説明

液体塗布方法及び装置

【課題】ノズルへ固形粒子を含む液体を供給するために、液体内における粒子の分散を促進する方法を提供する。
【解決手段】液体供給タンク(1)内の液体を第一ポンプ(2)で第一ガン(4)へ圧送する工程と、第一ガン(4)を間欠的に開閉することにより分散具(5)で液体を分散させる工程と、液体を圧力容器(3)内で所定圧力(P1)に維持する行程と、圧力容器(3)内の液体をノズル(10)へ圧送する工程と、液体をノズル(10)から被塗物(11)へ塗布する工程と、余剰の液体をノズル(10)から液体供給タンク(1)へ戻す工程とからなる液体塗布方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体、特に、固形粒子などの固形物を含む液体の塗布方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固形粒子を含む液体を塗布するために、固形粒子の沈降を防止する方法が考えられている。特許文献1は、固形粒子を含む液体を吐出させる方法及び装置を開示している。特許文献1では、二つ以上のシリンジを設け、シリンジの間を流通路で連通している。流通路には、自動吐出バルブが設けられている。一方のシリンジに圧縮空気で圧力を掛けて、液体を一方のシリンジから流通路を通して他方のシリンジへ流す。流通路を流れている液体を自動吐出バルブから吐出するので、液体中の固形粒子を沈降させることなく正確に液体を吐出することができる。
【0003】
また、特許文献2は、固形粒子を含む液体を移動するウエブにスロットノズルから塗布する塗布方法を開示している。スロットノズルは、スリットと液溜めとからなる。液体は、液体供給タンクからスロットノズルへポンプにより供給される。ウエブへの塗着量よりも過剰の液体を液溜めへ供給し、スリットから塗布されなかった余剰の液体をスロットノズルの排出口から別のポンプで強制的に引抜き、液体供給タンクへ戻す。
【0004】
また、特許文献3は、シムを使用したスロットノズルを開示している。スロットノズルは、上ブロックと、下ブロックと、上ブロックと下ブロックとの間に配置されたシムとからなる。シムは、塗布膜の両端部に盛り上がり部分が発生しないように、その側面がテーパー状に加工されている。下ブロックには、長手方向(横方向)に沿ってマニホールド(キャビティ)が形成されている。マニホールドは、液体供給管に連通している。
そのほか、特許文献4も、シムを使用したスロットノズルを開示している。
【0005】
また、特許文献5は、コートハンガー形のスロットノズルを開示している。スロットノズルは、液体を受け入れる入口と、入口に連通したマニホールドと、マニホールドに連通したスリットと、液体を吐出するスリットの開口とからなる。入口から受け入れた液体を左右方向へ分散してスリットの開口から均一に液体を塗布するために、マニホールドは、コートハンガー形に形成されている。
なお、マニホールドをこのようなコートハンガー形に形成すれば、固形粒子を含む液体の幅方向の分散性をよくし、固形粒子のよどみやたまりを防止することもできる。また、液体の幅方向の速度分布(流量分布)もほぼ均一にすることができる。しかし、スロットノズルの入口からリップまでの長さが長くなるという問題がある。
【0006】
また、特許文献6は、液体をスロットノズルと液体供給タンクとの間で循環させるシステムを開示している。スロットノズルのマニホールドの両端部を排液路に通じるようにし、液体の一部を排液路へ排出する。排液路は、還流管を介して液体供給タンクに接続されている。このシステムを用いることにより、スロットノズルに設けられたシヤツターの開閉があっても、マニホールドからスロットノズルの吐出口までに存在する液体の圧力変動を少なくすることが可能となり、塗布の開始から停止まで液体を均一に吐出させ、塗布膜の厚みを均一にすることができる。
【0007】
【特許文献1】特開2003−300000号公報
【特許文献2】特開平2−241573号公報
【特許文献3】特開2004−305955号公報(図1、図2)
【特許文献4】特開平11−188301号公報(図7)
【特許文献5】特開2001−286806号公報(段落0017、図2、図3(B))
