説明

液体塗布装置、画像形成装置、液体塗布装置の製造方法および計量ローラの製造方法

【課題】塗布ローラへの液体供給構造を簡易化するとともに、 塗布ローラから媒体への塗布液量制御を容易にすること。
【解決手段】媒体Pに液体を塗布する周面31を有する塗布ローラ11と、塗布ローラ11の周面31に当接することにより周面31との間に液体保持空間20を形成して液体保持空間20から塗布ローラ11の周面31に液体を供給する液体保持部材21とを備え、塗布ローラ11は、周面31に液体保持空間20から供給される液量を計量する凹凸部が彫刻されている計量ローラによって構成した。塗布ローラ11は、周面31にはフッ素樹脂等の摺動性材料がコーティングされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布ローラへの液体供給構造が簡易であって、且つ、 塗布ローラから媒体への塗布液量の制御が容易な液体塗布装置、画像形成装置、液体塗布装置の製造方法および計量ローラの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
円筒状の塗布ローラを用いて被塗布媒体(以下単に「媒体」という)に液体を塗布する技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、媒体に液体を塗布する塗布面を有する塗布ローラと、塗布ローラの周面に当接することによって形成される液体保持空間に液体を保持する液体保持部材とを備え、密閉構造により塗布ローラへ液体を供給する構成が開示されている。塗布ローラとしては、シリコーンゴム、EPDMなどの弾性材料を研磨加工したゴムローラが用いられる。液体保持部材の塗布ローラと当接する部分は、フッ素樹脂等の摺動性材料で形成されている。
【特許文献1】特開2007−83180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の構成によれば、塗布ローラへの液体供給構造は簡易化するが、塗布ローラがゴムローラによって構成されており、媒体に対する塗布液量の制御が困難である。ゴムローラの研磨加工された周面は、平面であるか、または、単に塗布ローラの回転方向に順ずる研磨目が形成されているだけであり、媒体に塗布ムラが生じ易く、媒体に安定して液体を塗布することは困難である。また、塗布液量を増加させることが難しい。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、塗布ローラへの液体供給構造を簡易にできるとともに、 塗布ローラから媒体への塗布液量制御を容易にすることができる液体塗布装置、画像形成装置、液体塗布装置の製造方法、および、計量ローラの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、媒体に液体を塗布する周面を有する塗布ローラと、前記塗布ローラの前記周面に当接することにより前記周面との間に液体保持空間を形成して当該液体保持空間から前記塗布ローラの前記周面に液体を供給する液体保持部材と、を備え、前記塗布ローラは、前記周面に前記液体保持空間から供給される液量を計量する凹凸部が彫刻されている計量ローラであることを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0007】
この発明によれば、塗布ローラの周面に液体保持部材が当接して形成される密閉された液体保持空間から塗布ローラの周面に液体が供給される簡易な液体供給構造であるとともに、塗布ローラの周面に彫刻されている凹凸部により液体保持空間から塗布ローラに供給される液量を計量することで塗布ローラから媒体への液体の塗布を容易且つ安定して行うことができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記塗布ローラは、前記周面に前記液体保持部材との摺動負荷が低い摺動性材料がコーティングされていることを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0009】
この発明によれば、剛性を有する回転体で塗布ローラを構成した場合でも、塗布ローラの周面にコーティングされている摺動性材料により、液体保持部材の塗布ローラとの当接部分の磨耗を抑制し、長期間にわたって安定して塗布を行うことが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記塗布ローラは、前記周面の凸部のみに前記摺動性材料がコーティングされていることを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0011】
