説明

液体噴霧ノズル、散布機及びノズルヘッド

【課題】従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの到達性能と同程度の到達性能を維持することにより、ドリフトを低減することができ、好ましくは、それよりも付着性能を向上させることができる液体噴霧ノズル等を提供する。
【解決手段】本発明は、液体を噴霧する液体噴霧ノズル(4)、それを備えた散布機(2)、及びそれに使用されるノズルヘッド(10)に関する。本発明による液体噴霧ノズル(4)は、大粒径の液滴(LS)を噴霧する大粒径噴霧口(12)と、大粒径の液滴(LS)よりも小さい小粒径の液滴(SS)を噴霧する小粒径噴霧口(14)を有する。前記小粒径噴霧口(14)から噴霧された小粒径の液滴(SS)を、前記大粒径噴霧口(12)から噴霧された大粒径の液滴(LS)の流れに乗せて運ぶように、前記大粒径噴霧口(12)と前記小粒径噴霧口(14)とが近傍に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴霧ノズル、散布機及びノズルヘッドに関し、更に詳細には、少なくとも2種類の平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズル、散布機及びノズルヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場に薬液を散布するための液体噴霧ノズルが、散布機として使用されるスプレーヤー及び乗用管理機等に取付けられている(例えば、特許文献1参照)。薬液は、圃場内の作物が病気になったり害虫によって食べられたりすることを防ぐために、上方から散布される。上方から散布される薬液は、作物の葉のオモテ側に付着しやすい。しかしながら、葉のウラ側に病気が発生したり、葉のウラ側を害虫が食べたりするので、薬液を葉のウラ側にも付着させる必要がある。そのため、液体噴霧ノズルにおいて、薬液を葉のウラ側に付着させる付着性能を高めることが行われている。例えば、噴霧する薬液を比較的小さい粒径(30〜60μm)にすることにより、霧状の薬液を空気中に浮遊させて、薬液を葉のウラ側に回り込ませ、それにより、葉のウラ側への薬液の付着面積を増大させている。
【0003】
一方、薬液を、圃場の予め決められた範囲内に散布することも必要である。散布した薬液が風によって流されて、薬液が予め決められた範囲外に浮遊又は飛散する現象、いわゆる、ドリフトが生じると、環境負荷になるので好ましくない。また、ある圃場内の作物に対して散布すべき薬液が、ドリフトによって、隣接した圃場内の別の作物に付着すると、別の問題が生じることがある。詳細には、近年、作物の安全性を確保するために、作物ごとに薬液の残留基準値が設定された。従って、ドリフトが原因で、隣接した圃場内の作物から残留基準値を超えた薬液が検出されると、その作物の出荷や流通が停止されることがある。そのため、液体噴霧ノズル装置において、散布した薬液が風に流されないように作物等の目標物に到達させることができる到達性能を高めることにより、ドリフトを低減することが行われている。例えば、噴霧する薬液の平均粒径を100μm以上に大きくすることにより、ドリフトを低減することが行われている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、液体噴霧ノズルにおける付着性能を高めるために、噴霧した薬液を帯電させ、静電気力を用いて、葉のウラ側への薬液の付着面積を増大させることも行われている(例えば、特許文献3及び4参照)。一般に、比較的大きい平均粒径の液滴を帯電させるのに必要な印加電圧は、比較的小さい平均粒径の液滴を帯電させるのに必要な印加電圧よりも高くなる。
【0005】
【特許文献1】特開平第8−89151号公報(図1)
【特許文献2】特開2004−275941号公報(段落0032)
【特許文献3】特開2006−21148号公報
【特許文献4】特許第3946677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、比較的小さい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルは、付着性能が高いけれども、ドリフトが生じ易い。これとは逆に、比較的大きい粒径の液滴を散布する液体噴霧ノズルは、到達性能が高く、即ち、ドリフトを低減する効果があるけれども、付着性能が不十分な場合がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの到達性能と同程度の到達性能を維持することにより、ドリフトを低減することができ、好ましくは、前記従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルよりも付着性能を向上させることができる液体噴霧ノズル、それを備えた散布機、及びそれに使用されるノズルヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、液体を噴霧する本発明による液体噴霧ノズルは、大粒径の液滴を噴霧する大粒径噴霧口と、大粒径の液滴よりも小さい小粒径の液滴を噴霧する小粒径噴霧口を有し、前記小粒径噴霧口から噴霧された小粒径の液滴を、大粒径噴霧口から噴霧された大粒径の液滴の流れに乗せて運ぶように、大粒径噴霧口と前記小粒径噴霧口とが近傍に配置されることを特徴としている。