【特許文献6】特開平10−28915号公報(図6、請求項4、段落0017、段落0025、段落0028)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、特許文献3に記載されているように、従来のスロットノズルは、スロットノズルの長手方向(幅方向)に延在する細長いチャンネル状のマニホールド(キャビティ)が設けられている。このようなマニホールドを形成したスロットノズルにおいて、例えば、液体を供給するための入口をこのマニホールドの中央部に連通させ、固形粒子を含む液体をスロットノズルの中央部の入口へ供給する構成とすると、液体は、マニホールドの中央部からマニホールドに沿って互いに反対方向へ流れつつ、マニホールドに連通するスリットを通して被塗物へ塗布される。この場合、液体の流れが互いに衝突することがないので、塗膜に合流筋が発生しないので好ましい。しかしながら、マニホールドの両端部の流れの、シム開口で形成されるスロットへの方向変換個所(隅部)において固形粒子や泡が沈降して溜まり、この溜まった粒子等が時々排出される等して、粒子分布が均等な塗膜を安定して得られないという問題点がある。
【0009】
このマニホールドの両端部の粒子の溜りを防ぎ、粒子の分散状態を保ったまま幅方向均等に液体を流出させる方法として、特許文献5に記載されるような、マニホールドをコートハンガー形にすることが考えられる。しかしこの場合においては、スロットノズルの長さ(スロットノズルのマニホールドの入口からスリットの吐出口までの長さ)が長くなりスロットノズルが大型化するという問題がある。
【0010】
上記のような問題を解決するために、特許文献2に記載されているような循環型のスロットノズルを使用することが好ましい。このような循環型のスロットノズルを使用する場合に、スロットノズルへ固形粒子を含む液体を供給する液体塗布装置において、液体内における粒子の分散を促進する方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決する為に本発明では次のような液体塗布方法とした。
すなわち、液体供給タンク(1)内の液体を第一ポンプ(2)で第一ガン(4)へ圧送する工程と、第一ガン(4)を間欠的に開閉することにより分散具(5)で液体を分散させる工程と、液体を圧力容器(3)内で所定圧力(P1)に維持する行程と、圧力容器(3)内の液体をノズル(10、20、40、50、70)へ圧送する工程と、液体をノズル(10、20、40、50、70)から被塗物(11、22)へ塗布する工程と、余剰の液体をノズル(10、20、40、50、70)から液体供給タンク(1)へ戻す工程とを設けた液体塗布方法とした。
また、大気圧に開放されている液体を貯蔵する液体供給タンク(1)と、所定圧力(P1)で液体を貯蔵する圧力容器(3)と、液体供給タンク(1)内の液体を圧力容器(3)へ圧送する第一ポンプ(2)と、第一ポンプ(2)と圧力容器(3)との間に配置された第一ガン(4)と、第一ガン(4)と圧力容器(3)との間に配置された乱流分散具(5)と、圧力容器(3)内の液体を被塗物(11、22)へ塗布し、余剰の液体を液体供給タンク(1)へ戻すノズル(10、20、40、50、70)とを設けた液体塗布装置(100)とした。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、液体中の粒子沈降を防いで、粒子が均一に分散された液体を塗布することができ、特に有用になるものである。
本発明の実施例の液体の戻り出口を有するスロットノズルを用いることにより、合流筋のない塗膜を形成することができる。
本発明の実施例によれば、ノズルブロックの液体供給流路としてのマニホールドでの液体のよどみを防止し、また、流路の洗浄を可能にすることができる。
本発明の実施例によれば、スロットノズルのマニホールド入口からスリット出口までの距離を短くすることができる。また、粒子が均等に分散された液体を、スロットノズルの幅方法の分布を均一(均等膜厚)にして塗布できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を、好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施例1による液体塗布装置100を示す図である。
液体供給タンク1は、大気に開放されている。液体供給タンク1は、導管L1を介して第一ポンプ2に連通している。導管L1は、液体供給タンク1の底部に接続されている。第一ポンプ2は、導管L2を介して圧力容器3に連通している。第一ガン(開閉弁)4及び分散具としての乱流分散具5は、導管L2に設けられている。第一ポンプ2の下流に第一ガン4が設けられ、第一ガン4の下流に乱流分散具5が設けられ、乱流分散具5の下流に圧力容器3が設けられている。第一ポンプ2は、液体を液体供給タンク1から第一ガン4及び乱流分散具5を介して圧力容器3へ圧送する。
【0015】