この発明によれば、凸部のみに摺動性材料がコーティングされているので、凹部の液体保持性には影響を与えることがなく、安定した塗布を行うことが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の発明において、前記摺動性材料は、フッ素樹脂であることを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のうちいずれか1項に記載の発明において、前記塗布ローラは、前記液体保持部材の前記塗布ローラとの当接部分よりも剛性が高い回転体に、前記摺動性材料がコーティングされて構成されていることを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記回転体は、金属材料またはセラミックス材料からなることを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の発明において、前記摺動性材料は、前記回転体の材料よりも前記液体保持部材との摩擦係数が小さいことを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の発明において、前記塗布ローラは、前記凹凸部としてセルまたは溝が彫刻されていることを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の発明において、前記塗布ローラから塗布される液体を被転写媒体に転写する転写ローラを前記媒体として備えたことを特徴とする液体塗布装置を提供する。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の液体塗布装置と、前記液体塗布部材によって第1の液体が塗布された前記媒体に、色材を含有する第2の液体を吐出する液体吐出ヘッドとを備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0019】
請求項11に記載の発明は、媒体に液体を塗布する周面を有する塗布ローラと、前記塗布ローラの前記周面に当接することにより前記周面との間に液体保持空間を形成して当該液体保持空間から前記塗布ローラの前記周面に液体を供給する液体保持部材とを備える液体塗布装置の製造方法であって、前記塗布ローラの前記周面に、前記液体保持空間から供給される液量を計量する凹凸部を彫刻することを特徴とする液体塗布装置の製造方法を提供する。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の発明において、前記塗布ローラの前記周面に、前記液体保持部材との摺動負荷が低い摺動性材料をコーティングすることを特徴とする液体塗布装置の製造方法を提供する。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の発明において、前記塗布ローラの前記周面に前記摺動性材料をコーティングし、前記摺動性材料がコーティングされた前記塗布ローラの前記周面をレーザで彫刻することにより、前記周面の凸部のみに前記摺動性材料を残すことを特徴とする液体塗布装置の製造方法を提供する。
【0022】
請求項14に記載の発明は、媒体に塗布される単位面積あたりの塗布液量が定められた塗布液量となるように計量する凹凸部が彫刻されている計量ローラの製造方法であって、回転体の周面にフッ素樹脂をコーティングし、前記フッ素樹脂がコーティングされた前記回転体の前記周面をレーザで彫刻することにより、 前記周面の凸部のみに前記フッ素樹脂を残すことを特徴とする計量ローラの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、塗布ローラへの液体供給構造を簡易にできるとともに、 塗布ローラから媒体への塗布液量の制御を容易にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付図面に従って、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明に係る液体塗布装置の一実施形態の要部構成図である。
【0026】
塗布ローラ11およびバックアップローラ12は、それぞれ、記録媒体P(以下単に「媒体」という)の搬送方向Sと直交する軸方向に沿って配置された回動軸11a,12aによって、回動自在に支持される。また、バックアップローラ12は、不図示の付勢手段によって塗布ローラ11の周面に付勢されている。塗布ローラ11が図中の時計方向に回転することにより、媒体Pは図中の搬送方向Sに搬送される。
【0027】
液体保持部材21は、主として基材22と、基材22の塗布ローラ11と対向する面に設けられたシール部材29とで構成される。基材の22の塗布ローラ11と対向する面には凹部23が形成されている。基材22は付勢部材26の付勢力によって塗布ローラ11の外周面に付勢されている。これにより、シール部材29が塗布ローラ11の周面31に当接した状態となり、塗布ローラ11の周面31、基材22の凹部23およびシール部材29により液体保持空間20が形成される。
【0028】
塗布ローラ11の回転が停止した状態では、液体保持部材21のシール部材29と塗布ローラ11の周面31との当接により、液体保持空間20内の液体が外部にリークすることを確実に防止することができる。
【0029】
塗布ローラ11が回転している状態では、液体保持空間20内の液体は、塗布ローラ11とシール部材29との間を抜けて、塗布ローラ11の周面31に付着する。塗布ローラ11の周面31上の液体は、塗布ローラ11とバックアップローラ12との当接部に送られる。塗布ローラ11とバックアップローラ12との間に媒体Pが挿入されると、塗布ローラ11の周面31上の液体が媒体Pに転写される。
【0030】
図2は、本発明に係る液体保持部材21とタンク73と、それらを連結する流路70を示す概略構成図である。
【0031】
