またノズル本体42の軸線15方向の他端部付近には、ノズル本体42の外面から中央孔12に向けて貫通する固定孔45が、対向する位置に2つ形成される。固定孔45は、その内壁部にめねじが刻設され、後述する止めねじ62が螺合される。
【0041】
図5(a)には、ノズル軸体41を示す。ノズル軸体41の軸基体部23は、実施の第1形態の軸基体部23と同一に形成される。ノズル軸体41の軸棒部46は、細径部31と、液体圧送方向下流側の一方の端部に軸線15に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部47と、フランジ部47に連なり端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面から成る緩拡散部48と、緩拡散部48に連なり端部に向って縮閉する半球状の曲面を有する導流部17とが形成される。
【0042】
本実施形態の軸棒部46に形成されるフランジ部47の軸線15方向の長さは、実施の第1形態の軸棒部24に形成されるフランジ部16の軸線15方向の長さよりも長く形成される。本実施形態の液体噴射用ノズル40では、ノズル本体42とノズル軸体41との軸線15方向の相対位置が可変に構成されるので、オリフィス部13に対する軸棒部46の相対位置を変化させたとき、容易にオリフィス部13とフランジ部47との軸線15方向位置を一致させることができるように、フランジ部47の長さが長く形成される。
【0043】
フランジ部47に連なる緩拡散部48は、フランジ部47が軸線15方向に長く形成されるので、フランジ部47に沿う液体の流れを、さらに拡散することができるように形成される。ただし、軸線15に対する垂直方向に広がるように形成すると、後述する遠投時に、液体を遠い距離にまで噴射することを抑制することになるので、軸線15に対して傾斜面を有する程度に形成される。
【0044】
また軸棒部46の液体圧送方向上流側の他端部にはおねじが刻設され、軸基体部23に螺合装着されることは、実施の第1形態と同じである。
【0045】
本実施の形態の液体噴射用ノズル40では、ノズル軸体41が、直接ノズル本体42に装着されるのではなく、軸体保持部材51に装着される。軸体保持部材51も、大略円筒状の形状を有し、金属製たとえば黄銅またはステンレス鋼などから成る部材である。
【0046】
軸体保持部材51には、軸線15方向に貫通して保持孔52が形成される。保持孔52には、液体の圧送方向に向って、軸線15に対する垂直断面における断面積が減少するように3つの第1〜第3段差部53,54,55が形成される。ノズル軸体41は、保持孔52内へ挿入され、軸基体部23が第2段差部54に当接するようにして圧入される。このとき、ノズル軸体41は、その軸棒部46が、軸体保持部材51の保持孔52を挿通し、内方から外方へ突き出るようにして、軸体保持部材51に装着保持される。
【0047】
軸体保持部材51の外周には、一端部付近にその肉厚を減少させるように環状の凹所56が形成される。この環状凹所56には、パッキングとしてオー(O)リング58が嵌められ、軸体保持部材51がノズル本体42に装着された際、軸体保持部材51とノズル本体42との間隙から液体が漏出することを防止する。
【0048】
軸体保持部材51の軸線15方向のほぼ中央部には、フランジ状に第1環状突出部59が形成される。第1環状突出部59には、おねじが刻設され、外ねじ部60が形成される。この第1環状突出部59は、その外径が、ノズル本体42の中央孔12の内ねじ部44の内径に合致するように形成される。
【0049】
軸体保持部材51の液体圧送方向下流側には、フランジ状に第2環状突出部61が形成される。第2環状突出部61は、そのフランジ状部分の外径が、ノズル本体42の他方側の端面42aに当接することができる寸法に形成される。すなわち、第2環状突出部61は、軸体保持部材51に対して軸線15方向に相対移動するノズル本体42の液体圧送方向上流側への移動限界を規定するストッパとして作用する。
【0050】
ノズル軸体41が圧入された軸体保持部材51の第1環状突出部59に形成された外ねじ部60を、ノズル本体42の中央孔12に形成された内ねじ部44に螺合させることによって、軸体保持部材51、ひいてはノズル軸体41をノズル本体42に装着することができる。
【0051】
ノズル軸体41は軸体保持部材51に固着されるので、両者の相対位置関係は不変であるけれども、軸体保持部材51とノズル本体42とは、外ねじ部60と内ねじ部44とで螺合されているのみであるので、ノズル本体42を軸線15まわりに回転させることによって、ノズル本体42が軸線15方向に進退することができる。すなわちノズル本体42と軸体保持部材51との相対位置、さらにはノズル本体42とノズル軸体41との相対位置を変化させることができる。このことによって、ノズル本体42のオリフィス部13に対するノズル軸体41の軸棒部46の相対位置を変化させることが可能になる。
【0052】