圧力容器3は、例えばプレッシャポットとされ、導管L3を介して圧縮空気源6に連通している。導管L3には、高感度リリーフ付きレギュレータ7及び電磁弁8が設けられている。圧縮空気は、圧縮空気源6から圧力容器3へ供給される。圧力容器3は、高感度リリーフ付きレギュレータ7及び電磁弁8により所定圧力P1に保たれている。圧力容器3内の液体は、レベルコントローラー9によりその液面の高さが一定に保たれている。
【0016】
第一ポンプ2から圧送される液体に脈動があっても、高感度リリーフ付きレギュレータ7により、圧力容器3は、所定圧力P1に保たれる。
【0017】
圧力容器3は、導管L4を介してノズル10に連通している。導管L4は、圧力容器3の底部に接続されている。ノズル10は、導管L5を介して液体供給タンク1に連通している。ノズル10は、圧力容器3から導管L4を介して所定圧力P1で供給された液体を被塗物11へ塗布する。余剰の液体は、ノズル10から導管L5を介して液体供給タンク1へ戻され、以降、圧力容器3へ供給されて循環使用される。
【0018】
液体供給タンク1内の液体が消費されると、補充タンク12から液体が補給される。補充タンク12の底部に導管L6が接続されている。導管L6には、第二ポンプ13が設けられている。第二ポンプ13は、補充タンク12から液体を第二ガン(開閉弁)14へ圧送する。第二ガン14は、導管L7を介して液体供給タンク1に連通している。第二ガン14は、余剰の液体を導管L8を介して補充タンク12へ戻し液体を循環させる。また、第二ガン14を間欠的(パルス的)に開閉させて第二ポンプ13の吐出圧で粒子の液体中への分散を良好にさせると良い。
【0019】
なお、補充タンク12内の液体を圧力容器3へ補充してもよい。この場合には、導管L7に三方弁15を設け、三方弁15と圧力容器3とを導管L9で連通する。三方弁15を切り換えることにより、補充タンク12内の液体を圧力容器3へ圧送することができる。
【0020】
液体としては、混ぜたら均等に混合されるが静止状態では成分が互いに分離するような液体又は溶融体、ポリマーと貧溶液の混合体、又は固形粒子や繊維などの固形物を含む液体を適用できる。固形物としては、ポリマー、有機物、無機物、あるいは燐光体などを適用できる。液体は、比較的大きい粒子の混ざった液体である粉体スラリーや、小さい粒子の混ざった液体であるディスパージョン(分散液)又はサスペンションであってもよい。あるいは、液体としては、固形粒子を含んでも含まなくても、相溶性の悪い二種以上の混合液体を適用することもできる。また、それ自体分離し得るポリマーだけの液を適用することもできる。本実施例で使用した液体は、燐光体としての3種類の燐光体(レッドR、グリーンG、ブルーB)と、結合剤(バインダ)と、溶剤とからなる。この3種類の燐光体R、G、Bは、それぞれ粒径、比重が異なり、粒径は3〜5マイクロメートルの粒子であり、比重は3〜5である。これら燐光体、結合剤、溶剤からなる液体の固形分は約50%であり、該液体の粘度は200ミリパスカル秒(mPa・s)である。該燐光体の固形粒子は、1分〜5分で沈殿する。
【0021】
固形粒子を含む液体は、固形粒子が沈殿しないように、常に分散状態にあることが好ましい。このため、液体塗布装置100は、液体供給タンク1と圧力容器3との間に、第一ポンプ2、第一ガン4、及び乱流分散具5を設けている。さらに、液体塗布装置100は、液体を、液体供給タンク1から、導管L1、第一ポンプ2、第一ガン4、乱流分散具5、導管L2、圧力容器3、導管L4、ノズル10、及び導管L5を介して、液体供給タンク1へ循環させている。これによって、固形粒子の沈降、沈殿、堆積、凝集を防止できると共に粒子の分散を助けている。
【0022】
第一ポンプ2は、図2に示すように、ピストンポンプであるとよい。ギアポンプは、固形粒子をかむおそれがあるが、ピストンポンプではそのようなおそれがないからである。ピストンポンプ2は、シリンダー2aと、シリンダー2a内を両方向矢印Aで示す方向に往復動するピストン2bとからなる。ピストンポンプ2の入口2cと出口2dにそれぞれ逆止め弁16、17が設けられている。逆止め弁16は、ピストンポンプ2から液体供給タンク1への逆流を防止する。逆止め弁17は、第一ガン4からピストンポンプ2への逆流を防止する。ピストン2bを両方向矢印Aで示す方向に往復動させることにより、液体を第一ガン4へ向けて圧送する。
【0023】