液体保持部材21は、基材22と、基材22に設けられたシール部材29で構成される。シール部材29は、基材22に設けられた凹部23の周囲に沿うよう取り付けられている。シール部材29は、弾性部材により一体に形成された環状での形状であり、上下、左右が対称となる形状を有している。シール部材29は、基材22の長手方向に直線状に伸びた略平行の2本の直線と、この直線間をつなぐ半円状の円弧で構成されている。
【0032】
基材22の凹部23には、液体を供給及び排出するための供給口24および排出口25が設けられている。供給口24および排出口25はシール部材29で囲われている。供給口24とタンク73とが第1流路71により連結される。また、排出口25とタンク73が第2流路72により連結される。
【0033】
液体保持部材21の凹部23、第1流路71および第2流路72により液体の循環路が形成される。第2流路72のタンク73側にポンプ77が設けられている。ポンプ77によりタンク73内の液体が、塗布ローラ(図1の11)と液体保持部材21で形成される液体保持空間に供給される。なお、タンク73には大気に開放する連通口74と切換弁75が設けられている。また、第1流路71にも切換弁76が設けられている。切換弁75および76を作用させることによって、タンク73が大気に開放される。
【0034】
図3は、塗布ローラ11の周面31の一部(図1の符号3で示す部分)を示す拡大図である。
【0035】
図3において、塗布ローラ11は、剛性を有する円柱形状の回転体30(原ローラ)の周面31に、レーザ彫刻により、凹部32および凸部33が形成されている。周面31上の凹部32によって、液体保持空間(図1の20)から供給される周面31の単位面積あたりの液量が一定となるように計量する。これにより、塗布ローラ11の周面31から媒体Pに塗布される媒体Pの単位面積あたりの塗布液量が一定となるように計量される。言い換えると、本実施形態の塗布ローラ11は、計量ローラによって構成されている。
【0036】
凹部32の形状としては、図4(a)に示すピラミッド型セル、図4(b)に示す格子型(角錐台型)セルが、代表例として挙げられる。このような液体保持用の微小なセルが表面に彫刻された計量ローラは、一般に、アニロックスローラ、グラビアローラなどとも呼ばれる。セルの形状、深さ、容積、密度等は、媒体Pへの塗布液量(塗布後の液膜の厚さを示す)に応じて適宜選択される。セルの配列形態は特に限定されないが、回転方向に対して直交しない斜め方向の線に沿ってセルが並ぶ形態が、好ましい。図5に示すように溝を周面に彫刻した計量ローラを塗布ローラ11として用いてもよい。
【0037】
回転体30は、例えば、金属材料からなる金属ローラ、または、セラミックスからなるセラミックスローラによって構成されている。このような回転体30は、図1の液体保持部材21のシール部材29(塗布ローラ11との当接部分である)よりも剛性が高い。
【0038】
回転体30の周面31には、液体保持部材21のシール部材29との摺動性を有する摺動性材料34がコーティングされて形成されている。摺動性材料34は、液体保持部材21のシール部材29との摺動負荷が低い材料である。具体的には、液体保持部材21のシール部材29との摩擦係数が回転体30の材料よりも小さい材料を用いる。静摩擦係数および動摩擦係数の両方が低いことが、好ましい。特に、液体保持部材21のシール部材の磨耗の主要因である摩擦係数を低くする。
【0039】
摺動性材料34としては、例えば、フッ素樹脂であるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が挙げられる。他のフッ素樹脂、例えば、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、パーフルオロエチレンプロペンコポリマ(FEP)等を用いてもよい。ポリオキシメチレン(POM)を用いてもよい。このような摺動性材料を用いることにより、塗布ローラ11が回動動作するときに、液体保持部材21のシール部材29と塗布ローラ11との摩擦に因る液体保持部材21のシール部材29または塗布ローラ11の磨耗を軽減することができる。
【0040】
図6は、他の例の塗布ローラ111(図1の11に相当する)の周面31を拡大して示す。この塗布ローラ111は、周面31の凹部32および凸部33のうちで凸部33のみにフッ素樹脂等の摺動性材料34がコーティングされている。
【0041】
[製造方法]
液体塗布装置の製造処理の一例について説明する。
【0042】
以下では、主として、図6の塗布ローラ111を作成する工程を説明する。そのほかの工程、例えば、バックアップローラ12、液体保持部材21等の製造、接続および配置工程は、既に済んでいるものとする。
【0043】
図7は、塗布ローラ(計量ローラ)の製造処理の一例の流れを示すフローチャートである
まず、ステップS1にて、原ローラ(回転体30)としての金属ローラの表面(周面)を、アルカリ洗浄剤を用いて洗浄する。原ローラとしてセラミックスローラを用いてもよい。いわゆる空焼きによって表面を清浄にしてもよい。
【0044】
次に、ステップS2にて、清浄にした原ローラの表面に、エアースプレー等を用いて、プライマー液をコーティングする。
【0045】