【0009】
このように構成された液体噴霧ノズルでは、前記大粒径噴霧口から噴霧された大粒径の液滴は、目標物に到達しやすい。また、前記小粒径噴霧口から噴霧された小粒径の液滴は、浮遊しやすい性質を有しているけれども、前記大粒径噴霧口から噴霧された大粒径の液滴の流れに乗って運ばれるので、目標物に素早く到達しやすくなる。その結果、本発明による前記液体噴霧ノズルは、小粒径の液滴を噴霧するけれども、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの到達性能と同程度の到達性能を維持することができる。
【0010】
大粒径の液滴に運ばれる小粒径の液滴は、大粒径の液滴が目標物に到達して概ね表側に付着した時点で解放され、目標物の近くにおいて浮遊する。それにより、小粒径の液滴は、目標物のウラ側に回りこんでそこに付着する。従って、本発明による前記液体噴霧ノズルの付着性能を、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの付着性能よりも向上させることができる。
【0011】
本発明の実施形態において、好ましくは、前記小粒径噴霧口から噴霧される小粒径の液滴の噴霧方向は、小粒径の液滴の噴霧範囲と大粒径の液滴の噴霧範囲に重なりができるように、前記大粒径噴霧口から噴霧される大粒径の液滴の噴霧方向に対して実質的に平行に又は下流に向かって離れるように配置される。
【0012】
このように構成された前記液体噴霧ノズルでは、小粒径の液滴の噴霧方向が大粒径の液滴の噴霧方向に対して実質的に平行又は下流に向かって離れるように配置されるので、小粒径の液滴を大粒径の液滴の流れに衝突させることが軽減される。また、小粒径の液滴の噴霧方向が大粒径の液滴の噴霧方向に対して、小粒径の液滴の噴霧範囲と大粒径の液滴の噴霧範囲に重なりができるように配置されるので、小粒径の液滴を大粒径の液滴の流れから引離したりすることがない。それにより、小粒径の液滴を大粒径の液滴の流れに効率的に乗せて運ぶことができる。
【0013】
本発明の実施形態において、好ましくは、小粒径の液滴は、前記小粒径噴霧口から扇形パターンで噴霧され、大粒径の液滴は、前記大粒径噴霧口から、小粒径の液滴の扇形パターンと同等またはそれよりも広い扇形パターンで噴霧される。
【0014】
このように構成された液体噴霧ノズルでは、大粒径の液滴の流れに乗らない小粒径の液滴の量を減少させることができる。
【0015】
本発明の実施形態において、好ましくは、前記大粒径噴霧口から噴霧される大粒径の液滴の平均粒径は、100〜500μmであり、前記小粒径噴霧口から噴霧される小粒径の液滴の平均粒径は、10〜130μmである。
【0016】
なお、平均粒径とは、粒径測定値の累積の50%粒子径をいい、例えば、平均粒径100μmであれば、100μmよりも大きい粒径の液滴もそれよりも小さい粒径の液滴も同数存在することを意味する。また、上記範囲に重なり部分があるのは、大粒径と小粒径の区別が相対的なものだからである。
【0017】
本発明の実施形態において、好ましくは、更に、大粒径の液滴よりも小さく且つ小粒径の液滴よりも大きい中粒径の液滴を噴霧する中粒径噴霧口を有する。
【0018】
このように構成された液体噴霧ノズルでは、中粒径の液滴が大粒径の液滴の機能及び小粒径の液滴の機能の両方を補い、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの到達性能と同程度の到達性能を維持することを確保して、ドリフトを低減することができ、好ましくは、前記従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルよりも付着性能を向上させることができる。
【0019】
本発明の実施形態において、好ましくは、小粒径の液滴を帯電させるために、前記小粒径噴霧口に隣接して配置された電極を有する。
【0020】
このように構成された液体噴霧ノズルでは、前記小粒径噴霧口から噴霧された小粒径の液滴は、目標物に到達した小粒径の液滴が目標物のウラ側に付着するのに必要な程度の帯電状態よりも帯電した状態で、前記大粒径噴霧口から噴霧された大粒径の液滴の流れに引き込まれる。また、大粒径の液滴も、前記小粒径噴霧口に隣接して配置された前記電極により、小粒径の液滴よりも微弱ではあるが、小粒径の液体と同じ極性で帯電する。従って、小粒径の液滴は、大粒径の液滴の流れに引き寄せられながらも、同じ極性の電荷による適度の反発力により大粒径の液滴に吸収されることはなく、大粒径の液滴の流れに乗って運ばれ、その結果、目標物のウラ側に付着させるのに必要な量の小粒径の液滴を目標物に到達させることができる。
【0021】
また、小粒径の液滴は、大粒径の液滴の流れに乗って素早く移動するので、小粒径の液滴の電荷が大粒径の液滴に分散したり移動中に放電したりすることがなく、目標物のウラ側に付着するのに必要な程度の帯電状態を維持したまま目標物に到達する。従って、目標物の近くにおいて浮遊する小粒径の液滴は、至近距離から噴霧された場合と同様に、帯電した液滴と作物が電気的に引き寄せられることによって、目標物のウラ側に回りこみ、そこに付着しやすくなる。
【0022】