第一ガン4は、液体を乱流分散具5へ向けて間欠的(断続的、パルス的)に吐出する。第一ガン4の吐出サイクルは、図3(a)に示すように、例えば一周期約10秒につき約0.05秒〜2秒の間液体を吐出する。また、図3(b)に示すように、例えば一周期約0.1秒につき約0.01秒吐出といった極短時間周期で極短時間、液体を吐出するようにしてよい。この図3(a)、(b)は、ポンプ吐出圧P2に脈動がなく液体を一定圧で連続して吐出(排出)するデュアルピストン・デュアルアクティング型ピストンポンプを使用した場合の間欠開閉パターンを示している。また、第一ガン4の吐出サイクルは、図4(a)、(b)に示すように、ピストンポンプ2で圧力をかけている間に、第一ガン4を開くようにしてもよい。即ちピストンポンプとして図2に示すようなシングルピストン・シングルアクティング型ポンプを用いる場合には、ポンプ2がピストン2bで液体を一方向に加圧圧縮して吐出している間の吐出圧P2が作用している間に第一ガン4を開くサイクルとして第一ガン4を間欠(パルス)開閉させる。図4(a)はポンプ吐出圧P2が作用している間に第一ガン4を一度開かせる場合を示し、図4(b)はポンプ吐出圧P2が作用している間に第一ガン4を複数回開かせる場合を示す。前記両タイプのピストンポンプはエアー駆動のバランスフィード型が採用され、吐出した量のみを押し込み、その後は一定圧でバランスする。これにより電動駆動式のピストンポンプやギアポンプのような圧の異常上昇は起こることはない。なお、前記の第一ガン4の開閉パターンは一例であり、第一ガン4の開時間、閉時間、開閉サイクル(周期)は液体の種類やそれに含まれる粒子の性状等に応じて種々の異なるパターンを採用する。
【0024】
第一ガン4の下流に配置された乱流分散具5は、絞り部5aが設けられている。絞り部5aへ流入した液体は、絞り部5aの出口で乱流を生じさせ、3種類の燐光体(レッドR、グリーンG、ブルーB)と溶剤とを混合し、溶剤内の燐光体の分散をよくする。即ち、3種類の燐光体粒子の互いの粒子の凝集を防ぎ、各粒子が液中に拡散して分散されるようにする。乱流分散具5としては、例えば、オリフィスを用いることができる。また、分散具として乱流分散具5の代りに衝突分散具を用いてもよい。この衝突分散具は、分散具の流路の中で液体と液体を衝突させることにより、又は液体を衝突板に衝突させることにより、分散を良くするものである。
【0025】
ピストンポンプ2の最大圧力P2は、圧力容器3の所定圧力P1、即ち該圧力容器3の出口の導管L4の液体の圧力P1、よりも高く設定される。ピストンポンプ2の最大圧力P2は、圧力容器3の所定圧力P1の3〜5倍であると好ましい。また、取扱う固形粒子の性状に応じて分散をさらに促進するために6〜10倍、又は10倍以上とすることもある。該圧力容器3の所定圧力P1は例えば10KPa(0.1kg/cm)乃至100KPa(1.0kg/cm)とされる。
【0026】
ノズル10は、スプレイノズルまたはスロットノズルである。本実施例においては、スプレイノズルを使用した。当該スプレイノズル10に供給される液体は、第一ガン4の間欠的な開閉による液中への衝撃波の付与作用とそれに基づく乱流分散具5での乱流発生作用により粒子の拡散が一層良好にされて粒子が均一に分散されている。それにより、スプレイノズル10によって3種類の燐光体R、G、Bでなる固形粒子が均一に分散された液体をスプレイ(噴霧)して被塗物11に塗布することができる。
【実施例2】
【0027】
実施例2は、図1の実施例1の液体塗布装置100において、スプレイノズル10の代わりに、スロットノズル20を使用している。実施例2のスロットノズル20以外の部分の液体塗布装置は、実施例1の液体塗布装置100と同様であるので説明を省略する。
【0028】
図5は、本発明の実施例2によるスロットノズルの説明図である。図6は、本発明の実施例2によるスロットノズルの縦断面図である。
【0029】
スロットノズル20は、バックアップローラー21上のウエブ22に液体を塗布する。図6に示すように、バックアップローラー21が矢印Bで示す方向に回転して、ウエブ22を矢印Cで示す方向に搬送する。スロットノズル20は、ウエブ22に接触している。
【0030】
スロットノズル20は、下ブロック23と、上ブロック24と、下ブロック23と上ブロック24との間に挟まれたシム25とからなる。下ブロック23の上面23aに、マニホールド23bが形成されている。マニホールド23bは、スロットノズル20の長手方向に延在する樋状の溝である。下ブロック23は、入口23cが設けられており、入口23cは、下ブロック23の略中央でマニホールド23bと連通している。下ブロック23は、二つの出口23d、23eが設けられており、二つの出口23d、23eは、スロットノズル20の両端部でマニホールド23bに連通している。
【0031】
シム25は、薄板でつくられており、幅W及び長さLの切り欠き部25aが設けられている。上ブロック24の下面24a、下ブロック23の上面23a、及びシム25の切り欠き部25aにより、スロット26が形成される。
【0032】