次に、ステップS3にて、プライマー液をコーティングされた原ローラの周面に、摺動性材料としてフッ素樹脂をコーティングする。摺動性材料が液体材料である場合には例えばエアースプレーを用い、摺動性材料が粉体材料である場合には静電粉体スプレーを用いて、原ローラの表面に吹き付ける。
【0046】
次に、ステップS4にて、150℃〜450℃で、フッ素樹脂を焼成する。
【0047】
次に、ステップS5にて、空冷で常温まで冷却する。
【0048】
次に、ステップS6にて、フッ素樹脂がコーティングされた原ローラの表面を、レーザを用いて彫刻し、セル(又は溝)を形成する。これにより塗布ローラ111としての計量ローラが得られる。
【0049】
このようにして作成した塗布ローラ111は、バックアップローラ12と対向する位置に配置される。
【0050】
なお、原ローラの表面に、液体との親和性を有する親和性材料を、周面31の凹部32の深さ(凸部33の高さでもある)よりも厚くコーティングしておくことで、ステップS6の彫刻において、図8に示すように、周面31の凹部32に親和性材料35を露出させることができる。すなわち、周面31の凹部32には親和性材料がコーティングされ、凸部33には摺動性材料34がコーティングされた塗布ローラ112(図1の11に相当する)を形成できる。例えば、原ローラが金属材料(例えば鉄)からなる金属ローラの場合、原ローラの周面にクロムめっきを施す。親和性材料35は、摺動性材料34よりも親和性が高く、また、回転体30よりも親和性が高い。
【0051】
ここで、「親和性」は、媒体に塗布される液体に対して、表面エネルギーが高いこと(接触角が小さいこと)をいう。
【0052】
また、図3に示すような周面31の全面に摺動性材料34がコーティングされた塗布ローラ11を作成する場合には、レーザ彫刻を行った後に、摺動性材料34をコーティングすればよい。
[実験結果]
顔料を色材とするインクで記録する際に、前記液体塗布装置によって、顔料の凝集の開始を早める液体を記録媒体に塗布し、インクジェットヘッドによって、顔料を色材としたインクを記録媒体に打滴することにより、線幅100μmの線を記録媒体に描画した。そして、実際の線幅Hを計測し、その計測結果より滲みを評価した。
【0053】
表1は、塗布ローラによる塗布液量と、画像品質との関係を示す。
【0054】
【表1】

【0055】
媒体の搬送速度は、500mm/sで実験した。
【0056】
画像の滲みの判定は、次のとおりである。
○:線幅が100≦H≦105μmでありほとんど滲みがないレベル
△:線幅が105<H≦110μmであり、滲みが許容レベル
×:線幅が110<Hであり、滲みが許容できないレベル
表1に示すように、画像の滲みを少なくする観点からは、単位体積あたりの塗布液量は、好ましくは0.7g/m以上であり、より好ましくは1.0g/m以上である。
【0057】
また、セル容量に関しては前記塗布液量を得られるよう、塗布液の物性(粘度、表面張力)により適時調整すればよい。
[画像形成装置]
図9は、本発明に係る液体塗布装置を適用した画像形成装置100の全体構成図である。
【0058】
図9において、給紙部131には、複数の記録媒体P(以下単に「媒体」という)が載置される。給送ローラ132は、給紙部131に載置されている媒体Pを1枚ずつ繰り出して搬送路133に給送する。搬送路133には、媒体Pに処理液を塗布する塗布ローラ11と、塗布ローラ11に対向して媒体Pを支持するバックアップローラ12とが配置されている。液体保持部材21は、バネ部材などの付勢部材26の付勢力によって塗布ローラ11の外周面に対して付勢されており、塗布ローラ11に当接することで塗布ローラ11の外周面との間に液体保持空間を形成する。塗布ローラ11の回転によって処理液が塗布された媒体Pは、搬送ローラ134、135によってプラテン136の上を搬送される。インク打滴ヘッド137は、プラテン136上の媒体Pにインクを打滴して画像を形成する。画像が形成された媒体Pは、排出ローラ138、139によって、排出トレイ140に排出される。
【0059】
搬送路133には、媒体Pの先端を検出する媒体先端検出センサ141、142が配置されている。第1の媒体先端検出センサ141は、塗布ローラ11の給紙側入口の近傍に配置されている。第2の媒体先端検出センサ142は、インク打滴ヘッド137の給紙側入口の近傍に配置されている。
【0060】
インクは、色材を溶媒中に含有させた液体である。処理液は、例えばインク中の色材を凝集させる作用を有する液体である。
【0061】
[中間転写方式]
以上、塗布ローラ11(計量ローラ)の周面31から記録媒体Pに対して直接的に液体を塗布する場合を例に説明したが、図10に示すように、計量ローラ11から転写ローラ13に液体を転写した後、さらに転写ローラ13から記録媒体Pに液体を転写する構造としてもよい。
【0062】
例えば、計量ローラ11としては、金属材料からなる金属ローラの表面にフッ素樹脂をコーティングを施したものを用い、転写ローラ13としては、ゴム材料等の弾性材料からなる弾性ローラを用い、バックアップローラ12としては、金属材料からなる金属ローラを用いる。このような構造では、媒体Pの剛性が高く且つ厚みが大きい場合でも、良好に塗布を行うことができる。
【0063】