また、上記目的を達成するために、本発明による散布機は、上述したいずれかの液体噴霧ノズルを有する。また、本発明による散布機は、小粒径の液滴を帯電させるために前記小粒径噴霧口に隣接して配置された電極と、前記電極と別体の前記液体噴霧ノズルを有していてもよい。
【0023】
また、上記目的を達成するために、本発明によるノズルヘッドは、大粒径の液滴を噴霧する大粒径噴霧口と、大粒径の液滴よりも小さい小粒径の液滴を噴霧する小粒径噴霧口を有し、前記小粒径噴霧口から噴霧された小粒径の液滴を、大粒径噴霧口から噴霧された大粒径の液滴の流れに乗せて運ぶように、大粒径噴霧口と前記小粒径噴霧口とが近傍に配置されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
上述したように、本発明による液体噴霧ノズル、散布機、及びノズルヘッドによれば、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの到達性能と同程度の到達性能を維持することにより、ドリフトを低減することができ、好ましくは、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルよりも付着性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明による液体噴霧ノズルの実施形態を説明する。図1は、本発明による第1の実施形態の液体噴霧ノズルが取付けられたスプレーヤーのブーム部分の正面図である。図2は、本発明による液体噴霧ノズルの拡大正面図、図3は、本発明による液体噴霧ノズルの側面図である。
【0026】
図1に示すように、薬液(農薬)を噴霧するための液体噴霧装置1が、散布機であるスプレーヤー2の長手方向Aに延びるブーム3a、3bに設けられている。前記液体噴霧装置1は、前記ブーム3a、3bに沿って配置された複数の液体噴霧ノズル4を有している。前記スプレーヤー2は、前記長手方向Aと垂直な方向に走行しながら、薬液を前記液体噴霧ノズル4から下方に向かって圃場に散布することが可能である。
【0027】
図1に示す前記ブーム3a、3bは、本体側ブーム3aと、前記本体側ブーム3aを延長するようにそれに取付けられた先端側ブーム3bとを有している。前記液体噴霧装置1による前記長手方向Aの散布範囲を調節するために、前記先端側ブーム3bは、前記本体側ブーム3aに対して摺動自在に伸縮可能である。
【0028】
図2及び図3に示すように、前記ブーム3a、3bは、前記液体噴霧ノズル4から噴霧される薬液が通る管路5を有し、前記管路5は、薬液を貯蔵するタンク(図示せず)及び前記管路5内の薬液を加圧するための加圧装置(図示せず)に接続されている。前記液体噴霧ノズル4は、前記ブーム3a、3bの下面3cに取付けられ且つ前記下面3cから下方にL字形に延びる連結部6と、前記連結部6の先端部分6aにその軸線6bを中心に回動可能に取付けられた回転部8と、前記回転部8に取付けられたノズルヘッド10を有している。本実施形態では、前記回転部8に三つの前記ノズルヘッド10が取付け可能である。前記連結部6内には、前記管路5と連通した管路(図示せず)が設けられ、前記回転部8は、三つのノズルヘッド10のうちの下方に向けられたものと前記連結部6の管路(図示せず)とを選択的に連通させるように構成されている。即ち、三つの前記ノズルヘッド10の種類が互いに異なっていれば、前記回転部8を回転させることにより、前記連結部6の管路(図示せず)に連通する前記ノズルヘッド10を用途に応じて選択することが可能である。
【0029】
図4は、ノズルヘッドの斜視図である。また、図5は、ノズルヘッドの側面断面図であり、図6は、図5の線VI-VIにおける断面図であり、図7は、図5の線VII−VIIにおける断面図である。
【0030】
図4〜図7に示すように、前記ノズルヘッド10は、大粒径の薬液LSを噴霧する大粒径噴霧口12と、大粒径の液滴LSよりも小さい小粒径の液滴SSを噴霧する小粒径噴霧口14とを有している。前記大粒径噴霧口12と前記小粒径噴霧口14は、前記ノズルヘッド10のノズル面16a、16bに設けられている。詳細には、同一平面上に位置する前記ノズル面16a、16bに、互いに平行なV字形断面の二つの溝18が形成され、前記それぞれの溝18に、円形断面のノズル孔20、22を設けられ、それにより、前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14が形成されている。前記ノズル孔20a、20bは、前記ノズルヘッド10内に設けられた部屋24に連通し、前記部屋24は、前記回転部8及び前記連結部6を介して前記管路5に連通している。
【0031】
本実施形態では、前記大粒径噴霧口12と前記小粒径噴霧口14との間において、前記ノズル面16a、16bから突出した突出部26が設けられ、前記ノズル面16a、16bが分離しているが、前記突出部26の代わりに凹部が設けられてもよいし、前記突出部26なしに、単一の前記ノズル面16a、16bが設けられていてもよい。また、前記ノズル面16a、16bは、同一平面上に位置する必要はなく、例えば、平行で異なる平面上に位置していても良いし、互いに傾斜する平面上に位置していてもよい。
【0032】