供給ガン27は、入口23cに取り付けられている。供給ガン27は、導管L4に接続されている。供給ガン27は、導管L4を介して圧力容器3の液体排出口に連通している。
戻りガン28は、出口23dに取り付けられている。戻りガン28は、導管L10に接続されている。戻りガン28は、導管L10を介して液体供給タンク1に連通している。導管L10には、絞り弁(ニードル弁)29が設けられている。
戻りガン30は、出口23eに取り付けられている。戻りガン30は、導管L11に接続されている。戻りガン30は、導管L11を介して液体供給タンク1に連通している。導管L11には、絞り弁(ニードル弁)31が設けられている。前記液体戻り導管L10、L11は、図1の戻り導管L5の代りに液体供給タンク1に接続される。
【0033】
圧力容器3から液体を、導管L4、供給ガン27、入口23cを介してマニホールド23bへ供給する。液体は、左右両端方向へ、すなわち、矢印D及びEで示す方向に流れつつ、スロット26を通してリップ32からウエブ22に吐出され塗布される。
【0034】
実施例2のスロットノズル20は、スロットノズル20のほぼ中央部で液体をマニホールド23bへ供給し、スロットノズル20の両端部で液体をマニホールド23bから排出する。これによって、塗膜に合流筋を生じることなく液体を塗布することができる。また、固形粒子を含んだ液体のよどみやたまりは、マニホールド23bのいずれの位置にも生じない。当該マニホールド23bに供給される液体は、第一ガン4の開閉による液中への衝撃波の付与作用と乱流分散具5の作用により粒子が均一に分散されている。したがって、固形粒子が均一に分散された液体をマニホールド23b内で合流させることなくスロットノズル20のリップ32から吐出して、ウエブ22に塗布することができる。すなわち、固形粒子を含んだ液体を均一に塗布して合流筋のない塗膜を形成することができる。さらに、マニホールド23bには、流路に死腔がないので、マニホールド23bを容易に洗浄することができる。
【0035】
供給ガン27及び二つの戻りガン28、30は、運転開始時に同時にオン(開)され、また、運転停止時に同時にオフ(閉)される。戻りガン28、30の下流にそれぞれ設けられた絞り弁(ニードル弁)29、31は、液体の戻り量を調節する。それによって、スロット26の吐出圧力の左右バランスをとる。
【0036】
なお、粒子の沈降速度の遅い液体の場合は、供給ガン27及び二つの戻りガン28、30の全てを開・閉させることにより間欠塗布運転も可能である。
また、供給ガン27及び二つの戻りガン28、30は、弁と弁座の開き間隔を調整可能なガンとして絞り機能を持たせると共に、オンオフ(開閉)動作が可能なガンを採用することもできる。この場合は、これらのガンと前記絞り弁29、31を併用して絞りを調整することができる。
【実施例3】
【0037】
実施例3は、実施例1の液体塗布装置100において、スプレイノズル10の代わりに、スロットノズル40を使用している。実施例3のスロットノズル40以外の部分の液体塗布装置は、実施例1の液体塗布装置100と同様であるので説明を省略する。
【0038】
図7は、本発明の実施例3によるスロットノズルの説明図である。実施例2と同様に、スロットノズル40は、バックアップローラー21の回転により移動するウエブ22に接触して、ウエブ22に液体を塗布する。
【0039】
スロットノズル40は、下ブロック41と、上ブロック(不図示)と、下ブロック41と上ブロック(不図示)との間に挟まれたシム42とからなる。下ブロック41の上面41aに、マニホールド41bが形成されている。マニホールド41bは、スロットノズル40の長手方向に延在する樋状の溝である。下ブロック41は、入口41cが設けられており、入口41cは、下ブロック41の一端部でマニホールド41bと連通している。下ブロック41は、出口41dが設けられており、出口41dは、スロットノズル40の他端部でマニホールド41bに連通している。
【0040】
シム42は、薄板でつくられており、幅W及び長さLの切り欠き部42aが設けられている。上ブロックの下面(不図示)、下ブロック41の上面41a、及びシム42の切り欠き部42aにより、スロット43が形成される。
【0041】
供給ガン44は、入口41cに取り付けられている。供給ガン44は、導管L4に接続されている。供給ガン44は、導管L4を介して圧力容器3に連通している。
戻りガン45は、出口41dに取り付けられている。戻りガン45は、導管L5に接続されている。戻りガン45は、導管L5を介して液体供給タンク1に連通している。
【0042】