なお、ノズル本体42とノズル軸体41との相対位置が定まり、位置決めされた状態は、止めねじ62を固定孔45に螺合させて締付けることによって固定することができる。
【0053】
先の図6に示す拡散時におけるノズル本体42とノズル軸体41の相対位置は、以下のようである。拡散時には、ノズル本体42は、軸体保持部材51の第2環状突出部61に当接する位置に達するまで締められる。このとき、オリフィス部13と軸棒部46との相対位置は、軸棒部46の細径部31がオリフィス部13に一致する。
【0054】
図7は、液体噴射用ノズル40の拡散時における液体噴射の概要を説明する図である。図7を参照して、液体噴射用ノズル40における拡散時の液体噴射について説明する。
【0055】
液体の供給源から圧送されて軸体保持部材51の保持孔52に流入した液体は、軸基体部23の流過孔26を流過して同じく保持孔52内を圧送され、さらにオリフィス部13と軸棒部46の細径部31とによって形成される間隙を矢符65の方向に流過してノズル口11から外方に噴射される。外方に噴射された液体は、フランジ部47に衝突し、矢符66a,66b,66cで示す広範な方向へ拡散されるとともに、フランジ部47の軸線15方向に平行な側面に沿った矢符67方向にも流れる。液体の矢符67方向の流れは、さらに緩拡散部48で若干軸線15に対して傾斜角度を有するように矢符68方向に拡散されるとともに、導流部17に沿う矢符69方向の流れも形成されて噴射される。
【0056】
したがって、図6および図7に示す拡散時には、実施の第1形態の液体噴射用ノズル10と同様に、比較的近距離の噴射対象に対して、充分に拡散された広範囲の散布領域を形成するように噴射される。
【0057】
図8は図5に示す液体噴射用ノズル40の遠投時の組立断面図であり、図9は液体噴射用ノズル40の遠投時における液体噴射の概要を説明する図である。ここで遠投とは、散布領域の面積が若干減少することを容認したうえで、液体を遠くまで噴射させることを意味する。
【0058】
遠投時には、ノズル本体42は、外ねじ部60と内ねじ部44との螺合が緩められて液体圧送方向下流側へ移動し、オリフィス部13と軸棒部46のフランジ部47とが一致するように位置決めされる。本実施形態の液体噴射用ノズル40では、フランジ部47の軸線15方向の長さを長く形成してあるので、オリフィス部13をフランジ部47に対して容易に一致させることができる。
【0059】
図9を参照して、液体噴射用ノズル40における遠投時の液体噴射について説明する。液体の供給源から圧送されて軸体保持部材51の保持孔52に流入した液体は、軸基体部23の流過孔26を流過して同じく保持孔52内を圧送され、さらにノズル本体42の中央孔12を経て、オリフィス部13と軸棒部46のフランジ部47とによって形成される間隙を矢符71の方向に流過してノズル口11から外方に噴射される。
【0060】
遠投時には、フランジ部47の張出し部分が中央孔12内に位置するので、噴射される液体が、フランジ部47によって軸線15に対する垂直方向へ拡散されることがない。ノズル口11から噴射されてフランジ部47の軸線15方向に平行な側面に沿う矢符71方向の流れは、緩拡散部48で若干軸線15に対して傾斜角度を有するように矢符72方向に拡散されるとともに、導流部17に沿う矢符73方向の流れも形成されて噴射される。
【0061】
このように遠投時のノズル本体42とノズル軸体41との配置では、噴射される液体のエネルギが、拡散に大きく費やされることがないので、噴射される液体が遠方にまで到達することができる。なお、液体噴射用ノズル40は、緩拡散部48を有するので、単純なストレート形状のノズルによって液体が噴射される場合に比べると、より広範囲の散布領域を形成することができる。
【0062】
このように本実施形態の液体噴射用ノズル40では、ノズル本体42を軸線15まわりに回転させるという簡単な操作で、比較的近距離において充分な散布領域が得られるように拡散を重視した噴射と、散布領域は若干狭まるけれども比較的遠距離まで到達させる遠投を重視した噴射とを切換え使用することができる。さらに実施の第1形態の液体噴射用ノズル10と同じく、液体噴射用ノズル40は、粘度が高く消火能力が高い消火薬剤の使用に適するので、少量の消火薬剤を、消火対象との距離、出火原因などに応じて効果的に噴射散布することができる。たとえば、消火用のハンドガンに本液体噴射用ノズル40を装着し、該ハンドガンをたとえば加圧手段を備える携帯式の消火薬剤収納容器に接続することによって、軽装備での消火活動が可能になるので、消火栓または消防自動車などに拘束されずに消火活動することが要求される高速道路のレスキュー隊、工場内で初期消火活動に従事する消防隊などに好適に用いることができる。
【0063】
以上に述べたように、本実施の形態では、液体噴射用ノズル40において、ノズル軸体41が軸体保持部材51に装着され、軸体保持部材51がさらにノズル本体42に装着される構成であるけれども、これに限定されることなく、軸体保持部材51を含まないように構成されてもよい。たとえばノズル軸体がハンドガンに直接固定して装着され、ノズル本体がハンドガンとの間で進退できるように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の第1形態である液体噴射用ノズル10の構成を簡略化して示す分解断面図である。