前記部屋24は、前記大粒径噴霧口12に通じる大粒径用の前記ノズル孔20が前記小粒径噴霧口14に通じる小粒径用のノズル孔22よりも長くなるように形成されることが好ましい。前記ノズル孔20、22の径の大きさは、同じであってもよいし、大粒径用の前記ノズル孔20が、小粒径用の前記ノズル孔22よりも大きくてもよく、例えば、1.0〜2.0mmである。前記ノズル孔20、22は、薬液が前記ノズルヘッド10内を流れるときに、薬液の流れを整流させる機能を有している。比較的短い小粒径用の前記ノズル孔20では、整流効果が小さく乱流が発生するので、比較的小さい平均粒径の液滴SSが前記小粒径噴霧口14から噴霧される。これに対して、比較的長い大粒径用のノズル孔20では、整流効果が大きいので、比較的大きい平均粒径の液滴LSが前記大粒径噴霧口12から噴霧される。大粒径用の前記ノズル孔20の長さは、例えば、2.0〜4.0mmであり、小粒径用の前記ノズル孔22の長さは、例えば、1.0〜2.0mmである。
【0033】
前記大粒径噴霧口12と前記小粒径噴霧口14とは、前記小粒径噴霧口14から噴霧された小粒径の液滴SSを、前記大粒径噴霧口12から噴霧された大粒径の液滴LSの流れに乗せて運ぶように、互いに近傍に配置されることが好ましい。前記大粒径噴霧口12と前記小粒径噴霧口14との間の距離L1(図5参照)は、例えば、10〜20mmである。
【0034】
また、前記小粒径噴霧口(14)から噴霧される小粒径の液滴(SS)の噴霧方向(SD)は、小粒径の液滴(SS)の噴霧範囲と大粒径の液滴(LS)の噴霧範囲に重なりができるように、前記大粒径噴霧口(12)から噴霧される大粒径の液滴(LS)の噴霧方向(LD)に対して実質的に平行に又は下流に向かって離れるように配置されることが好ましい。しかしながら、小粒径の液滴(SS)を大粒径の液滴(LS)の流れに乗せて運ぶことができれば、小粒径の液滴(SS)の噴霧方向(SD)が大粒径の液滴(LS)の噴霧方向(LD)に対して下流に向かって近づくように配置されてもよい。前記噴霧方向LD、LSはそれぞれ、前記ノズル孔20、22の軸線方向と一致する。
【0035】
図2に示すように、前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14から噴霧される液滴LS、SSが形成する噴霧パターンは、前記溝18が延びる第1の横方向Bと同じ方向に広がる互いに平行な扇形パターンP1、P2であることが好ましい。扇形パターンP1、P2は、前記第1の横方向Bと垂直な第2の横方向、即ち、前記扇形パターンP1、P2が扇形に見える方向Cに見て互いに重なるように配置されることが好ましい。また、前記大粒径噴霧口12から噴霧される扇形パターンP1は、前記小粒径噴霧口14から噴霧される扇形パターンP2と同等又はそれよりも広いことが好ましい。
【0036】
図1〜図3に示すように、液体噴霧ノズル装置1は、前記ブーム3a、3bに設けられた帯電装置30を有している。本実施形態では、前記液体噴霧ノズル4は、小粒径の液滴SSを帯電させるために前記小粒径噴霧口14に隣接して配置された電極32を有しており、前記帯電装置30は、電源ユニット34と、前記電源ユニット34から延びる比較低電圧の低圧線36a、36bと、前記低圧線36a、36bに接続された昇圧ユニット38a、38bと、前記昇圧ユニット38a、38b及び前記電極32に接続された比較的高電圧の高圧線40a、40bとを有している。前記昇圧ユニット38a、38bは、前記低電圧線36a、36bの低電圧を前記高圧線40a、40bの高電圧まで昇圧させる機能を有している。一方の前記昇圧ユニット38bは、前記先端側ブーム3bに取付けられ、前記本体側ブーム3aに対する前記先端側ブームの伸縮に対応して、前記一方の前記低圧線36bはコイル形態を有していることが好ましい。前記電極32及び前記帯電装置30は、前記ブーム3a、3bに対して絶縁されている。
【0037】
前記電極32は、板状であることが好ましく、前記小粒径噴霧口14から噴霧される扇形パターンと略平行に配置されることが好ましい。本実施形態では、前記電極32は、前記連結部6の前記先端部分6aに取付けられている。前記電極32に印加する印加電圧はアースに対して、例えば、2〜8kVである。
【0038】
また、前記液体噴霧ノズル4及び前記ノズルヘッド10は、従来の液体噴霧ノズル又はノズルヘッドと交換可能であることが好ましい。
【0039】
次に、前記液体噴霧装置1の動作を説明する。
【0040】
先ず、電極32に電圧を印加させないときの前記液体噴霧装置1の動作を説明する。前記ブーム3a、3bの管路5内の薬液をポンプ等の加圧装置(図示せず)によって加圧する。薬液の圧力は、前記連結部6及び前記回転部8を介して前記ノズルヘッド10の部屋24内の薬液に伝わり、それにより、前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14から薬液が噴霧される。薬液の圧力は、例えば、1〜3MPaである。
【0041】