圧力容器3から液体を、導管L4、供給ガン44、入口41cを介してマニホールド41bへ供給する。液体は、一方向へ、すなわち、矢印Fで示す方向に流れつつ、スロット43を通してリップ46からウエブ22に吐出される。
【0043】
実施例3のスロットノズル40は、スロットノズル40の一端部で液体をマニホールド41bへ供給し、マニホールド41bに一方向流れをつくり、スロットノズル20の他端部で液体をマニホールド41bから排出する。これによって、塗膜に合流筋を生じることなく液体を塗布することができる。また、固形粒子を含んだ液体のよどみやたまりは、マニホールド41bのいずれの位置にも生じない。したがって、固形粒子が均一に分散された液体をマニホールド41b内で合流させることなくスロットノズル40のリップ46から吐出して、ウエブ22に塗布することができる。すなわち、固形粒子を含んだ液体を均一に塗布して合流筋のない塗膜を形成することができる。さらに、マニホールド41bには、流路に死腔がないので、マニホールド41bを容易に洗浄することができる。
【実施例4】
【0044】
実施例4は、実施例1の液体塗布装置100において、スプレイノズル10の代わりに、スロットノズル50を使用している。実施例4のスロットノズル50以外の部分の液体塗布装置は、実施例1の液体塗布装置100と同様であるので説明を省略する。
【0045】
図8は、本発明の実施例4によるスロットノズルの説明図である。実施例2と同様に、スロットノズル50は、バックアップローラー21の回転により移動するウエブ22に接触して、ウエブ22に液体を塗布する。
【0046】
スロットノズル50は、下ブロック51と、上ブロック(不図示)と、下ブロック51と上ブロック(不図示)との間に挟まれたシム52とからなる。下ブロック51の上面51aに、マニホールド51bが形成されている。マニホールド51bは、スロットノズル50の長手方向に延在する樋状の溝である。下ブロック51は、三つの入口51c、51d、51eが設けられている。入口51cは、下ブロック51の略中央でマニホールド51bと連通している。入口51d及び51eは、それぞれ入口51cの両側に設けられている。入口51dは、中央の入口51cとスロットノズル50の一端部との間の略中央でマニホールド51bに連通しているとよい。入口51eは、中央の入口51cとスロットノズル50の他端部との間の略中央でマニホールド51bに連通しているとよい。下ブロック51は、二つの出口51f、51gが設けられており、二つの出口51f、51gは、スロットノズル50の両端部でマニホールド51bに連通している。
【0047】
シム52は、薄板でつくられており、幅W及び長さLの切り欠き部52aが設けられている。上ブロックの下面(不図示)、下ブロック51の上面51a、及びシム52の切り欠き部52aにより、スロット53が形成される。
【0048】
三つの供給ガン54、55、56は、三つの入口51c、51d、51eにそれぞれ取り付けられている。三つの供給ガン54、55、56は、導管L4から分岐した三つの導管L12、L13、L14にそれぞれ接続されている。三つの供給ガン54、55、56は、それぞれの導管L12、L13、L14及び導管L4を介して圧力容器3に連通している。
【0049】
戻りガン57は、出口51fに取り付けられている。戻りガン57は、導管L15に接続されている。戻りガン57は、導管L15を介して液体供給タンク1に連通している。導管L15には、絞り弁(ニードル弁)58が設けられている。
戻りガン59は、出口51gに取り付けられている。戻りガン59は、導管L16に接続されている。戻りガン59は、導管L16を介して液体供給タンク1に連通している。導管L16には、絞り弁(ニードル弁)60が設けられている。前記液体戻り導管L15、L16は図1の液体戻り導管L5の代りに液体供給タンク1に接続される。
【0050】
圧力容器3から液体を、導管L4、導管L12、L13、L14、供給ガン54、55、56、入口51c、51d、51eを介してマニホールド51bへ供給する。入口51cからの液体は、左右両側へ、すなわち、矢印G及びHで示す方向に流れつつ、スロット53を通してリップ63からウエブ22に吐出される。入口51dからの液体は、矢印Iで示す方向に流れる。入口51cからの液体と入口51dからの液体が、合流して合流筋61を形成する。入口51eからの液体は、矢印Jで示す方向に流れる。入口51cからの液体と入口51eからの液体が、合流して合流筋62を形成する。
【0051】
実施例2及び実施例3によるスロットノズルを用いることにより、このような合流筋の発生を防止することができる。しかし、このような合流筋を許容できる製品においては、実施例4のスロットノズル50を用いることができる。