なお、本発明は、本明細書において説明した例や図面に図示された例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の設計変更や改良を行ってよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態における液体塗布装置の要部構成図
【図2】本発明の一実施形態における液体塗布装置の液体供給系の構成図
【図3】塗布ローラとしての計量ローラの一例の周面を示す拡大図
【図4】(a)はピラミッド型セルを示す説明図、(b)は格子型セルを示す説明図
【図5】溝付きの計量ローラを示す説明図
【図6】塗布ローラとしての計量ローラの他の例の周面を示す拡大図
【図7】塗布ローラの作成処理の一例の流れを示すフローチャート
【図8】凹部が親和性材料によって構成されている計量ローラの一例を示す拡大図
【図9】本発明に係る液体塗布装置を適用した画像形成装置の一例の全体構成図
【図10】中間転写方式の液体塗布装置の一例の要部構成図
【符号の説明】
【0065】
11…塗布ローラ、12…バックアップローラ、13…転写ローラ、21…液体保持部材、22…液体保持部材の基材、29…液体保持部材のシール部材、30…塗布ローラの回転体(原ローラ)、31…塗布ローラの周面、32…塗布ローラの周面の凹部、33…塗布ローラの周面の凸部、34…摺動性材料、137…インク打滴ヘッド、110…画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体を塗布する周面を有する塗布ローラと、前記塗布ローラの前記周面に当接することにより前記周面との間に液体保持空間を形成して当該液体保持空間から前記塗布ローラの前記周面に液体を供給する液体保持部材と、を備え、
前記塗布ローラは、前記周面に前記液体保持空間から供給される液量を計量する凹凸部が彫刻されている計量ローラであることを特徴とする液体塗布装置。
【請求項2】
前記塗布ローラは、前記周面に前記液体保持部材との摺動負荷が低い摺動性材料がコーティングされていることを特徴とする請求項1に記載の液体塗布装置。
【請求項3】
前記塗布ローラは、前記周面の凸部のみに前記摺動性材料がコーティングされていることを特徴とする請求項2に記載の液体塗布装置。
【請求項4】
前記摺動性材料は、フッ素樹脂であることを特徴とする請求項2または3に記載の液体塗布装置。
【請求項5】
前記塗布ローラは、前記液体保持部材の前記塗布ローラとの当接部分よりも剛性が高い回転体に、前記摺動性材料がコーティングされて構成されていることを特徴とする請求項2ないし4のうちいずれか1項に記載の液体塗布装置。
【請求項6】
前記回転体は、金属材料またはセラミックス材料からなることを特徴とする請求項5に記載の液体塗布装置。
【請求項7】
前記摺動性材料は、前記回転体の材料よりも前記液体保持部材との摩擦係数が小さいことを特徴とする請求項5または6に記載の液体塗布装置。
【請求項8】
前記塗布ローラは、前記凹凸部としてセルまたは溝が彫刻されていることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項に記載の液体塗布装置。
【請求項9】
前記塗布ローラから塗布される液体を被転写媒体に転写する転写ローラを前記媒体として備えたことを特徴とする請求項1ないし8のうちいずれか1項に記載の液体塗布装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の液体塗布装置と、
前記液体塗布部材によって第1の液体が塗布された前記媒体に、色材を含有する第2の液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
媒体に液体を塗布する周面を有する塗布ローラと、前記塗布ローラの前記周面に当接することにより前記周面との間に液体保持空間を形成して当該液体保持空間から前記塗布ローラの前記周面に液体を供給する液体保持部材とを備える液体塗布装置の製造方法であって、
前記塗布ローラの前記周面に、前記液体保持空間から供給される液量を計量する凹凸部を彫刻することを特徴とする液体塗布装置の製造方法。
【請求項12】
前記塗布ローラの前記周面に、前記液体保持部材との摺動負荷が低い摺動性材料をコーティングすることを特徴とする請求項11に記載の液体塗布装置の製造方法。
【請求項13】
前記塗布ローラの前記周面に前記摺動性材料をコーティングし、前記摺動性材料がコーティングされた前記塗布ローラの前記周面をレーザで彫刻することにより、前記周面の凸部のみに前記摺動性材料を残すことを特徴とする請求項12に記載の液体塗布装置の製造方法。
【請求項14】
媒体に塗布される単位面積あたりの塗布液量が定められた塗布液量となるように計量する凹凸部が彫刻されている計量ローラの製造方法であって、
回転体の周面にフッ素樹脂をコーティングし、前記フッ素樹脂がコーティングされた前記回転体の前記周面をレーザで彫刻することにより、 前記周面の凸部のみに前記フッ素樹脂を残すことを特徴とする計量ローラの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−233585(P2009−233585A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−83377(P2008−83377)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】