前記大粒径噴霧口12から噴霧された大粒径の液滴LSは、従来の液体噴霧ノズルから噴霧された液滴と同様、目標物に到達しやすい。また、前記小粒径噴霧口14から噴霧された小粒径の液滴SSは、浮遊しやすい性質を有しているけれども、前記大粒径噴霧口12から噴霧された大粒径の液滴LSの流れに乗って運ばれる。詳細には、互いに近傍にある前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14から噴霧された液滴LS、SSは、それぞれの噴霧パターンである扇形パターンP1、P2に従って末広がりになると共に、前記第2の横方向Cに互いに引き寄せられ又は巻き込まれる。それにより、個々の噴霧パターンP1、P2に従って互いに重なる形式的な範囲よりも広い重なり範囲内に、大粒径の液滴LSと小粒径の液滴SSが共存することになる。前記液体噴霧ノズルから噴霧された下流において、小粒径の液滴SSの水平方向噴霧範囲が、大粒径の液滴LSの水平方向噴霧範囲に含まれることが好ましい。上記重なり範囲内及びその周辺においては、小粒径の液滴SSは、大粒径の液滴LSの流れに乗せられて運ばれ、それにより、浮遊することが妨げられ、目標物の近くまで素早く移動する。その結果、前記液体噴霧ノズル4は、浮遊しやすい小粒径の液滴SSを噴霧するけれども、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの到達性能と同程度の到達性能を維持することができ、ドリフトを低減することができる。
【0042】
また、前記液体噴霧ノズル4は、従来の比較的大きい平均粒径の液滴だけを噴霧する液体噴霧ノズル(大粒径ノズル)及び従来の比較的小さい平均粒径の液滴だけを噴霧する液体噴霧ノズル(小粒径ノズル)と比較して、散布量を少なくすることができる。詳細には、前記液体噴霧ノズル4から噴霧される液滴は、大粒径ノズルから噴霧される大粒径の液滴の一部を小粒径の液滴に置き換えたものに相当する。従って、前記液体噴霧ノズル4から噴霧される散布量が少なくなる。また、小粒径ノズルから噴霧される液滴は、液滴が浮遊しても目標物に到達する量を確保するために、散布量を多くする必要がある。これに対して、前記液体噴霧ノズル4は、小粒径の液滴SSが大粒径の液滴LSの流れに乗って運ばれるので、小粒径ノズルよりも散布量を少なくすることができる。
【0043】
大粒径の液滴LSに運ばれる小粒径の液滴SSは、大粒径の液滴LSが目標物に到達して概ね表側に付着した時点で解放され、目標物の近くにおいて浮遊する。それにより、小粒径の液滴SSは、目標物のウラ側に回りこんでそこに付着する。従って、前記液体噴霧ノズル4の付着性能を、従来の比較的大きい平均粒径の液滴を噴霧する液体噴霧ノズルの付着性能よりも向上させることができる。
【0044】
次に、前記電極32に電圧を印加させたときの前記液体噴霧装置1の動作を説明する。前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14から薬液が噴霧されるまでの動作は、電極32に電圧を印加させないときの動作と同じである。
【0045】
前記大粒径噴霧口12から噴霧された大粒径の液滴LSは、従来の液体噴霧ノズルから噴霧された液滴と同様、目標物に到達しやすい。また、前記電極32に電圧を印加させないときと同様、前記小粒径噴霧口14から噴霧された小粒径の液滴SSは、浮遊しやすい性質を有しているけれども、前記大粒径噴霧口12から噴霧された大粒径の液滴の流れに乗って運ばれる。
【0046】
前記液体噴霧ノズル4の付着性能を向上させるために小粒径の液滴SSを帯電させた場合、目標物のウラ側に付着させるのに必要な量(必要液滴量)の小粒径の液滴SSが目標物に到達すること、及び、目標物に到達した小粒径の液滴SSが目標物のウラ側に付着するのに必要な程度の帯電状態(必要帯電状態)にあることが要求される。前記小粒径噴霧口14から噴霧された小粒径の液滴SSは、前記電極32によって、必要帯電状態よりも帯電した状態になり、この帯電により、大粒径の液滴LSの流れに引き込まれやすくなる。また、大粒径の液滴LSも、前記小粒径噴霧口14に隣接して配置された前記電極32により、小粒径の液滴SSよりも微弱であるが、小粒径の液滴SSと同じ極性の電荷で帯電する。上記重なり領域及びその周辺において、小粒径の液滴SSは、その帯電により大粒径の液滴LSの流れに引き寄せられながらも、同じ極性の電荷の反発力により大粒径の液滴(LS)に吸収されることが防止される。詳細には、大粒径の液滴LSが帯電していなかったり小粒径の液滴SSと逆の極性の電荷に帯電していたりすると、小粒径の液滴SSが大粒径の液滴LSに吸着して吸収され、電荷が分散する結果、大粒径よりも大きくしかも必要帯電状態に達しない液滴が残るだけとなってしまう。本実施形態のように、大粒径の液滴LSが小粒径の液滴SSと同じ極性の電荷に帯電していれば、例え微弱ではあっても適度の反発力を生じて吸収が回避され、少なくとも必要液滴量の小粒径の液滴SSが大粒径の液滴LSの流れに乗って運ばれる。
【0047】
また、上述したように、小粒径の液滴SSは、大粒径の液滴LSの流れに乗せられて運ばれ、目標物の近くまで素早く移動する。このことによっても、小粒径の液滴SSは、必要帯電状態で目標物に到達する。詳細には、従来の比較的小さい粒径の液滴を帯電させると、小粒径の液滴SSが浮遊している間に次第に放電し、目標物に到達した時には、帯電していない状態になることがあった。しかしながら、本実施形態の液体噴霧ノズル4から噴霧された小粒径の液滴SSは、浮遊することが妨げられ、途中で飛散することもなく、大粒径の液滴LSによって素早く運ばれるので、放電する前に、必要帯電状態で目標物に到達することができる。
【0048】