【0052】
実施例4のスロットノズル50は、スロットノズル50の中央部の三箇所から液体をマニホールド51bへ供給し、スロットノズル50の両端部で液体をマニホールド51bから排出する。
【0053】
戻りガン57、59の下流にそれぞれ設けられた絞り弁(ニードル弁)58、60は、液体の戻り量を調節する。それによって、スロット53の吐出圧力の左右バランスをとる。
【実施例5】
【0054】
実施例5は、実施例1の液体塗布装置100において、スプレイノズル10の代わりに、スロットノズル70を使用している。実施例5のスロットノズル70以外の部分の液体塗布装置は、実施例1の液体塗布装置100と同様であるので説明を省略する。
【0055】
図9は、本発明の実施例5によるスロットノズルの説明図である。実施例2と同様に、スロットノズル70は、バックアップローラー21の回転により移動するウエブ22に接触して、ウエブ22に液体を塗布する。
【0056】
スロットノズル70は、下ブロック71と、上ブロック(不図示)と、下ブロック71と上ブロック(不図示)との間に挟まれたシム72とからなる。下ブロック71の上面71aに、マニホールド71bが形成されている。マニホールド71bは、スロットノズル70の長手方向に延在する樋状の溝である。下ブロック71は、二つの入口71c、71dが設けられており、二つの入口71c、71dは、スロットノズル70の両端部でそれぞれマニホールド71bに連通している。下ブロック71は、出口71eが設けられており、出口71eは、スロットノズル70の略中央でマニホールド71eと連通している。
【0057】
シム72は、薄板でつくられており、幅W及び長さLの切り欠き部72aが設けられている。上ブロックの下面(不図示)、下ブロック71の上面71a、及びシム72の切り欠き部72aにより、スロット73が形成される。
【0058】
二つの供給ガン74、75は、二つの入口71c、71dにそれぞれ取り付けられている。二つの供給ガン74、75は、導管L4から分岐した二つの導管L17、L18にそれぞれ接続されている。二つの供給ガン74、75は、それぞれの導管L17、L18及び導管L4を介して圧力容器3に連通している。
戻りガン76は、出口71eに取り付けられている。戻りガン76は、導管L5に接続されている。戻りガン76は、導管L5を介して液体供給タンク1に連通している。
【0059】
圧力容器3から液体を、導管L4、導管L17、L18、供給ガン74、75、入口71c、71dを介してマニホールド71bの両端部へ供給する。液体は、マニホールド71bの両端部からマニホールド71bの中央部へ流れつつ、スロット73を通してリップ78からウエブ22に吐出される。スロットノズル70の両端部の入口71c、71dからの液体が、スロットノズル70の略中央部で合流して合流筋77を形成する。
【0060】
実施例5のスロットノズル70は、スロットノズル70の両端部で液体をマニホールド71bへ供給し、スロットノズル70のほぼ中央部で液体をマニホールド71bから排出する。
【0061】
実施例4及び実施例5においては、スロットノズルに設けられた複数の入口からの液体の流れが合流するところで、合流筋が発生する。合流筋の発生を防止するために、ノズルブロックに一つのコートハンガー形の液体供給路を設けることができる。しかし、コートハンガー形の液体供給路は、マニホールドからリップまでの長さが長くなるので、スロットノズルの寸法が大きくなってしまう。実施例2及び実施例3によれば、コートハンガー形の液体供給路を設けなくても合流筋の発生を防止できるので、スロットノズルの寸法を小さくすることができる。
【0062】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、その特徴事項から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、すべて本発明の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例1による液体塗布装置100を示す図。
【図2】ピストンポンプを示す図。
【図3】ガンの吐出サイクルを示す図。
【図4】ポンプ圧力とガンの吐出サイクルの関係を示す図。
【図5】本発明の実施例2によるスロットノズルの説明図。
【図6】本発明の実施例2によるスロットノズルの縦断面図。
【図7】本発明の実施例3によるスロットノズルの説明図。
【図8】本発明の実施例4によるスロットノズルの説明図。
【図9】本発明の実施例5によるスロットノズルの説明図。
【符号の説明】
【0064】
1 液体供給タンク
2 第一ポンプ(ピストンポンプ)
2a シリンダー