【図2】図1に示す液体噴射用ノズル10の組立断面図である。
【図3】液体噴射用ノズル10における液体噴射の概要を説明する図である。
【図4】液体噴射用ノズル10による散布領域31を例示する図である。
【図5】本発明の実施の第2形態である液体噴射用ノズル40の構成を簡略化して示す分解断面図である。
【図6】図5に示す液体噴射用ノズル40の拡散時の組立断面図である。
【図7】液体噴射用ノズル40の拡散時における液体噴射の概要を説明する図である。
【図8】図5に示す液体噴射用ノズル40の遠投時の組立断面図である。
【図9】液体噴射用ノズル40の遠投時における液体噴射の概要を説明する図である。
【図10】従来技術の液体噴射ノズル2の構成と液体の散布領域3とを示す図である。
【図11】従来技術における拡散板4を備えるノズル5の構成を簡略化して示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
10,40 液体噴射用ノズル
11 ノズル口
12 中央孔
13 オリフィス部
14,42 ノズル本体
15 軸線
16,47 フランジ部
17 導流部
18,41 ノズル軸体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体をノズル口から噴射する液体噴射用ノズルにおいて、
ノズル口に連なるように形成され液体が圧送される中央孔を有し、該中央孔の液体圧送方向途中にオリフィス部が形成されるノズル本体と、
ノズル本体の内方から外方へ延びてオリフィス部を挿通するように設けられるノズル軸体であって、ノズル本体の軸線に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部およびフランジ部に連なり端部に向って縮閉する円錐台状の傾斜面または半球状の曲面を有するように形成される導流部を備えるノズル軸体とを含むことを特徴とする液体噴射用ノズル。
【請求項2】
ノズル軸体とノズル本体のオリフィス部とは、
軸線方向における相対位置が可変に設けられることを特徴とする請求項1記載の液体噴射用ノズル。
【請求項3】
ノズル軸体には、
フランジ部と導流部との間に、端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の液体噴射用ノズル。
【請求項4】
ノズル口から噴射する液体が、水の粘度以上、ポリマーを含有する液体の粘度以下の粘度を有する液体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液体噴射用ノズル。
【請求項1】
液体をノズル口から噴射する液体噴射用ノズルにおいて、
ノズル口に連なるように形成され液体が圧送される中央孔を有し、該中央孔の液体圧送方向途中にオリフィス部が形成されるノズル本体と、
ノズル本体の内方から外方へ延びてオリフィス部を挿通するように設けられるノズル軸体であって、ノズル本体の軸線に対して垂直な方向に突出して形成されるフランジ部およびフランジ部に連なり端部に向って縮閉する円錐台状の傾斜面または半球状の曲面を有するように形成される導流部を備えるノズル軸体とを含むことを特徴とする液体噴射用ノズル。
【請求項2】
ノズル軸体とノズル本体のオリフィス部とは、
軸線方向における相対位置が可変に設けられることを特徴とする請求項1記載の液体噴射用ノズル。
【請求項3】
ノズル軸体には、
フランジ部と導流部との間に、端部に向って拡開する円錐台状の傾斜面が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の液体噴射用ノズル。
【請求項4】
ノズル口から噴射する液体が、水の粘度以上、ポリマーを含有する液体の粘度以下の粘度を有する液体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液体噴射用ノズル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−61750(P2006−61750A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243718(P2004−243718)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(390010342)川重防災工業株式会社 (56)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(390010342)川重防災工業株式会社 (56)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】
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