その結果、本実施形態では、小粒径の液滴SSが大粒径の液滴LSの流れに引き込まれて、必要帯電状態で目標物に到達した後、あたかも至近距離から噴霧された場合と同様に目標物の近くにおいて浮遊する。その後、帯電した小粒径の液滴SSと作物が電気的に引き寄せられることによって、小粒径の液滴SSが目標物のウラ側にも回りこみ、そこに付着する。従って、前記液体噴霧ノズル4の付着性能を、前記電極32に電圧を印加させない場合よりも向上させることができる。特に、横風を受けたり目標物までの距離が長くなったりするほど、前記液体噴霧ノズル4の付着性能を、より顕著に向上させることができる。
【0049】
また、一般に、大粒径の液滴LSを帯電させるには、小粒径の液滴SSを帯電させるのに必要な印加電圧よりも高い印加電圧を必要とする。しかしながら、本実施形態では、小粒径の液滴SSを帯電させるのに必要な比較的低い電圧を印加するだけでよい。特に、既存のスプレーヤの液体噴霧ノズルを本実施形態の液体噴霧ノズルに交換する場合、大粒径の液滴LSを噴霧するにもかかわらず、比較的低い電圧用の装置を追加すればよいので、経済的であり、また帯電させるときの安全性を向上させることができる。
【0050】
また、前記大粒径噴霧口12から噴霧される比較的大粒径の液滴LSの平均粒径は、好ましくは、100〜500μmであり、更に好ましくは、200〜300μmである。また、前記小粒径噴霧口14から噴霧される小粒径の液滴SSの平均粒径は、好ましくは、10〜130μmであり、更に好ましくは、10〜100μmであり、更に好ましくは、30〜60μmである。
【0051】
本明細書における平均粒径とは、粒径測定値の累積の50%粒子径をいい、例えば、平均粒径100μmであれば、100μmよりも大きい粒径の液滴もそれよりも小さい粒径の液滴も同数存在することを意味する。この粒径測定値の累積の50%粒子径は、粒子体積による測定値の累積の平均値となる体積平均粒径と近似した数値となり、更に、頻度分布曲線上の最大頻度粒径とも近似した数値となるので、粒径の分布が100μmに集中していることも意味する。また、概略的には、大粒径とは、ドリフトを低減できる粒径をいい、小粒径とは、大粒径の液滴の流れに乗せて運ぶことができる粒径をいう。
【0052】
平均粒径の適正範囲について補足すれば、比較的大粒径の液滴LSの平均粒径上限値を例示したのは、300μmを超えると安定的な粒径分布を得ることに困難性を生じ、500μmを超えるとノズル構成の複雑化を避け難くなって商品としての現実味が乏しくなるからである。また、小粒径の液滴SSの平均粒径上限値を例示したのは、100μmを超えると浮遊性が低下し、130μmを超えると葉の裏側まで回り込み難くなるからである。また、小粒径の液滴SSの平均粒径下限値を例示したのは、平均粒径が10μmを下回ると噴霧粒子が蒸散し易くなるからである。したがって、前記大粒径噴霧口LSから噴霧される大粒径の液滴LSの平均粒径を200〜300μmとすれば、比較的簡素な構成でドリフトが少なく引き込み効果の大きな噴霧液滴が得られ、更に、前記小粒径噴霧口14からの噴霧される小粒径の液滴SSの平均粒径を30〜60μmとすれば、該小粒径噴霧口14からの殆どの噴霧液滴を浮遊性の高い10〜100μmの粒径範囲に分布させることができるので、葉の裏側まで回り込み易くなる共に、更に比較的低い電荷を付与するだけで付着性能を一層高めることができる。
【0053】
図8は、本発明による液体噴霧ノズルの第2の実施形態を示す側面図であり、図9は、図8の液体噴霧ノズルの底面図である。
【0054】
図8に示すように、変形例の液体噴霧ノズル50は、前記ブーム3a、3bの下面3cに取付けられ且つ前記下面3cから下方に延びる連結部52と、前記連結部52から延びる四つのノズルヘッド54、56を有している。一つの前記ノズルヘッド54は、前記連結部52の中心に配置され、小粒径の液滴SSを噴霧する小粒径噴霧口58を有している。三つの前記ノズルヘッド56は、前記一つのノズルヘッド54の周りに等間隔に配置され、大粒径の液滴LSを噴霧する大粒径噴霧口60を有している。前記小粒径噴霧口58から噴霧される液体は、中空円錐形パターンP3であることが好ましい。前記大粒径噴霧口60から噴霧される液体は、それぞれが扇形パターンP4であることが好ましい。更に、三つの前記ノズルヘッド56は、三つの扇形パターンP4が中空円錐型パターンP3を包囲するように配置されることが好ましい。前記ノズルヘッド54の周りには、電極62が配置されることが好ましい。
【0055】
このように構成された液体噴霧ノズル50によっても、上述した液体噴霧ノズル4と同様の動作、作用を行うことができる。
【0056】
次に、本発明による液体噴霧ノズルと従来の液体噴霧ノズルとを比較した実験を説明する。図10は、噴霧ノズルの実験を説明するための側方からの概略図である。図11は、噴霧ノズルの実験を説明するための正面からの概略図である。
【0057】
まず、表1に示す散布圧力、吐出量で、表1に示す平均粒径の液滴を噴霧する3つの液体噴霧ノズル装置を用意した。詳細には、本発明による液体噴霧ノズル装置の実施例(以下、「実施例」という。)では、大粒径噴霧口及び小粒径噴霧口からそれぞれ、平均粒径170μm及び94μmの液体蛍光塗料を噴霧した。また、従来の液体噴霧ノズル装置第1の例(以下、「比較例1」という。)では、平均粒径が180μmの液体蛍光塗料を噴霧し、第2の例(以下、「比較例2」という。)では、平均粒径123μmの液体蛍光塗料を噴霧した。これらのノズルの噴霧パターンは、いずれも扇形パターンである。