2b ピストン
2c 入口
2d 出口
3 圧力容器
4 第一ガン
5 乱流分散具(オリフィス)
5a 絞り
6 圧縮空気源
7 高感度リリーフ付きレギュレータ
8 電磁弁
9 レベルコントローラー
10 ノズル
11 被塗物
12 補充タンク
13 第二ポンプ
14 第二ガン
15 三方弁
16、17 逆止め弁
20、40、50、70 スロットノズル
21 バックアップローラー
22 ウエブ
23、41、51、71 下ブロック
23a、41a、51a、71a 上面
23b、41b、51b、71b マニホールド
23c、41c、51c、51d、51e、71c、71d 入口
23d、23e、41d、51f、51g、71e 出口
24 上ブロック
24a 下面
25、42、52、72 シム
25a、42a、52a、72a 切り欠き部
26、43、53、73 スロット
27、44、54、55、56、74、75 供給ガン
28、30、45、57、59、76 戻りガン
29、31、58、60 絞り弁
32、46、63 リップ
61、62、77 合流筋
100 液体塗布装置
L1〜L18 導管
P1 所定圧力
P2 ピストンポンプの最大圧力
W 幅
L 長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給タンク内の液体を第一ポンプで第一ガンへ圧送する工程と、
第一ガンを間欠的に開閉することにより分散具で液体を分散させる工程と、
液体を圧力容器内で所定圧力に維持する行程と、
圧力容器内の液体をノズルへ圧送する工程と、
液体をノズルから被塗物へ塗布する工程と、
余剰の液体をノズルから液体供給タンクへ戻す工程と
からなる液体塗布方法。
【請求項2】
分散具は液体の乱流を生じさせる乱流分散具である請求項1に記載の液体塗布方法。
【請求項3】
補充タンク内の液体を第二ポンプで第二ガンへ圧送する工程と、
第二ガンから液体供給タンクへ液体を補充する工程と
をさらに含む請求項1又は2に記載の液体塗布方法。
【請求項4】
補充タンク内の液体を第二ポンプで第二ガンへ圧送する工程と、
第二ガンから圧力容器へ液体を補充する工程と
をさらに含む請求項1又は2に記載の液体塗布方法。
【請求項5】
第二ガンを間欠的に開閉させる工程をさらに含む請求項3又は4に記載の液体塗布方法。
【請求項6】
第一ポンプは、ピストンポンプであり、
ピストンポンプから液体を排出する行程中に、第一ガンを開く工程と閉じる工程とを含む請求項1乃至5のいずれかに記載の液体塗布方法。
【請求項7】
第一ポンプは、ピストンポンプであり、
ピストンポンプから液体を排出する行程中に、第一ガンを開く工程と、
ピストンポンプへ液体を吸引する行程の間、第一ガンを閉じる工程と
を含む請求項1乃至5のいずれかに記載の液体塗布方法。
【請求項8】
ノズルから液体を噴霧する工程を含む請求項1乃至7のいずれかに記載の液体塗布方法。
【請求項9】
移動する被塗物へノズルを接触させる工程と、
液体をノズルから被塗物へ塗布する工程と
を含む請求項1乃至7のいずれかに記載の液体塗布方法。
【請求項10】
ノズルに設けられた直線状マニホールドに液体を供給する工程と、
直線状マニホールドに連通するスリットから液体を吐出する工程と、
直線状マニホールドから液体を液体供給タンクへ戻す工程と
を含む請求項9に記載の液体塗布方法。
【請求項11】
大気圧に開放されている液体を貯蔵する液体供給タンクと、
所定圧力で液体を貯蔵する圧力容器と、
液体供給タンク内の液体を圧力容器へ圧送する第一ポンプと、
第一ポンプと圧力容器との間に配置された第一ガンと、
第一ガンと圧力容器との間に配置された乱流分散具と、
圧力容器内の液体を被塗物へ塗布し、余剰の液体を液体供給タンクへ戻すノズルと
からなる液体塗布装置。
【請求項12】
液体を貯蔵する補充タンクと、
補充タンク内の液体を液体供給タンクへ圧送する第二ポンプと、
第二ポンプと液体供給タンクとの間に配置された第二ガンと
をさらに含む請求項11に記載の液体塗布装置。
【請求項13】
第二ガンと液体供給タンクとの間に配置された三方弁と、
第二ガンから液体を圧力容器へ送るために、三方弁と圧力容器とを連通する導管と
をさらに含む請求項12に記載の液体塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−666(P2009−666A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166197(P2007−166197)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】