【0058】
【表1】

【0059】
次に、風がない状態における付着性能を調べる実験1を行った。ノズルを、図10に示すように、扇形パターンの平面と垂直な第2の横方向Cに0.3m/sで移動させながら、噴出口の高さから距離L2だけ下方に支持され且つアースされた50mm×50mmのアルミ板に向かって、液体蛍光塗料を散布した。アルミ板のウラ面(下面)に付着した蛍光塗料の付着状態を、液斑被覆面積率に対応した0〜10の11段階の目視判別による標準付着度指数(独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センター(略称:生研センター)平成3年度作成)を用いて、評価した。距離L2を、300mm、600mm、900mmの3種類に変化させて、また、印加電圧を0〜10kVの範囲で変化させて、実験1を行った。
【0060】
次に、自然風がある状態における付着性能を調べる実験2を行った。実験2は、扇形パターンの平面に沿う第1の横方向Bに扇風機によって1m/sの送風を行ったこと以外、上述した実験1と同じである。
【0061】
図12及び図13はそれぞれ、実験1及び実験2の実験結果を示す図である。
【0062】
前記電極32に電圧を印加させた場合、特に送風のある実験2において、本発明による前記液体噴霧ノズル4の付着指数は、従来の液体噴霧ノズルの付着指数よりも著しく大きくなった。また、従来の液体噴霧ノズルと同程度の付着指数で付着させる場合、従来の液体噴霧ノズルよりも低い印加電圧で充分であることが確認された。
【0063】
前記電極32に電圧を印加させない場合、実験1及び実験2によれば、本発明による前記液体噴霧ノズル4と、従来の液体噴霧ノズルとの間には、付着指数においては有意な差が認められなかった。しかしながら、本発明による前記液体噴霧ノズル4の到達性能とドリフト低減効果は、小粒径の液滴SSを噴霧するにもかかわらず、大粒径の液滴LSを噴霧する場合と比較して遜色のないことを確認できた。したがって、本発明による前記液体噴霧ノズル4は、前記電極32を省略した形態のものであってもよく、この場合、既販の噴霧装置にそのまま適用しても優れた到達性能とドリフト低減効果を発揮できる。更に、従来の比較的大きい平均粒径の液滴だけを噴霧する液体噴霧ノズル及び従来の比較的小さい平均粒径の液滴だけを噴霧する液体噴霧ノズルと比較して、散布量を少なくすることができる。加えて、前記電極32を前記小粒径噴霧口14に隣設させるだけで葉裏への付着性能が重要となる対象作物に最適な噴霧装置となり得る。従って、前記電極32を省略した形態の前記液体噴霧ノズル4であっても、将来の前記電極32の取付けに即座に対応可能であり、噴霧薬液の性状や環境条件等も含む広範な市場要求に対応することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0065】
上記第1の実施形態の液体噴霧ノズル4では、扇形パターンを採用し、上記第2の実施形態の液体噴霧ノズル50を採用したけれども、小粒径の液滴が大粒径の液滴の流れに乗って運ばれれば、噴霧パターンの形状及び組み合わせは任意である。例えば、噴霧パターン形状は、上述した扇形又は中空円錐形であってもよいし、直進形等であってもよい。
【0066】
また、上記第1の実施形態では、単一のノズルヘッド10に、前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14を設けたけれども、それらを別々のノズルヘッドに設けて、2頭口形態としても良い。前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14を有する単一のノズルヘッド10は、複数のノズルヘッドと比較して、軽量であり且つコスト削減が可能である。
【0067】
前記大粒径噴霧口12及び前記小粒径噴霧口14に加えて、大粒径の液滴(LS)よりも小さく且つ小粒径の液滴(SS)よりも大きい中粒径の液滴(MS)を噴霧する中粒径噴霧口を有していてもよい。中粒径の液滴の噴霧パターン、数及び配置等は、任意であるり、前記大粒径噴霧口12、前記小粒径噴霧口14及び前記中粒径噴霧口は、単一のノズルヘッド10に設けられてもよいし、別々のノズルヘッドに設けられていてもよい。中粒径の液滴は、大粒径の液滴(LS)に対しては小粒径の液滴(SS)のように機能し、小粒径(SS)の液滴に対しては大粒径の液滴(LS)のように機能することが好ましい。
【0068】
上記実施形態では、前記散布機2がスプレーヤーである場合を説明したが、散布機は、乗用管理機等の走行式散布機であってもよいし、手持ち又は肩掛け式の散布機であってもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、前記電極32が前記液体噴霧ノズル4、50に取付けられていたが、ブーム3a、3b等の散布機2側に取付けられていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1の実施形態による液体噴霧ノズル装置が取付けられたスプレーヤーのブームの正面図である。
【図2】本発明による液体噴霧ノズル装置の拡大正面図である。
【図3】本発明による液体噴霧ノズル装置の側面図である。
【図4】ノズルヘッドの斜視図である。
【図5】ノズルヘッドの側面断面図である。
【図6】図5の線VI-VIにおける断面図である。
【図7】図5の線VII−VIIにおける断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態による液体噴霧ノズルを示す側面図である。
【図9】図8の液体噴霧ノズルの底面図である。
【図10】噴霧ノズルの実験を説明するための側方からの概略図である。
【図11】噴霧ノズルの実験を説明するための正面からの概略図である。
【図12】送風無しの場合の実験結果を示す図である。
【図13】送風有りの場合の実験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0071】
2 スプレーヤー(散布機)
4、50 液体噴霧ノズル
10、54、56 ノズルヘッド
12、60 大粒径噴霧口
14、58 小粒径噴霧口
32、62 電極
LD 噴霧方向
LS 大粒径の液滴
SD 噴霧方向
SS 小粒径の液滴
P1 扇形パターン
P2 扇形パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴霧する液体噴霧ノズル(4)であって、
大粒径の液滴(LS)を噴霧する大粒径噴霧口(12)と、
大粒径の液滴(LS)よりも小さい小粒径の液滴(SS)を噴霧する小粒径噴霧口(14)を有し、
前記小粒径噴霧口(14)から噴霧された小粒径の液滴(SS)を、前記大粒径噴霧口(12)から噴霧された大粒径の液滴(LS)の流れに乗せて運ぶように、前記大粒径噴霧口(12)と前記小粒径噴霧口(14)とが近傍に配置されることを特徴とする液体噴霧ノズル(4)。
【請求項2】
前記小粒径噴霧口(14)から噴霧される小粒径の液滴(SS)の噴霧方向(SD)は、小粒径の液滴(SS)の噴霧範囲と大粒径の液滴(LS)の噴霧範囲に重なりができるように、前記大粒径噴霧口(12)から噴霧される大粒径の液滴(LS)の噴霧方向(LD)に対して実質的に平行に又は下流に向かって離れるように配置されることを特徴とする請求項1に記載の液体噴霧ノズル(4)。
【請求項3】
小粒径の液滴(SS)は、前記小粒径噴霧口(14)から扇形パターン(P2)で噴霧され、大粒径の液滴(LS)は、前記大粒径噴霧口(12)から、小粒径の液滴(SS)の扇形パターン(P2)と同等またはそれよりも広い扇形パターン(P1)で噴霧されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴霧ノズル(4)。
【請求項4】
単一のノズルヘッド(10)を有し、前記単一のノズルヘッド(10)に、前記大粒径噴霧口(12)及び前記小粒径噴霧口(14)が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体噴霧ノズル(4)。
【請求項5】
前記大粒径噴霧口(12)から噴霧される大粒径の液滴(LS)の平均粒径は、100〜500μmであり、前記小粒径噴霧口(14)から噴霧される小粒径の液滴(SS)の平均流径は、10〜130μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体噴霧ノズル(4)。
【請求項6】
更に、大粒径の液滴(LS)よりも小さく且つ小粒径の液滴(SS)よりも大きい中粒径の液滴を噴霧する中粒径噴霧口を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体噴霧ノズル(4)。
【請求項7】
小粒径の液滴(SS)を帯電させるために前記小粒径噴霧口(14)に隣接して配置された電極(32)を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体噴霧ノズル(4)。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体噴霧ノズル(4)を有する散布機(2)。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体噴霧ノズル(4)と、
小粒径の液滴(SS)を帯電させるために前記小粒径噴霧口(14)に隣接して配置された電極(32)を有することを特徴とする散布機(2)。
【請求項10】
液体を噴霧するノズルヘッド(10)であって、
大粒径の液滴(LS)を噴霧する大粒径噴霧口(12)と、
大粒径の液滴(LS)よりも小さい小粒径の液滴(SS)を噴霧する小粒径噴霧口(14)を有し、
前記小粒径噴霧口(14)から噴霧された小粒径の液滴(SS)を、前記大粒径噴霧口(12)から噴霧された大粒径の液滴(LS)の流れに乗せて運ぶように、前記大粒径噴霧口(12)と前記小粒径噴霧口(14)とが近傍に配置されることを特徴とするノズルヘッド(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−56427(P2009−56427A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−227673(P2007−227673)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【出願人】(000141990)株式会社共立 (110)
【Fターム(参考)】